説明

酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート成型体触媒およびその製造方法

【課題】低温水熱安定性に優れ、反応温度が低い領域においても活性が高い酸化燐を含有する金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート成型体触媒を提供すること。
【解決手段】成型体触媒を構成する酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子中の酸化燐がオルトリン酸塩および/またはピロリン酸塩に由来する酸化燐であり、該酸化燐がオルトリン酸塩に由来する場合の含有量はPとして2〜20重量%の範囲にあり、ピロリン酸塩に由来する場合の含有量はPとして2.5〜25重量%の範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスの処理効率を高めた内燃機関の排ガス処理に好適に用いることのできる成型体触媒およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンから排出される排気ガスには、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、NOx(窒素酸化物)およびPM(Particulate Matter:パティキュレート)等の汚染物質が含まれる。これらの汚染物質の中でもNOxは、酸化触媒やガソリン自動車で実用化されている三元触媒では浄化が難しく、NOxを浄化することができる有望な触媒として選択還元型NOx触媒(以下、SCR触媒という。)の開発が行われている。
【0003】
SCR触媒としては、TiO2あるいはSiO2−TiO2、WO3−TiO2、SiO2−TiO2などの二元系複合酸化物、または、WO3−SiO2−TiO2、MoO3−SiO2−TiO2などの三元系複合酸化物などの担体に、V,Cr,Mo,Mn,Fe,Ni,Cu,Ag,Au,Pd,Y,Ce,Nd,W,In,Irなどの活性成分を担持してなるハニカム構造を有する触媒が知られている。これらの排ガス処理触媒は次式に示すように、アンモニアなどの還元剤の存在下でNOxを還元して窒素ガスに変換して浄化するものである。
【0004】
4NO+4NH3+O2 → 4N2+6H2O ・・・・(1)
NO+NO2+2NH3 → 2N2+3H2O ・・・・(2)
6NO2 + 8NH3 → 7N2+12H2O ・・・・(3)
【0005】
また、モノリシス担体にゼオライト等の触媒活性を有する微粒子の担持層を形成した触媒も知られている。
【0006】
さらに、特開2003−33664号公報(特許文献1)には、排ガス浄化用ハニカム触媒のセル隔壁の主要構成材料として、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ゼオライト、SiC、SiN、ムライト、リチウムアルミニウムシリケート(LAS)、リン酸チタン、ペロブスカイト、スピネル、シャモット、無配向コージェライト等が使用でき、なかでも酸化チタン、ゼオライト、アルミナが好適に使用できることが記載されている。
【0007】
ゼオライトとしては、X型、Y型、ZSM−5型、β型等のものを用いることができるが、耐熱性の観点から、アルカリ成分の含有量は極力押さえることが重要であり、SiO/Al比を25以上とすることが好まく、また、AlPOやSAPO、メタロシリケート、層状化合物も好適に用いることができ、前述の触媒活性成分をイオン交換担持したものも、好適に用いられることが記載されている。
【0008】
特表2009−519817号公報(特許文献2)には、ゼオライトの金属イオン交換をpH3付近で行い、その後、540℃以上の高温で水熱処理した、水熱的に安定な選択的NOx還元用金属処理ゼオライト触媒が開示されている。
【0009】
また、再表2006−011575号公報(特許文献3)には鉄イオン交換したβ型ゼオライト担体に酸化第二鉄を担持した脱硝触媒が開示されている。
【0010】
しかしながら、前記したゼオライトなどの従来の結晶質多孔性物質触媒は、水分が生成する反応で、且つ700℃以上の高温で使用すると結晶性、比表面積が低下し、これに伴い活性が低下することから、水熱的に安定で、高活性を長期にわたって維持することのできる触媒が求められている。
【0011】
従来、結晶性シリコアルミノフォスフェートは、触媒担体として高温で使用しても比較的結晶性、比表面積の低下が小さく、安定であることが知られている。
結晶性シリコアルミノフォスフェートを担体とし、これに金属を担持した触媒の製造方法としては、結晶性アルミノシリケートと同様に、イオン交換法、含浸法、沈着法が知られているが、(1)金属塩水溶液でイオン交換する方法では、充分な活性が得られる量の金属を担持することができず、(2)金属塩水溶液中に結晶性シリコアルミノフォスフェートを分散させ、金属塩を加水分解して金属水酸化物を沈着させる方法では、結晶性シリコアルミノフォスフェートの結晶性が損なわれ、また、(3)結晶性シリコアルミノフォスフェートに金属塩を含浸する方法では、金属が結晶性シリコアルミノフォスフェートの細孔表面に均一に分散しないためか充分な活性が得られないという問題が判明した。
【0012】
そこで、本発明者らはさらに検討した結果、結晶性シリコアルミノフォスフェートを活性金属化合物水溶液に分散させ、これを噴霧乾燥した後高温で焼成すると、金属担持量が増大し、しかもこの方法で金属を担持した触媒は高温で水熱処理しても結晶性が大きく低下することなく高い活性を発現することを見出した。
しかしながら、内燃機関の排ガス処理は、内燃機関の稼働時(走行時)は高温の水分を含む排ガスに曝されるため耐水熱性が要求され、前記したように結晶性シリコアルミノフォスフェートは比較的安定であるものの、さらに耐水熱性の向上が求められている。
【0013】
このため、本願発明者らは、鋭意検討した結果、内燃機関の稼働(走行)開始時を想定した比較的低温(概ね100〜200℃)で水熱処理しても活性が低下していることを発見した。そこで、低温での水熱安定性を向上すべく鋭意検討した結果、結晶性シリコアルミノフォスフェートに燐酸アンモニウムを用いて燐酸化物を担持したところ、低温での水熱安定性が向上し、さらに反応温度が低い場合(概ね150〜200℃)においても活性が向上することを見いだして本発明を完成するに至った。
【0014】
なお、開平7−51577号公報(特許文献4)には、排ガス中のNOxを酸化雰囲気中、炭化水素の存在下で還元除去する触媒として、銅成分を担持した結晶性シリコアルミノフォスフェートに助触媒としてホウ素、リン、アンチモン、ビスマスから選ばれる1種以上の元素成分を銅との比が所定範囲となるように担持した触媒が開示されている。この触媒は、酢酸銅水溶液および五酸化燐水溶液あるいはピロリン酸ナトリウム水溶液を用いて結晶性シリコアルミノフォスフェートに担持しており、500〜800℃で水熱処理した場合に、耐水熱・耐久性が向上することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003−33664号公報
【特許文献2】特表2009−519817号公報
【特許文献3】再表2006−011575号公報
【特許文献4】特開平7−051577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、水熱安定性に優れ、特に低温水熱安定性にも優れ、また反応温度が低い領域においても活性が高く、長期にわたって高活性を維持することのできる酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート成型体触媒およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る成型体触媒は、酸化燐を含有する金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材とからなる成型体触媒であって、該酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子中の酸化燐がオルトリン酸塩および/またはピロリン酸塩に由来する酸化燐であり、該酸化燐がオルトリン酸塩に由来する場合の含有量はPとして2〜20重量%の範囲にあり、ピロリン酸塩に由来する場合の含有量はPとして2.5〜25重量%の範囲にあることを特徴としている。
【0018】
前記酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の含有量が固形分として35〜90重量%の範囲にあり、アルミナ結合材の含有量が固形分として10〜65重量%の範囲にあることが好ましい。
前記アルミナ結合材が金属含有アルミナ結合材であることが好ましい。
前記結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子が、SAPO−5、SAPO−11、SAPO−34、SAPO−37から選ばれる1種以上であることが好ましい。
前記結晶性シリコアルミノフォスフェートがSAPO−34であることが好ましい。
前記金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子および/または金属含有アルミナ結合材の金属が周期律表第8族、第9族、第10族、第11族、第12族から選ばれる元素の金属またはこれらの混合物(合金を含む)であることが好ましい。
前記金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の金属担持量が金属として0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
前記金属含有アルミナ結合材の金属含有量が金属として0.1〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
【0019】
本発明に係る成型体触媒の製造方法は、下記の工程(a)〜(e)からなることを特徴としている。
(a)酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材とを混合する工程
(b)混合物の固形分濃度を10〜55重量%に調整する工程
(c)成型する工程
(d)乾燥する工程
(e)400〜800℃で焼成する工程
【0020】
前記酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子が下記の工程(f)〜(h)によって得られたものであることが好ましい。
(f)金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子分散液を調製する工程
(g)オルトリン酸塩および/またはピロリン酸塩水溶液を混合する工程
(h)噴霧乾燥する工程
【0021】
前記オルトリン酸塩がオルト燐酸3アンモニウム、オルト燐酸水素2アンモニウム、オルト燐酸2水素アンモニウムから選ばれる1種以上のオルトリン酸塩であり、前記ピロリン酸塩がピロ燐酸アンモニウム、ピロ燐酸2水素2アンモニウムから選ばれる1種以上のピロリン酸塩であることが好ましい。
前記工程(g)におけるオルトリン酸塩および/またはピロリン酸塩水溶液の混合量が酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子中に、オルトリン酸塩を用いる場合はPとして2〜20重量%の範囲となり、ピロリン酸塩を用いる場合はPとして2.5〜25重量%の範囲となる量であることが好ましい。
【0022】
前記金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子が、下記の工程(i)〜(l)によって得られたものであることが好ましい。
(i)結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子分散液を調製する工程
(j)活性成分金属化合物水溶液を混合する工程
(k)噴霧乾燥する工程
(l)400〜700℃で加熱処理(焼成)する工程
【0023】
前記結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子がSAPO−5、SAPO−11、SAPO−34、SAPO−37から選ばれる1種以上であることが好ましい。
前記結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子がSAPO−34であることが好ましい。
前記活性成分金属化合物が、周期律表第8族、第9族、第10族、第11族、第12族から選ばれる元素の化合物または化合物の混合物であることが好ましい。
前記アルミナ結合材が金属含有アルミナ結合材であることが好ましい。
前記金属含有アルミナ結合材の金属が周期律表第8族、第9族、第10族、第11族、第12族から選ばれる元素の金属または金属の混合物(合金を含む)であることが好ましい。
前記金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の金属担持量が金属として0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
前記金属含有アルミナ結合材の金属含有量が金属として0.1〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、水熱安定性に優れ、特に低温水熱安定性(約100〜200℃の低温で水熱処理した際の活性)にも優れ、また反応温度が低い領域においても活性が高く、長期にわたって高活性を維持することのできる、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート成型体触媒およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[成型体触媒]
