説明

配膳カートおよび配膳システム

【課題】配膳用トレイの配膳を正確かつ簡単に行うことができる。
【解決手段】実施形態の配膳カートは、カートと、検出手段と、抽出手段と、制御手段と、を備える。前記カートは、配膳用トレイを収容する本体と、前記配膳用トレイの収容位置毎に設けられ前記配膳用トレイに搭載されたタグから前記配膳用トレイを特定するトレイ情報を読み取る読取部と、前記収容位置毎に設けられ発光する発光部とを有する。前記検出手段は、前記カートの移動位置を検出する。前記抽出手段は、前記移動位置と前記トレイ情報とを対応付けて記憶する記憶部から、前記検出した移動位置を対応付けて記憶された前記トレイ情報を抽出する。前記制御手段は、前記読み取られたトレイ情報のうち前記抽出したトレイ情報と一致するトレイ情報を読み取った前記読取部が設けられた前記収容位置の前記発光部を発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、配膳カートおよび配膳システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院などでは、入院している患者に提供する食事が載せられた配膳用トレイを収容した配膳カートを、患者が入院している部屋まで移動させ、配膳カートから、食事が載せられた配膳用トレイを取り出し、取り出した配膳用トレイを患者に配膳している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、病院などに入院している患者に提供する食事は、患者の容態によって患者毎に異なるため、配膳カートから取り出した配膳用トレイの配膳を誤ることなく行う必要がある。そのため、従来は、病院に勤める看護師などが、配膳カートを移動させた部屋に入院している患者を確認した上で、確認した患者の名前などが記載された食札が載せられた配膳用トレイを配膳カートから取り出して、配膳用トレイを配膳しなければならず、看護師などの負担が大きい、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態の配膳カートは、カートと、検出手段と、抽出手段と、制御手段と、を備える。前記カートは、配膳用トレイを収容する本体と、前記配膳用トレイの収容位置毎に設けられ前記配膳用トレイに搭載されたタグから前記配膳用トレイを特定するトレイ情報を読み取る読取部と、前記収容位置毎に設けられ発光する発光部とを有する。前記検出手段は、前記カートの移動位置を検出する。前記抽出手段は、前記移動位置と前記トレイ情報とを対応付けて記憶する記憶部から、前記検出した移動位置を対応付けて記憶された前記トレイ情報を抽出する。前記制御手段は、前記読み取られたトレイ情報のうち前記抽出したトレイ情報と一致するトレイ情報を読み取った前記読取部が設けられた前記収容位置の前記発光部を発光させる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、本実施形態に係る配膳支援システムの全体構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、本実施形態にかかる配膳カートの概略を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態にかかる配膳カートに収容された配膳用トレイに載せられた食札の概略を示す図である。
【図4】図4は、管理PCの構成を概略的に示す図である。
【図5】図5は、患者DBを構成するデータ項目の一例を示す図である。
【図6】図6は、食札DBを構成するデータ項目の一例を示す図である。
【図7】図7は、配膳カートの構成を概略的に示す図である。
【図8】図8は、読取部DBを構成するデータ項目の一例を示す図である。
【図9】図9は、本実施形態にかかる配膳カートの動作の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10は、配膳カートの構成を概略的に示す図である。
【図11】図11は、読取部DBを構成するデータ項目の一例を示す図である。
【図12】図12は、本実施形態にかかる配膳カートの動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る配膳支援システムの全体構成を概略的に示す図である。同図に示すように、配膳支援システム100は、管理PC(Personal Computer)10と、アクセスポイント20と、配膳カート30と、を有している。ここで、管理PC10、アクセスポイント20、および配膳カート30は、病院等に設けられており、有線又は無線のLAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0007】
