配線基板の製造方法
【課題】基板面に設けられる遮断配線による遮断性能の低下を抑制し得る配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】遮断配線30と一側接続配線40および他側接続配線50とを含めた配線パターンと異なる領域に形成されたエッチングレジストを除去して、一側接続配線40および他側接続配線50に相当する導体層上のエッチングレジスト29における両側の側縁が遮断配線30に相当する導体層上のエッチングレジスト29における両側の側縁となだらかに連続し接続対象に向かうにつれて徐々に広がるようにエッチングレジスト29を残した基板を、エッチング液に浸漬する。
【解決手段】遮断配線30と一側接続配線40および他側接続配線50とを含めた配線パターンと異なる領域に形成されたエッチングレジストを除去して、一側接続配線40および他側接続配線50に相当する導体層上のエッチングレジスト29における両側の側縁が遮断配線30に相当する導体層上のエッチングレジスト29における両側の側縁となだらかに連続し接続対象に向かうにつれて徐々に広がるようにエッチングレジスト29を残した基板を、エッチング液に浸漬する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に過電流保護用の遮断配線が設けられる配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小型部品により高密度化される電子制御装置では、小型化された部品内での短絡故障時に生じる短絡電流が大電流に至らないために、電子制御装置に関する故障に対応して設けられるヒューズでの遮断までに長時間を要することとなり、特にヒューズ設置数を削減してコスト低減を目的とした複数の電子制御装置を保護する大型ヒューズでは遮断に更に長時間を要することとなる。このため、遮断時に部品の高温度化や電源配線等での長時間の電圧低下などの問題が生じる。一方、電子制御の高度化や多機能化に伴い搭載される多くの回路や部品に共用されて作動に必要な電源を供給する電源配線(例えばバッテリ経路とアース経路)等の共用配線には、通常装置作動時でも比較的大きな電流が流れることとなる。このため、共用配線経路に設けられる大型ヒューズの遮断電流は更に大きくなる傾向から、個々の回路や部品の短絡故障で十分な遮断性能が確保出来ないことが懸念される。例えば、車両用の電子制御装置の様に、環境温度が高いだけでなく搭載装置が多い装置では、上述した問題が顕著となる。
【0003】
このため、下記特許文献1に開示されるプリント基板制御装置の様に、各基板上での電源配線経路に遮断配線を設けて、過電流が流れた時に遮断配線を溶断することで、短絡故障時には基板毎または装置毎に電源配線経路を遮断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−311467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高密度化された基板面に遮断配線を含めた所定の配線パターンを形成する場合には、一般に、導体層の非エッチング面にレジストを形成した後にエッチング液に浸漬することで、レジストが形成されていない領域をエッチングして上記所定の配線パターンを形成する。
【0006】
このとき、配線パターンの形状に起因してエッチング液が均一に流れ込みにくくなる領域が遮断配線の周囲にあるために、その領域でエッチングが進行しにくくなると、遮断配線の配線幅がばらつく場合がある。一方、上述のような領域に流れ込んだエッチング液が好適に流れ出ずに滞留するために、その領域でエッチングが必要以上に進行してしまっても、遮断配線の配線幅がばらつく場合がある。このため、遮断配線が溶断する位置や溶断タイミングがばらついて遮断性能が低下してしまうという問題がある。特に、遮断配線が他の配線に接続される接続部位では、遮断配線の配線幅を他の配線の配線幅に比べて細くする必要があるために、この問題が顕著になる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、基板面に設けられる遮断配線による遮断性能の低下を抑制し得る配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の配線基板の製造方法では、過電流による発熱に応じて溶断した場合に接続対象との接続を遮断する遮断配線が、接続配線を介して前記接続対象に接続されて基板上に形成される配線基板の製造方法であって、前記遮断配線および前記接続配線を構成するための導体層が設けられた基板を用意する第1工程と、前記導体層上にエッチングレジストを形成する第2工程と、前記エッチングレジストのうち、前記遮断配線および前記接続配線を含めた配線パターンと異なる領域に形成されたエッチングレジストを除去して、前記接続配線に相当する前記導体層上の前記エッチングレジストにおける側縁が前記遮断配線に相当する前記導体層上の前記エッチングレジストにおける側縁となだらかに連続し前記接続対象に向かうにつれて徐々に広がるように前記エッチングレジストを残す第3工程と、前記エッチングレジストが形成されていない前記導体層を除去するためのエッチング液に前記基板を浸漬する第4工程と、前記浸漬後の前記基板から前記エッチングレジストを除去する第5工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、遮断配線および接続配線を含めた配線パターンと異なる領域に形成されたエッチングレジストを除去して、接続配線に相当する導体層上のエッチングレジストにおける側縁が遮断配線に相当する導体層上のエッチングレジストにおける側縁となだらかに連続し接続対象に向かうにつれて徐々に広がるようにエッチングレジストを残した基板を、エッチング液に浸漬する。
【0010】
このように、遮断配線に相当する導体層上のエッチングレジストと接続配線に相当する導体層上のエッチングレジストとの側縁がなだらかに連続するため、エッチング液を用いてエッチングレジストが形成されていない導体層を除去する場合には、遮断配線の側縁と接続配線の側縁との接続部位でエッチング液が均一に流れやすくなる。これにより、上記接続部位でのエッチング液の滞留が抑制されて遮断配線の配線幅のばらつきが抑えられるので、基板面に設けられる遮断配線による遮断性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係るトラクションコントロール装置を備える車両制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1のトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図3】図2の3−3線相当の切断面による断面図である。
【図4】図3の遮断配線近傍を拡大して示す説明図である。
【図5】成形時の遮断配線および接続配線を説明するための説明図である。
【図6】図6(A)は、図5の6A−6A線相当の切断面による断面図であり、図6(B)は、図5の6B−6B線相当の切断面による断面図である。
【図7】第1実施形態の第1変形例に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図8】第1実施形態の第2変形例に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図9】第2実施形態に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図10】図9のA−A線相当の切断面による断面図である。
【図11】第2実施形態の第1変形例に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図12】第2実施形態の第2変形例に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図13】第3実施形態に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図14】第4実施形態に係る電子制御装置の要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る電子制御装置について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るトラクションコントロール装置20を備える車両制御システム11の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、車両制御システム11は、自動車10に車載される各種機器を制御するエンジンECUやブレーキECU,ステアリングECUをはじめボディECUやナビゲーション装置などの複数の電子制御装置12を備えて構成されている。
【0013】
また、車両制御システム11には、上記複数の電子制御装置12に加えて、本第1実施形態に係る電子制御装置が適用されたトラクションコントロール装置20が設けられている。このトラクションコントロール装置20は、駆動輪の加速スリップを防止する加速スリップ防止機能を有する装置で、走行制御等の主要な車両制御に関して他の電子制御装置よりも比較的重要性が低い装置である。
