説明

酸化物超電導線材およびその製造方法

【課題】広い温度領域において磁場中で高い超電導特性を有する酸化物超電導線材、および該酸化物超電導線材を少ない工程数で製造可能な酸化物超電導線材の製造方法の提供。
【解決手段】本発明の酸化物超電導線材10は、テープ状の基材11と、基材11の上方に設けられた中間層12と、中間層12の上方に設けられたREBaCu7−δ(式中、REは希土類元素のうちの1種又は2種以上を表す。)の組成式で表される酸化物超電導体からなる酸化物超電導層13と、を備え、酸化物超電導層13を構成する酸化物超電導体のRE元素の種類が、酸化物超電導層13の幅方向で異なることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物超電導線材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年になって発見されたRE−123系酸化物超電導体(REBaCu7−X:REは希土類元素)は、液体窒素温度以上で超電導性を示すことから実用上極めて有望な素材とされており、これを線材に加工して電力供給用の導体として用いることが強く要望されている。RE−123系酸化物超電導体を用いた線材は、超電導コイル用導体としての利用、あるいは電力供給用ケーブルとしての利用の他、超電導線材への通電時に発生するおそれのある故障電流の遮断を目的とした超電導限流器用の導体として利用するための研究開発も進められている。
【0003】
この種のRE−123系酸化物超電導線材の一構造例として、図7に示す如くテープ状の金属基材101上に、中間層102とキャップ層103を介して酸化物超電導層104が積層形成された超電導線材100が知られている。
前記構造において中間層102およびキャップ層103の結晶面内配向性が高い方が、更にその上に成膜される酸化物超電導層104も高い結晶配向性となり、この酸化物超電導層104の結晶面内配向性が高くなる程、臨界電流値等の超電導特性が優れた超電導線材100を得ることができる。
【0004】
RE−123系酸化物超電導線材は、超電導体を構成する希土類元素の種類により、外部磁場の強度や使用温度によりその特性が変化することが知られている。例えば、YBaCu7−Xを用いた超電導線材は20K程度の低温領域において、優れた磁場中での超電導特性を示すことが知られている。また、GdBaCu7−Xを用いた超電導線材は、20Kにおける超電導特性はYBaCu7−Xに劣るが、50K以上、特に77K付近においては、YBaCu7−Xよりも優れた磁場中での超電導特性を示す傾向にある。このように、RE−123系超電導線材は、特定の磁場中および温度範囲以外では、高い超電導特性を発揮できないという問題があった。
【0005】
この問題を解決する方法として、組成の異なるRE−123系超電導層を複数積層させる技術が、特許文献1に開示されている。図8は、特許文献1に記載の超電導線材の構造を示す模式図である。この例の超電導線材200は、Ni−W合金からなる基材201上に、Ce−Zr−O酸化物からなる第1中間層202aと、CeOからなる第2中間層202bを形成し、この中間層202上にYBa1.5Cuの超電導層203aと、SmBa1.5Cuの超電導層203bと、YBaCuの超電導層203cとを順次積層した超電導層203を形成して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−86666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、図8に示す構造の超電導線材200は高い磁場中特性を示すことが記載されている。しかしながら、図8に示す超電導線材200の超電導層203a、203b、203cは、有機金属塗布熱分解法(MOD法)により形成されており、各超電導層の成膜毎に組成を変えて成膜する必要があるため、超電導層203の形成工程数が増加し、手間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みなされたものであり、広い温度領域において磁場中で高い超電導特性を有する酸化物超電導線材、および該酸化物超電導線材を少ない工程数で製造可能な酸化物超電導線材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の酸化物超電導線材は、テープ状の基材と、該基材の上方に設けられた中間層と、該中間層の上方に設けられたREBaCu7−δ(式中、REは希土類元素のうちの1種又は2種以上を表す。)の組成式で表される酸化物超電導体からなる酸化物超電導層と、を備え、前記酸化物超電導層を構成する酸化物超電導体のRE元素の種類が、該酸化物超電導層の幅方向で異なることを特徴とする。
