説明

酵素の固定化

本発明は、酵素、多官能価アミン及び架橋剤を、ミキサー装置又は流動層装置において粒状多孔性キャリヤー上に吸着することによる酵素の固定化に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、固定化された酵素生成物の生成方法、及び連続的酵素基材の方法、例えば有機合成へのそのような固定化された酵素生成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
酵素固定化は、酵素が固定され、そしてまだ官能的であり、そして酵素がそれが適用される溶媒に開放されないキャリヤー上に酵素生成物を固定化することに関する。ほとんどの通常固定化される酵素は、異性体化反応のために使用されるグルコースイソメラーゼである。
【0003】
酵素の産業使用はしばしば、それらの高い費用及び急速的な不活性化により制限される。産業的プロセスにおけるそれらの経済的実施可能性を改良するために、酵素は一般的に、マトリックス上に固定される。固定化は酵素の再使用を促進し、そして酵素の選択性及び安定性に影響を及ぼすことができる。固定化研究は主に、支持体上への酵素の移行を増強する手段、及び移行された酵素が活性的に持続することを確保するための手段に焦点を合わせて来た。
【0004】
多くの異なった有機及び無機支持体マトリックス及び酵素固定化技法は、最少の酵素分解又は不活性化を伴って、高レベルの酵素摂取を達成するための観点により試みられてきた。
【0005】
酵素固定化のために広く使用されるアプローチは、共有架橋工程として言及され、そしてアメリカ特許第4,071,409号(Messingなど.)により例示されている。この特許の教授によれば、支持体媒体は、酵素の遊離官能基に、架橋剤により結合され得る官能価を提供するために変性されるか又は被覆される。
【0006】
従来技術に記載される多くの産業的固定化工程においては、キャリヤー又は支持体の材料が、カラム形状化された吸着容器に配置され、そして酵素含有液体が、キャリヤー上への酵素の十分な吸着が得られるまで、再循環される。吸着段階に続いて、カラムは、酵素キャリヤー生成物をトレー中に手動的に移すことにより、空にされる。次に、生成物は、室温で14〜16時間、真空下にトレーを置くことにより乾燥される。
【0007】
EP0216272号は、ポリアミンにより処理され、そして例えば、グルタルアルデヒドと反応され、その後、酵素と反応され、固定化された酵素が形成される、粒質珪藻土を記載する。それは円形反応器における水溶液において調製される。
EP0641859号は、ポリアミンにより処理される粒質珪藻土キャリヤーを記載する。さらに、アミン反応性材料が、固定された酵素を形成するためにキャリヤーと接触される酵素と反応せしめられる。それは、カラムにおける水溶液において調製される。
【0008】
アメリカ特許第4,438,196号は、ポリアミンと反応される炭素キャリヤーを記載し、前記キャリヤーは、さらに、反応体及び最終的に酵素と反応され、固定化された酵素が形成される。
アメリカ特許第4,141,857号は、多孔性キャリヤーと、ポリアミン及びその後、反応体と反応することにより調製される酵素支持体の調製を記載する。
【0009】
他の固定化方法が、WO 95/22606号 (Pedersen など.) 及び WO99/33964号 (Christensen など.)に記載されている。
WO95/22606号は、酵素含有液体が押出し機又は粒質化装置において多孔性シリカキャリヤーと接触される方法を記載する。
WO99/33964号は、固定化が流動層装置において調製される固定化方法を開示する。
【0010】
CA227731号は、表面ヒドロキシル基を有するシリカ支持体を、ポリアルデヒドを含んで成る第1水溶液と共にインキュベートし、そして続いて酵素を含んで成る第2水溶液と、変性された支持体との接触を可能にし、そして最終的に溶液から支持体を除去することによる、酵素の固定化方法を記載する。
【0011】
EP133531号は、(a)酵素及びポリエチレンイミンを含む水性媒体中に導入し、そして(b)前記水性媒体にグルタルアルデヒド及びキトサンを添加し、そして続いて、前記液体媒体から架橋された生成物を除去することによる、酵素の固定化方法を記載する。
アメリカ特許第4,888,285号(Nishimuraなど.)においては、シリカゲルが有機溶媒におけるアミノシラン誘導体との反応により変性される。次に、得られるアミノ化された支持体がグルタルアルデヒド、タンニン酸及びキトサンの存在下で酵素に供給される。
【0012】
EP0206687号は、酵素の分散体を、ポリアゼチジンプレポリマー及びグルタルアルデヒドと共に混合し、続いて脱水することを含んで成る固定方法を開示する。
固定された酵素は、種々の産業用途、例えば排水処理、医薬及び化学薬品の製造内の連続酵素反応に使用されることが知られている。
【発明の開示】
【0013】
発明の要約:
本発明の1つの目的は、キャリヤー上に固定される高められた量の酵素を有する生成物、及び最終用途への使用の間、酵素を浸出する傾向の低い生成物を提供する、酵素の産業的固定化のための単純且つ効果的方法を提供することである。
【0014】
本発明の方法は、既知の固定化方法から得られる固定化された酵素生成物に比較して、最終用途への使用の間、より高い酵素活性及び酵素を浸出する低められた傾向を有する固定化された酵素を提供することが驚くべきことには見出された。
【0015】
従って、本発明は、第1の観点においては、次の段階:
a)酵素を含んで成る液体媒体を調製し;
b)多官能価アミンを含んで成る液体媒体を調製し;
c)架橋剤を含んで成る液体媒体を調製し;
d)前記a)、b)及びc)の液体媒体を、粒状多孔性キャリヤー上に導入する段階を含んで成る、固定化された酵素調製物の生成方法を提供し、ここで前記粒状多孔性キャリヤー上への前記a)、b)及びc)の液体媒体の導入がいずれの順序であっても又は同時であっても良く、そして前記工程に導入される液体の量が、前記キャリヤーの吸着用量を超えない。
【0016】
第2の観点においては、本発明は、上記方法により得られる固定化された酵素生成物に向けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の特定の記載:
概論:
酵素の固定化は多くの年月の間、知られている。固定化された酵素生成物は、有機化合物の酵素変性に、例えば、有機合成方法に使用され得る。
本発明に従って調製される固定化された酵素は、広範囲の酵素使用される方法、例えば医薬、特定の日用化学薬品、排水処理及び高フルクトースシロップ生成への有能な用途を有する。
【0018】
通常、前記方法に使用される固定された酵素生成物は数度、再使用され得る。しかしながら、固定化された酵素生成物が浸出し、時間にわたって固定化された酵素生成物の酵素活性の活性低下をもたらす場合、酵素生成物は、できるだけ所望する回数、再使用され得ない。さらに、固定された酵素生成物の使用の間、酵素の浸出に関する問題は、浸出された酵素が、所望できない有機合成の生成物に存在するであろうことである。
【0019】
本明細書に記載される発明は、酵素の固定化方法である。前記方法は、酵素、多官能価アミン及び架橋剤と共に適切なキャリヤーを含浸することを包含する。
固定化された酵素システムは、特定の態様においては、次のものを含んで成る:
−連続的に充填される層反応体及び連続的に撹拌されるタンク反応体に使用されるために高い物理的強度を有する粒質キャリヤー;
−酵素;
−多官能価アミン;
−架橋剤。
【0020】
多官能価アミンの機能は、架橋剤及び酵素アミン基と共有架橋するために適切なアミン基の網状構造を供給することである。多官能価アミンは、固定化された酵素生成物に機械的強度を提供し、そして酵素の全体的な架橋を改良し、そしてそれにより、多官能価アミンが付加されたキャリヤーからの酵素の浸出を最少にする。
【0021】
架橋剤は、共有架橋を生成するために、多官能価アミン及び酵素と反応する多又は二官能価試薬である。架橋剤はまた、多官能価アミン間で、及び酵素間で分子間反応することができる。結合剤がまた、シリカ粒子表面からの磨耗を最少にするために、例えば架橋の前、挿入され得る。
【0022】
最初に、高い酵素活性を有し、そしてさらに、既知固定された酵素よりも浸出しない固定化された酵素生成物を得ることが、本発明の方法により可能であることが驚くべきことに見出された。本発明の重要な観点は、固定化方法が他の大きな標準装置により容易に拡大され得ることである。従って、上記に与えられる装置設定範囲は、より大きな規模の装置を最適化するために調節され得る。
【0023】
キャリヤー
キャリヤーは、本発明の1つの態様においては、固体キャリヤーである。本発明のもう1つの態様においては、キャリヤーは多孔性キャリヤーである。
【0024】
本発明のキャリヤーは、本発明の1つの態様においては、粒状多孔性材料である。粒状多孔性材料を製造する粒子は適切には、50〜1500μm、例えば100〜1000μm、好ましくは250〜700μmの範囲の直径を有し;5〜1000m2/g、20−1000m2/g、特に100〜700m2/g、より特定には10−300m2/gの表面積を有し;そして5nm〜50μm、例えば5nm〜100nm、特に10〜500nm、より特定には100〜300nmの粒度を有する。本発明の特定の態様においては、粒質多孔性材料を製造する粒子の粒度は、100〜600μmである。本発明のより特定の態様においては、粒質多孔性材料を製造する粒子の粒度は、150〜500μmである。本発明のさらにより特定の態様においては、粒質多孔性材料を製造する粒子の粒度は、200〜450μmである。本発明の最も特定の態様においては、粒質多孔性材料を製造する粒子の粒度は、250〜400μmである。
【0025】
キャリヤー粒子は、無機、有機、又は無機及び有機材料を含んで成る。前記キャリヤーはさらに、親水性又は疎水性表面を有することができる。
