説明

配線基板及びその製造方法

【課題】材料コストや工数を増加させずに、コンフォーマル工法で形成した非貫通孔内へのフィルドビアめっきの充填性を改善し、接続信頼性を向上させた配線基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】表層銅箔3の開口10から基材4を貫通して内層導体5に到る非貫通孔7と、前記非貫通孔7の周囲の基材上に前記表層銅箔の窓孔2を前記非貫通孔7より拡大して形成したエッチバック部11と、前記非貫通孔7を充填し、前記内層導体5と表層銅箔3とを電気的に接続するフィルドビア14と、を有する配線基板及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関し、特には、層間接続をフィルドビアめっきで形成する配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高密度化の要求に伴い、ビルドアップ配線板においては、表層銅箔から基材を貫通して内層銅箔に到る非貫通孔を形成した後、非貫通孔をフィルドビアめっきで充填して層間接続を形成するものが多く生産されている。
【0003】
このような層間接続をフィルドビアめっきを形成する方法としては、表層銅箔に形成した窓孔をマスクとして、レーザ加工により内層導体に到る非貫通孔を形成(以下、このような非貫通孔の形成方法を、「コンフォーマル工法」とも言う。)した後、レーザ加工により溶融飛散した銅が、表層銅箔の窓孔周辺に付着するので、これをエッチングで除去する方法が開示されている(特許文献1)。
【0004】
また、コンフォーマル工法において、表層銅箔上に保護金属層を形成し、表層銅箔と保護金属層との両者に窓孔を形成し、これをマスクとしてレーザ加工を行い、非貫通孔を形成した後、窓孔周囲の保護金属層上に銅が溶融飛散し、また保護金属層の端部が非貫通孔側に飛び出す(このように非貫通孔側に飛び出した部分を、「突出部」とも言う。)ので、保護金属層を剥離することで、溶融飛散銅と突出部を除去する方法が開示されている(特許文献2)。
【0005】
また、コンフォーマル工法を用いて形成した場合に、表層銅箔の窓孔の端部が非貫通孔側に飛び出した突出部を形成させ、この突出部によって、フィルドビアめっきを用いた配線基板の接続信頼性を向上させる方法が開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−046246号公報
【特許文献2】特開2009−164491号公報
【特許文献3】特開2010−232590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コンフォーマル工法で形成した非貫通孔にフィルドビアめっきで層間接続を形成する場合、一般に、図5のように、表層銅箔3の窓孔2の端部が、レーザ加工で形成した非貫通孔7側に飛び出すことにより突出部8を形成するが、このような突出部8があると、むしろ、フィルドビアめっき14の充填性やその前に行う下地めっき13のつきまわり性を阻害する。また、フィルドビアめっき14のための下地めっき13を行う際には、その前に、デスミア処理を行うが、その際に、非貫通孔7の内壁(基材4)がエッチングされるため、表層銅箔3の突出部8は拡大する傾向がある。このため、表層の導体回路の微細化が要求されるに伴い、表層銅箔3上のフィルドビアめっき14とその下地めっき13はより薄くしたいという要求があるにも関わらず、フィルドビアめっき14やその下地めっき13をある程度厚くせざるを得ない問題がある。
【0008】
特許文献1の方法では、図4(A)に示すように、レーザ加工後に表層銅箔3の窓孔2周辺に付着した溶融飛散銅をエッチングし、開口端部12をテーパー状に形成するが、図5のような、レーザ加工後に表層銅箔3の突出部8が形成される場合を考慮しておらず、この突出部8を除去するわけではないので、レーザ加工後に突出部8を有する場合は、突出部8がそのまま残留することになる。また、レーザ加工後に突出部8を有しない場合でも、表層銅箔3の窓孔2周辺に付着した溶融飛散銅をエッチングした後で、デスミア処理を行うので、デスミア工程で非貫通孔7の内壁(基材4)がエッチングされると、図4(B)に示すように、非貫通孔7の縁まで残っている表層銅箔3が突出部8を形成することになる。このため、結果的には、図5に示した従来技術と同様に、フィルドビアめっき14の充填性やその下地めっき13のつきまわり性を阻害する問題がある。特許文献2の方法では、表層銅箔上に保護金属層を形成する必要があり、材料コストや工数が大幅に増加する問題がある。特許文献3の方法では、表層銅箔3の突出部8をそのまま残すため、図5に示した従来技術そのものであり、特許文献1と同様に、フィルドビアめっき14の充填性やその下地めっき13のつきまわり性を阻害し、接続信頼性を確保できない問題がある。
