説明

配車計画立案装置及び配車計画立案用プログラム

【課題】空席率が低く(積載率が高く)効率の良い配車計画を立案する。
【解決手段】訪問地点を特定する予約情報をユーザ側から取得する予約情報取得手段10と、車両拠点の位置、訪問地点の位置、車両の積載能力を含む情報を取得する情報取得手段20と、予約情報取得手段10により取得された予約情報と、情報取得手段20により取得された情報とに基づいて、配車計画を立案する配車計画立案手段30と、出力手段40とを備える。配車計画立案手段30は、車両拠点を基準とした訪問地点のセービングコストを算出し、このセービングコストに基づいて訪問地点を訪問グループに振り分ける振り分け部31と、この訪問グループのうちセービングコストが最も大きい訪問グループに車両の積載能力が最も小さい車両を割り当てる車両割り当て部32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車計画立案装置及び配車計画立案用プログラムに関し、特に、セービングコスト値に応じて車両を割り当てることにより効率の高い配車計画を立案する装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
送迎等の乗合型の車両運行サービスに用いられる配車計画立案装置に関し、運行スケジュールをオンデマンドで作成する運行スケジューリングシステムが知られている(特許文献1参照)。この種の配車計画立案手法における車両の割り当ての手法は、任意の車両が訪問する訪問地点のグループを形成し、送迎可能な車両を順次割り当てていくという手法が一般的である。
【0003】
しかしながら、形成されたグループの訪問地点の数にばらつきがあり、単純に送迎可能な車両を割り当てたのでは、送迎するユーザの人数が少ないグループに乗車定員の多いマイクロバスを割り当ててしまい、空席率の高い効率の悪い配車計画が立案されてしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2002−140788号公報
【発明の開示】
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、車両の積載能力を最大限活用し、積載率又は座席の乗車率の高い配車計画を立案することを目的とする。
【0005】
本発明によれば、訪問地点を特定する予約情報をユーザ側から取得し、車両拠点の位置、訪問地点の位置、車両の積載能力を含む情報を取得し、これらの情報と予約情報とに基づいて、車両拠点を基準とした訪問地点のセービングコストを算出し、訪問地点のセービングコストに基づいて訪問地点を所定の車両で訪問する訪問グループに振り分け、当該振り分けた訪問グループのうちセービングコストが最も大きい訪問グループに、積載能力が最も小さい車両を割り当てた配車計画を立案する配車計画立案装置及び配車計画立案用プログラムが提供される。
【0006】
本発明の配車計画立案装置及び配車計画立案用プログラムによれば、訪問地点の数が多い訪問グループには大型の車両を割り当てるとともに、訪問地点の数が少ない訪問グループには小型の車両を割り当てることができ、効率の良い配車計画を立案することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面に基づいて、本発明に係る実施形態の配車計画立案装置100を含む送迎支援システム1000を例にして説明する。ここでは、介護保険制度に基づく介護サービスの一環として行われる送迎サービスを行う送迎支援システム1000を例にして説明するが、本発明はこの例に限定されるものではなく、物の集荷・配送を管理する物流システムにも適用することができる。
【0008】
図1に送迎支援システム1000の構成の概要を示した。送迎支援システム1000は、
情報処理サーバ2、送迎サービスを行う介護事業者の端末4(以下、事業者端末4という)や、送迎サービスを受けるユーザ(被介護者またはその保護者)が利用する端末5(以下、被介護者端末5という)、送迎に用いられる送迎車両に搭載された車載機端末6を備える。
【0009】
この送迎支援システムは、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)型のシステムとして構築されるものであり、情報処理サーバ2、事業者端末4や、被介護者端末5、車載機端末6は、通信ネットワークであるインターネット1にそれぞれ接続する通信機能を備え、相互に情報の送受信を行うことができる。
