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酸化物微粒子、液体材料、透明導電膜の形成方法、及び電気光学装置の製造方法
説明

酸化物微粒子、液体材料、透明導電膜の形成方法、及び電気光学装置の製造方法

【課題】低温プロセスでも安定した電気特性を有する透明導電膜を形成することができる透明導電膜形成用の酸化物微粒子及び液体材料を提供する。
【解決手段】本発明の酸化物微粒子11は、酸化物からなるコア部12と、該コア部12を覆う金属膜からなるシェル部13とを有することを特徴とする。本発明の液体材料は、酸化物微粒子11を分散媒に分散させてなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物微粒子、液体材料、透明導電膜の形成方法、及び電気光学装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の表示デバイスの電極として、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料を用いた透明導電膜が用いられている。このような透明導電膜は、スパッタ法を用いて形成するのが一般的であるが、プロセス温度を低減できる液相法を用いて透明導電膜を形成することも検討されている(例えば特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開2005−166350号公報
【特許文献2】特開2005−183054号公報
【特許文献3】特開2006−028431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記各特許文献に記載の液体材料を所望の平面パターンにて基体上に塗布した後、熱処理を施すことで基体上に所望形状の透明導電膜を形成することができる。しかしながら、これらの液体材料を用いた導電膜形成において安定した特性を得るには、500℃以上の熱処理を行うことが必要であり、熱処理温度が350℃以下であると透明導電膜の抵抗が経時的に変化し、デバイスの信頼性確保が難しくなるという問題がある。例えば、特許文献1に記載のITO微粒子を用いる方法では、得られた透明導電膜におけるITO微粒子間の接点が不安定であるために抵抗上昇が生じやすい。また特許文献2に記載の金属粒子を酸化させて透明導電膜を形成する方法では、接点は安定しているものの、得られる酸化物導電体の結晶性が悪く、活性種の活性度が低いために十分なキャリア濃度が得られない。さらに特許文献3記載の熱分解材料を用いる方法では、熱分解材料の分解が完全に進まないことによる炭素残渣の発生や導電膜の結晶性低下が原因となりうる。
【0004】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、低温プロセスでも安定した電気特性を有する透明導電膜を形成することができる透明導電膜形成用の酸化物微粒子及び液体材料を提供することを目的としている。また本発明は、安定な電気特性を有する透明導電膜を形成する方法、並びに信頼性に優れた電気光学装置を製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の酸化物微粒子は、上記課題を解決するために、酸化物からなるコア部と、該コア部を覆う金属膜からなるシェル部とを有することを特徴とする。かかる構成の酸化物微粒子によれば、酸化物からなるコア部を被覆するシェル部を有しているので、この酸化物微粒子を加熱することで、金属膜であるシェル部が加熱により他の酸化物微粒子のシェル部と融着して安定な接点を形成することができる。また、前記シェル部を酸化させる際には、酸化物のコア部に倣って良好な結晶性を有する酸化物層を形成できるため、結晶性に優れた酸化物微粒子に変換することができる。したがって、本発明の酸化物微粒子によれば、液相法等を用いて低抵抗で信頼性に優れる透明導電膜を形成することができる。
【0006】
本発明の酸化物微粒子では、前記コア部が、In、Zn、Al、F、及びSnから選ばれる1種以上の元素を含む酸化物からなることが好ましい。すなわち、前記コア部が透明導電材料を構成する酸化物からなるものであることが好ましい。
【0007】
本発明の酸化物微粒子では、前記シェル部が、In、Zn、Al、F、及びSnから選ばれる1種以上の元素を含む金属膜からなることが好ましい。すなわち、前記シェル部は、酸化により透明導電材料に変換できる金属材料により構成されていることが好ましい。
【0008】
本発明の酸化物微粒子では、前記コア部がインジウム錫酸化物からなり、前記シェル部がInとSnとを主成分とする金属膜からなることが好ましい。この構成によれば、導電性に優れ、かつ信頼性に優れた透明導電膜を形成できる酸化物微粒子となる。
【0009】
本発明の液体材料は、本発明の酸化物微粒子を分散媒に分散させたことを特徴とする。この構成によれば、低抵抗で信頼性に優れる透明導電膜を形成できる液体材料を提供することができる。
【0010】
本発明の透明導電膜の形成方法は、酸化物からなるコア部と、該コア部を覆う金属膜からなるシェル部とを有する酸化物微粒子を分散媒に分散させてなる液体材料を基体上に配置する工程と、前記基体上の液体材料を真空雰囲気、不活性雰囲気、又は還元雰囲気中で加熱処理して前記液体材料の固化物を形成する工程と、前記固化物を酸素含有雰囲気中で加熱処理して該固化物を酸化させる工程と、を有することを特徴とする。この形成方法によれば、減圧下又は還元雰囲気下での加熱処理によりシェル部の酸化を防止しつつシェル部の融着によって安定な接点を有する固化物を形成でき、続く酸化処理工程では、コア部の結晶性により、シェル部を高い結晶性を有する酸化物に変換できる。したがって本発明によれば、低抵抗で信頼性に優れた透明導電膜を容易に形成することができる。
【0011】
本発明の透明導電膜の形成方法では、複数の前記加熱処理における加熱温度がいずれも300℃以下であることを特徴とする。この方法によれば、耐熱性に劣る樹脂製の基体上にも良好な導電性と信頼性とを具備した透明導電膜を形成することができる。本発明の形成方法は、フレキシブルデバイスの製造に好適に用いることができる。