【0014】
トラクションコントロール装置20を含めた複数の電子制御装置12は、過電流保護用として採用されるヒューズ14aおよびヒューズ14bのいずれかを介して直流電源(以下、バッテリ13という)に電気的に接続されている。ヒューズ14aおよびヒューズ14bとしては、多くの電子制御装置等に対して作動に必要な電力を供給する経路に設けられるために、例えば15A用や20A用の大型のヒューズが採用されている。これにより、例えば、ヒューズ14aに接続される各種電子制御装置12のうちのいずれかに不具合が生じ所定の電流値を超える過電流が発生すると、この過電流によりヒューズ14aが溶断し、当該ヒューズ14aを介した電力供給が遮断されて、他の電子制御装置12への悪影響が防止される。なお、本実施形態では、各電子制御装置12は、2つの大型ヒューズ14aおよびヒューズ14bのいずれかを介してバッテリ13にそれぞれ電気的に接続されているが、これに限らず、単一の大型ヒューズを介してバッテリ13にそれぞれ電気的に接続されてもよいし、3つ以上のヒューズのいずれかを介してバッテリ13にそれぞれ電気的に接続されてもよい。
【0015】
次に、本第1実施形態に係るトラクションコントロール装置20の構成について、図2〜図4を用いて説明する。図2は、図1のトラクションコントロール装置20の要部を示す説明図である。図3は、図2の3−3線相当の切断面による断面図である。図4は、図3の遮断配線30近傍を拡大して示す説明図である。なお、図2および図4では、便宜上、基板面を保護する保護層であるソルダレジスト28の図示を省略している。
【0016】
トラクションコントロール装置20は、上述した加速スリップ防止機能を実現するための複数の電子部品22を高密度化して実装した回路基板21が図略のケースに収容されて構成されている。この回路基板21は、図略のコネクタ等を介して外部の機器や他の電子制御装置12と電気的に接続されており、外部から入力される所定の信号に応じて駆動輪の加速スリップを防止するための制御を実行する。
【0017】
図2に示すように、回路基板21には、バッテリ13からの電力を供給する電源配線23が、各電子部品22に対してそれぞれ電気的に接続されている。このため、電源配線23は、各電子部品22により共用される共用配線として機能する。
【0018】
図2および図3に示すように、回路基板21には、複数の電子部品22の1つとして、セラミックコンデンサ24が実装されている。このセラミックコンデンサ24は、温度特性や周波数特性を向上させ小型で大容量を実現するため、例えば、チタン酸バリウム系の高誘電率セラミック誘電体24bと内部電極24cとを層状に積み重ねて一体化して構成されている。
【0019】
セラミックコンデンサ24の外部電極24aがはんだ25を介して接続されるランド26と電源配線23との間には、遮断配線30が配置されている。この遮断配線30は、過電流による発熱に応じて溶断することで過電流保護機能を発揮して当該遮断配線30を介した電気的接続を遮断する配線である。これにより、その基板に応じた過電流保護を実現することができる。
【0020】
ここで、遮断配線30は、その配線幅(基板面上で電流の方向に直交する配線の幅)が電源配線23の配線幅に対して十分に小さくなるように設定されている。具体的には、例えば、遮断配線30の配線幅が0.2〜0.3mm程度に設定され、電源配線23の配線幅が2mm程度に設定されている。
【0021】
遮断配線30は、その一端にて一側接続配線40を介して電源配線23に電気的に接続されており、その他端にて他側接続配線50を介してランド26に電気的に接続されている。一側接続配線40および他側接続配線50は、遮断配線30や電源配線23と同じ銅などの導電性材料により、遮断配線30よりも導体体積が大きくなるように形成されている。
【0022】
具体的には、図4に示すように、一側接続配線40は、両側の側縁41,42が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しており接続対象である電源配線23に向かうにつれて円弧状に広がるように、形成されている。すなわち、一側接続配線40は、その配線幅が電源配線23側ほど広くなるように形成されることで、遮断配線30との接続部位での断面積が電源配線23との接続部位での断面積よりも小さくなるように構成されている。
【0023】
また、他側接続配線50は、両側の側縁51,52が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しており接続対象であるランド26に向かうにつれて円弧状に広がるように、形成されている。すなわち、他側接続配線50は、その配線幅がランド26側ほど広くなるように形成されることで、遮断配線30との接続部位での断面積が接続対象であるランド26との接続部位での断面積よりも小さくなるように構成されている。
【0024】
このように構成される回路基板21において、遮断配線30や両接続配線40,50を含めた所定の配線パターンは、以下のようにして形成される。なお、図5は、成形時の遮断配線30および接続配線40,50を説明するための説明図である。図6(A)は、図5の6A−6A線相当の切断面による断面図であり、図6(B)は、図5の6B−6B線相当の切断面による断面図である。
【0025】
まず、遮断配線30や両接続配線40,50を構成するための銅箔等の導体層が設けられた基板の表面に対してエッチングレジストを形成する。次に、露光および現像処理により、配線パターンと異なる領域に形成されたエッチングレジストを除去する。そして、このように非エッチング面にエッチングレジストが形成された基板を、エッチング液に浸漬することで、エッチングレジストが形成されていない導体層を除去するエッチングが進行する。
【0026】
遮断配線30や両接続配線40,50を構成するための導体層の周囲では、エッチング液は、例えば、図5および図6の矢印L1,L2にて例示するように流れて、所定の導体層がエッチングされる。このエッチング後に、エッチングレジスト(図6では、符号29にて示す)を除去することにより、遮断配線30や両接続配線40,50を含めた所定の配線パターンが基板面に形成される。
【0027】
このとき、一側接続配線40における両側の側縁41,42や他側接続配線50における両側の側縁51,52が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続するように形成される。このため、遮断配線30の側縁31と一側接続配線40の側縁41との接続部位C1、遮断配線30の側縁32と一側接続配線40の側縁42との接続部位C2にて、エッチング液が均一に流れやすくなる。また、遮断配線30の側縁31と他側接続配線50の側縁51との接続部位C3、遮断配線30の側縁32と他側接続配線50の側縁52との接続部位C4にて、エッチング液が均一に流れやすくなる。これにより、上記接続部位C1〜C4でのエッチング液の滞留が抑制されて、当該上記接続部位C1〜C4における遮断配線30の配線幅のばらつきが抑えられることとなる。
【0028】
このように構成されるトラクションコントロール装置20では、例えば、セラミックコンデンサ24が損傷等して短絡し過電流が遮断配線30を流れると、この遮断配線30がその過電流に応じて発熱する。そして、この発熱が所定の温度以上になると、遮断配線30が溶断し、当該遮断配線30を介した電気的接続が遮断される。これにより、電源配線23に接続される他の電子部品22が上記過電流から保護される。また、上記遮断時の電流はヒューズ14aを遮断するほど大きくならないので、当該ヒューズ14aを介して電力供給される他の電子制御装置12に対して、トラクションコントロール装置20の損傷が影響することもない。さらに、過電流の発生から遮断配線30の溶断までの時間は、数mS(ミリ秒)程度であり、上述した大型ヒューズ14a,14b等の溶断時間は通常0.02S(秒)程度であることから、処理速度の向上が図られる電子制御装置や電子部品であっても好適に過電流保護を実施することができる。
【0029】
なお、過電流により遮断配線30に生じた熱は、一側接続配線40を介して電源配線23に伝熱されることとなる。配線幅が狭い遮断配線30と配線幅が広い電源配線23とが直接接続されている場合、遮断配線30からの熱が電源配線23に伝わりやすくなり、遮断配線30の温度が低下ししかもその温度低下がばらついてしまう。また、ランド26に関しても同様の問題が発生するだけでなく、ランド26では遮断配線30との接続部近傍に熱が集中して、この熱によりランド26に塗布されたはんだ25のうち遮断配線30近傍部位が溶融すると、その溶融導体が周囲に飛散する場合がある。
【0030】
