説明

配賦処理システム及びプログラム

【課題】 間接製造費用の新たな配賦条件に応じた製品別の直接製造費用を新たな配賦条件に応じた収集プログラムを新規に作成することなく収集し、タイムリーに配賦可能にすること。
【解決手段】 パラメータテーブルによって間接製造費用要素の配賦先である直接製造費用要素の管理単位と直接製造費用要素名を間接製造費用要素の配賦先の直接製造費用要素を収集するためのパラメータとして指定し、かつ間接製造費用要素の配賦先を識別する配賦パターンIDを設定し、また間接製造費用要素に対しては、当該原価計算データの配賦先を指定する配賦対象単位名と配賦パターンIDを付して登録しておき、配賦パターンIDと配賦対象単位名が付された原価計算データを第1のデータベースから読み出し、パラメータテーブルに設定された条件で生成したSQL文によって、配賦パターンIDに対応して設定された管理単位の直接製造費用要素を収集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品別の原価計算を行うために、製品の生産活動に間接的にかかる間接製造費用を製品別の直接製造費用に対して按分して配賦する配賦処理システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
原価計算システムを構築する際に、製品の生産活動に間接的にかかる間接製造費用を製品別の直接製造費用に対して如何にして配賦(配分)するかが問題となる。
材料の仕入れに係る購買費及び運送費、人件費、光熱費などの間接製造費用を経験値に基づいて単純に按分して製品別の直接製造費用に配賦する伝統的な配賦処理を行うと、本来、その製品の製造に関わらない間接製造費用が配賦されたり、その製品にかかった原価が正確に計上されず、低原価で製造されたようにみえ、誤って管理される事例が多くなり、製造活動の実態と違った結果が出てしまうという問題があった。
【0003】
そこで、製品の製造に関わった間接製造費用を製品の製造活動を中心に捉えて計算するABC原価計算法が知られている。ABCとは、Activity Based Costingの略である。
このABC原価計算法では、複数の製品の製造に間接的に投入した間接製造費用を製品別の直接製造費用に応じた割合いで按分した原価費用要素を算出し、その算出した原価費用を製品別の直接製造費用に対して配賦する。
このような配賦処理に関連する従来技術として、下記の特許文献1に開示されたものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−304504 この特許文献1に開示された技術は、配賦処理を行う際に必要な配賦元や配賦基準の定義を柔軟に再利用可能にしたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、間接製造費用を製品別の直接製造費用に応じた割合いで按分した原価費用要素を算出する場合、配賦対象別に製品別の直接製造費用を生産実績データベースから取得して集計する必要がある。
しかし、従来においては、配賦対象別に製品別の直接製造費用を収集して集計するために、配賦対象の間接製造費用別に個別の収集プログラムを作成し、この個別の収集プログラムによって製品別の直接製造費用を収集して集計する処理を行うように構成していた。
このため、製品の製造の状況に応じて、配賦条件を変更することが必要になった場合、新たな配賦条件に応じた個別の収集プログラムを作成することが必要になり、新たな配賦条件に応じた間接製造費用をタイムリーに配賦することができなくなるうえ、収集プログラムの新規作成コストが新たに発生するという問題点があった。
なお、上記特許文献1には、新たな配賦条件に応じた間接製造費用を配賦する処理については何ら開示されていない。
【0006】
本発明の目的は、間接製造費用の新たな配賦条件に応じた製品別の直接製造費用を新たな配賦条件に応じた収集プログラムを新規に作成することなく収集し、新たな配賦条件に応じた間接製造費用をタイムリーに配賦することができる配賦処理システム及び当該システムに使用する配賦処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかる配賦処理システムは、複数の製品の製造に間接的に投入した間接製造費用要素を配賦対象単位名別に格納した第1のデータベースと、製品の直接製造費用要素を製造原価の管理単位名毎に格納した第2のデータベースと、前記第1のデータベースに格納された間接製造費用要素を製造原価の管理単位名毎の直接製造費用要素に応じて配賦する配賦処理装置とからなる配賦処理システムであって、
