説明

配線板及びその製造方法

【課題】配線板に電子部品が内蔵されている場合でも、スパークテストを実施できる配線板及び配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線板10は、第1電極300Aと第2電極300Bとを有する電子部品300と、第1絶縁層100及び電子部品300の上方に形成される第2絶縁層207と、第2絶縁層207上に形成され、第1電極300Aに接続される第1配線411aと、第2電極300Bに接続される第2配線411bと、第1配線411aと第2配線411bとの線間にある第3配線411cとを含む第3導体パターン411と、第1配線411aに接続される第1の検査用パッドP1と、第2配線411bに接続される第2の検査用パッドと、第3配線411cに接続される第3の検査用パッドとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ等の電子部品を内蔵する配線板、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高性能化、小型化の進展にともない、電子機器の内部に実装される配線板の高機能化、高集積化の要請が高くなってきている。そこで、コンデンサ等の電子部品を内蔵した電子部品内蔵配線板が、特許文献1等に開示されている。特許文献1には、開口部が形成された基板と、開口部に収容されるコンデンサと、基板及びコンデンサの上に形成される絶縁層と、絶縁層上に形成される導体層と、を有する電子部品内蔵配線板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−266197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電子部品内蔵配線板では、配線板の絶縁信頼性を検査するために、互いに絶縁された配線間に高電圧(例えば100V)を印加する線間絶縁試験(スパークテスト)を実施するのが好ましい。しかし、特許文献1に開示された電子部品内蔵配線板においては、電子部品に接続されている配線と配線との間には、電子部品の耐圧以上の電圧を印加することができない。このため、当該配線と配線との間では、スパークテストを実施することができない。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、配線板に電子部品が内蔵されている場合でも、スパークテストを実施することができる配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る配線板は、
開口部を有する第1絶縁層と、
前記開口部に収容され、第1電極と第2電極とを有する電子部品と、
前記第1絶縁層及び前記電子部品の上方に形成される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上に形成され、前記第1電極に接続される第1配線と、前記第2電極に接続される第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との線間にある第3配線とを含む導体層と、
前記第1配線に接続される第1の検査用パッドと、
前記第2配線に接続される第2の検査用パッドと、
前記第3配線に接続される第3の検査用パッドと、
を備える。
【0007】
前記電子部品は、チップコンデンサであることが好ましい。
【0008】
前記第1配線、前記第2配線及び前記第3配線は、絶縁材によって被覆されていることが好ましい。
【0009】
前記チップコンデンサを複数有し、各チップコンデンサに対応する前記第1の検査用パッド、前記第2の検査用パッド及び前記第3の検査用パッドの組をそれぞれ有することが好ましい。
【0010】
前記チップコンデンサを複数有し、該複数のチップコンデンサに共通の前記第1の検査用パッド、前記第2の検査用パッド及び前記第3の検査用パッドを有することが好ましい。
【0011】
前記線間の最小幅は、100μm以下であることが好ましい。
【0012】
前記開口部は、レーザにより形成されていることが好ましい。
【0013】
前記第1配線、前記第2配線及び前記第3配線の厚みは、10μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る配線板の製造方法は、
絶縁材料からなる基板を用意することと、
前記基板に開口部を形成することと、
前記開口部に第1電極と第2電極とを有する電子部品を収容することと、
前記基板と前記電子部品の上方に絶縁層を形成することと、
前記絶縁層上に第1配線及び第2配線を形成することと、
前記第1配線と前記第2配線との線間に第3配線を形成することと、
前記第1電極を前記第1配線に接続することと、
前記第2電極を前記第2配線に接続することと、
前記第1配線に接続される第1の検査用パッドを形成することと、
前記第2配線に接続される第2の検査用パッドを形成することと、
前記第3配線に接続される第3の検査用パッドを形成することと、
前記第1の検査用パッドと前記第3の検査用パッドとを使って検査することと、
前記第2の検査用パッドと前記第3の検査用パッドとを使って検査することと、
を含む。
【0015】
前記基板と前記電子部品の上方に絶縁層を形成する際に、前記基板と前記電子部品の隙間に前記絶縁層を構成する絶縁体を流し込むことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る配線板及び配線板の製造方法によれば、電子部品の第1電極に接続される第1配線と、電子部品の第2電極に接続される第2配線と、第1配線と第2配線との線間にある第3配線と、第1配線に接続される第1の検査用パッドと、第2配線に接続される第2の検査用パッドと、第3配線に接続される第3の検査用パッドとを備えることから、第1の検査用パッドと第3の検査用パッドとの間、第2の検査用パッドと第3の検査用パッドとの間で、スパークテストを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1に係る配線板の断面図である。
【図2A】実施形態1に係る配線板の導体層部分を示す部分平面図である。
【図2B】実施形態1に係る配線板の表面を示す部分平面図である。
【図3】実施形態1に係る配線板の等価回路図である。
【図4】実施形態1に係る配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】実施形態1に係る配線板の製造方法の第1の工程を説明するための図である。
【図6】図5の工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【図7】図6の工程の後の第3の工程を説明するための図である。
【図8】図7の工程の後の第4の工程を説明するための図である。
【図9】図8の工程の後の第5の工程を説明するための図である。
【図10】図9の工程の後の第6の工程を説明するための図である。
【図11】図10の工程の後の第7の工程を説明するための図である。
【図12】図11の工程の後の第8の工程を説明するための図である。
【図13】図12の工程の後の第9の工程を説明するための図である。
【図14】図13の工程の後の第10の工程を説明するための図である。
【図15】図14の工程の後の第11の工程を説明するための図である。
【図16】図15の工程の後の第12の工程を説明するための図である。
【図17】図16の工程の後の第13の工程を説明するための図である。
【図18】図17の工程の後の第14の工程を説明するための図である。
【図19】図18の工程の後の第15の工程を説明するための図である。
【図20】図19の工程の後の第16の工程を説明するための図である。
【図21】図20の工程の後の第17の工程を説明するための図である。
【図22】図21の工程の後の第18の工程を説明するための図である。
【図23】図22の工程の後の第19の工程を説明するための図である。
【図24】図23の工程の後の第20の工程を説明するための図である。
【図25A】実施形態1に係る配線板の等価回路図である。
【図25B】実施形態1に係る配線板の第2の例を示す等価回路図である。
【図25C】実施形態1に係る配線板の第3の例を示す等価回路図である。
【図26】本発明の実施形態2に係る配線板の断面図である。
【図27】実施形態2に係る配線板の製造方法の第1の工程を説明するための図である。
【図28】図27の工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【図29】図28の工程の後の第3の工程を説明するための図である。
【図30】図29の工程の後の第4の工程を説明するための図である。
【図31】図30の工程の後の第5の工程を説明するための図である。
【図32】図31の工程の後の第6の工程を説明するための図である。
【図33】図32の工程の後の第7の工程を説明するための図である。
【図34】図33の工程の後の第8の工程を説明するための図である。
【図35】図34の工程の後の第9の工程を説明するための図である。
【図36】図35の工程の後の第10の工程を説明するための図である。
【図37】図36の工程の後の第11の工程を説明するための図である。
【図38】図37の工程の後の第12の工程を説明するための図である。
【図39】図38の工程の後の第13の工程を説明するための図である。
【図40】図39の工程の後の第14の工程を説明するための図である。
【図41】図40の工程の後の第15の工程を説明するための図である。
【図42】図41の工程の後の第15の工程を説明するための図である。
【図43】本発明の実施形態3に係る配線板の断面図である。
【図44】実施形態3に係る配線板の製造方法の第1の工程を説明するための図である。
