説明

酸化亜鉛を含む安定な日焼け止め組成物

日焼け止めエマルジョンの油相内に取り込まれ、かつ0.1重量%にも満たない水溶性を示す少なくとも一つの水不溶性の有機紫外線(UV)吸収剤を含んだ安定な水中油型(O-W)エマルジョンを主成分とする日焼け止め組成物、すなわち、i) その表面が、無機酸化物および疎水性物質によって予めコーティングされておらず、かつ日焼け止めエマルジョンの水相内で分散している酸化亜鉛(ZnO)粒子、ii) 酸化亜鉛粒子を分散または解膠することはできるものの、25℃での水性組成物の粘度、すなわち、水性組成物に含まれる親水性ポリマーと水との合計重量の1%の量のポリマーを加え、ブルックフィールド粘度計を用いて、10rpmで、15秒間かけて測定した粘度を100cpsより大きくすることができない、少なくとも一つの非起泡性または低起泡性の非カチオン性親水性ポリマー、iii) 粒子状物質に対する分散剤または解膠剤として機能し、かつ油水界面で吸着することができる少なくとも一つのフェノール性ポリマー、および、v) 日焼け止めエマルジョンの水相のための緩衝剤、を含む日焼け止め組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
紫外線Aを吸収することができる両性金属酸化物である酸化亜鉛(ZnO)は、日焼け防止製品への使用が認可された数少ない紫外線A用の日焼け止め剤の一つである。 酸化亜鉛は、比較的低廉であり、しかも、紫外線Aを限定的に選択するにもかかわらず、今日までに、日焼け防止製品へ多用されるには至っていない。 これはすなわち、無垢の酸化亜鉛を含有させた場合に、日焼け止め組成物を安定させることが非常に難しかったことによるものである。 この問題点は、この親水性の粒子状物質が、水性懸濁液において発現する特定の性質に起因している。 従来技術において特許請求されている溶液は、無垢の酸化亜鉛の費用対効果を無視しているにもかかわらず、信頼性に欠け、また、酸化亜鉛粒子を疎水性物質でコーティングしなくてはならなかった。 このように疎水的に改質された酸化亜鉛は、常に、無垢の酸化亜鉛よりもはるかに高価である。 また、所定量の固形の酸化亜鉛を含んだ各一次粒子の表面を完全に覆うことは、実際には不可能である。
【0002】
本願発明は、この問題点に鑑み、概して酸化亜鉛に起因する不安定性の問題点を解消する新規の方法を開示するものであり、すなわち、無垢の酸化亜鉛を含有する安定な水中油型(O-W)日焼け止めエマルジョンのための組成物を提供する。 これらエマルジョンにおいて、酸化亜鉛粒子は、エマルジョンの水相内で、好ましくは、十分に解膠した形態で分散が保たれている。 無垢の酸化亜鉛を用いることで、所要費用が最小限にすることができ、また、解膠した酸化亜鉛粒子は、紫外線などを減退するための大きな表面積を獲得することとなる。 さらに別の利点として、これら日焼け止めエマルジョンは、水中油型日焼け止めエマルジョンに利用されている紫外線吸収剤の組み合わせにおいて、通常認められる日焼け防止指数(SPF)よりもはるかに大きなSPF値を示す。
【背景技術】
【0003】
太陽光の紫外線(UV)が、紅斑、すなわち、日焼けなどの短期的障害から、皮膚ガンのような長期的障害にまで至るヒトの皮膚障害、および/または、皮膚の老化促進などの深刻な事態を招くことはよく知られている。 290nm〜320nmの波長を有し、また、紫外線Bとも称されている紫外線は、紅斑を引き起こすことが知られている。 その一方で、320nm〜400nmの波長を有する紫外線が、露出した皮膚に皮膚ガンをもたらす根本原因であるとする無数の研究報告もなされている。 したがって、太陽光線の長期的および短期的有害作用を回避するために、紫外線Aおよび紫外線Bの双方から皮膚を保護する必要がある。
【0004】
太陽光線に対して皮膚を露出する野外活動向けの好適な日焼け防止用製品を消費者が選択する際の手助けをするために、SPF(日焼け防止指数)の評価システムが開発されている。 このSPF値は、日焼け止め剤を適切に塗布して皮膚が保護される期間を、素肌が日焼けするまでに要する露出時間で割って得た乗数に対応している。 したがって、SPF15の製品を適切に用いることで、通常の素肌の露出期間に比べて15倍もの長い期間にわたって、日焼けにならずに、太陽光線下に留まることができる。
【0005】
近年、前述した紫外線の有害性に関する関心の高まりもあって、日焼け止め製品の利用の拡大がめざましく、特に、消費者は、すべての紫外線領域、すなわち、290nm〜400nmの範囲の紫外線に対して保護作用を奏するものを好んで使っている。 それにもかかわらず、様々な国の関係当局によって、日焼け止め製品への使用が許可されている紫外線B吸収物質は幾つかあるものの、認可された紫外線A吸収剤の数は僅かしかない。 これら認可された紫外線A吸収剤の内の一つが、両性金属酸化物の酸化亜鉛(ZnO)である。
【0006】