【0009】
本願発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、材料コストや工数の増加を抑制しつつ、コンフォーマル工法で形成した非貫通孔内へのフィルドビアめっきの充填性やその下地めっきのつきまわり性を改善し、接続信頼性を向上させた配線基板及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下を特徴とする。
1. 表層銅箔の開口から基材を貫通して内層導体に到る非貫通孔と、前記非貫通孔の周囲の基材上に前記表層銅箔の窓孔を前記非貫通孔より拡大して形成したエッチバック部と、前記非貫通孔を充填し、前記内層導体と表層銅箔とを電気的に接続するフィルドビアめっきと、を有する配線基板。
2. 項1において、表層銅箔の開口端部の上部がテーパー状または曲線状である配線基板。
3. 内層導体と基材と表層銅箔とを有する配線基板の表層銅箔に窓孔を形成する工程と、前記窓孔をマスクとして、レーザ加工により、前記表層銅箔の窓孔から基材を貫通して内層導体に到る非貫通孔を形成する工程と、前記表層銅箔の窓孔を前記非貫通孔より拡大して、前記非貫通孔の周囲の基材上にエッチバック部を形成する工程と、前記非貫通孔内のデスミア処理を行う工程と、前記内層導体と表層銅箔とを電気的に接続するフィルドビアめっきを形成する工程とを有する配線基板の製造方法。
4. 項3において、エッチバック部を形成する工程では、硫酸/過酸化水素水溶液、または過硫酸アンモニウム水溶液、または過硫酸ナトリウム水溶液を用いて、表層銅箔の全面をソフトエッチングする配線基板の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、材料コストや工数の増加を抑制しつつ、コンフォーマル工法で形成した非貫通孔内へのフィルドビアめっきの充填性やその下地めっきのつきまわり性を改善し、接続信頼性を向上させた配線基板及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係る配線基板の断面図である。
【図2】本発明の実施例2に係る配線基板の断面図である。
【図3】本発明の配線基板の製造工程を表すフロー図である。
【図4】従来(比較例1)の配線基板の断面図である。
【図5】他の従来(比較例2)の配線基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の配線基板の実施形態を、図1及び図2に示す。本実施形態は、表層銅箔3の開口10から基材4を貫通して内層導体5に到る非貫通孔7と、前記非貫通孔7の周囲の基材4上に前記表層銅箔3を前記非貫通孔7より拡大して形成したエッチバック部11を有し、前記非貫通孔7を充填し、前記内層導体5と表層銅箔3とを電気的に接続するフィルドビアめっき14を有する。
【0014】
本発明の配線基板の製造方法は、図3(A)〜(D)に示すように、内層導体5と基材4と表層銅箔3とを有する配線基板1の表層銅箔3に窓孔2を形成する工程(図3(A))と、前記窓孔2をマスクとして、レーザ加工により、前記表層銅箔3の窓孔2から基材4を貫通して内層導体5に到る非貫通孔7を形成する工程(図3(B))と、前記表層銅箔3の窓孔2を前記非貫通孔7より拡大して、前記非貫通孔7の周囲の基材4上にエッチバック部11を形成する工程(図3(C))と、前記非貫通孔7内のデスミア処理を行う工程と、前記内層導体5と表層銅箔3とを電気的に接続するフィルドビアめっき14を形成する工程(図3(D))とを有する。
【0015】
本発明において、配線基板とは、内層導体と基材と表層銅箔とを有するものをいい、完成品だけでなく、生産の途中段階のものを含む。
【0016】
本発明において、基材とは、表層銅箔と内層導体との間の絶縁を保ちながら、両者を接着するものである。一般に配線基板に用いられるものを使用することができ、このようなものとして、強化繊維を有するガラスエポキシやガラスポリイミド、強化繊維を有しないエポキシ接着シートなどが挙げられる。また、基材は表層銅箔と一体化された銅箔付きの接着シートでもよい。基材の厚さは、特に限定されないが、20μm〜100μmであると、直径20μm〜5mm、特にはレーザ加工に適した40〜120μmの非貫通孔を形成する場合に、フィルドビアめっきの充填性やその下地めっきのつきまわり性を確保できる点で望ましい。
