説明

配送指示装置及び配送指示システム

【課題】追加の配送荷物が発生した場合に、その荷物の追加配送の可否判断と、追加配送が可能な場合の効率的な配送ルートの指示とを、乗務員に負担をかけずに実行すること。
【解決手段】車両管理者3のサーバ31から、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)の情報を含む追加配送の要求情報を車両1の配送指示装置10に送信する。無線通信機器13を介してこれを受信した配送指示装置10のCPU16は、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)と車両1の現在位置との関係、及び、追加配送する荷物の重量を加えた積載している荷物の総重量と車両1の最大積載重量との関係で、要求された荷物の追加配送の可否を判断する。追加配送が可である場合に、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)を含む荷物の配送ルート(新配送ルート)を新たに決定し、タッチパネル表示器14に表示して乗務員に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の配送を行う車両において配送指示を行う装置とこの装置を用いて配送指示を行わせるシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に複数の荷物を積載してそれぞれの配送先に配送する場合は、車両が事務所を出発する前に積載した荷物の配送ルートを決定してその日の運行内容として車両の乗務員に手渡し、受け取った配送ルートにしたがって乗務員が車両を運行することで、効率的に荷物の配送を行うのが一般的である。
【0003】
また、車両が事務所を出発した後に追加の荷物の配送依頼が事務所に届いた場合は、追加の荷物の配送依頼を受けた事務所から車両に現在の配達状況(車両の位置や荷室の空き具合等)を無線で問い合わせ、車両(の運転者)側からの回答に応じて、その車両に追加配送を指示するかどうかを決定している。
【0004】
そして、追加配送の指示を受けた車両の乗務員は、途中で配送ルートを外れて追加配送の荷物の引取先に車両を移動し、荷物を引き取った後は、引き取った荷物の配送先を組み込むように残る配送ルートを変更し、追加の荷物を含む未配送の荷物の配送を行う。
【0005】
このような荷物の追加配送の受け付け方法では、配送先を追加した後の効率的な配送ルートを車両の乗務員が考えなければならず、乗務員の負担が大きい。また、追加の荷物を収容する空間的な余裕が荷室に残っているかどうかは乗務員が目視で認識できるが、追加の荷物を積載した場合に車両の適法な最大積載量に収まるか否かを乗務員が自ら判断するのは、非常に困難である。
【0006】
なお、車両に積載した荷物を効率的に配送するために、車両に積載する各荷物の配送先の住所や郵便番号をそれぞれ登録して各配送先の緯度経度データを取得し、これに基づきナビゲーション装置で、各荷物の配送先への誘導経路を配送先毎に決定させ、選択した配送先への誘導経路を表示させる等の提案が既に行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−285390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、単に各荷物の配送先への誘導経路をナビゲーション装置で決定、表示させるだけでは、追加の荷物の配送先を含めた効率的な配送ルートの決定や荷室の積載重量の管理から乗務員を解放することはできない。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、追加の配送荷物が発生した場合に、その荷物の追加配送の可否判断と、追加配送が可能な場合の効率的な配送ルートの指示とを、乗務員に負担をかけずに実行できる配送指示装置と、この配送指示装置を用いた配送指示システムとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明の配送指示装置は、
車両に搭載され、前記車両に積載した複数の荷物の配送ルートを前記車両の乗務員に指示する配送指示装置であって、
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
荷物の追加配送を要求する外部からの要求情報を受信したときに、該要求情報に含まれる追加配送の荷物の少なくとも配送先の情報に基づいて、前記荷物の追加配送の可否を判別する追加可否判定手段と、
前記荷物の追加配送が可であるときに、前記乗務員に荷物の追加配送を指示する追加配送指示手段とを備えており、
