説明

配線の形成方法

【課題】基板上に不要な配線を形成させず、かつ少ない工程数で、基板上に配線を形成する方法を提供すること。
【解決手段】基板にフォトレジストを塗布、露光、パターニングをした後、配線となる導電層を形成し、基板上のフォトレジストを除去する方法で、基板上の第1、第2及び第3の領域には単位面積あたり第1、第2及び第3の累積露光量で、かつ第2の累積露光量は、第1の累積露光量よりも大きく、第3の累積露光量よりも小さくなるように露光し、パターニングによって、第3の領域においてフォトレジストが全て除去された露出面が、第2の領域において第2の上面を有するフォトレジスト層が、第1の領域において第2の上面より高い第1の上面を有するフォトレジスト層が形成され、第1の上面の基板上への投影は、露出面の投影と重なる部分と、第2の上面の投影と重なる部分とを有し、導電層は第3の領域を含む範囲において形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線の形成方法に関する。特に、リフトオフ法により基板上へ配線を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に配線を形成する効率的な方法としてリフトオフ法があり、例えば、特許文献1及び、特許文献2が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−183782号公報
【特許文献2】特開平1−194439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の方法では、レジスト層の切れ目の基板上に不要な配線となるダミーパターンが形成されるため、蓄熱源や電気回路のショートの原因となる。また、ダミーパターンがダイシング領域上にあれば、切断不良を引き起こす可能性もある。したがって、レジスト層に切れ目を設けられるエリアは限られる。
【0005】
一方、特許文献2の方法では、基板上に上記のようなダミーパターンは形成されないものの、レジスト層を形成する工程が2回以上必要となり、工程数が多くなる。
【0006】
そこで、本発明は、基板上に不要な配線を形成させず、かつ少ない工程数で、基板上に配線を形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明によれば、基板上に配線を形成する方法であって、前記基板にフォトレジストを塗布する工程と、前記フォトレジストを露光する工程と、前記露光した前記フォトレジストに対してパターニングを行う工程と、前記パターニング後の前記基板上に導電層を形成して前記配線を形成する工程と、前記基板上の前記フォトレジストを除去する工程と、を含み、前記露光する工程において、前記基板上の、第1の領域には単位面積あたり第1の累積露光量で、第2の領域には単位面積あたり第2の累積露光量で、第3の領域には単位面積あたり第3の累積露光量でそれぞれ露光し、かつ前記第2の累積露光量は、前記第1の累積露光量よりも大きく、前記第3の累積露光量よりも小さく、前記パターニングによって、前記第3の領域において前記フォトレジストが全て除去された露出面が形成され、前記第2の領域において第2の上面を有するフォトレジスト層が形成され、前記第1の領域において前記第2の上面より高い第1の上面を有するフォトレジスト層が形成され、前記第1の上面の前記基板上への投影は、前記露出面の前記基板上への投影と重なる部分と、前記第2の上面の前記基板上への投影と重なる部分とを有し、前記導電層は、前記第3の領域を含む範囲において形成されることを特徴とする方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板上に不要な配線を形成させず、かつ少ない工程数で、基板上に配線を形成する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】一実施形態の第1工程を示す図。
【図1B】一実施形態の第1工程で用いるフォトレジストの性質を示す図。
【図2】一実施形態の第2工程を示す図。
【図3】一実施形態の第3工程を示す図。
【図4】一実施形態の第4工程を示す図。
【図5】一実施形態の第5工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、基板1上に配線43を形成する、本発明を適用できる好適な実施例について、添付図面を参照しながら、さらに具体的かつ詳細に説明する。なお、既に説明した部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
【0011】
<第1工程>
