説明

酸化マンガンナノ粒子を含む磁気共鳴映像T1造影剤

本発明は、組織のT1を減少させる酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤として用いる方法および用途に関する。より詳しくは、本発明は、例えば腫瘍マーカーなどの標的指向性物質のような生理活性物質に結合した生体適合性物質で被覆されたMnOナノ粒子を含有する磁気共鳴映像T1造影剤、この磁気共鳴映像T1造影剤を用いて従来の一般T1強調映像より細密な映像を得る腫瘍などの診断および治療方法に関する。本発明の磁気共鳴映像T1造影剤は、組織別の造影剤沈着程度の差により発生する組織間T1コントラスト映像を浮き彫りにして高解像度の解剖学的映像化を可能にし、生きている細胞に浸透性質があって細胞の分布度を反映することができる。また、本発明の磁気共鳴映像T1造影剤は、疾患特異的な標識因子と結合する標的因子をナノ粒子の表面に付ける場合、腫瘍などの各種病気の標的指向的診断および治療のための造影剤として使うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織のT1を減少させる酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を、磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤として用いる方法および用途に関する。より詳しくは、本発明は、例えば腫瘍マーカーなどの標的指向性物質(targeting agent)のような生理活性物質に結合した生体適合性物質で被覆されたMnOナノ粒子を含有する磁気共鳴映像T1造影剤、この磁気共鳴映像T1造影剤を用いて従来の一般T1強調映像より細密な映像を得る腫瘍などの診断および治療方法に関する。
【0002】
本発明の磁気共鳴映像T1造影剤は、組織別の造影剤沈着程度の差により発生する組織間T1コントラスト映像を浮き彫りにして高解像度の解剖学的映像化を可能にし、生きている細胞に浸透する性質があって細胞の分布度を反映することができる。本発明の磁気共鳴映像T1造影剤は、疾患特異的な標識因子と結合する標的因子をナノ粒子の表面に付ける場合、腫瘍などの各種病気の標的指向的診断および治療のための造影剤として使うことができる。
【背景技術】
【0003】
磁気共鳴映像(MRI、Magnetic Resonance Imaging)は、磁場内で水素原子のスピンが弛緩する現象を用いて身体の解剖学的、生理学的および生化学的情報を映像として得る方法であって、生きているヒトまたは動物の身体器官を非侵襲的かつ実時間で映像化することができる、現在まで最も優れた映像診断装置の一つである。
【0004】
生命科学または医学分野でMRIを多様かつ精密に活用するために、外部から物質を注入して映像コントラストを増加させる方法を使用するが、この外部からの注入物質を造影剤という。MRI像における組織間の明暗差(コントラスト)は、組織内の水分子核スピン(nuclear spin)が平衡状態に戻る弛緩作用が組織別に異なることに起因する現象である。造影剤は、このような弛緩作用に影響を及ぼして組織間の弛緩度の差を開いてMRIシグナルの変化を誘発し、組織間のコントラストをより鮮明にする役割を果たす。
【0005】
造影剤は、特徴、機能、および注入対象によって活用度および精度の差異が生ずる。造影剤を用いて増強されたコントラストは、特定の生体器官と組織周辺の映像信号を増減してより鮮明に映像化する。MRI映像獲得を希望する身体部位の映像信号を周囲より相対的に強くする造影剤を「ポジティブ」造影剤といい、これとは反対に、周囲より相対的に弱くする造影剤を「ネガティブ」造影剤という。
【0006】
「ポジティブ」造影剤はT1弛緩、すなわち縦弛緩に関係する造影剤である。このような縦弛緩は、スピンのZ軸方向の磁化成分MzがX軸からのRFエネルギー衝撃吸収以後のX−Y平面のY軸に整列した後、エネルギーを外部に放出することにより元々の値に戻ってくる過程であり、この現象を「T1弛緩」と表現する。Mzが最初値の63%に戻ってくるまでの時間を「T1弛緩時間(T1 relaxation time)」といい、T1弛緩が短いほどMRIのシグナルは大きく、これにより映像獲得時間も短くなる。
【0007】
「ネガティブ」造影剤はT2弛緩、すなわち横弛緩に関係する造影剤である。スピンのZ軸方向の磁化成分MzがX軸からのRFエネルギー衝撃吸収以後のX−Y平面のY軸に整列した後、自らエネルギーが減衰しあるいは周辺スピンにエネルギーを放出することにより元の値に戻ってこようとするが、この際、X−Y平面上で均等に広くなったスピンの成分Myが指数関数的に減衰する現象を「T2弛緩」と表現する。Myが初期値の37%に減衰するまでの時間を「T2弛緩時間」といい、Myが時間経過に伴って減少する時間の関数で、Y軸に設置された受信コイルを介して測定したものを自由誘導減衰信号(FID、free induction decay)という。T2弛緩時間が短い組織はMRI像で暗く見える。
【0008】
現在まで商業化されたMRI造影剤は、「ポジティブ」造影剤として常磁性化合物が使用されており、「ネガティブ」造影剤として超常磁性ナノ粒子が使用されている。「ポジティブ」造影剤である常磁性化合物は、通常、ガドリニウムイオン(Gd3+)またはマンガンイオン(Mn2+)のキレート化合物であり、水の陽子の弛緩を加速化して造影剤の周囲で明るいコントラスト映像を得るようにする。
【0009】
ところが、ガドリニウムイオンの場合、毒性が非常に高いので、これを防止するために、キレート化合物または高分子物質と結合した化合物の形態で使用されている。特に、Gd−DTPAは、最も広く使われており、その主要医学的活用先は、血液−脳隔膜(BBB)の損傷有無、血管システムの変化、血液の流動およびかん流状態の診断である。これは、造影剤が化合物の形態で構成されているため、生体内の免疫機能を活性化させるか、肝臓における分解作用を引き起こして血液中の滞留時間が約20分程度と短いという問題を生じさせる。
【0010】
マンガンイオン(Mn2+)をT1造影剤として用いたマンガン強調磁気共鳴映像(Manganese-enhanced MRI、MEMRI)は、脳科学などの様々な領域で解剖学的構造と細胞の機能などを研究することに用いられている(非特許文献1)。マンガンイオンを造影剤として用いたMEMRIの場合、最も優れた造影特性にも拘らず、MnClの透過量が多く(>88〜175mg/kg)、マンガンイオンが組織に蓄積されて現れる毒性により、動物脳の造影にのみ用いられており、ヒトの頭脳に対する活用には毒性または体内蓄積可能性により本質的な使用上の限界がある。
【0011】
現在、マンガンを用いた造影剤であってヒトの肝臓の造影に使われるマンガンイオン造影剤として、Mn−DPDP(teslascan)が公知になっている。Mn−DPDPが身体に投与されると、ZnがMnを置換してZn−DPDPになって腎臓を介して排泄され、Mn2+は血液と共に循環して肝臓、腎臓、膵臓などに吸収され、造影剤としての役割を果たす。これもMn2+の毒性により2〜3ml/hr程度の遅い速度の注入方法(slow infusion)が要求される。通常、約5μmol/kg体重(0.5ml/kg体重)がヒトに使える量であるが、これは脳またはその他の臓器に使用するには非常に足りない量である(非特許文献2)。
【0012】
「ポジティブ」造影剤を用いたT1造影は、イメージの歪みがなく、組織の解剖学的構造および細胞機能の研究に適し、解像度に優れてMRIに最も広く使われているため、これに関する多くの研究開発が行われている。ところが、現在までの「ポジティブ」造影剤の場合、常磁性金属イオンまたはそれらの錯化合物に基づいているため、毒性による人体への応用限界と血液中の滞留時間が短く、錯化合物のリガンド分子による立体障害により標的指向性物質を付着させ難くする。