前記配賦処理装置が、
前記間接製造費用要素の配賦対象を設定したパラメータテーブルから前記間接製造費用要素の配賦対象となる管理単位名と直接製造費用要素名とを読み込み、前記管理単位名及び直接製造費用要素名を前記第2のデータベースの検索条件とし、かつ当該検索条件で検索された直接製造費用要素の合計を求めるSQL文を生成する第1の手段と、前記SQL文に従って前記第2のデータベースを検索し、前記パラメータテーブルで設定された前記間接製造費用要素の配賦対象となる管理単位名毎の直接製造費用要素の合計値を算出し、配賦対象単位名毎の配賦対象テーブルに登録する第2の手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る配賦処理プログラムは、コンピュータに対し、複数の製品の製造に間接的に投入した間接製造費用要素を配賦対象単位名別に格納した第1のデータベースから配賦対象単位名別の間接製造費用要素を読み出し、その読み出した間接製造費用要素を、第2のデータベースに製造原価の管理単位名毎に格納された製品の直接製造費用要素に応じて配賦する処理を実行させる配賦処理プログラムであって、
前記間接製造費用要素の配賦対象を設定したパラメータテーブルから前記間接製造費用要素の配賦対象となる管理単位名と直接製造費用要素名とを読み込み、前記管理単位名及び直接製造費用要素名を前記第2のデータベースの検索条件とし、かつ当該検索条件で検索された直接製造費用要素の合計を求めるSQL文を生成する第1のステップと、前記SQL文に従って前記第2のデータベースを検索し、前記パラメータテーブルで設定された前記間接製造費用要素の配賦対象となる管理単位名毎の直接製造費用要素の合計値を算出し、配賦対象単位名毎の配賦対象テーブルに登録する第2のステップとからなる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、次のような効果がある。
(1)間接製造費用要素の配賦対象となる直接製造費用要素を収集する場合、パラメータテーブルの設定内容を変更するのみで、必要な直接製造費用要素をタイムリーに収集することができる。
(2)また、配賦条件が変更された場合であっても、新規に収集プログラムを作成する必要がないため、その作成コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を適用した配賦処理システムの一実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した配賦処理システムの実施の形態の一例を示すシステム構成図である。
この実施形態の配賦処理システムは、コンピュータによって構成される配賦処理装置1と、その付属装置である入力装置2、表示装置3、製品の製造に間接的に投入した間接費用要素を原価計算データとして格納した第1のデータベース4、製品の製造に投入した直接製造費用要素を生産実績データとして管理単位毎に格納した第2のデータベース5、間接費用要素の配賦処理によって計算された製品の管理単位ごとの原価明細データを格納する原価明細テーブル6を備えている。
【0011】
配賦処理装置1は、CPU11と、メモリ12とを備え、メモリ12内には、製品の製造に投入した間接費用の配賦対象となる複数の製品の直接製造費用要素を第2のデータベース5から収集する配賦対象要素収集処理プログラム121と、収集した複数の製品の直接製造費用要素に対して間接費用要素を按分して配賦する配賦処理プログラム122とが予め格納されている。また、間接費用要素の配賦対象となる直接製造費用要素の管理単位名と直接製造費用要素名をパラメータと記憶する配賦処理用パラメータテーブル123が設けられている。
入力装置2は、キーボード21とマウス22で構成されている。
【0012】
ここで、間接費用要素とは、製品の製造に間接的に投入した金額または時間を表すものである。この間接費用要素は、配賦処理システムとは独立した会計システム(図示せず)から取り込んだ会計データを配賦処理用に加工して第1のデータベース4に格納したものである。