【図45】図44の工程の後の第2の工程を説明するための図である。
【図46】図45の工程の後の第3の工程を説明するための図である。
【図47】図46の工程の後の第4の工程を説明するための図である。
【図48A】図47の工程の後の第5の工程で用いられるコンデンサユニットを説明するための平面図である。
【図48B】コンデンサユニットを説明するための断面図である。
【図49】図47の工程の後の第5の工程を説明するための図である。
【図50】図49の工程の後の第6の工程を説明するための図である。
【図51】図50の工程の後の第7の工程を説明するための図である。
【図52】図51の工程の後の第8の工程を説明するための図である。
【図53】図52の工程の後の第9の工程を説明するための図である。
【図54】図53の工程の後の第10の工程を説明するための図である。
【図55】図54の工程の後の第11の工程を説明するための図である。
【図56】図55の工程の後の第12の工程を説明するための図である。
【図57】図56の工程の後の第13の工程を説明するための図である。
【図58】図57の工程の後の第14の工程を説明するための図である。
【図59】図58の工程の後の第15の工程を説明するための図である。
【図60】図59の工程の後の第16の工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明にあたっては、相互に直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる座標系を用いる。
【0019】
本発明の実施形態においては、孔は貫通孔に限られず、非貫通の孔も含めて、孔という。孔には、スルーホール及びビアホールが含まれる。以下、スルーホール内(壁面)に形成される導体をスルーホール導体、ビアホール内(壁面または底面)に形成される導体をビア導体という。
【0020】
また、めっきとは、金属や樹脂などの表面に層状に導体(例えば金属)を析出させることと、析出した導体(例えば金属層)をいう。めっきには、無電解めっきや電解めっき等の湿式めっきのほか、PVD(Physical Vapor Deposition)やCVD(Chemical Vapor Deposition)等の乾式めっきも含まれる。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1に係る配線板10は、図1に示されるように、基板100(第1絶縁層)と、基板100に収容された電子部品300と、基板100の上下面に形成された第1導体パターン201、第2導体パターン202及び第2絶縁層207,208と、第2絶縁層207,208の表面にそれぞれ形成された第3導体パターン411、第4導体パターン412と、第2絶縁層207,208の表面にそれぞれ形成されたソルダーレジスト層401,402と、を有する。実施形態1の配線板10は、矩形板状のリジッド配線板である。ただし、配線板10は、フレキシブル配線板であってもよい。
【0022】
基板100は、第1絶縁層を形成し、例えばガラスクロス(心材)にエポキシ樹脂を含浸させたもの(以下、「ガラエポ」という。)からなる。基板100の内部には、電子部品300としての積層セラミックコンデンサ(MLCC)が収容される。基板100の中央部には、電子部品300が収容されるキャビティR100が形成される。なお、キャビティR100は必ずしも基板100の中央に位置していなくてもよい。
【0023】
また、基板100を貫通して、2つのスルーホール103Aa,103Baが設けられており、スルーホール103Aa,103Baの内部には、スルーホール導体103A,103Bがそれぞれ設けられる。スルーホール導体103A,103Bは、銅めっきからなる。これらのスルーホール導体103A,103Bは、第1導体パターン201と第2導体パターン202とを電気的に接続する。
【0024】
第2絶縁層207は、第1導体パターン201及び電子部品300の上面を覆うように形成される。第2絶縁層207は、例えば硬化したプリプレグからなる。そして、第1導体パターン201と、当該第2絶縁層207の上面に形成される第3導体パターン411とを電気的に絶縁する。この第2絶縁層207の厚さは、10〜60μmである。
【0025】
プリプレグは、例えばグラスファイバまたはアラミドファイバに、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、イミド樹脂(ポリイミド)、フェノール樹脂、またはアリル化フェニレンエーテル樹脂(A−PPE樹脂)等を含浸させることにより形成される。
【0026】
第2絶縁層207には、複数のビアホール211が形成される。ビアホール211の内部には、ビア導体305が形成される。このビア導体305は、銅めっきからなる。このビア導体305によって、第1導体パターン201と、第3導体パターン411とが接続される。また、ビア導体305によって、電子部品300の第1電極300Aと第1配線411a、電子部品300の第2電極300Bと第2配線411bとが、それぞれ接続される。
【0027】
第3導体パターン411は、第2絶縁層207の上面(+Z側の面)に形成される。第3導体パターン411は、厚さが5〜30μmで、所定の形状にパターニングされる。第3導体パターン411は、第1配線411aと、第2配線411bと、第3配線411cとを備える。第3配線411cは、第1配線411aと第2配線411bとの間に形成される。
【0028】
第2絶縁層208は、第2導体パターン202及び電子部品300の下面を覆うように形成される。第2絶縁層208は、第2絶縁層207と同様に、例えば硬化したプリプレグからなる。そして、第2導体パターン202と、当該第2絶縁層208の下面に形成される第4導体パターン412とを電気的に絶縁する。この第2絶縁層208の厚さは、10〜60μmである。
【0029】
第2絶縁層208には、複数のビアホール212が形成される。ビアホール212の内部には、ビア導体306が形成される。このビア導体306は、銅めっきからなる。このビア導体306によって、第2導体パターン202及び電子部品300の第1電極300A、電子部品300の第2電極300Bと、第4導体パターン412とが、それぞれ接続される。第4導体パターン412は、第2絶縁層208の下面(−Z側の面)に形成される。第4導体パターン412は、厚さが5〜30μmで、所定の形状にパターニングされる。
【0030】
なお、第4導体パターン412のうち第4導体パターン412aは、電子部品300の第1電極300Aを介して、第3導体パターン411のうち第1配線411aと電気的に接続される。第4導体パターン412のうち第4導体パターン412bは、電子部品300の第2電極300Bを介して、第3導体パターン411のうち第2配線411bと電気的に接続される。
【0031】
第2絶縁層207,208の材料としては、プリプレグに代えて、液状またはフィルム状の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、さらにはRCF(Resin Coated copper Foil)を用いることもできる。ここで、熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、イミド樹脂(ポリイミド)、BT樹脂、アリル化フェニレンエーテル樹脂、アラミド樹脂などを用いることができる。また、熱可塑性樹脂としては、例えば液晶ポリマー(LCP)、PEEK樹脂、PTFE樹脂(フッ素樹脂)などを用いることができる。これらの材料は、例えば絶縁性、誘電特性、耐熱性、機械的特性等の観点から、必要性に応じて選ぶことが望ましい。また、上記樹脂には、添加剤として、硬化剤、安定剤、フィラーなどを含有させることもできる。
【0032】
ソルダーレジスト層401は、第2絶縁層207を覆うように形成される。ソルダーレジスト層402は、第2絶縁層208を覆うように形成される。ソルダーレジスト層401,402は、例えばアクリル−エポキシ系樹脂を用いた感光性樹脂、エポキシ樹脂を主体とした熱硬化性樹脂、または紫外線硬化性の樹脂等からなる。
【0033】
ソルダーレジスト層401には、第3導体パターン411を配線板10に実装される電子部品等と接続するための複数の開口部421が形成される。そして、開口部421の内部には、第3導体パターン411の表面を被覆する、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層501が形成される。配線板10に実装される電子部品の端子は、耐食層501に半田(図示せず)を介して接続される。
【0034】
実施形態1においては、第1配線411aの所定位置に開口部421が形成され、スパークテスト等の検査を実施するための第1の検査用パッドP1となる。同様に、第2配線411bの所定位置に開口部421が形成され、図示しない第2の検査用パッドとなる。同様に、第3配線411cの所定位置に開口部421が形成され、図示しない第3の検査用パッドとなる。これらの第1の検査用パッドP1、図示しない第2の検査用パッド、図示しない第3の検査用パッドは、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層501によって保護される。
【0035】
ソルダーレジスト層402には、第4導体パターン412を配線板10に実装される電子部品等と接続するための複数の開口部422が形成される。そして、開口部422の内部には、第4導体パターン412の表面を被覆する、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層502が形成される。配線板10に実装される電子部品の端子は、耐食層502に半田(図示せず)を介して接続される。
