説明

酸化物微粒子含有樹脂組成物およびその製造方法

【課題】透明性に優れ、黄色化しにくいシリル基含有樹脂硬化体、ならびにこのような硬化体が得られる、酸化物微粒子が高度に分散したシリル基含有樹脂組成物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】上記酸化物微粒子含有樹脂組成物は、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で、(A)ケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子、および(B)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を含有するシリル基を有する有機重合体を混合して、前記酸化物微粒子(A)を有機溶媒中に分散させることにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子が特定のシリル基を有する有機重合体を含む有機溶媒中に高度に分散した樹脂組成物およびその硬化体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機系高分子材料に各種機能を付与する手段として、有機ポリマーとケイ素酸化物微粒子や各種金属酸化物微粒子(以下、これらをまとめて「酸化物微粒子」と略す)との複合化が検討されている。このとき、有機ポリマーと酸化物微粒子はこれらを含む分散液の形態で調製されることが多い。ところが、有機ポリマーは水に溶け難いため、分散媒として有機溶剤を使用する必要があり、一方、酸化物微粒子は有機溶媒中で凝集しやすいため、水媒体中に分散させることが多い。このため、有機溶媒中に酸化物微粒子を微分散させるには、炭素数6以上の有機基を有するリン酸、スルホン酸またはカルボン酸(特許文献1参照)、オキシアルキレン基を有する有機化合物、オキシアルキレン基を有するリン酸等のエステル(特許文献2参照)、あるいはオキシアルキレン基を有するシラン化合物(特許文献3参照)を用いる必要があった。
【0003】
しかしながら、これらの化合物を使用して酸化物微粒子を有機溶媒中に微分散させる方法で、酸化物微粒子と有機ポリマーとを複合化させた場合、分散液の分散性は良好であるが、上記化合物と有機ポリマーとの相溶性が悪く、たとえば、溶媒を除去して塗膜を形成した場合、塗膜が白化することがあった。また、製膜条件等を制御して透明な塗膜を形成しても、この塗膜には、炭素数6以上の有機基を有するリン酸等やオキシアルキレン基を有する化合物が残存するため、紫外線照射下では塗膜の着色やクラック発生等の不具合が生じることがあった。
【0004】
一方、ケイ素酸化物微粒子には、自身の表面電荷で分散性を保った有機溶媒分散体があるが、この分散体は分散安定性が良好であるものの、有機ポリマーと混合した場合、ケイ素酸化物微粒子が凝集して白化したり、クラックが発生したりすることがあった。
【特許文献1】特開2004−283822号公報
【特許文献2】特開2005−185924号公報
【特許文献3】特開2004−99879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、透明性に優れ、黄色化しにくいシリル基含有樹脂硬化体、ならびにこのような硬化体が得られる、酸化物微粒子が高度に分散したシリル基含有樹脂組成物およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を含有するシリル基を有する有機重合体を含有する有機溶媒中で、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下、酸化物微粒子を処理することにより、特定のシリル基を有する有機重合体を含有する有機溶媒中で酸化物微粒子が高度に分散したシリル基含有樹脂組成物が得られることを見出し、さらに、この組成物から得られる硬化体が、透明性に優れ、かつ黄色化しにくいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係る酸化物微粒子含有樹脂組成物は、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で、
(A)ケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子、および
(B)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を含有するシリル基を有する有機重合体
を混合して、前記酸化物微粒子(A)を有機溶媒中に分散させることにより得られる。
【0008】
前記酸化物微粒子(A)と前記シリル基を有する有機重合体(B)とを塩基性化合物の存在下で混合することが好ましく、前記酸化物微粒子(A)と前記シリル基を有する有機重合体(B)とをビーズミルにより混合することが好ましく、前記酸化物微粒子(A)100重量部に対して、前記シリル基を有する有機重合体(B)を固形分で1〜1000重量部混合することが好ましい。
【0009】
前記シリル基を有する有機重合体(B)において、特定シリル基導入前の有機重合体に対する、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を含有するシリル基の含有量は、ケイ素原子含有量に換算して、0.1〜2重量%であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る硬化体は、上記酸化物微粒子含有樹脂組成物から得られる。
本発明に係るコーティング用組成物は、上記酸化物微粒子含有樹脂組成物からなる。また、本発明に係る積層体は、有機基材と、該有機基材上に設けられた、上記コーティング用組成物から得られる塗膜とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、炭素数6以上の有機基を有するリン酸等やオキシアルキレン基を有する化合物を使用せずに、特定のシリル基を有する有機重合体を含有する有機溶媒に酸化物微粒子が高度に分散した組成物が得られる。この組成物は分散安定性に優れているとともに、酸化物微粒子と上記特定のシリル基を有する有機重合体とを含有する透明な硬化体を形成できる。また、酸化物微粒子として紫外線吸収性の金属酸化物微粒子を用いた硬化体は紫外線吸収材料として有用である。さらに、高屈折性の金属酸化物微粒子を用いた硬化体は、発光素子として青色LED素子や紫外線LED素子を用いたLED素子の封止材として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る酸化物微粒子含有樹脂組成物は、酸化物微粒子(A)と特定のシリル基を有する有機重合体(B)とを、炭素数6以上の有機基を有するリン酸等やオキシアルキレン基を有する化合物を使用せずに、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で混合して分散処理を施すことにより得ることができる。