【0013】
このような従来の技術の問題を克服するために、特許文献1は、高分子ナノ構造体にガドリニウムイオンを濃縮して局地的濃度を高めながら粒子の形態を維持しようとする研究結果を開示している。ところが、粒子サイズが大きく、ガドリウムイオンが高分子ナノ構造体に結合している形態なので、粒子の表面から容易に分離でき、細胞透過率が高くないという問題点がある。
「ネガティブ」造影剤として超常磁性ナノ粒子が使われており、その代表的な例が超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPIO:superparamagneticiron oxide)である。
特許文献2は、生体適合性の超常磁気性粒子を使用する磁気共鳴映像のT2造影剤を開示しており、特許文献3は、超常磁気性粒子とその粒子の表面に組織特異的結合物質、診断用または薬学的活性物質とカップリングすることが可能な結合位置を含む無機または有機物質からなる常磁気性粒子を開示している。
【0014】
ナノ粒子の形態を備えた超常磁性酸化鉄は、その形態が数〜数百nmサイズの粒子なので、生体内滞留時間が数時間に達するので、化合物の生体内滞留時間に比べて著しく長く、粒子の表面に様々な作用基と標的物質を結合させることができるため、標的指向性造影剤として大きく脚光を浴びている。
【0015】
ところが、超常磁性ナノ粒子の場合、自身の磁性のため、T2弛緩時間が短くなるが、その副作用として、MRIで磁場を形成して映像を撹乱させたりもする。そして、T2強調映像の場合、造影された部分が黒く強調されるが、このように黒く強調される部分は、例えば体内出血、体内石化組織、重金属蓄積部分のように既に黒く見える部分と混同を引き起こすおそれがある。
【0016】
また、自身の磁性により造影剤付近の磁場に歪み(blooming effect)をもたらして信号損失または背景イメージに歪みを生じさせるため、解剖学的イメージに近い映像を得ることができないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0215392A1号明細書
【特許文献2】米国特許第4,951,675号明細書
【特許文献3】米国特許第6,274,121号明細書
【特許文献4】米国特許出願第11/410,607号明細書
【特許文献5】米国特許出願第11/335,995号明細書
【特許文献6】米国特許出願第11/171,761号明細書
【特許文献7】米国特許出願第10/640,126号明細書
【特許文献8】米国特許出願第11/348,609号明細書
【特許文献9】米国特許出願第10/559,957号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Lin YJ, KoretskyAP, Manganese ion enhances T1-weighted MRI during brain activation: an approach to direct imaging of brain function, Magn. Reson. Med. 1997; 38:378-388
【非特許文献2】RofskyNM, Weinreb JC, Bernardino ME et al. Hepatocellular tumors: characterization with Mn-DPDP-enhanced MR imaging. Radiology 188:53, 1993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の目的は、酸化マンガンナノ粒子の構成物質であるマンガンイオン(Mn2+)によってMRIの効率的な活用のために映像を明るくしながらも、映像の歪みがないT1造影効果を示し、ナノ粒子の形態として高い細胞内部浸透率および細胞内蓄積能力、目標指向性造影効果、容易な伝達性、安全な消去、および副作用の最小化を図る、酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤を提供することにある。
【0020】
本発明のナノ粒子形態のT1造影剤は、従来のイオンあるいは化合物形態のガドリウムイオンまたはマンガンイオン基盤のT1造影剤に比べて、生体内残留時間を拡張させる効果があるので、生体内への投与後、十分な時間MRI撮影および診断時間を可能にし、高い細胞内部浸透率は、造影剤粒子が細胞内に留まる時間を増大させることにより、長時間の連続的または間欠的映像診断を可能にし、細胞単位でイメージを得ることが可能な細胞映像化(cellular imaging)を可能にする。
【0021】
本発明の他の目的は、i)C4−25カルボキシレート−マンガン錯化合物(Mn-C4-25 Carboxylate complex)を熱分解させ、C6−26芳香族炭化水素、C6−26エーテル、C6−25脂肪族炭化水素、C6−26アルコール、c6−26チオール、およびC6−25アミンよりなる群から選ばれる有機溶媒に分散した、50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは35nm以下の直径を持つ酸化マンガンナノ粒子を製造する段階と、ii)前記酸化マンガンナノ粒子を生体適合性物質で被覆させる段階とを含むことを特徴とする、磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤の製造方法を提供することにある。
【0022】
また、本発明の別の目的は、生体適合性物質で被覆された本発明の酸化マンガンナノ粒子と生理活性物質(biologically active material)とを結合させたことを特徴とする、生理活性物質が結合した微細ナノ構造物としての磁気共鳴映像T1造影剤を提供することにある。
【0023】
したがって、本発明は、前記酸化マンガンナノ粒子に付着領域または活性成分結合領域を導入させることにより、例えば腫瘍マーカーなどの標的指向性物質、薬学的に許容される担体を担持した診断用または治療用組成物を提供する。
【0024】
また、本発明の別の目的は、酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤を用いた、動物細胞に対するT1造影方法を提供することにある。
【0025】
本発明の別の目的は、酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤を使用する、動物血管に対するT1造影方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の目的は、酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤を提供することにより達成できる。
【発明の効果】
【0027】
第一に、本発明によれば、酸化マンガンナノ粒子を造影剤として用いて脳、肝臓、腎臓、脊髄などの様々な臓器を、明るい強調映像であるT1強調映像化が可能であり、高い細胞透過率、特に血液−脳関門(BBB)を通過したりもして、解剖学的構造を映像化することができ、Mn2+イオンを用いたときの欠点である毒性を最小化して人体に適用可能であって人の血管または細胞の映像化も可能である。
【0028】
第二に、表面の改質が可能なナノ粒子の形態を取っており、標的指向性物質の導入が可能であって例えば癌、腫瘍などの細胞の標的映像化が可能であり、幹細胞、細胞治療などにおける細胞の発現、移動経路の追跡が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】水に分散した様々なサイズのMnOナノ粒子の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【図2】MnOナノ粒子の常温における磁化曲線のグラフである。
