説明

酵母菌の培養方法及び培養システム

【課題】酵母菌の培養状態をモニタリングし、他の真菌類の混入を発見したとき、他の真菌類の発育を抑えて、酵母菌のみを優位に発育させる方法の提供。
【解決手段】酵母菌は他の真菌類と異なり、酸素分圧が低い場合、酸素を必要とする酸素呼吸から酸素を必要としないアルコール発酵に代謝を切り替えて発育することができる。この酵母菌の代謝の特徴を利用して、酵母菌を培養している培養容器2内の揮発性成分を質量分析装置8でモニタリングし、異常を検知した場合、培養容器内にある酸素ガスを取り除き、不活性ガスに置き換えて培養する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵母菌の培養方法及び培養システムに関し、特に酵母菌以外の真菌類の有無を検出して酵母菌のみを優位に発育させるための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
酵母ツーハイブリッド解析では、出芽酵母を3日から長くて10日ほど寒天培地上で培養し、その酵母菌を解析に用いる必要がある。しかし、上記培養期間に発育が早い他の真菌類が同じ培地上に生えた場合、その培地上に生えた酵母菌はその後の解析に用いることができない。そのため、培地上に他の真菌類が生えるか否かを早期に発見し、万一発見した場合には、他の真菌類の発育を抑制して酵母菌のみを発育させることが望ましい。しかし、従来は他の真菌類の有無を目視で確認するより方法がなかったため、他の真菌類が培地上に生えていた場合、培地を廃棄せざるを得ず、培地及び培養時間が無駄になっていた。
【0003】
培養のモニタリング及び培養装置として、特開2002−148258号公報には、例として酵母菌を液体培地で培養し、培養液の一部を取り出し、SPRセンサなどを用いて、培養液中に含まれる酵母菌が産生した物質を測定する手段を備えた培養モニタが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−148258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酵母菌の培養においては、酵母菌が十分に育っていない段階で、発育の早い他の真菌類の混入を可能な限り早期に発見する必要がある。さらに、早期に発見した後、速やかに他の真菌類の発育を抑える必要があるため、簡易で且つ他の真菌類の発育抑制に効果的な手法を確立する必要がある。特開2002−148258号公報では、酵母菌を液体培地で培養し、測定に酵母菌自体を利用している。また、酵母菌以外の真菌類が混入した場合の対応については記載されていない。
【0006】
本発明の目的は、酵母菌自体を用いることなく、酵母菌の培養状態をモニタリングし、異常が発生した場合に、速やかに他の真菌類の発育を抑えて、酵母菌の発育を優位にする手法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、酵母菌以外の真菌類の混入を早期に発見するために、酵母菌を培養している培養容器内の酵母菌もしくは酵母菌以外の真菌類が、培養容器内の空間に代謝物質として出している揮発性成分を分析し、異常を検知した場合に、培養容器内雰囲気を不活性ガスに入れ替えて培養する。
【0008】
揮発性成分の分析に質量分析装置を用いることにより、微量の成分も分析することが可能となるため、培養容器内の異常を早期に発見することが出来る。質量分析装置を用いて分析するに当たり、揮発性成分を吸着剤に一旦捕集すると、揮発性成分の回収効率が高まり、高感度且つ効率よく分析することが出来るため好ましい。
【0009】
真菌類は通常好気性で、発育するために酸素が必要不可欠である。しかし、酵母菌は真菌類に分類されるが、酸素分圧が低い場合、酸素を必要とする酸素呼吸から酸素を必要としないアルコール発酵に代謝を切り替えて発育することができる。酸素呼吸の反応は、
グルコース(C6126)+6O2+38ADP+38Pi(リン酸)→6CO2+6H2O+38ATP
となり、アルコール発酵の反応は、
グルコース(C6126)+2ADP+2Pi(リン酸)→2C25OH+2CO2+2ATP
となり、アルコール発酵は酸素呼吸に比べると効率が悪く、エネルギー源となるATPの生産量も格段に落ちる。そのため、酵母菌の生育速度に若干の影響は与えるが、発育した酵母菌の質に問題は無い。
【0010】
