説明

配車計画評価学習システム

【課題】評価装置で用いる評価パラメータを自動で調整することができる学習システムを提供する。
【解決手段】荷物とそれを搬送する前記車両とを結びつけて荷物の搬送を指図する配車計画を作成する自動配車計画作成装置と、作成された配車計画を評価項目値と評価項目毎に設定した重み係数との関数で評価する評価値を算出する評価装置と、前記自動配車計画作成装置で作成した配車計画に対する修正入力および修正された配車計画の評価値として見積もられた値を評価目標値として受け付ける入力装置と、自動配車計画作成装置が作成した自動配車計画および前記手動配車計画並びに前記自動配車計画の評価値および前記評価目標値を入力するとともに、入力した前記手動配車計画および自動配車計画の評価項目値を教師データの入力データとし、前記評価値および評価目標値を教師データの出力値として学習する評価パラメータ学習装置を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車計画を評価するための評価パラメータを自動で学習して設定する配車計画評価学習システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータシステムを用いた自動化が各分野で進展し、荷物とそれを搬送する車両とを結びつけて荷物の搬送を計画する、いわゆる配車計画作成業務においても、コンピュータシステムを用いた自動化が行われている。この自動化により、経験を積んだ配車担当者の手作業によらずとも、経験の少ない配車担当者が配車業務を遂行することができる。
【0003】
ところで、前記作成した配車計画の良否の判定に際しては、評価を行うための項目を設定しておくことが必要であり、また設定した項目であっても、各社毎にそれぞれ重視する程度が異なることがある。
【0004】
すなわち、配車計画の結果を評価する評価手段は、各社毎に異なる重視項目に対応した評価パラメータを事前に設定しておくことが必要である。しかし、前記パラメータの設定に多くの時間を要していた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−326711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術によれば、自動配車計画装置で作成される計画結果に対して、評価手段を用いて評価値を算出し計画結果の優劣を判断している。ここで、評価装置は、評価パラメータに設定された値によって評価方法が変化し、計画結果に影響を与えることになる。このため、この評価パラメータの設定には、何回もシミュレーションを行い調整することが必要である。また、一度設定した評価パラメータは、状況が変化した場合に、再度設定を変更しなければならない。
【0007】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、評価装置で用いる評価パラメータを自動で設定でき、また、自動で調整することができる学習システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0009】
車両毎の運行予定を格納したマスタデータを備え、搬送を受注した複数の荷物の搬送元及び搬送先を含むデータを受注データとして入力し、前記荷物とそれを搬送する前記車両とを結びつけて荷物の搬送を指図する配車計画を作成する自動配車計画作成装置と、作成された配車計画を評価項目値と評価項目毎に設定した重み係数との関数で評価する評価値を算出する評価装置と、前記自動配車計画作成装置で作成した配車計画に対する修正入力および修正された配車計画の評価値として見積もられた値を評価目標値として受け付ける入力装置と、自動配車計画作成装置が作成した自動配車計画および前記手動配車計画並びに前記自動配車計画の評価値および前記評価目標値を入力するとともに、入力した前記手動配車計画および自動配車計画の評価項目値を教師データの入力データとし、前記評価値および評価目標値を教師データの出力値として学習する評価パラメータ学習装置を備え、前記評価パラメータ学習装置は前記関数からなる評価値が前記評価目標値となるように前記重み係数を再設定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上の構成を備えるため、評価装置で用いるパラメータを自動で設定でき、また、評価パラメータを自動で調整することができる
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る配車計画評価システムをを説明する図である。
【図2】評価パラメータ学習装置の処理を説明する図である。
【図3】手動配車計画装置を用いた配車計画の作成処理を説明する図である。