【0017】
本発明において、内層導体とは、基材を挟んで表層銅箔の反対側に位置し、表層導体の開口から非貫通孔が到達する導体をいう。基材を挟んで表層導体の反対側に位置し、表層導体の開口から非貫通孔が到達する導体であるので、内層導体とはいっても、表層銅箔側からみて、基材を介して内層となる位置にあるものなので、生産の途中段階や2層の配線基板においては、外層導体となるものを含む。内層導体は、銅箔単体でもよいし、銅箔上にめっきが形成されたものでもよい。また、内層導体は、エッチング等で回路形成されたものでもよい。内層導体の厚さは、レーザ加工の際のレーザや、後述するエッチバック部を形成する際のソフトエッチングで除去されない程度の厚みが必要である。また、内層に形成する内層導体の精度を考慮すると、エッチング等で必要な精度で導体回路を形成できるように、なるべく薄い(例えば、12〜35μm)ことが望ましい。
【0018】
本発明において、表層銅箔とは、配線基板の表層に位置する銅箔をいう。完成品としての配線基板の表層にとなるものだけでなく、生産の途中段階における配線基板の表層になるものも含まれる。表層銅箔としては、電解銅箔や圧延銅箔等の一般的に配線基板に用いられるものを用いることができる。表層銅箔の厚さとしては、エッチングによって必要な径の窓孔を必要な精度で形成でき、この窓孔がレーザ加工の際にマスクとして機能するものであれば、特に限定はない。後述するフィルドビアめっきやその下地めっきの厚みによって、表層に形成する導体回路の精度が影響されることを考慮すると、表層銅箔は、なるべく薄い(例えば、3〜12μm)ことが望ましい。
【0019】
本発明において、窓孔とは、いわゆるコンフォーマル工法におけるレーザ加工の際に、マスクとして機能するものであり、表層銅箔をエッチングすることにより、所望の大きさ(直径)となるように形成することができる。
【0020】
本発明において、非貫通孔とは、表層銅箔の開口から基材を貫通して内層導体に到るものであり、底部が内層導体上で行き止まりとなっているものをいう。いわゆるコンフォーマル工法を用いて、レーザ加工により形成される。レーザとしては、コンフォーマル工法で一般的に用いられる炭酸ガスレーザ、UV−YAGレーザ等を用いることができる。
【0021】
表層銅箔の開口とは、コンフォーマル工法におけるレーザ加工のマスクとするために形成した窓孔を、一回り大きく拡大したものであり、少なくとも、表層導体の窓孔の端部から突出部を除去し、エッチバック部を形成した後の開口をいう。突出部とは、表層銅箔の窓孔の端部であって、基材に形成された非貫通穴の内部側に、ひさし状に飛び出した部分をいう。
【0022】
本発明において、エッチバック部とは、非貫通孔の周囲の基材上であって、表層銅箔の窓孔を非貫通孔より拡大して形成した部位をいう。つまり、表層銅箔の開口端部が、非貫通孔の端部よりも外側に後退することによって、表層銅箔から露出した基材上を指す。エッチバック部は、非貫通孔の全周囲を囲むように形成される。このように、基材上にエッチバック部が形成されることにより、非貫通孔の入り口が広がり、非貫通孔が直径20μm〜5mm、特にはレーザ加工に適した40〜120μmと微細であっても、フィルドビアめっきやその下地めっきに用いるめっき液の液流がスムーズになる。また、非貫通孔の周囲近傍の基材上には表層銅箔が存在しないので、デスミア処理を行った際に、非貫通孔の内壁(基材)がエッチングされても、表層銅箔が非貫通孔の内側に飛び出して突出部を形成することがない。さらに、デスミア処理によって、非貫通孔の端部の基材がエッチングされ、基材の非貫通孔の端部にテーパー(図示しない。)が形成される。このため、フィルドビアめっきの充填性やその下地めっきのつきまわり性が向上する。また、非貫通孔の入り口に表層銅箔が存在しないので、入り口付近への電流の集中も少ない。したがって、非貫通孔内へのフィルドビアめっきの充填性(めっきによる非貫通穴の埋め込み性)が向上する。
【0023】
