説明

酸不安定基を有する化合物の製造法

本発明は、ヒドロキシル基を有する化合物を、一般式(I)


(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、RとRが隣接する炭素原子と一緒になって脂環式炭化水素環を形成するか、RとRが隣接するO−C−Cと一緒になって置換基を有していてもよい脂環式複素環を形成し、Xは、ハロゲン原子を表す)で表されるハロゲン化アルキルエーテルと反応させることを特徴とする、一般式(II)


(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基を有する化合物の製造法等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、化学増幅型レジスト組成物、塗料等の用途に有用である酸不安定基を有する化合物の製造法等に関する。
【背景技術】
アルキルビニルエーテル由来のアセタールまたはヘミアセタールエステルを有する重合体は、熱または酸触媒等による、アルキルビニルエーテルに由来する基の脱離が容易であるため、化学増幅型レジスト組成物、塗料等の用途に有用である。
アルキルビニルエーテル由来のアセタールまたはヘミアセタールエステルを有する重合体の製造法としては、アルケニルエーテル化合物とヒドロキシル基を有する重合体等を、必要により適当な酸(例えば、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸等)の存在下で反応させる方法が知られている(例えば、特開平5−249682号公報、国際公開第03/006407号明細書)が、反応時間が長いという問題がある。
また、ハロゲン化アルキルエーテルとヒドロキシル基を有する重合体等を反応させる製造方法も知られている(例えば、特開平11−222507号公報)が、例えば、1−クロロエチルエチルエーテルとヒドロキシル基を有する重合体等を反応させた場合、反応液の着色問題、1−クロロエチルエチルエーテルの重合体等の副生成物が生成するという問題等がある。さらに、1−クロロエチルエチルエーテルを用いてアセタール化されたヒドロキシル基を含有する重合体を化学増幅型レジスト組成物に使用する場合、該組成物をシリコンウエハー上にスピンコートする際に有機溶剤を除去する目的で実施するプレベーク工程でのアセタールの熱安定性や、長期保存におけるアセタールの安定性に問題がある。
【発明の開示】
本発明は、以下の[1]〜[17]を提供する。
[1] ヒドロキシル基を有する化合物を、一般式(I)

(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、RとRが隣接する炭素原子と一緒になって脂環式炭化水素環を形成するか、RとRが隣接するO−C−Cと一緒になって置換基を有していてもよい脂環式複素環を形成し、Xは、ハロゲン原子を表す)で表されるハロゲン化アルキルエーテルと反応させることを特徴とする、一般式(II)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基を有する化合物の製造法。
[2] カルボキシル基を有する化合物を、一般式(I)

(式中、R、R、RおよびXは、それぞれ前記と同義である)で表されるハロゲン化アルキルエーテルと反応させることを特徴とする、一般式(IIa)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基を有する化合物の製造法。
[3] ポリヒドロキシスチレンのヒドロキシル基が一般式(II)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体。
[4] フェノールノボラック樹脂のヒドロキシル基が一般式(II)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたフェノールノボラック樹脂誘導体。
[5] 一般式(I)

(式中、R、R、RおよびXは、それぞれ前記と同義である)で表されるハロゲン化アルキルエーテルを含有するヒドロキシル基の保護剤。
[6] 一般式(I)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表されるハロゲン化アルキルエーテルを含有するカルボキシル基の保護剤。
[7] ポリヒドロキシスチレンのヒドロキシル基が一般式(II)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体と光酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物。
[8] フェノールノボラック樹脂のヒドロキシル基が一般式(II)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたフェノールノボラック樹脂誘導体と光酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物。
[9] ヒドロキシル基を有する化合物を、一般式(IV)