本発明に係る成型体触媒は、酸化燐を含有する金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材とからなる成型体触媒であって、該酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子中の酸化燐がオルトリン酸塩および/またはピロリン酸塩に由来する酸化燐であり、該酸化燐がオルトリン酸塩を用いる場合はPとして2〜20重量%の範囲となり、ピロリン酸塩を用いる場合はPとして2.5〜25重量の範囲にあることを特徴としている。
【0026】
結晶性シリコアルミノフォスフェート
本発明に用いる結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子としては、従来公知の結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子を用いることができる。
(U.S.Patent4,440,871,April 3,1984. Microporous and Mesoporous Materials 53 (2002) 97-108)
結晶性シリコアルミノフォスフェートとしては、SAPO−5、SAPO−11、SAPO−34、SAPO−37から選ばれる1種以上であることが好ましい。
なかでも、SAPO−34は高温での熱的安定性、特に水熱安定性に優れ、SCR触媒等として用いる場合、高い活性と選択性を示し、これを長く維持することができるので好適に用いることができる。
【0027】
結晶性シリコアルミノフォスフェートは、シリカ、アルミナおよび酸化燐からなる多孔質の結晶性複合酸化物である。
SAPO−34の場合、シリカの含有量がSiOとして概ね1〜20重量%、アルミナの含有量がAlとして概ね35〜45重量%、酸化燐がPとして概ね40〜55重量%の範囲にあり、比表面積が概ね500〜750m/gの範囲にある。
【0028】
結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子は、触媒の形態にもよるが、平均粒子径が0.1〜20μm、さらには0.2〜7μmの範囲に有ることが好ましい。
結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の平均粒子径が0.1μm未満の場合は、水熱安定性が不充分となる場合がある。
結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の平均粒子径が20μmを超えると、成型体として用いる場合、充分な強度、耐摩耗性等が得られない場合がある。
本発明での平均粒子径は、結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を撮影し、任意の100個の粒子について粒子径を測定し、その平均値として求める。
【0029】
このような結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子は、通常、シリカ源、アルミナ源、酸化燐源および有機結晶化剤(テンプレートということがある。)の混合物を水熱処理して合成され、合成後は通常、有機結晶化剤を含有している。
有機結晶化剤としては、従来公知のテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイド、モルホリン等が用いられる。
【0030】
通常、この有機結晶化剤を500〜600℃で焼成して除去し、金属を担持する等して使用される。
本発明では、焼成した結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子を用いることができるが、合成後、洗浄し、必要に応じて乾燥した結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子、即ち、有機結晶化剤を含有した結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子をそのまま用いることができる。
有機結晶化剤を含有した結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子をそのまま用いると、理由は明らかではないが高温での水熱安定性が向上し、活性、選択性が向上することに加えて、有機結晶化剤を除去するための焼成工程がなくなることから生産性、経済性が向上する利点がある。
【0031】
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子
本発明に用いる金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子は、前記結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子に金属が担持されている。金属を担持する方法として、本発明では下記の方法によることが好ましい。
【0032】
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の製造方法
前記金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子が、下記の工程(i)〜(l)によって得られたものであることが好ましい。
(i)結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子分散液を調製する工程
(j)活性成分金属化合物水溶液を混合する工程
(k)噴霧乾燥する工程
(l)400〜700℃で加熱処理(焼成)する工程
【0033】
工程(i)
結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子分散液を調製する。
結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子分散液の濃度は、後述する活性成分金属化合物水溶液と混合でき、後述する噴霧乾燥用混合分散液の濃度に調整できれば特に制限はない。
【0034】
工程(j)
活性成分金属化合物水溶液を混合する。
本発明に用いる活性成分金属としては、周期律表第8族、第9族、第10族、第11族、第12族から選ばれる元素の金属またはこれらの混合物(合金を含む)が用いられる。このため、活性成分金属としては、周期律表第8族の金属としてFe、Ruが挙げられ、金属化合物として具体的には硝酸鉄、酢酸鉄、塩化鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸ルテニウム、塩化ルテニム等が挙げられる。
【0035】
周期律表第9族の金属としてはCo、Rh、Irが挙げられ、金属化合物として具体的には硝酸コバルト、塩化コバルト、蓚酸コバルト、硫酸コバルト、硝酸ロジウム、硝酸イリジウム等が挙げられる。
周期律表第10族の金属としてはNi、Pd、Ptが挙げられ、金属化合物として具体的には硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸パラジウム、塩化白金酸等が挙げられる。
【0036】
周期律表第11族の金属としてはCu、Ag、Auが挙げられ、金属化合物として具体的には硝酸第二銅、硝酸銀、塩化金酸等が挙げられる。
周期律表第12族の金属としてはZn、Cdが挙げられ、金属化合物として具体的には硝酸亜鉛、硝酸カドミウム等が挙げられる。
【0037】
このような金属化合物の水溶液を調製し、工程(i)で調製した結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子分散液と混合して、噴霧乾燥用の結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子と金属化合物との混合分散液を調製する。
本発明では、有機結晶化剤を含有した結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子をそのまま用いた場合、分散液のpHが高くなり、後述する使用する金属化合物の種類によっては沈殿を生成し、結晶性シリコアルミノフォスフェートに活性金属を均一に担持できないために活性が不充分となる場合がある。
このため、金属化合物の種類によっても異なるが、混合分散液のpHを概ね1〜6に調整しておくことが好ましい。
【0038】
結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子と金属化合物の混合割合は、得られる金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート触媒中の金属の含有量が0.1〜10重量%、さらに好ましくは1.5〜8重量%の範囲となるように混合する。
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート触媒中の金属の含有量が0.1重量%未満の場合は、NOxの還元反応に用いた場合、低温(100〜250℃)での活性が不十分となる場合があり、また、本発明の方法によらずとも同様の性能を有する触媒を得ることができる。
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート触媒中の金属の含有量が10重量%を超えると、金属の分散担持が困難であり、できたとしてもさらに活性が向上することもなく、寧ろ活性が低下する場合がある。
【0039】
噴霧乾燥用混合分散液の濃度は、結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の固形分濃度として1〜35重量%、さらには2〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
噴霧乾燥用混合分散液の濃度が、結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の固形分濃度として1重量%未満の場合は、生産性、経済性が低下し、35重量%を超えると、理由は明らかではないが活性が不充分となる場合がある。
【0040】
工程(k)
ついで、噴霧乾燥する。
噴霧乾燥方法としては、所定量の金属を担持できれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、噴霧乾燥用混合分散液をノズル、アトマイザー等により熱風中に噴霧する。
熱風の温度は80〜500℃、さらには120〜400℃の範囲にあることが好ましい。
【0041】
熱風の温度が80℃未満の場合は、乾燥が不充分となり、金属成分を固定できず、再度、他の方法による乾燥を必要とし、この場合、金属成分の担持が不均一になるためか活性が不充分となる場合がある。また、金属化合物の濃縮が起きないためか、所望の金属担持量とならない場合があり、このため活性が不充分となる場合がある。さらに、後述する硝酸塩以外の塩を用いた場合において洗浄すると、金属成分が除去される場合がある。
熱風の温度が500℃を超えても、金属成分の固定効果、他の担持方法に比して金属担持量を増加させる効果、細孔内に均一に担持できる効果等がさらに向上することもない。
【0042】
噴霧乾燥して得た粉末は、洗浄することができる。特に前記工程(j)で金属化合物として硝酸塩以外の硫酸塩、塩酸塩等を用いた場合は、洗浄することが好ましい。噴霧乾燥後、洗浄することによって硫酸根、塩素等を選択的に除去することができ、除去しない場合に比して活性に優れた触媒を得ることができる。
【0043】
洗浄方法としては、特に金属化合物のアニオンを選択的に除去できれば特に制限はなく、例えば、噴霧乾燥して得た粉末を水、あるいは温水に懸濁し、攪拌後、濾過することにより洗浄することができる。
洗浄後、乾燥する。乾燥方法は乾燥後の水分が概ね20重量%以下になれば特に制限はなく、従来公知の乾燥方法を採用することができる。
例えば、乾燥機中、100〜150℃で0.5〜2時間程度乾燥すればよい。
【0044】
工程(l)
ついで、加熱処理(焼成)する。
加熱処理温度は400〜700℃、さらには500〜600℃の範囲にあることが好ましい。
加熱処理温度が400℃未満の場合は、有機結晶化剤を除去できないために活性が不充分となる場合があり、加熱処理温度が700℃を超えると活性が不充分となる場合がある。
加熱処理する際の雰囲気は、酸化雰囲気下、好ましくは空気中で行うことが経済的で好ましい。
【0045】
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子
本発明の成型体触媒には酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子が用いられる。
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の酸化燐はオルトリン酸塩またはピロリン酸塩に由来する酸化燐である。
オルトリン酸塩としてはオルト燐酸3アンモニウム、オルト燐酸水素2アンモニウム、オルト燐酸2水素アンモニウムから選ばれる1種以上のオルトリン酸アンモニウム塩が用いられ、ピロリン酸塩としてはピロ燐酸アンモニウム、ピロ燐酸2水素2アンモニウムから選ばれる1種以上のピロリン酸アンモニウム塩が用いられる。
【0046】
このようなオルトリン酸アンモニウム塩またはピロリン酸アンモニウム塩を用いると、酸化燐を含有させるために金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とオルトリン酸アンモニウム塩またはピロリン酸アンモニウム塩との混合分散液を調製した際に、オルトリン酸またはピロリン酸と異なり、結晶性シリコアルミノフォスフェートとの親和性が低く、このため結晶を破壊することもなく、リン酸が高分散して結晶の安定性を向上させ、併せてSCR反応の還元剤であるアンモニアの吸着量が向上するためか、低温で水熱処理した場合にも活性が低下することがなく、寧ろ活性が向上し、特に反応温度が低い場合においても高い活性を発現する。
