説明

配線回路基板および半導体装置

【課題】 大きな圧力を加えずとも、突起電極と接続端子とを確実に接続することができ、導体パターンを高密度に形成しても、断線を防止することのできる、配線回路基板、および、その配線回路基板に半導体素子が搭載された半導体装置を提供すること。
【解決手段】 接続端子4を一体的に有する導体パターン3を備える配線回路基板1において、接続端子4には、接続側の表面に、接続端子4の幅方向の中央部において、その長手方向にわたって凸部5を設ける。接続端子4とバンプ14とは、圧着(熱圧着)により、凸部5をバンプ14に減り込ませて接続する。この接続では、接続端子4の基部6がバンプ14に減り込まなくても、凸部5のバンプ14に対する減り込みにより、これらを接続することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板および半導体装置、詳しくは、半導体素子を搭載する配線回路基板、および、その配線回路基板に半導体素子が搭載された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示板などに用いられる半導体素子は、小型化・高密度化がますます要求されており、このような半導体素子に設けられているバンプ(突起電極)のピッチ(バンプ間の間隔)も、ますます狭くする必要がある。そのため、このような半導体素子を搭載するための配線回路基板においても、バンプが接続される接続端子のピッチ(接続端子間の間隔)を、より狭くすることが要求されている。
【0003】
また、半導体素子のバンプと配線回路基板の接続端子とは、通常、熱圧着により接続している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3494940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、バンプと接続端子とを熱圧着により接続するには、バンプに接続端子を減り込ませるので、バンプを塑性変形させるための大きな圧力を加える必要がある。
一方、そのような大きな圧力を、半導体素子や配線回路基板に加えると、バンプの塑性変形と同時に、接続端子やその接続端子を支持している絶縁層までもが変形して、導体パターンが高密度に形成されている場合には、接続端子の断線を生ずる。
【0005】
本発明の目的は、大きな圧力を加えずとも、突起電極と接続端子とを確実に接続することができ、導体パターンを高密度に形成しても、断線を防止することのできる、配線回路基板、および、その配線回路基板に半導体素子が搭載された半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の配線回路基板は、導体パターンを備える配線回路基板であって、前記導体パターンは、接続端子を一体的に備えており、前記接続端子には、接続側の表面に、前記接続端子の長手方向と直交する方向の中央部において、前記長手方向にわたって凸部が設けられていることを特徴としている。
この配線回路基板の接続端子に、半導体素子の突起電極を、圧着により接続するときには、接続端子の接続側の表面に設けられている凸部を、突起電極に減り込ませて、それによって、接続端子と突起電極とを接続することができる。そのため、接続端子の全体が突起電極に減り込まなくても、これらを接続することができるので、大きな圧力を加えずとも、突起電極と接続端子とを確実に接続することができる。その結果、小型化・高密度化が図られている半導体素子の、ピッチの狭い突起電極に対応して形成されている導体パターンの接続端子であっても、その断線を有効に防止することができる。
【0007】
また、本発明の配線回路基板は、導体パターンを備える配線回路基板であって、前記導体パターンは、接続端子を一体的に備えており、前記接続端子には、接続側の表面に、前記接続端子の長手方向と直交する方向にわたって、凸部または凹部が設けられていることを特徴としている。
この配線回路基板の接続端子に、半導体素子の突起電極を、圧着により接続するときには、接続端子の接続側の表面に設けられている凸部を突起電極に減り込ませて、または、接続端子の接続側の表面に設けられている凹部に突起電極を減り込ませて、それによって、接続端子と突起電極とを接続することができる。そのため、接続端子の全体が突起電極に減り込まなくても、これらを接続することができるので、大きな圧力を加えずとも、突起電極と接続端子とを確実に接続することができる。その結果、小型化・高密度化が図られている半導体素子の、ピッチの狭い突起電極に対応して形成されている導体パターンの接続端子であっても、その断線を有効に防止することができる。