本発明の酸化物超電導線材は、酸化物超電導層を構成する超電導体のRE元素がその幅方向で異なる構成であるため、高い超電導特性を示す外部磁場強度および温度領域が異なる複数の超電導体より構成されている。そのため、臨界温度以下の広い温度領域において磁場中で高い超電導特性を発現できる。
本発明の酸化物超電導線材は、前記酸化物超電導層において、幅方向の一端側と、幅方向の他端側又は中央部側とでRE元素の種類が異なっており、RE元素としてYを含むことが好ましい。
【0010】
本発明の酸化物超電導線材において、前記酸化物超電導層が、GdBaCu7−δ、SmBaCu7−δおよびNdBaCu7−δから選択される少なくとも1種と、YBaCu7−δと、から構成され、該酸化物超電導層の幅方向において、Yの含有量が0〜100mol%の範囲で異なる傾斜組成部分を含むこともできる。
本発明の酸化物超電導線材において、前記酸化物超電導層の幅方向の一端側がYBaCu7−δから構成され、該酸化物超電導層の幅方向の他端側がGdBaCu7−δ、SmBaCu7−δおよびNdBaCu7−δから選択される1種から構成され、該酸化物超電導層の幅方向の中央部が、幅方向の両端側のRE元素を両方含む複合酸化物より構成されることも好ましい。
この場合、低い温度領域(20K付近)での磁場中特性が良好であるYBaCu7−δと、高い温度領域(77K付近)での磁場中特性が良好であるGdBaCu7−δ、SmBaCu7−δ、NdBaCu7−δの少なくとも1種を含んだ酸化物超電導層を備える構成となるため、臨界温度以下の広い温度領域において磁場中で高い超電導特性を発現できる。
【0011】
本発明の酸化物超電導線材において、前記酸化物超電導層上に第2酸化物超電導層が積層され、前記第2酸化物超電導層の組成は、前記酸化物超電導層の幅方向中心に対して該酸化物超電導層の組成を反転させたものと略同一であることもできる。
この場合、上述の広い温度領域において磁場中で高い超電導特性を発現できる効果に加え、線材の幅方向における特性分布が少ない酸化物超電導線材を提供できる。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の酸化物超電導線材の製造方法は、REBaCu7−δ(式中、REは希土類元素のうちの1種又は2種以上を表す。)の組成式で表される酸化物超電導体の構成元素を含むターゲットを用い、テープ状の基材の表面と対向して、RE元素の種類が異なる2種以上のターゲットを該基材の幅方向に並べて配置し、これらのターゲットの表面にレーザビームを照射し、これらのターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させ、前記基材の表面上に前記2種以上のターゲットの構成粒子を堆積させて、前記基材上に前記酸化物超電導体のRE元素の種類がその幅方向で異なる酸化物超電導層を形成する工程を備えることを特徴とする。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法は、RE元素の種類が異なる2種以上のターゲットを基材の表面に対向して幅方向に並べて配置し、これらのターゲットにレーザビームを照射することにより、その幅方向におけるRE元素の含有量が異なる酸化物超電導層を一工程で簡便に成膜することができる。したがって、広い温度領域において磁場中で高い超電導特性を有する酸化物超電導層を少ない工程数で製造できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、広い温度領域において磁場中で高い超電導特性を有する酸化物超電導線材、および該酸化物超電導線材を少ない工程数で製造可能な酸化物超電導線材の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る酸化物超電導線材の第1実施形態を示す断面模式図である。
【図2】図1に示す酸化物超電導線材にさらに安定化層を積層した場合の概略斜視図である。
【図3】本発明に係る酸化物超電導線材の製造方法で使用される成膜装置の一例を示す模式図であり、図3(a)は成膜領域における基材の幅方向に沿う断面模式図であり、図3(b)は同成膜装置の模式図である。
【図4】本発明に係る酸化物超電導線材の第2実施形態を示す断面模式図である。
【図5】本発明に係る酸化物超電導線材の第3実施形態を示す断面模式図である。
【図6】本発明に係る酸化物超電導線材の第4実施形態を示す断面模式図である。