【図4】評価パラメータ学習装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のの実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る配車計画評価システムをを説明する図である。
【0013】
自動配車計画作成装置12は、受注データ7と、車両や、荷積み、荷降ろし場所やその距離等の運行経路を例えば巡回コースとして格納しマスタデータ8をもとに自動配車計画作成装置2を用いて配車計画を作成し、作成した配車計画を自動配車結果データ9に登録する。このとき、前記作成した配車計画を評価装置3を用いて評価する。評価装置3は、予め設定されている評価パラメータ11を利用して、評価値を算出する。
【0014】
手動配車計画作成装置13は、自動配車計画作成装置12が作成した自動配車計画結果データ9を、オペレータが運用に即した形に修正して、手動配車計画結果データ10に登録する。なお、ここで評価パラメータは配送コスト、総稼働時間等の評価項目および評価項目毎に設定した重み係数から構成されるものとする。
【0015】
評価パラメータ学習装置14は、自動配車計画作成装置が作成した自動配車計画および前記修正が加えられた手動配車計画に対する評価値をそれぞれ算出する(例えば、評価値=配送コスト*配送コストの重み係数+総稼働時間*総稼働時間の重み係数)とともに、受け付けた手動配車計画および前記評価目標値を教師データとして設定し、自動配車計画の評価値が前記評価目標値に一致するように評価パラメータにおける重み係数を調整する。
【0016】
図2は、図1に示す評価パラメータ学習装置の処理を説明する図である。
【0017】
評価パラメータ学習装置14は自動配車計画結果データ9およびそれを手動で修正した手動配車計画結果データ10に蓄積されている過去の情報を用いて、学習アルゴリズム6で使用する教師データを生成する。
【0018】
まず、ステップ22において、自動配車結果の評価項目値を教師データの入力値に設定する。ステップ23において、自動配車結果の評価値を教師データの出力値に設定する。
【0019】
ステップ24において、自動配車計画を手動で修正した手動配車計画結果データを入力する。
【0020】
ステップ25において、手動配車結果の評価項目値を教師データの入力値に設定する。ステップ26において、自動配車結果の評価値と手動配車結果の評価値との差を算出し、差が大きい場合、手動配車計画結果の評価値に対して、自動配車計画結果の評価値に比して大差を付けた高得点を付与し、前記差が小さい場合は、手動配車結果の評価値を自動配車結果の評価値と同等もしくは少し高い得点を付与する。
【0021】
ステップ27において、ステップ21ないし26で作成された教師データを使用して、学習アルゴリズム6を実行する。ステップ28において、学習アルゴリズムによって算出されたパラメータを評価パラメータ11に設定する。これにより、次回実行される自動配車計画装置12の評価装置3が、手動配車計画装置13での結果を考慮した評価を行うことが可能となる。
【0022】
以上説明したように、本実施形態によれば、自動配車計画装置12で算出された配車計画結果よりも、手動配車計画装置13で算出された配車計画結果の方が評価値が高くなるように評価パラメータが補正されるため、手動配車計画装置13で作成された結果を自動配車計画装置12で再現するようになることが期待される。また、新しい配車結果が蓄積されてることにより、常にその新しい手動配車計画装置13での配車計画結果が評価装置に反映される。このため、状況の変化にも対応することが期待される。
【0023】
なお、教師データの入力値としては配車結果の評価項目値、たとえば、使用車両台数や総稼働時間、総走行距離、コストなどであり、出力値は配車結果の評価値(点数)である。 学習アルゴリズムには、教師データあり学習アルゴリズムであるバックプロパゲーションを用いる。バックプロパゲーションは、ニューラルネットワークを教師データを用いて訓練するためのアルゴリズムであり、教師データの入力値から出力値を算出し、その値が教師データの出力値との誤差が最小となるようにパラメータを調整する。
【0024】
図3は、手動配車計画装置を用いた配車計画の作成処理を説明する図である。
【0025】
図3において、オペレータは、手動配車計画装置を操作して自動配車結果データ9を読み込み、表示装置に表示する。自動配車結果データには、各車両毎に荷積み、荷降ろしの場所および時刻が記載されている。オペレータはキーボード等を操作して荷物とそれを運ぶ車両との組み合わせ、あるいは荷積み、荷降ろし順の変更、車両の運行ルートの変更等を入力することができる。
【0026】
手動での配車計画の入力が終了すると、手動配車計画装置は、配車結果データ、すなわち、配車結果を表すデータと評価項目値(例えば総コスト)を算出し、手動配車結果データ10に格納する。このとき、手動配車結果と自動配車結果を対比して変更量(自動配車計画との運行ルートの違い等)を見積もり、配車結果変更量16に格納する。
