説明

配線構造及びその製造方法

【目的】 導電粒子と電極端子間のUV接着剤を硬化させて導電粒子と電極端子を強固に接着することができ、熱的ストレス及び機械的ストレスが加わっても導電粒子と電極端子を長期に渡って剥がれ難くすることができ、導電粒子と電極端子間の接続信頼性を長期に渡って安定させることができる配線構造及びその製造方法を提供することを目的とする。
【構成】 第1の配線基板上に形成された第1の電極端子と第2の配線基板上に形成された第2の電極端子とが対向して配置され、該第1の電極端子と該第2の電極端子とがUV光透過性導電部材が分散されたUV光硬化性接着剤により接着され、該第1の電極端子と該第2の電極端子が該UV光透過性導電部材中に分散させた該UV光透過性導電部材により電気的接続されてなるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、配線構造及びその製造方法に係り、詳しくは、液晶ディスプレイに用いられるTAB等による外部回路等の電気回路部品(配線基板)の接続技術に適用することができ、導電粒子と電極端子の接続信頼性を長期に渡って安定させることができる配線構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、配線構造の製造方法については、例えば特開昭60−262430号公報で報告されたものがあり、ここでは、光硬化性樹脂の硬化収縮力によって半導体素子の金属バンプとこの金属バンプと対抗する回路基板の配線パターンとを接続するように構成することにより、温度による回路基板の膨張による歪み及び機械的歪みが半導体素子自体に直接作用し難くできるという利点を有する。
【0003】また、例えば特開平3−289070号公報で報告された電極端子の相互接続方法では、接着剤が形成された電極端子に導電端子を選択的に配置し接続を得る方法であり、具体的には、第1の電気回路基体の電極端子と第2の電気回路基体の電極端子とを導電性微粒子を介して相互に電気的に接続させ、接着剤により保持固定する電極端子の相互接続方法において、少なくとも一方の電気回路基体の基材表面より突出した電極端子に接着剤を形成し、該接着剤に導電性微粒子を付着した後、第1の電気回路基体と第2の電気回路基体を絶縁性接着剤を用いて、圧接、接続するように構成することにより、高密度に配列された電極端子を隣接する電極端子の電気的絶縁を保ちつつ接続できるという利点を有する。
【0004】さて、従来、金属バンプ構造では、基板や電極端子にダメージを与え易いため、弾性導電粒子を電極端子上に載せ、その周囲をUV接着剤で接着して電気回路基板の接続を行っていた。以下、その工程を図を用いて説明する。まず、図4(a),(b)に示すように、電気回路基板31の電極端子32上に選択的にUV硬化型接着剤33を配置するために、平坦基板34上にUV硬化型接着剤33を均一に塗布した後、電極端子32をUV硬化型接着剤33に押し付けるように回路基板31と平坦基板34を貼り合わせ、図4(c)に示すように、回路基板31を平坦基板34から引き剥してUV硬化型接着剤33を回路基板31の電極端子32上に転写する。次いで、図4(d)に示すように、別の平坦基板35上に導電粒子36を2次元に規則的に並べておく。なお、この時、導電粒子36を各々独立して配置しないと、接続後の電極間リークの原因となり好ましくないので、導電粒子36を各々独立に配置するように調整する。
【0005】次に、図5(a)に示すように、平坦基板35上に配列された導電粒子36に回路基板31の電極端子32上のUV硬化型接着剤33を押し付け、電極端子32と導電粒子36が接触するように回路基板31を加圧しながらUV光を透明平坦基板35の背面から照射し、電極端子32と導電粒子36を接触させた状態でUV硬化型接着剤33を硬化させた後、回路基板31を平坦基板35から引き剥すことで、図5(b)に示すように、UV硬化型接着剤33により導電粒子36を回路基板31の電極端子32上に配置固定する。
【0006】そして、回路基板31と相対する透明電極37が形成された回路基板38(若しくは導電粒子付き電気回路基板等でもよい)にUV接着剤を塗布した後、回路基板31の電極端子32に固定した導電粒子36が回路基板38の透明電極37上に来るように回路基板31と回路基板38とを位置合わせしながら加圧し、かつ、透明回路基板38の背面からUV光を照射してUV接着剤39を硬化して回路基板31と回路基板38を接続することにより、図5(c)に示すような配線構造を得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記したような従来の配線構造では、導電粒子がNi等の金属粒子やカーボン粒子、あるいはプラスチック粒子に金属コーティングを施した粒子であるため、光を反射あるいは吸収してしまうため、図5(a)の工程でUV光を透明平坦基板35の背面からUV硬化型接着剤33に照射する際、UV光が導電粒子36の影になり、電極端子32と導電粒子36の間のUV硬化型接着剤33が未硬化となり易かった。