説明

配車支援システム、配車支援方法、及び配車支援プログラム

【課題】複数の車両の配車パターンを、各車両の搭乗人数や装備等の各種条件をも考慮しつつ設定することが可能となる、配車支援システム、配車支援方法、及び配車支援プログラムを提供すること。
【解決手段】ナビゲーション装置2は、複数の搭乗者が複数の出発地から共通の目的地に向かう場合における各出発地及び目的地の位置情報と、複数の搭乗者が各出発地から搭乗可能な車両の利用条件情報とを取得する配車条件情報取得部261aと、当該取得された情報に基づいて、複数の搭乗者の全員が複数の車両のいずれかに搭乗可能となるように、これら複数の車両の中から実際に利用する車両の候補を車両利用パターンとして設定する車両利用パターン設定部261bと、当該設定された車両利用パターンにおける車両に搭乗する複数の搭乗者の候補を送迎パターンとして設定する送迎パターン設定部261cを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車支援システム、配車支援方法、及び配車支援プログラムに関し、特に、複数の搭乗者が搭乗する複数の車両を配車するための配車支援システム、配車支援方法、及び配車支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行経路案内を行うナビゲーション装置が普及している。このナビゲーション装置は、車両の現在位置をGPS等にて検出し、この現在位置に対応する地図データを記録媒体又はネットワークを通じて取得し、この地図データに基づいて描画した地図画像上に車両位置マークを重ね合わせて、液晶モニタに表示する。
【0003】
また、上記のナビゲーション装置を利用してタクシーの効率的な配車を行うタクシー相乗り支援システムが提案されている。このタクシー相乗り支援システムは、複数の搭乗者の出発地や目的地等を特定する予約情報を元にマッチングを行い、各搭乗者を出発地エリアや目的地エリア、出発時刻セグメント等によってグループ化する。そして、各グループに属する搭乗者の出発地エリアと目的地とを結ぶ最適ルートを計算する。この最適ルートの計算においては、例えば予約情報が7人の場合、利用するタクシー台数が2台となるため、3人相乗りと4人相乗りの組合わせによる全てのルートについて計算を行い、距離的、時間的、あるいは料金的に最も有利なルートが選択される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
あるいは、単に出発地から目的地までのルートを探索するだけでなく、複数の地点を効率よく巡回し、出発地から目的地へ至る巡回経路を選出するための方法も提案されている。この巡回経路選出方法は、各巡回地点間の最小コスト経路を求め、当該コストに基づき、各巡回地点の最適な巡回順序を決定し、当該決定した巡回順序に従って出発地から目的地までの巡回経路を作成する方法である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−233656号公報(段落0049から0051及び図7)
【特許文献2】特開2001−91284号公報(段落0021から0024及び図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、実際の車両利用環境においては、複数の搭乗者が複数の出発地から同一目的地に向かう場合に、複数台の車両が分担して各搭乗者を迎えに行きながら目的地に向かうケースがある。しかし従来の方法では、このような場合の配車を行うことが困難であった。
【0007】
例えば、上記特許文献2に記載の方法では、1台の車両が複数の地点を巡回する場合の最適ルートを求めることはできるものの、複数台の車両によって複数地点を巡回して共通の目的地に向かう場合において、どの車両がどの地点を巡回すべきかを決定できなかった。
【0008】
さらに、上記特許文献1に記載されたようにタクシーの如き同一の車両を複数台配車する場合と異なり、実際には各搭乗者の車両は定員数や装備等の各種条件が異なる場合が多いが、特許文献1、2に記載の方法は、このような車両の条件の相違は一切考慮されていなかった。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、複数の搭乗者が複数の出発地から共通の目的地に向かう場合において、各搭乗者の送迎パターンを、各車両の乗車定員や装備等の各種条件をも考慮しつつ設定することが可能となる、配車支援システム、配車支援方法、及び配車支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の配車支援システムは、複数の搭乗者が複数の出発地から共通の目的地に向かう場合における前記各出発地及び前記目的地の位置情報と、前記複数の搭乗者が前記各出発地から搭乗可能な車両の利用条件情報とを取得する配車条件情報取得手段と、前記配車条件情報取得手段にて取得された情報に基づいて、前記複数の搭乗者の全員が前記複数の車両のいずれかに搭乗可能となるように、前記複数の車両の中から実際に利用する車両の候補を車両利用パターンとして設定する車両利用パターン設定手段と、前記車両利用パターン設定手段にて設定された前記車両利用パターンにおける前記車両に搭乗する前記複数の搭乗者の候補を送迎パターンとして設定する送迎パターン設定手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の配車支援システムは、請求項1に記載の配車支援システムにおいて、前記送迎パターン設定手段にて設定された前記送迎パターンが複数ある場合に、当該複数の送迎パターンの中から、所定の基準に基づいて、採用する送迎パターンを配車パターンとして設定する配車パターン設定手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の配車支援システムは、請求項2に記載の配車支援システムにおいて、前記配車パターン設定手段は、前記送迎パターン設定手段にて設定された前記送迎パターン毎に各送迎パターンで利用される車両の距離コストの総和を算定し、当該距離コストの総和が最小となる送迎パターンを前記配車パターンとして設定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の配車支援システムは、請求項2に記載の配車支援システムにおいて、前記配車パターン設定手段は、前記送迎パターン設定手段にて設定された前記送迎パターン毎に各送迎パターンで利用される前記車両の燃料費の総和を算定し、当該燃料費の総和が最小となる送迎パターンを前記配車パターンとして設定することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の配車支援システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の配車支援システムにおいて、優先的な設定条件を特定する優先条件情報を取得する優先条件情報取得手段を備え、前記車両利用パターン設定手段は、前記優先条件情報取得手段にて取得された優先条件情報に基づいて、前記車両利用パターンの設定を行うことを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の配車支援システムは、請求項5に記載の配車支援システムにおいて、前記優先条件情報は、各車両の搭乗人数の範囲を特定する情報を含み、前記車両利用パターン設定手段は、各車両の搭乗人数が前記搭乗人数の範囲に合致することを優先的な設定条件として、前記車両利用パターンの設定を行うことを特徴とする。
