説明

酵素による連続的な糊抜き法

デンプン糊付けした織物の連続的な糊抜き法が記載されている。ここでは、酵素混合物及びバクテリア−アルファ−アミラーゼを含有するpH5〜7.5の浴液を含有する浴液中に織物を浸漬させ、その後、高められた温度で処理する。浴液でパディングされた、つまり湿潤した織物を連続な導通が可能な空気乾燥機に導き、前記空気乾燥機中に約120℃及び水蒸気含分25〜30体積%の雰囲気を生じさせた場合、糊抜きは殊に低コストである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンプン糊付けし、かつ酵素混合物及びバクテリア−アルファ−アミラーゼを含有するpH5〜7.5の浴液中に浸漬させた織物を、高められた温度で連続的に酵素により糊抜きするための方法に関する。
【0002】
この種の方法は、Cognis社のパンフレットに見出し語”Forylase AT”として記載されており;ここで”Forylase”は登録商標である。パンフレットの記載によれば、Forylaseとはデンプン糊付けされた織物を酵素により糊抜きするために適当なバクテリア−アルファ−アミラーゼである。これは連続運転における使用が予定されている。Cognis社の記載によれば、バクテリア−アミラーゼは水溶性物質中のデンプンの迅速かつ完全な分解を確実なものとし、かつ、60〜100℃のバクテリア−作用温度範囲で、pH値5.5〜7.5でその有効性を発揮する。公知の連続法のためには、とりわけ2〜4ml/バクテリア−アルファ−アミラーゼlを有する浴液が準備される。糊抜きすべき織物は浴液中に浸漬され、パッド−スチーム−装置中で100℃で2〜5分間飽和蒸気処理され、引き続き洗浄機中で95℃で洗浄される。パッド−スチーム−装置の運転には費用がかかる。
【0003】
長尺物状のセルロース物品を糊抜きするためのもう1つの連続的な方法は、WO00/17437号に記載されている。この方法の場合、セルロース物品に過−化合物を含有する処理浴液を施与し、糊抜きと精練とを組み合わせる。多くの場合、攻撃的な過−化合物は、例えば環境保護の理由から望ましくない。
【0004】
EP0797698B1号には、セルロース物品の反応性染色の際の発色固着のための装置が記載されている。この方法の場合、反応性染色剤を含有する染色浴液を物品にパディングする。パッド(Foulard)に、空気乾燥機、例えばホットフルーを後接続する。空気乾燥機は、物品の入口及び出口と制御可能な循環通気機とを有するチャンバ、及び、循環空気中の所定の水蒸気含分を調節するための手段を有する。それにより、攻撃的な化学薬品を必要とすることなく、使用された染色剤の反応性が物品の乾燥に応じて最適なカラーイールドをもたらすことが達成されるはずである。しかしながらこの方法は糊抜きのために予定されたものでもないし、糊抜きに適当でもない。
【0005】
本発明は、攻撃的な化学薬品も、費用のかかるパッド−スチーム−装置も必要としない、デンプンを含む糊で処理された物品の糊抜きのための連続的方法を達成するという課題に基づいていた。
【0006】
本発明による解決法は請求項1に記載されている。これは、冒頭に記載された方法に関して、有利に、(酵素混合物並びにバクテリア−アルファ−アミラーゼを含有する)浴液でパディングされた、即ち湿潤された織物の糊抜きを、連続的な導通が可能な空気乾燥機中で行い、前記空気乾燥機中に約120℃及び水蒸気−含分約25〜30体積%の雰囲気を生じさせ、前記雰囲気は織物に約68〜70℃の作用温度をもたらすことである。作用温度(又はバクテリア−作用温度)とは、上記のバクテリアが糊抜きにおいて活性である温度である。本発明の若干の改善及びその他の実施態様は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明は、アルファ−アミラーゼ中のバクテリア及び酵素混合物は、水蒸気25〜30体積%で、上記の狭い作用温度範囲内で殊に良好であるため、デンプン糊付けした織物において、織物又はその繊維を損傷することなく、デンプンを迅速かつ完全に −規模に応じて2分間で− 分解するという本発明者の洞察に基づく。
【0008】
本発明により予定された空気乾燥機は、原則的に、EP0797698B1号に記載されているように形成されてよい。根本的に、本発明は、デンプンで糊付けされた織物における糊抜きのために、乾燥機、例えばホットフルー又は幅出機を使用すること、つまり元来全く別の目的のために構想された機器を使用することである。従って本発明は、予めパッド中で酵素混合物及びバクテリア−アルファ−アミラーゼを含有する糊抜き浴液を吸入した織物長尺物を糊抜きするためのそのような空気乾燥機の使用として記載されることもできる。