【図3】3.0T医療用MRI装置の下で得られた様々なサイズのMnOナノ粒子のT1強調MRI映像である。
【図4】MnOナノ粒子をマウスの静脈に注射した後、マウスの脳のT1強調映像(MnO nanoparticleenhanced MRI(MONEMRI))を示す図である。
【図5】MnOナノ粒子をマウスの静脈に注入した後、マウスの腎臓(A)、肝臓(B)、脊髄(C)に対するT1強調映像(MnO nanoparticleenhanced MRI(MONEMRI))を示す図である。
【図6】脳に膠芽細胞腫(gliblastoma)を持っているマウスのMONEMRIを示す図である。
【図7】脳にHer2/neuを発現する乳癌転移腫瘍を持っているマウスにHer2/neu抗体が結合したMnOナノ粒子を造影剤として用いたT1強調映像(A)と、抗体が結合していないMnOナノ粒子を造影剤として用いたT1強調映像(B)との比較を示す図である。
【図8】動的光散乱法で測定したMnOナノ粒子と、DNAが接合されたMnOナノ粒子の流体力学直径を示すグラフである。
【図9】MnOナノ粒子、およびDNAが接合されたMnOナノ粒子に対する電気泳動結果を示す図である。
【図10】DNA、MnOに接合されたDNA、およびDTTで処理して解離されたDNAに対する電気泳動結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明において、「酸化マンガンナノ粒子(MnO nanoparticles)」は、酸化マンガン(MnO)またはこれを含有する多成分混成構造体を含むもので、直径1000nm以下、好ましくは100nm以下のナノ粒子を意味する。
【0031】
本発明のMRI造影剤として用いるのに特に適したMnOの粒子サイズは、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、最も好ましくは35nm以下である。また、このような本発明に係るMRI造影剤として用いるためのMnOナノ粒子は、その大きさの平均値に対する標準偏差が15%以下、好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下の範囲内であることが好ましい。
【0032】
本発明で提示するMnOナノ粒子の大きさ範囲は、造影剤として血管内に長時間残留しながら持続的、間欠的なMRI映像を得ることに非常に重要な技術的特徴であるうえ、MnOナノ粒子の水性分散液を安定な状態に維持するために必ず考慮されるべき技術的要素である。
【0033】
したがって、本発明のMRI造影剤として用いられるMnOナノ粒子は、その大きさを一定の大きさ以下、最も好ましくは35nm以下に精密に調節できるという点を技術的特徴とすることにより、本用途発明を完成させる。
【0034】
従来のT1造影剤または特にMn2+イオンを用いるT1造影剤は、Ca2+イオンとの競合による生体内に対する毒性問題もあったが、本発明の酸化マンガンナノ粒子は、Mn2+イオンが固体相ナノ粒子を形成し、水溶液で自由Mn2+イオンとして存在するため、従来のMn2+イオンを使用するT1造影剤に比べてほぼ毒性がないという利点を持っている。
【0035】
また、本発明のMnO MRI造影剤が細胞造影剤として、または血管造影剤としての用途を確保するためには、生体適合性物質で被覆されることにより、血液内における分散状態を安定化させるうえ、細胞膜などの生体内の各種膜を透過することを容易にする。
【0036】
本発明のMRI造影剤として用いられるために、生体適合性物質で被覆された状態のMnOナノ粒子の大きさは、500nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下である。ところが、生体適合性物質で被覆された状態の造影剤粒子の大きさは、被覆物質の種類によって大きく異なり、例えばデキストリンなどの物質で被覆される場合には100nmを超過する大きさを持ってもよい。ところが、出来るだけ造影剤の粒子サイズを小さくすることが、好ましくは100nm以下にすることが、生体内免疫機能による消滅または肝臓における分解可能性を最小化させる。このように造影剤の粒子サイズを最小化することにより、長時間の持続的、間欠的または連続的MRI映像撮影を可能にするという点が本発明の特徴をなす。
【0037】
上述した本発明のMnOナノ粒子は、酸化マンガンナノ粒子の構成体であるマンガン原子が既存のマンガンイオン基盤造影剤のように優れたT1造影剤としての能力を示す酸化マンガンナノ粒子T1造影剤としての用途を可能にする。酸化マンガンナノ粒子の化学構造式はMnOの形態であって、ナノ粒子のマンガンイオン(Mn2+)イオンが酸化マンガンナノ粒子の周囲に存在する水分子のスピンの弛緩を加速化する方式でT1造影剤効果を示す。
【0038】
本発明の酸化マンガン(MnO)ナノ粒子の場合、半強磁性(antiferromagnetic)特性を示すので、常温で磁気共鳴映像に自己磁化現象がないので、SPIOのような自体磁化現象による信号損失などの歪み現象をもたらさない。
【0039】
本発明の酸化マンガンナノ粒子は、ナノ粒子の大きさが一定の範囲以下の大きさを持つという点のため、高い細胞内部浸透率および細胞内蓄積能力を示し、生体内の標的指向性物質のような活性成分の結合が容易な酸化マンガンナノ粒子を含む磁気共鳴映像T1造影剤としての用途を持つ。
【0040】
本発明において、酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像T1造影剤は、ナノ粒子が水溶性環境で安定的に分散しかつ生体適合性物質で被覆され易く、標的指向性物質などの生体内活性成分との結合領域を含んでおり、疾病診断剤または治療剤としての加工にも適する。
【0041】
前述した本発明の別の目的は、i)C4−25カルボキシレート−マンガン錯化合物(Mn-C4-25 Carboxylate complex)を熱分解させ、C6−26芳香族炭化水素、C6−26エーテル、C6−25-脂肪族炭化水素、C6−26アルコール、C6−26チオール、およびC6−25アミンよりなる群から選ばれる有機溶媒に分散した、50nm、好ましくは40nm、最も好ましくは35nm以下の直径を持つ酸化マンガンナノ粒子を製造する段階と、ii)前記酸化マンガンナノ粒子をデキストラン、PEG、PPGなどの血液適合性または生体適合性物質で被覆させる段階を含むことを特徴とする、磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤の製造方法を提供することにより達成できる。
【0042】
本明細書で列挙してはいないが、当該技術分野における通常の技術者に知られている酸化マンガンナノ粒子合成法で製造された全ての酸化マンガンナノ粒子が本発明の酸化マンガンナノ粒子として使用できる。
【0043】
本発明のステップii)において、ナノ粒子が水溶性環境で安定的な分散状態を示しかつ生体適合性を持つようにする物質は、生体内で毒性を示さない物質であり、例えばポリビニルアルコール、ポリラクチド(polylactide)、ポリグリコライド(polyglycolide)、ポリラクチドコグリコライド(poly(lactide-coglycolide))、ポリアンヒドリド(polyanhydride)、ポリエステル(polyester)、ポリエーテルエステル(polyetherester)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリエステルアミド(polyesteramide)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリウレタン(polyurethane)、ポリビニルフルオリド(polyvinyl fluoride)、ポリビニルイミダゾール(poly(vinyl imidazole))、クロロスルホネートポリオレフィン(chlorosulphonate polyolefin)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリエチレングリコール(poly(ethylene glycol))、デキストラン(dextran)、これらの混合物またはこれらの共重合体を含む。
