説明

配線基板

【課題】半導体集積回路素子に対して十分な電源供給を行なって半導体集積回路素子を良好に作動させることが可能な配線基板を提供すること。
【解決手段】上面側のビルドアップ配線層3における第2のビア群における隣接する複数個ずつが第2のパッド7GのピッチP1より狭いピッチP2で寄り集まった複数のビアグループ6Bを形成しているとともに、隣接するビアグループ6Bに接続されたビアランド3L同士の間に第1の電源プレーン3Pが介在し、ビアランド3L同士の間の第1の電源プレーン3Pを通して第1の半導体素子接続パッド7Pの各列から第1のスルーホール5Pへの導電路が形成されているとともに、下面側のビルドアップ配線層3におけるビアランド3Lは、複数一組のビア6に対応する分が一つに繋がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子を搭載するための配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路素子を搭載するための配線基板として、ビルドアップ法により形成された配線基板が知られている。図7はビルドアップ法により形成された従来の配線基板の一例を示す概略断面図であり、図8は図7示した配線基板における要部概略上面図である。
【0003】
図7に示すように、従来の配線基板30は、コア基板21の上下面にビルドアップ絶縁層22およびビルドアップ配線層23が交互に複数層ずつ積層されており、その上面中央部に半導体集積回路素子Sを搭載するための搭載部30aを有している。
【0004】
コア基板21の上下面には銅箔や銅めっき層から成るコア導体層24が被着されている。また、コア基板21の上面から下面にかけてコア導体層24の一部として機能する銅めっき層が被着された多数のスルーホール25が格子状の配列で形成されている。
【0005】
ビルドアップ絶縁層22には、それぞれに複数のビアホール26が形成されており、ビアホール26を含む各ビルドアップ絶縁層22の表面には銅めっき層から成るビルドアップ配線層23が被着形成されている。そしてビルドアップ配線層23は、ビアホール26を介して上下のものが互い接続されているとともにスルーホール25に電気的に接続している。さらに、このビルドアップ配線層23のうち、上面側における最外層のビルドアップ絶縁層22の表面に被着された一部は、搭載部30aにおいて半導体集積回路素子Sの電極端子Tに電気的に接続される円形の半導体素子接続パッド27を形成しており、これらの半導体素子接続パッド27は図8に示すように、半導体集積回路素子Sの電極端子Tに対応した格子状の並びに形成されている。また、下面側における最外層のビルドアップ絶縁層22の表面に被着された一部は、外部電気回路基板の配線導体に電気的に接続される円形の外部接続パッド28であり、この外部接続パッド28はスルーホール25に対応した格子状の並びに複数並んで形成されている。
【0006】
さらに、最外層のビルドアップ絶縁層22およびその上のビルドアップ配線層23上には、半導体素子接続パッド27および外部接続パッド28を露出させるソルダーレジスト層29が被着されている。そして、半導体素子接続パッド27の露出部に半導体集積回路素子Sの電極端子Tが電気的に接続されるとともに外部接続パッド28の露出部に図示しない外部電気回路基板の配線導体が半田ボールを介して電気的に接続される。
【0007】
ところで、半導体集積回路素子Sは、配線基板30からの十分な電源供給を確保するためにその下面の中央部に接地用と電源用との電極端子Tを交互に多数設けるとともに下面の外周部に信号用の電極端子を多数設けた端子配置を採用する場合が増えている。このような半導体集積回路素子Sを搭載する場合、配線基板30における半導体素子接続パッド27の配置も半導体集積回路素子Sの電極端子Tに対応して搭載部30aの中央部に接地用および電源用の半導体素子接続パッド27が多数配置され、搭載部30aの外周部に信号用の半導体素子接続パッド27が多数配置されることとなる。
【0008】
図9に、搭載部30aの中央部における接地用と電源用の半導体素子接続パッド27のみを抜き出して上面図で示す。なお図9においては、ソルダーレジスト層29の下の最上層のビルドアップ配線層23を破線で示している。この図9においてGと記した半導体素子接続パッド27は接地用の半導体素子接続パッド27Gであり、Pと記した半導体素子接続パッド27は電源用の半導体素子接続パッド27Pである。図9に示すように、接地用の半導体素子接続パッド27Gと電源用の半導体素子接続パッド27Pとは1個ずつが格子状の配列で斜めに列をなすようにして交互に配設されているとともに、各列の半導体素子接続パッド27同士が1列ずつ帯状の一体のパターンとして統合されている。
