説明

配車システム

【課題】 タクシーの利用客に、よりよい乗務員の運転する車両を配車する、配車システムを提供することにある。
【解決手段】 配車装置2は、車両運行時の運行データあるいは乗務員の勤務データなどに基づき、予め定める評価項目に該当した場合、乗務員を評価する点数を加点あるいは減点することで乗務員を評価するとともに、評価データを乗務員評価データベース34に記憶する。配車装置2は、地図データおよび車両の位置データを基に、配車の依頼場所に近い空車の車両を検索する。該当する車両が2台以上いる場合は、配車装置2は、乗務員評価データベース34を参照し、評価点数の一番高い乗務員に配車指令を出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客の要求に応じて配車を行う配車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タクシーを管理するシステムに関しては、種々の技術が提案されている。たとえば、顧客の要求に応じて基地局から無線でタクシー等に配車指令を出し、最短時間で配車を行うシステムとして、音声呼出・応答方式あるいはAVM(Automatic Vehicle Monitoring)と呼ばれる半/全自動配車システムがある。
【0003】
このうち音声呼出・応答方式の配車システムは、広く普及している方法であるが、乗務員からの応答に対応して配車を行うため、顧客の近くの乗務員が応答せず、遠くに位置する乗務員が応答するなど正確性を保証できないという問題が指摘されている。また、AVMによる全自動配車システムでは、タクシー等と基地局との間でデータを送受信するためのサインポストが必要となるが、サインポストを充分に配置するには、費用的な負担が大きいという問題がある。
【0004】
これを解決する方法として、顧客から配車の要求があるとき、まず基地局において顧客の位置を含む適切な範囲の呼出対象エリアを演算する。この呼出対象エリア内にあるタクシーからのみ、その位置に応じた応答タイミングで位置データ、空車情報を伝達させ、基地局で配車対象となる車両を決定し、配車指示を出す方法が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
また、トラックやタクシ−等の商用車等の時々刻々の使用状態、運行状態を中央指令所にリアルタイムで通信する技術も開示されている(たとえば特許文献2参照)。一定の周波数を多数の利用者が共同で利用するMCA(Multi Channel Access System)無線を使用し、車両に備えられたタコグラフからのデータをもとに、車両位置や走行速度のデータを送信することで、全てのタクシーの進行状態、作業状態を即時集中管理する技術である。
【0006】
さらに、客観的な基準に基づく、配車システムに関する技術も開示されている。タクシーあるいは荷物の配達を依頼するトラックを選択する際は、今までに使ったことがある、あるいは他の人からの情報、広告等を基準にすることが多かった。このような選択の基準は、客観的なものではなく、選択を客観的に行えるようにする方法の一つに、デジタル式運行記録計を活用し、トラックやタクシーなどの運転を客観的に評価する運転に関する格付システムが提案されている(たとえば特許文献3参照)。
【0007】
この技術は、運行時の車両の速度、走行距離などのデータを、デジタル式に取出すデジタル式運行記録計を利用して車両の速度などを取得し、これらから最高速度の超過違反や急加速などの有無を判定する。この結果をコンピュータなどで処理し、乗務員あるいはタクシー会社などの格付を行い、一般利用者はインターネットなどを通じて格付情報を入手できるとするものである。これにより、一般利用者は、運転の良し悪しに基づいたタクシー会社の選択が可能となる。
【0008】
またタクシーの呼出システムとして、複数のタクシー運用会社と配車提携したタクシー呼出しステーションが、タクシー利用客からの配車希望に応じて、最適なタクシー運用会社に配車指示を出すシステムがある。このシステムにおいて、タクシードライバーが目的地までの道に精通している、車両が小さいので狭い道でも通過できることで早く目的地に到着できるなどの特徴を加味して、利用客に最適なタクシーを提供するという技術も開示されている(たとえば特許文献4参照)。
【0009】
【特許文献1】特開平6−180797号公報
【特許文献2】特開平8−138103号公報
【特許文献3】特開2002−288704号公報
【特許文献4】特開2002−83398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
利用者がタクシーを求める際、よりよい乗務員の運転する車両に乗りたいと考えるのはごく当然のことである。特許文献1の技術は、タクシーの配車を短時間で行うことを可能とするが、タクシーの配車に際し乗務員の運転の良し悪しなどは考慮していない。
【0011】
特許文献2の技術は、MCA無線を使用し、車両に備えられたタコグラフからのデータをもとに、車両位置や走行速度のデータを送信することで、全てのタクシーの進行状態、作業状態を即時集中管理するものであり、タクシーの配車にも利用可能な技術と思われる。しかしタクシーの配車に利用された場合であっても、乗務員の運転の良し悪しを考慮し配車する技術とは言えない。
【0012】
特許文献3の技術は、デジタル式運行記録計を利用して、車両の速度などを取得し、これらから最高速度の超過違反や急加速などの有無を判定する。この結果を基に乗務員あるいはタクシー会社などの格付を行い、格付に従って配車を行うものであり、乗務員の運転に関する点が考慮されており、よりよい乗務員を選択したいという目的に沿うものとなっている。しかしこの特許技術3の技術では、乗務員が道を熟知している、あるいは乗務員の勤務実績などは考慮されていない。
【0013】
特許文献4の技術は、タクシーの配車に際し、タクシードライバーが目的地までの道に精通している、車両が小さいので狭い道でも通過できることで早く目的地に到着できるなどの特徴を加味して利用客に最適なタクシーを提供するという技術である。しかし、特許文献4の技術では、具体的な方法で乗務員の運転の熟練度を判断する技術は開示されていない。
【0014】
本発明の目的は、タクシーの利用客によりよい乗務員の運転する車両を配車する、配車システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、タクシーの乗務員を点数で評価する評価手段と、
評価手段によって評価された各乗務員の点数を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶されている点数の高い乗務員から優先的に配車を行う配車手段と、
を含むことを特徴とする配車システムである。
【0016】
また本発明で、前記評価手段は、前記タクシーの車両の走行距離を実車時間で除した値が小さいほど、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする。
【0017】
また本発明で、前記評価手段は、前記タクシーが配車から実車になるまでの時間を、該時間で移動した距離で除した値が小さいほど、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする。
【0018】
また本発明で、前記評価手段は、前記乗務員が安全運転者証を所有していると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする。