また、直接製造費用要素とは、製品の製造に直接投入した材料費や作業工賃などの金額または作業工数を表すものである。この直接製造費用要素は、配賦処理システムとは独立した生産管理システム(図示せず)から取り込んだ生産実績データを第2のデータベース5に格納したものである。
【0013】
図2は、第1のデータベース4に格納される原価計算データ(間接製造費用要素)と、第2のデータベース5に格納される生産実績データ(直接製造費用要素)の具体例を示す図である。
原価計算データ(間接製造費用要素)は、製品の製造に間接的に投入した購買費及び運送費、人件費、光熱費などの間接製造費用要素を会計勘定科目別に集計し、配賦対象を全製造部門とした会計システムの会計データを取り込み、費目別変換処理201によって原価計算データに変換したものである。
費目別変換処理201は、間接製造費用要素の値(図の間接経費)に対し、GH001などの原価費目コード付し、かつ配賦対象単位名である設計部などの部門名と配賦パターンIDを付した原価計算データに変換するものである。
配賦パターンIDとは、間接製造費用要素の配賦先である直接製造費用要素の管理単位と直接製造費用要素名を指定する配賦パターンの識別情報であり、配賦パターンはパラメータテーブル123によって指定される。
第2のデータベース5に格納される生産実績データは、拠点コード(拠点CD)、製番、処理年月、作業部門、直接製造費用要素である材料費及び工数のデータで構成されている。
【0014】
本発明の特徴は、パラメータテーブル123によって間接製造費用要素の配賦先である直接製造費用要素の管理単位と直接製造費用要素名を間接製造費用要素の配賦先の直接製造費用要素を収集するためのパラメータとして指定し、かつ間接製造費用要素の配賦先を識別する配賦パターンIDを設定し、また原価計算データ(間接製造費用要素)に対しては、当該原価計算データの配賦先を指定する配賦対象単位名と配賦パターンIDを付して登録しておき、月末などの原価計算時期になったならば、配賦パターンIDと配賦対象単位名が付された原価計算データを第1のデータベース4から1件ずつ読み出し、配賦パターンIDに対応して設定された管理単位(製品番号単位または製造部門単位、あるいは製品番号と製造部門の組合せ単位)の直接製造費用要素を合計したものを収集し、その収集した直接費用要素に対して間接費用要素を所定の配賦計算式によって算出して配賦するものである。
【0015】
図3は、間接製造費用要素の配賦先である直接製造費用要素を第2のデータベース5から収集する処理の概要を示す説明図である。
前記のように、本発明では、間接製造費用要素を複数の製品の直接製造費用要素に配賦する場合、その配賦先の直接製造費用要素を収集するためのパラメータをパラメータテーブル123に設定する。
具体的には、製品の製造に直接的に投入した直接材料費について、管理単位名である製番、部門、および直接製造費用要素名である材料費を設定し、かつ間接製造費用要素のパターンIDを設定する。パターンIDは、配賦元の原価計算データに設定した配賦パターンIDと同じものである。
同様に、製品の製造に直接的に投入した作業実績工数について、管理単位名である製番、部門、および直接製造費用要素名である工数を設定し、かつそのパターンIDを設定する。
【0016】
そして、月末などの原価計算時期になったならば、パラメータテーブル123に設定されたパターンIDを読み込み、そのパターンIDで指定された管理単位名及び直接製造費用要素名を第2のデータベース5の検索条件とし、かつ当該検索条件で検索された直接製造費用要素の合計を求めるSQL文7を生成した後、そのSQL文に従って第2のデータベース5を検索し、パラメータテーブル123で設定された前記原価費用要素の配賦対象となる管理単位名毎の直接製造費用要素(作業実績工数、直接材料費)の合計値を算出したものを収集し、配賦対象単位名毎の配賦対象テーブル301、302に登録する。
【0017】
例えば、パラメータとして、製番=12345、部門=設計部、配賦要素名=材料費を設定した場合、設計部門の製番12345に該当する製品の製造に費やした材料費がSQL文によって第2のデータベース5から検索され、その材料費の合計値が月別製番別部門別配賦情報を登録する配賦対象テーブル301の配賦要素項目欄に登録される。