【0016】
また、請求項7に記載の配車支援システムは、請求項5又は6に記載の配車支援システムにおいて、前記利用条件情報は、各車両において利用可能な装備を特定する情報を含み、前記優先条件情報は、各車両が備えるべき装備を特定する情報を含み、前記車両利用パターン設定手段は、前記各車両において利用可能な装備が前記各車両が備えるべき装備に合致することを優先的な設定条件として、前記車両利用パターンの設定を行うことを特徴とする。
【0017】
また、請求項8に記載の配車支援システムは、請求項5から7のいずれか一項に記載の配車支援システムにおいて、前記利用条件情報は、各車両が過去の配車に利用された利用回数を特定する情報を含み、前記優先条件情報は、各車両において許容される利用回数又は複数の車両相互間の利用比率を特定する情報を含み、前記車両利用パターン設定手段は、前記各車両が過去の配車に利用された利用回数に今回の利用回数を加算し、当該加算後の利用回数又は当該加算後の利用回数に基づく複数の車両相互間の利用比率が、前記各車両において許容される利用回数又は複数の車両相互間の利用比率に合致することを優先的な設定条件として、前記車両利用パターンの設定を行うことを特徴とする。
【0018】
また、請求項9に記載の配車支援システムは、請求項5から8のいずれか一項に記載の配車支援システムにおいて、前記優先条件情報は、各車両の中で優先的に利用すべき車両を特定する情報を含み、前記車両利用パターン設定手段は、前記各車両の中で優先的に利用すべき車両が配車車両に含まれることを優先的な設定条件として、前記車両利用パターンの設定を行うことを特徴とする。
【0019】
また、請求項10に記載の配車支援システムは、請求項1から9のいずれか一項に記載の配車支援システムにおいて、前記送迎パターン設定手段にて設定された送迎パターンに基づいて、当該送迎パターンによる各車両が前記目的地に同時に到着するための当該各車両の出発時刻を算定する出発時刻算定手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項11に記載の配車支援方法は、複数の搭乗者が複数の出発地から共通の目的地に向かう場合における前記各出発地及び前記目的地の位置情報と、前記複数の搭乗者が前記各出発地から搭乗可能な車両の利用条件情報とを取得する配車条件情報取得ステップと、前記配車条件情報取得ステップにて取得された情報に基づいて、前記複数の搭乗者の全員が前記複数の車両のいずれかに搭乗可能となるように、前記複数の車両の中から実際に利用する車両の候補を車両利用パターンとして設定する車両利用パターン設定ステップと、前記車両利用パターン設定ステップにて設定された前記車両利用パターンにおける前記車両に搭乗する前記複数の搭乗者の候補を送迎パターンとして設定する送迎パターン設定ステップとを備えることを特徴とする。
【0021】
また、請求項12に記載の配車支援プログラムは、請求項11に記載の方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の配車支援システム、請求項11に記載の配車支援方法、及び請求項12に記載の配車支援プログラムによれば、複数の搭乗者全員が利用車両に搭乗出来るように利用条件情報等に基づいて車両利用パターンを設定し、設定された車両利用パターンに基づいて、各利用車両が複数地点に散在する搭乗者全員を搭乗させることができる送迎パターンを設定するので、各車両による各参加メンバーの送迎パターンを、各車両の乗車定員等の各種の利用条件を考慮しつつ設定することができる。
【0023】
請求項2に記載の配車支援システムによれば、複数の送迎パターンの中から所定の基準に基づいて配車パターンを設定するので、複数の送迎パターンを取り得る場合であっても、適切な配車パターンを自動的に選択することができる。
【0024】
請求項3に記載の配車支援システムによれば、距離コストの総和が最小となる送迎パターンを配車パターンとして設定するので、利用車両の移動時間や移動距離が適切な配車パターンを設定することができる。
【0025】
請求項4に記載の配車支援システムによれば、燃料費の総和が最小となる送迎パターンを配車パターンとして設定するので、燃料費の最も小さいパターンで配車を行うことができ、目的地までの移動に要する費用を低減することができる。
【0026】
請求項5に記載の配車支援システムによれば、優先条件に合致する車両が利用車両となるように優先的に車両利用パターンの設定を行うので、利用者の様々なニーズに合致した車両利用パターンの設定が可能となる。
【0027】
請求項6に記載の配車支援システムによれば、各車両の搭乗人数が優先条件情報によって特定される搭乗人数の範囲に合致することを優先的な設定条件として車両利用パターンの設定を行うので、配車に利用する各車両の搭乗人数を利用者のニーズに応じて適切に設定することができる。
【0028】
請求項7に記載の配車支援システムによれば、必要な装備を備えた車両を利用車両に含めるように車両利用パターンを設定するので、配車に利用する各車両の装備を利用者のニーズに応じて適切に設定することができる。
【0029】
請求項8に記載の配車支援システムによれば、各車両において許容される利用回数や複数の車両相互間の利用比率を優先的な設定条件として車両利用パターンの設定を行うので、配車に利用する各車両の利用回数を利用者のニーズに応じて適切に設定することができる。
【0030】
請求項9に記載の配車支援システムによれば、優先条件情報は、優先条件情報によって特定される車両に合致する車両を利用車両に含めるように車両利用パターンを設定するので、優先的に利用すべき車両を含んだ配車パターンを設定することができる。
【0031】
請求項10に記載の配車支援システムによれば、各車両が同時に目的地に到着するための、当該各車両の出発時刻を算定するので、利用者は各車両が出発すべき時間を容易に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係る配車支援システム、配車支援方法、及び配車支援プログラムの各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0033】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この形態は、各車両の距離コストの総和が最小となる送迎パターンを設定すると共に、目的地に同一時刻に到着するための各車両の出発時間を算出する形態である。
【0034】
(構成)
図1は実施の形態1に係る配車支援システムを例示するブロック図である。この配車支援システム1は、ナビゲーション装置2及び情報配信センタ3をネットワーク4を介して相互に通信可能に接続して構成されている。