管理PC10は、サーバ装置であって、後述する患者DB16(図4参照)および食札DB17(図4参照)を備え、配膳カート30からの要求に応じて患者DB16または食札DB17に記憶されたデータを配膳カート30の各々に送信する。
【0008】
また、管理PC10は、サーバ装置であって、店舗内における配膳カート30の現在の移動位置である部屋を検出し、検出した部屋を特定する部屋番号(部屋情報)を対応する配膳カート30の各々に送信する。なお、配膳カート30の位置検出方法は特に問わず、位置検出に係る公知・公用の技術を用いることが可能である。
【0009】
例えば、屋内GPS技術を用いて、配膳カート30の位置を検出する形態としてもよい。また、アクセスポイント20を病院内の各所(部屋)に複数配置している場合には、各アクセスポイント20の配置位置を、当該アクセスポイント20にアクセスした配膳カート30の現在の移動位置として検出する形態としてもよい。また、配膳カート30にRFID(Radio Frequency Identification)タグを付加するとともに、病院内の各所にタグリーダ機能を備えるネットワーク機器(図示せず)を配置しておき、配膳カート30のRFIDタグを読み取ったネットワーク機器の配置位置を、当該配膳カート30の現在の移動位置として検出する形態としてもよい。
【0010】
アクセスポイント20は、ネットワークNと配膳カート30とを接続するための無線ネットワーク装置である。なお、病院内に設けるアクセスポイント20の個数は特に問わず、例えば、アクセスポイント20の配置位置を利用して、各配膳カート30の移動位置を検出する場合には、位置検出の要所となる病院内の各部屋にアクセスポイント20を設けるものとする。また、図1では、一のアクセスポイント20に対し、一の配膳カート30が接続された例を示しているが、アクセスポイント20に接続する配膳カート30の個数は特に問わないものとする。
【0011】
配膳カート30は、病院内において患者に提供する食事が載せられた配膳用トレイを配膳する際に利用されるものである。図2は、本実施形態にかかる配膳カートの概略を示す図である。図3は、本実施形態にかかる配膳カートに収容された配膳用トレイに載せられた食札の概略を示す図である。配膳カート30は、患者に提供する食事が載せられた配膳用トレイ23を収容する本体27を備える。本体27は、当該本体27内に収容された配膳用トレイ23を載置するための載置棚21を有している。載置棚21は、本体27内において配膳用トレイ23が収容される収容室28の上下方向に多段に配設されて収容室28を区画している。
【0012】
配膳用トレイ23には、当該配膳用トレイ23を特定するトレイ情報であるトレイIDが記憶するICタグ29(図3参照)を有する食札25が載置されている。なお、本実施形態では、ICタグ29は配膳用トレイ23上に食札25として載せられているが、配膳用トレイ23に搭載されていれば、これに限定するものではない。例えば、ICタグ29は、配膳用トレイ23の底部等に埋め込まれていても良い。
【0013】
食札25に搭載されたICタグ29は、図3に示すように、配膳用トレイ23を特定するトレイIDを記憶するICチップ29Aと、ICチップ29Aに記憶されたトレイIDを読み取る場合等に用いるアンテナ29Bと、を有している。つまり、ICタグ29は、無線通信によりトレイID等の各種情報を書き込みまたは読み取り可能なRFIDタグである。
【0014】
図2に戻り、載置棚21は、配膳用トレイ23の載置される位置に対向して、載置棚21において配膳用トレイ23が載置される載置面26に一部が露出した状態で埋め込まれたICタグ読取部22を有している。なお、本実施形態では、配膳カート30は、載置棚21において配膳用トレイ23が載置される位置に対向してICタグ読取部22を埋め込んでいるが、本体27内における配膳用トレイ23の収容位置毎にICタグ読取部22が設けられていれば、これに限定するものではない。例えば、配膳カート30は、載置面26上において、配膳用トレイ23が載置される位置に近接する位置にICタグ読取部22を設けても良い。
【0015】