前記追加可否判定手段が、前記車両に積載している荷物の全配送先を回る配送ルートと、前記車両の現在位置と、前記追加配送の荷物の少なくとも配送先の情報とに基づいて、前記現在位置から前記配送ルートを迂回し前記追加配送の荷物の配送を行う迂回ルートの成立条件が満たされるか否かを判断して、成立条件が満たされるときに前記荷物の追加配送を可とする判断を行い、
前記追加配送指示手段が、前記迂回ルートを含む前記車両の新配送ルートを決定し、前記乗務員に報知する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載した本発明の配送指示装置によれば、荷物の追加配送を要求する外部からの要求情報を受信した場合、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)と車両に積載している荷物の全配送先とを回る迂回ルートの成立条件が満たされると、迂回ルートを含む車両の新配送ルートが決定されて、車両の乗務員に報知される。
【0012】
以上の判断から報知までの間に車両の乗務員は何ら関与することがなく、しかも、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)を含む車両の新配送ルートが改めて決定されて、追加配送の指示として乗務員に報知される。このため、追加の配送荷物が発生した場合に、その荷物の追加配送の可否判断と、追加配送が可能な場合の効率的な配送ルート(新配送ルート)の指示とを、乗務員に負担をかけずに実行することができる。
【0013】
また、請求項2に記載した本発明の配送指示装置は、請求項1に記載した本発明の配送指示装置において、前記追加可否判定手段が、前記迂回ルートの成立条件が満たされる場合に、前記要求情報に含まれる前記追加配送の荷物の重量情報に基づいて、前記車両に積載している荷物の総重量と前記追加配送の荷物の重量との合計重量が前記車両の最大積載重量以下となるか否かを判断し、前記合計重量が前記最大積載重量以下となるときに限って、前記荷物の追加配送を可とする判断を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載した本発明の配送指示装置によれば、請求項1に記載した本発明の配送指示装置において、追加配送する荷物を積載した場合に、積載した荷物の総重量が車両の最大積載重量を超える場合は、荷物の追加配送が否とされ、かつ、乗務員に対する荷物の追加配送の報知も行われない。
【0015】
したがって、車両の最大積載量を超えて荷物の追加配送が可とされて乗員に報知されてしまうのを、乗務員に負担をかけずに防ぐことができる。
【0016】
さらに、請求項3に記載した本発明の配送指示装置は、請求項1又は2に記載した本発明の配送指示装置において、前記追加配送指示手段が、前記車両に積載されている各荷物の配送先と、前記追加配送の荷物の配送先とを、前記車両の目的地及び前記経由地に適宜割り当てて、前記車両の現在位置からの前記新配送ルートを決定することを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載した本発明の配送指示装置によれば、請求項1又は2に記載した本発明の配送指示装置において、車両に積載した一部の荷物の配送を終えた時点で荷物の追加配送が発生した場合であっても、その時点で車両にまだ積載されている荷物と追加配送する荷物の各配送先を経由地と目的地に割り当てた、車両の現在位置からの新配送ルートを、乗務員に負担をかけずに決定して乗務員に報知することができる。
【0018】
また、上記目的を達成するため、請求項4に記載した本発明の配送指示システムは、
車両に積載した複数の荷物の配送ルートを前記車両の乗務員に指示する配送指示システムであって、
前記車両に搭載された請求項1、2又は3記載の配送指示装置と、
前記車両の管理事務所に設置され、前記車両に対して荷物の追加配送を要求する要求情報を送信する要求情報送信手段とを備える、
ことを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載した本発明の配送指示システムによれば、追加配送する荷物が車両の管理事務所において発生すると、荷物の追加配送を要求する要求情報が車両に対して送信される。一方、車両では、管理事務所からの要求情報を受信した場合、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)と車両に積載している荷物の全配送先とを回る迂回ルートの成立条件が満たされると、車両の乗務員が何ら関与することなく、迂回ルートを含む車両の新配送ルートが決定されて、車両の乗務員に報知される。
【0020】