詳細には、図6(a)の拡大図に示すように、UV光は、電極端子32面に対して垂直方向から照射されるため、導電粒子36の影には照射されず、UV硬化型接着剤33の未硬化部33bを残す。このため、初期又はある環境下においては、図6(b)に示す如く、導電粒子36が浮いて電極端子32面との非接触部Aが発生し、導電粒子36と電極端子32間で接続抵抗値が上昇したり、オープンになるという問題が生じていた。
【0008】上記したように、従来の配線構造では、導電粒子36にUV光がほとんど透過しない材料を用いて構成していたため、図5(a)に示す如く、導電粒子36と電極端子32を加圧しながらUV光を照射すると、図6(a)に示す如く、導電粒子36がなくて直接UV光がUV硬化型接着剤33に照射される部分は、硬化されて硬化部33aとなるが、上記の如く、導電粒子36は、UV光をほとんど透過しないため、導電粒子36のUV光が照射されない部分は、硬化されずに未硬化部33bとなってしまう。
【0009】このため、電極端子32と導電粒子36は、未硬化部33bにより接続されることになるため、接着力が弱くて図6(b)のAに示す如く剥がれ易く、接続信頼性の点で問題があった。具体的には、接着後に熱的ストレス、機械的ストレス等が加わると、電極端子32と導電粒子36の接続が不安定になって抵抗値が上昇したり、最悪の場合は、図6(b)のAに示す如く、導電粒子36が電極端子32から剥がれて断線してしまうことがあった。
【0010】そこで本発明は、導電粒子と電極端子間のUV接着剤を硬化させて導電粒子と電極端子を強固に接着することができ、熱的ストレス及び機械的ストレスが加わっても導電粒子と電極端子を長期に渡って剥がれ難くすることができ、導電粒子と電極端子間の接続信頼性を長期に渡って安定させることができる配線構造及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、第1の配線基板上に形成された第1の電極端子と第2の配線基板上に形成された第2の電極端子とが対向して配置され、該第1の電極端子と該第2の電極端子とがUV光透過性導電部材が分散されたUV光硬化性接着剤により接着され、該第1の電極端子と該第2の電極端子が該UV光透過性導電部材中に分散させた該UV光透過性導電部材により電気的接続されてなることを特徴とするものである。
【0012】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記UV光透過性導電部材は、微粒子であることを特徴とするものである。請求項3記載の発明は、上記請求項1,2記載の発明において、前記UV光透過性導電部材は、透明導電性を有する酸化金属からなることを特徴とするものである。
【0013】請求項4記載の発明は、上記請求項1,2記載の発明において、前記UV光透過性導電部材は、透明導電性を有する有機物からなることを特徴とするものである。請求項5記載の発明は、第1の配線基板の第1の電極端子上のみに選択的にUV光透過性導電部材が分散された未硬化の第1のUV光硬化性接着剤を形成する工程と、次いで、該未硬化の第1のUV光硬化性接着剤にUV光を照射して硬化して該第1の電極端子に接着する工程と、次いで、該第1の配線基板の該第1の電極端子上に接着された該第1のUV光硬化性接着剤を未硬化の第2のUV光硬化性接着剤が塗布された第2の配線基板の第2の電極端子に接触させ、該未硬化のUV光硬化性接着剤にUV光を照射して硬化することにより、該第1の配線基板と該第2の配線基板とを接着する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0014】
【作用】請求項1記載の発明では、第1の配線基板上の第1の電極端子と第2の配線基板上の第2の電極端子とをUV光硬化性接着剤中に分散させたUV光透過性導電部材により電気的接続してなるように構成している。このため、UV光を照射した時、UV光硬化性接着剤中に分散したUV光透過性導電部材がUV光を透過させることができるので、従来硬化させることができなかった導電部材と第1、第2の電極端子間のUV光硬化性接着剤を全て強固に硬化させることができ、UV光透過性導電部材と第1、第2の電極端子をUV光硬化性接着剤により強固に接着させることができる。しかも、UV光硬化性接着剤自体の弾性により加圧接続時に基板や電極端子にダメージを与えないようにすることができる。従って、熱的ストレスや機械的ストレスが加わっても導電粒子と電極端子を長期に渡って剥がれ難く、しかも抵抗値不良が生じないようにすることができるので、導電粒子と電極端子の接続信頼性を長期に渡って安定させることができる。