【0009】
そして、これらの接地用および電源用の半導体素子接続パッド27は、図10に示すように、上面側のビルドアップ配線層23およびコア導体層24を介してスルーホール25に電気的に接続されている。なお、図10は、図9における一部の半導体素子接続パッド27およびそれに対応する上面側のビルドアップ配線層23およびコア導体層24を抜き出して示した斜視図であり、各層における小さな○印が下層へ接続するビア26の位置を示し、×印が上層からのビア26が接続される位置を示している。
【0010】
半導体素子接続パッド27が接続される次層のビルドアップ配線層23は、主として接地プレーン23Gであり、その中に電源用の半導体素子接続パッド27Pに接続されるビアランド23Lがクリアランス23Cを介して配設されている。ビアランド23Lは各列の電源用の半導体素子接続パッド27Pに対応した位置に列をなすように1対1で並んでおり、ビアランド23Lの各列のクリアランス23Cはひとつに繋がっている。そのため接地プレーン23Gは、ひとつに繋がったクリアランス23Cにより接地用の半導体素子接続パッド27Gの各列に対応するように帯状に隔てられた状態となっている。そして、接地用の半導体素子接続パッド27Gは接地プレーン23Gのクリアランス23Cで挟まれた帯状の部分に接地用の各半導体素子接続パッド27Gからのビア26を介して接続され、電源用の半導体素子接続パッド27Pは1対1で対応するビアランド23Lにビア26を介して接続されている。
【0011】
その下層のビルドアップ配線層23は、主として電源プレーン23Pであり、その中に上層の接地プレーン23Gに接続されるビアランド23Lがクリアランス23Cを介して配設されている。ビアランド23Lは各列の接地用の半導体素子接続パッド27Gに対応した位置に列をなすように1対1で並んでおり、上層のビルドアップ配線層23の場合と同様にビアランド23Lの各列のクリアランス23Cはひとつに繋がっている。そのため電源プレーン23Pは、ひとつに繋がったクリアランス23Cにより電源用の半導体素子接続パッド27の各列に対応するように帯状に隔てられた状態となっている。そして、上層の接地プレーン23Gは接地用の半導体素子接続パッド27Gに対して1対1で対応するビアランド23Lにビア26を介して接続され、電源用の半導体素子接続パッド27Pに接続された上層のビアランド23Lは電源プレーン23Pのクリアランス23Cで挟まれた帯状の部分に上層のビアランド23Lからのビア26を介して接続されている。
【0012】
その下層のコア導体層24は、主として接地プレーン24Gであり、接地プレーン24Gは接地用のスルーホール25Gに接続されているとともに、その中に電源用のスルーホール25Pに接続されたスルーホールランド24Lがクリアランス24Cを介して配設されている。そして、接地プレーン23Gに接続された上層のビアランド23Lがビア26を介して接地プレーン24Gに接続され、上層の電源プレーン23Pがビア26を介してスルーホールランド24Lに接続されている。その結果、接地用の半導体素子接続パッド27Gが接地用のスルーホール25Gに電気的に接続されるとともに電源用の半導体素子接続パッド27Pが電源用のスルーホール25Pに電気的に接続されることとなる。
【0013】
さらに、図11に示すように、接地用のスルーホール25Gと電源用のスルーホール25Pとは、下面側のコア導体層24およびビルドアップ配線層23を介してそれぞれ対応する接地用の外部接続パッド28Gおよび電源用の外部接続パッド28Pに電気的に接続されている。なお、図11は、図10に対応する下面側のコア導体層24およびビルドアップ配線層23を抜き出して示した斜視図であり、各層における小さな○印が下層へ接続するビア26の位置を示し、×印が上層からのビア26が接続される位置を示している。
【0014】
下面側のコア導体層24は、主として電源プレーン24Pであり、電源プレーン24Pは電源用のスルーホール25Pに接続されているとともに、その中に接地用のスルーホール25Gに接続されたスルーホールランド24Lがクリアランス24Cを介して配設されている。
【0015】
その下層のビルドアップ配線層23は、主として接地プレーン23Gであり、その中に上層の電源プレーン24Pに接続されるビアランド23Lがクリアランス23Cを介して配設されている。そして、下面側のコア導体層24における電源プレーン24Pがビアランド23Lにビア26を介して接続されており、スルーホールランド24Lが接地プレーン23Gにビア26を介して接続されている。
