説明

配送伝票一体型包装シート

【課題】商品を包装して配送する際に使用される配送伝票一体型包装シートに関し、配送後に分離される伝票が包装紙表面に位置されても、分離後に包装紙全体の包装装飾を損なわせない。
【解決手段】包装基部シート12の表面に、配送情報が記載されて少なくとも配送後に分離される第1伝票である配達票14が分離自在に一体的に形成されると共に、少なくとも配達票14を含めて装飾模様16が形成され、包装基部シート12の裏面における少なくとも配達票14に対応する領域に上記装飾模様16と同等の装飾模様16Aが形成された装飾シート21が貼着される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を包装して配送する際に使用される包装シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品販売に関して当該商品を包装することはもちろん、所定場所に配送することも一つのサービス形態となっており、また、配送に適した包装シートと配送伝票を一体としたものも出現している。このような包装シートは、配送伝票はそのうちの配達票(受領票)が分離されることから分離後の領域が包装シート全体の包装装飾を損なわないことが望まれる。
【0003】
従来、商品の包装、配送に関して百貨店における作業業務の一例を示すと、まず、商品購入者が自宅または進物用として配送を希望する場合、当該商品購入者が配送申込書に所定事項を記入したり、大量の配送先が希望される場合には、プリンタによって配送事項の印字を行う。配送は、当該百貨店が独自で配送業務を行う場合と外部の配送業者に委託する場合とがあり、何れにしても商品を配送したときには配達票や受領票を持ち帰る形態のものである。
【0004】
このような包装シートとして、以下の特許文献で提案さているものがある。特許文献1には、包装基部に、配送のための伝票部(配達票、貼付票)が当該包装基部の表示部材と分離線により一体的に形成され、当該表示部材上に配送元に関する固有情報(装飾表示)と共に伝票部上の配送のための固有情報が一括に形成され、当該伝票部の少なくとも一部である配達票が当該表示部材から分離自在に形成される包装体が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、特許文献1のように包装紙と配送伝票とが一体形成されたものではないが、配送情報記入欄が設けられた複数の伝票が綴じ合わされた配送伝票を包装紙上に付着させるもので、当該綴じ合わせの最上位の貼付用伝票の表面に、包装紙に付された装飾模様と同一または類似の装飾模様を設けて、貼付用伝票の下部に設けられた配送票が持ち帰られるものとして提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4674934号公報
【特許文献2】実用新案登録第2592192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1記載の包装体においては、配送後に配達票が分離された後にはその領域は表示部材上の配送元に関する固有情報(包装装飾)とは異なる表示(お知らせや熨斗表示)が表出され、包装体全体の包装装飾が損なうこととなる。また、特許文献2記載の配送伝票は、包装紙に配送伝票を貼り付けるもので一体のものでないと共に、固定的に配置した伝票(貼付用伝票)に包装紙の装飾模様と同等の装飾模様を設けるものの、包装紙表面に持ち帰るために分離される伝票(配達票、受領票)が位置されるときには包装紙全体の装飾模様を維持させることができず適用することができない。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、配送後に分離される伝票が包装紙表面に位置されても、分離後に包装紙全体の包装装飾を損なわない包装シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、商品を包装して配送させるための包装シートであって、表面に、配送情報が記載されて少なくとも配送後に分離される第1伝票が分離自在に一体的に形成されると共に、当該第1伝票を含めて装飾模様が形成される包装基部シートと、前記包装基部シートの裏面における少なくとも前記第1伝票に対応する領域に貼着され、前記装飾模様と同等の装飾模様が形成されて当該第1伝票の分離後に表出される装飾シートと、を有する構成とする。
【0010】
請求項2の発明では、前記装飾模様が形成された装飾シートが、前記第1伝票と同様の配送情報が記載されて配送後でも前記包装基部シートと共に残存する第2伝票とする構成である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、包装基部シートの表面に、配送情報が記載されて少なくとも配送後に分離される第1伝票が分離自在に一体的に形成されると共に、当該第1伝票を含めて装飾模様が形成され、包装基部シートの裏面における少なくとも第1伝票に対応する領域に上記装飾模様と同等の装飾模様が形成された装飾シートが貼着される構成とすることにより、第1伝票の分離後に当該装飾シート上の装飾模様が表出されることから、配送後に分離される伝票が包装紙表面に位置されても、分離後に包装紙全体の包装装飾を損なわないようにすることができるものである。
【0012】
