説明

配線構造体、センサ、及び配線構造体の製造方法

【課題】柔軟に屈曲あるいは変形可能でありつつ、曲げあるいは引っ張りによる断線が発生しにくく、断線が発生したとしても応力が解除されることにより導電性を復元させることが可能な配線構造体、センサ、及び前記当該配線構造体の製造方法の提供を目的とした。
【解決手段】センサ10が備えている配線構造体20は、ベース層22、導電層24、及びカバー層26を積層させたものである。ベース層22及びカバー層26は、柔軟性を有する樹脂素材によって形成されている。また、ベース層22の表面には、断面形状が波形の凹凸部28が形成されており、この凹凸部28の上に導電層24が積層されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲げ応力あるいは引っ張り応力が作用した場合に柔軟に屈曲あるいは変形可能である配線構造体、センサ、及び前記配線構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体に装着した状態で生態情報を取得等するための装置等において、曲げ応力あるいは引っ張り応力が作用する状況下において使用されても使用可能な柔軟性に優れた配線構造体の提供が求められている。
【0003】
従来、実装時に折曲げられる箇所に用いるための配線構造体として、下記特許文献1に開示されているフレキシブル配線基板等が提供されている。このフレキシブル配線基板は、実装時に折曲げを必要とする部分の絶縁性フィルムの厚さを他の部分よりも薄肉に形成するとともに、折曲げ予定部分を含む導体パターン面上にシリコーンゴム製のカバーレイを施したものである。
【0004】
また、柔軟性を有する配線構造体として、下記特許文献2に開示されている柔軟性配線構造体等が提供されている。この柔軟性配線構造体は、ロボット用の皮膚材料等として用いるためのものであり、伸張時の長さが伸縮方向に所定倍数以上の導線を集合させることにより形成された集合線を樹脂成型体と一体化した構造とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−267396号公報
【特許文献2】特開2009−266401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示されているフレキシブル配線基板においては、折り曲げ部分において絶縁性フィルムの厚みを薄くすることにより折り曲げ部分における柔軟性を向上させると共に、シリコーンゴム性のカバーレイによって被覆することによって導体パターンを保護することができる。しかしながら、このフレキシブル配線基板は、伸縮性に欠けるため十分な柔軟性を得ることができず、生態情報を取得するための装置等に用いるには不十分であるという問題がある。また、このようなフレキシブル配線基板においては、配線部分が曲げあるいは引っ張りにより一度断線してしまうと復元させることができないという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2に開示されている柔軟性配線構造体は、柔軟性を有しており、屈曲等させても使用可能なものである。しかしながら、この柔軟性配線構造体においては、伸張時に所定倍以上の長さである等、特殊な特性を有する導線を集合させて用いなければならず、製造が困難であり製造コストも高くつくという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、特殊な導線等を用いることなく製造可能であり、曲げ応力あるいは引っ張り応力が作用した場合に柔軟に屈曲あるいは変形可能でありつつ、曲げ応力あるいは引っ張り応力が作用することにより断線を生じたとしても応力が解除されることにより導電性を復元させることが可能な配線構造体、センサ、及び前記当該配線構造体の製造方法の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明の配線構造体は、柔軟性を有する樹脂素材によって形成されたベース層と、前記ベース層の表面に導電体を積層させることにより形成された導電層と、柔軟性を有する樹脂素材によって形成され、前記導電層の上に積層されたカバー層とを有し、前記ベース層の表面に、断面形状が波状の凹凸部が設けられており、前記凹凸部上に前記導電層が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
上記(1)のようにベース層に設けられた凹凸部の上に導電層を形成した場合、導電層の片面側に凹凸部の起伏に倣った凹凸が形成される。これにより、導電層には、厚みが薄い部分と厚い部分とが形成される。このような配線構造体に対して曲げあるいは引っ張りによる応力が作用した場合、厚みが厚い箇所には応力が作用しにくく、亀裂が生じにくい。また、導電層の厚みが薄い箇所においては、厚い部分に比べて導電層をなす一方側の面に作用する応力と、他方側の面に作用する応力との差が小さく、亀裂が生じにくい。
【0011】