ローションやクリームの形態のパーソナルケア製品および化粧品の大半は、水中油型(O-W)または油中水型(W-O)エマルジョンのいずれかであり、その多くが、水中油型エマルジョンである。 これらの水中油型エマルジョンを主成分とする組成物の大半が、乳化剤や増粘剤などの様々な添加物を含んでおり、その多くが、負荷電、すなわち、アニオン性官能基を有している。 陽イオン界面活性剤、ポリマー、および、粒子状固体などの正電荷を有する成分、すなわち、カチオン性成分を、比較的高用量で、アニオン性乳化剤や増粘剤を含むエマルジョンに加えると、エマルジョンを不安定にしてしまう可能性が大きい。 製剤内での逆帯電した成分間の静電気引力は、これら成分の無能力および/または不溶性を招き、その結果、不安定なエマルジョンが生成することとなる。
【0007】
概して、このような不安定性は、エマルジョンの油相および/または水相の分離、他の可溶性物質の沈殿、固形粒子状物質の分離、つまり、エマルジョン内で懸濁したままの固形粒子状物質の出現、エマルジョンの望ましくない希薄化、エマルジョンの過剰な濃厚化、および、pHの変化などの様々な形態で現れてくる。 幾つかの不安定性の問題は、水中油型エマルジョンの水相に、大量のアニオン性添加物および/または電解質感受性添加物と共に、比較的に大量の溶解カチオン、特に、多価カチオンが含まれている場合に起こっている。
【0008】
微細に粉砕した粒子状物質の形態で入手可能な酸化亜鉛は、アニオン性添加物および/または電解質感受性添加物を含ませた安定な水中油型エマルジョンの製造の際に、厄介な問題点を招く性状を示す。 酸化亜鉛粒子は、水または電解質溶液に懸濁させると、広範なpHにおいて、その表面にカチオン電荷を有する傾向がある。 また、亜鉛カチオンの最小溶解pHが、9.5〜10.5と非常に高く、このことは、たいていのパーソナルケア製品が示す一般的なpH範囲であるpH6〜9の条件下では、固体の酸化亜鉛からの亜鉛カチオンの溶出が促されかねないことを意味している。 酸化亜鉛由来の亜鉛カチオンの溶出が、水中油型エマルジョンのためのアニオン性乳化剤として汎用されている特定のアニオン性界面活性剤、すなわち、リン酸基、カルボン酸基、フェノラート基、および、ホスホン酸基などを有するアニオン性界面活性剤の存在下で促されることも、問題をさらに複雑にしている。
【0009】
この問題点が解消されない限りは、上記した酸化亜鉛が奏する不都合な作用は、水中油型エマルジョンの水相に酸化亜鉛粒子が分散している場合に、最も大きな影響を及ぼすであろう。 換言すれば、エマルジョンの安定性に対する酸化亜鉛がもたらす悪影響は、米国特許第6,464,965号で教示されているようにして、酸化亜鉛粒子を、エマルジョンの油相内に取り込ませ、そして、エマルジョンの水相へのその移行を妨げることによって、最小限にすることができる。 しかしながら、これら粒子の表面は親水性であるので、これらを油相に分散させるには、疎水性物質(例えば、シラン)の共有結合を介した表面の疎水性改質、および/または、湿潤剤または分散剤の使用が必要となる。 ところが、これら手法は、さらに多大の費用を必要とするのみならず、信頼性に欠け、そして、その他にも、以下に示した理由から様々な製剤面での問題点を抱えている。
【0010】
i) 通常の固液混合プロセスを用いた大量生産を行っている間は、所定量の固形の酸化亜鉛が含んでいるすべての一次(単一の)酸化亜鉛粒子の表面を、疎水性表面改質剤の共有結合を介して完全にコーティングすることは不可能であること。
【0011】
ii) コーティングした酸化亜鉛は、無垢の酸化亜鉛よりも、はるかに高価であること。
【0012】
iii) 疎水性または油性の液体に無垢の酸化亜鉛粒子を分散させるために用いる有効な湿潤剤または分散剤として、油中水型(W-O)エマルジョンのための乳化剤としての用途も見出すことができる界面活性剤および/またはポリマーがある。 水中油型日焼け止めエマルジョンに、これら油中水型乳化剤が過剰量で存在する(比較的高用量の酸化亜鉛が存在する)ことは、エマルジョンの安定化を困難にするであろうし、このことは、SPF値の大きな日焼け止め製品など、エマルジョンの油相含量が比較的に多い場合により深刻になるであろう。 水中油型乳化剤を増量することで、油中水型乳化剤の影響を弱めることになるが、付随して増大する水中油型乳化剤の洗浄力は、たいていの日焼け止め製品において最も重要な性能である良好な撥水性を、日焼け止め剤に付与する上での障害となってしまう。
【0013】
酸化亜鉛に起因する不安定性の問題を回避するためのさらに他の方法として、酸化亜鉛と違って、水中油型エマルジョンの安定性を阻害するその他の親水性無機酸化物、例えば、二酸化チタンや二酸化ケイ素で、酸化亜鉛粒子をコーティングする手法がある。 しかしながら、これらコーティングした酸化亜鉛は、無垢の酸化亜鉛よりもかなり高価である。
【0014】
米国特許第6,500,411号には、酸化亜鉛を含んだ粒子状物質、すなわち、エマルジョンを主成分とする日焼け止め組成物のSPF値を増大するための粒子状物質が開示されており、同発明では、それら粒子状物質が、エマルジョンの水相に分散された状態にあること、そして、ある種のフェノール性ポリマーが、これら組成物内での粒子の凝集や軟凝集を妨げる、ことが必要とされている。 この発明は、二酸化チタン(TiO2)のような粒子状物質、スメクタイト粘土のような微粒子状増粘剤、そして、懸濁固形物のための分散剤として用いるリグノスルホン酸塩などのある特定の水溶性フェノール性ポリマーを含む水分散液を、少なくとも一つの有機紫外線吸収剤を含有する日焼け止めエマルジョンに加えると、SPF値が顕著に増大することを実証している。 これとは対照的に、リグノスルホン酸塩を含んでいない点を除けば、上述した粒子状固体と同様の水分散液では、SPF値の増大は認められない。 また、分散剤として、リグノスルホン酸塩の代わりにポリアクリル酸ナトリウムを用いても、SPF値は著しく減少する。 しかしながら、この発明は、本明細書に記載の日焼け止め組成物の安定性に関するいかなる問題点とも関与せず、また関係するものでもない。