(式中、RおよびXはそれぞれ前記と同義であり、Rは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、nは0または1である)で表されるテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン化合物と反応させることを特徴とする、一般式(V)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基を有する化合物の製造法。
[10] カルボキシル基を有する化合物を、一般式(IV)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表されるテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン化合物と反応させることを特徴とする、一般式(Va)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基を有する化合物の製造法。
[11] ポリヒドロキシスチレンのヒドロキシル基が一般式(V)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体。
[12] フェノールノボラック樹脂のヒドロキシル基が一般式(V)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたフェノールノボラック樹脂誘導体。
[13] 一般式(IV)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表されるテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン化合物を含有するヒドロキシル基の保護剤。
[14] 一般式(IV)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表されるテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン化合物を含有するカルボキシル基の保護剤。
[15] ポリヒドロキシスチレンのヒドロキシル基が一般式(V)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体と光酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物。
[16] フェノールノボラック樹脂のヒドロキシル基が一般式(V)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたフェノールノボラック樹脂誘導体と光酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物。
[17] 一般式(IV)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表されるテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン化合物。
以下、一般式(I)で表されるハロゲン化アルキルエーテルを化合物(I)、一般式(II)で表される基を有する化合物を化合物(II)、一般式(IIa)で表される基を有する化合物を化合物(IIa)、一般式(IV)で表されるテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン化合物を化合物(IV)、一般式(V)で表される基を有する化合物を化合物(V)、一般式(Va)で表される基を有する化合物を化合物(Va)と表現することもある。
一般式中の各基の定義において、アルキルとしては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数1〜18のものがあげられ、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル等があげられ、中でも、炭素数1〜6のアルキルが好ましく、さらには炭素数1〜3のアルキルがより好ましい。
アリールとしては、例えば、フェニル、ナフチル等があげられる。
アラルキルとしては、例えば、炭素数7〜15のものがあげられ、その具体例としては、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等があげられる。
とRが隣接する炭素原子と一緒になって形成する脂環式炭化水素環としては、例えば、炭素数3〜8のものがあげられ、飽和または不飽和のものであってもよく、その具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロペンテン環、1,3−シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環等があげられる。
とRが隣接するO−C−Cと一緒になって形成する脂環式複素環としては、例えば、炭素数5〜8の少なくとも1つの酸素原子を含むものがあげられ、その具体例としては、オキソラン環、オキサン環、オキセパン環、オキソカン環等があげられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子があげられ、中でも、塩素原子が好ましい。
置換アルキルにおける置換基としては、例えば、アルコキシ、アルカノイル、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる。
置換アリールおよび置換アラルキルにおける置換基としては、例えば、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる。
置換基を有していてもよい脂環式複素環における置換基としては、例えば、置換もしくは非置換のアルキル(該置換アルキルにおける置換基としては、例えば、アルコキシ、アルカノイル、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる)、置換もしくは非置換のアリールおよび置換もしくは非置換のアラルキル(該置換アリールおよび該置換アラルキルにおける置換基としては、例えば、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる)等があげられる。
置換基の定義において、アルキル、アルコキシおよびアルコキシカルボニルのアルキル部分としては、前記アルキルで例示したものと同様のものがあげられる。アルカノイルとしては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数1〜7のものがあげられ、その具体例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等があげられる。ハロゲン原子としては、前記と同様のものがあげられる。
化合物(I)の具体例としては、例えば、1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−エトキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−プロポキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−イソプロポキシ−2−メチルプロパン、1−ブトキシ−1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−イソブトキシ−2−メチルプロパン、1−(tert−ブトキシ)−1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−ペンチルオキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−イソペンチルオキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−ネオペンチルオキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−(tert−ペンチルオキシ)−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−ヘキシルオキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−イソヘキシルオキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−ヘプチルオキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−オクチルオキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−ノニルオキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−デカニルオキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−ドデカニルオキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−オクタデカニルオキシ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−エトキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−プロポキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−イソプロポキシ−2−メチルブタン、1−ブトキシ−1−クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−イソブトキシ−2−メチルブタン、1−(tert−ブトキシ)−1−クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−ペンチルオキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−イソペンチルオキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−ネオペンチルオキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−(tert−ペンチルオキシ)−2−メチルブタン、1−クロロ−1−ヘキシルオキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−イソヘキシルオキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−メチルブタン、1−クロロ−1−ヘプチルオキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−オクチルオキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−ノニルオキシ−2−メチル−ブタン、1−クロロ−1−デカニルオキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−ドデカニルオキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−オクタデカニルオキシ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−メトキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−エトキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−プロポキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−イソプロポキシ−2−エチルブタン、1−ブトキシ−1−クロロ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−イソブトキシ−2−エチルブタン、1−(tert−ブトキシ)−1−クロロ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−ペンチルオキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−イソペンチルオキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−ネオペンチルオキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−(tert−ペンチルオキシ)−2−エチルブタン、1−クロロ−1−ヘキシルオキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−イソヘキシルオキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−エチルブタン、1−クロロ−1−ヘプチルオキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−オクチルオキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−ノニルオキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−デカニルオキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−ドデカニルオキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−オクタデカニルオキシ−2−エチルブタン、1−クロロ−1−(2−メトキシエトキシ)−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−(2−エトキシエトキシ)−2−メチルプロパン、1−(2−ブトキシエトキシ)−1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロ−1−(2−メトキシエトキシ)−2−メチルブタン、1−クロロ−1−(2−エトキシエトキシ)−2−メチルブタン、1−(2−ブトキシエトキシ)−1−クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−1−(2−メトキシエトキシ)−2−エチルブタン、1−クロロ−1−(2−エトキシエトキシ)−2−エチルブタン、1−(2−ブトキシエトキシ)−1−クロロ−2−エチルブタン等があげられ、中でも、1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパンが好ましい。化合物(I)としては、1種または2種以上のものが用いられる。