本実施形態では、遮断配線30の熱は、当該遮断配線30との接続部位での断面積が電源配線23との接続部位での断面積よりも小さく形成された一側接続配線40を介して、電源配線23に伝熱される。また、遮断配線30の熱は、当該遮断配線30との接続部位での断面積がランド26との接続部位での断面積よりも小さく形成された他側接続配線50を介して、ランド26に伝熱される。このため、一側接続配線40および他側接続配線50にて熱が保持されて電源配線23やランド26への熱の拡散が抑制される。これにより、遮断配線30の熱のばらつきが抑えられるため、上述のような短時間での溶断であっても溶断までの時間のばらつきが抑制されることとなる。また、一側接続配線40および他側接続配線50は、遮断配線30よりも導体体積が大きいため、遮断配線30からの熱をそれぞれ好適に蓄熱することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係るトラクションコントロール装置20では、遮断配線30は、一側接続配線40および他側接続配線50を介して電源配線23およびランド26に接続されている。一側接続配線40は、両側の側縁41,42が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しており電源配線23に向かうにつれて円弧状に広がるように、形成されている。また、他側接続配線50は、両側の側縁51,52が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しておりランド26に向かうにつれて円弧状に広がるように、形成されている。
【0032】
このように、遮断配線30および両接続配線40,50の側縁がなだらかに連続するため、これら各配線30,40,50をエッチング液を用いて形成する場合には、遮断配線30の側縁31,32と両接続配線40,50の側縁41,42,51,52との接続部位C1〜C4でエッチング液が均一に流れやすくなる。これにより、上記接続部位C1〜C4でのエッチング液の滞留が抑制されて遮断配線30の配線幅のばらつきが抑えられるので、基板面に設けられる遮断配線30による遮断性能の低下を抑制することができる。
【0033】
また、電源配線23は、トラクションコントロール装置20と異なる他の電子制御装置12にも電力を供給するバッテリ13から電線を介して各々のコネクタに接続されており、当該トラクションコントロール装置20および他の電子制御装置12を過電流保護するための共通のヒューズ14aが、バッテリ13からの電源経路上に設けられている。これにより、遮断配線30を設けたトラクションコントロール装置20が短絡故障等する場合であっても、その遮断配線30が溶断することで、他の電子制御装置12への電源供給に関する影響をなくすことができる。
【0034】
図7は、第1実施形態の第1変形例に係るトラクションコントロール装置20の要部を示す説明図である。図8は、第1実施形態の第2変形例に係るトラクションコントロール装置20の要部を示す説明図である。
図7に示すように、第1実施形態の第1変形例として、一側接続配線40および他側接続配線50に代えて、一側接続配線40aおよび他側接続配線50aを採用してもよい。
【0035】
具体的には、一側接続配線40aは、両側の側縁41,42が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しており電源配線23に向かうにつれてテーパ状に広がるように、形成されている。また、他側接続配線50aは、両側の側縁51,52が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しておりランド26に向かうにつれてテーパ状に広がるように、形成されている。
【0036】
このようにしても、遮断配線30の側縁31,32と両接続配線40a,50aの側縁41,42,51,52との接続部位C1〜C4でエッチング液がより均一に流れやすくなり、上記接続部位C1〜C4でのエッチング液の滞留を好適に抑制することができる。
【0037】
また、図8に示すように、第1実施形態の第2変形例として、一側接続配線40および他側接続配線50に代えて、一側接続配線40bおよび他側接続配線50bを採用してもよい。具体的には、一側接続配線40bは、両側の側縁41,42のうち一方の側縁41が遮断配線30の側縁31となだらかに連続しており電源配線23に向かうにつれて徐々に広がるように形成され、他方の側縁42が遮断配線30の側縁32とともに直線状に形成されている。また、他側接続配線50bは、両側の側縁51,52のうち一方の側縁51が遮断配線30の側縁31となだらかに連続しておりランド26に向かうにつれて徐々に広がるように形成され、他方の側縁52が遮断配線30の側縁32とともに直線状に形成されている。
【0038】
これにより、他方の側縁42,52では、エッチング液がスムーズに流れやすくなるのでエッチング液の滞留を確実になくすことができ、一方の側縁41,51でも遮断配線30の側縁31となだらかに連続しているため、上記接続部位C1〜C4でのエッチング液の滞留を好適に抑制することができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るトラクションコントロール装置について図9および図10を用いて説明する。図9は、第2実施形態に係るトラクションコントロール装置20aの要部を示す説明図である。図10は、図9のA−A線相当の切断面による断面図である。
【0040】
本第2実施形態では、トラクションコントロール装置20aにおいて、一側接続配線40および他側接続配線50に代えて一側接続配線40cおよび他側接続配線50cを採用するとともに、新たに一対の板状配線60,70を採用する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
図9に示すように、一側接続配線40cは、遮断配線30との接続部位での断面積が電源配線23との接続部位での断面積よりも小さくなるように構成されている。また、他側接続配線50cは、遮断配線30との接続部位での断面積がランド26との接続部位での断面積よりも小さくなるように構成されている。
【0042】
また、遮断配線30の近傍には、この遮断配線30を介して対向するように一対の板状配線60,70が設けられている。両板状配線60,70は、遮断配線30と同じ銅などの導電性材料からなり、他の配線に接続されることなく板状の配線として形成されている。
【0043】
これら一対の板状配線60,70は、一方の板状配線60における遮断配線側の側縁61とこの側縁61に対向する遮断配線30の側縁31との距離X1と、他方の板状配線70における遮断配線側の側縁71とこの側縁71に対向する遮断配線30の側縁32との距離X2とが遮断配線30に沿いほぼ等しくなるように配置されている。
【0044】
このように構成される遮断配線30では、上記第1実施形態と同様に、エッチング液に浸漬されるとき、図10の矢印L1,L2にて例示するように、エッチング液が遮断配線30の側縁31と一方の板状配線60の側縁61との間と、遮断配線30の側縁32と他方の板状配線70の側縁71との間との間に流れ込む。このとき、一対の板状配線60,70は、距離X1と距離X2とがほぼ等しくなるように配置されているので、側縁31,61間と、側縁32,71間とにおけるエッチング液の流れ込み量がほぼ等しくなる。
【0045】
これにより、遮断配線30の両側の側縁31,32をそれぞれ流れるエッチング液の流れ込み量の差が小さくなり、両側縁31,32におけるエッチングの進行のばらつきが抑制される。これにより、遮断配線30の配線幅のばらつきが抑えられるので、基板面に設けられる遮断配線30による遮断性能の低下を抑制することができる。
【0046】
なお、一対の板状配線60,70は、距離X1と距離X2とがほぼ等しくなるように配置されることに限らず、距離X1と距離X2との差が小さくなるように配置されてもよい。また、一対の板状配線60,70は、導電性材料から板状の配線として形成されることに限らず、エッチング液を用いたエッチング時に除去されない部材から構成される非除去領域として形成されてもよい。
【0047】
図11は、第2実施形態の第1変形例に係るトラクションコントロール装置20aの要部を示す説明図である。図12は、第2実施形態の第2変形例に係るトラクションコントロール装置20aの要部を示す説明図である。
図11に示すように、第2実施形態の第1変形例として、一対の板状配線60,70のうち少なくとも一方は、回路基板21に設けられる他の配線パターンの一部であってもよい。
【0048】
具体的には、上述した他方の板状配線70に代えて、遮断配線30の側縁32に近接して配線パターン70aが形成されており、この配線パターン70aは、他の電子部品22に接続されている。そして、一方の板状配線60は、その側縁61と遮断配線30の側縁31との距離X1が、配線パターン70aの側縁71と遮断配線30の側縁32との距離X2に、遮断配線30に沿いほぼ等しくなるように配置されている。
【0049】
このようにしても、遮断配線30の両側の側縁31,32をそれぞれ流れるエッチング液の流れ込み量の差が小さくなり、両側縁31,32におけるエッチングの進行のばらつきを抑制することができる。特に、双方の板状配線60,70を遮断配線30に近づけて配置する場合と比較して、他方の板状配線70を別途設ける必要がないので、実装領域を小さくでき、回路基板21およびこの回路基板21を備える装置の小型化を図ることができる。