【0035】
(構成−ナビゲーション装置)
最初に、ナビゲーション装置2の構成について説明する。図2は実施の形態1に係るナビゲーション装置2の電気的構成を例示するブロック図である。このナビゲーション装置2は、現在地検出処理部20、データ記録部21、表示部22、スピーカ23、操作部24、通信部25、及び制御部26を備えている。
【0036】
現在地検出処理部20は、ナビゲーション装置2が取り付けられた車両(以下必要に応じて「自車」)の現在位置を検出する。具体的には、現在地検出処理部20は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、ステアリングセンサ、又はジャイロセンサ等(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の自車の位置及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0037】
データ記録部21は、ナビゲーション装置2の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0038】
このデータ記録部21は、ナビ側地図情報データベース(以下データベースを「DB」と称する)220、ナビ側交通情報DB221、及び利用条件DB222を備えている。ナビ側地図情報DB220は、地図情報220aを格納する地図情報格納手段である。地図情報220aとは、経路案内に必要な情報であり、例えば、地図を表示部22に表示するための地図表示データや、目的地に至るまでの経路を探索するための探索データ、及び目的地となる各地点を検索するための検索データ等を含んで構成されている。
【0039】
ナビ側交通情報DB221は、交通情報を格納するナビ側交通情報格納手段である。交通情報とは、現在の交通状態に関する現況交通情報221aや、将来の交通状態に関する予測交通情報221bであり、例えば、現況交通情報221aは道路渋滞情報や交通規制情報等を含み、予測交通情報221bは渋滞予測情報等を含む。
【0040】
利用条件DB222は、各利用者が当該利用者の出発地から搭乗可能な車両の利用条件情報を格納するための利用条件情報格納手段である。図3は、利用条件DB222に格納されている情報を例示した図である。図3に示すように、利用条件DB222は、項目「メンバー名」「自宅/出発地」「所有車両」「搭乗人数」「装備」「燃費(km/L)」「利用回数」に対応する情報を格納している。項目「メンバー名」に対応して格納される情報は、配車支援システム1を利用する利用者を一意に特定するための識別情報である。項目「自宅/出発地」に対応して格納される情報は、各利用者が配車支援システム1を利用する場合における当該各利用者の出発地の位置を特定するための位置情報であり、例えば、各利用者の自宅の位置の緯度及び経度あるいは住所である。項目「所有車両」に対応して格納される情報は、各利用者が当該各利用者の出発地から搭乗可能な車両を所有しているか否かを特定する情報である。項目「搭乗人数」に対応して格納される情報は、各車両の仕様上の定員数(最大搭乗人数)である。ただし、この情報として、各車両に快適に乗車可能なものとして任意に決定された人数を設定してもよい。項目「装備」に対応して格納される情報は、各車両が備える走行機能や装備(図3に示した例では、「ベビーシート」「4WD」等)を特定する情報である。項目「燃費(km/L)」に対応して格納される情報は、各車両の燃費を特定する情報である。項目「利用回数」に対応して格納される情報は、各車両が利用対象車両として配車支援システム1によって選択され利用された回数を特定する情報であり、当該回数自体を格納したり、各車両相互間の利用回数の比率を示す情報を格納する。なお、項目「所有車両」に対応して格納されている情報が「なし」の場合、すなわち利用者が利用可能な車両を所有していない場合は、車両の利用条件(搭乗人数、装備、燃費、利用回数)を特定するための情報が存在しないため、例えば該当する情報が無い旨を示す情報(図3の例では「−」)が格納される。
【0041】
表示部22は、経路案内に関する各種情報(特に、後述する配車パターン設定部261dにて設定される配車パターンを含む)を表示する表示手段である。この表示部22の具体的な構成は任意であり、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ、又は車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することができる。
【0042】
スピーカ23は、経路案内に関する音声ガイダンス等を出力する出力手段である。なお、スピーカ23より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0043】
操作部24は、ユーザによる操作入力を受け付ける操作手段である。操作部24を介して受け付ける操作入力の具体的な内容は任意であり、例えば、現在地の修正、複数の搭乗者の各々の出発地や共通の目的地の設定、使用可能な車両の情報の入力等を挙げることができる。この操作部24の具体的な構成は任意であり、例えば、表示部22の前面に設けたタッチパネル、押しボタン、クリックホイール、キーボード、マウス、ジョイスティック、あるいはペン型入力装置を用いることができ、また固定的手段に限らずリモートコントローラの如き遠隔手段としてもよい。
【0044】
通信部25は、情報配信センタ3や道路交通情報センタ等との間でネットワーク4を介した通信を行う通信手段である。この通信部25を介して送受信される情報の具体的な内容は任意であり、例えば、上述した配車パターン、地図情報220a、現況交通情報221a、あるいは予測交通情報221bを挙げることができる(後述するセンタ側通信部32も同様)。
【0045】
制御部26は、ナビゲーション装置2を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成される(後述する情報配信制御部33も同様)。特に、本実施の形態に係る配車支援プログラムは、任意の記録媒体又はネットワーク4を介してナビゲーション装置2にインストールされることで、制御部26の各部を実質的に構成する。
【0046】
この制御部26は、機能概念的に、経路探索部260及び配車支援部261を備えている。経路探索部260は、出発地から目的地に至る経路を探索する経路探索手段である。配車支援部261は、相互に異なる複数の出発地から出発する複数の搭乗者が、複数の出発地から出発する複数台の車両に分乗して共通の目的地に向かう場合における送迎パターンの設定を支援するためのものである。
【0047】