【0047】
一方、アンモニウム塩以外のオルトリン酸、ピロリン酸等を用いると、結晶性シリコアルミノフォスフェートの結晶性を低下させる傾向が認められ、前記したアンモニウム塩を用いる効果、すなわち低温で水熱処理した場合の活性、反応温度が低い場合の活性向上効果が得られず、寧ろ低下する傾向がある。
また、前記アンモニウム塩に代えてNa塩、K塩、Mg塩、Ca塩等を用いると、これら塩の使用量によっても異なるが、結晶性シリコアルミノフォスフェートのアンモニアの吸着サイトにNa、K、Mg、Caがイオン交換され、SCR反応の還元剤であるアンモニア吸着量が低下するためか、前記したアンモニウム塩を用いる効果が得られない。
【0048】
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子中の酸化燐がオルトリン酸アンモニウム塩に由来する場合の酸化燐の含有量はPとして2.0〜20重量%、さらには2.5〜10重量%の範囲にあることが好ましく、ピロリン酸アンモニウム塩に由来する場合の含有量はPとして2.5〜25重量%、さらには3.0〜12重量%の範囲にあることが好ましい。
酸化燐の含有量が前記範囲にあれば、水熱安定性に優れた、特に100〜200℃程度の低温で水熱処理した場合でも高い活性を発現し、同時に反応温度が低い場合においても優れた活性を発現する触媒を得ることができる。
【0049】
酸化燐がオルトリン酸塩とピロリン酸塩のそれぞれに由来する酸化燐を含む場合の含有量については、PとPとの合計として2+0.5x〜20+5x(但し、xはPのモル分率)の範囲にあることが好ましい。
なお、オルトリン酸アンモニウム塩、ピロリン酸アンモニウム塩に由来する酸化燐は、結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の骨格を構成する酸化燐と区別され、結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の骨格外に存在する酸化燐である。
【0050】
成型体触媒中の酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の含有量は固形分として35〜95重量%、さらには40〜85重量%の範囲にあることが好ましい。
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の含有量が固形分として35重量%未満の場合は、還元剤であるアンモニアを充分量吸着できないためか、活性が不充分となる場合がある。
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の含有量が固形分として95重量%を越えると、成型体触媒を調製することが困難であり、調製できたとしても強度が不充分であったり、クラックを生じやすく、またコージェライト等へのウォッシュコート法では、必要量の触媒層をコートすることができず、できたとしても容易に触媒層が剥離する場合がある。
【0051】
上記した本発明に用いる酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子は下記の工程(f)〜(h)によって得られたものであることが好ましい。
(f)金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子分散液を調製する工程
(g)オルトリン酸塩および/またはピロリン酸塩水溶液を混合する工程
(h)噴霧乾燥する工程
【0052】
工程(f)
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子分散液の濃度は、後述するオルトリン酸塩および/またはピロリン酸塩水溶液と混合でき、後述する噴霧乾燥用混合分散液の濃度に調整できれば特に制限はない。
【0053】
工程(g)
オルトリン酸塩および/またはピロリン酸塩水溶液を混合する。
オルトリン酸塩、ピロリン酸塩としては前記したオルトリン酸アンモニウム塩、ピロリン酸アンモニウム塩が用いられる。
オルトリン酸アンモニウム塩、ピロリン酸アンモニウム塩の使用量は、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子中の酸化燐の担持量が前記範囲となるように使用する。
【0054】
また、オルトリン酸アンモニウム塩および/またはピロリン酸アンモニウム塩水溶液を混合したときの金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子分散液のpHは2〜9、さらには3〜8.5の範囲にあることが好ましい。
この噴霧乾燥用混合分散液のpHが前記範囲にない場合は、結晶性シリコアルミノフォスフェートの結晶性が低下する傾向が認められ、前記した100〜200℃程度の低温で水熱処理した場合の活性、同時に反応温度が低い場合における活性が不充分となる場合がある。
【0055】
酸化燐を担持する場合の噴霧乾燥用混合分散液の濃度は、金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子と酸化燐との合計濃度が固形分濃度として1〜50重量%、さらには10〜35重量%の範囲にあることが好ましい。
噴霧乾燥用混合分散液の濃度が、結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の固形分濃度として1重量%未満の場合は、生産性、経済性が低下し、50重量%を超えると、混合分散液の粘度上昇に伴い、分散性が低下し、酸化燐成分の担持が不均一になるためか、活性や水熱安定性が不充分となる場合がある。
【0056】
工程(h)
ついで、噴霧乾燥する。
噴霧乾燥方法としては、前記工程(k)と同様に、従来公知の方法を採用することができる。例えば、噴霧乾燥用混合分散液をノズル、アトマイザー等により熱風中に噴霧する。
熱風の温度は80〜400℃、さらには120〜300℃の範囲にあることが好ましい。
【0057】
熱風の温度が80℃未満の場合は、乾燥が不充分となり、これを用いて成型体触媒を調製した場合、本発明の効果、すなわち100〜200℃程度の低温で水熱処理した場合でも高い活性を発現し、同時に反応温度が低い場合においても優れた活性を発現する効果が得られない場合があり、このため、他の方法で再度乾燥した場合、酸化燐成分の担持が不均一になるためか活性や水熱安定性が不充分となる場合がある。
熱風の温度が400℃を超えると、酸化燐成分の担持が不均一になるためか活性や水熱安定性が不充分となる場合がある。
【0058】
結合材
本発明の成型体触媒には結合材としてアルミナ結合材が含まれている。
アルミナ結合材は、成型体触媒を製造するに際して、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ前駆体とを混合し、成型し、ついで加熱処理することによってアルミナとなっている。
アルミナ前駆体としては、下記性状(A)〜(D)を有するアルミナ水和物微粒子であることが好ましい。
(A)ベーマイト型および/または擬ベーマイト型の結晶構造を有する
(B)結晶子径が1〜10nmの範囲にある
(C)光散乱法で測定した平均二次粒子径が20〜300nmの範囲にある
(D)細孔径が1〜10nmの範囲にある
以下に(A)〜(D)について具体的に説明する。
【0059】
(A)前記アルミナ水和物微粒子がベーマイト型および/または擬ベーマイト型の結晶構造を有することが好ましい。
前記アルミナ水和物微粒子がベーマイト型および/または擬ベーマイト型の結晶構造を有する場合には、アルミナ水和物微粒子の比表面積が大きいため、該微粒子が水酸基(−OH基)を多く有し水への分散性、安定性および保水性に優れるため成型性が高く、成型体の強度が向上するので好ましい。
また、後述するアルミナ水和物微粒子が金属成分を含んでいてもよい場合に、充分な量の金属成分を担持することができ、排ガス浄化用触媒に用いた場合に活性、特に低温活性(反応温度150〜200℃)に優れた触媒を得ることができる。
【0060】
前記アルミナ水和物微粒子がベーマイト型および/または擬ベーマイト型の結晶構造を有してない場合には、アルミナ水和物微粒子の比表面積が小さいため、所望量の金属成分を担持できない場合があったり、また、水酸基含有量が少なく、収縮力が低下するので成型体の成型性や強度が低下する場合があるので好ましくない。
より好ましくは、前記アルミナ水和物微粒子が擬ベーマイトアルミナ水和物微粒子であることが好ましい。
擬ベーマイトアルミナ水和物微粒子(Al・nHO、n=0.5〜2.5)は結晶性アルミナ水和物微粒子の一種で、通常、繊維状の一次粒子が束になった繊維状の二次粒子を形成した微粒子である。
【0061】
前記一次粒子の大きさは、特に制限されるものではないが、平均長さ(L)が1〜20nm、さらには2〜15nmの範囲にあることが好ましく、平均幅(W)が0.5〜10nm、さらには1〜8nmの範囲にあることが好ましい。また、この時、長さと径の比(L)/(W)(アスペクト比ということがある)は2〜40の範囲にあるようなものを使用することができる。前記一次粒子の大きさは、アルミナ水和物微粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、100個の粒子について幅および長さを測定し、各々の平均値として求めることができる。
【0062】
(B)前記アルミナ水和物微粒子の結晶子径は1〜10nm、より好ましくは2〜8nmの範囲にあることが好ましい。前記結晶子径が前記範囲にある場合には、比表面積が大きく充分な金属量を担持でき、水酸基量が多く水への分散安定性や保水性に優れるため成型性が高く、収縮性も高まるため成型体の強度を向上させる効果が高いので好ましい。前記結晶子径が1nm未満のものは、調製することが技術的に困難な場合があり、また、前記結晶子径が10nmを超えると、水酸基量が減少するため成型体の成型性や強度が低下する場合があるので好ましくない。
【0063】
(C)前記アルミナ水和物微粒子の光散乱法で測定した平均二次粒子径が20〜300nm、より好ましくは30〜200nmの範囲にあることが好ましい。前記平均二次粒子径が前記範囲にある場合には、成型体の成形性が高く、クラックを抑制する効果が高く、該成型体の強度、耐摩耗性、耐エロージョン性などが向上するので好ましい。
前記平均二次粒子径が20nm未満の場合には、アルミナ水和物微粒子の収縮性が高くなりすぎ、成型体にクラックが発生する場合があるので好ましくない。前記平均二次粒子径が300nmを超えるとアルミナ水和物微粒子の分散性が低下し、成型体の成形性が低下したり、該成型体の強度、耐摩耗性、耐エロージョン性などが低下する場合があるので好ましくない。
【0064】
(D)前記アルミナ水和物微粒子の細孔径が1〜10nm、より好ましくは2〜8nmの範囲にあることが好ましい。前記細孔径が前記範囲にある場合には、成型体のガス透過性が高く触媒性能が向上するので好ましい。
前記細孔径が1nm未満の場合には、成型体の触媒性能が低下する場合があるので好ましくない。前記細孔径が10nmを超えると、成型体の緻密性が低下し強度が低下する場合があるので好ましくない。
【0065】
また、前記アルミナ水和物微粒子の細孔容積は、0.1〜1cc/g、より好ましくは0.2〜0.8cc/gの範囲にあることが好ましい。
前記細孔容積が0.1cc/g未満の場合には、成型体のガス透過性が低く、触媒性能が低下する場合があり、前記細孔容積が1cc/gを超えると、成型体の緻密性が低下し強度が低下する場合があるので、好ましくない。
【0066】
前記アルミナ水和物微粒子を結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の結合材として用いることによって、強度、耐摩耗性等に優れた成型体を得ることができる。
【0067】
なお、ここで、前記「アルミナの前駆体」の意味について説明する。
本発明に係る成型体は、後述するように、結晶性シリコアルミノフォスフェート微粒子と、金属成分を担持したアルミナ水和物微粒子と水とを含む混合物を混錬、成型、乾燥、焼成して製造される。
ここで、アルミナの前駆体とは、前記混合物に含まれるアルミナ水和物微粒子、または必用に応じて金属成分を担持したアルミナ水和物微粒子を指すものであって、混錬や成型、乾燥、焼成といった工程に処される前のアルミナ成分(結合材としてのアルミナ成分)を意味するものである。
【0068】
成型体触媒中のアルミナ結合材、あるいは後述する金属含有アルミナ結合材の含有量は、固形分として10〜65重量%、さらには10〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
成型体触媒中のアルミナ結合材、金属含有アルミナ結合材の含有量が固形分として10重量%未満の場合は、成型体触媒を調製することが困難であり、調製できたとしても強度が不充分であったり、クラックを生じやすく、またコージェライト等へのウォッシュコート法による成型体触媒を調製した場合には、必要量の触媒層をコートすることができず、できたとしても容易に触媒層が剥離する場合がある。
成型体触媒中のアルミナ結合材、金属含有アルミナ結合材の含有量が固形分として65重量%を越えると、乾燥時の触媒層の収縮が大きくなりクラックを生じたり、触媒層の剥離を伴い場合があり、また、活性成分、アンモニア吸着成分である酸化燐含含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェートが少なくなるために活性が不充分となる場合がある。