【0013】
〔酸化物微粒子(A)〕
本発明に用いられる酸化物微粒子(A)は、ケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子である。上記金属酸化物微粒子は、金属元素の酸化物微粒子であればその種類は特に限定されないが、たとえば、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化プラセオジウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビニウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム、酸化カルシウム、酸化ガリウム、酸化リチウム、酸化ストロンチウム、酸化タングステン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、およびこれらの複合体、
ならびにインジウム−スズ複合酸化物などの上記金属2種以上の複合体の酸化物などの金属酸化物微粒子が挙げられる。また、上記酸化物微粒子(A)として、ケイ素酸化物と金属酸化物との複合酸化物微粒子や金属酸化物微粒子の表面をケイ素酸化物で被覆した酸化物微粒子を用いることもできる。
【0014】
本発明において、酸化物微粒子は、1種単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。酸化物微粒子(A)は、付与する機能に応じて適宜選択することができるが、たとえば、高屈折性を付与する場合にはTiO2微粒子が好ましく、紫外領域の透明性と高屈
折性を両立させる場合にはZrO2微粒子が好ましい。また、UVカット機能を付与する
場合には、酸化セリウム微粒子、酸化亜鉛微粒子が好ましい。また、導電性を付与する場合には、酸化アンチモンドープ酸化錫微粒子、インジウム−錫系複合酸化物微粒子が好ましい。
【0015】
上記酸化物微粒子(A)の1次平均粒子径は、好ましくは0.1〜100nm、より好ましくは0.1〜70nm、特に好ましくは0.1〜50nmである。酸化物微粒子(A)の1次平均粒子径が上記範囲にあると、光透過性に優れた硬化体を得ることができる。
【0016】
このような酸化物微粒子(A)は、溶媒に分散されていない粉体の状態で添加しても、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒中やトルエンなどの非極性溶媒中に分散した分散体の状態で添加してもよい。添加前の酸化物微粒子(A)は、凝集して二次粒子を形成していてもよい。本発明では、特定のシリル基を有する有機重合体(B)の溶解性を考慮して適切な有機溶媒を適宜選択できる点で、粉体を使用することが好ましい。また、本発明の製造方法は、粉体の状態で添加する場合に、特に有効である。
【0017】
〔特定シリル基含有重合体(B)〕
本発明に用いられる特定のシリル基を含有する有機重合体(B)(以下、「特定シリル基含有重合体(B)」ともいう)は、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基(以下「特定シリル基」という)を含有する。この特定シリル基含有重合体(B)は、有機重合体分子鎖の末端および/または側鎖に特定シリル基を有することが好ましい。
【0018】
この特定シリル基含有重合体(B)と酸化物微粒子(A)とを、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で混合して分散処理すると、有機溶媒中に酸化物微粒子(A)が高度に分散される。これは、特定シリル基含有重合体(B)に残存する特定シリル基中の加水分解性基および/または水酸基が、塩基性化合物等の触媒作用により酸化物微粒子(A)の表面で縮合され、酸化物微粒子(A)の表面が疎水性となり、酸化物微粒子(A)が有機溶媒中に微分散しやすくなるためと推測される。
【0019】
特定シリル基含有重合体(B)における特定シリル基の含有量は、ケイ素原子の量に換算して、特定シリル基導入前の有機重合体に対して、通常0.1〜2重量%、好ましくは0.3〜1.7重量%である。特定シリル基含有重合体(B)における特定シリル基含有量が上記下限未満になると、特定シリル基含有重合体(B)に残存する特定シリル基が少なくなるため、混合分散処理による効果が得られないことがある。一方、上記上限を超えると組成物の保管時にゲル化が発生することがある。
【0020】
上記特定シリル基は、下記式(3)
【0021】
【化1】

【0022】
(式中、Xはハロゲン原子、アルコキシル基、アセトキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシル基、アミノ基などの加水分解性基または水酸基を示し、R5は水素原子、炭素数1
〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアラルキル基を示し、iは1〜3の整数である。)
で表される基であることが好ましい。
【0023】
このような特定シリル基含有重合体(B)は、たとえば、下記(I)や(II)の方法により、製造することができる。
(I)上記式(3)で表される特定シリル基を有するヒドロシラン化合物(以下、単に「ヒドロシラン化合物(I)」ともいう)を、炭素−炭素二重結合を有するビニル系重合体(以下、「不飽和ビニル系重合体」という)中の該炭素−炭素二重結合に付加反応させる方法。
【0024】
(II)下記式(4)
【0025】
【化2】

【0026】
(式中、X、R5、iはそれぞれ上記式(3)におけるX,R5,iと同義であり、R6
重合性二重結合を有する有機基を示す)
で表されるシラン化合物(以下、「不飽和シラン化合物(II)」という)と、他のビニル系単量体とを共重合する方法。
【0027】