このため、追加の配送荷物が発生した場合に、その荷物の追加配送の可否判断と、追加配送が可能な場合の効率的な配送ルート(新配送ルート)の指示とを、乗務員に負担をかけずに実行することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、追加の配送荷物が発生した場合に、その荷物の追加配送の可否判断と、追加配送が可能な場合の効率的な配送ルートの指示とを、乗務員に負担をかけずに実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る配送指示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す管理者サーバシステムのCPUがROMのプログラムにしたがって実行する追加配送荷物の配送要求データの送信処理の概要を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す車載システムのCPUがROMのプログラムにしたがって実行する追加配送荷物の配送指示処理の概要を示すフローチャートである。
【図4】図3のタッチパネル表示器に表示される配送指示書画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施形態に係る配送指示システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示す配送指示システムは、車両1に搭載された配送指示装置10と、車両1の運行状態を管理する遠隔地の営業所等の車両管理者3(請求項中の外部及び管理事務所に相当)に設置した管理者サーバシステム(以下、「サーバ」と略記する。)31との間で、無線公衆電話回線網5やインターネット7を用いた通信を行うように構成されている。
【0025】
配送指示装置10は、車両1に積載した荷物の配送先に基づいて、車両1の目的地(最終配送先)と経由地(最終以外の配送先等)を通る配送ルートを決定し、車両1の乗務員(図示せず)に指示するものである。そのために、配送指示装置10は、車載システム本体11、GPSモジュール12、無線通信機器13、タッチパネル表示器14、各種情報格納メモリ15等を有している。
【0026】
車載システム本体11は、GPSモジュール12を用いて車両1の現在位置を周期的に取得する位置取得モジュール11aと、内部クロックに基づいて現在時刻を計時する時間情報モジュール11bとを有している。位置取得モジュール11aが取得した車両1の現在位置は、その時点で時間情報モジュール11bが計時している現在時刻と共に、最新のデータが各種情報格納メモリ15に上書き格納される。
【0027】
なお、各種情報格納メモリ15には、生体情報計測装置21が計測する乗務員の運転状態(居眠り等)の計測結果や、車両情報計測装置23が計測する車両1の運行状態(荷物の積載重量等)の計測結果の最新のデータも、周期的に上書き格納される。
【0028】
無線通信機器13は、本実施形態では、無線公衆電話回線網5(携帯電話回線網)を用いたパケット通信により、後述するインターネット7に接続された車両管理者3のサーバ31との間で、データの送受信を行う。
【0029】
無線公衆電話回線網5には、接続センタ51を介して携帯電話回線事業者8のサーバ81が接続されている。サーバ81は、インターネットサービスプロバイダ(以下、「ISP」と略記する。)71を介してインターネット7に接続されている。このインターネット7には、他のISP73を介して車両管理者3側のサーバ31が、不図示のモデムやルータ等を介して接続されている。
【0030】
車両管理者3のサーバ31は、携帯電話回線事業者8のサーバ81が無線公衆電話回線網5を介して配送指示装置10から受信したデータ(パケット通信データ)を、インターネット7を介して受け取る。また、サーバ31は、インターネット7及び無線公衆電話回線網5を介して配送指示装置10にデータ(情報)を適宜送信する。
【0031】
タッチパネル表示器14は、車両1の乗務員に報知する各種の情報を表示する。この表示内容は、タッチパネル表示器14の表示面を適宜タッチ操作することで切り替えることができる。
【0032】
また、車載システム本体11は、CPU16と地図情報メモリモジュール17を有している。CPU16は、車両1に積載した荷物の配送先を経由地(途中で立ち寄る配送先)や目的地(最後に向かう配送先)とする配送ルートを、地図情報メモリモジュール17に格納した地図情報に基づいて決定し、タッチパネル表示器14に表示させる。
【0033】
なお、各荷物の配送先は、例えば、車両1が車両管理者3の事務所等を出発する前に、荷物を車両1に積載する毎に配送指示装置10の各種情報格納メモリ15に登録することができる。配送先は、例えば、緯度及び経度によって登録することができる。
【0034】
また、CPU16は、位置取得モジュール11aが車両1の現在位置を取得し各種情報格納メモリ15に格納する度に、その現在位置を無線通信機器13によりサーバ31に送信する。さらに、CPU16は、無線通信機器13がサーバ31からの荷物の追加配送の要求情報を受信したときに、荷物の追加配送の可否を判定する。そして、荷物の追加配送が可能である場合に、CPU16は、追加配送の荷物の引取先及び配送先を含んだ新配送ルートを、地図情報メモリモジュール17の地図情報を用いて決定し、決定した新配送ルートをタッチパネル表示器14に表示させる。