【0015】
それにもかかわらず、本願発明の完成に至る研究過程で、上記特許に記載されている酸化亜鉛を含有するタイプの日焼け止め組成物が、安定性に関して異常挙動を示すことを知見するに至り、直感ではあるものの、この安定性が、製造プロセスに関係するように思われた。 その水相に2重量%の酸化亜鉛を含んでいる水中油型日焼け止めエマルジョンを、高剪断ホモジナイザーを用いて製造した場合、良好な安定性は認められなかった。 その一方で、エマルジョンの調製工程で代わりに攪拌機を利用したところ、同じエマルジョンでも、安定性が改善されたものを製造することができた。 安定なエマルジョンを製造する上で、通常は、攪拌機よりも、高剪断ホモジナイザーの方が効率的である。 また、この不安定性は、通常は、水中油型エマルジョンの油相側に出現するのであるが、エマルジョンの油相よりもむしろ、たいていの場合、逆に、エマルジョンの表面に形成される局在または点在した液だまりとして、水相の分離現象になって出現する。
【0016】
前述したエマルジョンが有する独特の安定性は、以下に示す現象に起因するものと推測される。 製造過程でエマルジョン内に空気が取り込まれ、そして、リグノスルホン酸塩のような適度の起泡性を示すポリマーの存在下で、かつ高剪断ホモジナイザーの作用が及ぶ条件下で、超微細な気泡の形態を呈する。 酸化亜鉛の不安定化要因の存在下で、これら超微細な気泡は、ついには合体を果たして、ますます大きくなっていく。 最終的には、エマルジョン試料の表面に到達した無数の気泡が崩壊して、エマルジョン表面に液だまりをまばらに形成する。
【0017】
目下のところ、米国特許第6,500,411号に開示された技術は、酸化亜鉛を使わない市販の日焼け止め製品を製造するために汎用されてはいるが、上記した不安定性の問題が故に、酸化亜鉛を用いた日焼け止め製品の製造への応用、つまり、その実用化にはほど遠い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本願発明の目的とするところは、高レベルの物理化学的安定性を示すのみならず、i)その他の水不溶性の無機物質または水不溶性の有機物質でコーティングされた酸化亜鉛粒子、および、ii)実質的にエマルジョンの油相に含まれている酸化亜鉛粒子を必要としない、酸化亜鉛を含有している水中油型日焼け止めエマルジョン組成物を提供することにある。 また、酸化亜鉛粒子が、エマルジョンの水相内で、好ましくは、十分に解膠した形態で分散が維持されている水中油型日焼け止めエマルジョン、すなわち、酸化亜鉛を含有しているにもかかわらず、安定性に優れた水中油型日焼け止めエマルジョンを提供することも目的としている。
【0019】
たいていの日焼け止め製品は、SPF値を高めるために、高価な上に、油様性および/または油溶性の有機性紫外線吸収剤を高濃度で使用している。 このような日焼け止め剤を高濃度で用いると、製品の原価を押し上げるのみならず、皮膚に油状感が付与されたり、皮膚の炎症を招くなど、商品の訴求性も損ないかねない。 したがって、本願発明のさらに別の目的は、所定の有機性紫外線吸収剤を含んでいても、従来の水中油型日焼け止めエマルジョンよりも高いSPF値を示す水中油型日焼け止めエマルジョン組成物、すなわち、水相に分散させた無垢の酸化亜鉛粒子を有する水中油型日焼け止めエマルジョン組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願発明は、ヒトの皮膚を太陽光線から広域スペクトラムで保護する(すなわち、紫外線Aと紫外線Bの双方の波長領域をカバーする)ための安定な日焼け止め組成物を開示している。 この日焼け止め組成物は、好ましくは、水中油型(O-W)エマルジョンの形態で製造されるものであって、紫外線A吸収剤として無垢の酸化亜鉛(ZnO)を、また、好ましくは、少なくとも一つの紫外線B吸収剤と共に含んでおり、そして、SPF値を増進する性質を本質的に兼ね備えている。 好適な実施態様によれば、この酸化亜鉛粒子は、水中油型エマルジョンの水相(連続相)内で、好ましくは、十分に解膠した形態で分散が保たれている。 起泡性および/または乳化性を示さないある特定の親水性ポリマーを、酸化亜鉛粒子の解膠を促す分散剤として用いる。 これら日焼け止めエマルジョンは、酸化亜鉛以外の少なくとも一つのその他の無機性および/または有機性粒子状物質をさらに含むことができる。 好ましくは、酸化亜鉛以外の粒子状物質は、水中油型エマルジョンに対して乳化剤としても機能することができる特定の水溶性フェノール性ポリマーから選択された一つまたはそれ以上の分散剤による表面改質作用が及ぶ状況下で、エマルジョンの水相内で、十分に解膠した形態で分散が保たれている。 