説明

酸化チタン/ポリマー複合体及びその製造方法

【課題】 金属や有機物質等の機能性物質を取り込むことができるポリマーと酸化チタンとが、ナノメートルオーダーの層状構造を持って複合化した、酸化チタン/ポリマー複合体及び該複合体の簡便で短時間で製造可能な方法を提供すること。
【解決手段】 直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)と酸化チタン(B)とがナノ層状構造を有することを特徴とする酸化チタン/ポリマー複合体、及び直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーを水性溶剤中で結晶性会合体に成長させる工程と、前記結晶性会合体と水溶性チタン化合物とを接触させて、酸化チタンの生成とポリマーとの複合化を行う工程とを有する該複合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒や燃料電池触媒として有用な酸化チタンと直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーとからなる酸化チタン/ポリマー複合体及びその製法に関するものであり、より詳しくは、ナノファイバー状ネットワーク又は球状粒子のネットワークであることを特徴とする酸化チタン/ポリマー複合体、及び50℃以下の穏和な条件で該構造を持つ複合体を得ることが出来る、その製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先端材料において、酸化チタンは従来の白色顔料、高屈折率材料と異なる応用物性を示すことで、ますます注目を集めている(例えば、非特許文献1参照。)。例えば、光触媒又は色素増感触媒機能では、酸化チタンは群を抜いた触媒材料であり、次世代型光触媒デバイス、太陽電池への応用分野での期待が大きい。また、エネルギー問題で大きな注目を集める燃料電池でも、酸化チタンに白金ナノ粒子を埋め込んだ電極層研究開発が脚光を浴びている。燃料電池の実用化には、水素製造が要求されるが、その水素製造用触媒でも、酸化チタン・白金のコンポジットが有力な候補となっている。
【0003】
酸化チタンのこれらの応用では、酸化チタン単独での機能発揮は不可能であり、他の材料との複合化が必要とされ、又、酸化チタンのナノ次元での形状体制御も応用展開の前提条件である。例えば、光触媒として用いるには、酸化チタンそのものの紫外線吸収を可視光吸収へ変換させることが要求される。従って、多くの研究では、酸化チタン中に不純物ともいわれるほどの窒素ドーピング、有機成分のドーピング、金属ナノ粒子のドーピング等が検討されている。酸化チタン中にこれらのドーピングを行うには、従来、煩雑なプロセスが必要であり、酸化チタン製造段階で、様々なドーピングが容易に行われるような酸化チタンの構造を設計することは重要な課題である。また、燃料電池、太陽電池での酸化チタン応用では、酸化チタンがナノドメインを持つネットワークであることが要求されており、多くの例では、酸化チタンナノ粒子を焼成することで、粒子の融合によるネットワークを構成させる方法がとられている。酸化チタン製造段階で、得られる酸化チタンをファイバー状ネットワークまたは球状粒子のネットワークに仕上げることは酸化チタンの応用での鍵でもある。
【0004】
一方、酸化チタンのナノファイバー、ナノチューブ又はナノ粒子に関する技術は多く知られている(例えば、非特許文献2〜4参照。)。しかしながら、それらに金属又は有機物質を簡単に取り入れることができる機能を有するポリマーが含まれた酸化チタン/ポリマー複合体は知られてない。即ち、機能性物質、例えば、金属、色素などを自発的に取り込む機能を有する酸化チタンを開発することは、酸化チタンの産業利用には欠かせない解決すべき課題である。
【0005】
【非特許文献1】A.L.Linsebiger et al.、Chem.Rev.1995年、第95巻、735頁
【非特許文献2】S.Kobayashi et al.、Chem.Mater.2000年、第12巻、1523頁
【非特許文献3】Adachi et al,Langmuir、1999年、15巻、7097頁
【非特許文献4】D.Pan et al.、Adv.Mater.2005年、第17巻、1991頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、金属や有機物質等の機能性物質を取り込むことができるポリマーと酸化チタンとが、ナノメートルオーダーの層状構造を持って複合化した、酸化チタン/ポリマー複合体及び該複合体の簡便で短時間で製造可能な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーと酸化チタンとがナノ層状構造を有する複合体を形成しうること、又、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーを水性溶剤中で結晶性会合体に成長させてから、前記結晶性会合体と水溶性チタン化合物とを接触させることにより、酸化チタン/ポリマー複合体を温和な条件下で製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)と酸化チタン(B)とがナノ層状構造を有することを特徴とする酸化チタン/ポリマー複合体を提供するものである。
【0009】
更に、本発明は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)と酸化チタン(B)とがナノ層状構造を有する複合体の製造方法であって、
(i)直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)を水性溶剤中で結晶性会合体に成長させる工程と、
(ii)前記結晶性会合体と水溶性チタン化合物(C)とを接触させて、酸化チタン(B)の生成とポリマー(A)との複合化を行う工程、
とを有することを特徴とする酸化チタン/ポリマー複合体の製造方法をも提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の直鎖状ポリエチレンイミン骨格をもつポリマーと酸化チタンとの複合体は、数ナノメートルの層間距離を該複合構造中に有し、かつ形状においては、ファイバー又は球状粒子を基本ユニットとする三次元網目構造を形成する。このような複合体中、酸化チタンはアナターゼ型ナノ結晶ドメインを形成し、ポリマーはそれら酸化チタンナノドメイン同士にサンドイッチされた状態で存在する。このような構造・形態は直鎖状ポリエチレンイミン骨格を持つポリマーの結晶性会合体を介することで容易に制御できる。
【0011】
また、本発明の直鎖状ポリエチレンイミン骨格をもつポリマーと酸化チタンとの複合体の形成において、そのポリマー中に機能性物質、例えば、蛍光性物質などを含有させることが可能であり、含有させた該機能性物質に由来する機能を複合体に発現させることもできる。
【0012】
また、本発明の直鎖状ポリエチレンイミン骨格をもつポリマーと酸化チタンとの複合体において、そのポリマー中に金属イオンを含有させることも可能であり、有機金属錯体が複合された複合体として機能することができる。
【0013】