第1工程では、図1Aに示すように、基板1にフォトレジスト2をスピンコーターで塗布する。本実施形態では、基板1は回路が形成されたSiを含む基板であり、基板1上の一部には半導体11、及び半導体11の上面から基板1にわたって半導体11の側面の一部を覆うように絶縁層12が形成されている。そこで本実施形態では、基板1、半導体11及び絶縁層12を覆うようにフォトレジスト2を塗布する。なお、基板1の材料はSiを含むものに限らない。塗布方法はスピンコーティング法に限らず、スプレーコーティング法等の方法でもよい。
【0012】
また、本実施形態では、フォトレジスト2は、ナガセケムテックス社製ポジ型リフトオフ用フォトレジストNPR−9700Tを用いて、6〜8μmの厚さで形成する。なお、フォトレジスト2は本実施形態で用いたものに限らず、ポジ型で、図1Bに示すように、上面から露光した際に、反応する部分の上面UPRの露光方向の投影の全てが、その下面LWRの露光方向の投影と重なるものであればよい。
【0013】
その後、フォトレジスト2が塗布された基板1をホットプレート上で130℃の温度でベークする。
【0014】
<第2工程>
第2工程では、基板1上の、第1、第2、及び第3の領域A1、A2、及びA3に単位面積あたり第1、第2、及び第3の累積露光量exp1、exp2、及びexp3でそれぞれフォトレジスト2を露光する。このとき、本工程においては、第2の累積露光量exp2は、第1の累積露光量exp1よりも大きく、第3の累積露光量exp3よりも小さくなる(すなわち、exp1<exp2<exp3)ように露光する必要がある。
【0015】
本実施形態では、図2に示すように、第1、第2及び第3の累積露光量exp1、exp2、exp3で露光する部分に露光光の透過率tr1、tr2、tr3が異なるマスク3を用いて露光する。ここで、tr1=0%、tr2=50%、tr3=100%である(すなわち第1の領域A1には露光しない)。第1の領域A1に露光しないことで、第1の領域A1上のフォトレジスト2を最大限残すことができる。なお、上記の各領域における露光量の関係(exp1<exp2<exp3)を満たしていれば、場合によって第1の領域A1に露光してもよい。基板1上に半導体11が形成されている本実施形態では、第1の領域A1は基板1の一部と、半導体11の一部を含み、かつ半導体11の側面うち、絶縁層12が形成されていない部分は含まれない。なお、本実施形態のようなマスク3を用いなくても、例えば、第1、第2及び第3の累積露光量exp1、exp2、exp3で露光する部分によって露光時間が異なるように露光してもよく、あるいは露光回数を異なるようにしてもよい。この場合、上記のように露光する部分によって透過率の異なるマスク3を作製する必要がなくコストの低減をすることができる。
【0016】
<第3工程>
第3工程では、露光したフォトレジスト2に対してパターニングを行う。本実施形態では、フォトレジスト2の反応した部分を2.38wt%テトラメチルハイドロオキサイド(TMAH)水溶液等に溶解して除去する。
【0017】
パターニング後の基板1の状態を図3に示す。図3の断面図の通り、パターニングによって、第3の領域A3においてフォトレジスト2が全て除去された露出面PL0が形成される。フォトレジスト2が残存する部分においては、第2の領域A2において第2の上面PL2を有するフォトレジスト層が形成され、第1の領域A1において第2の上面PL2より高い第1の上面PL1を有するフォトレジスト層が形成される。また、図3の投影図の通り、第1の上面PL1の基板1上への投影は、露出面PL0の基板1上への投影と重なる部分と、第2の上面PL2の基板1上への投影と重なる部分とを有する。
【0018】
<第4工程>
第4工程では、パターニング後の基板1上の第3の領域A3を含む範囲において導電層4を形成する。導電層4は、基板1上に金属をスパッタ又は蒸着することにより形成される。本実施形態では、導電層4を形成するとき、第3の領域A3は、第1の部分S1と第2の部分S2とを含み、第1の部分S1の上面は基板1の上面であり、第2の部分S2の上面は半導体11の上面である。本工程により、図4に示すように、導電層4は第1、第2及び第3の領域A1、A2及びA3に形成され、第2の領域A2に後の第5工程で除去されるダミーパターン42が、第3の領域A3に配線43が形成される。
【0019】
このとき、第2の上面PL2から第1の上面PL1までの高さをhとし、基板上面から第1の上面PL1までの高さをhとし、導電層4の厚さをtとするとき、h>2t、かつh>3t、であることが望ましい。基板面及び各上面間での高低差を大きくすることで、次の工程でフォトレジスト2の剥離液が効率的に浸入する。本実施形態では、hは4〜5μm、hは6〜8μmに対して、tは約0.5μmである。
【0020】
<第5工程>
第5工程では、基板1上のフォトレジスト2を除去する。本実施形態では、スプレー式のリフトオフ装置を用いて、N−メチル−2−ピロリドンを2〜6MPaの吐出圧でフォトレジスト2に吐出する。本工程により、ダミーパターン42を含むフォトレジスト2上の導電層4がフォトレジスト2と一緒に除去され、図5に示す通り、基板1上に配線43が残る。