【0044】
本明細書で列挙してはいないが、血液適合性または生体適合性を示す物質として、当技術分野における通常の知識を有する者に知られている全ての物質は、本発明のMnOナノ粒子の被覆物質として使用できる。ところが、これらで被覆された状態の造影剤粒子の直径は500nm以下であることが好ましい。
【0045】
前述した本発明の別の目的は、生体適合性物質で被覆された酸化マンガンナノ粒子と生理活性物質(biologically active material)とを結合させたことを特徴とする、生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤を提供することにより達成できる。
【0046】
本明細書における生理活性物質は、生体内の免疫活性化によって特定の抗原に対する認識と選択的結合を行う抗体、これに基づいて製作されるモノクローナル抗体、抗体の可変部位(variable region)または不変部位(constant region)、一部または全部を人為的に変化させたキメラ抗体、ヒト化抗体などを含む。また、 前記生理活性物質は、特定の塩基配列を有するRNAまたはDNAに相補的結合が可能なDNAまたはRNAなどの核酸、特定の化学作用基と一定の条件下に水素結合などによって結合可能な非生物学的化学物質などを含む標的指向性物質と、各種疾病部位に治療、予防または病症緩和効果を示す様々な薬理活性物質、細胞アポトーシス誘導遺伝子または毒性タンパク質などの毒性活性物質、電磁波、磁場、電場、光または熱に感応する化学物質、蛍光を発生させる蛍光物質、および放射線を発生させる同位元素などの生理活性物質などを含む。
【0047】
このように本発明の酸化マンガンナノ粒子MRI造影剤に結合可能な物質は、関連技術分野における公知の生理活性物質を含み、本発明への適用に特別な制限はない。
【0048】
より具体的には、本発明のMnOナノ粒子造影剤に結合可能な全ての生理活性物質は、これまで各種文献によって公知になった方法で結合可能な全ての生理活性物質を含み、これらに対する一般な制限は存在しない。特に、本発明の生理活性物質に結合したMnOナノ粒子からなるMRI造影剤は、血管造影剤として使用される場合にその制限がない。ところが、細胞造影剤として使用される場合には、前記生理活性物質は、本発明のMnOナノ粒子が有するものと対等な細胞膜透過度を示す物質に限定されることが好ましい。
【0049】
上述したような本発明の酸化マンガンナノ粒子に結合可能な物質とそれら間の結合方法は、例えば、特許文献4〜9などに開示されており、これらの該当内容を本明細書の一部として引用する。
【0050】
本明細書において、酸化マンガンナノ粒子は、医薬として活性を持つか、あるいは放射線、電場、磁場、各種電磁波、熱および光に感応可能な活性成分と結合できる。特に、腫瘍、特異タンパク質などを診断および/または治療することが可能な物質を含むことができ、胃癌、肺癌、乳癌、肝臓癌、喉頭癌、子宮頸癌、卵巣癌、気管支癌、鼻咽頭癌、膵臓癌、膀胱癌および結腸癌などの各種腫瘍に関連した様々な疾病と、アルツハイマー病、パーキンソン病、狂牛病などの特異タンパク質に関連した様々な疾病を診断および/または治療することに利用できる。
【0051】
このような腫瘍細胞あるいは特異タンパク質は、正常細胞またはタンパク質ではほぼまたは全く生産または発現されない特定の物質を分泌および/または発現し、これらと特異的に結合可能な物質を、本発明の酸化マンガンナノ粒子の活性作用基を用いてそれに結合させることにより、診断および/または治療に利用できる。
【0052】
現在、様々な腫瘍または特異タンパク質と特異的に反応または結合することが可能な物質を含み、本発明に係る診断および/治療方法で利用可能な生理活性物質を表1に例示したが、本発明のMnO MRI造影剤に結合させることが可能な生理活性物質は、これらに限定されない(表1参照)。
【0053】
疾病に対する標的指向性物質
【表1】

【0054】
すなわち、本発明の酸化マンガンナノ粒子に結合させる生理活性物質は、リツキサン(Rituxan)、ハーセプチン(Herceptin)、オルソクローン(Orthoclone)、レオプロ(Reopro)、ゼナパックス(Zenapax)、シナジス(Synagis)、レミケード(Remicade)、マイロターグ(Mylotarg)、キャンパス(Campath)、エルビタックス(Erbitux)、アバスチン(Avastin)、ゼバリン(Zevalin)、ベクザー(Bexxar)、またはこれらの混合物;葉酸、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、上皮成長因子受容体(EGFR)、またはこれらに対するリガンド;およびアミロイドβペプチド(Abeta)、RGD(Arg−Gly−Asp)アミノ酸配列を有するペプチド、核局在化シグナル(nuclear localization signal、NLS)ペプチド、TATタンパク質またはこれらの混合物の中から選択される。本発明の酸化マンガンナノ粒子には、標的指向と治療を同時に可能にする物質を結合させるか、あるいは抗癌剤などの治療目的の物質をさらに担持することが可能である。
【0055】
現在、多様な腫瘍または特異タンパク質に関連した治療物質が公知になっており、本発明に係る治療方法で利用できるものとしては、これらに限定されないが、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、プロカルバジン(procarbazine)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、ブレオマイシン(bleomycin)、タキソール(taxol)、プリコマイシン(plicomycin)、マイトマイシン(mitomycin)、エトポシド(etoposide)、タモキシフェン(tamoxifen)、トランスプラチナム(transplatinum)、ビンブラスチン(vinblastin)、メトトレキサート(methotrexate)などがある。
【0056】
前述した本発明の別の目的は、酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤を使用する、動物細胞に対する磁気共鳴映像T1造影方法を提供することにより達成される。
【0057】
すなわち、本発明は、i)本発明に係る酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像T1造影剤を生体または試料に注入して前記生体または試料から磁気共鳴映像T1強調映像を得る段階と、ii)標的指向および/または治療物質が担持された酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像T1造影剤を生体または試料に注入して、標的に到達した部分から磁気共鳴映像T1強調映像を得る段階と、iii)酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像T1造影剤によって発散する信号を磁気共鳴映像診断装置で感知して異常および/または正常組織有無を診断する段階とを含む、診断方法または治療方法を提供する。
【0058】
本発明の酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像T1造影剤は、一般に医薬分野で使用される経路を介して投与でき、非経口投与が好ましく、例えば静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または局部経路を介して投与できる。