更にまた、本発明の複合体には、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーを含有することから、金属錯体形成用錯化剤、貴金属還元用の還元剤、有機酸性物質とのイオンコンプレックス形成などの機能を有するため、産業上の利用分野が広く、バイオ分野やナノ材料など先端材料開発、例えば、導電性材料、金属ナノファイバー、酸化金属ナノファイバー、生物高分子のキャリアー、防菌剤、殺菌剤、抗ウイルス、化粧品など多くの領域にも利用が可能である。
【0014】
更に、本発明の複合体中のポリマーは、ポリエチレンイミンとしての固有機能を発揮することができるため、該複合体中には、金属ナノ粒子、金属錯体、有機酸性色素などを容易に導入することが可能となる。即ち、本発明の酸化チタン/ポリマー複合体は、光触媒、光増感型太陽電池部材、水素発生触媒、水素ソース系燃料電池部材として用いることが可能となる。
【0015】
又、本発明の酸化チタン/ポリマー複合体は、その形状を維持したまま、含まれるポリマーを焼結により簡単に除去できる。従って、ファイバー又は球状粒子のネットワーク形状を持った、純粋な酸化チタンアナターゼ、又はルチル結晶に変換することができるので、触媒、電子材料、ナノフィルターなどの用途にも応用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の複合体は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)と酸化チタン(A)とが一定のナノメートールオーダーの層間距離を持ちながら複合されたものであり、好ましくはそれがファイバー状又は球状粒子の形状を基にネットワーク構造を有するものである。
【0017】
生体系での無機酸化物の多くは、生体ポリマー、例えば、塩基性ポリペプチト、タンパク質、又はポリアミンの組織体(会合体)をテンプレートとし、それらの生体ポリマーが含まれた形で複雑かつ精密パターンを形成する。本発明は、生物のこの様なプロセスを模倣し、機能性ポリマー会合体をテンプレートとして用い、その存在下で酸化チタン生成を行うことで、酸化チタン/ポリマーの複合体が得られるという知見に基づくものである。
【0018】
本発明では、前記機能性ポリマー会合体として、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を持つポリマー(A)を用いたものであり、該ポリマー(A)が水性溶剤中で容易に結晶性会合体を形成することを応用して、該結晶性会合体を介した酸化チタン生成を行ったものである。この様にして得られる酸化チタン(B)はポリマー(A)と複合化され、かつ、一定の形状を伴っており、その形状としては、ファイバーを特徴とするネットワーク、又は球状粒子を特徴とするネットワークなどが挙げられるが、これらはポリマー(A)の結晶性会合体形成の条件を変えることで、容易に制御することが可能である。
【0019】
[直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)]
本発明でいう直鎖状ポリエチレンイミン骨格とは、二級アミンのエチレンイミン単位を主たる構造単位とするポリマー骨格をいう。該骨格中においては、エチレンイミン単位以外の構造単位が存在していてもよいが、水性溶剤中で効率的に結晶性会合体を形成させるためには、ポリマー鎖の一定鎖長が連続的なエチレンイミン単位であることが好ましい。該直鎖状ポリエチレンイミン骨格の長さは、該骨格を有するポリマー(A)が結晶性会合体を形成できる範囲であれば特に制限されないが、好適に結晶性会合体を形成することが出来る点から、該骨格部分のエチレンイミン単位の繰り返し単位数が10〜10,000の範囲であることが好ましく、特に20〜8,000の範囲であることが好ましい。
【0020】
本発明において使用する直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)は、その構造中に直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するものであり、水性溶剤中で結晶性会合体を与えることができるものであればよく、その形状が線状、星状又は櫛状であっても良い。
【0021】
また、これら線状、星状または櫛状のポリマーは、直鎖状ポリエチレンイミン骨格のみからなるものであっても、直鎖状ポリエチレンイミン骨格からなるブロック〔以下、ポリエチレンイミンブロック(a1)と略記する。〕と他のポリマーブロック(a2)とのブロックコポリマーからなるものであってもよい。他のポリマーブロック(a2)としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピオニルエチレンイミン、ポリアクリルアミドなどの水溶性のポリマーブロック、あるいは、ポリスチレン、ポリオキサゾリン類のポリフェニルオキサゾリン、ポリオクチルオキサゾリン、ポリドデシルオキサゾリン、ポリアクリレート類のポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなどの疎水性のポリマーブロックを挙げることができる。これらの他のポリマーブロック(a2)とのブロックコポリマーとすることで、ポリマー(A)の結晶性会合体の形状や特性を調整することが可能となる。
【0022】
直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)が、ブロックコポリマーである場合の該ポリマー(A)中におけるポリエチレンイミンブロック(a1)の割合としては、結晶性会合体を形成できる範囲であれば特に制限されないが、好適に該結晶性会合体を形成できる点から、ポリマー(A)中のポリエチレンイミンブロック(a1)の割合は通常25〜100モル%であり、40モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることが特に好ましい。
【0023】
直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、工業的製法に優れる点からは、その前駆体となるポリオキサゾリン類からなる直鎖状の骨格を有するポリマー(以下、前駆体ポリマーと略記する。)を、酸性条件下またはアルカリ条件下で加水分解する方法を用いることが好ましい。即ち、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の線状、星状、または櫛状などの形状は、この前駆体ポリマーの形状を制御することで容易に設計することができる。また、ポリマー(A)の重合度や末端構造も、前駆体ポリマーの重合度や末端機能団を制御することで容易に調整できる。さらに、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)がブロックコポリマーである場合には、前駆体ポリマーをブロックコポリマーとし、該前駆体ポリマー中のポリオキサゾリン類からなる直鎖状の骨格を選択的に加水分解することで得ることができる。
【0024】
前駆体ポリマーは、オキサゾリン類のモノマーを使用して、カチオン型の重合法、あるいは、マクロモノマー法などの合成方法により合成が可能であり、合成方法や重合開始剤を適宜選択することにより、線状、星状、あるいは櫛状などの各種形状の前駆体ポリマーが得られる。
【0025】
オキサゾリン類のモノマーとしては、例えば、メチルオキサゾリン、エチルオキサゾリン、メチルビニルオキサゾリン、フェニルオキサゾリンなどを挙げることができる。
【0026】
