説明

酒類の評価チャート及びその使用方法

【課題】 香味等に対する訓練等をすることなく少数の評価項目により初心者でも日本酒と焼酎の評価が可能な酒類の評価チャートを提供する。
【解決手段】 X字状に交差させた第一,第二の直線11,12に評価対象の日本酒の香りと味の評価を対応させ、第一の直線11と第二の直線12との間に第三の直線13を配したレーダーチャートによる評価チャート1としている。第三の直線13は直線14,15からなり、上側の直線14には評価対象の日本酒中の炭酸ガスの評価に用い、下側の直線15は評価対象の日本酒の色の評価に用いている。日本酒に対する評価項目が、香り、味、炭酸ガス及び色の4種であるため、初心者であっても容易、且つ、的確に酒類の評価を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日本酒と焼酎の特徴を官能評価するために用いられる酒類の評価チャート及びその使用方法に関し、特に、味わい、香り、色の濃さ及び炭酸ガスの程度を評価することにより、熟練を必要とせず、また、個人差等に左右されることなく日本酒と焼酎を評価することを可能とする酒類の評価チャート及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酒造メーカーにおいては、日本酒の品質を検査するに際して化学的な成分分析の他、「味」、「香り」といった人の五感に基づく官能評価(官能検査)が行われている。官能評価は、従来より「味」、「香り」、「色」により行われており、熟練した評価者による場合には機器分析によっても区別できないような僅かな差異をも検知してその評価をすることができる。そして、このような評価者の能力を利用することによって同じ銘柄の日本酒を異なる工場で生産した場合でもその品質の統一を図ることができ、また製品をブレンドすることによって品質の安定化を図ることが可能となる。日本酒の官能評価における評価の表現(項目)としては、例えば、「甘」、「辛」、「ピン」などや、蔵内で言われてきた老香、つわり香、コク、ダレなどの用語がある。しかしながら、評価する人によってその基準が異なるなど、評価項目の標準化を図るのは容易なことではない。
【0003】
一方、近年における世界的な和食ブームの影響もあり、日本酒の輸出量が増加するなどその需要が増大しており、日本酒の消費者である個人を対象とした日本酒の利き酒会等も盛んに行われている。しかしながら、官能評価の経験がなく、訓練も積んでいない一般消費者が味や香りなどについて的確に評価を行うのは容易ではない。そのため、評価基準を標準化する試みとして、日本酒の香味特性を4タイプに分類し、それぞれの強弱をレーダーチャートで示す方法(非特許文献1)や、味と匂いを16種類に細分化し、これをフレーバホイールにした評価法(非特許文献2)が提案されている。
【0004】
また、図6に示すように、日本酒の香りを、果物、アルコール・スパイス、木・草・緑、米麹、酢、醤油・カラメル、たくあんの7種に分類してそれぞれの香味を評価する方法(非特許文献3)や、図7のように、バナナ・メロン、りんご・洋梨、アルコール・スパイス、木・草・緑、米麹、醤油・カラメル、ヨーグルト・チーズの7種に分類してそれぞれの香味を評価してレーダーチャートで表現する方法も知られている。尚、技術分野は異なるが、特許文献1には「住宅性能評価チャート」が開示されている。これは、環境性能を含む住宅の総合的な性能を視覚化しやすく、開発すべき住宅の方向性を、企画担当者や営業担当者、経営者その他の関係者が共有するのに有効な住宅性能評価システムを提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
また焼酎の官能評価については、平成元年6月2日に行われた第13回本格焼酎鑑評会では審査項目として「香り」と「味」の長所と欠点が示されている(非特許文献3)。
「香り」の長所としては、豊か、おだやか、華やか、さわやか、ソフト、エステル香、上品、その他が挙げられており、欠点については、原料不良、初留臭、末だれ臭、油臭、酸臭、エステル臭、容器臭、ロカぐせ、異臭が挙げられている。
「味」の長所としては、熟成、濃醇、適度な甘さ、軽快、きれい、その他が挙げられており、欠点については、あらい、うすい、辛い、重い、雑味、異味が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−297748号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「きき酒師必携」日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会編著、1996年 株式会社柴田書店発行
【非特許文献2】「清酒の官能評価分析における香味に関する品質評価用語及び標準見本」宇都宮仁ほか、独立行政法人酒類総合研究所報告第178号、第13頁〜第38頁
【非特許文献3】「清酒の官能評価にかかわるにおい・かおりについて」宇都宮仁、におい・かおり環境学会誌第38巻第5号、第352頁〜第360頁