【0069】
本発明に用いるアルミナ結合材は金属含有アルミナ結合材であることが好ましく、具体的には金属含有アルミナ水和物粒子を用いることが好ましい。
金属含有アルミナ水和物微粒子を結合材として用いることによって、強度、耐摩耗性等に優れるとともに触媒活性、特に低温での触媒活性に優れた成型体を得ることができる。
【0070】
前記アルミナ結合材が含有する金属としては、前記した周期律表第8族、第9族、第10族、第11族、第12族から選ばれる元素の金属またはこれらの混合物(合金を含む)が用いられる。
なお、アルミナ結合材が含有する金属成分は、最終的に金属となっていればよく、途中段階では前記金属元素の酸化物、複合酸化物、水酸化物等であってもよい。
【0071】
前記金属成分の含有量は、金属含有アルミナ結合材中に金属として0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
前記金属の含有量が0.1重量%未満の場合には、成型体触媒の低温活性を向上させる効果が充分発現しない場合があり、前記担持量が20重量%を超えると、金属成分が金属微粒子の場合には該微粒子の凝集やシンタリングが起こり成型体の触媒活性を向上させる効果が充分得られない場合があり、金属成分がイオンや酸化物である場合にもそれ以上活性を向上させる効果がなく、経済的にも非効率となる場合があるので、好ましくない。
【0072】
次に、前記アルミナ水和物微粒子、金属成分を担持したアルミナ水和物微粒子の製造方法は、前記性状(A)〜(D)を有するアルミナ水和物微粒子が得られれば特に制限はないが、以下の方法が推奨される。
アルミナ水和物微粒子の製造方法
まず、アルミナ水和物微粒子の調製方法について以下に述べる。
アルミナ水和物微粒子の製法の一例としては、アルカリ性アルミニウム塩水溶液と酸性物質とを反応させたのち、アンモニア源を添加する方法が挙げられる。
より具体的には、アルミン酸ナトリウム水溶液と、硫酸アルミニウムなどの酸性物質を反応させてアルミナ水和物のゲルを生成し、ついで該ゲルをアンモニア水で洗浄したのち、必要に応じて水で懸濁する方法を用いることが好ましい。
また、これらを必要に応じて酸で解膠してもよい。
【0073】
このような製法の一例としては再公表WO01/016026号公報に記載のアルミナ水和物微粒子の製造方法などを挙げることができる。
このような方法で得られた分散液に含まれるアルミナ水和物の粒子は繊維状のベーマイト型または擬ベーマイト型の結晶構造を有しており、結合材に用いた際の成型体の強度、耐摩耗性等を向上させることができるので好ましい。
【0074】
このようなアルミナ水和物微粒子に、例えば中和反応によりアルミナ水和物微粒子に金属成分を担持させる方法、ヘテロ凝集または電気的引力によりアルミナ水和物微粒子に金属成分を担持させる方法、または噴霧乾燥法を用いてアルミナ水和物微粒子に金属成分を担持する方法などにより、金属成分を担持することができる。
金属成分を担持したアルミナ水和物微粒子のより好ましい製法の一例として、下記工程(I)〜(IV)を含む製造方法が推奨される。
【0075】
金属成分を担持したアルミナ水和物微粒子の製造方法
(I)アンモニウムイオンを含み、pHが9〜12の範囲にあるアルミナ水和物微粒子の分散液を製造する工程、
(II)前記工程(I)より得られた分散液に無機酸および/または有機酸を加えてpH7.0〜8.5の範囲に調整し、50〜200℃の温度にて加熱して混合液を得る工程、
(III)前記工程(II)より得られた混合液に無機酸および/または有機酸を加えてpH3.0〜6.0の範囲に調整し、50〜200℃の温度にて加熱することによりアルミナ水和物微粒子分散体を得る工程、および
(IV)前記工程(III)より得られた分散体に含まれるアルミナ水和物微粒子に金属成分を担持させる工程
以下に各工程について具体的に説明する。
【0076】
工程(I)
この工程ではアンモニウムイオンを含み、pHが9〜12の範囲にあるアルミナ水和物微粒子の分散液を製造する。
前記アルミナ水和物微粒子の製法としては、アルカリ性アルミニウム塩水溶液と酸性物質とを反応させたのち、アンモニア源を添加する方法が挙げられる。
さらに具体的には、アルミン酸ナトリウム水溶液と、硫酸アルミニウムなどの酸性物質を反応させてアルミナ水和物のゲルを生成し、ついで該ゲルをアンモニア水で洗浄したのち、必要に応じて水で懸濁する方法を用いることが好ましい。
このとき、アルミン酸ナトリウム水溶液と、硫酸アルミニウムなどの酸性物質のそれぞれの使用量は濃度によっても異なるが、アルミン酸ナトリウムの量を基準に、酸性物質が等モル〜1.2モル倍となるような範囲で反応させればよい。
【0077】
さらに、前記アルミニウム塩水溶液と酸性物質を反応させる際に、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルセルロース、およびシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルコン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの多価カルボン酸およびその塩の存在下で反応を行うことがより好ましい。
アンモニアおよび/またはアンモニウムイオンを含むアルミナ水和物微粒子を結合材となるアルミナの前駆体として用いると、成型体の強度が向上するので好ましい。
【0078】
前記アンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの量は特に制限されるものではないが、アルミナ水和物微粒子の分散液に含まれるアルミニウムとアンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの重量比はNH/Al換算基準で0.0005〜0.2の範囲となるように、前記アンモニア源の添加、あるいはアンモニア水による洗浄を行うことがより好ましい。
前記重量比が前記範囲を外れると成型体触媒の強度が低下する場合があるので好ましくない。
【0079】
前記アルミナ水和物微粒子の分散液のpHは9〜12、より好ましくは9〜11の範囲にあることが好ましい。前記pHが9未満の場合には該分散液に含まれるアルミナゲルが小さくなり、その後の工程でフィルターが詰まり洗浄が困難となる場合があるので好ましくない。前記pHが12を超えるとアルミナ水和物微粒子の結晶構造がバイヤライト型となる場合があり、該アルミナ水和物微粒子を結合材の前駆体として用いて得られた成型体の強度が低下する場合があるので好ましくない。
前記pHはアンモニアの添加量やあるいはアルカリ性アルミニウム塩水溶液と酸性物質との反応量などにより調整すればよい。
【0080】
工程(II)
この工程では、前記工程(I)で製造したアルミナ水和物微粒子の分散液を無機酸および/または有機酸を用いてpH7.0〜8.5の範囲に調整したのち、50〜200℃の温度にて加熱することにより混合液を得る。
前記無機酸としては硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸などが挙げられる。
前記有機酸としてはギ酸、酢酸、ブタン酸、プロピオン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9-ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、グリコール酸、クエン酸、りんご酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、しゅう酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸などが挙げられる。
【0081】
最も好ましくは、本工程(II)で硝酸、塩酸、硫酸から選ばれる1種以上の無機酸を使用すると、最終的に得られるアルミナ水和物微粒子分散体に含まれるアルミナ水和物微粒子の保水性や安定性、分散性がより向上し、成型体触媒の強度が向上するため好ましい。
前記無機酸および/または有機酸を添加したときのpHは7〜8.5、より好ましくは7〜8の範囲にあることが好ましい。
前記pHが7未満の場合には、アルミナ水和物微粒子が不均一に解膠され、成型体触媒の強度が低下するので好ましくない。
より具体的には、pH7未満の条件で1回のみ解膠させたアルミナ水和物微粒子は、二次粒子径が充分小さくならず、アルミナ水和物微粒子の保水性や分散性、安定性が低いため成型体の強度が低下する場合があり、pH7未満の条件で二回解膠させたアルミナ水和物微粒子は、溶媒中での粘度が高すぎるため成型体触媒の強度が低下し、クラックが発生する場合があるためである。
また、前記pHが8.5を超えると解膠が不十分となり、アルミナ水和物微粒子の分散性や安定性、保水性が低く、成型体触媒の強度が低下する場合があるので好ましくない。
【0082】
前記加熱温度は50〜200℃、より好ましくは50〜100℃の範囲にあることが好ましい。
前記加熱温度が50℃未満の場合には解膠が不十分となり、アルミナ水和物微粒子の二次粒子径が大きくなり、前記加熱温度が200℃を超えるとアルミナ水和物微粒子の結晶径が大きくなりすぎるため好ましくない。
前記加熱時間は1〜10時間の範囲にあることが好ましい。前記加熱時間が1時間未満の場合には、解膠が不十分となる場合があり、アルミナ水和物微粒子の二次粒子径が増大して得られる成型体触媒の強度が低下する場合があるので好ましくない。
また、前記加熱時間が10時間を越えると、アルミナ水和物微粒子は充分解膠されるのでそれ以上解膠する効果が少なく、生産性が低下する場合があるので好ましくない。
【0083】
また、本工程において製造した混合液中のアルミニウム含有量はAl換算基準の固形分濃度で1〜20重量%、より好ましくは3〜10重量%の範囲にあることが好ましい。前記アルミニウム含有量が1重量%未満の場合には生産効率が低下する場合があるので好ましくない。前記アルミニウム含有量が20重量%を超えると粘度が高くなり製造時の分散液の移動が煩雑となる場合があるため好ましくない。
【0084】
工程(III)
この工程では、前記工程(II)により得られた混合液に再び無機酸および/または有機酸を加えて、pH3〜6の範囲に調整し、50〜200℃の温度にて加熱することによりアルミナ水和物微粒子分散体を調製する。
この時のpHは3〜6、より好ましくは3.5〜5.5の範囲にあることが好ましい。前記pHが3未満の場合にはアルミニウム水和物微粒子分散体に含まれるアルミナ水和物微粒子が溶解し、該アルミナ水和物微粒子を結合材前駆体として用いた成型体触媒にクラックが発生する場合があり、前記pHが6を超えるとアルミナ水和物微粒子の2次粒子径が大きく分散性や安定性が低下し、成型体触媒の強度が低下するので好ましくない。
【0085】
前記加熱は50〜200℃、より好ましくは50〜100℃で加熱することにより行うことが好ましい。
前記温度が50℃未満の場合には解膠が不均一となり、アルミナ水和物微粒子の二次粒子径が大きくなり、前記加熱温度が200℃を超えるとアルミナ水和物微粒子が溶解しやすくなり、結合材とした際に成型体触媒に過剰な収縮力が生じてクラックが発生しやすくなるため好ましくない。
【0086】
前記加熱の時間は1〜10時間の範囲にあることが好ましい。前記加熱の時間が1時間未満の場合には、解膠が不十分となる場合があり、アルミナ水和物微粒子の二次粒子径が増大して得られる成型体触媒の強度が低下する場合があるので好ましくない。
また、前記加熱の時間が10時間を越えると、アルミナ水和物微粒子は充分解膠されるのでそれ以上解膠する効果が少なく、生産性が低下する場合があるので好ましくない。
前記無機酸および有機酸としては工程(II)に記載したものと同様のものを使用することができる。
【0087】
また、最も好ましい形態としては、本工程にてギ酸、酢酸、乳酸、クエン酸より選ばれた1種以上の有機酸を用いることが好ましい。
このような有機酸を用いて解膠したアルミナ水和物微粒子を結合材の前駆体として用いると、成型体触媒の細孔を閉塞することが少なく、このため成型体触媒の活性が向上するのでより好ましい。
最も好ましい形態としては、前記工程(II)で無機酸、好ましくは硝酸を使用したのちに、本工程(III)にて有機酸、好ましくは乳酸を使用すると、保水性、分散性、安定性に最も優れたアルミナ水和物微粒子を含む分散体が得られるので好ましい。
このようにして得られたアルミナ水和物微粒子分散体に含まれるアルミナ水和物微粒子は保水性、分散性、安定性が高く酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート成型体用結合材の前駆体として用いれば高強度でクラックがなく、触媒活性の高い成型体触媒を得ることができる。
【0088】
前記アルミナ水和物微粒子分散体の濃度は、Al換算基準での固形分濃度が4〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%であることが好ましい。
前記固形分濃度が4重量%未満の場合には成型体を調整する場合の持ち込み水分が多くなり、その結果、成型体の強度が低下する場合があり、前記固形分濃度が20量%を超えると結晶性シリコアルミノリン酸塩粒子との混合の均一性が低下し成型体の強度が低下する場合があるので好ましくない。
【0089】
また、前記工程(III)より得られた、アルミナ水和物微粒子分散体を、乾燥工程に処したのち、さらに純水等の溶媒に再分散させて分散体としてから次の金属成分担持工程に処してもよい。
このような操作は次の工程においてアルミナ水和物微粒子分散体を所望される濃度に調整する目的などに応じて行うことができる。
【0090】
工程(IV)
この工程では、前記工程(III)より得られたアルミナ水和物微粒子分散体に含まれるアルミナ水和物微粒子に金属成分を担持する。
