説明

酵素

α−アミラーゼのファミリー13に由来する酵素を記載する。酵素変異型は、CGTアーゼまたはマルトース生成α−アミラーゼの修飾によって得ることができる。酵素は、食物またはベーカリー製品などの食品の調製で有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾加水分解活性、特に修飾エンド−/エキソアミラーゼ活性を有する酵素変異型に関する。
【0002】
1つの態様では、本発明は、エンドアミラーゼ活性が減少し、任意選択的に加水分解活性が増加した酵素変異型に関する。
【0003】
別の態様では、本発明は、α−アミラーゼファミリーのメンバーである基準および/または親酵素と比較して加水分解活性が増加し、且つエンドアミラーゼ活性が減少した変異酵素、特にシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼに関する。本明細書中のシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼは時折CGTアーゼと呼ばれる。
【0004】
さらに詳細には、本発明は、α−アミラーゼファミリー13のメンバーである基準および/または親酵素と比較して加水分解活性が増加し、且つエンドアミラーゼ活性が減少した変異酵素(特に、CGTアーゼ)に関する。
【背景技術】
【0005】
α−アミラーゼファミリー(すなわち、グリコシド加水分解酵素ファミリー13)(Henrissat,B.and Davies,G.(1997)Curr.Opin.Struct.Biol.7,637−644)は、デンプンプロセシング酵素の巨大なファミリーである。触媒ドメインの(α/β)8−バレル折りたたみ、触媒部位残基、およびα保持結合切断機構は、このファミリーで保存されているが(McCarter,J.D.and Withers,S.G.(1994)Curr.Opin.Struct.Biol.4,885−892;Uitdehaag,J.C.M.,et al.,(1999)Nature Struct.Biol.6,432−436)、生成物および反応特異性は大きく異なる(Kuriki,T.and Imanaka,T.(1999)J.Biosci.Bioeng.87,557−565)。
【0006】
α−アミラーゼのファミリー13には、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼまたはシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTアーゼ、EC2.4.1.19)としも公知のシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼおよびα−アミラーゼ(EC3.2.1)などの酵素が含まれる。CGTアーゼおよびα−アミラーゼは、α−(1,4)−グリコシド結合の加水分解によってデンプンを分解するグリコシラーゼの2つのクラスであるが、最初の分解生成物は主にCGTアーゼについては環状オリゴサッカライド(シクロデキストリンとも呼ばれる)およびα−アミラーゼについては線状オリゴサッカライドである。
【0007】
CGTアーゼは、分子内トランスグリコシル化反応を介したデンプンおよび類似の物質のシクロデキストリンへの分解を触媒し、それによりシクロデキストリン(CDとも呼ばれる)と呼ばれる種々のサイズの環状α−(1,4)−結合オリゴサッカライドを形成することができる。環状α−(1,4)−結合オリゴサッカライド(シクロデキストリン)は、線状α−(1,4)−結合オリゴサッカライド基質から形成される。
【0008】
CGTアーゼ酵素は5つのドメイン(A〜E)(ドメインAおよびBは触媒ドメインを構成し、ドメインEは未処理のデンプン結合に関与するが(Penninga,D.,et al.,(1996)J.Biol.Chemi.271,32777−32784;Ohdan,K.,et al.(2000)Appl.Environ.Microbiol.66,3058−3064)、ドメインCおよびDの機能は依然として知られていない)からなる。いくつかの糖結合サブサイト(−7〜+2で標識;図1)を全体に基質が結合した後、サブサイト−1と+1との間のα−(1,4)−グリコシル結合が切断されてドナーサブサイト(−1、−2、−3など)で結合した共有結合性グリコシル酵素中間体が得られる(Uitdehaag,J.C.et al.,(1999)Nature Struct.Biol.6,432−436)。次の反応ステップでは、受容体分子が受容体サブサイト+1で結合し、グリコシル−酵素結合を切断する。
【0009】
環状化反応では、受容体として共有結合糖の非還元末端を使用してシクロデキストリンを得る。非常に低い比率で、CGTアーゼも受容体として水または第2の糖分子を使用してそれぞれ加水分解または不均化反応が起こり、それにより線状オリゴサッカライドを形成することができる。
【0010】
α−アミラーゼは強力な加水分解酵素であるが、まず第1にCGTアーゼはトランスグリコシラーゼである。CGTアーゼの加水分解活性は、一般に、トランスグリコシル化活性よりも非常に低い。Thermoanaerobacter属のThermoanaerobacterium themosulfurigenesEM1株(ツビウム(Tubium))由来のCGTアーゼは、比較的高い加水分解活性を有するにもかかわらず、α−アミラーゼと比較すると依然として非常に低いことが報告されている(Norman and Jorgensen,1992,Denpun Kagaku,39:101−108;Wind et al.,1995,Appl.Environm.Microbiol.61:1257−1265)。
【0011】
CGTアーゼ酵素の加水分解反応およびトランスグリコシル化反応の相対効率を、反応後半で使用した受容体の性質およびそれによる受容体サブサイトの特性によって決定することが示唆されている。これに関して、van der Veen and colleaguesは、そのトランスグリコシル化活性が加水分解活性よりも非常に高いので、CGTアーゼはグリコシル受容体について明確な優先度を有すると報告している(van der Veen,B.A.,et al.,(2000)Eur.J.Biochem.267,658−665)。これに関して、Nakamura et al.は、保存されたPhe184残基およびPhe260残基を含む+2基質結合サブサイトがトランスグリコシル化活性に重要であると報告している(Nakamura et al.,1994,Biochemistry,33:9926−9936)。さらに、Leemhuis et al.は、260位のアミノ酸側鎖もCGTアーゼの加水分解活性を調節すると報告している(Leemhius et al.,2002,FEBS letters 514:189−192)。さらに、彼らは、変異Phe260によりCGTアーゼをトランスグリコシラーゼからデンプン加水分解酵素に変化させることができると報告している。
【0012】
US−A−6482622は、Novamyl(登録商標)の商標名で市販されているバチルス由来のマルトース生成α−アミラーゼが、CGTアーゼといくつかの特徴(配列相同性およびトランスグリコシル化生成物の形成を含む)を共有していることを開示している。デンプンへの作用時に線状オリゴサッカライドを形成する能力を有するCGTアーゼ変異型が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、α−アミラーゼ酵素ファミリーに属する新規の酵素変異型、ならびにそのヌクレオチド配列、およびこれを含むか使用する実施形態を提供する。変異型は有用な活性を有する。
【0014】
CGTアーゼナンバリング
本発明の文脈では、CGTアーゼ酵素中のアミノ酸残基の位置の特定のナンバリングを使用する。
【0015】
これに関して、種々の公知のCGTアーゼのアミノ酸配列のアラインメントにより、CGTアーゼアミノ酸位置番号を任意のCGTアーゼ酵素中のそのアミノ酸配列が公知の任意のアミノ酸残基の位置に明確に割り当てることが可能である。
【0016】
例えば、他の公知のCGTアーゼ番号のアミノ酸配列と整列させたBacillus circulans251株から得たCGTアーゼのアミノ酸配列から始まるこのナンバリングシステムを使用して、CGTアーゼ中のアミノ酸残基の位置を明確に示すことが可能である。
【0017】
このCGTアーゼナンバリングシステムは、WO96/33267,表1,8−31頁(Bacillus circulans251株をaと示す)に記載されている。WO96/33267の表1は、関連するCGTアーゼ番号のタンパク質配列も示し、本明細書中で参考として組み込まれる。
【0018】
産生されたか本発明によって含まれることが意図される異なるCGTアーゼ変異型の説明では、参照を容易にするために以下の命名法を採用する(元のアミノ酸/ナンバリングシステムによる位置/置換アミノ酸)。
【0019】
したがって、230位でのアラニンからバリンへの置換を、A230Vと示す。
【0020】
複数の変異をスラッシュマーク「/」で分離する(例えば、A230V/T514Aは、230位および514位でそれぞれアラニンをバリンにおよびトレオニンをアラニンに置換する変異を示す)。
【0021】
CGTアーゼナンバリングによる本願中で言及された全位置は、本明細書中に記載のBacillus circulansCGTアーゼナンバリングをいう。
【0022】
ナンバリングシステムは、塩基基準点として特定の配列を使用することができるにもかかわらず、全ての関連する相同配列に適用することもできる。タンパク質間の配列相同性を、本明細書中に記載の周知のアラインメントプログラムおよびハイブリッド形成技術を使用して確認することができる。
【0023】
本発明のいくつかの態様では、1つの変異のみが存在する。本発明の他の態様では、2つの変異が存在する。本発明の他の態様では、3つの変異が存在する。本発明の他の態様では、3つを超える変異が存在する。
【0024】
本発明の広範な態様
アミログルコシダーゼおよびβ−アミラーゼのようなエキソアミラーゼは、事実上常に非還元末端由来の基質(例えば、デンプン)を切断するのでエンド活性を示さないという点で完全にエキソ特異性であるのに対して、マルトース生成α−アミラーゼなどの他のアミラーゼはデンプン内部を切断し、それにより種々のエキソ特異性を有する。
【0025】
1つの広範な態様では、本発明は、エキソ特異性が増加した変異酵素に関する。
【0026】
全加水分解活性とエンド活性との比としてエキソ特異性を測定する。エキソ特異性が増加した変異型は全加水分解活性が増加し、そして/またはエンド活性が減少するという結果になるであろう。
【0027】
別の広範な態様では、本発明は、同一条件下で基準および/または親酵素と比較した場合に加水分解酵素活性の増加および/またはエンド活性の減少を示す変異α−アミラーゼファミリー酵素を提供する。
【0028】
さらなる広範な態様では、本発明は、基準および/または親酵素と比較した場合にエキソ特異性が増加した変異α−アミラーゼファミリーメンバー(例えば、変異CGTアーゼまたは変異マルトース生成α−アミラーゼ)を提供する。
【0029】
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を提供する。
【0030】
さらに、適切な宿主細胞中でヌクレオチド配列の発現を調節することができる調節配列に作動可能に連結された本発明の核酸配列を含むベクターを提供する。
【0031】
さらに、本発明の核酸またはベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0032】
別の態様では、本発明は、宿主細胞を所望のポリペプチドをコードする核酸で形質転換する工程と、前記形質転換細胞を培養する工程と、前記ポリペプチドを発現する工程と、任意選択的に前記ポリペプチドを精製および/または単離する工程と、任意選択的に所望の活性についてポリペプチドを試験する工程とを含む、本発明のポリペプチドの作製方法を提供する。
【0033】
本発明者らの結果は、これらの変異ポリペプチドがベーキングなどの種々の適用に適切となる改良された性質を有することを証明する。
【0034】
ベーキングにおける本発明の変異ポリペプチドの使用も提供する。
【0035】
デンプンを本発明の変異酵素と接触させて酵素によりデンプンから1つまたは複数の線状基質(linear substrate)を生成する工程と、任意選択的にこれを単離および/または精製する工程とを含む、デンプンの処理プロセスも提供する。
【0036】
本発明の特定の態様
本発明のいくつかの特定の態様を、添付の特許請求の範囲に示す。
【0037】
例えば、本発明の1つの態様によれば、基準酵素に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む単離および/または精製酵素変異型において、
前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が高く、
前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーである、単離および/または精製酵素変異型を提供する。
【0038】
基準酵素は、1つまたは複数の対応するアミノ酸修飾を含まない。好ましくは、基準酵素は、全ての対応するアミノ酸修飾(すなわち、全ての変異型の修飾)を含まない。
【0039】
あるいは、本発明の1つの態様によれば、基準配列に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulans CGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置で1つまたは複数のアミノ酸修飾が異なる単離および/または精製酵素変異型において、
前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が高く、
前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーである、単離および/または精製酵素変異型を提供する。
【0040】
基準酵素は、1つまたは複数の対応するアミノ酸修飾を含まない。好ましくは、基準酵素は、全ての対応するアミノ酸修飾(すなわち、全ての変異型の修飾)を含まない。
【0041】
酵素変異型は天然に存在し得る。あるいは、酵素変異型をデノボで調製するか、基準および/または親酵素の修飾によって調製してもよい。
【0042】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、親酵素から誘導可能な単離および/または精製酵素変異型において、前記親酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーであり、前記酵素変異型が親酵素に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含み、
前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での親酵素と比較して加水分解酵素活性が高い、単離および/または精製酵素変異型を提供する。
【0043】
本発明の別態様は、酵素変異型の調製方法において、前記方法は、前記酵素変異型をコードする変異ヌクレオチド配列を発現させる工程を含み、前記酵素変異型が、基準酵素に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含み、
前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が高く、
前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーである、調製方法に関する。
【0044】
基準酵素は、1つまたは複数の対応するアミノ酸修飾を含まない。好ましくは、基準酵素は、全ての対応するアミノ酸修飾(すなわち、全ての変異型の修飾)を含まない。
【0045】
あるいは、本発明の1つの態様によれば、酵素変異型の調製方法において、前記方法は、前記酵素変異型をコードする変異ヌクレオチド配列を発現させる工程を含み、前記酵素変異型が、基準配列に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置で1つまたは複数のアミノ酸修飾が異なり、
前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が高く、
前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーである、調製方法を提供する。
【0046】
基準酵素は、1つまたは複数の対応するアミノ酸修飾を含まない。好ましくは、基準酵素は、全ての対応するアミノ酸修飾(すなわち、全ての変異型の修飾)を含まない。
【0047】
変異ヌクレオチド配列は天然に存在し得る。あるいは、変異ヌクレオチド配列をデノボで調製するか、親ヌクレオチド配列酵素の修飾によって調製することができる。