重合開始剤としては、分子中に塩化アルキル基、臭化アルキル基、ヨウ化アルキル基、トルエンスルホニルオキシ基、あるいはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基などの官能基を有する化合物を使用できる。これら重合開始剤は、多くのアルコール類化合物の水酸基を他の官能基に変換させることで得られる。なかでも、官能基変換として、臭素化、ヨウ素化、トルエンスルホン酸化、およびトリフルオロメチルスルホン酸化されたものは重合開始効率が高いため好ましく、特に臭化アルキル、トルエンスルホン酸アルキルに変換させたものが好ましい。
【0027】
また、ポリ(エチレングリコール)の末端水酸基を臭素あるいはヨウ素に変換したもの、またはトルエンスルホニル基に変換したものを重合開始剤として使用することもできる。その場合、ポリ(エチレングリコール)の重合度は5〜100の範囲であることが好ましく、10〜50の範囲であることが特に好ましい。
【0028】
また、カチオン開環リビング重合開始能を有する官能基を有し、かつ光による発光機能、エネルギー移動機能、電子移動機能を有するポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、またはピレン骨格等を有する色素類を用いた場合には、得られるポリマーや複合体に、開始剤として用いた化合物由来の特殊な機能を付与することができる。
【0029】
線状の前駆体ポリマーは、上記オキサゾリン類のモノマーを1価又は2価の官能基を有する重合開始剤により重合することで得られる。このような重合開始剤としては、例えば、塩化メチルベンゼン、臭化メチルベンゼン、ヨウ化メチルベンゼン、トルエンスルホン酸メチルベンゼン、トリフルオロメチルスルホン酸メチルベンゼン、臭化メタン、ヨウ化メタン、トルエンスルホン酸メタンまたはトルエンスルホン酸無水物、トリフルオロメチルスルホン酸無水物、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリ(フェニル)ポルフィリン、またはブロモメチルピレンなどの1価のもの、ジブロモメチルベンゼン、ジヨウ化メチルベンゼン、ジブロモメチルビフェニレン、またはジブロモメチルアゾベンゼンなどの2価のものが挙げられる。また、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、または、ポリ(メチルビニルオキサゾリン)などの工業的に使用されている線状のポリオキサゾリンを、そのまま前駆体ポリマーとして使用することもできる。
【0030】
星状の前駆体ポリマーは、上記したようなオキサゾリン類のモノマーを3価以上の官能基を有する重合開始剤により重合することで得られる。3価以上の重合開始剤としては、例えば、トリブロモメチルベンゼン、などの3価のもの、テトラブロモメチルベンゼン、テトラ(4−クロロメチルフェニル)ポルフィリン、テトラブロモエトキシフタロシアニンなどの4価のもの、ヘキサブロモメチルベンゼン、テトラ(3,5−ジトシリルエチルオキシフェニル)ポルフィリンなどの5価以上のものが挙げられる。
【0031】
櫛状の前駆体ポリマーを得るためには、多価の重合開始基を有する線状のポリマーを用いて、該重合開始基からオキサゾリン類のモノマーを重合させることができるが、例えば、通常のエポキシ樹脂やポリビニルアルコールなどの側鎖に水酸基を有するポリマーの水酸基を、臭素やヨウ素等でハロゲン化するか、あるいはトルエンスルホニル基に変換させた後、該変換部分を重合開始基として用いることでも得ることができる。
【0032】
また、櫛状の前駆体ポリマーを得る方法として、ポリアミン型重合停止剤を用いることもできる。例えば、一価の重合開始剤を用い、オキサゾリンを重合させ、そのポリオキサゾリンの末端をポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリプロピルアミンなどのポリアミンのアミノ基に結合させることで、櫛状のポリオキサゾリンを得ることができる。
【0033】
上記により得られる前駆体ポリマーのポリオキサゾリン類からなる直鎖状の骨格の加水分解は、酸性条件下またはアルカリ条件下のいずれの条件下でもよい。
【0034】
酸性条件下での加水分解反応としては、例えば、塩酸水溶液中で前駆体ポリマーを加熱下で攪拌する方法が挙げられ、ポリエチレンイミン鎖を有するポリマーの塩酸塩を得ることができる。得られた塩酸塩を過剰のアンモニウム水で処理することで、塩基性のポリエチレンイミン鎖を有するポリマーの結晶粉末を得ることができる。用いる塩酸水溶液は、濃塩酸でも、1mol/L程度の水溶液でもよいが、加水分解を効率的に行うには、5mol/Lの塩酸水溶液を用いることが望ましい。また、反応温度は70〜90℃であることが好ましい。
【0035】
アルカリ条件下での加水分解反応としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を用いる方法が挙げられ、ポリオキサゾリン鎖をポリエチレンイミン鎖に変換させることができる。アルカリ条件下で反応させた後、反応液を透析膜にて洗浄することで、過剰な水酸化ナトリウムを除去し、ポリエチレンイミン鎖を有するポリマーの結晶粉末を得ることができる。用いる水酸化ナトリウムの濃度は1〜10mol/Lの範囲であればよく、より効率的な反応を行うには3〜5mol/Lの範囲であることが好ましい。また、反応温度は70〜90℃であることが好ましい。
【0036】
酸性条件下またはアルカリ条件下での加水分解における、酸またはアルカリの使用量としては、前駆体ポリマー中のオキサゾリン単位に対して、通常1〜10当量であり、反応効率の向上と後処理の簡便化のためには、2〜4当量とすることが好ましい。
【0037】
上記加水分解により、前駆体ポリマー中のポリオキサゾリン類からなる直鎖状の骨格が、直鎖状ポリエチレンイミン骨格となり、該ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)が得られる。
【0038】
また、ポリエチレンイミンブロック(a1)と他のポリマーブロック(a2)とのブロックコポリマーを形成する場合には、前駆体ポリマーをポリオキサゾリン類からなる直鎖状のポリマーブロックと、他のポリマーブロック(a2)とからなるブロックコポリマーとし、該前駆体ポリマー中のポリオキサゾリン類からなる直鎖状のポリマーブロックを選択的に加水分解する方法が挙げられる。
【0039】
他のポリマーブロック(a2)が、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)などの水溶性ポリマーブロックである場合には、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)が、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)やポリ(N−アセチルエチレンイミン)に比べて、有機溶剤への溶解性が高いことを利用してブロックコポリマーを形成することができる。即ち、2−オキサゾリンまたは2−メチル−2−オキサゾリンを、前記した重合開始剤の存在下でカチオン開環リビング重合した後、得られたリビングポリマーに、さらに2−エチル−2−オキサゾリンを重合させることによって、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックと、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックとからなる前駆体ポリマーを得ることが出来る。該前駆体ポリマーを水に溶解させ、該水溶液にポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックを溶解する水とは非相溶の有機溶剤を混合して攪拌することによりエマルジョンを形成する。この後、該エマルジョンの水相に、酸またはアルカリを添加することによりポリ(N−ホルミルエチレンイミン)ブロックまたはポリ(N−アセチルエチレンイミン)ブロックを優先的に加水分解させることにより、ポリエチレンイミンブロック(a1)と、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)ブロックとを有するブロックコポリマーを形成することが出来る。