金属成分の担持方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば中和反応によりアルミナ水和物微粒子に金属成分を担持させる方法、ヘテロ凝集または電気的引力によりアルミナ水和物微粒子に金属成分を担持させる方法、または噴霧乾燥法を用いてアルミナ水和物微粒子に金属成分を担持する方法などを用いることができる。
【0091】
さらに、より具体的には、下記工程(i)〜(iii)のいずれか1種以上の方法により、アルミナ水和物微粒子に金属成分を担持させることが好ましい。
(i)金属塩を溶解させ、pH2〜4の範囲に調整した金属塩溶液を、前記工程(III)より得られたアルミナ水和物微粒子分散体に添加することにより、アルミナ水和物微粒子に金属成分を担持させる工程。
(ii)マイナス電荷に帯電した金属コロイドを含む金属コロイド分散液を前記工程(III)より得られたアルミナ水和物微粒子分散体に添加することにより、アルミナ水和物微粒子に金属成分を担持させる工程。
【0092】
なお、前記金属コロイド分散液は、例えば金属イオンと高分子との錯体を形成させ、モノアルコールや多価アルコール中で窒素雰囲気下、加熱還流還元する方法や、必要に応じて水素や水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で還元する方法により製造することができ、また、特開平10−188681号公報や特開20002−294301号公報に記載されたような方法に準じて製造することができる。
(iii) 金属塩を溶解させpHを2〜4の範囲に調整した金属塩水溶液および/またはマイナス電荷に帯電した金属コロイドを含む金属コロイド分散液と前記工程(III)で得られたアルミナ水和物微粒子を含む分散液とを噴霧乾燥させることによりアルミナ水和物微粒子に金属成分を担持させる工程
またこれらの(i)〜(iii)の工程の後にそれぞれ乾燥処理などを行ってもよい。
【0093】
前記金属塩の一例としては、Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Ce,Sr,Nb,Pt,Au,Pd,Ru,Rh,Ag,Ir,および希土類から選ばれる1種または2種以上の金属元素を含む酢酸マンガン(II)、塩化マンガン(II)、硝酸マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、酢酸鉄(II)、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)、酢酸コバルト(II)、ビス(2,4−ペンタンジオネート)コバルト(II)、トリス(2, 4−ペンタンジオネート)コバルト(III)、塩化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、酢酸ニッケル(II)、ビス(2,4−ペンタンジオネート)ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0) 、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)、ビス(2,4−ペンタンジオネート)銅(II)、テトラクロロ銅(II)酸カリウム、酢酸亜鉛(II)、ビス(2,4−ペンタジオネート)亜鉛(II)、硝酸亜鉛(II)、硫酸亜鉛(II)、酢酸モリブデン(II)、塩化モリブデン(II)、硝酸モリブデン(II)、硫酸モリブデン(II)、酸化セリウム(II,IV)、水酸化セリウム(II)、塩化セリウム(II)、硝酸セリウム(II、IV)、塩化白金(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、ジニトロジアンミン白金(II)、塩化金(I)、塩化金(III)、臭化金(III)、テトラシアノ金(III)酸カリウム、テトラクロロ金(III)酸、塩化(トリフェニルホスフィン)金(I)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、炭酸パラジウム、ビス(2,4−ペンタンジオネート)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 、テトラクロロパラジウム(II)酸カリウム、塩化ルテニウム(III)、硝酸ルテニウム(III)、酢酸ロジウム(II)、塩化ロジウム(III)、硝酸ロジウム(III)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)−μ ,μ'−ジクロロロジウム、トリス( トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド、酢酸銀(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)、硝酸銀(I)、硫酸銀(I)、p-トルエンスルホン酸銀(I)、炭酸銀、塩化イリジウム(III)、塩化イリジウム(IV)を用いることが好ましい。
【0094】
前記金属コロイド分散液は、Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Mo,Ce,Sr,Nb,Pt,Au,Pd,Ru,Rh,Ag,Ir,および希土類から選ばれる1種または2種以上の金属元素のコロイド微粒子の分散液を用いることが好ましい。
また、前記金属成分は、得られる金属含有アルミナ結合材中に金属として0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%の範囲となるように担持することが好ましい。
前記金属成分の担持量が0.1重量%未満の場合には、結合材として成型体触媒の活性を助ける機能が充分発現しない場合があるので好ましくない。
また、前記金属成分の担持量が20重量%を超える金属成分が凝集やシンタリングを起こし触媒活性を向上させる効果が低下したり、またはそれ以上活性が向上しない場合があるので好ましくない。
【0095】
本発明に係る成型体触媒は酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材とからなる成型体触媒であるが、その形状は用法によって適宜選択することができ、例えば、ハニカム状、ペレット状、コルゲート状、球状、板状、管状(パイプ状)、リング状、三つ葉状等に従来公知の成型方法で成型することができる。
また、ハニカム状の金属基材、あるいはセラミックス基材表面にウオッシュコート法等で酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材とからなる触媒層を形成した成型体触媒であってもよい。
【0096】
成型体触媒によるNOxの還元
本発明に係る成型体触媒は、アンモニアなどの還元剤の存在下でNOxを還元して窒素ガスに変換して浄化する触媒として好適に用いることができる。
【0097】
[成型体触媒の製造方法]
本発明に係る成型体触媒の製造方法は、下記の工程(a)〜(e)からなることを特徴としている。
(a)酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材とを混合する工程
(b)混合物の固形分濃度を10〜55重量%に調整する工程
(c)成型する工程
(d)乾燥する工程
(e)400〜800℃で焼成する工程
【0098】
工程(a)
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材とを混合する。
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子としては、前記した工程(f)〜(h)によって得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子を用いることが好ましい。
アルミナ結合材としては、前記したアルミナ水和物粒子、より好ましくは前記金属成分を担持したアルミナ水和物粒子を用いることが好ましい。
【0099】
工程(b)
混合物の固形分濃度を10〜55重量%に調整する。
この時、(1)混合物の固形分濃度が10〜30重量%の場合はハニカム状の金属基材、あるいはコージェライト等セラミックス基材表面にウオッシュコート法等による触媒層を形成した成型体触媒の調製に好適に用いることができる。
また、(2)混合物の固形分濃度が30〜55重量%の場合は押し出し成型等により、各種形状の成型体触媒の調製に好適に用いることができる。このとき、水が少ないと、成型性が低下するとともに、成型時、乾燥時にクラックが容易に発生する場合があり、得られる成型体の強度、耐摩耗性が不充分となる場合がある。水が多すぎると、成型は容易になるが、乾燥時の不均一な収縮にともなうクラックが発生する場合がある。
水分調整は水を加えたり、あるいは脱水することにより行うことができる。
【0100】
なお、前記(1)の場合は、触媒層の剥離を防止あるいは抑制するために従来公知の剥離抑制剤を使用することができる。例えば結晶性アルミノフォスフェートの一種であるAlPO−D等が挙げられる。
また、(2)の場合は従来公知の成型助剤(可塑剤ということがある)を添加することもできる。
成型助剤としては、結晶セルロース、メチルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ポリビニルアルコール、澱粉、リグニン等が挙げられる。このような成型助剤は、固形分の概ね10重量%以下、さらには1〜5重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0101】
さらに、(1)、(2)いずれの場合においても、前記アルミナ結合材以外に、従来公知の結合材、粒度配合剤あるいは増量剤、その他クラック抑制剤等の機能性材料を使用することができる。
例えば、カオリン、ベントナイト等の粘土鉱物、結晶性アルミノフォスフェート、結晶性アルミノシリケート等が挙げられる。
水分調整した混合物は、さらに、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材とをより均一に分散させるために、あるいは、成形性を高めるために、成型体触媒の強度、耐摩耗性を高めるために、混練(捏和)、必用に応じて加温下で混練(捏和)することができる。
【0102】
工程(c)
ついで、成型する。
本発明では、コージェライト等セラミックス基材にウオッシュコート法により成型体触媒を調製する場合は、前記した(1)固形分濃度が10〜30重量%の酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材の混合物に基材を浸漬したり、基材に混合物を塗布するなど従来公知の方法を採用することができる。
また、前記した(2)混合物の固形分濃度が30〜55重量%の酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材の混合物を用い、従来公知の押出成型機を用いてハニカム状、ペレット状、球状、板状、管状(パイプ状)、リング状、三つ葉状成型体等の形状の成型体触媒を得ることができる。
押出成型機、用いるダイスを適宜選択することによって種々形状の成型体触媒を得ることができる。
【0103】
工程(d)
ついで、乾燥する。
乾燥は、従来公知の方法を採用することができるが、この時、成型体を均一に乾燥することが重要である。例えば、湿度をコントロールしたり、温度分布を均一にすることが好ましい。この条件下、通常30〜200℃、好ましくは50〜150℃で、1〜48時間、好ましくは2〜36時間乾燥する。乾燥後の成型体の水分含有量は概ね10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0104】
工程(e)
ついで、400〜800℃、好ましくは450〜700℃で焼成する。
焼成温度が400℃未満の場合は、成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。また、成型助剤を使用した場合は、成型助剤に由来する有機物が残存して性能を阻害する場合がある。
焼成温度が800℃を越えると、用いる酸化燐含有金属含有結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の種類、含有量等によっては、低温水熱処理安定性、低温活性等が不充分となる場合がある。
このようにして得られた酸化燐含有金属含有結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材とからなる成型体触媒は、アンモニアなどの還元剤の存在下でNOxを還元して窒素ガスに変換して浄化する触媒として好適に用いることができる。
【実施例】
【0105】
以下、実施例にて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定するものではない。
【0106】
[実施例1]
結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)の調製
濃度75重量%のリン酸水溶液807.3gと純水2060.7gとを混合して、濃度21.1重量%のリン酸水溶液2868gを調製した。これに、濃度35重量%のテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TEAH)974.9gを混合し、ついで、アルミナ源として擬ベーマイト粉末(Al含有量74重量%)440.5gを10分程度で分散させ、分散液を15分間攪拌した。
ついで、分散液にシリカ源としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SI−30、SiO濃度30重量%)216.5gを約10分間で添加して、結晶性シリコアルミノフォスフェート合成用スラリー(1)を調製した。