【0010】
情報処理サーバ2は、各種情報データベース3a、予約情報データベース3bにアクセス可能であり、配車計画立案装置100として機能する。各種情報データベース3aは、車両の出発地点の位置及び帰着地点となる車両拠点、訪問地点の位置、車両の積載能力を少なくとも含む。情報には、被介護者の個人情報、介護施設側の施設情報、配車される(送迎に用いられる)車両情報を含ませてもよい。
【0011】
図2に配車計画立案装置100のブロック構成を示した。図2に示すように、配車計画立案装置100は、予約情報取得手段10と、情報取得手段20と、配車計画立案手段30と、出力手段40と、通信機能50とを有している。具体的には、少なくとも、配車計画を立案するプログラムを格納したROM(Read Only Memory)等と、このROM等に格納されたプログラムを実行することで、配車計画立案手段30として機能するCPU(Central Processing Unit)等と、アクセス可能な記憶手段として機能するRAM(Random Access Memory)等とを備えている。
【0012】
以下、配車計画立案装置100の各構成について説明する。
「予約情報取得手段10」は、通信機能50を介して被介護者、被介護者の保護者を含むユーザ側の端末5に入力された送迎サービスの利用に関する予約情報を取得する。予約情報は訪問地点を特定した送迎サービスの利用に関して予約をする情報である。本実施形態の予約情報には予約をしたユーザ(被介護者等)のIDが含まれ、このIDに予め対応付けられた訪問地点の位置情報(緯度経度その他の地図座標値)を各種情報データベース3aから取得することができる。本例ではユーザIDを介して訪問地点を特定する。なお、本実施形態の予約情報は、被介護者の送迎サービスについてのものであるが、これに限定されず、物の集荷又は配送に関するものであってもよい。
【0013】
本実施形態では、ユーザ側から入力された予約情報を予約情報データベース3bに蓄積する。予約情報データベース3bは、各介護サービス事業者による送迎サービスの予約状況を示す情報(送迎サービス予約情報)を更新可能に保持する。また、予約情報取得手段10は予約処理部11を有する。予約処理部11は、ユーザ側端末5又は事業者側端末4を介してユーザ側から送迎サービスの予約情報が入力された場合、入力された予約情報に基づいて、被介護者及び介護事業者を特定し、予約情報を予約情報データベース3bに格納又は更新する。予約情報取得手段10は、予約情報データベース3bに格納された送迎サービスの予約情報を参照することにより、各介護事業者の送迎サービスに対してどの被介護者が予約しているかを把握することができる。
【0014】
「情報取得手段20」は、車両拠点の位置(例えば施設の住所)、訪問地点の位置(例えば被介護者の住所)、車両の積載能力(積載可能量、乗員定数など)を各種情報データベース3aから取得する。
【0015】
情報取得手段20は、被介護者側の個人情報を各種情報データベース3aから取得する。各種情報データベース3aは、本システムの利用者として登録された各被介護者に関する個人情報を更新可能に保持する。被介護者の個人情報は、被介護者のユーザID、被介護者の住所(ユーザが要求する送迎位置)、被介護者が要求する補助の内容を示す補助要求情報、被介護者の要介護度の等級、被介護者の身体機能の状態を示す身体情報を含む。身体情報は、例えば、車いすを使用しているといった送迎において優先的な対応が図られるべき旨の優先要因を含む。被介護者の住所及び身体情報は、ユーザIDに対応づけられて各種情報データベース3aに格納されている。この被介護者情報(個人情報)は、各被介護者またはその保護者が所有する被介護者端末5又は事業者端末4からの入力に従い更新される。
【0016】
情報取得手段20は、施設情報を含む介護者側の事業者情報を各種情報データベース3aから取得する。各種情報データベース3aは、配車計画を立案する、送迎サービスを含む介護サービスを行う介護事業者に関する情報を更新可能に保持する。事業者情報は、介護事業者を特定する事業者ID、事業者の施設の所在地(本例では車両拠点の位置に対応)、運転者を含む送迎スタッフの人数や勤怠状況といった被介護者の車両による送迎に関する送迎能力情報を含む。これらの事業者情報は事業者IDに対応付けられて各種情報データベース3aに格納されている。この各種情報データベース3aに格納された事業者情報は、各サービス事業者の事業者端末4からの入力に従い適宜更新される。