【0026】
本発明の第1の観点においては、キャリヤー粒子は、親水性又は疎水性液体又はその混合物において実質的に不溶性である、実質的に親水性の表面を有する無機材料を含んで成る。キャリヤーは、シリカ (例えば、Degussa, Germanyからの Sipernat 2200)、 ゼオライト(例えば、Degussa, Germany からのWessalith MS330)、 アルミナ、 珪藻土、 セラミック(例えば、Yoshihiko Hirose et Al., Proceedings from 3rd International Symposium on Biocatalysis and Biotransformations, La Grande Motte, France, 1997, p238に開示される)及びカオリン(例えば、アメリカ特許第5,614,401号に開示されるように酸、熱水及びベーキング処理にゆだねられたカオリン)に基づかれ得る。本発明の特定の態様においては、粒状多孔性キャリヤーは、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ、セラミック及びカオリンから成る群から選択される。
【0027】
本発明の特定の機能においては、キャリヤーは、金属酸化物、例えばアルミナ、特にγアルミナ、シリカ、ジルコニア、シリカマグネシア、シリカ−ジルコニア−アルミナ、等であり得る。
【0028】
本発明の第2の観点においては、キャリヤー粒子は、酸処理されたカオリンキャリヤーがN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランにより被覆されている、JP09000257−Aに記載のようにして、有機成分により被覆され、従って実質的に疎水性表面を有する、第1の態様に記載されるような親水性無機材料を含んで成る。さらに、キャリヤーはJP08126489−Aに記載され、ここで水不溶性キャリヤーは、酵素とジスルフィド結合を形成するポリマーにより被覆されている。
【0029】
本発明の第3の観点においては、キャリヤー粒子は有機ポリマー樹脂を含んで成る。樹脂は、吸着性樹脂、好ましくはポリアクリレート、ポリメタクリレート(例えば、ポリメチル、メタクリレート)、ジビニルベンゼンにより架橋されたポリスチレン、ポリウレタン又はポリプロピレンであり得るか、又は樹脂は、イオン交換樹脂、好ましくはアニオン交換樹脂、例えば弱塩基性アニオン交換樹脂であり得る。好ましいアニオン交換樹脂は、Rohm & Haasからのフェノール型Doulite樹脂である。さらに、キャリヤーは、DE4429018−Aに開示されるように、再生されたキトサンから製造され得る。
【0030】
酵素
本発明に従って固定化される酵素は、酵素基材の方法への使用のために適切ないずれかの酵素であり得る。
本発明における酵素は、いずれかの酵素又は異なった酵素の組合わせであり得る。従って、“酵素”が言及される場合、これは一般的に、1種の酵素又は酵素の組合わせを包含することが理解されるであろう。従って、本発明の固定化された酵素は、いくつかの異なった酵素を含んで成る。
【0031】
酵素変異体(例えば、組換え技法により生成される)は、用語“酵素”の意味内に包含されることが理解されるべきである。そのような酵素変異体の例は、例えばEP 251 ,446 号(Genencor), WO 91/00345 号(Novo Nordisk), EP 525,610 号(Solvay) 及びWO 94/02618号 (Gist-Brocades NV)に開示される。
【0032】
酵素は、ハンドブック(Enzyme Nomenclature from NCIUBMB, 1992)に基づいて分類され得;また、インターネット上のENZYMEサイトhttp://www.expasv.ch/enzyme/も参照のこと。ENAYEは、酵素の命名法に関する情報貯蔵所である。それは主に、Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology (IUB-MB), Academic Press, Inc., 1992の推薦に基づかれ、そしてそれはEC(Enzyme Commission)番号が供給されている個々のタイプの特徴づけられた酵素を記載する(Bairoch A. The ENZYME database, 2000, Nucleic Acids Res 28:304-305)。このIUB−MB Enzyme命名法は、それらの基質特異性及び時折り、それらの命名機構に基づかれ;そのような分類は、それらの酵素の構造特徴を表してはいない。
【0033】
アミノ酸配列類似性に基づかれるファミリーにおける一定のグリコシドヒドロラーゼ酵素、例えばエンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、ガラクタナーゼ、マンナナーゼ、デキストラナーゼ及びα−ガラクトシダーゼのもう1つの分類が、数年前、提案されている。それらは現在、90種の異なったファミリーに分類されている;CAZY(ModO)インターネットサイト(URLでのCoutinho, P.M. & Henrissat, B. (1999) Carbohydrate-Active Enzymesサーバー:http://afmb.cnrs-mrs,fr/~cazy/CAZY/index.html)を参照のこと(対応する文献:Coutinho, P.M. & Henrissat, B. (1999) Carbohydrate-active enzymes: an integrated database approach. In "Recent Advances in Carbohydrate Bioengineering", H.J. Gilbert, G. Davies, B. Henrissat and B. Svensson eds., The Royal Society of Chemistry, Cambridge, pp. 3-12; Coutinho, P.M. & Henrissat, B. (1999) The modular structure of cellulases and other carbohydrate-active enzymes: an integrated database approach. In "Genetics, Biochemistry and Ecology of Cellulose Degradation"., K. Ohmiya, K. Hayashi, K. Sakka, Y. Kobayashi, S. Karita and T. Kimura eds., Uni Publishers Co., Tokyo, pp. 15-23)。
【0034】
本発明の液体に存在し得る型の酵素は、オキシドレダクターゼ(EC1.-.-.-)、トランスファラーゼ(EC2.-.-.-)、 ヒドロラーゼ(EC3.-.-.-)、 リアーゼ(EC4.-.-.-)、 イソメラーゼ(EC5.-.-.-)及びリガーゼ(EC6.-.-.-)を包含する。
【0035】
本発明における好ましいオキシドレダクターゼは、ペルオキシダーゼ(EC 1. 11. 1)、ラッカーゼ(EC 1. 10. 3. 2)及びグルコースオキシダーゼ(EC 1. 1. 3. 4)である。市販のオキシドレダクターゼ(EC1.-.-.-)の例は、GluzymeTM (Novozymes A/Sから入手できる酵素)である。さらなるオキシドレダクターゼは、他の供給者から入手できる。好ましいトランスフェラーゼは、次ぎのサブクラスのいずれかにおけるトランスフェラーゼである:
【0036】
a)1−炭素基を転移するトランスフェラーゼ(EC 2. 1);
b)アルデヒド又はケトン残基を転移するトランスフェラーゼ(EC 2. 2);アシルトランスフェラーゼ(EC 2. 3);
c)グリコシルトランスフェラーゼ(EC 2. 4);
d)アルキル又はメチル基以外のアリールを転移するトランスフェラーゼ(EC 2. 5);及び
e)窒素基を転移するトランスフェラーゼ(EC 2. 6)。
【0037】
本発明における最も好ましい型のトランスフェラーゼは、トランスグルタミナーゼ(タンパク質−グルタミンγ−グルタミルトランスフェラーゼ;EC 2. 3. 2. 13)である。
適切なトランスグルタミナーゼのさらなる例は、WO96/06931号(Novo Nordisk A/S)に記載される。
【0038】
本発明における好ましいヒドロラーゼは、次ぎのものである:カルボン酸エステルヒドロラーゼ(EC 3. 1. 1. −)、例えばリパーゼ(EC 3. 1. 1. 3);フィターゼ(EC 3. 1. 3. −)、例えば3−フィターゼ(EC 3. 1. 3. 8)及び6−フィターゼ(EC 3. 1. 3. 26);グリコシダーゼ(EC 3. 2, “カルボヒドラーゼ”として本明細書において示される群内にある)、例えばα−アミラーゼ(EC 3. 2. 1. 1);ペプチダーゼ(EC 3. 4, プロテアーゼとしても知られている)及び他のカルボニルヒドロラーゼ。
【0039】
本明細書においては、用語“カルボヒドラーゼ”とは、特に5−及び6−員の環構造体の炭水化物鎖(例えば、澱粉)を分解することができる酵素(すなわち、グリコシダーゼ、EC 3. 2)のみならず、また炭水化物、例えば、6−員の構造体、例えばD−グルコースを、5−員の環構造体、例えばD−フルクトースに異性体化できる酵素を示すために使用される。
【0040】