【0019】
また本発明で、前記評価手段は、前記タクシーが指名配車を受けると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする。
【0020】
また本発明で、前記評価手段は、前記乗務員に対し休日出勤が行われると評価を他の乗務員に対して相対的に上げ、遅刻、急な休暇の取得または休憩が頻繁であるうち少なくともいずれか1つに該当すると、該評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする。
【0021】
また本発明で、前記評価手段は、タクシーの顧客からの運転に関する苦情があると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする。
【0022】
また本発明で、前記評価手段は、前記タクシーが空車時の走行距離が長いほど、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする。
【0023】
また本発明で、前記評価手段は、前記タクシーが空車が少ない時間帯に配車を受けてくれるほど、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする。
【0024】
また本発明で、前記評価手段は、前記タクシーが全体として乗り込みが少ない時間帯に乗り込みが多いほど、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする。
【0025】
また本発明で、前記評価手段は、前記乗務員が交通法規に違反すると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする。
【0026】
また本発明で、前記評価手段は、前記タクシーが車両の急発進、配車指示に対するキャンセル、または配車指示に対して無応答であるうち少なくともいずれか1つに該当すると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする。
【0027】
また本発明で、前記評価手段は、前記乗務員がドアサービスの必要な顧客に対してドアサービスを行わないと、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする。
【0028】
また本発明で、前記評価手段は、前記乗務員が車両をわざと遠回りさせると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする。
【0029】
また本発明で、前記評価手段は、前記タクシーが空車で一定時間同じ会社のタクシーの後を走行すると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする。
【0030】
また本発明で、前記評価手段は、前記タクシーが同じ場所ばかり走行すると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする。
【0031】
また本発明で、前記評価手段は、前記乗務員に対する評価について他の乗務員に対し相対的に下げる評価が少ないと、または、相対的に上げる評価が多いと、前記乗務員に対する評価にボーナス点を加算することを特徴とする。
【0032】
また本発明で、前記評価手段は、前記タクシーの運行時間帯および運行地域によって、前記乗務員に対する評価を変えることを特徴とする。
【0033】
また本発明で、前記評価手段は、前記乗務員に対する評価を、所定間隔で実行することを特徴とする。
【0034】
また本発明で、前記評価手段は、前記乗務員に対する評価を、実車時、配車時を含むイベント時に実行することを特徴とする。
【0035】
また本発明は、コンピュータを上記記載の配車システムとして機能させるためのプログラムである。
【0036】
また本発明は、コンピュータを上記記載の配車システムとして機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、配車システムは、タクシーの乗務員を点数で評価する評価手段を備えるため、運転に関する良し悪しを客観的に判断できる。また、配車システムは評価手段によって評価された各乗務員の点数を記憶する記憶手段を備えており、配車手段は記憶手段から乗務員の点数を呼出し、点数の高い乗務員を優先的に配車する。これによりタクシーの利用者は、運転の質の高い乗務員の車両に乗ることができる。また乗務員は運転などに関する点数が高いほど配車されやすいため、よりよい運転を行うようになると期待できる。さらに、乗務員が質の高い運転を行えば、タクシー会社としても他社に比べ有利な立場を得ることができる。
【0038】
また本発明によれば、評価手段は、車両の走行距離を実車時間で除した値が小さいほど乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げる。車両の走行距離を実車時間で除した値が小さいことは、実車時間が相対的に大きいことを表しており、このことは売上増加につながり、乗務員および運行を管理する者にとっても好ましいことである。また実車時間の大小は、乗務員の顧客獲得努力によるところが大きく、乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることで、さらなる乗務員の顧客獲得努力を促すことが可能となる。
【0039】
また本発明によれば、評価手段は、配車から実車になるまでの時間を、この時間内に移動した距離で除した値が小さいほど乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げる。配車から実車になるまでの時間を、この時間内に移動した距離で除した値が小さいことは、適切なルートで顧客を迎えに行ったことを示す。顧客を待たせる時間が短縮することは、顧客からも喜ばれ、顧客の信用も獲得することができる。また乗務員は、評価が上がれば配車を受けやすくなるため、交通渋滞が発生した場合の迂回道路など、道路情報を得る努力をするようになる。
【0040】
また本発明によれば、評価手段は、乗務員が安全運転者証を所有していると、乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げる。安全運転者証は、安全運転者を証明するものであり、顧客の信用を得ることもできる。また乗務員は、安全運転者証を所有することで評価が他の乗務員に対して相対的に上げられるため、乗務員の安全意識の高揚につながる。
【0041】
また本発明によれば、評価手段は、指名配車を受けると乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げる。配車の指名を受けることは、顧客から信頼されている証であり、車両の運行を管理する者にとっては、売上の増加につながることであり好ましいことである。一方乗務員も指名配車があると評価が上がるため、指名配車を受けられるような運転を心がけるようになる。
【0042】
また本発明によれば、評価手段は、乗務員の勤務状態に基づき乗務員に対する評価を変化させる。乗務員が休日出勤すると乗務員の評価が上がる。車両の運行を管理する者にとっては、休日出勤は売上増加につながり好ましいことである。一方、遅刻、急な休暇あるいは休憩が頻繁であると乗務員の評価は下がる。これらは他の乗務員に迷惑をかけることや、売上減少につながるためであり、これら行為を抑制する必要がある。本配車システムを採用することで、遅刻などの行為が減少し乗務員の勤務状況が良好になることが期待できる。