ICタグ読取部22は、載置棚21に載置された配膳用トレイ23に載せられた食札25が有するICタグ29と無線通信による近距離通信を行うことにより、ICタグ29に記憶されたトレイID等を読み取るための通信インタフェースである。本実施形態では、ICタグ読取部22には、食札25が有するICタグ29のアンテナ29Bを介して、当該ICタグ29のICチップ29Aと電波による無線通信を行うことにより、ICチップ29Aに記憶されたトレイID等を読み取るRFID(Radio Frequency Identification)リーダライタを用いている。
【0016】
なお、本実施形態では、ICタグ読取部22にRFIDリーダライタを用いているため、載置棚21に埋め込まれたRFIDリーダライタが発した電波が載置棚21を貫通し、他の載置棚21に載置された配膳用トレイ23に載せられた食札25のICタグ29からトレイIDを読み取ってしまう可能性がある。そのため、本実施形態では、載置棚21には、例えば、金属など、RFIDリーダライタから発せられた電波を遮蔽する電波遮蔽部材を用いるものとする。これにより、一の載置棚21に埋め込まれたRFIDリーダライタから発した電波が当該一の載置棚21を貫通して、他の載置棚21に載置された配膳用トレイ23に載せられた食札25のICタグ29からトレイIDを読み取ることを防止する。
【0017】
また、配膳カート30は、複数の載置棚21のうち最下位に設けられた載置棚21以外の載置棚21の載置面26とは反対側の面、および収容室28の上面に、配膳用トレイ23が載置される位置に対向して設けられた発光部24を有している。本実施形態では、配膳カート30は、配膳用トレイ23が載置される位置の上方に、配膳用トレイ23が載置される位置に対向して発光部24を設けているが、配膳用トレイ23の収容位置毎に発光部24が設けられていれば、これに限定するものではない。例えば、配膳カート30は、載置面26上において、配膳用トレイ23が載置される位置に近接して発光部24を設けても良い。
【0018】
発光部24は、配膳用トレイ23が載置される位置に向かって光を発光するものである。本実施形態では、発光部24には、例えば、LED(Light Emitting Diode)など、指向性の高いものを用いているものとする。
【0019】
次に、図4を参照し、管理PC10の構成について説明する。図4は、管理PCの構成を概略的に示す図である。図4に示すように、管理PC10は、制御部11と、入力部12と、表示部13と、記憶部14と、通信部15と、を備えている。
【0020】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等で構成され、ROMや後述する記憶部14に記憶された各種プログラムを実行することにより、管理PC10の動作を統括的に制御する。
【0021】
入力部12は、キーボードやポインティングデバイス等の入力デバイスであって、ユーザの操作内容を制御部11に通知する。表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスであって、制御部11の指示に従い各種の情報を表示する。
【0022】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体であり、制御部11が実行する各種プログラムや各種ファイルを記憶している。また、記憶部14は、患者データベース(DB)16および食札データベース(DB)17等を有している。
【0023】
図5は、患者DBを構成するデータ項目の一例を示す図である。図5に示すように、患者DB16は、配膳カート30の移動位置である部屋を特定する部屋番号(部屋情報)と、当該部屋番号により特定される部屋に入院している患者を特定する患者ID(人情報)と、を対応付けて記憶するものである。
【0024】
図6は、食札DBを構成するデータ項目の一例を示す図である。図6に示すように、食札DB17は、患者IDと、当該患者IDにより特定される患者に提供する食事が載せられた配膳用トレイを特定するトレイID(トレイ情報)と、を対応付けて記憶するものである。つまり、本実施形態では、患者DB16および食札DB17が、配膳カート30の移動位置と、トレイIDと、を対応付けて記憶する記憶部を構成する。
【0025】
図4に戻り、通信部15は、アクセスポイント20を介して、ネットワークNに接続された配膳カート30とデータ通信を行うための通信インタフェースである。
【0026】
次に、図7を参照し、配膳カート30の構成について説明する。図7は、配膳カートの構成を概略的に示す図である。図7に示すように、配膳カート30は、制御部31と、バッテリ32と、記憶部33と、位置検出部34と、通信部35と、ICタグ読取部22と、発光部24と、を備えている。