適切なカルボヒドラーゼは次ぎのものを包含する(括弧でEC番号):α−アミラーゼ(3. 2. 1. 1)、β−アミラーゼ(3.2. 1. 2)、グルカン1,4−α−グルコシダーゼ(3. 2. 1. 3)、エンド−1,4−β−グルカナーゼ(セルラーゼ3. 2. 1. 4)、エンド−1,3(4)−β−グルカナーゼ(3.2.1.6)、エンド−1,4−β−キシラナーゼ(3.2.1.8)、デキストラナーゼ(3.2.1.11)、キチナーゼ(3.2.1.14)、ポリガラクツロナーゼ(3.2.1.15)、リゾチーム(3.2.1.17)、β−グルコシダーゼ(3.2.1.21)、α−ガラクトシダーゼ(3.2.1.22)、β−ガラクトシダーゼ(3.2.1.23)、アミロ−1,6−グルコシダーゼ(3.2.1.33)、キシラン1,4−β−キシロシダーゼ(3.2.1.37)、グルカンエンド−1,3−β−D−グルコシダーゼ(3.2.1.39)、α−デキストリンエンド−1,6−グルコシダーゼ(3.2.1.41)、スクロースα−グルコシダーゼ(3.2.1.48)、グルカンエンド−1,3−α−グルコシダーゼ(3.2.1.59)、グルカン1,4−β−グルコシダーゼ(3.2.1.74)、グルカンエンド−1,6−β−グルコシダーゼ(3.2.1.75)、ガラクタナーゼ(3.2.1.89)、アラビナンエンド−1,5−α−アラビノシダーゼ(3.2.1.99)、ラクターゼ(3.2.1.108)、キトサナーゼ(3.2.1.132)、グルコースイソメラーゼ(5.3.1.9)及びキシロースイソメラーゼ(5.3.1.5)。
【0041】
固定化される、最も通常使用される酵素は、グルコースイソメラーゼ及びリパーゼである。
グルコースイソメラーゼ:
適切なグルコースイソメラーゼは、細菌又は菌類起源のそれらを包含する。化学的に修飾された、又はタンパク質構築された変異体が包含される。
【0042】
リパーゼ:
適切なリパーゼは、細菌又は菌類起源のそれらを包含する。化学的に修飾された、又はタンパク質構築された変異体が包含される。
【0043】
有用なリパーゼの例は、EP258068号及びEP305216号に記載されるように、カンジダ(Candida)又はリゾムコル(Rhizomucor)、C. アンタルクチカ(C. antarctica)、R. ミエヘイ(R. miehei)、ヒフォザイマ(Hyphozyma)、ヒューミコラ(Humicola)(別名、サーモミセス(Thermomyces))、例えばH. ラヌギノサ(H. lanuginose)(T. ラヌギノサ)からの又はWO96/13580号記載されるようなH. インソレンス(H. insolens)からのリパーゼ;P.アルカゲネス(P. alcaligenes)又はP. シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)(EP218272号)、P. セパシア(P. cepacia)(EP331376号)、P. スツゼリ(P. stutzeri)(GB1,372,034号)、P. フルオレセンス(P. fluorecens)、シュートモナスsp. 株SD705(WO95/06720号及びWO96/27002号)、P. ウイスコンシネンシス(P. wisconsinensis)(WO96/12012号)からのシュートモナスリパーゼ;バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)(Dartoisなど. (1993), Biochemica et Biophysica Acta, 1131, 253-360)、B. ステアロサーモフィラス(B. Stearothermophilus)(JP64/744992号)又はB. プミラス(B. pumilus)(WO91/16422号)からのバチルスリパーゼを包含する。リパーゼは、基質としてのトリグリセリドとの相互作用に基づいて、位置的に部位特異的(すなわち、1,3特異的)、又は非特異的であり得る。
【0044】
さらに、多くのクローン化されたリパーゼ、例えばペニシリウム・カメムベルチ(Penicillium camembertii)リパーゼ(Yamaguchiなど.,(1991)、Gene 103, 61-67), ゲオトリカム・カンジダム(Geotricum candium)リパーゼ(Schimada, Y. など., (1989), J. Biochem. 106,383-388)及び種々のリゾバス(Rhizopus)リパーゼ、例えばR. デレマル(R. delemar)リパーゼ(Hass, M. J.など., (1991), Gene 109, 117-113), R. ニベウス(R. niveus)リパーゼ(Kugimiya)など., (1992), Biosci. Biotech. Biochem. 56, 718-719) 及びR. オリザエ(R. oryzae)リパーゼが有用である。
【0045】
他のタイプの脂質分解酵素、例えばクチナーゼ、例えばWO88/09367号に記載されるようなシュドモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)に由来のクチナーゼ、又はWO90/09446号に記載されるようなフサリウム・ソラニ・ピシ(Fusarium solani pisi)に由来のクチナーゼがまた有用である。本発明の特定の態様においては、界面活性剤を部分的に置換するか、又は完全に置換するために使用される酵素はクチナーゼであり、より特定の態様においては、界面活性剤を部分的に又は完全に置換するために使用される酵素は、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)又はフサリウム・ソラニピシ(Fusarium solani pisi)から誘導される。
【0046】
他の例は、リパーゼ変異体、例えばWO 92/05249号、 WO 94/01541号、EP 407 225号、 EP 260 105号、WO 95/35381号、WO 96/00292号、WO 95/30744号、WO 94/25578号、 WO 95/14783号、WO 95/22615号、WO 97/04079号及びWO 97/07202号に記載されるそれらである。
市販のリパーゼの例は、Lipex、 LipoprimeTM、 LipolaseTM、 LipolaseTM Ultra、 LipozymeTM、 PalataseTM、 NovozymTM 435 及びLecitaseTM (すべたはNovozymes P/Sからである)を包含する。
【0047】
他の市販のリパーゼは、LumafastTM (Genencor International Inc. からのシュードモナス・メンドシナリパーゼ);LipomaxTM(Gist- Brocades/Genencor Int. Inc.からのPs. シュードアルカリゲネスリパーゼ);及びGenencor酵素からのバチルスsp. リパーゼを包含する。追加のリパーゼは、他の供給者から入手できる。
【0048】
市販のカルボヒドロラーゼの例は、Alpha-GalTM 、Bio-FeedTM Alpha、Bio-FeedTM Beta、Bio-FeedTM Plus、Bio-FeedTM Plus、NovozymeTM 188、CelluclastTM 、CellusoftTM 、CeremylTM 、CitrozymTM 、DenimaxTM 、DezymeTM 、DextrozymeTM 、FinizymTM 、FungamylTM 、GamanaseTM 、GlucanexTM 、LactozymTM 、MaltogenaseTM 、PentopanTM 、PectinexTM 、PromozymeTM 、PulpzymeTM 、NovamylTM 、TermamylTM 、AMGTM (Amyloglucosidase Novo)、MaltogenaseTM 、SweetzymeTM and AquazymTM (all available from Novozymes A/S). Further carbohydrases are available from other suppliers、such as the RoxazymeTM 及びRonozymeTM 製品シリーズ (DSM Nutritional Products)、the AvizymeTM 、PorzymeTM 及びGrindazymeTM製品シリーズ(Danisco、Finnfeeds)、及び NatugrainTM (BASF)を包含する。
【0049】
プロテアーゼ:
適切なプロテアーゼは、動物、植物又は微生物起源のものを包含する。微生物起源が好ましい。化学的に修飾された、又はタンパク質構築された変異体が含まれる。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ又は金属プロテアーゼ、好ましくはアルカリ微生物プロテアーゼ又はトリプシン−様プロテアーゼであり得る。アルカリプロテアーゼの例は、スブチリシン、特にバチルスに由来するそれらのもの、例えばスブチリシンNovo、スブチリシンCarlsberg、スブチリシン309、スブチリシン147及びスブチリシン168(WO89/06279号に記載される)である。トリプシン−様プロテアーゼの例は、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源のもの)、及びWO89/06270号及びWO94/25583号に記載されるフサリウムプロテアーゼである。特定の態様においては、洗剤組成物は、バチルス、例えばバチルス・クラウジ、バチルス・レンタス、バチルス・ハルマパルス及びB. アミロリクエファシエンス由来のプロテアーゼを含んで成る。
【0050】
本発明の特定の態様においては、洗剤組成物において部分的に又は完全に置換するために使用される酵素は、バチルス由来のプロテアーゼ、特にバチルス・クラウジ、B. アミロリクエファシエンス、バチルス・ハルマパルス及びB. レンタスから成る群から選択された微生物由来のプロテアーゼである。
【0051】