【0048】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、酵素変異型の調製方法において、前記方法は、前記酵素変異型をコードする変異ヌクレオチド配列を発現させる工程を含み、前記変異ヌクレオチド配列が親ヌクレオチド配列の変異から得られ、前記親ヌクレオチド配列が親酵素をコードし、前記親酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーであり、前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での親酵素と比較して加水分解酵素活性が高く、前記酵素変異型が、親酵素に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む、調製方法を提供する。
【0049】
本発明の別の態様によれば、酵素変異型の調製方法において、前記方法は、前記酵素変異型をコードする変異ヌクレオチド配列を発現させる工程を含み、前記変異ヌクレオチド配列が基準ヌクレオチド配列の変異から得られ、前記基準ヌクレオチド配列が基準酵素をコードし、前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーであり、前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が低く、前記酵素変異型が、基準酵素に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含み、
前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が高く、
前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーである、調製方法を提供する。
【0050】
基準酵素は、1つまたは複数の対応するアミノ酸修飾を含まない。好ましくは、基準酵素は、全ての対応するアミノ酸修飾(すなわち、全ての変異型の修飾)を含まない。
【0051】
あるいは、本発明の1つの態様によれば、酵素変異型の調製方法において、前記方法は、前記酵素変異型をコードする変異ヌクレオチド配列を発現させる工程を含み、前記変異ヌクレオチド配列が基準ヌクレオチド配列の変異から得られ、前記基準ヌクレオチド配列が基準酵素をコードし、前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーであり、前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が低く、前記酵素変異型が、基準配列に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含み、
前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が高く、
前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーである、調製方法を提供する。
【0052】
基準酵素は、1つまたは複数の対応するアミノ酸修飾を含まない。好ましくは、基準酵素は、全ての対応するアミノ酸修飾(すなわち、全ての変異型の修飾)を含まない。
【0053】
変異ヌクレオチド配列は天然に存在し得る。あるいは、変異ヌクレオチド配列をデノボで調製するか、親ヌクレオチド配列酵素の修飾によって調製することができる。
【0054】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、酵素変異型の調製方法において、前記方法は、前記酵素変異型をコードする変異ヌクレオチド配列を発現させる工程を含み、前記変異ヌクレオチド配列が親ヌクレオチド配列の変異から得られ、前記親ヌクレオチド配列が親酵素をコードし、前記親酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーであり、前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での親酵素と比較して加水分解酵素活性が低く、前記酵素変異型が、親酵素に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む、調製方法を提供する。
【0055】
基準酵素
本明細書中で使用される、用語「基準酵素」は、得られた変異型に近い、好ましくは最も近い化学構造を有する酵素を意味する。基準酵素は、前駆体酵素(すなわち、実質的に変異した酵素)であるか、デノボで調製してもよい。基準酵素は、野生型酵素であってもよい。
【0056】
本明細書中で使用される、用語「前駆体」は、本発明の方法によって修飾された酵素以前の酵素を意味する。したがって、前駆体は、本発明の変異誘発によって修飾された酵素であってもよい。同様に、前駆体は、野生型酵素、変異野生型酵素、または既に変異した酵素であってもよい。
【0057】
用語「野生型」は、当業者に理解されている技術用語であり、天然に存在し、且つ変異体の表現型に対照的な種のほとんどのメンバーに特徴的な表現型を意味する。したがって、本文脈では、野生型酵素は、関連種のほとんどのメンバーで天然に見出される酵素の形態である。一般に、関連野生型酵素は、本発明の変異ポリペプチドに対して、配列相同性に関して最も密接に関連した対応野生型酵素である。
【0058】
しかし、本発明の変異ポリペプチド産生の基礎として特定の野生型配列を使用する場合、アミノ酸配列相同性に関してより密接に関連する別の野生型配列の存在と無関係に、これは対応する野生型配列である。
【0059】
本発明の特定の態様の文脈では、基準酵素の例には、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または図5に示す野生型Bacillus circulans251株、サーモアネロバクテリウム・サーモスルフリゲンス株(タビウム(Tabium))、またはNovamyl(登録商標)の配列が含まれる。
【0060】
基準ヌクレオチド配列
本明細書中で使用される、用語「基準ヌクレオチド配列」は、基準酵素をコードする配列を意味する。
【0061】
親酵素
本明細書中で使用される、用語「親酵素」は、得られた変異型に近い、好ましくは最も近い化学構造を有する酵素を意味する。親酵素は、典型的には、前駆体酵素(すなわち、実質的に変異した酵素)であり得るか、デノボで調製することができる。親酵素は、野生型酵素であってもよい。
【0062】
本明細書中で使用される、用語「前駆体」は、本発明の方法によって修飾された酵素以前の酵素を意味する。したがって、前駆体は、本発明の変異誘発によって修飾された酵素であってもよい。同様に、前駆体は、野生型酵素、変異野生型酵素、または既に変異した酵素であってもよい。
【0063】
用語「野生型」は、当業者に理解されている技術用語であり、天然に存在し、且つ変異体の表現型に対照的な種のほとんどのメンバーに特徴的な表現型を意味する。したがって、本文脈では、野生型酵素は、関連種のほとんどのメンバーで天然に見出される酵素の形態である。一般に、関連野生型酵素は、本発明の変異ポリペプチドに対して、配列相同性に関して最も密接に関連した対応野生型酵素である。
【0064】
しかし、本発明の変異ポリペプチド産生の基礎として特定の野生型配列を使用する場合、アミノ酸配列相同性に関してより密接に関連する別の野生型配列の存在と無関係に、これは対応する野生型配列である。
【0065】
本発明の特定の態様の文脈では、親酵素の例には、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または図5に示す野生型Bacillus circulans251株、Thermoanaerobacterium themosulfurigenes株(タビウム(Tabium))、またはNovamyl(登録商標)の配列が含まれる。
【0066】
親ヌクレオチド配列
本明細書中で使用される、用語「親ヌクレオチド配列」は、親酵素をコードする配列を意味する。
【0067】
本発明の好ましい態様
本発明の好ましい態様を、本明細書中または特許請求の範囲に示す。
【0068】
本発明の特に好ましい態様
特に好ましい実施形態では、本発明は、基準および/または親酵素と比較した場合(すなわち、対比した場合)に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む、基準および/または親酵素と比較して加水分解酵素活性が増加し、且つエンドアミラーゼ活性が減少した変異CGTアーゼポリペプチドを提供する。
【0069】
別の特に好ましい実施形態では、本発明は、変異CGTアーゼが任意の1つまたは複数の本明細書中に列挙されているかB.サーキュランス251株の配列番号4に示すアミノ酸残基番号または他の相同なCGTアーゼポリペプチド中のその同等の位置に組み込むように基準および/または親CGTアーゼに由来する加水分解酵素活性が増加し、そして/またはエンドアミラーゼ活性が減少した変異CGTアーゼポリペプチドを提供する(図5を参照のこと)。
【0070】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、任意の1つの本明細書中に列挙されているかNovamyl(登録商標)酵素の配列番号6に示すアミノ酸残基番号または他の相同なマルトース生成α−アミラーゼポリペプチド中のその同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む、基準および/または親酵素と比較してデンプン加水分解酵素活性が変化し、且つエンドアミラーゼ活性が変化した変異マルトース生成α−アミラーゼ酵素Novamyl(登録商標)を提供する。基準および/または親マルトース生成α−アミラーゼ酵素Novamyl(登録商標)は、バチルス属から単離され(EP120693)、Novo Nordisk A/S,デンマークの市販品である。
【0071】
好ましくは、修飾はアミノ酸置換である。
【0072】
好ましくは、これらの置換は、Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用したアミノ酸A230V、F21L、R47L、R47W、N94S、K232L、A245T、F259E、F259I、E264A、A357T、Y633A、および他の相同なポリペプチド中のその等価物から選択される。
【0073】
好ましくは、これらの置換は、Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用した1つまたは複数のF21L、R47L、R47W、N94S、K232L、A245T、F259E、F259I、E264A、A357T、Y633A、および他の相同なポリペプチド中のその等価物と組み合わせたアミノ酸A230Vを含む複数の置換である。
【0074】
好ましくは、置換は、Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用したF259Iおよび他の相同なポリペプチド中のその等価物とのアミノ酸A230Vの組み合わせ(すなわち、A230V/F259I)を含む。
【0075】
本発明の一般的態様
本発明者らは、ランダム変異誘発技術などの変異誘発技術を使用して、デンプン加水分解活性が増加し、且つエンドアミラーゼ活性が減少した酵素を生成することができることを証明するために異なるα−アミラーゼファミリーメンバーを設計し試験した。
【0076】
したがって、本発明の特定の態様では、本発明者らは、変異誘発技術を使用して、α−アミラーゼファミリーメンバーをエンドアミラーゼからエキソ作用酵素への変換を成し遂げた。
【0077】
特に、本発明者らは、エンド特異性変換度に影響を与え得るファミリー13α−アミラーゼ中の多数の特定のアミノ酸残基を同定した。
【0078】
用語「エンド特異性変換」は、ファミリー13α−アミラーゼ変異型の生化学的特性(例えば、主に、基準および/または親酵素がエキソ作用酵素として作用するのに完全または部分的に影響を受けるエンドアミラーゼ活性)の完全または部分的な変化を意味する。本発明の変異型の生化学的特性の試験を、実施例に記載のように行うことができる。
【0079】
非常に好ましい態様として、本発明は、1つまたは複数の以下の位置(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用):230位および選択的に1つまたは複数の21位、47位、94位、232位、245位、259位、264位、357位、もしくは633位またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中のその同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含むα−アミラーゼファミリーの酵素変異型を提供する。本発明はまた、この変異型をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0080】
さらに別の非常により好ましい態様では、本発明は、1つまたは複数の以下の位置(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用):230位および選択的に1つまたは複数の21位、47位、94位、232位、245位、259位、264位、357位、もしくは633位または他の相同な酵素中のその同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む基準および/または親マルトース生成α−アミラーゼ酵素(Novamyl(登録商標))に由来するマルトース生成α−アミラーゼ変異型を提供する。本発明はまた、この変異型をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0081】
さらに別のより好ましい態様では、本発明は、Bacillus circulans251株のナンバリングを使用した1つまたは複数のアミノ酸:21位、47位、94位、232位、245位、259位、264位、357位、もしくは633位または他の相同なポリペプチド中のその等価物と組み合わせたアミノ酸230に修飾を含む基準および/または親マルトース生成α−アミラーゼ酵素(Novamyl(登録商標))に由来するマルトース生成α−アミラーゼ変異型を提供する。本発明はまた、この変異型をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0082】
さらに別のより好ましい態様では、本発明は、Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用したアミノ酸259(すなわち、230/259)および他の相同なポリペプチド中のその等価物と組み合わせたアミノ酸230に修飾を含む基準および/または親マルトース生成α−アミラーゼ酵素(Novamyl(登録商標)、配列番号6)に由来するマルトース生成α−アミラーゼ変異型を提供する。本発明はまた、この変異型をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0083】
α−アミラーゼファミリー
α−アミラーゼファミリーは、加水分解酵素(EC3)、トランスフェラーゼ(EC2)、およびイソメラーゼ(EC5)由来の27を超える異なる酵素特異性を対象とする。これらは、全アミノ酸配列相同性(特に、触媒部位)、三次元構造類似性、および触媒部位の幾何学的性質などの特性に基づいてGH−H属を形成する3つのグリコシド加水分解酵素ファミリー13、70、および77に属する(McCarter,J.D.and Withers,S.G.(1994)Curr.Opin.Struct.Biol.4,885−892;Uitdehaag,J.C.M.,et al.,(1999)Nature Struct.Biol.6,432−436)。約100種の異なる生物(特に、真菌および細菌)由来のα−アミラーゼファミリーメンバーが報告されている。
【0084】
本明細書中で使用される、用語「α−アミラーゼファミリー」は、本明細書中で述べられるように、加水分解酵素、トランスフェラーゼ、イソメラーゼなどの酵素の異なるクラスおよびタンパク質も含まれるα−アミラーゼタンパク質ファミリーを示すことが意図される(表および本明細書を参照のこと)。上記用語を、酵素のα−アミラーゼファミリーに属する特定の酵素クラス(すなわち、加水分解酵素クラス)を示す用語「α−アミラーゼ」と区別すべきである。
【0085】
本発明に関して、ファミリー13に分類される酵素は特に興味深い。この酵素ファミリーには、特に、トランスフェラーゼ酵素クラス(例えば、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ(CGTアーゼ))および加水分解酵素クラス(例えば、マルトース生成α−アミラーゼ)が含まれる(表Aを参照のこと)。
【0086】
【表1】

