説明

酸化感受性オピオイドのための不正使用防止剤形

本発明は、少なくとも300Nの破壊強度を有する熱成形医薬剤形に関し、前記剤形は、オピオイド(A)と、医薬剤形の総重量に基づいて0.001〜5.0重量%の量の生理学的に許容可能な遊離酸(B)と、少なくとも200,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリアルキレンオキシド(C)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵安定性が改善された、オピオイドを含有する医薬剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの薬理活性化合物は乱用される可能性があり、従って不正使用が防止された(tamper resistant)医薬剤形の形で提供されるのが有利である。このような薬理活性化合物の顕著な例はオピオイドである。
【0003】
乱用者はオピオイドを含有する従来の錠剤を砕いて、徐放性の「マイクロカプセル化」を打ち破り、そして得られた粉末を経口、鼻腔内、経直腸で、または注射によって摂取することが知られている。
【0004】
薬物乱用の回避のために種々の概念が開発されてきた。1つの概念は医薬剤形の機械特性、特に破壊強度(破砕に対する耐性)の増大に頼っている。このような医薬剤形の大きな利点は、従来の手段(例えば、乳鉢での粉砕またはハンマーによる破砕など)による粉砕、特に微粉化が不可能であるか、あるいは少なくとも実質的に妨げられることである。
【0005】
このような医薬剤形は従来の手段によって粉末化することができず、従って粉末形態で(例えば、経鼻的に)投与することができないので、その中に含有される薬理活性化合物の薬物乱用を回避するために有用である。これらの医薬剤形は、その機械特性、特に高い破壊強度によって、不正使用が防止される。このような不正使用防止医薬剤形との関連では、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、および特許文献10を参照することができる。
【0006】
オキシモルホン、ヒドロモルホン、およびオキシコドンなどのオピオイドを含有する医薬剤形の製造における問題は、酸化的劣化および分解に対するその感受性である。酸化は、分子酸素によって、あるいはこれらの酸化感受性オピオイドに極めて接近してくる化合物により発生するラジカルまたは過酸化物によって起こり得る。例えばポリエチレングリコールなどの医薬賦形剤は、例えば医薬剤形の製造方法の過程で、酸化的劣化を引き起こす、あるいは触媒する可能性がある。さらに、分子酸素は前記ラジカルまたは過酸化物を発生し得る。
【0007】
通常、分解は、標準貯蔵安定性試験において、例えば加速貯蔵条件(40℃/75%相対湿度など)下で監視される。これらの条件下では、劣化および分解は、周囲条件下よりも速く進行する。CHMPおよびFDAなどの薬物の認可局(drug approving authorities)、ならびにICHなどの国際的な調和連合(international harmonization unions)は、医薬剤形の認可を得るために満たさなければならない標準的な貯蔵安定性のしきい値を設定している。
【0008】
ホットメルト押出やフィルムコーティングなどの製造方法の過程で酸化感受性オピオイドが高温にさらされる必要がある場合、特定の問題が起こる。これらの条件下では、オピオイドは、酸化に対してさらにより敏感になる。例えば、破壊強度が増大された医薬剤形のいくつかの既知の製造方法では、活性成分を含有する医薬組成物は、特定の高温において特定の時間、特定の圧力を受けることが要求される。医薬組成物の成分およびその量に応じて、温度、圧力および時間は特定の範囲内で変わり得る。しかしながら、最小必要要件が満たされなければ、得られる医薬剤形の破壊強度は低くなりすぎる。
【0009】
その結果、医薬剤形のいくつかの従来の製造方法、特に破壊強度が増大された医薬剤形の製造方法は比較的厳しいプロセス条件を必要とし、従ってこれまでのところ、酸化感受性のオピオイドに適用することができない。特に、ホットメルト押出の間のポリエチレンオキシドなどの医薬賦形剤の鎖の断裂にはフリーラジカルの形成の危険があり、それにより酸化ストレスがさらに増大される。
【0010】
酸化感受性のオピオイドの投薬量がより低いと、投薬量がより高い場合よりも高い割合の酸化的劣化および分解を示すことが多い。従って、貯蔵安定性に関する限り、より低投薬量の酸化感受性オピオイドを含有する医薬剤形は特定の注意を必要とする。
【0011】
ホットメルト法によって製造されるアモルファスΔ−テトラヒドロカンナビノール(非オピオイド)のための高分子系の安定性に対する酸化メカニズムおよび化学的相互作用の効果は、非特許文献2に記載されている。研究では、この非常に不安定な薬物について、薬物−賦形剤の適合性、酸化防止剤の使用、高分子マトリックスにおける架橋、微小環境pH、および湿気の効果を含む相互作用の複雑性が実証された。
【0012】
非特許文献3は、酸化的劣化に対する医薬品の安定化を概説する。酸化を低減するために種々の方法が推奨されている。著者らは、結局全ての薬物が独特の状況を示すと結論を下している。
【0013】
特許文献10は、錯化剤(例えば、EDTA)などの酸化還元安定剤を含有し得る破壊強度が増大された経口剤形を開示する。
【0014】
特許文献11は、a)ポリマーまたはポリマーの混合物と、b)活性原薬と、場合により、c)1つまたは複数の薬学的に許容可能な賦形剤とを含むマトリックス組成物を含有する制御放出組成物に関し、制御放出組成物はアルコールに誘発される過剰放出(dose dumping)がなく、薬物乱用の回避に関して優れた特性を有する。好ましくは、組成物は、破砕、溶融および/またはエタノール抽出による組成物からの活性原薬の単離および/または溶解に耐性があり、それによって組成物は薬物乱用に耐性がある。クエン酸は、香味剤として存在し得る。実施例2は、7重量%のクエン酸を含有する組成物に関する。
【0015】
特許文献12は、持続効果のための層状の延長放出組成物と、持続効果を保証するための方法とを開示しており、例えば、1日1回の投与が胃腸管(すなわち、胃から直腸まで)を通る活性物質の最適な吸収を保証するはずである。
【0016】
医薬剤形中の酸化感受性薬物の酸化的劣化をうまく抑制するための一般的な概念は存在しない。特定の薬物と、酸化過程に影響を及ぼす複数の可能性のある因子とに関係する複雑な個々の酸化メカニズムは、それぞれの特定の場合において特定の状況を考慮に入れての、広範な調査を必要とする。
【0017】
さらに、医薬剤形の他の成分は、このような激しいプロセス条件にさらされる場合に安定性の問題を示し得ることが知られている。例えば、高分子量ポリエチレンオキシドは、ホットメルト押出の際に劣化する傾向がある。しかしながら、特に活性成分がポリエチレンオキシドのマトリックス中に埋め込まれる場合、ポリマーの劣化は非制御放出プロファイルをもたらす可能性があり、これがラジカルによる活性成分の酸化的劣化のもう1つの原因であり得る。高分子量ポリエチレンオキシドを安定化するために適切な賦形剤(例えば、α−トコフェロールなど)を添加する場合、今度は前記賦形剤が医薬剤形の他の成分(例えば、薬理活性化合物)の安定性に悪影響を与え得ることを考慮に入れなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2005/016313号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/016314号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2005/063214号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2005/102286号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006/002883号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2006/002884号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2006/002886号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2006/082097号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2006/082099号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2008/107149号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2008/086804号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2008/148798号パンフレット
【特許文献13】米国特許出願公開第2003/0064099A1号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】C.W.McGary Jr.,J.Polymer Sci.,2003年,46,51−57
【非特許文献2】M.Munjalら,J.Pharm.Sciences,95(11),2006年,2473−85
【非特許文献3】K.C.Watermanら,Pharm.Develop.Tech.7(1),2002年,1−32
【非特許文献4】K.H.Bauer,Lehrbuch der Pharmazeutischen Technologie,第6版,WVG Stuttgart,1999年
【非特許文献5】Kurt H.Bauer,K.Lehmann,Hermann P.Osterwald,Rothgang,Gerhartによる「Coated Pharmaceutical dosage forms−Fundamentals,Manufacturing Techniques,Biopharmaceutical Aspects,Test Methods and Raw Materials」,第1版,1998年,Medpharm Scientific Publishers
【非特許文献6】Prof.Dr.Hildebert Wagnerによる「Pharmazeutische Biologie−Drogen und ihre Inhaltsstoffe」,改訂第2版,Gustav Fischer Verlag,Stuttgart,New York,1982年
【非特許文献7】W.A.Ritschel,Die Tablette,2.Auflage,Edition Cantor Verlag Aulendorf,2002年
【非特許文献8】H Liebermannら,Pharmaceutical dosage forms:Tablets,第2巻,Informa Healthcare,第2版,1990年
【非特許文献9】Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,Informa Healthcare,第1版
【非特許文献10】P.A.Proeschelら,J Dent Res,2002年,81(7),464−468
【非特許文献11】D.A.Dean,pharmaceutical Packaging Technology,Taylor & Francis,第1版
【非特許文献12】F.A.Paineら,Packaging Pharmaceutical and Healthcare Products,Springer,第1版
【非特許文献13】O.G.Piringerら,Plastic Packaging:Interactions with Food and Pharmaceuticals,Wiley−VCH,第2版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、従来技術の医薬剤形よりも優れた利点を有する、オピオイド(特に、酸化感受性オピオイド)を含有する不正使用防止医薬剤形を提供することである。医薬剤形は、酸化感受性オピオイドを比較的低用量においても含有し得るように、改善された貯蔵安定性を有さなければならない。さらに、高い温度および圧力など(例えば、ホットメルト押出の熱成形の過程で)の従来の条件下で従来の方法によって医薬剤形を調製することができなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、特許請求の範囲の主題によって解決された。
【0022】
本発明は、少なくとも300Nの破壊強度を有し、
− オピオイド(A)と、
− 医薬剤形の総重量に基づいて0.001〜5.0重量%の量の生理学的に許容可能な遊離酸(B)と、
− 少なくとも200,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリアルキレンオキシド(C)と
を含む熱成形医薬剤形に関する。
【0023】
意外にも、オキシモルホンなどの特定のモルフィナン誘導体は、対応する剤形の製造および貯蔵の際に酸化的に劣化されてN−オキシド(例えばオキシモルホン−N−オキシド、N−オキシドは一般に有毒であり、そして恐らく発癌性であると言われることが多い)になり、そして前記N−オキシドおよび他の分解生成物の形成は、本発明に従う医薬剤形中の適切な量の酸(B)の存在によって抑制され得ることが分かった。
【0024】
どの理論にも束縛されることは意図しないが、酸(B)の安定化効果は、酸化感受性オピオイドのpK値と相関し得る。オキシモルホンのpK値は8.3である。その破壊強度の増大のために不正使用が防止されるが所望の有効期間を示さない従来のオキシモルホン製剤は、水中に分散されたときに約7.5のpH値を与える。これらの条件下で、かなりの量のオキシモルホンは、(プロトン化された)塩形態よりも酸化に対して敏感であり得る遊離塩基(すなわち、プロトン化されていない)として存在する。
【0025】
この概念は、さらに、酸(B)が存在しないと剤形は黄色がかったベージュ色を有する傾向にあるが、酸(B)の存在下ではより白い、例えば無色の錠剤がもたらされるという事実によって支持される。従って、酸(B)の存在は剤形内のpH値を低下させ、それにより酸化的劣化に対する薬物の耐性を改善し得る。
【0026】
意外にも、酸化的劣化に対する薬物耐性を改善するために従来使用されている医薬賦形剤、特に特定の酸化防止剤、例えばα−トコフェロールは反生産的であり、酸化的劣化に対する薬物耐性を改善するというよりむしろ悪化させる得ることが分かった。
【0027】
さらに、意外にも酸(B)は、少なくとも200,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリアルキレンオキシド(C)などの高分子量ポリアルキレンオキシドを劣化に対して安定化することもできるという実験的な証拠がある。
【0028】
本発明に従う医薬剤形は好ましくは押出によって熱成形されるが、本発明に従う医薬剤形を製造するために、高温におけるプレス成型、または錠剤の加熱(第1の工程で従来の圧縮により製造され、次に第2の工程で錠剤中のポリマーの軟化温度よりも高温で加熱されて、硬い錠剤が形成される)などの他の熱成形方法が使用されてもよい。これに関して、熱成形とは、熱を適用した後の塊の形成または成形を意味する。好ましい実施形態では、医薬剤形はホットメルト押出によって熱成形される。
【0029】
好ましくは、医薬剤形は一体化された塊である。医薬剤形は、好ましくは、ホットメルト押出によって調製される。溶融押出されたストランドは、好ましくはモノリス(monolith)に切断され、次にこれは、好ましくは錠剤に形成される。これに関して、「錠剤」という用語は、好ましくは、粉末または顆粒の圧縮によって製造される剤形(打錠)ではなく、成形された押出物であると理解されるべきである。
【0030】
本発明に従う医薬剤形は、成分(A)として、オピオイド(A)、好ましくは酸化感受性オピオイド(A)、最も好ましくはオキシモルホンまたはオキシコドンを含有する。本明細書の目的のために、オピオイド(A)という用語は、遊離塩基およびこれらの生理学的に許容可能な塩も含む。
【0031】
ATCインデックスによると、オピオイドは、天然アヘンアルカロイド、フェニルピペリジン誘導体、ジフェニルプロピルアミン誘導体、ベンゾモルファン誘導体、オリパビン誘導体、モルフィナン誘導体などに分類される。天然アヘンアルカロイドの例は、モルフィン、アヘン、ヒドロモルホン、ニコモルフィン、オキシコドン、ジヒドロコデイン、ジアモルフィン、パパベレタム、およびコデインである。さらなるオピオイド(A)は、例えば、エチルモルフィン、ヒドロコドン、オキシモルホン、およびこれらの生理学的に許容可能な誘導体または化合物、好ましくはこれらの塩および溶媒和物、好ましくはこれらの塩酸塩、生理学的に許容可能なエナンチオマー、立体異性体、ジアステレオマーおよびラセミ体、ならびにこれらの生理学的に許容可能な誘導体、好ましくはエーテル、エステルまたはアミドである。
【0032】
さらに好ましいオピオイド(A)には、N−(1−メチル−2−ピペリジノエチル)−N−(2−ピリジル)プロピオンアミド、(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノール、(1R,2R,4S)−2−(ジメチルアミノ)メチル−4−(p−フルオロベンジルオキシ)−1−(m−メトキシフェニル)シクロヘキサノール、(1R,2R)−3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキシル)フェノール、(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノール、(2R,3R)−1−ジメチルアミノ−3(3−メトキシフェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)−シクロヘキサン−1,3−ジオール、好ましくはラセミ体として、3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)フェニル2−(4−イソブチル−フェニル)プロピオナート、3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)フェニル2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)プロピオナート、3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル2−(4−イソブチル−フェニル)プロピオナート、3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−フェニル2−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)プロピオナート、(RR−SS)−2−アセトキシ−4−トリフルオロメチル−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−トリフルオロメチル−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−4−クロロ−2−ヒドロキシ−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−メチル−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2−ヒドロキシ−5−ニトロ−安息香酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、(RR−SS)−2’,4’−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−ビフェニル−4−カルボン酸3−(2−ジメチルアミノメチル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−フェニルエステル、1,1−(3−ジメチルアミノ−3−フェニルペンタメチレン)−6−フルオロ−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]インドール、特にその半クエン酸塩(hemicitrate)、1,1−[3−ジメチルアミノ−3−(2−チエニル)ペンタメチレン]−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]インドール、特にそのクエン酸塩、ならびに1,1−[3−ジメチルアミノ−3−(2−チエニル)ペンタメチレン]−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]−6−フルオロ−インドール、特にその半クエン酸塩、そして対応する立体異性化合物、いずれの場合もこれらの対応する誘導体、生理学的に許容可能なエナンチオマー、立体異性体、ジアステレオマーおよびラセミ体、ならびにこれらの生理学的に許容可能な誘導体、例えば、エーテル、エステルまたはアミド、そしていずれも場合もこれらの生理学的に許容可能な化合物、特にこれらの塩および溶媒和物、例えば塩酸塩が含まれる。
【0033】
好ましいオピオイド(A)は、一般式(I)
【化1】

