説明

配線基板、発光装置及び配線基板の製造方法

【課題】剛性を高めることのできる配線基板、発光装置及び配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板1は、基板10と、基板10の第1主面P1上に形成された絶縁層20と、絶縁層20の第1主面R1上に形成された複数の配線パターン30とを有する。また、配線基板1は、絶縁層20の第1主面R1上に形成され、配線パターン30を被覆するとともに、隣接する配線パターン30の一部を実装領域CAとして露出する開口部50Xを有する絶縁層50と、基板10の開口部50Xの形成された領域よりも外側の領域に形成され、基板10が絶縁層20に向かって厚さ方向に立ち上がって形成された突出部70とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、発光装置及び配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子が基板に実装されてなる発光装置には、様々な形状のものが提案されている。この種の発光装置としては、金属製の基板に形成された絶縁層上に配線パターンを形成し、その配線パターン上に発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などの発光素子を実装した構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−092011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記発光装置では、熱伝導性を向上させるために基板が薄く形成されている。このため、発光装置全体の剛性が小さく、熱収縮などによって反り及び変形が発生し易いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、基板と、前記基板上に形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁層の第1主面上に形成された複数の配線パターンと、前記第1主面上に形成され、前記配線パターンを被覆するとともに、隣接する前記配線パターンの一部をパッドとして露出する第1開口部を有する第2絶縁層と、前記基板の前記第1開口部の形成された領域よりも外側の領域に形成され、前記基板が前記第1絶縁層に向かって厚さ方向に立ち上がって形成された突出部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、配線基板の剛性を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)は、第1実施形態の配線基板を示す概略平面図、(b)は、(a)に示す配線基板のA−A概略断面図、(c)は、(b)に示す配線基板の一部を拡大した拡大断面図。
【図2】配線パターン及び金属層を示す概略平面図。
【図3】(a)は、第1実施形態の発光装置を示す概略平面図、(b)は、(a)に示す発光装置のB−B概略断面図。なお、(a)では、封止樹脂の図示を省略している。
【図4】(a)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略平面図、(b)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図5】(a)、(b)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図、(c)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略平面図。
【図6】(a)〜(c)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図、(d)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略平面図。
【図7】(a)〜(c)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図8】(a)、(b)は、第1実施形態の発光装置の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図9】(a)は、第2実施形態の配線基板を示す概略断面図、(b)は、第2実施形態の配線基板を示す概略平面図。なお、(b)では、最外層の絶縁層の図示を省略している。
【図10】(a)、(b)は、第2実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図、(c)は、第2実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略平面図。
【図11】(a)は、第3実施形態の配線基板を示す概略平面図、(b)は、(a)に示す配線基板のD−D概略断面図。
【図12】(a)〜(e)は、第3実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図13】(a)〜(f)は、変形例の配線基板を示す概略平面図。なお、(a)〜(f)では、最外層の絶縁層の図示を省略している。
【図14】変形例の配線基板を示す概略断面図。
【図15】(a)は、発光装置の実装例を示す概略断面図、(b)は、発光装置の実装例を示す概略平面図。
【図16】発光装置の実装例を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の絶縁層のハッチングを省略している。
【0009】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1〜図8に従って説明する。
(配線基板の構造)
図1(b)に示すように、配線基板1は、基板10と、基板10の第1主面P1を覆う絶縁層20と、絶縁層20上に形成された配線パターン30と、配線パターン30上の一部に形成された金属層40と、配線パターン30を覆う絶縁層50とを有している。この配線基板1は、例えば発光装置に適用される基板である。
【0010】
基板10は、例えば平面視して略矩形状の薄板である。基板10の材料としては、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)や鉄(Fe)などの熱伝導性に優れた金属又はこれらの金属を少なくとも一種以上含む合金を用いることができる。基板10の厚さは、例えば0.1〜0.4mm程度とすることができる。
【0011】
絶縁層20は、基板10の第1主面P1全面を覆うように形成されている。絶縁層20の材料としては、例えばポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂、又はエポキシ系樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。絶縁層20の厚さは、例えば15〜50μm程度とすることができる。
【0012】