【0043】
また本発明によれば、評価手段は、タクシーの顧客からの運転に関する苦情があると、乗務員に対する評価を減点する。タクシーの運転は乗務員によって大きく異なり、丁寧な運転を行う乗務員もいれば、荒っぽい運転を行う乗務員もいる。顧客が荒っぽい運転のタクシーに乗った場合、タクシーを降車後にタクシー会社に苦情を申し出ることもある。これら苦情は、タクシー会社の信用を喪失させるものであり、抑制することが必要となる。
【0044】
本発明では、タクシーの顧客からの運転に関する苦情があると、乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げるため、配車が受けにくくなる。このことから乗務員は、顧客から苦情を受けないような丁寧な運転を行うようになると期待される。
【0045】
また本発明によれば、評価手段は、空車時の走行距離が長いほど乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げる。空車時に走行距離が長いことは、顧客獲得のために積極的に車を走らせていることを表しており、積極的な営業活動である。またこれら行為は、売上増加にもつながり好ましいことである。空車時の走行距離が長いほど乗務員に対する評価を上げることで、乗務員の積極的な営業活動を促すことができる。
【0046】
また本発明によれば、評価手段は、空車が少ない時間帯に配車を受けてくれるほど乗務員の評価を上げる。夕方など顧客の需要が多い場合は、空車が少なく配車の手配が困難となりやすい。一方で電話などでタクシーの依頼をしてきた顧客を、長時間待たせることは信用低下につながる。このような状況下で配車を受けてくれることは、顧客の信用維持につながり、車両運行の管理者にとって好ましいことである。乗務員も、空車が少ない時間帯に配車を受ければ評価が上がるため、積極的に配車を受けてくれるようになる。
【0047】
また本発明によれば、評価手段は、全体として顧客の乗り込みが少ない時間帯に乗り込みが多いほど乗務員の評価を上げる。全体として乗り込みが少ない時間帯に乗り込みが多いことは、乗務員の顧客獲得努力を示している。またこれらは売上増加にもつながり、車両の運行管理者にとっては喜ばしいことである。乗務員も顧客の乗り込みが少ない時間帯に乗り込みが多いと評価を上げてくれるため、積極的な顧客獲得努力を行うようになる。
【0048】
また本発明によれば、評価手段は、交通法規に違反すると、乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げる。たとえばスピード違反などの交通法規違反は、事故につながやすく、また交通法規違反を頻繁に繰返すような車両を有する会社は、社会的信用も低下する。このことから車両の運行管理者は、乗務員に交通法規遵守を日々指導している。本配車システムでは、交通法規に違反すると乗務員に対する評価が下がるため、乗務員は交通法規を遵守するようになることが期待される。
【0049】
また本発明によれば、評価手段は、車両の急発進があると乗務員に対する評価を下げる。さらに配車指示に対するキャンセル、または配車指示に対して無応答であるも、乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げる。車両の急発進は、事故につながりやすく、利用者にも不愉快な思いをさせる。また配車指示に対するキャンセルあるいは配車指示に対する無応答は、顧客を待たせることになる。乗務員の評価にこれら行為が対象となるため、乗務員のこれらの行為の抑制につながると期待される。
【0050】
また本発明によれば、評価手段は、乗務員がドアサービスの必要な顧客に対してドアサービスを行わないと、乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げる。タクシーを利用される人の中には、体の不自由な人もおられ、タクシーを依頼する際ドアサービスを要請されることがあるが、これら要請に対して、ドアサービスを行わないことは、利用者に不自由をかけることになる。乗務員の評価にこれら行為を対象とすることで、乗務員はドアサービスを行うようになると期待される。
【0051】
また本発明によれば、評価手段は、乗務員が車両をわざと遠回りさせると、乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げる。わざと遠回りさせる行為は、顧客に余分な利用料金の請求することになると共に、目的地に到着するまでに余分な時間がかかるなど、顧客に迷惑をかけることとなる。これら行為は顧客の信用を失わせるものであり、抑制することが必要である。乗務員の評価にこれら行為を対象とすることで、乗務員のこれらの行為を抑制させることが可能となる。
【0052】
また本発明によれば、評価手段は、タクシーが空車で一定時間同じ会社のタクシーの後を走行すると、乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げる。顧客が非常に多く、タクシー待ち状態である場合はともかく、街道を走りながら顧客を獲得するような場合は、顧客は一人あるいは数人であることが多く、同じ会社のタクシーが2台以上ならんで走行しても、後を走行しているタクシーの顧客を獲得できる機会は多くない。タクシー会社にとっても、この行為が売上増加につながるものではないため、抑制することが要望される。乗務員の評価にこれら行為を対象とすることで、乗務員がこれらの行為を抑制すると期待される。
【0053】
また本発明によれば、評価手段は、同じ場所ばかり走行すると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げる。タクシー会社は、売上増加を望んでおり、そのために乗務が幅広い場所を移動することを期待している。これに対して同じ場所ばかり走行する行為は、顧客獲得のために効率的な行為とは言えない。よって、同じ場所ばかり走行すると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることで、これら行為を抑制することが可能となる。
【0054】
また本発明によれば、評価手段は、乗務員に対する評価について他の乗務員に対し相対的に下げる評価が少ないと、または、相対的に上げる評価が多いと、乗務員に対する評価にボーナス点を加算する。乗務員に対する評価において、他の乗務員に対し相対的に下げる評価が少ないと、または、相対的に上げる評価が多いと、ボーナス点を与え評価を上げることで、乗務員のやる気を増すことができる。
【0055】
また本発明によれば、評価手段は、タクシーの運行時間帯および運行地域によって、乗務員に対する評価を変える。タクシーを利用するものは、朝、夜などの時間帯に多く、逆に昼間は比較的利用者が少ない。また、地域によってタクシーの利用者の数は大きく異なる。タクシーの乗務員は顧客獲得のため、人通りの多い場所に集まりやすくなる。しかしタクシー会社にとっては、一台のタクシーの売上ではなく、全体の売上が増加することを願っている。そこで比較的人通りの少ない場所を運行するタクシーの乗務員の評価を、人通りの多い場所を運行している乗務員の評価に比較して上げることで、幅広い地域をカバーすることができるようになる。運行時間帯も同様に、利用者の少ない時間帯ほど、乗務員の評価を上げることで、これら時間帯の営業を活発化させることができる。
【0056】
また本発明によれば、評価手段は、乗務員に対する評価を、所定間隔で実行する。たとえば1時間毎に評価を行えば、常に新しい評価を知ることができる。またたとえば日単位で行えば、時間毎の変動幅が吸収され、乗務員の評価が容易となる。このように、使用目的に応じて評価を行う間隔を変化させることができる。