【0008】
また、本発明の半導体装置は、上記した配線回路基板の前記接続端子と、半導体素子の突起電極とが、互いに減り込むように圧着されていることを特徴としている。
この半導体装置は、上記した配線回路基板の接続端子と半導体素子の突起電極とが互いに減り込むように圧着されているので、小型化・高密度化の要求を満足し、しかも、接続時の断線が有効に防止された、接続信頼性の高い半導体装置として提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の配線回路基板によれば、接続端子を半導体素子の突起電極と接続するときには、大きな圧力を加えずとも、突起電極と接続端子とを確実に接続することができ、ピッチの狭い突起電極に対応して形成されている導体パターンの接続端子であっても、その断線を有効に防止することができる。
そして、本発明の半導体装置は、小型化・高密度化の要求を満足し、しかも、接続時の断線が有効に防止された、接続信頼性の高い半導体装置として提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の配線回路基板の一実施形態を示す斜視図である。
図1において、この配線回路基板1は、半導体素子を搭載するフレキシブル配線回路基板であって、薄層状のベース絶縁層2と、そのベース絶縁層2の上に配線回路パターンとして形成される導体パターン3とを備えている。
ベース絶縁層2は、可撓性および絶縁性を有するものであれば、特に制限されないが、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの樹脂フィルムなどからなる。好ましくは、ポリイミド樹脂フィルムからなる。また、ベース絶縁層2の厚みは、例えば、10〜50μmである。
【0011】
導体パターン3は、導電性を有するものであれば、特に制限されないが、例えば、銅、クロム、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、銅−ベリリウム、リン青銅、鉄−ニッケル、および、それらの合金などの金属箔からなる。好ましくは、銅箔からなる。
この導体パターン3は、図1には部分的に示されているが、複数の配線3a、3bが、それら配線3a、3bの長手方向と直交する方向(以下、幅方向とする。)において互いに所定間隔を隔てて並行配置される配線回路パターンからなり、各配線3a、3bは、ベース絶縁層2の長手方向に沿って延びるように形成されている。
【0012】
そして、各配線3a、3bには、半導体素子12(図2参照)の複数のバンプ14を接続するための接続端子4が一体的に形成されている。各接続端子4は、各配線3a、3bと同一幅および同一厚みで、各配線3a、3bに連続する平面視略矩形状の基部6と、基部6におけるバンプ14との接続側(ベース絶縁層2と反対側)の表面に、接続端子4の長手方向(各配線3a、3bの長手方向と同じ。)と直交する方向(配線3a、3bの幅方向と同じ。)の中央部において、接続端子4の長手方向にわたって、基部6から上方に向かって突出する平面視略矩形状の凸部5とを一体的に備えている。
【0013】
なお、接続端子4を含む各配線3a、3bの幅は、例えば、5〜100μm、好ましくは、10〜40μmであり、各配線3a、3b間の間隔(各配線3a、3bのピッチ)は、例えば、5〜100μm、好ましくは、10〜40μmである。
また、基部6を含む各配線3a、3bの厚みは、例えば、2〜30μm、好ましくは、5〜15μmである。また、凸部5の幅は、例えば、基部6の幅100%に対して20〜80%であり、好ましくは、20〜50%である。また、接続端子4において、基部6から突出する凸部5の高さ(厚さ)は、例えば、0.5〜10μm、好ましくは、1〜3μmである。
【0014】
なお、図1には図示しないが、この配線回路基板1では、必要により、導体パターン3を被覆するように、ベース絶縁層2の上に、カバー絶縁層24(図3(i)参照)が形成される。カバー絶縁層24は、ベース絶縁層2と同様の樹脂からなり、各接続端子4を露出させる開口部を有する所定のパターンとして形成される。
そして、この配線回路基板1には、図2に示すように、半導体素子12(図2参照)が搭載されて、半導体装置11が形成される。