【非特許文献4】「第13回本格焼酎鑑評会出品酒の成分と評価」佐伯宏ほか、国税庁醸造試験所報告第162号、1990年、第23頁〜第32頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の日本酒の評価法にあっては、上記した香りや食品に馴染みがある者にとっては有効であるが、そのような香りを経験したことのない者は評価ができないことになる。例えば、一般に馴染みがあるだろうとして例示された「麹」の香りは酒類関係者には身近な香りであっても、一般の人には“嗅いだ事が無い”といった反応が多い。他にも熟練者には理解できても一般消費者、すなわち、官能評価の初心者には理解が困難であった表現(項目)について、発明者が調査したところによると例えば以下の如くである。
(1) バナナ系と洋梨系の区別が困難である。
(2) 木・草系がいま一つピンとこない。
(3) 研いだ米や麹の香りを知らない人が多い。
(4) ヨーグルト、チーズは殆ど感じない。
(5) 甘辛、濃淡、粗さ、キレ、酸味、旨味等が香りに左右されて正しく認識できな い。
(6) 口あたりは、香りと触感で「まったり感、まるい、濃い」といった表現と、そ の対極にある「さっぱり、刺激的、淡い」といった表現とに二分される傾向が ある。
【0009】
このため、高精度の評価を可能とするためには、種々の食材を使ったり、酒類に含まれる化学物質の標準見本を作製して香味を記憶するといった、その香味と酒類の特徴とを結び付けて表現する特別の訓練が必要になるということになる。しかしながら、そのような技能もなく、訓練も行っていない一般消費者が自分独自の評価基準で評価を行うと、同じ日本酒であっても評価者によってその評価結果がまちまちとなって一定せず、その評価結果を目安に日本酒を選択しようとする第三者は正しい選択ができないという問題がある。また、近年では、インターネットのブログやSNS等の発達により、一般消費者が発信する情報であっても短期間で広範囲に情報を伝えることができる情報通信網が確立されているため、一般消費者が発信する誤った情報によって酒造メーカーの製品が大きな影響を被るおそれもある。
【0010】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、「香り」及び「味」についての評価項目を、例えば、従来の7種又は16種のような細かな評価基準で評価するのではなく、それよりも上位の評価基準によって評価すると共に、香味に大きな影響を与える「炭酸ガス」の存在と、先入観に影響を与える「色」をさらに加味することで香味等に対する訓練等を行わなくとも通常の人が有する五感に基づいて評価することが可能な必要最低限の評価項目を選定することにより、官能評価の初心者であっても日本酒を的確に評価することが可能な酒類の評価チャート及びその使用方法を提供することを目的とする。
【0011】
また本発明は、焼酎の評価において、「香り」及び「味」についての評価項目を、一般向けに作成し、香味等に対する訓練等を行わなくとも通常の人が有する五感に基づいて評価することが可能な必要最低限の評価項目を選定することにより、官能評価の初心者であっても焼酎を的確に評価することが可能な酒類の評価チャート及びその使用方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、そのような評価結果を表すためのチャートを提供すると共に、そのチャートからも感覚的にその日本酒と焼酎の特徴をイメージすることが可能な酒類の評価チャート及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明は、官能評価に基づく酒類の特徴を表すための酒類の評価チャートであって、評価対象である日本酒の「香り」を評価するための第一の直線と、前記日本酒の「味」を評価するための第二の直線とを平面上で交差させると共に、その交点を通過するようにして前記第一の直線と前記第二の直線との間にさらに第三の直線をそれぞれ等角度で配置し、前記第三の直線のうち、前記交点から一方側の端部までの間を前記日本酒の「色」を評価するための直線とし、前記第三の直線のうち、前記交点から他方側の端部までの間を前記日本酒の「炭酸ガス」を評価するための直線とし、前記「香り」、前記「味」、前記「色」及び前記「炭酸ガス」の各評価結果を前記第一から第三の各直線の前記交点からの距離によって表したレーダーチャートとしたことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の酒類の評価チャートにおいて、前記「香り」を評価するための第一の直線は、当該第一の直線が他の直線と交差する交点を香りの質にかかわらず香りの強弱が「普通」である場合の評価を表す基準とし、前記交点から上側に向かって離れるほど「芳香がある」との評価を表し、前記交点よりも下側に向かって離れるほど「芳香を感じない」との評価を表し、前記「味」を評価するための第二の直線は、当該第二の直線が他の直線と交差する交点を味の質にかかわらず味の濃淡が「普通」である場合の評価を表す基準とし、前記交点よりも上側に向かって離れるほど「味が薄い」との評価を表し、前記交点よりも下側に向かって離れるほど「味が濃い」との評価を表すようにしたことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