配線パターン30は、絶縁層20の第1主面R1上に形成されている。この配線パターン30は、図2に示すように、絶縁層20の第1主面R1の中央部を全体的に覆うように形成されている。具体的には、帯状の複数(図2では、5つ)の配線パターン30が平行に隣接して配置されている。そして、隣接する配線パターン30間には、下層の絶縁層20を露出する溝状の開口部30Xが形成されている。この開口部30Xによって、複数の配線パターン30は互いに分離されている。なお、配線パターン30の材料としては、例えば銅や銅合金などを用いることができる。配線パターン30の厚さは、例えば15〜150μm程度とすることができる。
【0013】
図1(b)に示すように、絶縁層50は、配線パターン30の一部を覆うように絶縁層20の第1主面R1上に形成されている。この絶縁層50には、配線パターン30の一部を実装領域CAとして露出させるための開口部50Xと、配線パターン30の一部を電極端子60として露出させるための開口部50Yとが形成されている。これら開口部50X,50Yから露出する配線パターン30上には金属層40が形成されている。金属層40の例としては、銀(Ag)層や、ニッケル(Ni)/金(Au)層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)や、Ni/Ag層(Ni層とAg層をこの順番で積層した金属層)や、Ni/パラジウム(Pd)/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。また、金属層40の例としては、Ni/Pd/Ag層(Ni層とPd層とAg層をこの順番で積層した金属層)や、Ni/Pd/Ag/Au(Ni層とPd層とAg層とAu層をこの順番で積層した金属層)なども挙げることができる。
【0014】
図1(a)に示すように、上記開口部50X,50Yの平面形状は、例えば円形状に形成されている。開口部50Xは、絶縁層20上にマトリクス状(図1(a)では4×4)に形成されている。このため、開口部50Xで画定された実装領域CAも同様に、絶縁層20上にマトリクス状に配列されている。この実装領域CAでは、溝状の開口部30Xによって分離された2つの配線パターン30上に形成された金属層40が開口部50Xから露出されている。なお、開口部50Xから露出される金属層40がパッドとして機能する。
【0015】
一方、開口部50Yは、開口部50X及び実装領域CAよりも外側に形成された配線パターン30上に形成されている。具体的には、開口部50Yから露出される金属層40、つまり電極端子60は、図2に示すように、帯状の5つの配線パターン30のうち外側に配置された2つの配線パターン30上に形成されている。さらに、電極端子60は、それら2つの配線パターン30上に形成された実装領域CAとなる金属層40よりも外側に形成されている。そして、この電極端子60には、外部の電源から給電ケーブル(図示略)等を介して給電される。
【0016】
図1(a)に示した絶縁層50は、高い反射率を有する。具体的には、絶縁層50は、波長が450nm〜700nmの間で50%以上(好適には80%以上)の反射率を有する。このような絶縁層50は、白色レジスト層とも呼ばれる。この絶縁層50の材料としては、例えば白色の絶縁性樹脂を用いることができる。白色の絶縁性樹脂としては、例えばエポキシ系樹脂やオルガノポリシロキサン系樹脂に白色の酸化チタン等のフィラーを混入した樹脂材やTiO又はBaSOなどの白色顔料を含有した樹脂材を用いることができる。このような絶縁層50(白色レジスト層)により配線基板1の最表面を覆うことにより、配線パターン30の保護に加えて、当該配線基板1に実装される発光素子からの光の反射率を高め、発光素子の光量ロスを低減させることができる。
【0017】
また、配線基板1には、最表面に形成された絶縁層50の上面50Aの法線方向に突出する突出部70が複数形成されている。これら突出部70は、上記実装領域CAの形成された領域よりも外側の領域である基板10の外周領域に形成されている。具体的には、基板10の外形を構成する4辺の各辺に沿って複数の突出部70が並んで形成されている。この突出部70の平面形状は、例えば円形状に形成されている。また、各突出部70は、図1(b)に示すように、基板10及びその基板10に積層された絶縁層20,50が当該配線基板1の厚さ方向に立ち上がるように形成されている。より具体的には、各突出部70では、基板10の所定部分が絶縁層20に向かって厚さ方向に立ち上がるように形成され、その立ち上がった部分に沿って絶縁層20,50も厚さ方向に立ち上がるように形成されている。ここで、各突出部70のサイズは、基板10の下面側の頂面T1の直径φ1を例えば0.6〜0.7mm程度、突出部70の底面B1から上記頂面T1までの高さH1を0.3mm〜0.4mm程度とすることができる。このとき、突出部70の底面B1と突出部70の内側壁I1とがなす角度θ1を60〜70度程度とすることができる。
【0018】
(発光装置の構造)
次に、発光装置2の構造について説明する。
図3(b)に示すように、発光装置2は、上記配線基板1と、その配線基板1に実装された複数(図3(a)では16個)の発光素子80と、発光素子80等を封止する封止樹脂85とを有している。
【0019】
図3(a)に示すように、各発光素子80は、配線基板1の各実装領域CAに実装されている。具体的には、各発光素子80は、各実装領域CAに形成された一方の金属層40上に実装されている。また、各発光素子80は、一方の電極(図示略)がボンディングワイヤ81を介して実装領域CA内の一方の金属層40に電気的に接続され、他方の電極(図示略)がボンディングワイヤ81を介して実装領域CA内の他方の金属層40に電気的に接続されている。これにより、各発光素子80の各電極は、ボンディングワイヤ81及び金属層40を介して、配線パターン30(図3(b)参照)と電気的に接続されている。このような接続により、本実施形態の発光装置2では、2つの電極端子60間に4個の発光素子80が直列に接続されるとともに、それら直列に接続された発光素子80群が4つ並列に接続されることになる。そして、これら発光素子80は、外部の電源(図示略)から電極端子60や配線パターン30を介して給電されて発光する。
【0020】
上記発光素子80としては、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)や面発光型半導体レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)を用いることができる。ボンディングワイヤ81としては、例えばAuワイヤ、AlワイヤやCuワイヤなどを用いることができる。
【0021】
図3(b)に示すように、封止樹脂85は、発光素子80及びボンディングワイヤ81等を封止するように配線基板1の上面に設けられている。この封止樹脂85の材料としては、例えばシリコーン樹脂に蛍光体を含有させた樹脂材を用いることができる。このような蛍光体を含有させた樹脂材を発光素子80上に形成することにより、発光素子80の発光と蛍光体の発光の混色を用いることが可能となり、発光装置2の発光色を様々に制御することができる。
【0022】
(作用)
配線基板1の外周領域に、基板10及びその基板10に積層された絶縁層20,50を厚さ方向に立ち上げて突出部70を形成するようにした。これにより、基板10及び絶縁層20,50が立ち上がった分だけ配線基板1全体の断面の高さを高くすることができる。したがって、配線基板1の剛性を高めることができる。
【0023】
(配線基板の製造方法)