を有するか、あるいはこれらの生理学的に許容可能な塩であり、式中、
は−H、−OHまたは−OC1〜6−アルキルであり、
は−Hまたは−C1〜6−アルキルであり、
が−Hまたは−OH、およびRが−Hであるか、あるいはRおよびRは共に=Oであり、
−−−−は任意的な二重結合である。
【0034】
特に好ましいオピオイド(A)には、オキシモルホン、オキシコドン、ヒドロモルホン、およびこれらの生理学的に許容可能な塩が含まれる。
【0035】
医薬剤形中のオピオイド(A)の含量は制限されない。
【0036】
好ましくは、その含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.01〜80重量%、より好ましくは0.1〜50重量%、さらにより好ましくは1〜25重量%の範囲内である。好ましい実施形態では、オピオイド(A)の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて7±6重量%、より好ましくは7±5重量%、さらにより好ましくは5±4重量%、7±4重量%または9±4重量%、最も好ましくは5±3重量%、7±3重量%または9±3重量%、特に5±2重量%、7±2重量%または9±2重量%の範囲内である。別の好ましい実施形態では、オピオイド(A)の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて11±10重量%、より好ましくは11±9重量%、さらにより好ましくは9±6重量%、11±6重量%、13±6重量%または15±6重量%、最も好ましくは11±4重量%、13±4重量%または15±4重量%、特に11±2重量%、13±2重量%または15±2重量%の範囲内である。さらに好ましい実施形態では、薬理活性成分(A)の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて20±6重量%、より好ましくは20±5重量%、さらにより好ましくは20±4重量%、最も好ましくは20±3重量%、特に20±2重量%の範囲内である。
【0037】
好ましくは、医薬剤形中に含有されるオピオイド(A)の総量は、0.01〜200mg、より好ましくは0.1〜190mg、さらにより好ましくは1.0〜180mg、よりさらに好ましくは1.5〜160mg、最も好ましくは2.0〜100mg、特に2.5〜80mgの範囲内である。
【0038】
好ましい実施形態では、オピオイド(A)は、7.5±5mg、10±5mg、20±5mg、30±5mg、40±5mg、50±5mg、60±5mg、70±5mg、80±5mg、90±5mg、100±5mg、110±5mg、120±5mg、130±5、140±5mg、150±5mg、または160±5mgの量で医薬剤形中に含有される。別の好ましい実施形態では、オピオイド(A)は、5±2.5mg、7.5±2.5mg、10±2.5mg、15±2.5mg、20±2.5mg、25±2.5mg、30±2.5mg、35±2.5mg、40±2.5mg、45±2.5mg、50±2.5mg、55±2.5mg、60±2.5mg、65±2.5mg、70±2.5mg、75±2.5mg、80±2.5mg、85±2.5mg、90±2.5mg、95±2.5mg、100±2.5mg、105±2.5mg、110±2.5mg、115±2.5mg、120±2.5mg、125±2.5mg、130±2.5mg、135±2.5mg、140±2.5mg、145±2.5mg、150±2.5mg、155±2.5mg、または160±2.5mgの量で医薬剤形中に含有される。
【0039】
特に好ましい実施形態では、オピオイド(A)はオキシモルホン、好ましくはそのHCl塩であり、そして医薬剤形は1日2回の投与に適している。この実施形態では、オピオイド(A)は、好ましくは、5〜40mgの量で医薬剤形中に含有される。別の特に好ましい実施形態では、オピオイド(A)はオキシモルホン、好ましくはそのHCl塩であり、そして医薬剤形は1日1回の投与に適している。この実施形態では、オピオイド(A)は、好ましくは、10〜80mgの量で医薬剤形中に含有される。
【0040】
別の特に好ましい実施形態では、オピオイド(A)はオキシコドン、好ましくはそのHCl塩であり、そして医薬剤形は1日2回の投与に適している。この実施形態では、オピオイド(A)は、好ましくは、5〜80mgの量で医薬剤形中に含有される。別の特に好ましい実施形態では、オピオイド(A)はオキシコドン、好ましくはそのHCl塩であり、そして医薬剤形は1日1回の投与に適している。この実施形態では、オピオイド(A)は、好ましくは、10〜320mgの量で医薬剤形中に含有される。
【0041】
さらに別の特に好ましい実施形態では、オピオイド(A)はヒドロモルホン、好ましくはそのHCl塩であり、そして医薬剤形は1日2回の投与に適している。この実施形態では、オピオイド(A)は、好ましくは、2〜52mgの量で医薬剤形中に含有される。別の特に好ましい実施形態では、オピオイド(A)は、ヒドロモルホン、好ましくはそのHCl塩であり、そして医薬剤形は1日1回の投与に適している。この実施形態では、オピオイド(A)は、好ましくは、4〜104mgの量で医薬剤形中に含有される。
【0042】
本発明に従う医薬剤形は、優れた貯蔵安定性を特徴とする。好ましくは、40℃および75%相対湿度で4週間の貯蔵後、オピオイド(A)の含量は、貯蔵前のその元の含量の少なくとも98.0%、より好ましくは少なくとも98.5%、さらにより好ましくは少なくとも99.0%、よりさらに好ましくは少なくとも99.2%、最も好ましくは少なくとも99.4%、特に、少なくとも99.6%になる。医薬剤形中のオピオイド(A)の含量の適切な測定方法は当業者に知られている。これに関して、ヨーロッパ薬局方(Eur.Ph.)または米国薬局方(USP)、特に逆相HPLC分析が参照される。好ましくは、医薬剤形は、好ましくは実験セクションにおいて記載されるように、閉鎖、好ましくは密封された容器内において、最も好ましくは酸素捕捉剤、特に相対湿度が低くても有効な酸素捕捉剤を備えた容器内で貯蔵される。
【0043】
本発明に従う医薬剤形は、成分(B)として、医薬剤形の総重量に基づいて0.001〜5.0重量%の量の生理学的に許容可能な遊離酸を含有する。
【0044】
酸(B)は有機でも無機でもよく、液体でも固体でもよい。固体の酸、特に結晶性の有機または無機酸が好ましい。
【0045】
酸(B)は遊離している。これは、酸(B)の酸性官能基の全てがオピオイド(A)の塩の構成成分であるわけではないことを意味する。オピオイド(A)が酸の塩、例えば塩酸塩として存在する場合、本発明に従う医薬剤形は好ましくは、オピオイド(A)の塩の構成成分として存在しない化学的に異なる酸を別の成分(B)として含有する。言い換えると、オピオイド(A)と塩を形成する一酸(monoacid)は、本発明の意味では遊離酸(B)と考えてはならない。酸(B)が複数の酸性官能基(例えば、リン酸)を有する場合、酸(B)は、オピオイド(A)の塩の構成成分として存在し得るが、ただし酸(B)の酸性官能基の少なくとも1つは塩の形成に関与していない、すなわち遊離しているものとする。しかしながら好ましくは、酸(B)の酸性官能基はどれもオピオイド(A)との塩の形成に関与していない。しかしながら、遊離酸(B)と、オピオイド(A)との塩を形成する酸とが同一であることも可能である。このような状況下では、酸(B)は好ましくは、オピオイド(A)と比較してモル過剰で存在する。
【0046】
好ましい実施形態では、酸(B)は、2.00±1.50、より好ましくは2.00±1.25、さらにより好ましくは2.00±1.00、よりさらに好ましくは2.00±0.75、最も好ましくは2.00±0.50、特に2.00±0.25の範囲内のpK値を有する少なくとも1つの酸性官能基(例えば、−COH、−SOH、−PO、−OHなど)を含有する。別の好ましい実施形態では、酸(B)は、2.25±1.50、より好ましくは2.25±1.25、さらにより好ましくは2.25±1.00、よりさらに好ましくは2.25±0.75、最も好ましくは2.25±0.50、特に2.25±0.25の範囲内のpK値を有する少なくとも1つの酸性官能基を含有する。別の好ましい実施形態では、酸(B)は、2.50±1.50、より好ましくは2.50±1.25、さらにより好ましくは2.50±1.00、よりさらに好ましくは2.50±0.75、最も好ましくは2.50±0.50、特に2.50±0.25の範囲内のpK値を有する少なくとも1つの酸性官能基を含有する。別の好ましい実施形態では、酸(B)は、2.75±1.50、より好ましくは2.75±1.25、さらにより好ましくは2.75±1.00、よりさらに好ましくは2.75±0.75、最も好ましくは2.75±0.50、特に2.75±0.25の範囲内のpK値を有する少なくとも1つの酸性官能基を含有する。別の好ましい実施形態では、酸(B)は、3.00±1.50、より好ましくは3.00±1.25、さらにより好ましくは3.00±1.00、よりさらに好ましくは3.00±0.75、最も好ましくは3.00±0.50、特に3.00±0.25の範囲内のpK値を有する少なくとも1つの酸性官能基を含有する。さらに別の好ましい実施形態では、酸(B)は、3.25±1.50、より好ましくは3.25±1.25、さらにより好ましくは3.25±1.00、よりさらに好ましくは3.25±0.75、最も好ましくは3.25±0.50、特に3.25±0.25の範囲内のpK値を有する少なくとも1つの酸性官能基を含有する。
【0047】
また別の好ましい実施形態では、酸(B)は、4.50±1.50、より好ましくは4.50±1.25、さらにより好ましくは4.50±1.00、よりさらに好ましくは4.50±0.75、最も好ましくは4.50±0.50、特に4.50±0.25の範囲内のpK値を有する少なくとも1つの酸性官能基を含有する。また別の好ましい実施形態では、酸(B)は、4.75±1.50、より好ましくは4.75±1.25、さらにより好ましくは4.75±1.00、よりさらに好ましくは4.75±0.75、最も好ましくは4.75±0.50、特に4.75±0.25の範囲内のpK値を有する少なくとも1つの酸性官能基を含有する。また別の好ましい実施形態では、酸(B)は、5.00±1.50、より好ましくは5.00±1.25、さらにより好ましくは5.00±1.00、よりさらに好ましくは5.00±0.75、最も好ましくは5.00±0.50、特に5.00±0.25の範囲内のpK値を有する少なくとも1つの酸性官能基を含有する。
【0048】
好ましくは、酸(B)は有機カルボン酸またはスルホン酸であり、特にカルボン酸である。多価カルボン酸(multicarboxylic acid)および/またはヒドロキシ−カルボン酸が特に好ましい。
【0049】
多価カルボン酸の場合、その部分塩(例えば、部分ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩)も多価カルボン酸とみなされるべきである。例えば、クエン酸は、3つのカルボキシル基を有する多価カルボン酸である。少なくとも1つのカルボキシル基がプロトン化されたままである限り(例えば、クエン酸二水素ナトリウムまたはクエン酸水素二ナトリウム)、塩は多価カルボン酸とみなされるべきである。しかしながら好ましくは、多価カルボン酸の全てのカルボキシル基がプロトン化されている。
【0050】
好ましくは、酸(B)は低分子量を有する。すなわち、重合されていない。通常、酸(B)の分子量は、500g/molよりも低い。
【0051】
酸の例としては、飽和および不飽和モノカルボン酸、飽和および不飽和ジカルボン酸(bicarboxylic acid)、トリカルボン酸、モノカルボン酸のα−ヒドロキシ酸およびβ−ヒドロキシル酸、ジカルボン酸のα−ヒドロキシ酸およびβ−ヒドロキシ酸、トリカルボン酸のα−ヒドロキシ酸およびβ−ヒドロキシ酸、ケト酸、ポリカルボン酸ポリヒドロキシモノカルボン酸、ポリヒドロキシジカルボン酸、ポリヒドロキシトリカルボン酸のα−ケト酸、β−ケト酸が挙げられる。
【0052】
好ましくは、酸(B)は、ベンゼンスルホン酸、クエン酸、α−グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、プロパン酸、コハク酸、酒石酸(d、l、またはdl)、トシル酸(トルエンスルホン酸)、吉草酸、パルミチン酸、パモ酸、セバシン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、酢酸、アジピン酸、グルタル酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、エタンジスルホン酸、エチルコハク酸、フマル酸、ガラクタル酸(粘液酸)、D−グルクロン酸、2−オキソ−グルタル酸、グリセロリン酸、馬尿酸、イセチオン酸(エタノールスルホン酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、マレイン酸、1,5−ナフタレン−ジスルホン酸、2−ナフタレン−スルホン酸、ピバル酸、テレフタル酸、チオシアン酸、コール酸、n−ドデシルスルファート、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、アスコルビン酸、(+)−ショウノウ酸、d−ショウノウスルホン酸、ジクロロ酢酸、エタンスルホン酸、ギ酸、メタンスルホン酸、ニコチン酸、オロト酸、シュウ酸、ピクリン酸、L−ピログルタミン酸、サッカリン、サリチル酸、ゲンチジン酸、および/または4−アセトアミド安息香酸からなる群から選択される。
【0053】
酸(B)の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.001〜5.0重量%、好ましくは0.005〜2.5重量%、より好ましくは0.01〜2.0重量%、さらにより好ましくは0.05〜1.5重量%、最も好ましくは0.1〜1.0重量%、特に0.2〜0.9重量%の範囲内である。
【0054】
好ましくは、酸(B)は多価カルボン酸である。より好ましくは、多価カルボン酸は、クエン酸、マレイン酸およびフマル酸からなる群から選択される。
【0055】
クエン酸が特に好ましい。
【0056】
多価カルボン酸、好ましくはクエン酸は、その無水形態で、あるいはそれぞれ溶媒和物および水和物として、例えば一水和物として存在し得る。
【0057】
好ましい実施形態では、酸(B)、好ましくはクエン酸の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.2±0.18重量%、より好ましくは0.2±0.15重量%、さらにより好ましくは0.2±0.12重量%、よりさらに好ましくは0.2±0.09重量%、最も好ましくは0.2±0.06重量%、特に0.2±0.03重量%の範囲内である。
【0058】
別の好ましい実施形態では、酸(B)、好ましくはクエン酸の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.3±0.18重量%、より好ましくは0.3±0.15重量%、さらにより好ましくは0.3±0.12重量%、よりさらに好ましくは0.3±0.09重量%、最も好ましくは0.3±0.06重量%、特に0.3±0.03重量%の範囲内である。
【0059】
さらに別の好ましい実施形態では、酸(B)、好ましくはクエン酸の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.4±0.18重量%、より好ましくは0.4±0.15重量%、さらにより好ましくは0.4±0.12重量%、よりさらに好ましくは0.4±0.09重量%、最も好ましくは0.4±0.06重量%、特に0.4±0.03重量%の範囲内である。
【0060】
また別の好ましい実施形態では、酸(B)、好ましくはクエン酸の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.5±0.18重量%、より好ましくは0.5±0.15重量%、さらにより好ましくは0.5±0.12重量%、よりさらに好ましくは0.5±0.09重量%、最も好ましくは0.5±0.06重量%、特に0.5±0.03重量%の範囲内である。
【0061】
また別の好ましい実施形態では、酸(B)、好ましくはクエン酸の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.6±0.18重量%、より好ましくは0.6±0.15重量%、さらにより好ましくは0.6±0.12重量%、よりさらに好ましくは0.6±0.09重量%、最も好ましくは0.6±0.06重量%、特に0.6±0.03重量%の範囲内である。
【0062】
また別の好ましい実施形態では、酸(B)、好ましくはクエン酸の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.7±0.18重量%、より好ましくは0.7±0.15重量%、さらにより好ましくは0.7±0.12重量%、よりさらに好ましくは0.7±0.09重量%、最も好ましくは0.7±0.06重量%、特に0.7±0.03重量%の範囲内である。
【0063】
また別の好ましい実施形態では、酸(B)、好ましくはクエン酸の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.8±0.18重量%、より好ましくは0.8±0.15重量%、さらにより好ましくは0.8±0.12重量%、よりさらに好ましくは0.8±0.09重量%、最も好ましくは0.8±0.06重量%、特に0.8±0.03重量%の範囲内である。
【0064】
また別の好ましい実施形態では、酸(B)、好ましくはクエン酸の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.85±0.18重量%、より好ましくは0.85±0.15重量%、さらにより好ましくは0.85±0.12重量%、よりさらに好ましくは0.85±0.09重量%、最も好ましくは0.85±0.06重量%、特に0.85±0.03重量%の範囲内である。
【0065】
さらに別の好ましい実施形態では、酸(B)、好ましくはクエン酸の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.9±0.18重量%、より好ましくは0.9±0.15重量%、さらにより好ましくは0.9±0.12重量%、よりさらに好ましくは0.9±0.09重量%、最も好ましくは0.9±0.06重量%、特に0.9±0.03重量%の範囲内である。
【0066】
さらに好ましい実施形態では、酸(B)、好ましくはクエン酸の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて1.0±0.18重量%、より好ましくは1.0±0.15重量%、さらにより好ましくは1.0±0.12重量%、よりさらに好ましくは1.0±0.09重量%、最も好ましくは1.0±0.06重量%、特に1.0±0.03重量%の範囲内である。
【0067】
本発明に従う医薬剤形は、成分(C)として、少なくとも200,000g/mol、好ましくは少なくとも500,000g/mol、より好ましくは少なくとも750,000g/mol、さらにより好ましくは少なくとも1,000,000g/mol、最も好ましくは少なくとも2,000,000g/mol、特に500,000〜15,000,000g/molの範囲内の重量平均分子量Mを有するポリアルキレンオキシド(C)を含む。
【0068】
好ましくは、ポリアルキレンオキシドは、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド、これらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択される。