【0035】
次に、車両管理者3のサーバ31のCPUがROM(いずれも図示せず)に格納されたプログラムにしたがって実行する追加配送荷物の要求情報の送信処理の概要を、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0036】
サーバ31のCPUは、まず、車両1の現在位置を配送指示装置10から受信したか否かを確認し(ステップS1)、受信していない場合は(ステップS1でNO)、受信するまでステップS1をリピートする。
【0037】
一方、受信した場合は(ステップS1でYES)、サーバ31のCPUは、追加配送する荷物が発生した場合に、その配送先を車両1の追加の目的地又は経由地とする追加配送の要求情報を作成する(ステップS3)。その際、追加配送する荷物が新たに引き取って車両1に積載するものである(車両1にまだ積載されていない荷物である)場合は、追加配送する荷物の引取先を示す積載情報を付加して要求情報を作成する。なお、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)も、例えば、緯度及び経度によって表現することができる。
【0038】
そして、サーバ31のCPUは、作成した追加配送の要求情報のデータを、先に受信した現在位置の送信元の配送指示装置10(を搭載した車両1の無線通信機器13)を宛先として、インターネット7に送信する(ステップS5)。
【0039】
なお、サーバ31が、複数の車両1の配送指示装置10からそれぞれの車両1の現在位置を受信している場合は、例えば、追加配送する荷物の配送先(又は引取先)に最も近い車両1の配送指示装置10を宛先として要求情報のデータを送信するようにしてもよい。
【0040】
以上で、一連の処理を終了する。終了後は、一定のインターバルを経た後、再び図2の処理を実行する。
【0041】
続いて、配送指示装置10のCPU16が不図示のROMに格納されたプログラムにしたがって実行する追加配送荷物の配送指示処理の概要を、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
CPU16は、まず、各種情報格納メモリ15に格納された車両1の最新の現在位置の情報を、無線公衆電話回線網5乃至インターネット7を介して、無線通信機器13によりサーバ31に送信する(ステップS11)。次に、CPU16は、サーバ31からの追加配送の要求情報の送信データを受信したか否かを確認する(ステップS13)。
【0043】
受信していない場合は(ステップS13でNO)、ステップS11にリターンし、受信した場合は(ステップS13でYES)、CPU16は、受信した要求情報中の、追加配送する荷物の重量情報と、各種情報格納メモリ15に格納された車両1の最新の積載重量や車両1の最大積載重量等の庫内情報とに基づいて、要求された荷物の追加配送が可能であるか否かを確認する(ステップS15)。
【0044】
ここでCPU16は、追加配送する荷物の重量と車両1の最新の積載重量との合計が車両1の最大積載重量を超える場合は、要求された荷物の追加配送が可能でないと判断し、最大積載重量以下である場合は、要求された荷物の追加配送が可能であると判断する。
【0045】
追加配送が可能である場合は(ステップS15でYES)、CPU16は、車両1が走行する軌跡(配送ルート)の情報と現在位置とに基づいて、要求された荷物の追加配送が可能であるか否かを確認する(ステップS17)。
【0046】
ここでCPU16は、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)が、現在位置の最寄りにある未到着の配送先(経由地、目的地)から、予め設定された基準値未満の距離であり、かつ、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)が、配送ルート上の目的地から基準値未満の距離である場合に、要求された荷物の追加配送が可能であると判断し、そうでない場合は、要求された荷物の追加配送が可能でないと判断する。
【0047】
そして、ステップS15とステップS17のいずれかで、追加配送が可能でない場合(NO)は、CPU16は、無線通信機器13で受信した荷物の追加配送の要求情報を削除して(ステップS19)、後述するステップS23に処理を移行する。一方、ステップS15に続いてステップS17でも追加配送が可能である場合(YES)は、CPU16は、追加配送の要求情報中の追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)を、車両1の目的地又は経由地に追加し(ステップS21)、ステップS23に処理を移行する。