【0017】
情報取得手段20は、配車される車両の車両情報を各種情報データベース3aから取得する。各種情報データベース3aは、送迎に用いられる車両に関する情報を更新可能に保持する。車両情報は、車両を特定する車両ID、車両の積載能力(積載可能量、乗員定数)、車両の所属施設、車両の種類、車両の台数、座席の設備情報を含む。また、車両情報は、車両の座席を特定する座席IDと座席の補助機能とを対応づけた情報を含む。座席の補助機能は、リフタ、スロープなどの車椅子の乗車補助機能などである。これらの車両情報は車両IDに対応付けられて各種情報データベース3aに格納されている。この車両情報は、各サービス事業者の事業者端末4からの入力に従い適宜更新される。
【0018】
なお、ここでは説明の便宜のため、各データベース3a及び3bを物理的に分けた態様を説明したが、これらはハード的に一体に構成されてもよく、逆に分割して構成されてもよく、配車計画立案装置100(情報処理サーバ2)の内部に組み込まれてもよいし、アクセス可能な外部装置に設けてもよい。
【0019】
「配車計画立案手段30」は、所定の車両拠点から出発し、車両を用いて1又は2以上の訪問地点を訪問し、所定の車両拠点に帰着するための配車計画を、セービング法を用いて立案する。セービング法とは、距離データを基に、任意の2つの訪問地点に対して車両拠点からそれらの個々の訪問地点を往復したときの走行距離と、二つの訪問地点を連続して回って車両拠点に戻るときの走行距離を比較し、その差をセービング値として計算し、セービング値の大きい順に訪問グループを振り分けて、送迎ルート(配送ルート)を組み上げ、最終的に最短送迎ルートを決定する手法である。
【0020】
本実施形態の配車計画はセービング法を用いて立案されるが、これに限定されず、車両拠点から訪問地点までの距離(例えば車両拠点からグループ内の訪問地点までの平均距離)に基づいてグループ化される手法を用いてもよい。
【0021】
本実施形態の配車計画立案手段30は、振り分け部31と、車両割り当て部32と、制約条件確認部33と、送迎ルート算出部34と、座席割り当て部35とを有し、予約情報と情報とに基づく配車計画を立案する。
【0022】
配車計画立案手段30は、各介護事業者が実施する送迎サービスの所定の予約締め切り時が経過した後、予約情報データベース3bに格納された基準予約情報を参照してその送迎サービスに対してどの被介護者が予約しているかをユーザIDにより特定し、送迎サービスを受ける被介護者の人数を算出し、各種情報データベース3aに格納された個人情報を参照して送迎サービスを受ける各被介護者の住所(訪問地点の位置)を取得し、同じく各種情報データベース3aに格納された事業者情報を参照して介護事業者の所在地(車両拠点の位置)を取得し、同じく各種情報データベース3aに格納された車両情報を参照して、車両の積載量、車両の種類、車両の補助機能を確認し、基準予約情報に基づく配車計画を立案する。本例の配車計画立案手段30が立案する「配車計画」は、所定の車両により、所定の車両拠点から所定の訪問地点を訪問し、所定の車両拠点に戻るための計画である。配車計画は、さらに訪問地点の訪問順序、訪問経路、座席指定を含んでもよい。
【0023】
以下、配車計画立案手段30の各構成について具体的に説明する。
【0024】
「振り分け部31」は、取得した予約情報に含まれる訪問地点のセービングコストを算出し、算出したセービングコストに基づいて訪問地点を所定の車両で訪問する訪問グループに振り分ける。本実施形態におけるセービングコストとは、距離データに基づいて、車両拠点から任意の2つの訪問地点を個々に往復したときの走行距離と、2つの訪問地点を順次訪問して車両拠点へ戻るときの走行所離とを比較したときの差を示す値である。振り分け部31は、算出されたセービングコストの値が大きい順に訪問ルートを組み上げ、最短の訪問ルートが形成されるように訪問グループを形成する(訪問地点を訪問グループに振り分ける)。
【0025】