【0069】
ポリアルキレンオキシド(C)は特定の平均分子量を有する単一のポリアルキレンオキシドを含んでいてもよいし、あるいは異なるポリマー(例えば、2、3、4または5種のポリマーなど)、例えば、同じ化学的性質を有するが平均分子量が異なるポリマー、異なる化学的性質を有するが平均分子量が同じであるポリマー、または異なる化学的性質を有し、分子量も異なるポリマーの混合物(ブレンド)を含んでいてもよい。
【0070】
本明細書の目的のために、ポリアルキレングリコールは20,000g/molまでの分子量を有するが、ポリアルキレンオキシドは、20,000g/molよりも高い分子量を有する。好ましい実施形態では、医薬剤形中に含有される全てのポリアルキレンオキシドの全ての分子量の重量平均は、少なくとも200,000g/molである。従って、ポリアルキレングリコール(もしあれば)は、好ましくは、ポリアルキレンオキシド(C)の重量平均分子量を決定する際に考慮に入れない。
【0071】
好ましくは、ポリアルキレンオキシド(C)の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて20〜99重量%、より好ましくは25〜95重量%、さらにより好ましくは30〜90重量%、よりさらに好ましくは30〜85重量%、最も好ましくは30〜80重量%、特に30〜75重量%の範囲内である。好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシドの含量は、少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも25重量%、さらにより好ましくは少なくとも30重量%、よりさらに好ましくは少なくとも35重量%、特に、少なくとも40重量%である。
【0072】
好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシド(C)の総含量は、25±20重量%、より好ましくは25±15重量%、最も好ましくは25±10重量%、特に25±5重量%の範囲内である。別の好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシド(C)の総含量は、35±20重量%、より好ましくは35±15重量%、最も好ましくは35±10重量%、特に35±5重量%の範囲内である。さらに別の好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシド(C)の総含量は、45±20重量%、より好ましくは45±15重量%、最も好ましくは45±10重量%、特に45±5重量%の範囲内である。また別の好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシド(C)の総含量は、55±20重量%、より好ましくは55±15重量%、最も好ましくは55±10重量%、特に55±5重量%の範囲内である。さらに好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシド(C)の総含量は、65±20重量%、より好ましくは65±15重量%、最も好ましくは65±10重量%、特に65±5重量%の範囲内である。またさらに好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシド(C)の総含量は、75±20重量%、より好ましくは75±15重量%、最も好ましくは75±10重量%、特に75±5重量%の範囲内である。またさらに好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシド(C)の総含量は、80±15重量%、より好ましくは80±10重量%、最も好ましくは80±5重量%の範囲内である。
【0073】
好ましい実施形態では、ポリアルキレンオキシド(C)は、本発明に従う医薬剤形中に均一に分配される。好ましくは、ポリアルキレンオキシド(C)は、オピオイド(A)が埋め込まれるマトリックスを形成する。特に好ましい実施形態では、オピオイド(A)およびポリアルキレンオキシド(C)は、医薬剤形が、ポリアルキレンオキシド(C)の不在下でオピオイド(A)が存在するセグメント、またはオピオイド(A)の不在下でポリアルキレンオキシド(C)が存在するセグメントのいずれも含有しないように、医薬剤形中に密接に均一に分配される。
【0074】
医薬剤形がフィルムコートされる場合、ポリアルキレンオキシド(C)は、好ましくは、医薬剤形のコア中に均一に分配される。すなわち、フィルムコーティングは、好ましくは、ポリアルキレンオキシド(C)を含有しない。それにもかかわらず、このようフィルムコーティングは、当然ながらそれ自体1つまたは複数のポリマーを含有していてもよいが、好ましくは、そのポリマーはコア中に含有されるポリアルキレンオキシド(C)とは異なる。
【0075】
ポリアルキレンオキシド(C)は、ポリアルキレンオキシド、好ましくはポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(アルク)アクリレート、ポリ(ヒドロキシ脂肪酸)、例えば、ポリ(3−ヒドロキシブチラート−co−3−ヒドロキシバレラート)(Biopol(登録商標))、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)など、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、ポリエチレンスクシナート、ポリラクトン、ポリグリコリド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリアセタール(例えば、場合により変性された側鎖を有する多糖類)、ポリ乳酸/グリコリド、ポリラクトン、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリエチレングリコールおよびポリブチレンテレフタレートのブロックポリマー(Polyactive(登録商標))、ポリアンヒドリド(Polifeprosan)、これらのコポリマー、これらのブロックコポリマー、ならびに記載されるポリマーの少なくとも2つの混合物、または上記の特徴を有する他のポリマーからなる群から選択される1つまたは複数の異なるポリマーと組み合わせられてもよい。
【0076】
好ましくは、ポリアルキレンオキシド(C)の分子量の分散度M/Mは、2.5±2.0、より好ましくは2.5±1.5、さらにより好ましくは2.5±1.0、よりさらに好ましくは2.5±0.8、最も好ましくは2.5±0.6、特に2.5±0.4の範囲内である。
【0077】
ポリアルキレンオキシド(C)は、好ましくは、25℃において、30〜17,600cP、より好ましくは55〜17,600cP、さらにより好ましくは600〜17,600cP、最も好ましくは4,500〜17,600cPの粘度(モデルRVF Brookfield粘度計(スピンドル番号2/回転速度2rpm)を用いて5重量%の水溶液中で測定される)、400〜4,000cP、より好ましくは400〜800cPまたは2,000〜4,000cPの粘度(規定の粘度計(スピンドル番号1または3/回転速度10rpm)を用いて2重量%の水溶液において測定される)、または1,650〜10,000cP、より好ましくは1,650〜5,500cP、5,500〜7,500cPまたは7,500〜10,000cPの粘度(規定の粘度計(スピンドル番号2/回転速度2rpm)を用いて1重量%の水溶液において測定される)を有する。
【0078】
本発明に従う好ましい実施形態では、少なくとも200,000g/molの重量平均分子量を有するポリアルキレンオキシド(C)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリ(ヒドロキシ脂肪酸)、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、ポリエチレンスクシナート、ポリラクトン、ポリグリコリド、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリ乳酸/グリコリド、ポリラクトン、ポリグリコリド、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリエチレングリコールおよびポリブチレンテレフタレートのブロックポリマー、ポリアンヒドリド、ポリアセタール、セルロースエステル、セルロースエーテルおよびこれらのコポリマーからなる群から選択される、好ましくは(しかし、必ずしもそうとは限らない)同様に少なくとも200,000g/molの重量平均分子量(M)を有する少なくとも1つのさらなるポリマーと組み合わせられる。セルロースエステルおよびセルロースエーテル、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが特に好ましい。
【0079】
好ましい実施形態では、前記さらなるポリマーは、ポリアルキレンオキシドでもポリアルキレングリコールでもない。それにもかかわらず、医薬剤形は、例えば可塑剤として、ポリアルキレングリコールを含有し得るが、その場合、医薬剤形は、好ましくは、ポリマー:ポリアルキレンオキシド(C)+さらなるポリマー+可塑剤の3成分の混合物である。
【0080】
特に好ましい実施形態では、前記さらなるポリマーは、親水性セルロースエステルまたはセルロースエーテル、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはヒドロキシエチルセルロース(HEC)であり、好ましくは1,000〜150,000mPas、より好ましくは3,000〜150,000の平均粘度(好ましくは、キャピラリー粘度測定または回転粘度測定によって測定される)を有する。好ましい実施形態では、平均粘度は、110,000±50,000mPas、より好ましくは110,000±40,000mPas、さらにより好ましくは110,000±30,000mPas、最も好ましくは110,000±20,000mPas、特に100,000±10,000mPasの範囲内である。
【0081】
好ましい実施形態では、前記ポリアルキレンオキシド(C)および前記さらなるポリマーの相対重量比は、20:1〜1:20、より好ましくは10:1〜1:10、さらにより好ましくは7:1〜1:5、よりさらに好ましくは5:1〜1:1、最も好ましくは4:1〜1.5:1、特に3:1〜2:1の範囲内である。好ましい実施形態では、前記ポリアルキレンオキシド(C)および前記さらなるポリマーの相対重量比は、10:1〜5:1、より好ましくは8:1〜5:1、最も好ましくは7:1〜5:1の範囲内である。
【0082】
好ましくは、前記さらなるポリマーの含量は、医薬剤形の総重量に基づいて、0.5〜25重量%、より好ましくは1.0〜20重量%、さらにより好ましくは2.0〜22.5重量%、よりさらに好ましくは3.0〜20重量%、最も好ましくは4.0〜17.5重量%、特に5.0〜15重量%になる。
【0083】
好ましい実施形態では、さらなるポリマーは、医薬剤形の総重量に基づいて10±8重量%、より好ましくは10±6重量%、さらにより好ましくは10±5重量%、よりさらに好ましくは10±4重量%、最も好ましくは10±3重量%、特に10±2重量%の範囲内の含量を有するセルロースエステルまたはセルロースエーテル、好ましくはHPMCである。
【0084】
別の好ましい実施形態では、さらなるポリマーは、医薬剤形の総重量に基づいて14±8重量%、より好ましくは14±6重量%、さらにより好ましくは14±5重量%、よりさらに好ましくは14±4重量%、最も好ましくは14±3重量%、特に14±2重量%の範囲内の含量を有するセルロースエステルまたはセルロースエーテル、好ましくはHPMCである。
【0085】
全てのポリマーは、好ましくは、粉末で使用される。これらは水中に溶解することができる。
【0086】
オピオイド(A)、酸(B)およびポリアルキレンオキシド(C)の他に、本発明に従う医薬剤形は、従来の医薬賦形剤などのさらなる成分を含有していてもよい。
【0087】
好ましくは、医薬剤形は酸化防止剤を含む。適切な酸化防止剤には、アスコルビン酸、α−トコフェロール(ビタミンE)、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸(ビタミンC)の塩、パルミチン酸アスコルビル、モノチオグリセリン、安息香酸コニフェリル、ノルジヒドログアヤレチン酸(nordihydroguajaretic acid)、没食子酸エステル、リン酸、およびこれらの誘導体(例えば、ビタミンE−スクシナートまたはビタミンE−パルミタートなど)、および/または重亜硫酸ナトリウム、より好ましくはブチルヒドロキシトルエン(BHT)またはブチルヒドロキシアニソール(BHA)および/またはα−トコフェロールが含まれる。
【0088】
好ましくは、酸化防止剤の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.001〜5.0重量%、より好ましくは0.002〜2.5重量%、より好ましくは0.003〜1.5重量%、さらにより好ましくは0.005〜1.0重量%、よりさらに好ましくは0.01〜0.5重量%、最も好ましくは0.05〜0.4重量%、特に0.1〜0.3重量%の範囲内である。
【0089】
特に好ましい酸化防止剤はα−トコフェロールである。意外にも、α−トコフェロールは、ポリアルキレンオキシドを安定化し、そして同時に、オキシモルホンなどの特定のオピオイド(A)を不安定にすることが分かった。従って、好ましい実施形態では、α−トコフェロールの含量は、一方でポリアルキレンオキシドの十分な安定性と、そして他方でオピオイド(A)の十分な安定性との間でバランスが取られる。
【0090】
好ましい実施形態では、α−トコフェロールの含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.2±0.18重量%、より好ましくは0.2±0.15重量%、さらにより好ましくは0.2±0.12重量%、よりさらに好ましくは0.2±0.09重量%、最も好ましくは0.2±0.06重量%、特に0.2±0.03重量%の範囲内である。
【0091】
好ましい実施形態では、酸(B)、好ましくはクエンと、酸化防止剤、好ましくはα−トコフェロールとの相対重量比は、10:1〜1:10、より好ましくは8:1〜1:8、さらにより好ましくは6:1〜1:6、よりさらに好ましくは5:1〜1:4、最も好ましくは4:1〜1:3、特に3:1〜1:2の範囲内である。
【0092】
また本発明に従う医薬剤形は、天然、半合成または合成ワックスを含有していてもよい。少なくとも50℃、より好ましくは60℃の軟化点を有するワックスが好ましい。カルナバワックスおよびビーズワックス、特にカルナバワックスが特に好ましい。
【0093】
好ましくは、オピオイド(A)の放出プロファイルはマトリックス遅延される。好ましくは、オピオイド(A)は、ポリアルキレンオキシドを含むマトリックス中に埋め込まれ、前記マトリックスは、医薬剤形からのオピオイド(A)の放出を制御する。
【0094】
当業者に知られている生理学的に許容可能な材料は、補足マトリックス材料として使用することができる。好ましくは、親水性マトリックス材料として、ポリマー、特に好ましくはセルロースエーテル、セルロースエステルおよび/またはアクリル樹脂が使用される。非常に特に好ましくは、マトリックス材料として、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸および/またはこれらの誘導体、例えばこれらの塩、アミドまたはエステルなどが使用される。疎水性ポリマー、ワックス、脂肪、長鎖脂肪酸、脂肪アルコールまたは対応するエステルまたはエーテルなどの疎水性材料またはこれらの混合物から調製されるマトリックス材料も好ましい。特に好ましくは、疎水性材料として、C12〜C30脂肪酸および/またはC12〜C30脂肪アルコールのモノまたはジグリセリドおよび/またはワックスまたはこれらの混合物が使用される。上記の親水性材料および疎水性材料の混合物をマトリックス材料として使用することも可能である。
【0095】
好ましくは、オピオイド(A)に対するポリアルキレンオキシドの相対重量比は、少なくとも0.5:1、より好ましくは少なくとも1:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1または少なくとも9:1、さらにより好ましくは少なくとも10:1または少なくとも15:1、よりさらに好ましくは少なくとも20:1、最も好ましくは少なくとも30:1、特に、少なくとも40:1である。好ましい実施形態では、オピオイド(A)に対するポリアルキレンオキシドの相対重量比は、3:1〜50:1、より好ましくは3:1〜40:1、特に3:1〜30:1の範囲内である。
【0096】
本発明に従う医薬剤形は、好ましくは、可塑剤を含有する。可塑剤はポリアルキレンオキシドの加工性を改善する。好ましい可塑剤は、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、トリアセチン、脂肪酸、脂肪酸エステル、ワックスおよび/または微結晶性ワックスである。特に好ましい可塑剤は、PEG6000などのポリエチレングリコールである。
【0097】
好ましくは、可塑剤の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.1〜25重量%、より好ましくは0.5〜22.5重量%、さらにより好ましくは1.0〜20重量%、よりさらに好ましくは2.5〜17.5重量%、最も好ましくは5.0〜15重量%、特に7.5〜12.5重量%の範囲内である。
【0098】
好ましい実施形態では、可塑剤は、医薬剤形の総重量に基づいて10±8重量%、より好ましくは10±6重量%、さらにより好ましくは10±5重量%、よりさらに好ましくは10±4重量%、最も好ましくは10±3重量%、特に10±2重量%の範囲内の含量を有するポリアルキレングリコールである。
【0099】
別の好ましい実施形態では、可塑剤は、医薬剤形の総重量に基づいて15±8重量%、より好ましくは15±6重量%、さらにより好ましくは15±5重量%、よりさらに好ましくは15±4重量%、最も好ましくは15±3重量%、特に15±2重量%の範囲内の含量を有するポリアルキレングリコールである。
【0100】
好ましい実施形態では、ポリアルキレングリコールに対するポリアルキレンオキシドの相対重量比は、4.2±2:1、より好ましくは4.2±1.5:1、さらにより好ましくは4.2±1:1、よりさらに好ましくは4.2±0.5:1、最も好ましくは4.2±0.2:1、特に4.2±0.1:1の範囲内である。この比率は、比較的高いポリアルキレンオキシド含量および良好な押出し性の要件を満たす。
【0101】
押出ストランドの切断によって得られる薄片から剤形を製造する場合、得られる剤形の重量は、薄片の重量によって決定される。これらの薄片重量の顕著な変動は、それと一致する標的重量からの剤形の重量のずれを生じる。薄片の重量変動は、押出ストランドの表面特性に強く依存する。十分に滑らかな表面を有するストランドは、少ない重量変動を示す薄片の産生を可能にする。対照的に、波状またはサメ肌のストランドは、より大きい重量変動を示す薄片を生じ、それにより、不合格品の数が増大される。
【0102】
意外にも、ここで、押出ストランドの表面特性は、ポリアルキレンオキシド:ポリアルキレングリコールの重量比によって誘発され得ることが分かった。
【0103】
本発明に従う医薬剤形の好ましい組成物X〜X32は、ここで、以下の表に要約される:
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
【表3】