【図7】従来の酸化物超電導導体の一構造例を示す概略構成図である。
【図8】特許文献1に記載の超電導線材の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る酸化物超電導線材の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る酸化物超電導線材の第1実施形態の断面模式図であり、図2は図1に示す酸化物超電導線材にさらに安定化層を積層した場合の概略斜視図である。
図1に示す酸化物超電導線材10は、テープ状の基材11上に、中間層12を介して酸化物超電導層13が積層されて構成されている。
【0016】
基材11は、通常の超電導線材の基材として使用し得るものであれば良く、長尺のプレート状、シート状又はテープ状であることが好ましく、耐熱性の金属からなるものが好ましい。耐熱性の金属の中でも、合金が好ましく、ニッケル合金又は銅合金がより好ましい。中でも、市販品であればハステロイ(商品名、米国ヘインズ社製)が好適であり、モリブデン、クロム、鉄、コバルト等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等のいずれの種類も使用できる。また、基材11としてニッケル合金などに集合組織を導入した配向Ni−W基板のような配向金属基板を用いてもよい。
基材11の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmの範囲とすることができる。
【0017】
中間層12は、酸化物超電導層13の結晶配向性を制御し、基材11中の金属元素の酸化物超電導層13への拡散を防止するものである。さらに、基材11と酸化物超電導層13との物理的特性(熱膨張率や格子定数等)の差を緩和するバッファー層として機能し、その材質は、物理的特性が基材11と酸化物超電導層13との中間的な値を示す金属酸化物が好ましい。中間層12の好ましい材質として具体的には、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd、LaMnO等の金属酸化物が例示できる。
中間層12は、単層でも良いし、複数層でも良い。例えば、前記金属酸化物からなる層(金属酸化物層)は、結晶配向性を有していることが好ましく、複数層である場合には、最外層(最も酸化物超電導層13に近い層)が少なくとも結晶配向性を有していることが好ましい。
【0018】
中間層12は、基材11側にベッド層が介在された複数層構造でもよい。ベッド層は、耐熱性が高く、界面反応性を低減するためのものであり、その上に配される膜の配向性を得るために用いる。このようなベッド層は、必要に応じて配され、例えば、イットリア(Y)、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al、「アルミナ」とも呼ぶ)等から構成される。このベッド層は、例えばスパッタリング法等の成膜法により形成され、その厚さは例えば10〜200nmである。
【0019】
さらに、本発明において、中間層12は、基材11側に拡散防止層とベッド層が積層された複数層構造でもよい。この場合、基材11とベッド層との間に拡散防止層が介在された構造となる。拡散防止層は、基材11の構成元素拡散を防止する目的で形成されたもので、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al)、あるいは希土類金属酸化物等から構成され、その厚さは例えば10〜400nmである。なお、拡散防止層の結晶性は問われないので、通常のスパッタ法等の成膜法により形成すればよい。
このように基材11とベッド層との間に拡散防止層を介在させることにより、中間層12を構成する他の層や酸化物超電導層13等を形成する際に、必然的に加熱されたり、熱処理される結果として熱履歴を受ける場合に、基材11の構成元素の一部がベッド層を介して酸化物超電導層13側に拡散することを効果的に抑制することができる。基材11とベッド層との間に拡散防止層を介在させる場合の例としては、拡散防止層としてAl、ベッド層としてYを用いる組み合わせを例示することができる。
【0020】
また中間層12は、前記金属酸化物層の上に、さらにキャップ層が積層された複数層構造でも良い。キャップ層は、酸化物超電導層13の配向性を制御する機能を有するとともに、酸化物超電導層13を構成する元素の中間層12への拡散や、酸化物超電導層13積層時に使用するガスと中間層12との反応を抑制する機能等を有するものである。
【0021】