上記(I)の方法に使用されるヒドロシラン化合物(I)としては、たとえば、メチルジクロルシラン、トリクロルシラン、フェニルジクロルシランなどのハロゲン化シラン類;メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシランなどのアシロキシシラン類;メチルジアミノキシシラン、トリアミノキシシラン、ジメチル・アミノキシシランなどのアミノキシシラン類などを挙げることができる。これらのヒドロシラン化合物(I)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
また、上記(I)の方法に使用される不飽和ビニル系重合体は、水酸基を有する重合体以外であれば特に限定されず、たとえば、下記(I−1)や(I−2)の方法あるいはこれらの組み合わせなどによって製造することができる。
【0029】
(I−1)官能基(以下、「官能基(α)」という)を有するビニル系単量体を(共)重合したのち、該(共)重合体中の官能基(α)に、該官能基(α)と反応しうる官能基(以下、「官能基(β)」という)と炭素・炭素二重結合とを有する不飽和化合物を反応させることにより、重合体分子鎖の側鎖に炭素−炭素二重結合を有する不飽和ビニル系重合体を製造する方法。
【0030】
(I−2)官能基(α)を有するラジカル重合開始剤(たとえば、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸など)を使用し、あるいは、ラジカル重合開始剤と連鎖移動剤の双方に官能基(α)を有する化合物(たとえば、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸とジチオグリコール酸など)を使用して、ビニル系単量体を(共)重合して、重合体分子鎖の片末端あるいは両末端にラジカル重合開始剤や連鎖移動剤に由来する官能基(α)を有する(共)重合体を合成したのち、該(共)重合体中の官能基(α)に、官能基(β)と炭素・炭素二重結合とを有する不飽和化合物を反応させることにより、重合体分子鎖の片末端あるいは両末端に炭素−炭素二重結合を有する不飽和ビニル系重合体を製造する方法。
【0031】
(I−1)および(I−2)の方法における官能基(α)と官能基(β)との反応としては、たとえば、カルボキシル基と水酸基とのエステル化反応、カルボン酸無水物基と水酸基との開環エステル化反応、カルボキシル基とエポキシ基との開環エステル化反応、カルボキシル基とアミノ基とのアミド化反応、カルボン酸無水物基とアミノ基との開環アミド化反応、エポキシ基とアミノ基との開環付加反応、水酸基とイソシアネート基とのウレタン化反応や、これらの反応の組み合わせなどを挙げることができる。
【0032】
官能基(α)を有するビニル系単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルなどの水酸基含有ビニル系単量体;2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系単量体;1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1−メチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2’−フェニル−2’−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2’−ヒドロキシ−2’−フェノキシプロピル)アミン(メタ)アクリルイミドなどのアミンイミド基含有ビニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有ビニル系単量体などを挙げることができる。これらの官能基(α)を有するビニル系単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0033】
官能基(α)を有するビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−エトキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物;
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性単量体;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミドなどの酸アミド化合物;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエステルなどのビニル化合物;
1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、イソプレン、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基などの置換基で置換された置換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖状および側鎖状の共役ヘキサジエンなどの脂肪族共役ジエン;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオクチル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有単量体;
4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどのピペリジン系モノマー;
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノンなどの紫外線吸収モノマー;
ジカプロラクトンなどが挙げられる。これらは、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0034】
官能基(β)と炭素・炭素二重結合とを有する不飽和化合物としては、たとえば、官能基(α)を有するビニル系単量体と同様のビニル系単量体や、上記水酸基含有ビニル系単量体とジイソシアネート化合物とを等モルで反応させることにより得られるイソシアネート基含有不飽和化合物などを挙げることができる。
【0035】
また、上記(II)の方法に使用される不飽和シラン化合物(II)としては、
CH2=CHSi(CH3)(OCH32、CH2=CHSi(OCH33
CH2=CHSi(CH3)Cl2、CH2=CHSiCl3
CH2=CHCOO(CH22Si(CH3)(OCH32
CH2=CHCOO(CH22Si(OCH33
CH2=CHCOO(CH23Si(CH3)(OCH32
CH2=CHCOO(CH23Si(OCH33
CH2=CHCOO(CH22Si(CH3)Cl2
CH2=CHCOO(CH22SiCl3