【0036】
次に、第1配線411a、第2配線411b、第3配線411cの具体的な形状について、図2Aを参照して説明する。図2Aは、配線板10の上側(+Z側)に形成された配線パターンを示す部分平面図である。
【0037】
第2配線411bは、図2Aに示される屈曲した形状を有しており、第2絶縁層207の上に形成される。第2配線411bの外周に沿って、ほぼ一定の幅の隙間207aを空けて、第3配線411cが形成される。隙間207aの幅は、20μm〜100μmである。第3配線411cの外周に沿って、ほぼ一定の幅の隙間207bを空けて、第1配線411aが形成される。隙間207bの幅は、20μm〜100μmである。第1配線411aの外周は、略長方形状である。
【0038】
第2配線411bの一部は、図1に示される電子部品300の直上に設けられる。したがって、隙間207aの一部、第3配線411cの一部、隙間207bの一部も、電子部品300の直上またはその近傍に設けられる。これによって、後述するスパークテストにおいて、電子部品300の近傍の絶縁信頼性を試験することができる。
【0039】
図2Bは、実施形態1の配線板10の上面(+Z側の面)を示す部分平面図である。上述したように、配線板10の上面を覆うソルダーレジスト層401には、複数の開口部421が設けられる。開口部421内には、図示しない2層構造の耐食層が形成される。第1配線411aの表面には、図示しない2層構造の耐食層に覆われて、第1の検査用パッドP1が形成される。第2配線411bの表面には、図示しない2層構造の耐食層に覆われて、第2の検査用パッドP2が形成される。第3配線411cの表面には、図示しない2層構造の耐食層に覆われて、第3の検査用パッドP3が形成される。
【0040】
図2Bに示されるように、電子部品収容部領域R100の内部には、電子部品300の第1電極300A及び第2電極300Bにそれぞれ接続されるパッドP4,P5が設けられる。その外側には、ICチップが搭載されるICチップ搭載領域R400がある。第1の検査用パッドP1、第2の検査用パッドP2、第3の検査用パッドP3は、このICチップ搭載領域R400の外側に配置される。
【0041】
これらの第1配線411a、第2配線411b、第3配線411c及び電子部品300の電気的接続関係は、図3の等価回路で表される。図3において、配線11は第1配線411aに相当し、配線12は第2配線411bに相当し、配線13は第3配線411cに相当する。また、図3の配線15は第4導体パターン412aに相当し、配線16は第4導体パターン412bに相当し、コンデンサ30Cは、電子部品300に相当する。配線11はコンデンサ30Cの一方の電極に接続され、配線12はコンデンサ30Cの他方の電極に接続されている。配線15はコンデンサ30Cの一方の電極に接続され、配線16はコンデンサ30Cの他方の電極に接続されている。配線13は、配線11、配線12、配線15、配線16及びコンデンサ30Cから絶縁されている。
【0042】
実施形態1の配線板10におけるスパークテストの実施方法について、図3の等価回路を参照して説明する。スパークテストは、配線板の絶縁された配線の間の絶縁信頼性を検査するものである。例えば100V程度の高電圧を、絶縁された配線の間に所定時間印加して、絶縁抵抗を測定する。配線の間に絶縁不良の箇所があると、絶縁抵抗が急激に低下する。これによって、絶縁不良のリスクを抱えた配線板がラインに流出するのを防止することができる。上述したように、配線11はコンデンサ30Cの一方の電極に接続され、配線12はコンデンサ30Cの他方の電極に接続されている。したがって、配線11と配線12との間には、コンデンサ30Cの耐圧(6V程度)以上の電圧を印加することができない。
【0043】
しかし、配線11と配線13との間には、例えば100V程度の高電圧を印加しても、コンデンサ30Cの一方の電極と他方の電極の間には電圧が印加されない。配線12と配線13との間に高電圧を印加した場合も同様である。そこで、配線11と配線13との間、配線12と配線13との間に高電圧を印加して、スパークテストを実施することができる。
【0044】
より具体的には、配線板10におけるスパークテストは、図2Bに示される検査用パッドP1,P2,P3を用いて実施される。第1の検査用パッドP1と第3の検査用パッドP3との間に、例えば100V程度の高電圧を印加する。また、第2の検査用パッドP2と第3の検査用パッドP3との間に、例えば100V程度の高電圧を印加する。このようにスパークテストを実施すれば、電子部品300には電圧は印加されない。したがって、所定時間高電圧を印加した際に絶縁抵抗が低下した場合には、第1配線411aと第3配線411cの間、第2配線411bと第3配線411cの間、または第3配線411cと第4導体パターン412aもしくは第4導体パターン412bの間のいずれかに絶縁不良の箇所があることが明らかになる。
【0045】
一方、上述したようにスパークテストを実施して、所定時間絶縁抵抗が低下しなかった場合には、第1配線411aと第3配線411cの間、第2配線411bと第3配線411cの間、または第3配線411cと第4導体パターン412aもしくは第4導体パターン412bの間のいずれにも、絶縁不良の箇所はないことが明らかになる。
【0046】
次に、上述した配線板10の製造方法について、図4乃至図25を参照して説明する。
【0047】
図4のステップS11では、図5に示されるように、出発材料として両面銅張積層板1000を準備する。両面銅張積層板1000は、基板100(コア基板)と、基板100の第1面F1上に形成された銅箔1001と、基板100の第2面F2上に形成された銅箔1002と、から構成される。実施形態1では、この段階において、基板100が、完全に硬化した状態のガラエポからなる。
【0048】
次に、図4のステップS12で、スルーホール導体103A,103B及び第1導体パターン201、第2導体パターン202を形成する。
【0049】
詳しくは、図6に示されるように、例えばドリルを用いて、例えば第1面F1側から両面銅張積層板1000を貫通するスルーホール103Aa及びスルーホール103Baを形成する。スルーホール103Aa,103Baを形成した後には、スルーホール103Aa,103Baについてデスミアを行うことが好ましい。デスミアにより、不要な導通(ショート)が抑制される。なお、スルーホール103Aa,103Baの形成は、レーザまたはエッチングなど、ドリル以外の方法で行ってもよい。
【0050】
次に、例えばパネルめっき法により、図7に示されるように、銅箔1001,1002上及びスルーホール103Aa,103Ba内に、例えば銅のめっき1003,1004を形成する。具体的には、まず無電解めっきを行い、続けてめっき液を用いて、その無電解めっき膜をシード層として電解めっきを行うことにより、めっき1003,1004を形成する。これにより、スルーホール103Aa,103Baにめっき1003,1004が充填され、スルーホール導体103A,103Bが形成される。
【0051】
次に、例えばエッチングレジスト及びエッチング液を用いて、基板100の第1面F1及び第2面F2に形成された各導体層のパターニングを行う。具体的には、第1導体パターン201、第2導体パターン202に対応したパターンを有するエッチングレジストで各導体層を覆い、各導体層の、エッチングレジストで覆われない部分(エッチングレジストの開口部で露出する部位)を、エッチングで除去する。これにより、図8に示されるように、基板100の第1面F1、第2面F2上にそれぞれ、第1導体パターン201及び第2導体パターン202が形成される。なお、エッチングは、湿式に限られず、乾式であってもよい。
【0052】
次に、図4のステップS13で、基板100(コア基板)にキャビティR100を形成する。実施形態1では、図9,図10に示されるように、基板100にレーザを照射することにより、キャビティR100を形成する。キャビティR100は、電子部品300の収容スペースとなる。
【0053】
次に、図4のステップS14で、電子部品300を、基板100のキャビティR100に配置する。
【0054】
具体的には、図11に示されるように、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)からなるキャリア1010を、基板100の片側(例えば第2面F2)に設ける。これにより、キャビティR100の一方の開口がキャリア1010で塞がれる。実施形態1では、キャリア1010が、粘着シート(例えばテープ)からなり、基板100側に粘着性を有する。キャリア1010は、例えばラミネートにより、基板100と接着される。
【0055】
次に、図12に示されるように、キャビティR100の塞がれた開口とは反対側(+Z側)から、キャビティR100に電子部品300を入れる。電子部品300は、例えば部品実装機によりキャビティR100に入れられる。これにより、図13に示されるように、キャリア1010上に電子部品300が配置される。
【0056】
次に、図4のステップS15で、図14に示されるように、半硬化の状態で、キャビティR100の塞がれた開口とは反対側(+Z側)に、銅箔205付きの第2絶縁層207を配置する。第2絶縁層207は、例えば、ガラエポのプリプレグからなる。続けて、図15に示されるように、第2絶縁層207を半硬化の状態でプレスすることにより、第2絶縁層207から樹脂を流出させてキャビティR100へ流し込む。これにより、キャビティR100における基板100と電子部品300との隙間に絶縁体207A(第2絶縁層207を構成する樹脂)が充填される。
【0057】