【0107】
【表4】

【0108】
【表5】

【0109】
【表6】

【0110】
【表7】

【0111】
【表8】

【0112】
好ましい実施形態では、医薬剤形は、100±75mg、より好ましくは100±50mg、最も好ましくは100±25mgの範囲内の総重量を有する。別の好ましい実施形態では、医薬剤形は、200±75mg、より好ましくは200±50mg、最も好ましくは200±25mgの範囲内の総重量を有する。別の好ましい実施形態では、医薬剤形は、250±75mg、より好ましくは250±50mg、最も好ましくは250±25mgの範囲内の総重量を有する。さらに別の好ましい実施形態では、医薬剤形は、300±75mg、より好ましくは300±50mg、最も好ましくは300±25mgの範囲内の総重量を有する。また別の好ましい実施形態では、医薬剤形は、400±75mg、より好ましくは400±50mg、最も好ましくは400±25mgの範囲内の総重量を有する。
【0113】
好ましい実施形態では、医薬剤形は、500±250mg、より好ましくは500±200mg、最も好ましくは500±150mgの範囲内の総重量を有する。別の好ましい実施形態では、医薬剤形は、750±250mg、より好ましくは750±200mg、最も好ましくは750±150mgの範囲内の総重量を有する。別の好ましい実施形態では、医薬剤形は、1000±250mg、より好ましくは1000±200mg、最も好ましくは1000±150mgの範囲内の総重量を有する。さらに別の好ましい実施形態では、医薬剤形は、1250±250mg、より好ましくは1250±200mg、最も好ましくは1250±150mgの範囲内の総重量を有する。
【0114】
好ましい実施形態では、本発明に従う医薬剤形は、1.19±0.30g/cm、より好ましくは1.19±0.25g/cm、さらにより好ましくは1.19±0.20g/cm、よりさらに好ましくは1.19±0.15g/cm、最も好ましくは1.19±0.10g/cm、特に1.19±0.05g/cmの範囲内である全体の密度を有する。好ましくは、本発明に従う医薬剤形の全体の密度は、1.17±0.02g/cm、1.19±0.02または1.21g/cm±0.02g/cmである。剤形の密度の測定方法は当業者に知られている。剤形の全体の密度は、例えば、ヨーロッパ薬局方(Ph.Eur.)に記載されるように、水銀ポロシメトリ(mercury porosimetry)法またはヘリウムピクノメータ(helium pycnometer)法によって決定することができる。
【0115】
好ましくは、本発明に従う医薬剤形は、経口投与に適している。しかしながら、異なる経路で医薬剤形を投与することも可能であり、従って、医薬剤形は代替的に頬側、舌、直腸または膣内投与にも適していてもよい。インプラントも可能である。
【0116】
好ましい実施形態では、本発明に従う医薬剤形は1日1回の投与に適している。別の好ましい実施形態では、本発明に従う医薬剤形は、1日2回の投与に適している。さらに別の好ましい実施形態では、本発明に従う医薬剤形は、1日3回の投与に適している。
【0117】
本明細書の目的のために、「1日2回」は、個々の投与間の同等またはほぼ同等の時間間隔、すなわち約12時間毎、または異なる時間間隔、例えば8および16時間、または10および14時間を意味する。
【0118】
本明細書の目的のために、「1日3回」は、個々の投与間の同等またはほぼ同等の時間間隔、すなわち約8時間毎、または異なる時間間隔、例えば6、6および12時間、または7、7および10時間を意味する。
【0119】
好ましくは、本発明に従う医薬剤形は、少なくとも部分的に遅延されたまたは長期にわたるオピオイド(A)の放出を引き起こす。
【0120】
制御または長期放出は、本発明によると、好ましくは、長時間の治療作用を目的として、オピオイド(A)が、低減された摂取頻度で比較的長い期間にわたって放出される放出プロファイルを意味すると理解される。好ましくは、「長期放出」という用語の意味は、医薬剤形の放出プロファイルの命名におけるヨーロッパの指針(CHMP)に従っている。これは特に経口投与により達成される。「少なくとも部分的に遅延されたまたは長期にわたる放出」という語句は、本発明によると、その中に含有される薬理活性成分(A)、好ましくはオピオイドの修正された放出を保証するあらゆる医薬剤形を包含する。医薬剤形は好ましくはコートされたまたはコートされていない医薬剤形を含み、これらは特定の方法によって、または放出速度もしくは放出場所を意図的に変化させるための2つの可能な選択の組み合わせによって特定の補助物質と共に製造される。
【0121】
本発明に従う医薬剤形の場合、制御放出形態の放出時間プロファイルは、例えば、以下のように修正され得る:延長放出、反復作用(repeat action)放出、長期放出および持続放出。
【0122】
本明細書の目的のために、「制御放出」は、好ましくは、活性化合物の経時的な放出が製剤の種類および組成によって制御された製品を意味する。本明細書の目的のために、「延長放出」は、好ましくは、有限の遅れ時間の間活性化合物の放出が遅延され、その後は放出が妨害されない製品を意味する。本明細書の目的のために、「反復作用放出」は、好ましくは、最初に活性化合物の第1の部分が放出された後、活性化合物の少なくとも1つのさらなる部分が続いて放出される製品を意味する。本明細書の目的のために、「長期放出」は、好ましくは、治療活性を維持するため、毒性効果を低減するため、またはいくつかの他の治療目的のために、投与後の製剤からの活性化合物の放出速度が経時的に低下されている製品を意味する。本明細書の目的のために、「持続放出」は、好ましくは、長期間にわたって体内に着実に放出させることにより投薬頻度を少なくするような薬の処方方法を意味する。さらなる詳細については、例えば、非特許文献4、およびヨーロッパ薬局方が参照され得る。
【0123】
本発明に従う医薬剤形は、少なくとも一部がさらなる制御放出形態である1つまたは複数のオピオイド(A)を含んでいてもよく、ここで制御放出は、例えば、制御放出マトリックス中に物質を埋め込むことによって、あるいは1つまたは複数の制御放出コーティングを適用することによって、当業者に知られている従来の材料および方法を用いて達成してもよい。しかしながら、物質の放出は、遅延放出された材料の付加が必要な破壊強度を損なわないように制御されなければならない。
【0124】
本発明に従う医薬剤形からの制御放出は、好ましくは、物質をマトリックス中に埋め込むことによって達成される。好ましくは、ポリアルキレンオキシド(C)はこのようなマトリックスとして役立つ。マトリックス材料の役割を果たす補助物質は放出を制御する。マトリックス材料は、例えば、主に拡散によって放出が進行する親水性ゲル形成材料であっても、あるいは主にマトリックス中の細孔からの拡散によって放出が進行する疎水性材料であってもよい。
【0125】
好ましくは、放出プロファイルは、好ましくはポリアルキレンオキシド(C)および場合によりさらなるマトリックス材料を含むマトリックス中に(A)を埋め込むことによって、実質的にマトリックス制御される。好ましくは、放出プロファイルは浸透圧により駆動されない。好ましくは、放出動態学はゼロ次ではない。
【0126】
好ましくは、生理学的条件下で、本発明に従う医薬剤形は、30分後に0.1〜75%、240分後に0.5〜95%、480分後に1.0〜100%、そして720分後に2.5〜100%のオピオイド(A)を放出した。さらに好ましい放出プロファイルR〜Rは、ここで、以下の表に要約される[全てのデータは放出されたオピオイド(A)の重量%である]:
【0127】
【表9】