エッチバック部の形成は、表層銅箔の窓孔の端部をエッチングにより除去する方法を用いることができる。表層銅箔の窓孔の端部をエッチングする一つの方法としては、配線基板の導体回路の形成において、一般に行われるように、エッチバック部に対応するように、所定のパターンのエッチングレジストを形成した後、塩化銅エッチング液や塩化鉄エッチング液を用いたサブトラクト法で形成する方法がある。この場合は、図2に示すように、表層銅箔3の開口端部12の断面形状が、矩形となるが、エッチバック部11を形成した後の開口10の寸法や形状の精度がよい利点がある。
【0024】
表層銅箔の窓孔の端部をエッチングする他の方法としては、配線基板の全体をソフトエッチング液に浸漬し、表層銅箔の全面をソフトエッチングする方法がある。ソフトエッチング液に浸漬した場合のエッチングは、表層銅箔の端部の方が早く進行する傾向があるため、非貫通孔側に飛び出した表層銅箔の窓孔の端部(突出部)から優先的に除去することができ、さらに基材上のエッチバック部の形成も容易である。このため、図1に示すように、表層銅箔3の開口端部12の断面形状が、滑らかなテーパーあるいは曲線状となるので、フィルドビアめっき14やその下地めっき13に用いるめっき液の液流がスムーズになり、フィルドビアめっき14の充填性やその下地めっき13のつきまわり性が向上する。また、表層銅箔3の開口端部12に角部が存在しないので、入り口付近への電流の集中も少ない。したがって、非貫通孔7内へのフィルドビアめっき14の充填性が向上する。ソフトエッチング液としては、公知の硫酸/過酸化水素水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液、過硫酸ナトリウム水溶液等のソフトエッチング液を用いることができる。エッチバック部の形成は、配線基板1の製造工程で用いられる公知のソフトエッチング液を用いて、エッチング量を管理するだけで容易に行うことができるので、材料コストや工数の増加を抑制できる。
【0025】
本発明において、フィルドビアめっきとは、非貫通孔を充填するように形成されるめっきをいう。一般の配線基板で用いられるフィルドビアめっきを用いることができ、このようなものとしては、硫酸銅電気めっき液に添加剤を添加したもの等が挙げられる。フィルドビアめっきの厚みは、非貫通孔を充填可能な厚みに設定されるが、表層に形成する導体回路の精度を考慮すると、表層銅箔上では3〜12μmであるのが望ましい。
【0026】
本発明において、フィルドビアめっきは、非貫通孔を充填し、内層導体と表層銅箔とを電気的に接続するように形成される。つまり、フィルドビアめっきは、非貫通孔内だけでなく、基材上に形成されたエッチバック部を含めた全体に充填される。これにより、非貫通孔が直径20μm〜5mm、特にはレーザ加工に適した40〜120μmと微細と微細であっても、フィルドビアめっきにボイドが発生するのを抑制することができ、接続信頼性を向上させることができる。
【0027】
フィルドビアめっきの下地めっきは、表層銅箔の表面から非貫通孔内にかけて形成され、フィルドビアめっきを電気めっきで形成するための給電層となるものである。配線基板の製造工程で一般に使用される、無電解銅めっき等を用いて形成することができる。下地めっきの厚みは、表層に形成する導体回路の精度を考慮すると、0.1〜1μmであるのが望ましい。
【実施例】
【0028】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、本実施例に限定されない。
【0029】
(実施例1)
銅箔と銅めっきで形成した内層導体上に、ガラスエポキシ製の絶縁樹脂層である基材(厚さ60μm、GEN−E−679FG、日立化成工業株式会社製、商品名)を挟んで、厚さ18μmの表層銅箔を張り合わせた配線基板を準備した。この配線基板1の表層銅箔3にエッチングレジストを形成し、エッチングで直径80mmの窓孔2を形成した(図3(A))。
【0030】
この配線基板1の表層銅箔3の窓孔2をマスクとして、レーザ加工で表層銅箔3の窓孔2から基材4を貫通して内層導体5に到る非貫通孔7を形成した(図3(B))。このときの非貫通孔7は、直径100μmであり、片側で約10μmの突出部8が形成された。
【0031】
次に、配線基板1の全体をソフトエッチング液に浸漬し、表層銅箔3の全面をソフトエッチングした。これにより、表層銅箔3の窓孔2の端部に形成された突出部8をエッチング除去するとともに、表層銅箔3の窓孔2を非貫通孔7より拡大して、非貫通孔7の周囲の基材4上にエッチバック部11を形成した(図3(C))。つまり、エッチバック部11では、非貫通孔7の周囲の基材4表面が露出している。このとき用いたソフトエッチング液は、下地めっき前処理工程等で用いられる過硫酸ナトリウム水溶液(150g/L)であり、エッチバック量(エッチバック部の幅)は10μmである。これにより、図3(C)に示すように、表層銅箔3の開口端部12の断面形状が、滑らかなテーパーあるいは曲線状となった。