【0050】
また、図12に示すように、第2実施形態の第2変形例として、両板状配線60,70における側縁61,71にある角部62,72を丸めるように形成してもよい。これにより、遮断配線30の側縁31,32と両板状配線60,70の側縁61,71との間をエッチング液が流れやすくなり、遮断配線30の両側の側縁31,32におけるエッチングの進行のばらつきがより抑制されて、遮断配線30の配線幅のばらつきを確実に抑えることができる。
【0051】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るトラクションコントロール装置について図13を用いて説明する。図13は、第3実施形態に係るトラクションコントロール装置20bの要部を示す説明図である。
【0052】
本第3実施形態では、トラクションコントロール装置20bにおいて、上記第1実施形態の構成に対して上記第2実施形態にて述べた一対の板状配線60,70を新たに採用する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
図13に示すように、遮断配線30は、その一端にて上述した一側接続配線40を介して電源配線23に電気的に接続されており、その他端にて上述した他側接続配線50を介してランド26に電気的に接続されている。そして、遮断配線30の近傍には、この遮断配線30を介して対向するように一対の板状配線60,70が設けられており、これら一対の板状配線60,70は、側縁31,61間の距離X1と、側縁32,71間の距離X2とが遮断配線30に沿いほぼ等しくなるように配置されている。
【0054】
このように、遮断配線30および両接続配線40,50の側縁がなだらかに連続するため、これら各配線30,40,50をエッチング液を用いて形成する場合には、遮断配線30の側縁31,32と両接続配線40,50の側縁41,42,51,52との接続部位C1〜C4でエッチング液が均一に流れやすくなる。これにより、上記接続部位C1〜C4でのエッチング液の滞留が抑制されて遮断配線30の配線幅のばらつきが抑えることができる。さらに、一対の板状配線60,70により、遮断配線30の両側の側縁31,32をそれぞれ流れるエッチング液の流れ込み量の差が小さくなり、両側縁31,32におけるエッチングの進行のばらつきを抑制することができる。
【0055】
これにより、遮断配線30の側縁31,32と両接続配線40,50の側縁41,42,51,52との接続部位C1〜C4だけでなく遮断配線30の両側の側縁31,32でもエッチングに関するばらつきが抑制されて遮断配線30の配線幅のばらつきが抑えられるので、基板面に設けられる遮断配線30による遮断性能の低下を確実に抑制することができる。
【0056】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る電子制御装置について図14を用いて説明する。図14は、第4実施形態に係る電子制御装置110の要部を示す説明図である。
本第4実施形態に係る電子制御装置110では、同一の基板120上に、上記第1実施形態に係るトラクションコントロール装置20の機能を回路ブロック化した回路ブロック130と、さらに他の機能を回路ブロック化した回路ブロック140,150とを配置して構成されている。なお、他の機能としては、回路ブロック130の機能よりも重要性が高い機能であって、例えば、エンジンECUに対応する機能やブレーキECUに対応する機能であり、回路ブロック140は、エンジンECUに対応する機能を回路ブロック化して構成され、回路ブロック150は、ブレーキECUに対応する機能を回路ブロック化して構成されている。
【0057】
図14に示すように、各回路ブロック130,140,150には、コネクタ121を介してバッテリ13からの電力を供給する電源配線23が、それぞれ分岐配線131,141,151を介して電気的に接続されている。そして、上述した遮断配線30が回路ブロック130の分岐配線131上に当該回路ブロック130に対して過電流保護として機能するように配置されている。そして、電源配線23上に、当該基板120に対して過電流保護として機能する遮断配線122が設けられている。すなわち、基板120上には、全ての回路ブロック130〜150を含めた基板120を保護する遮断配線122と、回路ブロック130を保護する遮断配線30との2つの遮断配線が設けられている。
【0058】
これにより、遮断配線30が設けられる回路ブロック130において短絡故障等により過電流が生じることから当該遮断配線30が溶断する場合でも、他の回路ブロック140,150では、分岐配線141,151を介した電源配線23との接続が維持されるので、溶断した遮断配線30を有する回路ブロック130のみ機能を停止して、他の回路ブロック140,150での機能を継続することができる。特に、回路ブロック130の機能は、他の回路ブロック140,150よりも重要性が低いので、重要性が低い回路ブロック130の機能停止が、重要性が高い回路ブロック140,150の機能に影響を及ぼすことを抑制することができる。また、遮断配線30が設けられない回路ブロック140,150において短絡故障等により過電流が生じる場合でも、その過電流が電源配線23を流れることで遮断配線122が溶断して各回路ブロック130,140,150での機能が停止するので、発生した過電流が他の回路ブロックへ流れることを抑制することができる。
【0059】
特に、遮断配線30を、遮断配線122に対して遮断時の電流値が小さくなるようにその配線幅を小さく形成することで、遮断配線30が設けられる回路ブロック130において短絡故障等により過電流が生じる場合には、遮断配線30が遮断配線122よりも確実に早く溶断する。これにより、他の回路ブロック140,150への影響を確実に抑制することができる。
なお、本実施形態における1つの基板上に2つの遮断配線を設ける構成は、他の実施形態や変形例に採用されてもよい。
【0060】
なお、本発明は上記各実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)上述のように形成される一側接続配線40,40a,40bは、電源配線23に代えて、過電流保護の対象である各電子部品22にて共用される共用配線に電気的に接続されてもよい。
【0061】
(2)上述のように形成される他側接続配線50,50a,50bは、ランド26に電気的に接続されることに限らず、例えば、表層に露出しない内層側の配線など、電子部品を搭載するための部品搭載配線に電気的に接続されてもよい。
【0062】
(3)上述した遮断配線30および接続配線40,50は、上述したエンジンECUやブレーキECU,ステアリングECUをはじめボディECUやナビゲーション装置などの複数の電子制御装置12の過電流保護用として基板ごとに採用されてもよい。
【0063】
(4)上述した遮断配線30および一対の板状配線60,70は、上述したエンジンECUやブレーキECU,ステアリングECUをはじめボディECUやナビゲーション装置などの複数の電子制御装置12の過電流保護用として基板ごとに採用されてもよい。
【0064】
(5)遮断配線30は、その一部または全部が電源配線23やランド26よりも熱伝導率の低い材料、例えばアルミニウム等により形成してもよい。これにより、過電流により遮断配線30に生じた熱が電源配線23やランド26に伝わりにくくなるので、遮断配線30における温度上昇のばらつきが抑制されて、遮断配線30による遮断性能の低下を確実に抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
10…自動車
11…車両制御システム
12…電子制御装置
13…バッテリ
14a,14b…ヒューズ
20,20a,20b…トラクションコントロール装置(電子制御装置)
21…回路基板
22…電子部品
23…電源配線(接続対象)
24,24d…セラミックコンデンサ
26…ランド(接続対象)
30…遮断配線
31,32…側縁
40,40a…一側接続配線
50,50a…他側接続配線
60,70…板状配線(非除去領域)
61,71…側縁
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に過電流保護用の遮断配線が設けられる配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、小型部品により高密度化される電子制御装置では、小型化された部品内での短絡故障時に生じる短絡電流が大電流に至らないために、電子制御装置に関する故障に対応して設けられるヒューズでの遮断までに長時間を要することとなり、特にヒューズ設置数を削減してコスト低減を目的とした複数の電子制御装置を保護する大型ヒューズでは遮断に更に長時間を要することとなる。このため、遮断時に部品の高温度化や電源配線等での長時間の電圧低下などの問題が生じる。一方、電子制御の高度化や多機能化に伴い搭載される多くの回路や部品に共用されて作動に必要な電源を供給する電源配線(例えばバッテリ経路とアース経路)等の共用配線には、通常装置作動時でも比較的大きな電流が流れることとなる。このため、共用配線経路に設けられる大型ヒューズの遮断電流は更に大きくなる傾向から、個々の回路や部品の短絡故障で十分な遮断性能が確保出来ないことが懸念される。例えば、車両用の電子制御装置の様に、環境温度が高いだけでなく搭載装置が多い装置では、上述した問題が顕著となる。