上記の酵母菌の代謝の特徴を利用して、酵母菌を培養している培養容器内の揮発性成分のモニタリングにより異常を検知した場合、培養容器内にある酸素ガスを取り除くことにより、酵母菌のみを優位に発育させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、酵母菌の培養において他の真菌類の混入を迅速に検知することができ、さらに、他の真菌類の混入を検知したとき瞬時に培養容器内のガスを酸素を含まないガスに切り替えることにより、酵母菌の発育を他の真菌類の発育より優位にして、効率よく培養できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の酵母菌培養モニタリング及び培養方法の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1に、培養容器内の揮発性成分を測定するシステムを示す。酵母菌を培養している培地プレート1を密閉した培養容器2に入れて、培養容器2の空気口3の弁4と質量分析装置8への流路にある弁5を締めて培養する。培養開始後、例えば6時間おきに質量分析装置8への流路にある弁5を開けて、培養容器2内の揮発性成分をまず吸着剤6に吸着させ、GC(ガスクロマトグラフ)7で物質を分離し、質量分析装置8で物質をイオン化し分子の質量を測定する。質量分析装置8で分析して得られた結果である、GC保持時間、質量数、信号強度の3次元データを、データベース14に登録されている培地プレート1と同じ種類の培地上で培養時の酵母菌から取った、酵母菌のピークと比較する。尚、GC保持時間は分子の揮発性・極性の違いを示し、質量数は分子の構造の違いを示し、信号強度は濃度の違いを示す。
【0014】
データベース14に登録されている酵母菌のピークは、ある質量数、且つあるGC保持時間の範囲に出る、又は、あるGC保持時間におけるある質量数の範囲に出る酵母菌の信号強度の最大値又は信号強度の積分値(面積)とする。尚、酵母菌特有のピークは、あらかじめ酵母菌のみが発育しているプレート数サンプルから、揮発性成分を分析して、全てのサンプルにおいて、一般的に検出限界値とされているS/N=3以上を示したものとする。また、信号強度が出るGC保持時間は多少のずれが生じることもあるため、あらかじめ例えば±4秒ほどの幅を考慮する。また、揮発性成分導入前に質量分析装置内にて検出される信号強度を絶対値の閾値としてあらかじめ設定しておくこととする。
【0015】
図2に、酵母菌のみが発育している2枚のプレートから、酵母菌1,2の揮発性成分を分析し、酵母菌1,2ともにSN比が3以上であった酵母菌の質量数(m/z)=79における信号強度の例を示す。さらに、図2のデータから、質量数(m/z)=79におけるあるGC保持時間範囲内の最大信号強度もしくは範囲内の信号強度の積分値(面積)を酵母菌のピークとして抽出し、データベースに登録する形式の例を図3に示す。データベース14には、図3に示したような形式で、酸素を含む通常の培養雰囲気中で酵母菌のみが培養されているときの揮発性成分の質量分析データと、酸素を含まない不活性ガス雰囲気中で酵母菌のみが培養されているときの揮発性成分の質量分析データが格納されている。
【0016】
培養容器内の揮発性成分を分析した結果、データベースに登録されている酵母菌のピークと異なるSN比3以上の信号強度の検出が無かった場合、もしくはデータベースに登録されている酵母菌のピーク範囲内に検出された最大信号強度が、酵母菌のピークと比較し、3倍以内の場合は、培養を継続する。しかし、データベースに登録されている酵母菌のピークと異なるSN比3以上の信号強度が検出された場合、もしくはデータベースに登録されている酵母菌のピーク範囲内に検出された最大信号強度が、酵母菌のピークと比較し、3倍を超えた場合は、他の真菌類が混入したと判断する。よって、データベースに登録されている酵母菌のピークと異なるSN比3以上の信号強度が検出された場合、及び図4に示すように、酵母菌のピーク範囲内にサンプルから検出された最大信号強度が、酵母菌のピークの3倍を越えた場合、異常値とみなす。3倍の差を異常値の判断基準とした理由は、図5に示すように、酵母菌3サンプルから各GC保持時間範囲内に検出した最大信号強度の値において、サンプル間に最大約2倍のバラツキが確認されたためである。尚、信号強度が出るGC保持時間には、あらかじめ例えば±4秒ほどの幅を考慮する。また、揮発成分導入前に質量分析装置内にて検出される信号強度を絶対値の閾値としてあらかじめ設定しておくこととする。
【0017】
