説明

酸およびアミンからの3,4−ジヒドロキノリンの調製

【課題】より少量のオキシ塩化リン、より短い反応時間、より低い温度、簡易化した後処理および単離を必要とし、フェノール保護基を除去するためのさらなる強烈な合成ステップを必要としない合成法を提供する。
【解決手段】本発明は、フェニル酢酸誘導体およびアミンで置換されたベンゼン誘導体から3,4−ジヒドロイソキノリンを調製するための改善された合成法を提供する。本発明は、特定のフェニル酢酸誘導体(式300および301)のフェネチルアミン誘導体(式400)との反応からの様々な3,4−ジヒドロイソキノリン(式600〜602)の調製を提供する。フェニル酢酸誘導体およびフェネチルアミン誘導体の反応生成物は、アミド化合物(式500〜502)である。本発明の合成法において、形成されたアミドは単離することができ、または粗生成物はさらに反応して、3,4−ジヒドロイソキノリンを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、モルフィナンを調製するために使用される中間体の合成方法に関する。さらに具体的には、本発明は、ジヒドロイソキノリンおよびそれらの類似体の合成を対象とする。
【背景技術】
【0002】
ジヒドロイソキノリンは、ブプレノルフィン、コデイン、エトルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、モルフィン、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、オキシコドンおよびオキシモルフォンを含めた多くのモルフィナン化合物にとって重要な合成中間体である。一般に、これらの化合物は、オピオイド受容体アゴニストとしてのそれらの作用によって医薬の分野において疼痛緩和のために広範囲に使用されている鎮痛剤である。しかし、ナルメフェン、ナロキソンおよびナルトレキソンは、オピオイド受容体アンタゴニストであり、オピオイド受容体アゴニストに起因する麻薬性/呼吸抑制の回復のために使用される。
【0003】
Rice(特許文献1)は、200℃でのアルゴン下の3−メトキシフェネチルアミンと2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸との反応を開示している。一般に、このように得られたアミド化合物の大規模生産を実行可能とするために、200℃は非常に高い。例えば、大部分の大規模反応槽は、通常140℃超の温度に到達または維持することができない。したがって、モルフィナンの大規模生産のために、特別な反応器または反応器加熱ユニットが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,521,601号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビシュラー−ナピエラルスキー環化は一般に、適切に置換されたアミドを3,4−ジヒドロイソキノリンに変換する。典型的には遊離フェノール基が酸中にある場合、したがってまたアミド中にある場合、POClは、フェノールのヒドロキシル基と直接反応して、ハロゲン化ホスホリルが生成することが知られているため、環化にはより多くのPOCl、より長い反応時間およびより高い反応温度を必要とする。ポリホスフェートの反応副生成物およびリン酸基の不完全な加水分解は通常、所望の3,4−ジヒドロイソキノリン生成物の収率の減少と困難な精製とをもたらす。様々な保護基、特にエーテル保護基は、この環化ステップにおける上記の問題を減少させるために使用されてきた。しかし、これらの誘導体の使用は、遊離フェノールを生成するために強烈な試薬および条件を使用するさらなる合成ステップを必要とする。したがって、より少量のオキシ塩化リン、より短い反応時間、より低い温度、簡易化した後処理および単離を必要とし、フェノール保護基を除去するためのさらなる強烈な合成ステップを必要としない合成法に対する必要性がまだ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の様々な態様の中で、式300に相当する酸を式400に相当するアミンで処理するステップを含む、式600に相当する3,4−ジヒドロイソキノリンの調製方法がある。3,4−ジヒドロイソキノリンは、反応中間体の単離または精製なしで生成される。式300、400および600の化学構造は、
【0007】
【化1】

であり、式中、RおよびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR111であり、Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR211であり、Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR311であり、Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR411であり、RおよびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR511であり、R12は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR121であり、R13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR511であり、R111は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R211は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、R212、R213およびR214は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R311は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、R312、R313およびR314は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R411は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、R412、R413およびR414は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R511は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R121は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである。
【0008】
本発明の他の態様は、式301に相当する酸を式400に相当するアミンで処理するステップを含む、式501に相当するアミドの調製方法である。式301、400および501の化学構造は、
【0009】
【化2】

であり、式中、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R111、R211、R212、R213、R214、R311、R313、R411、R413、R414、R511およびR121は、式300、400および600に関連して上記定義の通りであり、R412は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R412は、メチルまたはフェニル以外である)、R312は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R312は、メチルまたはフェニル以外である)、R314は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R314は、メチル以外である)、R、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である。
【0010】
本発明のさらなる態様は、式501に相当するアミドを約1当量までのPOClで処理するステップを含む、式601に相当する3,4−ジヒドロイソキノリンの調製方法である。式501および601に相当する化学構造は、
【0011】
【化3】

であり、式中、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R111、R211、R212、R213、R214、R311、R312、R313、R411、R412、R413、R414、R511およびR121は、式300、400および600に関連して上記定義の通りであり、R、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である。
【0012】
本発明のまた他の態様は、式502
【0013】
【化4】

に相当する化合物であり、式中、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R111、R211、R212、R213、R214、R311、R313、R411、R413、R414、R511およびR121は、式300、400および600に関連して上記定義の通りであり、R412は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R412は、メチルまたはフェニル以外である)、R312は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R312は、メチルまたはフェニル以外である)、R314は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R314は、メチル以外である)、R、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である。
【0014】
本発明のさらなる態様は、式602
【0015】
【化5】

に相当する化合物であり、式中、R、R、R、R、R、R、R、R12、R111、R211、R212、R213、R214、R311、R313、R411、R413、R414、R511およびR121は、式300、400および600に関連して上記定義の通りであり、R13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR131であり、R412は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R412は、メチルまたはフェニル以外である)、R312は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R312は、メチルまたはフェニル以外である)、R314は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R314は、メチル以外である)、R131は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である。
【0016】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
式300に相当する酸を式400に相当するアミンで処理するステップを含み、3,4−ジヒドロイソキノリンが反応中間体の単離または精製なしで生成される、式600に相当する3,4−ジヒドロイソキノリンの調製方法
【化22】