【0027】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成され、ROMや後述する記憶部33に記憶された各種プログラムを実行することにより、配膳カート30の動作を統括的に制御する。バッテリ32は、配膳カート30が備える各部に電源を供給する充電池である。
【0028】
記憶部33は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体であり、制御部31が実行する各種プログラムや各種ファイルを記憶している。また、記憶部33は、読取部データベース(DB)38等を記憶している。
【0029】
図8は、読取部DBを構成するデータ項目の一例を示す図である。図8に示すように、読取部DB38は、配膳用トレイ23が載置される位置(収容位置)毎に設けられたICタグ読取部22を特定する読取部IDと、当該読取部IDにより特定されるICタグ読取部22が設けられた収容位置に設けられた発光部24を特定する発光部IDと、当該読取部IDにより特定されるICタグ読取部22が読み取ったトレイIDと、を対応付けて記憶するものである。なお、制御部31は、ICタグ読取部22がICタグ29からトレイIDを読み取る度に、読取部DB38において、トレイIDを読み取ったICタグ読取部22の読取部IDと対応付けて記憶されたトレイIDを更新するものとする。
【0030】
図7に戻り、通信部35は、アクセスポイント20を介して、ネットワークNに接続された管理PC10とデータ通信を行うための通信インタフェースである。
【0031】
位置検出部34は、管理PC10と協働することで、自己の配膳カート30の移動位置としての部屋番号を検出する機能部である。具体的に、位置検出部34は、通信部35を介して管理PC10にアクセスし、管理PC10が検出した自己の配膳カート30の現在の移動位置を部屋番号として当該管理PC10から取得(受信)する。
【0032】
なお、本実施形態では、管理PC10と協働することで位置情報を取得する形態としたが、これに限らず、配膳カート30が単独で当該配膳カート30の移動位置を検出できる環境であれば、管理PC10を不要とする形態としてもよい。例えば、病院内の各所にその位置を示す部屋番号を記憶したRFIDタグを配置し、当該RFIDタグを読み取り可能なリーダ装置を位置検出部34として備える場合には、RFIDタグを読み取った部屋番号を用いることで、管理PC10を不要とすることができる。
【0033】
次に、配膳カート30の機能構成について説明する。図7に示すように、配膳カート30の制御部31(CPU)は、図示しないROMや記憶部33に記憶されたプログラムとの協働により、抽出部36および発光制御部37を実現させる。
【0034】
抽出部36は、通信部35を介して管理PC10にアクセスし、管理PC10の記憶部14から、位置検出部34により検出された部屋番号(つまり、配膳カート30の現在の移動位置)と対応付けて記憶されたトレイIDを抽出するものである。
【0035】
発光制御部37は、ICタグ読取部22により読み取ったトレイIDのうち、抽出部36により抽出したトレイIDと一致するトレイIDを読み取ったICタグ読取部22が設けられた収容位置(つまり、配膳用トレイ23が載置された位置)の発光部24を発光させるものである。
【0036】
次に、本実施形態の配膳カート30の動作の流れについて説明する。図9は、本実施形態にかかる配膳カートの動作の流れを示すフローチャートである。
【0037】
抽出部36は、看護師等が配膳カート30を移動させている間、位置検出部34により部屋番号が検出されるのを待つ(ステップS901:No)。
【0038】
位置検出部34により部屋番号が検出されると(ステップS901:Yes)、抽出部36は、通信部35を介して管理PC10にアクセスして、管理PC10の記憶部14から、位置検出部34により検出された部屋番号と対応付けて記憶されたトレイIDを抽出する(ステップS902)。具体的には、抽出部36は、位置検出部34により部屋番号が検出されると、検出された部屋番号を、通信部35を介して管理PC10に送信することにより、当該検出された部屋番号と対応付けて記憶されたトレイIDの抽出を要求する。なお、管理PC10の制御部11は、配膳カート30から部屋番号を受信した場合、まず、患者DB16から当該受信した部屋番号と対応付けて記憶された患者IDを読み込むとともに、食札DB17から当該読み込んだ患者IDと対応付けて記憶されたトレイIDを読み込む。そして、管理PC10の制御部11は、読み込んだトレイIDを配膳カート30に返信する。抽出部36は、通信部35を介して管理PC10から返信されたトレイIDを受信する。これにより、抽出部36は、管理PC10の記憶部14から、位置検出部34により検出された部屋番号と対応付けて記憶されたトレイIDを抽出する。