有用なプロテアーゼの例は、WO92/19729号、WO98/20115号、WO98/20116号及びWO98/34946号に記載される変異体、特に1又は複数の次の位置での置換を有する変異体である:27, 36, 57, 76, 87, 97, 101, 104, 120, 123, 167, 170,194, 206,218, 222,224, 235 及び 274。
【0052】
市販のプロテアーゼ(ペプチダーゼ)の例は、KannaseTM、 EverlaseTM、 EsperaseTM、 AlcalaseTM、NeutraseTM、DurazymTM、SavinaseTM、 OvozymeTM、 PyraseTM、 Pancreatic Trypsin NOVO (PTN)、Bio-Feed(TM) Pro 及び Clear-Lens(TM) Pro (すべたはNovozymes A/S, Bagsvaerd, Denmarkからである)を包含する。他の好ましいプロテアーゼは、WO01/58275号及びWO01/58276号に記載されるそれらを包含する。
【0053】
他の市販のプロテアーゼは、RonozymeTM Pro、MaxataseTM、 MaxacalTM、 MaxapemTM、 OpticleanTM、 PropeaseTM、 PurafectTM 及び Purafect OxTM (Genencor International Inc., Gist-Brocades、 BASF、 又は DSM Nutritional Productsから入手できる)を包含する。他の市販の酵素は、PectawayTM及びStainzymeTMを包含する。
【0054】
アミラーゼ:
適切なアミラーゼ(α−及び/又はβ)は、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。アミラーゼは、バチルス、例えばイギリス特許第1,296,839号により詳細に記載される、B.リケニルホルミスの特許株から得られるα−アミラーゼを包含する。
【0055】
有用なアミラーゼの例は、WO94/02597号、WO94/18314号、WO96/23873号及びWO/43424号に記載される変異体、特に1又は複数の次の位置での置換を有する変異体である:15, 23, 105, 106, 124, 128, 133, 154, 156, 181, 188, 190, 197, 202, 208, 209, 243, 264, 304, 305, 391, 408, 444。
【0056】
市販のアミラーゼは、NatalaseTM、 StainzymeTM、 DuramylTM、 TermamylTM、 Ter- mamyl(TM) Ultra、 FungamylTM 及び BANTM (Novozymes A/S)、 RapidaseTM、 PurastarTM 及び Purastar OXAMTM (Genencor International Inc.からである)を包含する。
【0057】
セルラーゼ:
適切なセルラーゼは、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。適切なセルラーゼは、バチルス、ヒューミコラ、フサリウム、チエラビア、アクレモニウム属からのセルラーゼ、例えばアメリカ特許第4,435,307号、アメリカ特許第5,648,263号、アメリカ特許第5,691,178号、アメリカ特許第5,776,757号及びWO89/09259号に開示されるヒューミコラ・インソレンス、マイセリオプソラ・サーモフィラ/オキシスポラムから生成される菌類セルラーゼを包含する。
【0058】
特に適切なセルラーゼは、色彩保護有益性を有するアルカリ又は中性セルラーゼである。そのようなセルラーゼの例は、ヨーロッパ特許第0495257号、ヨーロッパ特許第0531372号、WO96/11262号、WO96/29397号、WO98/08940号に記載されるセルラーゼである。例の例は、WO94/07998号、ヨーロッパ特許第0531315号、アメリカ特許第5,457,046号、アメリカ特許第5,685,593号、アメリカ特許第5,763,254号、WO95/24471号、WO98/12307号及びPCT/DK98/00299号に記載されるそれらのものである。
【0059】
市販のセルラーゼは、CelluzymeTM 、EndolaseTM、RenozymeTM及びCarezymeTM (Novo Nordisk A/S)、 ClazinaseTM 及びPuradex HATM (Genencor International Inc.) 及びKAC−500 (B)TM (Kao Corporation) を包含する。
【0060】
オキシドレダクターゼ:
本発明における特定のオキシドレダクターゼは、ペルオキシダーゼ(EC 1. 11. 1)、ラッカーゼ(EC 1. 10. 3. 2)及びグルコースオキシダーゼ(EC 1. 1. 3. 4)である。市販のオキシドレダクターゼ(EC1.-.-.-)の例は、GluzymeTM (Novozymes A/Sから入手できる酵素)である。さらなるオキシドレダクターゼは、他の供給者から入手できる。
【0061】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ:
適切なペルオキシダーゼ/オキシダーゼは、植物、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。有用なペルオキシダーゼの例は、コプリナス、例えばコプリナス・シネレウス、及びWO93/24618 号、WO95/10602号及びWO98/15257号に記載されるそれらのようなそれらの変異体からのペルオキシダーゼを包含する。
市販のペルオキシダーゼは、GuardzymeTM (Novozymes A/S) を包含する。
【0062】
マンナナーゼ:
アルカリ溶液に使用するために適切ないずれかのマンナナーゼが使用され得る。適切なマンナナーゼは、細菌又は菌類起源のそれらを包含する。化学的に又は遺伝子的に修飾された変異体が包含される。
【0063】
好ましい態様においては、マンナナーゼは、バチルス属、特にWO99/64619号の配列番号2の位置31−330又は配列番号5に開示されるバチルスsp.I633又はバチルス・アガラドハエレンス(Bacillus agarodhaerens)の株、例えばDSM873721株に由来する。本発明のより好ましい態様においては、マンナナーゼは、好アルカリ性バチルスに由来する。
適切なマンナナーゼは、MANNAWAYTM(Novozymes A/S)を包含する。
【0064】
ペクチン酸リアーゼ:
アルカリ溶液への使用のために適切ないずれかのペクチン酸リアーゼが使用され得る。適切なペクチン酸リアーゼは、細菌又は菌類起源のそれらを包含する。化学的に又は遺伝子的に修飾された変異体が包含される。
【0065】
好ましい態様においては、ペクチン酸リアーゼは、バチルス族の株、特にバチルス・サブチリスの株、特に配列番号2に開示されるバチルス・サブチリスDSM14218、又はWO02/092741号の例6に開示されるそれらの変異体に由来する。本発明のより好ましい態様においては、ペクチン酸リアーゼは、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)に由来する。
【0066】
市販のフィターゼの例は、Bio-FeedTM Phytase (Novozymes)、 RonozymeTM P (DSM Nutritional Products)、NatuphosTM (BASF)、FinaseTM (AB Enzymes)及びPhyzymeTM 製品シリーズ(Danisco)を包含する。他の好ましいフィターゼは、WO 98/28408号、 WO 00/43503号及び WO 03/066847号に記載されるそれらを包含する。
【0067】
特定の態様においては、前記酵素は、ヒドロラーゼ、クチナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、レダクターゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、ペクチナーゼ、カタラーゼ、ニトリラーゼ及びそれらの混合物から成る群から選択される。本発明のもう1つの特定の態様においては、前記ヒドロラーゼは、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ及びそれらの混合物から成る群から選択される。
【0068】
本発明のより特定の態様においては、酵素は、プロテアーゼ、リパーゼ、グリコシダーゼ、オキシドレダクターゼ、オキシダーゼ、ケトイソメラーゼ及びエステラーゼから成る選択される。
【0069】
酵素を含んで成る液体媒体
酵素含有液体媒体は、特定の態様においては、親水性媒体、好ましくは水性媒体である。それは他の有機又は生物学的物質を含むことができる。従って、それは、発酵ブイヨン、又は例えば限外濾過により、又はタンパク質沈殿、分離及びもう1つの水性媒体への再溶解による、発酵ブイヨンを精製することにより得られる、酵素濃縮物溶液であり得る。それはさらに、水性媒体に溶解された、実質的に純粋な酵素であり得る。本発明の特定の態様においては、酵素含有水性液体は、水を除去するために固定化の前、費用の高い加工段階、例えば蒸発にゆだねられても、又は非水性溶媒、例えば有機溶媒、例えばアルコール、例えば(ポリ)エチレングリコール及び/又は(ポリ)プロピレングリコールの添加にもゆだねられていない。
【0070】
本発明の特定の態様においては、酵素を含んで成る液体はまた、多官能価アミンを含んで成る液体媒体である。
液体媒体は好ましくは、酵素を含んで成る水性液体に、多官能価アミンの水溶液を添加することにより調製される。
【0071】
多官能価アミンを含んで成る水性媒体
多官能価アミンを含んで成る液体は、親水性媒体、好ましくは水性媒体であり得る。