【0087】
CGTアーゼ
非常に好ましい態様では、本発明で使用される基準および/または親CGTアーゼは、EC2.4.1.19に分類される酵素である。これは、任意の供給源(例えば、バチルス、サーモアネロバクター、クレブシエラ、コリネバクテリウム、ブレビバクテリウム、クロストリジウム、ミクロコッカス、およびサーモアネロバクテリウム株が含まれてもよいがこれらに限定されない細菌供給源)に由来してもよい。
【0088】
基準および/または親CGTアーゼは、好ましくは、1つまたは複数の以下の特徴を有する。
i)アミノ酸は、配列番号4または5と少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の配列が同一であること。
ii)本明細書中に記載の条件でそれぞれBacillus circulans251株またはThermoanaerobacterium themosulfurigenes株(タビウム)によって保有されたCGTアーゼをコードする配列番号4または5のヌクレオチド配列とハイブリッド形成するヌクレオチド配列によってコードされること。
iii)グルコシル受容体について明白な優先度を有し、且つそのトランスグリコシラーゼ活性がその加水分解酵素活性よりも非常に高いこと。
iv)そのエンドアミラーゼ活性がそのエキソアミラーゼ活性よりも非常に高いこと。
【0089】
マルトース生成α−アミラーゼ
本発明で使用することができる基準および/または親マルトース生成α−アミラーゼは、EC3.2.1.133に分類される酵素である。この酵素の触媒活性には基質上に非還元末端が必要であり、一次酵素活性によりアミロペクチンおよびアミロースがマルトースおよび他の線状マルトデキストリン(maltodextrin)に分解される。この酵素はまた、アミロースおよびアミロペクチンをα型のマルトースに加水分解することができる。さらに、低レベルで、この酵素はシクロデキストリンと同様にマルトトリオースも加水分解することができる。
【0090】
本発明で使用することができる好ましい基準および/または親マルトース生成α−アミラーゼは、EP120693に記載のバチルス属からクローン化したアミラーゼ(市販品ではNovamyl(登録商標)として公知)である。Novamyl(登録商標)は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を有し、バチルス属のNCIB11837株によってコードされる。
【0091】
エンドアミラーゼ
用語「エンドアミラーゼ」は、還元末端(すなわち、内部)からデンプンを分解する有意な能力を有する酵素を意味する。しかし、酵素はその活性のみを有する必要はなく、他の活性を保有することができる。典型的には、他の活性には、有意なグリコシルトランスフェラーゼ活性および/または加水分解酵素活性および/またはエキソアミラーゼ活性が含まれる。好ましくは、エキソアミラーゼ活性が、存在する場合、グリコシルトランスフェラーゼ活性および/または加水分解酵素活性よりも低い(好ましくは非常に低い)。
【0092】
エキソアミラーゼ
用語「エキソアミラーゼ」は、非還元末端(すなわち、分子の末端)からデンプンを分解する有意な能力を有する酵素を意味する。しかし、酵素はその活性のみを有する必要はなく、他の活性を保有することができる。典型的には、他の活性には、有意なグリコシルトランスフェラーゼ活性および/または加水分解酵素活性および/またはエンド−アミラーゼ活性が含まれる。好ましくは、エンド−アミラーゼ活性は、存在する場合、グリコシルトランスフェラーゼ活性および/または加水分解酵素活性よりも低い(好ましくは非常に低い)。
【0093】
加水分解酵素
用語「加水分解酵素」は、有意なデンプン加水分解活性を有する酵素を意味する。しかし、酵素はその活性のみを有する必要はなく、他の活性を保有することができる。典型的には、他の活性には、有意なグリコシルトランスフェラーゼ活性が含まれない。好ましくは、グリコシルトランスフェラーゼは、存在する場合、加水分解酵素活性よりも低い(好ましくは非常に低い)。
【0094】
グリコシルトランスフェラーゼ
用語「グリコシルトランスフェラーゼ」は、有意なデンプングリコシルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を意味する。しかし、酵素はその活性のみを有する必要はなく、他の活性を保有することができる。典型的には、他の活性には、有意な加水分解酵素活性が含まれない。好ましくは、加水分解酵素活性は、存在する場合、グリコシルトランスフェラーゼ活性よりも低い(好ましくは非常に低い)。
【0095】
アミノ酸
本発明の文脈では、アミノ酸残基について以下の記号および略語を使用する。
A Ala アラニン
B Ast アスパルテート
C Cys システイン
D Asp アスパラギン酸
E Glu グルタミン酸
F Phe フェニルアラニン
G Gly グリシン
H His ヒスチジン
I Ile イソロイシン
K Lys リジン
L Leu ロイシン
M Met メチオニン
N Asn アスパラギン
P Pro プロリン
Q Gln グルタミン
R Arg アルギニン
S Ser セリン
T Thr トレオニン
V Val バリン
W Trp トリプトファン
Y Tyr チロシン
Z Gln グルタミン
Xは、任意の非芳香族アミノ酸である(すなわち、Y、F、またはWではない)(他で記述がない限り)。
【0096】
アミノ酸配列
本発明はまた、本明細書中に定義の特定の性質を有する変異酵素のアミノ酸配列を含む。
【0097】
本明細書中で使用される、用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」および/または用語「タンパク質」と同義である。いくつかの例では、用語「アミノ酸配列」は、用語「ペプチド」と同義である。いくつかの例では、用語「アミノ酸配列」は、用語「酵素」と同義である。
【0098】
本発明のアミノ酸配列を、適切な供給源から調製/単離することができるか、合成することができるか、組換えDNA技術の使用によって調製することができる。
【0099】
本発明の変異酵素を、他の酵素と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明はまた、組み合わせが本発明の変異酵素および本発明の別の酵素であり得る別の酵素を含む酵素の組み合わせを対象とする。この態様を、以下の節で考察する。
【0100】
好ましくは、変異酵素は、天然の酵素ではない。これに関して、用語「天然の酵素」は、その天然の環境下に存在し、その天然のヌクレオチド配列によって発現する全酵素を意味する。
【0101】
変異型
本発明は、新規のα−アミラーゼファミリー変異ポリペプチド(すなわち、天然に見出されないアミノ酸配列を有するα−アミラーゼファミリー変異型)を提供する。形式上、本発明のα−アミラーゼファミリー変異型を、基準および/または親酵素の1つまたは複数の残基の置換、挿入、および/または欠失によって得られた基準および/または親α−アミラーゼファミリー酵素(本明細書中に定義)の機能誘導体と見なすことができる。例えば、部位特異的変異誘発および変異性ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)変異誘発などの標準的な技術を使用して、ポリペプチド配列を修飾することができる。
【0102】
本発明の文脈では、加水分解活性が増加し、且つエンドアミラーゼ活性が減少したα−アミラーゼファミリー変異型は、基準および/または親酵素と比較した場合に、線状オリゴサッカライドレベルを増加することができるα−アミラーゼファミリー変異型である。
【0103】
本発明のα−アミラーゼファミリー変異型では、以下の位置(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリング)に対応する1つまたは複数のアミノ酸残基を、置換および/または挿入によって導入した。
【0104】
8位(前記変異は、8C;8D;8F;8I;8N;8P;8S;8W;または8Yのいずれかに対するものである)、
21位(前記変異は、21A;21D;21F;21L;21T;21V;21W;または21Yのいずれかに対するものである)、
47位(前記変異は、47A;47C;47D;47E;47F;47G;47I;47K;47Q;47L;47N;47P;47R;47S;47T;47V;または47Wのいずれかに対するものである)、
94位(前記変異は、94Nまたは94Sのいずれかに対するものである)、
215位(前記変異は、215Iまたは215Vのいずれかに対するものである)、
230位(前記変異は、230A;230C;230D;230E;230F;230G;230H;230I;230K;230L;230M;230N;230P;230Q;230R;230S;230T;230V;230W;または230Yのいずれかに対するものである)、
232位(前記変異は、232Lのいずれかに対するものである)、
245位(前記変異は、245Aまたは245Tのいずれかに対するものである)、
259位(前記変異は、259A;259E;259F;259I;または259Sのいずれかに対するものである)、
263位(前記変異は、264Aのいずれかに対するものである)、
299位(前記変異は、299Dのいずれかに対するものである)、
320位(前記変異は、320Qまたは320Lのいずれかに対するものである)、
357位(前記変異は、357Aまたは357Tのいずれかに対するものである)、
514位(前記変異は、514Aのいずれかに対するものである)、
633位(前記変異は、633Aのいずれかに対するものである)、
655位(前記変異は、655Kまたは655Eのいずれかに対するものである)、
660位(前記変異は、660Aまたは660Vのいずれかに対するものである)、および/または
672位(前記変異は、672Aまたは672Gのいずれかに対するものである)。
【0105】
本発明のより好ましいα−アミラーゼファミリー変異型では、以下の位置(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリング)に対応する1つまたは複数のアミノ酸残基を、置換および/または挿入によって導入した。
【0106】
8位(前記変異は、8Sに対するものである)、
21位(前記変異は、21Lに対するものである)、
47位(前記変異は、47Q;47L;または47Wのいずれかに対するものである)、
94位(前記変異は、94Sに対するものである)、
215位(前記変異は、215Vに対するものである)、
230位(前記変異は、230Vに対するものである)、
232位(前記変異は、232Lに対するものである)、
245位(前記変異は、245Tに対するものである)、
259位(前記変異は、259E;259I;または259Sのいずれかに対するものである)、
263位(前記変異は、263Aに対するものである)、
299位(前記変異は、299Dに対するものである)、
320位(前記変異は、320Lに対するものである)、
357位(前記変異は、357Tに対するものである)、
514位(前記変異は、514Aに対するものである)、
633位(前記変異は、633Aに対するものである)、
655位(前記変異は、655Eに対するものである)、
660位(前記変異は、660Aに対するものである)、
672位(前記変異は、672Gに対するものである)。
【0107】
好ましい実施形態では、変異α−アミラーゼファミリー酵素は、変異マルトース生成α−アミラーゼ酵素である。したがって、本発明は、置換および/または挿入によって1つまたは複数のアミノ酸修飾が導入された基準および/または親酵素と比較してデンプン加水分解酵素活性が増加し、そして/またはエンドアミラーゼ活性が減少した変異マルトース生成α−アミラーゼポリペプチドを提供する。
【0108】
好ましくは、マルトース生成α−アミラーゼ変異型は、配列番号6に示すバチルスNCIB11837株またはその同族体に由来する。
【0109】
本発明のα−アミラーゼファミリー変異型は、天然に見出される任意のα−アミラーゼファミリーメンバー酵素に由来し得る。
【0110】
好ましくは、修飾すべきα−アミラーゼ配列は、ファミリー13α−アミラーゼ酵素、より好ましくは、バチルス株、サーモアネロバクター株、クレブシエラ株、コリネバクテリウム株、ブレビバクテリウム株、クロストリジウム株、ミクロコッカス株、またはサーモアネロバクテリウム株由来のファミリー13α−アミラーゼの配列である。
【0111】
より好ましい実施形態では、本発明のα−アミラーゼ変異型は、Bacillus autolyticus株、Bacillus cereus株、Bacillus circulans株、Bacillus circulans株alkalophilus種、Bacillus coagulans株、Bacillus firmus株、Bacillus halophilus株、Bacillus macerans株、Bacillus megaterium株、Bacillus ohbensis株、Bacillus stearothermophilus株、Bacillus subtilis株、Klebsiella pneumonia株、Thermoanaerobacter ethanolicus株、Thermoanaerobacter funni株、Clostridium thermoamylolyticum株、Clostridium thermosaccharolyticul株、またはThermoanaerobacterium themosulfurigenes株に由来する。
【0112】
本発明のCGTアーゼ変異型がBacillus circulans株に由来する場合、置換および/または挿入によって1つまたは複数のアミノ酸修飾を導入することができる。
【0113】
好ましくは、CGTアーゼ変異型は、配列番号1に示すBacillus circulans251株またはその同族体に由来する。
【0114】
例として、置換および/または挿入によって1つまたは複数のアミノ酸修飾が導入されたBacillus circulans251株CGTアーゼ変異型の構築物(例えば、A230V、A230V/F21L、A230V/A245T/A357T、A230V/F21L/N94S、A230V/F21L/R47W)を記載する。
【0115】
好ましくは、CGTアーゼ変異型は、配列番号2に示すサーモアネロバクテリウム・サーモスルフリゲンスEM1株(タビウム)またはそのホモログに由来する。例として、置換および/または挿入によって1つまたは複数のアミノ酸修飾が導入されたサーモアネロバクテリウム・サーモスルフリゲンスEM1株(タビウム)CGTアーゼ変異型の構築物(例えば、A231V、F260E、および/またはA231V/F260E)を記載する。
【0116】
サーモアネロバクテリウム・サーモスルフリゲンスEM1株(タビウム)CGTアーゼのアミノ酸231および260は、それぞれBacillus circulans251株のアミノ酸230および259に対応することに留意すべきである(Novamyl(登録商標)とサーモアネロバクテリウム・サーモスルフリゲンス、Bacillus circulans、およびサーモアネロバクター由来のCGTアーゼとの配列アラインメントを示す、US−6,482,622を参照のこと(参照を容易にするために、このアラインメントを図5に再度作製する))。
【0117】
したがって、1つまたは複数のアミノ酸残基を含む変異CGTアーゼは、加水分解酵素活性が増加し、且つエンドアミラーゼ活性が減少し、無作為な変異誘発によって基準および/または親CGTアーゼと比較した場合にCDに関して線状オリゴサッカライド産生レベルが増加する。
【0118】