【0040】
ここで使用する重合開始剤の価数が1および2の場合には、直鎖状のブロックコポリマーとなり、それ以上の価数であれば星型のブロックコポリマーが得られる。また、前駆体ポリマーを多段のブロックコポリマーとすることで、得られるポリマーも多段のブロック構造とすることも可能である。
【0041】
[ポリマー結晶性会合体]
上記直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)は、一次構造中の直鎖状ポリエチレンイミン骨格が、水、又は水と水溶性溶剤の混合溶液(即ち、水性溶剤)中で結晶性を発現してポリマーの結晶を形成する。該ポリマー(A)の結晶は、水の存在下でのポリマー結晶成長に伴う形態が発現され、それが会合体を形成する。またその会合体を架橋剤で架橋することにより化学的な架橋結合を有する架橋化会合体を形成することもできる。
【0042】
従来広く使用されてきたポリエチレンイミンは、環状エチレンイミンの開環重合により得られる分岐状ポリマーであり、その一次構造には一級アミン、二級アミン、三級アミンが存在する。従って、分岐状ポリエチレンイミンは水溶性であるが、結晶性は持たないため、分岐状ポリエチレンイミンを用いて結晶性会合体を作ることはできない。しかしながら本発明に使用するポリマー(A)は骨格として直鎖状ポリエチレンイミンを有するものであり、該直鎖状ポリエチレンイミンは、二級アミンだけで構成されており、加熱状態では水溶性であるが、融点以下の温度範囲では優れた結晶性を有する。
【0043】
このような、直鎖状ポリエチレンイミンの結晶は、そのポリマーのエチレンイミン単位に含まれる結晶水数により、ポリマー結晶構造が大きく異なることが知られている(Y.Chatani et al.、Macromolecules、1981年、第14巻、p.315−321参照)。無水のポリエチレンイミンは二重螺旋構造を特徴とする結晶構造を優先するが、モノマー単位に2分子の水が含まれると、ポリマーはzigzag構造を特徴とする結晶体に成長することが知られている。実際、水中から得られる直鎖状ポリエチレンイミンの結晶は一つのモノマー単位に2分子水を含む結晶であり、その結晶は50℃以下の温度では水中不溶である。
【0044】
本発明における直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の結晶は、上記の場合と同様に直鎖状ポリエチレンイミン骨格の結晶発現により形成されるものであり、ポリマー形状が線状、星状、または櫛状などの形状であっても、一次構造に直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するものであれば、該ポリマー(A)の結晶を得ることが出来る。
【0045】
ポリマー結晶の存在はX線散乱により確認でき、即ち、広角X線回折計(WAXS)における2θ角度値で20°、27°、28°近傍の結晶性会合体中の直鎖状ポリエチレンイミン骨格に由来するピーク値により確認することができる。
【0046】
また、本発明におけるポリマー結晶の示差走査熱量計(DSC)における融点は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の一次構造にも依存するが、概ね55〜90℃でピークが現れる。
【0047】
本発明における結晶性会合体は、その結晶を構成するポリマー構造の幾何学的な形状や、分子量、一次構造中に導入できる非エチレンイミン部分、さらにはポリマー結晶の形成条件などの影響により各種形状を取り得ることができ、例えばファイバー状、ブラシ状、星状などの形状を有する。
【0048】
上記ポリマーの結晶性会合体は、5〜30nm程度のナノメートルオーダーのファイバー状ポリマー結晶(以下、該結晶をファイバー状ナノ結晶と略記する。)を基礎とするものであり、該ファイバー状ナノ結晶表面に存在するフリーなエチレンイミン鎖により、ファイバー状ナノ結晶同士が水素結合による物理的な結合で繋がれて空間に配置され、上記したような三次元形状に成長する。これらポリマー結晶間が、さらに物理的に結合して架橋構造を形成し、該ポリマー結晶の三次元網目構造を作り上げる。これらは水の存在下で生じるため、結果的には該三次元網目構造中に水を包含したクリーム状態となる。
【0049】
ここでいう三次元網目構造とは、マイクロ、またはナノスケールの結晶同士が、その結晶表面に存在するフリーなエチレンイミン鎖の水素結合により、物理的に架橋化された網目構造を言う。従って、その結晶の融点以上の温度では、結晶が水中溶解されてしまい、三次元網目構造も解体される。ところが、それが室温に戻ると、ポリマー結晶が成長し、その結晶間では水素結合による物理的な架橋が形成するため、再び、三次元網目構造が現れる。
【0050】
前記ポリマー(A)の結晶性会合体は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)が室温の水に不溶である性質を利用し、該直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の水中での溶解−結晶変換により得ることができる。
【0051】
また、結晶性会合体は、まず直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)を一定量水中に分散し、該分散液を加熱することにより、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の透明な水溶液を得た後、加熱状態のポリマー(A)の水溶液を室温に冷やすことにより得られる。該会合体は、剪断力等の外力により変形を生じるが、概ねの形状を保持できるアイスクリームのような状態を有し、多様な形状に変形させることが可能である。
【0052】
上記ポリマー分散液の加熱温度は100℃以下が好ましく、90〜95℃の範囲であることがより好ましい。また、ポリマー分散液中のポリマー含有量は、会合体が得られる範囲であれば特に限定されないが、0.01〜20質量%の範囲であることが好ましく、安定形状の結晶体からなるクリーム状態を得るためには0.1〜10質量%の範囲がさらに好ましい。このように、本発明においては、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)を使用すると、ごく少量のポリマー濃度でもクリーム状会合体を形成することができる。
【0053】