多官能価アミンは、当業界において知られているいずれかの多官能価アミンであり得る。
【0072】
適切な多官能価アミンは、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリエチレンジアミン、ポリメチレンジシクロヘキシルアミン、ポリメチレンジアニリン、ポリテトラエチレンペンタミン、ポリフェニレンジアミン、ポリプロピレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン又はN−ビニルホルムアミドを伴って又は伴わないでの1−アミノエチレンのポリマー(EP 502035-B1に記載されるような)、キトサン、アルブミン、ゼラチンから選択されるが、但しそれらだけには限定されない。他の適切なアミンは、スペルミジン、スペルミン、トリエチレンテトラアミン、ポリプロピレンイミンデンドリマー及びビス(2−エチルアミノ)−1,3−プロパンジアミン並びにそれらの混合物であり得る。アミンは、第一、第二、第三又は第四アミンであり得る。
【0073】
PEIは、枝分かれ鎖又は直鎖であり得る、弱い多塩基性脂肪族アミンである。ポリエチレンイミンは、いずれかの適切な分子量のものであり得る。特定の態様においては、モル重量は20.000〜80.000である。より特定の態様においては、モル重量は、40.000〜60.000である。異なった分子量のポリエチレンイミンは、BASF (Polymin)、Cordova Chemical Co. (Corcat P)及び Nipon shokubai Kagaku Kogyo (Epomin)から入手できる。液体媒体は他の有機又は生物学的物質を含むことができる。
【0074】
酵素タンパク質:多官能価アミンの比は、特定の態様においては、1:20〜20:1、1:15〜15:1、1:5〜5:1であり、もう1つの態様においては、前記比は1:2〜3:1であり、さらなる態様においては、前記比は、100溶液に基づいて1:1〜2:1である。
液体のpHは好ましくは4〜11である。本発明の特定の態様においえは、液体のpHは6以上である。もう1つの特定の態様においては、液体のpHは7以上である。さらなる態様においては、液体のpHは7.5以上である。
【0075】
架橋剤を含んで成る液体媒体
架橋剤は、選択された酵素と架橋できるいずれかの化合物であり得る。
架橋剤は、多官能価アルデヒド、多官能価有機ハロゲン化物、多官能価無水物、多官能価アゾ化合物、多官能価イソチオシアネート、多官能価イソシアネート及びそれらの混合物から成る群から選択され得るが、但しそれらだけには限定されない。本発明の特定の態様においては、架橋剤は、スクシンジアルデヒド、テレフタルデヒド、ビス−ジアゾベンジン−2, 2’−ジスルホン酸、グルタルアルデヒド、ポリアセチジン、塩化シアヌル酸、ビエポキシド、ジイソシアネート、例えばトルイレン、ジイソシアネート、ヘキサメチレンジシアネートである。
【0076】
本発明の特定の態様においては、架橋剤はグルタルアルデヒド及び/又はポリアゼチジンである。
架橋剤を含んで成る液体媒体は好ましくは、親水性媒体、好ましくは水性媒体である。それは他の有機又は生物学的物質を含むことができる。酵素タンパク質:架橋剤の比(100%溶液に基づく)は、1:20〜1:0.05、例えば1:10〜1:0.1であり、特定の態様においては、前記比は1:6〜1:0.4であり、もう1つの特定の態様においては、前記比は1:3〜1:0.4である。
【0077】
液体媒体はさらに、酵素、多官能アミン又は架橋剤を、粒質多孔性キャリヤーへの良好な付着を可能にする成分を含んで成る。前記成分は、当業界において知られているいずれかの結合剤であり得る。
適切な成分は、塩、炭水化物、例えば澱粉、ポリマー及びワックスであり得る。本発明の特定の態様においては、前記成分は、デキストリンポリビニルピロリドンソルビトール、ポリエチレングリコール、金属シリケート又は金属オルトシリケートである。前記成分は、いずれかの液体媒体に添加され得る。
【0078】
固定化方法
固定化方法は、本発明の1つの態様においては、次の段階:
a)酵素を含んで成る液体媒体を調製し;
b)多官能価アミンを含んで成る液体媒体を調製し;
c)架橋剤を含んで成る液体媒体を調製し;
d)前記a)、b)及びc)の液体媒体を、粒状多孔性キャリヤー上に導入する段階を含んで成る、固定化された酵素調製物の生成方法であり、ここで前記粒状多孔性キャリヤー上への前記a)、b)及びc)の液体媒体の導入はいずれの順序であっても又は同時であっても良く、そして前記キャリヤーの吸着能力は限界を超えない。
【0079】
本発明の1つの態様においては、多官能価アミンを含んで成る液体媒体、及び酵素を含んで成る液体媒体は全く同一の液体である。
もう1つの態様においては、酵素を含んで成る液体媒体、及び多官能価アミンを含んで成る液体媒体は、架橋剤を含んで成る液体が添加される前、粒質多孔性キャリヤーに添加される。
本発明のさらなる態様においては、架橋剤を含んで成る液体は、酵素及び多官能価アミンを含んで成る液体の前、粒質キャリヤーに添加される。
【0080】
用語“キャリヤーの吸着能力”とは、キャリヤーが吸着できる液体の量を意味する。
吸着能力を決定するための1つの手段は、105℃で24時間、キャリヤーサンプルを乾燥し、キャリヤーを周囲温度に冷却し、そして20℃で1時間、100mlの液体に1gの前記乾燥されたキャリヤー材料を配置することであり、次に、キャリヤーが排水により過剰の液体から分離され、そして吸着された液体を含んで成るキャリヤーが決定される。
【0081】
吸着能力が限度を越える場合、キャリヤーはもはや液体を吸収することはできず、そして多くの液体が存在する場合、それは過剰の液体と呼ばれるであろう。
従って、例えばカラムにおける液体媒体において起こる固定化工程においては、キャリヤー吸着能力についての限界は、限度を超え、そして過剰の液体が存在する。
特定の態様においては、前記工程の添加される液体の量は、限度を越えるキャリヤーの吸着能力をもたらさない。前記工程の添加される液体の量は制限されるべきであり、その結果、キャリヤーの吸着能力は限度を越えない。本発明の特定の態様においては、液体は、キャリヤーの凝集が実質的に生じないような量で添加されるべきである。
【0082】
本発明の第1の態様においては、キャリヤーの重量に対する、前記工程に添加される液体媒体の重量の割合は50以下である。本発明の第2の態様においては、キャリヤーの重量に対する、前記工程に添加される液体媒体の重量の割合は25以下である。本発明の第3の態様においては、キャリヤーの重量に対する、前記工程に添加される液体媒体の重量の割合は5以下である。
【0083】
本発明のもう1つの態様においては、追加の工程段階e)が存在する。段階e)においては、揮発性成分がその得られる生成物から除去される。段階e)における揮発性成分の除去は、種々の方法、例えば濾過、遠心分離、噴霧乾燥、空気乾燥及び凍結乾燥により実施され得るが、但しそれらだけには限定されない。揮発性成分を除去するための入口空気の適切な温度は主に、酵素の熱安定性(不活性化温度)に依存するであろう。その温度は、40〜130℃、40〜90℃、例えば50〜70℃、例えば60℃であり得る。より高い温度ほど、固定化及び乾燥及び乾燥時間は短い。
【0084】
固定化方法は、本発明のもう1つの態様においては、次の段階:
a)酵素及び多官能価アミンを含んで成る液体を調製し;
b)架橋剤を含んで成る液体媒体を調製し;
d)a)及びb)の液体媒体を、粒状多孔性キャリヤー中に導入する段階を含んで成る、固定化された酵素調製物の生成方法であり、ここで前記粒状多孔性キャリヤー上へのa)及びb)の液体媒体の導入は、いずれの順序でも又は同時でもあり得る。
【0085】
固定化方法は、前記方法のために適切ないずれかの装置において実施され得る。
本発明の特定の態様においては、前記装置は、ミキサー、流動層及びパンコーターから成る群から選択される。
本発明の特定の態様においては、固定化方法は、ミキサー装置、流動層又はパンコーターにおいて行われる。
【0086】
本発明のミキサー装置は、いずれかのミキサー装置、例えばLodigeミキサー、Germanyであり得る。混合時間は適切には、5〜60分、好ましくは10〜30分であり得る。
流動層装置は、流動層として主に作動するいずれかの装置であり得る。本発明の液体媒体は、噴霧化によりキャリヤー上に導入され得る。
【0087】
流動層装置における適切な空気入口流は、固定化される酵素生成物のサイズ及び密度、キャリヤーの量、及び流動層装置に依存するであろう。さらに、空気入口流は、その流れは固定化される酵素生成物の流動性を保持するのに十分であるべきであるが、しかし固定化される酵素生成物を“吹き飛ばす”ほど強力である必要はないので、上限を有する。固定化及び乾燥のための流動層を同時に有する場合、乾燥工程は、流体媒体が流動層中にできるだけ長く噴霧されるよう実施され、そして適切には、流体媒体の入口が終結した後、5〜30分間、延長され得る。
【0088】
さらに、固定化、及び/又は固定化された酵素生成物の乾燥のための時間の浪費は、酵素、多官能価アミン及び架橋剤の量及びキャリヤーに依存するであろう。本発明の重要な観点は、固定化工程が他の大きな標準装置の適用により容易に大規模化され得ることである。従って、上記に与えられる装置の設定範囲は、大規模装置を最適化するために調節され得る。
【0089】
親水性表面を有するキャリヤー上への酵素の固定化
本発明の特定の態様においては、キャリヤーは実質的に親水性の表面を有する。特定の態様においては、固定化工程は、標準の混合装置(例えば、Lodiger, Germany)において行われ、ここで段階a)、b)及びc)の液体媒体が、例えばポンプ(例えば、標準の蠕動Watson-Marlowポンプ)に連結されたネブライザーを用いて、混合の間、乾燥多孔性粒状キャリヤーに噴霧により導入される。
