説明

酸化亜鉛分散体及び化粧料

【課題】 処方によって増粘を生じやすいという問題を生じることがない酸化亜鉛分散体を提供する。
【解決手段】表面にケイ素酸化物からなる被覆層を形成した酸化亜鉛粒子に対してシリコーン処理を施すことによって得られた粒子を液状シリコーン中に分散させたことを特徴とする酸化亜鉛分散体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化亜鉛分散体及びそれを配合して得られた化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化亜鉛、酸化チタン等の各種の無機粉体は、液状シリコーン及び分散剤を含有する基材を調製し、このような分散体を化粧料調製用の原料として配合することによって化粧料を調製することが行われている(特許文献1,2)。これによって、安定した高い分散安定性を有する酸化亜鉛分散体を得ることができるため、透明感があって自然な仕上がりが得られる化粧料を提供できるものである。
【0003】
化粧品分野において、酸化亜鉛粒子は紫外線遮蔽剤として使用されており、多くの化粧品において汎用されている原料である。このような酸化亜鉛粒子は、表面活性を抑制する目的で表面被覆を行ったものが広く使用されている(特許文献3)。
【0004】
このような酸化亜鉛粒子を液状シリコーン及び分散剤を含有する基材に配合した場合、処方によっては粘度の制御が困難となり、処方上の問題を生じることがある。特に、サンスクリーンで使用することの多い酸化チタンと併用した場合には、増粘という問題が生じやすく、処方設計がしにくいため、酸化亜鉛分散体と酸化チタン分散体のうち、より粘度が高い方の粘度が混合した際の粘度より低くならないことが好ましい。このような増粘という問題を改善するための検討は行われておらず、改良が求められていた。
【0005】
特許文献4,5には、特定の被覆を施した酸化亜鉛と特定の界面活性剤とを併用した化粧料組成物が開示されている。しかし、これらに記載された組成物は、粉体状態の酸化亜鉛を使用して調製されたものであり、酸化亜鉛を液体媒体中に分散させた分散体を調製することは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−83452号公報
【特許文献2】特開2004−2887号公報
【特許文献3】特開平11−302015号公報
【特許文献4】特開2001−58934号公報
【特許文献5】特開2002−60329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑み、処方によって増粘を生じやすいという問題を生じることがない酸化亜鉛分散体を提供することを目的とするものである。特に酸化チタンのシリコーン分散体と混合した際に従来の酸化亜鉛分散体では増粘するという問題があった。本発明は、このような問題の解決を図るものである。
【0008】
本発明者らは酸化チタンのシリコーン分散体と酸化亜鉛のシリコーン分散体を混合した際の増粘の機構について調査した結果、それが化学反応によって引き起こされるのではないことが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、表面にケイ素酸化物からなる被覆層を形成した酸化亜鉛粒子に対してシリコーン処理を施すことによって得られた粒子を液状シリコーン中に分散させたことを特徴とする酸化亜鉛分散体である。
【0010】
上記酸化亜鉛分散体は、イソプロパノール分散中で測定したゼータ電位が−90mV以下である粒子を用いたものであることが好ましい。
上記ケイ素酸化物からなる被覆層は、被覆層を形成し、シリコーン処理を施した酸化亜鉛の重量に対して2〜50重量%であることが好ましい。
上記酸化亜鉛分散体は、更に、シリコーン系分散剤を含有することが好ましい。
上記酸化亜鉛分散体は、更に、酸化チタン粒子を含有するものであってもよい。
上記酸化チタン粒子は、アルミナ及び/又は水酸化アルミニウム処理及びシリコーン処理を施したものであることが好ましい。
【0011】
本発明は、上述した酸化亜鉛分散体を配合して得られたことを特徴とする化粧料でもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、増粘を生じることがない酸化亜鉛分散体を提供することができる。これによって、増粘の問題を生じることなく、酸化亜鉛を配合した化粧料を得ることができる。また、本発明者らは、酸化亜鉛粒子の表面をケイ素酸化物で処理し、表面電位を調整することによって、その増粘が抑制できることを発見し、本発明を完成するに至った。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、表面にケイ素酸化物からなる被覆層を形成した酸化亜鉛粒子に対してシリコーン処理を施すことによって得られた粒子をシリコーンオイル中に分散させた酸化亜鉛分散体である。すなわち、液体媒体としてのシリコーンオイル中に酸化亜鉛を分散させたものである。このような酸化亜鉛分散体は、分散体として調製した後に、水その他の化粧料のその他の配合成分と混合することによって、化粧料を調製することができる。
【0014】
