説明

酸化チタン等の光触媒反応を利用した道路舗装工事

【課題】 アスファルト舗装は表面温度が60℃以上では流動性があるため、自動車のタイヤ荷重により舗装面が変形し、初期轍掘れが発生する。従来の道路舗装冷却装置等による解決手段では十分な効果が得られないため、夏季には舗装工事の中止や、夜間工事への切り替え等がなされている。
【解決手段】 アスファルト舗装工事、特に維持修繕舗装工事では交通渋滞の早期解消のため舗装表面温度を少しでも早く低下させる。及びアスファルトの付着の防止に酸化チタン等の光触媒反応を利用する。更に、自動車から排出される環境負荷物資の分解浄化を同時施行する。タイヤローラ1に酸化チタン溶剤のスプレーコーティング装置3を取り付け、スプレーコーティング箇所をタイヤ表面と、舗装表面とにする。溶剤タンク6から酸化チタン溶剤を加圧ポンプ4により吸引し、スプレーコーティング装置3に送り上述の作業が可能な構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト道路舗装工事に関するものである。アスファルト舗装における問題の一つに、舗装材が転圧機械のタイヤや、鉄輪、プレート等に付着し瘤が生成されその影響により舗装路面を荒らす問題がある。
その問題の解決に転圧機械に散水装置や、散油装置を設けタイヤや、鉄輪、プレート等に噴霧して付着の防止をしているが、舗装技術・舗装材料の進歩により十分な付着防止が困難となっている、更に散油や界面活性剤の添加等による変色や分離等の問題が発生している。本発明はこれらの課題を解決すると同時に自動車から排出される環境負荷物質を浄化する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来の散水による付着防止技術は、通常のタイヤや鉄輪に噴霧しその濡れ性により界面を作り付着を防止していた。本発明はタイヤや鉄輪の濡れ性を酸化チタン(光触媒)と光源によるの親水性を利用し、水の薄膜がタイヤや鉄輪の表面全体に均一に広がり、付着防止機能を向上させるものである。その相乗効果として余分の噴霧水の薄膜蒸発が促進され、その蒸発潜熱によりタイヤや鉄輪の温度低下が得られ舗装面の温度を低下させる効果がある。
又、酸化チタン(光触媒)の超親水性によりタイヤや鉄輪のアスファルト付着性が減少することにより散水量の減少が可能となる(舗装の密着性劣化防止)。
この効果は請求項1・請求項2・請求項3・のいずれの場合でも得られるが、請求項1の酸化チタン溶剤のスプレーコーティング装置を設ければ、タイヤや鉄輪のコーティング処理後、舗装面に酸化チタン溶剤の噴霧がノズル角度の変更により可能となり舗装面に光触媒としてコーティングして、自動車の排気ガスの有害物資を分解する効果が得られ、環境浄化機能をもつ舗装が安価に得られる(維持工事分散型施行方式)。
さらに、夏季の維持舗装で問題とされている交通開放後の初期轍掘れの問題、すなわち、舗装後の路面温度=道路運用開始温度60℃以下を早期に得るために設置されている舗装路面冷却装置(後述)の噴霧水が、酸化チタンの親水性により水の接触角が2〜3度に低下する作用により舗装表面で薄膜化するため、滞留水の厚膜生成による熱の『こもり』が防止され水の蒸発が促進する。その効果により路面の温度低下が促進され工事の経済効果と早期交通開放が得られる。新設舗装工事や維持工事に自動車から排出されるNOxやSOx等有害物資を分解浄化する光触媒を道路にコーティングすればその環境浄化効果は膨大である、また、コーティングされた光触媒は舗装面の微小な窪みに滞留するため、タイヤとの摩擦による剥離が起こらない。夜間の舗装工事においてはタイヤや鉄輪にコーティングされた酸化チタン(光触媒)の反応光源は太陽光で得られないため、発光ダイオード等の光源を設置する必要がある。
【発明の開示】
【発明の効果】
【0003】