CH2=CHCOO(CH23Si(CH3)Cl2
CH2=CHCOO(CH23SiCl3
CH2=C(CH3)COO(CH22Si(CH3)(OCH32
CH2=C(CH3)COO(CH22Si(OCH33
CH2=C(CH3)COO(CH23Si(CH3)(OCH32
CH2=C(CH3)COO(CH23Si(OCH33
CH2=C(CH3)COO(CH22Si(CH3)Cl2
CH2=C(CH3)COO(CH22SiCl3
CH2=C(CH3)COO(CH23Si(CH3)Cl2
CH2=C(CH3)COO(CH23SiCl3
【0036】
【化3】

【0037】
を挙げることができる。これらは、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
また、不飽和シラン化合物と共重合させる他のビニル系単量体としては、たとえば、上記(I−1)の方法において例示した官能基(α)を有するビニル系単量体や他のビニル系単量体などを挙げることができる。
【0038】
上記特定シリル基含有重合体(B)の製造方法としては、たとえば、一括して各単量体を添加して重合する方法、単量体の一部を重合したのち、その残りを連続的にまたは断続的に添加して重合する方法、あるいは、単量体を重合開始時から連続的に添加する方法などが挙げられる。また、これらの重合方法を組み合わせてもよい。
【0039】
好ましい重合方法としては、溶液重合が挙げられる。溶液重合に使用される溶媒は、特定シリル基含有重合体(B)を製造できるものであれば特に制限されないが、たとえば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。また、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどが挙げられ、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ノルマルプロピル、乳酸イソプロピル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0040】
また、上記重合では、重合開始剤、分子量調整剤、キレート化剤、無機電解質は、公知のものを使用することができる。
本発明では、特定シリル基含有重合体(B)として、上記のようにして重合された特定シリル基含有重合体の他に、特定シリル基含有エポキシ樹脂、特定シリル基含有ポリエステル樹脂などの他の特定シリル基含有重合体を使用することもできる。上記特定シリル基含有エポキシ樹脂は、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエステルなどのエポキシ樹脂中のエポキシ基に、特定シリル基を有するアミノシラン類、ビニルシラン類、カルボキシシラン類、グリシジルシラン類などを反応させることにより製造することができる。また、上記特定シリル基含有ポリエステル樹脂は、たとえば、ポリエステル樹脂中に含有されるカルボキシル基や水酸基に、特定シリル基を有するアミノシラン類、カルボキシシラン類、グリシジルシラン類などを反応させることにより製造することができる。
【0041】
特定シリル基含有重合体(B)のGPC法により測定したポリスチレン換算のMwは、好ましくは2,000〜100,000、さらに好ましくは3,000〜50,000である。
【0042】
本発明において、特定シリル基含有重合体(B)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
〔酸化物微粒子含有樹脂組成物およびその用途〕
本発明に係る酸化物微粒子含有樹脂組成物は、酸化物微粒子(A)と特定シリル基含有重合体(B)とを、炭素数6以上の有機基を有するリン酸等やオキシアルキレン基を有する化合物を使用せずに、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で混合して分散処理を施すことにより得ることができる。
【0043】
(有機溶媒)
上記有機溶媒としては、上記特定シリル基含有重合体(B)の製造に用いられる有機溶媒として例示した、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。また、これらの有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの有機溶媒は、前記特定シリル基含有重合体(B)の調製時に使用した有機溶媒をそのまま使用することができる。また、前記特定シリル基含
有重合体(B)の調製時に使用した有機溶媒を除去し、新たに有機溶媒を添加してもよい。
【0044】
これらの有機溶媒のうち、酸化物微粒子含有樹脂組成物の分散安定性が良好であるという点でアルコール以外の有機溶媒、たとえば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、およびこれらの混合物などが好ましい。また、これらの有機溶媒は、予め脱水処理を施して、水分を除去した状態で使用することが好ましい。
【0045】
上記有機溶媒の使用量は、酸化物微粒子(A)を均一に分散できる量であれば特に制限されないが、得られる酸化物微粒子含有樹脂組成物の固形分濃度が、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは7〜70重量%、特に好ましくは10〜60重量%となる量である。
【0046】
(塩基性化合物)
上記塩基性化合物としては、アンモニア(アンモニア水溶液を含む)、有機アミン化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属のアルコキシドが挙げられる。これらのうち、アンモニアおよび有機アミン化合物が好ましい。
【0047】
有機アミンとしては、アルキルアミン、アルコキシアミン、アルカノールアミン、アリールアミンなどが挙げられる。
アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルアミンなどが挙げられる。
【0048】
アルコキシアミンとしては、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミンなどの炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシアミンなどが挙げられる。
【0049】
アルカノールアミンとしては、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピル
ジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミン、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノメチル)プロパノールアミン、N−(アミノメチル)ブタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)プロパノールアミン、N−(アミノエチル)ブタノールアミン、N−(アミノプロピル)メタノールアミン、N−(アミノプロピル)エタノールアミン、N−(アミノプロピル)プロパノールアミン、N−(アミノプロピル)ブタノールアミン、N−(アミノブチル)メタノールアミン、N−(アミノブチル)エタノールアミン、N−(アミノブチル)プロパノールアミン、N−(アミノブチル)ブタノールアミンなどの炭素数1〜4のアルキル基を有するアルカノールアミンが挙げられる。
【0050】
アリールアミンとしてはアニリン、N−メチルアニリンなどが挙げられる。
さらに、上記以外の有機アミンとして、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイドなどのテトラアルキルアンモニウムハイドロキサイド;テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミンなどのテトラアルキルエチレンジアミン;メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、プロピルアミノブチルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノブチルアミンなどのアルキルアミノアルキルアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンなどのポリアミン;ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モルホリン、メチルモルホリン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセンなども挙げられる。
【0051】
このような塩基性化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ピリジンが特に好ましい。
【0052】
(酸性化合物)
上記酸性化合物としては、有機酸および無機酸が挙げられる。有機酸としては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。上記無機酸としては、たとえば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸などが挙げられる。
【0053】
このような酸性化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、酢酸が特に好ましい。
(金属キレート化合物)
上記金属キレート化合物としては、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて、「有機金属化合物類」という)が挙げられる。
【0054】
上記有機金属化合物類としては、たとえば、下記式(a)
M(OR7r(R8COCHCOR9s (a)
(式中、Mは、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムからなる群からを選択される少なくとも1種の金属原子を表し、R7およびR8は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6個の1価の炭化水素基を表し、R9は、前記炭素数1〜6個の1価の炭化水素基、または、
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16個のアルコキシル基を表し、rおよびsは、それぞれ独立に0〜4の整数であって、(r+s)=(Mの原子価)の関係を満たす)
で表される化合物(以下、「有機金属化合物(a)」という)、
1つのスズ原子に炭素数1〜10個のアルキル基が1〜2個結合した4価のスズの有機金属化合物(以下、「有機スズ化合物」という)、あるいは、
これらの部分加水分解物などが挙げられる。
【0055】
また、有機金属化合物類として、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどのテトラアルコキシチタン類;メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン類などのチタンアルコレートおよびその縮合物を用いることができる。
【0056】
有機金属化合物(a)として、たとえば、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;
テトラ−i−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合物;
トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセ
トナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0057】
有機スズ化合物として、たとえば、
【0058】
【化4】

【0059】
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
【0060】
【化5】

【0061】
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
【0062】
【化6】

【0063】
などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0064】
【化7】

【0065】
などのクロライド型有機スズ化合物;
(C492SnO、(C8172SnOなどの有機スズオキサイドや、これらの有機ス
ズオキサイドとシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオク
チルなどのエステル化合物との反応生成物;
などが挙げられる。
【0066】
このような金属キレート化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいはこれらの部分加水分解物が好ましい。
【0067】