同様に、配賦パターンとして、製番=12345、部門=設計部、配賦要素名=工数を設定した場合、設計部の製番12345に該当する製品の製造に費やした工数がSQL文によって第2のデータベース5から検索され、その工数の合計値が月別製番別部門別配賦情報を登録する配賦対象テーブル302の配賦要素項目欄に登録される。
この場合、各配賦対象テーブル301,302には、配賦パターンIDが登録される。
なお、配賦対象テーブル301、302への登録時期は、月末などの原価計算時期に限らず、生産実績データが更新される都度、SQL文7によって登録するようにすることができる。
また、SQL文7の生成は配賦対象要素収集プログラム121が行う。詳細については後述する。
【0018】
図4は、図3の配賦対象テーブル301,302に収集した配賦対象の直接製造費用要素に対し、間接製造費用要素を配賦する処理の概要を示す説明図である。
月末などの原価計算時期になったならば、第1のデータベース4に格納された原価計算データ(間接製造費用要素)を1件ずつ読み出し、その読み出した原価計算データ(間接製造費用要素)に付された配賦パターンIDに対応する配賦パターンIDが登録された複数の製品の配賦対象テーブル301の配賦要素欄に登録された直接製造費用要素の値を読み出し、その総計値(Σ配賦要素)により第1のデータベース4から読み出した間接製造費用要素を割り算し、間接製造費用要素の配賦対象となる全ての製品の管理単位に配賦する配賦費用単価要素(間接費用要素÷Σ配賦要素)を算出し、その配賦費用単価要素と各製品の直接費用要素の値とを乗算し、管理単位毎の原価費用要素を算出し、管理単位毎の原価費用要素明細テーブル6に出力する。
ここで、Σ配賦要素とは、例えば1つの配賦先である設計部門で製品A、B,Cを製造する場合を例に挙げると、これらの製品A、B,Cを原価計算期間内に製造するのに投入した直接製造費用要素(材料費または工数)の総計である。
【0019】
図5は、配賦対象要素収集処理プログラム121の処理手順を示すフローチャートである。
配賦対象要素収集処理プログラム121は、例えば月末などの原価計算時期になったときに起動されると、まず、パラメータテーブル123に設定されたパラメータを読み込み(ステップ501)、月別製番別部門別配賦情報作成用SQL文のテーブル欄に、パラメータテーブル123に設定されたテーブル名を設定する(ステップ502)。例えば、直接製造費用要素として作業実績工数を収集する場合には、SQL文のテーブル欄に「作業実績工数」を設定する。
次に、月別製番別部門別配賦情報作成用SQL文の検索条件1欄に、パラメータテーブル123のカラム1に設定された製番の値(例えば12345)を設定する(ステップ503)。
次に、月別製番別部門別配賦情報作成用SQL文の検索条件2欄に、パラメータテーブル123のカラム2に設定された部門の値(例えば設計部)を設定する(ステップ504)。
【0020】
次に、月別製番別部門別配賦情報作成用SQL文の検索条件3欄に、パラメータテーブル123のカラム3に設定された作業実績工数名を設定し、これらの条件を記述したSQL文を生成する(ステップ505)。この場合の検索条件3欄は、検索条件1、2で設定された管理単位の直接製造費用要素の合計値(Sum)を求めることを指定するものである。
また、SQL文には、検索結果を検索条件1,2に従いグループ分けして配賦対象テーブルに登録するために、「Group by」として検索条件1,2が設定される。
【0021】
次に、以上の条件に対応するSQL文によって第2のデータベース5から検索条件1,2で指定された生産実績データを検索し、配賦要素を収集し、月別製番別部門別配賦情報テーブルに登録する(ステップ506)。
以上の処理によって、図3で説明した配賦対象単位名別の配賦対象テーブル301、302が作成される。
【0022】
図6は、パラメータテーブル123の設定画面の例を示すものであり、新規にパラメータを設定する場合は、配賦パターンIDを入力し、検索ボタンを押下して、同じ配賦パターンIDが既に登録されているかの検索を行う。検索の結果、同じ配賦パターンIDが無ければ、テーブル名、カラム1、カラム2、カラム3を設定し、登録を押下して、登録する。
修正する場合は、配賦パターンIDを入力し、検索ボタンを押下して、検索を行う。検索の結果、該当するデータがあれば、各欄に表示される。そして、表示された結果を修正し、登録ボタンを押下して修正の登録を行う。
【0023】
図7は、配賦処理プログラム122の処理手順を示すフローチャートである。