この配車支援部261は、さらに配車条件情報取得部261a、車両利用パターン設定部261b、送迎パターン設定部261c、配車パターン設定部261d、優先条件情報取得部261e、及び出発時刻算定部261fを備えている。配車条件情報取得部261aは、複数の搭乗者が複数の出発地から共通の目的地に向かう場合における各出発地及び目的地の位置情報と、当該複数の搭乗者の各々が各出発地から搭乗可能な車両の利用条件情報とを、操作部24等の所定の入力手段や利用条件DB222から取得する。車両利用パターン設定部261bは、配車条件情報取得部261aによって取得された情報に基づき、全搭乗者がいずれかの車両に搭乗可能となるように、複数の車両の中から実際に利用する車両の候補を車両利用パターンとして設定する。送迎パターン設定部261cは、各車両利用パターンにおける各車両に搭乗する複数の搭乗者の候補を送迎パターンとして設定する。配車パターン設定部261dは、送迎パターンが複数ある場合に、当該複数の送迎パターンの中から、所定の基準に基づいて、採用する送迎パターンを配車パターンとして設定する。優先条件情報取得部261eは、車両利用パターンを設定する場合における優先的な設定条件を特定する優先条件情報を取得する。出発時刻算定部261fは、各送迎パターンにおいて、各車両が目的地に同時に到着するための当該各車両の出発時刻を算定する。これら制御部26の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。なお、制御部26には、自車の走行速度を検出する車速センサ27が接続されている。
【0048】
(構成−情報配信センタ)
次に、図1の情報配信センタ3について説明する。情報配信センタ3は、上述した地図情報及び交通情報、あるいはこれら各情報を更新するための更新情報を、ネットワーク4を介してナビゲーション装置2に配信する情報配信手段である。この情報配信センタ3は、図1に示すように、センタ側地図情報DB30、センタ側交通情報DB31、センタ側通信部32、及び情報配信制御部33を備えている。センタ側地図情報DB30は地図情報30aを格納する地図情報格納手段、センタ側交通情報DB31は現況交通情報31a及び予測交通情報31bを格納する交通情報格納手段である。センタ側通信部32は、ナビゲーション装置2や道路交通情報センタ等との間で通信を行う通信手段である。情報配信制御部33は、情報配信センタ3を制御する制御手段であり、ナビゲーション装置2からセンタ側通信部32を介して受信した情報更新要求に基づき、センタ側地図情報DB30の地図情報やセンタ側交通情報DB31の交通情報をセンタ側通信部32を介してナビゲーション装置2に配信する。
【0049】
(構成−ネットワーク)
最後に、ネットワーク4について説明する。ネットワーク4は、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3とを相互に通信可能に接続するものである。このネットワーク4の具体的な構成は任意であり、例えば、LAN、WAN、インターネット、電話回線網、テレビ放送網、FM多重放送網、BS放送網やCS放送網等、あるいは狭域通信システム(DSRC)等を使用することができる。
【0050】
(処理)
このように構成される配車支援システム1によって実行される配車支援処理について以下説明する。図4は配車支援システム1によって実行される配車支援処理全体を示したフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。
【0051】
まず、ナビゲーション装置2の制御部26は、配車支援システム1の利用開始時における利用者からの操作部24を介した操作によって配車支援処理を起動する。具体的には、配車条件情報取得部261aが配車条件情報取得処理を実行して配車条件情報を取得し(SA1)、この配車条件情報に基づき、車両利用パターン設定部261bが車両利用パターン設定処理を実行して車両利用パターンを設定する(SA2)。続いて、この車両利用パターンに基づき、送迎パターン設定部261cが送迎パターン設定処理を実行して送迎パターンを設定し(SA3)、この送迎パターンに基づき、配車パターン設定部261dが配車パターン設定処理を実行することによって、実際に採用する配車パターンを設定する(SA4)。最後に、出発時刻算定部261fが出発時刻算定処理を実行することで、実際に採用する配車パターンにおいて各車両が同時に目的地に到着するための当該各車両の出発時刻を算定する(SA5)。以下、これらの各処理の具体的な内容を説明する。
【0052】
(処理−配車条件情報取得処理)
まず、配車条件情報取得処理について説明する。図5は、配車条件情報取得部261aによって実行される配車条件情報取得処理を示したフローチャートである。配車条件情報取得処理が制御部26によって起動されると、配車条件情報取得部261aは、目的地、及び当該目的地に向かうメンバー(以下「参加メンバー」)の利用条件情報が操作部24を介して利用者によって入力されるまで待機する(SB1)。目的地を特定する情報の入力方法は任意であり、例えば、目的地となる住所や施設名等を操作部24を介して入力させたり、表示部22によって表示した地図中の任意の点を目的地として指定させたりすることができる。また、利用条件情報は、例えば、利用条件DB222に既に利用条件情報が格納されている場合には、この利用条件情報を表示部22に表示させ、この中から参加メンバーに対応する利用条件情報を利用者に選択させることができる。あるいは、利用条件DB222に未だ利用条件情報が格納されていない場合には、利用条件情報を操作部24を介して利用者に入力させることもできる。この他にも、情報配信センタ3に各車両の利用者が自己の識別情報と共に利用条件情報を登録しておき、この利用条件情報を情報配信センタ3から取得して表示部22に表示させ、この中から参加メンバーに対応する利用条件情報を利用者に選択させてもよい。
【0053】
目的地及び利用条件情報が取得された後(SB1、Yes)、優先条件情報取得部261eは、優先条件情報の入力を待機する(SB2)。ここで入力されるべき優先条件情報としては、例えば、利用する車両1台当りの搭乗人数の範囲を特定する情報、利用する車両に必要な装備を特定する情報、各車両について利用条件DB222に格納されている車両相互間の利用比率や車両の利用回数に関して許容される範囲を特定する情報、優先的に利用すべき車両を特定する情報等を含めることができる。また、優先条件情報の入力方法は任意であり、例えば、優先条件として指定可能な条件を表示部22に表示させ、利用者に選択させることができる。これら優先条件情報が入力された場合、若しくは優先条件を指定しない旨の情報が入力された場合(SB2、Yes)、優先条件情報取得部261eは、配車条件情報取得処理を終了し、図4の全体処理に戻る。
【0054】
(処理−車両利用パターン設定処理)
次に、図4におけるSA2の車両利用パターン設定処理について説明する。図6は車両利用パターン設定部261bによって実行される車両利用パターン設定処理を示したフローチャートである。
【0055】
車両利用パターン設定部261bは、配車条件情報取得処理において取得された配車条件情報及び優先条件情報を配車条件情報取得部261a及び優先条件情報取得部261eから取得する(SC1)。そして、配車条件情報によって特定される各参加メンバーの合計数と、各参加メンバーの所有車両の搭乗人数の合計数をそれぞれ算定し、搭乗人数の合計数が各参加メンバーの合計数を上回っているか否かを判定する(SC2)。その結果、搭乗人数の合計数が各参加メンバーの合計数を上回っていない場合(SC2、No)、車両利用パターン設定部261bは、利用可能な車両が不足しているものと判断し、表示部22に車両が不足している旨のエラー表示を出力させ(SC3)、配車支援処理を終了する。