[式中、
およびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR111であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR211であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR311であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR411であり、
およびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR511であり、
12は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR121であり、
13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR511であり、
111は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
211は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、
212、R213およびR214は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
311は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、
312、R313およびR314は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
411は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、
412、R413およびR414は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
511は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
121は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである]。
(項目2)
が、−OR211であり、
211が、水素、アルキル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、
212、R213およびR214が、独立に、アルキルまたはアリールである、項目1に記載の方法。
(項目3)
が、−OR311であり、
311が、水素、アルキル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、
312、R313およびR314が、独立に、アルキルまたはアリールである、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
が、−OR411であり、
411が、水素、アルキル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、
412、R413およびR414が、独立に、アルキルまたはアリールである、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
12が、アルキル、アリル、ベンジルまたはハロである、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
212、R213、R214、R312、R313、R314、R412、R413およびR414が、メチルである、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
が、メトキシであり、Rが、ヒドロキシル、−OC(O)CH、−OC(O)Phまたは−OSOCHであり、Rが、メトキシであり、R、R、R、R、R12およびR13が、水素である、項目1に記載の方法。
(項目8)
式300に相当する酸を式400に相当するアミンで処理するステップが無水条件下において行われる、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記反応混合物をPOClで処理する、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記反応混合物がアミド中間体を含み、使用するPOClの量が、アミド中間体1当量当たり1当量までのPOClである、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記反応混合物の温度が約40℃〜約90℃である、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
式301に相当する酸を式400に相当するアミンで処理するステップを含む、式502に相当するアミドの調製方法
【化23】

[式中、
およびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR111であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR211であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR311であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR411であり、
およびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR511であり、
12は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR121であり、
13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR511であり、
111は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
211は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、
212、R213およびR214は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
311は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、
312は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R312は、メチルまたはフェニル以外である)、
313は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
314は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R314は、メチル以外である)、
411は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、
412は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R412は、メチルまたはフェニル以外である)、
413およびR414は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R511は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
121は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である]。
(項目13)
が、−OR211であり、
211が、水素、アルキル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、
212、R213およびR214が、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである、項目12に記載の方法。
(項目14)
が、−OR311であり、
311が、水素、アルキル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、
312が、アルキルまたはアリールであり(ただし、R312は、メチルまたはフェニル以外である)、
313が、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
314が、アルキルまたはアリールである(ただし、R314は、メチル以外である)、項目12または13に記載の方法。
(項目15)
が、−OR411であり、
411が、水素、アルキル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、
412が、アルキルまたはアリールであり(ただし、R412は、メチルまたはフェニル以外である)、
413およびR414が、独立に、アルキルまたはアリールである、項目12から14
のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
12が、アルキル、アリル、ベンジルまたはハロである、項目12から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
が、メトキシであり、Rが、ヒドロキシル、−OC(O)CHCHまたは−OSOCHであり、Rが、メトキシであり、R、R、R、R、R12およびR13が、水素である、項目12に記載の方法。
(項目18)
式301に相当する酸を式400に相当するアミンで処理するステップが無水条件下において行われる、項目11から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記反応混合物の温度が約40℃〜約90℃である、項目11から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
式501に相当するアミドを約1当量までのPOClで処理するステップを含む、式601に相当する3,4−ジヒドロイソキノリンの調製方法
【化24】

[式中、
およびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR111であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR211であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR311であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR411であり、
およびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR511であり、
12は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR121であり、
13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR511であり、
111は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
211は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、
212、R213およびR214は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
311は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、
312、R313およびR314は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
411は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、
412、R413およびR414は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
511は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
121は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である]。
(項目21)
が、−OR211であり、
211が、水素、アルキル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、
212、R213およびR214が、独立に、アルキルまたはアリールである、項目20に記載の方法。
(項目22)
が、−OR311であり、
311が、水素、アルキル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、
312、R313およびR314が、独立に、アルキルまたはアリールである、項目20または21に記載の方法。
(項目23)
が、−OR411であり、
411が、水素、アルキル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、
412、R413およびR414が、独立に、アルキルまたはアリールである、項目20から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
12が、アルキル、アリル、ベンジルまたはハロである、項目20から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
212、R213、R214、R312、R313、R314、R412、R413およびR414がメチルである、項目20から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
が、メトキシであり、Rが、ヒドロキシル、−OC(O)CH、−OC(O)Phまたは−OSOCHであり、Rが、メトキシであり、R、R、R、R、R12およびR13が、水素である、項目20に記載の方法。
(項目27)
前記反応混合物の温度が約40℃〜約90℃である、項目20から26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
式502に相当する化合物
【化25】

[式中、
およびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR111であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR211であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR311であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR411であり、
およびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR511であり、
12は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR121であり、
13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR511であり、
111は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
211は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、
212、R213およびR214は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
311は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、
312は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R312は、メチルまたはフェニル以外である)、
313は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
314は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R314は、メチル以外である)、
411は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、
412は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R412は、メチルまたはフェニル以外である)、
413およびR414は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R511は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
121は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である]。
(項目29)
が、−OR211であり、
211が、水素、アルキル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、
212、R213およびR214が、独立に、アルキルまたはアリールである、項目28に記載の化合物。
(項目30)
が、−OR311であり、
311が、水素、アルキル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、
312が、アルキルまたはアリールであり(ただし、R312は、メチルまたはフェニル以外である)、
313が、アルキルまたはアリールであり、
314が、アルキルまたはアリールである(ただし、R314は、メチル以外である)、項目28または29に記載の化合物。
(項目31)
が、−OR411であり、
411が、水素、アルキル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、
412が、アルキルまたはアリールであり(ただし、R412は、メチルまたはフェニル以外である)、
413およびR414が、独立に、アルキルまたはアリールである、項目28から30のいずれか一項に記載の化合物。
(項目32)
12が、アルキル、アリル、ベンジルまたはハロである、項目28から31のいずれか一項に記載の化合物。
(項目33)
213、R214、R313、R412、R413、R414が、独立に、メチルまたはフェニルである、項目28から32のいずれか一項に記載の化合物。
(項目34)
が、メトキシであり、Rが、ヒドロキシル、−OC(O)CHCHまたは−OSOCHであり、Rが、メトキシであり、R、R、R、R、R12およびR13が、水素である、項目28に記載の化合物。
(項目35)
式602に相当する化合物
【化26】