請求項2の発明によれば、装飾模様が形成された装飾シートを、第1伝票と同様の配送情報が記載されて配送後でも包装基部シートと共に残存する第2伝票とすることにより、包装基部シート上には一体で第1伝票のみを設ければよく、当該第1伝票の分離前後において包装紙全体の包装装飾をより自然的に看取させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る包装シートの表面構成図である。
【図2】本発明に係る包装シートの断面説明図である。
【図3】図1の包装シートの使用形態の説明図である。
【図4】本発明に係る包装シートの他の構成説明図(1)である。
【図5】本発明に係る包装シートの他の構成説明図(2)である。
【図6】本発明に係る包装シートの他の構成説明図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。ここで示す実施形態は、例えば百貨店で購入された商品を包装し、これを所定場所に配送させるのに適用させた場合を示したものであるが、これに限らず産地直送の商品配送等、包装がなされて配送される総てに適用することができるものである。なお、本実施形態において示される断面図は、説明を容易とするために寸法を無視している。
【0015】
図1に本発明に係る包装シートの表面構成図を示すと共に、図2に本発明に係る包装シートの断面説明図を示す。まず、図1において、配送伝票一体型包装シート11は、商品を包装して配送させるためのものであって、包装基部シート12と、これと一体的に形成された伝票部13とにより構成される。包装基部シート12は、商品を包装するためのものであって、ここでは簡易包装用として示してある。
【0016】
上記伝票部13は、配送のために上記包装基部シート12と一体的に形成されるもので、少なくとも一部が当該包装基部シート12と分離自在に形成される。すなわち、伝票部13は、配送後に分離される例えば第1伝票である配達票(受領票)14と、配送後に残存される第2伝票である貼付票15とより構成される。この配達票14と貼付票15とには配送のための固有情報を表示させるための百貨店特有の、または各百貨店共通の定型形式の表示欄が形成される。
【0017】
例えば、配達票14及び貼付票15には、お届け予定日などの日付欄、配送地点(例えば配送拠点の地域)を示す着点コード欄、お届け先欄、ご依頼主欄、品名欄などの表示欄17,18として形成され、配達票14には特有のものとして受領印欄、分離させるための情報などが表示情報として形成される。また、配送情報となる識別情報としてのバーコードが形成される。
【0018】
そして、配達票14や貼付票15の伝票部13を含む包装基部シート12の表面には対応の百貨店に関する名称、商標、標章、ロゴマーク等の装飾模様16が形成される。この場合、装飾模様16は上記配送情報の判読に支障をきたさない位置や、色彩とすることが望ましい。
【0019】
上記包装基部シート12は、例えば上記装飾模様16及び各表示欄17,18に該当の百貨店を示すための固有情報や、配送のための配送情報を汎用のプリンタにより形成できるように、例えばA4、A3、B4などの一般的なサイズとさせることで、図1に示すように、装飾模様16並びに上記表示欄17,18及びこれらに表示される配送情報等(バーコードを含む)を一括で印刷、印字により形成させることができる。なお、装飾模様16と共に表示欄17,18と配送情報等とを別工程で印刷、印字して形成させてもよい。すなわち、包装基部シート12と伝票部13の作製は、作製時のフォーマットで装飾模様16と共に表示情報や配送情報等を印刷、印字で形成できるようにさせることで構成させるものである。
【0020】
なお、伝票部13は、上記配達票14及び貼付票15の他に、当該包装体11が商品に対して包装されたことを確認するための出荷票や、該当の商品をピッキングするための作業票等を包装基部シート12に対して分離自在に設けてもよい。
【0021】
上記包装シート11は、図2(A)に示すように、包装基部シート12と一体的に形成される伝票部13のうち、少なくとも配送後に分離される配達票14が、当該包装基部シート12に対して分離線19により分離自在とされる。分離線19は、不連続切断線、ミシン目線、厚さ方向に対するハーフカット線(剥がし初め部分では貫通カット)などであり、ここでは不連続切断線としている。
【0022】
また、図2(A)、(B)に示すように、上記包装基部シート12の裏面における少なくとも配達票14に対応する領域に装飾シート21がその周囲(配達票12の周囲)で粘着剤22によって貼着される。当該装飾シート21は、包装基部シート12の表面に形成された装飾模様16と同等の装飾模様16Aが形成されるもので、配達票14が配送後に分離された後に当該装飾模様16Aを表出させるものである。図では、包装基部シート12の表面に形成された装飾模様16が配達票14にかかっている場合に、装飾シート21上であたかも連続しているような模様としている。
【0023】
ところで、包装基部シート12の両端部12A、12Bは、裏面側に2つ折り状態で形成される。この場合、図2(C)に示すように、両端部12A,12Bの裏面に端から粘着剤31と剥離剤32とが形成され、これらを当接接着させて重ね合わせて2つ折りとしたものである。別の手法として、図2(D)に示すように、粘着剤31を剥離剤32とを交互(縞模様的交互又は市松模様的交互)に形成させ、これらを当接接着させて重ね合わせて2つ折りとしたものである。
【0024】