これらエマルジョンに含まれる紫外線有機吸収剤は、これらエマルジョンの油相内に溶解したままとなる。 これらエマルジョンは、乳化剤、皮膚軟化剤、脂肪アルコールおよびエステル、水相増粘剤、油相増粘剤、グリコールやグリセリンなどの親水性有機液剤、キレート剤、防水剤、造膜剤、緩衝剤、保湿剤、知覚特性増進剤、酸化防止剤、ビタミン、および、防腐剤をさらに含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本願発明は、エマルジョンの水相内に無垢の酸化亜鉛を含み、そして、高いSPF値を示す日焼け止め組成物、すなわち、安定な水中油型(O-W)エマルジョンを主成分とする日焼け止め組成物に関する。 本願発明の最も好適な実施態様によれば、これら日焼け止めエマルジョンは、以下の組成面での要件をすべて満たしている。
【0022】
i) 無垢の酸化亜鉛粒子は、エマルジョンの水相内において、当該粒子に対して分散剤/解膠剤としても機能することができる一つまたはそれ以上の親水性ポリマーによる表面改質作用が及ぶ状況下で、起泡性および/または乳化性を発現させない上で必須のポリマーによって、十分に解膠した粒子として分散が保たれている。 この酸化亜鉛粒子の平均一次粒子サイズは、好ましくは、<3ミクロン、より好ましくは、1ミクロン未満、そして、最も好ましくは、0.5ミクロン未満である。 好ましい親水性ポリマーとして、1,000〜500,000ダルトンの範囲の重量平均分子量(MW)を有するポリカルボン酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、ポリエチレングリコール、および、ポリビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマーなどがあるが、これらに限定されない。 本願発明の目的に対して最も好ましいポリマーは、5,000〜50,000ダルトンの範囲の重量平均分子量(MW)を有するポリアクリル酸ナトリウムである。 日焼け止めエマルジョンに含まれている無垢の酸化亜鉛の量は、当該エマルジョン重量の2〜25%の量とすることができる。 日焼け止めエマルジョンに含まれている親水性ポリマーの量は、無垢の酸化亜鉛の重量の約0.1%〜約100%、より好ましくは、約1%〜約50%、そして、最も好ましくは、約10%〜約30%である。
【0023】
ii) このエマルジョンの水相は、リグノスルホン酸塩、リグニン、オキシリグニン、フミン酸塩、および、これらのコポリマーを含んだ誘導体からなるグループから選択された一つまたはそれ以上のフェノール性ポリマーをさらに含む。 これらポリマーは、それらが、様々な無機性および有機性粒子状物質の分散剤としてのみならず、油水界面にて吸着ができる乳化剤としても機能できるようにする上で必要である。
【0024】
iii) 日焼け止めエマルジョンに含まれているフェノール性ポリマーの量は、エマルジョンの重量の約0.01%〜約1%、より好ましくは、約0.05%〜約0.5%、そして、最も好ましくは、約0.1%〜約0.3%である。
【0025】
iv) 酸化亜鉛に対する分散剤として用いるポリマーは、前出のフェノール性ポリマーに対して相溶性である。 すなわち、水性溶液を混合しても、相分離は起こらず、また、これらポリマーの沈殿も生成しない。
【0026】
v) 好ましくは、日焼け止めエマルジョンの水相は、日焼け止めエマルジョンの0.05〜3重量%の濃度で緩衝剤を含んでいる。
【0027】
vi) 前述したフェノール性ポリマー以外に、日焼け止めエマルジョンを製造するために用いた乳化剤は、好ましくは、金属キレート官能基を含んでおらず、その例として、リン酸基、カルボン酸基、フェノラート基、および、ホスホン酸基などがあるが、これらに限定されない。 本願発明の目的に対して好適な乳化剤として、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルカリルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリアルキルグルコシド、エトキシ化アルキルエステル、および、グリセリルエステルなどがあるが、これらに限定されない。 アルキル基は、通常、8〜18個の炭素原子を有しており、また、不飽和である。 乳化剤の濃度は、好ましくは、日焼け止めエマルジョンの約0.05%〜約30%、より好ましくは、約0.1%〜約20%、そして、最も好ましくは、約0.5%〜約10重量%である。
【0028】
vii) エマルジョンのpHは、好ましくは、7.5〜10の範囲であり、より好ましくは、8〜9.5の範囲であり、そして、最も好ましくは、8.5〜9の範囲である。
【0029】
上記した組成上のすべての要件を満たさないと、従来技術の組成物で認められた制約の解消など、本願発明が奏するすべての効果が引き出されることはない。 例えば、組成上の要件(i)-(v)だけを充足しても、安定な日焼け止めエマルジョンの生成には至らず、組成上の要件(vi)および(vii)についても充足させておく必要がある。
【0030】