【0090】
本発明のもう1つの特定の態様においては、実質的に親水性の表面を有するキャリヤー上への酵素の固定化は、他方では、標準の流動層装置、例えばUni−Glatt流動層装置(Glatt, Germany)において行われ、ここで乾燥多孔性粒状キャリヤーが流動化され、そして段階a)、b)及びc)の液体媒体が、例えばポンプ(例えば、標準の蠕動Watson-Marlowポンプ)に連結されたネブライザーを用いて、混合の間、流動化されたキャリヤーに噴霧により導入される。この態様においては、固定化及び乾燥は同時に行われ得る。
【0091】
疎水性表面を有するキャリヤー上への固定化:
本発明の特定の態様においては、実質的に疎水性の表面を有するキャリヤー上への酵素の固定化は、標準の混合装置において行われ、ここで段階a)、b)及びc)の液体媒体が、乾燥多孔性粒状キャリヤーに導入される。
【0092】
本発明のもう1つの特定の態様においては、実質的に疎水性の表面を有するキャリヤー上への酵素の固定化は、他方では、標準の流動層装置、例えばUni−Glatt流動層装置(Glatt, Germany)において行われ、ここで乾燥多孔性粒状キャリヤーが流動化され、そして段階a)、b)及びc)の液体媒体が、例えばポンプ(例えば、標準の蠕動Watson-Marlowポンプ)に連結されたネブライザーを用いて、混合の間、流動化されたキャリヤーに噴霧により導入される。この態様においては、固定化及び乾燥は同時に行われ得る。
【0093】
本発明の1つの態様においては、固定化方法は、液体媒において、例えば装置を包含するカラムにおいて行われない。
液体媒体において行われる既知の固定化方法に比較して、本発明の方法は、取り扱いが容易である、より単純な方法を提供する。本発明の方法はさらに、キャリヤーへの多量の酵素の添加を可能にし、そして粒度のより容易な調節を可能にする。
ミキサー又は流動層において行われる既知の方法に比較して、本発明の方法は、改良された浸出性質を有する固定化された酵素生成物を提供する。
【0094】
固定化された酵素調製物の使用
本発明において調製される固定化された酵素は、有機物質の加水分解、合成又は変性のために使用され得る。加水分解、合成又は変性は好ましくは、遊離水を実質的に有さない媒体において行われる。
【0095】
従って、本発明は、反応媒体において、有機化合物と、本発明に従って生成される固定化された酵素とを接触することを含んで成る、有機化合物の酵素変性方法を包含する。
固定化されたセルラーゼは、布の処理(綿の除毛及びデニム布のストーン−洗浄)及びリサイクル紙のインキ抜きの両者に使用され得る。
【0096】
固定化されたグルコースイソメラーゼは、グルコースからの高いフルクトースシロップの生成のための媒体として使用され得る。固定化されたラクターゼは、食品改良、例えば牛乳からのラクトースの除去のために使用され得る。
固定化されたプロテアーゼは、弱い皮膚剥離適用の表面上での微生物増殖を妨げるために使用され得る。
【0097】
固定化されたグルコースオキシダーゼは、グルコースアッセイのための、食品からの酸素の除去のための、又はグルコン酸及びその後の生成のための試薬として使用され得る。
本発明の固定化された酵素は、反応媒体において、有機化合物と、本発明の方法により生成される固定化された酵素とを接触することを含んで成る、有機化合物の酵素変性のために使用され得る。
【0098】
本発明の特定の態様においては、前記変性は、カルボン酸である第1反応体及びアルコールである第2反応体と、本発明の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るエステル化反応である。前記カルボン酸は、脂肪酸、乳酸、安息香酸、アクリル酸及びメタクリル酸から成る群から選択されるが、但しそれらだけには限定されず、そして前記アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ポリオール、例えばグリセロール、ソルビトール、イソソルビド、キシリトール、グルコシド、例えばエチル及びメチルグルコシド、ネオペンチルアルコール及びプロピレングリコールから成る群から選択されるが、但しそれらだけには限定されない。
【0099】
1つの態様においては、変性は、カルボン酸エステル又はアミドの鏡像選択合成又は加水分解を包含するキラル分解である。
1つの態様においては、変性は、2種のアルデヒド間のアルドール縮合反応である。特定の態様においては、変性は、本発明における酵素により現場生成されるペルカルボン酸によるオレフィン基のエポキシ化である。
【0100】
特定の態様においては、変性は、ポリエステル化反応であり、ここで変性される有機化合物は、ヒドロキシカルボン酸又はそのような化合物、例えば乳酸又は3−ヒドロキシプロパン酸のオリゴマーである。カルボン酸はまた、アジピン酸、琥珀酸、フマル酸、2,5−フランジカルボン酸、グルカル酸、テレフタル酸及びイソフタル酸から成る群から選択されたジカルボン酸であり、そして第2反応体は、ポリオール、例えば(1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、ソルビトール、イソソルビド、ネオペンチルアルコール、プロピレングリコール)から成る群から選択される。
【0101】
もう1つの特定の態様においては、前記変性は、ラクトンと、本発明の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成る開環重合反応である。
特定の態様においては、前記変性は、カルボン酸である第1反応体、及びアルコールである第2反応体と、本発明の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るエステル交換反応である。
【0102】
特定の態様においては、前記変性は、カルボン酸エステルである第1反応体、及び第2カルボン酸エステルである第2反応体と、本発明の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るエステル交換反応である。より特定の態様においては、前記変性は、ポリカルボン酸エステルである第1反応体、第2ポリカルボン酸エステルである第2反応体と、本発明の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るエステル交換反応である。
【0103】
前記カルボン酸エステルは、脂肪酸、乳酸、グルカル酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸のアルキルエステルから成る群から選択されるが、但しそれらだけには限定されず、ここで前記アルキルはメチル、エチル、ブチルであり、そしてアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ポリオール、例えばグリセロール、アルキルグルコシド、例えばエチルグルコシド又はメチルグルコシド、ソルビトール、シリコーン及びシリコーン誘導体、イソソルビド、ネオペンチルアルコール及びプロピレングリコールから成る群から選択されるが、但しそれらだけには限定されない。
【0104】
特定の態様においては、前記変性は、本発明の方法により生成される固定化されたリパーゼにより鏡像的純粋化合物を生成する加水分解又は合成である。
特定の態様においては、前記変性は、本発明の方法により生成される固定化されたリパーゼにより化合物を生成するアルドール縮合である。
【0105】
特定の態様においては、前記変性は、カルボン酸である第1反応体、及びアミンである第2反応体と、本発明の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るアミド化反応である。
特定の態様においては、前記変性は、本発明の方法により生成される固定化されたリパーゼによるエポキシ化剤の現場生成を含んで成るエポキシ化反応である。
【0106】
本発明の態様においては、固定化されたリパーゼ酵素は、遊離水を実質的に有さない媒体において、エステル化、エステル交換又はウムエステルンク(interesterification)工程のために使用され得る。エステル交換は、第1反応体及び第2反応体と、置換反応が生じる固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成る脂肪酸置換のために使用され得る。
【0107】
前記第1反応体は、脂肪酸エステル、好ましくはトリグリセリド、又はトリグリセリドの混合物であり得る。
前記第2反応体は、第1反応体とは異なるもう1つの脂肪酸エステル、好ましくはトリグリセリド、又はトリグリセリドの混合物であり得る。さらに、第2反応体はアルコール又は遊離脂肪酸であり得る。
【0108】
本発明のこの好ましい態様における媒体は、有機溶媒を含んで成り、又はそれはトリグリセリドから実質的に成る。
本発明の前記使用は、食品、例えばマーガリン又はココアバター置換物の製造に適用され得る。
本発明のさらに次の例により記載されるが、それらの例は本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0109】
例11−段階含浸によっての30mg/gの酵素タンパク質によるシリカ基材キャリヤー上へのリパーゼの固定化
1.カンジダ・アンタルクチカからのリパーゼB(18400LU(CA)/g)の溶液3.0kgを、10%NaOH溶液を用いてpH7.5±0.2に調節し、そして660gの水により希釈した。129gのリン酸水素二ナトリウムを前記酵素溶液に添加し、そしてリン酸水素二ナトリウムの溶解まで撹拌した。pHを、10%NaOH溶液を用いて、pH7.5±0.2に調節した。
【0110】