原料として使用することができる酸化亜鉛としては特に限定されず、フランス法、アメリカ法等の公知の方法によって製造された酸化亜鉛を使用することができるが、特に、フランス法によって製造された酸化亜鉛を使用することが不純物が少ない点で好ましい。また、炭酸塩などを加熱焼成するプレカーサー法によって得られた酸化亜鉛は粒子が細かい点からより好ましい。
【0015】
本発明において用いる酸化亜鉛粒子は、表面にケイ素酸化物からなる被覆層を形成して表面電位を変化させたものである。上記被覆層は、ケイ素酸化物による被覆及びシリコーン処理を行った後の酸化亜鉛粒子の重量に対して2〜50重量%、好ましくは、5〜20重量%の範囲でケイ素酸化物からなることが好ましい。上記ケイ素酸化物は、限定されるものではないが、好ましくは、含水ケイ素酸化物である。酸化亜鉛粒子におけるケイ素酸化物の割合が2重量%よりも少ないときは、酸化亜鉛粒子の表面電位の変化が十分でない場合があり、他方、50重量%を越えるときは、得られる酸化亜鉛粒子組成物中の酸化亜鉛濃度が薄くなるため紫外線遮蔽効果が不十分になってしまうおそれがある。
【0016】
上記ケイ素酸化物からなる皮膜の形成方法としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下に示すような方法を挙げることができる。
まず、原料酸化亜鉛粒子の水性懸濁液に、酸化亜鉛とSiOの合計量に対してSiO2 として2〜50重量%の水溶性ケイ酸塩を加える。ついで、温度を60℃以上に保持しつつ、40分以上の時間をかけて酸を中和剤として加えて、pHが6.0〜8.0の範囲となるまで、懸濁液を中和することによって、酸化亜鉛粒子の表面にケイ素酸化物からなる高密度の被覆層を形成して、上記酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0017】
上述した製造方法において、水性懸濁液における原料酸化亜鉛粒子の濃度は、50〜250g/Lの範囲が好ましく、また、原料酸化亜鉛粒子は、サンドミル等の粉砕機によって、十分に粉砕しておくことが望ましい。上記水溶性ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムが好ましく用いられるが、しかし、これらに限定されるものではない。上記中和剤としては、限定されるものではないが、硫酸等の無機酸や、酢酸、シュウ酸等の有機酸が好ましく用いられる。
【0018】
更に、上述した製造方法においては、原料酸化亜鉛粒子の水性懸濁液に水溶性ケイ酸塩を加えた後、これに中和剤として酸を加えて、水溶性ケイ酸塩を中和する際の温度条件と中和剤を加える時間条件(時間幅)が重要である。即ち、本発明によれば、酸化亜鉛粒子の水性懸濁液に水溶性ケイ酸塩を加え、この懸濁液の温度を60℃以上、好ましくは、80℃以上に保持しながら、40分以上、好ましくは、60分以上の時間をかけて、中和剤を加え、pHが6.0〜8.0の範囲まで、懸濁液を中和することによって、含水ケイ素酸化物からなる高密度の被覆層を酸化亜鉛粒子の表面に形成することができる。
【0019】
別の製造方法として、酸化亜鉛粒子の水性懸濁液に、その温度を60℃以上、好ましくは、80℃以上に保持しながら、水溶性ケイ酸塩と中和剤とを、40分以上、好ましくは、60分以上の時間をかけて、同時に加えた後、更に、中和剤を加えて、pHが6.0〜8.0の範囲まで、懸濁液を中和することによっても、含水ケイ素酸化物からなる高密度の被覆層を酸化亜鉛粒子の表面に形成することができる。
【0020】
上記酸化亜鉛粒子においては、ケイ素酸化物からなる被覆層を形成する前に、酸化亜鉛に、上記被覆層の形成を妨げない範囲で、Ti、Zr、Snや、その他の含水酸化物又は酸化物を少量、含有させてもよい。
【0021】
更に、酸化亜鉛の表面にケイ素酸化物からなる被覆層を形成した後、その上に酸化亜鉛に対して0.5〜30重量%、好ましくは、2〜15重量%の範囲のAl、Ti、Zr、Sn、Sb及び希土類元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物からなる第2の被覆層を形成してもよい。上記希土類元素としては、特に限定されるものではないが、例えば、イットリウム、ランタン、セリウム、ネオジム等を挙げることができる。上記第2の被覆層としては、アルミニウムの酸化物からなるものであることが特に好ましい。
【0022】
このような第2の被覆層を有する酸化亜鉛粒子は、ケイ素酸化物からなる被覆層を有する酸化亜鉛粒子の水性懸濁液を調製し、これに上記元素の水溶性化合物の水溶液を加え、酸又はアルカリを中和剤として加えて、上記元素の化合物を中和して、上記酸化亜鉛粒子の表面に上記元素の酸化物からなる被覆層を形成することによって得ることができる。
【0023】
Alの水溶性化合物としては、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等を、Tiの水溶性化合物としては、例えば、チタニル硫酸等を、Zrの水溶性化合物としては、例えば、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム等を、Snの水溶性化合物としては、例えば、塩化スズを、Sbの水溶性化合物としては、例えば、塩化アンチモン等を、また、希土類元素の水溶性化合物としては、例えば、硝酸セリウム等を挙げることができる。