【0015】請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記UV光透過性導電部材を微粒子で構成するため、UV光透過性導電部材を透過するUV光の減衰を効率良く抑えることができる。このため、UV光硬化性接着剤の硬化時間を短縮化することができるとともに、UV硬化性接着剤を完全硬化することができる他、電極端子と接する点や面積を増やすことができる。従って、低抵抗化し、かつ安定した接続構造が得ることができる。
【0016】請求項3記載の発明では、上記請求項1,2記載の発明において、前記UV光透過性導電部材を透明導電性を有する酸化金属で構成するため、導電部材が無機物なので、体積抵抗率を低くすることができ、低い接続抵抗値を効率良く得ることができる。請求項4記載の発明では、上記請求項1,2記載の発明において、前記UV光透過性導電部材を透明導電性を有する有機物で構成するため、導電部材が有機物なので、有機物からなる導電部材の弾性により加圧時に基板や電極端子に対してダメージを効率良く減少させることができ、安定した電気的接続を得ることができる。
【0017】請求項5記載の発明では、第1の配線基板の第1の電極端子上のみに選択的にUV光透過性導電部材が分散された未硬化の第1のUV光硬化性接着剤を形成し、次いで、該未硬化の第1のUV光硬化性接着剤にUV光を照射して硬化して該第1の電極端子に接着した後、該第1の配線基板の該第1の電極端子上に接着された該第1のUV光硬化性接着剤を未硬化の第2のUV光硬化性接着剤が塗布された第2の配線基板の第2の電極端子に接触させ、該未硬化のUV光硬化性接着剤にUV光を照射して硬化することにより、該第1の配線基板と該第2の配線基板とを接着するように構成している。このため、上記請求項1記載の発明の効果を得ることができる他、簡便、かつ短時間に電極端子のみにUV光透過性導電部材が分散された未硬化のUV光硬化性接着剤を塗布することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)図1は本発明の実施例1に則した電気回路基板の電極構造と電極端子の拡大部分を示す図であり、図2は本発明の実施例2に則した電気回路基板を接続した構造とその接続構造の拡大部分を示す図である。なお、図1(b)は図1(a)の拡大部分Xを示しており、図2(b)は図2(a)の拡大部分Yを示している。本実施例では、図1,2に示す如く、電気回路基板1上に形成した電極端子2と電気回路基板3上に形成した電極端子4とを対向して配置し、電極端子2と電極端子4とをUV光透過性導電部材5を分散したUV光硬化性接着剤6により接着し、電極端子2と電極端子4とをUV光硬化性接着剤6中に分散したUV光透過性導電部材5により電気的接続し、電気回路基板1と電気回路基板3とを絶縁性UV光硬化性接着剤7により接着するように構成する。
【0019】次に、図3は本発明の実施例1に則した電気回路基板の接続方法を示す図である。まず、図3(a)に示すように、平坦基板11上に透明導電性微粒子からなるUV光透過性導電部材5を分散したUV光硬化性接着剤6を均一に塗布した後、図3(b)に示すように、電極端子2がUV光硬化性接着剤6側に来るように電気回路基板1を前述の平坦基板11と貼り合わせる。
【0020】次に、図3(c)に示すように、電気回路基板1を平坦基板11から引き剥して電気回路基板1の電極端子2上にのみUV光硬化性接着剤6を転写した後、図3(d)に示すように、電極端子2のUV光硬化性接着剤6にUV光を照射してUV光硬化性接着剤6を硬化させて電極端子2にUV光硬化性接着剤6を接着する。
【0021】そして、電気回路基板1と相対する透明電極端子4が形成された電気回路基板3(若しくは導電粒子付電気回路基板等でもよい)上に絶縁性UV光硬化性接着剤7を塗布した後、電気回路基板1の電極端子2と電気回路基板3の電極端子4とを揃うように位置合わせし、電気回路基板1の背面から加圧して電極端子2のUV光硬化性接着剤6と電極端子4を接触させ、透明電気回路基板3の背面から絶縁性UV光硬化性接着剤7にUV光を照射し、硬化させて電気回路基板1と電気回路基板3を接着することにより、図3(e)に示すような配線構造を得ることができる。この時、電気回路基板1の電極端子2部のUV光硬化性接着剤6は既に硬化しているため、加圧時に電極端子4上部に塗布された絶縁性UV光硬化性接着剤7を押し退けながら透明電気回路基板3の電極端子4と接触している。