キャビティR100に絶縁体207Aが充填されたら、その充填樹脂(絶縁体207A)と電子部品300との仮溶着を行う。具体的には、加熱により充填樹脂に電子部品300を支持できる程度の保持力を発現させる。これにより、キャリア1010に支持されていた電子部品300が、充填樹脂によって支持されるようになる。その後、キャリア1010を除去する。
【0058】
次に、図4のステップS16で、基板100の第2面F2側にビルドアップを行う。具体的には、図16に示されるように、基板100の第2面F2上に、第2絶縁層208及び銅箔206を配置する。第2絶縁層208は、例えばガラエポのプリプレグからなる。次に、図17に示されるように、例えばプレスにより、第2絶縁層208を半硬化の状態で基板100及び電子部品300に接着させた後、加熱して第2絶縁層207,208の各々を硬化させる。
【0059】
続く図4のステップS17では、ビア導体及び導体層を形成する。詳しくは、図18に示されるように、例えばレーザにより、第2絶縁層207及び銅箔205にビアホール211を形成し、第2絶縁層208及び銅箔206にビアホール212を形成する。ビアホール211及び212の各々は、電子部品300の第1電極300Aまたは第2電極300Bに至り、またはスルーホール導体103A,103Bの直上に至る。その後、必要に応じて、デスミアを行う。
【0060】
次に、図19に示されるように、例えば化学めっき法により、銅箔205,206上及びビアホール211,212内に、例えば銅の無電解めっき膜311,312を形成する。なお、無電解めっきに先立って、例えば浸漬により、パラジウム等からなる触媒を、第2絶縁層207,208の表面に吸着させてもよい。
【0061】
次に、図20に示されるように、リソグラフィ技術または印刷等により、第1面F1側の主面(無電解めっき膜311上)に開口321aを有するめっきレジスト321を、また、第2面F2側の主面(無電解めっき膜312上)に開口322aを有するめっきレジスト322を、それぞれ形成する。開口321a,322aはそれぞれ、第3導体パターン411(第1配線411a、第2配線411b、第3配線411c)及び第4導体パターン412(図1及び図2A)に対応したパターンを有する。
【0062】
次に、図21に示されるように、例えばパターンめっき法により、めっきレジスト321,322の開口321a,322aに、それぞれ例えば銅の電解めっき307,308を形成する。具体的には、陽極にめっきする材料である銅を接続し、陰極に被めっき材である無電解めっき膜311,312を接続して、めっき液に浸漬する。そして、両極間に直流の電圧を印加して電流を流し、無電解めっき膜311,312の表面に銅を析出させる。これにより、ビアホール211及びビアホール212に、それぞれ電解めっき307,308が充填され、例えば銅のめっきからなるビア導体305,306が形成される。
【0063】
その後、例えば所定の剥離液により、めっきレジスト321,322を除去し、続けて不要な無電解めっき膜311,312、及び銅箔205,206を除去することにより、図22に示されるように、導体層307,308が形成される。これらの導体層307,308は、下層の銅箔205,206と一体化して、図23に示されるように、第3導体パターン411(第1配線411a、第2配線411b、第3配線411c)及び第4導体パターン412となる。
【0064】
第3導体パターン411と同時に、検査用パッドP1,P2,P3が形成される。また、第3導体パターン411と同時に、部品実装用パッドの他のパッドP4,P5等も形成される。同様に、第4導体パターン412と同時に、部品実装用パッド等の他のパッドも形成される。
【0065】
次に、図4のステップS18で、図23に示されるように、第2絶縁層207,208上にそれぞれ、開口部421を有するソルダーレジスト層401、開口部422を有するソルダーレジスト層402を形成する。第3導体パターン411及び第4導体パターン412はそれぞれ、開口部421,422に位置する所定の部位(検査用パッドP1,P2,P3、他のパッドP4,P5及びランド等)を除いて、ソルダーレジスト層401,402で覆われる。ソルダーレジスト層401,402は、例えばスクリーン印刷、スプレーコーティング、ロールコーティング、またはラミネート等により、形成することができる。
【0066】
次に、図24に示されるように、第3導体パターン411(第1配線411a、第2配線411b、第3配線411c)上、詳しくはソルダーレジスト層401に覆われない開口部421に、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層501が形成される。配線板10に実装される電子部品の端子は、耐食層501に半田(図示せず)を介して接続される。
【0067】
同様に、図24に示されるように、第4導体パターン412上、詳しくはソルダーレジスト層402に覆われない開口部422に、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層502が形成される。配線板10に実装される電子部品の端子は、耐食層502に半田(図示せず)を介して接続される。なお、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層502を形成する代わりに、OSP(Organic Solderability Preservative)処理を行うことにより、有機保護膜からなる耐食層を形成してもよい。
【0068】
その結果、実施形態1の配線板10(図1)が完成する。その後、必要があれば、電子部品300の電気テスト(容量値及び絶縁性等のチェック)を行う。
【0069】
実施形態1に係る配線板10の回路構成は、図25Aの等価回路で示される。なお、本発明に係る配線板の回路構成は、図25Aの等価回路に限られない。例えば、図25Bの等価回路に示されるように、コンデンサ30Cが2個並列に接続されてもよい。また、図25Cの等価回路に示されるように、コンデンサ30Cが2個直列に接続されてもよい。
【0070】
以上説明したように、実施形態1の配線板10は、電子部品300の第1電極300Aに接続される第1配線411aと、電子部品300の第2電極300Bに接続される第2配線411bと、第1電極300A、第2電極300B、第1配線411a、第2配線411bのいずれにも接続されない第3配線411cとを有する。よって、第1配線411aと第3配線411cとの間、及び第2配線411bと第3配線411cとの間には、高電圧を印加することができる。第1の検査用パッドP1と第3の検査用パッドP3との間に高電圧(例えば100V)を印加し、別途第2の検査用パッドP2と第3の検査用パッドP3との間に高電圧を印加する。いずれの場合にも絶縁抵抗が低下しなければ、配線板10は、第1配線411aと第2配線411bとの間においても、絶縁信頼性を有すると見なすことができる。このようにして、電子部品300に高電圧を印加することなく、絶縁信頼性試験を行うことができる。
【0071】
(実施形態2)
実施形態2に係る配線板510は、図26に示されるように、基板600(第1絶縁層)と、基板600に収容された2個の電子部品800,802と、基板600の上下面に形成された第1導体パターン701、第2導体パターン702及び第2絶縁層707,708と、第2絶縁層707,708の表面にそれぞれ形成された第3導体パターン911、第4導体パターン912と、第2絶縁層707,708の表面にそれぞれ形成されたソルダーレジスト層901,902と、を有する。実施形態2の配線板510は、矩形板状のリジッド配線板である。ただし、配線板510は、フレキシブル配線板であってもよい。
【0072】
基板600は、第1絶縁層を形成し、例えばガラエポからなる。基板600の内部には、電子部品800,802としての2個の積層セラミックコンデンサ(MLCC)が収容される。基板600には、電子部品800,802が収容される2つのキャビティR600,R602が形成される。
【0073】
また、基板600を貫通して、3つのスルーホールが設けられており、3つのスルーホールの内部には、スルーホール導体603A,603B,603Cがそれぞれ設けられる。スルーホール導体603A,603B,603Cは、銅めっきからなる。これらのスルーホール導体603A,603B,603Cは、第1導体パターン701と第2導体パターン702とを電気的に接続する。
【0074】
第2絶縁層707は、第1導体パターン701及び電子部品800,802の上面を覆うように形成される。第2絶縁層707は、例えば硬化したプリプレグからなる。そして、第1導体パターン701と、当該第2絶縁層707の上面に形成される第3導体パターン911とを電気的に絶縁する。この第2絶縁層707の厚さは、10〜60μmである。
【0075】
第2絶縁層707には、複数のビアホール711が形成される。ビアホール711の内部には、ビア導体805が形成される。このビア導体805は、銅めっきからなる。このビア導体805によって、第1導体パターン701と、第3導体パターン911とが接続される。また、ビア導体805によって、電子部品800の第1電極800Aと電子部品800に対応する第1配線911a、電子部品800の第2電極800Bと電子部品800に対応する第2配線911bとが、それぞれ接続される。さらに、ビア導体805によって、電子部品802の第1電極802Aと電子部品802に対応する第1配線911d、電子部品802の第2電極802Bと電子部品802に対応する第2配線911eとが、それぞれ接続される。
【0076】