【0027】
図4は、評価パラメータ学習装置を説明する図である。図4において、9は自動配車計画装置2により作成された自動配車結果データであり、評価項目として「車両台数」、総稼働時間」、「総走行距離」、「実車率」、「コスト」が、また評価項目値としてそれぞれ「5」、「34」、「450」、「75」、「20」が提示されている。自動配車計画装置12の評価装置3は、作成された自動配車結果を採点して評価値v1を付与する。評価値v1は、例えば各評価項目値(i1)にそれぞれ重み(w)を乗算してその総和を演算(v1=Σf(i,w)することにより求めることができる。このとき、演算結果v1は200点であったとする。
【0028】
次に、オペレータは自動配車結果データ9を参照しながら手動配車計画装置4を操作して手動配車結果データ10を作成する。このとき、手動配車計画装置4は、作成した配車計画の結果である評価項目値(i2)(例えば「6」,「31」,「455」,「82」,「18」)を手動配車結果データ10に格納する。このときオペレータは、手動配車計画作成に際して加えられた変更量の多少に応じて配車結果変更量(c)を例えばc=10点と見積もる。したがって、手動配車結果の評価値は210(=v1+10)点とする。
【0029】
評価パラメータ学習装置14の評価目標設定装置5は、教師データ(T)の入力値として、自動配車結果データ(評価項目値(「5」,「34」,「450」,「75」,「20」)および手動配車結果データ(評価項目値(「6」,「31」,「455」,「82」,「18」)を設定し、教師データの出力値として、評価値(v1=200)および評価値(v2=210)を設定し、学習アルゴリズム6を実行する。学習アルゴリズムによって算出されたパラメータ(重みw)は、評価パラメータ11に設定する。このようして得られたパラメータ11は、評価装置3において次回実行される自動配車計画の評価に際して用いられる。これにより、評価装置3は手動配車計画装置13での結果を考慮した評価を行うことが可能となる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、評価パラメータを適正な値に短時間で設定することができる。状況の変化に応じて評価パラメータが自動調整することができる。このため、配車計画の精度が向上し、運行時間や運行距離の短縮など配送効率の向上につながる。また、配車計画シミュレーション業務においても、実績再現を行うための評価パラメータ設定を自動化することが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
3 評価装置
6 学習アルゴリズム
9 自動配車結果データ
10 手動配車結果データ
11 評価パラメータ
12 自動配車計画装置
13 手動配車計画装置
14 評価パラメータ学習装置
15 補助記憶装置
16 配車計画変更量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両毎の運行予定を格納したマスタデータを備え、搬送を受注した複数の荷物の搬送元及び搬送先を含むデータを受注データとして入力し、前記荷物とそれを搬送する前記車両とを結びつけて荷物の搬送を指図する配車計画を作成する自動配車計画作成装置と、
作成された配車計画を評価項目値と評価項目毎に設定した重み係数との関数で評価する評価値を算出する評価装置と、
前記自動配車計画作成装置で作成した配車計画に対する修正入力および修正された配車計画の評価値として見積もられた値を評価目標値として受け付ける入力装置と、
自動配車計画作成装置が作成した自動配車計画および前記手動配車計画並びに前記自動配車計画の評価値および前記評価目標値を入力するとともに、入力した前記手動配車計画および自動配車計画の評価項目値を教師データの入力データとし、前記評価値および評価目標値を教師データの出力値として学習する評価パラメータ学習装置を備え、
前記評価パラメータ学習装置は前記関数からなる評価値が前記評価目標値となるように前記重み係数を再設定することを特徴とする配車計画評価システム。
【請求項2】
請求項1記載の配車計画評価システムにおいて、
前記自動配車計画および手動配車計画毎に、評価項目値、前記評価項目の重みを表示する表示器を備えたことを特徴とする配車計画評価システム。
【請求項3】
請求項1記載の配車計画評価システムにおいて、
前記評価パラメータ学習装置はニューラルネットワークで構成したことを特徴とする配車計画評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−14387(P2013−14387A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146395(P2011−146395)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)