【0015】
図2において、この半導体装置11は、図1に示す配線回路基板1と、この配線回路基板1に搭載される半導体素子12とを備えている。なお、図2は、半導体装置11を、接続端子4の幅方向に沿う断面として示している。
半導体素子12は、半導体チップを含む本体部13と、本体部13における接続端子4との接続側の表面に形成された突起電極としての複数のバンプ14とを備えている。
【0016】
各バンプ14は、本体部13の幅方向において、互いに所定間隔を隔ててファインピッチで並列配置されており、配線回路基板1の各接続端子4は、半導体素子12の各バンプ14に対応して配置されている。
そして、各接続端子4と各バンプ14とは、各接続端子4の凸部5が各バンプ14の下面から各バンプ14に対して減り込み、各接続端子4の基部6が各バンプ14の下面と当接するようにして、接続されており、これによって、配線回路基板1と半導体素子12とが電気的に接続されている。
【0017】
各接続端子4と各バンプ14は、例えば、150〜450℃、0.05〜0.5MPa/バンプの圧着(熱圧着)により、凸部5をバンプ14に減り込ませることで、接続されている。この接続においては、接続端子4の基部6がバンプ14に減り込まなくても、凸部5のバンプ14に対する減り込みにより、これらを接続することができる。そのため、大きな圧力を加えずとも、バンプ14と接続端子4とを確実に接続することができる。その結果、小型化・高密度化が図られている半導体素子12の、ファインピッチで形成されるバンプ14に対応して形成されている各配線3a、3bの接続端子4であっても、その断線を有効に防止することができる。
【0018】
次に、図3を参照して、図1に示す配線回路基板1の製造方法を簡単に説明する。
この方法では、まず、図3(a)に示すように、上記したベース絶縁層2を用意する。ベース絶縁層2は、予めドライフィルムとして用意するか、あるいは、樹脂ワニスを基板上にキャスティングして、成膜することにより用意する。
次いで、ベース絶縁層2の上に、種膜として金属薄膜21を形成する。金属薄膜21の形成には、無電解めっき、真空蒸着法などの公知の薄膜形成方法が用いられる。好ましくは、スパッタ蒸着法が用いられる。金属薄膜21の厚みは、例えば、3〜300nmである。また、金属薄膜21となる金属は、クロム、ニッケル、銅などが好ましく用いられる。より具体的には、例えば、ベース絶縁層2の上に、クロム薄膜と銅薄膜とをスパッタ蒸着法によって順次形成する。
【0019】
次いで、図3(c)に示すように、この金属薄膜21の上に、第1めっきレジスト22を、配線回路パターンの反転パターンで形成する。より具体的には、第1めっきレジスト22は、ベース絶縁層2の上において、複数の配線3a、3bに対応する部分に、金属薄膜21が露出する溝状の開口部が形成されるように、形成する。第1めっきレジスト22は、例えば、ドライフィルムレジストをラミネートして、露光および現像する公知の方法により、配線回路パターンの反転パターンとして形成する。
【0020】
次に、この方法では、図3(d)に示すように、第1めっきレジスト22から露出する金属薄膜21の上に、電解めっきにより、基部6を含む各配線3a、3bからなる導体パターン3を、配線回路パターンで形成する。なお、電解めっきは、第1めっきレジスト22の開口部内に基部6の厚さとなるまで金属を析出させる。
続いて、この方法では、図3(e)に示すように、第1めっきレジスト22および基部6を含む導体パターン3の上に、第2めっきレジスト23を、凸部5の反転パターンで形成する。より具体的には、第2めっきレジスト23は、基部6の幅方向の中央部において、平面視略矩形状の開口部が形成されるように、形成する。第2めっきレジスト23は、例えば、ドライフィルムレジストをラミネートして、露光および現像する公知の方法により、凸部5の反転パターンとして形成する。
【0021】
次に、この方法では、図3(f)に示すように、第2めっきレジスト23から露出する基部6の上に、電解めっきにより、凸部5を形成する。電解めっきは、第2めっきレジスト23の開口部内に凸部5の厚さとなるまで金属を析出させる。これによって、基部6および凸部5を一体的に有する接続端子4が形成される。
その後、図3(g)に示すように、第1めっきレジスト22および第2めっきレジスト23を除去する。第1めっきレジスト22および第2めっきレジスト23の除去は、例えば、化学エッチング(ウェットエッチング)などの公知のエッチング法を用いるか、または、剥離する。