化合物(IV)の具体例としては、例えば、2−クロロ−3−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−プロピルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソプロピルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ブチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソブチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−(tert−ブチル)テトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ペンチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソペンチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ネオペンチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−(tert−ペンチル)テトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ヘキシルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソヘキシルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ヘプチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−オクチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ノニルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−デカニルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ドデカニルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3―オクタデカニルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3,4−ジメチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−エチル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−プロピル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソプロピル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ブチル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソブチル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−(tert−ブチル)−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ペンチル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソペンチル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ネオペンチル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−(tert−ペンチル)−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ヘキシル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソヘキシル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−(2−エチルヘキシル)−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ヘプチル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−オクチル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ノニル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−デカニル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ドデカニル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−オクタデカニル−4−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−メチル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3,4−ジエチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−プロピル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソプロピル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ブチル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソブチル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−(tert−ブチル)−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ペンチル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソペンチル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ネオペンチル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−(tert−ペンチル)−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ヘキシル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−イソヘキシル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−(2−エチルヘキシル)−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ヘプチル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−オクチル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ノニル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−デカニル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−ドデカニル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−オクタデカニル−4−エチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−プロピルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソプロピルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ブチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソブチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−(tert−ブチル)テトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ペンチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソペンチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ネオペンチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−(tert−ペンチル)テトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ヘキシルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソヘキシルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ヘプチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−オクチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ノニルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−デカニルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ドデカニルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−オクタデカニルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3,5−ジメチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−エチル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−プロピル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソプロピル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ブチル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソブチル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−(tert−ブチル)−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ペンチル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソペンチル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ネオペンチル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−(tert−ペンチル)−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ヘキシル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソヘキシル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−(2−エチルヘキシル)−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ヘプチル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−オクチル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ノニル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−デカニル−5−メチルテトラヒドロピラシ、2−クロロ−3−ドデカニル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−オクタデカニル−5−メチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−メチル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3,5−ジエチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−プロピル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソプロピル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ブチル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソブチル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−(tert−ブチル)−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ペンチル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソペンチル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ネオペンチル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−(tert−ペンチル)−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ヘキシル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−イソヘキシル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−(2−エチルヘキシル)−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ヘプチル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−オクチル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ノニル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−デカニル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−ドデカニル−5−エチルテトラヒドロピラン、2−クロロ−3−オクタデカニル−5−エチルテトラヒドロピラン等があげられ、中でも、2−クロロ−3−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロ−3−メチルテトラヒドロピランおよび2−クロロ−3,5−ジエチルテトラヒドロピランが好ましい。化合物(IV)としては、1種または2種以上のものが用いられる。
ヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、アルコール、フェノール類、カルボキシル基を有する化合物等があげられる。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ベンジルアルコール等のモノアルコール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコールがあげられる。
フェノール類としては、フェノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタン(ビスフェノールF)、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ノボラックフェノール、ノボラッククレゾール、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ヒドロキシスチレン等の低分子フェノール化合物、ならびにフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンをその他の共重合可能なビニル単量体と共重合させた共重合体等があげられ、中でも、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンをその他の共重合可能なビニル単量体と共重合させた共重合体等が好ましい。ヒドロキシスチレンと共重合可能なビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸またはその酸無水物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸モノグリセロール等のヒドロキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有単量体、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体等があげられる。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を表し、他の誘導体についても同様である。
カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂等の重合体、カルボキシル基含有ビニル系共重合体、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、プロピオール酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクチル酸、ノナン酸、イソノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、安息香酸、桂皮酸、2−ナフトエ酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、アミニ油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸等のモノカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、デカメチレンジカルボキシル基を有する化合物、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の多価カルボン酸、乳酸、クエン酸、ヒドロキシピバリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有α,β−不飽和単量体等があげられ、中でも、カルボキシル基含有ビニル系共重合体が好ましい。カルボキシル基含有ビニル系共重合体を製造する際の原料としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸またはその酸無水物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸モノグリセロール等のヒドロキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有単量体、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体等があげられ、これらの単量体を共重合した重合体がカルボキシル基を有する化合物として好ましい。
以下、本発明について、より詳細に説明する。
(1) 化合物(I)および化合物(IV)
化合物(I)は、例えば、一般式(III)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表されるアルケニルエーテルとハロゲン化水素とを反応させることにより製造することができる。
一般式(III)で表されるアルケニルエーテルは、市販のものを購入するか、または公知の方法[例えば、日本化学会編「実験化学講座(第20巻)有機合成IIアルコール・アミン」、第4版、207−208頁、丸善株式会社(平成4年7月6日)等]により合成し、入手することができる。
化合物(IV)は、例えば、一般式(VI)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表されるジヒドロフランまたはジヒドロ−2H−ピラン化合物とハロゲン化水素とを反応させることに製造することができる。
一般式(VI)で表されるジヒドロフランまたはジヒドロ−2H−ピラン化合物は、市販のものを購入するか、または、公知の方法(例えば、Journal of Organic Chemistry,1998年,63巻,6007−6015頁、Journal of Organic Chemistry,1979年,44巻,364−368頁等)により合成し、入手することができる。
ハロゲン化水素としては、ガス状のもの、特に塩化水素ガスが好ましく用いられる。ハロゲン化水素の使用量は、一般式(III)で表されるアルケニルエーテルまたは一般式(VI)で表されるジヒドロフランまたはジヒドロ−2H−ピラン化合物1モルに対して、1モル以上であるのが好ましい。
反応温度は、0〜20℃であるのが好ましい。
化合物(I)および(IV)は、ヒドロキシル基またはカルボキシル基の保護剤として有用である。
(2) 化合物(II)、化合物(IIa)、化合物(V)および化合物(Va)
化合物(II)および化合物(V)は、ヒドロキシル基を有する化合物をそれぞれ化合物(I)または化合物(IV)と反応させることにより得ることができ、化合物(IIa)および化合物(Va)は、カルボキシル基を有する化合物をそれぞれ化合物(I)または化合物(IV)と反応させることにより得ることができる。
化合物(II)および化合物(V)は、ヒドロキシル基を有する化合物のヒドロキシル基をそれぞれ一般式(II)または一般式(V)で表される基で置換した誘導体であって、化合物(IIa)および化合物(Va)は、カルボキシル基を有する化合物のカルボキシル基をそれぞれ一般式(IIa)または一般式(Va)で表される基で置換した誘導体である。化合物(II)、化合物(IIa)、化合物(V)および化合物(Va)におけるヒドロキシル基またはカルボキシル基の置換割合は、特に限定されないが、それぞれ10モル%以上であるのが好ましい。
化合物(I)または化合物(IV)の使用量は、特に限定されないが、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する化合物における置換したいヒドロキシル基またはカルボキシル基(被保護基とよぶ)1モルに対して、1〜10モルであるのが好ましく、さらには1〜5モルであるのが好ましく、2〜4モルであるのがより好ましい。
反応温度は、0〜100℃であるのが好ましく、さらには0〜50℃であるのが好ましく、0〜20℃であるのがより好ましい。
本発明の製造法においては、塩基を添加するのが好ましい。該塩基としては、特に限定はされないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の有機塩基等があげられ、中でも、トリエチルアミンが好ましい。塩基の添加量は、特に限定されないが、化合物(I)または化合物(IV)1モルに対して、1〜10モルであるのが好ましく、1〜3モルであるのがより好ましい。
本発明の製造法においては、必要に応じて、有機溶媒を使用してもよい。該有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等があげられ、1種または2種以上のものが用いられる。
化合物(II)、化合物(IIa)、化合物(V)および化合物(Va)は、酸不安定なそれぞれ一般式(II)、一般式(IIa)、一般式(V)または一般式(Va)で表される基を有しており、化学増幅型レジスト組成物等の構成成分として有用である。中でも、ポリヒドロキシスチレンのヒドロキシル基が一般式(II)または一般式(V)で表される基で置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体、フェノールノボラック樹脂のヒドロキシル基が一般式(II)または一般式(V)で表される基で置換されたフェノールノボラック樹脂誘導体等が好ましい。ここで、該ポリヒドロキシスチレン誘導体またはフェノールノボラック樹脂誘導体等において、ヒドロキシル基の全部が、必ずしも一般式(II)または一般式(V)で表される基で置換されていなくてもよい。
(3) ヒドロキシル基またはカルボキシル基の保護剤の使用方法
ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する化合物において、化合物(I)または化合物(IV)を用いることにより、一般式(II)もしくは一般式(V)または一般式(IIa)もしくは一般式(Va)で表される基の導入および脱離は容易に行うことができ、化合物(I)または化合物(IV)は、有機合成上のヒドロキシル基またはカルボキシル基の保護剤として使用することが可能である。
上記において、一般式(II)、一般式(IIa)、一般式(V)または一般式(Va)で表される基は、加熱処理または酸による処理等により、ヒドロキシル基またはカルボキシル基に変換させることができる。
一般式(II)、一般式(IIa)、一般式(V)または一般式(Va)で表される基を加熱処理によりヒドロキシル基またはカルボキシル基に変換させる場合は、160〜250℃で行うのが好ましい。
また、一般式(II)、一般式(IIa)、一般式(V)または一般式(Va)で表される基を酸処理によりヒドロキシル基またはカルボキシル基に変換させる場合、使用される酸としては、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸等があげられ、中でも、p−トルエンスルホン酸が好ましい。酸の使用量は、一般式(II)、一般式(IIa)、一般式(V)または一般式(Va)で表される基1モルに対して、0.01〜50モルであるのが好ましい。酸処理の際の温度は、80〜160℃であるのが好ましい。
さらに、酸の代わりに光酸発生剤を使用し、光の照射により発生した酸により、一般式(II)、一般式(IIa)、一般式(V)または一般式(Va)で表される基をヒドロキシル基またはカルボキシル基に変換させることもできる。
以上のように、一般式(II)、一般式(IIa)、一般式(V)または一般式(Va)で表される基の、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する化合物への導入および脱離は容易に行うことができるため、例えば、化合物(II)、化合物(IIa)、化合物(V)および化合物(Va)は、化学増幅型レジスト組成物等の構成成分として有用である。
化合物(II)、化合物(IIa)、化合物(V)または化合物(Va)を化学増幅型レジスト組成物等の構成成分として使用する場合、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する化合物におけるヒドロキシル基またはカルボキシル基の全てを、一般式(II)もしくは一般式(V)または一般式(IIa)もしくは一般式(Va)で表される基に変換し、その一部をヒドロキシル基またはカルボキシル基に再変換させた形態で使用してもよい。
(4)化学増幅型レジスト組成物
本発明の化学増幅型レジスト組成物は、ポリヒドロキシスチレンのヒドロキシル基が一般式(II)もしくは一般式(V)で表される基で置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体またはフェノールノボラック樹脂のヒドロキシル基が一般式(II)もしくは一般式(V)で表される基で置換されたフェノールノボラック樹脂誘導体(以下、ベースポリマーと表現することもある)と光酸発生剤を含有するが、該組成物を調製する際の当該化合物と光酸発生剤の添加の順番、混合の方法等は、特に限定されるものではない。
ベースポリマーの重量平均分子量は、1000〜100000であるのが好ましく、1000〜50000であるのがより好ましい。
本発明の化学増幅型レジスト組成物は、好ましくは、有機溶媒(例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等)に溶解または分散させ、ウエハー上にスピンコートされる。この際、有機溶媒はベースポリマー1重量部に対して、0.5〜100重量部使用されるのが好ましい。
その後、通常、このウエハー上の有機溶媒を蒸発させるために、加熱される工程(プリベーク工程)が実施される。プリベーク工程での加熱温度は、80〜130℃であるのが好ましい。上記ベースポリマーは、耐熱性に優れ、前記の加熱温度では、ほとんど分解しない。有機溶媒を蒸発させたウエハーには、露光装置から光が照射される。光は、所望の露光波長に応じて選択することができ、例えば、遠赤外線、可視光線、g線、h線、i線等の近紫外線、KrFエキシマーレーザー、ArFエキシマレーザー、DUV、EUV等を用いることができる。また、電子線を照射することもできる。照射された部分では、光酸発生剤の分解により酸が発生し、ヒドロキシル基が再生される。さらに、現像の際にアルカリ性溶液により、ヒドロキシル基が再生された化合物が洗い流され、ポジ型レジストパターンが得られる。