上記ポリマー分散液の温度を室温まで低下させる過程により、得られる会合体中の結晶形状を調整することができる。例えば、ポリマー分散液を80℃に1時間保持した後、1時間かけて60℃にし、該温度でさらに1時間保持する。その後1時間かけて40℃まで低下させた後、自然に室温まで下げることで、分散液の水が流動性をなくした状態の結晶性会合体を得ることができる。また、上記ポリマー分散液を一気に氷点の氷り水、または氷点下のメタノール/ドライアイス、あるいはアセトン/ドライアイスの冷媒液にて冷却させた後、その状態のものを室温の水槽にて保持させることで結晶性会合体を得ることができる。さらには、上記のポリマー分散液を室温の水槽または室温空気環境にて、室温まで温度を低下させることで、結晶性会合体を得ることができる。
【0054】
上記ポリマー分散液の温度を低下させる工程は、得られる会合体中のポリマー結晶の形状に強く影響を与えるため、上記異なる工程により得られる会合体中のポリマーの結晶形態は同一ではない。
【0055】
一般に、ポリエチレンイミンポリマーは金属イオンに強い配位能力を有するため、上記のポリマー分散液に金属イオンを加えることで、金属イオンとポリマー間の配位結合が生じ、それによってポリマー結晶の成長を抑制する事も可能である。
【0056】
金属イオンとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属のなど全ての金属を用いることができる。金属イオン価数としては、1価から4価までの金属塩類であってもよく、また、それらが錯化イオン状態でも好ましく用いることができる。
【0057】
用いる金属イオンの量としては、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)中のエチレンイミン単位のモル数に対し、1/20〜1/200当量の量であることが好ましい。
【0058】
金属イオンが存在する場合、ポリマー分散液から結晶化させる過程では、結晶成長を完成させるため、5〜24時間経過させることが好ましく。これにより、安定した結晶性会合体を得ることができる。
【0059】
上記により得られる会合体は、ポリマー結晶体同士の水素結合により物理的に架橋化され不透明なクリーム状態である。一旦形成したポリマー結晶は室温中では不溶状態を保つが、加熱するとポリマー結晶が解離し、会合体はゾル状態に変化してしまう。従って、本発明のクリーム状態の会合体は、熱処理を行うことでゾルからゲル、またゲルからゾルへと可逆的な変化が可能である。
【0060】
本発明でいう会合体は三次元網目構造中に少なくとも水を含有するが、該会合体の調製時に、水溶性の有機溶剤を加えることで、該溶剤を含有した会合体とすることも可能である。用いることができる水溶性の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォンオキシド、ジオキシラン、ピロリドンなどを挙げることができる。
【0061】
水溶性の有機溶剤の含有量としては、水の体積に対し、0.1〜5倍の範囲であることが好ましく、1〜3倍の範囲であればより好ましい。
【0062】
上記水溶性の有機溶剤を含有させることにより、ポリマー結晶の形態を変えることができ、単純な水系と異なる形態の結晶を与えることができる。例えば、水中ではファイバー状の広がりを有する分岐結晶形態であっても、その調製に一定量のエタノールが含まれた場合、ファイバーが収縮したような球状結晶形態を得ることができる。
【0063】
会合体調製時に、他の水溶性ポリマーを加えることで、水溶性ポリマーを含有する会合体とすることも可能である。該水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリンなどを挙げることができる。
【0064】
水溶性ポリマーの含有量としては、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の質量に対し、0.1〜5倍の範囲であることが好ましく、0.5〜2倍の範囲であればより好ましい。
【0065】
上記水溶性ポリマーを含有させることによっても、ポリマー結晶の形態を変えることができ、単純な水系と異なる形態の結晶を与えることができる。また、会合体の粘性を増大させ、会合体の安定性を向上させることに有効である。
【0066】
上記方法で得られた会合体を、ポリエチレンイミンのアミノ基と反応する2官能基以上を含む化合物で処理することで、会合体中のポリマー結晶表面同士を化学結合でリンクさせた架橋化会合体を得ることができる。
【0067】
前記アミノ基と室温状態で反応できる2官能基以上を含む化合物としては、アルデヒド類架橋剤、エポキシ類架橋剤、酸クロリド類、酸無水物、エステル類架橋剤を用いることができる。アルデヒド類架橋剤としては、例えば、マロニルアルデヒド、スクシニルアルデヒド、グルタリルアルデヒド、アジホイルアルデヒド、フタロイルアルデヒド、イソフタロイルアルデヒド、テレフタロイルアルデヒドなどがあげられる。また、エポキシ類架橋剤としては、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリシジルクロライド、グリシジルブロマイドなどが挙げられる。酸クロリド類としては、例えば、マロニル酸クロリド、スクシニル酸クロリド、グルタリル酸クロリド、アジホイル酸クロリド、フタロイル酸クロリド、イソフタロイル酸クロリド、テレフタロイル酸クロリドなどが挙げられる。また、酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、スクシニル酸無水物、グルタリル酸無水物などが挙げられる。また、エステル類架橋剤としては、マロニル酸メチルエステル、スクシニル酸メチルエステル、グルタリル酸メチルエステル、フタロイル酸メチルエステル、ポリエチレングリコールカルボン酸メチルエステルなどが挙げられる。
【0068】
架橋反応は、得られた会合体を架橋剤の溶液に浸す方法でも、架橋剤溶液を会合体中に加える方法でも可能である。この際、架橋剤は系内での浸透圧変化と共に、会合体内部へ浸透し、そこで結晶体同士を水素結合で繋いでエチレンイミンの窒素原子との化学反応を引き起こす。
【0069】
架橋反応は、ポリエチレンイミン結晶体表面のフリーなエチレンイミンとの反応により進行するが、その反応を結晶内部では起こらないようにするためには、会合体を形成する結晶体の融点以下の温度で反応を行うことが望ましく、さらには架橋反応を室温で行うことが最も望ましい。
【0070】
架橋反応を室温で進行させる場合には、会合体を架橋剤溶液と混合した状態で放置しておく方法が好ましい。架橋反応させる時間は、数分から数日でよく、概ね一晩放置することで好適に架橋が進行する。
【0071】
架橋剤量は会合体形成に用いる直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)中のエチレンイミン単位のモル数に対し、0.05〜20モル%である事が好ましく、1〜10モル%であることが特に好ましい。
【0072】
前述の会合体は、結晶性ポリマーで構成されるため多様なモルフォロジーの会合体構造を発現できる。また少量のポリマー結晶であっても水中で好適に三次元網目構造を形成するため高い水保持性を有する。さらに、使用する直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)は構造設計や合成が容易であり、かつ会合体の調整が簡便である。また、該会合体中のポリマー結晶間を架橋剤により架橋することにより、会合体の形状を固定化することも出来る。
【0073】
[複合体]