図6に、他の真菌類が混入した酵母菌を培養しているプレートサンプル2つの揮発性成分を分析した結果を示す。図6に示すデータは、質量数(m/z)=198における各GC保持時間に検出された信号強度であり、黒太線にて表示したデータベースに登録されている酵母菌のピークと酵母菌のピーク範囲内に検出されたサンプルの最大信号強度を比較したものである。さらに図7に、図6で示したサンプルのデータとデータベースに登録されている酵母菌のピークを比較し、異常値の判定を実施した結果を示す。異常値と判定されたピークは、○印で示した。サンプル1,2ともに、酵母菌のピークが登録されていないGC保持時間440〜444秒に信号強度が見られたため、この信号強度を異常値と判断した。また、サンプル1においてはGC保持時間449〜453秒に、サンプル2においてはGC保持時間449〜453秒、455〜458秒に酵母菌のピークと比較して3倍を超える最大信号強度が検出されたため、これらの信号強度を異常値と判断した。
【0018】
異常値を検出した場合は、培地内に酵母菌以外の真菌類が混入している可能性があると判断し、図8に示すように、培養容器2の空気口3の弁4を開け、質量分析装置8への流路にある弁5を締めて、空気口3の一方から不活性ガス例えば、窒素又はアルゴン又はヘリウムなどを入れて、容器内の酸素含有ガスを不活性ガスに入れ替える。例えば直径12cm、高さ1cmの容器を使用した場合、容器内の体積はおよそ113cm3となるため、不活性ガスを230cm3以上入れると容器内の酸素含有ガスは酸素を含まない不活性ガスに置き換わる。不活性ガスに置き換えた後、培養容器2の空気口3の弁4を締めて培養し、例えば6時間おきに質量分析装置8への流路にある弁5を開けて、培養容器2内の揮発性成分を分析する。質量分析装置8で分析した結果を、データベースに登録されている、不活性ガス下における酵母菌のピークと比較する。不活性ガス下における酵母菌のピークは、不活性ガス下にて培養した酵母菌から検出される、ある質量数、且つあるGC保持時間の範囲に出る、又は、あるGC保持時間におけるある質量数の範囲に出る信号強度の最大値又は信号強度の積分値(面積)とする。
【0019】
登録されている不活性ガス下における酵母菌のピークと異なるSN比3以上の信号強度が検出された場合、もしくはデータベースに登録されている不活性ガス下における酵母菌のピーク範囲内に検出された最大信号強度が、不活性ガス下における酵母菌のピークと比較し、3倍を超えた場合はその時点で培養を中止し、再培養を行う。しかし、不活性ガス下における酵母菌のピークと異なるSN比3以上の信号強度の検出が無かった場合、もしくはデータベースに登録されている不活性ガス下における酵母菌のピーク範囲内に検出された最大信号強度が、不活性ガス下における酵母菌のピークと比較し、3倍以内の場合は培養を継続する。
【0020】
分析のため、継続的に培養容器内のガスを摂取するに従い、密閉容器内が真空状態に近づく。これを防ぐために、培養容器内のガスを分析した後に、容器内にガスを補充することとする。不活性ガスに置き換えていない培養容器内には、空気成分とほぼ同成分となるように、酸素:窒素=2:8の割合で合わせたガスを補充する。不活性ガスに置き換えた培養容器内には、使用したガスと同じ不活性ガスを補充する。
【0021】
本発明の培養方法は、培養期間の間、図9に示すフローチャートに従い、作業を繰り返すこととする。まず、ステップ11で、培養容器内の揮発性成分を質量分析装置にて測定する。次にステップ12で、測定データをデータベースに登録されている酵母菌のピークと比較し、ステップ13の判定で異常値が検出されなかった場合は、ステップ14に進んで培養容器内に酸素を含むガスを補充して、ステップ15のように培養を継続し、再度ステップ11に戻る。
【0022】
ステップ13の判定で異常値が検出された場合は、ステップ16に進んで培養容器内に不活性ガスを導入し、容器内を不活性ガスに置き換えて培養を継続する。一定時間後に、ステップ17において容器内の揮発性成分を測定し、ステップ18において測定結果をデータベースに登録されている不活性ガス下における酵母菌のピークと比較する。ステップ19の判定で異常値が検出されなかった場合は、ステップ20に進んで不活性ガスを補充して、ステップ21のように培養を継続し、再度ステップ17に戻る。ステップ19の判定で異常値が検出された場合は、その時点で培養を一度中止し、ステップ22に進んで最初から培養をやり直すこととする。
【0023】