の酒類の評価チャートにおいて、前記第三の直線のうち「色」を評価する部分の直線のうち、他の直線との交点を「無色」の評価を表す基準とし、前記交点よりも離れるほど「色が濃い」との評価を表し、前記第三の直線のうち「炭酸ガス」を評価する部分の直線のうち、他の直線との交点を「ガス感なし」の評価を表す基準とし、前記交点よりも離れるほど「ガス感あり」との評価を表すようにしたことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の酒類の評価チャートにおいて、前記第三の直線を「炭酸ガス」を表す直線部分が上側となり、「色」を表す直線部分が下側になるように平面座標系におけるY軸に相当するような垂直方向に配置される直線とし、「香り」を表す前記第一の直線を当該第三の直線に対して時計回りに60°の傾きで配置すると共に、「味」を表す第二の直線を当該第三の直線に対して反時計回りに60°の傾きで配置したことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載の酒類の評価チャートにおいて、前記評価チャートの前記交点を通る平面座標系におけるX軸に相当するような水平方向の直線を仮想的に配し、前記仮想的に配された直線により二分された上側を冷用タイプであることを表し、前記仮想的に配された直線により二分された下側を燗用タイプであることを表すようにしたことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するために請求項6に記載の本発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の酒類の評価チャートの使用方法において、評価対象である日本酒の「味」、「香り」、「色」、「炭酸ガス」についての各評価を前記第一の直線から第三の直線のうちの所定の位置に配置するステップと、前記「味」及び「香り」については各評価位置のほか前記交点を含めて各評価位置を直線で結ぶステップと、を備えてなることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するために請求項7に記載の本発明は、官能評価に基づく酒類の特徴を表すための酒類の評価チャートであって、評価対象である焼酎の「香り」を評価するための第一の直線と、前記焼酎の「味」を評価するための第二の直線とを平面上で交差させると共に、その交点を通過するようにして、前記「香り」及び前記「味」の各評価結果を前記第一と第二の各直線の前記交点からの距離によって表したレーダーチャートとしたことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決するために請求項8に記載の本発明は、請求項7に記載の酒類の評価チャートにおいて、前記「香り」を評価するための第一の直線は、当該第一の直線が第二の直線と交差する交点を原料の香りの強弱が「普通」である場合の評価を表す基準とし、前記交点から上側に向かって離れるほど「アルコールの香りが強くなる」との評価を表し、前記交点よりも下側に向かって離れるほど「原料の香りが強くなる」との評価を表し、前記「味」を評価するための第二の直線は、当該第二の直線が第一の直線と交差する交点を味の刺激が「普通」である場合の評価を表す基準とし、前記交点よりも上側に向かって離れるほど「味があらい」との評価を表し、前記交点よりも下側に向かって離れるほど「味がまるい」との評価を表すようにしたことを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するために請求項9に記載の本発明は、請求項7と8のいずれか1項に記載の酒類の評価チャートの使用方法において、評価対象である焼酎の「味」、「香り」についての各評価を前記第一の直線と第二の直線のうちの所定の位置に配置するステップと、前記各評価位置と前記交点を直線で結ぶステップとを備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る酒類の評価チャート及びその使用方法によれば、官能評価の経験のない初心者であっても評価項目を厳選したことにより、特別な訓練を行うことなく誰でも的確に日本酒の評価を行うことができるという効果がある。そして、日本酒では評価項目を「味」、「香り」、「色」、「炭酸ガス」に限定し、焼酎では評価項目を「味」、「香り」に限定したことで評価者によるブレの少ない評価を行うことができるという効果がある。
【0023】
また、本発明に係る酒類の評価チャート及びその使用方法によれば、チャートに描かれた各評価結果を結ぶ直線によって構成される形状から直感的にその評価に係る日本酒と焼酎の特徴を把握することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る日本酒の評価チャートの好ましい一実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係る日本酒の評価チャートの第一の評価例を示す図である。
【図3】本発明に係る日本酒の評価チャートの第二の評価例を示す図である。
