説明

配電盤

【課題】垂直母線室4内の垂直母線9や垂直母線支持具10の保守や点検、あるいは取替え等を行う場合には、多大の作業時間および労力を要するという課題がある。
【解決手段】垂直母線室4に配置された垂直母線9を有する配電盤1において、垂直母線9を挟んで相対向し、垂直母線室4のベースとなる一対の垂直母線室フレーム15と、垂直母線室フレーム15の後面側に取り付けられた前面側垂直母線仕切り板16と、垂直母線室フレーム15に支持され、垂直母線9を覆うよう断面コ字状に形成された後面側垂直母線仕切り板17を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば複数段に遮断器ユニットが収納される閉鎖型配電盤等の配電盤に関し、特に各遮断器ユニットに電力を分配する垂直母線などの分岐母線の分岐母線室の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の配電盤としては、例えば、図5および図6に示すものがある。図5は断面側面図を示し、図6は図5のVI−VI線における要部断面平面図を示す。
これら各図において、1は閉鎖型配電盤等の配電盤であり、遮断器室2、水平母線室3、垂直母線室4等に区画されている。5は遮断器室2が複数段、例えば4段構成とされ、各段にそれぞれ設けられた台車床板である。6は各台車床板5に挿着され、コンビネーションユニット7が搭載されたコンビネーション台車である。8は水平母線室3に配置された水平母線である。9は一端が水平母線8と接続され、垂直母線室4に配置された各コンビネーションユニット7に電力を分配する垂直母線である。10は垂直母線9を支持する垂直母線支持具である。11は碍管である。パワーヒューズ7aとVMC(真空コネクタ)の組合わせでコンビネーションユニット7を構成する。
【0003】
12は垂直母線室4を構成するための一対の垂直母線室フレームであり、断面コ字状に形成され、前面側の突出部12aが短く、後面側の突出部12bが前面側の突出部12aより長く形成されている。一対の垂直母線室フレーム12間に垂直母線9が配置されている。13は一対の垂直母線室フレーム12の後面側の突出部12bの内方側に設けられた後面側垂直母線仕切り板であり、碍管11が貫挿されている。14は一対の垂直母線室フレーム12の前面側の突出部12aの外方側に設けられた前面側垂直母線仕切り板であり、碍子11が貫挿されている。これら一対の垂直母線室フレーム12、後面側垂直母線仕切り板13、前面側垂直母線仕切り板14により、前後左右が仕切られた構造の垂直母線室4が構成されている。
【0004】
以上のように構成された閉鎖型配電盤1において、後面側垂直母線仕切り板13が垂直母線室フレーム12の後面側の突出部12bの内方側に取り付けられている理由としては、閉鎖型配電盤1を組み立てる際、閉鎖型配電盤1の後面側を下向きに寝かせて組み立てられていく。したがって、最初に閉鎖型配電盤1の箱体フレームに取り付けられた垂直母線室フレーム12の後面側の突出部12bの内方側に後面側垂直母線仕切り板13を取り付けるという組み立て手順によるものである。そして、前面側垂直母線仕切り板14は垂直母線室フレーム12の前面側の突出部12aの外方側に取り付けられる。
【0005】
また、垂直母線室フレーム12は、後面側垂直母線仕切り板13、前面側垂直母線仕切り板14の板厚よりも厚くして垂直母線室4の強度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−341614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の配電盤においては、垂直母線室4内の垂直母線9や垂直母線支持具10の保守や点検、あるいは取替え等を行う場合には、前面側垂直母線仕切り板14を垂直母線室フレーム12の前面側の突出部12aから取り外す必要がある。
このように、前面側垂直母線仕切り板14を垂直母線室フレーム12の前面側の突出部12aから取り外すためには、台車床板10も取り外す必要があり、多大の作業時間および労力を要するという課題がある。
【0008】
これは後面側垂直母線仕切り板13が垂直母線室フレーム12の後面側の突出部12bの内方側に取り付けられてあるためであり、その後面側垂直母線仕切り板13を取り外すことができない。その結果として、前面側垂直母線仕切り板14を取り外すしかないためである。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で垂直母線室内の保守、点検を容易に行うことができる配電盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係わる配電盤は、分岐母線室に配置された分岐母線を有する配電盤において、前記分岐母線を挟んで相対向し、前記分岐母線室のベースとなる一対の分岐母線室フレームと、前記分岐母線室フレームの後面側に取り付けられた前面側分岐母線仕切り板と、前記分岐母線室フレームに支持され、前記分岐母線を覆うよう断面コ字状に形成された後面側分岐母線仕切り板を設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係わる配電盤は、簡単な構成で垂直母線室内の保守、点検を容易に行うことができる配電盤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係わる配電盤を示す要部断面平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わる配電盤を示す要部斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係わる配電盤を示す要部断面平面図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係わる配電盤を示す要部断面平面図である。
【図5】従来の配電盤を示す断面側面図である。
【図6】従来の図5のVI−VI線における要部断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1および図2に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1に係わる配電盤を示す要部断面平面図である。図2はこの発明の実施の形態1に係わる配電盤を示す要部斜視図である。なお、図2は遮断器室2が例えば3段構成とされる場合に対応した実施の形態となっている。