【0012】
電気光学装置の製造方法は、基板上に透明導電膜を備えた電気光学装置の製造方法であって、酸化物からなるコア部と、該コア部を覆う金属膜からなるシェル部とを有する酸化物微粒子を分散媒に分散させてなる液体材料を基板上に配置する工程と、前記基板上の液体材料を真空雰囲気、不活性雰囲気、又は還元雰囲気中で加熱処理して前記液体材料の固化物を形成する工程と、前記固化物を酸素含有雰囲気中で加熱処理して該固化物を酸化させて前記透明導電膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
この製造方法によれば、優れた導電性と信頼性とを具備した透明導電膜を有する電気光学装置を容易に製造することができ、表示特性及び信頼性に優れた電気光学装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(酸化物微粒子及び液体材料)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る酸化物微粒子の概略断面図である。
まず、本発明に係る酸化物微粒子について説明する。図1に示すように、本発明に係る酸化物微粒子11は、酸化物からなるコア部12と、コア部12を覆って形成された金属膜からなるシェル部13とからなる微粒子である。酸化物微粒子11の粒径は、1nm〜0.1μm程度であることが好ましく、1nm〜40nmの範囲であることがより好ましい。粒径0.1μm以下のものを用いることで、かかる酸化物微粒子11を含む液体材料を液滴吐出ヘッドから吐出する際に目詰まりを生じるのを防止できる。また1nm〜40nmの範囲とすれば、酸化物微粒子11を用いて形成した透明導電膜について良好な導電性と透明性を得ることができる。
【0014】
コア部12は、金属酸化物からなる粒状体である。コア部12は、In、Zn、Al、F、及びSnから選ばれる1種以上の元素を含む金属酸化物からなるものであること、すなわち、透明導電材料の粒状体であることが好ましい。具体的には、ITO(In−Sn−O)、ATO(Sn−Sb−O)、FTO(F−Sn−O)、AZO(Zn−Al−O)、IZO(In−Zn−O)、GZO(Ga−Zn−O)等の複合酸化物、あるいは、In、ZnO、SnO等の金属酸化物を例示することができる。コア部12は、液相法、気相法を問わず、公知の微粒子製造方法を用いて製造することができる。具体的には、ガス中蒸発法、液相還元法、スプレー法等を挙げることができ、コア部12の材質に合わせて適切なものを選択すればよい。
【0015】
また、上記気相法や液相法を用いて形成した微粒子に対して500℃〜800℃程度の熱処理を施すことで、微粒子を構成する酸化物の結晶性を高めたコア部12を製造することが好ましい。コア部12を構成する酸化物の結晶性を高めておくことで、この酸化物微粒子11を用いて透明導電膜を形成した場合に、良好な結晶性を有する透明導電膜とすることができ、低抵抗で信頼性に優れる透明導電膜を得ることができる。
【0016】
シェル部13は、コア部12に被覆された単体金属又は合金からなる金属膜である。シェル部13は、In、Zn、Al、F、及びSnから選ばれる1種以上の元素を含む金属膜からなるものであること、すなわち、酸化処理により透明導電材料を生成しうる金属材料であることが好ましい。したがって、シェル部13の具体的構成材料としては、In−Sn合金、Sn−Sb合金、F−Sn合金、Zn−Al合金、In−Zn合金、Ga−Zn合金、あるいは、In、Zn、Sn等からなる金属材料を例示することができる。
【0017】
シェル部13の形成方法としても、液相法、気相法を問わず適用することができるが、微粒子表面に均一な膜厚の金属膜を形成することが好ましい点から、液相還元法を用いることが好ましい。すなわち、製造したコア部12をシェル部13を構成する金属材料(例えばInとSn)を含む金属塩水溶液に浸し、前記金属塩を還元してコア部12表面に金属膜を析出させることで形成することができる。
【0018】
コア部12の粒径は、1nm〜500nm程度であることが好ましく、1nm〜20nmの範囲であることがより好ましい。すなわち、コア部12の粒径を、シェル部13を含めた酸化物微粒子11の粒径の半分程度とし、シェル部13を成す金属膜の膜厚をコア部12の粒径と同程度の膜厚とすることが好ましい。コア部12の粒径とシェル部13の膜厚とを上記の関係とすることで、酸化物微粒子11を用いて形成した透明導電膜について良好な結晶性を得られるようになる。
【0019】
なお、酸化物微粒子11の表面には、分散媒に分散させて液体材料を調製した際の微粒子の凝集を防止する目的で有機物のコーティングを施しておいてもよい。
【0020】
次に、本発明に係る酸化物微粒子11を用いた透明導電膜形成用の液体材料について説明する。
本実施形態の液体材料は、上述した酸化物微粒子11を分散媒に分散させた液体材料である。分散媒としては、前記の酸化物微粒子11を良好に分散させ、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、酸化物微粒子11の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0021】
液体材料(分散液)の表面張力は0.02N/m〜0.07N/mの範囲内であることが好ましい。インクジェット法にて液体材料を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、前記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。前記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0022】
前記分散液の粘度は1mPa・s〜50mPa・sであることが好ましい。インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となるだけでなく、液滴の吐出量が減少する。
【0023】
(透明導電膜の形成方法)