[式中、
およびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR111であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR211であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR311であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR411であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR511であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR611であり、
12は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR121であり、
13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR131であり、
111は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
211は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、
212、R213およびR214は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
311は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、
312は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R312は、メチルまたはフェニル以外である)、
313は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
314は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R314は、メチル以外である)、
411は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、
412は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R412は、メチルまたはフェニル以外である)、
413およびR414は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R511は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
611は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
121は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
131は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である]。
(項目36)
が、−OR211であり、
211が、水素、アルキル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、
212、R213およびR214が、独立に、アルキルまたはアリールである、項目35に記載の化合物。
(項目37)
が、−OR311であり、
311が、水素、アルキル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、
312が、アルキルまたはアリールであり(ただし、R312は、メチルまたはフェニル以外である)、
313が、アルキルまたはアリールであり、
314が、アルキルまたはアリールである(ただし、R314は、メチル以外である)、項目35または36に記載の化合物。
(項目38)
が、−OR411であり、
411が、水素、アルキル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、
412が、アルキルまたはアリールであり(ただし、R412は、メチルまたはフェニル以外である)、
413およびR414が、独立に、アルキルまたはアリールである、項目35から37のいずれか一項に記載の化合物。
(項目39)
12が、アルキル、アリル、ベンジルまたはハロである、項目35から38のいずれか一項に記載の化合物。
(項目40)
213、R214、R313、R412、R413およびR414が、独立に、メチルまたはフェニルである、項目35から39のいずれか一項に記載の化合物。
(項目41)
が、メトキシであり、Rが、ヒドロキシル、−OC(O)CHCHまたは−OSOCHであり、Rが、メトキシであり、R、R、R、R、R12およびR13が、水素である、項目35に記載の化合物。
他の目的および特徴は、部分的に明らかであろうし、部分的に以下で指摘する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、フェニル酢酸誘導体およびアミンで置換されたベンゼン誘導体から3,4−ジヒドロイソキノリンを調製するための改善された合成法を対象とする。本発明の様々な態様の中で、特定のフェニル酢酸誘導体(式300および301)のフェネチルアミン誘導体(式400)との反応からの様々な3,4−ジヒドロイソキノリン(式600、601および602)の調製がある。フェニル酢酸誘導体およびフェネチルアミン誘導体の反応生成物は、アミド化合物(式500、501および502)である。本発明の合成法において、形成されたアミドは単離することができ、または粗生成物はさらに反応して、3,4−ジヒドロイソキノリンを形成することができる。本発明の様々なフェニル酢酸誘導体(式301)、アミド(式501および502)、ならびに3,4−ジヒドロイソキノリン(式601および602)は、中間体の合成反応および単離を促進するために、保護基で置換されて、エステル、アミドまたはスルホン酸エステル部分を形成する。
【0018】
一般に、上記のような本発明の方法のための合成スキームを、下記の反応スキーム1において示す。
【0019】
【化6】

これらの化合物および合成ステップの各々を、下記でより詳細に記載する。
【0020】
3,4−ジヒドロイソキノリン
上記のように反応スキーム1について、本発明の一態様は、式600
【0021】
【化7】

に相当する3,4−ジヒドロイソキノリンの調製方法であり、
式中、
およびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR111であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR211であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR311であり、
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR411であり、
およびRは、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR511であり、
12は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR121であり、
13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR511であり、
111は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
211は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214であり、
212、R213およびR214は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
311は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314であり、
312、R313およびR314は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
411は、水素、ヒドロカルビル、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414であり、
412、R413およびR414は、独立に、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
511は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、
121は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである。
【0022】
様々な実施形態では、3,4−ジヒドロイソキノリン構造は、式601に相当し、式中、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R111、R211、R212、R213、R214、R311、R312、R313、R314、R411、R412、R413、R414、R511およびR121は、式600について上記のように定義され、R、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である。
【0023】
様々な実施形態のいくつかでは、3,4−ジヒドロイソキノリン構造は、式602に相当し、式中、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R111、R211、R212、R213、R214、R311、R313、R411、R413、R414、R511およびR121は、式600について上記のように定義され、R412は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R412は、メチルまたはフェニル以外である)、R312は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R312は、メチルまたはフェニル以外である)、R314は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R314は、メチル以外である)、R、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である。
【0024】
は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR211であるが、様々な実施形態のいくつかにおいて、Rは、水素または−OR211である。これらの実施形態のいくつかでは、R211は、水素、アルキル、アリール、−C(O)R212、−C(O)NHR213または−SO214である。好ましくは、R211は、水素、アルキルまたは−C(O)R212(式中、R212は、アルキルまたはアリールである)である。さらに好ましくは、R211は、−C(O)R212(式中、R212は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはフェニルである)である。様々な実施形態のいくつかでは、R211は、−C(O)R212(式中、R212は、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである)である。
【0025】
同様に、Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR311であるが、いくつかの実施形態では、Rは、水素または−OR311である。これらの実施形態のいくつかでは、R311は、水素、アルキル、アリール、−C(O)R312、−C(O)NHR313または−SO314である。好ましくは、R311は、水素、アルキルまたは−C(O)R312(式中、R312は、アルキルまたはアリールである)である。さらに好ましくは、R311は、−C(O)R312(式中、R312は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはフェニルである)である。様々な実施形態のいくつかでは、R311は、−C(O)R312(式中、R312は、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである)である。
【0026】
上で述べたように、Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR411である。いくつかの実施形態では、Rは、水素または−OR411である。これらの実施形態のいくつかでは、R411は、水素、アルキル、アリール、−C(O)R412、−C(O)NHR413または−SO414である。好ましくは、R411は、水素、アルキルまたは−C(O)R412(式中、R412は、アルキルまたはアリールである)である。様々な実施形態のいくつかでは、R411は、−C(O)R412(式中、R412は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはフェニルである)である。さらに好ましくは、R411は、−C(O)R412(式中、R412は、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである)である。
【0027】
さらに、Rは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは−OR511である。いくつかの実施形態では、Rは、水素または−OR511である。これらの実施形態のいくつかでは、R511は、水素、アルキルまたはアリールである。好ましくは、R511は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはフェニルであり、さらに好ましくは、メチルである。
【0028】
上で述べたように、R12は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロまたは−OR121であるいくつかの実施形態では、R12は、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはハロである。好ましくは、R12は、水素、アルキル、アリル、ベンジルまたはハロである。
【0029】
様々な実施形態の多くでは、R、R、RおよびR13は、水素である。
【0030】
組み合わせて、好ましい実施形態の中で、式600、601および602に相当する3,4−ジヒドロイソキノリンがあり、式中、Rは、水素または−OR211(式中、R211は、水素、アルキルまたは−C(O)R212(式中、R212は、アルキルまたはアリールである)である)である。いくつかの実施形態では、R212は、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。これらの実施形態において、Rは、水素または−OR311である。様々な好ましい実施形態では、R311は、水素、アルキル、アリールまたは−C(O)R312であり、好ましくは、R311は、水素、アルキルまたは−C(O)R312(式中、R312は、アルキルまたはアリールである)である。これらの実施形態のいくつかでは、R312は、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。さらに、Rは、水素または−OR411である。様々な実施形態では、R411は、水素、アルキル、アリールまたは−C(O)R412であり、好ましくは、R411は、水素、アルキルまたは−C(O)R412(式中、R412は、アルキルまたはアリールである)である。いくつかの実施形態では、R412は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはフェニルである。あるいは、R412は、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。またさらに、Rは、水素または−OR511である。これらの実施形態のいくつかでは、R511は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはフェニルであり、好ましくは、メチルである。さらに、R12は、水素、アルキル、アリル、ベンジルまたはハロである。これらの実施形態の多くでは、R、R、RおよびR13は、水素である。
【0031】
アミド
反応スキーム1に記載されているように、式500に相当するアミドは、構造
【0032】
【化8】