【0057】
また本発明によれば、評価手段は、乗務員に対する評価を、実車時、配車時を含むイベント時に実行することを特徴とする。乗務員に対する評価を、実車時、配車時などに行うことで、ポイントを絞った評価を行うことが可能となる。
【0058】
また本発明によれば、タクシーの乗務員の評価をコンピュータに実行させることができる。
【0059】
また本発明によれば、記録されるプログラムをコンピュータに読取らせて、タクシーの乗務員の評価をコンピュータに実行させることができる。また記録媒体を介することによって、容易に前記プログラムをコンピュータに供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
図1は、本発明の実施の一形態としてのタクシー配車システムの概略的な電気的構成を示す。図2は、本発明の実施の一形態としてのタクシー配車システムのデータ収集を行う各部の電気的構成を示す。図3は、本発明の実施の一形態としてのタクシー配車システムの配車指示を行う各部の電気的構成を示す。
【0061】
配車システム1は、乗務員に対する評価を点数で行い配車指令を行う配車装置2と、車両に備えられる車両データ等を配車装置2に送信する車載端末3を備える。車載端末3は、車両に備えられる運行データ記録計などを含む運行検出手段(図示を省略)と接続され、運行データ等を配車装置2に送る。配車装置2はネットワーク4を介して車載端末3と接続され、基地局サーバとして機能する。
【0062】
配車装置2は、乗務員の氏名、車両番号などを入力するデータ入力部11、車載端末3からネットワーク4を通じて送られる車両の運行データなどを受信する通信制御部12を有する。データ入力部11および通信制御部12からのデータは、実績管理部13で乗務員の評価に用いられる。配車制御部14は、実績管理部13で評価された乗務員に対する評価を参照して、配車すべき車両を決定し、通信制御部12、ネットワーク4を介して車載端末3にデータを送る。以上の手段を備える配車装置2は、一般的にはワークステーション、パーソナルコンピュータなどである。
【0063】
データ入力部11はキーボード、マウス、タッチパネルなどデータ入力手段を備える。車両の運行管理者など配車装置2を使用する者は、データ入力手段を通じて乗務員データなどを入力する。乗務員データには、乗務員の氏名、車両番号などのほか、乗務員の勤務データが含まれる。勤務データは、乗車時間、出庫時刻(営業所を出て行く時刻)、帰庫時刻(営業所に帰って来た時刻)、休暇の有無などである。
【0064】
またタクシーの顧客から配車の依頼があった場合、顧客の氏名、配車の必要な場所あるいは配車の必要な時刻など顧客データを入力する。データを入力する者は、配車装置2を使用する車両の運行管理者、あるいは配車指令を出す者が一般的であるが、乗務員自ら休暇取得の有無を入力するような場合もある。
【0065】
通信制御部12はデータの送受信機能を備え、ネットワーク4を介して車両端末3から送信される運行データを含む車両データを受信する。受信するデータは、車両の運行速度、運行位置、運行時刻あるいは、ドアの開閉データなどである。車両端末3から送信される車両データには、車両を区別するための車両IDが含まれる。一方配車装置2から車載端末3に送信するデータには、配車指令のデータおよびこれに伴う顧客データなどがある。
【0066】
実績管理部13は、データを記憶するための記憶手段30を備え、車載端末3から送信された車両データは、車両データベース31に記憶する。また、データ入力手段11から入力された顧客データおよび乗務員データは、おのおの顧客データベース32、乗務員データベース33に記憶する。また乗務員評価データベース34には、車両データあるいは乗務員データに基づき評価手段40で評価した乗務員に対する評価データを記憶する。記憶手段30はさらに、図示を省略した地図データを記憶する地図データベースを含む。
【0067】
評価手段40は、受信した車両データなどに基づき、乗務員を点数で評価する。乗務員に対する評価方法の詳細は後述するが、たとえば車両データに含まれる車両の運行速度から、法定速度を遵守しているか、あるいはスピードオーバかを判断し、スピードオーバがあったと判断すると、乗務員の点数を減点し乗務員に対する評価を下げる。また遅刻など乗務員の勤務態度も評価の対象とする。
【0068】
配車制御部14は、データを表示するための表示手段50と、配車命令を行う制御手段60を備える。表示手段50は、乗務員に対する評価データなどを表示するもので、LCD,CRTなどである。配車装置2を使用する者は必要に応じて、記憶手段30に記憶されたデータを表示手段50に表示させることができる。
【0069】
制御手段60は、顧客から配車依頼があった場合は、顧客データと車両データから、顧客に近い空車の車両を検索する。検索の結果、車両が2台以上検知された場合は、乗務員評価データベース34から点数の一番高い乗務員を検索し、通信制御部12を通じて該当する車両に配車指令を出す。この車両が配車を受けられないと判断すると、次に評価点数の高い乗務員の運転する車両に、配車指令を出す。
【0070】
車載端末3は、車両に備えられ、配車を受けられるか否かの返答などを含む各データを入力するためのデータ入力機能を備え、図示を省略した運行検出手段で検知される運行データなどを、配車装置2に送信する送信機能を有する。また配車装置2から送信されるデータを受信する機能とともに、データを表示する表示機能も備える。配車装置2から送られるデータにより、自分が配車命令を受けたことを知るとともに、迎車のための顧客データを確認することができる。
【0071】
配車命令を受けると、乗務員は車載端末3を通じて、配車装置2に配車を受けることが可能か否か返答する。配車装置2は、配車命令を出した車両が配車を受けることができない返答を受信すると、他の車両を検索し、その車両に配車命令を出す。車両から配車を受けられる返答があった時点で、配車命令を終了する。なお、配車装置2からの配車命令の送信先は、必ずしも車載端末3に限定されるものではなく、車両に備えられる無線装置などであってもよい。
【0072】
運行検出手段は、車両の運行速度、時刻などを検知する運行記録計を含む。また車両の位置データを検知するためのGPS(Global Positioning System)も含まれる。車両の位置データから運行場所を検知することが可能となり、配車装置2は、顧客に近い車両を検知することができる。また駐車禁止場所への駐車などの情報も入手することが可能となる。さらに運行検出手段は、ドアの開閉検知センサも含む。ドアの開閉検知センサにより乗務員に一番近いドアが開閉されたか否かを検知することで、ドアサービスの必要な顧客に対して、ドアサービスが行われたか否かを判断することが可能となる。
【0073】
配車装置2と車載端末3をつなぐネットワーク4は、無線通信、インターネットやLAN(Local Area Network)などである。なお本配車システム1は、記憶手段30に記憶されたプログラムにより制御され、プログラムは各手段の動作を制御する。
【0074】
以上のように配車装置2は、運行データなどに基づき乗務員を点数で評価するため、乗務員を客観的に評価することが可能となる。また乗務員の評価データなどを記憶手段に記憶し、必要に応じてCRTなどに表示させることもできる。この際乗務員を点数の高い順に並べで表示することで、評価の高い乗務員を容易に知ることができる。