また、米国特許第6,500,411号の比較例からも明らかなように、エマルジョンの水相に分散した粒子状物質を有する日焼け止めエマルジョンは、その粒子状物質に対する分散剤として、リグノスルホン酸塩よりも、むしろポリアクリル酸ナトリウムを用いた場合でも、SPF値の顕著な増大は認められていない。 言い方を変えれば、日焼け止め組成物が、そこに含まれている粒子状物質に対する分散剤として、上述した一つまたはそれ以上のフェノール性ポリマーを含んでいなければ、SPF値の増大は望むべくもない。
【0031】
その一方で、酸化亜鉛を含有している日焼け止めエマルジョンに、これらフェノール性ポリマーが、比較的に高濃度で存在すると、(解膠している比較的に多量の粒子状物質に、これらポリマーだけを用いる場合に認められるような)、過剰の空気の取り込みを招き、そのことが、安定性に関わる様々な問題点が引き起こされることとなる。 換言すれば、日焼け止めエマルジョンが、紫外線A吸収剤として、最小量の2重量%の酸化亜鉛を含んでいるのであれば、エマルジョンの安定性を確保するために、酸化亜鉛に対する分散剤として、低起泡性の親水性ポリマー、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムを使用しなくてはならない。
【0032】
これまでに使用してきた「無垢の酸化亜鉛」という用語は、本願発明の日焼け止め組成物で利用する以前において、その粒子表面が、無機物質および/または有機物質でコーティングされていない特定の酸化亜鉛の固形物を指す。 「分散剤」の用語は、液体内で懸濁している粒子状物質の凝集または軟凝集を効果的に最小ならしめる添加物を指す。 この効果を引き出すためには、通常、コロイド学の教科書にも記載されているように、懸濁した粒子の表面に添加物が吸着し、そして、粒子間に静電気的および/または立体的反発作用を促す必要がある。 大半の粒子状物質に関して、添加物の分散剤としての効果を評価は、添加物の共存下および非共存下で、濃縮(>25重量%)懸濁液の粘度を測定する手法で決定されている。 添加物を加えて懸濁液の粘度が急激に低下するようであれば、その添加物は、効果的な分散剤と考えられる。 「乳化剤」の用語は、一方の液体(例えば、油)に対して混和しない他方の液体(例えば、水)に加えられた一方の液体を効果的に乳化することができ、それにより、他方の液体に加えられた一方の液体のエマルジョン、すなわち、エマルジョン内の二つの液相の相分離を長期間にわたって招かない安定なエマルジョンを生成する添加物を指す。 「SPF値の増大」の用語は、通常の用量レベルでは、添加物それ自体が、顕著な紫外線吸収をほとんど示さないにもかかわらず、日焼け止め組成物にその添加物を加えることで、対象となる日焼け止め剤のSPF値が、所定の紫外線吸収剤を含有している日焼け止め剤が示す一般的な数値よりも大きく増大している状態を指す。
【0033】
本願発明の日焼け止めエマルジョンは、酸化亜鉛以外の一つまたはそれ以上の粒子状物質(水不溶性)、すなわち、好ましくは、5ミクロン未満、より好ましくは、0.5ミクロン未満、そして、最も好ましくは、0.1ミクロン未満の平均一次粒子サイズという1ミクロン未満の大きさの粒子を、粒子状物質に対する分散剤として機能する一つまたはそれ以上の上述したフェノール性ポリマーによる表面改質作用が及ぶ状況下で解膠してなる粒子状物質をさらに含むことができる。 好ましい粒子状物質として、無機酸化物、ケイ酸塩鉱物、および、水不溶性無機塩類などがあるが、これらに限定されず、また、それらの例として、二酸化チタン, ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、アルミナ、シリカ、三水和アルミナ、ベントナイト、カオリナイト、タルク、酸化セリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、および、様々なラテックスポリマーなどがあるが、これらに限定されない。 日焼け止めエマルジョンに含まれるこれら粒子状物質の量は、このエマルジョンの0.05〜3重量%、好ましくは、0.1〜2重量%、そして、最も好ましくは、0.5〜1重量%の範囲で加減することができる。
【0034】
本願発明の日焼け止めエマルジョンに、スメクタイト粘土、および、高分子および/または架橋ポリマーなどの一つまたはそれ以上の水相増粘剤を含ませることもできる。 これら増粘剤ポリマーは、好ましくは、疎水的に改質されていない。 好ましい増粘剤ポリマーとして、架橋ポリアクリル酸塩(カルボポール 980:B.F.グッドリッチ社)、キサンタンガム、多糖(セルロースポリマー:アメルコール社)、ポリエチレングリコール、および、ポリアクリルアミドなどがあるが、これらに限定されない。 好ましい増粘剤ポリマーの内でも、最も好ましいポリマーは、カルボン酸基、リン酸基、フェノラート基、および、ホスホン酸基などの金属キレート官能基を含まないポリマー、あるいは、これら官能基を僅かな量でしか含まないポリマーである。 水相増粘剤は、本願発明の日焼け止め組成物の0.01〜5重量%、好ましくは、0.05〜2重量%、そして、最も好ましくは、0.1〜1重量%の量で用いることができる。
【0035】