両端部12A、12Bを上記のような構成とすることで、後述の図3に示すように、商品を包装する際に当該両端部12A,12Bの2つ折り状態を剥がし、粘着剤31部分で当該商品に付着させることができ、剥離紙を不要とさせることができるものである。
【0025】
そこで、図3に、図1の包装シートの使用形態の説明図を示す。図3(A)において、包装シート11を構成する包装基部シート12の両端部12A,12Bの2つ折り状態を剥がし、粘着剤31部分で当該商品に付着させることで包装する。そして、配送後に、図3(B)に示すように、配達票14が分離線19で分離され、受領印欄に受領印が押された状態で持ち帰るものである。この場合、配達票14が分離されると、装飾シート21に形成された装飾模様16Aが表出されることとなるものである。
【0026】
このように、第1伝票である配達票14の分離後に当該装飾シート21上の装飾模様16Aが表出されることから、配送後に分離される伝票が包装紙表面に位置されても、分離後に包装紙全体の包装装飾を損なわないようにさせることができるものである。
【0027】
次に、図4〜図6に、本発明に係る包装シートの他の構成説明図を示す。図4(A)、(B)において、配送伝票一体型包装シート11は、包装基部シート12の裏面に装飾シート21を貼着するに際して、当該装飾シート21の全面に再剥離性接着剤51を使用した場合を示したものである。再剥離性接着剤51は、従前のものとして例えば天然ゴムラテックス系の粘着力の強い組成物に粘着力調整剤としてシリカ等の充てん剤を充填したものである。この場合、分離線19はフルカットの切断線としている。
【0028】
図5(A)に示す配送伝票一体型包装シート11は、図2に示す装飾シート21上における粘着剤22の内側の配達票14に対応する領域に再剥離性接着剤51を形成させて包装基部シート12の裏面に貼着させたもので、配達票14を分離線19及び再剥離性接着剤51により包装基部シート12及び装飾シート21に対して再剥離可能とさせたものである。この場合、分離線19はフルカットの切断線としている。
【0029】
図5(B)に示す配送伝票一体型包装シート11は、装飾シート21の全面に粘着剤22を形成し、かつ、配達票14の裏面に剥離剤52を形成して、装飾シート21を包装基部シート12の裏面の配達票対応領域に貼着させたもので、配達票14を分離線19及び再剥離性接着剤51により包装基部シート12及び装飾シート21に対して剥離可能とさせたものである。この場合においても分離線19はフルカットの切断線としている。これら図4、図5の構成は、図6の実施形態においても適用することができるものである。
【0030】
図6(A)、(B)に示す配送伝票一体型包装シート11は、上記装飾シート31Aを配達票14と同様の配送情報が記載されて配送後でも包装基部シート12と共に残存する伝票部13における第2伝票である貼付票とした形態である。すなわち、包装基部シート12には第1伝票である配達票14のみを一体的に分離自在に形成させ、当該配達票14を含めて装飾模様16を施し、一方、包装基部シート12の裏面に、図2又は図4の貼着形態で、装飾シート31Aとして貼付票を配置したものである。
【0031】
この場合、貼付票としての装飾シート31Aを配達票14に対して複写記入が可能な自己発色性用紙又は感熱複写紙を使用するもので、予め配送情報表示欄を形成しておき、配達票14の配送情報の記入の際に複写により記入させるものである。
【0032】
このような構成とすることにより、包装基部シート12上に配達票14のみを設ければよく、当該配達票14の分離前後において包装紙全体の包装装飾をより自然的に看取させることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の配送伝票一体型包装シートは、商品を包装して配送する際に使用される包装シートの製造、使用に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
11 配送伝票一体型包装シート
12 包装基部シート
13 伝票部
14 配達票
15 貼付票
16,16A 装飾模様
17,18 表示欄
19 分離線
21 装飾シート
22,31 粘着剤
32,52 剥離剤
41 商品
51 再剥離性接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を包装して配送させるための包装シートであって、
表面に、配送情報が記載されて少なくとも配送後に分離される第1伝票が分離自在に一体的に形成されると共に、当該第1伝票を含めて装飾模様が形成される包装基部シートと、
前記包装基部シートの裏面における少なくとも前記第1伝票に対応する領域に貼着され、前記装飾模様と同等の装飾模様が形成されて当該第1伝票の分離後に表出させる装飾シートと、
を有することを特徴とする配送伝票一体型包装シート。
【請求項2】
請求項1記載の配送伝票一体型包装シートであって、前記装飾模様が形成された装飾シートが、前記第1伝票と同様の配送情報が記載されて配送後でも前記包装基部シートと共に残存する第2伝票であることを特徴とする配送伝票一体型包装シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−46979(P2013−46979A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186232(P2011−186232)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】