次に、酸化物微粒子11を含む液体材料を用いた透明導電膜の形成方法について説明する。
図2(a)は、本実施形態の透明導電膜の形成方法を示す概略工程図であり、図2(b)は(a)に示す各工程に対応する透明導電膜の断面工程図である。図3は、透明導電膜の形成方法における作用説明図である。
本実施形態では、透明導電膜の形成方法の一例として、図2(b)に示すように、基板P上に透明導電膜11Cを形成する方法について説明する。
【0024】
本実施形態の透明導電膜の形成方法は、図2(a)及び図2(b)に示すように、基板P上に、酸化物微粒子11を含む液体材料11Aを塗布する第1の工程ST1と、基板P上に塗布された液体材料11Aに加熱処理を施すことで液体材料11Aを乾燥、固化させ、基板P上に液体材料11Aの固化物11Bを形成する第2の工程ST2と、基板P上の固化物11Bに酸化処理を施すことで固化物11Bを透明導電膜11Cに変換する第3の工程ST3とを有している。
【0025】
図2(b)に示す基板Pとしては、ガラス、石英、セラミックス等の硬質基板のほか、プラスチック等の可撓性基板も用いることができる。液体材料11Aは、上述した酸化物微粒子11を有機溶媒等の分散媒に分散させた分散液からなるものである。
第1の工程ST1では、基板P上に液体材料11Aを塗布する。液体材料の塗布方法としては、特に限定されず、種々の方法を採用することが可能であり、例えば、液滴吐出法、CAPコート法、ダイコート法、あるいは、カーテンコート法等を液体材料の塗布形態に応じて用いることができる。
【0026】
基板P上の特定位置に特定平面形状の透明導電膜を形成する場合には、液滴吐出法を用いることが好ましい。
ここで、図4(a)は、本実施形態で用いる液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と、X軸方向駆動軸304と、Y軸方向ガイド軸305と、制御装置CONTと、ステージ307と、クリーニング機構308と、基台309と、ヒータ315とを備えている。液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と基板Pを支持するステージ307とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出するものである。液滴吐出ヘッド301は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド301の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド301の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することができる。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節できるようにしてもよい。
【0027】
図4(b)は、ピエゾ方式による液状体材料の吐出原理を説明するための液滴吐出ヘッドの概略構成図である。液滴吐出ヘッド301において、液状体材料(インク)を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、液状体材料を収容する材料タンクを含む液状体材料供給系323を介して液状体材料が供給される。ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させて液体室321を弾性変形させる。そして、この弾性変形時の内容積の変化によってノズル325から液状体材料が吐出されるようになっている。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度を制御することができる。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有している。
【0028】
また液滴吐出法を用いる場合に、基板P上には、液体材料の仕切部材としてのバンク(堰)を形成してもよい。バンクの形成はリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法で行うことができる。バンクにより区画された領域に液体材料を配置することで、基板P上に所望の平面形状の透明導電膜を正確な位置及び形状にて形成することができる。
【0029】
図2(b)に示すように、上述の液滴吐出装置IJを用いて、液体材料11Aを基板P上に吐出配置したならば、基板P上の液体材料11Aから分散媒を除去するために、加熱処理工程である第2の工程ST2を行う。第2の工程ST2は、真空雰囲気、不活性雰囲気、あるいは還元雰囲気のもとで行われる。すなわち第2の工程ST2は酸素を排除した環境下で行われる。このような環境としては、10−5Pa〜10Pa程度の真空雰囲気、Nガス、Arガス(又は他の希ガス)等の不活性雰囲気、あるいは、Hガス、Hガスと不活性ガスとの混合ガス、COガス、COガスとCOガスとの混合ガス等の還元雰囲気を例示することができる。
【0030】
第2の工程ST2の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して決定すればよい。例えば、有機物からなるコーティング材を除去するためには、約300℃で焼成することが必要である。また、プラスチックなどの耐熱性に劣る基板を使用する場合には、室温以上100℃以下で行うことが好ましい。
【0031】
この第2の工程ST2は液体材料11Aに含まれる分散媒の除去と、酸化物微粒子11間の融着の促進を目的として行われるものである。この第2の工程ST2での加熱処理により、図2(b)及び図3(a)に示すように、分散媒が除去され、また酸化物微粒子11が凝集して互いに接触した固化物11Bが基板P上に形成される。また、酸化物微粒子11の表面に凝集防止用の有機物コーティングが施されている場合には、このコーティングについても第2の工程ST2において分解除去される。
【0032】