【0039】
抽出部36によりトレイIDが抽出されると、発光制御部37は、読取部DB38に記憶されたトレイIDのうち、抽出部36により抽出したトレイIDと一致するトレイIDを読み取ったICタグ読取部22が設けられた位置の発光部24を発光させる(ステップS903)。具体的には、発光制御部37は、まず、ICタグ読取部22により読み取ったトレイID(つまり、読取部DB38に記憶されたトレイID)のうち、抽出部36により抽出したトレイIDと一致するトレイIDを特定する。次いで、発光制御部37は、記憶部33に記憶された読取部DB38から、特定したトレイIDと対応付けられた発光部IDを読み込む。そして、発光制御部37は、読み込んだ発光部IDにより特定される発光部24から光を発光させる。
【0040】
このように本実施形態にかかる配膳支援システム100によれば、配膳用トレイ23を収容する本体27と、配膳用トレイ23の収容位置毎に設けられ配膳用トレイ23に搭載されたICタグ29から配膳用トレイ23を特定するトレイIDを読み取るICタグ読取部22と、収容位置毎に設けられ発光する発光部24とを有する配膳カート30と、配膳カート30の移動位置を検出し、移動位置とトレイ情報とを対応付けて記憶する記憶部から、検出した移動位置を対応付けて記憶されたトレイIDを抽出し、読み取られたトレイIDのうち抽出したトレイIDと一致するトレイIDを読み取ったICタグ読取部22が設けられた収容位置の発光部24を発光させることにより、配膳用トレイ23を配膳する際に、部屋に入院している患者や配膳用トレイ23に載せられた食札25を確認することなく、発光部24が発光している収容位置に収容された配膳用トレイ23を配膳すれば良いので、配膳用トレイ23の配膳を正確かつ簡単に行うことができる。
【0041】
(第2の実施形態)
本実施形態では、配膳カートに収容された配膳用トレイに載せられた食札が有するICタグが患者を特定する患者IDを記憶し、配膳カートの移動位置である部屋番号を検出し、患者DBから、検出した部屋番号と対応付けて記憶された患者IDを抽出し、ICタグ読取部により読み取られた患者IDのうち当該抽出した患者IDと一致する患者IDを読み取ったICタグ読取部が設けられた位置の発光部を発光させるものである。なお、以下の説明では、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
【0042】
図10は、配膳カートの構成を概略的に示す図である。なお、第1の実施形態と同様の配膳カート1000の構成については、第1の実施形態にかかる配膳カート30と同じ符号を付して説明を省略する。
【0043】
ICタグ1001は、当該ICタグ1001が搭載された食札が載せられた配膳用トレイの食事を提供する患者等(人)を特定する患者ID(人情報)を記憶している。なお、ICタグ1001のその他の構成は、第1の実施形態にかかるICタグ29と同様である。
【0044】
ICタグ読取部1002は、載置棚21に載置された配膳用トレイ23に載せられた食札25が有するICタグ1001と無線通信による近距離通信を行うことにより、ICタグ1001に記憶された患者ID等を読み取るための通信インタフェースである。なお、ICタグ読取部1002のその他の構成は、第1の実施形態にかかるICタグ読取部22と同様である。
【0045】
記憶部33は、読取部データベース(DB)1003等を有している。図11は、読取部DBを構成するデータ項目の一例を示す図である。図11に示すように、読取部DB1003は、配膳用トレイ23が載置される位置(収容位置)毎に設けられたICタグ読取部1002を特定する読取部IDと、当該読取部IDにより特定されるICタグ読取部1002が設けられた収容位置に設けられた発光部24を特定する発光部IDと、当該読取部IDにより特定されるICタグ読取部1002が読み取った患者IDと、を対応付けて記憶するものである。なお、制御部31は、ICタグ読取部1002がICタグ1001から患者IDを読み取る度に、読取部DB1003において、患者IDを読み取ったICタグ読取部1002の読取部IDと対応付けて記憶された患者IDを更新するものとする。
【0046】
図10に戻り、抽出部1004は、通信部35を介して管理PC10にアクセスし、管理PC10の記憶部14から、位置検出部34により検出された部屋番号(つまり、配膳カート30の現在の移動位置)と対応付けて記憶された患者IDを抽出する。