配賦処理プログラム122は、例えば月末などの原価計算時期になったときに起動されると、第1のデータベース4から原価計算データ(間接製造費用要素データ)を読み込み、その中の原価計算データを1件取り出し(ステップ701,702)、さらにその原価計算データの配賦パターンIDを取り出し(ステップ703)、製番及び部門別の配賦対象テーブル301、302のうち、上記取り出した配賦パターンIDと同じIDが設定された配賦対象テーブルの全てを検索し、その検索した配賦対象テーブルの配賦要素レコードに登録された直接製造費用要素の合計値を抽出する(ステップ704)。
【0024】
例えば、1つの設計部門で原価計算期間内に複数の製品A,B,Cを製造した場合には、複数の製品A,B,Cの製造に費やした直接製造費用要素の合計値を抽出する。
次に、抽出した合計値から下記計算を行う。すなわち、抽出した合計値の総計値(Σ配賦要素)を算出し、その総計値により第1のデータベース4から読み出した間接製造費用要素を割り算し、間接製造費用要素の配賦対象となる全ての製品の管理単位に配賦する配賦費用単価(間接費用要素÷Σ配賦要素)を算出し(ステップ705)、その配賦費用単価と各製品の配賦要素の値とを乗算し、管理単位毎の配賦金額(原価費用要素)を算出し(ステップ706)、管理単位毎の原価明細テーブル6に、製番、処理年月、作業部門の情報を付加して出力する(ステップ707)。
【0025】
この後、抽出したデータの全てに対する処理が終了したかどうかを判定し、終了している場合には、原価計算データの全てについて処理が終了したかどうかを判定し、終了している場合には、処理を終了する(ステップ708,709)。
以上の処理によって、第1のデータベース4に登録された配賦元の間接製造費用要素を、パラメータテーブル123に設定された管理単位の直接製造費用要素に配賦する処理が終了する。
【0026】
図8は、原価明細テーブル6に登録される原価明細データの一例を示す図であり、図3の配賦対象テーブル301,302に登録されたデータに対し、配賦処理で計算した配賦金額が追加登録されたものとなっている。
【0027】
図9は、設計部門で製品A、B,Cを製造する場合の配賦金額の算出例を示す図であり、設計部門に配賦する間接費合計=90円を、製品A、B,Cの材料費、工数に応じて配分する例を示している。
この例では、例えば、製品Aの材料費=30円に対しては、製品A、B,Cの材料費が30円、15円、20円であり、また設計部門に配賦する間接費合計は90円であることから、配賦費用単価(間接費用要素÷Σ配賦要素)は「90÷(30+15+20)」となり、製品Aに対する配賦金額は「30×{90÷(30+15+20)}」となる。
【0028】
以上のように、本実施形態の配賦処理システムによれば、パラメータテーブル123によって間接製造費用要素の配賦先である直接製造費用要素の管理単位と直接製造費用要素名を間接製造費用要素の配賦先の直接製造費用要素を収集するためのパラメータとして指定し、かつ間接製造費用要素の配賦先を識別する配賦パターンIDを設定し、また原価計算データ(間接製造費用要素)に対しては、当該原価計算データの配賦先を指定する配賦対象単位名と配賦パターンIDを付して登録しておき、月末などの原価計算時期になったならば、配賦パターンIDと配賦対象単位名が付された原価計算データを第1のデータベース4から1件ずつ読み出し、パラメータテーブルに設定された条件で生成したSQL文によって、配賦パターンIDに対応して設定された管理単位(製品番号単位または製造部門単位、あるいは製品番号と製造部門の組合せ単位)の直接製造費用要素を合計したものを収集し、その収集した直接製造費用要素に対して間接費用要素を所定の配賦計算式によって算出して配賦するようにしたため、間接製造費用要素の配賦対象となる直接製造費用要素を収集する場合、パラメータテーブルの設定内容を変更するのみで、必要な直接製造費用要素をタイムリーに収集することができる。
また、配賦条件が変更された場合であっても、新規に収集プログラムを作成する必要がないため、その作成コストを削減することができる。
【0029】
なお、直接製造費用要素に配賦する間接製造費用要素の計算式については、上記した例に限定されるものではなく、ユーザの事情に合わせて適宜に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を適用した配賦処理システムの実施の形態の一例を示すシステム構成図である。