さらに本実施形態では、シェル部13はIn、Zn、Al、F、及びSnから選ばれる1種以上の元素を含む金属膜からなるものであり、比較的低温で溶融する金属を含んでいるため、300℃以下の加熱温度でもシェル部13の一部又は全部が溶融し、隣接する酸化物微粒子11同士が融着する。
このように第2の工程ST2において、液体材料11Aに対して真空雰囲気、不活性雰囲気、あるいは還元雰囲気のもとで加熱処理を行うことで、金属膜からなる酸化物微粒子11のシェル部13が部分的又は全体的に酸化されるのを防止しつつ、シェル部13による酸化物微粒子11同士の融着を進行させることができる。したがって第2の工程ST2により、非常に安定な接点を粒子間に形成することができる。
【0033】
第2の工程ST2は、例えば、ホットプレート、恒温チャンバー等を用いた全体的な加熱処理や、フラッシュランプを用いた光照射による局所的な加熱処理によって行うことができる。フラッシュランプを用いる場合、その光照射条件は光照射エネルギーが1〜50J/cm程度、光照射時間が1μ秒〜数m秒程度で十分であり、極めて迅速に第2の工程ST2を実行することができる。
【0034】
基板P上に固化物11Bが形成されたならば、次に、固化物11Bを酸化処理することで透明導電膜11Cに変換する第3の工程ST3を実施する。第3の工程ST3は、例えば、酸素含有雰囲気下で固化物11Bを選択的に、又は基板Pを含めた全体を加熱することで行う。酸素含有雰囲気としては、大気環境であってもよく、酸素ガスと不活性ガス(Nガス、希ガス等)との混合ガス雰囲気であってもよい。このように酸素含有雰囲気下で固化物11Bを加熱することで、図2(b)及び図3(b)に示すように、コア部12を取り囲むシェル部13が酸化されて金属酸化物となり、固化物11Bを透明導電膜11Cに変換することができる。このとき、シェル部13が酸化されて形成される金属酸化物の層は、酸化物微粒子11の中心に位置するコア部12の結晶性に起因して良好な結晶性を有した金属酸化物となるため、透明導電膜11Cは全体として良好な結晶性を有する低抵抗の導電膜となる。また、第2の工程ST2においてシェル部13の融着により酸化物微粒子11間に安定な接点が形成されているため、かかる固化物11Bを酸化処理してなる透明導電膜11Cにおいては粒子間の接点が安定で、信頼性に優れた透明導電膜となる。
【0035】
このように本発明の透明導電膜の形成方法によれば、以下のように、従来技術では得られない格別な効果を得ることができる。まず、従来のITO微粒子を含む液体材料を基板上に塗布し、これを乾燥、焼成して形成した透明導電膜では、透明導電膜を構成するITO微粒子間の接点が不安定で、経時的に抵抗値が変化するという問題があった。これに対して本発明では、第2の工程ST2において隣接する酸化物微粒子11のシェル部13を融着させることができるため、安定な接点を有する透明導電膜を形成でき、優れた信頼性を得ることができる。
また、従来の金属微粒子を酸化させて形成した透明導電膜では、接点は安定であるものの形成した透明導電膜の結晶性が悪く、抵抗が高くなる傾向にあった。これに対して本発明では、良好な結晶性を有する酸化物からなるコア部12を取り囲むようにシェル部13を形成しているため、シェル部13を酸化させる際にコア部12の結晶構造に倣って良好な結晶性を有する金属酸化物を形成することができ、低抵抗の透明導電膜を得ることができる。
【0036】
(電気光学装置とその製造方法)
先の実施形態に係る透明導電膜は、各種電気光学装置の電極や静電保護膜として好適に用いることができる。以下、図面を参照しつつ本発明に係る電気光学装置の一例である液晶表示装置の構成、及びその製造方法の一例について説明する。
【0037】
本実施形態の液晶表示装置は、基板面に対して垂直に配向させた誘電率異方性が負の液晶に対して電界を印加し、配向を制御することにより画像表示を行うVAN(Vertical Aligned Nematic)モードのアクティブマトリクス型液晶表示装置であって、パネル背面側に配設したバックライトから供給される光を用いて表示を行う透過型液晶表示装置である。
そして、本実施形態の液晶表示装置は、基板上に設けられたカラーフィルタによるカラー表示が可能であり、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色光を出力する3個のサブ画素で1個の画素を構成するものとなっている。
したがって本明細書では、表示を構成する最小単位となる表示領域を「サブ画素」と称する。また、一組(R,G,B)のサブ画素から構成される表示領域を「画素」と称する。
なお、各実施形態で参照する図面においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせて表示している。
【0038】
図5は、本実施形態の液晶表示装置を構成するマトリクス状に形成された複数のサブ画素の回路構成図である。図6は、液晶表示装置100の全体構成図である。図7は、3つのサブ画素から構成される画素におけるTFTアレイ基板の平面構成を示す図である。図8は図7のB−B’線に沿う液晶表示装置100の部分断面構成図である。
【0039】
図5に示すように、液晶表示装置100の画像表示領域は、マトリクス状に配列形成された複数のサブ画素Spを有している。各サブ画素Spは、互いに交差する方向に延びる複数の走査線18aと、複数のデータ線16とにより区画された矩形状の領域に形成されている。サブ画素Spには、画素電極19と画素電極19をスイッチング制御するためのTFT(薄膜トランジスタ)60とが形成されている。データ線16はTFT60のソースに電気的に接続されており、図示略の駆動回路から供給される画像信号S1、S2、…、Snがデータ線16を介して各サブ画素に書き込まれるようになっている。画像信号S1〜Snはこの順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線16同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0040】