これらの塩基性化合物、酸性化合物および金属キレート化合物のうち、塩基性化合物および酸性化合物が好ましく、塩基性化合物がより好ましく、有機アミン化合物がさらに好ましく、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ピリジンが特に好ましい。
【0068】
上記塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物は、本発明の酸化物微粒子含有樹脂組成物に、上記酸化物微粒子(A)100重量部に対して、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部、特に好ましくは0.01〜0.5重量部含有されていることが望ましい。上記塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物が上記範囲にあると酸化物微粒子含有樹脂の組成物は良好な分散安定性を示す。
【0069】
(酸化物微粒子含有樹脂組成物の製造方法)
上記酸化物微粒子含有樹脂組成物は、有機溶媒に酸化物微粒子(A)と特定シリル基含有重合体(B)と、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物とを添加し、これらを十分に混合して酸化物微粒子(A)を有機溶媒中に分散させることにより調製することができる。このとき、ボールミル、サンドミル(ビーズミル,ハイシェアビーズミル)、ホジナイザー、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、プロペラミキサー、ハイシェアミキサー、ペイントシェーカーなどの公知の分散機を用いることが好ましく、特に高分散の微粒子分散体ボールミル、サンドミル(ビーズミル,ハイシェアビーズミル)が好適に使用される。上記のように、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で酸化物微粒子(A)と特定シリル基含有重合体(B)とを混合すると、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の触媒作用により酸化物微粒子(A)の表面で特定シリル基含有重合体(B)の縮合反応が進行し、酸化物微粒子(A)の表面が疎水性となり、有機溶媒中に微分散しやすくなると推測される。
【0070】
本発明の酸化物微粒子含有樹脂組成物は、酸化物微粒子(A)100重量部に対して、特定シリル基含有重合体(B)を固形分で、好ましくは1〜1000重量部、より好ましくは5〜900重量部、特により好ましくは10〜800重量部含有することが望ましい。
【0071】
また、上記酸化物微粒子含有樹脂組成物は、酸化物微粒子(A)が、体積平均分散粒径が300nm以下、好ましくは200nm以下で高度に分散した組成物である。
さらに、上記特定シリル基含有重合体(B)が加水分解性基および/または水酸基を有するため、上記組成物中では、酸化物微粒子(A)が、炭素数6以上の有機基を有するリン酸等やオキシアルキレン基を有する化合物を使用せずに、高度に分散されている。これにより、透明性に優れ、かつ黄色化しにくい硬化体を形成できる。
【0072】
また、本発明の酸化物微粒子含有樹脂組成物は、さらに蛍光体を含有することができ、この硬化体はLED封止材として使用できる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特記しない限り、「重量部」および「重量%」を示す。また、実施例および比較例における各種測定は、下記の方法により行なった。
【0073】
〔GPC測定〕
特定シリル基含有重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより下記条件で測定したポリスチレン換算値として示した。
装置:HLC−8120C(東ソー(株)製)
カラム:TSK−gel MultiporeHXL−M(東ソー社製)
溶離液:THF、流量0.5mL/min、負荷量5.0%、100μL
〔分散性〕
得られた組成物の外観を目視により観察した。微粒子の沈降が見られなかった組成物の体積平均分散粒径を、マイクロトラック超微粒子粒度分布計(日機装(株)製「UPA150」)により測定し、下記基準で評価した。
A:分離沈降なし。体積平均分散粒径≦200nm。
B:分離沈降なし。200nm<体積平均分散粒径≦300nm。
C:分離沈降なし。300nm<体積平均分散粒径。
D:分離沈降あり。
【0074】
〔塗膜透明性〕
得られた組成物100部にジオクチルスズジマレエートエステルのi−ブチルアルコール溶液(固形分濃度約10%)を15部添加して十分に撹拌した溶液を、乾燥膜厚が10μmになるように石英ガラス板上に塗布した後、80℃で1時間乾燥硬化させて石英ガラス板上に膜厚10μmの硬化体を作製した。この硬化体の波長500〜700nmにおける分光透過率を紫外可視分光光度計により測定し、下記基準で評価した。
A:光透過率が90%超。
B:光透過率が70%以上90%以下。
C:光透過率が70%未満。
【0075】
〔黄色度〕
得られた組成物100部にジオクチルスズジマレエートエステルのi−ブチルアルコール溶液(固形分濃度約10%)を15部添加して十分に撹拌した溶液を、乾燥膜厚が10μmになるように石英ガラス板上に塗布した後、80℃で1時間乾燥硬化させて石英ガラス板上に膜厚10μmの硬化体を作製した。この硬化体の波長450nmの光透過率を紫外可視分光光度計により測定して、下記基準で評価した。
A:光透過率が90%超。
B:光透過率が70〜90%。
C:光透過率が70%未満。
(外観) A:クラックなし、膜の剥がれは無く、照射試験前後で変化なし
B:膜の剥がれ無いが、一部クラックあり
C:膜の剥がれ無いが、全面クラックあり
D:膜の剥がれあり
(密着性)AA:テープを貼り付けた部分全てにおいて膜の剥がれなし
A:テープを貼り付けた部分のうち、膜が剥がれた箇所が5%未満
B:テープを貼り付けた部分のうち、膜が剥がれた箇所が5〜50%
C:テープを貼り付けた部分のうち、膜が剥がれた箇所が50%超。
【0076】
〔特定シリル基含有重合体(B)の調製〕
<調製例1>