【0047】
発光制御部1005は、ICタグ読取部1002により読み取った患者IDのうち、抽出部1004により抽出した患者IDと一致する患者IDを読み取ったICタグ読取部1002が設けられた収容位置(つまり、配膳用トレイ23が載置された位置)の発光部24を発光させるものである。
【0048】
次に、本実施形態の配膳カート1000の動作の流れについて説明する。図12は、本実施形態にかかる配膳カートの動作の流れを示すフローチャートである。
【0049】
抽出部1004は、看護師等が配膳カート1000を移動させている間、位置検出部34により部屋番号が検出されるのを待つ(ステップS1201:No)。
【0050】
位置検出部34により部屋番号が検出されると(ステップS1201:Yes)、抽出部1004は、通信部35を介して管理PC10にアクセスして、管理PC10の記憶部14から、位置検出部34により検出された部屋番号と対応付けて記憶された患者IDを抽出する(ステップS1202)。具体的には、抽出部1004は、位置検出部34により部屋番号が検出されると、検出された部屋番号を、通信部35を介して管理PC10に送信することにより、当該検出された部屋番号と対応付けて記憶された患者IDの読み込みを要求する。なお、管理PC10の制御部11は、配膳カート1000から部屋番号を受信した場合、まず、患者DB16から当該受信した部屋番号と対応付けて記憶された患者IDを読み込む。そして、管理PC10の制御部11は、読み込んだ患者IDを配膳カート1000に返信する。抽出部1004は、通信部35を介して管理PC10から返信された患者IDを受信する。これにより、抽出部1004は、管理PC10の記憶部14から、位置検出部34により検出された部屋番号と対応付けて記憶された患者IDを抽出する。
【0051】
抽出部1004により患者IDが抽出されると、発光制御部1005は、読取部DB1003に記憶された患者IDのうち、抽出部1004により抽出した患者IDと一致する患者IDを読み取ったICタグ読取部1002が設けられた位置の発光部24を発光させる(ステップS1203)。具体的には、発光制御部1005は、まず、ICタグ読取部1002により読み取った患者ID(つまり、読取部DB1003に記憶された患者ID)のうち、抽出部1004により抽出した患者IDと一致する患者IDを特定する。次いで、発光制御部1005は、記憶部33に記憶された読取部DB1003から、特定した患者IDと対応付けられた発光部IDを読み込む。そして、発光制御部1005は、読み込んだ発光部IDにより特定される発光部24から光を発光させる。
【0052】
このように本実施形態にかかる配膳支援システム100によれば、配膳カート1000に収容された配膳用トレイ23に載せられた食札25が有するICタグ1001が患者を特定する患者IDを記憶し、配膳カート1000の移動位置である部屋番号を検出し、患者DB16から、検出した部屋番号と対応付けて記憶された患者IDを抽出し、ICタグ読取部1002により読み取られた患者IDのうち当該抽出した患者IDと一致する患者IDを読み取ったICタグ読取部1002が設けられた位置の発光部24を発光させることにより、配膳用トレイ23を配膳する際に、部屋に入院している患者や配膳用トレイ23に載せられた食札25を確認することなく、発光部24が発光している収容位置に収容された配膳用トレイ23を配膳すれば良いので、配膳用トレイ23の配膳を正確かつ簡単に行うことができる。
【0053】
以上説明したとおり、第1から第2の実施形態によれば、配膳用トレイ23の配膳を正確かつ簡単に行うことができる。
【0054】
なお、本実施形態の管理PCおよび配膳カートで実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供されるが、これに限定するものではない。本実施形態の管理PCおよび配膳カートで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0055】
さらに、本実施形態の管理PCおよび配膳カートで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の管理PCおよび配膳カートで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0056】