【図2】第1のデータベースに格納される原価計算データ(間接製造費用要素)と、第2のデータベースに格納される生産実績データ(直接製造費用要素)の具体例を示す図である。
【図3】間接製造費用要素の配賦先である直接製造費用要素を第2のデータベースから収集する処理の概要を示す説明図である。
【図4】図3の配賦対象テーブルに収集した配賦対象の直接製造費用要素に対し、間接製造費用要素を配賦する処理の概要を示す説明図である。
【図5】配賦対象要素収集処理プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】パラメータテーブルの設定画面の例を示すものである。
【図7】配賦処理プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】原価明細テーブルに登録される原価明細データの一例を示す図である。
【図9】設計部門で製品A、B,Cを製造する場合の配賦金額の算出例を示す図であり、設計部門に配賦する間接費合計=90円を製品A、B,Cの材料費、工数に応じて配分する例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 配賦処理装置
2 入力装置
4 第1のデータベース
5 第2のデータベース
6 原価明細テーブル
121 配賦対象要素収集処理プログラム
122 配賦処理プログラム
123 パラメータテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製品の製造に間接的に投入した間接製造費用要素を配賦対象単位名別に格納した第1のデータベースと、製品の直接製造費用要素を製造原価の管理単位名毎に格納した第2のデータベースと、前記第1のデータベースに格納された間接製造費用要素を製造原価の管理単位名毎の直接製造費用要素に応じて配賦する配賦処理装置とからなる配賦処理システムであって、
前記配賦処理装置が、
前記間接製造費用要素の配賦対象を設定したパラメータテーブルから前記間接製造費用要素の配賦対象となる管理単位名と直接製造費用要素名とを読み込み、前記管理単位名及び直接製造費用要素名を前記第2のデータベースの検索条件とし、かつ当該検索条件で検索された直接製造費用要素の合計を求めるSQL文を生成する第1の手段と、
前記SQL文に従って前記第2のデータベースを検索し、前記パラメータテーブルで設定された前記間接製造費用要素の配賦対象となる管理単位名毎の直接製造費用要素の合計値を算出し、配賦対象単位名毎の配賦対象テーブルに登録する第2の手段とを備えることを特徴とする配賦処理システム。
【請求項2】
コンピュータに対し、複数の製品の製造に間接的に投入した間接製造費用要素を配賦対象単位名別に格納した第1のデータベースから配賦対象単位名別の間接製造費用要素を読み出し、その読み出した間接製造費用要素を、第2のデータベースに製造原価の管理単位名毎に格納された製品の直接製造費用要素に応じて配賦する処理を実行させる配賦処理プログラムであって、
前記間接製造費用要素の配賦対象を設定したパラメータテーブルから前記間接製造費用要素の配賦対象となる管理単位名と直接製造費用要素名とを読み込み、前記管理単位名及び直接製造費用要素名を前記第2のデータベースの検索条件とし、かつ当該検索条件で検索された直接製造費用要素の合計を求めるSQL文を生成する第1のステップと、
前記SQL文に従って前記第2のデータベースを検索し、前記パラメータテーブルで設定された前記間接製造費用要素の配賦対象となる管理単位名毎の直接製造費用要素の合計値を算出し、配賦対象単位名毎の配賦対象テーブルに登録する第2のステップとからなる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする配賦処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−293740(P2007−293740A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122965(P2006−122965)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)