【0024】
上記中和剤である酸としては、前述したものと同じく、硫酸等の無機酸や、酢酸、シュウ酸等の有機酸が好ましく用いられる。他方、上記中和剤であるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等が好ましく用いられる。
【0025】
ケイ素酸化物からなる第1の被覆層を有する酸化亜鉛粒子組成物に上記元素の酸化物からなる第2の被覆層を形成するに際して、2種以上の元素の酸化物からなる被覆層を形成する場合、複数の元素の水溶性化合物の水溶液を用いて、一度に複数の元素の酸化物の混合物からなる被覆層を形成してもよいが、しかし、個々の元素の水溶性化合物の水溶液を用いて、一層ずつ、酸化物からなる被覆層を形成して、第2の被覆層を多層とするのが好ましい。アルミニウム酸化物を含む複数の元素の酸化物からなる被覆層を形成する場合には、アルミニウム酸化物からなる被覆層を最後に形成することが好ましい。
【0026】
本発明において使用する酸化亜鉛粒子は、酸化亜鉛粒子の表面にケイ素酸化物からなる被覆層を形成した後又は上記第2の被覆層を形成した後、酸化亜鉛粒子をシリコーン処理したものである。上記シリコーン処理は、アルキルシラン又はオルガノポリシロキサンで処理することが好ましい。
【0027】
上記アルキルシラン又はオルガノポリシロキサンとしては特に限定されず、例えば、トリエトキシカプリリルシラン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン(信越化学工業社製KF−9908)、(アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリルジメチコン)コポリマー(信越化学工業社製KP−574)、ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(信越化学工業社製KF−9909)、ジメチルポリシロキサン等を挙げることができる。なかでも、ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン(KF−9908)及びトリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(信越化学工業社製KF−9909)のうち少なくとも一種を使用することが好ましい。これらの化合物から、2種以上を組み合わせて使用するものであってもよい。
【0028】
上記アルキルシラン又はオルガノポリシロキサンによる処理方法としては特に限定されず、例えば、被覆酸化亜鉛粒子をイソプロピルアルコール等の溶媒に分散させた後、上記アルキルシラン又はオルガノポリシロキサンを添加する方法や、乾式でミキサーで混合する方法などを挙げることができる。
【0029】
上記表面処理に用いるアルキルシラン又はオルガノポリシロキサンは、当該化合物による処理後の酸化亜鉛粒子に対して、1〜20重量%の範囲であることが好ましく、3〜10重量%の範囲であることがより好ましい。アルキルシラン又はオルガノポリシロキサンが酸化亜鉛に対して1重量%よりも少ないときは、化粧料中の油剤への分散性が不充分となる場合があり、他方、20重量%を越えても、化粧料中の油剤への分散性や撥水性が飽和するので、経済的にも不利となる場合がある。
【0030】
本発明において使用する上述したような処理を施した酸化亜鉛粒子は、高い透明性を有するように、原体として平均一次粒子径が0.15μm以下である酸化亜鉛を使用することが好ましい。酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径が0.15μmより大きいときは、隠蔽力が大きく、白くなり、透明性が低い。また、紫外線遮蔽効果も低くなってしまう。酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径の下限は、特に、限定されるものではないが、通常、0.01μmである。ここに、平均一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡写真の10万倍の視野で一定方向径で定義されるものである。
【0031】
本発明の酸化亜鉛分散体は、上述したような処理を行った酸化亜鉛粒子を液状シリコーン中に分散させたものである。本発明において使用される液状シリコーンは、常温で液体の性状を有するシリコーン化合物であれば特に限定されるものではないが、なかでも、環状シリコーン化合物であることが好ましい。環状でない液状シリコーンの例としては、直鎖状ジメチルポリシロキサン、トリシロキサン、テトラシロキサン、メチルトリメチコン(信越化学工業社製TMF−1.5)、カプリリルメチコン(東レ・ダウコーニング社製FZ−3196、SS−3408)等を挙げることができる。
【0032】
上記環状シリコーン化合物は、メチルシクロポリシロキサンで繰り返し単位が3〜6であるものが好適である。なかでも、繰り返し単位が5である、デカメチルシクロペンタシロキサンが特に好適である。環状シリコーンの配合量は用途や環状シリコーンの種類等によって変化するが、20%〜60%であることが好ましい。