【図4】本発明に係る日本酒の評価チャートの第三の評価例を示す図である。
【図5】本発明に係る日本酒の評価チャートの第四の評価例を示す図である。
【図6】従来の日本酒の評価方法を説明する図である。
【図7】従来の他の日本酒の評価方法を説明する図である。
【図8】本発明に係る焼酎の評価チャートの好ましい一実施形態を示す図である。
【図9】本発明に係る焼酎の評価チャートの第一の評価例を示す図である。
【図10】本発明に係る焼酎の評価チャートの第二の評価例を示す図である。
【図11】本発明に係る焼酎の評価チャートのバーを用いた一実施形態を示す図である。
【図12】本発明に係る焼酎の評価チャートのバーを用いた評価例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る酒類の評価チャート及びその使用方法について、好ましい一実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る日本酒の評価チャートの一実施形態を示す図である。図示された日本酒の評価チャート1は、概略として、時計の12時方向に配置された「炭酸ガス」の評価項目を示す直線14と、この直線14の下端からさらに下側に向かって伸びるようにして配置された直線であって、時計の6時方向配置された「色」の評価項目を示す直線15からなる第三の直線13を備えている。
【0026】
また、「炭酸ガス」の評価項目を示す直線14の下端部と「色」の評価項目を示す直線15の上端部が接する境界部を交点16として「芳香(香り)」を評価するための第一の直線11と、「味」を評価するための第二の直線12とをそれぞれ平面上で等角度で交差させるようにして配置されている。すなわち、図示された日本酒の評価チャート1は、第三の直線13を「炭酸ガス」を表す直線14が上側で、「色」を表す直線15が下側となるようにして平面座標系におけるY軸に相当するような垂直方向に配置されており、「香り」を表す第一の直線11を第三の直線13に対して時計回りに60°の傾きで配置すると共に、「味」を表す第二の直線12を第三の直線13に対して反時計回りに60°の傾きで配置されて構成されている。これにより、全体としていわゆる「アスタリスク(*)」のような形となっている。
【0027】
ここで「芳香」と「味」は、「色」や「炭酸ガス」の評価に比べて分かりにくいので、評価者の評価意識を引き出すために「芳香」と「味」評価幅を「色」や「炭酸ガス」の2倍としている。そして、「香り」を表す第一の直線11と、「味」を表す第二の直線12とをそれぞれの中央部の一点(=交点16)で交差するように配置している。そして、「色」と「炭酸ガス」に関する評価については交点16をそれぞれ「ガス感なし」、「無色」とし、交点16から離れるほどガス感が強く、また、色が濃い、とのそれぞれ5段階評価を行う。
【0028】
一方、「芳香」については、香りを「強く感じる」から「全く感じない」の間で9段階評価を行い、「どちらでもない」を交点16とする。そして、香りを強く感じるほど評価位置は交点16から離れて直線11上を右斜め上方向に向かい、香りを感じないほど評価位置は交点16から離れて直線11上を左斜め下方向に向かうようにして評価を行う。
【0029】
同様に、「味」について「味が濃い」から「無味」の間で9段階評価を行い、濃くもなく無味でもない場合を「どちらでもない」を交点16とする。そして、味が濃いほど評価位置は交点16から離れて直線12上を右斜め下方向に向かい、味が薄いほど評価位置は交点16から離れて直線12上を左斜め上方向に向かうようにして評価を行う。尚、本実施形態では「色」と「炭酸ガス」を5段階評価とし、「香り」と「味」を9段階評価としているがこれに限定されるものではなく、評価幅を適宜変更することはもちろん可能である。
【0030】
次に、各評価項目について説明する。
「芳香」は、高低(即ち、揮発成分が多いか少ないか)によって評価を行う。具体的には、臭いを嗅いだときのトップの香りが引き立っているか、それともあまり感じないかによって評価を行う。香りが普通であれば交点16の位置であり、香りを感じるほど交点16から遠い位置の右上の端部になり、無臭であれば直線11の左下方の端部になる。芳香の低温(〜室温)における揮発成分は主として吟醸の香気成分であるエステルであり、従来の香味分類によるリンゴ・バナナ・アルコールに相当し、本発明ではこれらを1グループとして評価するようにしている。尚、ヨーグルト、チーズといった香りは、一般にはあまり認知されず、逆に、これらを強く感じる場合は異臭(劣化臭)であるので、ここでは評価しない。
【0031】
「味」は濃い、薄い、に応じて例えば0〜9段階のレベルで評価するが、味の質までは評価しない。味が普通であれば交点16になり、味が濃ければ直線12の右斜め下方の端部になり、また、無味であれば直線12の左斜め上方の端部になる。
【0032】
