説明

配送伝票

【課題】引き剥がしの「きっかけ」を設けた配送伝票を提供する。
【解決手段】配送控と貼付票本体部とが配送伝票を分断する配送控切離しミシンを介して連接され、貼付票本体部は前記配送控切離しミシン側に配置された貼付票と配達票が前記配送控切離しミシンと平行且つ同一長で形成された配達票切離し用切込みを介して連接され、前記配送伝票は、配送情報が表示されたラベル基紙、擬似接着層である第一の接着剤層、中間基材、粘着層である第二の接着剤層、剥離基材が順次積層された積層体からなり、前記配送控切離しミシンは前記積層体を貫通する状態で形成され、前記配達票切離し用切込みはラベル基紙、第一の接着剤層、を貫通する状態で形成され、貼付票の配送控切離しミシン側下辺コーナー部には、該下辺コーナー部を斜めに切断する貼付票本体部引き剥がし用切込みが、ラベル基紙、第一の接着剤層、中間基材、第二の接着剤層を貫通する状態で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1パート形式の配送伝票に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、顧客情報のデータベース化が進んでいる百貨店や通販業界では、同一平面に配送控、貼付票、配達票を配置し、シートプリンタ等によって配送情報を印字することができる1パート形式の配送伝票(以下、1パート配伝ともいう)を多く使用するようになってきている。
1パート配伝の多くは、タック紙の表面に配送控、貼付票、配達票等を並べて積層し、少なくとも配達票は粘着紙表面から剥離できるように形成している。
また、剥ぎ取られた配達票にも剥ぎ取られたタック紙表面にも粘着性を伴う物質が残らず、剥ぎ取られた配達票は、普通紙並みに扱うことができるようにしている。
1パート配送伝票は上述のように配送控、貼付票、配達票等が同一平面に並べて形成されているため、1パート配送伝票に配送情報、配送伝票管理用のバーコード等を通常のシートプリンタを使用して印字することができるようになった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
1パート配送伝票は、粘着面を保護している剥離紙を剥がして、露出した粘着剤によって貼付票を配送物に貼付して使用する。配送担当者は、配送物を受取人に渡す際に、前記貼付票の中の配達票に受領印またはサインをもらい、営業所に持ち帰る。
営業所では、配送担当者が持ち帰った配達票から、配達票にプリントされた機械読取可能な管理コード等を読取装置で読み取って、配送物の配送が完了したことをコンピュータに登録する。
配送物の依頼人からの問い合わせに対しては、前述のコンピュータに登録した登録情報に基づいて対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−353987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の1パート配伝は、貼付票を配送物に貼付する際に、貼付票を剥離紙から効率よく引き剥がすための「きっかけ」を必要とする。
従来は、前述の「きっかけ」を得るために、配送伝票シート(1単位の配送伝票を、シートプリンタでプリント可能な大きさの範囲内で複数付け合せしたシート)のプリンタフィード側に帯状の空白部を形成し、配送伝票シートに配送情報をプリントした後、前述の帯状の空白部を剥がすことによってタック紙と剥離紙との間に段差を生じさせ、この段差部を「きっかけ」として貼付票を剥離紙から剥して配送物に貼付していた。
しかし、前述の帯状の「きっかけ」を設けたことによって、印字スペースが少なくなり、用紙サイズが小さいシートプリンタしか所有していない配送業者は、配送伝票上に必要な配送情報を印字するスペースが確保できなくなるという課題が発生した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の配送伝票の第一の態様は、配送控と貼付票本体部とが配送伝票を分断する配送控切離しミシンを介して連接され、貼付票本体部は前記配送控切離しミシン側に配置された貼付票と配達票が前記配送控切離しミシンと平行且つ同一長で形成された配達票切離し用切込みを介して連接された配送伝票であって、前記配送伝票は、配送情報が表示されたラベル基紙、擬似接着層である第一の接着剤層、中間基材、粘着層である第二の接着剤層、剥離基材が順次積層された積層体からなり、前記配送控切離しミシンは前記積層体を貫通する状態で形成され、前記配達票切離し用切込みはラベル基紙、第一の接着剤層、を貫通する状態で形成され、貼付票の配送控切離しミシン側下辺コーナー部には、該下辺コーナー部を斜めに切断する貼付票本体部引き剥がし用切込みが、ラベル基紙、第一の接着剤層、中間基材、第二の接着剤層を貫通する状態で形成されたことを特徴とするものである。