本願発明の日焼け止めエマルジョンは、皮膚軟化剤、脂肪アルコールおよびエステル、有機粘土、ワックス、および、ポリマー増粘剤などの油相増粘剤、グリコールおよびグリセリンなどの親水性液体、キレート剤、防水剤、造膜剤、保湿剤、知覚特性増進剤、酸化防止剤、ビタミン、防腐剤、香料、および、着色顔料および染料をさらに含む。
【実施例】
【0036】
以下の実施例において、本願発明に属する好適な実施態様をさらに詳細に例示する。 これら実施例は、例示目的のものでしかなく、これらに基づいて本願発明を限定的に解釈すべきではなく、また、本願発明の範囲と趣旨から逸脱しない限りは、多様な変更を加えることが可能である。
【0037】
実施例1
本実施例は、以下の組成物(表1)と、本願発明の日焼け止め組成物を製造するために日焼け止めエマルジョン製剤に取り込まれる水分散液、すなわち、無垢の酸化亜鉛、二酸化チタン(TiO2)、および、スメクタイト粘土の混合物である水分散液の製造方法を示すものである。
【0038】
【表1】

製造手順
・ 適当な容器内で、表1に記載の順序に従って、A相の原材料を混ぜ合わせる。
【0039】
・ 固形のホウ砂が完全に溶解するまで、電動式ホモジナイザー(シルヴァーソンホモジナイザー)で入念に攪拌する。
【0040】
・ 4,000rpmで原材料を均質化しながら、B相の一部を加える。 30℃以下の温度を維持しながら、すべての酸化亜鉛が加えられた原材料に対する混合/均質化の作業を、少なくとも15分間かけて行う。
【0041】
・ 30℃以下の温度を維持しながら、5,000〜7,500rpmで原材料を均質化しながら、C相の一部を加える。
【0042】
・ 均質状態になるまで、あるいは、塊状物が認められなくなるまで、均質化の作業を続ける。
【0043】
・ 30℃以下の温度を維持しつつ、原材料を均質化しながら、D相の一部を加える。
【0044】
・ D相が完全に溶解すれば、原材料の均質化を続けながら、E相の一部を加える。
【0045】
・ すべての二酸化チタンを加え次第に、ホモジナイザーの回転速度を8,000rpmにまで上昇させ、そして、原材料の均質化の作業を、少なくとも10分間かけて行う。
【0046】
・ 原材料表(表1)に記載の順序に従って、F相の全原材料を加え、そして、入念に混ぜ合わせる。
【0047】
・ ホモジナイザーの回転速度を3,000rpmにまで落としてから、G相の原材料を加える。 30℃以下の温度を維持しながら、さらに30分間かけて混合を行う。
【0048】
前述した酸化亜鉛の水分散液を用いたパーソナルケア製品および化粧品の例として、油中水型エマルジョンやシリコーン中水型エマルジョンなどのエマルジョンの水相に酸化亜鉛を含んでなるエマルジョンを主成分とする製品があるが、これらに限定されない。
【0049】
実施例2
本実施例は、以下の組成物と、本願発明の安定な日焼け止めエマルジョンの製造方法を示すものである。 これら日焼け止めエマルジョンは、約2重量%の酸化亜鉛を含んでいる。 また、これら日焼け止めエマルジョンは、スメクタイト粘土、水相増粘剤としてのキサンタンガム、それに、様々な原材料のためのアニオン性乳化剤やセテアリル硫酸ナトリウムをさらに含んでいる。 これらエマルジョンが良好な安定性を示すことは、以下の安定性試験によって証明されている。
【0050】
i) エマルジョン試料を60℃にまで加熱し、次いで、3,000rpmで、30分間かけて遠心分離する。
【0051】
ii) 試料を、一晩かけて、−15℃で凍結し、次いで、室温下で解凍する。
【0052】
iii) 45℃で、90日間、試料を保存する。
【0053】
【表2】

製造手順
・ 適当な容器内で、A相(水相)の原材料を混ぜ合わせる。
【0054】
・ 電動式ホモジナイザー(シルヴァーソンホモジナイザー)で均質化を図りながら、水相を90℃にまで加熱し始める。
【0055】
・ これとは別に、ポリエチレン以外のすべてのB相(油相)の原材料を混ぜ合わせ、そして、緩慢な攪拌を行いながら、油相を90℃にまで加熱し始める。
【0056】
・ 油相の温度が約80℃にまで加熱でき次第に、ポリエチレンを油相に加える。 油相が、90℃になるまで加熱を行う。
【0057】
・ ポリエチレンを完全に融解でき次第に、油相全体を混合し、そして、加熱した油相を、加熱した水相に加える。
【0058】
・ 少なくとも10〜15分間、シルヴァーソンで原材料の均質化を図る。
【0059】
・ プロペラ翼攪拌で行いながら、原材料を冷却し始める。
【0060】
・ 約45℃にまで冷却でき次第に、C相(追加の)原材料を加える。 よく混合する。
【0061】
・ 原材料の混合を続けながら、D相を加える。 原材料が均質になるまで、十分に混合する。
【0062】
SPFデータ