「色」は、交点16から真下に伸びる直線15を評価部とし、それが何色かは問わない。色が薄ければ(無色透明であれば)交点16であり、色が濃ければ直線15の下方の位置になる。色の濃淡は、当初は搾りたてのフラビン(酵母由来)の青みがかった黄色から熟成を経てアミノ化合物のメイラード反応により次第に褐色化していくことから生じるもので、これらの反応の進行は図6に示した7分類のカラメル・たくあん等によって代表される香味の増加を伴うと考えられる。これらの香味の原因となる物質を多く含む酒は、多く含まない酒と比べた場合、活性炭濾過していなければ色が濃いと判断されることになると考えられる。
【0033】
「炭酸ガス」は、上述したガス感(発泡感)を感じるか否かによって評価する。発酵した液体そのものである日本酒は、搾りたてのときには炭酸ガスが多く含まれている。また、最近では、敢えて発泡性を強調した商品が人気を博している。そこで、本実施形態では、日本酒の特徴の1つを示すものとして評価に加えることとした。
【0034】
ここで、「色」と「炭酸ガス」を1本の線上で二分した理由について説明する。日本酒の色が濃いということは熟成があまり進んでいない状態であり、熟成が進むにつれて次第に色は濃くなる。一般に搾りたての若い酒の場合、発酵中に生産される炭酸ガスをより強く感じるのに対し、加熱処理等を経て熟成が進んだ酒では炭酸ガスが抜けてガス感を殆ど感じなくなる。このように、「色」と「炭酸ガス」は熟成についての評価項目となることから、一本の直線13で「色」と「炭酸ガス」を評価することとしたものである。
【0035】
日本酒を評価する場合、特に、官能評価の場合は人の嗅覚、味覚だけでなく、五感のすべてを駆使して行うものと言って過言ではなく、視覚によって色や、泡及び混濁等を認識し、嗅覚によって香りを認識し、味覚によって味を認識し、触覚によって口あたりを認識している。上述したように、初心者は評価項目を多くしても判断がつかない場合が多いことから、上述したような例えば16種もの評価項目をすべて評価するには多すぎると言える。そこで、本発明者らは、飲食店や酒販店で実際に接客している人達に聞き取り調査をすることにより、日本酒に対する顧客からの要望は、「濃い(甘い)か、薄い(辛い)か」、又は「フルーティで飲みやすい(冷用)か、そうではない(燗用)か」に大別され、それ以外は殆ど記憶に残らないというデータが得られていることから、「香り」と「味」の評価項目を選定することとし、それ以外の評価項目は削除することとしたものである。これにより、特別な訓練等を必要とすることなく初心者であっても日本酒を的確に評価することが可能となる。
【0036】
また、直線13に対して交点16を通って直交する直線、すなわち、平面座標系におけるX軸に相当する直線(図1における破線)によって区別される上側部分は味が薄く淡白で芳香や強いガス感を示していることから冷用に向いているタイプといえる。一方、それとは反対に下側部分は味が濃く、芳香も比較的少なく色も濃いので燗に向いているタイプといえる。そして、各評価ポイントを直線で結んだときに形成される形状において、破線よりも上側に占める面積の割合が大きいほど冷用に向いていて、破線よりも下側に占める面積の割合が大きいほど燗に向いていることが一目瞭然で認知することができる。
【0037】
次に、上述した日本酒の評価チャート1の使用方法について、図2〜図5を参照して4つの日本酒を例にして説明する。まず初めに、評価対象である日本酒について「味」、「香り」、「色」、「炭酸ガス」の各評価を行い、それら各項目についての自己の評価ポイントを第一の直線11から第三の直線13に対して所定の位置に配置する。そして、「味」及び「香り」についてはそれぞれの評価位置のほか交点16を通るようにしてすべての評価位置を直線で結ぶ。これにより日本酒の評価チャート1に所定の形状が表され、この形状に基づいてその日本酒の特徴が表されることになる。
【0038】
図2は、A酒造会社の純米酒「NI」について評価を行ったものである。この日本酒「NI」の場合、「色」は比較的薄いので「1点」、「炭酸ガス」はガス感を感じなかったので「0点」、「芳香」は普通よりもやや弱めなので「感じない」に関して「1点」、「味」はやや薄いので「薄い」に関して「1点」、という評価であり、これはごく普通の中間的な特徴を有する日本酒である。また、冷用にも燗用にも適するタイプであることがわかる。
【0039】
図3は、B酒造会社の日本酒「SK」について評価を行ったものである。この日本酒「SK」は、「色」は比較的薄いので「1点」、「炭酸ガス」はガス感を感じなかったので「0点」、「芳香」は普通よりもやや感じるので「感じる」に関して「1点」、「味」はやや濃いので「濃い」に関して「1点」、という評価であり、平均的な日本酒に比べ、濃い味で、やや熟成しているという特性を有していることがわかる。また、交点16を通る水平な直線(図示せず)よりも下側により広い面積が形成されているので燗に向いているタイプであることがわかる。
【0040】
図4は、C酒造会社の日本酒「MB」について評価を行ったものである。この日本酒「MB」は、ガス感が極めて強いことから「炭酸ガス」は最高の「4点」となり、「色」は比較的薄いので「1点」、「芳香」は普通よりも感じるので「感じる」に関して「2点」、「味」はやや濃いので「濃い」に関して「1点」、という評価である。これにより、日本酒「MB」はフルーティで、冷用タイプであることがわかる。
【0041】