還流冷却器および攪拌機を備えた反応器に、メチルメタクリレート55部、2−エチルヘキシルアクリレート5部、シクロヘキシルメタクリレート5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部、グリシジルメタクリレート20部、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5部、i−ブチルアルコール75部、メチルエチルケトン50部およびメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温した。この混合物にアゾビスイソバレロニトリル3部をキシレン8部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させた。冷却後、メチルエチルケトンを36部加えて、固形分濃度が35%、GPC法により測定したMwが12,000、固形分中のケイ素含量が1.1重量%の特定シリル基含有重合体(B−1)を含む溶液を得た。
【0077】
<調製例2>
グリシジルメタクリレートの代わりに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部を用いた以外は、調製例1と同様にして、固形分濃度が35%、Mwが13,000、固形分中のケイ素含量が1.1重量%の特定シリル基含有重合体(B−2)を含む溶液を得た。
【0078】
<調製例3>
還流冷却器および攪拌機を備えた反応器に、メチルメタクリレート30部、n−ブチルアクリレート10部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部、グリシジルメタクリレート20部、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン10部、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール20部、i−ブチルアルコール75部、メチルエチルケトン50部およびメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温した。この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させた。冷却後、メチルエチルケトンを36部加えて、固形分濃度が35%、GPC法により測定したMwが10,000、固形分中のケイ素含量が1.1重量%の特定シリル基含有重合体(B−3)を含む溶液を得た。
【0079】
<調製例4>
還流冷却器および攪拌機を備えた反応器に、メチルメタクリレート75部、2−エチルヘキシルアクリレート5部、シクロヘキシルメタクリレート5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5部、i−ブチルアルコール75部、メチルエチルケトン50部およびメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温した。この混合物にアゾビスイソバレロニトリル3部をキシレン8部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させた。冷却後、メチルエチルケトンを36部加えて、固形分濃度が35%、GPC法により測定したMwが8,000、固形分中のケイ素含量が1.1重量%の特定シリル基含有重合体(B−4)溶液を得た。
【実施例1】
【0080】
粉体状のルチル型酸化チタン微粒子(一次平均粒径:30nm)100重量部と、上記特定シリル基含有重合体(B−1)を含む溶液286重量部(固形分換算で100重量部)と、トリエチルアミン0.2重量部と、メチルイソブチルケトン614重量部とを容器に入れ、この混合物に0.1mm径のジルコニアビーズ2000重量部を添加して、ビーズミルを用いて1500rpmで1時間攪拌して微粒子を分散させ、固形分濃度20重量%の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(1)を得た。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【実施例2】
【0081】
ルチル型酸化チタン微粒子の代わりに粉体状の酸化亜鉛微粒子(一次平均粒径:20nm)100重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(2)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【実施例3】
【0082】
ルチル型酸化チタン微粒子の代わりに粉体状の酸化ジルコニウム微粒子(一次平均粒径:20nm)100重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(3)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【実施例4】
【0083】
トリエチルアミンの代わりにメタンスルホン酸0.2重量部を使用した以外は、実施例2と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(4)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【実施例5】
【0084】
特定シリル基含有重合体(B−1)を含む溶液の代わりに特定シリル基含有重合体(B−2)を含む溶液286重量部(固形分換算で100重量部)を使用した以外は、実施例2と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(5)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【実施例6】
【0085】
特定シリル基含有重合体(B−1)を含む溶液の代わりに特定シリル基含有重合体(B−3)を含む溶液286重量部(固形分換算で100重量部)を使用した以外は、実施例2と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(6)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【実施例7】
【0086】
特定シリル基含有重合体(B−1)を含む溶液の代わりに特定シリル基含有重合体(B−4)を含む溶液286重量部(固形分換算で100重量部)を使用した以外は、実施例2と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(7)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0087】
[比較例1]