キャップ層は、前記金属酸化物層の表面に対してエピタキシャル成長し、その後、横方向(面方向)に粒成長(オーバーグロース)して、結晶粒が面内方向に選択成長するという過程を経て形成されたものが好ましい。このようなキャップ層は、前記金属酸化物層よりも高い面内配向度が得られる。
キャップ層の材質は、上記機能を発現し得るものであれば特に限定されないが、好ましいものとして具体的には、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd、HfO等が例示できる。キャップ層の材質がCeOである場合、キャップ層は、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。
キャップ層は、PLD法(パルスレーザ蒸着法)、スパッタリング法等で成膜することができるが、大きな成膜速度を得られる点でPLD法を用いることが好ましい。
【0022】
中間層12の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良いが、通常は、0.1〜5μmである。
中間層12が、前記金属酸化物層の上にキャップ層が積層された複数層構造である場合には、キャップ層の厚さは、通常は、0.1〜1.5μmである。
【0023】
中間層12は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法(以下、IBAD法と略記する)等の物理的蒸着法;化学気相成長法(CVD法);有機金属塗布熱分解法(MOD法);溶射等、酸化物薄膜を形成する公知の方法で積層できる。特に、IBAD法で形成された前記金属酸化物層は、結晶配向性が高く、酸化物超電導層13やキャップ層の結晶配向性を制御する効果が高い点で好ましい。IBAD法とは、蒸着時に、結晶の蒸着面に対して所定の角度でイオンビームを照射することにより、結晶軸を配向させる方法である。通常は、イオンビームとして、アルゴン(Ar)イオンビームを使用する。例えば、GdZr、MgO又はZrO−Y(YSZ)からなる中間層12は、IBAD法における配向度を表す指標であるΔΦ(FWHM:半値全幅)の値を小さくできるため、特に好適である。
【0024】
酸化物超電導層13は、REBaCu7−δ(式中、REはY、Gd、Sm、Nd、La、Er等の希土類元素のうちの1種又は2種以上を表し、6.5<7−δ<7.1を満たす。)の組成式で表される酸化物超電導体からなり、酸化物超電導層13を構成する酸化物超電導体のRE元素の種類が、酸化物超電導層13の幅方向で異なっている。
酸化物超電導層13の厚みは、0.5〜5μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
【0025】
本実施形態の酸化物超電導線材10の酸化物超電導層13は、その幅方向の一端部13AがRE(1)BaCu7−δからなり、幅方向の他端部13BがRE(2)BaCu7−δからなる。ここで、RE(1)およびRE(2)はY、Gd、Sm、Nd、La、Er等の希土類元素のうちの1種を表し、RE(2)はRE(1)とは異なる希土類元素である。また、幅方向の中央部13Cは両端部13A、13Bを構成する超電導体が混合された[RE(1)RE(2)1−a]BaCu7−δ(式中、0<a<1を満たす。)の組成を有し、一端部13Aに近い側ではRE(1)の含有量が多くなり、他端部13Bに近い側ではRE(1)の含有量が多くなる。
【0026】
酸化物超電導層13において、その幅方向の一端部13Aから他端部13Bに向かうにつれて、含まれるRE(1)元素の含有量が徐々に少なくなり、他端部13BではRE(1)元素がほぼ含有されていない状態となる。また、幅方向の他端部13Bから一端部13Cに向かうにつれて、含まれるRE(2)元素の含有量が徐々に少なくなり、一端部13AではRE(2)元素がほぼ含有されていない状態となる。すなわち、酸化物超電導層13の幅方向において、RE(1)元素の含有量が0〜100mol%の範囲で変化する傾斜組成部分と、RE(2)元素の含有量が0〜100mol%の範囲で変化する傾斜組成部分とが存在する。換言すると、この状態はRE(1)BaCu7−δとRE(2)BaCu7−δとの混合物より構成される酸化物超電導層13の組成が、その一端部13Aから他端部13Bに向かうにつれて、RE(1)BaCu7−δ:RE(2)BaCu7−δ(モル比)=1:0〜0:1まで徐々に変化していることを示す。
【0027】
本実施形態の酸化物超電導線材10において、RE(1)BaCu7−δとしては低い温度領域において磁場中で高特性を示す超電導体を選択し、RE(2)BaCu7−δとしては高い温度領域において磁場中で高特性を示す超電導体を選択して酸化物超電導層13を構成することが好ましい。このような構成の酸化物超電導層13は、広い温度範囲において磁場中で高い超電導特性を発現できる。