図5は、D酒造会社の日本酒「HM」について評価を行ったものである。この日本酒「HM」は、ガス感はないことから「炭酸ガス」は「0点」、「色」はやや濃いので「2点」、「芳香」はほとんど感じないので「感じない」に関して「3点」、「味」は比較的濃いので「濃い」に関して「3点」、という評価である。味及び色が濃く、芳香が極めて少ないことから、熟成が進んでいる日本酒であることが分かる。換言すれば、味に厚みがあり、燗に適するタイプである。尚、図2〜図5に示した日本酒は、いずれも実在する日本酒である。
【0042】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る日本酒の評価チャートによれば、「香り」及び「味」についての評価項目を、例えば、従来の7種又は16種のような細かな評価基準で評価するのではなく、それよりも上位の評価基準によって評価すると共に、香味に大きな影響を与える「炭酸ガス」の存在と、先入観に影響を与える「色」をさらに加味することで香味等に対する訓練等を行わなくとも通常の人が有する五感に基づいて評価することが可能な必要最低限の評価項目を選定することにより、これまで官能評価の経験のない初心者であっても容易、且つ、的確に日本酒の評価を行うことができるという効果がある。昨今ではブログやSNSといった個人による情報発信も盛んに行われていることから妥当でない評価に基づく誤った情報を発信されることもなく、ひいてはその日本酒についての誤った情報の拡散を防止することができるという効果がある。
【0043】
次に焼酎を対象とした酒類の評価チャート及びその使用方法について、好ましい一実施形態に基づいて詳細に説明する。
図8乃至図12は、本発明に係る焼酎の評価チャートの一実施形態を示す図である。図8に示された焼酎の評価チャート2は、配置された「香り」の評価項目を示す第一の直線21と、この直線21にX字状に交差させた、「味」の評価項目を示す第二の直線22を備えている。
【0044】
本実施形態における焼酎の評価項目では、焼酎は蒸留酒であるため醸造酒である日本酒と異なり、樫樽貯蔵により樽の色が付く以外は無色透明であるか、蒸留の際の高温で脂肪分が揮発して溶け込むことによる白濁ぐらいしか色の特徴は出てこないので、前記の日本酒の評価対象から「色」を除いている。また「炭酸」については、蒸留酒であることから存在しないと考えられるため評価対象から除いている。
【0045】
焼酎を評価する場合も、前記日本酒を評価する場合と同様であり、人の嗅覚、味覚だけでなく、五感のすべてを駆使して行う。その場合、初心者は評価項目を多くしても判断がつかない場合が多いことから、飲食店や酒販店で実際に接客している人達の聞き取り調査に基づいて、「香り」と「味」の評価項目を選定することとし、それ以外の評価項目は削除することとしたものである。これにより、特別な訓練等を必要とすることなく初心者であっても焼酎を的確に評価することが可能となるのである。
【0046】
次に各評価項目について説明する。
「香り」については、米を発酵させる日本酒と異なり焼酎の原料は多種多様なため、単にフルーティか否かではなく複雑な印象を与える。例えば麦焼酎のような軽快なものと、沖縄の泡盛や芋焼酎、赤カブ焼酎などを単一の香気成分に着目して比較することは無意味である。従って、最も印象を与えると思われる原料の香りの強弱で比較することとした。
【0047】
「味」については、蒸留酒であることから殆どがアルコール分であり、その他の原料由来の成分は極微量である。焼酎の味(口あたり)の特徴は、水とアルコール分、そして微量な原料由来成分が熟成によって「あらい」(刺激が強い、辛い)状態から「まるい」(おだやか、甘い)に変化するところにあり、この基準で比較することとした。
【0048】
前記焼酎の評価チャート2は、前記評価項目の「香り」を表す第一の直線21と、「味」を表す第二の直線22とをそれぞれの中央部の一点(=交点26)で交差するように配置している。
そして、「香り」については、香りを「原料の香りが強く感じる」から「アルコールの香りが強く感じる」の間で9段階評価を行い、「どちらでもない」を交点26とする。そして、アルコールの香りが強く感じるほど評価位置は交点26から離れて直線21上を右斜め上方向に向かい、原料の香りが強く感じるほど評価位置は交点26から離れて直線21上を左斜め下方向に向かうようにして評価を行う。
【0049】
同様に、「味」について「味があらい」から「味がまるい」の間で9段階評価を行い、「どちらでもない」を交点26とする。そして、味があらいほど評価位置は交点26から離れて直線22上を左斜め上方向に向かい、味がまるいほど評価位置は交点26から離れて直線22上を右斜め下方向に向かうようにして評価を行う。
【0050】
次に、上述した焼酎の評価チャート2の使用方法について、図9及び図10を参照して説明する。まず初めに、評価対象である焼酎について「香り」、「味」の各評価を行い、それら各項目についての自己の評価ポイントを第一の直線21から第二の直線22に対して所定の位置に配置する。そして、それぞれの評価位置のほか交点26を通るようにして各評価位置を直線で結ぶ。これにより焼酎の評価チャート2に三角形状が表され、この形状に基づいてその焼酎の特徴が表されることになる。
【0051】