「車両割り当て部32」は、振り分け部31により振り分けられた訪問グループに送迎に用いる車両を割り当てる。車両の割り当ては、訪問グループのセービングコストと情報取得手段20により取得された車両の積載能力とに基づいて行われる。本実施形態の車両割り当て部32は、振り分けられた訪問グループのうちセービングコストが最も大きい訪問グループに、車両の積載能力が最も小さい小型の車両を割り当てる。つまり、車両割り当て部32は、セービングコストが大きく車両拠点から遠い訪問地点への訪問には、乗員定数が少ない車両、積載可能量が小さい車両などの小型の車両を割り当てる。セービングコストが大きい訪問グループの訪問地点は、車両拠点から遠い傾向にある。本実施形態では、セービングコストが大きい訪問グループの訪問地点は車両拠点から遠く、訪問グループに含まれる訪問地点の数が少なくなり、車両に乗り込む被介護者の人数や車両に積載される貨物の体積が少なくなる傾向がある。特に、送迎計画において要求される時間的制限(例えば何時何分までに帰着するという制限)を満たそうとした場合はこの傾向が顕著となる。この場合、訪問グループに含まれる訪問地点の数が少なくなり、車両に乗り込む被介護者の人数や車両に積載される貨物の体積が少なくなる傾向がある。本実施形態ではこの点に着目し、セービングコストが大きい訪問グループには積載能力が低い車両を割り当てる。これにより、配車可能な車両を順次割り当てる手法に比べて、乗員が少ないのに大型の車両を割り当てることを防止することにより、車両の積載能力を最大限活用した積載率又は座席の乗車率の高い配車計画を立案することができる。
【0026】
特に限定されないが、車両割り当て部32は、要求される制約条件を満たさない場合、例えば、割り当てた車両が適切でない場合には、先に割り当てた車両以外の車両であって、配車可能な車両のうちできるだけ積載能力が小さい車両(小型の車両)を割り当てることが好ましい。制約条件は特に限定されないが、車両の乗員定数、車両の積載可能量、補助機能を備えた座席の数などを任意に設定することができる。これにより、セービングコストの大きい順に、積載能力の小さい車両を割り当てることができる。
【0027】
他方、車両割り当て部32は、振り分けられた訪問グループのうちセービングコストが比較的小さい訪問グループに、車両の積載能力が比較的大きい大型の車両を割り当てる。つまり、車両割り当て部32は、セービングコストが小さく車両拠点に近い訪問地点への訪問には、乗員定数が多い車両、積載可能量が多い車両などの大型の車両を割り当てる。セービングコストが小さい訪問グループの訪問地点は、車両拠点に近い傾向にある。本実施形態では、セービングコストが比較的小さい訪問グループの訪問地点は車両拠点に近く、訪問グループに含まれる訪問地点の数が多くなり、車両に乗り込む被介護者の人数や車両に積載される貨物の体積が多くなる傾向がある。特に、送迎計画において要求される時間的制限(例えば何時何分までに帰着するという制限)を満たそうとした場合この傾向は顕著となる。本実施形態ではこの点に着目し、セービングコストが小さい訪問グループには積載能力が大きい車両を割り当てることとした。これにより、配車可能な車両を順次割り当てる手法に比べて、車両の積載能力を最大限活用して積載率又は座席の乗車率の高い配車計画を立案することができる。
【0028】
「制約条件確認部33」は、車両割り当て部32により割り当てられた車両(及び座席)を用いて、被介護者を送迎する場合に、予め定義された制約条件を満たすか否かを判断する。本実施形態の「制約条件」は、振り分けられた被介護者を適切に送迎するための条件であり、振り分けられた被介護者に対して座席数(乗車定員数)が不足していないか、被介護者の身体情報に応じた補助機能を有する座席を割り当てることができるか(車椅子を利用する被介護者に対して車椅子乗車を補助する補助機能がある座席を割り当てることができるか)、積載可能量を超えていないかなどの条件である。また、制約条件確認部33は、所定時間内に施設まで戻れるか、所定時間以上被介護者を拘束しないかなどの時間に関する制約条件についても確認することができる。
【0029】
本実施形態の制約条件確認部33は、車両割り当て部32により割り当てられた車両(及び座席)を用いた配車計画が、所定の制約条件を満たすか否かを判断し、制約条件を満たす場合は立案した配車計画を出力手段40に向けて送出する。他方、制約条件を満たさない場合は、その結果を車両割り当て部32へ送出する。車両割り当て部32は、セービングコストが最も大きい訪問地点が含まれる訪問グループに、割り当てられた車両(制約条件を満たさなかった車両)以外の車両であって、積載能力が最も小さい車両を割り当てる。つまり、制約条件を満たさない場合には、積載能力が小さい順に車両を割り当てて、制約条件を満たすか否かを検証する。これにより、セービングコストが大きい訪問グループにはできるだけ小型の車両を割り当てることができる。