本発明の複合体は、前述のポリマー(A)の水性溶剤中での結晶性会合体に、予め一定のpH値の溶液に調製したチタンソースを加え、室温〜50℃の温度下で加水分解的な縮合反応を行うことにより容易に得ることができる。
【0074】
チタンソースとして用いる化合物としては、水中で安定な水溶性チタン化合物(C)を好ましく用いることができる。
【0075】
水溶性チタン化合物(C)として、例えば、チタニウムビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド水溶液、チタニウムビス(ラクテート)の水溶液、チタニウムビス(ラクテート)のプロパノール/水混合液、チタニウム(エチルアセトアセテート)ジイソプロポオキシドなどを挙げられる。
【0076】
上記水溶性チタン化合物(C)を用いる際、チタン以外のアルコキシシラン類を混合して、反応を行うこともできる。アルコキシシラン類として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどが挙げられる。
【0077】
また、アルキルトリアルコキシシラン類を混合して、反応を行う事もできる。アルキルトリアルコキシシラン類として、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシラン、エチルトリメトキシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシラン、n−プロピルトリエトキシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシトキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシトキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシラン、3−メルカプトプロピルトメトキシシラン、3−メルカプトトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、p−クロロメチルフェニルトリメトキシラン、p−クロロメチルフェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシアンなどが挙げられる。
【0078】
上記シラン化合物の使用量としては、水溶性チタン化合物(C)の1/2〜1/10当量であることが好ましい。
【0079】
複合体を与える上記加水分解的縮合反応は、水、あるいは水と前記水溶性有機溶剤の混合溶剤などの水性溶剤中、ポリエチレンイミンの存在により促進されるが、ポリエチレンイミンが水中不溶であるため、反応は水性溶剤相では起こらず、ポリマーの結晶性会合体の表面のみで進行する。従って、複合化反応条件ではポリマーの結晶が溶解することがなければ、反応条件は任意である。
【0080】
ポリマーの結晶を不溶とするためには、反応の際、水溶性有機溶剤を含む水性溶剤中、水の存在が20%以上(体積比)とすることが好ましく、それが40%以上(体積比)であればさらに好ましい。
【0081】
上記加水分解的縮合反応においては、ポリエチレンイミンのモノマー単位であるエチレンイミン単位に対し、チタンソースである水溶性チタン化合物(C)の量を過剰とすれば好適に複合体を形成できる。過剰の度合いとしては、エチレンイミン単位に対して2〜1000倍当量、特に4〜1000倍当量の範囲であることが好ましい。
【0082】
また、ポリマー結晶を形成する際の水性溶剤中のポリマー濃度としては、そのポリマー中に含まれるポリエチレンイミンの量を基準に、0.1〜30質量%にすることが好ましい。
【0083】
加水分解的縮合反応の時間は1分から数時間まで様々であるが、反応効率を上げることから、反応時間を30分〜5時間に設定すればさらに好適である。
【0084】
本発明の複合体は多様な形状を有することが大きな特徴であるが、その形状はポリマー結晶の初期形状とも関連する。従って、水性溶剤中でポリマー結晶を成長させ、ポリマー結晶の形状及び結晶性会合体の形状を調整することにより、得られる複合体の形状を制御することができる。水性溶剤中でのポリマー結晶およびポリマー結晶由来の結晶性会合体の調製は上記した通りである。
【0085】
得られる複合体の形状は、不織布のようなファイバー状のネットワーク、スポンジのようなファイバー状のネットワーク、または微粒子堆積等の球状粒子によるネットワークなど様々な形状に調整できる。これら複合体の大きさは3μm〜1mm程度のマイクロメートルオーダーの大きさとすることができるが、この大きさの形状は、基本ユニットと見られる10〜1000nmの太さのファイバー状の複合体の会合と空間配置から形成された三次元形状である。この基本ユニットとなるファイバー状の複合体には1〜2nm程度の距離をもった層状構造が存在する。微粒子堆積ネットワークでは、微粒子は20〜200nmの大きさであり、それら粒子同士が融合してネットワークを形成する。この場合でも、1〜2nm程度の距離をもった層状構造が存在する。
【0086】
ポリマー結晶間が化学結合で架橋された前述の架橋会合体を用いることにより、複合体のマクロな形状を制御して、複合体を各種形状の成形体とすることもできる。その形状や大きさは、架橋会合体調製時に用いた容器の大きさ及び形状と同一なものにすることができ、例えば、円盤状、円柱状、プレート状、球状などの任意の形状に調製できる。さらに、架橋会合体を切断したり、削ったりすることにより、目的の形に成形することもできる。このように成形した架橋会合体をチタンソースの溶液に浸せきさせることにより、ポリマー結晶と酸化チタンとの複合体からなる成形体が簡単に得られる。チタンソースの溶液に浸せきする時間としては、1〜48時間程度が好適である。
【0087】
本発明の複合体は、ポリマー(A)と酸化チタン(B)とから構成され、該複合体中の酸化チタン(B)の含有量は、反応条件などにより一定の幅で変化するが、複合体全体の20〜90質量%の範囲のものを得ることができる。
【0088】
本発明の複合体は、酸化チタン(B)とポリマー(A)とが層状構造をもつため、ポリマー(A)層中に蛍光性物質を組み込むことができる。例えば、酸性色素分子と複合体とを溶液中で混合することにより、該色素分子をポリエチレンイミン骨格と結合させることが出来る。
【0089】
本発明の複合体は、従来の酸化チタン材料作成時における形状制御の困難さを完全にクリアーした斬新な複合体であり、その応用には業種、領域を問わず、大きな期待が寄せられる。また、本発明の複合体は、内部には酸化チタンの数ナノメートルのアナターゼ型結晶を持ちながら、金属に強い配位能力を持つ直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーが含まれるので、それによる様々な金属注入を簡単に行うことができる。このことは、触媒、光触媒、導電材料としての応用に、多くの可能性を有するものである。
【0090】
さらに本発明は、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーと、水性溶剤とを混合し、該混合液を加熱して前記直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマーを溶解させ、次いで、該溶液の温度を低下させて直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)の結晶性会合体を形成させた後、該会合体中と水溶性チタン化合物(C)とを接触させるという、温和な条件下で、簡便に短時間で製造することが出来、有用性が高いものである。