【0033】
本発明の酸化亜鉛分散体に使用する酸化亜鉛は、イソプロパノール(以下、これを「IPA」と記す)に分散させた時のゼータ電位が−90mV以下であることが好ましい。このゼータ電位は粒子の表面電荷が影響を及ぼす限界の部分(すべり面)における電位のことを言い、直接測定することの難しい表面電位の指標となる。
【0034】
本発明の酸化亜鉛分散体において、上記酸化亜鉛粒子は、30〜79.5重量%の割合で含まれることが好ましい。30重量%未満であると、分散媒量が増えるために化粧料に配合する際の処方の自由度が下がってしまう場合がある。79.5重量%を超えると、分散体の粘度が著しく上昇し流動性が失われてしまうおそれがあり、また分散工程の温度管理などが難しくなるおそれがある。
【0035】
本発明の酸化亜鉛分散体においては、分散剤を使用することが好ましい。これによって、酸化亜鉛粒子を好適に液体媒体中に分散させることができる。分散剤は、特に限定されるものではないが、シリコーン系分散剤を使用すると、良好な分散状態が得られる点で特に好ましい。
【0036】
上記シリコーン系分散剤としては、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業製KF−6038,表示名称:ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)、ポリエチレン変性オルガノポリシロキサン((信越化学工業製KF−6028(KF−6028P);表示名称:PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等を挙げることができる。また、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテルリン酸、脂肪酸ポリグリセリン(脂肪酸の炭素数が12〜22で直鎖、分岐を含み、置換脂肪酸数が1〜5で、グリセリンの重合度が2〜10)等の非シリコーン系分散剤も単独又はシリコーン系分散剤と併用して利用できる。
【0037】
上述した以外の分散剤も上記の分散剤と併用できる。分散剤の配合量は分散剤の種類や粉体の量や質、その他配合する原料によって大きく異なるが、酸化亜鉛分散体の重量に対して0.5〜30重量%が好ましい。0.5重量%未満であると高濃度で顔料を含有させることが難しくなったり、分散体の貯蔵安定性が悪くなったりする場合がある。また、30重量%より多いと化粧料配合時の自由度が狭くなったり、化粧料の使用感が悪くなったりする場合がある。
【0038】
本発明の酸化亜鉛分散体においては、この他に油剤を必要により配合してもよい。上記油剤は特に限定はないが、例えば、天然動植物油脂(例えば、オリーブ油、ミンク油、ヒマシ油、パーム油、牛脂、月見草油、ヤシ油、ヒマシ油、カカオ油、マカデミアナッツ油等);蝋(例えば、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等);高級アルコール(例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール等);高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸等;高級脂肪族炭化水素例えば、流動パラフィン、固形パラフィン、スクワラン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等);合成エステル油(例えば、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、ジイソプロピルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテートイソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール);シリコーン誘導体(例えば、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン油)などが例示できる。さらに、油溶性のビタミン、防腐剤、美白剤などを配合することもできる。
【0039】
本発明の酸化亜鉛分散体は、上述したような成分を含む均一相からなる液体媒体中に酸化亜鉛等の粉体成分が分散したものであることが好ましい。すなわち、各種化粧料原料と混合して化粧料を調製する材料として使用すべきものであることから、酸化亜鉛、シリコーンオイル、界面活性剤、その他の油剤以外の成分は配合しないことが好ましい。但し、本発明の分散体としての性能を損なわない範囲内においては、微量成分を添加するものであってもよい。
【0040】
本発明の酸化亜鉛分散体は酸化チタンのシリコーン分散体と併用する際に、増粘しない点で特に有用である。酸化チタンのシリコーン分散体に使用される酸化チタンは、シリカ処理や水酸化アルミニウム処理の内1つ、若しくは両方の無機表面処理が施された上にシリコーン処理を施されたものが一般的に使用されており、本発明の酸化亜鉛分散体はこの酸化チタンのシリコーン分散体に対して、特に有用である。
【0041】