光酸発生剤としては、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、ジアゾスルホン化合物、ジスルホニルメタン化合物、スルホンイミド化合物、ニトロベンジル化合物、ナフトキノンジアジド化合物等を用いることができる。
オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等があげられる。より具体的には、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフロオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−10−カンファースルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート等があげられる。
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホン、これらのα−ジアゾ化合物等があげられる。より具体的には、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等があげられる。
スルホン酸エステル化合物としては、例えばアルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等があげられる。より具体的には、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロスルホネート、ピロガロールメタンスルホン酸トリエステル、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、α−メチロールベンゾイソシアナート、α−メチロールベンゾインオクタンスルホネート、α−メチロールベンゾイントリフルオロメタンスルホネート、α−メチロールベンゾインドデシルスルホネート等があげられる。
スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−ジオキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−ジオキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−ジオキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−ジオキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−ジオキシ−2,3−ジカルボキシミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等があげられる。
光酸発生剤の配合量は、ベースポリマー100重量部あたり0.01〜50重量部であるのが好ましく、0.1〜30重量部であるのがより好ましく、さらには0.5〜25重量部であるのがより好ましい。
本発明の化学増幅型レジスト組成物は、プリベーク工程の際の安定性や長期の貯蔵安定性に優れ、良好なリソグラフィー特性を有している。
以下、実施例、比較例、参考例および試験例により、本発明をさらに具体的に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
実施例および参考例における構造決定と、実施例および比較例における保護基の導入率の算出は、H−NMRスペクトル(400MHz、測定機器:日本電子 GSX−400、測定溶媒:重クロロホルム)により行った。
示差熱天秤分析は、セイコー・インスツルメント株式会社製TG/TDA 6200を用い、窒素雰囲気下で、40℃から400℃まで、10℃/分で昇温する条件で行った。
重量平均分子量は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
(GPC分析条件)
機器:HLC−8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)
移動相:テトラヒドロフラン(流速0.5ml/分)
カラムオーブン:40℃
検出器:RI[RI−8000(東ソー(株)製)]
(参考例1) 1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパンの合成
1−メトキシ−2−メチルプロペン8.61gを5℃に冷却し、塩化水素ガス3.65gを1時間かけて液中に吹き込むことにより、無色透明液体12.2gを得た。H−NMRスペクトルより、該液体が1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパンであることを確認した。
(実施例1) 2−クロロ−3−メチルテトラヒドロフランの合成
窒素雰囲気下、−78℃でジイソプロピルアミン5.6gのテトラヒドロフラン(THF)(45ml)溶液に、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6mol/L)38mlを加え、20分間攪拌した。その後、−78℃に保ちながら、γ−ブチロラクトン5.2gのTHF(50ml)溶液を30分かけて滴下し、さらに20分間攪拌した。その後、ヨウ化メチル17gを15分かけて滴下した。滴下後、反応液を−30℃まで温めながら4時間攪拌した。内温を室温まで戻した後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液(25ml)で処理し、エーテル(50ml)で抽出した。有機層を飽和食塩水(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧蒸留することにより、3−メチルテトラヒドロフラン−2−オンを4g得た。3−メチルテトラヒドロフラン−2−オン4gのエーテル(50ml)溶液に、−20℃で、水素化ジイソブチルアルミニウムのTHF溶液(1.0mol/L)50mlを加え、1.5時間攪拌した。内温を室温まで戻し、メタノール(35ml)を加えた。析出した固体をろ別した後、ろ液を濃縮することにより、3−メチルテトラヒドロフラン−2−オールを4.6g得た。得られた3−メチルテトラヒドロフラン−2−オール4.6gに、0.023gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、留去物がなくなるまで140〜150℃で加熱した。留去物と残渣に10%炭酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出後、溶媒を留去し、減圧蒸留することにより、4−メチル−2,3−ジヒドロフランを2.5g得た。これを5℃に冷却し、塩化水素ガス1.1gを20分かけて液中に吹き込むことにより、無色透明液体3.5gを得た。
H−NMRスペクトルより、該液体が2−クロロ−3−メチルテトラヒドロフラン(2種の構造異性体の混合物)であることを確認した。
H−NMR δ 6.22(1H,d,J=3.9,one isomer),5.97(1H,s,one isomer),4.28−4.10(3H,m,2H from both isomers,1H from one isomer),4.05−3.96(1H,m,one isomer),2.80−2.71(1H,m,one isomer),2.52−2.35(2H,m,both isomers),2.10−2.00(1H,m,one isomer),1.92−1.77(1H,m,one isomer),1.64−1.55(1H,m,one isomer),1.18(3H,d,J=6.5,one isomer),1.06(3H,d,J=7.1,one isomer)
(実施例2) 2−クロロ−3−メチルテトラヒドロピランの合成
実施例1において、γ−ブチロラクトン5.2gを、バレロラクトン6.0gに変更する以外は同様の操作をすることにより、無色透明液体4.0gを得た。
H−NMRスペクトルより、該液体が2−クロロ−3−メチルテトラヒドロピランであることを確認した。
H−NMR δ 6.07(1H,d,J=2.9),4.03−3.96(1H,m),3.82−3.75(1H,m),2.10−1.40(5H,m),0.94(3H,d,J=6.6)
(実施例3) 2−クロロ−3,5−ジエチルテトラヒドロピランの合成
1−エトキシ−1−ブテン127g、2−エチルアクロレイン53g、ジヒドロキノン13mgおよび塩化亜鉛850mgの混合物を、オートクレーブ中で90℃で4時間攪拌し、水洗後、減圧蒸留(100℃/3.3kPa)することで、2−エトキシ−3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを92g得た。これに、2%パラジウム炭素触媒9gおよびエタノール280gを加え、室温下、オートクレーブ中、水素圧0.7MPaで4時間攪拌した。触媒をろ別し、ろ液を減圧濃縮することにより、2−エトキシ−3,5−ジエチルテトラヒドロピランを84g得た。これに0.4gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加えて留去物がなくなるまで140〜150℃で加熱した。留去物と残渣に10%炭酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出後、溶媒を留去し、減圧蒸留(84℃/3.2kPa)することにより、3,5−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランを45g得た。これを5℃に冷却し、塩化水素ガス11.7gを1時間かけて液中に吹き込むことにより、無色透明液体56gを得た。
H−NMRスペクトルより、該液体が2−クロロ−3,5−ジエチルテトラヒドロピランであることを確認した。
H−NMR δ 6.13(1H,d,J=2.9),3.77−3.70(1H,m),3.67−3.57(1H,m),1.98−1.13(8H,m),0.92(6H,m)
(実施例4) ヒドロキシル基を1−メトキシ−2−メチルプロポキシ基で置換したフェノールノボラック樹脂誘導体の合成
重量平均分子量10,000のフェノールノボラック樹脂[昭和高分子(株)製]2.7gをメチルエチルケトン17.5mlに溶解し、この溶液の中に1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパン11.7gを加え、攪拌して完全に溶解した後、攪拌しながらトリエチルアミン7.6gを約30分間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま約3時間攪拌した。次いで、得られた溶液に対して20倍量の純水を加え、メチルイソブチルケトンで抽出し、溶媒を留去した後、純水1000ml中に滴下し再沈殿させることにより淡黄色の固体4.6gを得た。H−NMRスペクトルより、ヒドロキシル基の75モル%が1−メトキシ−2−メチルプロポキシ基で置換されていることがわかった。目的物の重量平均分子量は、16,000であった。
(比較例1) ヒドロキシル基を1−メトキシ−2−メチルプロポキシ基で置換したフェノールノボラック樹脂誘導体の合成
重量平均分子量10,000のフェノールノボラック樹脂[昭和高分子(株)製]2.7gをメチルエチルケトン17.5mlに溶解し、この溶液の中に1−メトキシ−2−メチルプロペン11.7gを加え、攪拌して完全に溶解した後、攪拌しながらp−トルエンスルホン酸0.26gを添加した。添加後、そのまま約3時間攪拌した。次いで、得られた溶液に対して20倍量の純水を加え、メチルイソブチルケトンで抽出し、溶媒を留去した後、純水1000ml中に滴下し再沈殿させることにより淡黄色の固体2.6gを得た。H−NMRスペクトルより、ヒドロキシル基は1−メトキシ−2−メチルプロポキシ基で置換されていない(反応が遅い)ことがわかった。
(比較例5) ヒドロキシル基を1−エトキシエトキシ基で置換したフェノールノボラック樹脂誘導体の合成
重量平均分子量10,000のフェノールノボラック樹脂[昭和高分子(株)製]2.7gをメチルエチルケトン17.5mlに溶解し、この溶液の中に1−クロロ−1−エトキシエタン8.4gを加え、攪拌して完全に溶解した後、攪拌しながらトリエチルアミン7.6gを約30分間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま約3時間攪拌した。反応液は徐々に着色し、黒色になった。次いで、得られた溶液に対して20倍量の純水を加え、メチルイソブチルケトンで抽出し、溶媒を留去した後、純水1000ml中に滴下し再沈殿させることにより褐色の固体1.73gを得た。H−NMRスペクトルより、ヒドロキシル基の17モル%が1−エトキシエトキシ基で置換されており、エチルビニルエーテルの重合物が含まれていることがわかった。
(実施例5) ヒドロキシル基を1−メトキシ−2−メチルプロポキシ基で置換、したポリヒドロキシスチレン誘導体の合成
重量平均分子量20,000のポリヒドロキシスチレン(アルドリッチ社製)2.7gをN,N−ジメチルアセトアミド17.5mlに溶解し、この溶液の中に1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパン11.7gを加え、攪拌して完全に溶解した後、攪拌しながらトリエチルアミン7.6gを約30分間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま約3時間攪拌した。次いで、得られた溶液に対して20倍量の純水を加え、メチルイソブチルケトンで抽出し、溶媒を留去した後、純水1000ml中に滴下し再沈殿させることにより淡黄色の固体5.0gを得た。H−NMRスペクトルより、ヒドロキシル基の100モル%が1−メトキシ−2−メチルプロポキシ基で置換されていることがわかった。目的物の重量平均分子量は、34,300であった。
(比較例3) ヒドロキシル基を1−エトキシエトキシ基で置換したポリヒドロキシスチレン誘導体の合成
重量平均分子量20,000のポリヒドロキシスチレン(アルドリッチ社製)2.7gをN,N−ジメチルアセトアミド17.5mlに溶解し、この溶液の中に1−クロロ−1−エトキシエタン8.4gを加え、攪拌して完全に溶解した後、攪拌しながらトリエチルアミン7.6gを約30分間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま約3時間攪拌した。反応液は徐々に着色し、黒色になった。次いで、得られた溶液に対して20倍量の純水を加え、メチルイソブチルケトンで抽出し、溶媒を留去した後、純水1000ml中に滴下し再沈殿させることにより褐色の固体1.3gを得た。H−NMRスペクトルより、ヒドロキシル基の10モル%が1−エトキシエトキシ基で置換されており、エチルビニルエーテルの重合物が含まれていることがわかった。
(試験例1) 保護された重合物の熱安定性評価
実施例4および比較例2で得られたフェノールノボラック樹脂誘導体について示差熱天秤分析を行った。重量減少開始温度の測定結果を表−1に示す。