次に、上記配線基板1の製造方法について図4〜図7に従って説明する。なお、図4(a)、図5(c)及び図6(d)は、配線基板の製造過程の状態を示した概略平面図である。また、図4(b)、図5(a)、(b)、図6(a)〜(c)及び図7(a)、(b)は、図4(a)のC−C線位置における配線基板の製造過程の状態を示した概略断面図であり、図7(c)は、図1に示す配線基板のA−A概略断面図である。
【0024】
まず、配線基板1を製造するためには、図4(a)に示すように、多数個取り基板(以下、単に「基板」ともいう。)10Aを用意する。基板10Aは、配線基板1が形成される領域である配線基板形成領域C1を複数(図4(a)では、3つ)有している。なお、この基板10Aは、配線基板形成領域C1に配線基板1に対応する構造体が形成された後、ダイシング位置D1に沿ってダイシングブレードによって切断される。これにより、配線基板1に対応する構造体が個片化され、複数の配線基板1が製造されることになる。このとき、各配線基板1において、基板10Aは図1に示した基板10となる。このため、基板10Aの材料としては、基板10と同様に、例えば銅、アルミニウムや鉄などの熱伝導性に優れた金属又はこれらの金属を少なくとも一種以上含む合金を用いることができる。
【0025】
次に、図4(b)に示す工程では、基板10Aの第1主面P1全面を覆うように絶縁層20Aを形成するとともに、絶縁層20Aの第1主面R1全面を覆うように銅箔30Aを形成する。例えば絶縁層20A(樹脂基板)の片面に銅箔30Aが被着された片面銅張り基板を基板10Aに接着することにより、基板10A上に絶縁層20A及び銅箔30Aを形成する。なお、絶縁層20Aは、最終的にダイシング位置D1で切断されることにより図1に示した絶縁層20となる。
【0026】
次に、図5(a)に示す工程では、銅箔30Aの上面に、所定の箇所に開口部90Xを有するレジスト層90を形成する。このレジスト層90は、所要の配線パターン30及びめっき給電用の給電ライン31,32(図5(c)参照)に対応する部分の銅箔30Aを被覆するように形成される。レジスト層90の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、銅箔30Aの上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層90を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層90を形成することができる。
【0027】
次に、図5(b)に示す工程では、図5(a)に示したレジスト層90をエッチングマスクとして銅箔30Aをエッチングし、銅箔30Aを所定形状にパターニングする。これにより、図5(c)に示すように、絶縁層20Aの第1主面R1に、所要の配線パターン30と、給電ライン31,32とが形成される。具体的には、並設された複数の帯状の配線パターン30と、配線基板形成領域C1よりも外側の領域に枠状に形成された給電ライン31と、その給電ライン31と配線パターン30とを電気的に接続する給電ライン32とが形成される。これにより、全ての配線パターン30が給電ライン31,32を介して電気的に接続されることになる。以下の説明では、配線パターン30、給電ライン31,32をまとめて配線層33とも称する。なお、上記銅箔30Aのパターニング終了後に、図5(a)に示したレジスト層90を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。
【0028】
次に、図6(a)に示す工程では、絶縁層20Aの第1主面R1上に、所定の箇所に開口部91X,91Yを有するレジスト層91を形成する。この開口部91Xは、実装領域CA(図1参照)に対応する部分の配線パターン30及び絶縁層20Aを露出するように形成される。また、開口部91Yは、電極端子60(図1参照)に対応する部分の配線パターン30を露出するように形成される。レジスト層91の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、絶縁層20Aの上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層91を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層91を形成することができる。
【0029】
続いて、図6(b)に示す工程では、上記レジスト層91をめっきマスクとして、配線パターン30の表面(上面及び側面)に、配線層33をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。具体的には、レジスト層91の開口部91Xから露出された配線パターン30の上面及び側面に電解めっきを施すことにより、実装領域CAに対応する部分の配線パターン30を被覆するように金属層40を形成する。また、レジスト層91の開口部91Yから露出された配線パターン30の上面に電解めっきを施すことにより、その配線パターン30上に金属層40を形成する。これにより、電極端子60が形成される。なお、例えば金属層40がNi/Au層である場合には、電解めっき法により、レジスト層91の開口部91X,91Yから露出された配線パターン30の表面にNi層とAu層を順に積層する。
【0030】
次いで、図6(c)に示す工程では、図6(b)に示したレジスト層91を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。
次に、図6(d)に示す工程では、図5(c)に示した給電ライン32を除去する。例えば絶縁層20A上に給電ライン32のみを露出するレジスト層を形成し、そのレジスト層をエッチングマスクとして配線層33をエッチングして、給電ライン32を除去する。なお、本工程において、給電ライン32と併せて給電ライン31を除去するようにしてもよい。
【0031】
続いて、図7(a)に示す工程では、絶縁層20A上及び配線パターン30上に、実装領域CA及び電極端子60にそれぞれ対応する開口部50X,50Yを有する絶縁層50を形成する。すなわち、絶縁層20A上及び配線パターン30上に、実装領域CAに形成された金属層40及び電極端子60を露出する絶縁層50を形成する。この絶縁層50は、例えば樹脂ペーストのスクリーン印刷法によって形成することができる。また、絶縁層50の材料として感光性の絶縁樹脂を用いる場合には、絶縁層20Aの第1主面R1、配線パターン30、金属層40及び給電ライン31を覆うように絶縁層50となるレジスト層を形成した後、フォトリソグラフィ法によりレジスト層を露光・現像して上記開口部50X,50Yを形成することで、上記絶縁層50を形成することもできる。
【0032】
上記絶縁層50の形成によって、配線パターン30上に形成された金属層40が実装領域CAとして開口部50Xから露出される。このため、絶縁層50の形成後に、コンタクト性を向上させるために配線パターン30上に電解めっき等を施す必要がない。これにより、上記金属層40を形成する際に使用されるめっき液の劣化を抑制することができる。詳述すると、絶縁層50を形成した後に、開口部50Xから露出された配線パターン30に対してめっき法(電解めっき法又は無電解めっき法)を施す場合には、そのときに使用されるめっき液に対して絶縁層50に含まれる樹脂材等が溶出する。このため、めっき液の劣化とそれによる液寿命の短縮化を引き起こすという問題がある。これに対し、本実施形態の製造方法によれば、電解めっき法を実施する際には、絶縁層50が形成されていないため、上述したような問題の発生を未然に防止することができる。すなわち、本実施形態の製造方法によれば、めっき液の劣化を抑制することができるため、めっき液の液寿命の短縮化を抑制することができる。