【0003】
このため、下記特許文献1に開示されるプリント基板制御装置の様に、各基板上での電源配線経路に遮断配線を設けて、過電流が流れた時に遮断配線を溶断することで、短絡故障時には基板毎または装置毎に電源配線経路を遮断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−311467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高密度化された基板面に遮断配線を含めた所定の配線パターンを形成する場合には、一般に、導体層の非エッチング面にレジストを形成した後にエッチング液に浸漬することで、レジストが形成されていない領域をエッチングして上記所定の配線パターンを形成する。
【0006】
このとき、配線パターンの形状に起因してエッチング液が均一に流れ込みにくくなる領域が遮断配線の周囲にあるために、その領域でエッチングが進行しにくくなると、遮断配線の配線幅がばらつく場合がある。一方、上述のような領域に流れ込んだエッチング液が好適に流れ出ずに滞留するために、その領域でエッチングが必要以上に進行してしまっても、遮断配線の配線幅がばらつく場合がある。このため、遮断配線が溶断する位置や溶断タイミングがばらついて遮断性能が低下してしまうという問題がある。特に、遮断配線が他の配線に接続される接続部位では、遮断配線の配線幅を他の配線の配線幅に比べて細くする必要があるために、この問題が顕著になる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、基板面に設けられる遮断配線による遮断性能の低下を抑制し得る配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の配線基板の製造方法では、過電流による発熱に応じて溶断した場合に接続対象との接続を遮断する遮断配線が、接続配線を介して前記接続対象に接続されて基板上に形成される配線基板の製造方法であって、前記遮断配線および前記接続配線を構成するための導体層が設けられた基板を用意する第1工程と、前記導体層上にエッチングレジストを形成する第2工程と、前記エッチングレジストのうち、前記遮断配線および前記接続配線を含めた配線パターンと異なる領域に形成されたエッチングレジストを除去して、前記接続配線に相当する前記導体層上の前記エッチングレジストにおける側縁が前記遮断配線に相当する前記導体層上の前記エッチングレジストにおける側縁となだらかに連続し前記接続対象に向かうにつれて徐々に広がるように前記エッチングレジストを残す第3工程と、前記エッチングレジストが形成されていない前記導体層を除去するためのエッチング液に前記基板を浸漬する第4工程と、前記浸漬後の前記基板から前記エッチングレジストを除去する第5工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、遮断配線および接続配線を含めた配線パターンと異なる領域に形成されたエッチングレジストを除去して、接続配線に相当する導体層上のエッチングレジストにおける側縁が遮断配線に相当する導体層上のエッチングレジストにおける側縁となだらかに連続し接続対象に向かうにつれて徐々に広がるようにエッチングレジストを残した基板を、エッチング液に浸漬する。
【0010】
このように、遮断配線に相当する導体層上のエッチングレジストと接続配線に相当する導体層上のエッチングレジストとの側縁がなだらかに連続するため、エッチング液を用いてエッチングレジストが形成されていない導体層を除去する場合には、遮断配線の側縁と接続配線の側縁との接続部位でエッチング液が均一に流れやすくなる。これにより、上記接続部位でのエッチング液の滞留が抑制されて遮断配線の配線幅のばらつきが抑えられるので、基板面に設けられる遮断配線による遮断性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係るトラクションコントロール装置を備える車両制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1のトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図3】図2の3−3線相当の切断面による断面図である。
【図4】図3の遮断配線近傍を拡大して示す説明図である。
【図5】成形時の遮断配線および接続配線を説明するための説明図である。
【図6】図6(A)は、図5の6A−6A線相当の切断面による断面図であり、図6(B)は、図5の6B−6B線相当の切断面による断面図である。
【図7】第1実施形態の第1変形例に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図8】第1実施形態の第2変形例に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図9】第2実施形態に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図10】図9のA−A線相当の切断面による断面図である。
【図11】第2実施形態の第1変形例に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図12】第2実施形態の第2変形例に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図13】第3実施形態に係るトラクションコントロール装置の要部を示す説明図である。
【図14】第4実施形態に係る電子制御装置の要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る電子制御装置について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るトラクションコントロール装置20を備える車両制御システム11の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、車両制御システム11は、自動車10に車載される各種機器を制御するエンジンECUやブレーキECU,ステアリングECUをはじめボディECUやナビゲーション装置などの複数の電子制御装置12を備えて構成されている。
【0013】
また、車両制御システム11には、上記複数の電子制御装置12に加えて、本第1実施形態に係る電子制御装置が適用されたトラクションコントロール装置20が設けられている。このトラクションコントロール装置20は、駆動輪の加速スリップを防止する加速スリップ防止機能を有する装置で、走行制御等の主要な車両制御に関して他の電子制御装置よりも比較的重要性が低い装置である。
【0014】
トラクションコントロール装置20を含めた複数の電子制御装置12は、過電流保護用として採用されるヒューズ14aおよびヒューズ14bのいずれかを介して直流電源(以下、バッテリ13という)に電気的に接続されている。ヒューズ14aおよびヒューズ14bとしては、多くの電子制御装置等に対して作動に必要な電力を供給する経路に設けられるために、例えば15A用や20A用の大型のヒューズが採用されている。これにより、例えば、ヒューズ14aに接続される各種電子制御装置12のうちのいずれかに不具合が生じ所定の電流値を超える過電流が発生すると、この過電流によりヒューズ14aが溶断し、当該ヒューズ14aを介した電力供給が遮断されて、他の電子制御装置12への悪影響が防止される。なお、本実施形態では、各電子制御装置12は、2つの大型ヒューズ14aおよびヒューズ14bのいずれかを介してバッテリ13にそれぞれ電気的に接続されているが、これに限らず、単一の大型ヒューズを介してバッテリ13にそれぞれ電気的に接続されてもよいし、3つ以上のヒューズのいずれかを介してバッテリ13にそれぞれ電気的に接続されてもよい。
【0015】
次に、本第1実施形態に係るトラクションコントロール装置20の構成について、図2〜図4を用いて説明する。図2は、図1のトラクションコントロール装置20の要部を示す説明図である。図3は、図2の3−3線相当の切断面による断面図である。図4は、図3の遮断配線30近傍を拡大して示す説明図である。なお、図2および図4では、便宜上、基板面を保護する保護層であるソルダレジスト28の図示を省略している。
【0016】
トラクションコントロール装置20は、上述した加速スリップ防止機能を実現するための複数の電子部品22を高密度化して実装した回路基板21が図略のケースに収容されて構成されている。この回路基板21は、図略のコネクタ等を介して外部の機器や他の電子制御装置12と電気的に接続されており、外部から入力される所定の信号に応じて駆動輪の加速スリップを防止するための制御を実行する。