実施例4で製造したフェノールノボラック樹脂誘導体は、比較例2で製造したフェノールノボラック樹脂誘導体と比較して、熱安定性に優れる。
(実施例6) 化学増幅型レジスト組成物の調製
実施例5で得られる固体20gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80gに溶解し、これにジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート(アルドリッチ社製)1重量%を配合して、化学増幅型レジスト組成物を得た。
(試験例2) 化学増幅型レジスト組成物の評価
実施例6で得られた化学増幅型レジスト組成物を用いて、以下の条件にて感度評価を実施した。
(露光および現像条件)
プリベーク :100℃×5分
露光 :ウシオ電機(株)製超高圧低圧水銀灯(254nm)
露光量 :8mJ/cm
ポストエクスポジュアーベーク:120℃×2分
現像液 :2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液
上記の条件で得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察したところ、2μmのライン・アンド・スペースパターンが規定の線幅通りに解像されていることを確認した。
(実施例7) ヒドロキシル基を3−メチル−2−テトラヒドロフラニルオキシ基で置換したポリヒドロキシスチレン誘導体の合成
重量平均分子量20,000のポリヒドロキシスチレン(アルドリッチ社製)2.7gをN,N−ジメチルナセトアミド17.5mlに溶解し、この溶液の中に2−クロロ−3−メチルテトラヒドロフラン11.5gを加え、攪拌して完全に溶解した後、攪拌しながらトリエチルアミン7.6gを約30分間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま約3時間攪拌した。次いで、得られた溶液に対して20倍量の純水を加え、メチルイソブチルケトンで抽出し、溶媒を留去した後、純水1000ml中に滴下し再沈殿させることにより淡黄色の固体5.0gを得た。H−NMRスペクトルより、ヒドロキシル基の100モル%が3−メチル−2−テトラヒドロフラニルオキシ基で置換されていることがわかった。目的物の重量平均分子量は、34,000であった。
(実施例8) ヒドロキシル基を3−メチル−2−テトラヒドロピラニルオキシ基で置換したポリヒドロキシスチレン誘導体の合成
重量平均分子量20,000のポリヒドロキシスチレン(アルドリッチ社製)2.7gをN,N−ジメチルアセトアミド17.5mlに溶解し、この溶液の中に2−クロロ−3−メチルテトラヒドロピラン12.9gを加え、攪拌して完全に溶解した後、攪拌しながらトリエチルアミン7.6gを約30分間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま約3時間攪拌した。次いで、得られた溶液に対して20倍量の純水を加え、メチルイソブチルケトンで抽出し、溶媒を留去した後、純水1000ml中に滴下し再沈殿させることにより淡黄色の固体5.1gを得た。H−NMRスペクトルより、ヒドロキシル基の100モル%が3−メチル−2−テトラヒドロピラニルオキシ基で置換されていることがわかった。目的物の重量平均分子量は、36,300であった。
(実施例9) ヒドロキシル基を3,5−ジエチル−2−テトラヒドロピラニルオキシ基で置換したポリヒドロキシスチレン誘導体の合成
重量平均分子量20,000のポリヒドロキシスチレン(アルドリッチ社製)2.7gをN,N−ジメチルアセトアミド17.5mlに溶解し、この溶液の中に2−クロロ−3,5−ジエチルテトラヒドロピラン16.9gを加え、攪拌して完全に溶解した後、攪拌しながらトリエチルアミン7.6gを約30分間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま約3時間攪拌した。次いで、得られた溶液に対して20倍量の純水を加え、メチルイソブチルケトンで抽出し、溶媒を留去した後、純水1000ml中に滴下し再沈殿させることにより淡黄色の固体5.7gを得た。H−NMRスペクトルより、ヒドロキシル基の100モル%が3,5−ジエチル−2−テトラヒドロピラニルオキシ基で置換されていることがわかった。目的物の重量平均分子量は、43,300であった。
(実施例10) 化学増幅型レジスト組成物の調製
実施例7、8、9で得られる固体20gをそれぞれプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80gに溶解し、これにジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート(アルドリッチ社製)1重量%を配合して、化学増幅型レジスト組成物を得た。
(試験例3) 化学増幅型レジスト組成物の評価
実施例10で得られた3種類の化学増幅型レジスト組成物を用いて、以下の条件にて感度評価を実施した。
(露光および現像条件)
プリベーク :100℃×5分
露光 :ウシオ電機(株)製超高圧低圧水銀灯(254nm)
露光量 :8mJ/cm
ポストエクスポジュアーベーク:120℃×2分
現像液:2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液
上記の条件で得られた3種類のレジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれも2μmのライン・アンド・スペースパターンが規定の線幅通りに解像されていることを確認した。
【産業上の利用可能性】
本発明により、反応が速く、副反応が少なく高収率で、酸不安定基を有する化合物を製造する方法等を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシル基を有する化合物を、一般式(I)