を有し、式中、R、R、R、R、R、R、R、R12およびR13は、式600に関連して上記のように定義される。
【0033】
本発明の様々な実施形態のいくつかでは、アミドは、式501の構造に相当し、式中、R、R、R、R、R、R、R、R12およびR13は、式600に関連して上記のように定義され、R、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である。
【0034】
様々な実施形態のいくつかでは、アミド構造は、式502に相当し、式中、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R111、R211、R212、R213、R214、R311、R313、R411、R413、R414、R511およびR121は、式600について上記のように定義され、R412は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R412は、メチルまたはフェニル以外である)、R312は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R312は、メチルまたはフェニル以外である)、R314は、アルキルまたはアリールであり(ただし、R314は、メチル以外である)、R、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である。
【0035】
、R、R、R、R、R、R、R12およびR13について好ましい置換基および置換基の好ましい組合せを、式600、601および602に関連して上記で詳述する。
【0036】
様々な実施形態の多くでは、遊離フェノール基を有する式500の化合物は、アシル化またはスルホン化され、保護フェノール基を有する化合物を形成することができる。例えば、下記の式510〜512の化合物を考慮すると、化合物510は、アシル化またはスルホン化され、化合物511および512を形成することができる。化合物510のアシル化は、アミン塩基の存在下で様々なアシル化剤を使用して起こる場合がある。例えば、塩化アシル、無水物、塩化ピバロイルまたはピバル酸無水物は、化合物510をアシル化して化合物511を形成するために使用することができる。化合物511については、R2aは、アルキルまたはアリールである。化合物511についての様々な好ましい実施形態では、R2aは、アルキルまたはアリールである(ただし、それはメチルおよびフェニル以外である)。さらに、式510の化合物のスルホン化のために、種々のスルホン化剤を使用することができる。例えば、メタンスルホニルクロリドをアミン塩基の存在下で使用して、化合物512を生成することができる。アシル化またはスルホン化反応のための溶媒は、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸プロピル、トルエン、キシレン、アセトニトリルおよびこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0037】
【化9】


【0038】
カルボン酸
上記のように反応スキーム1において、式300に相当するカルボン酸は、構造
【0039】
【化10】

を有し、式中、R、R、R、RおよびR12は、式600に関連して上記のように定義される。
【0040】
本発明の様々な実施形態のいくつかでは、カルボン酸は、式301の構造に相当し、式中、R、R、R、RおよびR12は、式600に関連して上記のように定義され、R、RまたはRの少なくとも1つは、−OC(O)R212、−OC(O)NHR213、−OSO214、−OC(O)R312、−OC(O)NHR313、−OSO314、−OC(O)R412、−OC(O)NHR413または−OSO414である。
【0041】
、R、R、RおよびR12についての好ましい置換基および置換基の好ましい組合せを、式600、601および602に関連して上記で詳述する。
【0042】
式300および301の化合物は市販であり、式301の様々なエステル、カルバミン酸エステルおよびスルホン酸エステルは、遊離フェノール化合物と適切なエステル化剤またはアミド化剤とを反応させることによって調製することができる。例えば、下記に見出される構造に相当する下記のフェノール(式310、311、312および313の化合物)(式中、R12は、アルキル、アリルまたはベンジルであり、R120はハロである)である。これらのフェノールは、塩基の添加があってもなくても塩化アセチルまたは無水酢酸との反応によってアセテート形態に変換することができる。塩基が使用される場合、典型的な塩基は、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、置換ピリジン(例えば、4−ジメチルアミノピリジン)およびこれらの組合せから選択される。
【0043】
【化11】