第3導体パターン911は、第2絶縁層707の上面(+Z側の面)に形成される。第3導体パターン911は、厚さが5〜30μmで、所定の形状にパターニングされる。第3導体パターン911は、電子部品800に対応する第1配線911a、第2配線911b、第3配線911c、及び電子部品802に対応する第1配線911d、第2配線911e、第3配線911fから構成される。電子部品800に対応する第3配線911cは、電子部品800に対応する第1配線911aと第2配線911bとの間に形成される。電子部品802に対応する第3配線911fは、電子部品802に対応する第1配線911dと第2配線911eとの間に形成される。
【0077】
第2絶縁層708は、第2導体パターン702及び電子部品800,802の下面を覆うように形成される。第2絶縁層708は、第2絶縁層707と同様に、例えば硬化したプリプレグからなる。そして、第2導体パターン702と、当該第2絶縁層708の下面に形成される第4導体パターン912とを電気的に絶縁する。この第2絶縁層708の厚さは、10〜60μmである。
【0078】
第2絶縁層708には、複数のビアホール712が形成される。ビアホール712の内部には、ビア導体806が形成される。このビア導体806は、銅めっきからなる。このビア導体806によって、第2導体パターン702及び電子部品800,802の第1電極800A,802A、電子部品800,802の第2電極800B,802Bと、第4導体パターン912とが、それぞれ接続される。第4導体パターン912は、第2絶縁層708の下面(−Z側の面)に形成される。第4導体パターン912は、厚さが5〜30μmで、所定の形状にパターニングされる。
【0079】
ソルダーレジスト層901は、第2絶縁層707を覆うように形成される。ソルダーレジスト層902は、第2絶縁層708を覆うように形成される。ソルダーレジスト層901,902は、例えばアクリル−エポキシ系樹脂を用いた感光性樹脂、エポキシ樹脂を主体とした熱硬化性樹脂、または紫外線硬化性の樹脂等からなる。
【0080】
ソルダーレジスト層901には、第3導体パターン911を配線板510に実装される電子部品等と接続するための複数の開口部921が形成される。そして、開口部921の内部には、第3導体パターン911の表面を被覆する、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層931が形成される。配線板510に実装される電子部品の端子は、耐食層931に半田(図示せず)を介して接続される。
【0081】
実施形態2においては、耐食層931に覆われて、スパークテストを実施するための電子部品800に対応する第1の検査用パッドP11、第2の検査用パッドP12、第3の検査用パッドP13の組、及び電子部品802に対応する第1の検査用パッドP21、第2の検査用パッドP22、第3の検査用パッドP23の組が形成される。
【0082】
ソルダーレジスト層902には、第4導体パターン912を配線板510に実装される電子部品等と接続するための複数の開口部922が形成される。そして、開口部922の内部には、第4導体パターン912の表面を被覆する、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層932が形成される。配線板510に実装される電子部品の端子は、耐食層932に半田(図示せず)を介して接続される。
【0083】
次に、上述した配線板510の製造方法について、図4及び図27乃至図42を参照して説明する。
【0084】
図4のステップS11では、図27に示されるように、出発材料として両面銅張積層板1500を準備する。両面銅張積層板1500は、基板600(コア基板)と、基板600の第1面F3上に形成された銅箔1501と、基板600の第2面F4上に形成された銅箔1502と、から構成される。実施形態2では、この段階において、基板600が、完全に硬化した状態のガラエポからなる。
【0085】
次に、図4のステップS12で、スルーホール導体603A,603B及び第1導体パターン701、第2導体パターン702を形成する。
【0086】
詳しくは、図28に示されるように、例えばドリルを用いて、例えば第1面F3側から両面銅張積層板1500を貫通するスルーホール603Aa、スルーホール603Ba及びスルーホール603Caを形成する。スルーホール603Aa,603Ba,603Caを形成した後には、スルーホール603Aa,603Ba,603Caについてデスミアを行うことが好ましい。
【0087】
次に、例えばパネルめっき法により、図29に示されるように、銅箔1501,1502上及びスルーホール603Aa,603Ba,603Ca内に、例えば銅のめっき1503,1504を形成する。具体的には、まず無電解めっきを行い、続けてめっき液を用いて、その無電解めっき膜をシード層として電解めっきを行うことにより、めっき1503,1504を形成する。これにより、スルーホール603Aa,603Ba,603Caにめっき1503,1504が充填され、スルーホール導体603A,603B,603Cが形成される。
【0088】
次に、例えばエッチングレジスト及びエッチング液を用いて、基板600の第1面F3及び第2面F4に形成された各導体層のパターニングを行う。具体的には、第1導体パターン701、第2導体パターン702に対応したパターンを有するエッチングレジストで各導体層を覆い、各導体層の、エッチングレジストで覆われない部分(エッチングレジストの開口部で露出する部位)を、エッチングで除去する。これにより、図30に示されるように、基板600の第1面F3、第2面F4上にそれぞれ、第1導体パターン701及び第2導体パターン702が形成される。なお、エッチングは、湿式に限られず、乾式であってもよい。
【0089】
次に、図4のステップS13で、基板600(コア基板)に2つのキャビティR600,R602を形成する。実施形態2では、図31に示されるように、基板600にレーザを照射することにより、キャビティR600,R602を形成する。キャビティR600,R602は、それぞれ電子部品800,802の収容スペースとなる。
【0090】
次に、図4のステップS14で、電子部品800,802を、基板600のキャビティR600,R602に配置する。
【0091】
具体的には、図32に示されるように、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)からなるキャリア1610を、基板600の片側(例えば第2面F4)に設ける。これにより、キャビティR600,R602の一方の開口がキャリア1610で塞がれる。実施形態2では、キャリア1610が、粘着シート(例えばテープ)からなり、基板600側に粘着性を有する。キャリア1610は、例えばラミネートにより、基板600と接着される。
【0092】
次に、キャビティR600,R602の塞がれた開口とは反対側(+Z側)から、キャビティR600,R602に電子部品800,802を入れる。電子部品800,802は、例えば部品実装機によりキャビティR600,R602に入れられる。これにより、図33に示されるように、キャリア1610上に電子部品800,802が配置される。
【0093】
次に、図4のステップS15で、図33に示されるように、半硬化の状態で、キャビティR600,R602の塞がれた開口とは反対側(+Z側)に、銅箔705付きの第2絶縁層707を配置する。第2絶縁層707は、例えば、ガラエポのプリプレグからなる。続けて、第2絶縁層707を半硬化の状態でプレスすることにより、第2絶縁層707から樹脂を流出させてキャビティR600,R602へ流し込む。これにより、キャビティR600,R602における基板600と電子部品800,802との隙間に絶縁体(第2絶縁層707を構成する樹脂)が充填される。
【0094】
キャビティR600,R602に絶縁体が充填されたら、その充填樹脂(絶縁体)と電子部品800,802との仮溶着を行う。具体的には、加熱により充填樹脂に電子部品800,802を支持できる程度の保持力を発現させる。これにより、キャリア1610に支持されていた電子部品800,802が、充填樹脂によって支持されるようになる。その後、キャリア1610を除去する。
【0095】
次に、図4のステップS16で、基板600の第2面F4側にビルドアップを行う。具体的には、図34に示されるように、基板600の第2面F4上に、第2絶縁層708及び銅箔706を配置する。第2絶縁層708は、例えばガラエポのプリプレグからなる。次に、図35に示されるように、例えばプレスにより、第2絶縁層708を半硬化の状態で基板600及び電子部品800,802に接着させた後、加熱して第2絶縁層707,708の各々を硬化させる。
【0096】
続く図4のステップS17では、ビア導体及び導体層を形成する。詳しくは、図36に示されるように、例えばレーザにより、第2絶縁層707及び銅箔705にビアホール711を形成し、第2絶縁層708及び銅箔706にビアホール712を形成する。ビアホール711及びビアホール712の各々は、電子部品800,802の第1電極800A,802Aまたは第2電極800B,802Bに至り、またはスルーホール導体603A,603B,603Cの直上に至る。その後、必要に応じて、デスミアを行う。
【0097】
次に、図37に示されるように、例えば化学めっき法により、銅箔705,706上及びビアホール711,712内に、例えば銅の無電解めっき膜811,812を形成する。なお、無電解めっきに先立って、例えば浸漬により、パラジウム等からなる触媒を、第2絶縁層707,708の表面に吸着させてもよい。
【0098】
次に、図38に示されるように、リソグラフィ技術または印刷等により、第1面F3側の主面(無電解めっき膜811上)に開口821aを有するめっきレジスト821を、また、第2面F4側の主面(無電解めっき膜812上)に開口822aを有するめっきレジスト822を、それぞれ形成する。開口821a,822aはそれぞれ、第3導体パターン911及び第4導体パターン912(図26)に対応したパターンを有する。