【0059】
酸化マンガンナノ粒子を含む磁気共鳴映像T1造影剤を前記投与経路を介して投与した後、診断方法は磁気共鳴映像診断装置(MRI)を含んだ診断装置を利用する。磁気共鳴映像診断装置(MRI)は、一般に医薬分野で使用されている1.5T、3T、4.7T、9Tなどの磁場を用いる磁気共鳴映像診断装置を含んだ診断装置によって診断することができる。酸化マンガンナノ粒子を含む磁気共鳴映像化方法は、T1強調映像を含んだ診断方法を用いることができ、T2強調映像を含んだ診断方法を並行して診断方法を行うことができる。
【0060】
酸化マンガンナノ粒子を含む磁気共鳴映像T1造影剤として脳、骨髄、関節、筋肉、肝臓、腎臓、胃腸などを含んだ生体器官または試料から磁気共鳴映像診断装置によって得た映像は、細胞水準の正常および/または異常組織間の解剖学的情報を得ることができる。
【0061】
標的指向性および/または薬理活性物質が担持された酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像T1造影剤を生体または試料に注入し、標的に到達した部分から磁気共鳴映像診断装置によって得た映像は、所望する標的の存在有無の判読が可能であり、標的の分布による腫瘍、異常タンパク質疾患などの進行状況の判別による診断が可能であり、担持された治療物質を局地的に分布させるのでこれによる治療が可能である。
【0062】
本発明の別の目的は、酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤を使用する、動物血管に対するT1造影方法を提供することにより達成できる。動物血管のT1造影に使用される本発明の酸化マンガン(MnO)ナノ粒子造影剤は、細胞造影剤の場合より細胞膜透過性を要求しないという点で比較的造影剤の大きさに対する制限が小さいが、その大きさがあまり大きくなると、免疫機能を活性化させるか、あるいは肝臓における分解作用を誘発することにより、血管内滞留時間が短くなるという問題点が依然としてある。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0064】
実施例1.生体適合性物質で被覆させた酸化マンガン(MnO)ナノ粒子の製造
生体適合性物質で被覆された酸化マンガン(MnO)ナノ粒子の製造は様々な方法によって可能であり、製造された酸化マンガンナノ粒子の化学式はMnOを満足しなければならない。酸化マンガン製造方法の代表的な例は次のとおりであるが、この製造方法で製造されたMnOナノ粒子に限定されるのではない。
【0065】
したがって、本発明の血管造影剤として好ましい造影剤の粒子サイズは500nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。動物血管造影剤として使用される本発明のMnO MRI造影剤は、一つまたは一つ以上のMnOナノ粒子がデキストランなどの血液適合性物質に分散したものが好ましい形態である。
【0066】
まず、オレイン酸マンガン錯化合物(Mn-oleate complex)を合成したが、7.92gの塩化マンガン四水和物(manganese chloride tetrahydrate)と24.36gのオレイン酸ナトリウム(sodium oleate)をエタノール−水−ヘキサンの混合物に入れた。これを70℃まで加熱し、この温度で一晩静置した。この溶液から上層有機溶媒部分を収集して蒸留水で数回洗浄した後、ヘキサンを蒸発させて桃色のオレイン酸マンガン粉末を得た。
【0067】
その後、MnOナノ粒子を合成したが、1.24gのオレイン酸マンガン化合物を10gの1−オクタデセンに溶かし、70℃で真空にて水と酸素を除去した。この溶液を攪拌しながら300℃まで加熱し、1〜2時間維持することにより、ナノ粒子が生成された。
【0068】
この溶液で純粋なナノ粒子を分離するために、アセトンとヘキサンの混合溶液を入れた後、遠心分離し、洗浄して粉末を得た。得られたナノ粒子はヘキサン、クロロホルムなどに分散した。ナノ粒子の大きさは300℃における維持時間に応じて7〜35nmに均一に調節された(平均サイズからの標準偏差は10%以下)。
【0069】
この場合、前記酸化マンガンナノ粒子の直径が35nm〜50nmになると、前記酸化マンガンナノ粒子のコロイド安定性(colloidal stability)が減少して前記酸化マンガンナノ粒子同士が絡み合って沈殿を形成する場合がたまに発生する。
【0070】
また、製造された前記酸化マンガンナノ粒子の大きさ分布の標準偏差は10%以下になった。
【0071】
最後に、MnOナノ粒子を代表的な生体適合性物質としてのポリ(エチレングリコール)で取り囲んで水に分散させるが(Science, 298, p1759, 2002)、合成されたMnOナノ粒子をクロロホルムに分散させ(5mg/mL)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](mPEG−2000 PE、Avanti Polar Lipids、Inc.)10mgを入れた後、80℃でクロロホルムを除去し、しかる後に、水を入れて分散させた。
【0072】
実施例2.ポリエチレングリコール(PEG)で被覆されたMnOナノ粒子の生体適合的特性および造影能力
製造されたナノ粒子は、その大きさが非常に均一であり(図1)、大きさの調節が可能であった。また、製造されたナノ粒子は、PEGで被覆されているため、生体適合的特性を有し、数ヶ月にわたって安定した。
【0073】
酸化マンガンナノ粒子および生体適合性物質を含んだ全体粒子サイズが500nm以上になると、人体免疫系または肝臓で分解されて生体内滞留時間が低下し、撮影時間が減少するという現象が現れた。したがって、生体適合性物質を含んだ酸化マンガンナノ粒子の直径は500nm以下、好ましくは100nm以下にならなければならない。
【0074】
MnOナノ粒子のMRI造影剤としての造影能力をテストした。3.0T医療用装置でナノ粒子自体をMRI実験した。図2に示すように、5mMマンガン濃度下の試料をテストした結果、T1弛緩が短くなって明るく映像化された。これはT1造影剤としての造影能力があることを意味する。しかも、T2弛緩を短くするT2造影効果も一緒に現れた。
【0075】
実施例3.MnOナノ粒子強調MRI(Manganese Oxide Nanoparticles Enhanced MR Imaging(MONEMRI))
実質的にマウスにMnOナノ粒子を造影剤として用いてMnOナノ粒子強調MRIを撮影した。MRI実験は4.7T/30MRI System(Bruker−Biospin、Fallanden、Switzerland)で行われた。マウスの尾静脈経路で25nmのMnOナノ粒子を一度に注入した後、MRI映像を得た。実験条件は次のとおりであった。
【0076】
3−1.脳のMRI映像化条件
fast spin−echo T1−weighted MRI sequence
TR/TE=300/12.3ms
echo train length=2
140m 3D isotropic resolution
FOV=2.56×1.28×1.28cm
matrix size=256×128×128
【0077】
3−2.腹部MRI映像化条件
spin−echo T1−weighted MRI sequence
TR/TE=400/12ms
NEX=16
slice thickness=1.5mm
FOV=2.78×168cm
matrix size=192×192
【0078】
これを用いて得たマウスの脳映像(図3)は、造影剤を使わなかったときに比べて著しく優れた解剖学的イメージを得ることができた。また、肝臓、腎臓、脊髄などの腹部の映像(図4)も、各臓器と組織の優れた解剖学的イメージを得ることができた。