【0022】
そして、図3(h)に示すように、接続端子4を含む導体パターン3から露出する金属薄膜21を除去する。金属薄膜21の除去は、例えば、化学エッチング(ウェットエッチング)などの公知のエッチング法が用いられる。
その後、必要により、図3(i)に示すように、ベース絶縁層2の上に、各接続端子4が露出する開口部を有するカバー絶縁層24を形成し、配線回路基板1を得る。
【0023】
カバー絶縁層24は、例えば、導体パターン3を被覆するようにベース絶縁層2の上に感光性樹脂を積層し、露光および現像することにより、上記した開口部を有する所定のパターンとした後、加熱硬化することによって形成する。
なお、上記した配線回路基板1の、接続端子4を一体的に備える導体パターン3は、上記の方法に限らず、次の方法によっても、形成することができる。すなわち、まず、金属薄膜21の上に、めっきレジストを、導体パターン3の反転パターンで形成し、そのめっきレジストから露出する金属薄膜21の上に、電解めっきにより、めっきレジストの開口部内に凸部5の厚さとなるまで金属を析出させた後、めっきレジストを除去する。次いで、エッチングレジストを、凸部5の形成位置が被覆され、それ以外の導体パターン3の形成位置が露出する開口部が形成されるように、形成する。そして、エッチングレジストから露出する導体パターン3を、基部6の厚さとなるまでハーフエッチング(ウェットエッチング)した後、エッチングレジストを除去する。
【0024】
また、図1に示す配線回路基板1では、接続端子4の幅方向の中央部において、その長手方向にわたって凸部5を形成したが、これに代えて、接続端子4の幅方向にわたって、平面視略矩形状の凸部7(図4参照)または凹部8(図5参照)を形成してもよい。
すなわち、図4に示す配線回路基板1には、各接続端子4の基部6の接続側の表面において、基部6の長手方向中央部において、接続端子4の幅方向にわたって、基部6から上方に向かって突出する凸部7が形成されている。この凸部7は、その幅(接続端子4の長手方向に沿う長さ)が、例えば、10〜100μm、好ましくは、30〜60μmで、その高さ(厚さ)が、例えば、0.5〜10μm、好ましくは、1〜3μmとして形成されている。なお、図4においては、図1と同一の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略している。
【0025】
なお、図4に示す配線回路基板1の各接続端子4は、図1に示す配線回路基板1の製造方法において、図3(d)に示す工程において、第1めっきレジスト22の開口部内に基部6を形成した後、図3(e)に示す工程において、凸部7の反転パターンとして第2めっきレジストを形成し、図3(f)に示す工程において、この第2めっきレジストの開口部内に、凸部7を形成することにより、形成することができる。
【0026】
そして、図4に示す配線回路基板1には、図6に示すように、半導体素子12が搭載されて、半導体装置11が形成される。
図6において、この半導体装置11は、図4に示す配線回路基板1と、この配線回路基板1に搭載される半導体素子12とを備えている。なお、図6は、半導体装置11を、接続端子4の幅方向に沿う断面として示している。また、図6においては、図2と同一の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略している。
【0027】
図6において、各接続端子4と各バンプ14とは、各接続端子4の凸部7が各バンプ14の下面から各バンプ14に対して減り込み、各接続端子4の基部6が各バンプ14の下面と当接するようにして、接続されており、これによって、配線回路基板1と半導体素子12とが電気的に接続されている。
各接続端子4と各バンプ14は、例えば、上記した圧着(熱圧着)により、凸部7をバンプ14に減り込ませることで、接続されている。この接続においては、接続端子4の基部6がバンプ14に減り込まなくても、凸部7のバンプ14に対する減り込みにより、これらを接続することができる。そのため、大きな圧力を加えずとも、バンプ14と接続端子4とを確実に接続することができる。その結果、小型化・高密度化が図られている半導体素子12の、ファインピッチで形成されるバンプ14に対応して形成されている各配線3a、3bの接続端子4であっても、その断線を有効に防止することができる。