【0048】
ステップS23では、現在の車両1の目的地や経由地を含む車両1の配送ルートの、地図情報メモリモジュール17に格納された地図情報に基づいた検索を開始し(ステップS23)、検索した配送ルートを、乗務員に報知するためにタッチパネル表示器14に表示させて車両1の運行を開始させる(ステップS25)。したがって、ステップS21で追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)が、車両1の目的地又は経由地に追加された場合は、ステップS23及びステップS25で新配送ルートが決定されて、乗務員への報知のためにタッチパネル表示器14に表示されることになる。なお、タッチパネル表示器14における配送ルートの表示内容は、例えば、図4の説明図に示す配送指示書画面のようにとすることができ、この内容は、車両1の現在位置が変わる毎に更新される。
【0049】
なお、図4では、タッチパネル表示器14に、元々経由地として「裾野物流倉庫」、目的地として「横浜配送センター」がそれぞれ設定されていた当初の配送ルートに、車両管理者3のサーバ31から届いた荷物の追加配送の要求情報にしたがって、荷物の追加配送先である「東京流通センター」が経由地として追加された場合を示している。このため、図4のタッチパネル表示器14に配送指示書として表示されている新配送ルートでは、「裾野物流倉庫」が経由地2に繰り下げられ、「東京流通センター」が経由地1として割り込み設定されている。
【0050】
以上で、一連の処理を終了する。終了後は、一定のインターバルを経た後、再び図3の処理を実行する。
【0051】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、配送指示装置10のCPU16が行う図3のフローチャートにおけるステップS15及びステップS17が、請求項中の追加可否判定手段に対応する処理となっている。また、本実施形態では、CPU16が行う図3中のステップS21乃至ステップS25が、請求項中の追加配送指示手段に対応する処理となっている。
【0052】
そして、本実施形態では、ステップS17の判定の基準となる、下記(1),(2)の条件、即ち、
(1)追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)が、配送ルート上の車両1の最寄りにある未到着の配送先(経由地、目的地)から、基準値未満の距離であること、
及び、
(2)追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)が、配送ルート上の目的地から基準値未満の距離であること、
の2つの条件が、請求項における迂回ルートの成立条件に対応している。
【0053】
さらに、本実施形態では、車両管理者3のサーバ31のCPUが行う図2のフローチャートにおけるステップS3及びステップS5が、請求項中の要求情報送信手段に対応する処理となっている。また、本実施形態では、GPSモジュール12が、請求項中の現在位置検出手段に相当している。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態によれば、追加配送する荷物が発生した場合に、車両管理者3のサーバ31から、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)の情報を含む追加配送の要求情報を車両1の配送指示装置10に送信する構成とした。そして、無線通信機器13を介してこれを受信した配送指示装置10のCPU16が、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)と車両1の現在位置との関係、及び、追加配送する荷物の重量を加えた積載している荷物の総重量と車両1の最大積載重量との関係で、要求された荷物の追加配送の可否を判断するようにした。また、追加配送が可である場合に、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)を含む荷物の配送ルート(新配送ルート)を新たに決定し、タッチパネル表示器14に表示して乗務員に報知するようにした。
【0055】
このため、配送指示装置10が荷物の追加配送の可否を判断する際や、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)を含む、車両1に積載した全ての荷物の配送先を経由地や目的地とする効率的な配送ルート(新配送ルート)を決定してタッチパネル表示器14に表示する際に、乗務員に負担をかけることなくそれらを実行することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、追加配送する荷物を積載した場合に積載した荷物の総重量が車両1の最大積載重量を超える場合に、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)が、最寄りの未到着の配送先(経由地、目的地)や最終の目的地から基準値未満の距離であるか否かに関係なく、荷物の追加配送やその配送先(又は、引取先と配送先)を含む新配送ルートの決定、報知を行わないようにした。