本発明の培養方法は、同時に複数の培養容器に対して自動制御でモニタリングを行うことが可能な培養方法である。図10に、2つの培養容器に対して自動制御でモニタリングを行う培養システムの例を示す。このシステムは、質量分析装置8を制御しているパーソナルコンピューターにて、密閉した培養容器2,9内の揮発性成分のモニタリングを行い、ガスの切り替え制御を行う。図中の弁4,5,11,13は、通常時には閉じられていて、必要なときに所定時間だけ開かれる。まず、培養容器2の質量分析装置8への流路にある弁5を開けて、培養容器2内の揮発性成分を吸着剤6に吸着させ、GC(ガスクロマトグラフ)7のカラムに通して物質を分離する。ガスクロマトグラフィカラムから溶出した物質は、質量分析装置8でイオン化し、分子の質量及び信号強度を測定する。分析データをデータベースに登録しておいた酵母菌のみが培養されているときの質量分析データと比較した結果、培養状態に異常が見られなかった場合は弁5を締め、酸素を含むガスを充填した補充用ガスボンベ10の弁11と培養容器2の弁4を開けて、培養容器2内に酸素を含むガスを補充した後、全ての弁を締めて培養を継続する。
【0024】
分析データとデータベースに登録したデータを比較した結果、培養状態に異常が検知された場合には、弁5を締め、不活性ガスボンベ12の弁13と培養容器2の空気口3の弁4を開けて、密閉容器内のガスを不活性ガスに入れ替えた後、全ての弁を締めて培養する。その後、所定時間経過後、弁5を開けて培養容器2内の揮発性成分を吸着剤6に吸着させ、ガスクロマトグラフィカラムで分離した物質を、質量分析装置8でイオン化し、分子の質量及び信号強度を測定する。この分析データを、今度はデータベースに登録しておいた不活性ガス雰囲気において酵母菌のみが培養されているときの質量分析データと比較する。その結果、培養状態に異常が見られなかった場合は、弁5を締め、不活性ガスを充填した不活性ガスボンベ12の弁13と培養容器2の弁4を開けて、培養容器2内に不活性ガスを補充した後、全ての弁を締めて培養を継続する。分析データとデータベースに登録したデータを比較した結果、培養状態に異常が検知された場合には、培養を中止する。
【0025】
続けて、培養容器9についても同様に、質量分析装置8への流路にある弁5を開けて、培養容器2内の揮発性成分をまず吸着剤6に吸着させ、GC(ガスクロマトグラフ)7で物質を分離して、質量分析装置8で物質をイオン化し、分子の質量及び信号強度を測定する。分析の結果、培養状態に異常が見られなかった場合は弁5を締め、補充用ガスボンベ10の弁11と培養容器2の弁4を開けて、培養容器2内に酸素を含むガスを補充した後、全ての弁を締めて培養を継続する。培養状態に異常が検知された場合は、弁5を締め、不活性ガスボンベ12の弁13と培養容器2の空気口3の弁4を開けて、容器内のガスを不活性ガスに入れ替えた後、全ての弁を締めて培養する。さらに各培養容器について、図9のフローチャートに従い作業を繰り返す。
【0026】
図10では酵母菌を2つの培養容器で培養する場合のシステム構成について示したが、3つ以上の培養容器を用いて培養する場合にも、同様にモニタリングしながら培養することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
酵母菌の培養状態をモニタリングし、他の真菌類の混入を早期に発見することが可能であり、且つ、他の真菌類の混入を検知した場合、培養容器内のガスを入れ替えることによって、酵母菌のみを優位に発育させることが可能な培養方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の培養容器内の揮発性成分を測定するシステムの概要図。
【図2】酵母菌から検出された質量分析装置の信号強度を示す図。
【図3】データベースへ登録するデータの形式例を示す図。
【図4】異常なピークの例を示す図。
【図5】酵母菌のピーク強度のバラツキを示す図。
【図6】データベースに登録されている酵母菌のピークとサンプルのピークの比較を示す図。
【図7】本発明による異常値判定の結果を示す図。
【図8】培養容器内のガスの入れ替えを示す模式図。
【図9】本発明による培養方法の手順を示すフローチャート。
【図10】本発明による培養システムの概略図。
【符号の説明】
【0029】
1 培地プレート
2 培養容器
3 培養容器の空気口
4 培養容器の弁
5 質量分析装置用弁
6 吸着剤
7 GC(ガスクロマトグラフ)
8 質量分析装置
9 培養容器
10 補充用ガスボンベ
11 補充用ガス用弁
12 不活性ガスボンベ
13 不活性ガス用弁
14 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の培地に酵母菌を培養する方法において、