さらに、上記(1)のように導電層の上にカバー層を設けた場合、カバー層の復元性による効果により、屈曲あるいは引っ張りによる応力を相殺する応力が作用し、導電層に亀裂が生じることを防止できる。また、屈曲あるいは引っ張りにより導電層に亀裂が形成されたとしても、屈曲等による応力が解除されると配線構造体が元の姿勢に戻る。これにより、導電層に形成された亀裂部分が接触した状態になり、導電層における導電性が復元する。従って、上記(1)の構成とすることにより、曲げあるいは引っ張りによる応力が作用した場合であっても導電層が非導通状態になりにくく、曲げ等により導電層に亀裂が生じたとしても応力が解除されることにより導電性を復元させることが可能な配線構造体を提供することができる。
【0012】
(2) 本発明の配線構造体においては、前記カバー層において、前記導電層と接触する面が平滑であることが望ましい。
【0013】
上記(2)の構成とした場合、屈曲あるいは引っ張った際に作用する屈曲応力あるいは引っ張り応力に反し、カバー層側において元の状態に戻ろうとする応力を確実に作用させることが可能となる。これにより、屈曲あるいは引っ張りにより作用する応力を相殺させ、導電層が完全に破断されてしまうことを防止できる。また、屈曲あるいは引っ張りによる応力が解消された場合に、配線構造体を確実に元の姿勢に戻し、導電層における導電性を復元させることが可能となる。
【0014】
(3) 本発明の配線構造体においては、前記ベース層と前記カバー層が同種の材料により、同一の厚みで形成されていることが好ましい。
【0015】
上記(3)の構成によれば、屈曲あるいは引っ張った際にベース層及びカバー層に作用する応力が略同一かつ互いに相殺する方向に作用することになる。これにより、屈曲応力あるいは引っ張り応力を解除した際に、導電層の導電性を確実に復元させることが可能となる。
【0016】
(4) 本発明の配線構造体においては、前記ベース層及び前記カバー層が、屈曲及び伸縮可能な素材によって形成されていることが望ましい。
【0017】
上記(4)の構成によれば、例えば人体のように屈曲及び伸縮の双方が見込まれる箇所に装着するために最適な配線構造体を提供することができる。
【0018】
(5) 本発明の配線構造体においては、前記凹凸部が、前記ベース層の表面を基準として所定の高さAの起伏を有し、前記導電層が、前記凹凸部の表面に所定の厚みTで形成されており、前記厚みTを前記高さAによって除して得られる比率αが、0<α≦0.8の範囲内であることが望ましい。
【0019】
上記(5)の構成によれば、屈曲応力及び引っ張り応力を作用させても、これらの応力が解除されることにより導電層の導電性を確実に復元させることが可能な配線構造体を提供することができる。
【0020】
(6) 本発明のセンサは、上述した本発明の配線構造体を備えていることを特徴とするものである。
【0021】
上記(6)の構成によれば、例えば、生体表面に貼り付けた場合、生体表面の屈曲又は引っ張りによる変位量により変化する導電層の抵抗値を測定できる。該抵抗値を利用することで、生体の動作を検知することが可能となる。
【0022】
(7) 本発明は、柔軟性を有する樹脂素材によって形成されたベース層と、前記ベース層の表面に導電体を積層させることにより形成された導電層と、柔軟性を有する樹脂素材によって形成され、前記導電層の上に積層されたカバー層とを有し、前記ベース層の表面に形成された断面形状が波状の凹凸部の上に前記導電層が形成された配線構造体の製造方法に関するものである。本発明の配線構造体の製造方法は、前記ベース層を構成する樹脂素材の表面に凹凸部を形成する工程と、前記ベース層の凹凸部上に導電層を形成する工程と、前記導電層の上に前記カバー層を形成する工程とを有することを特徴としている。
【0023】
上記(7)の製造方法によれば、屈曲させたり引っ張ったりしても、応力を解除すると導電層の導電性が復元する配線構造体を製造することが可能となる。
【0024】
(8) 本発明の配線構造体の製造方法においては、導電層を形成する工程において、導電性素材が前記凹凸部上に蒸着されることが好ましい。
【0025】
上記(8)の製造方法によれば、導電層の厚み及び幅を容易かつ確実に調整することが可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、特殊な導線等を用いることなく製造可能であり、曲げ応力あるいは引っ張り応力が作用した場合に柔軟に屈曲あるいは変形可能でありつつ、曲げ応力あるいは引っ張り応力が作用することにより断線を生じたとしても応力が解除されることにより導電性を復元させることが可能な配線構造体、センサ、及び前記当該配線構造体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係るセンサ及び配線構造体を示した平面図であり、(b)は(a)に示すセンサ及び配線構造体の断面構造を示す斜視図である。
【図2】(a)は図1に示す配線構造体におけるベース層及び導電層を示す断面図、(b)はベース層に設けられた凹凸部及び導電層の拡大図である。
【図3】(a)〜(e)は、それぞれベース層を形成用の型を製造する際に用いられるレジストパターンを示すパターン図である。
【図4】(a)は図3に示すパターン図に則って製造された型の断面構造を示す電子顕微鏡写真であり、(b)はレジストパターンのピッチ幅と型に形成された凹部の深さとの関係を示すグラフである。
【図5】図1に示す配線構造体を屈曲させた場合における応力の作用状態を模式的に示した説明図である。
【図6】配線構造体に対して屈曲・引張応力を作用させた際に導電層に作用する応力について、ベース層に形成した凹凸部の起伏の大きさ毎に調べたシミュレーション結果を示すグラフである。