本発明の酸化亜鉛分散体は、酸化亜鉛以外の無機粒子を配合するものであってもよい。併用することができる無機粒子としては特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン等を挙げることができる。
【0042】
特に、酸化チタンを酸化亜鉛と併用した場合には、増粘という問題が顕著になりやすいものであることから、酸化チタンと併用したときに、本発明の効果はより顕著なものとなる。紫外線防御用化粧料における紫外線遮蔽剤として酸化亜鉛を使用する場合には、紫外線の遮蔽域が異なる酸化チタン粒子を併用することが多いため、このような場合に特に本発明は有用なものである。
【0043】
本発明においては、併用して使用する酸化チタン粒子は特に限定されないが、上述したような酸化亜鉛粒子と同様にケイ素酸化物からなる被覆層を設けた酸化チタン粒子;アルミナ及び/又は水酸化アルミニウムからなる層を設けた酸化チタン粒子;第1の被覆層としてケイ素酸化物からなる層を有し、第二の被覆層としてアルミナ及び/又は水酸化アルミニウムからなる層を有する酸化チタン等を挙げることができる。また、シリカ処理やアルミナ及び/又は水酸化アルミニウム処理を行った後、上述したような酸化亜鉛粒子と同様の第2の被覆層を形成するための処理やシリコーン処理を施したものであってもよい。
【0044】
酸化チタン粒子へのケイ素酸化物からなる層の形成、アルミナ及び/又は水酸化アルミニウムからなる層の形成は、上述した酸化亜鉛粒子へのアルミナ及び/又は水酸化アルミニウム処理と同様の方法によって行うことができる。
【0045】
上記酸化チタン粒子は、平均一次粒子径が0.1μm以下のものを使用することが好ましい。酸化チタン粒子の粒子径が0.1μmを超えると、隠蔽力が大きく、白くなり、透明性が低い。酸化チタン粒子の平均一次粒子径の下限は、特に、限定されるものではないが、通常、0.01μmである。なお、平均一次粒子径とは、透過型電子顕微鏡写真の10万倍の視野で一定方向径で定義されるものである。また、この平均一次粒子径は紡錘状酸化チタンの場合には短径方向のサイズが当てはまる。
【0046】
酸化チタン等の酸化亜鉛以外の無機粒子を使用する場合、その配合量は、酸化亜鉛の重量に対して10倍量以下であることが好ましい。10倍量を超えると、酸化亜鉛量が少ないために酸化亜鉛の有する機能を充分に発揮することができない場合がある。
【0047】
酸化チタン等の酸化亜鉛以外の無機粒子を使用する場合、酸化亜鉛を含む無機粒子の合計量が酸化亜鉛分散体全量に対して、30〜79.5重量%であることが好ましい。30重量%未満であると、酸化亜鉛量が少ないために酸化亜鉛の有する機能を充分に発揮することができない場合がある。79.5重量%を超えると、分散が困難になるおそれがある。
【0048】
本発明の酸化亜鉛分散体は、公知の通常の製造方法によって得ることができる。具体的には、原料を混合し、これらをロールミルやビーズミルを用いて充分に分散混合する方法等によって得ることができる。
【0049】
本発明の酸化亜鉛分散体は、化粧品を調製する際の基材として使用することができる。このような酸化亜鉛分散体に、必要に応じて化粧品原料を混合することによって、サンスクリーン剤等の紫外線防御用化粧料;ファンデーション等のベースメイク化粧料;口紅等のポイントメイク化粧料等を得ることができる。このようにして得られた化粧料も本発明の一つである。
【0050】
本発明の化粧料は、油性化粧料、水性化粧料、O/W型化粧料、W/O型化粧料の任意の形態とすることができる。なかでも、サンスクリーン剤において特に好適に使用することができる。
【0051】
上記化粧料は、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用するものであってもよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油剤、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線吸収剤、各種抽出液、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等の成分を含有するものであってもよい。
【0052】
上記油剤としては、上述した各種の物を使用することができる。
上記親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0053】
親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE 脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POE ノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等を挙げることができる。
【0054】
その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、及び、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤を安定性及び皮膚刺激性に問題のない範囲で配合してもよい。
【0055】