【0107】
ついで、結晶性シリコアルミノフォスフェート合成用スラリー(1)をオートクレーブに充填し、1時間攪拌後、170℃に昇温し48時間水熱処理した。
その後、濾過分離し、60℃の温水を十分掛け水して洗浄し、130℃で24時間乾燥した。ついで、空気中600℃で2時間焼成して結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)を調製した。
結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)の組成は、SiO:11重量%、Al:40重量%、P:49重量%であった。また、平均粒粒子径は2.5μmであり、比表面積は600m/gであった。
【0108】
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)の調製
得られた結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)500gを水2500gに分散させ、コロイドミル処理して結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)分散液を調製した。
別途、硝酸第二銅3水和物100.1gを水2500gに溶解して硝酸銅水溶液を調製した。
硝酸銅水溶液に結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)分散液を混合して噴霧乾燥用混合分散液を調製した。この時、分散液のpHは3.5であった。
【0109】
ついで、噴霧乾燥用混合分散液を熱風温度230℃の噴霧乾燥機中に回転数7000rpmのアトマイザーにて噴霧し、得られた粉末を600℃で2時間焼成して金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(1)を調製した。
【0110】
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(1)の調製
得られた金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(1)500gを水2300gに分散させ、コロイドミル処理して金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)分散液を調製した。別途、リン酸水素2アンモニウム55.2gを水200gに溶解してリン酸水素2アンモニウム水溶液を調製した。
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)分散液にリン酸水素2アンモニウム水溶液を混合して噴霧乾燥用混合分散液を調製した。この時、分散液のpH8.3であった。
ついで、噴霧乾燥用混合分散液を熱風温度230℃の噴霧乾燥機中に回転数7000rpmのアトマイザーにて噴霧して酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(1)を調製した。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(1)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量および比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0111】
成型体触媒(1)の調製
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)40gとアルミナ水和物微粒子粉体(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al含有量72重量%、擬ベーマイト、結晶子径5.2nm、平均粒子径200nm、)13.9gと水47gとを混練機((株)入江商会製:BENCH KNEADER PBU-03)にて、温度30℃で1時間混練し、固形分濃度49.6重量%の混合物を調製した。
ついで、押出成型機(理研精機(株)製:デジプレッシャーDPS-700S、ダイス穴径3mmΦ)にて成型し、130℃で2時間乾燥した。乾燥品は5〜10mmの長さにカットし、600℃で2時間焼成してペレット状の成型体触媒(1)を調製した。
得られた成型体触媒(1)について、下記の方法および条件で水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0112】
水熱処理
成型体触媒(1)25ccを水熱処理反応管に充填し、水分を25vol%含む空気を500cc/minで供給しながら110℃まで昇温して、24時間水熱処理した。水熱処理を行った各成形体触媒(1)について、以下に示すNOx除去試験を行い、結果を表に示した。
同様に、別途、水分を10vol%含む空気を500cc/minで供給しながら700℃で60時間、および800℃で60時間水熱処理し、ついで、NOx除去試験を行い、結果を表に示した。
なお、110℃で水熱処理した場合のNOx除去性能で低温水熱処理安定性を評価し、700℃および800℃で水熱処理した場合のNOx除去性能で高温水熱処理安定性を評価した。
【0113】
NOx除去試験
上記水熱処理したペレット成型体触媒(1)10ccを常圧固定床流通式反応管に充填し、反応ガス(NO:500ppm、NH:500ppm、O:10vol%、N:バランス)を6000cc/minで流通させながら、反応温度200℃の定常状態になった時点でのNOx除去率を下記式によって求め、結果を表に示した。
X=[({NOx}in−{NOx}out)/{NOx}in]X100
ここで、XはNOx除去率(%)、{NOx}inは入り口の窒素酸化物ガス濃度、{NOx}outは出口の窒素酸化物ガス濃度を示す。
同様に、反応温度150℃、300℃でもNOx除去試験を行い、結果を表に示した。
【0114】
[実施例2]
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(2)の調製
実施例1において、リン酸水素2アンモニウムを43.8g使用した以外は同様にして酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(2)を調製した。なお、噴霧乾燥用混合分散液のpHは8.3であった。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(2)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量および比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0115】
成型体触媒(2)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(2)を用いた以外は同様にして成型体触媒(2)を調製した。
得られた成型体触媒(2)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0116】
[実施例3]
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(3)の調製
実施例1において、リン酸水素2アンモニウムを117.3g使用した以外は同様にして酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(3)を調製した。なお、噴霧乾燥用混合分散液のpHは8.3であった。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(3)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量および比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0117】
成型体触媒(3)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(3)を用いた以外は同様にして成型体触媒(3)を調製した。
得られた成型体触媒(3)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0118】
[実施例4]
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(4)の調製
実施例1において、硝酸第二銅3水和物48.7gを使用した以外は同様にして金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(4)を調製した。噴霧乾燥用混合分散液のpHは3.7であった。
【0119】
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(4)の調製
得られた金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(4)500gを水2300gに分散させ、コロイドミル処理して金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(4)分散液を調製した。別途、リン酸水素2アンモニウム26.8gを水200gに溶解してリン酸水素2アンモニウム水溶液を調製した。
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(4)分散液にリン酸水素2アンモニウム水溶液を混合して噴霧乾燥用混合分散液を調製した。この時、分散液のpHは8.2であった。
以下、実施例1と同様にして酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(4)を調製した。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(4)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量および比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0120】
成型体触媒(4)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(4)を用いた以外は同様にして成型体触媒(4)を調製した。
得られた成型体触媒(4)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0121】
[実施例5]
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(5)の調製
実施例1において、硝酸第二銅3水和物100.1gを使用した以外は同様にして金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(5)を調製した。噴霧乾燥用混合分散液のpHは3.5であった。
【0122】
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(5)の調製
得られた金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(5)500gを水2300gに分散させ、コロイドミル処理して金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(5)分散液を調製した。別途、リン酸水素2アンモニウム117.3gを水200gに溶解してリン酸水素2アンモニウム水溶液を調製した。
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(5)分散液にリン酸水素2アンモニウム水溶液を混合して噴霧乾燥用混合分散液を調製した。この時、分散液のpHは8.3であった。
以下、実施例1と同様にして酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(5)を調製した。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(5)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量および比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0123】
成型体触媒(5)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(5)を用いた以外は同様にして成型体触媒(5)を調製した。
得られた成型体触媒(5)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0124】
[実施例6]
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(6)の調製
実施例1と同様にして調製した金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(1)500gを水2300gに分散させ、コロイドミル処理して金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)分散液を調製した。別途、ピロリン酸アンモニウム64.2gを水200gに溶解してリン酸水素2アンモニウム水溶液を調製した。
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)分散液にピロリン酸アンモニウム水溶液を混合して噴霧乾燥用混合分散液を調製した。この時、分散液のpHは8.3であった。