【0099】
次に、図39に示されるように、例えばパターンめっき法により、めっきレジスト821,822の開口821a,822aに、それぞれ例えば銅の電解めっき807,808を形成する。これにより、ビアホール711及びビアホール712に、それぞれ電解めっき807,808が充填され、例えば銅のめっきからなるビア導体805,806が形成される。
【0100】
その後、例えば所定の剥離液により、めっきレジスト821,822を除去し、続けて不要な無電解めっき膜811,812、及び銅箔705,706を除去することにより、図40に示されるように、導体層807,808が形成される。これらの導体層807,808は、下層の銅箔705,706と一体化して、図41に示されるように、第3導体パターン911(電子部品800に対応する第1配線911a、第2配線911b、第3配線911c、電子部品802に対応する第1配線911d、第2配線911e、第3配線911f)及び第4導体パターン912となる。
【0101】
第3導体パターン911が形成されると同時に、スパークテストを実施するための電子部品800に対応する第1の検査用パッドP11、第2の検査用パッドP12、第3の検査用パッドP13の組が形成される。同時に、電子部品802に対応する第1の検査用パッドP21、第2の検査用パッドP22、第3の検査用パッドP23の組が形成される。
【0102】
次に、図4のステップS18で、図41に示されるように、第2絶縁層707,708上にそれぞれ、開口部921を有するソルダーレジスト層901、開口部922を有するソルダーレジスト層902を形成する。第3導体パターン911及び第4導体パターン912はそれぞれ、開口部921,922に位置する所定の部位(検査用パッドP11,P12,P13,P21,P22,P23及びランド等)を除いて、ソルダーレジスト層901,902で覆われる。ソルダーレジスト層901,902は、例えばスクリーン印刷、スプレーコーティング、ロールコーティング、またはラミネート等により、形成することができる。
【0103】
次に、図42に示されるように、第3導体パターン911上、詳しくはソルダーレジスト層901に覆われない開口部921に、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層931が形成される。同様に、図42に示されるように、第4導体パターン912上、詳しくはソルダーレジスト層902に覆われない開口部922に、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層932が形成される。なお、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層932を形成する代わりに、OSP処理を行うことにより、有機保護膜からなる耐食層を形成してもよい。
【0104】
図42に示されるように、スパークテストを実施するための電子部品800に対応する第1の検査用パッドP11、第2の検査用パッドP12、第3の検査用パッドP13と、電子部品802に対応する第1の検査用パッドP21、第2の検査用パッドP22、第3の検査用パッドP23が、それぞれ耐食層931によって保護される。その結果、実施形態2の配線板510(図26)が完成する。その後、必要があれば、電子部品800,802の電気テスト(容量値及び絶縁性等のチェック)を行う。
【0105】
このように、実施形態2に係る配線板510は、電子部品800,802を複数有し、各電子部品800,802に対応する第1の検査用パッド、第2の検査用パッド及び第3の検査用パッドの組(P11,P12,P13及びP21,P22,P23)をそれぞれ有する。これにより、実施形態1と同様にスパークテストを実施することで、電子部品800に対応する配線板510の絶縁信頼性及び電子部品802に対応する配線板510の絶縁信頼性を、それぞれ検査することができる。
【0106】
(実施形態3)
実施形態3に係る配線板1510は、図43に示されるように、基板1600(第1絶縁層)と、基板1600に収容された複数の電子部品1802を備える電子部品ユニット1800と、基板1600の上下面に形成された第1導体パターン1701、第2導体パターン1702及び第2絶縁層1707,1708と、第2絶縁層1707,1708の表面にそれぞれ形成された第3導体パターン1911、第4導体パターン1912と、第2絶縁層1707,1708の表面にそれぞれ形成されたソルダーレジスト層1901,1902と、を有する。実施形態3の配線板1510は、矩形板状のリジッド配線板である。ただし、配線板1510は、フレキシブル配線板であってもよい。
【0107】
基板1600は、第1絶縁層を形成し、例えばガラエポからなる。基板1600の内部には、電子部品ユニット1800としてのコンデンサユニットが収容される。コンデンサユニットは、電子部品1802としての4個の積層セラミックコンデンサ(MLCC)を備えている。基板1600には、電子部品1802が収容されるキャビティR1600が形成される。
【0108】
また、基板1600を貫通して、2つのスルーホールが設けられており、2つのスルーホールの内部には、スルーホール導体1603A,1603Bがそれぞれ設けられる。スルーホール導体1603A,1603Bは、銅めっきからなる。これらのスルーホール導体1603A,1603Bは、第1導体パターン1701と第2導体パターン1702とを電気的に接続する。
【0109】
第2絶縁層1707は、第1導体パターン1701及び電子部品ユニット1800の上面を覆うように形成される。第2絶縁層1707は、例えば硬化したプリプレグからなる。そして、第1導体パターン1701と、当該第2絶縁層1707の上面に形成される第3導体パターン1911とを電気的に絶縁する。この第2絶縁層1707の厚さは、10〜60μmである。
【0110】
第2絶縁層1707には、複数のビアホール1711が形成される。ビアホール1711の内部には、ビア導体1805が形成される。このビア導体1805は、銅めっきからなる。このビア導体1805によって、第1導体パターン1701と、第3導体パターン1911とが接続される。また、ビア導体1805によって、4個の電子部品1802の第1電極に接続される第1電極基板1804Aと第1配線1911a、4個の電子部品1802の第2電極に接続される第2電極基板1804Bと第2配線1911bとが、それぞれ接続される。
【0111】
第3導体パターン1911は、第2絶縁層1707の上面(+Z側の面)に形成される。第3導体パターン1911は、厚さが5〜30μmで、所定の形状にパターニングされる。第3導体パターン1911は、電子部品ユニット1800に対応する第1配線1911a、第2配線1911b、第3配線1911cを有している。第3配線1911cは、第1配線1911aと第2配線1911bとの間に形成される。
【0112】
第2絶縁層1708は、第2導体パターン1702及び電子部品ユニット1800の下面を覆うように形成される。第2絶縁層1708は、第2絶縁層1707と同様に、例えば硬化したプリプレグからなる。そして、第2導体パターン1702と、当該第2絶縁層1708の下面に形成される第4導体パターン1912とを電気的に絶縁する。この第2絶縁層1708の厚さは、10〜60μmである。
【0113】
第2絶縁層1708には、複数のビアホール1712が形成される。ビアホール1712の内部には、ビア導体1806が形成される。このビア導体1806は、銅めっきからなる。このビア導体1806によって、第2導体パターン1702と、第4導体パターン1912とが接続される。第4導体パターン1912は、第2絶縁層1708の下面(−Z側の面)に形成される。第4導体パターン1912は、厚さが5〜30μmで、所定の形状にパターニングされる。
【0114】
ソルダーレジスト層1901は、第2絶縁層1707を覆うように形成される。ソルダーレジスト層1902は、第2絶縁層1708を覆うように形成される。ソルダーレジスト層1901,1902は、例えばアクリル−エポキシ系樹脂を用いた感光性樹脂、エポキシ樹脂を主体とした熱硬化性樹脂、または紫外線硬化性の樹脂等からなる。
【0115】
ソルダーレジスト層1901には、第3導体パターン1911を配線板1510に実装される電子部品等と接続するための複数の開口部1921が形成される。そして、開口部1921の内部には、第3導体パターン1911の表面を被覆する、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層1931が形成される。配線板1510に実装される電子部品の端子は、耐食層1931に半田(図示せず)を介して接続される。
【0116】
ソルダーレジスト層1902には、第4導体パターン1912を配線板1510に実装される電子部品等と接続するための複数の開口部1922が形成される。そして、開口部1922の内部には、第4導体パターン1912の表面を被覆する、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層1932が形成される。配線板1510に実装される電子部品の端子は、耐食層1932に半田(図示せず)を介して接続される。
【0117】
実施形態3においては、これらの実装用パッドP30に加えて、スパークテストを実施するための第1の検査用パッドP31、第2の検査用パッドP32、図示しない第3の検査用パッド(第3配線1911cの一箇所に設けられる)が形成される。これらの検査用パッドは、耐食層1931によって保護される。
【0118】
次に、上述した配線板1510の製造方法について、図4及び図44乃至図60を参照して説明する。