2.次に、液体リパーゼ溶液(1に従っての)を、周囲温度で150rpmの回転速度での連続混合を用いて、20Lのミキサー(Lodige, Germany)における2.1kgのSipernat 2200 (Degussa, Germanyからのシリカ基材のキャリヤー)上に均等に適用した。16分の噴霧時間に調節された噴霧ノズルを使用した。
【0111】
3.液体リパーゼ溶液(2に従っての)の添加の後、キャリヤー粒子を、生成物の温度が60℃に達するまで、100℃の入口温度を有する流動層(GEA)において乾燥した。従って、5%以下の湿分を得た。
固定化された酵素生成物の活性:3600PLU。
ジメチルスルホキシド(DMSO)において測定された酵素タンパク質浸出:30mg/g。
浸出の前の酵素タンパク質レベル:30mg/g。
【0112】
酵素活性の測定
液体リパーゼの酵素活性(LU=リパーゼ単位)をNovozymes Standard Method EB-SM-0095.02により決定し、そしてNovozymes A/Sからの必要に応じて入手できる。
1LUは、標準条件下で1分当たり1μモルの滴定できる酪酸を開放する酵素の量に対応する。
【0113】
固定化されたリパーゼの酵素活性(PLU=プロピルラウレート単位)を、Novozymes Standard Method EB-SM-1069.02により決定し、そしてNovozymes A/Sから必要に応じて入手できる。1PLU単位は、1μモル/g/分、例えば1分当たり1gの酵素当たり形成される1μモルのプロピルラウレートに対応する。固定化されたリパーゼは、1−プロパノールによるラウリン酸をエステル化し、プロピルラウレートを形成する。活性(μモル/g/分)を、形成されるプロピルラウレート及び消費されるラウリン酸のGCによる定量化により決定する。
【0114】
浸出の測定
固定化された酵素(50mg)を、Eppendorf管に計量し、これにDMSO(1ml)を添加する。その混合物を、37℃及び120rpmで30分間インキュベートする。DMSO上清液を、マイクロタイタープレートに移し、そしてDMSOにより希釈する(10倍)。タンパク質含有率を、精製されたCaLB酵素から調製された標準曲線を用いて、Coomassie (Bradford) Protein Assayから決定する。浸出を、g合計重量当たりのmg CaLBとして計算する。
【0115】
例21−段階含浸によっての30mg/gの酵素タンパク質によるシリカ基材キャリヤー上へのリパーゼの固定化、及びグルタルアルデヒド(GA)/ポリエチレンイミン(PEI)による続く架橋
1.カンジダ・アンタルクチカからのリパーゼB(18400LU(CA)/g)の溶液3.0kgを、10%NaOH溶液を用いてpH7.5±0.2に調節した。466gの15%ポリエチレンイミン水溶液(Sedipur, BASF)及び129gのリン酸水素二ナトリウムを前記酵素溶液に添加し、そしてリン酸水素二ナトリウムの溶解まで撹拌した。pHを、10%NaOH溶液を用いて、pH7.5±0.2に調節した。
【0116】
2.次に、液体リパーゼ溶液(1に従っての)を、周囲温度で150rpmの回転速度での連続混合を用いて、20Lのミキサー(Lodige, Germany)における1.9kgのSipernat 2200 (Degussa, Germanyからのシリカ基材のキャリヤー)上に均等に適用した。14分の噴霧時間に調節された噴霧ノズルを使用した。
3.液体リパーゼ溶液(2に従っての)の添加の後、次に933gの15%グルタルアルデヒド水溶液(Dow)を、同じ回転速度及び11分の噴霧時間で、同じシリカキャリヤー粒子上に適用した。
【0117】
前記処理の後、キャリヤー粒子は、PEI含有液体酵素溶液及びGAのキャリヤー粒子への吸着のために、易流動性の個々の粒子であった。
4.最終的に、キャリヤー粒子を、生成物温度が60℃に達するまで、100℃の入口温度を有する流動層(GEA)において乾燥した。
固定化された酵素生成物の活性:3200PLU。
DMSOにおいて測定された酵素タンパク質浸出:13mg/g。
浸出の前の酵素タンパク質レベル:30mg/g。
【0118】
例32−段階含浸によっての50mg/gの酵素タンパク質によるシリカ基材キャリヤー上へのリパーゼの固定化、及びグルタルアルデヒド(GA)/ポリエチレンイミン(PEI)による続く架橋
1.カンジダ・アンタルクチカからのリパーゼB(18400LU(CA)/g)の溶液3.0kgを、10%NaOH溶液を用いてpH7.5±0.2に調節した。233gの15%ポリエチレンイミン水溶液(Sedipur, BASF)及び129gのリン酸水素二ナトリウムを前記酵素溶液に添加し、そしてリン酸水素二ナトリウムの溶解まで撹拌した。pHを、10%NaOH溶液を用いて、pH7.5±0.2に調節した。
【0119】
2.最初に、466gの15%グルタルアルデヒド溶液を、周囲温度で150rpmの回転速度での連続混合を用いて、20Lのミキサー(Lodige, Germany)における1.9kgのSipernat 2200 (Degussa, Germanyからのシリカ基材のキャリヤー)上に適用した。10分の噴霧時間に調節された噴霧ノズルを使用した。
3.その後、液体リパーゼ溶液(1に従っての)を、同じ回転速度及び11分の噴霧時間で、同じシリカキャリヤー粒子上に適用した。
【0120】
4.次に、キャリヤー粒子を、例1に記載される条件を用いて、流動層において乾燥した。
5.乾燥及び冷却の後、PEI及びNa2HPO4を含む液体酵素溶液(1に従っての)を、乾燥されたキャリヤー粒子に適用した。
6.段階5における液体酵素溶液の添加の後、466gの15%グルタルアルデヒド水溶液(段階2に従っての)を、同じ回転速度及び11分の噴霧時間で、同じシリカキャリヤー粒子上に適用した。
【0121】
前記処理の後、キャリヤー粒子は、液体酵素、PEI及びGAのキャリヤー粒子への吸着のために、易流動性の個々の粒子であった。
7.次に、キャリヤー粒子を、5℃で45分〜16時間、静置した。
8.最終的に、固定化された酵素キャリヤー粒子を、100℃の入口温度を有する流動層(GEA)において乾燥し、そして生成物温度が60℃に達するまで、乾燥した。従って、5%以下の湿分を得た。
【0122】
固定化された酵素生成物の活性:5300PLU。
DMSOにおいて測定された酵素タンパク質浸出:5mg/g。
浸出の前の酵素タンパク質レベル:50mg/g。
【0123】
例41−段階含浸によっての59mg/gの酵素タンパク質によるシリカ基材キャリヤー上へのリパーゼの固定化、及びグルタルアルデヒド(GA)/ポリエチレンイミン(PEI)による続く架橋
1.カンジダ・アンタルクチカからのリパーゼB(61800LU(CA)/g)の溶液1.7kgを、49gの10%NaOH溶液を用いてpH7.5±0.2に調節した。834gの15%ポリエチレンイミン水溶液(Sedipur, BASF)を添加し、そして15分間、撹拌した。pHを、75gの10%NaOH溶液を用いて、pH7.5±0.2に調節した。
【0124】
2.最初に、834gの15%グルタルアルデヒド溶液を、周囲温度で150rpmの回転速度での連続混合を用いて、20Lのミキサー(Lodige, Germany)における1.8kgのSipernat 2200 (Degussa, Germanyからのシリカ基材のキャリヤー)上に適用した。11分の噴霧時間に調節された空気噴霧ノズルを使用した。
3.その後、液体リパーゼ溶液(1に従っての)を、同じ回転速度及び10分の噴霧時間で、同じシリカキャリヤー粒子上に適用した。
【0125】
4.段階5における液体酵素溶液(3に従っての)の噴霧の後、834gの15%グルタルアルデヒド水溶液を、同じ回転速度及び12分の噴霧時間で、同じシリカキャリヤー粒子上に適用した。
前記処理の後、キャリヤー粒子は、液体酵素、PEI及びGAのキャリヤー粒子への吸着のために、易流動性の個々の粒子であった。
【0126】
5.最終的に、固定化された酵素キャリヤー粒子を、100℃の入口温度を有する流動層(GEA)において乾燥し、そして生成物温度が60℃に達するまで、乾燥した。従って、5%以下の湿分を得た。
固定化された酵素生成物の活性:6400PLU。
DMSOにおいて測定された酵素タンパク質浸出:4mg/g。
浸出の前の酵素タンパク質レベル:59mg/g。
【0127】
例51−段階含浸によっての59mg/gの酵素タンパク質によるシリカ基材キャリヤー上へのリパーゼの固定化、及びグルタルアルデヒド(GA)/ポリエチレンイミン(PEI)による続く架橋。すべての液体は流動層におけるシリカ基材のキャリヤーに添加された
1.カンジダ・アンタルクチカからのリパーゼB(LU(CA)/g)の溶液894gを、10%NaOH溶液を用いてpH7.5±0.2に調節した。221gの15%ポリエチレンイミン水溶液(Sedipur, BASF)を前記酵素溶液に添加した。48gのリン酸水素二ナトリウムを1390gの水に溶解し、そしてリン酸溶液を前記酵素溶液に添加した。pHを、10%NaOH溶液を用いて、pH7.5±0.2に調節した。
【0128】
2.次に、液体リパーゼ溶液(1に従っての)を、125〜135m3/時の空気流速及び31℃の入口空気温度を用いて、流動層(GEA MP - 2/3, Germany)、2.25kgのZeof- ree 5170 (Huber Engineered Materials, USAからのシリカ基材のキャリヤー)上に均等に適用した。流動層における生成物温度は15〜16℃で維持された。22分の噴霧時間をもたらす、1バールのノズル圧力を使用した。
【0129】
3.液体リパーゼ溶液(2に従っての)の添加の後、次に933gの6.7%グルタルアルデヒド水溶液(Dow)を、2に与えられるような同じ流動層及び工程パラメーターを用いて、同じシリカキャリヤー粒子上に適用した。15分の噴霧時間を用いた。
全工程の間、キャリヤー粒子は、PEI含有液体酵素溶液及びGAのキャリヤー粒子への吸着のために、易流動性の個々の粒子であった。
【0130】