【0033】
次に、図7(b)に示す工程では、各配線基板形成領域C1内の外周領域に複数の突出部70を形成する。これら突出部70は、例えば絞り加工等のプレス加工により形成することができる。例えば絞り加工により突出部70を形成する場合には、押え部材とダイとの間に図7(a)に示した構造体を挿入して、基板10Aの所定部分をその基板10Aの第2主面P2側から押圧することにより、基板10A及びその基板10A上に形成された絶縁層20A,50を立ち上げるようにして上記突出部70を形成する。
【0034】
以上の製造工程により、複数の配線基板形成領域C1に、配線基板1に相当する構造体が形成される。
次に、図7(c)に示す工程では、図7(b)に示した構造体をダイシング位置D1に沿って切断する。これにより、配線基板1が個片化され、複数の配線基板1が製造される。なお、このときの切断により、図6(d)に示した給電ライン31が配線基板1から除去される。
【0035】
(発光装置の製造方法)
次に、発光装置2の製造方法を図8に従って説明する。なお、図8は、図3(a)のB−B線位置における発光装置の製造過程の状態を示した概略断面図である。
【0036】
図8(a)に示す工程では、上記配線基板1の各実装領域CA内に形成された金属層40上に接着剤(図示略)を介して発光素子80を搭載する。その後、発光素子80の電極と金属層40とをボンディングワイヤ81により接続し、発光素子80と配線パターン30とを電気的に接続する。具体的には、発光素子80の一方の電極を実装領域CA内の一方の金属層40とボンディングワイヤ81により電気的に接続するとともに、発光素子80の他方の電極を実装領域CA内の他方の金属層40とボンディングワイヤ81により電気的に接続する。
【0037】
次に、図8(b)に示す工程では、配線基板1上に実装された複数の発光素子80及びボンディングワイヤ81を封止する封止樹脂85を形成する。例えば封止樹脂85として熱硬化性を有する樹脂を用いる場合には、図8(a)に示す構造体を金型内に収容し、金型内に圧力(例えば、5〜10MPa)を印加し、流動化した樹脂を導入する。その後、樹脂を例えば180℃程度で加熱して硬化させることで、封止樹脂85を形成する。なお、封止樹脂85は、液状の樹脂のポッティングにより形成することもできる。以上の製造工程により、図3に示した発光装置2が製造される。
【0038】
(効果)
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)配線基板1の外周領域に、基板10及びその基板10に積層された絶縁層20,50を厚さ方向に立ち上げて突出部70を形成するようにした。これにより、基板10及び絶縁層20,50が立ち上がった分だけ配線基板1全体の断面の高さを高くすることができるため、配線基板1の剛性を高めることができる。したがって、熱収縮などに伴って配線基板1に反りや変形が発生することを好適に抑制することができる。
【0039】
(2)基板10を薄くしても上記突出部70を形成することにより、配線基板1の剛性を高めることができる。換言すると、配線基板1の剛性を高めつつも、基板10を薄くすることができる。これにより、薄い基板10によって高い熱伝導性を得ることができる。ここで、発光素子80(発光ダイオード)の発光効率は、その温度上昇に伴い減少する傾向にある。このため、基板10により発光素子80から発生する熱を効率良く放熱することにより、発光素子80の発光効率の低下を好適に抑制することができる。
【0040】
さらに、薄い基板10を利用することにより、ロールツーロール製法が可能になる。例えば図4及び図5に示した製造工程においてロールツーロール製法が可能となる。これにより、生産性を向上させることができる。
【0041】
(3)配線パターン30上に電解めっき法により金属層40を形成した後に、その金属層40を露出させる開口部50X,50Yを有する絶縁層50を形成するようにした。この場合には、電解めっき法により金属層40を形成する際には、絶縁層50が形成されていないため、その絶縁層50の存在に起因してめっき液が劣化することを未然に防止することができる。これにより、めっき液の液寿命を延ばすことができ、そのめっき液を継続的に使用することができる。この結果、コスト削減に貢献することができる。
【0042】
(4)金属層40を電解めっき法により形成するようにした。これにより、金属層40を無電解めっき法により形成する場合よりも製造コストを低減することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を図9及び図10に従って説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。ここで、図9(a)は、本実施形態の配線基板1Aを示す概略断面図であり、図9(b)は、絶縁層50を省略した配線基板1Aの概略平面図である。なお、先の図1〜図8に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0043】
(配線基板の構造)
図9(b)に示すように、絶縁層20の第1主面R1の外周領域には、補強層34が形成されている。この補強層34は、基板10の外形に沿って枠状に形成されている。補強層34の材料としては、配線パターン30と同じ材料を用いることができる。すなわち、補強層34の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。なお、補強層34の厚さは、例えば15〜150μm程度とすることができる。
【0044】
図9(a)に示すように、絶縁層50は、実装領域CA及び電極端子60以外の部分の配線パターン30、及び補強層34の上面及び側面を覆うように、絶縁層20の第1主面R1上に形成されている。
【0045】
配線基板1Aには、最表面に形成された絶縁層50の上面50Aの法線方向に突出する突出部71が複数形成されている。これら突出部71は、基板10の外周領域に形成されている。具体的には、突出部71は、上記補強層34の形成された領域に形成されている。各突出部71は、基板10と、その基板10に積層された絶縁層20、補強層34及び絶縁層50とが当該配線基板1Aの厚さ方向に立ち上がるように形成されている。より具体的には、各突出部71では、基板10の所定部分が絶縁層20に向かって厚さ方向に立ち上がるように形成され、その立ち上がった部分に沿って絶縁層20,50及び補強層34も厚さ方向に立ち上がるように形成されている。なお、各突出部71の平面形状及びサイズは、突出部70と同様に形成することができる。
【0046】
(配線基板の製造方法)
次に、上記配線基板1Aの製造方法を説明する。この配線基板1Aは、先の図4〜図7で説明した配線基板1の製造方法と略同様の方法により製造することができる。但し、図5(a)〜図5(c)で説明した配線層形成工程において形成される配線層のパターンが異なるため、この点について説明する。すなわち、本実施形態では、図5(a)〜図5(c)の製造工程の代わりに、以下に説明する図10(a)〜図10(c)の製造工程が実施される。