【図7】図6に示すシミュレーション結果において、導電層の厚みと凹凸部の起伏の比率αが1以下の範囲である際のシミュレーション結果を示すグラフである
【図8】導電層の厚みと凹凸部の起伏の比率αを1.0に維持しつつ、凹凸部の起伏Aを変化させた場合に導電層に作用する応力の変化についてのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例に係る配線構造体について実施した引っ張り試験の結果を示すグラフである。
【図10】本発明の実施例に係る配線構造体について実施した引っ張りサイクル試験の結果を示すグラフである。
【図11】本発明の実施例に係るそれぞれ配線構造体について実施した屈曲試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態に係るセンサ10及び配線構造体20について、その構造及び製造方法について図面を参照しつつ詳細に説明する。また併せて、センサ10及び配線構造体20の特性について、シミュレーション結果及び実験結果を例示しつつ説明する。
【0029】
≪センサ10及び配線構造体20の構造について≫
本実施形態のセンサ10は、生体情報等を検出するために用いられるものである。図1(a),(b)に示すように、センサ10は、後に詳述する配線構造体20によって構成されている。センサ10は、プレート状とされており、2つのパッド状の部分(パッド状部10a)を線状部10bで繋いだ構造とされている。センサ10は、生体表面の屈曲又は引っ張り等の変位量に起因して変化する配線構造体20の導電層24の抵抗値を測定し、生体の動作を検知可能とされている。
【0030】
図1(b)に示すように、配線構造体20は、ベース層22と導電層24とカバー層26とを積層することにより形成された層状構造体である。ベース層22は、柔軟性を有し、自由に屈曲及び伸縮可能な樹脂素材によって形成されている。具体的には、ベース層22は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコン等の樹脂薄膜によって形成することが可能である。本実施形態では、ベース層22としてポリジメチルシロキサン(PDMS)が用いられている。そのため、ベース層22は、屈曲及び伸縮を可能とするゴム弾性に加え、ガス透過性、生体適合性、熱安定性、及び疎水性等の性質を有し、生体に対して容易に貼付することができる性質を有している。
【0031】
図2に示すように、ベース層22の表面には凹凸部28が設けられており、凹凸部28において断面形状が波形とされている。凹凸部28は、所定の振幅及び波長を有する正弦波状の断面形状を有する。図2(b)に示すように、凹凸部28をなす凹部28aの深さ及び凸部28bの高さをそれぞれ起伏Aとし、隣接する凹凸部28の波長(凸部28b,28b間の距離に相当)を間隔Bと規定した場合、凹凸部28は振幅が2Aであり、波長がBの正弦波状の断面形状を有する。凹凸部28をなす凹部28a及び凸部28bの起伏Aは、後に詳述するように、導電層24の膜厚との相関関係等を考慮した上で決定される。本実施形態においては、ベース層22の厚みが約300[μm]であるのに対し、凹凸部28の起伏Aが1[μm]〜30[μm]程度の範囲内である。すなわち、凹凸部28の起伏Aは、ベース層22の厚みに対して0.3%〜10%の範囲内である。そのため、凹凸部28の起伏Aは、ベース層22全体の厚みに対してごく僅かなものである。
【0032】
図1に示すように、ベース層22には、ベース層22の横方向(X方向)に向けて凹部28a及び凸部28bが並ぶように形成されると共に、ベース層22の縦方向(Y方向)に向けて凹部28a及び凸部28bが並ぶように形成されている。そのため、ベース層22は、X断面及びY断面の双方において、凹凸部28による波形状の断面が表面に形成されている。
【0033】
図2に示すように、導電層24は、ベース層22の表面に形成された凹凸部28上に導電体をスパッタリングにより蒸着することによって積層させて形成されている。導電層24は、センサ10のパッド状部10a及び線状部10bの全体にわたって形成されている。導電層24には、金、クロム、銅、亜鉛等の良導性の金属材料を単独あるいは複数組み合わせて用いることが可能である。本実施形態においては、凹凸部28上にクロムを蒸着し、その上に金を蒸着することにより、所定の厚みTの導電層24が形成されている。
【0034】
導電層24の厚みTは、上述した凹凸部28をなす凹部28a及び凸部28bの起伏A、及び配線構造体20に対して求められる特性を考慮して決定される。具体的には、厚みTを高さAによって除して得られる比率α(=T/A)が、0<α≦0.8の範囲内となるように決定される。また、引っ張りに対する耐性に比べて屈曲に対する耐性が求められる場合には、前述した範囲内において比率αが大きくなるように凹凸部28の起伏Aが調整され、これにあわせて導電層24の厚みTが調整される。これとは逆に、屈曲に対する耐性に比べて引っ張りに対する耐性が求められる場合には、前述した範囲内において比率αが小さくなるように凹凸部28の起伏Aが調整され、これにあわせて導電層24の厚みTが調整される。本実施形態においては、導電層24の厚みTが100[nm]〜500[nm]程度とされており、ベース層22の厚みの10分の1程度とされている。