【0056】
一方、搭乗人数の合計数が各参加メンバーの合計数を上回っている場合(SC2、Yes)、車両利用パターン設定部261bは、優先条件情報によって特定される優先条件を満たす車両が、各参加メンバーの所有車両の中に存在するか否かを判定する(SC4)。
【0057】
例えば、優先条件として所定の装備を備えることが指定された場合には、利用条件DB222の「装備」に対応して格納されている各車両の装備情報が、優先条件として指定された装備と合致している車両を、優先条件を満たす車両として判定することができる。図3に示した例では、利用条件DB222において、メンバー名「A」「B」「C」によって特定されるメンバー(以下の説明では、「メンバーA」のように表記する)が参加メンバーとなっており、優先条件としてベビーシートを備えていることが指定された場合には、メンバーAが所有する車両が優先条件を満たす車両として存在していると判定される。
【0058】
また、優先条件として車両1台当りの搭乗人数の範囲が指定された場合には、利用条件DB222の「搭乗人数」に対応して格納されている各車両の搭乗人数が、優先条件として指定された搭乗人数の範囲に合致する車両を、優先条件を満たす車両として判定することができる。
【0059】
あるいは、優先条件として所定の利用回数もしくは利用比率以下であることが指定された場合には、利用条件DB222の「利用回数」に対応して格納されている各車両の利用回数もしくは利用比率に今回の利用回数を一回分加算した場合の利用回数もしくは利用比率を求め、当該求めた値が優先条件として指定された利用回数もしくは利用比率以下となっている車両を、優先条件を満たす車両として判定することができる。
【0060】
あるいは、優先条件として各車両の中で優先的に利用すべき車両を指定された場合には、各参加メンバーの所有車両の中から、優先条件として指定された車両に合致する車両を、優先条件を満たす車両として特定することができる。
【0061】
このようなSC4における判定の結果、優先条件を満たす車両が存在した場合(SC4、Yes)、車両利用パターン設定部261bは、当該車両を優先的に利用すべき車両(以下「優先利用車両」)に設定する(SC5)。
【0062】
なお、優先条件としては、上述の各優先条件のいずれか一つのみを指定してもよいが、複数を指定することもでき、これら複数の優先条件が相互に競合する場合には、所定基準に基づいて優先条件の調整を行うことができる。例えば、優先条件の相互間の重要度を予め特定しておき、複数の優先条件が指定された場合には、重要度の高い順に優先条件を順次適用してもよい。例えば、「装備」の重要度を「搭乗人数」の重要度より高く設定した場合、装備条件を満たす車両を優先利用車両とし、この優先利用車両が複数存在する場合には、当該優先利用車両の中で搭乗人数条件を満たす車両を優先利用車両とする。
【0063】
次いで、車両利用パターン設定部261bは、各参加メンバーの所有車両を組み合わせた車両利用パターンを設定する。具体的には、車両利用パターン設定部261bは、所有車両の全部又は任意の一部を組み合わせて構成される全ての車両利用パターンを求め(SC6)、この車両利用パターンの中から、当該車両利用パターンに含まれる車両の搭乗人数の合計が全参加メンバー数以上となる車両利用パターンであって、かつ、全ての優先利用車両が含まれる車両利用パターンを、最終的な車両利用パターンとして設定し(SC7)、車両利用パターン設定処理を終了して、図4の全体処理に戻る。
【0064】
(処理−送迎パターン設定処理)
次に、図4におけるSA3の送迎パターン設定処理について説明する。図7は送迎パターン設定部261cによって実行される送迎パターン設定処理を示したフローチャート、図8は送迎パターン設定部261cよって設定された送迎担当エリアを例示した図、図9は送迎パターン設定部261cによって変更された送迎担当エリアを例示した図である。
【0065】
送迎パターン設定部261cは、車両利用パターン設定処理において設定された車両利用パターンを取得する(SD1)。次に、取得した車両利用パターンに含まれている各車両に搭乗させる参加メンバーを特定するための仮送迎パターンを設定する(SD2)。
【0066】
例えば、車両利用パターンに含まれている車両の中から相互に隣接する一対の車両を特定し、当該一対の車両の各々の位置と目的地とを結ぶ一対の仮想線、及び当該一対の仮想線により形成される狭角を二等分する仮想中央線を、各車両及び目的地を含む仮想平面上に設定する。この仮想平面は、ナビ側地図情報DB220の地図情報220a上に各車両の位置(利用条件DB222の出発地の座標)や目的地の位置を関連付けることで設定する。そして、各車両が、当該車両に対応する仮想線と仮想中央線とにより形成される狭角に包含される範囲内を出発地とする参加メンバーを搭乗させるように、仮送迎パターンを設定する。ここで、各対の仮想線により形成される狭角の何れにも包含されない範囲を出発地とする参加メンバーが存在する場合には、例えば、当該出発地から最も近い地点から出発する車両に当該参加メンバーが搭乗するように、仮送迎パターンを設定する。
【0067】
図8には、2台の車両A、Bに11人の参加メンバーが搭乗する例を示す。この場合、目的地Pから各車両A、Bに至る一対の仮想線LA、LBを引き、これら一対の仮想線LA、LBにより形成される狭角αを二等分する仮想中央線LCを引く。そして、車両Aに対応する仮想線LAと仮想中央線LCとにより形成される狭角αAに包含される範囲内を出発地とする5名の参加メンバーが当該車両Aに搭乗し、車両Bに対応する仮想線LBと仮想中央線LCとにより形成される狭角αBに包含される範囲内を出発地とする4名の参加メンバーが当該車両Bに搭乗するように仮送迎パターンが設定される。さらに、狭角αに包含されない範囲の参加メンバーが車両A及び車両Bに対してそれぞれ一名ずつ追加され、車両Aには6名の参加メンバー、車両Bには5名の参加メンバーが搭乗するように仮送迎パターンが設定される。
【0068】
上述のように仮送迎パターンを設定した後、図7に示すように、送迎パターン設定部261cは、設定した仮送迎パターンに基づき各車両が対応する参加メンバーの全てを搭乗させることが可能か否かを判定する(SD3)。何れかの車両が対応する参加メンバーの全員を搭乗させることができないと判定した場合(SD3、No)、送迎パターン設定部261cは、仮送迎パターンの変更を行う(SD4)。仮送迎パターンの変更を行う場合、例えば、対応する参加メンバーの全員を搭乗させることができないものと判定された車両に搭乗するように設定されていた参加メンバーのうち、当該車両に隣接する車両に最も近い位置を出発地としている参加メンバーを、その隣接車両に搭乗するように再設定を行うことができる。図8に示した例においては、車両Aに搭乗するように設定されていた参加メンバーのうち、車両Aに隣接する車両Bに最も近い位置にいる参加メンバー(円で囲われている参加メンバー)を、車両Bに搭乗するように再設定を行う。これにより、図9に示すように、車両Aに対応する参加メンバー数は5名、車両Bに対応する参加メンバー数は6名となり、何れの車両においても搭乗可能な人数となる。