好ましくは、マルトース生成α−アミラーゼ変異型は、配列番号3に示すバチルス属(Novamyl(登録商標))またはそのホモログに由来する。例として、置換および/または挿入によって1つまたは複数のアミノ酸修飾が導入されたNovamyl(登録商標)変異型の構築物(例えば、A229V、A229V/F16L、A229V/K244T、および/またはA229V/Y258X(Xは、任意の非芳香族アミノ酸(すなわち、Y、F、またはWではない)である)(Novamyl(登録商標)にしたがったナンバリング))を記載する。
【0119】
より好ましくは、マルトース生成α−アミラーゼ変異型はバチルス属に由来し(Novamyl(登録商標))、二重置換A299V/Y258X(Xは、任意の非芳香族アミノ酸(すなわち、Y、F、またはWではない)である)(Novamyl(登録商標)にしたがったナンバリング))を含む。
【0120】
Novamyl(登録商標)のアミノ酸16、229、244および258は、それぞれBacillus circulans251株のアミノ酸21、230、245、および259に対応することに留意すべきである(Novamyl(登録商標)とThermoanaerobacterium themosulfurigenes、Bacillus circulans、およびThermoanaerobacter由来のCGTアーゼとの配列アラインメントを示す、US−6,482,622を参照のこと(参照を容易にするために、このアラインメントを図5に再度作製する))。
【0121】
したがって、1つまたは複数のアミノ酸残基を含む変異Novamyl(登録商標)は、トランスグリコシダーゼ活性が変化し、且つ加水分解酵素活性が変化し、変異誘発によって基準および/または親Novamyl(登録商標)と比較した場合にCDおよび線状産生レベルが変化する。
【0122】
同一性および相同性
本発明は、本発明の変異酵素の任意のアミノ酸配列またはこのような変異酵素をコードする任意のヌクレオチド配列のホモログおよび誘導体の使用を含む。本明細書中の用語「ホモログ」は、変異型のアミノ酸配列および変異型のヌクレオチド配列と一定の相同性を有する物質を意味する。本明細書中の用語「相同性」は、「同一性」と同等であり得る。
【0123】
本発明の文脈では、相同配列を、基準および/または親の配列などの関連比較配列と少なくとも50%、60%、75%、80%、85%、または90%同一、好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であり得るアミノ酸配列が含まれると見なす。典型的には、ホモログは、変異型のアミノ酸配列と同一の活性部位などを含む。相同性を、類似性(すなわち、類似の化学的性質/機能を有するアミノ酸残基)とみなすことができるが、本発明の文脈では、配列同一性という点では相同性と表現することが好ましい。
【0124】
相同性の比較を、目視によって、またはより通常には容易に利用可能な配列比較プログラムの支援によって行うことができる。これらの市販のコンピュータプログラムにより、2つまたはそれ以上の配列の間の相同率を計算することができる。
【0125】
連続した配列の相同率を計算することができる(すなわち、一方の配列を他方の配列と整列させ、一方の配列中の各アミノ酸を他方の配列中の対応するアミノ酸と一度に1残基ずつ直接比較する)。これを、「非ギャップ」アラインメントと呼ぶ。典型的には、このような非ギャップアラインメントを、比較的少数の残基でのみ行う。
【0126】
これは非常に単純且つ一貫した方法であるにもかかわらず、例えば、同一の配列対でなければ1つの挿入または欠失以降のアミノ酸残基がアラインメントから除外されることを考慮できないので、アラインメント全体で行った場合相同率は大きく減少するかもしれない。したがって、ほとんどの配列比較法は、全体の相同性スコアに過度にペナルティーを科すことなく可能な挿入および欠失を考慮する至適アラインメントが得られるようにデザインされている。局所相同性を最大にしようとするために配列アラインメントに「ギャップ」を挿入することによってこれを行う。
【0127】
しかし、これらのより複雑な方法では、同数の同一のアミノ酸について可能な限り少数のギャップ(2つの比較配列間でより高い関連性を反映する)を含む配列アラインメントが多数のギャップを含む配列アラインメントよりも高いスコアが得られるようにアラインメント中に生じる各ギャップに「ギャップペナルティー」を割り当てる。典型的には、ギャップの存在に比較的高いコストを課し、ギャップ中のその後の各残基のペナルティーをより小さくする「アフィニティーギャップコスト」を使用する。これは、最も一般的に使用されているギャップスコアリングシステムである。勿論、高いギャップペナルティーにより、より少ないギャップを含む最適化アラインメントが得られる。ほとんどのアラインメントプログラムは、ギャップペナルティーを修正可能である。しかし、このような配列比較ソフトウェアを使用する場合、デフォルト値を使用することが好ましい。例えば、GCG ウィスコンシン ベストフィットパッケージを使用した場合、アミノ酸配列のデフォルトギャップペナルティーは、ギャップについては−12であり、各伸長については−4である。
【0128】
したがって、最大相同率の計算には、最初にギャップペナルティーを考慮した至適アラインメントの作製が必要である。
【0129】
好ましくは、本発明の目的のために、ポリペプチド配列比較について以下の設定を使用したNeedleman S.B.および Wunch,C.D.(1970)(Journal of Molecular Biology,48:443−445)に記載の方法にしたがって同一度を決定することができる。GAP作製ペナルティー3.0およびGAP伸長ペナルティー0.1。GCGプログラムパッケージが提供するGAPなどの公知のコンピュータプログラム(Program Manual of the Wisconsin Package,Version 8,August 1994,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wis.,USA53711)によって決定することができる。
【0130】
配列比較ができる他のソフトウェアの例には、比較ツールのBLASTパッケージ(Ausubel et al.,1999,Short Protocols in Molecular Biology,4thEd−Chapter 18を参照のこと)、FASTA(Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.,403−410)、およびGENEWORKSスーツが含まれるが、これらに限定されない。BLASTおよびFASTAは共にオフラインおよびオンライン検索で利用可能である(Ausubel et al.,1999,Short Protocols in Molecular Biology,pages 7−58から7−60を参照のこと)。しかし、いくつかの適用については、GCG Bestfitプログラムを使用することが好ましい。BLAST 2 Sequencesと呼ばれる新規のツールはまた、タンパク質およびヌクレオチド配列の比較に利用可能である(FEMS Microbiol Lett.,1999 174(2):247−50;FEMS Microbiol Lett 1999,177(1):187−8およびtatiana@ncbi.nlm.nih.govを参照のこと)。
【0131】
最終相同率を同一性に関して測定することができるにもかかわらず、アラインメントプロセス自体は、典型的には、絶対的な対比較に基づかない。その代わり、一般にスコアを化学的類似性または進化距離に基づいた各対比較に割り当てるスケール変換類似性スコア行列(scaled similarity score matrix)を使用する。一般的に使用されるこのような行列の例は、BLOSUM62行列(プログラムのBLASTスーツ用のデフォルト行列)である。GCG ウィスコンシンプログラムは、一般に、公的なデフォルト値または供給されている場合にはカスタムシンボル比較テーブルのいずれかを使用する(さらなる詳細についてはユーザーマニュアルを参照のこと)。いくつかの適用については、GCGパッケージについては公的なデフォルト値を使用し、他のソフトウェアの場合は、BLOSUM62などのデフォルト行列を使用することが好ましい。
【0132】
あるいは、相同率を、CLUSTAL(Higgins DG & Sharp PM、1988,Gene 73(1),237〜244)に類似する、アルゴリズムに基づいたDNASIS(商標)(日立ソフトウェア)のマルチアラインメント性を使用して計算することができる。
【0133】
一旦ソフトウェアによって最適なアラインメントが得られると、相同率、好ましくは配列同一率を計算することが可能である。ソフトウェアは、典型的には、配列比較の一部としてこれを計算し、数値で結果が得られる。
【0134】
配列はまた、サイレントに変化させて機能的に同等の変異酵素が得られるアミノ酸残基の欠失、挿入、または置換を有し得る。物質の二次結合活性が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいて意図的なアミノ酸置換を行うことができる。例えば、負電荷のアミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれ、正電荷のアミノ酸にはリジンおよびアルギンが含まれ、類似の親水性値(hydrophilicity value)を有する非荷電極性末端基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンが含まれる。
【0135】
特に、変異型は、Bacillus circulans251株、サーモアネロバクテリウム・サーモスルフリゲンスEM1株(タビウム)、またはNovamyl(登録商標)配列由来の基準および/または親酵素と活性部位を含む少なくとも50個または100個のアミノ酸残基と少なくとも50、60、70%、好ましくは少なくとも80%(例えば、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、または少なくとも98%もしくは99%)相同なアミノ酸同一性を有する。
【0136】
ヌクレオチド配列の調製
本明細書中に定義の特定の性質を有する酵素または修飾に適切な酵素のいずれかをコードするヌクレオチド配列を、酵素を産生する任意の細胞または生物から同定および/または単離および/または精製することができる。ヌクレオチド配列の同定および/または単離および/または精製についての分野で種々の方法が周知である。例として、一旦適切な配列が同定および/または単離および/または精製されると、PCR増幅技術を使用してより多数の配列を調製することができる。
【0137】
さらなる例として、ゲノムDNAおよび/またはcDNAライブラリーを、酵素を産生する生物由来の染色体DNAまたは伝令RNAを使用して構築することができる。酵素のアミノ酸配列が公知である場合、標識オリゴヌクレオチドプローブを合成し、これを使用して生物から調製したゲノムライブラリー由来の酵素コードクローンを同定することができる。あるいは、別の公知の酵素遺伝子に対する配列ホモログを含む標識オリゴヌクレオチドプローブを使用して、酵素コードクローンを同定することができる。後者の場合、低ストリンジェンシーのハイブリッド形成および洗浄条件を使用する。
【0138】
あるいは、酵素コードクローンを、プラスミドなどの発現ベクターへのゲノムDNAフラグメントの挿入、得られたゲノムDNAライブラリーでの酵素陰性細菌の形質転換、およびその後の形質転換細菌の酵素の基質を含む寒天へのプレーティング、それによる酵素発現クローンの同定によって同定することができる。
【0139】
なおさらに別の態様では、酵素をコードするヌクレオチド配列を、確立された標準的方法(例えば、Beucage S.L.et al.,(1981)Tetrahedron Letters 22,p1859−1869に記載のホスホラミダイト法またはMatthes et al.(1984)EMBO J.3,p801−805に記載の方法)によって合成することができる。ホスホロアミダイト法では、例えば、自動DNA合成機でオリゴヌクレオチドを合成し、精製し、アニーリングし、ライゲーションし、適切なベクター中でクローン化する。
【0140】
ヌクレオチド配列は、標準的技術により、合成DNA、ゲノムDNA、またはcDNA起源(必要に応じて)のフラグメントのライゲーションによって調製した混合ゲノム起源および合成起源、混合合成起源およびcDNA起源、または混合ゲノム起源およびcDNA起源であり得る。各ライゲーションしたフラグメントは、全ヌクレオチド配列の種々の部分に対応する。DNA配列を、例えば、US4,683,202またはSaiki R K et al.,(Science(1988)239,pp487−491)に記載の特定のプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって調製することもできる。
【0141】
変異誘発
タンパク質および酵素の1つの一般的な修飾アプローチは、ランダム変異誘発に基づいている。例えば、適切な物理的または化学的変異誘発剤の使用、適切なオリゴヌクレオチドの使用、または変異性PCRなどのPCR作製変異誘発への前駆体DNA配列の適用によってランダム変異誘発を行うことができる。さらに、これらの変異誘発剤の任意の組み合わせの使用によってランダム変異誘発を行うことができる。変異誘発剤は、例えば、挿入、欠失、トランジション、トランスバージョン、逆位、および/またはスクランブリングを誘導するものであり得る。本発明に適切な物理的または化学的薬剤の例には、特に、紫外線(UV)照射、ヒドロキシルアミン、およびヌクレオチド類似体が含まれる。このような薬剤を使用する場合、典型的には、変異誘発が起こる適切な条件下での最適な変異誘発剤の存在下での変異誘発すべき基準および/または親酵素をコードするDNA配列のインキュベーションおよび所望の性質を有する変異DNAの選択によって変異誘発を行う。
【0142】
オリゴヌクレオチドの補助によって変異誘発が行われる場合、オリゴヌクレオチド合成時に1つまたは複数の非基準および/または非親ヌクレオチドを組み込むようにオリゴヌクレオチドをデザインすることができる。この目的は、特定のヌクレオチドの組み込みを最大にして所望のアミノ酸発現を確実にするためである。これらのオリゴヌクレオチドを、任意の確立された技術(例えば、PCR、LCR)または適切と考えられる任意のDNAポリメラーゼおよびリガーゼによって本発明のα−アミラーゼファミリーメンバーをコードするDNAに組み込むことができる。
【0143】
さらなる実施形態では、本発明の変異ポリペプチドは、精製および単離された天然に存在する変異α−アミラーゼファミリーメンバーであり得る。あるいは、変異α−アミラーゼファミリーメンバーを、本明細書中に記載の物理的および/または化学的変異誘発物質を生物に供し、その後そのα−アミラーゼ遺伝子中に変異を含む生物をスクリーニングすることによって作製することができる。天然に存在する変異体およびランダム変異誘発によって作製された変異体を、α−アミラーゼファミリー遺伝子領域を増幅するための適切な核酸プライマーを使用したPCRスクリーニングなどの種々の技術の使用および得られたフラグメントの配列決定を使用して同定/スクリーニングすることができる。
【0144】
したがって、本発明の変異ポリペプチドには、天然に存在する変異α−アミラーゼファミリーメンバー(既存の生物から精製および単離されたものまたは組換えによって得られたもの)、ランダム変異誘発によって得られた変異α−アミラーゼファミリーメンバー、および部位特異的変異誘発によって得られた変異酵素が含まれる。
【0145】
本発明の変異ポリペプチドを、α−アミラーゼファミリーメンバーのエキソアミラーゼとして作用する能力に必ずしも影響を与えないさらなる修飾に供することもできる。
【0146】
例えば、以下の表にしたがって、同類置換を行うことができる。第2列中の同一ブロックおよび好ましくは第3列中の同一ライン中のアミノ酸を互いに置換することができる。
【0147】
【表2】