【0044】
アミン
反応スキーム1に関連して、式400
【0045】
【化12】

に相当するアミンは、本発明の様々な方法において使用され、式中、R、R、RおよびR13は、式600に関連して上記のように定義される。
【0046】
、R、RおよびR13についての好ましい置換基および置換基の好ましい組合せを、式600、601および602に関連して上記で詳述する。
【0047】
式400の化合物は、市販されている。例えば、様々なメトキシフェネチルアミンおよびジメトキシフェネチルアミンは、Aldrichから入手可能である。
【0048】
3,4−ジヒドロイソキノリンを生成するカルボン酸とアミンとの反応
本発明の方法について、生成物(例えば、3,4−ジヒドロイソキノリン)および反応物(例えば、カルボン酸およびアミン)の構造を、上記に記載する。アミンをカルボン酸で処理するこの方法は、中間体の単離なしで1つの容器中で行うことができる。特定の実施形態では、カルボン酸とアミンとのカップリング反応は、無水条件下において行われる。例えば、蒸留によって水を除去することによって、または水除去剤を添加することによって、これらの無水条件を得ることができる。蒸留による水の除去は、反応の間の別個の時点で起こる場合があり、または連続的な場合もある。例えばディーンスタークトラップの使用によって、水の連続的除去が実現する。また、水除去剤と接触させることによって、反応混合物から水を除去することができる。水除去剤は、反応混合物の他の成分と別々に加えることができ、または成分の1つと予備混合し、次いで混合物を残りの成分と合わせてもよい。一般に、水除去剤は、水を吸収する組成物であることが好ましい。水を吸収する例示的物質には、水和物を形成する無水無機塩(例えば、硫酸マグネシウム)、分子ふるいなどが挙げられる。
【0049】
様々な実施形態のいくつかでは、溶媒には、非プロトン性溶媒が挙げられる。例えば、特に好ましい溶媒は、キシレン、トルエン、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、テトラヒドロフランおよびこれらの組合せである。出発物質および溶媒によって、カップリング反応の温度および時間は変化する場合がある。例えば、ディーンスタークトラップによって水を連続的に除去しながら、還流キシレン(135℃〜145℃)中で非保護フェノール部分を含有するカルボン酸がアミンと結合する場合、カップリング反応は約14時間かかる。その一方、保護フェノール部分を含有するカルボン酸がアセトニトリル中でアミンと結合する場合、反応によって、50℃で1時間、還流させながらさらに1時間(約78℃)で反応が完了する。様々な実施形態のいくつかでは、反応の温度は、約25℃〜約100℃であり、好ましくは、約40℃〜約90℃であり、さらに好ましくは、約50℃〜約80℃である。
【0050】
カルボン酸とアミンとのカップリング反応が完了すると、(下記でより詳細に記載するように)生成したアミドは単離されることができ、または粗生成物は、POClによる処理によってビシュラー−ナピエラルスキー環化を受け、所望の3,4−ジヒドロイソキノリンが生成される場合がある。好ましくは、POClによる処理の間に、無水条件を用いる。本発明の特定の実施形態では、アミドを環化させるために約1当量までのPOClを使用して、所望の3,4−ジヒドロイソキノリンを形成する。いくつかの実施形態では、約0.5当量のPOClを使用して還流トルエン中でアミドを環化させる場合、反応時間は約48時間である。様々な実施形態では、保護フェノール部分を含有するカルボン酸を、アミンおよびアミン塩基を含有する混合物と接触させる前に、POClと合わせ、加熱する。次いでこの反応混合物を50℃に1時間加熱し、次いでアセトニトリル(約78℃)中でさらに1時間還流させる。
【0051】
様々な実施形態の多くでは、保護フェノール部分を有するカルボン酸がカップリング反応において使用される。フェノール部分は、種々の不安定な保護基で保護され、エステル、カルバミン酸エステルおよびスルホン酸エステルなどの基を形成することができる。例えば、これらの実施形態において使用されるカルボン酸反応物は、上記のような式301に相当する。保護フェノール部分を有するこれらのカルボン酸の使用は、このような不安定な保護基によって保護されていない相当するカルボン酸の使用を上回る利点を提供する。例えば、カルボン酸とアミンとのカップリング反応は、より低い温度で起こり、時間はよりかからない。具体的には、相当する3,4−ジヒドロイソキノリンを形成する2−アセトキシ−3−メトキシフェニル酢酸と2−メトキシフェネチルアミンおよびPOClとの反応は、2−アセトキシ−3−メトキシフェニル酢酸を2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸で置換した同じ反応物が140℃で14時間かかるのと比較して、50〜78℃で2時間かかる。
【0052】
また、このようなフェノールが保護されたカルボン酸を出発物質として使用する場合、生成物の反応後処理および単離が改善される。保護フェノール基を使用した方法から得た3,4−ジヒドロイソキノリンは、より高い収率で得られる。反応後処理に続いて、水性塩基の添加によって、フェノール保護基が除去され、塩が形成される。この塩は、室温で沈殿し(または、結晶化し)、したがって高品質の結晶が生成される。pH約5または6へのpH調節によって、塩をフェノールに変換させる。
【0053】
カルボン酸とアミンとのカップリング反応によるアミドの形成
様々な実施形態では、POClとの反応の前にアミド中間体(式500、501および502)を単離し、所望の3,4−ジヒドロイソキノリンが形成される。好ましくは、単離されたアミド中間体は、式501または502に相当する。式501および502に相当するアミドは、上記のように不安定な保護基によって保護されたフェノール部分を有する。カップリング反応に使用される反応条件および溶媒は、上述してある。一般に、水性酸溶液(例えば、HCl)および塩基性水溶液(例えば、NaCl)で洗浄し、その後反応溶媒を除去することによって、アミドを単離することができる。
【0054】
3,4−ジヒドロイソキノリンへのアミドのビシュラー−ナピエラルスキー環化
式500、501または502に相当するアミドが単離された場合、この単離されたアミドは、アミドをPOClで処理することによって、ビシュラー−ナピエラルスキー環化を受け、3,4−ジヒドロイソキノリンを形成し得る。
【0055】
一般に、3,4−ジヒドロイソキノリン生成物についてのこの環化および単離および精製手順のための反応条件には、アミドの共沸蒸留、POCl添加および反応、トルエンおよび過剰なPOClを除去するための蒸留および反応後処理が挙げられる。様々な実施形態では、好ましくは、約1.10〜約5.0当量のPOClが使用される。より少ない当量のPOClが使用される場合、より高い温度(例えば、約90℃)が必要である。より多くの当量のPOClが使用される場合、より低い温度(例えば、約60℃)が必要である。好ましくは、反応時間は約2〜約9時間である。インプロセス液体クロマトグラフィーによって反応進行をモニターする。実施例3および4においてこの反応をより詳細に説明する。
【0056】
中間体の使用
上記の合成段階は、モルフィナンおよびその類似体の調製において重要である。モルフィナンの調製のための一般の反応スキームは、その開示内容の全体が参照により組み込まれているRiceへの米国特許第4,368,326号に開示されている。本発明の実施において重要なモルフィナンおよびその類似体(すなわち、モルフィナンは、N−(R17)またはN−(R17a17b)のX基を含有する)は、オピオイド受容体アゴニストまたはアンタゴニストであり、一般に式(24)
【0057】
【化13】

に相当する化合物であり、式中、−A−A−A−A14−は、式(S)、(T)、(U)、(V)、(W)、(X)、(Y)または(Z)に相当する。
【0058】
【化14】