【0030】
「送迎ルート算出部34」は、振り分け部31により振り分けられた訪問グループについて、例えば既知のダイクストラ法等の経路探索技術を用いて各車両が訪問地点(被介護者の自宅)付近を効率的に辿るルートを算出する。
【0031】
「座席割り当て部35」は、情報取得手段20を介して取得した、訪問地点において送迎される被介護者の補助要求情報と、被介護者を補助する車両の補助機能情報とに基づいて、被介護者の補助要求情報を満たす車両の座席を当該被介護者に優先的に割り当てる。
【0032】
また、特に限定されないが、座席割り当て部35は、訪問地点において送迎される被介護者の補助要求情報に予め設定した優先要因となる身体情報が含まれている場合、そのユーザには、優先要因となる身体情報に予め対応づけた補助機能を備えた座席を優先的に割り当てることが好ましい。具体的に座席割り当て部35は、訪問地点において送迎される被介護者の補助要求情報に車椅子を利用する旨の身体情報が含まれている場合、そのユーザには車椅子の乗車補助機能を備えた座席を優先的に割り当てる。
【0033】
本実施形態の座席割り当て部35は、訪問地点の訪問順序の応じた被介護者の乗降順序に基づいて被介護者に座席を割り当てる。具体的には、先に訪問する訪問地点において乗車する被介護者には、入口に対して奥の席を割り当て、後に訪問する訪問地点において乗車する被介護者には、入口に近い席を割り当てる。同様に、先に訪問する訪問地点において降車する被介護者には、入口に近い席を割り当て、後に訪問する訪問地点において乗車する被介護者には、入口に対して奥の席を割り当てる。
【0034】
次に、本実施形態の配車計画立案装置100の制御手法を図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0035】
まず、予約情報取得手段10は、予約情報データベース3bにアクセスして、予約情報を取得する(S1)。これらの予約情報にはユーザIDや貨物IDのように送迎又は配送の対象を特定するIDが含まれている。情報取得手段20は、各種情報データベース3aにアクセスして、配車計画の立案に必要な、車両拠点の位置(施設情報)と、予約情報の被介護者IDに対応づけられた訪問地点の位置(介護者情報)と、車両の積載能力(車両情報)を含む情報を取得する(S2)。
【0036】
送迎計画立案手段30の振り分け部31は、予約情報に対応する訪問地点のセービングコストを算出する(S3)。振り分け部31は最大のセービング値Smaxを示す訪問グループGr.Xを抽出する(S4)。振り分け部31はセービングコストが最大の訪問地点群である組み合わせをグループ化する(S7)。S7でグループ化された訪問グループGr.Xのセービング値S(Gr.X)をゼロとする(S8)。再度、処理の対象とならないようにするためである。
【0037】
車両割り当て部32は、割り当てが可能な車両であって、乗員定数(積載能力)が最も小さい車両を選択する(S9)。そのような車両があれば(S10)S11へ進み、なければグループ化を解除して(S18)、S4以降の処理を繰り返す。
【0038】
次に制約条件確認部33は、予めデータベースに記憶された所定の制約条件を読み込む(S12)。本例の制約条件は、車両の乗車定員数などの制約条件である。制約条件確認部33は、S10で特定された車両によりS7でグループ化された訪問地点を訪問する配車計画が制約条件を満足するか否かを判断する(S12)。制約条件を満たさない場合、S9へ戻り制約条件を満たさない車両(S10で特定された車両)を除いた割り当て可能な車両の中から乗員定数(積載能力)が最小の車両を選択し(S9)、S9以降の処理を繰り返す。他方、制約条件を満足する場合、車両割り当て部32はS10で特定された車両をS7でグループ化された訪問地点を訪問する車両として決定する(S13)。車両の決定とともに、S7でグループ化された訪問グループを採用する旨を決定する(S14)。
【0039】
送迎ルート算出部34は決定された訪問グループについて既知のダイクストラ法等により送迎ルートを算出する(S15)。
【0040】