【0057】
そのようにするための構成は、省略してもよいが、本実施形態のようにそのための構成を設ければ、追加の荷物を新たに積載すると車両1の最大積載重量を超えてしまう場合に、乗務員が自ら確認しなくても適切にその荷物の追加配送を受け付けずに積載重量オーバーとなるのを防ぐことができるので、有利である。
【0058】
また、本実施形態によれば、追加配送する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)を、新配送ルートの経由地にも目的地にも配置することができるので、車両1がより効率的に移動できる配送ルートを、追加配達する荷物の配送先(又は、引取先と配送先)と、既に積載している荷物の未到着の配送先との位置関係に応じて、柔軟に決定することができる。
【0059】
また、本実施形態では、無線公衆電話回線網5とインターネット7とを介して車両1の配送指示装置10と車両管理者3のサーバ31との間の送受信を行う場合を例に取って説明した。しかし、両者間の通信手段は、無線によるものであれば他の手段としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、荷物の配送を行う車両において配送指示を行う装置とこの装置を用いて配送指示を行わせるシステムに用いて好適である。
【符号の説明】
【0061】
1 車両
3 車両管理者
5 無線公衆電話回線網
7 インターネット
8 携帯電話回線事業者
10 配送指示装置
11 車載システム本体
11a 位置取得モジュール
11b 時間情報モジュール
12 GPSモジュール
13 無線通信機器
14 タッチパネル表示器
15 種情報格納メモリ
16 CPU
17 地図情報メモリモジュール
21 生体情報計測装置
23 車両情報計測装置
31 サーバ
51 接続センタ
71,73 インターネットサービスプロバイダ
81 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両に積載した複数の荷物の配送ルートを前記車両の乗務員に指示する配送指示装置であって、
前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
荷物の追加配送を要求する外部からの要求情報を受信したときに、該要求情報に含まれる追加配送の荷物の少なくとも配送先の情報に基づいて、前記荷物の追加配送の可否を判別する追加可否判定手段と、
前記荷物の追加配送が可であるときに、前記乗務員に荷物の追加配送を指示する追加配送指示手段とを備えており、
前記追加可否判定手段は、前記車両に積載している荷物の全配送先を回る配送ルートと、前記車両の現在位置と、前記追加配送の荷物の少なくとも配送先の情報とに基づいて、前記現在位置から前記配送ルートを迂回し前記追加配送の荷物の配送を行う迂回ルートの成立条件が満たされるか否かを判断して、成立条件が満たされるときに前記荷物の追加配送を可とする判断を行い、
前記追加配送指示手段は、前記迂回ルートを含む前記車両の新配送ルートを決定し、前記乗務員に報知する、
ことを特徴とする配送指示装置。
【請求項2】
前記追加可否判定手段は、前記迂回ルートの成立条件が満たされる場合に、前記要求情報に含まれる前記追加配送の荷物の重量情報に基づいて、前記車両に積載している荷物の総重量と前記追加配送の荷物の重量との合計重量が前記車両の最大積載重量以下となるか否かを判断し、前記合計重量が前記最大積載重量以下となるときに限って、前記荷物の追加配送を可とする判断を行うことを特徴とする請求項1記載の配送指示装置。
【請求項3】
前記追加配送指示手段は、前記車両に積載されている各荷物の配送先と、前記追加配送の荷物の配送先とを、前記車両の目的地及び前記経由地に適宜割り当てて、前記車両の現在位置からの前記新配送ルートを決定することを特徴とする請求項1又は2記載の配送指示装置。
【請求項4】
車両に積載した複数の荷物の配送ルートを前記車両の乗務員に指示する配送指示システムであって、
前記車両に搭載された請求項1、2又は3記載の配送指示装置と、
前記車両の管理事務所に設置され、前記車両に対して荷物の追加配送を要求する要求情報を送信する要求情報送信手段とを備える、
ことを特徴とする配送指示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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