【0017】
図2に示すように、回路基板21には、バッテリ13からの電力を供給する電源配線23が、各電子部品22に対してそれぞれ電気的に接続されている。このため、電源配線23は、各電子部品22により共用される共用配線として機能する。
【0018】
図2および図3に示すように、回路基板21には、複数の電子部品22の1つとして、セラミックコンデンサ24が実装されている。このセラミックコンデンサ24は、温度特性や周波数特性を向上させ小型で大容量を実現するため、例えば、チタン酸バリウム系の高誘電率セラミック誘電体24bと内部電極24cとを層状に積み重ねて一体化して構成されている。
【0019】
セラミックコンデンサ24の外部電極24aがはんだ25を介して接続されるランド26と電源配線23との間には、遮断配線30が配置されている。この遮断配線30は、過電流による発熱に応じて溶断することで過電流保護機能を発揮して当該遮断配線30を介した電気的接続を遮断する配線である。これにより、その基板に応じた過電流保護を実現することができる。
【0020】
ここで、遮断配線30は、その配線幅(基板面上で電流の方向に直交する配線の幅)が電源配線23の配線幅に対して十分に小さくなるように設定されている。具体的には、例えば、遮断配線30の配線幅が0.2〜0.3mm程度に設定され、電源配線23の配線幅が2mm程度に設定されている。
【0021】
遮断配線30は、その一端にて一側接続配線40を介して電源配線23に電気的に接続されており、その他端にて他側接続配線50を介してランド26に電気的に接続されている。一側接続配線40および他側接続配線50は、遮断配線30や電源配線23と同じ銅などの導電性材料により、遮断配線30よりも導体体積が大きくなるように形成されている。
【0022】
具体的には、図4に示すように、一側接続配線40は、両側の側縁41,42が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しており接続対象である電源配線23に向かうにつれて円弧状に広がるように、形成されている。すなわち、一側接続配線40は、その配線幅が電源配線23側ほど広くなるように形成されることで、遮断配線30との接続部位での断面積が電源配線23との接続部位での断面積よりも小さくなるように構成されている。
【0023】
また、他側接続配線50は、両側の側縁51,52が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しており接続対象であるランド26に向かうにつれて円弧状に広がるように、形成されている。すなわち、他側接続配線50は、その配線幅がランド26側ほど広くなるように形成されることで、遮断配線30との接続部位での断面積が接続対象であるランド26との接続部位での断面積よりも小さくなるように構成されている。
【0024】
このように構成される回路基板21において、遮断配線30や両接続配線40,50を含めた所定の配線パターンは、以下のようにして形成される。なお、図5は、成形時の遮断配線30および接続配線40,50を説明するための説明図である。図6(A)は、図5の6A−6A線相当の切断面による断面図であり、図6(B)は、図5の6B−6B線相当の切断面による断面図である。
【0025】
まず、遮断配線30や両接続配線40,50を構成するための銅箔等の導体層が設けられた基板の表面に対してエッチングレジストを形成する。次に、露光および現像処理により、配線パターンと異なる領域に形成されたエッチングレジストを除去する。そして、このように非エッチング面にエッチングレジストが形成された基板を、エッチング液に浸漬することで、エッチングレジストが形成されていない導体層を除去するエッチングが進行する。
【0026】
遮断配線30や両接続配線40,50を構成するための導体層の周囲では、エッチング液は、例えば、図5および図6の矢印L1,L2にて例示するように流れて、所定の導体層がエッチングされる。このエッチング後に、エッチングレジスト(図6では、符号29にて示す)を除去することにより、遮断配線30や両接続配線40,50を含めた所定の配線パターンが基板面に形成される。
【0027】
このとき、一側接続配線40における両側の側縁41,42や他側接続配線50における両側の側縁51,52が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続するように形成される。このため、遮断配線30の側縁31と一側接続配線40の側縁41との接続部位C1、遮断配線30の側縁32と一側接続配線40の側縁42との接続部位C2にて、エッチング液が均一に流れやすくなる。また、遮断配線30の側縁31と他側接続配線50の側縁51との接続部位C3、遮断配線30の側縁32と他側接続配線50の側縁52との接続部位C4にて、エッチング液が均一に流れやすくなる。これにより、上記接続部位C1〜C4でのエッチング液の滞留が抑制されて、当該上記接続部位C1〜C4における遮断配線30の配線幅のばらつきが抑えられることとなる。
【0028】
このように構成されるトラクションコントロール装置20では、例えば、セラミックコンデンサ24が損傷等して短絡し過電流が遮断配線30を流れると、この遮断配線30がその過電流に応じて発熱する。そして、この発熱が所定の温度以上になると、遮断配線30が溶断し、当該遮断配線30を介した電気的接続が遮断される。これにより、電源配線23に接続される他の電子部品22が上記過電流から保護される。また、上記遮断時の電流はヒューズ14aを遮断するほど大きくならないので、当該ヒューズ14aを介して電力供給される他の電子制御装置12に対して、トラクションコントロール装置20の損傷が影響することもない。さらに、過電流の発生から遮断配線30の溶断までの時間は、数mS(ミリ秒)程度であり、上述した大型ヒューズ14a,14b等の溶断時間は通常0.02S(秒)程度であることから、処理速度の向上が図られる電子制御装置や電子部品であっても好適に過電流保護を実施することができる。
【0029】
なお、過電流により遮断配線30に生じた熱は、一側接続配線40を介して電源配線23に伝熱されることとなる。配線幅が狭い遮断配線30と配線幅が広い電源配線23とが直接接続されている場合、遮断配線30からの熱が電源配線23に伝わりやすくなり、遮断配線30の温度が低下ししかもその温度低下がばらついてしまう。また、ランド26に関しても同様の問題が発生するだけでなく、ランド26では遮断配線30との接続部近傍に熱が集中して、この熱によりランド26に塗布されたはんだ25のうち遮断配線30近傍部位が溶融すると、その溶融導体が周囲に飛散する場合がある。
【0030】
本実施形態では、遮断配線30の熱は、当該遮断配線30との接続部位での断面積が電源配線23との接続部位での断面積よりも小さく形成された一側接続配線40を介して、電源配線23に伝熱される。また、遮断配線30の熱は、当該遮断配線30との接続部位での断面積がランド26との接続部位での断面積よりも小さく形成された他側接続配線50を介して、ランド26に伝熱される。このため、一側接続配線40および他側接続配線50にて熱が保持されて電源配線23やランド26への熱の拡散が抑制される。これにより、遮断配線30の熱のばらつきが抑えられるため、上述のような短時間での溶断であっても溶断までの時間のばらつきが抑制されることとなる。また、一側接続配線40および他側接続配線50は、遮断配線30よりも導体体積が大きいため、遮断配線30からの熱をそれぞれ好適に蓄熱することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係るトラクションコントロール装置20では、遮断配線30は、一側接続配線40および他側接続配線50を介して電源配線23およびランド26に接続されている。一側接続配線40は、両側の側縁41,42が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しており電源配線23に向かうにつれて円弧状に広がるように、形成されている。また、他側接続配線50は、両側の側縁51,52が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しておりランド26に向かうにつれて円弧状に広がるように、形成されている。
【0032】
このように、遮断配線30および両接続配線40,50の側縁がなだらかに連続するため、これら各配線30,40,50をエッチング液を用いて形成する場合には、遮断配線30の側縁31,32と両接続配線40,50の側縁41,42,51,52との接続部位C1〜C4でエッチング液が均一に流れやすくなる。これにより、上記接続部位C1〜C4でのエッチング液の滞留が抑制されて遮断配線30の配線幅のばらつきが抑えられるので、基板面に設けられる遮断配線30による遮断性能の低下を抑制することができる。
【0033】