エマルジョン1および2(表2)を、米国連邦医薬品局のプロトコールに従って三名のパネリストが参加するSPF試験、すなわち、超耐水性、in vivoのSPF試験に供した(試験は、ニューヨーク州のカンターリサーチラボラトリーズ社で行った)。 これら試験の結果を表3に示したが、そこでは、双方の日焼け止めエマルジョンについて、良好な耐水性が実証されている。 また、当業者であっても、これらエマルジョンにおいて用いられている後出の日焼け止め成分の組み合わせが、水中油型エマルジョンを主成分とする日焼け止め組成物において、52のSPF値を得ようなどということは、通常では想到できないであろう。 表4に、水中油型エマルジョンを主成分とし、かつ様々な日焼け止め成分の組み合わせを含む幾つかの市販の日焼け止め製品のSPF値を示している。 本願発明の日焼け止め組成物(7.5% ケイ皮酸オクチルメトキシ、5% サリチル酸オクチル、および、6% オキシベンゾン、表2)が示すSPF値に匹敵するSPF値を表4に示した市販製剤において得る上で、非常に高活性な日焼け止め成分(紫外線吸収剤)が必要であることは、表4の商品番号2および3からも明らかである。
【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

実施例3
本実施例は、スメクタイト粘土、キサンタンガム、および、架橋アクリル酸塩(カルボポール 980)を水相増粘剤として用いた本願発明の安定な日焼け止めエマルジョンの組成物を示すものである。 利用した乳化剤として、アニオン性乳化剤、すなわち、セテアリル硫酸ナトリウムがある。 2重量%の酸化亜鉛を含んでいるにもかかわらず、以下の安定性試験に供しても、油相または水相のいずれにおいても、明瞭な分離は認められなかった。
【0065】
i) エマルジョン試料を60℃にまで加熱し、次いで、3,000rpmで、30分間かけて遠心分離する。
【0066】
ii) 45℃で、90日間、試料を保存する。
【0067】
【表5】

実施例4
本実施例は、5重量%の酸化亜鉛を含んでいる本願発明の安定な日焼け止めエマルジョンの組成物を示すものである。 この日焼け止めエマルジョンは、以下の安定性試験に供しても、油相または水相のいずれにおいても、明瞭な分離は認められなかった。
【0068】
iii) エマルジョン試料を60℃にまで加熱し、次いで、3,000rpmで、30分間かけて遠心分離する。
【0069】
iv) 50℃で、30日間、試料を保存する。
【0070】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
日焼け止めエマルジョンの油相内に取り込まれ、かつ0.1重量%未満の水溶性を示す少なくとも一つの水不溶性の有機紫外線(UV)吸収剤を含んだ安定な水中油型(O-W)エマルジョンを主成分とする日焼け止め組成物、すなわち;
i) その表面が、無機酸化物および疎水性物質によって予めコーティングされておらず、かつ日焼け止めエマルジョンの水相内で分散している酸化亜鉛(ZnO)粒子、
ii) 酸化亜鉛粒子を分散または解膠することはできるものの、25℃での水性組成物の粘度、すなわち、水性組成物に含まれる親水性ポリマーと水との合計重量の1%の量のポリマーを加え、ブルックフィールド粘度計を用いて、10rpmで、15秒間かけて測定した粘度を100cpsより大きくすることができない、少なくとも一つの非起泡性または低起泡性の非カチオン性親水性ポリマー、
iii) 粒子状物質に対する分散剤または解膠剤として機能し、かつ油水界面で吸着することができる少なくとも一つのフェノール性ポリマー、および
v) 日焼け止めエマルジョンの水相のための緩衝剤、を含む日焼け止め組成物。
【請求項2】
その2〜25重量%が、2マイクロメーター(ミクロン)未満の平均粒径を有する酸化亜鉛粒子である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
その0.01〜10重量%が、非起泡性または低起泡性の親水性ポリマー、すなわち、1,000〜50,000ダルトンの範囲の分子量のポリアクリル酸ナトリウムである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記フェノール性ポリマーが、リグノスルホン酸塩、リグニン、オキシリグニン、フミン酸塩、および、これらの混合物からなるグループから選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
その0.0005〜1重量%が、フェノール性ポリマーである請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
その1〜60重量%が、油相である請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記有機紫外線吸収剤が、メトキシケイヒ酸オクチル、ホモサラート、オクトクリレン、サリチル酸オクチル、メチルベンジリデンカンファー、フェニルベンジルイマイダゾールスルホン酸、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、アントラニル酸メチル、アボベンゾン、および、これらの混合物からなるグループから選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
その0.1〜5重量%が、緩衝剤、すなわち、ホウ砂である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
日焼け止めエマルジョンの水相内で分散している一つまたはそれ以上の物質、すなわち、酸化亜鉛ではない粒子状物質をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