【実施例】
【0091】
以下、実施例および参考例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を表す。
【0092】
[X線回折法(XRD)による複合体の分析]
単離乾燥した複合体を測定試料用ホルダーにのせ、それを株式会社リガク製広角X線回折装置「Rint−Ultma」にセットし、Cu/Kα線、40kV/30mA、スキャンスピード1.0°/分、走査範囲0〜40°の条件で測定を行った。(乾燥条件:25℃×24時間)
【0093】
[熱重量(TG)/示差熱分析(DTA)による複合体の分析]
複合体粉末測定パッチにより秤量し、それをSII Nano Technology Inc社製のTG/DTA6300装置にセットし、昇温速度を10℃/分として、20℃から800℃の温度範囲にて測定を行った。
【0094】
[ラーマン分光法(Raman)による複合体の分析]
複合体粉末をRENISHAW社製(UK)Raman−G99013にてラーマンスペクトルを測定した。
【0095】
[走査電子顕微鏡(SEM)による複合体の形状分析]
単離乾燥した複合体をガラススライドに乗せ、それを株式会社キーエンス製表面観察装置VE−8100にて観察した。(乾燥条件:25℃×24時間)
【0096】
[透過電子顕微鏡(TEM)による複合体の観察]
単離乾燥した複合体を炭素蒸着された銅グリッドに乗せ、それをJEM−2200FS(株式会社日本電子製)透過型電子顕微鏡にて観察した。(乾燥条件:25℃×24時間)
【0097】
[UV−Vis反射スペクトル]
UV−Vis反射スペクトルは日立製作所製のU−3500分光光度計により測定した。
【0098】
合成例1 <線状の直鎖状ポリエチレンイミン鎖を有するポリマー(L−PEI)の合成>
市販のポリエチルオキサゾリン(数平均分子量500,000、平均重合度5,000、Aldrich社製)5gを、5Mの塩酸水溶液20mLに溶解させた。その溶液をオイルバスにて90℃に加熱し、その温度で10時間攪拌した。反応液にアセトン50mLを加え、ポリマーを完全に沈殿させ、それを濾過し、メタノールで3回洗浄し、白色のポリエチレンイミンの粉末を得た。得られた粉末をH−NMR(重水)にて同定したところ、ポリエチルオキサゾリンの側鎖エチル基に由来したピーク1.2ppm(CH)と2.3ppm(CH)が完全に消失していることが確認された。即ち、ポリエチルオキサゾリンが完全に加水分解され、ポリエチレンイミンに変換されたことが示された。
【0099】
その粉末を5mLの蒸留水に溶解し、攪拌しながら、その溶液に15%のアンモニア水50mLを滴下した。その混合液を一晩放置した後、沈殿したポリマー結晶粉末を濾過し、その結晶粉末を冷水で3回洗浄した。洗浄後の結晶粉末をデシケータ中で室温乾燥し、線状の直鎖状ポリエチレンイミン鎖を有するポリマー(L−PEI)を得た。収量は4.2g(結晶水含有)であった。ポリオキサゾリンの加水分解により得られるポリエチレンイミンは、側鎖だけが反応し、主鎖には変化がない。従って、L−PEIの重合度は加水分解前の5,000と同様である。
【0100】
合成例2 <ベンゼン環中心の星状の直鎖状ポリエチレンイミン鎖を有するポリマー(H−PEI)の合成>
Jin,J.Mater.Chem.,13,672−675(2003)に示された方法に従い、前駆体ポリマーであるベンゼン環中心に6本のポリメチルオキサゾリンのアームが結合した星状のポリメチルオキサゾリン鎖を有するポリマーの合成を次の通り行った。
【0101】
磁気攪拌子がセットされたスリ口試験管中に、重合開始剤としてヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン0.021g(0.033mmol)を入れ、試験管の口に三方コックをつけた後、真空状態にしてから窒素置換を行った。窒素気流下で三方コックの導入口からシリンジを用いて2−メチル−2−オキサゾリン2.0ml(24mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド4.0mlを順次加えた。試験管をオイルバス上で60℃まで加熱し、30分間保ったところ、混合液は透明になった。透明混合液をさらに100℃まで加熱し、その温度で20時間攪拌して、前駆体ポリマーを得た。この混合液のH−NMR測定から、モノマーの転化率は98%であった。この転化率によりポリマーの平均重合度を見積もったところ、各アームの平均重合度は115であった。また、GPCによる分子量測定では、ポリマーの質量平均分子量は22,700であり、分子量分布は1.6であった。
【0102】
この前駆体ポリマーを用い、上記合成例1と同様な方法によりポリメチルオキサゾリンを加水分解し、6本の直鎖状ポリエチレンイミン鎖がベンゼン環コアに結合した、星状の直鎖状ポリエチレンイミン鎖を有するポリマー(H−PEI)を得た。H−NMR(TMS外部標準、重水中)測定の結果、加水分解前の前駆体ポリマーの側鎖メチルに由来した1.98ppmのピークは完全に消失した。
【0103】
実施例1 <線状の直鎖状ポリエチレンイミン鎖を有するポリマーからの複合体>
合成例1で得られたL−PEI粉末を一定量秤量し、それを蒸留水中に分散させて表1に示した各種濃度のL−PEI分散液を作成した。これら分散液をオイルバスにて、90℃に加熱し、濃度が異なる完全透明な水溶液を得た。その水溶液を室温に放置し、自然に室温までに冷やし、表1に示した不透明なL−PEI会合体(11)〜(14)を得た。
【0104】
得られた会合体(4)につき、X線回折測定を行った結果、20.7°、27.6°、28.4°に散乱強度のピークが表れることが確認された。
【0105】
これらの会合体の水溶液5mL中に、5mL(10wt%、pH7)水溶性チタンラクテート(TC310、松本製薬工業株式会社製)を加え、50℃にて1時間放置した後、得られた沈殿物を遠心分離器にて蒸留水とエタノールで交互繰り返し(3回)洗浄した。
白い粉末を50℃下、12時間乾燥し、それらをSEM、TEM、XRD、Raman、TG/DTAにて解析した。
【0106】
【表1】

【0107】
白い粉末のXRD測定から、いずれの複合体でも小角領域の2θ=3.6−4.0°で強い散乱ピークが現れた。この結果は複合体中2.2−2.4nm前後の層状の構造が形成したことを強く示唆する。また、複合体中のポリマーを除去するとこの角度での散乱ピークは完全に消失した(図1参照)。尚、ポリマーの除去は500℃下3時間処理で行った。
【0108】
白い粉末のTG測定から、温度上昇での重量減少が顕著に現れ、ポリマーの熱分解による重量減少により、20%のポリマーが複合体中に含まれることがわかった。
【0109】
ラーマン分光測定では、アナターゼ由来の振動波数が150、395、518、638cm−1で現れた。このことから、複合体には、酸化チタンのアナターゼ結晶が存在することがわかった(図2参照)。
【0110】
SEM観察では、白い粉末はファイバー状構造をもつネットワークであることが示唆された(図3a−d)。また、500℃/3時間の熱処理前後のSEM観察から、ファイバー形状は変化しないことが確認された(図4a−b)。このことは、酸化チタンのファイバー構造は強い耐熱性を有することを示唆する。
【0111】