【0075】
また、配車システム1は、顧客データと車両データから、顧客に近い空車の車両を検索し、検索の結果、該当する車両が2台以上検知された場合は、乗務員に対する評価の点数の一番高い乗務員を検索し配車指令を出す。これにより顧客は、よりよい乗務員が運転する車両に乗車することができる。また、乗務員は評価が高いほど配車が多くなるため、高い評価を受ける努力を行うようになり、結果的にタクシー会社は顧客からの高い評価を得られるようになる。なお、特定の条件にあてはまる乗務員の評価を加点/減点するのではなく、逆に特定の条件にあてはまらない乗務員の評価を減点/加点するようにしても、結果的に特定の条件にあてはまる乗務員の評価が他の乗務員に対して相対的に高く/低くなり同様の効果が得られる。
【0076】
図4は、本発明の実施の一形態としての、配車の制御を行う制御手段60の概略的な手順を示す。ステップS1からステップS8までの判断の組合せや順序は、一例を示すだけであり、変更してもよいことはもちろんである。顧客から配車依頼があり、配車装置2へ顧客データが入力された時点で配車指令の動作を開始(ステップS0)する。
【0077】
顧客データが入力されると初期化動作が行われ、初期化動作終了後ステップS1に移る。制御手段60はステップS1で、GPSからの車両の位置データと、記憶手段30に記憶する地図データから、配車の依頼場所から所定範囲内にいる車両を検索する。位置データは、車両に備えられるGPSからのデータを、車載端末3からネットワーク4を介して配車装置2で受信することで行う。
【0078】
該当する車両が検索されると、ステップS2でその車両が空車か実車か判断を行う。車両の空車、実車の判断は、タクシーに装着されるタクシーメータからの信号で行う。空車を確認すると、ステップS3で該当する台数が1かあるいは2台以上か判断する。一方、検索された車両全てが実車の場合は、ステップS4で、配車依頼場所からの距離を大きくし、検索する範囲を広げて、車両を検索する。
【0079】
制御手段60は、ステップS3で所定の範囲内にいる空車の車両が2台以上いると判断すると、ステップS4で乗務員評価データの一番高い乗務員を検索し、該当する車両に配車命令を出す。乗務員評価データの一番高い乗務員の検索は、乗務員評価データベース34を参照して行う。
【0080】
検索した評価データの一番高い乗務員は、現時点では空車であっても、顧客のところへ向かっている途中とか、あるいは予約が入っており、配車を受けることができない場合もある。そこで制御手段60は、該当する乗務員に、配車場所、顧客の氏名などのデータを送信する。これらデータを車載端末3で確認した乗務員は、車両端末3のデータ入力機能を用いて、配車装置2に配車を受けられるか否かの返答を行う。
【0081】
制御手段60は、ステップS5で配車命令を出した乗務員が、配車を受けられないと返答したことを確認すると、ステップS6で次に評価データの高い乗務員を検索するための必要な操作を行い、ステップS4で2番目に評価点数の高い乗務員を検索し、この者に配車命令を出す。この者が配車を受けられない場合は、配車を受ける者が見つかるまで同様にして次点の乗務員に配車命令を出す。なお、ここでは図示を省略しているが、検索された全車両が、配車を受けられないと返答した場合は、ステップS1で検索範囲を広げて車両を新たに検索するのは当然である。
【0082】
一方、ステップS3で該当する車両が1台である場合は、この車両に配車命令を出し
配車を受けられる否かをステップS7で判断する。配車命令を出した車両が配車を受けられないと返答した場合は、配車命令を出す次の車両がいないため、ステップS4に戻り配車依頼場所からの所定の距離を大きくし、ステップS1で再度車両の検索を行う。以降検索した車両が空車か否か判断し、配車を受ける返答があった次点で、ステップS9に移り制御動作は終了する。
【0083】
顧客からの配車依頼は、予約のかたちで時間を指定して行われる場合もある。この場合は、全車両に事前に顧客情報を送信し、配車を受けられる返答のあった乗務員のみにしぼって、検索する方法としてもよい。
【0084】
図5は、本発明の実施の一形態としての乗務員に対する評価手順を示す。ステップS11からステップS20までの判断の組合せや順序は、一例を示すだけであり、変更してもよいことはもちろんである。
【0085】
乗務員が出社してから出庫までの一例を示す。乗務員は出社すると、タイムカードなど使用して出社時間を入力する。その後乗務員は、カウンターにて点呼を受け、乗務日報、乗務員証、必要に応じて車両端末3で使用する記録媒体を受取る。これが終わると自分の乗車する車両を点検し出庫となる。
【0086】
乗務日報、乗務員証、記録媒体などを受取った乗務員は、出庫に際し車両端末3の電源を投入後、必要に応じて車両端末3に記録媒体をセットし、運行検出手段である運行記録計の電源を投入する。車載端末3および運行記録計あるいはGPSの電源が投入されると、車両データは車載端末3を通じて配車装置2に送信される。一方配車装置2のデータの取込み、乗務員の評価は次の手順で行われる。
【0087】
配車装置2の電源が投入され動作が開始(ステップS10)される。電源投入後には初期化動作を行い、初期化動作終了後、運行データを含む車両データの受信を開始する。車両データは運行検出手段で検出された運行速度、運行時刻、運行位置などで、車両データの受信を開始すると、車両データを実績管理部13の記憶手段30に記憶する。
【0088】
乗務員に対する評価は、連続的に行うことも可能であるが、所定の間隔で行うことも可能である。たとえば1時間程度の間隔で評価を行えば、常に新しい評価を知ることができる。また毎日行えば、時間毎の変動幅が吸収され、乗務員の評価が容易となる。このように使用目的に応じて、評価を行う間隔を変化させることができる。さらに乗務員に対する評価を実車時、配車時、帰庫時などのイベント時に実行してもよい。
【0089】
予め定めた条件、たとえば所定の時間経過時あるいは実車時などに該当すると評価を開始する。まず、評価手段40は、ステップS11で車両が停止中か否か判断する。車両が停止中否かの判断は、車両に搭載した運行記録計で検出される速度データ、あるいはGPSでの位置データを用いて行う。停止中と判断するとステップS12で、停止中の位置が駐車禁止区域か否か判断する。駐車禁止区域か否かは、車両に搭載のGPSからの位置データおよび、記憶手段30に予め記憶した地図データに基づき判断する。
【0090】
ステップS12で停車位置が駐車禁止区域と判断すると、評価手段40は、ステップS13で停車時間を判断する。駐車禁止区域に停車中であっても、やむをえない事情で短時間停車している場合もあれば、休息中で長時間駐車している場合もある。駐車禁止区域に長時間駐車させる行為は、交通法規違反であり禁止される行為である。よってデータ評価手段40は、ステップS13で長時間車両が停止していると判断すると、ステップS14で減点計算を行い、乗務員の評価を下げる。一方、評価手段40は、車両が駐車禁止区域に停車中であっても、短時間であると判断すると減点は行わない。
【0091】
車両が停車中でない場合は、車両の速度が法定速度内か否かが問題となる。よって評価手段40は、ステップS15で車両速度が法定速度内か否か判断する。走行中の道路の法定速度の確認は、記憶手段30に記憶した地図データを参照して行う。ステップS15で車両の走行速度が法定速度以上であると判断すると、ステップS14で乗務員の評価を減点する。
【0092】