【0148】
本発明のポリペプチドには、加水分解活性が増加し、任意選択的にエンドアミラーゼ活性が減少したα−アミラーゼファミリーメンバーの全長配列のフラグメントも含まれる。
【0149】
本発明のポリペプチドは、典型的には、N末端またはC末端、好ましくはN末端に異種アミノ酸配列をさらに含み得る。異種配列には、細胞内または細胞外タンパク質ターゲティングに影響を与える配列(リーダー配列など)が含まれ得る。
【0150】
本発明のポリペプチドは、典型的には、例えば、本明細書中に記載の組換え手段によって作製される。しかし、これらを固相合成などの当業者に周知の技術を使用した合成手段によって作製することもできる。本発明のポリペプチドを、例えば、抽出および精製を補助するために融合タンパク質として産生することもできる。融合タンパク質配列を除去するために融合タンパク質パートナーと目的のタンパク質配列との間にトロンビン切断部位などのタンパク質分解的切断部位を含むことも都合がよい。好ましくは、融合タンパク質は、目的のタンパク質配列の機能を損なわない。
【0151】
本発明の組換え発現産物に適切な生物活性を付与する必要があり得るので、適切な宿主細胞の使用により、このような翻訳後修飾が得られると予想される。
【0152】
部位特異的変異誘発
一旦酵素コードヌクレオチド配列が単離されるか、推定酵素コードヌクレオチド配列が同定されると、本発明の酵素を調製するために配列を変異させることが望ましい。
【0153】
合成オリゴヌクレオチドを使用して、変異を移入することができる。これらのオリゴヌクレオチドは、所望の変異部位に隣接するヌクレオチド配列を含む。
【0154】
適切な方法は、Morinaga et al.,(Biotechnology(1984)2,p646−649)に開示されている。酵素コードヌクレオチド配列への別の変異の移入方法は、Nelson and Long(Analytical Biochemistry(1989)180,p147−151)に記載されている。
【0155】
合成
本発明の1つの態様では、本発明で用いる配列は、合成配列(すなわち、インビトロでの化学合成および酵素合成によって調製された配列)である。これには、メチロトローフ酵母ピキアおよびハンセヌラなどの宿主生物についての至適なコドン使用頻度を使用して作製した配列が含まれるが、これらに限定されない。
【0156】
ポリヌクレオチド
本発明のポリヌクレオチドは、本発明の変異ポリペプチド配列をコードする核酸配列を含む。
【0157】
多数の異なるポリヌクレオチドが遺伝コードの縮重の結果として同一のポリペプチドをコードすることができることが当業者に理解される。さらに、当業者は日常的技術を使用して本発明のポリペプチドが発現される任意の特定の宿主生物のコドン利用頻度を反映するように本発明のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド配列に影響を与えないヌクレオチド置換を行うことができると理解すべきである。
【0158】
本発明のポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAを含み得る。これらは一本鎖または二本鎖であり得る。これらはまた、合成または修飾ヌクレオチド中に含まれるポリヌクレオチドであり得る。多数の異なるオリゴヌクレオチド修飾型が当分野で公知である。これらには、メチルホスホネート骨格およびホスホロチオエート骨格、分子の3’末端および/または5’末端へのアクリジン鎖またはポリリジン鎖の付加が含まれる。本発明の目的のために、本明細書中に記載のポリヌクレオチドを当分野で利用可能な任意の方法で修飾することができると理解すべきである。本発明のポリヌクレオチドのインビボ活性または寿命を増大させるためにこのような修飾を行うことができる。
【0159】
酵素の発現
本発明で使用するヌクレオチド配列を、組換え複製ベクターに組み込むことができる。このベクターを使用して、酵素形態で、および/または適合可能な宿主細胞中でヌクレオチド配列を複製および発現することができる。
【0160】
調節配列(例えば、調節配列)を使用して、発現を調節することができる。
【0161】
ヌクレオチド配列の発現による宿主組換え細胞によって産生された酵素は分泌されてもよく、使用した配列および/またはベクターに応じて細胞内に含んでいてもよい。特定の原核細胞膜および真核細胞膜を介した物質コード配列の分泌を指示するシグナル配列を使用して、コード配列をデザインしてもよい。
【0162】
調節配列
いくつかの適用では、本発明で使用するヌクレオチド配列は、選択された宿主細胞などによってヌクレオチド配列を発現することができる調節配列に作動可能に連結されている。例として、本発明は、このような調節配列に作動可能に連結された本発明のヌクレオチド配列を含むベクター(すなわち、そのベクターは、発現ベクターである)を対象とする。
【0163】
用語「作動可能に連結された」は、記載の成分がその意図する様式で機能する関係にある近位をいう。コード配列に「作動可能に連結された」調節配列を、調節配列と適合する条件下でコード配列が発現するような方法でライゲーションする。
【0164】
用語「調節配列」には、プロモーターおよびエンハンサーならびに他の発現調節シグナルが含まれる。
【0165】
用語「プロモーター」は、当分野における通常の意味で使用される(例えば、RNAポリメラーゼ結合部位)。
【0166】
異種調節領域(例えば、プロモーター、分泌リーダー領域、および終結領域)の選択によって、本発明の酵素をコードするヌクレオチド配列の発現を増強することもできる。
【0167】
好ましくは、本発明のヌクレオチド配列を、少なくともプロモーターに作動可能に連結させることができる。
【0168】
細菌、真菌、または酵母宿主中のヌクレオチド配列の転写を指示するための適切なプロモーターの例は、当分野で周知である。
【0169】
構築物
用語「構築物」は、「結合体」、「カセット」、および「ハイブリッド」などの用語と同義であり、プロモーターに直接または間接的に結合した本発明で使用されるヌクレオチド配列が含まれる。
【0170】
間接的結合の例は、Sh1イントロンまたはADHイントロンなどのイントロン配列などの適切なスペーサー基の供給であり、本発明のプロモーターおよびヌクレオチド配列を媒介する。これは、本発明に関する用語「融合した」にあてはまり、直接または間接的結合が含まれる。いくつかの例では、この用語は、通常の状態で野生型遺伝子プロモーターと結合したタンパク質をコードするヌクレオチド配列の天然の組み合わせおよび共に天然の環境下に存在する場合に対象としない。
【0171】
構築物は、遺伝子構築物が選択を可能にするマーカーを含むか発現することができる。
【0172】
いくつかの適用のために、好ましくは、本発明の構築物は、少なくともプロモーターに作動可能に連結された本発明のヌクレオチド配列を含む。
【0173】
発現ベクター
用語「発現ベクター」は、インビボまたはインビトロ発現が可能な構築物を意味する。
【0174】
好ましくは、発現ベクターを、適切な宿主生物のゲノムに移入する。用語「組み込まれた」は、好ましくは、ゲノムへの安定な組込みを対象とする。
【0175】
本発明のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列が適切な宿主生物によってヌクレオチド配列を発現することができる調節配列に作動可能に連結されたベクター中に存在することができる。
【0176】
本発明で使用されるベクターを、本発明のポリペプチドを発現するために本明細書中に記載のように適切な宿主細胞に形質転換することができる。
【0177】
ベクター(例えば、プラスミド、コスミド、またはファージベクター)の選択は、導入される宿主細胞に依存することが多い。
【0178】
本発明で使用されるベクターは、抗生物質耐性(例えば、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、クロラムフェニコール耐性、またはテトラサイクリン耐性)を付与する遺伝子などの1つまたは複数の選択マーカー遺伝子を含んでもよい。あるいは、コトランスフェクションによって選択することができる(WO91/17243に記載)。
【0179】
ベクターを、例えば、RNA産生のためまたは宿主細胞のトランスフェクション、形質転換、遺伝子導入、または感染のためにインビトロで使用することができる。
【0180】
したがって、さらなる実施形態では、本発明は、複製可能なベクターへの本発明のヌクレオチド配列の移入、適合可能な宿主細胞へのベクターの移入、およびベクター複製条件下での宿主細胞の成長による本発明のヌクレオチド配列の作製方法を提供する。
【0181】
ベクターはさらに、問題の宿主細胞でベクターを複製させることができるヌクレオチド配列を含み得る。このような配列の例は、プラスミドpUC19、pACYC177、pUB110、pE194、pAMB1、およびpIJ702の複製起点である。
【0182】
宿主細胞
本発明に関する用語「宿主細胞」には、本明細書中に記載され、且つ本明細書中で定義の特性を有する酵素の組換え産生で使用されるヌクレオチド配列または発現ベクターのいずれかを含む任意の細胞が含まれる。
【0183】
したがって、本発明のさらなる実施形態は、本発明の酵素を発現するヌクレオチド配列で形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。ベクターと適合可能な細胞を選択し、これらの細胞は、例えば、原核細胞(例えば、細菌)、真菌細胞、酵母細胞、または植物細胞であり得る。好ましくは、宿主細胞はヒト細胞ではない。
【0184】
適切な細菌宿主生物の例は、グラム陽性またはグラム陰性細菌種である。
【0185】
本発明の酵素をコードするヌクレオチド配列の性質および/または発現するタンパク質のさらなるプロセシングの望ましさに依存して、酵母または他の真菌などの真核生物宿主が好ましい。一般に、操作がより簡単なので、真菌細胞よりも酵母細胞が好ましい。しかし、いくつかのタンパク質は、酵母細胞からあまり分泌されないか、場合によっては、適切にプロセシングされない(例えば、酵母における過剰グリコシル化)。これらの場合、異なる真菌宿主生物を選択すべきである。
【0186】
適切な宿主細胞(酵母、真菌、および植物宿主細胞など)の使用により、本発明の組換え発現産物に適切な生物活性を付与するのに必要であり得る翻訳後修飾(例えば、ミリストイル化、グリコシル化、切断、脂質付加反応、およびチロシン、セリン、トレオニンのリン酸化)を行うことができる。
【0187】
宿主細胞は、プロテアーゼ欠損またはプロテアーゼ欠乏(minus)株であり得る。
【0188】
生物
本発明に関する用語、「生物」には、本発明の酵素をコードするヌクレオチド配列および/またはこれから得られた産物を含むことができ、そして/または生物中に存在する場合、プロモーターにより本発明のヌクレオチド配列を発現することができる任意の生物が含まれる。
【0189】
本発明のポリペプチドが他のα−アミラーゼファミリーメンバーを実質的に含まない形態で産生される異種宿主を選択することもできる。通常このような酵素を天然に産生しない宿主の選択によってこれを行うことができる。
【0190】
適切な生物には、原核生物、真菌、酵母、または植物が含まれ得る。
【0191】
本発明に関する用語、「形質転換生物」には、本発明の酵素をコードするヌクレオチド配列および/またはこれから得られた産物を含む任意の生物が含まれ、そして/またはプロモーターにより生物内で本発明のヌクレオチド配列を発現することができる任意の生物が含まれる。好ましくは、ヌクレオチド配列を生物のゲノムに組み込む。
【0192】
用語「形質転換生物」は、天然環境下でも存在する天然のプロモーターの調節下に存在する場合、天然の環境下での天然のヌクレオチドコード配列は対象としない。
【0193】
したがって、本発明の形質転換生物には、本発明の酵素をコードするヌクレオチド配列、本発明の構築物、本発明のベクター、本発明のプラスミド、本発明の細胞、本発明の組織、またはその産物の任意の1つまたは組み合わせを含む生物が含まれる。
【0194】
例えば、形質転換生物はまた、異種プロモーターの調節下で本発明の酵素をコードするヌクレオチド配列を含み得る。
【0195】
宿主細胞/生物の形質転換
先に示すように、宿主生物は、原核生物または真核生物であり得る。
【0196】
適切な原核生物宿主の例には、大腸菌およびバチルス・ズブチリスが含まれる。バチルス属由来の細菌は、培養倍地中へのタンパク質の分泌能力のために異種宿主として適切であり得る。宿主として適切な他の細菌は、ストレプトマイセス属およびシュードモナス属由来の細菌である。適切な原核生物宿主の例には、バチルス・オートリチクス、バチルス・セレウス、Bacillus circulans、Bacillus circulans株アルカロフィラス種、バチルス・コアグランス、バチルス・フィルムス、バチルス・ハロフィルス、バチルス・マセランス、バチルス・メガテリウム、バチルス・オーベンシス、バチルス・ステアロサーモフィラス、バチルス・ズブチリス、ストレプトマイセス・ムリヌス、ストレプトマイセス・リビダンスなどのグラム陽性細菌または大腸菌などのグラム陰性細菌が含まれる。原核生物宿主の形質転換に関する教示は、当分野で十分に報告されており、例えば、Sambrook et al(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd edition,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Press)およびAusubel et al.,Short Protocols in Molecular Biology(1999),4th Ed.John Wiley&Sons,Inc.を参照のこと。
【0197】
原核生物宿主を使用する場合、ヌクレオチド配列は、形質転換前にイントロンの除去などによって適切に修飾される必要があり得る。いくつかの例では、生物は、Bacillus属またはThermoanaerobacterium属の細菌、より好ましくは、Bacillus circulansまたはThermoanaerobacterium themosulfurigenesであることが好ましい。
【0198】
当分野で公知の種々の方法(プロトプラスト形成およびプロトプラスト形質転換およびその後の公知の様式での細胞壁の再生を含むプロセスなど)を使用して、糸状菌細胞を形質転換することができる。宿主微生物としてのアスペルギルスの使用をEP0238023に記載する。
【0199】
本発明の範囲内の真菌発現宿主の例は、Aspergillus種およびTrichoderma種、Bacillus種、Streptomyces種、およびPreudomonas種などの細菌、Kluyveromyces種およびSaccharomyces種などの酵母である。特に好ましい発現宿主は、Aspergillus niger、Aspergillus niger.var tubigenis、Aspergillus niger.var awamori、Aspergillus aculeatis、Aspergillus nidulans、Aspergillus orvzae、Thichoderma reesei、Bacillus subtilis、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Kluyveromyces lactis、およびSaccharomyces cerevisiaeから選択することができる。
【0200】
真菌および酵母の形質転換に関する一般的教示を以下の節で示す。
【0201】
別の宿主生物は、植物であり得る。植物形質転換で使用される一般的技術の概説が、Potrykus(Annu.Rev.Plant Physiol Plant Mol Biol(1991)42:205−225)およびChristou(Agro−Food−Industry Hi−Tech March/April 1994 17−27)の論文に見られる。植物形質転換に関するさらなる技術が、EP−A−0449375号に見られる。
【0202】
形質転換真菌
宿主生物は、真菌(糸状菌など)であってもよい。適切なこのような宿主の例には、Thermomyces属、Acremonium属、Aspergillus属、Penicillium属、Mucor属、Neurospora属、およびTrichoderma属などに属する任意のメンバーが含まれる。
【0203】
糸状菌の形質転換についての技術は、糸状菌の標準的な形質転換技術および真菌の培養が当分野で周知であることが記載されているUS−A−5741665号に概説されている。N.クラッサに適用した技術の広範な概説は、例えば、Davis and de Serres,Methods Enzymol(1971)17A:79−143に見出される。
【0204】
糸状菌の形質転換についてのさらなる技術は、US−A−5674707号に概説されている。
【0205】
1つの態様では、宿主生物は、Aspergillus nigerなどのAspergillus属の宿主生物であり得る。
【0206】
本発明の形質転換Aspergillusを、例えば、以下の教示によって調製することもできる。Turner G.1994(Vectors for genetic manipulation.In:Martinelli S.D.,Kinghorn J.R.(Editors)Aspergillus:50 years on.Progress inindustrial microbiology vol 29.Elsevier Amsterdam 1994.pp.641−666)。
糸状菌における遺伝子発現は、Punt et al.(2002)Trends Biotechnol 2002 May;20(5):200−6,Archer&Peberdy Crit Rev Biotechnol(1997)17(4):273−306に概説されている。
【0207】
形質転換酵母
別の実施形態では、形質転換生物は酵母であり得る。
【0208】
酵母における異種遺伝子発現の原理の概説は、例えば、Methods Mol Biol(1995),49:341−54およびCurr Opin Biotechnol(1997)Oct;8(5):554−60に記載されている。
【0209】
これに関して、異種遺伝子発現用の送達体としてSaccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastoris種(FEMS Microbiol Rev(2000 24(1):45−66を参照のこと)などの酵母を使用することができる。
【0210】