ついで、噴霧乾燥用混合分散液を熱風温度230℃の噴霧乾燥機中に回転数7000rpmのアトマイザーにて噴霧して酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(6)を調製した。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(6)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量および比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0125】
成型体触媒(6)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(6)を用いた以外は同様にして成型体触媒(6)を調製した。
得られた成型体触媒(6)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0126】
[実施例7]
成型体触媒(7)の調製
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)45gとアルミナ水和物微粒子粉体(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al含有量72重量%、擬ベーマイト、結晶子径5.2nm、平均粒子径200nm)7.0gと水45gとを混練機((株)入江商会製:BENCH KNEADER PBU-03)にて、温度30℃で1時間混練し、固形分濃度51.5重量%の混合物を調製した。
ついで、押出成型機(理研精機(株)製:デジプレッシャーDPS-700S、ダイス穴径3mmΦ)にて成型し、130℃で2時間乾燥した。乾燥品は5〜10mmの長さにカットし、600℃で2時間焼成してペレット状の成型体触媒(7)を調製した。
得られた成型体触媒(7)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0127】
[実施例8]
成型体触媒(8)の調製
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)25gとアルミナ水和物微粒子粉体(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al含有量72重量%、擬ベーマイト、結晶子径5.2nm、平均粒子径200nm)34.8gと水42gとを混練機((株)入江商会製:BENCH KNEADER PBU-03)にて、温度30℃で1時間混練し、固形分濃度49.1重量%の混合物を調製した。
ついで、押出成型機(理研精機(株)製:デジプレッシャーDPS-700S、ダイス穴径3mmΦ)にて成型し、130℃で2時間乾燥した。乾燥品は5〜10mmの長さにカットし、600℃で2時間焼成してペレット状の成型体触媒(8)を調製した。
得られた成型体触媒(8)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0128】
[実施例9]
金属成分担持アルミナ水和物微粒子(9)の調製
アルミナ水和物微粒子粉体(日揮触媒化成(株)製:AP−1、Al含有量72重量%、擬ベーマイト、結晶子径5.2nm、平均粒子径200nm)694.4gを水5000gに分散させ、コロイドミル処理してアルミナ水和物粒子の分散液(9)を調製した。
別途、硝酸第二銅3水和物100.1gを水5000gに溶解して硝酸銅水溶液(7)を調製した。
アルミナ水和物粒子の分散液(9)に硝酸銅水溶液(9)を混合して噴霧乾燥用混合分散液(7)を調製した。この時、分散液のpHは3.5であった。
ついで、噴霧乾燥用混合分散液(9)を熱風温度230℃の噴霧乾燥機中に回転数7000rpmのアトマイザーにて噴霧して金属成分担持アルミナ水和物微粒子(9)を調製した。
得られた金属成分担持アルミナ水和物微粒子(9)について、銅のCuとしての含有量を測定し、結果を表に示す。なお、Al含有量は71.7重量%であった。
【0129】
成型体触媒(9)の調製
実施例8において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(3)25gと、金属成分担持アルミナ水和物微粒子(9)34.9gと水40gとを用いた以外は同様にして固形分濃度50.1重量%の混合物を調製した。
ついで、押出成型機(理研精機(株)製:デジプレッシャーDPS-700S、ダイス穴径3mmΦ)にて成型し、130℃で2時間乾燥した。乾燥品は5〜10mmの長さにカットし、600℃で2時間焼成してペレット状の成型体触媒(9)を調製した。
得られた成型体触媒(9)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0130】
[実施例10]
金属成分担持アルミナ水和物微粒子(10)の調製
実施例9において、硝酸第二銅3水和物48.8gを用いた以外は同様にして金属成分担持アルミナ水和物微粒子(10)を調製した。
得られた金属成分担持アルミナ水和物微粒子(10)について、銅のCuとしての含有量を測定し、結果を表に示す。なお、Al含有量は71.8重量%であった。
【0131】
成型体触媒(10)の調製
実施例9において、金属成分担持アルミナ水和物微粒子(10)34.8gを用いた以外は同様にして成型体触媒(10)を調製した。
得られた成型体触媒(10)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0132】
[実施例11]
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(11)の調製
実施例1において、リン酸水素2アンモニウムを190.5g使用した以外は同様にして酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(11)を調製した。なお、噴霧乾燥用混合分散液のpH8.5であった。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(11)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量および比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0133】
金属成分担持アルミナ水和物微粒子(11)の調製
実施例9において、硝酸第二銅3水和物211.2gを用いた以外は同様にして金属成分担持アルミナ水和物微粒子(11)を調製した。
得られた金属成分担持アルミナ水和物微粒子(11)について、銅のCuとしての含有量を測定し、結果を表に示す。なお、Al含有量は71.4重量%であった。
【0134】
成型体触媒(11)の調製
実施例9において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(11)25gと、金属成分担持アルミナ水和物微粒子(11)35.0gを用いた以外は同様にして成型体触媒(11)を調製した。
得られた成型体触媒(11)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0135】
[実施例12]
結晶性シリコアルミノフォスフェート(12)の調製
濃度75重量%のリン酸水溶液837.9gと純水2508.1gとを混合して、濃度18.8重量%のリン酸水溶液3346.0gを調製した。これに、モルホリン(関東化学株式会社製、鹿1級)570.1gを混合し、ついで、アルミナ源として擬ベーマイト粉末(Al含有量74重量%)441.8gを10分程度で分散させ、分散液を15分間攪拌した。
ついで、分散液にシリカ源としてシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SI−30、SiO濃度30重量%)642.1gを約10分間で添加して、結晶性シリコアルミノフォスフェート合成用スラリー(12)を調製した。
【0136】
ついで、結晶性シリコアルミノフォスフェート合成用スラリー(12)をオートクレーブに充填し、1時間攪拌後、170℃に昇温し72時間水熱処理した。
その後、濾過分離し、60℃の温水を十分掛け水して洗浄し、130℃で24時間乾燥した。ついで、空気中600℃で2時間焼成して結晶性シリコアルミノフォスフェート(12)を調製した。
結晶性シリコアルミノフォスフェート (12)の組成は、SiO:15重量%、Al:42重量%、P:43重量%であった。また、平均粒粒子径は10μmであり、比表面積は620(合成ゼオライトの比表面積)m/gであった。
【0137】
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(12)の調製
得られた結晶性シリコアルミノフォスフェート(12)500gを水2500gに分散させ、コロイドミル処理して結晶性シリコアルミノフォスフェート(12)分散液を調製した。
別途、硝酸第二銅3水和物100.1gを水2500gに溶解して硝酸銅水溶液を調製した。
硝酸銅水溶液に結晶性シリコアルミノフォスフェート(12)分散液を混合して噴霧乾燥用混合分散液を調製した。この時、分散液のpHは3.5であった。
【0138】
ついで、噴霧乾燥用混合分散液を熱風温度230℃の噴霧乾燥機中に回転数7000rpmのアトマイザーにて噴霧し、得られた粉末を600℃で2時間焼成して金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(12)を調製した。
【0139】
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(12)の調製
得られた金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(12)500gを水2300gに分散させ、コロイドミル処理して金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(2)分散液を調製した。別途、リン酸水素2アンモニウム55.2gを水200gに溶解してリン酸水素2アンモニウム水溶液を調製した。
金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(12)分散液にリン酸水素2アンモニウム水溶液を混合して噴霧乾燥用混合分散液を調製した。この時、分散液のpHは6.5であった。
ついで、噴霧乾燥用混合分散液を熱風温度230℃の噴霧乾燥機中に回転数7000rpmのアトマイザーにて噴霧して酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(12)を調製した。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(12)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量、比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0140】
成型体触媒(12)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(12)を用いた以外は同様にして成型体触媒(12)を調製した。
得られた成型体触媒(12)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0141】
[比較例1]
成型体触媒(R1)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)40gの代わりに、実施例1と同様にして調製した金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(1)40gを使用した以外は同様にして成型体触媒(R1)を調製した。
得られた成型体触媒(R1)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0142】
[比較例2]
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R2)の調製
実施例1において、リン酸水素2アンモニウム55.2gの代わりに濃度75重量%のオルト燐酸54.6gを用いた以外は同様にして酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R2)を調製した。なお、噴霧乾燥用混合分散液のpHは2.3であった。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R2)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量、比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0143】
成型体触媒(R2)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)40gの代わりに、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R2)40gを用いた以外は同様にして成型体触媒(R2)を調製した。
得られた成型体触媒(R2)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0144】
[比較例3]
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R3)の調製