【0007】
また、第二の態様は、第一の態様において、配達票の配達票切離し用切込み側下辺コーナー部には、第一の接着剤層が形成されないコーナー糊抜き部が配達票切離し用切込みの一部と配送伝票下辺の一部を内包する状態で配達票のコーナー部に形成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
1)第一の発明のように、配送控と貼付票本体部とが配送伝票を分断する配送控切離しミシンを介して連接され、貼付票本体部は前記配送控切離しミシン側に配置された貼付票と配達票が前記配送控切離しミシンと平行且つ同一長で形成された配達票切離し用切込みを介して連接された配送伝票であって、前記配送伝票は、配送情報が表示されたラベル基紙、擬似接着層である第一の接着剤層、中間基材、粘着層である第二の接着剤層、剥離基材が順次積層された積層体からなり、前記配送控切離しミシンは前記積層体を貫通する状態で形成され、前記配達票切離し用切込みはラベル基紙、第一の接着剤層、を貫通する状態で形成され、貼付票の配送控切離しミシン側下辺コーナー部には、該下辺コーナー部を斜めに切断する貼付票本体部引き剥がし用切込みが、ラベル基紙、第一の接着剤層、中間基材、第二の接着剤層を貫通する状態で形成されたことによって、配送控を配送控切離しミシンで切離した際に、貼付票本体部引き剥がし用切込みで貼付票から切り離された貼付票のコーナー部が配送控に連接した状態で剥し取られるため、貼付票本体部に貼付票本体部を粘着剤層から引き剥がすための「きっかけ」が発現する。
なお、前述の貼付票のコーナー部は、配送情報をプリンタで印字する際に、配送控切離しミシンで配送控に繋がっているために、第二の接着剤層(粘着剤層)から剥がれ、プリンタによって剥し取られることがない。
2)また、第二の発明のように、第一の態様において、配達票の配達票切離し用切込み側下辺コーナー部には、第一の接着剤層が形成されないコーナー糊抜き部が配達票切離し用切込みの一部と配送伝票下辺の一部を内包する状態で配達票のコーナー部に形成されたことによって、配達票を第一の接着剤層(擬似接着剤層)から容易に引き剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の配送伝票の一実施形態について説明するための図である。
【図2】本実施形態の配送伝票を配送控と貼付票本体部に分割した図である。
【図3】本実施形態の貼付票本体部から配達票を引き剥がした図である。
【図4】図1のA−A線断面の一例について説明するための図である。
【図5】配送情報をプリントする際の多面付け配送伝票シートの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1、図4を参照して、本発明の配送伝票の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の配送伝票10は、配送控11と貼付票本体部12とが配送伝票を分断する配送控切離しミシン3を介して連接されている。
貼付票本体部12は、前記配送控切離しミシン3側に配置された貼付票121と配達票122が前記配送控切離しミシン3と平行且つ同一長で形成された配達票切離し用切込み4を介して連接されている。
【0011】
また、図4に示すように、配送伝票10は、配送情報(図示せず)が表示されたラベル基紙1、擬似接着層である第一の接着剤層6、中間基材7、粘着層である第二の接着剤層8、剥離基材9が順次積層された積層体で構成されている。
図示していないが、第二の接着剤層8と剥離基材9の間には剥離基材9側に形成された剥離剤層が存在している。
【0012】
図4に示すように、配送控切離しミシン3は、積層体(配送伝票10)を貫通する状態で形成され、配達票切離し用切込み4はラベル基紙1、第一の接着剤層6、を貫通する状態で形成され、貼付票の配送控切離しミシン側下辺コーナー部には、該下辺コーナー部を斜めに切断する貼付票本体部(図示せず)引き剥がし用切込み5が、ラベル基紙1、第一の接着剤層6、中間基材7、第二の接着剤層8を貫通する状態で形成されている。