【0021】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、フォトレジスト2に基板1まで到達しない第2の上面PL2が形成され、その上にダミーパターン42が形成されるため、フォトレジスト2を除去することで、ダミーパターン42も除去される。したがって、基板1上には不要な配線が形成されない。
【0022】
また、本実施形態によれば、フォトレジスト2の塗布、露光及びパターニングを含む工程(第1〜3工程)を1回行えば、フォトレジスト2に基板1まで到達しない第2の上面PL2が形成される。したがって、少ない工程数で、基板上に配線を形成することができる。
【0023】
さらに、本実施形態の方法は、従来の技術よりも自由にダミーパターン42の形成できる。そのため、基板上に半導体11が配置されている場合であっても、その制約を受けずに、効率的に剥離液をフォトレジスト2に浸入させるためのダミーパターン42の配置を最大限考慮できる。
【0024】
なお、上記の実施形態の方法は、低コストで高性能なLEDアレイ、LEDプリンタヘッド、LEDプリンタやディスプレイ等の表示装置等、あるいは、光送受信用素子や受光素子などの製造にも適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 基板
2 フォトレジスト
3 マスク
4 導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配線を形成する方法であって、
前記基板にフォトレジストを塗布する工程と、
前記フォトレジストを露光する工程と、
前記露光した前記フォトレジストに対してパターニングを行う工程と、
前記パターニング後の前記基板上に導電層を形成して前記配線を形成する工程と、
前記基板上の前記フォトレジストを除去する工程と、
を含み、
前記露光する工程において、前記基板上の、第1の領域には単位面積あたり第1の累積露光量で、第2の領域には単位面積あたり第2の累積露光量で、第3の領域には単位面積あたり第3の累積露光量でそれぞれ露光し、かつ前記第2の累積露光量は、前記第1の累積露光量よりも大きく、前記第3の累積露光量よりも小さく、
前記パターニングによって、前記第3の領域において前記フォトレジストが全て除去された露出面が形成され、前記第2の領域において第2の上面を有するフォトレジスト層が形成され、前記第1の領域において前記第2の上面より高い第1の上面を有するフォトレジスト層が形成され、
前記第1の上面の前記基板上への投影は、前記露出面の前記基板上への投影と重なる部分と、前記第2の上面の前記基板上への投影と重なる部分とを有し、
前記導電層は、前記第3の領域を含む範囲において形成される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の領域には露光しないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1、第2及び第3の累積露光量で露光する部分に露光光の透過率が異なるマスクを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1、第2及び第3の累積露光量で露光する部分によって露光時間が異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記基板上の一部には半導体が形成されており、前記基板及び前記半導体を覆うように前記フォトレジストを塗布し、さらに、前記導電層を形成するときに、前記第3の領域は第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分の上面は前記基板の上面であり、前記第2の部分の上面は前記半導体の上面であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の上面から前記第1の上面までの高さをhとし、前記基板上面から前記第1の上面までの高さをhとし、前記導電層の厚さをtとするとき、h>2t、かつh>3t、であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記導電層は、前記基板上に金属をスパッタ又は蒸着することにより形成されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−55154(P2013−55154A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191047(P2011−191047)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】