(式中、R、RおよびRは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、RとRが隣接する炭素原子と一緒になって脂環式炭化水素環を形成するか、RとRが隣接するO−C−Cと一緒になって置換基を有していてもよい脂環式複素環を形成し、Xは、ハロゲン原子を表す)で表されるハロゲン化アルキルエーテルと反応させることを特徴とする、一般式(II)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基を有する化合物の製造法。
【請求項2】
カルボキシル基を有する化合物を、一般式(I)

(式中、R、R、RおよびXは、それぞれ前記と同義である)で表されるハロゲン化アルキルエーテルと反応させることを特徴とする、一般式(IIa)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基を有する化合物の製造法。
【請求項3】
ポリヒドロキシスチレンのヒドロキシル基が一般式(II)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体。
【請求項4】
フェノールノボラック樹脂のヒドロキシル基が一般式(II)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたフェノールノボラック樹脂誘導体。
【請求項5】
一般式(I)

(式中、R、R、RおよびXは、それぞれ前記と同義である)で表されるハロゲン化アルキルエーテルを含有するヒドロキシル基の保護剤。
【請求項6】
一般式(I)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表されるハロゲン化アルキルエーテルを含有するカルボキシル基の保護剤。
【請求項7】
ポリヒドロキシスチレンのヒドロキシル基が一般式(II)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体と光酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物。
【請求項8】
フェノールノボラック樹脂のヒドロキシル基が一般式(II)