【0009】
デンプンを含有する糊を用いて、実際には例えばデニム経糸を処理する。本発明に従って糊抜きすべき織物は、有利にデニム物品である。この物品は、糊付けされかつインジゴ染色された経糸と、一般に白色の緯糸とから成る。本発明によれば、織物−長尺物を、(酵素/アルファ−アミラーゼ−浴液での)パディングの後に、前記の空中湿度及び温度で乾燥させ、引き続き、直ちに洗浄し、その後ステッチングして最後にステッチングされた衣服として効果的に洗浄するか、又は乾燥後にようやくステッチングし、その後、洗浄/効果洗浄することができる。
【0010】
実施例の概略図をもとに本発明の詳細を説明する。
【実施例】
【0011】
織機から来る織物1をパッド2中で浴液3に導通させ、引き続き絞り装置4中で脱水し、その後空気乾燥機5中で空気温度約120℃で水蒸気含分約25〜30体積%で乾燥させる。この雰囲気中で、湿潤された織物は68〜70℃のいわゆる冷却限界温度を有し、これは織物の一時的な湿度とは無関係に、使用するバクテリアの作用のために十分に長く一定のままである。空気乾燥機5に続き、織物を第一の洗浄機6、ステッチング部7に導通させ、最後に衣服として第二の洗浄機8に導通して効果的に洗浄することができる。それとは別に、未洗浄であるが糊抜きはされている織物1を直ちにステッチング部に導き、引き続き、衣服として第二の洗浄機8を有する洗浄部に導通させることができる。織物1はもはや長尺物としてではなくステッチングの完成した衣服として第二の洗浄機8に到達する。
【0012】
空気乾燥機5が(示されているような)ホットフルーである場合、織物1を、空気乾燥機5中で、ループ部11中の数多くの下方及び上方ガイドローラ9ないし10を介して導き、ここでノズル12から、下方及び上方から送風する。ケーシング13により包囲された、空気乾燥機5のチャンバ14に、ノズルを通じて、120℃及び水蒸気25〜30体積%である前記の湿度の循環空気を吹き込む。密封のために、ケーシング14は織物長尺物のための入口スリット15及び出口スリット16を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施態様を示す概略図。
【符号の説明】
【0014】
1 織物
2 パッド
3 浴液
4 絞り装置
5 空気乾燥機
6 洗浄機
7 ステッチング部
8 洗浄機
9 下方ガイドローラ
10 上方ガイドローラ
11 ループ部
12 送風ノズル
13 ケーシング
14 チャンバ
15 入口スリット
16 出口スリット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプン糊付けし、かつ酵素混合物及びバクテリア−アルファ−アミラーゼを含有するpH5〜7.5の浴液(3)中に浸漬させた織物(1)を、高められた温度で連続的に酵素により糊抜きするための方法において、浴液(3)でパディングされた織物(1)を連続的な導通が可能な空気乾燥機中で処理し、前記空気乾燥機中に約120℃及び水蒸気含分25〜30体積%の雰囲気を生じさせ、前記雰囲気は湿潤された織物(1)に約68〜70℃の作用温度をもたらすことを特徴とする糊抜き法。
【請求項2】
空気乾燥機としてホットフルーを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
空気乾燥機として幅出機を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
デニム−物品において使用する、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2006−513335(P2006−513335A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567247(P2004−567247)
【出願日】平成15年12月6日(2003.12.6)
【国際出願番号】PCT/DE2003/004023
【国際公開番号】WO2004/067830
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(501169213)アー モンフォルツ テクスティールマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】A.Monforts Textilmaschinen GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Schwalmstrasse 301, D−41238 Moenchengladbach, Germany
【Fターム(参考)】