【0013】
また、図1において、配達票122の配達票切離し用切込み4が形成されている側の下辺コーナー部(図1の配達票の左下コーナー)には、コーナー糊抜き部60が形成されている。コーナー糊抜き部60は、図4に示すように、第一の接着剤層6が形成されない部分である。
【0014】
コーナー糊抜き部60は、配達票切離し用切込み4の一部と配送伝票下辺の一部(図示せず)を内包する状態で配達票のコーナー部に形成されている。図1に示す実施形態では、コーナー糊抜き部60は、配達票の左下隅に、下辺の一部と配達票切離し用切込み4の一部を二辺とする直角三角形状に形成されている。
すなわち、コーナー糊抜き部60は、下辺と配達票切離し用切込み4に掛かるように形成される。
【0015】
図5を参照して、本実施形態の配送伝票の印刷について説明する。
図5に示す多面付け配送伝票シート100は、1単位の配送伝票10が上下に3単位面付けされた状態になっている。
図示しないが、積層体の状態でラベル基紙の表出面には、「配送控」、「貼付票」、「配達票」の文字や印字枠、説明文、配達票の捺印欄、注意文言、デザインなどが印刷される。
【0016】
多面付け配送伝票シート100の大きさは、運送会社が所有する配送情報印刷装置(プリンタ)の、印刷シートの最大サイズに合わせて面付けされる。
出来上がった配送伝票シート100に、まず、積層体(前述のラベル基紙、第一の接着剤層、中間基材、第二の接着剤層、剥離基材を順次貼り合わせたシート)を貫通する状態で配送控切離しミシン3、配送伝票切離しミシン2を形成する。
【0017】
さらに、配達票切離し用切込み4とそれぞれの貼付票121の左下コーナー部3箇所に貼付票本体部引き剥がし用切込み5をハーフカット状に形成する。
前述のように配達票切離し用切込み4は、ラベル基紙1、第一の接着剤層6、を貫通する状態で、貼付票本体部引き剥がし用切込み5は、ラベル基紙1、第一の接着剤層6、中間基材7、第二の接着剤層8を貫通する状態で形成する。
【0018】
図5において、多面付け配送伝票シート100に対し前述の、配送伝票切離しミシン2、配送控切離しミシン3、配達票切離し用切込み4、貼付票本体部引き剥がし用切込み5、を同時に形成することもできる。
【0019】
図1で説明したように、コーナー糊抜き部60は、単位配送伝票10の下辺(配送伝票切離しミシン2によって切断された辺)を僅か跨ぐように、また、配達票切離し用切込み4を僅か跨ぐように形成すると配達票が剥がし易くなる。
【0020】
多面付け配送伝票シート100には、プリンタによって、配送情報(送り主の名前、受取人の名前、送り主及び受取人の住所、光学読取文字、記号などによる運送会社の管理番号、配送日時等)が印字される。
プリンタには、多面付け配送伝票シート100の上下、左右いずれかの辺が先頭になるようにセットされる。
【0021】
図2を参照して、本実施形態の配送伝票の貼付票本体部引き剥がし用切込みの機能について説明する。
配送伝票10は、配送情報(図示せず)が印字された後、図5で説明した配送伝票切離しミシン2で分断され、単位配送伝票10とされる。
さらに、配送所において、配送控切離しミシン3で配送控11と、貼付票本体部12に分断され、貼付票本体部12は配送物に貼付される。
【0022】
配送控切離しミシン3で配送控11と貼付票本体部12が分断される際に、配送控え11の右下コーナー部に貼付票から切り取られたコーナー50が連接された状態で分断される。
一方、コーナー50が剥ぎ取られた貼付票本体部12には、コーナー50の形状に、剥離基材9の剥離層面が露出する。
配送担当者が、貼付票本体部12を配送物に貼付する際に、貼付票本体部12の引き剥がし用切込み5によって、容易に貼付票本体部12を剥離基材9から剥がして配送物に貼付することができる。
【0023】
図3を参照して、本実施形態の配送伝票のコーナー糊抜き部について説明する。
図2によって配送控11が配送伝票本体12から切り離され、配送伝票本体12が剥離基材から剥されて配送物に貼付される。
配送物が受取人に渡される際に、配送担当は、配送物に貼付された配送伝票本体12から配達票122を引き剥がす。
配送物には、貼付票121が配送物に貼付された状態で受取人に渡されるため、受取人に送り主などの情報が残されたことになる。
【0024】
前述のように配達票122を配送伝票本体12から引き剥がすと、配送伝票本体12の配達票122を剥した後には、第一の接着剤層6が表出する。
