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酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンと熱可塑性ポリウレタンエラストマーフィルムとの一体成形体及びそれを用いた製品
説明

酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンと熱可塑性ポリウレタンエラストマーフィルムとの一体成形体及びそれを用いた製品

【課題】加熱圧着が可能であり、従来よりも極めて薄いすべり止め部材を作製することができる、シリコーン層を有する熱可塑性樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンと、加熱圧着により異素材との接着が可能であって、前記液状シリコーンが接着せしめられる面がミラー加工されている熱可塑性ポリウレタンエラストマーフィルム(TPUフィルム)とからなる一体成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンと熱可塑性ポリウレタンエラストマーフィルムとを一体的ならしめた成形体と、この成形体の熱可塑性ポリウレタンエラストマーフィルムの表面側にある酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンにすべり止め部材としての機能を発揮させ、あるいは、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンを係止具として立体的に成形した製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている常温硬化型の液状シリコーンや、HCR(Heat Cured Rubber、以下、単にHCRと略称する)あるいはHVR(Heat Vulcanizing Rubber、以下、単にHVRと略称する)と呼ばれる粘土状のシリコーンを、熱可塑性合成樹脂フィルムに直接接着することは不可能である。本来、液状あるいは粘土状のシリコーンが相手側の素材である熱可塑性合成樹脂フィルムに浸透しないと両者を直接接着できないところ、従来の場合には、液状あるいは粘土状のシリコーンを熱可塑性合成樹脂フィルムに浸透させ得ないからである。
【0003】
そこで、従来は、液状あるいは粘土状のシリコーンと熱可塑性合成樹脂フィルムとの間に、不織布などのシリコーンが浸透可能な媒体を介在させ、液状あるいは粘土状のシリコーンと熱可塑性合成樹脂フィルムとの接着を可能にしていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/032071(WO,A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シリコーンが浸透可能な前記媒体は所定の厚みを有しており、そのために、三層構造の製品は全体として自ずと厚くならざるを得なかった。三層構造の製品が厚くなると、それから作製された製品も厚くなるので、この製品から例えばすべり止め部材を作製した場合には、すべり止め部材をできるだけ薄くすることを考慮に入れてさらに検討を要すべき場合があることも考えられる。
【0006】
上記欠点を解消するべく、シリコーン層を有していてアイロンなどにより加熱圧着が可能であり、なおかつ、従来の場合よりも極めて薄い製品が求められるようになった。そこで、本発明者は、多種多様な素材について鋭意研究を重ねるとともに、それらの試作を重ねて来た。
【0007】
その中で、熱可塑性ポリウレタンエラストマーフィルム(以下、TPUフィルムということもある)が素材の薄さと耐久性などから、媒体として最適であることを見出した。
【0008】
一方、前記常温硬化型の液状シリコーンや前記HCRあるいはHVRと呼ばれる粘土状のシリコーンをTPUフィルムに接着しようとしても、前記各シリコーンがTPUに浸透しないので、安定接着させることができないことも判明した。
【0009】
そこで、さらに研究を重ねたところ、TPUフィルムには酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンが最適であり、特殊なこのシリコーンを用いればTPUフィルムに安定接着することを見出した。
【0010】
また、特殊な上記シリコーンを用いることにより、媒体なしにTPUフィルムに安定接着させることができるので、製品を極めて薄いものとすることができること、さらには、特殊な上記シリコーンはあらゆる形状やあらゆる厚さに加工することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明による一体成形体は、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンと、加熱圧着により異素材との接着が可能であって、前記液状シリコーンが接着せしめられる面がミラー加工されている熱可塑性ポリウレタンエラストマーフィルム(TPUフィルム)とからなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明による一体成形体にあっては、少なくとも酢酸含有の室温硬化型液状シリコーン自体がすべり止め特性に優れており、また、この液状シリコーンがTPUフィルムのミラー加工された面に安定接着しており、さらに、極めて薄いものであるから、それをすべり止め部材として利用した場合に特に有利である。
【0013】
酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンがなぜTPUフィルムに安定接着するかの理由については、酢酸を含有させることによりシリコーン成分の架橋密度が増大するとともに、前記液状シリコーンが接着せしめられるTPUフィルムの面がミラー加工されていることとの相乗効果で、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンがTPUフィルムのミラー加工された面に安定接着すると思われる。
【0014】
一方、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンはあらゆる形状やあらゆる厚さに加工することができるので、一体成形体を様々な用途に使うことが可能となる。
【0015】