11およびR22は、独立に、水素、置換および非置換のアシル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアリール、アルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキニル、アミノ、アリール、アリールアルコキシ、カルボアルコキシ、カルボニル、カルボキシアルケニル、カルボキシアルキル、カルボキシル、シアノ、シアノアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルエーテル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアリール、複素環、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシまたはニトロであり、
14は、水素、アシルオキシ、ヒドロキシまたは保護ヒドロキシであり、
17は、水素、アルキル、アルコキシ、アルキレンシクロアルキル、アリル、アルケニル、アシル、ホルミル、ホルミルエステル、ホルムアミドまたはベンジルであり、
17aおよびR17bは、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはベンジルであり、
18およびR19は、独立に、水素、置換および非置換のアシル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアリール、アルキル、アルキルアミノ、アリールチオ、アルキルチオ、アルキニル、アミノ、アリール、アリールアルコキシ、カルボアルコキシ、カルボキシアルケニル、カルボキシアルキル、カルボキシル、シアノ、シアノアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアリール、複素環、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシまたはニトロであり、あるいはR18およびR19は、一緒になってケトを形成し、
33は、アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシまたは保護ヒドロキシであり、
61は、アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシまたは保護ヒドロキシであり、
62およびR63は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリル、アルコキシ、アルキルチオ、アシルオキシまたはアリールであり、一緒になってケトを形成し、あるいはそれらが結合している炭素原子と一緒になってケタール、ジチオケタールまたはモノケタールを形成し、
71およびR81は、独立に、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはハロであり、
Xは、酸素、硫黄、−S(O)−、−S(O)−、−C(R18)(R19)−、−N(R17)−または−N(R17a17b)−である。
【0059】
特定の実施形態では、本発明によって生成された生成物および中間体は、式(24)に相当するモルフィナン化合物の調製において有用であり、式中、Xは−N(R17)−であり、R17は、上記のように定義される。
【0060】
明確にするために、式(24)のA、A、AおよびA14に相当する式(S)、(T)、(U)、(V)、(W)、(X)、(Y)および(Z)の炭素原子を、(どの炭素原子が各々相当するかを矢印で示すことによって)各々同定した。さらに、式(24)の多環式環の結合点を示すために、くねった線を式(S)、(T)、(U)、(V)、(W)、(X)、(Y)および(Z)に含めた。
【0061】
種々の方法によって生成することのできる例示的モルフィナンには、例えば、ノルジヒドロコデイノン(すなわち、式(24)であって、式中、R11、R17およびR22は、水素であり、R33はメトキシであり、Xは−N(R17)−であり、−A−A−A−A14−は式(Y)(式中、R14は水素であり、R62およびR63は、一緒になってケトを形成し、R71およびR81は、水素である)に相当するもの)(下記の式(241)に相当する)、ジヒドロコデイノン(すなわち、式(24)であって、式中、R11およびR22は、水素であり、R17はメチルであり、R33はメトキシであり、Xは−N(R17)−であり、−A−A−A−A14−は式(Y)(式中、R14は水素であり、R62およびR63は、一緒になってケトを形成し、R71およびR81は、水素である)に相当するもの)(下記の式(242)に相当する)、ノルオキシモルホン(すなわち、式(24)であって、式中、R11、R17およびR22は、水素であり、R33はヒドロキシであり、Xは−N(R17)−であり、−A−A−A−A14−は式(Y)(式中、R14はヒドロキシであり、R62およびR63は、一緒になってケトを形成し、R71およびR81は、水素である)に相当するもの)(下記の式(243)に相当する)、ならびにその塩、中間体および類似体が挙げられる。
【0062】
【化15】


【0063】
定義
「アシル」という用語は、本明細書で使用する場合、単独でまたは他の基の一部として、有機カルボン酸のCOOH基からヒドロキシル基を除くことによって形成される部分、例えば、RC(O)−(式中、Rは、R、RO−、RN−またはRS−であり、Rは、ヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり、Rは、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである)を意味する。
【0064】
「アシルオキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、単独でまたは他の基の一部として、酸素結合(O)を介して結合している上記のようなアシル基、例えば、RC(O)O−(式中、Rは、用語「アシル」に関連して定義した通りである)を意味する。
【0065】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、好ましくは主鎖中に1〜8個の炭素原子と、20個までの炭素原子とを含有する低級アルキルである基を説明する。それらは、直鎖または分岐鎖または環式でよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0066】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用する場合、好ましくは主鎖中に2〜8個の炭素原子と、20個までの炭素原子とを含有する低級アルケニルである基を説明する。それらは、直鎖または分岐鎖または環式でよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニルなどが挙げられる。
【0067】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用する場合、好ましくは主鎖中に2〜8個の炭素原子と、20個までの炭素原子とを含有する低級アルキニルである基を説明する。それらは、直鎖または分岐鎖でよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。
【0068】
「芳香族」という用語は、本明細書で使用する場合、単独でまたは他の基の一部として、任意選択で置換された単環式または複素環式芳香族基を示す。これらの芳香族基は、好ましくは6〜14個の原子を環部分中に含有する単環式、二環式または三環式基である。「芳香族」という用語は、下記で定義される「アリール」および「ヘテロアリール」基を包含する。
【0069】
「アリール」という用語は、本明細書で使用する場合、単独でまたは他の基の一部として、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニルまたは置換ナフチルなどの、環部分中に6〜12個の炭素を含有する任意選択で置換された同素環式芳香族基、好ましくは単環式または二環式基を示す。フェニルおよび置換フェニルは、より好ましいアリールである。
【0070】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、本明細書で使用する場合、単独でまたは他の基の一部として、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素を意味する。
【0071】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素および水素以外の原子を意味する。
【0072】
「ヘテロシクロ」または「複素環」という用語は、本明細書で使用する場合、単独でまたは他の基の一部として、少なくとも1つの環中に少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは各環中に5個または6個の原子を有する、任意選択で置換された完全飽和または不飽和の単環式または二環式の芳香族または非芳香族基を示す。ヘテロシクロ基は、好ましくは1個または2個の酸素原子および/または1〜4個の窒素原子を環中に有し、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りに結合している。例示的ヘテロシクロ基には、下記で説明するような複素環式芳香族化合物が挙げられる。例示的置換基には、下記の基の1つまたは複数が挙げられる。ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、シアノ、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテル。
【0073】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書で使用する場合、単独でまたは他の基の一部として、少なくとも1つの環中に少なくとも1個のヘテロ原子、各環中に好ましくは5個または6個の原子を有する任意選択で置換された芳香族基を示す。ヘテロアリール基は、好ましくは1個または2個の酸素原子および/または1〜4個の窒素原子を環中に有し、炭素を介して分子の残りに結合している。例示的ヘテロアリールには、フリル、ベンゾフリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル、カルバゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾピリジルなどが挙げられる。例示的置換基には、下記の基の1つまたは複数が挙げられる。ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、シアノ、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテル。
【0074】
「炭化水素」および「ヒドロカルビル」という用語は、本明細書で使用する場合、もっぱら炭素および水素元素から成る有機化合物または基を説明する。これらの部分には、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール部分が挙げられる。これらの部分にはまた、アルカリール、アルケナリールおよびアルキナリールなどの他の脂肪族または環状炭化水素基で置換されているアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール部分が挙げられる。別段の指示がない限り、これらの部分は、好ましくは1〜20個の炭素原子を含む。
【0075】
本明細書に記載する「置換ヒドロカルビル」部分は、炭素鎖原子が窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、硫黄またはハロゲン原子などのヘテロ原子で置換されている部分を含めた、炭素以外の少なくとも1個の原子で置換されているヒドロカルビル部分である。これらの置換基には、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルが挙げられる。
【0076】
本発明を詳細に説明してきて、添付の特許請求に記載されている本発明の範囲から逸脱することなく改変および変形が可能であることは明らかであろう。
【実施例】
【0077】
本発明をさらに例示するために、下記の非限定的実施例を提供する。
【0078】
(実施例1)
化合物510からの化合物511の調製
【0079】
【化16】