また、電源配線23は、トラクションコントロール装置20と異なる他の電子制御装置12にも電力を供給するバッテリ13から電線を介して各々のコネクタに接続されており、当該トラクションコントロール装置20および他の電子制御装置12を過電流保護するための共通のヒューズ14aが、バッテリ13からの電源経路上に設けられている。これにより、遮断配線30を設けたトラクションコントロール装置20が短絡故障等する場合であっても、その遮断配線30が溶断することで、他の電子制御装置12への電源供給に関する影響をなくすことができる。
【0034】
図7は、第1実施形態の第1変形例に係るトラクションコントロール装置20の要部を示す説明図である。図8は、第1実施形態の第2変形例に係るトラクションコントロール装置20の要部を示す説明図である。
図7に示すように、第1実施形態の第1変形例として、一側接続配線40および他側接続配線50に代えて、一側接続配線40aおよび他側接続配線50aを採用してもよい。
【0035】
具体的には、一側接続配線40aは、両側の側縁41,42が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しており電源配線23に向かうにつれてテーパ状に広がるように、形成されている。また、他側接続配線50aは、両側の側縁51,52が遮断配線30の両側の側縁31,32となだらかに連続しておりランド26に向かうにつれてテーパ状に広がるように、形成されている。
【0036】
このようにしても、遮断配線30の側縁31,32と両接続配線40a,50aの側縁41,42,51,52との接続部位C1〜C4でエッチング液がより均一に流れやすくなり、上記接続部位C1〜C4でのエッチング液の滞留を好適に抑制することができる。
【0037】
また、図8に示すように、第1実施形態の第2変形例として、一側接続配線40および他側接続配線50に代えて、一側接続配線40bおよび他側接続配線50bを採用してもよい。具体的には、一側接続配線40bは、両側の側縁41,42のうち一方の側縁41が遮断配線30の側縁31となだらかに連続しており電源配線23に向かうにつれて徐々に広がるように形成され、他方の側縁42が遮断配線30の側縁32とともに直線状に形成されている。また、他側接続配線50bは、両側の側縁51,52のうち一方の側縁51が遮断配線30の側縁31となだらかに連続しておりランド26に向かうにつれて徐々に広がるように形成され、他方の側縁52が遮断配線30の側縁32とともに直線状に形成されている。
【0038】
これにより、他方の側縁42,52では、エッチング液がスムーズに流れやすくなるのでエッチング液の滞留を確実になくすことができ、一方の側縁41,51でも遮断配線30の側縁31となだらかに連続しているため、上記接続部位C1〜C4でのエッチング液の滞留を好適に抑制することができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るトラクションコントロール装置について図9および図10を用いて説明する。図9は、第2実施形態に係るトラクションコントロール装置20aの要部を示す説明図である。図10は、図9のA−A線相当の切断面による断面図である。
【0040】
本第2実施形態では、トラクションコントロール装置20aにおいて、一側接続配線40および他側接続配線50に代えて一側接続配線40cおよび他側接続配線50cを採用するとともに、新たに一対の板状配線60,70を採用する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
図9に示すように、一側接続配線40cは、遮断配線30との接続部位での断面積が電源配線23との接続部位での断面積よりも小さくなるように構成されている。また、他側接続配線50cは、遮断配線30との接続部位での断面積がランド26との接続部位での断面積よりも小さくなるように構成されている。
【0042】
また、遮断配線30の近傍には、この遮断配線30を介して対向するように一対の板状配線60,70が設けられている。両板状配線60,70は、遮断配線30と同じ銅などの導電性材料からなり、他の配線に接続されることなく板状の配線として形成されている。
【0043】
これら一対の板状配線60,70は、一方の板状配線60における遮断配線側の側縁61とこの側縁61に対向する遮断配線30の側縁31との距離X1と、他方の板状配線70における遮断配線側の側縁71とこの側縁71に対向する遮断配線30の側縁32との距離X2とが遮断配線30に沿いほぼ等しくなるように配置されている。
【0044】
このように構成される遮断配線30では、上記第1実施形態と同様に、エッチング液に浸漬されるとき、図10の矢印L1,L2にて例示するように、エッチング液が遮断配線30の側縁31と一方の板状配線60の側縁61との間と、遮断配線30の側縁32と他方の板状配線70の側縁71との間との間に流れ込む。このとき、一対の板状配線60,70は、距離X1と距離X2とがほぼ等しくなるように配置されているので、側縁31,61間と、側縁32,71間とにおけるエッチング液の流れ込み量がほぼ等しくなる。
【0045】
これにより、遮断配線30の両側の側縁31,32をそれぞれ流れるエッチング液の流れ込み量の差が小さくなり、両側縁31,32におけるエッチングの進行のばらつきが抑制される。これにより、遮断配線30の配線幅のばらつきが抑えられるので、基板面に設けられる遮断配線30による遮断性能の低下を抑制することができる。
【0046】
なお、一対の板状配線60,70は、距離X1と距離X2とがほぼ等しくなるように配置されることに限らず、距離X1と距離X2との差が小さくなるように配置されてもよい。また、一対の板状配線60,70は、導電性材料から板状の配線として形成されることに限らず、エッチング液を用いたエッチング時に除去されない部材から構成される非除去領域として形成されてもよい。
【0047】
図11は、第2実施形態の第1変形例に係るトラクションコントロール装置20aの要部を示す説明図である。図12は、第2実施形態の第2変形例に係るトラクションコントロール装置20aの要部を示す説明図である。
図11に示すように、第2実施形態の第1変形例として、一対の板状配線60,70のうち少なくとも一方は、回路基板21に設けられる他の配線パターンの一部であってもよい。
【0048】
具体的には、上述した他方の板状配線70に代えて、遮断配線30の側縁32に近接して配線パターン70aが形成されており、この配線パターン70aは、他の電子部品22に接続されている。そして、一方の板状配線60は、その側縁61と遮断配線30の側縁31との距離X1が、配線パターン70aの側縁71と遮断配線30の側縁32との距離X2に、遮断配線30に沿いほぼ等しくなるように配置されている。
【0049】
このようにしても、遮断配線30の両側の側縁31,32をそれぞれ流れるエッチング液の流れ込み量の差が小さくなり、両側縁31,32におけるエッチングの進行のばらつきを抑制することができる。特に、双方の板状配線60,70を遮断配線30に近づけて配置する場合と比較して、他方の板状配線70を別途設ける必要がないので、実装領域を小さくでき、回路基板21およびこの回路基板21を備える装置の小型化を図ることができる。
【0050】
また、図12に示すように、第2実施形態の第2変形例として、両板状配線60,70における側縁61,71にある角部62,72を丸めるように形成してもよい。これにより、遮断配線30の側縁31,32と両板状配線60,70の側縁61,71との間をエッチング液が流れやすくなり、遮断配線30の両側の側縁31,32におけるエッチングの進行のばらつきがより抑制されて、遮断配線30の配線幅のばらつきを確実に抑えることができる。
【0051】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るトラクションコントロール装置について図13を用いて説明する。図13は、第3実施形態に係るトラクションコントロール装置20bの要部を示す説明図である。
【0052】
本第3実施形態では、トラクションコントロール装置20bにおいて、上記第1実施形態の構成に対して上記第2実施形態にて述べた一対の板状配線60,70を新たに採用する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
図13に示すように、遮断配線30は、その一端にて上述した一側接続配線40を介して電源配線23に電気的に接続されており、その他端にて上述した他側接続配線50を介してランド26に電気的に接続されている。そして、遮断配線30の近傍には、この遮断配線30を介して対向するように一対の板状配線60,70が設けられており、これら一対の板状配線60,70は、側縁31,61間の距離X1と、側縁32,71間の距離X2とが遮断配線30に沿いほぼ等しくなるように配置されている。
【0054】
このように、遮断配線30および両接続配線40,50の側縁がなだらかに連続するため、これら各配線30,40,50をエッチング液を用いて形成する場合には、遮断配線30の側縁31,32と両接続配線40,50の側縁41,42,51,52との接続部位C1〜C4でエッチング液が均一に流れやすくなる。これにより、上記接続部位C1〜C4でのエッチング液の滞留が抑制されて遮断配線30の配線幅のばらつきが抑えることができる。さらに、一対の板状配線60,70により、遮断配線30の両側の側縁31,32をそれぞれ流れるエッチング液の流れ込み量の差が小さくなり、両側縁31,32におけるエッチングの進行のばらつきを抑制することができる。