TFT60のゲートには走査線18aが電気的に接続されており、図示略の駆動回路から所定のタイミングで走査線18aにパルス的に供給される走査信号G1、G2、…、Gmが、この順に線順次でTFT60のゲートに印加されるようになっている。画素電極19はTFT60のドレインと電気的に接続されている。スイッチング素子であるTFT60が走査信号G1、G2、…、Gmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線16から供給される画像信号S1、S2、…、Snが所定のタイミングで画素電極19に書き込まれるようになっている。
【0041】
画素電極19を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極19と液晶を介して対向する共通電極との間で一定期間保持される。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極19と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量17が接続されている。蓄積容量17はTFT60のドレインと容量線18bとの間に設けられている。
【0042】
図6及び図8に示すように、本実施形態の液晶表示装置100は、TFTアレイ基板(第1基板)10と対向基板(第2基板)20とがシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶層50が封入された構成である。シール材52の内周に沿って設けられた周辺見切り53に囲まれた矩形状の領域が画像表示領域となっている。シール材52の外側の周辺回路領域には、データ線駆動回路101及び外部回路実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路104がそれぞれ形成されている。走査線駆動回路104同士は、配線105を介して互いに電気的に接続されており、データ線駆動回路101、及び走査線駆動回路104,104は、それぞれ対応する外部回路実装端子102と電気的に接続されている。また、対向基板20の角部にはTFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材106が配設されている。
【0043】
次に、図7及び図8を参照して液晶表示装置100の詳細な構成について説明する。
液晶表示装置100は、図8に示すように、液晶層50を挟持して対向するTFTアレイ基板(第1基板)10と対向基板(第2基板)20とを備えている。TFTアレイ基板10の背面側(図示下面側)には、導光板91と反射板92とを具備したバックライト(照明装置)90が配設されている。
【0044】
図7の平面構成図に示すように、液晶表示装置100のサブ画素には、画素電極19と、画素スイッチング素子であるTFT60とが設けられている。画素電極19の長手方向(Y軸方向)に沿って延びる複数の走査線18aと、画素電極19の短手方向(X軸方向)に沿って延びるデータ線16とが形成されており、これらデータ線16、走査線18aは、その交差点の近傍において上記TFT60と電気的に接続されている。
また、1つのサブ画素に対応して3原色のうち1色のカラーフィルタ(色材層)22(22R、22G、22B)が形成されており、3色のカラーフィルタ22を含む隣接して配列された3つのサブ画素が1つの画素を形成している。カラーフィルタ22は、例えば、色毎に図示上下方向に延びるストライプ状に形成され、その延在方向で各々複数のサブ画素に跨って形成されるとともに、図示左右方向にて周期的に配列されたものとなっている。
【0045】
画素電極19は、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料を用い、本発明に係る透明導電膜の形成方法によって形成された透明導電膜である。本実施形態の液晶表示装置100は垂直配向モードの液晶表示装置であるから、配向膜のラビング処理により液晶にプレチルトを付与する方式のほか、サブ画素領域を複数の島状領域に分割し、各島状領域の中央に相当する対向基板上の位置に突起を設ける、いわゆるCPA(Continuous Pinwheel Alignment)構造や、突起やスリット構造により形成した核を基準に液晶を4方向に配向させるMVA(Multi-domain Vertical Alignment)構造等、公知の配向制御構造を採用することができる。
【0046】
図7に示す画素電極19のうち図示左下側に形成された切欠部と、走査線18a及びデータ線16との間に、TFT60が介挿されている。TFT60は、半導体層33と、半導体層33の下層側(基板本体10A側)に設けられたゲート電極32と、半導体層33の上層側に設けられたソース電極34と、ドレイン電極35とを備えている。本実施形態ではドレイン電極35をソース電極34と同等の幅の帯状の導電膜により形成しているが、かかるドレイン電極35をさらに延設し、延設されたドレイン電極と平面的に重なる位置に容量線(又は容量線と接続された容量電極)を配置することで、当該サブ画素の蓄積容量を形成することもできる。
【0047】
ゲート電極32は、走査線18aの一部をデータ線16の延在方向に分岐して形成されており、その先端側で半導体層33と図示略の絶縁膜を介して対向している。ソース電極34は、データ線16の一部を走査線18aの延在方向に分岐して形成されており、半導体層33と平面的に重なる位置で電気的に接続されている。ドレイン電極35と半導体層33も両者が平面的に重なる位置で電気的に接続されている。そして、ドレイン電極35の半導体層33と反対側の端部に設けられた画素コンタクトホールを介して、ドレイン電極35と画素電極19とが電気的に接続されている。
このような構成のもと、TFT60は、走査線18aを介して入力されるゲート信号により所定期間だけオン状態とされることで、データ線16を介して供給される画像信号を、所定のタイミングで液晶に対して書き込めるようになっている。
【0048】
一方、図8に示す断面構造をみると、液晶表示装置100は、TFTアレイ基板10と、これに対向配置された対向基板20とを備えており、これらの基板10,20間に挟持された液晶層50は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶(屈折率異方性Δnは例えば0.1)からなるものとされている。