【0035】
カバー層26は、上述したベース層22と同様に、柔軟性を有し、自由に屈曲及び伸縮可能な樹脂素材によって形成されており、導電層24の上に積層されている。具体的には、カバー層26は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコン等の樹脂薄膜によって形成することが可能である。本実施形態では、カバー層26がベース層22と同一の素材、すなわちポリジメチルシロキサン(PDMS)によって形成されている。そのため、カバー層26は、ベース層22と同様の屈曲性及び伸縮性を有している。また、カバー層26は、ベース層22と略同一の厚み(約300[μm])に形成されている。一方、導電層24側に向く面が平滑とされている点においてベース層22と相違している。
【0036】
≪配線構造体20の製造方法について≫
続いて、配線構造体20の製造方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。配線構造体20の製造工程は、表面に凹凸部28を有するベース層22を形成する凹凸部形成工程、凹凸部28の上に導電層24を形成する導電層形成工程、及び導電層24の上にカバー層26を形成するカバー層形成工程に大別される。
【0037】
凹凸部形成工程においては、図3(a)〜(e)に示すようなパターンのうちいずれか一つによりエッチングされたシリコンウエハがベース層22形成用の型として用いられる。凹凸部形成工程においては、前述した型を用い、樹脂素材(本実施形態においてはPDMS)を成型することによって凹凸部28を表面に有するベース層22が形成される。
【0038】
凹凸部形成工程において使用される型についてさらに詳細に説明すると、この型を形成する際には、先ずフォトリソグラフィなどの手法により、図3(a)〜(e)に示すようなパターンのうちいずれか一つのレジストパターンがシリコンウエハ上に生成される。このパターンは、凹凸部28が形成される部分にフォトレジストが残らないように処理して形成されたものである。図3に示す各パターン図においては、白色の矩形により示された部分が凹凸部28に相当する部分(以下、「非レジスト部」とも称す)であり、非レジスト部のレジストを除去した状態とされる。
【0039】
また、本実施形態においては、凹凸部28が配線構造体20の横方向(X方向)及び縦方向(Y方向)に並べて形成される。そのため、図3に示す状態においては、横長の非レジスト部及び縦長の非レジスト部が、それぞれ縦横方向(X,Y方向)に等間隔で並んだ状態とされている。なお、各非レジスト部のピッチ幅は、適宜選定することが可能である。図3(a)〜(e)に示す例においては、矩形状の非レジスト部の大きさを1×3[pixel]の大きさで形成し、非レジスト部のピッチがそれぞれ1,2,3,4,5[pixel]に調整されている。
【0040】
図3に示すようなレジストパターンが形成された後、結晶異方性ドライエッチング(RIE)等の手法によりエッチングを施すことにより、ベース層22を形成するための型が準備される。本実施形態においては、C:120sccm,1200W,10Pa,60Hz(デューティ比30%)、SF:160sccm,25W,10Pa,60Hz(デューティ比30%)、O:200sccmの条件下において、5〜8分に亘って結晶異方性ドライエッチング(RIE)を施したところ、図4(a)に示すような断面形状を有する凹形状部30がシリコンウエハ上に形成された。
【0041】
図3(a)〜(e)に示す各レジストパターンによりエッチングを行った場合、図4(a)に示すように凹凸部28を形成するための凹形状部30が形成される。上述した方法によりベース層22形成用の型を作成した場合、下記表1に示すように凹形状部30の幅w及び高さhの比率は、いずれも略均一に形成される。このように、上述した方法によれば、非レジスト部同士のピッチ幅によらず、大きさ及び形状が略均一の凹凸部28が規則正しく有する型を形成することができる。
【0042】
【表1】

【0043】
表1及び図4(b)に示すようにレジストパターンのピッチ幅を変更することにより、ベース層22用の型に形成される凹形状部30の高さhを変更することができる。また、ピッチ幅を大きくすることにより凹形状部30の高さhを高くすることができる。従って、ベース層22用の型の作成に際して、非レジスト部のピッチ間隔を調整することにより、凹凸部28の高さAを調整することができる。上述したようにして準備された型を用いて樹脂素材を成型することにより、ベース層22の表面に形成される凹凸部28の起伏Aを所望の高さに調整することができる。
【0044】
上述したようにしてベース層22が形成されると、導電層形成工程において、凹凸部28の上に導電層24が形成される。具体的には、クロム、金、銀、銅等の良導性の金属を凹凸部28上に一又は複数蒸着することにより、導電層24が形成される。本実施形態においては、クロムが凹凸部28上に蒸着され、その後クロム層の上に金が蒸着される。導電層24の厚みTは、凹凸部28をなす凹部28a及び凸部28bの高さAを加味し、配線構造体20に求められる特性に対して厚みTと高さAとの比率α(α=T/A)が0<α≦0.8の範囲内において適正な値となるように調整される。