【0079】
脳に膠芽細胞腫を持っているマウスにMnOナノ粒子を同一の方式で尾静脈経路で注入してMRI映像化を行う場合、腫瘍がさらに明るく映像化されて癌の特異的映像化も可能であった(図5)。
【0080】
実施例4.標的指向性探針(probe)を結合させたMnOナノ粒子の製造
標的指向性探針を有するMnOナノ粒子は、次の2段階によって製造された。
【0081】
4−1.反応性のある作用基を有するMnOナノ粒子の合成
実施例1において、有機溶媒に分散したナノ粒子を生体適合性高分子としてのポリ(エチレングリコール)で被覆させる段階で、ポリ(エチレングリコール)の末端にアミン(−NH)、チオール(−SH)、カルボン酸塩(−CO−)などの反応性作用基が与えられたポリ(エチレングリコール)を含んだリン脂質(phospholipid)を用いて被覆させた。例えば、マレイミド作用基をMnOナノ粒子に導入するために、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](mPEG−2000PE、Avanti Polar Lipids、Inc.)と1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[マレイミド(ポリエチレングリコール)−2000](DSPE−PEG(2000)マレイミド、Avanti Polar Lipids、Inc.)とを混ぜて被覆させた。実験方法は実施例1での方法と類似であった。
【0082】
4−2.乳癌標的指向性抗体を結合させたMnOナノ粒子の製造
乳癌抗体としてのHerceptin(Roche Phama Ltd.)6mgをリン酸塩緩衝液(PBS、pH7.2)0.5mLに溶かした後、過量のSATA(N-succinimidyl S-acetylthioacetate)と混合した。30分後に0.5Mのヒドロキシアミンを混ぜ、室温で2時間反応させた。反応物を脱塩カラムで精製した後、マレイミド作用基を持っているMnOナノ粒子(maleimido-MnO)0.3mL(10mg/mL)と混ぜた。4℃で12時間反応した後、カラムを介して、乳癌標的指向性抗体が結合したMnOナノ粒子を精製した。
【0083】
実施例5.標的指向性探針を結合させたMnOナノ粒子を用いた癌細胞指向MRI
MDA−MB−435癌細胞をマウスに植え、乳癌−脳腫瘍転移モデルを作り、乳癌標的指向性抗体(Herceptin)が結合したMnOナノ粒子を用いて癌細胞指向MRIを行った。MRI実験は4.7T/30 MRI System(Bruker−Biospin、Fallanden、Switzerland)で行われた。マウスの尾静脈を介して25nmのMnOナノ粒子を一度に注入した後、MRI映像を得た。その実験条件は実施例3と同様であった。
【0084】
これを用いて得たマウスの脳映像(図6)は、乳癌標的指向性抗体(Herceptin)が結合したMnOナノ粒子を使用した場合には、抗体が結合していないMnOナノ粒子を使用したときよりさらに優れた癌細胞標的指向MRIを得ることができた。
【0085】
乳癌標的指向性抗体が結合していないMnOを使用した場合には、3時間以後に造影効果がなくなるが、これに対し、乳癌標的指向性抗体(Herceptin)が結合したMnOナノ粒子を使用した場合には、1日以後にも癌細胞が造影されて優れたT1強調映像を得たうえ、癌細胞の位置把握が容易であった。
【0086】
実施例6.MnOナノ粒子が接合されたオリゴヌクレオチド
水に分散可能なMnOを用いて、実施例1と同様の方法によって、アミン基を有するMnOナノ粒子を製造した。アミン基を与えるために、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](mPEG−2000 PE、Avanti Polar Lipids,Inc.)と1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[アミノ(ポリエチレングリコール)2000](DSPE−PEG(2000)Amine、Avanti Polar Lipids,Inc.)との混合物を使用した。MnOナノ粒子をN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(SPDP)で修飾し、ピリジルジチオールが活性化されたMnOナノ粒子を製造した。
【0087】
接合用モデルオリゴヌクレオチドとして、5’−アルカンジオールヌクレオチドを製造した(HS−(CH−CGCATTCAGGAT(配列番号1))。ピリジルジチオール活性MnOナノ粒子0.15nmolを5’アルカンチオールヌクレオチド0.15nmolと混合し、前記溶液を室温で12時間恒温処理した。オリゴヌクレオチド接合ナノ粒子を遠心分離フィルター(MWCO:300,000)で精製した。これらは動的光散乱法(dynamic light scattering)とゲル電気泳動法(gel electrophoration)によって特性を明らかにした。結果として得たナノ粒子の流体力学直径がオリゴヌクレオチドとの接合によって若干増加した。そして、結合したヌクレオチドの陰電荷により、オリゴヌレクオチド結合MnOナノ粒子が前記元々のMnOナノ粒子(図9:レーン1)より速く移動した(図9:レーン2)。
【0088】
オリゴヌクレオチド伝達プラットフォームに対する例示として、このようなナノ粒子からオリゴヌクレオチドを解離させた。10mM PBS−EDTA緩衝溶液内のジチオスレイトール(DTT)20μLをオリゴヌクレオチド接合MnOナノ粒子180μLと混合し、室温で1時間恒温処理した。DTTはジスルフィド結合を断ち切ることができ、オリゴヌクレオチドをナノ粒子から解離させることができる。電気永動法によってDTT処理した後、解離されたDNAとそのバンド(図10:レーン3)が元々のヌクレオチド(図10:レーン1)と同一の速さで移動したことを確認した。これに対し、DTT処理を施していないオリゴヌクレオチド接合ナノ粒子は一層遅い移動を示した(図10:レーン2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤。
【請求項2】
前記酸化マンガン(MnO)ナノ粒子が生体適合性物質で被覆されていることを特徴とする、請求項1に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項3】
前記生体適合性物質が、ポリビニルアルコール、ポリラクチド(polylactide)、ポリグリコライド(polyglycolide)、ポリラクチドコグリコライド(poly(lactide-coglycolide))、ポリアンヒドリド(polyanhydride)、ポリエステル(polyester)、ポリエーテルエステル(polyetherester)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリエステルアミド(polyesteramide)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリウレタン(polyurethane)、ポリビニルフルオリド(polyvinyl fluoride)、ポリビニルイミダゾール(poly(vinyl imidazole))、クロロスルホネートポリオレフィン(chlorosulphonate polyolefin)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリエチレングリコール(poly(ethylene glycol))、デキストラン(dextran) 、これらの混合物およびこれらの共重合体よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項2に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項4】