サッカロマイセス・セレビシエにおける異種遺伝子発現の原理および遺伝子産物分泌の概説は、E Hinchcliffe E Kenny(1993,「Yeast as a vehicle for the expression of heterologous genes」,Yeasts,Vol5,Anthony H Rose and J Stuart Harrison,eds,2nd edition,Academic Press Ltd.)によって記載されている。
【0211】
酵母の形質転換のために、いくつかの形質転換プロトコールが開発されている。例えば、本発明の形質転換サッカロマイセスを、以下のHinnen et al.,(1978,Proceedings of the National Academy of Science of the USA 75,1929);Beggs,J D(1978,Nature,London,275,104);およびIto,H et al(1983,J.Bacteriology 153,163−168)の教示によって調製することができる。
【0212】
栄養要求性マーカーである優性抗生物質耐性マーカーなどの種々の選択マーカーを使用して、形質転換酵母細胞を選択することができる。
【0213】
培養および産生
本発明のヌクレオチド配列で形質導入した宿主細胞を、コードされた酵素の産生に有益であり、細胞および/または培養培地からの酵素の回収が容易になる条件下で培養することができる。
【0214】
細胞培養で使用した培地は、問題の宿主細胞の成長および酵素発現に適切な任意の従来の培地であり得る。
【0215】
なおさらなる態様では、本発明は、本明細書中に記載の宿主細胞を変異型の産生ならびに細胞および/または培養培地からの変異型の回収に適切な条件下で培養する工程を含む、本発明の変異型の産生方法に関する。
【0216】
組換え細胞によって産生されたタンパク質を、細胞表面にディスプレイすることができる。
【0217】
周知の手順を使用して、酵素を宿主細胞から分泌させ、培養培地から都合よく回収することができる。
【0218】
分泌
多くの場合、発現宿主から酵素をより容易に回収することができる培養培地中に酵素を分泌させることが望ましい。本発明によれば、所望の発現宿主に基づいて、選択リーダー配列を選択することができる。本発明の状況によってハイブリッドシグナル配列を使用することもできる。
【0219】
異種分泌リーダー配列の典型的な例は、真菌アミログルコシダーゼ(AG)遺伝子(glaA−例えば、アスペルギルス由来の18種および24種両方のアミノ酸異形)、a因子遺伝子(酵母、例えば、Saccharomyces、Kluyveromyces、およびHansenula)、またはα−アミラーゼ遺伝子(Bacillus)由来のものである。
【0220】
例として、大腸菌における異種タンパク質分泌は、Methods Enzymol(1990)182:132−43に概説されている。
【0221】
変異型の単離
宿主細胞から分泌されたα−アミラーゼファミリー変異型を、周知の手順(遠心分離または濾過による培地からの細胞の分離ならびに硫酸アンモニウムなどの塩によるタンパク質画分の沈殿およびその後のイオン交換クロマトグラフィまたはアフィニティクロマトグラフィなどのクロマトグラフィ手順の使用が含まれる)によって培養培地から都合よく回収することができる。
【0222】
検出
アミノ酸配列の発現の種々の検出および測定プロトコールが当分野で公知である。例には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、および蛍光標示式細胞分取法(FACS)が含まれる。
【0223】
広範な種々の標識および結合技術は当業者に公知であり、種々の核酸およびアミノ酸アッセイで使用することができる。
【0224】
多数の企業(ファルマシア バイオテック(Piscataway,NJ)、Promega(Madison,WI)、およびUS Biochemical Corp(Cleveland,OH)など)が市販のキットおよびこれらの手順についてのプロトコールを提供している。
【0225】
適切なレポーター分子または標識には、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光剤、または発色剤、ならびに基質、補因子、インヒビター、および磁性粒子などが含まれる。このような標識を開示する特許には、US−A−3,817,837号、US−A−3,850,752号、US−A−3,939,350号、US−A−3,996,345号、US−A−4,277,437号、US−A−4,275,149号、およびUS−A−4,366,241号が含まれる。
【0226】
また、組換え免疫グロブリンを、US−A−4,186,567号に記載のように産生することができる。
【0227】
α−アミラーゼファミリー変異型の試験
本明細書中に記載の任意の方法によって産生された変異型を、精製前または精製後に、基準および/または親酵素と比較したエンドアミラーゼ活性の減少および加水分解活性の増加について試験することができる。
【0228】
したがって、目的の変異型を発現することができる微生物を適切な倍地中および変異型選択に適切な条件下にてインキュベートする。
【0229】
アッセイ
本発明の変異型を、(Penninga et al.,(1995)Biochemistry,34:3368−3376)による還元力増加の測定によって決定する加水分解活性についても試験した。
【0230】
エンド活性のみを切断することができる架橋デンプン基質であるPHADEBAS試験(ファルマシア)を使用してエンド活性を決定した。基質(1錠に4mlクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)および10mM塩化カルシウムを含む)を、0.1〜1mg/ml酵素とインキュベートし、定期的に100μlサンプルを取り出し、0.9mlの0.2M水酸化ナトリウムを添加して反応を停止させた。沈降後(5分間)、620nmの吸光度を測定した。エンド活性を、1分あたりの吸光度の変化として示す。野生型CGTアーゼの活性を100%と定義する。
【0231】
融合タンパク質
本発明で使用されるアミノ酸配列を、例えば、抽出および精製を補助するために融合タンパク質として産生することができる。好ましくは、融合タンパク質は、タンパク質配列の活性を妨害しない。
【0232】
単離
1つの態様では、酵素または酵素のヌクレオチド配列またはこれらのいずれかの使用によって得られた産物は単離形態であることが好ましい。用語「単離」は、酵素または酵素のヌクレオチド配列またはこれらのいずれかの使用によって得られた産物が酵素またはそのヌクレオチド配列が事実上天然に結合し、且つ天然で見出される少なくとも1つの他の成分を少なくとも実質的に含まないことを意味する。タンパク質をタンパク質の意図する目的を妨げることなくキャリアまたは希釈剤と混合することができ、且つ依然として実質的に単離されていると見なされると理解される。
【0233】
精製
1つの態様では、酵素または酵素のヌクレオチド配列またはこれらのいずれかの使用によって得られた産物は精製形態であることが好ましい。用語「精製」は、酵素または酵素のヌクレオチド配列またはこれらのいずれかの使用によって得られた産物が比較的純粋な状態(例えば、少なくとも純度約90%、少なくとも純度約95%、または少なくとも純度約98%)にあることを意味する。
【0234】
ハイブリッド形成
本発明はまた、本発明の核酸配列に相補的な配列または本発明の配列もしくは相補配列のいずれかとハイブリッド形成することができる配列を含む。
【0235】
本明細書中で使用される、用語「ハイブリダイゼーション」には、「核酸の鎖が塩基対合によって相補鎖と連結するプロセス」ならびにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)テクノロジーで実施される増幅プロセスが含まれるべきである。
【0236】
本明細書中で言及される「ハイブリダイゼーション」は、類似DNA配列が、本明細書中に記載の少なくとも低ストリンジェンシー条件下で配列番号1、配列番号2、または配列番号3に示す核酸配列の一部をコードするタンパク質に対応するヌクレオチド配列とハイブリッド形成することを示す。
【0237】
ヌクレオチドプローブと相同DNAまたはRNA配列との間の低ストリンジェンシーでのハイブリッド形成を決定するための適切な実験条件は、5×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム、Sambrookら.,(1989)Molecular cloning,a laboratory manual,Cold Spring Laboratory press,New York)で10分間のハイブリッド形成のためのDNAフラグメントまたはRNAを含むフィルターの予備浸漬、5×SSC、5×Denhardt液、0.5%SDS、および100μg/ml変性超音波処理サケ精子DNAを含む溶液中でのフィルターの予備ハイブリッド形成、およびその後のランダム32P−dCTP標識(比活性は1×109cmp/μg超)プローブを含む同一の溶液での45℃で12時間のハイブリッド形成を含む。次いで、フィルターを、少なくとも55℃(低ストリンジェンシー)、少なくとも60℃(中程度のストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも65℃(中程度/高ストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも70℃(高ストリンジェンシー)、さらにより好ましくは少なくとも75℃(非常に高いストリンジェンシー)にて2×SSC、0.5%SDSで30分間2回洗浄する。
【0238】
上記条件下でオリゴヌクレオチドプローブとハイブリッド形成する分子を、例えば、X線フィルムへの曝露によって検出することができる。
【0239】
用途
本発明のα−アミラーゼファミリー変異型は、種々の産業上の利用で有利に使用することができる有益な性質を有する。特に、酵素は、パン・菓子製造業に共通のデンプンベースの食物の退行およびそれによる腐敗の遅延または防止に潜在的用途がある。
【0240】
さらなる態様では、本発明の変異型を、ベーカリー製品または食料の調製に使用する。特定の態様に対しては、食料はベーカリー製品(パンまたは当分野で公知の従来技術によって調製したペストリーなどの他のパン生地の製品など)であることが好ましい。
【0241】
α−アミラーゼ変異型を、酵素のみまたは1つまたは複数のさらなる酵素(キシラナーゼ、リパーゼ、グルコースオキシダーゼ、および他の酸化還元酵素またはデンプン分解酵素など)と組み合わせて使用することができる。
【0242】
いくつかの変異型は、直鎖状オリゴサッカライドの製造プロセスまたはデンプンからの甘味料およびエタノールの製造、および/またはテキスタイルデサイン(textile desizing)で特に有用である。従来のデンプン変換プロセス条件(デンプン液化および/または糖化プロセスが含まれる)が公知である。
【0243】
したがって、別の態様では、本発明は、線状オリゴサッカライド、特に2〜12グルコース単位の線状オリゴサッカライド、好ましくは2〜9グルコース単位の線状オリゴサッカライドの製造プロセスで使用するためのCGTアーゼ変異型を提供する。
【0244】
大規模適用
本発明の1つの好ましい実施形態では、大規模適用のためにアミノ酸配列を使用する。
【0245】
好ましくは、宿主生物の培養後の1リットルの総細胞培養液体積あたり1gから約2gまでの量でアミノ酸配列を産生する。
【0246】
好ましくは、宿主生物の培養後の1リットルの総細胞培養液体積あたり100mgから約900mgまでの量でアミノ酸配列を産生する。
【0247】
好ましくは、宿主生物の培養後の1リットルの総細胞培養液体積あたり250mgから約500mgまでの量でアミノ酸配列を産生する。
【0248】
食物
本発明の組成物を、食物もしくは食物の調製で使用することができる。本明細書中の用語「食物」は、広義で使用され、ヒト用食物および動物用食物(すなわち、飼料)を対象とする。好ましい態様では、食物はヒトが消費するためのものである。
【0249】
食物は、使用および/または適用様式および/または投与様式に依存して溶液または固体の形態であってもよい。
【0250】
食品成分
本発明の組成物を、食品成分として使用することができる。
【0251】
本明細書中で使用される、用語「食品成分」には、機能食品または食料に添加するか添加することができる処方物および例えば酸性化または乳化が必要な広範な種々の製品中に低レベルで使用することができる処方物が含まれる。
【0252】
食品成分は、使用および/または適用様式および/または投与様式に依存して溶液または固体の形態であり得る。
【0253】
栄養補助食品
本発明の組成物は栄養補助食品であり得るか、これに添加することができる。
【0254】
機能食品
本発明の組成物は機能食品であり得るか、これに添加することができる。
【0255】
本明細書中で使用される、用語「機能食品」は、栄養学的効果および/または味の満足度を得ることができるだけでなく、さらに有利な効果を消費者に伝えることができる食品を意味する。
【0256】
機能食品の法的定義づけは存在しないにもかかわらず、この領域に興味を持つほとんどの当事者は、これらを特定の健康上の効果を有するものとして食品市場に出すことに同意している。
【0257】
食品
本発明の組成物を、1つまたは複数の菓子製品、乳製品、および/またはベーカリー製品などの食品の調製で使用することができる。
【0258】
一定の態様のために、好ましくは、食料は、パン、ペストリー、ビスケット、またはクッキーなどのベーカリー製品である。
【0259】
本発明はまた、酵素または酵素によって産生された生成物を別の食品成分と混合する工程を含む、食品または食品成分の調製方法を提供する。調製方法または食品成分はまた、本発明の別の態様である。
【0260】
組換えDNA技術
一般に、本明細書中に記載の任意の分子技術は当分野で周知であるが、特に、Sambrooks et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(1989)およびAusubel et al.,Short Protocols in Molecular Biology(1999)4th Ed,John Wiley&Son,Inc.を参照することができる。
【0261】
[実施例]
本発明を、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を制限することを決して意図しない以下の実験手順および実施例を参照してさらに例示する。
【0262】
表1。50℃でのBC251およびタビウムCGTアーゼ変異型の加水分解活性およびエンド活性。
図面の詳細な説明
【0263】
図1。マルトノナオース基質とB.サーキュランスCGTアーゼの基質結合間隙との間の相互作用の略図。矢印は、サブサイト−1と+1との間の切断されやすい結合を示し、水素結合を破線で示す。Arg47およびAsn94は、非切断基質と相互作用しないが、それぞれ反応中間体と相互作用してγ−シクロデキストリンを生成する(16:41)。Phe183およびPhe259は、糖環と疎水性スタッキング相互作用を示す。明確にするために、−2、−1、および+1サブサイトの全てを示しているわけではない。図は、(5)から採用した。
【0264】
図2。CGTアーゼによって触媒された反応の略図。結合の切断後、共有結合性反応酵素−グリコシル中間体が形成される。反応の第2工程では、反応中間体が受容体分子に移行する。環化反応では、共有結合オリゴサッカライドの末端OH−4基が受容体として使用されるのに対し、水または第2の糖はそれぞれ加水分解および不均化反応で受容体として使用される。この図は、参考文献(23)から採用した。
【0265】
図3。BC251cgt遺伝子のPCR増幅時に使用したMnCl2濃度の関数として(LBデンプンプレート上で)活性デンプン分解CGTアーゼを発現したクローンの比率。
【0266】
図4。結合したマルトノナオース(グレイ)(5)を有するB.サーキュランスD229N/E257Q CGTアーゼの構造に重ね合わせたA230V変異構造(黒)の拡大図。明確にするために、基質結合サブサイト(−2〜+2)のみを示す。変異A230Vのバリン側鎖により、マルトノナオース構造の受容体サブサイト+1中にグルコースのO3原子と密接な接触(1.9Å)を形成する(アラニン側鎖は3.2Åである)。
【0267】
図5。これは、US−A−6482622号の図4に示す配列アラインメントを示す。
【0268】
実験手順
構造決定
BC251 CGTアーゼ変異A230Vの結晶を、60%v/vの2−メチル−2,4−ペンタンジオール、100mM HEPES緩衝液(pH7.5)、および5%w/vのマルトースから成長させた(17)。ハウスMARCCDシステム(MarUSA Inc.,Evanston,USA)およびオスミウムミラーを備えたBrukerNonius FR591回転陽極ジェネレータからのCuKa照射を使用して直径165mmのデータを100Kで収集する。DENZOおよびSCALEPACKを使用して処理した(18)。除去した全ての水および糖を含むマルトテトロース(maltotetraous)(PDBコード1CXF)と配位結合したCGTアーゼの構造を出発モデルとして使用した。CNSを使用して精密化した(19)。リガンドを、プログラムOを使用してσA加重2Fo−FcおよびFo−Fc電子密度マップ中においた。変異A230Vの原子座標および構造を、プロテインデータバンク(www.rcsb.org)に寄託した。
【0269】
細菌株およびプラスミド
DNA操作のために大腸菌MC1061(21)を使用し、タンパク質産生のためにBacillus subtilis DB104A(22)を使用した。プラスミドpDP66k(7)およびpCScgt−tt(23)を、BC251のcgt遺伝子およびThermoanaerobacterium themosulfurigenes EM1株(タビウム)と共にそれぞれ変異誘発およびタンパク質産生のために使用した。プラスミド保有株を、大腸菌またはB.ズブチリスについてそれぞれ50または6μg/mlのカナマイシンの存在下でLB培地(24)にて37℃で成長させた。適切な場合、デンプン分解CGTアーゼを発現するコロニーを同定するためにジャガイモデンプン(1.5%w/v)をLB−寒天プレートに添加した。Bron(25)にしたがって、B.ズブチリスの形質転換を行った。
【0270】
部位特異的変異誘発
(7;11)に記載のようにpDP66k−およびpCScgt−ttに変異および制限部位を導入し、DNA配列決定によって評価した。pDP66k−に導入したXhoIおよびKpnI制限部位により、BC251 CGTアーゼの環状化、不均化、および加水分解活性に測定可能な効果を示さないV6SおよびA678G変異体(それぞれN末端およびC末端付近)が得られた(データ示さず)。
【0271】
使用したプライマーは、以下であった。
【化1】