【0047】
図10(a)に示す工程では、銅箔30Aの上面に、所定の箇所に開口部92Xを有するレジスト層92を形成する。このレジスト層92は、所要の配線パターン30と、補強層34と、めっき給電用の給電ライン31,32A,32B(図10(c)参照)とに対応する部分の銅箔30Aを被覆するように形成される。レジスト層92の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、銅箔30Aの上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層92を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層92を形成することができる。
【0048】
次に、図10(b)に示す工程では、レジスト層92をエッチングマスクとして銅箔30Aをエッチングし、銅箔30Aを所定形状にパターニングする。これにより、図10(c)に示すように、絶縁層20Aの第1主面R1に、所要の配線パターン30と、補強層34と、給電ライン31,32A,32Bとが形成される。具体的には、複数の配線パターン30と、配線基板形成領域C1の外形に沿って形成された補強層34と、配線基板形成領域C1よりも外側の領域に枠状に形成された給電ライン31と、その給電ライン31と補強層34とを電気的に接続する給電ライン32Aと、補強層34と配線パターン30とを電気的に接続する給電ライン32Bとが形成される。これにより、全ての配線パターン30が補強層34及び給電ライン31,32A,32Bを介して電気的に接続されることになる。なお、上記銅箔30Aのパターニング終了後に、図10(c)に示したレジスト層92を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。
【0049】
以後、図6〜図7と同様の製造工程により、配線基板1Aが製造される。但し、図6(d)に示した給電ラインの除去工程においては、上記給電ライン32A,32Bがエッチングにより除去される。
【0050】
(効果)
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(4)の効果に加えて以下の効果を奏する。
【0051】
(5)突出部71の形成される領域に補強層34を形成するようにした。これにより、配線基板1全体の断面の高さを更に高くすることができるため、配線基板1の剛性を更に高めることができる。したがって、熱収縮などに伴って配線基板1に反りや変形が発生することをより好適に抑制することができる。
【0052】
(6)配線パターン30と補強層34とを同時に形成するようにした。具体的には、図10(b)に示したエッチング工程により、銅箔30Aから配線パターン30と補強層34とを同時に形成するようにした。これにより、補強層34の追加に伴って製造工程数が増加することを好適に抑制することができる。
【0053】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態を図11及び図12に従って説明する。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。なお、先の図1〜図10に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0054】
(配線基板の構造)
図11(b)に示すように、絶縁層20の第1主面R1の外周領域には、補強層34が形成されている。この補強層34の上面及び側面を覆うように金属層41が形成されている。この金属層41は、図11(a)に示すように、基板10の外形に沿って枠状に形成されている。金属層41の例としては、Ag層や、Ni/Ag層(Ni層とAg層をこの順番で積層した金属層)や、Ni/Pd/Ag層(Ni層とPd層とAg層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。すなわち、金属層41としては、銀(Ag)などの光の反射率が高い金属又はその金属を含む合金からなる金属層が最外層(最表層)に形成される金属層を用いることができる。さらに、金属層41の最外層の材料としては、絶縁層50の反射率と同等かそれ以上の反射率を有する金属又は金属合金であることが好ましい。
【0055】
ここで、配線パターン30上に形成される金属層40の層構成としては、金属層41と同じ層構成であってもよいし、金属層41とは異なる層構成であってもよい。本実施形態では、金属層40及び金属層41の双方がAg層である。
【0056】
絶縁層50は、配線パターン30の一部を覆うように絶縁層20の第1主面R1上に形成されている。この絶縁層50には、開口部50X,50Yと併せて、上記金属層41を露出させるための開口部50Zが形成されている。このため、配線基板1Bの最表面には、光の反射率が高い金属層41が露出されることになる。
【0057】
配線基板1Bには、最表面に形成された絶縁層50の上面50Aよりも突出する突出部72が複数形成されている。これら突出部72は、基板10の外周領域に形成されている。具体的には、突出部72は、上記補強層34及び金属層41の形成された領域に形成されている。各突出部72は、基板10と、その基板10に積層された絶縁層20、補強層34及び金属層41とが当該配線基板1Bの厚さ方向に立ち上がるように形成されている。より具体的には、各突出部72では、基板10の所定部分が絶縁層20に向かって厚さ方向に立ち上がるように形成され、その立ち上がった部分に沿って絶縁層20、補強層34及び金属層41も厚さ方向に立ち上がるように形成されている。なお、各突出部72の平面形状及びサイズは、突出部70と同様に形成することができる。
【0058】
(配線基板の製造方法)
次に、上記配線基板1Bの製造方法を説明する。先の図10で説明した製造工程により絶縁層20A上に配線パターン30、給電ライン31,32A,32B及び補強層34を形成した後に、以下に説明する製造工程を実施する。
【0059】
図12(a)に示す工程では、絶縁層20Aの第1主面R1上に、所定の箇所に開口部93X,93Y,93Zを有するレジスト層93を形成する。この開口部93Xは、実装領域CA(図11参照)に対応する部分の配線パターン30及び絶縁層20Aを露出するように形成される。開口部93Yは、電極端子60(図11参照)に対応する部分の配線パターン30を露出するように形成される。開口部93Zは、補強層34を露出するように形成される。レジスト層93の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、絶縁層20Aの上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層93を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層93を形成することができる。
【0060】