【0028】
また、図5示す配線回路基板1には、各接続端子4の基部6の接続側の表面において、基部6の長手方向中央部において、接続端子4の幅方向にわたって、基部6の表面から下方に向かってくぼむ平面視略矩形状の凹部8が形成されている。この凹部8は、その幅(接続端子4の長手方向に沿う長さ)が、例えば、10〜100μm、好ましくは、30〜60μmで、その深さ(厚さ)が、例えば、0.5〜10μm、好ましくは、1〜3μmとして形成されている。なお、図5においては、図1と同一の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略している。
【0029】
なお、図5に示す配線回路基板1の各接続端子4は、図1に示す配線回路基板1の製造方法において、図3(d)に示す工程において、第1めっきレジスト22の開口部内に基部6を形成した後、基部6を含む導体パターン3の上に、凹部8の形成位置に開口部を有するエッチングレジストを形成し、このエッチングレジストの開口部から露出する基部6を、上記した深さまでハーフエッチングすることにより、形成することができる。
【0030】
そして、図5に示す配線回路基板1には、図7に示すように、半導体素子12が搭載されて、半導体装置11が形成される。
図7において、この半導体装置11は、図5に示す配線回路基板1と、この配線回路基板1に搭載される半導体素子12とを備えている。なお、図7は、半導体装置11を、接続端子4の幅方向に沿う断面として示している。また、図7においては、図2と同一の部材には、同一の符号を付して、その説明を省略している。
【0031】
図7において、各接続端子4と各バンプ14とは、各接続端子4の凹部8に対して各バンプ14の下面が部分的に減り込み、各接続端子4の基部6が各バンプ14の下面のその他の部分と当接するようにして、接続されており、これによって、配線回路基板1と半導体素子12とが電気的に接続されている。
各接続端子4と各バンプ14は、例えば、上記した圧着(熱圧着)により、凹部8に対してバンプ14を部分的に減り込ませることで、接続されている。この接続においては、接続端子4の基部6がバンプ14に減り込まなくても、凹部8に対するバンプ14の部分的な減り込みにより、これらを接続することができる。そのため、大きな圧力を加えずとも、バンプ14と接続端子4とを確実に接続することができる。その結果、小型化・高密度化が図られている半導体素子12の、ファインピッチで形成されるバンプ14に対応して形成されている各配線3a、3bの接続端子4であっても、その断線を有効に防止することができる。
【0032】
なお、上記の説明では、配線回路基板1の各接続端子4には、1つの凸部5および7、または、1つの凹部8のみを形成したが、各接続端子4には、複数の凸部5および7、または、複数の凹部8を形成するようにしてもよい。
【実施例】
【0033】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。
実施例1
厚み38μmのポリイミド樹脂フィルムからなるベース絶縁層を用意し(図3(a)参照)、このベース絶縁層の全面に、厚み100Åのクロム薄膜と厚み2000Åの銅薄膜とを、スパッタ蒸着法によって順次形成することにより、種膜として金属薄膜を形成した(図3(b)参照)。
【0034】
その後、金属薄膜の上に、第1めっきレジストを、配線回路パターンの反転パターンで形成した(図3(c)参照)。
次に、第1めっきレジストから露出する金属薄膜の上に、電解銅めっきにより、基部を含む導体パターンを、厚み8μmの配線回路パターンで形成した(図3(d)参照)。なお、導体パターンの各配線(基部)の幅は、15μmであり、それらの間隔は、20μmであった。
【0035】
続いて、第1めっきレジストおよび基部を含む導体パターンの上に、第2めっきレジストを、凸部の反転パターンで形成した(図3(e)参照)。そして、第2めっきレジストから露出する基部の上に、電解銅めっきにより、厚み2μmの凸部を形成した(図3(f)参照)。なお、凸部は、基部の幅方向中央部において、5μmの幅で、長手方向に120μmの長さで形成された。
【0036】
その後、第1めっきレジストおよび第2めっきレジストを、化学エッチングにより除去した後(図3(g)参照)、接続端子を含む導体パターンから露出する金属薄膜を、化学エッチングにより除去した(図3(h)参照)。