【0069】
上述のように仮送迎パターンの変更を行った後(SD4)、図7に示すように、送迎パターン設定部261cは、再度各車両についての全参加メンバー搭乗の可否を判定し(SD3)、各車両が対応する参加メンバーの全てを搭乗させることが可能と判定された場合(SD3、Yes)、当該判定時の仮送迎パターンに基づき、各車両が対応する参加メンバーの出発地を経由して目的地に到達するための送迎ルートの算出を経路探索部260に行わせる(SD5)。送迎ルートの算出方法は任意であり、例えば、出発地から目的地までの距離が離れている参加メンバーから順に各参加メンバーを送迎するルートを、ダイクストラ法の如き公知のロジックを用いて算出することができ、あるいは、特許文献2に記載されたような巡回経路算出方法を用いることができる。
【0070】
以上のSD1からSD5までの処理を、車両利用パターン設定処理において設定された全ての車両利用パターンについて同様に繰り返し実行した後(SD6、Yes)、送迎パターン設定部261cは送迎パターン設定処理を終了し、図4の全体処理に戻る。
【0071】
(処理−配車パターン設定処理)
次に、図4におけるSA4の配車パターン設定処理について説明する。図10は、配車パターン設定部261dによって実行される配車パターン設定処理を示したフローチャートである。
【0072】
配車パターン設定部261dは、送迎パターン設定処理にて設定された全ての車両利用パターンに対する送迎パターンを取得し(SE1)、取得した各車両利用パターンに対する送迎パターンにおいて利用されている各車両の距離コスト(出発地から目的地に至るまでの道路距離、道路種別、あるいは交差点の有無やその種別等を、距離に換算した数値)を算出し(SE2)、各車両利用パターン毎の距離コストの総和を求める(SE3)。この距離コストの算定は、例えば、ナビ側地図情報DB220の地図情報220aや、ナビ側交通情報DB221の現況交通情報221a及び予測交通情報221bを参照し、公知の方法にて行うことができる。
【0073】
そして、配車パターン設定部261dは、算出された各車両利用パターン毎の距離コストの総和を当該各車両利用パターン間で比較し、距離コストが最小となる車両利用パターンに対する送迎パターンを特定する(SE4)。そして、特定された送迎パターンを実際に採用する配車パターンとして設定する(SE5)。
【0074】
(処理−出発時刻算定処理)
次に、図4におけるSA5の出発時刻算定処理について説明する。図11は、出発時刻算定部261fによって実行される出発時刻算定処理を示したフローチャートである。
【0075】
出発時刻算定部261fは、設定された配車パターンにおいて利用される各車両が同時に目的地に到着するための、当該各車両の出発時刻を算定する。例えば、出発時刻算定部261fは、各車両について設定された送迎ルートに基づく出発地から目的地までの予測所要時間を算出する(SF1)。この予測所要時間の算定は、例えば、ナビ側地図情報DB220の地図情報220aや、ナビ側交通情報DB221の現況交通情報221a及び予測交通情報221bを参照し、公知の方法にて行うことができる。そして、出発時刻算定部261fは、当該算出した予測所用時間を、予め利用者によって操作部24を介して入力された到着希望時刻から差し引くことによって、各車両の出発時刻を算定する(SF2)。その後、配車支援部261は、上述の如く設定された配車パターン及び各車両の出発時刻を、表示部22に表示させる(SF3)。これにて、図4の配車支援処理が終了する。
【0076】
なお、配車支援部261は、さらに、設定された配車パターンや各車両の出発時刻を通信部25を介して情報配信センタ3に送信し、当該情報配信センタ3から各参加メンバーの利用車両が備えるナビゲーション装置2や各参加メンバーの携帯端末等に配信させるようにしてもよい。例えば、情報配信センタ3には、各参加メンバーや各車両の識別情報と、各参加メンバーの携帯端末等の連絡先情報(例えば携帯電話のメールアドレス)を予め関連付けて登録しておき、配車支援部261から情報配信センタ3に対して配車パターンを送信する際に、当該配車パターンに含まれる各参加メンバーや各車両の識別情報を併せて送信することで、情報配信センタ3からの情報配信を行わせることができる。
【0077】
また、配車支援処理にて配車パターンが最終的に設定された場合、この配車パターンによって配車が行われた各車両の利用回数を自動的に更新して履歴として保持してもよい。例えば、配車支援部261は、配車支援処理の最後に、利用回数の更新要否を利用者に問い合わせ、利用者が利用回数の更新を操作部24を介して指示した場合、利用条件DB222の利用条件情報の中で、当該配車パターンに含まれる各車両の利用回数を1つ増分する。この処理を行うことで、利用条件情報を最新の状態に自動的に維持し、当該最新の状態に基づいて、次回の配車支援処理を行うことが可能となる。
【0078】
(効果)
このように本実施の形態1によれば、複数の参加メンバー全員が利用車両に搭乗出来るように利用条件情報等に基づいて車両利用パターンを設定し、設定された車両利用パターンに基づいて、各利用車両が複数地点に散在する参加メンバー全員を搭乗させることができる送迎パターンを送迎パターン設定部261cが設定するので、各車両による各参加メンバーの送迎パターンを、各車両の搭乗人数等の各種の利用条件を考慮しつつ設定することができる。
【0079】
また、複数の送迎パターンの中から所定の基準に基づいて配車パターンを設定するので、複数の送迎パターンを取り得る場合であっても、適切な配車パターンを自動的に選択することができる。
【0080】
また、距離コストの総和が最小となる送迎パターンを配車パターンとして設定するので、利用車両の移動時間や移動距離が適切な車両パターンを設定することができる。
【0081】
また、優先条件に合致する車両が利用車両となるように優先的に車両利用パターンの設定を行うので、利用者の様々なニーズに合致した車両利用パターンの設定が可能となる。
【0082】
また、各車両の搭乗人数が優先条件情報によって特定される搭乗人数の範囲に合致することを優先的な設定条件として車両利用パターンの設定を行うので、配車に利用する各車両の搭乗人数を利用者のニーズに応じて適切に設定することができる。
【0083】
また、必要な装備を備えた車両を利用車両に含めるように車両利用パターンを設定するので、配車に利用する各車両の装備を利用者のニーズに応じて適切に設定することができる。
【0084】
また、各車両において許容される利用回数や複数の車両相互間の利用比率を優先的な設定条件として車両利用パターンの設定を行うので、配車に利用する各車両の利用回数を利用者のニーズに応じて適切に設定することができる。
【0085】