さらに、高分解能TEM観察では、複合体ファイバーから、2−3nm大きさの酸化チタン結晶ドメインが観測された(図5参照)。これは、ラーマン分光から観察されたアナターゼ型結晶存在の結果と一致する。
【0112】
実施例2 <金属イオンが含まれた線状の直鎖状ポリエチレンイミン鎖を有するポリマーからの複合体>
合成例1で得られたL−PEI粉末、及びそのポリマーのエチレンイミン(EI)ユニットモル数に1/20当量に相当する金属硝酸塩を一定量秤量して用い、実施例1と同様な方法により、表2に示したL−PEI会合体(21)〜(24)を得た。
【0113】
【表2】

【0114】
得られた会合体(23)につき、X線回折測定を行った結果、20.7°、27.6°、28.4°に散乱強度のピークが表れることが確認された。
【0115】
これらの金属イオンが含まれた水溶液5mL中に、5mL(10wt%、pH7)水溶性チタン化合物(TC310、松本化学製)を加え、50℃にて1時間放置した後、得られた沈殿物を遠心分離器にて蒸留水とエタノールで交互繰り返し(3回)洗浄した。白い粉末を50℃下、12時間乾燥し、それらをSEM、TEM、XRD、Raman、TG/DTAにて解析した。
【0116】
図6にSEM写真イメージを示した。金属イオン粒子種類により、複合体の形状が変化することが明らかである。Naイオンを取り入れたポリマー会合体から得られた複合体はファイバー状のネットワークであったが、銅イオンが加えられたポリマー会合体から得られた複合体は球状粒子のネットワークであった。
【0117】
実施例3 <星型ポリマーからの複合体>
合成例2で得られH−PEIを用いた以外、実施例1のNo.12と同様な条件で、ポリマーの結晶性会合体の調製及び水溶性チタン化合物との反応を行い、白い粉末の複合体を得た。得られた粉末のSEM写真を図7に示す。又、実施例1と同様にして、得られた粉末中にはポリマーが23%含まれていることを確認した。
【0118】
応用例 <複合体12を用いた白金ナノ粒子の注入>
通常、ポリエチレンイミンは金属イオンを自発的に金属ナノ粒子に還元することができる。本発明の複合体は、酸化チタンのナノ結晶とポリエチレンイミン骨格のポリマーからなり、複合体中のポリマーの還元機能を用いることで、金属ナノ粒子を複合体中に注入することが可能である。上記実施例1のNo.12で得られた複合体(50mg)に、0.1MのNaPtCl水溶液2mlを加え、その混合物を室温で1時間放置した。灰色に変化した粉末を蒸留水で3回洗浄し、室温で乾燥した。この粉末をXRD測定したところ、白金結晶由来の散乱ピークが40.04、46.42、67.64°で現れた。TEM観察からは、複合体中に2−3nm程度の白金クラスターが観察された。白金が注入された酸化チタン複合体の吸収スペクトルは、注入前に比べると、その吸収バンドは390〜720nmの長波長側へシフトした。即ち、白金ナノ粒子が注入された酸化チタン複合体は可視光域で強い吸収をもつことになった。このことは、本発明の複合体中には、金属ナノ粒子を簡単に注入することができることを強く示唆するものである。尚、白金ナノ粒子が導入される前後の複合体のUV−Visの反射スペクトルを図8に示す。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】実施例1における粉末サンプルNo.12(a)、及びNo.14(b)のXRD散乱チャートである。
【図2】実施例1における粉末サンプルNo.12のラーマン分光スペクトルである。
【図3】実施例1における粉末サンプルNo.11(a)、No.12(b)、No.13(c)、No.14(d)のSEM写真である。
【図4】実施例1における粉末サンプルNo.12の焼成前(a)と焼成後(b)のSEM写真である。
【図5】実施例1における粉末サンプルNo.12の高分解能TEM写真、挿入図は同サンプルのファイバー破片の低分解能写真である。
【図6】実施例2における粉末サンプルNo.21(a)、No.23(b)のSEM写真である。
【図7】実施例3で得られた粉末サンプルのSEM写真である。
【図8】応用例における白金ナノ粒子が導入される前(a)と後(b)の複合体のUV−Visの反射スペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)と酸化チタン(B)とがナノ層状構造を有することを特徴とする酸化チタン/ポリマー複合体。
【請求項2】
前記酸化チタン/ポリマー複合体がファイバー状である請求項1記載の酸化チタン/ポリマー複合体。
【請求項3】
前記酸化チタン/ポリマー複合体がファイバーのネットワークからなる請求項2記載の酸化チタン/ポリマー複合体。
【請求項4】
前記酸化チタン/ポリマー複合体が球状粒子のネットワークからなる請求項1記載の酸化チタン/ポリマー複合体。
【請求項5】
前記直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)中の直鎖状ポリエチレンイミン骨格の割合が25〜100モル%である請求項1記載の酸化チタン/ポリマー複合体。
【請求項6】
前記複合体のファイバーの太さが10〜1000nmの範囲にある請求項2記載の酸化チタン/ポリマー複合体。
【請求項7】
酸化チタン(B)の含有量が20〜90質量%の範囲にある請求項1記載の酸化チタン/ポリマー複合体。
【請求項8】
酸化チタン(B)が数ナノメートルのアナターゼ型結晶で構成されている請求項1〜7のいずれか1項記載の酸化チタン/ポリマー複合体
【請求項9】
直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)と酸化チタン(B)とがナノ層状構造を有する複合体の製造方法であって、
(i)直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)を水性溶剤中で結晶性会合体に成長させる工程と、
(ii)前記結晶性会合体と水溶性チタン化合物(C)とを接触させて、酸化チタン(B)の生成とポリマー(A)との複合化を行う工程、
とを有することを特徴とする酸化チタン/ポリマー複合体の製造方法。
【請求項10】
前記(i)の工程において、前記ポリマー(A)中の直鎖状ポリエチレンイミン骨格のエチレンイミン単位に対して1/20〜1/200当量の金属イオン(D)を水性溶剤中に加える請求項9記載の酸化チタン/ポリマー複合体の製造方法
【請求項11】
前記(ii)の工程において、結晶性会合体と接触させる水溶性チタン化合物(C)の量が、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を有するポリマー(A)のエチレンイミン単位に対して2〜1000倍当量の範囲にある請求項9記載の酸化チタン/ポリマー複合体の製造方法。
【請求項12】
前記(i)の工程の後に、得られる結晶性会合体同士を架橋剤により架橋させる工程を有する請求項9〜11の何れか1項記載の酸化チタン/ポリマー複合体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−224139(P2007−224139A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46606(P2006−46606)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000173751)財団法人川村理化学研究所 (206)
【Fターム(参考)】