配達票122が貼付されていた場所の左下コーナー部にはコーナー糊抜き部60が露出しているが、この部分には第一の接着剤層6が形成されていないために、コーナー糊抜き部60を「きっかけ」にして剥がすことによって配達票122は容易に第一の接着剤層6から剥がされる。
【0025】
配達票122が貼付されていた場所の左下コーナー部にコーナー糊抜き部60を形成する方法として、第一の接着剤層6をコーナー糊抜き部60の形状に接着剤を形成しない方法や、配達表122の左下コーナー部の裏側に第一の接着剤層6に接着させない剥離剤をパターン印刷する方法がある。例えば、印刷インキにワックスやシリコン成分の材料を練りこんでコーナー糊抜き部60の形状で印刷し、積層体を形成する方法等がある。
【0026】
配送担当は、剥ぎ取られた配達票122の所定の場所(図示せず)に受取人の印をもらって営業所に戻り、配達表に印刷された光学読取文字による管理番号を読取装置に読み込ませ配送品は配送済みであることを登録する。
【0027】
図4を参照して、本実施形態の配送伝票を構成する材料の一例について説明する。
ラベル基紙1、中間基材7は、和紙、上質紙、クラフト紙、コート紙、などから選択して使用する。
中間基材7は、極力薄くしたいため、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネイト、トリアセテートなどのプラスチックのフィルムが使用される場合がある。
第一の接着剤6としては、乾燥した状態で層間剥離する、例えば、ポリビニルアルコール材料や、ゴム系接着主剤中に微粒子を添加した擬似接着剤等が好ましい。
第一の接着剤6に対し印刷インキでコーナー糊抜き部60を形成し剥離の「きっかけ」を形成する場合は、市販の紫外線硬化型のインキにシリコーンオイルを添加、または、シリコーンアクリレートを添加して配達票の裏側の所定のコーナー部に印刷する。
第二の接着剤8には市販のアクリル系、ゴム系の粘着剤を、剥離基材9には市販の剥離紙を使用する。
図示しないが、印刷インキには市販の紫外線硬化型のインキを使用する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
配達票を伴う1パート配送伝票に使用される。
【符号の説明】
【0029】
1 ラベル基紙
2 配送伝票切離しミシン
3 配送控切離しミシン
4 配達票切離し用切込み
5 貼付票本体部引き剥がし用切込み
6 第一の接着剤層
7 中間基材
8 第二の接着剤層
9 剥離基材
10 配送伝票
11 配送控
12 貼付票本体部
50 コーナー
60 コーナー糊抜き部
100 多面付け配送伝票シート
121 貼付票
122 配達票


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送控と貼付票本体部とが配送伝票を分断する配送控切離しミシンを介して連接され、貼付票本体部は前記配送控切離しミシン側に配置された貼付票と配達票が前記配送控切離しミシンと平行且つ同一長で形成された配達票切離し用切込みを介して連接された配送伝票であって、
前記配送伝票は、配送情報が表示されたラベル基紙、擬似接着層である第一の接着剤層、中間基材、粘着層である第二の接着剤層、剥離基材が順次積層された積層体からなり、
前記配送控切離しミシンは前記積層体を貫通する状態で形成され、前記配達票切離し用切込みはラベル基紙、第一の接着剤層、を貫通する状態で形成され、
貼付票の配送控切離しミシン側下辺コーナー部には、該下辺コーナー部を斜めに切断する貼付票本体部引き剥がし用切込みが、ラベル基紙、第一の接着剤層、中間基材、第二の接着剤層を貫通する状態で形成されたことを特徴とする配送伝票。
【請求項2】
請求項1に記載の配送伝票において、
配達票の配達票切離し用切込み側下辺コーナー部には、第一の接着剤層が形成されないコーナー糊抜き部が配達票切離し用切込みの一部と配送伝票下辺の一部を内包する状態で配達票のコーナー部に形成されたことを特徴とする配送伝票。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−107238(P2013−107238A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252588(P2011−252588)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)