【0049】
TFTアレイ基板10は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体10Aを基体としてなり、基板本体10Aの内面側(液晶層側)にゲート電極32(走査線18a)が形成されている。ゲート電極32を覆って絶縁薄膜(ゲート絶縁膜)36が形成されており、この絶縁薄膜36上のゲート電極32と対向する位置に、島状のアモルファスシリコン膜等からなる半導体層33が形成されている。また、半導体層33に一部乗り上げるようにして、ソース電極34とドレイン電極35とが絶縁薄膜36上に形成されている。ソース電極34と半導体層33との間、及びドレイン電極35と半導体層33との間には、半導体層33と電極とをオーミック接合するn+シリコン層33nが介挿されている。
【0050】
ソース電極34、ドレイン電極35を覆って第1層間絶縁膜37が形成され、第1層間絶縁膜37を覆って第2層間絶縁膜38が形成されている。第1層間絶縁膜37はTFT60を構成する各導電膜を保護するシリコン窒化膜等からなる絶縁膜であり、第2層間絶縁膜38はTFT60等が形成された基板本体10Aの表面を平坦化する機能を兼ね備えた透明な樹脂材料等からなる絶縁膜である。第2層間絶縁膜38上に、ITO等の透明導電膜からなる画素電極19が形成されている。画素電極19の一部は、第1層間絶縁膜37と第2層間絶縁膜38とを貫通してドレイン電極35に達するコンタクトホール45内に形成されており、かかる構造により画素電極19とドレイン電極35とが電気的に接続されている。画素電極19を覆ってポリイミド等の垂直配向膜39が形成されており、液晶分子を基板面に対し垂直に配向させるようになっている。基板本体10Aの外面側には、位相差板46と偏光板44とが積層配置されている。
【0051】
対向基板20は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体20Aを基体としてなる。基板本体20Aの内面側には、カラーフィルタ22が設けられている。先に記載のように、カラーフィルタ22はサブ画素の長手方向に延びるストライプ状であり、各カラーフィルタ22の延在方向で隣接するサブ画素の境界領域には、金属膜や黒色樹脂等からなる遮光膜(ブラックマトリクス)23が配置されている。
【0052】
カラーフィルタ22上には、対向電極21が形成されている。対向電極21は平面ベタ状のITO等からなる透明導電膜であり、かかる対向電極21も本発明に係る透明導電膜の形成方法によって形成された透明導電膜である。対向電極21を覆ってポリイミド等の垂直配向膜28が形成されており、液晶分子を基板面に対し垂直に配向させるようになっている。
【0053】
基板本体20Aの外面側には、位相差板26と偏光板24とが積層配置されている。上記偏光板44,24は、特定方向に振動する直線偏光のみを透過させる機能を有する。また位相差板46,26には、可視光の波長に対して略1/4波長の位相差を持つλ/4板が採用されている。偏光板44,24の透過軸と位相差板46,26の遅相軸とは約45°の角度を成して配置され、偏光板44と位相差板46、及び偏光板24と位相差板26とは、協働してそれぞれ円偏光板として機能する。この円偏光板により、直線偏光を円偏光に変換して液晶層50に入射させる一方、液晶層50から射出される円偏光を直線偏光に変換して出力するようになっている。また、偏光板44の透過軸と偏光板24の透過軸とは直交して配置され、位相差板46の遅相軸は位相差板26の遅相軸と直交して配置されている。
なお、偏光板と位相差板の構成としては、「偏光板+λ/4板の構成の円偏光板」が一般的だが、「偏光板+λ/2板+λ/4板の構成の円偏光板(広帯域円偏光板)」を用いることで、黒表示をより無彩色にすることもできる。
【0054】
上述したように、画素電極19及び対向電極21は、本発明に係る透明導電膜の形成方法によって形成されたものである。以下、液晶表示装置100の製造方法について簡単に説明する。
TFTアレイ基板10を製造するには、まず、基板本体10A上に、公知の製造方法を用いてTFT60及びこれを覆う第1層間絶縁膜37及び第2層間絶縁膜38を形成し、第1層間絶縁膜37及び第2層間絶縁膜38を貫通する画素コンタクトホール45を開口する。その後、液滴吐出法を用いて、本発明に係る酸化物微粒子11を含む液体材料11Aを第2層間絶縁膜38上に選択的に配置する。このとき、第2層間絶縁膜38上の画素電極19を形成すべき領域を取り囲むようにしてバンクを形成しておけば、さらに正確に液体材料11Aの吐出配置を行うことができる。
次いで、基板本体10Aを減圧下や還元雰囲気下に保持し、液体材料11Aを加熱することでこれを乾燥固化させて固化物11Bとし、これを酸素雰囲気下で加熱することで、固化物11Bを透明導電膜11Cに変換することで画素電極19を形成することができる。その後、画素電極19上にスピンコート法等によりポリイミド膜からなる配向膜39を形成すれば、TFTアレイ基板10を製造することができる。
【0055】
このように、画素電極19について本発明に係る透明導電膜の形成方法を適用することで、従来はスパッタ法等により形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングしていた画素電極の形成工程を液相法で行うことができる。これにより、画素電極19の製造に高温を要せず、また原料の無駄を低減できるため、加熱による基板本体10Aや第2層間絶縁膜38の劣化を防止でき、低コストで高歩留まりにTFTアレイ基板10を製造することができる。また、液相法を用いて画素電極19を形成することから、スパッタ法等の気相法を用いて画素電極19を形成する場合のように画素コンタクトホール45内での膜の付き回りに起因するコンタクト不良の発生が生じることが無く、電気的信頼性にも優れたTFTアレイ基板となる。
【0056】