【0022】なお、本実施例では、透明導電性微粒子からなるUV光透過性導電部材5としては、酸化金属を用いることができ、例えばITO,In2O3,SnO2,SnO2(Pb),SnO2(F),ZnO,ZnO(In),ZnO(Al),ZnO(Si),CdIn2O4,Cd2SnO4,Cd2SnO4等の酸化金属を用いることができる。また、透明導電性微粒子からなるUV光透過性導電部材5としては、有機物を用いることができ、例えばポリイソチアナフテン等を用いることができる。また、UV光硬化性接着剤6及び絶縁性UV光硬化性接着剤7の接着基材としては、ポリアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メラミンアクリレート、シリコンアクリレート系等の接着剤を用いることができ、これらは電気回路基板1や透明電極端子4の材料に合わせて適宜選定するのが好ましい。
【0023】このように、本実施例では、電気回路基板1上の電極端子2と電気回路基板3上の電極端子4とをUV光硬化性接着剤6中に分散させたUV光透過性導電部材5により電気的接続してなるように構成している。このため、UV光を照射した時、UV光硬化性接着剤6中に分散したUV光透過性導電部材5がUV光を透過させることができるので、従来硬化させることができなかった導電部材と電極端子間のUV光硬化性接着剤6を全て強固に硬化させることができ、導電部材5と電極端子2を強固に接着させることができる。しかも、UV光硬化性接着剤自体の弾性により加圧接続時に基板や電極端子にダメージを与えないようにすることができる。従って、熱的ストレスや機械的ストレスが加わっても導電粒子5と電極端子2を長期に渡って剥がれ難く、しかも抵抗値不良が生じないようにすることができるので、導電粒子5と電極端子2の接続信頼性を長期に渡って安定させることができる。
【0024】また、本実施例では、UV光透過性導電部材5を微粒子で構成するため、導電部材5を透過するUV光の減衰を効率良く抑えることができる。このため、UV光硬化性接着剤6の硬化時間を短縮化することができるとともに、UV硬化性接着剤6を完全硬化することができる他、電極端子2と接する点や面積を増やすことができる。従って、低抵抗化し、かつ安定した配線構造が得ることができる。
【0025】また、本実施例では、UV光透過性導電部材5を透明導電性を有する酸化金属で構成することができるため、導電部材5が無機物なので、体積抵抗率を低くすることができ、低い接続抵抗値を効率良く得ることができる。また、本実施例では、UV光透過性導電部材5を透明導電性を有する有機物で構成することができるため、導電部材5が有機物なので、有機物からなる導電部材5の弾性により加圧時に基板や電極端子に対してダメージを効率良く減少させることができ、安定した電気的接続を得ることができる。
(実施例2)本実施例による電気回路基板の接続工程は、基本的には、図3の実施例1と同じであるので、図3を用いて説明する。まず、図3(a)に示すように、平均粒径500オングストロームのITOの微粒子からなるUV光透過性導電部材5を分散した変性エポキシアクリレート系接着剤からなるUV光硬化性接着剤6をガラス基板11上に厚さ10μmに塗布した後、図3(b)に示すように、液晶ドライバー用TAB電気回路基板1の電極端子2部を平坦基板11の電極端子2に貼り合わせる。
【0026】次に、図3(c)に示すように、ガラス基板11からTAB電気回路基板1を引き剥して電気回路基板1の電極端子2上にのみUV光硬化性接着剤6を転写した後、図3(d)に示すように、電極端子2上のUV光硬化性接着剤6にUV光を照射し硬化させて電極端子2上にUV光硬化性接着剤6を接着する。そして、ITOからなる透明電極電極端子4が形成された1−PETフィルムからなる透明電気回路基板3に、変性エポキシアクリレート接着剤からなる絶縁性UV光硬化性接着剤7を厚さ15μmに塗布した後、電極端子2と電極端子4が揃うように電気回路基板1と電気回路基板3を位置合わせし、電気回路基板1の背面から電気回路基板1を加圧して電極端子2のUV光硬化性接着剤6を電極端子4に接触させ、電気回路基板3の背面から絶縁性UV光硬化性接着剤7にUV光を照射して硬化させ、電気回路基板1と電気回路基板3を接着することにより、図3(e)に示すような配線構造を得ることができる。この時、TAB電気回路基板1と透明電気回路基板3の接続部には、実施例1と同様導電性接着剤部と絶縁性接着剤部が各々電極部とギャップ部に充填され、良好な接続状態を得ることができた。