駐車禁止あるいは、スピード違反は交通法規に違反するばかりでなく、安全面からも行わないことが必要である。また交通法規違反を頻繁に繰返すような車両を有する会社は、社会的信用も低下する。このため車両の運行管理者は、日ごろ乗務員に対して、安全運転あるいは交通法規を遵守するように指導を行っている。配車装置2は、交通法規に対する違反があった場合に、乗務員の評価を下げるため、乗務員が交通法規を遵守するようになることが期待される。
【0093】
評価手段40は、次のステップS16で車両が空車か否か判断する。空車か否かの判断に使用するデータは、車両データに含まれる車両に取り付けられているタクシーメータのデータである。車両が空車であると判断すると、ステップS17で走行距離が多いか否か判断する。予め定める走行距離よりも多いと判断すると、評価手段40は、ステップS18で乗務員に対する評価を加点する。空車時に走行距離が長いことは、顧客獲得のために積極的に車を走らせていることを意味しており、顧客獲得のための積極的な行為である。空車時の走行距離が長いほど乗務員に対する評価を上げることで、乗務員の積極的な顧客獲得を促すことができる。
【0094】
一方車両が空車状態で走行距離も多くないような場合であって、自分の会社のタクシーの後ばっかり走行しているような場合は、乗務員の評価を下げる。顧客が非常に多く、タクシー待ち状態である場合はともかく、街道を走りながら顧客を獲得するような場合は、顧客は一人あるいは数人であることが多く、同じ会社のタクシーが2台以上並んで走行しても、後を走行しているタクシーの顧客を獲得できる機会は多くない。タクシー会社にとっても、この行為は売上増加につながらず好ましくない。よって評価手段40は、ステップS19で自分の会社のタクシーの後ばっかり走行していると判断すると、ステップS20で減点を行う。
【0095】
上記の実施形態に示したように、車両データを基に乗務員の運転に関する評価を点数で行うことで、乗務員の運転に関する質を客観的に評価することができる。乗務員も交通法規違反を犯すと、評価が下がり結果的に配車が受けにくくなるため、交通法規を遵守するようになる効果も期待できる。
【0096】
上記の実施形態では、車両データに基づく乗務員の評価について記述したが、乗務員の評価に、乗務員の勤務態度を加味することも可能である。これにより評価項目が増加し、乗務員に対する評価がより客観的なものとなる。乗務員の勤務態度に関する評価項目には、
安全運転者証の所有の有無、出社時の遅刻あるいは急な休暇取得などがある。乗務員の勤務態度に基づく、評価方法の一例を示す。
【0097】
乗務員の勤務態度を評価するに必要なデータは、乗務員データとして、配車を管理する者などにより、配車装置2のデータ入力部11を通じて入力される。配車を行う者は、点呼の時点で乗車予定の乗務員が遅刻していないか、あるいは休暇か否かを判断し、乗務員の氏名と関連づけて車両を区別するための車両ID、出社時刻、出庫時刻、休暇取得の有無などを配車装置2に入力する。なおこれらデータは、乗務員自ら出社時に入力することもできる。休暇については当日までに入力しておくことももちろん可能である。
【0098】
乗務員の勤務態度に基づく評価は、次のように行う。評価手段40は、乗務員が安全運転者証を所有するか否かを判断する。安全運転者証を所有するか否かは、乗務員データの一つとして入力される安全運転者証の所有データに基づき行う。評価手段40は、乗務員が安全運転者証を所有していると判断すると、加点計算を行い、乗務員に対する評価を加点する。安全運転者証は、安全運転を行う者を証明するものであり、タクシー会社としても顧客の信用を得ることができる。また乗務員は、安全運転者証を所有することで評価が加点されるため、乗務員の安全意識が高揚する。
【0099】
さらに評価手段40は、乗務員が急な休暇を取得したか否かが判断する。急な休暇取得があったと判断すると、減点計算を行い、乗務員に対する評価を下げる。予定外の休暇が取得されると、他の乗務員に迷惑をかけることとなり、また会社の売上も減少するためである。
【0100】
さらに評価手段40は、休日出勤か否かを判断する。休日出勤データが入力されたと判断すると、乗務員の点数を加点する。顧客が多い時期などの休日出勤は、売上増加につながりタクシー会社にとっても好ましいことによる。
【0101】
また評価手段40は、乗務員の遅刻データが入力されたか否かを判断する。遅刻も急な休暇の取得と同様、売上減少につながるため、評価を下げることで遅刻を抑制することができると期待される。遅刻データが入力されたと判断すると減点計算を行う。遅刻と急な休暇な取得とでは、急な休暇の取得の方が影響が大きいため、遅刻に比べて減点幅を大きくしてもよい。
【0102】
また評価手段40は、配車指名が行われた否かを判断する。配車指名も乗務員データとして、データ入力手段を通じて入力されるものである。配車指名はタクシーの利用者が乗務員を指定して、タクシーの依頼をするものである。このことは乗務員が顧客から高い信用を得ていることを示しており、タクシー会社にとっても会社の信用向上につながり喜ばしいことである。よって配車指名があったと判断すると、評価手段40は加点を行い、乗務員に対する評価を上げる。
【0103】
これに対して顧客から苦情があった場合は、乗務員の評価を下げる。車両の運転の状態によっては、たとえば急発進あるいはスピードの出しすぎなどの運転が行われると、顧客は同じ乗務員の運転する車両に2度と乗りたくないと思ったり、あるいはタクシー会社に苦情を申し出ることもある。これら行為は顧客を失わせるとともに、会社の信用をなくす行為であり、現に慎む必要がある。よって評価手段40は、入力データから顧客からの苦情があったと判断すると、減点計算を行う。このように顧客から苦情があった場合に、乗務員に対する評価下げることで、これら行為を抑制することができると期待される。
【0104】
以上の他にも、乗務員に対する評価としては、次のような評価も可能である。タクシーを利用しようとする者の人数は、時間帯によって大きく異なる。そこで評価手段40は、タクシー利用者の多い時間帯か否か判断する。利用者の少ない時間帯と判断すると、次に乗込みが多いか否か判断する。利用者が多いと判断されると、乗務員の点数を加点する。利用者が少ない時間帯に利用者が多いことは、乗務員が顧客獲得に努力したことを示していると言える。これらは売上増加にもつながり、タクシー会社にとっても喜ばしいことである。本配車システムを採用することで乗務員は、利用者が少ない時間帯に乗り込みが多いと評価を上げてくれるため、積極的な顧客獲得努力を行うようになる。
【0105】
夕方など利用者の需要が多い場合は、空車が少なく配車の手配が困難となりやすい。一方でタクシーの依頼をしている顧客を長時間待たせることは信用低下につながる。このような状況下で配車を受けてくれることは、顧客の信用維持につながり、車両運行の管理者にとって好ましいことである。そこで評価手段40は配車を受けてくれたか否か判断し、配車を受けたと判断すると、乗務員の評価に加点する。乗務員も、空車が少ない時間帯であっても、配車を受ければ評価が上がるため、積極的に配車を受けてくれるようになる。
【0106】
さらに評価手段40は、車両の急発進の有無を判断する。車両の急発進は、顧客に不愉快な思いをさせるばかりでなく、安全上からもやめるべき行為である。よって評価手段40は、車両の急発進があったと判断すると、乗務員に対する評価を減点する。
【0107】