座席割り当て部35は、訪問地点において送迎される被介護者の補助要求情報と車両の補助機能情報とに基づいて、被介護者の補助要求情報を満たす車両の座席をその被介護者に優先的に割り当てられるように座席の割り当てを行う(S16)。また、被介護者の補助要求情報に予め設定した優先要因となる身体情報が含まれている場合、そのユーザには、この優先要因となる身体情報に予め対応づけた補助機能を備えた座席を優先的に割り当てる。具体的に、被介護者の補助要求情報に車椅子を利用する旨の身体情報が含まれている場合、そのユーザには車椅子の乗車補助機能を備えた座席を優先的に割り当てる。さらに座席特定機能は、訪問地点の訪問順序に応じた被介護者の乗降順序に基づいて、座席を被介護者に割り当てる。これにより、車椅子等を利用する被介護者には、車椅子での乗降を補助する補助機能を有する座席を割り当てることができ、被介護者の負担を軽減することができる。すべての訪問グループについてS4以降の処理を行い、割り当ての完了を確認して終了する(S17)。本例ではすべての組み合わせのセービング値がゼロとなり、Smax=0となったときに、割り当てが完了したと判断する。
【0041】
上述したS4〜8,S17のセービングコストに基づく処理について、A,B,Cの3点を訪問する場合を例にして説明する。訪問地点が3地点ある場合には、組合せとして3通りの組合せがあり、A地点とB地点のセービング値SA-B(S(Gr.X)に対応、以下同様)と、A地点とC地点のセービング値SA-Cと、B地点とC地点のセービング値SB-Cの3つのセービング値を算出する(訪問地点が増えれば2地点間の組合せも増え、その組合せ毎にセービング値を算出する)。次に、算出した3つのセービング値の中から最大のセービング値を算出する。SA-B<SA-C<SB-Cのであれば、セービング値SB-Cが最大値となり(最大のセービング値Smax=SB-C)であり、最大のセービング値Smaxを示す訪問グループGr.Xは、訪問地点B及び訪問地点Cのグループとなる。このB地点とC地点の組み合わせに係る訪問グループGr.B,Cをグループ化する。その後、B地点とC地点のセービング値S(Gr.B-C)を0とする。座席の割り当て処理(S16)の後、再度ステップ4に戻って最大のセービング値を算出するとき、先の処理でSB-C=0とされているから、最大のセービング値Smax=SA-Cとなる。つまり、2度目のS4において最大のセービング値Smaxを示す訪問グループとして抽出されるのは、2度目のセービングが大きい地点Aと地点Cとの組み合わせである。この処理を繰り返していくと、最終的にはSB-C=SA-B=SA-C=0となり、結果として最大のセービング値はSmax=0となる。最大のセービング値Smaxが0となったとき、割り当ての処理が完了したと判断できる。
【0042】
上述したように、セービングコストが大きい訪問地点は車両拠点から一般的に遠いため、訪問地点の数が少なくなる傾向がある。特に、時間制限などの制約が課された場合はこの傾向が顕著である。本実施形態は、セービングコスト法を用いた配車計画において、セービングコストが大きい訪問グループの訪問には、積載量が小さい又は乗員定数が小さく積載能力の低い車両を割り当てる。具体的に、1つの訪問グループあたりの訪問地点の数にばらつきが生じた場合、含まれる訪問地点数が少ない訪問グループ、すなわち送迎するユーザの人数が少ない訪問グループには小型の車両が割り当て、送迎するユーザの人数が多いグループには大型の車両を割り当てることができる。これにより、積載率又は座席の乗車率が高く、車両の積載能力を最大限に活用した配車計画を立案することができる。
【0043】
本実施形態では配車計画立案装置100について説明したが、本発明の配車計画用立案用プログラムを、配車計画立案装置100に搭載されたコンピュータで実行させても、同様の動作及び効果を奏する。また、本実施形態では、介護施設を利用する被介護者の送迎を例にして配車計画の立案処理を説明したが、本実施形態の配車計画立案装置及び配車計画立案用プログラムは、貨物の集荷、配達などの配車計画の立案処理にも利用することができる。
【0044】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態の配車計画立案装置の概要を示す図である。
【図2】本実施形態の配車計画立案装置のブロック構成図である。
【図3】本実施形態に係る配車計画立案装置の制御手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0046】
1000・・・配車支援システム
1・・・インターネット
2,100…配車計画立案装置(情報処理サーバ)
10・・・予約情報取得手段
11・・・予約処理部
20・・・情報取得手段
30・・・配車計画立案手段