図9は、焼酎「E」について評価を行ったものである。この焼酎「E」の場合、原料の特徴があまりなくアルコールの刺激を感じ、少々あらさもあるので、「アルコールの香りが感じる」に関して「2点」、「味があらい」に関して「1点」、という評価であり、これは、軽快で爽やかな(若い)特徴を有する焼酎であることがわかる。
【0052】
図10は、焼酎「F」について評価を行ったものである。この焼酎「F」の場合、「香り」は普通よりも原料の特徴が強かったので「原料の香りが感じる」に関して「2点」、「味」はややまるいので「味がまるい」に関して「1点」、という評価であり、これは、芳醇(重厚)でまろやかな特徴を有する焼酎であることがわかる。
【0053】
前記評価チャートは、日本酒の場合と同様にチャートの形状で視覚的に特徴をとらえることができる。しかし次に説明するように、このチャート以外にも心理学で用いる「エゴグラム」と同様な方式を用いてバーで評価を表すこともできる。消費者は、両者の使いやすい方を選択することができる。
【0054】
図11に示すように、前記バーを用いた焼酎の評価チャート3は、評価項目の「香り」を表す第一のバー31と、「味」を表す第二のバー32と、総合評価を表す第三のバー33を並行に配している。
そして、「香り」については、香りを「原料の香りが強く感じる」から「アルコールの香りが強く感じる」の間で9段階評価を行い、「どちらでもない」を中点35とする。そして、アルコールの香りが強く感じるほど評価位置は中点35から離れて第一のバー31上を左方向に向かい、原料の香りが強く感じるほど評価位置は中点35から離れて第一のバー31上を右方向に向かうようにして評価を行う。
【0055】
同様に、「味」について「味があらい」から「味がまるい」の間で9段階評価を行い、「どちらでもない」を中点36とする。そして、味があらいほど評価位置は中点36から離れて第二のバー32上を右方向に向かい、味がまるいほど評価位置は中点36から離れて第二のバー32上を左方向に向かうようにして評価を行う。
【0056】
更に総合評価として、第三のバー33を用いて、「ボトルごと欲しい」から「勘弁して」の間で5段階評価を行い、「可もなし不可もなく」を中点37とする。そして、評価が好ましいほど評価位置は中点37から離れて第三のバー33上を右方向に向かい、悪い評価ほど評価位置は中点37から離れて第三のバー33上を左方向に向かうようにして評価を行う。
【0057】
前記各バーを用いた焼酎の評価チャート3を使用するときは、「香り」、「味」、「総合評価」を表すそれぞれのバー31,32,33上の、該当する点を結んで、折れ線グラフ状にして表示するのである。
例えば、前記焼酎「E」について表すと、図12に示すように、「香り」は「アルコールの香りが感じる」に関して「2点」、「味」は「味があらい」に関して「1点」、「総合評価」では、「可もなし不可もなし」で「0点」というようになる。
【0058】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る焼酎の評価チャートによれば、「香り」及び「味」についての評価項目を、例えば、従来の7種又は16種のような細かな評価基準で評価するのではなく、それよりも上位の評価基準によって評価すると共に、香味等に対する訓練等を行わなくとも通常の人が有する五感に基づいて評価することが可能な必要最低限の評価項目を選定することにより、これまで官能評価の経験のない初心者であっても容易、且つ、的確に日本酒の評価を行うことができるという効果がある。昨今ではブログやSNSといった個人による情報発信も盛んに行われていることから妥当でない評価に基づく誤った情報を発信されることもなく、ひいてはその日本酒についての誤った情報の拡散を防止することができるという効果がある。
【0059】
以上のように、好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0060】
1 日本酒の評価チャート
11 第一の直線
12 第二の直線
13 第三の直線
14 直線
15 直線
16 交点
2 焼酎の評価チャート
21 第一の直線
22 第二の直線
26 交点
3 焼酎の評価チャート
31 第一のバー
32 第二のバー
33 第三のバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能評価に基づく酒類の特徴を表すための酒類の評価チャートであって、
評価対象である日本酒の「香り」を評価するための第一の直線と、前記日本酒の「味」を評価するための第二の直線とを平面上で交差させると共に、その交点を通過するようにして前記第一の直線と前記第二の直線との間にさらに第三の直線をそれぞれ等角度で配置し、
前記第三の直線のうち、前記交点から一方側の端部までの間を前記日本酒の「色」を評価するための直線とし、前記第三の直線のうち、前記交点から他方側の端部までの間を前記日本酒の「炭酸ガス」を評価するための直線とし、
前記「香り」、前記「味」、前記「色」及び前記「炭酸ガス」の各評価結果を前記第一から第三の各直線の前記交点からの距離によって表したレーダーチャートとしたことを特徴とする酒類の評価チャート。
【請求項2】