【0119】
図4のステップS11では、図44に示されるように、出発材料として両面銅張積層板2500を準備する。両面銅張積層板2500は、基板1600(コア基板)と、基板1600の第1面F5上に形成された銅箔2501と、基板1600の第2面F6上に形成された銅箔2502と、から構成される。実施形態3では、この段階において、基板1600が、完全に硬化した状態のガラエポからなる。
【0120】
次に、図4のステップS12で、スルーホール導体1603A,1603B及び第1導体パターン1701、第2導体パターン1702を形成する。
【0121】
詳しくは、図45に示されるように、例えばドリルを用いて、例えば第1面F5側から両面銅張積層板2500を貫通するスルーホール1603Aa及びスルーホール1603Baを形成する。スルーホール1603Aa,1603Baを形成した後には、スルーホール1603Aa,1603Baについてデスミアを行うことが好ましい。
【0122】
次に、例えばパネルめっき法により、図46に示されるように、銅箔2501,2502上及びスルーホール1603Aa,1603Ba内に、例えば銅のめっき2503,2504を形成する。具体的には、まず無電解めっきを行い、続けてめっき液を用いて、その無電解めっき膜をシード層として電解めっきを行うことにより、めっき2503,2504を形成する。これにより、スルーホール1603Aa,1603Baにめっき2503,2504が充填され、スルーホール導体1603A,1603Bが形成される。
【0123】
次に、例えばエッチングレジスト及びエッチング液を用いて、基板1600の第1面F5及び第2面F6に形成された各導体層のパターニングを行う。具体的には、第1導体パターン1701、第2導体パターン1702に対応したパターンを有するエッチングレジストで各導体層を覆い、各導体層の、エッチングレジストで覆われない部分(エッチングレジストの開口部で露出する部位)を、エッチングで除去する。これにより、図47に示されるように、基板1600の第1面F5、第2面F6上にそれぞれ、第1導体パターン1701及び第2導体パターン1702が形成される。なお、エッチングは、湿式に限られず、乾式であってもよい。
【0124】
ここで、電子部品ユニット1800としてのコンデンサユニットの構造について説明する。図48Aに示されるように、コンデンサユニットは、電子部品1802としての積層セラミックコンデンサ(MLCC)を4個備えている。これらの4個のMLCCは、絶縁体1801内に互いに接触しないように埋め込まれている。
【0125】
4個のMLCCの第1電極1802Aは、銅箔製の第1電極基板1804Aによって、互いに電気的に接続されている(図48Aで両端に分かれて示されている第1電極基板1804Aは、図示しない部分で互いに接続されている)。4個のMLCCの第2電極1802Bも、銅箔製の第2電極基板1804Bによって、互いに電気的に接続されている。
【0126】
実際には、図48AのA−A断面図である図48Bに示されるように、4個のMLCCの上面も絶縁体1801で覆われているため、MLCCの第1電極1802Aと第1電極基板1804Aとは、間に導電体1803Aを介して接続されている。同様に、MLCCの第2電極1802Bと第2電極基板1804Bとは、間に導電体1803Bを介して接続されている。
【0127】
次に、図4のステップS13で、基板1600(コア基板)にキャビティR1600を形成する。実施形態3では、図49に示されるように、基板1600にレーザを照射することにより、キャビティR1600を形成する。キャビティR1600は、電子部品ユニット1800の収容スペースとなる。
【0128】
次に、図4のステップS14で、電子部品1802を、基板1600のキャビティR1600に配置する。
【0129】
具体的には、図50に示されるように、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)からなるキャリア2510を、基板1600の片側(例えば第2面F6)に設ける。これにより、キャビティR1600の一方の開口がキャリア2510で塞がれる。実施形態3では、キャリア2510が、粘着シート(例えばテープ)からなり、基板1600側に粘着性を有する。キャリア2510は、例えばラミネートにより、基板1600と接着される。
【0130】
次に、キャビティR1600の塞がれた開口とは反対側(+Z側)から、キャビティR1600に電子部品ユニット1800を入れる。電子部品ユニット1800は、例えば部品実装機によりキャビティR1600に入れられる。これにより、図51に示されるように、キャリア2510上に電子部品ユニット1800が配置される。
【0131】
次に、図4のステップS15で、図51に示されるように、半硬化の状態で、キャビティR1600の塞がれた開口とは反対側(+Z側)に、銅箔1705付きの第2絶縁層1707を配置する。第2絶縁層1707は、例えば、ガラエポのプリプレグからなる。続けて、第2絶縁層1707を半硬化の状態でプレスすることにより、第2絶縁層1707から樹脂を流出させてキャビティR1600へ流し込む。これにより、キャビティR1600における基板1600と電子部品ユニット1800との隙間に絶縁体(第2絶縁層1707を構成する樹脂)が充填される。
【0132】
キャビティR1600に絶縁体が充填されたら、その充填樹脂(絶縁体)と電子部品ユニット1800との仮溶着を行う。具体的には、加熱により充填樹脂に電子部品ユニット1800を支持できる程度の保持力を発現させる。これにより、キャリア2510に支持されていた電子部品ユニット1800が、充填樹脂によって支持されるようになる。その後、キャリア2510を除去する。
【0133】
次に、図4のステップS16で、基板1600の第2面F6側にビルドアップを行う。具体的には、図52に示されるように、基板1600の第2面F6上に、第2絶縁層1708及び銅箔1706を配置する。第2絶縁層1708は、例えばガラエポのプリプレグからなる。次に、図53に示されるように、例えばプレスにより、第2絶縁層1708を半硬化の状態で基板1600及び電子部品ユニット1800に接着させた後、加熱して第2絶縁層1707,1708の各々を硬化させる。
【0134】
続く図4のステップS17では、ビア導体及び導体層を形成する。詳しくは、図54に示されるように、例えばレーザにより、第2絶縁層1707及び銅箔1705にビアホール1711を形成し、第2絶縁層1708及び銅箔1706にビアホール1712を形成する。ビアホール1711及びビアホール1712の各々は、電子部品ユニット1800の第1電極基板1804Aまたは第2電極基板1804Bに至り、またはスルーホール導体1603A,1603Bの直上または近傍に至る。その後、必要に応じて、デスミアを行う。
【0135】
次に、図55に示されるように、例えば化学めっき法により、銅箔1705,1706上及びビアホール1711,1712内に、例えば銅の無電解めっき膜1811,1812を形成する。なお、無電解めっきに先立って、例えば浸漬により、パラジウム等からなる触媒を、第2絶縁層1707,1708の表面に吸着させてもよい。
【0136】
次に、図56に示されるように、リソグラフィ技術または印刷等により、第1面F5側の主面(無電解めっき膜1811上)に開口1821aを有するめっきレジスト1821を、また、第2面F6側の主面(無電解めっき膜1812上)に開口1822aを有するめっきレジスト1822を、それぞれ形成する。開口1821a,1822aはそれぞれ、第3導体パターン1911及び第4導体パターン1912(図43)に対応したパターンを有する。
【0137】
次に、図57に示されるように、例えばパターンめっき法により、めっきレジスト1821,1822の開口1821a,1822aに、それぞれ例えば銅の電解めっき1807,1808を形成する。これにより、ビアホール1711及びビアホール1712に、それぞれ電解めっき1807,1808が充填され、例えば銅のめっきからなるビア導体1805,1806が形成される。
【0138】
その後、例えば所定の剥離液により、めっきレジスト1821,1822を除去し、続けて不要な無電解めっき膜1811,1812、及び銅箔1705,1706を除去することにより、図58に示されるように、導体層1807,1808が形成される。これらの導体層1807,1808は、下層の銅箔1705,1706と一体化して、図59に示されるように、第3導体パターン1911(第1配線1911a、第2配線1911b、第3配線1911cを含む)及び第4導体パターン1912となる。
【0139】
次に、図4のステップS18で、図59に示されるように、第2絶縁層1707,1708上にそれぞれ、開口部1921を有するソルダーレジスト層1901、開口部1922を有するソルダーレジスト層1902を形成する。第3導体パターン1911及び第4導体パターン1912はそれぞれ、開口部1921,1922に位置する所定の部位(実装用パッドP30、検査用パッドP31,P32及びランド等)を除いて、ソルダーレジスト層1901,1902で覆われる。ソルダーレジスト層1901,1902は、例えばスクリーン印刷、スプレーコーティング、ロールコーティング、またはラミネート等により、形成することができる。
【0140】
次に、図60に示されるように、第3導体パターン1911上、詳しくはソルダーレジスト層1901に覆われない開口部1921に、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層1931が形成される。同様に、図60に示されるように、第4導体パターン1912上、詳しくはソルダーレジスト層1902に覆われない開口部1922に、ニッケルめっき膜と金めっき膜からなる2層構造の耐食層1932が形成される。なお、2層構造の耐食層1932を形成する代わりに、OSP処理を行うことにより、有機保護膜からなる耐食層を形成してもよい。