【0032】
次に、過マンガン酸ナトリウム処理によるスミア除去を施した。このデスミア処理によって、非貫通孔の端部の基材がエッチングされ、基材の非貫通孔の端部(角部)にテーパー(図示しない。)が形成された。次に、無電解銅めっき液であるCUST−2000(日立化成工業株式会社製、商品名)を用いて、フィルドビアめっきのための下地めっきを行った。このときの下地めっきの厚みは、約0.3μmと比較的薄く設定したが、つきまわり性は確保できた。
【0033】
次に、フィルドビアめっき液であるトップルチナNSV(奥野製薬株式会社製、商品名)を用いて、下地めっき13を給電層として、電気めっきにより非貫通孔7を充填するように、フィルドビアめっき14を形成した(図3(D))。このときの、フィルドビアめっき14の厚みは、表層銅箔3上で約10μmと比較的薄く設定したが、非貫通孔7の充填性は確保できた。
【0034】
(実施例2)
内層導体5と基材4と表層銅箔3とを有する配線基板1の表層銅箔3に窓孔2を形成する工程(図3(A))、及び、窓孔2をマスクとして、レーザ加工により、表層銅箔3の窓孔2から基材4を貫通して内層導体5に到る非貫通孔7を形成する工程(図3(B))まで、実施例1と同様に行った。このときの非貫通孔7は、直径100μmであり、片側で約10μmの突出部8が形成されている。
【0035】
次に、表層銅箔の窓孔周囲に形成するエッチバック部に対応するように、所定のパターンのエッチングレジストを形成した後、塩化鉄エッチング液を用いてエッチングした。これにより、表層銅箔の窓孔の端部に形成された突出部をエッチング除去するとともに、表層銅箔の窓孔を非貫通孔より拡大して、非貫通孔の周囲の基材上にエッチバック部を形成した。つまり、エッチバック部では、非貫通孔の周囲の基材表面が露出している。エッチバック量(エッチバック部の幅)は10μmである。この場合は、図2に示すように、表層銅箔3の開口端部12の断面形状が、矩形となるが、エッチバック部11を形成した後の開口10の寸法や形状の精度が良好であった。
【0036】
次に、過マンガン酸ナトリウム処理によるスミア除去を施した。このデスミア処理によって、非貫通孔の端部の基材がエッチングされ、基材の非貫通孔の端部(角部)にテーパー(図示しない。)が形成された。次に、無電解銅めっき液であるCUST2000(日立化成工業株式会社製、商品名)を用いて、フィルドビアめっきのための下地めっきを行った。このときの下地めっきの厚みは、約0.6μmと比較的薄く設定したが、つきまわり性は確保できた。
【0037】
次に、フィルドビアめっき液であるトップルチナNSV(奥野製薬株式会社製、商品名)を用いて、下地めっき13を給電層として、電気めっきにより非貫通孔7を充填するように、フィルドビアめっき14を形成した(図2)。このときの、フィルドビアめっき14の厚みは、表層銅箔3上で約13μmと比較的薄く設定したが、非貫通孔7の充填性は確保できた。
【0038】
(比較例1)
内層導体5と基材4と表層銅箔3とを有する配線基板1の表層銅箔3に窓孔2を形成する工程(図3(A))、及び、窓孔2をマスクとして、レーザ加工により、表層銅箔3の窓孔2から基材4を貫通して内層導体5に到る非貫通孔7を形成する工程(図3(B))まで、実施例1と同様に行った。このときの非貫通孔7は、直径100μmであり、片側で約10μmの突出部8が形成されている。
【0039】
次に、実施例1と同様にして、配線基板1の全体をソフトエッチング液に浸漬し、表層銅箔3の全面をソフトエッチングした。但し、表層銅箔3の窓孔2の端部に形成された突出部8をエッチング除去したが、表層銅箔3の窓孔2は非貫通孔7と同径までしか拡大しておらず、非貫通孔7の周囲の基材4上にエッチバック部11は形成しなかった(図4(A))。つまり、非貫通孔7の周囲の基材4表面は表層銅箔3から露出していない。このとき用いたソフトエッチング液は、下地めっき前処理工程等で用いられる過硫酸ナトリウム水溶液(150g/L)であり、エッチバック量(エッチバック部の幅)は0μmである。これにより、図4(A)に示すように、表層銅箔3の開口端部12の断面形状は、滑らかなテーパーあるいは曲線状となった。