【0128】
さらに好ましい放出プロファイルR〜Rは、ここで、以下の表に要約される[全てのデータは放出されたオピオイド(A)の重量%である]:
【0129】
【表10】

【0130】
好ましくは、本発明に従う医薬剤形の放出プロファイルは、貯蔵、好ましくは密封容器中、高温、例えば37℃で3か月間の貯蔵において安定である。これに関して、「安定」は、最初の放出プロファイルと、貯蔵後の放出プロファイルとを比較したときに、所与の任意の時点で20%以下、より好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下、よりさらに好ましくは7.5%以下、最も好ましくは5.0%以下、特に2.5%以下だけ放出プロファイルが互いにそれることを意味する。
【0131】
好ましくは、インビトロ条件下で、医薬剤形は、0.5時間後に、医薬剤形中に元々含有されていたオピオイド(A)の1.0〜35重量%、1時間後に5.0〜45重量%、2時間後に10〜60重量%、4時間後に少なくとも15重量%、6時間後に少なくとも20重量%、8時間後に少なくとも25重量%、そして12時間後に少なくとも30重量%を放出した。
【0132】
適切なインビトロ条件は当業者に知られている。これに関して、例えばヨーロッパ薬局方を参照することができる。好ましくは、放出プロファイルは以下の条件下で測定される:シンカーを備えたパドル装置、50rpm、37±5℃、900mLの疑似腸液pH6.8(リン酸緩衝液)またはpH4.5。好ましい実施形態では、パドルの回転速度は100rpmに増大される。
【0133】
好ましい実施形態では、好ましくは本発明に従う医薬剤形のインビボでの経口投与の後、平均ピーク血漿レベル(Cmax)は、平均して、tmax4.0±2.5時間の後、より好ましくはtmax4.0±2.0時間の後、さらにより好ましくはtmax4.0±1.5時間の後、最も好ましくはtmax4.0±1.0時間の後、特にtmax4.0±0.5時間の後に達成される。別の好ましい実施形態では、好ましくは本発明に従う医薬剤形のインビボでの経口投与の後、平均ピーク血漿レベル(Cmax)は、平均して、tmax5.0±2.5時間の後、より好ましくはtmax5.0±2.0時間の後、さらにより好ましくはtmax5.0±1.5時間の後、最も好ましくはtmax5.0±1.0時間の後、特にtmax5.0±0.5時間の後に達成される。さらに別の好ましい実施形態では、好ましくは本発明に従う医薬剤形のインビボでの経口投与の後、平均ピーク血漿レベル(Cmax)は、平均して、tmax6.0±2.5時間の後、より好ましくはtmax6.0±2.0時間の後、さらにより好ましくはtmax6.0±1.5時間の後、最も好ましくはtmax6.0±1.0時間の後、特にtmax6.0±0.5時間の後に達成される。
【0134】
好ましい実施形態では、好ましくは本発明に従う医薬剤形のインビボでの経口投与の後、t1/2の平均値は、4.0±2.5時間、より好ましくは4.0±2.0時間、さらにより好ましくは4.0±1.5時間、最も好ましくは4.0±1.0時間、特に4.0±0.5時間である。別の好ましい実施形態では、好ましくは本発明に従う医薬剤形のインビボでの経口投与の後、t1/2の平均値は、好ましくは5.0±2.5時間、より好ましくは5.0±2.0時間、さらにより好ましくは5.0±1.5時間、最も好ましくは5.0±1.0時間、特に5.0±0.5時間である。さらに別の好ましい実施形態では、好ましくは本発明に従う医薬剤形のインビボでの経口投与の後、t1/2の平均値は、好ましくは6.0±2.5時間、より好ましくは6.0±2.0時間、さらにより好ましくは6.0±1.5時間、最も好ましくは6.0±1.0時間、特に6.0±0.5時間である。
【0135】
好ましくは、本発明に従う医薬剤形は、コーティング、好ましくはフィルムコーティングを含有する。適切なコーティング材料は当業者に知られている。適切なコーティング材料は、例えば、Opadry(登録商標)およびEudragit(登録商標)という商標で市販されている。
【0136】
適切な材料の例としては、セルロースエステルおよびセルロースエーテル(例えば、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Na−CMC)、エチルセルロース(EC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)など)、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、エチルアクリレートメチルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸メチルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸メチルメタクリレートコポリマーなど)、ビニルポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなど)、および天然塗膜形成剤(例えば、シェラックなど)が挙げられる。
【0137】
特に好ましい実施形態では、コーティングは水溶性である。好ましい実施形態では、コーティングは部分加水分解ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコールに基づいており、さらに、マクロゴール3350などのポリエチレングリコール、および/または顔料を含有していてもよい。別の好ましい実施形態では、コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、好ましくは3〜15mPasの粘度を有するヒプロメロース2910タイプに基づいている。
【0138】
医薬剤形のコーティングはその貯蔵安定性を増大させることができる。
【0139】
コーティングは胃液に耐性があり、放出環境のpH値に応じて溶解し得る。このコーティングを用いて、本発明に従う医薬剤形が溶解せずに胃を通過し、活性化合物が腸管内でのみ放出されることを保証することが可能である。胃液に耐性があるコーティングは、好ましくは、5〜7.5の間のpH値で溶解する。活性化合物を遅延放出させるため、そして胃液に耐性があるコーティングを適用するための対応する材料および方法は、例えば非特許文献5から、当業者に知られている。
【0140】
好ましい実施形態では、本発明に従う医薬剤形は、鼻腔および/または咽頭を刺激する物質、すなわち、鼻腔および/または咽頭を介して投与される場合に、患者にとって不快であるために投与の継続が望まれないかまたは投与の継続が不可能な物理反応(例えば、灼熱痛)、または例えば鼻汁もしくはくしゃみの増大のために対応する活性化合物の摂取を生理学的に妨げる物理反応をもたらす物質を含有しない。鼻腔および/または咽頭を刺激する物質のさらなる例は、灼熱痛、掻痒感、くしゃみの衝動、分泌物の形成の増大、またはこれらの刺激の少なくとも2つの組み合わせを引き起こすものである。従来通りに使用される対応する物質およびその量は当業者に知られている。従って、鼻腔および/または咽頭を刺激する物質のいくつかは、辛味物質薬物(hot substance drug)の1つまたは複数の成分または1つまたは複数の植物部分に基づく。対応する辛味物質薬はそれ自体当業者に知られており、例えば、非特許文献6(82頁以下参照)に記載されている。対応する記載は参照として本明細書に導入されており、本開示の一部とみなされる。
【0141】
本発明に従う医薬剤形は、さらに好ましくは、オピオイド(A)のアンタゴニスト、好ましくは向精神物質に対するアンタゴニスト、特にオピオイド(A)に対するアンタゴニストを含有しない。所与のオピオイド(A)に適したアンタゴニストは当業者に知られており、そのままで、または対応する誘導体、特にエステルまたはエーテルの形態で、またはそれぞれの場合に対応する生理学的に許容可能な化合物の形態で、特にこれらの塩または溶媒和物の形態で存在し得る。本発明に従う医薬剤形は、好ましくは、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナリド(nalide)、ナルメキソン(nalmexone)、ナロルフィンまたはナルフィン(naluphine)(それぞれの場合に、場合により対応する生理学的に許容可能な化合物の形態、特に塩基、塩または溶媒和物の形態である)を含む群の中から含有されるアンタゴニストを含有せず、そして、神経遮断薬、例えば、ハロペリドール、プロメタシン(promethacine)、フルフェナジン、ペルフェナジン、レボメプロマジン、チオリダジン、ペラジン、クロルプロマジン、クロルプロチキシン(chlorprothixine)、ズクロペンチキソール、フルペンチキソール、プロチペンジル、ゾテピン、ベンペリドール、ピパンペロン、メルペロンおよびブロムペリドールを含む群の中から選択される化合物も含有しない。
【0142】
本発明に従う医薬剤形は、さらに好ましくは、催吐薬を含有しない。催吐薬は当業者に知られており、そのままで、または対応する誘導体、特にエステルまたはエーテルの形態で、またはそれぞれの場合に対応する生理学的に許容可能な化合物の形態で、特にこれらの塩または溶媒和物の形態で存在し得る。本発明に従う医薬剤形は、好ましくは、トコン(ipecac)の根の1つまたは複数の成分に基づいた催吐薬、例えば、非特許文献6に記載されるような成分エメチンに基づいた催吐薬を含有しない。対応する文献の記載は参照として本明細書に導入されており、本開示の一部とみなされる。本発明に従う医薬剤形は、好ましくは、アポモルフィンも催吐薬として含有しない。
【0143】
最後に、本発明に従う医薬剤形は、好ましくは、苦味物質も含有しない。苦味物質および使用に有効な量は特許文献13において見出すことができ、その対応する開示は、本出願の開示であるとみなされるべきであり、参照として本明細書に導入される。苦味物質の例は、芳香族油、例えばペパーミント油、ユーカリ油、苦扁桃油、メントール、果実芳香物質、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツからの芳香物質またはこれらの混合物、および/または安息香酸デナトニウムである。
【0144】
従って、本発明に従う医薬剤形は、好ましくは、鼻腔および/または咽頭を刺激する物質、オピオイド(A)のアンタゴニスト、催吐薬、そして苦味物質をどれも含有しない。
【0145】
本発明に従う医薬剤形は、好ましくは、経口投与に適している。
【0146】
通常、本発明に従う医薬剤形は錠剤の形態をとる。好ましくは、医薬剤形はフィルム形態でも多粒子状でもない。
【0147】
本発明に従う医薬剤形は好ましくは不正使用防止性である。好ましくは、不正使用防止性は、粉砕が回避または少なくとも実質的に妨害されるように、医薬剤形の機械特性に基づいて達成される。本発明によると、粉砕という用語は、乱用者が通常利用可能な従来の手段、例えば乳棒および乳鉢、ハンマー、木槌、または力の作用下で微粉化するためのその他の従来の手段を用いた医薬剤形の微粉化を意味する。従って、不正使用防止性は、好ましくは、従来の手段を用いた医薬剤形の微粉化が回避または少なくとも実質的に妨害されることを意味する。
【0148】
好ましくは、本発明に従う医薬剤形の機械特性、特にその破壊強度は、実質的にポリアルキレンオキシド(C)の存在および空間分布に依存するが、通常、前記特性を達成するためにはその単なる存在だけでは十分ではない。本発明に従う医薬剤形の有利な機械特性は、医薬剤形の従来の調製方法によりオピオイド(A)、酸(B)、ポリアルキレンオキシド(C)、および場合によりさらなる賦形剤を単に加工することによって自動的に達成することはできない。実際、調製のために通常適切な装置を選択しなければならず、重大な加工パラメータ、特に圧力/力、温度および時間を調整しなければならない。従って、たとえ従来の装置が使用される場合でも、通常、要求される基準を満たすためにプロセスプロトコルを適合させなければならない。
【0149】
本発明に従う医薬剤形は、少なくとも300N、好ましくは少なくとも400N、より好ましくは少なくとも500N、さらにより好ましくは少なくとも750N、よりさらに好ましくは少なくとも1000N、最も好ましくは少なくとも1250N、特に、少なくとも1500Nの破壊強度を有する。
【0150】
医薬剤形の「破壊強度」(破砕に対する耐性)は当業者に知られている。これに関して、例えば、非特許文献7、非特許文献8、および非特許文献9を参照することができる。
【0151】
本明細書の目的のために、破壊強度は、好ましくは、医薬剤形を破砕するために必要な力の量(=破壊力)であると定義される。従って、本明細書の目的のために、好ましくは、医薬剤形は、壊れる場合、すなわち互いに分離された少なくとも2つの独立した部分に破砕される場合、所望の破壊強度を示さない。しかしながら、別の好ましい実施形態では、測定中に測定される最大の力の25%(しきい値)だけ力が低下したときに、医薬剤形は破壊されたとみなされる(以下を参照)。
【0152】
本発明に従う医薬剤形は、その破壊強度のために、例えば、乳棒および乳鉢、ハンマー、木槌または微粉化のためのその他の手段、特にこの目的のための装置(錠剤クラッシャー)などの従来の手段による力の適用によって微粉化することができないという点で、従来の医薬剤形とは区別される。これに関して、「微粉化」は、適切な媒体中の薬理活性化合物(A)を直ちに放出し得る小さい粒子に破砕することを意味する。微粉化の回避により、経口または非経口、特に静脈内または鼻腔内での乱用が事実上排除される。
【0153】
従来の錠剤は、通常、あらゆる伸長方向において200Nよりもはるかに低い破壊強度を有する。従来の丸い錠剤の破壊強度は、以下の経験式:破壊強度[N]=10×錠剤の直径[mm]から推定することができる。従って、前記経験式によると、少なくとも300Nの破壊強度を有する丸い錠剤は、少なくとも30mmの直径を必要とするであろう。しかしながら、このような錠剤は嚥下することができない。上記経験式は、好ましくは、従来通りではなくむしろ特別である本発明の医薬剤形には適用されない。
【0154】
さらに、実際の平均咀嚼力は約220Nである(例えば、非特許文献10を参照)。これは、200Nよりもはるかに低い破壊強度を有する従来の錠剤は自然な咀嚼時に破砕され得るが、本発明に従う医薬剤形はそうでないことを意味する。
【0155】
またさらに、約9.81m/sの重力加速度を適用する場合、300Nは30kgよりも大きい重力に相当する。すなわち、本発明に従う医薬剤形は、好ましくは、微粉化されることなく30kgよりも大きい重量に耐えることができる。
【0156】
医薬剤形の破壊強度の測定方法は当業者に知られている。適切な装置は市販されている。
【0157】
例えば、破壊強度(破砕に対する耐性)は、ヨーロッパ薬局方5.0、2.9.8または6.0、2.09.08「錠剤の破砕に対する耐性」に従って測定することができる。試験は、定義された条件下で、破砕により錠剤を破壊するために必要とされる力によって測定される錠剤の破砕に対する耐性を決定することが意図される。装置は互いに対向する2つのジョー(jaw)からなり、その一方が他方に向かって動く。ジョーの平坦な表面は移動方向に垂直である。ジョーの破砕表面は平坦であり、錠剤と接触するゾーンよりも大きい。装置は、1ニュートンの精度を有するシステムを用いて較正される。錠剤は、該当する場合には形状、ブレイクマーク(break−mark)および銘を考慮に入れてジョーの間に置かれる。測定毎に、錠剤は、力の適用方向(および破壊強度を測定すべき伸長方向)に関して同じように方向が合わせられる。測定は、各決定の前に、錠剤の全ての断片が除去されていることに注意しながら、10個の錠剤において行われる。結果は、測定された力の平均値、最小値、および最大値(全てニュートンで表される)で表される。
【0158】
破壊強度(破壊力)についての同様の記載は、米国薬局方において見出すことができる。破壊強度は、代替的に、その中に記載されている方法に従って測定することができ、そこでは、破壊強度は、錠剤を特定の平面で不合格にする(すなわち、破壊させる)ために必要とされる力であると記載されている。錠剤は、一般に、2つのプラテンの間に置かれ、その一方が破砕を引き起こすのに十分な力を錠剤に適用するように移動する。従来の丸い(円形断面の)錠剤については、その直径を横切って負荷(直径負荷と呼ばれることもある)が生じ、その平面で破砕が生じる。錠剤の破壊力は、医薬文献では一般に硬度と呼ばれるが、この用語の使用は紛らわしい。材料科学において、硬度という用語は、小さいプローブによる貫入または圧入に対する表面の耐性を指す。破砕強度という用語も、圧縮負荷の適用に対する錠剤の耐性を説明するために頻繁に使用される。この用語は硬度よりも正確に試験の本質を説明するが、錠剤が試験中に実際に破砕されることを暗示するので、当てはまらないことも多い。
【0159】
あるいは、破壊強度(破砕に対する耐性)は、特許文献1、特許文献2、および特許文献9に従って測定することができ、これらは、ヨーロッパ薬局方に記載される方法の修正とみなすことができる。測定のために使用される装置は、好ましくは、最大引張が1150mmの「Zwick Z 2.5」材料試験機(Fmax=2.5kN)であり、これは、testControlソフトウェアと共に、1つのカラムおよび1つのスピンドル、100mmの後部隙間および0.1〜800mm/分の間で調整可能な試験速度で設定されるべきである。測定は、DIN55350−18に従う製造業者の試験証明書M(Zwick総力Fmax=1.45kN)を伴った、ねじ込み式インサートおよびシリンダ(直径10mm)を有する圧力ピストン、力変換器、Fmax.1kN、直径=8mm、ISO7500−1に対して10Nからのクラス0.5、2Nからのクラス1(全ての装置は、Zwick GmbH & Co. KG、Ulm、Germanyからのものである)を用いて実施され、試験機の注文番号はBTC−FR2.5TH.D09、力変換器の注文番号はBTC−LC0050N.P01、センタリング装置の注文番号はBO70000 S06である。
【0160】
本発明の好ましい実施形態では、破壊強度は、破壊強度試験機、例えばSotax(登録商標)、HT100型またはHT1型(Allschwil,Switzerland)によって測定される。Sotax(登録商標)HT100およびSotax(登録商標)HT1はいずれも、2つの異なる測定原理に従って破壊強度を測定することができる:一定の速度(試験ジョーは5〜200mm/分に調整可能な一定の速度で移動される。)または一定の力(試験ジョーは力を直線的に増大させる、5〜100N/秒で調整可能)。原則として、本発明に従う医薬剤形の破壊強度を測定するために両方の測定原理が適している。好ましくは、破壊強度は、一定の速度、好ましくは120mm/分の一定の速度で測定される。