次に、図12(b)に示す工程では、上記レジスト層93をめっきマスクとして、配線パターン30及び補強層34の表面(上面及び側面)に、配線パターン30及び補強層34等をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。具体的には、レジスト層93の開口部93Xから露出された配線パターン30の上面及び側面に電解めっきを施すことにより、実装領域CAに対応する部分の配線パターン30上に金属層40(ここでは、Ag層)を形成する。また、レジスト層93の開口部93Yから露出された配線パターン30の上面に電解めっきを施すことにより、その配線パターン30上に金属層40(ここでは、Ag層)を形成する。これにより、電極端子60が形成される。さらに、レジスト層93の開口部93Zから露出された補強層34の上面及び側面に電解めっきを施すことにより、その補強層34を被覆するように金属層41(ここでは、Ag層)を形成する。これにより、配線基板形成領域C1の外形に沿って枠状の金属層41が形成される。その後、レジスト層93を例えばアルカリ性の剥離液により除去し、給電ライン32A,32B(図10(c)参照)をエッチングにより除去する。これにより、配線パターン30と補強層34とが電気的に分離されるとともに、各配線パターン30が電気的に分離される。
【0061】
続いて、図12(c)に示す工程では、絶縁層20A上及び配線パターン30上に、実装領域CA及び電極端子60及び金属層41にそれぞれ対応する開口部50X,50Y,50Zを有する絶縁層50を形成する。すなわち、絶縁層20A上及び配線パターン30上に、実装領域CAに形成された金属層40、電極端子60及び金属層41を露出する絶縁層50を形成する。絶縁層50は、例えば樹脂ペーストのスクリーン印刷法によって形成することができる。また、絶縁層50の材料として感光性の絶縁樹脂を用いる場合には、絶縁層20Aの第1主面R1、配線パターン30、金属層40,41及び給電ライン31を覆うように絶縁層50となるレジスト層を形成した後、フォトリソグラフィ法によりレジスト層を露光・現像して上記開口部50X,50Y,50Zを形成する。これにより、上記絶縁層50を形成することもできる。
【0062】
次に、図12(d)に示す工程では、各配線基板形成領域C1内の外周領域に複数の突出部72を形成する。これら突出部72は、突出部70と同様に、例えば絞り加工等のプレス加工により形成することができる。すなわち、例えば絞り加工により突出部72を形成する場合には、押え部材とダイとの間に図12(c)に示した構造体を挿入して、基板10Aの所定部分をその基板10Aの第2主面P2側から押圧することにより、基板10Aを絶縁層20Aに向かって厚さ方向に立ち上げるようにして突出部72を形成する。以上の製造工程により、複数の配線基板形成領域C1に、配線基板1Bに相当する構造体が形成される。
【0063】
次に、図12(e)に示す工程では、図12(d)に示した構造体をダイシング位置D1に沿って切断する。これにより、配線基板1Bが個片化され、複数の配線基板1Bが製造される。
【0064】
(効果)
以上説明した実施形態によれば、第1及び第2実施形態の(1)〜(6)の効果に加えて以下の効果を奏する。
【0065】
(7)絶縁層50の形成されていない領域に突出部72を形成するようにした。これにより、例えば突出部72を形成する際のプレス加工などによって生じる絶縁層50の変形に伴って、絶縁層50が絶縁層20等から剥離するといった問題の発生を未然に防止することができる。また、金属層41を露出する開口部50Zを有する絶縁層50を形成するようにした。このため、配線基板1Bの最表面には、光の反射率の高い絶縁層50と併せて、光の反射率の高い金属層41が露出される。これにより、当該配線基板1Bに実装される発光素子からの光の反射率を高めることができ、発光素子の光量ロスを低減させることができる。
【0066】
(8)金属層40と金属層41とを同一の層構成(同一の材料)とした。これにより、金属層40と金属層41とを同時に形成することができる。したがって、金属層41の追加に伴って製造工程数が増加することを好適に抑制することができる。
【0067】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記第1実施形態では、配線基板1の個片化の前に、配線基板形成領域C1よりも外側に形成された給電ライン31と配線パターン30とを接続する給電ライン32を除去するようにした。これに限らず、給電ライン32を除去する工程(図6(d)参照)を省略してもよい。この場合であっても、ダイシング位置D1に沿って基板10Aを切断する工程(図7(c)参照)において、給電ライン32が給電ライン31から分離されることになる。このため、図13(a)に示されるように、個片化された配線基板1に給電ライン32が残っていても、それら給電ライン32と接続される複数の配線パターン30が互いに分離される。したがって、給電ライン32の除去を省略しても、配線基板1の特性上、何ら支障はない。
【0068】
・同様に、上記第2及び第3実施形態において、給電ライン31と補強層34を接続する給電ライン32Aの除去を省略してもよい。但し、補強層34と配線パターン30を接続する給電ライン32Bについては除去する必要がある。
【0069】
・上記第2及び第3実施形態では、絶縁層20の外周領域に枠状の補強層34を形成するようにしたが、補強層34の平面形状及び位置は特に限定されない。例えば図13(b)〜(d)に示されるように、絶縁層20の外周領域において、基板10の外形を構成する4辺のうち対向する2辺に、それらの辺に沿って延在される平面視帯状の補強層34Aを形成するようにしてもよい。また、図13(e)に示されるように、絶縁層20の外周領域において、基板10の外形を構成する4辺それぞれに、上記帯状の補強層34Aを形成するようにしてもよい。
【0070】
なお、上記補強層34,34Aの形状に合わせて金属層41の形状も変更するようにしてもよい。
・上記各実施形態における突出部70,71,72の数、位置及び平面形状は特に限定されない。
【0071】
例えば、上記第2及び第3実施形態では、補強層34の形成されている領域に突出部71,72を形成するようにしたが、図13(b)に示すように、補強層34Aの形成されていない基板10の外周領域にも突出部71を形成するようにしてもよい。図示は省略するが、突出部72についても補強層34A及び金属層41の形成されていない基板10の外周領域に形成するようにしてもよい。
【0072】
また、基板10の外形を構成する4辺のうち対向する2辺にのみ突出部70,71,72を形成するようにしてもよい。このとき、図13(c)に示すように、基板10の4辺のうち2辺のみに補強層34Aが形成されている場合には、その補強層34の形成されている2辺に突出部71(又は突出部72)を形成することが好ましい。
【0073】
また、図13(d)、(e)に示すように、基板10の外周領域に、基板10の辺に沿って延在される平面視帯状の突出部71Aを形成するようにしてもよい。この突出部71Aは、例えば図13(d)に示すように基板10の4辺のうち対向する2辺に形成するようにしてもよく、図13(e)に示すように基板10の4辺それぞれに形成するようにしてもよい。図示は省略するが、突出部70,72についても、平面形状を帯状に変更してもよい。
【0074】
また、図13(f)に示すように、基板10の外周領域に、その基板10の外形に沿って平面視枠状の突出部70Aを形成するようにしてもよい。図示は省略するが、突出部71,72についても、平面形状を枠状に変更してもよい。