酸化亜鉛ではない粒子状物質が、5ミクロン未満の平均粒径を有する粒子状物質、すなわち、無機酸化物、ケイ酸塩鉱物、水不溶性無機塩類、および、有機ラテックスポリマーからなるグループから選択される請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
その0.05〜3重量%が、酸化亜鉛ではない粒子状物質である請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を製造する際に添加物として取り込まれる水分散液のための組成物、すなわち;
i) 水、
ii) その表面が、無機酸化物および疎水性物質によって予めコーティングされておらず、かつ日焼け止めエマルジョンの水相内で分散している酸化亜鉛(ZnO)粒子、
iii) 酸化亜鉛粒子のための分散剤または解膠剤として機能することはできるものの、25℃での水性組成物の粘度、すなわち、水性組成物に含まれる親水性ポリマーと水との合計重量の1%の量のポリマーを加え、ブルックフィールド粘度計を用いて、10rpmで、15秒間かけて測定した粘度を100cpsより大きくすることができない、一つまたはそれ以上の非起泡性または低起泡性の親水性ポリマー、
iv) 粒子状物質を分散または解膠することができ、かつ油水界面で吸着する一つまたはそれ以上のフェノール性ポリマー、および
v) 緩衝剤、を含む組成物。
【請求項13】
その2〜60重量%が、2マイクロメーター(ミクロン)未満の平均粒径を有する酸化亜鉛粒子である請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
その0.02〜30重量%が、非起泡性または低起泡性の親水性ポリマー、すなわち、1,000〜50,000ダルトンの範囲の分子量のポリアクリル酸ナトリウムである請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記フェノール性ポリマーが、リグノスルホン酸塩、リグニン、オキシリグニン、フミン酸塩、および、これらの混合物からなるグループから選択される請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
その0.01〜30重量%が、フェノール性ポリマーである請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
その0.5〜10重量%が、緩衝剤、すなわち、ホウ砂である請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
一つまたはそれ以上の粒子状物質、すなわち、酸化亜鉛ではない粒子状物質をさらに含む請求項12に記載の組成物。
【請求項19】
酸化亜鉛ではない粒子状物質が、5ミクロン未満の平均粒径を有する粒子状物質、すなわち、無機酸化物、ケイ酸塩鉱物、水不溶性無機塩類、および、有機ラテックスポリマーからなるグループから選択される請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
その0.1〜30重量%が、酸化亜鉛ではない粒子状物質である請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
油中水型エマルジョンを主成分とする日焼け止め組成物の水相内に取り込まれている請求項12に記載の組成物。
【請求項22】
水中油型エマルジョンを主成分とする日焼け止め組成物の水相内に取り込まれている請求項14に記載の組成物。
【請求項23】
水を主成分とする日焼け止め組成物に取り込まれている請求項16に記載の組成物。
【請求項24】
紫外線から表面を保護する方法であって、請求項1に記載の組成物で当該表面をコーティングすることを含む方法。
【請求項25】
紫外線から表面を保護する方法であって、請求項21に記載の組成物で当該表面をコーティングすることを含む方法。
【請求項26】
紫外線から表面を保護する方法であって、請求項22に記載の組成物で当該表面をコーティングすることを含む方法。
【請求項27】
紫外線から表面を保護する方法であって、請求項23に記載の組成物で当該表面をコーティングすることを含む方法。
【請求項28】
保護対象となる前記表面が、ヒトの皮膚である請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2008−543752(P2008−543752A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515685(P2008−515685)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/007233
【国際公開番号】WO2006/135463
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(500227358)アンコル インターナショナル コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】