本実施形態の管理PCおよび配膳カートで実行されるプログラムは、上述した各部(抽出部、発光制御部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、抽出部、発光制御部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
100 配膳支援システム
10 管理PC
11,31 制御部
14,33 記憶部
15,35 通信部
16 患者DB
17 食札DB
20 アクセスポイント
22,1002 ICタグ読取部
23 配膳用トレイ
24 発光部
25 食札
27 本体
29,1001 ICタグ
29A ICチップ
29B アンテナ
30,1000 配膳カート
34 位置検出部
36,1004 抽出部
37,1005 発光制御部
38,1003 読取部DB
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2005−267519号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配膳用トレイを収容する本体と、前記配膳用トレイの収容位置毎に設けられ前記配膳用トレイに搭載されたタグから前記配膳用トレイを特定するトレイ情報を読み取る読取部と、前記収容位置毎に設けられ発光する発光部とを有するカートと、
前記カートの移動位置を検出する検出手段と、
前記移動位置と前記トレイ情報とを対応付けて記憶する記憶部から、前記検出した移動位置を対応付けて記憶された前記トレイ情報を抽出する抽出手段と、
前記読み取られたトレイ情報のうち前記抽出したトレイ情報と一致するトレイ情報を読み取った前記読取部が設けられた前記収容位置の前記発光部を発光させる制御手段と、
を備えた配膳カート。
【請求項2】
前記検出手段は、前記移動位置として、前記配膳用トレイを配膳する部屋を示す部屋情報を検出し、
前記抽出手段は、前記移動位置としての前記部屋情報と前記トレイ情報とを対応付けて記憶する前記記憶部から、前記検出した部屋情報と対応付けて記憶された前記トレイ情報を抽出する請求項1に記載の配膳カート。
【請求項3】
食事が載せられた配膳用トレイを収容する本体と、前記配膳用トレイの収容位置毎に設けられ前記配膳用トレイに搭載された前記タグから前記配膳用トレイに載せられた食事を提供する人を特定する人情報を読み取る読取部と、前記収容位置毎に設けられ発光する発光部とを有するカートと、
前記カートの移動位置を検出する検出手段と、
前記移動位置と前記人情報とを対応付けて記憶する記憶部から、前記検出した移動位置を対応付けて記憶された前記人情報を抽出する抽出手段と、
前記読み取られた人情報のうち前記抽出した人情報と一致する人情報を読み取った前記読取部が設けられた前記収容位置の前記発光部を発光させる制御手段と、
を備えた配膳カート。
【請求項4】
前記検出手段は、前記移動位置として、前記配膳用トレイを配膳する部屋を示す部屋情報を検出し、
前記抽出手段は、前記移動位置としての前記部屋情報と前記人情報とを対応付けて記憶する前記記憶部から、前記検出した部屋情報と対応付けて記憶された前記人情報を抽出する請求項3に記載の配膳カート。
【請求項5】
配膳用トレイを収容する本体と、前記配膳用トレイの収容位置毎に設けられ前記配膳用トレイに搭載されたタグから前記配膳用トレイを特定するトレイ情報を読み取る読取部と、前記収容位置毎に設けられ発光する発光部とを有するカートと、
前記カートの移動位置を検出する検出手段と、
前記移動位置と前記トレイ情報とを対応付けて記憶する記憶部から、前記検出した移動位置を対応付けて記憶された前記トレイ情報を抽出する抽出手段と、
前記読み取られたトレイ情報のうち前記抽出したトレイ情報と一致するトレイ情報を読み取った前記読取部が設けられた前記収容位置の前記発光部を発光させる制御手段と、
を備えた配膳システム。
【請求項6】
前記検出手段は、前記移動位置として、前記配膳用トレイを配膳する部屋を示す部屋情報を検出し、
前記抽出手段は、前記移動位置としての前記部屋情報と前記トレイ情報とを対応付けて記憶する前記記憶部から、前記検出した部屋情報と対応付けて記憶された前記トレイ情報を抽出する請求項5に記載の配膳システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−50810(P2013−50810A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187783(P2011−187783)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)