前記生体適合性物質がポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項2に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項5】
前記生体適合性物質がデキストランであることを特徴とする、請求項2に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項6】
前記酸化マンガンナノ粒子の直径が50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは35nm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項7】
前記酸化マンガンナノ粒子の直径が30nm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項8】
生体適合性物質層を含む前記T1造影剤の直径が50nm以下であることを特徴とする、請求項2または3に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項9】
前記ポリエチレングリコール層の厚さが5〜10nmであることを特徴とする、請求項4に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項10】
前記酸化マンガンナノ粒子直径の分布の標準偏差が10%以下であることを特徴とする、請求項6に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項11】
前記酸化マンガンナノ粒子直径の分布の標準偏差が5%以下であることを特徴とする、請求項7に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項12】
生体適合性物質層を含む前記T1造影剤の直径が500nm以下であることを特徴とする、請求項5に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項13】
前記T1造影剤が細胞造影剤であることを特徴とする、請求項1、2、4および9のいずれか1項に記載の磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項14】
i)C4−25カルボキシレート−マンガン錯化合物(Mn-C4-25 Carboxylate complex)を熱分解させ、C6−26芳香族炭化水素、C6−26エーテル、C6−25脂肪族炭化水素、C6−26アルコール、c6−26チオール、およびC6−25アミンよりなる群から選ばれる有機溶媒に分散した直径35nm以下の酸化マンガンナノ粒子を製造する段階とii)前記酸化マンガンナノ粒子を生体適合性物質で被覆させる段階とを含むことを特徴とする、磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤の製造方法。
【請求項15】
前記i)段階の有機溶媒が、クロロホルム、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項14に記載の磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤の製造方法。
【請求項16】
前記ii)段階の生体適合性物質が、ポリビニルアルコール、ポリラクチド(polylactide)、ポリグリコライド(polyglycolide)、ポリラクチドコグリコライド(poly(lactide-coglycolide))、ポリアンヒドリド(polyanhydride)、ポリエステル(polyester)、ポリエーテルエステル(polyetherester)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリエステルアミド(polyesteramide)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリウレタン(polyurethane)、ポリビニルフルオリド(polyvinyl fluoride)、ポリビニルイミダゾール(poly(vinyl imidazole))、クロロスルホネートポリオレフィン(chlorosulphonate polyolefin)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリエチレングリコール(poly(ethylene glycol))、デキストラン(dextran) 、これらの混合物およびこれらの共重合体よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項14に記載の磁気共鳴映像T1造影剤の製造方法。
【請求項17】
前記生体適合性物質がポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項14に記載の磁気共鳴映像T1造影剤の製造方法。
【請求項18】
前記生体適合性物質がデキストランであることを特徴とする、請求項14に記載の磁気共鳴映像T1造影剤の製造方法。
【請求項19】
前記酸化マンガンナノ粒子の直径が35nm以下であることを特徴とする、請求項14〜18のいずれか1項に記載の磁気共鳴映像T1造影剤の製造方法。
【請求項20】
前記酸化マンガンナノ粒子の直径が30nm以下であることを特徴とする、請求項14〜18のいずれか1項に記載の磁気共鳴映像T1造影剤の製造方法。
【請求項21】
生体適合性物質層を含む前記T1造影剤の直径が50nm以下であることを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載の磁気共鳴映像T1造影剤の製造方法。
【請求項22】
前記ポリエチレングリコール層の厚さが5〜10nmであることを特徴とする、請求項17に記載の磁気共鳴映像T1造影剤の製造方法。
【請求項23】
前記酸化マンガンナノ粒子直径の分布の標準偏差が10%以下であることを特徴とする、請求項19に記載の磁気共鳴映像T1造影剤の製造方法。
【請求項24】
前記酸化マンガンナノ粒子直径の分布の標準偏差が5%以下であることを特徴とする、請求項20に記載の磁気共鳴映像T1造影剤の製造方法。
【請求項25】
生体適合性物質層を含む前記T1造影剤の直径が500nm以下であることを特徴とする、請求項18に記載の磁気共鳴映像T1造影剤の製造方法。
【請求項26】
前記T1造影剤が細胞造影剤であることを特徴とする、請求項14、15、17および22のいずれか1項に記載の磁気共鳴映像T1造影剤の製造方法。
【請求項27】
生体適合性物質で被覆された酸化マンガンナノ粒子と生理活性物質とを結合させたことを特徴とする、生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項28】
前記生理活性物質が、生体内の標的物質と選択的に結合するタンパク質、RNA、DNAおよび抗体の中から選択される標的指向性物質、細胞自殺誘導遺伝子または毒性タンパク質;蛍光物質;同位元素;光、電磁波、放射線または熱に感応する物質;および薬理活性を示す物質よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項27に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項29】