【0045】
上述したようにして厚みTが適正な導電層24が形成されると、続いてカバー層形成工程において導電層24の上にカバー層26が形成される。カバー層26は、上述したベース層22と同一の素材(PDMS)により、ベース層22と同一の厚みとなるように形成される。また、カバー層26において導電層24側に向く面は、平滑に形成される。カバー層26が導電層24上に積層されることにより、配線構造体20が完成する。
【0046】
≪センサ10及び配線構造体20の特性について≫
本実施形態の配線構造体20においては、ベース層22に設けられた凹凸部28の上に導電層24が形成されるため、導電層24は凹凸部28の起伏に倣い、凹凸形状に形成される。このような構成とすることにより、配線構造体20に対して曲げあるいは引っ張りによる応力が作用した場合であっても導電層24に亀裂が生じにくくなる。
【0047】
また、配線構造体20においては、導電層24の上に弾性を有するカバー層26が設けられている。これにより、曲げあるいは引っ張りによる応力(以下、屈曲・引張応力とも称する)が作用した際に、カバー層26の復元性により、図5に矢印によって示すように屈曲・引張応力を相殺する応力が作用し、導電層24に亀裂が生じることを防止できる。従って、配線構造体20においては、屈曲・引張応力が作用した場合であっても導電層24が非導通状態になりにくい。
【0048】
また、屈曲・引張応力が作用することにより導電層24に亀裂が形成されたとしても、屈曲・引張応力が解除されると配線構造体20が元の姿勢に戻る。これにより、導電層24に形成された亀裂部分が接触した状態になり、導電層24における導電性が復元する。従って、配線構造体20においては、屈曲・引張応力が作用することにより導電層24に亀裂が生じてしまったとしても、屈曲・引張応力が解除されることにより導電層24における導電性を復元させることが可能である。
【0049】
また、配線構造体20においては、カバー層26において導電層24と接触する面が平滑とされているため、屈曲・引張応力を作用させた場合に、屈曲・引張応力に反して元の状態に戻ろうとする応力を確実に作用させ、屈曲・引張応力を相殺させることが可能である。これにより、屈曲・引張応力が作用することにより導電層24が完全に破断されてしまうことを防止できる。また、屈曲・引張応力の解除時に、配線構造体20を確実に元の姿勢に戻し、導電層24における導電性を復元させることが可能である。
【0050】
配線構造体20においては、ベース層22とカバー層26とが同種の材料により、同一の厚みで形成されているため、カバー層26により作用する応力が、屈曲・引張応力と略同一かつ互いに相殺する方向に作用する。これにより、屈曲・引張応力を解除した際に、導電層24の導電性を確実に復元させることが可能となる。なお、本実施形態においては、ベース層22及びカバー層26を同一素材、及び同一の厚みで形成することにより、応力を均衡させ、相殺させる構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、ベース層22とカバー層26とを異なる素材で作成し、異なる厚みに形成することも可能である。かかる構成とする場合には、屈曲・引張応力が作用した場合に、当該応力を相殺することが可能な応力が作用するように、ベース層22及びカバー層26の素材及び厚みを調整することが好ましい。
【0051】
配線構造体20においては、ベース層22及びカバー層26が、PDMSにより形成されており、自由に屈曲及び伸縮可能とされている。そのため、配線構造体20は、センサ10のように屈曲及び伸縮の双方が見込まれる人体の表面等の箇所に装着して使用するために用いられる機器類に用いるのに好適である。
【0052】
配線構造体20においては、凹凸部28の起伏A及び導電層24の厚みTの比率αが0<α≦0.8の範囲内となるように、起伏A及び厚みTが調整されている。また、起伏A及び厚みTは、配線構造体20に求められる特性を加味し、比率αが適切な値となるように調整されている。具体的には、配線構造体20が主として屈曲に対する耐性が求められる場所に用いられる場合には、比率αが大きくなるように凹凸部28の起伏Aが調整される。また、主として引っ張りに対する耐性が求められる場所に配線構造体20が用いられる場合には、主として屈曲に対する耐性が求められる場所に用いられる場合に比べて比率αが小さくなるように起伏Aが調整される。このように、比率αを基準として起伏A及び厚みTを調整することにより、配線構造体20を屈曲・引張応力に対する耐性を有するものとし、屈曲・引張応力が解除された場合に導電層24の導電性が確実に復元可能とすることが可能である。
【0053】
センサ10は、配線構造体20を備えたものであり、生体表面に貼り付けた場合に、屈曲あるいは引っ張りによる変位が生じると、この変位量に応じて導電層24の抵抗値が変化する。そのため、センサ10は、導電層24の抵抗値の変化を捉えることにより、生体表面の変位、すなわち生体の動きを適確に把握することが可能である。
【0054】
なお、本実施形態において例示したセンサ10は、導電層24の導電性(抵抗値)の変化に基づき、生体の動作を検知するものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、センサ10は、生態情報を検出するための検知手段を別途有し、電源あるいは電気・電子部品等と検知手段とを配線構造体20によって電気的に接続したもの、あるいは複数設けられた検知手段同士を配線構造体20によって電気的に接続したものとすることが可能である。