以上の工程により、接続端子を一体的に備える導体パターンを有する配線回路基板を得た。
【0037】
比較例1
第2めっきレジストを形成して電解銅めっきする工程を省略した以外は、実施例1と同様の方法により、凸部を有さず基部(幅15μm)のみからなる接続端子を一体的に備える導体パターンを有する配線回路基板を得た。
評価
実施例1および比較例1の配線回路基板を用いて、接続端子に対応するバンプを有する半導体素子との接続試験を実施した。バンプは、直方体形状(幅20μm、長さ100μm、厚さ15μm)に形成し、各配線回路基板の接続端子と、半導体素子のバンプとを対向させて、350℃、0.15MPa/バンプで熱圧着した。
【0038】
熱圧着による接続端子のベース絶縁層に対する減り込み量(減り込み深さ)および接続端子の断線の有無を確認した。
実施例1の配線回路基板の減り込み量は、0.8μmで、断線は確認されなかった。
比較例1の配線回路基板の減り込み量は、2.5μmで、断線が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の配線回路基板の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の半導体装置の一実施形態を示す断面図である。
【図3】図1に示す配線回路基板の製造方法を示す製造工程図であって、(a)は、ベース絶縁層を用意する工程、(b)は、ベース絶縁層の全面に、種膜となる金属薄膜を形成する工程、(c)は、金属薄膜の上に、配線回路パターンと反転パターンの第1めっきレジストを形成する工程、(d)は、第1めっきレジストから露出する金属薄膜の上に、電解めっきにより、基部を含む導体パターンを形成する工程、(e)は、第1めっきレジストおよび基部を含む導体パターンの上に、凸部と反転パターンで第2めっきレジストを形成する工程、(f)は、第2めっきレジストから露出する基部の上に、電解めっきにより、凸部を形成する工程、(g)は、第1および第2めっきレジストを除去する工程、(h)は、接続端子を含む導体パターンから露出する金属薄膜を除去する工程、(i)は、導体パターンを被覆するように、ベース絶縁層の上にカバー絶縁層を形成する工程を示す。
【図4】本発明の配線回路基板の他の実施形態(接続端子の幅方向にわたって凸部を設けた態様)を示す斜視図である。
【図5】本発明の配線回路基板の他の実施形態(接続端子の幅方向にわたって凹部を設けた態様)を示す斜視図である。
【図6】本発明の半導体装置の他の実施形態(図4に示す配線回路基板に半導体素子が搭載されている態様)を示す断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の他の実施形態(図5に示す配線回路基板に半導体素子が搭載されている態様)を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 配線回路基板
3 導体パターン
4 接続端子
5 凸部
7 凸部
8 凹部
11 半導体装置
12 半導体素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体パターンを備える配線回路基板であって、
前記導体パターンは、接続端子を一体的に備えており、
前記接続端子には、接続側の表面に、前記接続端子の長手方向と直交する方向の中央部において、前記長手方向にわたって凸部が設けられていることを特徴とする、配線回路基板。
【請求項2】
導体パターンを備える配線回路基板であって、
前記導体パターンは、接続端子を一体的に備えており、
前記接続端子には、接続側の表面に、前記接続端子の長手方向と直交する方向にわたって、凸部または凹部が設けられていることを特徴とする、配線回路基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の配線回路基板の前記接続端子と、半導体素子の突起電極とが、互いに減り込むように圧着されていることを特徴とする、半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−13160(P2006−13160A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188623(P2004−188623)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】