【0075】
なお、以上説明した突出部71,71A,72は、様々な形状の補強層34,34A(及び金属層41)と組み合わせて形成することができる。
・上記第2及び第3実施形態では、配線パターン30と補強層34とを同じ材料(ここでは、銅)で形成するようにした。これに限らず、配線パターン30と補強層34とを異なる材料で形成するようにしてもよい。この場合には、例えば銅箔30Aのエッチングにより配線パターン30を形成した後に、セミアディティブ法などにより補強層34を形成する。
【0076】
・上記第3実施形態では、金属層40と金属層41とを同じ材料(ここでは、Ag)で形成するようにした。これに限らず、金属層40と金属層41とを異なる材料で形成するようにしてもよい。また、金属層40と金属層41とを異なる層構成で形成するようにしてもよい。例えば金属層40をNi/Au層とし、金属層41をAg層としてもよい。このように金属層40,41が異なる材料からなる場合には、例えば実装領域CA及び電極端子60となる配線パターン30のみを露出するレジスト層を形成し、そのレジスト層をめっきマスクとして、配線パターン30の表面に電解めっき法を施す。これにより、配線パターン30上に金属層40を形成する。続いて、レジスト層を除去した後に、補強層34のみを露出する別のレジスト層を形成し、そのレジスト層をめっきマスクとして、補強層34の表面に電解めっき法を施す。これにより、補強層34上に金属層41を形成する。
【0077】
・上記実施形態では、配線基板1を個片化した後に、その配線基板1の金属層40上に発光素子80を実装するようにした。これに限らず、例えば配線基板1の個片化の前に、つまり図7(b)に示した状態で金属層40上に発光素子80を実装し、その発光素子80を封止樹脂85で封止した後に、ダイシング位置D1に沿って切断して個々の発光装置2を得るようにしてもよい。
【0078】
・上記各実施形態では、絶縁層50の開口部50Xから露出される配線パターン30を覆うように形成された金属層40上に発光素子80をワイヤボンディング実装するようにした。これに限らず、例えば図14に示すように、上記金属層40上に発光素子82をフリップチップ実装するようにしてもよい。この場合、発光素子82は、実装領域CAに形成された開口部30Xを跨るように、その開口部30Xの両側に形成された金属層40上に実装される。具体的には、発光素子82の回路形成面(図14では下面)に形成された一方のバンプ83が実装領域CA内の一方の金属層40にフリップチップ接続され、他方のバンプ83が実装領域CA内の他方の金属層40にフリップチップ接続される。
【0079】
・上記各実施形態において、配線パターン30の全面を覆うように金属層40を形成するようにしてもよい。
・上記第1及び第2実施形態では、金属層40を形成した後に絶縁層50を形成するようにした。これに限らず、例えば開口部50X,50Yを有する絶縁層50を形成した後に、開口部50X,50Yから露出する配線パターン30に電解めっき法を施して上記金属層40を形成するようにしてもよい。なお、この場合に、突出部70,71の形成は、金属層40を形成する前に行ってもよいし、金属層40を形成した後に行ってもよい。
【0080】
・上記第3実施形態では、金属層40,41を形成した後に絶縁層50を形成するようにした。これに限らず、例えば開口部50X,50Y,50Zを有する絶縁層50を形成した後に金属層40,41を形成するようにしてもよい。具体的には、絶縁層50を形成した後に、開口部50X,50Yから露出する配線パターン30に電解めっき法を施して上記金属層40を形成するとともに、開口部50Zから露出する補強層34に電解めっき法を施して上記金属層41を形成する。
【0081】
・あるいは、上記各実施形態において金属層40を省略してもよい。
・上記各実施形態における開口部50X,50Yの平面形状は、円形状に限らず、例えば矩形状や五角形、六角形等の多角形状であってもよく、楕円形状であってもよい。
【0082】
・上記各実施形態では、発光装置用の配線基板に具体化した。これに限らず、例えば上記第1及び第2実施形態における配線基板1,1Aを、発光素子以外の部品が実装される配線基板に具体化してもよい。
【0083】
(発光装置の実装例1)
図15(a)は、上記第1実施形態の配線基板1に発光素子80を実装してなる発光装置2の適用例を示したものであり、発光装置2を実装基板100に実装した場合の断面構造を示している。また、図15(b)は、実装基板100に実装される発光装置2の平面構造の一例を示したものである。なお、図15(b)では、発光素子80、ボンディングワイヤ81及び封止樹脂85の図示を省略している。
【0084】
実装基板100は、金属層101と、金属層101の上面に形成された絶縁層102と、絶縁層102の上面に形成された配線パターン103とを有している。絶縁層102には、金属層101の一部を発光装置2の搭載領域として露出する開口部102Xが形成されている。そして、この搭載領域、つまり開口部102Xから露出された金属層101上に発光装置2が搭載されている。具体的には、発光装置2は、その下面に形成された基板10が上記金属層101上に接着剤又はねじ止めにより固定されている。
【0085】
なお、発光装置2がねじ止めされる場合には、図15(b)に示すように、発光装置2にねじ止め用の貫通穴75が設けられる。本例の発光装置2では、基板10の対角線上に2つの貫通穴75が設けられている。この貫通穴75は、図示は省略するが、図3(b)に示した基板10及び絶縁層20,50を貫通するように形成されている。そして、この場合には、図15(a)に示した実装基板100にも対応するねじ穴(図示略)が設けられる。
【0086】
また、実装基板100に搭載された発光装置2の電極端子60は、ばね状の接続端子104(図15(a)では、リードピン)を介して実装基板100の配線パターン103と電気的に接続されている。
【0087】
このような構造によれば、発光装置2の放熱板として機能する基板10が実装基板100の金属層101上に固定されているため、発光装置2から発生した熱を金属層101に放熱することができる。このとき、突出部70の形成によって配線基板1の剛性が高められたことにより、発光装置2の反り及び変形の発生が抑制されているため、基板10と金属層101との間で良好な密着性を得ることができる。これにより、発光装置2から発生した熱を金属層101に効率良く放熱することができる。
【0088】
(発光装置の実装例2)
図16は、発光装置2を実装基板110に実装した場合の断面構造を示している。
実装基板110は、金属層111と、金属層111の上面に形成された絶縁層112と、絶縁層112の上面に形成された配線パターン113とを有している。
【0089】
本実装例では、絶縁層112に金属層111を露出させるための開口部を設けずに、その絶縁層112上に発光装置2を搭載している。具体的には、発光装置2は、その下面に形成された基板10が上記絶縁層112上に接着剤又はねじ止めにより固定されている。このような構造であっても、絶縁層112が薄い場合には、発光装置2から発生した熱を、絶縁層112を介して金属層111に放熱することができる。
【0090】
また、本実装例では、実装基板110に搭載された発光装置2の電極端子60と、実装基板110の配線パターン113とを、ボンディングワイヤ114により電気的に接続するようにしている。