前記容器内の揮発性成分を質量分析する工程と、
前記分析結果を、データベースに登録しておいた、酵母菌のみが培養されている時のデータと比較する工程と、
前記比較の結果、分析値に異常値を検出した場合に前記容器内のガスを不活性ガスに入れ替える工程と
を有することを特徴とする酵母菌の培養方法。
【請求項2】
請求項1に記載の酵母菌の培養方法において、前記分析は一定時間ごとに行うことを特徴とする酵母菌の培養方法。
【請求項3】
請求項1に記載の酵母菌の培養方法において、前記容器内のガスを不活性ガスに入れ替えた後、前記容器内の揮発性成分を質量分析し、前記分析結果をデータベースに登録しておいた不活性ガス雰囲気中での酵母菌培養時のデータと比較し、異常値が検出されなければ培養を継続し、異常値が検出されれば培養を中止することを特徴とする酵母菌の培養方法。
【請求項4】
請求項1に記載の酵母菌の培養方法において、前記比較する工程では、検出されたピークがデータベースに登録されている酵母菌のピークと異なる場合、もしくはデータベースに登録されている酵母菌のピークの3倍を越えた場合に前記異常値とすることを特徴とする酵母菌の培養方法。
【請求項5】
酵母菌培養培地を収容した密閉容器と、
前記密閉容器に酸素を含むガスを供給する第1のガスボンベと、
前記密閉容器に不活性ガスを供給する第2のガスボンベと、
前記密閉容器に接続されたガスクロマトグラフィカラムと、
前記第1のガスボンベと前記密閉容器との間の流路を開閉する常閉の第1の流路開閉手段と、
前記第2のガスボンベと前記密閉容器への間の流路を開閉する常閉の第2の流路開閉手段と、
前記密閉容器と前記ガスクロマトグラフィカラムとの間の流路を開閉する常閉の第3の流路開閉手段と、
前記前記ガスクロマトグラフィカラムからの溶出ガスを分析する質量分析装置と、
酵母菌のみが培養されている時の培養雰囲気中の揮発性成分の質量分析データを格納したデータベースと、
前記質量分析装置による分析結果と前記データベースに格納された質量分析データとを比較するとともに前記第1、第2、第3の流路開閉手段を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第3の流路開閉手段を開いて前記密閉容器内のガスを前記ガスクロマトグラフィカラムに導入し、前記導入したガスの前記質量分析装置による分析結果を前記データベースに格納された質量分析データと比較した結果、前記質量分析装置による分析結果に異常値を検出したとき、前記第3の流路開閉手段を閉じるとともに前記第2の流路開閉手段を開き、前記密閉容器内のガスを前記第2のガスボンベからの不活性ガスに入れ替える制御を行うことを特徴とする酵母菌培養システム。
【請求項6】
請求項5記載の酵母菌培養システムにおいて、前記第3の流路開閉手段と前記ガスクロマトグラフィカラムとの間の流路にガスを吸着する手段を有することを特徴とする酵母菌培養システム。
【請求項7】
請求項5記載の酵母菌培養システムにおいて、前記制御部は、所定の時間間隔で前記第3の流路開閉手段を開いて前記密閉容器内のガスを前記ガスクロマトグラフィカラムに導入し、前記導入したガスの前記質量分析装置による分析結果を前記データベースに格納された質量分析データと比較することを特徴とする酵母菌培養システム。
【請求項8】
請求項5記載の酵母菌培養システムにおいて、前記データベースは不活性ガス雰囲気において酵母菌のみが培養されている時の培養雰囲気中の揮発性成分の質量分析データも格納しており、前記制御部は、前記密閉容器内のガスを前記第2のガスボンベからの不活性ガスに入れ替えた後は、前記質量分析装置による分析結果を前記不活性ガス雰囲気において酵母菌のみが培養されている時の培養雰囲気中の揮発性成分の質量分析データと比較することを特徴とする酵母菌培養システム。
【請求項9】
請求項5記載の酵母菌培養システムにおいて、前記制御手段は、前記第3の流路開閉手段を開いて前記密閉容器内のガスを前記ガスクロマトグラフィカラムに導入した後、前記第1の流路開閉手段を開いて前記密閉容器内にガスを補充することを特徴とする酵母菌培養システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−291116(P2009−291116A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147086(P2008−147086)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】