【0016】
その下層のビルドアップ配線層23は、主として電源プレーン23Pであり、その中に上層の接地プレーン23Gにビア26を介して接続されるビアランド23Lがクリアランス23Cを介して配設されている。そして、上層のビルドアップ配線層23におけるビアランド23Lが電源プレーン23Pにビア26を介して接続されている。
【0017】
下面側の最外層のビルドアップ配線層23は、主として接地プレーン23Gであり、その中に接地用の外部接続パッド28Gとなる領域を備えているとともに、電源用の外部接続パッド28Pがクリアランス23Cを介して配設されている。そして接地用の外部接続パッド28Gを形成する接地プレーン23Gが上層のビアランド23Lにビア26を介して接続されており、電源用の外部接続パッド28Pが上層の電源プレーン23Pにビア26を介して接続されている。
【0018】
上記のような接続により、接地用のスルーホール25Gとこれに対応する接地用の外部接続パッド28Gおよび電源用のスルーホール25Pとこれに対応する電源用の外部接続パッド28Pとが電気的に接続される。なお、接地用のスルーホール25Gとこれに対応する接地用の外部接続パッド28Gおよび電源用のスルーホール25Pとこれに対応する電源用の外部接続パッド28Pとを接続するビア26およびビアランド23Lは、それぞれ4個ずつが一組で各スルーホール25G,25Pとこれに対応する外部接続パッド28G,28Pとを接続しており、各組のビアランド23Lは4個がそれぞれ独立して形成されている。
【0019】
ところが、一般には半導体素子接続パッド27のピッチよりもスルーホール25のピッチの方が大きいことから、例えば図9中にAで矢示した電源用の半導体素子接続パッド27Pの列を例にとると、この列の半導体素子接続パッド27Pに接続された電源プレーン23Pの帯状の部分の下方には電源用のスルーホール25Pが位置しないことになる。その結果、この部分では電源用のスルーホール25Pまでの電流経路が電源プレーン23Pのクリアランス23Cを大きく迂回することになる。そして、この部分には列Aの電源用の半導体素子接続パッド27Pに接続するためのビア26が多数接続されているので、この大きく迂回する電流経路に大きな電流が集中して流れることとなる。その結果、この電流経路を通しての列Aの電源用の半導体素子接続パッド27Pへ十分な電源供給ができずに半導体集積回路素子Sの良好な作動が損なわれてしまう。
【0020】
そこで、本願出願人は、先に特願2010−222989において、第1の電位に接続される複数の第1のスルーホールおよび第2の電位に接続される複数の第2のスルーホールを有するコア基板の上面に、少なくとも第1の絶縁層間を有する複数の絶縁層が積層されて成る絶縁基板と、前記絶縁基板の上面に格子状の配列で一個ずつまたは複数個ずつが交互に列をなすように配設されており、前記第1のスルーホールに電気的に接続された第1のパッド群および前記第2のスルーホールに電気的に接続された第2のパッド群と、前記第1の絶縁層間に配設されており、前記第1のパッド群の各列に対応する位置に接続された第1のビア群を介して前記第1のパッド群に電気的に接続された第1の電源プレーンおよび前記第2のパッド群の各列に対応する位置に接続された第2のビア群を介して前記第2のパッド群に電気的に接続されているとともにクリアランスを介して前記第1の電源プレーンにより取り囲まれたビアランド群とを有する配線基板であって、前記第2のビア群における隣接する複数個ずつが前記第2のパッドのピッチより狭いピッチで寄り集まった複数のビアグループを形成しているとともに、隣接する前記ビアグループに接続されたビアランド同士の間に前記第1の電源プレーンが介在し、該ビアランド同士の間の前記第1の電源プレーンを通して前記第1のパッド群の各列から前記第1のスルーホールへの導電路が形成されている配線基板を提案した。
【0021】
この特願2010−222989において提案した配線基板によると、上記構成において、前記第2のビア群における隣接する複数個ずつが前記第2のパッドのピッチより狭いピッチで寄り集まった複数のビアグループを形成しているとともに、隣接する前記ビアグループに接続されたビアランド同士の間に前記第1の電源プレーンが介在し、該ビアランド同士の間の前記第1の電源プレーンを通して前記第1のパッド群の格列から前記第1のスルーホールへの導電路が形成されていることから、第1のスルーホールからの第1のパッドへの電源供給路を多数確保して半導体集積回路素子に対して十分な電源供給を行なって半導体集積回路素子を良好に作動させることができる。