次に、対向基板20を製造するには、基板本体20A上に遮光膜23及びカラーフィルタ22を、印刷法、液滴吐出法等、公知の製造方法を用いて形成する。次いで、カラーフィルタ22上に、スピンコート法や液滴吐出法を用いて、本発明に係る酸化物微粒子11を含む液体材料11Aを配置する。次に、基板本体20Aを減圧下や還元雰囲気下に保持し、液体材料11Aを加熱することでこれを乾燥固化させて固化物11Bとし、これを酸素雰囲気下で加熱することで、固化物11Bを透明導電膜11Cに変換することで対向電極21を形成することができる。その後、対向電極21上にスピンコート法等によりポリイミド膜からなる配向膜28を形成すれば、対向基板20を製造することができる。
対向電極21は、先に記載のように平面ベタ状の透明導電膜であるから、カラーフィルタ22上に液体材料11Aを塗布するに際して、液滴吐出法を用いる必要はなく、スピンコート法等を用いて全体的に塗布すればよい。
【0057】
このようにカラーフィルタ22上に対向電極21を形成するに際して、本発明の透明導電膜の形成方法を適用することで、300℃以下の加熱で十分に低抵抗で、かつ信頼性に優れた対向電極21を形成することができる。したがって、加熱によりカラーフィルタ22の劣化を防止でき、低コストで高歩留まりに対向基板20を製造することができる。
【0058】
以上の工程によりTFTアレイ基板10及び対向基板20を製造したならば、シール材52を介して両者を接着し、シール材52に設けられた封止口から液晶を内部に注入した後、シール材52の封止口を封止材で封止することで、上記実施形態の液晶表示装置100を製造することができる。
【0059】
このように本実施形態の液晶表示装置100では、各サブ画素に設けられた画素電極19,及びカラーフィルタ22上に設けられた対向電極21について、本発明に係る方法により形成された透明導電膜が用いられているので、透明導電材料の結晶性に優れるとともに、粒子間の接点が安定であり、優れた信頼性とを導電性とを有する透明電極を具備したものとなっている。したがって本発明によれば、消費電力が小さく、また信頼性にも優れた液晶表示装置を提供することができる。また、画素電極19の形成工程に液滴吐出法を用いるので、画素コンタクトホール45を介した画素電極19とTFT60との電気的接続が確実なものとなり、電気的信頼性をも向上させた液晶表示装置を実現できる。
【0060】
(他の実施形態)
上記実施形態では、本発明に係る透明導電膜の形成方法を適用して液晶表示装置100の画素電極19及び対向電極21を形成する場合について説明したが、本発明に係る透明導電膜の形成方法は、液晶表示装置の基板外面側に設けられる静電保護膜の形成にも問題なく用いることができる。以下、図9及び図10を参照しつつ説明する。
【0061】
図9は、本実施形態の液晶表示装置200の1サブ画素の平面構成図であり、図10は、図9のD−D’線に沿う断面構成図である。本実施形態の液晶表示装置200は、いわゆる横電界方式により液晶を駆動し、画像表示を行う液晶表示装置であり、横電界方式のうちでも特にFFS(Fringe Field Switching)方式を用いたものである。本実施形態の液晶表示装置200は、先の実施形態に係る液晶表示装置100とその基本構成において共通するので、図9及び図10のうち、液晶表示装置100と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
なお、本実施形態に係る液晶表示装置200の液晶層50は、先の実施形態と異なり、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で液晶分子が基板面に平行に配向するものであり、正の誘電率異方性を有する液晶が用いられている。
【0062】
図9に示すように、液晶表示装置200のサブ画素には、平面視略梯子状の画素電極119と、画素電極119と平面視でほぼ重なる位置に形成された共通電極129と、画素電極119と電気的に接続されたTFT60と、TFT60と電気的に接続されるとともに画素電極119の縦横の辺端に沿って延在する走査線18a及びデータ線16と、走査線18aに沿って延在するとともに共通電極129と電気的に接続された容量線18bと、が設けられている。
【0063】
図10に示す断面構造をみると、TFTアレイ基板10の基板本体10Aの内面側に、TFT60が形成されており、TFT60のゲート電極32(走査線18a)と同層に容量線18b及び共通電極129が形成されている。共通電極129はITO等の透明導電材料を用いて形成された透明導電膜であり、かかる共通電極129の形成に際しても本発明の透明導電膜の形成方法を適用することができる。共通電極129を覆って絶縁薄膜36が形成されており、TFT60及び絶縁薄膜36を覆って、第1層間絶縁膜37と第2層間絶縁膜38とが順次積層されている。そして、第2層間絶縁膜38上に、上述した略梯子形状の画素電極119が形成されており、画素電極119を覆って配向膜39が形成されている。画素電極119の形成に本発明の透明導電膜の形成方法を適用してもよいのは勿論である。
【0064】
対向基板20を構成する基板本体20Aの内面側には、遮光膜23とカラーフィルタ22とが形成されており、カラーフィルタ22上には配向膜28が形成されている。基板本体20Aの外面側には、平面ベタ状の透明導電膜からなる静電保護膜121が形成されており、静電保護膜121上に位相差板26と偏光板24とが配設されている。
【0065】
上記構成を備えた液晶表示装置200は、TFT60を介して画素電極119に電圧を印加することで、画素電極119と共通電極129との電位差によって略基板面方向の電界を形成する。そしてこの略基板面方向の電界によって液晶を駆動し、液晶の配向状態の差異に基づき透過光を変調して画像表示を行うようになっている。
【0066】
このように横電界方式の液晶表示装置200では、液晶を駆動する電界を形成するための電極である画素電極119と共通電極129とがいずれもTFTアレイ基板10上に形成されており、対向基板20の液晶層50側には電極が形成されていない。そのため、対向基板20側から静電気が入射して基板本体20Aが帯電すると、当該電荷により形成された電界が液晶層50に作用し、液晶の配向乱れを生じて表示不良を起こすおそれがある。そこで横電界方式の液晶表示装置では、対向基板20の外面側に静電保護膜として透明導電膜を形成し、入射する静電気を吸収するようになっている。