この様にすれば、本来のアスファルトの付着防止と、温暖化の進捗による真夏日の長期化がもたらす維持舗装工事規制の緩和や、早期の交通開放効果、更に舗装面に残留する酸化チタンの光触媒効果が自動車の排気ガスの有害物資分解する環境浄化作用が得られる。又、特殊舗装にたいする油分や界面活性剤等の有害有機物の混入が防止出来ヒートアイランド現象を緩和する透水性舗装や、保水性舗装の舗装材の選択範囲が拡大する。上述の自動車から排出されるNOxやSOx更に粒状黒煙等の有害物資の排出問題は重大である、その問題解決に安価で効果的な方法が本発明による『道路舗装施行時に、既存の機械で同時施行する工事方法』である。尚、専用の散布機でタイヤや舗装面にコーティングする方法も考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本発明は、機能付加型の道路舗装工事方法である、酸化チタン(光触媒)の親水性や超親水性を舗装工事に利用し従来の問題の解決をすると同時に、道路に自動車から排出される環境負荷物資の分解浄化機能を付加する技術である。
請求項1についてタイヤローラで形態の説明をすれば、タイヤローラ1に既存のタイヤ散水装置2以外に舗装面に近い位置にスプレーコーティング装置3を設ける。
スプレーコーティング装置に水、若しくは溶剤を供給する加圧ポンプ4を新規にもうける(若しくは既存の散水ポンプの流用)。
スプレーコーティン装置にノズル角度の変更装置5を設ける。
新規の溶剤タンク6を設ける(既存のタンク8を溶剤タンクとして利用する場合もある)。既存タンク8および新規の溶剤タンク6より加圧ポンプ4に至る配管と切り替えバルブ7を設ける。
以上のように装置し、次に、使用方法の説明をすると、舗装工事開始前に溶剤タンク6の溶剤を加圧ポンプ4にて、タイヤ全面にスプレーコーティング装置3から酸化チタン溶剤を噴霧させコーティングし乾燥させる、つぎ舗装工事にはいりタイヤへの付着防止のため、既存のタイヤ散水装置2よりタイヤに散水し舗装工事を進める。
舗装終了後、スプレーコーティング装置3より、溶剤タンク6より酸化チタン溶剤を舗装面に噴霧させ光触媒として固定乾燥させる。つぎに既存のタンク8の水を配管と切り替えバルブ7を切り替え、加圧のポンプより水の微細粒子をスプレーコーティング装置3により舗装面に散布し、水の気化熱で舗装温度の低下を低下させる舗装冷却装置として利用する、散布された冷却水は舗装面で薄膜蒸発し温度の低下が促進される。更に舗装完了後、酸化チタン溶剤は舗装表面に固定され、道路運用後自動車から排出されるSOxやNOxや粒状黒煙等の環境負荷物資を分解浄化させる光触媒機能がもたらされる。請求項2及び、請求項3は舗装接触面に酸化チタン等の光触媒機能材を付加された素材を使用する方法である、その場合も酸化チタン溶剤のスプレーコーティング装置を設置すれば舗装後に上述の光触媒効果を得る事が出来る。
スプレーコーティング装置3、及び、加圧ポンプ4は上述の場合、舗装冷却装置の水の噴霧と、酸化チタン溶剤の散布の両方の役割を持たせているが、別々の噴霧・散布装置を設置しても同等の効果が得られる。既存タンクを溶剤タンクとして利用する場合は噴霧量が多くなるために、酸化チタン溶剤を希釈して使用する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】 タイヤローラ後部の装着斜視図。
【符号の説明】
【0006】
1 タイヤローラ後部斜視図
2 既設のタイヤ散水装置
3 スプレーコーティング装置
4 加圧ポンプ
5 ノズル角度変更装置
6 溶剤タンク
7 切り替えバルブ
8 既存タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路舗装転圧機械の舗装接触部(タイヤ・鉄輪・鉄板)に酸化チタン(光触媒)を担持した溶剤のコーティング、及び酸化チタン(光触媒)溶剤のスプレーコーティング装置を設けた、舗装工事及び、道路舗装機械。
【請求項2】
酸化チタン(光触媒)を担持したシリカ、アルミナ、ゼオライト等を混入したタイヤ。
【請求項3】
表面に酸化チタン(光触媒)被覆層をもつ、鉄及びステンレス、チタン材を基材とした転圧ローラ、及び加圧プレート。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−92497(P2007−92497A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311907(P2005−311907)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(500162303)
【Fターム(参考)】