【0161】
好ましい実施形態では、医薬剤形は、少なくとも2つの分離した断片に破砕された場合に破壊されているとみなされる。
【0162】
本発明に従う医薬剤形は、好ましくは、自然咀嚼、乳鉢における粉砕、強打などによる微粉化を事実上不可能にするために、場合により低温(例えば、−24℃未満、−40℃未満または液体窒素中)でも、破壊強度(破砕に対する耐性)、場合により同様に十分な硬度、耐衝撃性、衝撃弾性、引張強さおよび/または弾性率に加えて、広い温度範囲にわたる機械強度を示す。従って、好ましくは、低温または非常に低い温度でも、例えば、医薬剤形が最初にその脆性を増大させるために例えば25℃未満、−40℃未満、またはさらに液体窒素中の温度まで冷却される場合でも、本発明に従う医薬剤形の比較的高い破壊強度が保持される。
【0163】
本発明に従う医薬剤形は、ある程度の破壊強度を特徴とする。これは、医薬剤形がある程度の硬度も示さなければならないことを意味しない。硬度および破壊強度は異なる物理特性である。従って、医薬剤形の不正使用防止性は、必ずしも医薬剤形の硬度に依存するわけではない。例えば、その破壊強度、衝撃強度、弾性率および引張強さそれぞれのために、好ましくは、医薬剤形は、例えばハンマーを用いて外力を加えた場合に、例えば可塑的に変形させることができるが、微粉化すること、すなわち粉々にして多数の断片にすることはできない。言い換えると、本発明に従う医薬剤形はある程度の破壊強度を特徴とするが、必ずしもある程度の形状安定性を特徴とするわけではない。
【0164】
従って、本明細書の意味では、特定の伸長方向で力にさらされた場合に変形されるが破壊はしない(塑性変形または塑性流動)医薬剤形は、好ましくは、前記伸長方向において所望の破壊強度を有するとみなされるべきである。
【0165】
本発明の特に好ましい実施形態は、少なくとも300Nの破壊強度を有し、ホットメルト押出によって熱成形された不正使用防止医薬剤形に関し、前記医薬剤形は、
− オキシモルホン、オキシコドン、ヒドロモルホン、およびこれらの生理学的に許容可能な塩からなる群から選択されるオピオイド(A)と、
− 生理学的に許容可能な遊離多価カルボン酸(B)、好ましくはクエン酸(ここで、酸(B)の含量は、医薬剤形の総重量に基づいて0.001〜5.0重量%の範囲内である)と、
− 酸化防止剤(ここで、酸化防止剤、好ましくはα−トコフェロールの含量は医薬剤形の総重量に基づいて0.001〜5.0重量%の範囲内である)と、
− 少なくとも200,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリアルキレンオキシド(C)と
を含み、ここで、
− オピオイド(A)は、ポリアルキレンオキシド(C)を含むマトリックス中に埋め込まれており、前記マトリックスは、医薬剤形からのオピオイド(A)の放出を制御し、そして
− 40℃および75%相対湿度で4週間の貯蔵後、オピオイド(A)、好ましくはオピオイド(A)の含量は、貯蔵前のその元の含量の少なくとも98.0%になる。
【0166】
本発明に従う医薬剤形は種々の方法によって製造することができ、そのうち特に好ましい方法は、以下により詳細に説明されている。いくつかの適切な方法は、従来技術において既に記載されている。これに関して、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9を参照することができる。
【0167】
また本発明は、ここで以下に記載される方法のいずれかによって得られる医薬剤形にも関する。
【0168】
一般に、本発明に従う医薬剤形の製造方法は、好ましくは、以下の工程:
(a)全ての成分を混合する工程と、
(b)場合により、工程(a)から得られた混合物に好ましくは熱および/または力を適用することによって、工程(a)から得られた混合物を予備成形する工程であって、供給される熱の量が、好ましくは、ポリアルキレンオキシド(C)をその軟化点まで加熱するのに十分ではない工程と、
(c)熱および力を適用することにより混合物を硬化させる工程であって、力の適用中および/または適用前に熱を供給することが可能であり、供給される熱の量がポリアルキレンオキシド(C)を少なくともその軟化点まで加熱するのに十分である工程と、
(d)場合により、硬化した混合物を単一化する工程と、
(e)場合により、医薬剤形を成形する工程と、
(f)場合により、フィルムコーティングを提供する工程と
を含む。
【0169】
熱は、例えば接触によって、またはホットエアーなどの高温ガスによって、または超音波を用いて直接供給されてもよい。例えば、直接打錠することによって、または適切な押出機を用いて、特に2つのスクリューを備えたスクリュー押出機(ツインスクリュー押出機)を用いて、または遊星ギア押出機を用いて力が適用され、そして/あるいは医薬剤形が成形されてもよい。
【0170】
医薬剤形の最終形状は、熱および力の適用による混合物の硬化中(工程(c))、またはその次の工程(工程(e))のいずれかで提供され得る。いずれの場合も、全ての成分の混合物は、好ましくは、可塑化状態(plastified state)である。すなわち、好ましくは、成形は少なくともポリアルキレンオキシド(C)の軟化点よりも高い温度で実施される。しかしながら、より低い温度、例えば周囲温度での押出も可能であり、好ましいこともある。
【0171】
成形は、例えば、適切な形状のダイおよびパンチを含む打錠プレスによって実施することができる。
【0172】
本発明の医薬剤形の特に好ましい製造方法は、ホットメルト押出を含む。この方法では、本発明に従う医薬剤形は、押出機を用いる熱成形によって製造され、好ましくは、結果として生じる観察可能な押出物の変色を伴わない。意外にも、酸(B)は変色を抑制できることが分かった。酸(B)の不在下で、押出物はベージュ〜黄色がかった着色を生じる傾向があるが、酸(B)の存在下では押出物は実質的に無色、すなわち白色である。
【0173】
この方法は、
a)全ての成分が混合されること、
b)得られた混合物が少なくともポリアルキレンオキシド(C)の軟化点まで押出機内で加熱され、力の適用により押出機の出口オリフィスから押出されること、
c)まだ可塑性の押出物が単一化され、医薬剤形に形成されること、または
d)冷却および場合により再加熱された単一化押出物が医薬剤形に形成されること
を特徴とする。
【0174】
プロセス工程a)に従う成分の混合は、押出機内で進行されてもよい。
【0175】
また成分は、当業者に知られているミキサー内で混合されてもよい。ミキサーは、例えば、ロールミキサー、振とうミキサー、せん断ミキサーまたは強制ミキサーなどでよい。
【0176】
残りの成分とのブレンドの前に、ポリアルキレンオキシド(C)には、好ましくは、本発明に従って酸化防止剤、好ましくはα−トコフェロールが提供される。これは、好ましくは、酸化防止剤を高揮発性溶媒中に溶解または懸濁させ、この溶液または懸濁液をポリアルキレンオキシド(C)と均一に混合し、好ましくは不活性ガス雰囲気下で乾燥により溶媒を除去することによる、2つの成分、ポリアルキレンオキシド(C)および酸化防止剤の混合によって進行されてもよい。
【0177】
押出機中でポリアルキレンオキシド(C)の軟化点まで加熱された、好ましくは溶融した混合物は、少なくとも1つの孔を有するダイを通して押出機から押出される。
【0178】
本発明に従う方法は、適切な押出機、好ましくはスクリュー押出機の使用を必要とする。2つのスクリューを備えたスクリュー押出機(ツインスクリュー押出機)が特に好ましい。
【0179】
押出は、好ましくは、押出によるストランドの膨張が30%以下であるように実施される。すなわち、例えば直径が6mmの孔を有するダイを用いる場合、押出されたストランドは8mm以下の直径を有さなければならない。より好ましくは、ストランドの膨張は25%以下、さらにより好ましくは20%以下、最も好ましくは15%以下、特に10%以下である。
【0180】
好ましくは、押出は水が存在しない状態で実施される。すなわち、水は添加されない。しかしながら、微量の水(例えば、大気の湿気により生じる)は存在してもよい。
【0181】
押出機は、好ましくは、少なくとも2つの温度ゾーンを含み、少なくともポリアルキレンオキシド(C)の軟化点までの混合物の加熱は、供給ゾーンおよび場合により混合ゾーンよりも下流側の第1のゾーンにおいて進行する。混合物の処理量は、好ましくは1.0kg〜15kg/時である。好ましい実施形態では、処理量は1〜3.5kg/時である。別の好ましい実施形態では、処理量は4〜15kg/時である。
【0182】
好ましい実施形態では、ダイヘッド圧力は、25〜100バールの範囲内である。ダイヘッド圧力は、特に、ダイ形状、温度プロファイルおよび押出速度によって調整することができる。
【0183】
ダイ形状または孔の形状は自由に選択可能である。従って、ダイまたは孔は円、長円または楕円の断面を示すことができ、ここで、円形断面は、好ましくは、0.1mm〜15mmの直径を有し、長円の断面は、好ましくは、21mmの最大縦方向伸長および10mmの横方向伸長を有する。好ましくは、ダイまたは孔は円形断面を有する。本発明に従って使用される押出機のケーシングは加熱または冷却されてもよい。対応する温度制御、すなわち加熱または冷却は、押出すべき混合物が少なくともポリアルキレンオキシド(C)の軟化温度に相当する平均温度(製品温度)を示し、加工すべきオピオイド(A)が損傷され得る温度を超えて上昇しないように取決められる。好ましくは、押出すべき混合物の温度は180℃未満、好ましくは150℃未満であるが少なくともポリアルキレンオキシド(C)の軟化温度である温度に調整される。典型的な押出温度は120℃および130℃である。
【0184】
好ましい実施形態では、押出機トルクは30〜95%の範囲内である。押出機トルクは、特に、ダイ形状、温度プロファイルおよび押出速度によって調整することができる。
【0185】
溶融混合物の押出および場合により押出ストランド(単数または複数)の冷却の後、押出物は好ましくは単一化される。この単一化は、好ましくは、旋回または回転ナイフ、水噴射カッター、ワイヤ、ブレードを用いて、あるいはレーザーカッターを利用して押出物を切断することによって実施されてもよい。
【0186】
好ましくは、本発明に従う医薬剤形の場合により単一化された押出物または最終形状の中間または最終貯蔵は、例えば酸素捕捉剤を用いて達成され得る酸素を含まない雰囲気下で行われる。
【0187】
単一化された押出物は、医薬剤形に最終形状を付与するためにプレス成型して錠剤にしてもよい。
【0188】
押出機内の少なくとも可塑化された混合物に対する力の適用は、押出機内の搬送装置の回転速度およびその配置を制御することによって、そして好ましくは押出の直前に、可塑化混合物を押出すために必要な圧力が押出機内に生じるように出口オリフィスを必要な大きさにすることによって調整される。それぞれの特定の組成物について、所望の機械特性を有する医薬剤形を生じさせるのに必要な押出パラメータは、簡単な予備試験により確立されてもよい。
【0189】
例えば(限定しないが)、押出はツインスクリュー押出機ZSE18型またはZSE27型(Leistritz,Nuernberg,Germany)、スクリュー直径18または27mmを用いて実施されてもよい。偏心端部を有するスクリューが使用されてもよい。直径7、8、または9mmの円形孔を有する加熱可能なダイが使用されてもよい。押出パラメータは、例えば以下の値に調整してもよい:スクリューの回転速度120Upm、送達速度2kg/時(ZSE18の場合)または8kg/時(ZSE27の場合)、生成物の温度125℃(ダイの前面)および135℃(ダイの後方)、ならびにジャケット温度110℃。
【0190】
好ましくは、押出はツインスクリュー押出機または遊星ギア押出機を用いて実施され、ツインスクリュー押出機(共回転または反対回転)が特に好ましい。
【0191】
本発明に従う医薬剤形は、好ましくは、押出機を用いる熱成形によって製造され、結果として生じる観察可能な押出物の変色を伴わない。
【0192】
本発明に従う医薬剤形の調製方法は、好ましくは、連続的に実施される。好ましくは、本方法は、全ての成分の均一な混合物の押出を含む。こうして得られた中間体、例えば押出により得られたストランドが均一な特性を示せば、特に有利である。特に望ましいのは、均一な密度、活性化合物の均一な分布、均一な機械特性、均一な多孔率、表面の均一な外観などである。これらの状況下でのみ、放出プロファイルの安定性などの薬理学的特性の均一性が保証され、不合格品の量を低く保持することができる。
【0193】
本発明のさらなる態様は、本発明に従う医薬剤形および酸素捕捉剤を含有するパッケージングに関する。適切なパッケージには、ブリスターパッケージおよびボトル(ガラスボトルまたは熱可塑性ポリマー製のボトルなど)が含まれる。
【0194】
適切な酸素捕捉剤は当業者に知られている。酸素捕捉剤は酸素を捕捉することが当該技術分野において知られているどの捕捉剤でもよい。有機および無機の両方の酸素捕捉剤を使用することができる。
【0195】
一実施形態では、酸素捕捉剤は酸素捕捉活性を示す任意の金属錯体である。例としては、アルミニウム、アルミニウムフェロシリコン、アンチモン、ベリリウム、カルシウムシリコン、セリウム、コバルト、ガリウム、ハフニウム、鉄、マグネシウム合金、ニッケル触媒、セレン、シリコン、銀、ストロンチウム、チタン、亜鉛、および/またはジルコニウムのうちの1つまたは複数を含有する錯体が挙げられる。
【0196】
さらに別の実施形態では、周期表のIA族からの1つまたは複数の元素ならびにこれらの合金および化合物が酸素捕捉剤として使用されてもよい。IA族元素の例としては、セシウム、リチウム、カリウム、ナトリウムが挙げられる。無機酸素捕捉剤のさらなる例には、ナトリウムアジド(NaN)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、ヒドラジン、およびヒドロキシルアミンのうちの1つまたは複数が含まれる。
【0197】
一実施形態では、酸素捕捉剤は有機化合物である。例としては、ポリテルペン、アスコルビン酸、アミノポリカルボン酸、シクロヘキサンジオン、テトラメチルピペリドン、およびN−置換アミノ基を有する複素環式化合物のうちの1つまたは複数が挙げられる。
【0198】
酸素捕捉剤および医薬品のパッケージングにおけるその適用は当業者に知られている。好ましい実施形態では、酸素捕捉剤は、金属触媒による酸化可能な有機ポリマーおよび酸化防止剤からなる群から選択される。特に好ましいのは、60%未満の相対湿度、好ましくは30%未満の相対湿度の乾燥環境で機能することができ、乾燥剤と併用される酸素捕捉剤である。これらの要件を満たす市販の酸素捕捉剤の例としては、Pharmakeep(登録商標)KD10およびKD20が挙げられる。
【0199】
意外にも、医薬剤形の貯蔵安定性は、パッケージング内の空気の酸素含量を低く保持する場合に増大され得ることが分かった。医薬剤形のパッケージングおよび適切な酸素捕捉剤の適用のための方法は当業者に知られている。これに関して、例えば、非特許文献11、非特許文献12、および非特許文献13を参照することができる。
【0200】
パッケージングに関する限り、ポリオレフィン、好ましくはHDPEから製造された丸いボトルが好ましい。ボトル壁の厚さは、好ましくは少なくとも0.25mm、より好ましくは少なくとも0.5mmであり、そうでなければボトルは崩壊する可能性がある。
【0201】
パッケージングのフタに関する限り、パッケージングは、好ましくは、アルミ箔により誘導またはヒートシールされる。
【0202】
意外にも、パッケージングの適切な形状およびシーリングを選択することによって、酸素捕捉剤の効果によって生じる真空(約20,000Pa=2N/cmの過小圧力)は、パッケージングの崩壊を引き起こすことなく取り扱い可能であることが分かった。誘導シーリング(例えば、3秒のエネルギー)が好ましい。直径1インチの開口部を有する75mlのボトルをアルミ箔で密封する場合、酸素捕捉性に起因する20,000Paの過小圧力は、1kgの重量によりもたらされる力に相当する約10Nの力を生じる。
【0203】
シーリングの機械的安定性は、適切な量の酸素捕捉剤をボトル内に導入し、これを密封し、酸素が捕捉されて約20,000Paの過小圧力が生じるように十分な期間(例えば、2日間)待機することによって試験することができる。あるいは、ボトルはその内部に酸素捕捉剤を含むことなく密封されてもよく、1kgの重量を外部からアルミ箔上に置くことができ、それにより力がシミュレートされる。
【0204】
本発明のさらなる態様は、痛みの治療のための上記のような医薬剤形を製造するための、オピオイド(A)の使用に関する。
【0205】
本発明のさらなる態様は、その中に含有されるオピオイド(A)の乱用を回避または妨害するための上記のような医薬剤形の使用に関する。
【0206】
本発明のさらなる態様は、その中に含有されるオピオイド(A)の故意でない過剰投与を回避または妨害するための、上記のような医薬剤形の使用に関する。
【0207】
これに関して、本発明は、障害の予防および/または治療のための本発明に従う医薬剤形を製造するための、上記のようなオピオイド(A)および/または上記のようなポリアルキレンオキシド(C)の使用にも関し、これにより、特に機械的作用による医薬剤形の粉砕に起因するオピオイド(A)の過剰投与が防止される。
【0208】
さらに、本発明は、本発明に従う医薬剤形の投与を含む障害の予防および/または治療方法に関し、これにより、特に機械的作用による医薬剤形の粉砕に起因するオピオイド(A)の過剰投与が防止される。好ましくは、機械的作用は、咀嚼、乳鉢における粉砕、強打、および従来の医薬剤形の微粉化装置の使用からなる群から選択される。
【実施例】
【0209】
以下の実施例は本発明をさらに説明するが、その範囲を限定すると解釈されてはならない。
【0210】
実施例1
以下の同一の押出条件下における種々の均一な成分混合物のホットメルト押出によって錠剤を調製した:
押出機型:高せん断スクリューおよび9mm直径のダイを備えたLeistritz押出機ZSE18PH40D
処理量:1.0kg/時
回転速度:100rpm
バレル温度:100℃
押出温度:120℃
【0211】
押出物を切断して、約5mgのオキシモルホン塩酸塩を含有する325mgの薄片にした。
【0212】
押出された混合物の個々の成分、ならびに加速貯蔵条件下での貯蔵前および貯蔵後の分解生成物の総量は、ここで、以下の表に要約される:
【0213】
【表11】