【符号の説明】
【0091】
1,1A,1B 配線基板
2 発光装置
10 基板
20 絶縁層(第1絶縁層)
30 配線パターン
31,32,32A,32B 給電ライン
33 配線層
34 補強層
40 金属層(第2金属層)
41 金属層(第1金属層)
50 絶縁層(第2絶縁層)
50X 開口部(第1開口部)
50Z 開口部(第2開口部)
70,70A,71,71A,72 突出部
80,82 発光素子
85 封止樹脂
90,92 レジスト層
90X,92X 開口部
CA 実装領域(パッド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の第1主面上に形成された複数の配線パターンと、
前記第1主面上に形成され、前記配線パターンを被覆するとともに、隣接する前記配線パターンの一部をパッドとして露出する第1開口部を有する第2絶縁層と、
前記基板の前記第1開口部の形成された領域よりも外側の領域に形成され、前記基板が前記第1絶縁層に向かって厚さ方向に立ち上がって形成された突出部と、
を有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記外側の領域に形成され、金属又は金属合金からなる補強層を有し、
前記突出部は、前記補強層の形成された領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記補強層を被覆する第1金属層を有し、
前記第2絶縁層には、前記第1金属層を露出する第2開口部が形成され、
前記第1金属層の最外層は、前記補強層よりも反射率の高い金属又は金属合金からなることを特徴とする請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1開口部から露出された配線パターンを被覆する第2金属層を有し、
前記第1金属層と前記第2金属層とが、同一の材料からなることを特徴とする請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1金属層の最外層は、銀又は銀合金からなる金属層であることを特徴とする請求項3又は4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記配線パターンと前記補強層とが、同一の材料からなることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項7】
前記突出部は、平面視して円形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項8】
前記突出部は、平面視して帯状に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項9】
前記突出部は、平面視して枠状に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項10】
前記基板は、平面視して矩形状であり、
前記突出部は、前記基板の辺に沿って設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項11】
前記基板は、金属からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項12】
基板と、
前記基板上に形成された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の第1主面上に形成された複数の配線パターンと、
前記第1主面上に形成され、前記配線パターンを被覆するとともに、隣接する前記配線パターンの一部をパッドとして露出する第1開口部を有する第2絶縁層と、
前記基板の前記第1開口部の形成された領域よりも外側の領域に形成され、前記基板が前記第1絶縁層に向かって厚さ方向に立ち上がって形成された突出部と、
前記パッド上に実装された発光素子と、
前記発光素子を封止するように形成された封止樹脂と、
を有することを特徴とする発光装置。
【請求項13】
基板上に形成された第1絶縁層の第1主面上に配線パターンを含む配線層を形成する工程と、
前記配線パターン上に、隣接する前記配線パターンの一部をパッドとして露出する第1開口部を有する第2絶縁層を形成する工程と、
前記基板の前記第1開口部の形成された領域よりも外側の領域に、前記基板を前記第1絶縁層に向かって厚さ方向に立ち上げて突出部を形成する工程と、
を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記配線層を形成する工程は、
前記第1主面上に形成された金属箔上に、所定の開口部を有するレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層をマスクとして前記金属箔をエッチングすることにより、前記配線パターンと、前記外側の領域に形成された補強層と、電解めっき用の給電ラインとを含む前記配線層を形成する工程と、を有し、
前記突出部を形成する工程では、前記補強層の形成された領域に前記突出部を形成することを特徴とする請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項15】
前記第2絶縁層を形成する工程の前に、
前記配線層を給電層とする電解めっき法により、前記補強層上に、該補強層よりも反射率の高い金属又は金属合金からなる第1金属層を形成するとともに、前記パッドとなる配線パターン上に、前記第1金属層と同一の材料からなる第2金属層を形成する工程を有し、
前記第2絶縁層を形成する工程では、前記第1開口部と、前記第1金属層を露出する第2開口部とを有する前記第2絶縁層を形成することを特徴とする請求項14に記載の配線基板の製造方法。
【請求項16】
前記突出部を形成する工程では、平面視して円形の前記突出部を形成することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1つに記載の配線基板の製造方法。
【請求項17】
前記突出部を形成する工程では、平面視して帯状の前記突出部を形成することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1つに記載の配線基板の製造方法。
【請求項18】
前記突出部を形成する工程では、平面視して枠状の前記突出部を形成することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1つに記載の配線基板の製造方法。
【請求項19】
前記基板は、平面視して矩形状であり、
前記突出部を形成する工程では、前記基板の辺に沿って前記突出部を形成することを特徴とする請求項13〜18のいずれか1つに記載の配線基板の製造方法。
【請求項20】
前記基板は、金属からなることを特徴とする請求項13〜19のいずれか1つに記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−93386(P2013−93386A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233288(P2011−233288)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】