反応フラスコ中に、化合物510(254.6g、0.81モル、1.0当量)および無水テトラヒドロフラン(THF、阻害剤を含有しない、1.0L)を入れた。混合物を0℃に冷却した後、トリエチルアミン(89.86g、0.89モル、1.10当量)を、滴下で添加した。次いで、塩化アセチル(66.54g、0.85モル、1.05当量)を、温度を10℃未満に維持しながら滴下で添加した。反応混合物を室温まで温め、HPLCモニタリングによって反応が完了したことが示されるまで撹拌した。一般に、反応時間は、1.0〜4.0時間の範囲であった。反応混合物を濾過し、粗アセテートの濃厚な油となるまで濾液を蒸発させた。この濃厚な油を酢酸エチル(500mL)に溶解し、1.0MのHCl(3×100mL)および飽和NaCl(1×100mL)で洗浄した。無水MgSO上で乾燥させ、濾過し、酢酸エチルを蒸発させた後で、粗化合物511を濃厚な油として単離した。収率=89%。様々な実験において、この反応の反応収率は、85%〜98%の範囲であった。
【0080】
一般に、1.1〜1.25当量のNEt(トリエチルアミン)および1.05〜1.20当量の塩化アセチルを使用することが好ましい。水系後処理および1.0MのHClによる洗浄によって、後処理の間に過剰な塩化アセチルおよびトリエチルアミンを除去した。
【0081】
様々な実験において、無水酢酸または塩化ピバロイルを、塩化アセチルに代えて用いた。
【0082】
(実施例2)
化合物510からの化合物512の調製
【0083】
【化17】

反応フラスコ中に、化合物510(40.60g、0.13モル、1.0当量)および無水テトラヒドロフラン(THF、阻害剤を含有しない、300mL)を入れた。混合物を0℃に冷却した後、トリエチルアミン(16.28g、0.16モル、1.25当量)を、滴下で添加した。次いで、メタンスルホニルクロリド(17.69g、0.15モル、1.15当量)を、温度を10℃未満に維持しながら滴下で添加した。反応混合物を室温まで温め、HPLCによって反応が完了したことが示されるまで約4時間、しかし便宜上14時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を粗化合物512の濃厚な油へと蒸発させた。この濃厚な油を酢酸エチル(100mL)に溶解し、次いで1.0MのHCl(3×100mL)および飽和NaCl(1×100mL)で洗浄した。無水MgSO上で乾燥させ、濾過し、酢酸エチルを蒸発させた後で、粗化合物512を濃厚な油として単離した。収率=95%。
【0084】
一般に、好ましくは、1.1〜1.25当量のNEt(トリエチルアミン)および1.05〜1.20当量のメタンスルホニルクロリドを使用する。水系後処理および1.0MのHClによる洗浄によって、後処理の間に過剰な塩化メタンスルホニルおよびトリエチルアミンを除去した。
【0085】
(実施例3)
化合物511からの化合物610の調製
【0086】
【化18】

粗化合物511(256.0g、0.72モル、1.0当量)を、トルエン(500mL)に溶解した。短行程蒸留装置を、反応フラスコに固定した。減圧下で、約250mLの反応溶媒を除去した。不活性雰囲気下で真空を除去し反応フラスコを室温に冷却した後、オキシ塩化リン(120.8g、0.79モル、1.1当量)を、滴下で添加した。反応物を70℃に温め、2時間撹拌した。HPLC分析は、反応の完了を示した。反応物を室温に冷却し、添加漏斗を取り除き、短行程蒸留装置を固定した。減圧下、反応混合物を蒸留して濃厚な油を得た。反応混合物を0℃に冷却した。反応フラスコに、300mLの蒸留水および300mLのメタノールをゆっくりと加えた。反応混合物を1時間すばやく撹拌した後、pHが14に維持されるまで50%NaOH/HO溶液(約125mL)を加えた。この混合物を室温で12時間撹拌した。オフホワイトの沈殿物が形成された。この固体を濾過し、250mLの蒸留水および250mLのヘプタンで洗浄した。高温で乾燥させた後、225.2g(98%収率)の化合物610を得た。
【0087】
様々な実験において、反応収率は90%〜98%の範囲であった。反応後の蒸留のために、過剰なPOCl(BP:106℃)を蒸留によって除去した。後処理の間に、NaOHを加え、pHを約14に上げ、それによって化合物610がもたらされた。pHを5に減少させると、フェノール化合物611が形成される。
【0088】
(実施例4)
化合物512からの化合物610の調製
【0089】
【化19】

粗化合物512(48.3g、0.12モル、1.0当量)を、トルエン(400mL)に溶解した。短行程蒸留装置を、反応フラスコに固定した。減圧下、約150mLの反応溶媒を除去した。不活性雰囲気下で真空を除去し反応混合物を室温に冷却した後、オキシ塩化リン(28.23g、0.18モル、1.5当量)を、滴下で添加した。反応混合物を50℃に温め、2時間撹拌し、続いて75℃に温め、4時間撹拌した。HPLC分析は、反応の完了を示した。反応混合物を50℃に冷却し、添加漏斗を取り除き、短行程蒸留装置を固定した。減圧下、反応混合物を濃厚な油となるまで蒸留し、0℃に冷却した。反応フラスコに、100mLの蒸留水および100mLのメタノールをゆっくりと加えた。反応物を1時間すばやく撹拌した後、50%NaOH/HO溶液(約25mL)を、pHが14に維持されるまで加えた。この混合物を室温で18時間撹拌した。オフホワイトの沈殿物が形成された。この固体を濾過し、50mLの蒸留水および50mLのヘプタンで洗浄した。高温で乾燥させた後、32.2g(82%収率)の化合物610を得た。
【0090】
(実施例5)
化合物315と化合物410との反応からの化合物510の調製
【0091】
【化20】