また、本発明によるすべり止め部材は、前記一体成形体のTPUフィルムを加熱圧着により異素材に接着させ、前記一体成形体の表面側にある酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンにすべり止め部材としての機能を発揮させることを特徴とするものである。
【0016】
本発明によるすべり止め部材は、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンがTPUフィルムのミラー加工された面に強固に接着せしめられており、加熱圧着により異素材である衣類あるいはその他の身の回り製品に極めて簡単かつ強固に接着させることができるから、すべり止めの機能を十二分に発揮させることができる。
【0017】
また、本発明による係止具は、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンをボタンあるいは前カンなどの係止具として立体的に成形するとともに、前記TPUフィルムに一体的ならしめたことを特徴とするものである。
【0018】
本発明による係止具は、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーン素材をボタンあるいは前カンなどの係止具の形状に極めて簡単に成形されたものであり、また、係止具としての酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンがTPUフィルムのミラー加工された面に強固に接着せしめられており、当該TPUフィルムを加熱圧着により異素材である衣類あるいはその他の身の回り製品に極めて簡単かつ強固に接着させることができるから、係止具としての機能を十二分に発揮させることができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の一体成形体は、少なくとも酢酸含有の室温硬化型液状シリコーン自体がすべり止め特性に優れており、また、この液状シリコーンがTPUフィルムのミラー加工された面に安定接着しており、さらに、極めて薄いものであるから、それをすべり止め部材として利用した場合に特に有利である。
【0020】
また、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンはあらゆる形状やあらゆる厚さに加工することができるので、一体成形体を様々な用途に使うことが可能となるという利点がある。
【0021】
請求項2記載のすべり止め部材は、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンがTPUフィルムのミラー加工された面に強固に接着せしめられており、加熱圧着によりTPUフィルムを異素材である衣類あるいはその他の身の回り製品に極めて簡単かつ強固に接着させることができるから、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンによってすべり止めの機能を十二分に発揮させることができる。
【0022】
請求項3記載の係止具は、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーン素材からボタンあるいは前カンなどの係止具の形状に極めて簡単に成形することができ、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーン製のこの係止具がTPUフィルムのミラー加工された面に強固に接着せしめられており、当該TPUフィルムを加熱圧着により異素材である衣類あるいはその他の身の回り製品に極めて簡単かつ強固に接着させることができるから、係止具としての機能を十二分に発揮させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明による一体成形体とそれを用いた製品の一例について、詳細に説明する。
【0024】
ここに例示する一体成形体とは、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンと、加熱圧着により異素材との接着が可能であって、前記液状シリコーンが接着せしめられる面がミラー加工されている熱可塑性ポリウレタンエラストマーフィルム(TPUフィルム)とが二層に積層されたシート状のものであり、抜き加工により所定の大きさにすることができる。
【0025】
酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンとTPUフィルムとを二層に積層するには、例えば、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンをTPUフィルムのミラー加工された面に塗布するか、印刷するか、あるいは、成形によって、極めて容易に積層状態とすることができる。
【0026】
ここに例示する一体成形体にあっては、少なくとも酢酸含有の室温硬化型液状シリコーン自体がすべり止め特性に優れたものであって、この液状シリコーンがTPUフィルムのミラー加工された面に安定接着しており、極めて薄いものである。したがって、この一体成形体を所定の形状と大きさに分割し、それをすべり止め部材として利用すると特に有利である。
【0027】
酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンが全てのTPUフィルムに安定接着するか否かについても鋭意研究したところ、前記液状シリコーンが接着せしめられる面の加工状況によって、安定接着する場合と安定接着しない場合があることを突き止めた。すなわち、前記液状シリコーンが接着せしめられる面がミラー加工されていると安定接着し、ミラー加工されていない(単に、マット加工されているに過ぎない)と安定接着しないことを見出した。そして、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンと、前記液状シリコーンが接着せしめられる面がミラー加工されているTPUフィルムとを組み合わせることで、最も理想的な一体成形体を提供できることが判明した。
なお、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンがなぜTPUフィルムに安定接着するかの理由については、上述した理由によると思われる。
【0028】
酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンがTPUフィルムに安定接着しているか否かについて、塗工される側の素材(塗工サンプル)を代えて以下の塗工テストを実施した。その結果、表1に示す通り、表面をミラー加工したTPUフィルムA(品番:PX203)に酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンを塗工したものが最も安定しており、実用に向いていることを確認することができた。したがって、前記酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンが接着せしめられる面がミラー加工されたこのTPUフィルムに、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンを塗工した一体成形体が、最も優れているということができる。
【0029】
(塗工テスト)
塗工される側の素材(塗工サンプル)として、表面をミラー加工したTPUフィルムA(品番:PX203)、表面をマット加工したTPUフィルムB(品番:DUS219−CD)、表面をマット加工したTPUフィルムC(品番:DUS214−CDB)と、通常のホットメルトシートとを2枚ずつ用意し、それらをB6程度の大きさにカットし、それぞれの表面にあたる面全体に、ブルースター・シリコン社製の酢酸含有の室温硬化型液状シリコーン(品番:TCS−7370)と、酢酸を含有しない加熱硬化型A剤/B剤混合粘土シリコーン(品番:TCS−7561A/B)を別個に塗布した後、各品番の硬化条件に合わせて硬化させ、それらを素手により断裂させる試験を行った。
【0030】
【表1】

【0031】
なお、前記の表面ミラー加工とは、シリコーンを塗布する側のフィルム面を鏡面加工して艶を出すことであり、また、表面マット加工とは、シリコーンを塗布する側のフィルム面の艶消しをする加工をいう。
【0032】
また、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンの他の特性としては、室温で硬化させ得ること、様々なものに適用させやすいこと、温度や湿度を上げるとキュア率が上がること、引き裂き力に優れていること、腐食しないことなどを挙げることができる。
【0033】
一方、上述したように、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンは様々なものに適用させやすい特性を有するから、あらゆる形状やあらゆる厚さに加工することができ、一体成形体を様々な用途に使うことが可能となる。
【0034】
例えば、前記一体成形体の一つの層を構成するTPUフィルムを、加熱圧着により異素材である衣類あるいはその他の身の回り製品に接着させ、前記一体成形体の表面側にある酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンにすべり止め部材としての機能を発揮させることができる。
【0035】
すなわち、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンがTPUフィルムのミラー加工された面に強固に接着せしめられており、加熱圧着によりTPUフィルムを異素材である衣類あるいはその他の身の回り製品に極めて簡単かつ強固に接着させることにより、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンによってすべり止めの機能を十二分に発揮させることができる。
【0036】
また、例えば、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーン素材をボタンあるいは前カンなどの係止具として立体的に成形するとともに、前記TPUフィルムに一体的ならしめることができる。
【0037】
この場合には、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーン素材からボタンあるいは前カンなどの係止具の形状に極めて簡単に成形することができ、酢酸含有の室温硬化型液状シリコーン製のこの係止具がTPUフィルムのミラー加工された面に強固に接着せしめられており、当該TPUフィルムを加熱圧着により異素材である衣類あるいはその他の身の回り製品に極めて簡単かつ強固に接着させることができるから、係止具としての機能を十二分に発揮させることができる。
【0038】
例えば、ボタンを立体的に成形しておき、TPUフィルムを加熱圧着により衣類あるいはその他の身の回り製品に接着すれば、通常ならば縫製が必要な部分に縫製なしでボタンを取り付けることができる。また、ループ状のループ部材を立体成形しておき、TPUフィルムを加熱圧着により衣類あるいはその他の身の回り製品に接着すれば、通常ならば縫製が必要な部分に縫製なしでループ部材を取り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
ここでは、一体成形体をすべり止め部材と係止具に利用した場合について説明したが、この一体成形体の用途はこれらのみに限定されるものではなく、加熱圧着によりTPUフィルムを異素材に接着させることにより、使用することができるものであれば何にでも適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンと、熱圧着により異素材との接着が可能であって、前記液状シリコーンが接着せしめられる面がミラー加工されている熱可塑性ポリウレタンエラストマーフィルムとの一体成形体。
【請求項2】
請求項1記載の一体成形体の熱可塑性ポリウレタンエラストマーフィルムを加熱圧着により異素材に接着させ、前記一体成形体の表面側にある酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンにすべり止め部材としての機能を発揮させることを特徴とするすべり止め部材。
【請求項3】
請求項1記載の酢酸含有の室温硬化型液状シリコーンをボタンあるいは前カンなどの係止具として立体的に成形するとともに、請求項1記載の熱可塑性ポリウレタンエラストマーフィルムに一体的ならしめたことを特徴とする係止具。

【公開番号】特開2012−153780(P2012−153780A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13051(P2011−13051)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(592024022)八商商事株式会社 (8)
【Fターム(参考)】