【0055】
これにより、遮断配線30の側縁31,32と両接続配線40,50の側縁41,42,51,52との接続部位C1〜C4だけでなく遮断配線30の両側の側縁31,32でもエッチングに関するばらつきが抑制されて遮断配線30の配線幅のばらつきが抑えられるので、基板面に設けられる遮断配線30による遮断性能の低下を確実に抑制することができる。
【0056】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る電子制御装置について図14を用いて説明する。図14は、第4実施形態に係る電子制御装置110の要部を示す説明図である。
本第4実施形態に係る電子制御装置110では、同一の基板120上に、上記第1実施形態に係るトラクションコントロール装置20の機能を回路ブロック化した回路ブロック130と、さらに他の機能を回路ブロック化した回路ブロック140,150とを配置して構成されている。なお、他の機能としては、回路ブロック130の機能よりも重要性が高い機能であって、例えば、エンジンECUに対応する機能やブレーキECUに対応する機能であり、回路ブロック140は、エンジンECUに対応する機能を回路ブロック化して構成され、回路ブロック150は、ブレーキECUに対応する機能を回路ブロック化して構成されている。
【0057】
図14に示すように、各回路ブロック130,140,150には、コネクタ121を介してバッテリ13からの電力を供給する電源配線23が、それぞれ分岐配線131,141,151を介して電気的に接続されている。そして、上述した遮断配線30が回路ブロック130の分岐配線131上に当該回路ブロック130に対して過電流保護として機能するように配置されている。そして、電源配線23上に、当該基板120に対して過電流保護として機能する遮断配線122が設けられている。すなわち、基板120上には、全ての回路ブロック130〜150を含めた基板120を保護する遮断配線122と、回路ブロック130を保護する遮断配線30との2つの遮断配線が設けられている。
【0058】
これにより、遮断配線30が設けられる回路ブロック130において短絡故障等により過電流が生じることから当該遮断配線30が溶断する場合でも、他の回路ブロック140,150では、分岐配線141,151を介した電源配線23との接続が維持されるので、溶断した遮断配線30を有する回路ブロック130のみ機能を停止して、他の回路ブロック140,150での機能を継続することができる。特に、回路ブロック130の機能は、他の回路ブロック140,150よりも重要性が低いので、重要性が低い回路ブロック130の機能停止が、重要性が高い回路ブロック140,150の機能に影響を及ぼすことを抑制することができる。また、遮断配線30が設けられない回路ブロック140,150において短絡故障等により過電流が生じる場合でも、その過電流が電源配線23を流れることで遮断配線122が溶断して各回路ブロック130,140,150での機能が停止するので、発生した過電流が他の回路ブロックへ流れることを抑制することができる。
【0059】
特に、遮断配線30を、遮断配線122に対して遮断時の電流値が小さくなるようにその配線幅を小さく形成することで、遮断配線30が設けられる回路ブロック130において短絡故障等により過電流が生じる場合には、遮断配線30が遮断配線122よりも確実に早く溶断する。これにより、他の回路ブロック140,150への影響を確実に抑制することができる。
なお、本実施形態における1つの基板上に2つの遮断配線を設ける構成は、他の実施形態や変形例に採用されてもよい。
【0060】
なお、本発明は上記各実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)上述のように形成される一側接続配線40,40a,40bは、電源配線23に代えて、過電流保護の対象である各電子部品22にて共用される共用配線に電気的に接続されてもよい。
【0061】
(2)上述のように形成される他側接続配線50,50a,50bは、ランド26に電気的に接続されることに限らず、例えば、表層に露出しない内層側の配線など、電子部品を搭載するための部品搭載配線に電気的に接続されてもよい。
【0062】
(3)上述した遮断配線30および接続配線40,50は、上述したエンジンECUやブレーキECU,ステアリングECUをはじめボディECUやナビゲーション装置などの複数の電子制御装置12の過電流保護用として基板ごとに採用されてもよい。
【0063】
(4)上述した遮断配線30および一対の板状配線60,70は、上述したエンジンECUやブレーキECU,ステアリングECUをはじめボディECUやナビゲーション装置などの複数の電子制御装置12の過電流保護用として基板ごとに採用されてもよい。
【0064】
(5)遮断配線30は、その一部または全部が電源配線23やランド26よりも熱伝導率の低い材料、例えばアルミニウム等により形成してもよい。これにより、過電流により遮断配線30に生じた熱が電源配線23やランド26に伝わりにくくなるので、遮断配線30における温度上昇のばらつきが抑制されて、遮断配線30による遮断性能の低下を確実に抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
10…自動車
11…車両制御システム
12…電子制御装置
13…バッテリ
14a,14b…ヒューズ
20,20a,20b…トラクションコントロール装置(電子制御装置)
21…回路基板
22…電子部品
23…電源配線(接続対象)
24,24d…セラミックコンデンサ
26…ランド(接続対象)
30…遮断配線
31,32…側縁
40,40a…一側接続配線
50,50a…他側接続配線
60,70…板状配線(非除去領域)
61,71…側縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過電流による発熱に応じて溶断した場合に接続対象との接続を遮断する遮断配線が、接続配線を介して前記接続対象に接続されて基板上に形成される配線基板の製造方法であって、
前記遮断配線および前記接続配線を構成するための導体層が設けられた基板を用意する第1工程と、
前記導体層上にエッチングレジストを形成する第2工程と、
前記エッチングレジストのうち、前記遮断配線および前記接続配線を含めた配線パターンと異なる領域に形成されたエッチングレジストを除去して、前記接続配線に相当する前記導体層上の前記エッチングレジストにおける側縁が前記遮断配線に相当する前記導体層上の前記エッチングレジストにおける側縁となだらかに連続し前記接続対象に向かうにつれて徐々に広がるように前記エッチングレジストを残す第3工程と、
前記エッチングレジストが形成されていない前記導体層を除去するためのエッチング液に前記基板を浸漬する第4工程と、
前記浸漬後の前記基板から前記エッチングレジストを除去する第5工程と、
を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項1】
過電流による発熱に応じて溶断した場合に接続対象との接続を遮断する遮断配線が、接続配線を介して前記接続対象に接続されて基板上に形成される配線基板の製造方法であって、
前記遮断配線および前記接続配線を構成するための導体層が設けられた基板を用意する第1工程と、
前記導体層上にエッチングレジストを形成する第2工程と、
前記エッチングレジストのうち、前記遮断配線および前記接続配線を含めた配線パターンと異なる領域に形成されたエッチングレジストを除去して、前記接続配線に相当する前記導体層上の前記エッチングレジストにおける側縁が前記遮断配線に相当する前記導体層上の前記エッチングレジストにおける側縁となだらかに連続し前記接続対象に向かうにつれて徐々に広がるように前記エッチングレジストを残す第3工程と、
前記エッチングレジストが形成されていない前記導体層を除去するためのエッチング液に前記基板を浸漬する第4工程と、
前記浸漬後の前記基板から前記エッチングレジストを除去する第5工程と、
を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−84987(P2013−84987A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−2744(P2013−2744)
【出願日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【分割の表示】特願2011−22928(P2011−22928)の分割
【原出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【分割の表示】特願2011−22928(P2011−22928)の分割
【原出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]