また、優先条件情報は、優先条件情報によって特定される車両に合致する車両を利用車両に含めるように車両利用パターンを設定するので、優先的に利用すべき車両を含んだ配車パターンを設定することができる。
【0086】
また、各車両が同時に目的地に到着するための、当該各車両の出発時刻を算定するので、利用者は各車両が出発すべき時間を容易に把握することができる。
【0087】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、各車両の燃料費の総和が最小となる送迎パターンを設定する形態である。なお、実施の形態2及びそれ以降の実施の形態の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0088】
(処理−配車パターン設定処理)
本実施の形態2に係る配車パターン設定処理について説明する。図12は、配車パターン設定部261dによって実行される配車パターン設定処理を示したフローチャートである。
【0089】
実施の形態1において説明した送迎パターン設定処理において送迎パターンが設定されると、配車パターン設定部261dは、送迎パターン設定処理にて設定された全ての車両利用パターンに対する送迎パターンを取得し(SG1)、取得した各車両利用パターンに対する送迎パターンにおいて利用されている各車両の、出発地から目的地に至るまでの燃料費を算出した後(SG2)、各車両利用パターン毎の燃料費の総和を求める(SG3)。この際、燃料費は、各車両利用パターンにおいて利用される各車両について利用条件DB222に格納されている燃費情報、各車両が出発地から目的地に至るまでの距離、及び、車両利用パターン設定時の燃料単価に関する情報に基づいて算出することができる。なお、燃料単価に関する情報は、利用者によって操作部24を介して入力させてもよく、あるいは、情報配信センタ3から通信部25によって取得させてもよい。
【0090】
そして、配車パターン設定部261dは、算出された各車両利用パターン毎の燃料費の総和を当該各車両利用パターン間で比較し、燃料費が最小となる車両利用パターンに対する送迎パターンを特定する(SG4)。そして、特定された送迎パターンを配車パターンとして設定する(SG5)。
【0091】
(効果)
このように実施の形態2によれば、実施の形態1の全部又は一部と同様の効果に加えて、燃料費の総和が最小となる送迎パターンを配車パターンとして設定するので、燃料費の最も小さいパターンで配車を行うことができ、目的地までの移動に要する費用を低減することができる。
【0092】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0093】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0094】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各構成要素の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、ナビゲーション装置2の一部を情報配信センタ3に持たせたり、ナビゲーション装置2を複数の装置に分散することもできる。
【0095】
(各実施の形態の相互の関係について)
上記説明した各実施の形態は、任意の組合わせで相互に組合わせることができる。例えば、実施の形態1と実施の形態2を組合わせて、距離コストが最小となる配車パターン及び燃料費が最小となる配車パターンの双方を設定し、利用者にいずれかの配車パターンを選択させるようにしてもよい。
【0096】
(配車パターン設定処理について)
送迎パターン設定処理において、一つの送迎パターンのみが設定された場合には配車パターン設定処理を省略してもよく、あるいは、複数の送迎パターンが設定された場合であっても、当該複数の送迎パターンの内容(利用される車両や、各車両に搭乗する参加メンバー等)を表示部22に表示して利用者に選択してもらうことで、配車パターン設定処理を省略してもよい。あるいは、配車パターン設定処理を行う場合であっても、その設定基準は上述以外の基準を用いることもでき、例えば、車両台数が最小になるような配車パターンを設定することで、搭乗者全員が最も少ない台数の車両に分乗するようにしてもよい。また、配車パターン設定処理によって配車パターンが一つに限定するのではなく、この配車パターン設定処理によって算定された距離コストや燃料費等の大小に応じて複数の送迎パターンを整列して表示部22に表示させ、搭乗者にいずれか一つの送迎パターンを配車パターンとして選択させるように構成してもよい。
【0097】
(優先条件情報について)
優先条件情報を処理するタイミングは、車両利用パターン処理に限定されず、例えば、送迎パターン設定処理や配車パターン設定処理において、優先条件情報によって特定される優先条件に合致する車両が優先的に利用されるように、送迎パターンや配車パターンを設定してもよい。
【0098】
また、運転に対して各車両の所有者が有する自信の程度や好き嫌いを示す情報を利用条件情報として利用条件DB222に格納し、車両の所有者が運転に自信を持っていることや運転が好きであることを優先条件情報として、当該優先条件に合致するように車両利用パターンを設定させてもよい。
【0099】
あるいは、各車両の所有者の運転傾向(燃費についての運転傾向や、安全性についての運転傾向等)を特定する情報を利用条件情報として利用条件DB222に格納し、車両の所有者の運転傾向が所定の運転傾向であることを優先条件情報として、当該優先条件に合致するように車両利用パターンを設定させてもよい。
【0100】
あるいは、各車両や当該各車両の所有者に対する他の参加メンバーによる評価情報を利用条件情報として利用条件DB222に格納し、他の参加メンバーからの評価が高い車両であることや、評価が高い所有者の車両であることを優先条件情報として、当該優先条件に合致するように車両利用パターンを設定させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施の形態1に係る配車支援システムを例示するブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るナビゲーション装置の電気的構成を例示するブロック図である。
【図3】利用条件DBに格納されている情報を例示した図である。
【図4】配車支援システムによって実行される配車支援処理全体を示したフローチャートである。
【図5】配車条件情報取得部によって実行される配車条件情報取得処理を示したフローチャートである。
【図6】車両利用パターン設定部によって実行される車両利用パターン設定処理を示したフローチャートである。
【図7】送迎パターン設定部によって実行される送迎パターン設定処理を示したフローチャートである。
【図8】送迎パターン設定部よって設定された送迎担当エリアを例示した図である。
【図9】送迎パターン設定部によって変更された送迎担当エリアを例示した図である。
【図10】配車パターン設定部によって実行される配車パターン設定処理を示したフローチャートである。