請求項1に記載の酒類の評価チャートにおいて、
前記「香り」を評価するための第一の直線は、当該第一の直線が他の直線と交差する交点を香りの質にかかわらず香りの強弱が「普通」である場合の評価を表す基準とし、前記交点から上側に向かって離れるほど「芳香がある」との評価を表し、前記交点よりも下側に向かって離れるほど「芳香を感じない」との評価を表し、
前記「味」を評価するための第二の直線は、当該第二の直線が他の直線と交差する交点を味の質にかかわらず味の濃淡が「普通」である場合の評価を表す基準とし、前記交点よりも上側に向かって離れるほど「味が薄い」との評価を表し、前記交点よりも下側に向かって離れるほど「味が濃い」との評価を表すようにしたことを特徴とする酒類の評価チャート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の酒類の評価チャートにおいて、
前記第三の直線のうち「色」を評価する部分の直線のうち、他の直線との交点を「無色」の評価を表す基準とし、前記交点よりも離れるほど「色が濃い」との評価を表し、
前記第三の直線のうち「炭酸ガス」を評価する部分の直線のうち、他の直線との交点を「ガス感なし」の評価を表す基準とし、前記交点よりも離れるほど「ガス感あり」との評価を表すようにしたことを特徴とする酒類の評価チャート。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の酒類の評価チャートにおいて、
前記第三の直線を「炭酸ガス」を表す直線部分が上側となり、「色」を表す直線部分が下側になるように平面座標系におけるY軸に相当するような垂直方向に配置される直線とし、
「香り」を表す前記第一の直線を当該第三の直線に対して時計回りに60°の傾きで配置すると共に、「味」を表す第二の直線を当該第三の直線に対して反時計回りに60°の傾きで配置したことを特徴とする酒類の評価チャート。
【請求項5】
請求項4に記載の酒類の評価チャートにおいて、
前記評価チャートの前記交点を通る平面座標系におけるX軸に相当するような水平方向の直線を仮想的に配し、前記仮想的に配された直線により二分された上側を冷用タイプであることを表し、前記仮想的に配された直線により二分された下側を燗用タイプであることを表すようにしたことを特徴とする酒類の評価チャート。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の酒類の評価チャートの使用方法において、
評価対象である日本酒の「味」、「香り」、「色」、「炭酸ガス」についての各評価を前記第一の直線から第三の直線のうちの所定の位置に配置するステップと、
前記「味」及び「香り」については各評価位置のほか前記交点を含めて各評価位置を直線で結ぶステップと、を備えてなることを特徴とする酒類の評価チャートの使用方法。
【請求項7】
官能評価に基づく酒類の特徴を表すための酒類の評価チャートであって、
評価対象である焼酎の「香り」を評価するための第一の直線と、前記焼酎の「味」を評価するための第二の直線とを平面上で交差させると共に、その交点を通過するようにして、
前記「香り」及び前記「味」の各評価結果を前記第一と第二の各直線の前記交点からの距離によって表したレーダーチャートとしたことを特徴とする酒類の評価チャート。
【請求項8】
請求項7に記載の酒類の評価チャートにおいて、
前記「香り」を評価するための第一の直線は、当該第一の直線が第二の直線と交差する交点を原料の香りの強弱が「普通」である場合の評価を表す基準とし、前記交点から上側に向かって離れるほど「アルコールの香りが強くなる」との評価を表し、前記交点よりも下側に向かって離れるほど「原料の香りが強くなる」との評価を表し、
前記「味」を評価するための第二の直線は、当該第二の直線が第一の直線と交差する交点を味の刺激が「普通」である場合の評価を表す基準とし、前記交点よりも上側に向かって離れるほど「味があらい」との評価を表し、前記交点よりも下側に向かって離れるほど「味がまるい」との評価を表すようにしたことを特徴とする酒類の評価チャート。
【請求項9】
請求項7と8のいずれか1項に記載の酒類の評価チャートの使用方法において、
評価対象である焼酎の「味」、「香り」についての各評価を前記第一の直線と第二の直線のうちの所定の位置に配置するステップと、
前記各評価位置と前記交点を直線で結ぶステップと、を備えてなることを特徴とする酒類の評価チャートの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−252904(P2011−252904A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116338(P2011−116338)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り [刊行物名] 酒ムリエパスポート [発行者名] 合同会社シボレン(CHEVOLEN LLC) [発行年月日] 平成22年11月20日 [刊行物名] お酒手帖 [発行者名] 株式会社竹書房 [発行年月日] 平成22年12月29日
【出願人】(510062893)合同会社シボレン (1)