また評価手段40は、配車指示に対するキャンセルがあったか否か判断する。配車装置2は、顧客からのタクシーの依頼に対して、顧客に近い位置にいるタクシーを探索し、これに乗務員の評価を考慮し、連絡をとり顧客のもとに向かわせる。一度連絡を受けたタクシーが途中で、これをキャンセルすると、配車装置2は再度配車をする必要が生じる。さらにタクシーの配車を依頼した顧客を待たせることにもつながるなど、好ましくない行為である。よって評価手段40は、乗務員が配車指示を一度受けその後キャンセルしたと判断すると、乗務員に対する評価を減点する。キャンセルについてのデータは、車載端末3から配車装置2に送信される。
【0108】
同様に、配車装置2からの配車指示に対して、無応答であると判断すると、評価手段40は、乗務員に対する評価を減点する。配車装置2は、顧客からのタクシーの迎車要請に対して、顧客に近いタクシーを探索後、乗務員の評価を考慮し車両を決定する。配車装置2は、この車両に対して配車指令を出し、配車指令を受けられるか否かの返答を待つ。これに対してすぐに乗務員が返答しない場合がある。
【0109】
乗務員からの返答がない場合には、しばらくすれば返答できるような場合、あるいは車から離れて長時間返答できないような場合など種々の状況が想定される。よって配車装置2は、配車指令に対して返答がない場合は、所定時間経過後、再度配車指令を出す。この配車指令に対して配車指令を受けられないとの返答を受信すると、配車装置2は、再度別の空車の車両を探す必要が生じる。これらはタクシーを依頼してきた顧客を待たすこととなり、好ましいことではない。よって配車指示に無応答であると判断すると乗務員に対する評価を減点する。これにより配車命令に対する無応答行為を抑制することができると期待される。
【0110】
タクシーを利用される人の中には、体の不自由な人など、タクシーを依頼する際ドアサービスを要請される場合がある。この場合配車命令を行う者は、配車指示に際しドアサービスが必要なことを、乗務員に連絡する。これら要請に対して、ドアサービスを行わないことは、利用者に不自由をかけることになる。そこで評価手段40は、ドアサービスが行われた否か判断する。ドアサービスが行われた否かは、車両に装着されたドアの開閉検知センサのデータに基づき行う。
【0111】
車両が実車状態で、乗務員に近いドアが開いたことが検知されると、ドアサービスが行われたと擬制する。評価手段40は、必要なドアサービスが実施されなかったと判断すると、乗務員に対する評価を減点する。これにより乗務員が必要なドアサービスを行うようになると期待される。
【0112】
また評価手段40は、GPSからのデータおよび記憶手段30に記憶された地図データに基づき、車両が同じ場所ばかり走行しているか否かを判断する。同じ場所ばかり走行する行為は、顧客獲得のために効率的な行為とは言えず、タクシー会社も売上増加を期待できない。よって同じ場所ばかり走行していると判断すると、評価手段40は、乗務員に対する評価を減点する。乗務員に対する評価を減点することで、これら行為を抑制することができると期待される。
【0113】
車両が同じ場所ばかり走行していない場合は、車両がわざと遠廻りしていないか否かを判断する。評価手段40は、車両データおよび地図データから車両がわざと遠回りしていると判断すると、顧客に迷惑をかけることとなるため減点を行う。なお、車両がわざと遠回りをしているのか、道路事情などでしかたなく遠回りしているのか判断できない場合もある。このような場合は、別途乗務員からの申告により減点を取り消すようにしてもよい。これら取消用のデータは、乗務員データの1つとして入力する。
【0114】
また評価手段40は、乗務員が頻繁に休憩を取っていると判断すると、乗務員の評価を減点する。乗務員が休憩を取っているか否かの判断は、タクシーの備えらえる休憩を知らせる手段からのデータを、配車装置2で受信することで行う。適度な休憩は必要であるが、休憩が頻繁であると、売上も低下するため乗務員の評価を減点する。これにより乗務員は適度な休憩を取るようになると期待できる。
【0115】
また評価手段40は、実車時間を車両の走行距離で除した値を計算し、この値に比例し加点を行う。実車時間を車両の走行距離で除した値が大きいことは、実車時間が相対的に大きいことを表している。実車時間の大小は、乗務員の顧客獲得努力によるところが大きく、乗務員に対する評価を加点することで、さらなる乗務員の顧客獲得努力を促すことが可能となる。
【0116】
また評価手段40は、配車指示から実車になるまでに移動した距離をその移動時間で除した値が大きいほど、乗務員に対する加点の点数を大きくする。この値が大きいことは、移動時間が相対的に小さいことを示しており、適切なルートで顧客を迎えに行ったことを示す。顧客を待たせる時間が短縮することは、顧客からも喜ばれ、顧客の信用も獲得することができる。また乗務員は、評価が上がれば配車を受けやすくなるため、道路情報を得る努力するようになる。
【0117】
さらに評価手段40は、乗務員の減点が所定値以下か否か判断し、減点が所定値以下であれば加点する。乗務員の評価を表す点数は、加点および減点によって増減する。加点行為を多く行い、評価を上げることが望ましいが、減点行為を極力行わないことも重要なことである。乗務員の評価を下げる減点行為は、安全面あるいは顧客からの信用をなくすなど不適切な行為であるためである。これら行為を抑制するため、減点が少ないとボーナス点を与え評価を上げることで、乗務員のやる気を増すことができる。
【0118】
上記の各行為あるいは項目における加点あるいは減点は、同じ点数である必要はなく各行為に応じて重み付けを行ってもよい。また加点あるいは減点の重み付けは、タクシーの運行時間帯および運行地域によって変えてもよい。運行地域における加点あるいは減点の重み付けは、予め地域を区分けし地区毎に点数を決めたテーブルを記憶手段30に記憶させる方法などであってもよい。
【0119】
たとえば、利用者の少ない時間帯に顧客が多い場合は加点を行うが、これに運行地域を加味して評価する。本来人通りの少ない地域を運行している場合は、加点する点数をアップさせる。これにより人通りの少ない地域であっても、運行を確保することが可能となり、タクシー会社にとっては、売上増加につながると期待できる。
【0120】
本実施形態では、乗務員データおよび車両データに基づき、乗務員に対する評価を行う場合を示しているが、必ずしも両方のデータを使用する必要はなく、乗務員データあるいは車両データのどちらか一方でもよい。さらに全ての項目を含む必要はなく、たとえばGPSを装着していない車両であれば、車両の位置データを必要とする項目を含まない評価とすることも可能である。
【0121】
図6は本発明の他の実施形態としてのタクシー配車システムの電気的構成を示す。1の実施形態と同様な説明には同一符号を付して詳細を省略する。この他の実施形態では、配車装置2から管理者端末5に、データが送信される点が1の実施形態と異なる。
【0122】
管理者端末5は、データ入力機能・データ送受信機能およびデータ表示機能を備え、一般的にはパーソナルコンピュータである。管理者端末5は、タクシー会社の本社機能を有する場所に置かれる。管理者端末5は乗務員の勤怠管理あるいは人事管理を行う者が使用する端末で、各営業所に配車装置2を設置し、各営業所から送ってくる乗務員の評価データを受信することができる。
【0123】
管理者端末5により各営業所に属する乗務員の評価を知ることができため、これらを給与などに反映させることも可能となる。さらに乗務員の評価が点数で表されているため、各営業所間の成績を比較することも可能で、成績のよい営業所を表彰することも可能となる。
【0124】