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたフェノールノボラック樹脂誘導体と光酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物。
【請求項9】
ヒドロキシル基を有する化合物を、一般式(IV)

(式中、RおよびXはそれぞれ前記と同義であり、Rは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、nは0または1である)で表されるテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン化合物と反応させることを特徴とする、一般式(V)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基を有する化合物の製造法。
【請求項10】
カルボキシル基を有する化合物を、一般式(IV)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表されるテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン化合物と反応させることを特徴とする、一般式(Va)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基を有する化合物の製造法。
【請求項11】
ポリヒドロキシスチレンのヒドロキシル基が一般式(V)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体。
【請求項12】
フェノールノボラック樹脂のヒドロキシル基が一般式(V)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたフェノールノボラック樹脂誘導体。
【請求項13】
一般式(IV)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表されるテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン化合物を含有するヒドロキシル基の保護剤。
【請求項14】
一般式(IV)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表されるテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン化合物を含有するカルボキシル基の保護剤。
【請求項15】
ポリヒドロキシスチレンのヒドロキシル基が一般式(V)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたポリヒドロキシスチレン誘導体と光酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物。
【請求項16】
フェノールノボラック樹脂のヒドロキシル基が一般式(V)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表される基で置換されたフェノールノボラック樹脂誘導体と光酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物。
【請求項17】
一般式(IV)

(式中、R、Rおよびnは、それぞれ前記と同義である)で表されるテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン化合物。

【国際公開番号】WO2005/023880
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【発行日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513691(P2005−513691)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012918
【国際出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000162607)協和発酵ケミカル株式会社 (60)
【Fターム(参考)】