粉体状のルチル型酸化チタン微粒子(一次平均粒径:30nm)100重量部と、上記特定シリル基含有重合体(B−1)を含む溶液286重量部(固形分換算で100重量部)と、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル(楠本化成(株)製、商品名:PLADD ED151)9重量部と、アセチルアセトン5重量部と、メチルイソブチルケトン614重量部とを容器に入れ、この混合物に0.1mm径のジルコニアビーズ2000重量部を添加して、ビーズミルを用いて1500rpmで1時間攪拌して微粒子を分散させ、固形分濃度20重量%の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(C1)を得た。この分散体の特性を評価した結果を表1に示す。
【0088】
[比較例2]
トリエチルアミンを使用しなかった以外は実施例1と同様にして粉体状のルチル型酸化チタン微粒子をメチルイソブチルケトンに分散させたが、酸化チタン微粒子が沈降した。
【0089】
[比較例3]
特定シリル基含有重合体(B−1)を含む溶液を使用しなかった以外は実施例1と同様
にして粉体状のルチル型酸化チタン微粒子をメチルイソブチルケトンに分散させたが、酸化チタン微粒子が沈降した。
【0090】
[比較例4]
予め水にアナターゼ型酸化チタン微粒子を分散させた酸化チタン微粒子水分散体(石原産業(株)製「STS−01」、TiO2濃度30重量%、酸化チタン微粒子の体積平均
分散粒径:60nm、有機系分散剤:0重量%)300重量部を容器に入れ、これに、上記特定シリル基含有重合体(B−1)を含む溶液286重量部(固形分換算で100重量部)と、メチルイソブチルケトン414重量部とを添加し、さらに、この混合物に0.1mm径のジルコニアビーズ2000重量部を添加して、ビーズミルを用いて1500rpmで1時間攪拌して微粒子を分散させたが、酸化チタン微粒子が沈降した。
【0091】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で、
(A)ケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子、および
(B)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を含有するシリル基を有する有機重合体
を混合して、前記酸化物微粒子(A)を有機溶媒中に分散させることにより得られる酸化物微粒子含有樹脂組成物。
【請求項2】
前記酸化物微粒子(A)と前記シリル基を有する有機重合体(B)とを塩基性化合物の存在下で混合することを特徴とする請求項1に記載の酸化物微粒子含有樹脂組成物。
【請求項3】
前記酸化物微粒子(A)と前記シリル基を有する有機重合体(B)とをビーズミルにより混合することを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物微粒子含有樹脂組成物。
【請求項4】
前記酸化物微粒子(A)100重量部に対して、前記シリル基を有する有機重合体(B)を固形分で1〜1000重量部混合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物微粒子含有樹脂組成物。
【請求項5】
前記シリル基を有する有機重合体(B)において、特定シリル基導入前の有機重合体に対する、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を含有するシリル基の含有量が、ケイ素原子含有量に換算して、0.1〜2重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化物微粒子含有樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の酸化物微粒子含有樹脂組成物から得られる硬化体。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の酸化物微粒子含有樹脂組成物からなるコーティング用組成物。
【請求項8】
有機基材と、該有機基材上に設けられた、請求項7に記載のコーティング用組成物から得られる塗膜とを有する積層体。
【請求項9】
(A)ケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子と(B)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を含有するシリル基を有する有機重合体とを、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で混合することを特徴とする酸化物微粒子含有樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
前記酸化物微粒子(A)と前記シリル基を有する有機重合体(B)とを塩基性化合物の存在下で混合することを特徴とする請求項9に記載の酸化物微粒子含有樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
前記酸化物微粒子(A)と前記シリル基を有する有機重合体(B)とをビーズミルにより混合することを特徴とする請求項9または10に記載の酸化物微粒子含有樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
前記酸化物微粒子(A)100重量部に対して、前記シリル基を有する有機重合体(B)を固形分で1〜1000重量部混合することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の酸化物微粒子含有樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
前記シリル基を有する有機重合体(B)において、特定シリル基導入前の有機重合体に
対する、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を含有するシリル基の含有量が、ケイ素原子含有量に換算して、0.1〜2重量%であることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の酸化物微粒子含有樹脂組成物の製造方法。


【公開番号】特開2008−19403(P2008−19403A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194891(P2006−194891)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】