上記保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イサイヨバラ抽出物、セイヨウノキギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を挙げることができる。
【0056】
上記高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等を挙げることができる。
【0057】
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1− ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等を挙げることができる。
【0058】
上記天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
【0059】
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等を挙げることができる。
【0060】
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等を挙げることができる。
【0061】
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等を挙げることができる。
【0062】
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3− カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5− メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等を挙げることができる。
【0063】
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アルコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤、;タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤やイオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等を挙げることができる。
【0064】
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグリマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等を挙げることができる
【0065】
上記各種粉体としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等を挙げることができる。好ましくは、官能特性向上、化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理して使用される。また、本発明に該当しない他の酸化亜鉛粒子を混合して使用するものであてもよい。
【実施例】
【0066】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「重量部」を、「%」は特に断りのない限り「重量%」を意味する。
【0067】
ゼータ電位の測定方法
粒子をIPAに10重量%となるように投入し、超音波ホモジナイザーにて3分間分散した。この作製したサンプルを用い、粒度分布・ゼータ電位測定装置DT−1200(Dispersion technology社製)を用いてゼータ電位を測定した。計8回測定し、平均値をその粒子のゼータ電位とした。
【0068】
実施例1
表面にシリカ層を形成した酸化亜鉛粒子に対してジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体処理を施すことによって得られた粒子を作製した。なお、表面処理前の原料酸化亜鉛粒子の比表面積(BET法)は、50m/g、処理前の粒子の平均一次粒子径は0.02μmであり、シリカ層は処理後の粒子全量に対して10重量%、シリコーン層は処理後の粒子全量に対して4重量%であった。その粒子のIPA中でのゼータ電位は−104mVであった。
得られた酸化亜鉛50部、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995、信越化学工業社製)6部、ポリエーテル変性シリコーン(KF−6038、信越化学工業社製)及びφ0.5mmジルコニアビーズ100部をマヨネーズ瓶に入れ、混合した後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で1時間処理した。ビーズを分離することで酸化亜鉛分散体を得た。
【0069】
実施例2