【0022】
しかしながら、この特願2010−222989において提案した配線基板では、コア基板の上面側における電流経路については考慮されているものの、コア基板の下面側における電源供給については考慮されていなかった。今後、半導体集積回路素子の消費電力を抑制するために半導体集積回路素子の作動電圧は、ますます低いものとなっていくことが予想されている。そのような作動電圧が低い半導体集積回路素子を搭載する配線基板においては、更なる電源供給特性の向上を図る必要性が出てくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2011−159773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明が解決しようとする課題は、作動電圧が低い半導体集積回路素子に対しても十分な電源供給を行なって半導体集積回路素子を良好に作動させることが可能な配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の配線基板は、第1の電位に接続される複数の第1のスルーホールおよび第2の電位に接続される複数の第2のスルーホールを有するコア基板と、該コア基板の上下面に複数層ずつ積層されたビルドアップ絶縁層と、上面側の最表層の前記ビルドアップ絶縁層の表面に格子状の配列で1個ずつまたは複数個ずつが交互に列をなすように多数配設されており前記第1のスルーホールに電気的に接続された第1の半導体素子接続パッドおよび前記第2のスルーホールに電気的に接続された第2の半導体素子接続パッドと、上面側の前記ビルドアップ絶縁層間に配設されており、前記第1の半導体素子接続パッドの各列に対応する位置に接続された第1のビア群を介して前記第1の半導体素子接続パッドに電気的に接続された第1の電源プレーンおよび前記第2の半導体素子接続パッドの各列に対応する位置に接続された第2のビア群を介して前記第2の半導体素子接続パッドに電気的に接続されているとともにクリアランスを介して前記第1の電源プレーンにより取り囲まれたビアランド群と、下面側の最表層の前記ビルドアップ絶縁層の表面に前記第1のスルーホールに対応して配置されるとともに該第1のスルーホールに電気的に接続された第1の外部接続パッドおよび前記第2のスルーホールに対応して配置されるとともに該第2のスルーホールに電気的に接続された第2の外部接続パッドと、下面側の前記ビルドアップ絶縁層間に配設されており、前記第1または第2の外部接続パッドの一方に対応する位置に接続された複数一組の第3のビアを介して前記第1または第2の外部接続パッドの一方に電気的に接続された第2の電源プレーンおよび前記第1または第2の外部接続パッドの他方に対応する位置に接続された複数一組の第4のビアを介して前記第1または第2の外部接続パッドの他方に接続されているとともにクリアランスを介して前記第2の電源プレーンにより取り囲まれた第2のビアランドとを有する配線基板であって、前記第2のビア群における隣接する複数個ずつが前記第2の半導体素子接続パッドのピッチより狭いピッチで寄り集まった複数のビアグループを形成しているとともに、隣接する前記ビアグループに接続されたビアランド同士の間に前記第1の電源プレーンが介在し、該ビアランド同士の間の前記第1の電源プレーンを通して前記第1のパッド群の各列から前記第1のスルーホールへの導電路が形成されており、かつ前記第2のビアランドは、前記一組の前記第4のビアに対応する分が一つに繋がっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の配線基板によれば、上記構成において、前記第2のビア群における隣接する複数個ずつが前記第2の半導体素子接続パッドのピッチより狭いピッチで寄り集まった複数のビアグループを形成しているとともに、隣接する前記ビアグループに接続されたビアランド同士の間に前記第1の電源プレーンが介在し、該ビアランド同士の間の前記第1の電源プレーンを通して前記第1の半導体素子接続パッドの格列から前記第1のスルーホールへの導電路が形成されていることから、第1のスルーホールからの第1の半導体素子接続パッドへの電源供給路を多数確保することができる。さらに第2のビアランドは、一組の第4のビアに対応する分が一つに繋がっていることから、この第2のビアランドを介した第1および第2のスルーホールから第1および第2の外部接続パッドまでの電源供給を良好に行なうことができる。したがって、低電圧で作動する半導体集積回路素子に対して十分な電源供給を行なって半導体集積回路素子を良好に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の配線基板の実施形態における一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、図1に示す配線基板の要部概略上面図である。