車載端末3も車両データなどを送信するデータ送信機能のほか、データ受信機能およびデータ表示機能を備えるため、乗務員の評価データを見たい場合は、配車装置2にアクセスする。これに対して配車装置2は、車載端末3から要求があった場合、乗務員の評価データを送信し、乗務員は車載端末3を通じて乗務員の評価を知ることができる。
【0125】
このように車載端末3にデータ受信機能、データ表示機能を備え、配車装置2とネットワーク5を介して接続することで、乗務員は必要に応じて乗務中に自分の評価を知ることができる。これにより乗務員は自分の評価を高め、優先的に配車を受けられるように努力することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の実施の一形態としての配車システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の配車システムのデータ収集を行う各部の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1の配車システムの配車指令を行う各部の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】図1の配車システムの配車の制御を行う制御手段の制御手順を表したフローチャートである。
【図5】図1の配車システムの乗務員に対する評価手順を表したフローチャートである。
【図6】本発明の実施の他の形態としての配車システムの電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0127】
1 配車システム
2 配車装置
3 車載端末
4 ネットワーク
30 記憶手段
34 乗務員評価データベース
40 評価手段
50 表示手段
60 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシーの乗務員を点数で評価する評価手段と、
評価手段によって評価された各乗務員の点数を記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶されている点数の高い乗務員から優先的に配車を行う配車手段と、
を含むことを特徴とする配車システム。
【請求項2】
前記評価手段は、前記タクシーの車両の走行距離を実車時間で除した値が小さいほど、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする請求項1記載の配車システム。
【請求項3】
前記評価手段は、前記タクシーが配車から実車になるまでの時間を、該時間で移動した距離で除した値が小さいほど、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする請求項1または2のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項4】
前記評価手段は、前記乗務員が安全運転者証を所有していると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項5】
前記評価手段は、前記タクシーが指名配車を受けると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項6】
前記評価手段は、前記乗務員に対し休日出勤が行われると評価を他の乗務員に対して相対的に上げ、遅刻、急な休暇の取得または休憩が頻繁であるうち少なくともいずれか1つに該当すると、該評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項7】
前記評価手段は、タクシーの顧客からの運転に関する苦情があると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項8】
前記評価手段は、前記タクシーが空車時の走行距離が長いほど、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項9】
前記評価手段は、前記タクシーが空車が少ない時間帯に配車を受けてくれるほど、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項10】
前記評価手段は、前記タクシーが全体として乗り込みが少ない時間帯に乗り込みが多いほど、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に上げることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項11】
前記評価手段は、前記乗務員が交通法規に違反すると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項12】
前記評価手段は、前記タクシーが車両の急発進、配車指示に対するキャンセル、または配車指示に対して無応答であるうち少なくともいずれか1つに該当すると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項13】
前記評価手段は、前記乗務員がドアサービスの必要な顧客に対してドアサービスを行わないと、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項14】
前記評価手段は、前記乗務員が車両をわざと遠回りさせると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の配車システム
【請求項15】
前記評価手段は、前記タクシーが空車で一定時間同じ会社のタクシーの後を走行すると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項16】
前記評価手段は、前記タクシーが同じ場所ばかり走行すると、前記乗務員に対する評価を他の乗務員に対して相対的に下げることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項17】
前記評価手段は、前記乗務員に対する評価について他の乗務員に対し相対的に下げる評価が少ないと、または、相対的に上げる評価が多いと、前記乗務員に対する評価にボーナス点を加算することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項18】
前記評価手段は、前記タクシーの運行時間帯および運行地域によって、前記乗務員に対する評価を変えることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項19】
前記評価手段は、前記乗務員に対する評価を、所定間隔で実行することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項20】
前記評価手段は、前記乗務員に対する評価を、実車時、配車時を含むイベント時に実行することを特徴とする請求項1〜19のいずれか1つに記載の配車システム。
【請求項21】
コンピュータを、請求項1〜20のうちいずれか1つに記載の配車システムとして機能
させるためのプログラム。
【請求項22】
コンピュータを、請求項1〜20のうちいずれか1つに記載の配車システムとして機能
させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−11726(P2006−11726A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186614(P2004−186614)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】