【0040】
次に、過マンガン酸ナトリウム処理によるスミア除去を施した。このデスミア処理によって、非貫通孔7の端部の基材4がエッチングされ、表層銅箔3の端部が、非貫通孔7の内側に約5〜10μm飛び出し、突出部8が形成された(図4(B))。次に、無電解銅めっき液であるCUST2000(日立化成工業株式会社製、商品名)を用いて、フィルドビアめっき14のための下地めっき13を行った。このときの下地めっき13の厚みは、実施例1及び2よりも厚く、約1.5μmに設定することで、つきまわり性を確保できた。
【0041】
次に、フィルドビアめっき液であるトップルチナ NSV(奥野製薬株式会社製、商品名)を用いて、下地めっきを給電層として、電気めっきにより非貫通孔を充填するように、フィルドビアめっきを形成した(図示しない。)。デスミア処理によって、表層銅箔には突出部が形成されているため、フィルドビアめっきの厚みを、実施例1及び2よりも厚く、表層銅箔上で約15μmと比較的厚く設定したにもかかわらず、ボイドの発生がみられた。
【0042】
(比較例2)
内層導体5と基材4と表層銅箔3とを有する配線基板1の表層銅箔3に窓孔2を形成する工程(図3(A))、及び、窓孔2をマスクとして、レーザ加工により、表層銅箔3の窓孔2から基材4を貫通して内層導体5に到る非貫通孔7を形成する工程(図3(B))まで、実施例1と同様に行った。このときの非貫通孔7は、直径100μmであり、片側で約10μmの突出部8が形成されているが、この表層銅箔3の突出部8は残したままにした。
【0043】
次に、過マンガン酸ナトリウム処理によるスミア除去を施し、無電解銅めっき液であるCUST2000(日立化成工業株式会社製、商品名)を用いて、フィルドビアめっきのための下地めっきを行った。このときの下地めっきの厚みは、実施例1及び2よりも厚く、約3.0μmに設定することで、つきまわり性を確保した。
【0044】
次に、フィルドビアめっき液であるトップルチナNSV(奥野製薬株式会社製、商品名)を用いて、下地めっき13を給電層として、電気めっきにより非貫通孔7を充填するように、フィルドビアめっき14を形成した(図5)。このときの、フィルドビアめっき14の厚みは、実施例1及び2よりも厚く、表層銅箔3上で約20μmと比較的厚く設定したが、非貫通孔7の充填性は確保できず、ボイド6の発生が見られた。
【符号の説明】
【0045】
1.配線基板
2.窓孔
3.表層銅箔
4.基材
5.内層導体
6.ボイド
7.非貫通孔
8.突出部
9.凹部
10.開口
11.エッチバック部
12.開口端部
13.下地めっき
14.フィルドビアめっき

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表層銅箔の開口から基材を貫通して内層導体に到る非貫通孔と、前記非貫通孔の周囲の基材上に前記表層銅箔の窓孔を前記非貫通孔より拡大して形成したエッチバック部と、前記非貫通孔を充填し、前記内層導体と表層銅箔とを電気的に接続するフィルドビアめっきと、を有する配線基板。
【請求項2】
請求項1において、表層銅箔の開口端部がテーパー状または曲線状である配線基板。
【請求項3】
内層導体と基材と表層銅箔とを有する配線基板の表層銅箔に窓孔を形成する工程と、
前記窓孔をマスクとして、レーザ加工により、前記表層銅箔の窓孔から基材を貫通して内層導体に到る非貫通孔を形成する工程と、
前記表層銅箔の窓孔を前記非貫通孔より拡大して、前記非貫通孔の周囲の基材上にエッチバック部を形成する工程と、
前記非貫通孔内のデスミア処理を行う工程と、
前記内層導体と表層銅箔とを電気的に接続するフィルドビアめっきを形成する工程とを有する配線基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、エッチバック部を形成する工程では、硫酸/過酸化水素水溶液、または過硫酸アンモニウム水溶液、または過硫酸ナトリウム水溶液を用いて、表層銅箔の全面をソフトエッチングする配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−74149(P2013−74149A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212560(P2011−212560)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】