【図3】図3は、図2の要部拡大図である。
【図4】図4は、図1および図2に示す配線基板の要部分解斜視図である。
【図5】図5は、図1および図2に示す配線基板の要部分解斜視図である。
【図6】図6は、図3の要部拡大図である。
【図7】図7は、従来の配線基板を示す概略断面図である。
【図8】図8は、図7に示す配線基板の要部概略上面図である。
【図9】図9は、図8の要部拡大図である。
【図10】図10は、図7および図8に示す配線基板の要部分解斜視図である。
【図11】図11は、図7および図8に示す配線基板の要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に本発明の配線基板における実施形態の一例を添付の図1〜図6を基にして説明する。図1はビルドアップ法により形成された本例の配線基板の一例を示す概略断面図であり、図2は図1示した配線基板における要部概略上面図である。また図3は、図2における要部拡大図であり、図4および図5は、それそれ図1および図2に示す配線基板における要部分解斜視図である。さらに図6は、図3の要部拡大図である。
【0029】
図1に示すように、本例の配線基板10は、コア基板1の上下面にビルドアップ絶縁層2およびビルドアップ配線層3が交互に積層されており、その上面中央部に半導体集積回路素子Sを搭載するための搭載部10aを有している。
【0030】
コア基板1は、厚みが50〜800μm程度であり、例えばガラス繊維束を縦横に織ったガラスクロスにビスマレイミドトリアジン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた電気絶縁材料から成る絶縁基板の上下面に銅箔や銅めっき層から成るコア導体層4が被着されているとともに絶縁基板の上面から下面にかけてコア導体層4の一部として機能する銅めっき層が被着された多数のスルーホール5が形成されている。なお、スルーホール5の直径は100〜300μm程度であり、その内部は樹脂により充填されている。
【0031】
ビルドアップ絶縁層2は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含む絶縁材料から成り、それぞれに複数のビアホール6が形成されており、ビアホール6を含む各ビルドアップ絶縁層2の表面には銅めっき層から成るビルドアップ配線層3が被着形成されている。そしてビルドアップ配線層3は、ビアホール6を介して上下のものが互い接続されているとともにスルーホール5に電気的に接続している。さらに、このビルドアップ配線層3のうち、上面側における最外層のビルドアップ絶縁層2上に被着された一部は、搭載部10aにおいて半導体集積回路素子Sの電極端子Tに電気的に接続される円形の半導体素子接続パッド7を形成しており、これらの半導体素子接続パッド7は図2に示すように、半導体集積回路素子Sの電極端子Tに対応した格子状の並びに形成されている。なお、半導体素子接続パッド7は搭載部10aの中央部に接地用および電源用の半導体素子接続パッド7が多数配置され、搭載部10aの外周部に信号用の半導体素子接続パッド7が多数配置されている。また、下面側における最外層のビルドアップ絶縁層2上に被着された一部は、外部電気回路基板の配線導体に電気的に接続される円形の外部接続パッド8であり、この外部接続パッド8は格子状の並びに複数並んで形成されている。
【0032】
さらに、最外層のビルドアップ絶縁層2およびその上のビルドアップ配線層3上には、半導体素子接続パッド7および外部接続パッド8を露出させるソルダーレジスト層9が被着されている。そして、半導体素子接続パッド9の露出部に半導体集積回路素子Sの電極端子Tが電気的に接続されるとともに外部接続パッド8の露出部に図示しない外部電気回路基板の配線導体が半田ボールを介して電気的に接続される。
【0033】