【0014】
これら各図において、9は垂直母線すなわち分岐母線、10は垂直母線支持具、11は碍管である。15は垂直母線9を挟んで相対向し、垂直母線室4すなわち分岐母線室のベースとなる一対の垂直母線室フレームすなわち分岐母線室フレームであり、例えば断面L字状からなる。16は垂直母線室フレーム15の後面側に取り付けられた前面側垂直母線仕切り板すなわち分岐母線仕切り板、17は垂直母線室フレーム15に支持され、垂直母線9を覆うよう断面コ字状に形成された後面側垂直母線仕切り板であり、後面側垂直母線仕切り板17は例えば取付フランジ17aおよび碍管11を通す貫挿穴17bを有し、その取付フランジ17aを前面側垂直母線仕切り板16に取り付け、その前面側垂直母線仕切り板16を介して垂直母線室フレーム15に支持される場合を示している。
【0015】
なお、垂直母線室フレーム15の板厚は、前面側垂直母線仕切り板16および後面側垂直母線仕切り板17の板厚より厚く構成して垂直母線室4を支えるための必要な強度を確保している。また、必要な強度を確保しつつ板厚の厚い材料を極力少なくするため、垂直母線室フレーム15は必要最小限の例えば断面L字状で構成している。
【0016】
次に動作について説明する。上述した実施の形態1による配電盤においては、組み立て手順としては、閉鎖型配電盤1を組み立てる際、閉鎖型配電盤1の前面側を下向きに寝かせて組み立てて行くことで、組み立て作業性が悪化することも無い。すなわち、最初に閉鎖型配電盤1の箱体フレームに取り付けられた断面L字状の一対の垂直母線室フレーム15の後面側に前面側垂直母線仕切り板16を取り付ける。そして、断面コ字状の後面側垂直母線仕切り板17はその取付フランジ17aを前面側垂直母線仕切り板16に取り付けることにより、垂直母線室フレーム15に前面側垂直母線仕切り板16を介して支持される。
【0017】
ところで、垂直母線室4内の垂直母線9や垂直母線支持具10の保守や点検、あるいは取替え等を行う場合には、後面側垂直母線仕切り板17を取り外すだけでよく、上述した従来のように、台車床板10を取り外す必要が全くなくなり、多大の作業時間および労力を要することなく、垂直母線9や垂直母線支持具10の保守や点検、あるいは取替え等を簡単に容易に行うことができる。
【0018】
また、垂直母線室フレーム15は、上述した従来のように、板厚の厚い断面コ字状で大きな垂直母線室フレーム12ではなく、垂直母線室4を支えるための必要な強度を確保しつつ板厚の厚い材料を極力少なくするため、垂直母線室フレーム15は必要最小限の例えば断面L字状の大きさで構成している。したがって、材料費の節減を図ることができるとともに重量も軽量化することができる。
【0019】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2を図3に基づいて説明する。図3はこの発明の実施の形態2に係わる配電盤を示す要部断面平面図である。
【0020】
上述した実施の形態1においては、後面側垂直母線仕切り板17はその取付フランジ17aを前面側垂直母線仕切り板16に取り付けることにより、垂直母線室フレーム15に前面側垂直母線仕切り板16を介して支持される場合について述べたが、この実施の形態2においては、後面側垂直母線仕切り板17はその取付フランジ17aを垂直母線室フレーム15に取り付けて支持されるようにしたものであり、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0021】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3を図4に基づいて説明する。図4はこの発明の実施の形態3に係わる配電盤を示す要部断面平面図である。
【0022】
上述した実施の形態2においては、後面側垂直母線仕切り板17はその取付フランジ17aを垂直母線室フレーム15に取り付けて支持される場合について述べたが、この実施の形態3においては、後面側垂直母線仕切り板17の取付フランジ17aを設けておらず、断面コ字状の後面側垂直母線仕切り板17の遮断器室2側に突出する面を断面L字状の垂直母線室フレーム15の後面側に突出する部分に取り付けて支持されるようにしたものであり、上述した各実施の形態と同様の効果を奏する。
なお、上記の各実施の形態では分岐母線が垂直母線の場合について説明したが、分岐母線がケーブルの場合であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
この発明は、簡単な構成で垂直母線室内の保守、点検を容易に行うことができる配電盤の実現に好適である。
【符号の説明】
【0024】
1 配電盤 4 垂直母線仕切り板
9 垂直母線 10 垂直母線支持具
15 垂直母線室フレーム 16 前面側垂直母線仕切り板
17 後面側垂直母線仕切り板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐母線室に配置された分岐母線を有する配電盤において、前記分岐母線を挟んで相対向し、前記分岐母線室のベースとなる一対の分岐母線室フレームと、前記分岐母線室フレームの後面側に取り付けられた前面側分岐母線仕切り板と、前記分岐母線室フレームに支持され、前記分岐母線を覆うよう断面コ字状に形成された後面側分岐母線仕切り板とを設けたことを特徴とする配電盤。
【請求項2】
前記分岐母線室フレームは、断面L字状からなることを特徴とする請求項1記載の配電盤。
【請求項3】
前記後面側分岐母線仕切り板は、前記前面側分岐母線仕切り板に取り付けられ、前記前面側分岐母線仕切り板を介して前記分岐母線室フレームに支持されたことを特徴とする請求項1または2に記載の配電盤。
【請求項4】
前記後面側分岐母線仕切り板は取付フランジを有することを特徴とする請求項3に記載の配電盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−288397(P2010−288397A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141230(P2009−141230)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】