【0272】
変異ヌクレオチドおよび制限部位に下線を引く。
【0273】
飽和変異誘発
BC251 CGTアーゼのAla230を、19個の全ての他のアミノ酸残基に置換した。プライマー:
【化2】

(NはA+G+C+T+であり、SはG+Cであり、Xは任意のアミノ酸残基である)
を使用した本明細書中に記載の部位特異的変異誘発手順を使用して、変異を移入した。
【0274】
変異性PCR変異誘発
プライマーF1およびR1を使用して、pDP66k−からBC251cgt遺伝子を増幅した。PCR混合物(50μl)は以下を含んでいた。1×TaqDNAポリメラーゼ緩衝液、1mMのMgSO4、0〜1mMのMnCl2、0.6mMの各dNTP、0.07μMの各プライマー、20ngのテンプレート、および2.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(Roche)。PCR反応を25サイクル行った。94℃で30秒間、54℃で40秒間、および72℃で2分間。PCR産物を、XhoIおよびKpnIで切断し、アガロースゲル(QIAquick ゲル抽出キット;キアゲン)から得られた断片(2016bp)を抽出し、pDP66k−にクローン化し、野生型cgt遺伝子を置換した。CGTアーゼ(CGTアーゼは細胞外酵素である)の移行シグナルをコードする配列を超えたXhoI部位は12ヌクレオチドであり、遺伝子の終止コドン前のKpnI部位は30ヌクレオチドである。
【0275】
DNA配列決定
Thermo配列蛍光プライマーサイクル配列キット(アマシャム ファルマシア バイオテック AB)を使用して二本鎖DNAに対してサイクル配列決定(26)を行い、BMTCのPharmacia ALF−Express配列決定機(Groningen,オランダ)で反応させた。変異性PCR変異体は二本鎖配列決定を行った(6配列反応/変異体)。
【0276】
加水分解活性が増加したCGTアーゼ変異型の選択
変異性PCR産物とプラスミドpDP66k−とのライゲーション混合物を、LB−寒天プレート上にプレートした大腸菌MC1061に形質転換し、得られたコロニーをQ−pix(Genetix,New Milton Hamsphire,UK)を使用して96ウェルマイクロタイタープレート中の200μlのLB培地に移した。一晩のインキュベーション後(750rpm)、25μlの各培養を、細胞溶解のためにウェルあたり25μlの細菌タンパク質抽出試薬(Pierce,Rockford,Illinois)を含む第2のマイクロタイタープレートに移した。その後、200μlの1%(w/v)可溶性デンプン(Lamers and Pleuger,Wijnegen,Belgium)を含む10mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を添加し、マイクロタイタープレートを、オーブン中にて50℃で2時間インキュベートした。形成された還元糖の量を、Nelson−Somogyiアッセイの適合させたバージョンを使用して測定した(27;28)。40μlの反応物を、40μlの溶液Dを含むポリプロピレンマイクロタイタープレートに添加した。ポリプロピレン製の蓋でマイクロタイタープレートの密封後、これらをオーブンにて100℃で30分間インキュベートした。室温への冷却後、160μlの溶液Eを添加し、数分以内に発色した。マイクロタイタープレートを視覚的にスクリーニングするか、もしくは525nmの吸光度を測定した。溶液Dは、25mlの溶液A(1Lの純水中に25g Na2CO3、25g酒石酸ナトリウムカリウム、および200g Na2SO4を含む溶液)および1mlの溶液B(200mlの純水中に30gのCuSO4・5H2Oおよび0.2ml硫酸を含む溶液)からなる。溶液Eは、15.6gの(NH46Mo724・4H2Oおよび950ml純水中に13.1ml硫酸を含む純水、さらに50ml純水中に溶解した1.9gのNa2HAsO4・7H2Oからなる。
【0277】
酵素アッセイ
記載のようにCGTアーゼタンパク質を産生および精製した(29)。BC251では50℃、タビウムCGTアーゼでは60℃それぞれにて、全酵素アッセイを10mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)中で行った。0.1〜0.5μg酵素/mlと2.5%(w/v)部分加水分解ジャガイモデンプン(Paselli SA2;Avebe,Foxhol,The Netherlands)とのインキュベーションによって環状化活性を決定した。フェノールフタレインを使用してβ−シクロデキストリンの形成量を測定した(30)。0.1μg酵素/ml、1mMの4−ニトロフェニル−α−D−マルトヘプタノシド−4−6−O−エチリデン(EPS;Megazyme,County Wicklow,Ireland)、ドナーとしての10mMマルトース、および受容体基質をそれぞれ使用して記載のように不均化活性を決定した(13;31)。0.5〜5μg酵素/mlと1%(w/v)可溶性デンプン(Lamers&Pleuger,Wijnegen,Belgium)(29)とのインキュベーション時の還元力の増加の測定によって加水分解活性を決定した。
【0278】
構造比較
三次元構造を示し、Swiss−Pdb Viewer version3.7(b2)(32)およびプログラムO(20)を使用して比較した。Windows(登録商標) version 3.1g用のSwiss−Pdb ViewerおよびPov−Rayを使用して図を作製した。使用したBC251 CGTアーゼ構造は、プロテインデータバンク(33)のエントリー1CDG(17)および1CXK(5)であった。
【実施例1】
【0279】
変異性PCR条件
10種の異なるMnCl2濃度でのBC251cgt遺伝子(配列番号4)の増幅によって至適な変異性PCR変異誘発条件を決定した。プラスミドpDP66k−中でPCR産物をクローン化し、大腸菌に形質転換し、デンプンを補足したLBプレートにプレーティングした。デンプン分解CGTアーゼ形態を発現するコロニーのみがコロニー周囲にハローを形成する。ハロー形成コロニーの比率は、MnCl2濃度の増大と共に減少し(図3)、変異体の不活性化数はMnCl2濃度の増大と共に増大することを示す。至適変異性PCR条件として0.2〜0.3MのMnCl2濃度を選択し、このMnCl2濃度で得られた(変異)CGTアーゼクローンの約90%がデンプン分解活性を保持する(図3)。
【実施例2】
【0280】
加水分解活性を増大するための変異型をデザインした
加水分解活性が増加したCGTアーゼ変異体を選択するために、第1ラウンドの変異誘発および選択で加水分解活性について約12,000個のクローンをアッセイした。PCRで使用したMnCl2濃度は、0.2mM(6,000クローン)および0.3mM(6,000クローン)であった。22個のクローンが顕著に増加した加水分解活性を示していた。各陽性クローンからプラスミドDNAを単離し、その後これを使用してコードされた変異タンパク質を産生および精製した。22の変異CGTアーゼは全て野生型CGTアーゼよりも高い加水分解活性および低い環状化活性を示した。いくつかの変異体は、環状化活性よりもさらにより高い加水分解活性を示した。
【0281】
PCR増幅時に0.25mMのMnCl2を使用した第2および第3ラウンドの変異誘発でCGTアーゼの加水分解活性はさらに増大した。変異体6および6−2を、第2および第3ラウンドの変異誘発でのPCRテンプレートとしてそれぞれ使用した。これらの変異型はその変異誘発ラウンド後に最も高い加水分解活性を示した。約10,000クローンをそれぞれ第2および第3ラウンドの変異誘発で加水分解活性についてアッセイし、それぞれ4個および8個のクローンの加水分解活性が増加した。陽性クローンのプラスミドDNAを単離し、コードされたタンパク質を産生および精製した。第2ラウンドで同定された変異CGTアーゼは、親変異体6よりも加水分解活性が非常に高かった。驚いたことに、環状化活性も増加したが、加水分解活性の増加について選択した。第3ラウンドの変異誘発後に加水分解活性はさらに増加するのに対し、環状化活性は親変異体6−2と比較して影響を受けないかあるいか低下した。したがって、環状化活性が約1/10であり、且つ加水分解活性が約90倍の変異CGTアーゼは第3ラウンドの変異誘発および選択においてのみ得られた。
【0282】
加水分解活性が増加した変異型のDNA配列決定
加水分解活性が増加した34個の選択されたCGTアーゼ変異型のうち、22個(2016bp)をヌクレオチド配列決定に供した。これにより、41個のヌクレオチド置換および31個のアミノ酸変異が明らかとなり、そのうちの15アミノ酸変異体が異なった。さらなる終止コドンは見出されず、これはSDS−PAGEで選択された全変異タンパク質の野生型サイズと一致した(データ示さず)。変異体は1ラウンドの変異誘発あたり1〜3個のヌクレオチドが変異し(平均1.9個)、それにより1つまたは2つのアミノ酸が変異した(平均1.4個)。各変異誘発ラウンドおよび異なる使用MnCl2濃度(0.2、0.25、および0.3mM)についての変異頻度の変動は小さかった(DNAおよびアミノ酸レベルで10%未満)。GからA、CからT、TからC、およびAからGへの置換が最も頻繁に認められたのに対して、CからA、AまたはGからT、GからC、およびTからGへの変異は認められなかった。CからTおよびTからCへの変異が頻繁に認められるのは、これらの変化が加水分解活性を増加させるアミノ酸変異を得るのに必要であるので、適用した選択に起因する。
【実施例3】
【0283】
加水分解活性を増加させる変異
第1ラウンドの変異誘発後に最も高い加水分解活性を示す12個の変異体は、第2の変異の有無にかかわらずF259S(4倍)変異またはA230V(配列番号1)(8倍)変異のいずれかを有していた。A230V/V660A変異に加えて、一旦A245T/A357Tに組み合わされると、第2ラウンドの変異誘発によってF21L変異(3倍)が得られた。第3ラウンドの変異誘発後、変異N8S、R47W、N94S、およびQ320Lが同定されたが、N8SはN94Sとの組み合わせのみで同定された。加水分解活性が明確に増加した変異のうち、3つの変異がサブサイト−3(Arg47)、サブサイト+1(Ala230)、およびサブサイト+2(Phe259)の基質結合溝中に存在する残基に存在し(図1)、基質と直接相互作用しない残基中で1つの変異が起こった(Phe21)。
【0284】
驚いたことに、加水分解活性率が増加した変異型は、加水分解活性:エンドアミラーゼ活性比が著しく減少し、このことは、これらの変異型のエキソ特異性が著しく改良させたことを証明する(表1)。
【0285】
部位特異的変異体
同定された15種の異なるアミノ酸変異のうち、7つの変異(N8S、I215V、N299D、T514A、K655E、V660A、およびA672G)のみが第2の変異(A230V、F259S、またはN94S)と組み合わせて見出された。単一なA230V、F259S、およびN94S変異体と二重変異体との比較によって、これら7つの変異は加水分解活性にさらに寄与しないことが示された。変異V660Aについてはこれが確認され、野生型CGTアーゼと類似の活性を有していた。
【0286】
他の8つの変異F21L、R47W、N94S、A230V、A245T、F259S、Q320L、およびA357Tの各効果を分析するために、これらを単一変異として野生型CGTアーゼに移入した。野生型CGTアーゼと比較して、N94S、A245T、Q320L、およびA357Tによって加水分解活性はほとんど変化しないのに対して、F21L、R47W、A230V、およびF259Sによって加水分解活性が明確に増加するようである。さらに、より高い不均化活性を有する変異体R47Wを除いたこれら8つの変異は環状化活性および不均化活性を低下させた。特に、変異体A330Vは、環状化活性および不均化活性を劇的に低下させた。したがって、CGTアーゼの低加水分解活性に重要ないくつかの残基(Phe21、Arg47、Ala230、およびPhe259)を同定した。
【0287】
飽和突然変異
変異性PCR変異誘発では単一の位置に全ての可能な変異を移入することができないので(34)、飽和変異誘発を使用してAla230位も調査した。加水分解活性および環状化活性について500個のクローンをアッセイした。ほとんどのクローン(70%)が野生型環状化活性のせいぜい約5%を示すのに対し、環状化活性が増加したものはなく、環状化反応についてこの残基は重要でないことを示す。40個のクローン(8%)の加水分解活性が非常に増加した。これらのうちの8個を配列決定用に無作為に選択し、その全てがA230V変異を含んでいた(配列番号1)。したがって、230位のアラニンのバリン側鎖への変化のみで強力にCGTアーゼの加水分解活性を増加させ、且つ環状化活性を減少させるのに十分である。
【実施例4】
【0288】
タビウムCGTアーゼ−(配列番号5)
変異A230VをタビウムCGTアーゼ(A231V、タビウム、Bacillus circulansCGTアーゼナンバリング、配列番号2)(このCGTアーゼはほとんどの他のCGTアーゼと比較して比較的高い加水分解活性を示すため)にも移入した(35)。BC251のCGTアーゼにおける効果と同様に、A231V変異によるタビウムCGTアーゼの環状活性の減少および加水分解活性の増加は著しかった。このCGTアーゼの加水分解活性をさらに増強するために、タビウム変異体F260Eが現在のところCGTアーゼについてこれまでに記載されている加水分解活性で最も高いので、二重変異体A231V/F260Eを構築した(11)。しかし、二重変異体は野生型タビウムCGTアーゼより加水分解活性がさらにより低く、2つの単一の変異は互いに排他的であり、付加的ではないことを示す。
【実施例5】
【0289】
変異A230Vにより、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ(CGTアーゼ)の生成物および基質特異性を実質的に変化させることが見出された(すなわち、CGTアーゼがトランスフェラーゼから加水分解酵素に変換されて、エキソ特異性が一方のCGTアーゼ(タビウム)では14倍超に増加し、別(BC251)では100倍超に増加する)(表1を参照のこと)。
【0290】
Novamylは構造がCGTアーゼと非常に密接に関連し、同一の位置および高次構造(confirmation)で対応する残基A229を含むので、同等の変異A229VはNovamylのエキソ特異性を有意に増加させる可能性が最も高く、それによりその硬化防止機能性(antistaling functionality)が著しく改良される(Novamyl(登録商標)とサーモアネロバクテリウム・サーモスルフリゲンス、Bacillus circulans、およびサーモアネロバクター由来のCGTアーゼとの配列アラインメントを示す、US−6,482,622を参照のこと)(図5を参照のこと)。
【0291】
Novamylは、その構造が脆弱になることによってその吸水性が低下するポリサッカリド分子の無作為な切断によってプロセシングされてデンプンが得られるエンドアミラーゼ活性およびエキソアミラーゼ活性の両方を有する。
【0292】
したがって、本発明は、末端からデンプンをプロセシングすることができ、それによりその構造および吸水能力が脆弱にならない変異酵素が得られるために市場価値の高い、エキソアミラーゼ活性が増加し、任意選択的にエンドアミラーゼ活性が減少したNovamyl(登録商標)変異型(またはSASのような代替物)の開発可能性を提供する。
【実施例6】
【0293】
マルトース生成α−アミラーゼNovamyl(登録商標)(配列番号6)
マルトース生成α−アミラーゼNovamyl(登録商標)(A229V、Novamyl(登録商標)、配列番号3)にも変異A230Vを移入した。この酵素は、EP120693(Novo Nordisk A/S,Denmarkから販売)で教示されている。
【0294】
A229V変異は、加水分解活性:エンド活性比を非常に減少させ、それによりエキソ特異性が有意に改良されることが見出された。
【0295】
さらに、飽和変異誘発によるA229からGまたはA以外の全ての残基への変化から類似の効果が認められた。
【0296】
A299V変異とY258X変異との組み合わせ(Xは非芳香族残基)は、変異型のエキソ特異性の増加にさらにより有効であることが見出された。
【0297】
本明細書中に記載の全ての刊行物は、本明細書中で参考として組み込まれる。本発明の記載の方法およびシステムの種々の修正形態および変形形態は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者に明らかであり得る。本発明を特定の好ましい実施形態と組み合わせて記載しているが、特許請求の範囲に記載の本発明はこのような特定の実施形態によって過度に制限されないと理解すべきである。実際、生化学分野および生物工学分野または関連分野の当業者に自明の発明の実施の記載の様式の種々の修正形態は特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【0298】
【表3】