31・・・振り分け部
32・・・車両割り当て部
33・・・制約条件確認部
34・・・送迎ルート算出部
35・・・座席割り当て部
40・・・出力手段
50・・・通信機能
3・・・データベース
3a・・・各種情報データベース
3b・・・予約情報データベース
4・・・介護事業者側端末
5・・・被介護者側端末


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を用いて1又は2以上の訪問地点を訪問し、所定の車両拠点に帰着するための配車計画を立案する配車計画立案装置であって、
前記訪問地点を特定する予約情報をユーザ側から取得する予約情報取得手段と、
前記車両拠点の位置、前記訪問地点の位置、前記車両の積載能力を含む情報を取得する情報取得手段と、
前記予約情報取得手段により取得された予約情報と、前記情報取得手段により取得された情報とに基づいて、配車計画を立案する配車計画立案手段と、
前記配車計画立案手段により立案された配車計画を出力する出力手段と、を備え、
前記配車計画立案手段は、前記車両拠点を基準とした前記訪問地点のセービングコストを算出し、当該セービングコストに基づいて前記訪問地点を所定の車両で訪問する訪問グループに振り分ける振り分け部と、前記振り分け部により振り分けられた訪問グループのうちセービングコストが最も大きい訪問グループに、前記車両の積載能力が最も小さい車両を割り当てる車両割り当て部とを有する配車計画立案装置。
【請求項2】
前記配車計画立案手段は、立案した配車計画が求められる所定の制約条件を満たすか否かを判断する制約条件確認部を備え、
前記車両割り当て部は、前記制約条件確認部により前記配車計画が所定の制約条件を満たさないと判断された場合、前記セービングコストが最も大きい訪問グループに、前記割り当てられた車両以外の車両であって、前記積載能力が最も小さい車両を割り当てる請求項1に記載の配車計画立案装置。
【請求項3】
前記情報取得手段は、前記訪問地点において送迎される被介護者の補助要求情報と、当該被介護者を補助する前記車両の補助機能情報と、をさらに取得し、
前記配車計画立案手段は、前記被介護者の補助要求情報と前記車両の補助機能情報とに基づいて、前記被介護者の補助要求情報を満たす前記車両の座席を当該被介護者に優先的に割り当てる座席割り当て部を有する請求項1又は2に記載の配車計画立案装置。
【請求項4】
前記座席割り当て部は、前記訪問地点において送迎される被介護者の補助要求情報に予め設定した優先要因となる身体情報が含まれている場合、そのユーザには、前記優先要因となる身体情報に予め対応づけた補助機能を備えた座席を優先的に割り当てる請求項3に記載の配車計画立案装置。
【請求項5】
前記座席割り当て部は、前記訪問地点において送迎される被介護者の補助要求情報に車椅子を利用する旨の身体情報が含まれている場合、そのユーザには車椅子の乗車の補助機能を備えた座席を優先的に割り当てる請求項3に記載の配車計画立案装置。
【請求項6】
前記座席割り当て部は、前記訪問地点を訪問する順序に応じた前記被介護者の乗降順序に基づいて、前記座席を被介護者に割り当てる請求項3〜5のいずれかに記載の配車計画立案装置。
【請求項7】
車両を用いて1又は2以上の訪問地点を訪問し、所定の車両拠点に帰着するための配車計画を立案させる配車計画立案用プログラムであって、
コンピュータに、
前記訪問地点を特定する予約情報をユーザ側から取得するステップと、
前記車両拠点の位置、前記訪問地点の位置、前記車両の積載能力を含む情報を取得するステップと、
前記取得された予約情報と前記情報とに基づいて、前記車両拠点を基準とした訪問地点のセービングコストを算出するステップと、
前記訪問地点のセービングコストに基づいて、当該訪問地点を所定の車両で訪問する訪問グループに振り分けるステップと、
当該振り分けられた訪問グループのうちセービングコストが最も大きい訪問グループに、前記積載能力が最も小さい車両を割り当てた配車計画を立案するステップと、を実行させる配車計画立案用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−128242(P2007−128242A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319686(P2005−319686)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】