(実施例3)本実施例による電気回路基板の接続工程は、基本的には図3の実施例1と同じであるので、図3を用いて説明する。まず、図3(a)に示すように、平均粒径100オングストロームのSnO2(Pb)の微粒子からなるUV光透過性導電部材5を分散した変性ウレタンアクリレート系接着剤からなるUV光硬化性接着剤6をガラス基板11上に厚さ10μmに塗布した後、図3(b)に示すように、液晶ドライバー用TABからなる電気回路基板1の電極端子2部を平坦基板11のUV光硬化性接着剤6上に貼り合わせる。
【0027】次に、図3(c)に示すように、ガラス基板11からTAB電気回路基板1を引き剥して電極端子2上にのみUV光硬化性接着剤6を転写した後、図3(d)に示すように、UV光を電極端子2上のUV光硬化性接着剤6に照射し硬化させて電極端子2上にUV光硬化性接着剤6を接着する。そして、複合コートされたPESフィルムからなる透明電気回路基板3上に形成されたITOからなる透明電極4に、変性ウレタンアクリレート接着剤からなる絶縁性UV光硬化性接着剤7を厚さ15μmに塗布した後、電極端子2と電極端子4が揃うように電気回路基板1と電気回路基板3を位置合わせし、電気回路基板1の背面から電気回路基板1を加圧して電極端子2上のUV光硬化性接着剤6を電極端子4に接触させ、電気回路基板3の背面から絶縁性UV光硬化性接着剤7にUV光を照射して硬化させ、電気回路基板1と電気回路基板3を接着することにより、図3(e)に示すような配線構造を得ることができる。本実施例においても、実施例1,2と同様良好な接続状態を得ることができた。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、導電粒子と電極端子間のUV接着剤を硬化させて導電粒子と電極端子を強固に接着することができ、熱的ストレス及び機械的ストレスが加わっても導電粒子と電極端子を長期に渡って剥がれ難くすることができ、導電粒子と電極端子間の接続信頼性を長期に渡って安定させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に則した電気回路基板の電極構造と電極端子の拡大部分を示す図である。
【図2】本発明の実施例1に則した電気回路基板を接続した構造とその接続構造の拡大部分を示す図である。
【図3】本発明の実施例1に則した電気回路基板の接続方法を示す図である。
【図4】従来例の電気回路基板の接続方法を示す図である。
【図5】従来例の電気回路基板の接続方法を示す図である。
【図6】従来例の課題を示す図である。
【符号の説明】
1 電気回路基板
2 電極端子
3 電気回路基板
4 電極端子
5 UV光透過性導電部材
6 UV光硬化性接着剤
7 絶縁性UV光硬化性接着剤
11 平坦基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】第1の配線基板上に形成された第1の電極端子と第2の配線基板上に形成された第2の電極端子とが対向して配置され、該第1の電極端子と該第2の電極端子とがUV光透過性導電部材が分散されたUV光硬化性接着剤により接着され、該第1の電極端子と該第2の電極端子が該UV光透過性導電部材中に分散させた該UV光透過性導電部材により電気的接続されてなることを特徴とする配線構造。
【請求項2】前記UV光透過性導電部材は、微粒子であることを特徴とする請求項1記載の配線構造。
【請求項3】前記UV光透過性導電部材は、透明導電性を有する酸化金属からなることを特徴とする請求項1,2記載の配線構造。
【請求項4】前記UV光透過性導電部材は、透明導電性を有する有機物からなることを特徴とする請求項1,2記載の配線構造。
【請求項5】第1の配線基板の第1の電極端子上のみに選択的にUV光透過性導電部材が分散された未硬化の第1のUV光硬化性接着剤を形成する工程と、次いで、該未硬化の第1のUV光硬化性接着剤にUV光を照射して硬化して該第1の電極端子に接着する工程と、次いで、該第1の配線基板の該第1の電極端子上に接着された該第1のUV光硬化性接着剤を未硬化の第2のUV光硬化性接着剤が塗布された第2の配線基板の第2の電極端子に接触させ、該未硬化のUV光硬化性接着剤にUV光を照射して硬化することにより、該第1の配線基板と該第2の配線基板とを接着する工程とを含むことを特徴とする配線構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開平7−14625
【公開日】平成7年(1995)1月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−151670
【出願日】平成5年(1993)6月23日
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)