【0055】
ここで、センサ10に設ける検知手段は、いかなるものであっても良く、例えば生体の運動状態を計測する検知手段、生体が置かれている環境状態を計測する検知手段、生体情報を計測する検知手段等、適宜の検知手段によって構成することができる。さらに具体的には、生体の運動状態を計測する検知手段としては、静加速度(姿勢検知)および動加速度(衝撃検知)を計測するための加速度検知手段等を用いることができる。また、環境状態を計測するための検知手段としては、温度(外気温)、湿度、圧力、高度、騒音、光等を計測するための検知手段を用いることができる。生体情報の計測用の検知手段としては、心電、脈拍、血圧、呼吸、体温等を計測するための検知手段を用いることができる。また、センサ10に設ける電気・電子部品としては、例えばICチップ、抵抗器、コンデンサ等を用いることが可能である。
【0056】
上述したセンサ10は、配線構造体20によって構成されたパッド状部10a,10a、及び線状部10bを電気的に繋いだ構造とされているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の回路構造あるいは配線構造を採用したものであっても良い。具体的には、センサ10は、略全体がパッド状部10aに相当するものによって構成されたもの、あるいはさらに多数のパッド状部10aを線状部10bによって接続した構造等とすることが可能である。また、パッド状部10aあるいは線状部10bの形状、大きさ等については、適宜設計変更することが可能である。
【0057】
また、本実施形態において例示した配線構造体20の製造方法は、凹凸部形成工程、導電層形成工程、及びカバー層形成工程の3工程に大別されるものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに複数の工程を有するものであっても良い。また、上記各工程において例示した製造方法については、適宜変更することが可能である。具体的には、凹凸部形成工程において凹凸部28を形成する方法については、上述したように予めベース層22形成用の型を作る方法に代えて、表面が平滑な樹脂層の表面に切削等の手法により凹凸部28を形成するようにしても良い。また、ベース層22を形成する型についても、上述したようにして製作する代わりに、別途の方法により作成しても良い。
【0058】
上述した導電層形成工程は、導電性を有する金属を凹凸部28上に蒸着することにより導電層24を形成するものであるため、導電層24の厚み及び幅を容易かつ精度良く調整することが可能である。なお、導電層形成工程において導電層24を形成する方法は、蒸着に限定されるものではなく、他の方法により形成しても良い。具体的には、凹凸部28が形成されたベース層22の上に、導電性を有する金属を含むペーストを塗布して固化させる等して導電層24を形成しても良い。
【0059】
本実施形態においては、配線構造体20の略全面に亘って凹凸部28を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定される訳ではなく、屈曲あるいは引っ張りが想定される箇所にのみ凹凸部28を設けた構成としても良い。また、凹凸部28の起伏Aの大きさ、あるいは導電層24の厚みTのいずれか一方又は双方を配線構造体20の一部において異ならせ、部位によって比率αが異なるようにしても良い。具体的には、引っ張りによる応力が作用しやすい箇所を、屈曲による応力が作用しやすい箇所に比べて比率αが小さくなるように凹凸部28の起伏Aあるいは導電層24の厚みTを調整することが可能である。
【0060】
上述した配線構造体20は、凹部28a及び凸部28bがベース層22の横方向(X方向)に向けて並ぶように凹凸部28を形成すると共に、ベース層22の縦方向(Y方向)に向けて凹部28a及び凸部28bが並ぶように凹凸部28を形成している。従って、縦横方向(X,Y方向)への屈曲・引張応力が作用した場合、あるいは配線構造体20をねじるような応力が作用した場合であっても、導電層24の導電性低下が最小限で済み、応力が解除された場合に導電性を復元させることが可能である。
【0061】
なお、本実施形態においては、配線構造体20の縦方向及び横方向の双方に向けて凹凸部28を形成した構成を例示したが、本発明はこれに限定される訳ではない。具体的には、いずれか一方向にのみ屈曲あるいは引っ張りによる応力が作用すると想定される場合には、縦方向あるいは横方向のいずれか一方向にのみ凹凸部28を形成しても良い。かかる構成とすることにより、ベース層22の構造がより一層シンプルなものとなり、製造が容易となる。
【実施例1】
【0062】
続いて、上述した配線構造体20について実施したシミュレーション結果、及び実験結果について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0063】
≪シミュレーション結果について≫