(A):オキシモルホン塩酸塩
PEO:ポリエチレンオキシドM7mio g/mol
PEG:ポリエチレングリコール6000
HPMC:ヒプロメロース100,000Pa
α−toc.:α−トコフェロール
oNo:オキシモルホン−N−オキシド(混合物)
Σ:全ての不純物の合計
:押出後、貯蔵前
:貯蔵後、アンバーガラスボトル、プラスチックキャップ、4週間、40℃、75%相対湿度
【0214】
分解生成物をHPLC−UVにより分析した。オキシモルホン−N−オキシドの溶出ピークは、未知の劣化生成物(「UK0.83」と呼ばれる)のピークから基線で十分に分離できなかった。従って、両方のピークを一緒に積分した。実施例A〜Aの比較から、酸化防止剤α−トコフェロールの含量が1.5重量%から1.0重量%、0.5重量%、0.2重量%、そしてさらに0重量%まで低下したときに、貯蔵前のオキシモルホン−N−オキシドの含量(oNo)は実質的に変化しないことが明らかになった。しかしながら、貯蔵において(oNo)、オキシモルホン−N−オキシドの含量は、α−トコフェロールの含量に比例する。オキシモルホン−N−オキシドは酸化生成物であり、酸化防止剤は通常酸化生成物の形成を支援するというよりむしろ抑制することが予想されるので、これは最も意外である。
【0215】
それにもかかわらず、酸化防止剤(α−トコフェロール)の完全な省略には欠点がある。粘度測定によって、酸化防止剤が存在しないと高分子ポリエチレンオキシドが押出および/または貯蔵時に劣化されることが示され得るであろう。意外にも、約0.2重量%のα−トコフェロールはポリエチレンオキシドを安定化するために十分であり、より高い含量のα−トコフェロールはポリアルキレンオキシドのより高い粘度をもたらさず、従って、PEOが劣化することをより顕著には防止しないことが分かった。従って、酸化防止剤(α−トコフェロール)の含量は、好ましくは、一方で高分子量ポリエチレンオキシドが十分に安定化され、そして他方で貯蔵の間の望ましくないオキシモルホン−N−オキシドの形成が低く保たれるようにバランスが取られる。
【0216】
さらに、実施例B〜Bおよび実施例C〜Cの比較から、代替の可塑剤による高分子量ポリエチレンオキシドの部分置換またはポリエチレングリコールの全置換は、望ましくないオキシモルホン−N−オキシドの含量の実質的な減少をもたらさないことが明らかになる。ポリエチレンオキシドおよびポリエチレングリコールは潜在的な過酸化物キャリアであり、これらの低減はオキシモルホンのオキシモルホン−N−オキシドへの酸化などの酸化過程の減少をもたらすであろうことが予想されるので、これは意外である。
【0217】
またさらに、実施例D〜DおよびE〜Eの比較から、生理学的に許容可能な酸、特にクエン酸の添加が、オキシモルホン−N−オキシドの形成の低減を導くことが明らかになる。この効果は、酸の量が増大される場合により顕著である。0.1重量%の濃度では効果は比較的弱いが、0.2重量%の濃度では効果はより強く、クエン酸の濃度が増大されるとさらに増強される。オキシモルホン−N−オキシドの量が低減されるだけでなく、分解生成物、特に高いHPLC保持時間を有するものの総量も低減される。
【0218】
実施例2:
上記の実施例A、B、C、DおよびEと同様にして製造した錠剤を異なるパッケージング材料内に包装し、40℃および75%相対湿度で貯蔵した。加速貯蔵条件下での貯蔵前および貯蔵後の分解生成物は、ここで、以下の表に要約される:

【0219】
【表12】

HDPEボトルは75mlの容積を有した。酸素捕捉剤はPharmakeep(登録商標)KD20(Mitsubishi,日本)であった。

【0220】
意外にも、パッケージング内に酸素捕捉剤を含有させると剤形のさらなる安定化が得られるので、分解生成物の形成が極めて低い値に限定されることが分かった。
【0221】
実施例3:
錠剤を実施例1に記載した通りに製造し、乾燥剤(Pharmakeep 20 KD)と組み合わせた酸素捕捉剤と一緒に75ml容積のHDPEボトル内に詰め、誘導シーリングによりプラスチックキャップで閉鎖した。
【0222】
押出された混合物の個々の成分、加速貯蔵条件下での貯蔵前および貯蔵後の分解生成物の総量は、ここで、以下の表に要約される:
【0223】
【表13】

(A):オキシモルホン塩酸塩
PEO:ポリエチレンオキシドM7mio g/mol
PEG:ポリエチレングリコール6000
HPMC:ヒプロメロース100,000Pa
α−toc.:α−トコフェロール
oNo:オキシモルホン−N−オキシド(混合物)
Σ:全ての不純物の合計
:押出後、貯蔵前
:貯蔵後、HDPEボトル、誘導シーリングによるプラスチックキャップ、酸素捕捉剤、4週間、40℃、75%相対湿度
:貯蔵後、HDPEボトル、誘導シーリングによるプラスチックキャップ、酸素捕捉剤、8週間、40℃、75%相対湿度
【0224】
本結果により、製造後の生成物の純度が非常に高く、40℃/75%相対湿度の加速条件下での8週間の貯蔵の間、製品が安定性を示すことが明らかになる。
【0225】
実施例4:
錠剤を実施例1に記載した通りに製造したが、5mgまたは40mgのオキシモルホンHCl表す215mgの薄片に切断し、錠剤の形成後に、フィルム形成賦形剤としてポリビニルアルコールを含有するそれぞれ約6.5mgの従来のOpadry IIフィルムコートによりコートし、75ml容積のHDPEボトル中に、乾燥剤(Pharmakeep 20KD)と組み合わせた酸素捕捉剤と一緒に包装し、誘導シーリングによりプラスチックキャップで閉鎖した。
【0226】
押出された混合物の個々の成分、加速貯蔵条件下での貯蔵前および貯蔵後の分解生成物の総量は、ここで、以下の表に要約される:
【0227】
【表14】

(A):オキシモルホン塩酸塩
PEO:ポリエチレンオキシドM7mio g/mol
PEG:ポリエチレングリコール6000
HPMC:ヒプロメロース100,000Pa
α−toc.:α−トコフェロール
oNo:オキシモルホン−N−オキシド(混合物)
Σ:全ての不純物の合計
:押出後、貯蔵前
:貯蔵後、HDPEボトル、誘導シーリングによるプラスチックキャップ、酸素捕捉剤、1か月、40℃、75%相対湿度
【0228】
実施例5:
実施例3に従う最も好ましい剤形は、オキシコドンの安定化のためにも適している。これは、実施例1と同様にして製造された80mgのオキシコドンHClを含有する製剤(押出物は400mgの薄片に切断した)について実証され得る。
【0229】
【表15】

(A):オキシコドン
PEO:ポリエチレンオキシドM7mio g/mol
PEG:ポリエチレングリコール6000
HPMC:ヒプロメロース100,000Pa
α−toc.:α−トコフェロール
oNo:オキシコドン−N−オキシド(不純物D+E)
:押出後、貯蔵前
:貯蔵後、アンバーガラスボトル、プラスチックキャップ、酸素捕捉剤および乾燥剤(Pharmakeep 20KD)、1か月、40℃、75%相対湿度
【0230】
実施例6:
処置間隔1週間の単一用量(40mgのオキシモルホンHCl、実施例4の錠剤)の無作為化した3重交差研究において、被験者を一晩絶食させ、投与の4および10時間後に食事を与えた、投薬の前後1時間は水を与えなかった。全ての錠剤を240mLの水と共に摂取した。(実施例T)。
【0231】
投薬前および投薬後48時間まで、オキシモルホンおよび6−OH−オキシモルホンのPKサンプルを取った。
【0232】
Opana ER(登録商標)と生物学的同等性を比較した(参照R)。
【0233】
結果は、ここで、以下の表に要約される:
【0234】
【表16】

【0235】
【表17】

CI=信頼区間
【0236】
破壊強度が増大された本発明に従う剤形は、従来の剤形(Opana ER(登録商標))と生物学的に同等であることが明らかになる。
【0237】
実施例7:
2つの均一な成分混合物IおよびIのホットメルト押出により同一条件下で錠剤を調製した:
【0238】
【表18】

以下の同一押出条件下:
押出機型:中せん断スクリューおよび8mm直径のダイを備えたLeistritz押出機Micro27GL40D型
処理量:10kg/時
回転速度:120rpm
製造時間:30分
最も高温の加熱ゾーンの温度:100℃
ダイ温度:130℃
【0239】
押出物を切断して、約40mgのオキシモルホン塩酸塩を含有する360mgの薄片にした。
【0240】
100個の薄片を個々に秤量し、重量の標準偏差を計算した。組成物I(PEO:PEG=6.82:1)の薄片は2.3%の標準偏差を示したが、組成物I(PEO:PEG=4.21:1)の薄片は1.6%の標準偏差しか示さなかった。
【0241】
これらの比較試験から、意外にも、PEGに対するPEOの比率を調整することによって押出塊の加工性が改善され得ることが明らかになる。
【0242】
実施例8:
クエン酸以外の多価カルボン酸もオキシモルホン−N−オキシドの形成を妨害できるかを調査するために、マレイン酸(maleinic acid)またはフマル酸を含有する錠剤を実施例1に記載される通りに製造した。比較のために、無機塩NaHPOを含有する錠剤も製造した。サンプルは、40℃および75%相対湿度で4週間、開放皿で貯蔵した。
【0243】
押出された混合物の個々の成分、ならびに加速貯蔵条件下での貯蔵前および貯蔵後の分解生成物の総量は、ここで、以下の表に要約される:
【0244】
【表19】

(A):オキシモルホン塩酸塩
PEO:ポリエチレンオキシドM7mio g/mol
PEG:ポリエチレングリコール6000
HPMC:ヒプロメロース100,000Pa
α−toc.:α−トコフェロール
NaHPO:1.3%の二水和物の形態で使用
oNo:オキシモルホン−N−オキシド(混合物)
Σ:全ての不純物の合計:マレイン酸、フマル酸および関連化合物は不純物の合計から差し引いた
:押出後、貯蔵前
:貯蔵後、開放皿、4週間、40℃、75%相対湿度
【0245】
マレイン酸およびフマル酸の場合、純度試験の間に不純物(約40%まで)として、これらの化合物、そしてマレイン酸の場合には別の関連化合物も検出された。これらの値は、不純物の合計から差し引いた。
【0246】
実施例JおよびJとAおよびBとの比較から、サンプルを閉鎖ボトルでなく開放皿で貯蔵したが、マレイン酸およびフマル酸の存在が、N−オキシドへの酸化に対して完全に、そして他の劣化に対してもかなりの程度まで、オキシモルホンを保護したことが明らかになる。これらの結果は、クエン酸で得られた結果(実施例1、DおよびE〜E)に匹敵する。NaHPOを含有するサンプル(J)は、酸性化合物をどれも含まない製剤(AおよびB)と比較した場合にN−オキシドの形成および他の劣化に対する保護を示したが、クエン酸、マレイン酸およびフマル酸のような多価カルボン酸よりも程度が低かった。
【0247】
実施例9:
クエン酸の存在がオキシモルホン以外の酸化感受性オピオイドもN−酸化に対して保護するかを調査するために、オキシコドン塩酸塩を含有する錠剤を実施例1に記載される通りに製造した。
【0248】
比較のために、より少量のα−トコフェロールを含有する錠剤も製造した。サンプルは、40℃および75%相対湿度で4週間、開放皿で貯蔵した。
【0249】
押出された混合物の個々の成分、ならびに加速貯蔵条件下での貯蔵前および貯蔵後の分解生成物の総量は、ここで、以下の表に要約される:
【0250】
【表20】

(A):オキシコドン塩酸塩
PEO:ポリエチレンオキシドM7mio g/mol
PEG:ポリエチレングリコール6000
HPMC:ヒプロメロース100,000Pa
α−toc.:α−トコフェロール
oNo:オキシコドン−N−オキシド
Σ:全ての不純物の合計
:押出後、貯蔵前
:貯蔵後、開放皿、4週間、40℃、75%相対湿度
【0251】
これらの結果は、サンプルを閉鎖ボトルでなく開放皿で貯蔵したが、N−オキシドへの酸化に対して完全に、そして他の劣化に対してもかなりの程度まで、クエン酸がオキシコドンを保護したことを示す。クエン酸を含有しない製剤を使用する場合に、α−トコフェロールの量を低減すると劣化が低減された。これらの結果は、オキシモルホンで得られた結果に匹敵する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも300Nの破壊強度を有し、
− オピオイド(A)と、
− 医薬剤形の総重量に基づいて0.001〜5.0重量%の量の生理学的に許容可能な遊離酸(B)と、
− 少なくとも200,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリアルキレンオキシド(C)と
を含む熱成形医薬剤形。
【請求項2】
前記酸(B)が多価カルボン酸である、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項3】
前記多価カルボン酸が、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、マロン酸およびクエン酸からなる群から選択される、請求項2に記載の医薬剤形。
【請求項4】
前記酸(B)の含量が、医薬剤形の総重量に基づいて0.005〜2.5重量%の範囲内である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬剤形。
【請求項5】
ポリアルキレングリコールを含み、前記ポリアルキレングリコールに対する前記ポリアルキレンオキシドの相対重量比が、4.2±2:1の範囲内である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬剤形。
【請求項6】
酸化防止剤を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬剤形。
【請求項7】
前記酸化防止剤がα−トコフェロールである、請求項6に記載の医薬剤形。
【請求項8】
前記酸化防止剤の含量が、医薬剤形の総重量に基づいて0.001〜5.0重量%の範囲内である、請求項6または7に記載の医薬剤形。
【請求項9】
40℃および75%相対湿度で4週間の貯蔵後、前記オピオイド(A)の含量が、貯蔵前のその元の含量の少なくとも98.0%になる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬剤形。
【請求項10】
前記オピオイド(A)が前記ポリアルキレンオキシド(C)を含むマトリックス中に埋め込まれており、前記マトリックスが、前記医薬剤形からの前記オピオイドの放出を制御する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬剤形。
【請求項11】
前記オピオイド(A)が、オキシモルホン、オキシコドン、ヒドロモルホン、およびこれらの生理学的に許容可能な塩からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬剤形。
【請求項12】
前記オピオイド(A)に対する前記ポリアルキレンオキシド(C)の相対重量比が少なくとも1:1である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬剤形。
【請求項13】
1日1回または1日2回の投与に適している、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬剤形。
【請求項14】
少なくとも500Nの破壊強度を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の医薬剤形。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の医薬剤形と、酸素捕捉剤とを含有するパッケージング。

【公表番号】特表2012−533585(P2012−533585A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520951(P2012−520951)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004460
【国際公開番号】WO2011/009603
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】