図3に、搭載部10aの中央部における接地用と電源用の半導体素子接続パッド7のみを抜き出して示す。なお図3においては、ソルダーレジスト層9の下の最上層のビルドアップ配線層3を破線で示している。図3においてGと記した半導体素子接続パッド7は接地用の半導体素子接続パッド7Gであり、Pと記した半導体素子接続パッド7は電源用の半導体素子接続パッド7Pである。図3に示すように、接地用の半導体素子接続パッド7Gと電源用の半導体素子接続パッド7Pとは1個ずつが格子状の配列で斜めに列をなすようにして交互に配設されているとともに、各列の半導体素子接続パッド7同士が1列ずつ帯状の一体のパターンとして統合されている。
【0034】
そして、これらの接地用の半導体素子接続パッド7Gおよび電源用の半導体素子接続パッド7Pは、図4に示すように、下層のビルドアップ配線層3を介してスルーホール5に電気的に接続されている。なお、図4は、図3における一部の半導体素子接続パッド7およびそれに対応する下層のビルドアップ配線層3およびコア導体層4を抜き出して示した斜視図であり、各層における小さな○印が下層へ接続するビア6の位置を示し、×印が上層からのビア6が接続される位置を示している。ところで、本例においては、図6に要部平面図で示すように、各半導体素子接続パッド7に接続されるビア6は、半導体素子接続パッド7の各列において2個ずつが半導体素子接続パッド7のピッチP1よりも狭いピッチP2で寄り集まって複数のビアグループ6Aを形成している。そのため各ビアグループ6A同士の間は半導体素子接続パッド7のピッチP1よりも広い間隔となっている。
【0035】
半導体素子接続パッド7が接続される次層のビルドアップ配線層3は、主として接地プレーン3Gであり、その中に電源用の半導体素子接続パッド7Pにビアグループ6Aを介して接続されるビアランド3Lがクリアランス3Cを介して配設されている。ビアランド3Lは各列の電源用の半導体素子接続パッド7Pに接続されたビアグループ6Aに対応した位置に列をなすように並んでおり、各列のクリアランス3Cはビアランド3L毎にそれぞれの間に接地プレーン3Gが介在するように独立している。そのため接地プレーン3Gは、ビアランド3Lを取り囲むクリアランス3Cの間を通るようにしてひとつに繋がった状態となっている。このような構成は、ビアグループ6A内のビア6のピッチP2を半導体素子接続パッド7のピッチP1よりも狭いものとしてビアグループ6A同士の間隔を半導体素子接続パッド7のピッチP1よりも広いものとすることで、各ビアグループ6Aに接続されるビアランド3L同士の間に接地用プレーン3Gを介在させるための十分な領域を確保することにより実現される。他方、接地用の半導体素子接続パッド7Gは、各列の半導体素子接続パッド7Gに接続されたビアグループ6Aを介して電源プレーン3Gに接続されている。また、このビルドアップ配線層3におけるビアランド3Lおよび接地プレーン3Gからは、ビアグループ6Aから若干ずれた位置にビアグループ6Aと同じピッチで配設されたビアグループ6Bがその下層のビルドアップ配線層3に接続するように形成されている。
【0036】
その下層のビルドアップ配線層3は、主として電源プレーン3Pであり、その中に上層の接地プレーン3Gにビアグループ6Bを介して接続されるビアランド3Lがクリアランス3Cを介して配設されている。ビアランド3Lは各列の接地用の半導体素子接続パッド7Gに接続されたビアグループ6Bに対応した位置に列をなすように並んでおり、各列のクリアランス3Cはビアランド3L毎にそれぞれの間に電源プレーン3Pが介在するように独立している。そのため電源プレーン3Pは、ビアランド3Lを取り囲むクリアランス3Cの間を通るようにしてひとつに繋がった状態となっている。このような構成は、ビアグループ6B内のビア6のピッチP2を半導体素子接続パッド7のピッチP1よりも狭いものとしてビアグループ6B同士の間隔を半導体素子接続パッド7のピッチP1よりも広いものとすることで、各ビアグループ6Bに接続されるビアランド3L同士の間に電源プレーン3Gを介在させるための十分な領域を確保することにより実現される。他方、電源プレーン3Pは、上層のビアランド3Lにビアグループ6Bを介して接続されている。
【0037】
その下層のコア導体層4は、主として接地プレーン4Gであり、接地プレーン4Gは接地用のスルーホール5Gに接続されているとともに、その中に電源用のスルーホール5Pに接続されたスルーホールランド4Lがクリアランス4Cを介して配設されている。そして、接地プレーン3Gに接続された上層のビアランド3Lがビア6を介して接地プレーン4Gに接続され、上層の電源プレーン3Pがビア6を介してスルーホールランド4Lに接続されている。その結果、接地用の半導体素子接続パッド7Gが接地用のスルーホール5Gに電気的に接続されるとともに電源用の半導体素子接続パッド7Pが電源用のスルーホール5Pに電気的に接続されることとなる。