配線構造体20について、横方向(X方向)に向けて全長の10%に相当する長さの引っ張り負荷を作用させた場合に導電層24に作用する最大応力についてシミュレーションを行った。すなわち、配線構造体20に対し、引っ張り長さpに対する配線構造体20の全長dの割合(p/d:以下、「ひずみ」とも称す)を0.1とした場合に導電層24に作用する最大応力についてシミュレーションを行った。
【0064】
本シミュレーションに用いたシミュレーションソフト及びバージョンは、ANSYS 12.0である。また、シミュレーションに際し、配線構造体20に用いたベース層22及びカバー層26の素材としてPDMSを選定し、導電層24を構成する金属として金を選定した。その結果、図6(グラフ中のAmpとは上述の起伏Aと同義。以下同様。)に示すようなシミュレーション結果が得られた。この結果、凹凸部28の起伏Aが小さいほど、導電層24をなす金属材料(金)に作用する最大応力が大きくなる傾向にあることが判明した。
【0065】
また、凹凸部28の起伏A及び導電層24の厚みTの比率α(α=T/A)が2.0〜3.0近傍に至る領域において導電層24をなす金属材料(金)に作用する応力が高くなり、2.0〜3.0近傍において導電層24をなす金属材料(金)に作用する応力が最大になることが判明した。さらに、比率αが2.0〜3.0近傍において応力が最大値となる領域を超えて大きくなると、導電層24をなす金属材料(金)に作用する応力が緩やかに低下する傾向にあることが判明した。
【0066】
比率αが0≦α≦1.0の範囲において導電層24をなす金属材料に作用する応力の変化をさらに詳細にシミュレーションした結果、図7に示す結果が得られた。この結果、比率αが0<α≦0.8の範囲においては導電層24に作用する応力が一定の割合で比較的緩やかに上昇するものの、αが0.8を越えると導電層24に作用する応力が急激に上昇する傾向にあることが判明した。これらのシミュレーション結果を踏まえると、比率αが0<α≦0.8の範囲内となるように凹凸部28の起伏A及び導電層24の厚みTを調整することにより、導電層24に対して過度に大きな応力が作用することを防止しうることが判明した。
【0067】
また、比率αを1.0に維持しつつ、凹凸部28の起伏Aを変化させた場合に、導電層24に作用する応力の変化をシミュレーションにより求めた。本シミュレーションにおいては、起伏Aを2.0〜18.0の範囲で変動させた。その結果、図8に示すように、起伏Aの大小によらず導電層24に過度に大きな応力がせず、起伏Aを上昇させることにより導電層24に作用する応力が低下傾向にあることが判明した。
【0068】
≪引っ張り試験の結果について≫
続いて、配線構造体20について実施した引っ張り試験の結果について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本試験においては、凹凸部28の起伏Aを0としたものをサンプル1、起伏Aを2[μm]としたものをサンプル2、起伏Aを12[μm]としたものをサンプル3として準備した。本試験に用いたサンプル1〜3は、ぞれぞれ1[mm]×30[mm]の大きさを有する。本試験においては、1[mA]の電流を印加した状態において、初期状態における抵抗値R0[Ω]と、引っ張り応力を作用させた状態における抵抗値R[Ω]の比(R/R0)について、付与されたひずみとの相関関係を調べた(図9参照)。
【0069】
本試験の結果、図9に示すように、起伏Aを設けなかったサンプル1(図9のグラフ中のType1)については導電層24が断線して抵抗値R[Ω]が無限大になってしまい、計測不可能であった。また、サンプル2,3(図9のグラフ中のType2,3)においては、ひずみを上昇させることにより抵抗値R,R0[Ω]の比(R/R0)が上昇し、ひずみが一定値を越えると抵抗値R,R0[Ω]の比(R/R0)が計測不可能になることが判明した。凹凸部28の起伏Aが小さなサンプル2について、ひずみが0.2になった時点で抵抗値R,R0[Ω]の比(R/R0)が計測不能になったのに対し、サンプル3については、ひずみが0.3になるまで抵抗値R,R0[Ω]の比(R/R0)が計測可能であったことから、起伏Aを大きくした方が引っ張り応力に対する耐性が高いことが判明した。
【0070】
≪引っ張りサイクル試験の結果について≫
配線構造体20について実施した引っ張りサイクル試験の結果について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本引っ張りサイクル試験についても、上記引っ張り試験において用いたものと同一のサンプル1〜3を用いて試験を行った。引っ張りサイクル試験においては、1[mA]の電流を印加した状態において、各サンプル1〜3に対して2[N]の引っ張り応力を作用させ、その後引っ張り応力を開放する試験を5回繰り返した。
【0071】
引っ張り応力を作用させた状態、及び引っ張り応力を開放した状態の双方について、初期状態における抵抗値R0[Ω]と、引っ張り応力を作用させた状態における抵抗値R[Ω]の比(R/R0)について回毎に調べたところ、図10に示す結果が得られた。これらの結果により、引っ張り応力を作用させることにより抵抗値R,R0[Ω]の比(R/R0)がいずれも上昇するものの、引っ張り応力を解除すると抵抗値比R/R0が引っ張り応力を作用させる前の水準まで復元することが判明した。
【0072】
≪屈曲試験の結果について≫