【0141】
図60に示されるように、スパークテストを実施するための第1の検査用パッドP31、第2の検査用パッドP32、図示しない第3の検査用パッドも、耐食層1931によって保護される。その結果、実施形態3の配線板1510(図43)が完成する。その後、必要があれば、電子部品ユニット1800の電気テスト(容量値及び絶縁性等のチェック)を行う。
【0142】
このように、実施形態3に係る配線板1510は、電子部品1802を複数有し、複数の電子部品1802に共通する第1の検査用パッド、第2の検査用パッド及び第3の検査用パッドを有する。これにより、実施形態1と同様にスパークテストを実施することで、複数の電子部品1802に対する配線板1510の絶縁信頼性を、一度に検査することができる。
【0143】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態によって限定されるものではない。
【0144】
上記各実施形態においては、基板の内部に電子部品としてMLCCを設ける場合について説明した。これに限られず、MLCC以外の他の電子部品を基板の内部に設けてもよい。
【0145】
基板、第1導体パターン、第2導体パターン、第3導体パターン(第1配線、第2配線、第3配線)、第4導体パターン、第2絶縁層、ソルダーレジスト層の材料は、配線板の使用目的等に応じて任意に選択することができる。例えば、第2絶縁層は、プリプレグの他、液状またはフィルム状の熱硬化性樹脂や、それらの混合物、さらにはRCF(Resin Coated copper Foil)から構成されていてもよい。
【0146】
第1配線、第2配線、第3配線の形状も、上記各実施形態に限られるものではなく、他の形状とすることができる。第1の検査用パッド、第2の検査用パッド、第3の検査用パッドは電子部品と接続される側の最外層の導体層(第3導体パターン411、第3導体パターン911、第3導体パターン1911)に形成されることに限られず、ドーターボードと接続される側の最外層の導体層(第4導体パターン412、第4導体パターン912、第4導体パターン1912)に形成されてもよい。
【0147】
無電解めっきの材料として、ニッケルや、チタン、クロム等を採用してもよい。無電解めっき以外に、PVD膜やCVD膜を用いることもできる。PVD膜やCVD膜の場合、触媒は不要である。
【0148】
同様に、電解めっき膜の材料として、ニッケルや、チタン、クロム等を採用してもよい。
【0149】
また、第1導体パターン、第2導体パターン、第3導体パターン、第4導体パターンの形成方法、パターニング方法は限定されず、セミアディティブ法、サブトラクティブ法などを、配線板の用途に応じて適宜選択することができる。
【0150】
配線板の構成、及びその構成要素の種類、性能、寸法、材質、形状、層数、または配置等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変更することができる。
【0151】
例えば配線板におけるビア導体は、フィルド導体に限られず、例えばコンフォーマル導体であってもよい。
【0152】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0153】
10,510,1510 配線板
11,12,13,15,16 配線
30C コンデンサ
100,600,1600 基板(第1絶縁層)
103A,103B,603A,603B,603C,1603A,1603B スルーホール導体
103Aa,103Ba,603Aa,603Ba,603Ca,1603Aa,1603Ba スルーホール
201,701,1701 第1導体パターン
202,702,1702 第2導体パターン
205,206,705,706,1705,1706 銅箔
207,208,707,708,1707,1708 第2絶縁層
207A,1801 絶縁体
207a,207b 隙間
211,212,711,712,1711,1712 ビアホール
300,800,802,1802 電子部品
300A,800A,802A,1802A 第1電極
300B,800B,802B,1802B 第2電極
305,306,805,806,1805,1806 ビア導体
307,308,807,808,1807,1808 電解めっき
311,312,811,812,1811,1812 無電解めっき膜
321,322,821,822,1821,1822 めっきレジスト
321a,322a,821a,822a,1821a,1822a 開口
401,402,901,902,1901,1902 ソルダーレジスト層
411,911,1911 第3導体パターン
411a,911a,911d,1911a 第1配線
411b,911b,911e,1911b 第2配線
411c,911c,911f,1911c 第3配線
412,912,1912 第4導体パターン
421,422,921,922,1921,1922 開口部
501,502,931,932,1931,1932 耐食層
1000,1500,2500 両面銅張積層板
1001,1002,1501,1502,2501,2502 銅箔
1003,1004,1503,1504,2503,2504 めっき
1010,1610,2510 キャリア(粘着シート)
1803A,1803B 導電体
1804A 第1電極基板
1804B 第2電極基板
F1,F3,F5 第1面
F2,F4,F6 第2面
P1,P11,P21,P31 第1の検査用パッド
P2,P12,P22,P32 第2の検査用パッド
P3,P13,P23 第3の検査用パッド
R100,R600,R602,R1600 キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する第1絶縁層と、
前記開口部に収容され、第1電極と第2電極とを有する電子部品と、
前記第1絶縁層及び前記電子部品の上方に形成される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上に形成され、前記第1電極に接続される第1配線と、前記第2電極に接続される第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との線間にある第3配線とを含む導体層と、
前記第1配線に接続される第1の検査用パッドと、
前記第2配線に接続される第2の検査用パッドと、
前記第3配線に接続される第3の検査用パッドと、
を備える配線板。
【請求項2】
前記電子部品は、チップコンデンサである請求項1に記載の配線板。
【請求項3】
前記第1配線、前記第2配線及び前記第3配線は、絶縁材によって被覆されている請求項1または2に記載の配線板。
【請求項4】
前記チップコンデンサを複数有し、各チップコンデンサに対応する前記第1の検査用パッド、前記第2の検査用パッド及び前記第3の検査用パッドの組をそれぞれ有する請求項2に記載の配線板。
【請求項5】
前記チップコンデンサを複数有し、該複数のチップコンデンサに共通の前記第1の検査用パッド、前記第2の検査用パッド及び前記第3の検査用パッドを有する請求項2に記載の配線板。
【請求項6】
前記線間の最小幅は、100μm以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配線板。
【請求項7】
前記開口部は、レーザにより形成されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の配線板。
【請求項8】
前記第1配線、前記第2配線及び前記第3配線の厚みは、10μm以上100μm以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の配線板。
【請求項9】
絶縁材料からなる基板を用意することと、
前記基板に開口部を形成することと、
前記開口部に第1電極と第2電極とを有する電子部品を収容することと、
前記基板と前記電子部品の上方に絶縁層を形成することと、
前記絶縁層上に第1配線及び第2配線を形成することと、
前記第1配線と前記第2配線との線間に第3配線を形成することと、
前記第1電極を前記第1配線に接続することと、
前記第2電極を前記第2配線に接続することと、
前記第1配線に接続される第1の検査用パッドを形成することと、
前記第2配線に接続される第2の検査用パッドを形成することと、
前記第3配線に接続される第3の検査用パッドを形成することと、
前記第1の検査用パッドと前記第3の検査用パッドとを使って検査することと、
前記第2の検査用パッドと前記第3の検査用パッドとを使って検査することと、
を含む、配線板の製造方法。
【請求項10】
前記基板と前記電子部品の上方に絶縁層を形成する際に、前記基板と前記電子部品の隙間に前記絶縁層を構成する絶縁体を流し込む請求項9に記載の配線板の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48A】
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【図48B】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【公開番号】特開2013−84692(P2013−84692A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222342(P2011−222342)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】