【0038】
さらに、図5に示すように、接地用のスルーホール5Gと電源用のスルーホール5Pとは、下面側のコア導体層4およびビルドアップ配線層3を介してそれぞれ対応する接地用の外部接続パッド8Gおよび電源用の外部接続パッド8Pに電気的に接続されている。なお、図5は、図4に対応する下面側のコア導体層4およびビルドアップ配線層3を抜き出して示した斜視図であり、各層における小さな○印が下層へ接続するビア6の位置を示し、×印が上層からのビア6が接続される位置を示している。
【0039】
下面側のコア導体層4は、主として電源プレーン4Pであり、電源プレーン4Pは電源用のスルーホール5Pに接続されているとともに、その中に接地用のスルーホール5Gに接続されたスルーホールランド4Lがクリアランス4Cを介して配設されている。
【0040】
その下層のビルドアップ配線層3は、主として接地プレーン3Gであり、その中に上層の電源プレーン4Pに接続されるビアランド3Lがクリアランス3Cを介して配設されている。そして、下面側のコア導体層4における電源プレーン4Pがビアランド3Lにビア6を介して接続されており、スルーホールランド4Lが接地プレーン3Gにビア6を介して接続されている。
【0041】
その下層のビルドアップ配線層3は、主として電源プレーン3Pであり、その中に上層の接地プレーン3Gにビア6を介して接続されるビアランド3Lがクリアランス3Cを介して配設されている。そして、上層のビルドアップ配線層3におけるビアランド3Lが電源プレーン3Pにビア6を介して接続されている。
【0042】
下面側の最外層のビルドアップ配線層3は、主として接地プレーン3Gであり、その中に接地用の外部接続パッド8Gとなる領域を備えているとともに、電源用の外部接続パッド8Pがクリアランス3Cを介して配設されている。そして接地用の外部接続パッド8Gを形成する接地プレーン3Gが上層のビアランド3Lにビア6を介して接続されており、電源用の外部接続パッド8Pが上層の電源プレーン3Pにビア6を介して接続されている。
【0043】
上記のような接続により、接地用のスルーホール5Gとこれに対応する接地用の外部接続パッド8Gおよび電源用のスルーホール5Pとこれに対応する電源用の外部接続パッド8Pとが電気的に接続される。なお、接地用のスルーホール5Gとこれに対応する接地用の外部接続パッド8Gおよび電源用のスルーホール5Pとこれに対応する電源用の外部接続パッド8Pとを接続するビア6は、それぞれ4個ずつが一組で各スルーホール5G,5Pとこれに対応する外部接続パッド8G,8Pとを接続している。そして、本発明においては、4個ずつの各組のビアと接続されるビアランド3Lは4個のビアに対応する分が一つに繋がったパターンで形成されている。これによりビアランド3Lに接続する4個のビア6同士の間でビアランド3Lを介して電流経路が良好に分散される。
【0044】
本例の配線基板においては、上述したように、電源プレーン3Pの中に設けられた接地用のビアランド3Lに、上層の接地プレーン3Gから接続されるビアグループ6B内のビア6のピッチP2を半導体素子接続パッド7のピッチP1よりも狭いものとしてビアグループ6B同士の間隔を半導体素子接続パッド7のピッチP1よりも広いものとすることで、隣接するビアグループ6Bに接続されたビアランド3L同士の間に電源プレーン3Pが介在することが重要である。このような構成により、ビアランド3L同士の間の電源プレーン3Pを通して電源用の半導体素子接続パッド7Pのパッド群の格列から電源用のスルーホール5Pへの導電路が形成される。さらに下面側のビルドアップ配線層3における接地プレーン3Gまたは電源プレーン3Pの中に設けられたビアランド3Lは、4個一組のビア6に対応する分が一つに繋がっていることから、このビアランド3Lを介したスルーホール5G,5Pから外部接続パッド8G,8Pまでの電源供給を良好に行なうことができる。したがって、低電圧で作動する半導体集積回路素子Sに対して十分な電源供給を行なって半導体集積回路素子Sを良好に作動させることができる。
【0045】