【図11】出発時刻算定部によって実行される出発時刻算定処理を示したフローチャートである。
【図12】実施の形態2に係る配車パターン設定部によって実行される配車パターン設定処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
1 配車支援システム
2 ナビゲーション装置
3 情報配信センタ
4 ネットワーク
20 現在地検出処理部
21 データ記録部
22 表示部
23 スピーカ
24 操作部
25 通信部
26 制御部
27 車速センサ
30 センタ側地図情報DB
31 センタ側交通情報DB
32 センタ側通信部
33 情報配信制御部
220 ナビ側地図情報DB
30a、220a 地図情報
221 ナビ側交通情報DB
31a、221a 現況交通情報
31b、221b 予測交通情報
222 利用条件DB
260 経路探索部
261 配車支援部
261a 配車条件情報取得部
261b 車両利用パターン設定部
261c 送迎パターン設定部
261d 配車パターン設定部
261e 優先条件情報取得部
261f 出発時刻算定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の搭乗者が複数の出発地から共通の目的地に向かう場合における前記各出発地及び前記目的地の位置情報と、前記複数の搭乗者が前記各出発地から搭乗可能な車両の利用条件情報とを取得する配車条件情報取得手段と、
前記配車条件情報取得手段にて取得された情報に基づいて、前記複数の搭乗者の全員が前記複数の車両のいずれかに搭乗可能となるように、前記複数の車両の中から実際に利用する車両の候補を車両利用パターンとして設定する車両利用パターン設定手段と、
前記車両利用パターン設定手段にて設定された前記車両利用パターンにおける前記車両に搭乗する前記複数の搭乗者の候補を送迎パターンとして設定する送迎パターン設定手段と、
を備えることを特徴とする配車支援システム。
【請求項2】
前記送迎パターン設定手段にて設定された前記送迎パターンが複数ある場合に、当該複数の送迎パターンの中から、所定の基準に基づいて、採用する送迎パターンを配車パターンとして設定する配車パターン設定手段、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の配車支援システム。
【請求項3】
前記配車パターン設定手段は、前記送迎パターン設定手段にて設定された前記送迎パターン毎に各送迎パターンで利用される車両の距離コストの総和を算定し、当該距離コストの総和が最小となる送迎パターンを前記配車パターンとして設定すること、
を特徴とする請求項2に記載の配車支援システム。
【請求項4】
前記配車パターン設定手段は、前記送迎パターン設定手段にて設定された前記送迎パターン毎に各送迎パターンで利用される前記車両の燃料費の総和を算定し、当該燃料費の総和が最小となる送迎パターンを前記配車パターンとして設定すること、
を特徴とする請求項2に記載の配車支援システム。
【請求項5】
優先的な設定条件を特定する優先条件情報を取得する優先条件情報取得手段を備え、
前記車両利用パターン設定手段は、前記優先条件情報取得手段にて取得された優先条件情報に基づいて、前記車両利用パターンの設定を行うこと、
を特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の配車支援システム。
【請求項6】
前記優先条件情報は、各車両の搭乗人数の範囲を特定する情報を含み、
前記車両利用パターン設定手段は、各車両の搭乗人数が前記搭乗人数の範囲に合致することを優先的な設定条件として、前記車両利用パターンの設定を行うこと、
を特徴とする請求項5に記載の配車支援システム。
【請求項7】
前記利用条件情報は、各車両において利用可能な装備を特定する情報を含み、
前記優先条件情報は、各車両が備えるべき装備を特定する情報を含み、
前記車両利用パターン設定手段は、前記各車両において利用可能な装備が前記各車両が備えるべき装備に合致することを優先的な設定条件として、前記車両利用パターンの設定を行うこと、
を特徴とする請求項5又は6に記載の配車支援システム。
【請求項8】
前記利用条件情報は、各車両が過去の配車に利用された利用回数を特定する情報を含み、
前記優先条件情報は、各車両において許容される利用回数又は複数の車両相互間の利用比率を特定する情報を含み、
前記車両利用パターン設定手段は、前記各車両が過去の配車に利用された利用回数に今回の利用回数を加算し、当該加算後の利用回数又は当該加算後の利用回数に基づく複数の車両相互間の利用比率が、前記各車両において許容される利用回数又は複数の車両相互間の利用比率に合致することを優先的な設定条件として、前記車両利用パターンの設定を行うこと、
を特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の配車支援システム。
【請求項9】
前記優先条件情報は、各車両の中で優先的に利用すべき車両を特定する情報を含み、
前記車両利用パターン設定手段は、前記各車両の中で優先的に利用すべき車両が配車車両に含まれることを優先的な設定条件として、前記車両利用パターンの設定を行うこと、
を特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の配車支援システム。
【請求項10】
前記送迎パターン設定手段にて設定された送迎パターンに基づいて、当該送迎パターンによる各車両が前記目的地に同時に到着するための当該各車両の出発時刻を算定する出発時刻算定手段、
を備えたことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の配車支援システム。
【請求項11】
複数の搭乗者が複数の出発地から共通の目的地に向かう場合における前記各出発地及び前記目的地の位置情報と、前記複数の搭乗者が前記各出発地から搭乗可能な車両の利用条件情報とを取得する配車条件情報取得ステップと、
前記配車条件情報取得ステップにて取得された情報に基づいて、前記複数の搭乗者の全員が前記複数の車両のいずれかに搭乗可能となるように、前記複数の車両の中から実際に利用する車両の候補を車両利用パターンとして設定する車両利用パターン設定ステップと、
前記車両利用パターン設定ステップにて設定された前記車両利用パターンにおける前記車両に搭乗する前記複数の搭乗者の候補を送迎パターンとして設定する送迎パターン設定ステップと、
を備えることを特徴とする配車支援方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法をコンピュータに実行させることを特徴とする配車支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−264921(P2009−264921A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114751(P2008−114751)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】