4.最終的に、キャリヤー粒子を、生成物温度が60℃に達するまで、100℃の入口温度を有する流動層(GEA MP 2/3)において乾燥した。従って、5%以下の湿分を得た。
固定化された酵素生成物の活性:4200PLU。
DMSOにおいて測定された酵素タンパク質浸出:6mg/g。
浸出の前の酵素タンパク質レベル:50mg/g。
【0131】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階:
a)酵素を含んで成る液体媒体を調製し;
b)多官能価アミンを含んで成る液体媒体を調製し;
c)架橋剤を含んで成る液体媒体を調製し;
d)前記a)、b)及びc)の液体媒体を、粒状多孔性キャリヤー上に導入する段階を含んで成る、固定化された酵素調製物の生成方法であって、前記粒状多孔性キャリヤー上への前記a)、b)及びc)の液体媒体の導入がいずれの順序であっても又は同時であっても良く、そして前記工程に導入される液体の量が、前記キャリヤーの吸着用量を超えないことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記抗体が、ミキサー、流動層又はパンコーターにおいて実施される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記a)の液体媒体及びb)の液体媒体が、全く同一の液体媒体である請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記粒状多孔性キャリヤー上への液体媒体a)及びb)の導入が、段階c)の液体媒体の導入の後、実施される請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記粒状多孔性キャリヤー上への液体媒体a)及びb)の導入が、段階c)の液体媒体の導入の前、実施される請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記揮発性成分が、前記得られる生成物から除去される段階e)をさらに含んで成る請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
段階e)における揮発性成分の除去が乾燥により行われる請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記多孔性キャリヤーが、50〜1500μmの粒度を有する請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
段階d)の液体媒体が、前記キャリヤーの凝集が実質的に生じないような量で導入される請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
段階d)の液体媒体の導入が微粒化により行われる請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記多孔性キャリヤーが、シリカ、ゼオライト、アルミナ、珪藻土及びカオリンから成る群から選択される請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記酵素が、ヒドロラーゼ、クチナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、レダクターゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、ペクチナーゼ、カタラーゼ、ニトリラーゼ及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記ヒドロラーゼが、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記多官能価アミンが、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン又はN−ビニルホルムアミドを伴って又は伴わないでの1−アミノエチレンのポリマー、キトサン、アルブミン、ゼラチン、スペルミジン、スペルミン、トリエチレンテトラアミン、ポリプロピレンイミンデンドリマー及びビス(2−エチルアミノ)−1,3−プロパンジアミンから成る群から選択される請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記架橋剤が、グルタルアルデヒド、ポリアセチジン、塩化シアヌル酸、ビエポキシド及びジイソシアネートから成る群から選択される請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
段階a)、b)及びc)の液体媒体が、水性液体媒体である請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項記載の方法による得られる固定化された酵素生成物。
【請求項18】
請求項17記載の固定された酵素生成物と、有機化合物とを反応媒体において接触することを含んで成る、有機化合物の酵素変性方法。
【請求項19】
前記変性が、脂肪酸エステルである第1反応体、もう1つの脂肪酸エステル、アルコール又は遊離脂肪酸である第2反応体と、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るエステル化反応である請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記第1反応体がトリグリセリドである請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第2反応体が、脂肪酸エステルであり、そして前記リパーゼが位置特異的である請求項19及び20記載の方法。
【請求項22】
前記第1及び第2反応体が異なったトリグリセリド、又はトリグリセリドの異なった混合物であり、そして前記リパーゼが1,3−位置特異的である請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記反応媒体がトリグリセリドから実質的に成る請求項18〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記反応媒体が有機溶液を含んで成る請求項18〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記変性が、カルボン酸である第1反応体、及びアルコールである第2反応体と、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るエステル化反応である請求項18記載の方法。
【請求項26】
前記エステル化反応が、ジカルボン酸及びポリオールと、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成る重合である請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記変性が、少なくとも1つの型のヒドロキシカルボン酸と請求項1〜14のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るポリエステル化反応である請求項18記載の方法。
【請求項28】
前記変性が、ラクトンと、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成る開環重合反応である請求項18記載の方法。
【請求項29】
前記変性が、カルボン酸である第1反応体、及びアルコールである第2反応体と、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るエステル交換反応である請求項18記載の方法。
【請求項30】
前記変性が、カルボン酸エステルである第1反応体、及び第2カルボン酸エステルである第2反応体と、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るエステル交換反応である請求項18記載の方法。
【請求項31】
前記変性が、ポリカルボン酸エステルである第1反応体、第2ポリカルボン酸エステルである第2反応体と、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るエステル交換反応である請求項18記載の方法。
【請求項32】
前記変性が、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼにより鏡像的純粋化合物を生成する加水分解又は合成である請求項18記載の方法。
【請求項33】
前記変性が、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼにより化合物を生成するアルドール縮合である請求項18記載の方法。
【請求項34】
前記変性が、カルボン酸である第1反応体、及びアミンである第2反応体と、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼとを接触することを含んで成るアミド化反応である請求項18記載の方法。
【請求項35】
前記変性が、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法により生成される固定化されたリパーゼによるエポキシ化剤の現場生成を含んで成るエポキシ化反応である請求項18記載の方法。

【公表番号】特表2009−509513(P2009−509513A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532600(P2008−532600)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000542
【国際公開番号】WO2007/036235
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】