表面にシリカ層を形成した酸化亜鉛粒子に対してジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体処理を施すことによって得られた粒子を作製した。なお、表面処理前の原料酸化亜鉛粒子の比表面積(BET法)は、50m/g、処理前の粒子の平均一次粒子径は0.02μmであり、シリカ層は処理後の粒子全量に対して20重量%、シリコーン層は処理後の粒子全量に対して4重量%であった。その粒子のIPA中でのゼータ電位は−119mVであった。得られた酸化亜鉛50部、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995、信越化学工業社製)6部、ポリエーテル変性シリコーン(KF−6038、信越化学工業社製)及びφ0.5mmジルコニアビーズ100部をマヨネーズ瓶に入れ、混合した後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で1時間処理した。ビーズを分離することで酸化亜鉛分散体を得た。
【0070】
実施例3
表面にシリカ層を形成した酸化亜鉛粒子に対してジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体処理を施すことによって得られた粒子を作製した。なお、表面処理前の原料酸化亜鉛粒子の比表面積(BET法)は、30m/g、処理前の粒子の平均一次粒子径は0.035μmであり、シリカ層は処理後の粒子全量に対して5重量%、シリコーン層は処理後の粒子全量に対して4重量%であった。その粒子のIPA中でのゼータ電位は−133mVであった。得られた酸化亜鉛50部、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995、信越化学工業社製)6部、ポリエーテル変性シリコーン(KF−6038、信越化学工業社製)及びφ0.5mmジルコニアビーズ100部をマヨネーズ瓶に入れ、混合した後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で1時間処理した。ビーズを分離することで酸化亜鉛分散体を得た。
【0071】
比較例1
表面にシリカ層を形成しない酸化亜鉛粒子に対してジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体処理を施すことによって得られた粒子を作製した。なお、表面処理前の原料酸化亜鉛粒子の比表面積(BET法)は、50m/g、処理前の粒子の平均一次粒子径は0.02μmであり、シリコーン層は処理後の粒子全量に対して4重量%であった。その粒子のIPA中でのゼータ電位は−18mVであった。得られた酸化亜鉛50部、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995、信越化学工業社製)6部、ポリエーテル変性シリコーン(KF−6038、信越化学工業社製)及びφ0.5mmジルコニアビーズ100部をマヨネーズ瓶に入れ、混合した後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で1時間処理した。ビーズを分離することで酸化亜鉛分散体を得た。
【0072】
比較例2
表面にシリカ層を形成した酸化亜鉛粒子に対してジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体処理を施すことによって得られた粒子を作製した。なお、表面処理前の原料酸化亜鉛粒子の比表面積(BET法)は、50m/g、処理前の粒子の平均一次粒子径は0.02μmであり、シリカ層は処理後の粒子全量に対して1重量%、シリコーン層は処理後の粒子全量に対して4重量%であった。その粒子のIPA中でのゼータ電位は−44mVであった。
得られた酸化亜鉛50部、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995、信越化学工業社製)6部、ポリエーテル変性シリコーン(KF−6038、信越化学工業社製)及びφ0.5mmジルコニアビーズ100部をマヨネーズ瓶に入れ、混合した後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で1時間処理した。ビーズを分離することで酸化亜鉛分散体を得た。
【0073】
[粘度]
50mlのスクリュー瓶に酸化亜鉛分散体を入れ、B型粘度計(東京計器社製)でローターNo.3を使用し、回転開始から60秒後の粘度を測定した。分散後の粘度(20℃)のデータを表1に示す。
【0074】
[酸化チタンとの混合試験]
疎水化処理酸化チタン(STR−100A−LP、堺化学工業社製)40部、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995、信越化学工業社製)6部、ポリエーテル変性シリコーン(KF−6038、信越化学工業社製)及びφ0.5mmジルコニアビーズ100部をマヨネーズ瓶に入れ、混合した後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で1時間処理した。ビーズを分離することで酸化チタン分散体を得た。なお、表面処理前の原料酸化チタン粒子の比表面積(BET法)は、100m/gの紡錘状(平均一次粒子径は短径が0.02μm、長径が0.1μm)であり、シリカ層は処理後の粒子全量に対して重量8%、水酸化アルミニウム層は処理後の粒子全量に対して4重量%、シリコーン層は処理後の粒子全量に対して4重量%であった。50mlのスクリュー瓶に実施例1〜3及び比較例1、2で作製した酸化亜鉛分散体を各々30g入れ、そこに得られた酸化チタン分散体を各々30g添加した。その後、100回上下に振り混ぜ酸化亜鉛分散体と酸化チタン分散体の混合物を得た。酸化チタン分散体及び混合物をB型粘度計(東京計器社製)でローターNo.3を使用し、回転開始から60秒後の粘度を測定した。粘度(20℃)のデータを表2に示す。