【0299】
[参考文献]
【表4A】

【表4B】

【表4C】

【0300】
【化3A】

【化3B】

【化3C】

【化3D】

【化3E】

【図面の簡単な説明】
【0301】
【図1】マルトノナオース基質とBacillus circulans CGTアーゼの基質結合間隙との間の相互作用の略図である。
【図2】CGTアーゼによって触媒される反応の略図である。
【図3】活性デンプン分解CGTアーゼを発現したクローンの比率を示す図である。
【図4】A230V変異構造の拡大図である。
【図5】配列アラインメントを示す図である。
【配列表】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準酵素に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む単離および/または精製酵素変異型において、
前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が高く、
前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーである、単離および/または精製酵素変異型。
【請求項2】
前記酵素変異型が基準酵素に対して230位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含み、
任意選択的に、前記酵素変異型が、基準酵素に対して1つまたは複数の以下の位置:8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾をさらに含む、請求項1に記載の酵素変異型。
【請求項3】
前記酵素変異型が基準酵素に対して1つまたは複数の以下の位置:
230位(前記変異は、230A;230C;230D;230E;230F;230G;230H;230I;230K;230L;230M;230N;230P;230Q;230R;230S;230T;230V;230W;または230Yのいずれかに対するものである)、
8位(前記変異は、8C;8D;8F;8I;8N;8P;8S;8W;または8Yのいずれかに対するものである)、
21位(前記変異は、21A;21D;21F;21L;21T;21V;21W;または21Yのいずれかに対するものである)、
47位(前記変異は、47A;47C;47D;47E;47F;47G;47I;47K;47Q;47L;47N;47P;47R;47S;47T;47V;または47Wのいずれかに対するものである)、
94位(前記変異は、94Nまたは94Sのいずれかに対するものである)、
215位(前記変異は、215Iまたは215Vのいずれかに対するものである)、
232位(前記変異は、232Lのいずれかに対するものである)、
245位(前記変異は、245Aまたは245Tのいずれかに対するものである)、
259位(前記変異は、259A;259E;259F;259I;または259Sのいずれかに対するものである)、
263位(前記変異は、263Aのいずれかに対するものである)、
299位(前記変異は、299Dのいずれかに対するものである)、
320位(前記変異は、320Qまたは320Lのいずれかに対するものである)、
357位(前記変異は、357Aまたは357Tのいずれかに対するものである)、
514位(前記変異は、514Aのいずれかに対するものである)、
633位(前記変異は、633Aのいずれかに対するものである)、
655位(前記変異は、655Kまたは655Eのいずれかに対するものである)、
660位(前記変異は、660Aまたは660Vのいずれかに対するものである)、および/または
672位(前記変異は、672Aまたは672Gのいずれかに対するものである)(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含む、請求項1または請求項2に記載の酵素変異型。
【請求項4】
前記基準酵素がα−アミラーゼファミリー13のメンバーである、前記請求項のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項5】
前記酵素変異型が、デンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素よりもエンドアミラーゼ活性が低い、前記請求項のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項6】
前記基準酵素が前駆体酵素である、前記請求項のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項7】
前記基準酵素が野生型酵素である、前記請求項のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項8】
前記基準酵素が、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ(CGTアーゼ)またはマルトース生成α−アミラーゼから誘導可能である(好ましくは誘導される)、前記請求項のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項9】
前記変異型酵素が、得られた転写産物が前記酵素変異型であるか、前記酵素変異型を含むように変異されたDNAから調製される、前記請求項のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項10】
前記基準酵素がマルトース生成α−アミラーゼである、前記請求項のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項11】
前記基準酵素がBacillus株、Thermoanaerobacter株、Klebsiella株、Corynebacterium株、Brevibacterium株、Clostridium株、Micrococcus株、またはThermoanaerobacterium株であるかこれらから誘導可能である、前記請求項のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項12】
前記基準が、Bacillus circulans251株、またはその同族体、変異体、もしくは変異型であるか、これらから誘導可能である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項13】
前記アミノ酸修飾が、少なくともA230、好ましくは配列番号1に記載のA230V(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)での修飾である、請求項12に記載の酵素変異型。
【請求項14】
前記基準酵素がThermoanaerobacterium themosulfurigenesであるか、これから誘導可能である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項15】
前記基準酵素がBacillus属であるか、これから誘導可能である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項16】
前記基準酵素が、Bacillus属由来のマルトース生成α−アミラーゼ、またはその同族体、変異体、もしくは変異型であるか、これらから誘導可能である、請求項15に記載の酵素変異型。
【請求項17】
前記酵素変異型が、前駆体酵素Novamyl(登録商標)、またはその同族体、変異体、もしくは変異型に由来する、請求項16に記載の酵素変異型。
【請求項18】
前記アミノ酸修飾が、少なくともA230、好ましくは配列番号3に記載のA230V(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)での修飾である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の酵素変異型。
【請求項19】
酵素変異型の調製方法において、前記方法は、前記酵素変異型をコードする変異ヌクレオチド配列を発現させる工程を含み、前記酵素変異型が、基準酵素に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含み、
前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が高く、
前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーである、方法。
【請求項20】
前記変異ヌクレオチド配列を基準ヌクレオチド配列の変異によって調製する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記変異ヌクレオチド配列を調製する工程を含む、請求項19〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記基準がCGTアーゼである、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記基準が配列番号4または配列番号5である、請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記基準がマルトース生成α−アミラーゼである、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記基準が配列番号6である、請求項19〜21または請求項26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記変異酵素を単離および/または精製する、請求項19〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
酵素変異型の調製方法において、前記方法は、前記酵素変異型をコードする変異ヌクレオチド配列を発現させる工程を含み、前記変異ヌクレオチド配列が基準ヌクレオチド配列の変異から得られ、前記基準ヌクレオチド配列が基準酵素をコードし、前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーであり、前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が低く、前記酵素変異型が、基準酵素に対して1つまたは複数の以下の位置:230位、8位、21位、47位、94位、215位、232位、245位、259位、263位、299位、320位、357位、514位、633位、655位、660位、672位(Bacillus circulansCGTアーゼナンバリングを使用)、またはα−アミラーゼファミリーの他の相同なメンバー中の同等の位置に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含み、
前記酵素変異型がデンプンとのインキュベーション時に同一条件下での基準酵素と比較して加水分解酵素活性が高く、
前記基準酵素がα−アミラーゼファミリーのメンバーである、方法。
【請求項28】
前記基準がα−アミラーゼファミリー13のメンバーである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記変異酵素を単離および/または精製する、請求項27または28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
請求項19〜29のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる酵素変異型。
【請求項31】
請求項19〜29のいずれか一項に記載の方法によって得られた酵素変異型。
【請求項32】
前記酵素変異型が請求項2〜18のいずれか一項で定義されたものである、請求項30または31に記載の酵素変異型。
【請求項33】
食品調製における請求項1〜18のいずれか一項に記載の酵素変異型または請求項30〜32のいずれか一項に記載の酵素変異型の使用。
【請求項34】
前記食品がベーカリー製品である、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の酵素変異型または請求項30〜32のいずれか一項に記載の酵素変異型を少なくとも1つのさらなる食品成分(food ingredient)または食料成分(foodstuff ingredient)と混合する工程を含む、食品の調製プロセス。
【請求項36】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の酵素変異型または請求項30〜32のいずれか一項に記載の酵素変異型を少なくとも1つのさらなる食品成分または食料成分と混合する工程と、その後前記食品をパッケージングする工程とを含む、食品の調製プロセス。
【請求項37】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の酵素変異型または請求項30〜32のいずれか一項に記載の酵素変異型を少なくとも1つのさらなる食品成分または食料成分と混合する工程と、前記食品をパッケージングする工程と、その後前記パッケージングされた食品を食品としてラベリングする工程とを含む、食品の調製プロセス。
【請求項38】
前記食品がベーカリー製品である、請求項35〜37のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項39】
デンプンを変異酵素と接触させて酵素によりデンプンから1つまたは複数の線状生成物(linear product)を生成する工程と、前記酵素変異型が、請求項1〜18のいずれか一項に記載の酵素変異型または請求項30〜32のいずれか一項に記載の酵素変異型であることとを含む、デンプンの処理プロセス。
【請求項40】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の酵素変異型または請求項30〜32のいずれか一項に記載の酵素変異型をコードするヌクレオチド配列。
【請求項41】
請求項40に記載のヌクレオチド配列を含む構築物。
【請求項42】
請求項40に記載のヌクレオチド配列または請求項41に記載の構築物を含むベクター。
【請求項43】
請求項40に記載のヌクレオチド配列、請求項41に記載の構築物、または請求項42に記載のベクターが組み込まれた宿主細胞。
【請求項44】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の酵素変異型または請求項30〜32のいずれか一項に記載の酵素変異型の調製方法において、請求項40に記載のヌクレオチド配列、または請求項41に記載の構築物、請求項42に記載のベクター、もしくは請求項43に記載の宿主細胞中のヌクレオチド配列を発現する工程と、任意選択的にこれらの発現産物を単離および/または精製する工程とを含む、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法によって得ることができる酵素変異型。
【請求項46】
請求項44に記載の方法によって得られた酵素変異型。
【請求項47】
食品調製における請求項45または請求項46に記載の酵素変異型の使用。
【請求項48】
前記食品がベーカリー製品である、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
請求項45または請求項46に記載の酵素変異型を少なくとも1つのさらなる食品成分または食料成分と混合する工程を含む、食品の調製プロセス。
【請求項50】
請求項45または請求項46に記載の酵素変異型を少なくとも1つのさらなる食品成分または食料成分と混合する工程と、その後前記食品をパッケージングする工程とを含む、食品の調製プロセス。
【請求項51】
請求項45または請求項46に記載の酵素変異型を少なくとも1つのさらなる食品成分または食料成分と混合する工程と、前記食品をパッケージングする工程と、その後前記パッケージングされた食品を食品としてラベリングする工程とを含む、食品の調製プロセス。
【請求項52】
前記食物または食料がベーカリー製品である、請求項49〜51のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項53】
デンプンを変異酵素と接触させて酵素によりデンプンから1つまたは複数の環状生成物(cyclic product)を生成する工程と、前記酵素変異型が、請求項45または請求項46に記載の酵素変異型であることとを含む、デンプンの処理プロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−519604(P2006−519604A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506471(P2006−506471)
【出願日】平成16年3月8日(2004.3.8)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001136
【国際公開番号】WO2004/081171
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(500457852)ダニスコ アクティーゼルスカブ (4)
【Fターム(参考)】