【0067】
本発明に係る透明導電膜の形成方法は、上述した静電保護膜121の形成工程に適用することができ、本発明に係る透明導電膜の形成方法を用いることで、比較的低温で導電性に優れた静電保護膜121を形成することができる。従って本実施形態によれば、加熱によりカラーフィルタ22等に劣化を生じさせることなく静電保護膜121を具備した液晶表示装置200を製造することができる。
【0068】
以上の実施形態では、透過型の液晶表示装置について説明したが、本発明は透明電極を具備した電気光学装置一般に適用できるものである。したがって、透過型液晶表示装置のほか、反射型液晶表示装置や半透過反射型液晶表示装置についても適用することができ、有機EL表示装置やプラズマ型表示装置、電気泳動表示装置等にも問題なく適用することができる。
【0069】
(電子機器)
次に、本発明の電子機器の具体例について説明する。
図11(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。符号1000は携帯電話本体を示し、1001は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。図11(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。符号1100は時計本体を示し、1101は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。図11(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。符号1200は情報処理装置、1202はキーボードなどの入力部、1204は情報処理本体、1206は上記実施形態の液晶表示装置100を備えた表示部を示している。
【0070】
図11(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の液晶表示装置100を備えたものであるので、信頼性の高い導電膜が電極部材等に用いられたことで、信頼性に優れる電子機器となっている。また、テレビやモニター等の大型液晶パネルにおいても上記実施形態の製造方法を適用することができる。
なお、本実施形態の電子機器は液晶表示装置100を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る酸化物微粒子の断面構成図。
【図2】本発明に係る透明導電膜の形成方法を示す工程図。
【図3】本発明に係る酸化物微粒子の作用説明図。
【図4】液滴吐出装置及び吐出ヘッドを示す図。
【図5】実施形態に係る液晶表示装置の回路構成図。
【図6】実施形態に係る液晶表示装置の全体構成図。
【図7】実施形態に係る液晶表示装置の画素構成図。
【図8】実施形態に係る液晶表示装置の断面構成図。
【図9】他の実施形態に係る液晶表示装置の画素構成図。
【図10】他の実施形態に係る液晶表示装置の断面構成図。
【図11】電子機器を例示する斜視図。
【符号の説明】
【0072】
11 酸化物微粒子、12 コア部、13 シェル部、11A 液体材料、11B 固化物、11C 透明導電膜、19,119 画素電極、21 対向電極、121 静電保護膜、100,200 液晶表示装置(電気光学装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物からなるコア部と、該コア部を覆う金属膜からなるシェル部とを有することを特徴とする酸化物微粒子。
【請求項2】
前記コア部が、In、Zn、Al、F、及びSnから選ばれる1種以上の元素を含む酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の酸化物微粒子。
【請求項3】
前記シェル部が、In、Zn、Al、F、及びSnから選ばれる1種以上の元素を含む金属膜からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物微粒子。
【請求項4】
前記コア部がインジウム錫酸化物からなり、前記シェル部がInとSnとを主成分とする金属膜からなることを特徴とする請求項1に記載の酸化物微粒子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の酸化物微粒子を分散媒に分散させたことを特徴とする液体材料。
【請求項6】
酸化物からなるコア部と、該コア部を覆う金属膜からなるシェル部とを有する酸化物微粒子を分散媒に分散させてなる液体材料を基体上に配置する工程と、
前記基体上の液体材料を真空雰囲気、不活性雰囲気、又は還元雰囲気中で加熱処理して前記液体材料の固化物を形成する工程と、
前記固化物を酸素含有雰囲気中で加熱処理して該固化物を酸化させる工程と、
を有することを特徴とする透明導電膜の形成方法。
【請求項7】
複数の前記加熱処理における加熱温度がいずれも300℃以下であることを特徴とする請求項6に記載の透明導電膜の形成方法。
【請求項8】
基板上に透明導電膜を備えた電気光学装置の製造方法であって、
酸化物からなるコア部と、該コア部を覆う金属膜からなるシェル部とを有する酸化物微粒子を分散媒に分散させてなる液体材料を基板上に配置する工程と、
前記基板上の液体材料を真空雰囲気、不活性雰囲気、又は還元雰囲気中で加熱処理して前記液体材料の固化物を形成する工程と、
前記固化物を酸素含有雰囲気中で加熱処理して該固化物を酸化させて前記透明導電膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−21616(P2008−21616A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194736(P2006−194736)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】