【0075】
疎水化処理酸化チタン(STR−100C−LP、堺化学工業社製)40部、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995、信越化学工業社製)6部、ポリエーテル変性シリコーン(KF−6038、信越化学工業社製)及びφ0.5mmジルコニアビーズ100部をマヨネーズ瓶に入れ、混合した後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で1時間処理した。ビーズを分離することで酸化チタン分散体を得た。なお、表面処理前の原料酸化チタン粒子の比表面積(BET法)は、100m/gの紡錘状(平均一次粒子径は短径が0.02μm、長径が0.1μm)であり、水酸化アルミニウム層は処理後の粒子全量に対して7重量%、シリコーン層は処理後の粒子全量に対して4重量%であった。50mlのスクリュー瓶に実施例1で作製した酸化亜鉛分散体を30g入れ、そこに得られた酸化チタン分散体を30g添加した。その後、100回上下に振り混ぜ酸化亜鉛分散体と酸化チタン分散体の混合物を得た。酸化チタン分散体及び混合物をB型粘度計(東京計器社製)でローターNo.3を使用し、回転開始から60秒後の粘度を測定した。粘度(20℃)のデータを表3に示す。
【0076】
疎水化処理酸化チタン(STR−100W−LP、堺化学工業社製)40部、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995、信越化学工業社製)6部、ポリエーテル変性シリコーン(KF−6038、信越化学工業社製)及びφ0.5mmジルコニアビーズ100部をマヨネーズ瓶に入れ、混合した後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で1時間処理した。ビーズを分離することで酸化チタン分散体を得た。なお、表面処理前の原料酸化チタン粒子の比表面積(BET法)は、100m/gの紡錘状(平均一次粒子径は短径が0.02μm、長径が0.1μm)であり、シリカ層は処理後の粒子全量に対して10重量%、シリコーン層は処理後の粒子全量に対して4重量%であった。50mlのスクリュー瓶に実施例1で作製した酸化亜鉛分散体を30g入れ、そこに得られた酸化チタン分散体を30g添加した。その後、100回上下に振り混ぜ酸化亜鉛分散体と酸化チタン分散体の混合物を得た。酸化チタン分散体及び混合物をB型粘度計(東京計器社製)でローターNo.3を使用し、回転開始から60秒後の粘度を測定した。粘度(20℃)のデータを表4に示す。
【0077】
表2、表3及び表4の結果より、実施例1〜3と酸化チタン分散体との混合物では増粘は見られないが、比較例1、2と酸化チタン分散体との混合物では増粘した。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】


【表4】

【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明により、酸化亜鉛粒子を含有する組成物の増粘を防止することができ、これによって、酸化亜鉛粒子を化粧料に安定して配合することができるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にケイ素酸化物からなる被覆層を形成した酸化亜鉛粒子に対してシリコーン処理を施すことによって得られた粒子を液状シリコーン中に分散させたことを特徴とする酸化亜鉛分散体。
【請求項2】
イソプロパノール中でのゼータ電位が−90mV以下である粒子を用いた請求項1記載の酸化亜鉛分散体。
【請求項3】
ケイ素酸化物からなる被覆層は、被覆層を形成し、シリコーン処理を施した酸化亜鉛の重量に対して2〜50重量%である請求項1又は2記載の酸化亜鉛分散体。
【請求項4】
更に、シリコーン系分散剤を含有する請求項1、2又は3記載の酸化亜鉛分散体。
【請求項5】
更に、酸化チタン粒子を含有する請求項1、2、3又は4記載の酸化亜鉛分散体。
【請求項6】
酸化チタン粒子は、アルミナ及び/又は水酸化アルミニウム処理並びにシリカ処理からなる群より選択されるいずれか1つか、または両方の無機処理が施され、更にシリコーン処理を施したものである請求項5記載の酸化亜鉛分散体。
【請求項7】
請求項1,2,3,4、5又は6記載の酸化亜鉛分散体を配合して得られたことを特徴とする化粧料。



【公開番号】特開2012−240995(P2012−240995A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115519(P2011−115519)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000174541)堺化学工業株式会社 (96)
【Fターム(参考)】