なお、本発明者が直流電流密度シミュレータを用いて行なったシミュレーションの結果によると、本願における配線基板10による解析モデルでは、先に出願した特願2010−222989における配線基板10による解析モデルよりも半導体集積回路素子Sに対する電源供給において過渡電流が流れた際の電圧降下が約15%改善される結果が確認できた。なお本発明は、接地用の電位と電源用の電位とを入れ替えた場合にも適用されることはいうまでもない。また先に出願した特願2010−222989における配線基板20の下面側のビルドアップ配線層13に本願の下面側のビルドアップ配線層3と同様の構造を適用してもよい。この場合も導体集積回路素子Sに対する電源供給において過渡電流が流れた際の電圧降下を同様に約15%の改善ができる。
【0046】
ちなみに、本願の従来技術である配線基板30による解析モデルと、配線基板30の下面側のビルドアップ配線層23に本願の配線基板10における下面側のビルドアップ配線層3と同様の構造を適用した解析モデルとでは、半導体集積回路素子Sに対する電源供給において過渡電流が流れた際の電圧降下は僅かに0.3%しか改善されなかった。このことから、上面側のビルドアップ配線層における電流経路が十分に確保されていない場合、本願の配線基板10における下面側のビルドアップ配線層3と同様の構造を適用しても半導体集積回路素子Sに対する電源供給において過渡電流が流れた際の電圧降下の改善は殆どできないことが分かる。
【符号の説明】
【0047】
1 コア基板
2 ビルドアップ絶縁層
3 ビルドアップ配線層
3L ビアランド
3C クリアランス
5 スルーホール
5G 接地用のスルーホール
5P 電源用のスルーホール
6 ビア
7 半導体素子接続パッド
7G 接地用の半導体素子接続パッド
7P 電源用の半導体素子接続パッド
8 外部接続パッド
8G 接地用の外部接続パッド
8P 電源用の外部接続パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電位に接続される複数の第1のスルーホールおよび第2の電位に接続される複数の第2のスルーホールを有するコア基板と、該コア基板の上下面に複数層ずつ積層されたビルドアップ絶縁層と、上面側の最表層の前記ビルドアップ絶縁層の表面に格子状の配列で1個ずつまたは複数個ずつが交互に列をなすように多数配設されており前記第1のスルーホールに電気的に接続された第1の半導体素子接続パッドおよび前記第2のスルーホールに電気的に接続された第2の半導体素子接続パッドと、上面側の前記ビルドアップ絶縁層間に配設されており、前記第1の半導体素子接続パッドの各列に対応する位置に接続された第1のビア群を介して前記第1の半導体素子接続パッドに電気的に接続された第1の電源プレーンおよび前記第2の半導体素子接続パッドの各列に対応する位置に接続された第2のビア群を介して前記第2の半導体素子接続パッドに電気的に接続されているとともにクリアランスを介して前記第1の電源プレーンにより取り囲まれたビアランド群と、下面側の最表層の前記ビルドアップ絶縁層の表面に前記第1のスルーホールに対応して配置されるとともに該第1のスルーホールに電気的に接続された第1の外部接続パッドおよび前記第2のスルーホールに対応して配置されるとともに該第2のスルーホールに電気的に接続された第2の外部接続パッドと、下面側の前記ビルドアップ絶縁層間に配設されており、前記第1または第2の外部接続パッドの一方に対応する位置に接続された複数一組の第3のビアを介して前記第1または第2の外部接続パッドの一方に電気的に接続された第2の電源プレーンおよび前記第1または第2の外部接続パッドの他方に対応する位置に接続された複数一組の第4のビアを介して前記第1または第2の外部接続パッドの他方に接続されているとともにクリアランスを介して前記第2の電源プレーンにより取り囲まれた第2のビアランドとを有する配線基板であって、前記第2のビア群における隣接する複数個ずつが前記第2の半導体素子接続パッドのピッチより狭いピッチで寄り集まった複数のビアグループを形成しているとともに、隣接する前記ビアグループに接続されたビアランド同士の間に前記第1の電源プレーンが介在し、該ビアランド同士の間の前記第1の電源プレーンを通して前記第1のパッド群の各列から前記第1のスルーホールへの導電路が形成されており、かつ前記第2のビアランドは、前記一組の前記第4のビアに対応する分が一つに繋がっていることを特徴とする配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−115062(P2013−115062A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256842(P2011−256842)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】