化合物315およびキシレン(1gの化合物315当たり3.5mL)を、機械式撹拌機およびディーンスターク装置を備えた反応器に加えた。次いで、化合物410(1gの化合物315当たり0.85g)のキシレン(1gの化合物315当たり1.5mL)溶液を加えた。反応懸濁液を、水(1gの化合物315当たり約0.1mL)を回収しながら、還流させながら14時間加熱した。さらなる蒸留によってキシレンの80%(1gの化合物315当たり4.0mL)を除去した。残った濃厚な液体を70℃に冷却し、酢酸エチル(1gの化合物315当たり4.0mL)、続いてヘプタン(1gの化合物315当たり2.0mL)を70℃でよく撹拌しながら加えた。このように得られた溶液を、撹拌しながら15℃で2.5時間冷却し、結晶を得た。固体を濾過によって分離し、酢酸エチル/ヘプタン(1:1、1gの化合物315当たり0.75mL)で洗浄し、ヘキサン(1gの化合物315当たり1.0mL)で洗浄し、流動空気下で1時間乾燥させた。真空下(20インチ)で45℃において20時間さらに乾燥することによって、生成物(化合物510)をオフホワイトの結晶として得た。収率は、90%〜95%の範囲であった。
【0092】
(実施例6)
化合物510からの化合物611および612の調製
【0093】
【化21】

化合物510、POCl(1gの化合物510当たり0.89mL)およびアセトニトリル(1gの化合物510当たり4.0mL)を、機械式撹拌機および冷却器を備えた反応器に加えた。反応懸濁液を撹拌し、50℃に2時間加熱し、次いでさらに1時間加熱還流し、続いて25℃に冷却した。水(1gの化合物510当たり4.0mL)に、このように得られた溶液を撹拌しながらゆっくりと加えた。この発熱混合物の温度を、添加の間に70℃未満に維持し、次いで添加が完了した後、混合物を70℃で60分間加熱した。pHが4.2〜4.8となるまで、溶液を水酸化ナトリウム(50%、1gの化合物510当たり約1.50〜2.5g)で処理した。溶媒(1gの化合物510当たり4.2mL)を蒸留によって除去し、水(1gの化合物510当たり3.2mL)を加えた。反応混合物を6時間加熱還流し、よく撹拌しながら75℃に冷却した。アセトニトリル(1gの化合物510当たり1.0mL)を加え、pHを約4.4〜4.6に調節した。反応混合物を30分間加熱還流し、よく撹拌しながら10℃に冷却し、結晶を形成させた。固体を濾過によって分離し、水(3×0.5mL(1gの化合物510当たり))で洗浄し、真空下(20インチ)で60℃において20時間乾燥させ、生成物を黄色い結晶(611および612の混合物)として得た。
【0094】
(実施例7)
化合物612からの化合物611の調製
水(1gの化合物612当たり2.33mL)、メタノール(1gの化合物612当たり1.33mL)および濃塩酸(37%、1gの化合物612当たり0.33mL)を、機械式撹拌機を備えたフラスコに加えた。化合物612を撹拌しながら加え、溶液を形成させた。溶液のpHを、濃塩酸または濃縮水酸化アンモニウムによって0.0〜0.8に調節した。活性炭(1gの化合物612当たり0.10g)を加え、混合物を45℃で30分間加熱し、セライトのベッド(1gの化合物613当たり0.10g)で濾過した。固体残留物を、熱い0.5N塩酸の水/メタノール溶液(1:1の容積比で1NのHCl/HOをメタノールと混合することによって調製、pH=0.00〜0.80)で3度洗浄した(3×0.60mL(1gの化合物612当たり))。合わせた濾液および洗浄液を、よく撹拌した28%水酸化アンモニウム(1gの化合物613当たり2.00mL)の水(1gの化合物613当たり2.00mL)溶液に10℃において滴下で添加し、懸濁液(pH約10)を形成させた。濃塩酸または濃水酸化アンモニウムで、pHを約9.0〜10.0に調節した。反応混合物を10℃でさらに2時間撹拌し、濾過した。固体を水(3×0.67mL(1gの化合物613当たり))で洗浄し、真空下(20インチ)で60℃において20時間乾燥させ、生成物をオフホワイトの固体として得た。収率は、化合物510に基づいて85%〜90%の範囲であった。
【0095】
(実施例8)
化合物315および化合物410からの化合物611の調製
化合物315(24.4g)および化合物410(20.2g)の混合物を、165℃の油浴中で16時間ディーンスターク装置を使用して水を連続除去しながら、p−キシレン(75mL)中で還流させた。溶媒の大部分は、蒸留によって除去された。溶媒の最後の微量を、165℃に維持した油浴中において減圧下(約40〜80mmHg)で蒸留した。次いで、混合物をすばやく75℃に冷却し、濃厚な液体を得た。アセトニトリル(200mL)をその温度で加え、茶色がかった溶液を形成させ、続いて50℃未満に冷却した。オキシ塩化リン(40mL)を、滴下で添加した。混合物を50℃未満で2時間撹拌し、次いで1時間加熱還流した。混合物を50℃未満に冷却し、水(200mL)に加えた。溶液を、pHが4.5となるまで水酸化ナトリウム(50%)で処理し、次いで加水分解するまで8時間加熱還流した。蒸気温度が95℃に達するまで溶媒を蒸留によって除去した。アセトニトリル(20mL)を加え、溶液を激しく撹拌しながら5〜10℃に冷却し、固体を形成させた。粗生成物を、濾過後オフホワイトの結晶として50〜75%の収率で得た。
【0096】
本発明の要素またはその好ましい実施形態を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「前記」は、1つまたは複数の要素があることを意味する。「含む」、「含めた」および「有する」という用語は、包括的であることを意図し、記載された要素以外のさらなる要素がある場合があることを意味する。
【0097】
上記を考慮して、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有益な結果が得られることがわかるであろう。
【0098】
上記の方法および組成物において本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができるため、上記の説明に含有されている全ての事柄は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味としては解釈されないことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2013−100363(P2013−100363A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−35340(P2013−35340)
【出願日】平成25年2月26日(2013.2.26)
【分割の表示】特願2009−541334(P2009−541334)の分割
【原出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(595181003)マリンクロッド エルエルシー (203)
【Fターム(参考)】