続いて、配線構造体20について実施した屈曲試験の結果について説明する。本試験においては、上記引っ張り試験及び引っ張りサイクル試験に用いたものと同一のサンプル1〜3が用いられた。本試験においては、1[mA]の電流を印加した状態において、各サンプル1〜3を円柱体に巻き付けた状態において抵抗値R[Ω]と初期状態の抵抗値R0[Ω]との比(抵抗値比R/R0)を計測することにより、各サンプルを屈曲させた場合に導電層24の抵抗値比R/R0に与える影響を検証した。また、各サンプル1〜3を巻き付ける円柱体の直径を変化させることにより、屈曲時の曲率と導電層24の抵抗値比R/R0との相関関係を検証した。
【0073】
上述した方法によりサンプル1〜3について屈曲試験を行ったところ、図11に示すような結果が得られた。この結果、起伏Aが0であるサンプル1あるいは起伏Aが大きいサンプル3に比べ、小さな起伏Aを有するサンプル2の抵抗値比R/R0が曲率によらず略一定で安定していることが判明した。これにより、起伏Aの大きさを最適化することにより、屈曲応力に対する耐性が高い配線構造体20を形成可能であることが判明した。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、曲げ応力あるいは引っ張り応力が作用した場合に柔軟に屈曲あるいは変形可能でありつつ、曲げ応力あるいは引っ張り応力が作用することにより断線を生じたとしても応力が解除されることにより導電性を復元させることが可能な配線構造体を形成することが可能である。また、本発明の配線構造体及びセンサは、屈曲あるいは引っ張りによる応力が作用すると想定される場所に装着されるものとして有効利用可能である。
【0076】
具体的には、本発明の配線構造体及びセンサは、生体に対して装着することにより生体の表面状態の変化を捉える等の目的で使用することが可能である。また、本発明の配線構造体及びセンサは、生体の体内に埋め込んで使用する医療機器等として用いることが可能である。さらに、本発明の配線構造体及びセンサは、電気機器あるいは電子機器において用いられる基板及び配線として用いることが可能である、特に、携帯電話あるいはパーソナルコンピュータ等のように、折り曲げ部分を有する機器類において好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 センサ
20 配線構造体
22 ベース層
24 導電層
26 カバー層
28 凹凸部
28a 凹部
28b 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有する樹脂素材によって形成されたベース層と、
前記ベース層の表面に導電体を積層させることにより形成された導電層と、
柔軟性を有する樹脂素材によって形成され、前記導電層の上に積層されたカバー層とを有し、
前記ベース層の表面に、断面形状が波状の凹凸部が設けられており、
前記凹凸部上に前記導電層が形成されていることを特徴とする配線構造体。
【請求項2】
前記カバー層において、前記導電層と接触する面が平滑であることを特徴とする請求項1に記載の配線構造体。
【請求項3】
前記ベース層と前記カバー層が同種の材料により、同一の厚みで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線構造体。
【請求項4】
前記ベース層及び前記カバー層が、屈曲及び伸縮可能な素材によって形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線構造体。
【請求項5】
前記凹凸部が、前記ベース層の表面を基準として所定の高さAの起伏を有し、
前記導電層が、前記凹凸部の表面に所定の厚みTで形成されており、
前記厚みTを前記高さAによって除して得られる比率αが、0<α≦0.8の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線構造体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線構造体を備えていることを特徴とするセンサ。
【請求項7】
柔軟性を有する樹脂素材によって形成されたベース層と、前記ベース層の表面に導電体を積層させることにより形成された導電層と、柔軟性を有する樹脂素材によって形成され、前記導電層の上に積層されたカバー層とを有し、前記ベース層の表面に形成された断面形状が波状の凹凸部の上に前記導電層が形成された配線構造体の製造方法であって、
前記ベース層を構成する樹脂素材の表面に凹凸部を形成する工程と、
前記ベース層の凹凸部上に導電層を形成する工程と、
前記導電層の上に前記カバー層を形成する工程とを有していることを特徴とする配線構造体の製造方法。
【請求項8】
導電層を形成する工程において、導電性素材が前記凹凸部上に蒸着されることを特徴とする請求項7に記載の配線構造体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−248346(P2012−248346A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117661(P2011−117661)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(592216384)兵庫県 (258)
【Fターム(参考)】