実施例1において、リン酸水素2アンモニウム55.2gの代わりにピロ燐酸39.6gを用いた以外は同様にして酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R3)を調製した。なお、噴霧乾燥用混合分散液のpHは2.5であった。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R2)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量、比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0145】
成型体触媒(R3)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート(1)40gの代わりに、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R3)40gを用いた以外は同様にして成型体触媒(R3)を調製した。
得られた成型体触媒(R3)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0146】
[比較例4]
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R4)の調製
実施例1において、リン酸水素2アンモニウムを14.2g使用した以外は同様にして酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R4)を調製した。なお、噴霧乾燥用混合分散液のpHは7.9であった。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R4)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量、比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0147】
成型体触媒(R4)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R4)を用いた以外は同様にして成型体触媒(R4)を調製した。
得られた成型体触媒(R4)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0148】
[比較例5]
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R5)の調製
実施例1において、リン酸水素2アンモニウムを262.0g使用した以外は同様にして酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R5)を調製した。なお、噴霧乾燥用混合分散液のpHは9.2であった。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R5)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量、比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0149】
成型体触媒(R5)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R5)を用いた以外は同様にして成型体触媒(R5)を調製した。
得られた成型体触媒(R5)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0150】
[比較例6]
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R6)の調製
実施例12において、リン酸水素2アンモニウム55.2gの代わりに濃度75重量%のオルト燐酸54.6gを用いた以外は同様にして酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R6)を調製した。なお、噴霧乾燥用混合分散液のpHは2.3であった。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R6)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量、比表面積を測定し、結果を表に示した。
【0151】
[比較例7]
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R7)の調製
実施例1において、空気中550℃で2時間焼成した以外は同様にして結晶性シリコアルミノフォスフェート(R7)を調製した。
結晶性シリコアルミノフォスフェート(R7)の組成は、SiO:11重量%、Al:40重量%、P:49重量%であった。また、平均粒粒子径は2.5μmであり、比表面積は600m/gであった。
別途、硝酸第二銅3水和物100.1gを水100gに溶解して硝酸銅水溶液を調製した。
ついで、硝酸銅水溶液を結晶性シリコアルミノフォスフェート(R7)に吸収させ、ついで、120℃で2時間乾燥して金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R7) を調製した。
得られた金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R7)500gに濃度 6.8重量%のオルト燐酸水溶液100gを吸収させ、ついで、120℃で2時間乾燥して酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R7)を調製した。
得られた酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R7)中の酸化燐のPと銅のCuとしての含有量、比表面積を測定し、結果を表に示した。
なお、P/Cuモル比は0.175であった。
【0152】
成型体触媒(R7)の調製
実施例1において、酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子(R7)を用いた以外は同様にして成型体触媒(R7)を調製した。
得られた成型体触媒(R7)について、水熱処理を行い、ついで、アンモニアSCR活性試験にてNOx転化率を測定し、結果を表に示す。
【0153】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化燐を含有する金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材とからなる成型体触媒であって、該酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子中の酸化燐がオルトリン酸塩および/またはピロリン酸塩に由来する酸化燐であり、該酸化燐がオルトリン酸塩に由来する場合の含有量はPとして2〜20重量%の範囲にあり、ピロリン酸塩に由来する場合の含有量はPとして2.5〜25重量の範囲にあることを特徴とする成型体触媒。
【請求項2】
前記酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の含有量が固形分として35〜90重量%の範囲にあり、アルミナ結合材の含有量が固形分として10〜65重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の成型体触媒。
【請求項3】
前記アルミナ結合材が金属含有アルミナ結合材であることを特徴とする請求項1または2に記載の成型体触媒。
【請求項4】
前記結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子が、SAPO−5、SAPO−11、SAPO−34、SAPO−37から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成型体触媒。
【請求項5】
前記結晶性シリコアルミノフォスフェートがSAPO−34であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成型体触媒。
【請求項6】
前記金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子および/または金属含有アルミナ結合材の金属が周期律表第8族、第9族、第10族、第11族、第12族から選ばれる元素の金属またはこれらの混合物(合金を含む)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成型体触媒。
【請求項7】
前記金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の金属担持量が金属として0.1〜10重量%の範囲あることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の成型体触媒。
【請求項8】
前記金属含有アルミナ結合材の金属含有量が金属として0.1〜20重量%の範囲にあることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の成型体触媒。
【請求項9】
酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート成型体触媒の製造方法であって、下記の工程(a)〜(e)からなることを特徴とする成型体触媒の製造方法。
(a)酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子とアルミナ結合材とを混合する工程
(b)混合物の固形分濃度を10〜55重量%に調整する工程
(c)成型する工程
(d)乾燥する工程
(e)400〜800℃で焼成する工程
【請求項10】
前記酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子が下記の工程(f)〜(h)によって得られたものであることを特徴とする請求項9に記載の成型体触媒の製造方法。
(f)金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子分散液を調製する工程
(g)オルトリン酸塩および/またはピロリン酸塩水溶液を混合する工程
(h)噴霧乾燥する工程
【請求項11】
前記オルトリン酸塩がオルト燐酸3アンモニウム、オルト燐酸水素2アンモニウム、オルト燐酸2水素アンモニウムから選ばれる1種以上のオルトリン酸塩であり、前記ピロリン酸塩がピロ燐酸アンモニウム、ピロ燐酸2水素2アンモニウムから選ばれる1種以上のピロリン酸塩であることを特徴とする請求項9または10に記載の成型体触媒の製造方法。
【請求項12】
前記工程(g)におけるオルトリン酸塩および/またはピロリン酸塩水溶液の混合量が酸化燐含有金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子中に、オルトリン酸塩を用いる場合はPとして2〜20重量%の範囲となり、ピロリン酸塩を用いる場合はPとして2.5〜25重量%の範囲となる量であることを特徴とする請求項10または11に記載の成型体触媒の製造方法。
【請求項13】
前記金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子が、下記の工程(i)〜(l)によって得られたものであることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の成型体触媒の製造方法。
(i)結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子分散液を調製する工程
(j)活性成分金属化合物水溶液を混合する工程
(k)噴霧乾燥する工程
(l)400〜700℃で加熱処理(焼成)する工程
【請求項14】
前記結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子がSAPO−5、SAPO−11、SAPO−34、SAPO−37から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の成型体触媒の製造方法。
【請求項15】
前記結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子がSAPO−34であることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の成型体触媒の製造方法。
【請求項16】
前記活性成分金属化合物が、周期律表第8族、第9族、第10族、第11族、第12族から選ばれる元素の化合物または化合物の混合物であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の成型体触媒の製造方法。
【請求項17】
前記アルミナ結合材が金属含有アルミナ結合材であることを特徴とする請求項9〜16のいずれかに記載の成型体触媒の製造方法。
【請求項18】
前記金属含有アルミナ結合材の金属が周期律表第8族、第9族、第10族、第11族、第12族から選ばれる元素の金属または金属の混合物(合金を含む)であることを特徴とする請求項17に記載の成型体触媒の製造方法。
【請求項19】
前記金属担持結晶性シリコアルミノフォスフェート粒子の金属担持量が金属として0.1〜10重量%の範囲にあることを特徴とする請求項9〜18に記載の成型体触媒の製造方法。
【請求項20】
前記金属含有アルミナ結合材の金属含有量が金属として0.1〜20重量%の範囲にあることを特徴とする請求項17に記載の成型体触媒の製造方法。

【公開番号】特開2012−250149(P2012−250149A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122939(P2011−122939)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】