前記酸化マンガンナノ粒子に結合した生理活性物質が、リツキサン(Rituxan)、ハーセプチン(Herceptin)、オルソクローン(Orthoclone)、レオプロ(Reopro)、ゼナパックス(Zenapax)、シナジス(Synagis)、レミケード(Remicade)、マイロターグ(Mylotarg)、キャンパス(Campath)、エルビタックス(Erbitux)、アバスチン(Avastin)、ゼバリン(Zevalin)、ベクザー(Bexxar)、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項27に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項30】
前記酸化マンガンナノ粒子に結合した生理活性物質が、葉酸、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、上皮成長因子受容体(EGFR)、およびこれらに対するリガンドよりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項27に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項31】
前記酸化マンガンナノ粒子に結合した生理活性物質が、アミロイドβペプチド(Abeta)、RGDアミノ酸配列を有するペプチド、核局在化シグナル(NLS)ペプチド、TATタンパク質、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項27に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項32】
前記酸化マンガンナノ粒子に結合した生理活性物質が、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、プロカルバジン(procarbazine)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、ブレオマイシン(bleomycin)、タクソール(taxol)、プリコマイシン(plicomycin)、マイトマイシン(mitomycin)、エトポシド(etoposide)、タモキシフェン(tamoxifen)、トランスプラチナム(transplatinum)、ビンブラスチン(vinblastin)、メトトレキサート(methotrexate)、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項27に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項33】
前記生体適合性物質が、ポリビニルアルコール、ポリラクチド(polylactide)、ポリグリコライド(polyglycolide)、ポリラクチドコグリコライド(poly(lactide-coglycolide))、ポリアンヒドリド(polyanhydride)、ポリエステル(polyester)、ポリエーテルエステル(polyetherester)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリエステルアミド(polyesteramide)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリウレタン(polyurethane)、ポリビニルフルオリド(polyvinyl fluoride)、ポリビニルイミダゾール(poly(vinyl imidazole))、クロロスルホネートポリオレフィン(chlorosulphonate polyolefin)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリエチレングリコール(poly(ethylene glycol))、デキストラン(dextran) 、これらの混合物およびこれらの共重合体よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項27に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項34】
前記生体適合性物質がポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項27に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項35】
前記生体適合性物質がデキストランであることを特徴とする、請求項27に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項36】
前記酸化マンガンナノ粒子の直径が35nm以下であることを特徴とする、請求項27〜35のいずれか1項に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項37】
前記酸化マンガンナノ粒子の直径が30nm以下であることを特徴とする、請求項27〜35のいずれか1項に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項38】
生体適合性物質層を含む前記T1造影剤の直径が50nm以下であることを特徴とする、請求項27〜35のいずれか1項に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項39】
前記ポリエチレングリコール層の厚さが5〜10nmであることを特徴とする、請求項34に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項40】
前記酸化マンガンナノ粒子直径の分布の標準偏差が10%以下であることを特徴とする、請求項36に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項41】
前記酸化マンガンナノ粒子直径の分布の標準偏差が5%以下であることを特徴とする、請求項37に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項42】
生体適合性物質層を含む前記T1造影剤の直径が500nm以下であることを特徴とする、請求項35に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項43】
前記T1造影剤が細胞造影剤であることを特徴とする、請求項27〜35のいずれか1項に記載の生理活性物質が結合した磁気共鳴映像T1造影剤。
【請求項44】
酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤を使用する、動物細胞に対する磁気共鳴映像T1造影方法。
【請求項45】
酸化マンガン(MnO)ナノ粒子を含む磁気共鳴映像(MRI)T1造影剤を使用する、動物血管に対する磁気共鳴映像T1造影方法。
【請求項46】
前記酸化マンガンナノ粒子がポリエチレングリコールで被覆されたことを特徴とする、請求項44に記載の動物細胞に対する磁気共鳴映像T1造影方法。
【請求項47】
前記酸化マンガンナノ粒子がデキストランで被覆されたことを特徴とする、請求項45に記載の動物血管に対する磁気共鳴映像T1造影方法。


【図2】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2010−516760(P2010−516760A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547179(P2009−547179)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/KR2008/000574
【国際公開番号】WO2008/093999
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(503317485)ソウル ナショナル ユニバーシティー インダストリー ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】