【0028】
本実施形態の酸化物超電導線材10において、RE(1)BaCu7−δとしては50K以下、特に20K付近での磁場中特性が良好であることから、YBaCu7−δが好ましい。また、RE(2)BaCu7−δとしては50K以上、特に77K付近での磁場中特性が良好であることから、GdBaCu7−δ、SmBaCu7−δまたはNdBaCu7−δが好ましい。
一端部13A側がYBaCu7−δより構成され、他端部13BがGdBaCu7−δ、SmBaCu7−δまたはNdBaCu7−δのいずれか1種から構成されていることにより、臨界温度以下の広い温度領域において磁場中で高い超電導特性を示す酸化物超電導線材10となる。
具体的には、YBaCu7−δとGdBaCu7−δ、YBaCu7−δとSmBaCu7−δ、YBaCu7−δとNdBaCu7−δより酸化物超電導層13が構成されることが好ましい。
【0029】
また、本実施形態の酸化物超電導線材10は、酸化物超電導層13の両端部13A、13Bを構成する超電導体の境界部分となる中央部13Cにおいて、超電導体の組成ずれによる積層欠陥やひずみが形成されやすく、この部分が量子化磁束の動きを抑制する磁束ピンニング点として機能する。本実施形態の酸化物超電導線材10は、この磁束ピン止め効果により、磁場中における臨界電流特性がより良好となる。
【0030】
酸化物超電導層13は、スパッタ法、真空蒸着法、レーザ蒸着法、電子ビーム蒸着法等の物理的蒸着法で積層でき、中でも、ターゲットから発生する蒸着粒子の噴流の拡がりを制御して、基材11上の所望の位置に蒸着粒子を堆積させて成膜できる点から、パルスレーザ蒸着法(PLD法)が好ましい。以下、本発明の酸化物超電導線材の製造方法の一実施形態として、PLD法により酸化物超電導層13を成膜する場合について説明する。
図3は、PLD法による酸化物超電導層13の成膜に使用されるレーザ蒸着装置の一例を示す図であり、図3(a)は成膜領域における基材11の幅方向に沿う断面模式図であり、図3(b)は同成膜装置の模式図である。なお、このレーザ蒸着装置で成膜する以前に拡散防止層や中間層12、キャップ層を先に説明した成膜法によりそれぞれ基材11上に形成しておき、その後、図3に示すレーザ蒸着装置により酸化物超電導層13を形成することができる。
【0031】
図3に示すレーザ蒸着装置は、真空ポンプなどの減圧装置に接続された減圧容器を備え、その内部に設置されたターゲット20A、20Bに減圧容器外部に設置されているレーザビームの照射装置からレーザビームB1、B2を照射できるように構成されている。また、減圧容器の内部に、供給リール21と巻取リール22とこれらの中間位置に板状の加熱装置23が設置され、供給リール21から加熱装置23を介してテープ状の基材11を巻取リール22側に移動することができ、この移動中に加熱装置23で目的の成膜温度に加熱した基材11に対しレーザビームB1、B2によりターゲット20A、20Bから発生させた粒子を堆積させて成膜できるように構成されている。
【0032】
ターゲット20A、20Bに照射するレーザビームB1、B2は、ターゲット20A、20Bから蒸着粒子を叩き出すことができるものであればよく、Ar−F(193nm)、Kr−F(248nm)などのエキシマレーザビーム、YAGレーザビーム、CO2レーザビームなどのいずれのものを用いても良い。
【0033】
ターゲット20Aは、酸化物超電導層13の一端部13Aの組成RE(1)BaCu7−δと同等または近似した組成、又は、成膜中に逃避しやすい成分を多く含有させた複合酸化物などの板材からなっている。
ターゲット20Bは、酸化物超電導層13の他端部13Bの組成RE(2)BaCu7−δと同等または近似した組成、又は、成膜中に逃避しやすい成分を多く含有させた複合酸化物などの板材からなっている。
【0034】
ターゲット20A、20Bは、成膜する基材11の表面(中間層12の表面)に斜めに対向して、基材11の幅方向に並んで配置されている。
ターゲット20Aは、基材11の表面に一端側から斜めに対向して配置され、ターゲット20A表面へのレーザビームB1の照射により、ターゲット20Aから叩き出され若しくは蒸発した蒸着粒子の噴流F1は、ターゲット20Aに対向する領域を通過中の基材11の表面(中間層12の表面)にその一端側から堆積する。同様に、ターゲット20Bは、基材11の表面に他端側から斜めに対向して配置され、ターゲット20B表面へのレーザビームB2の照射により、ターゲット20Bから叩き出され若しくは蒸発した蒸着粒子の噴流F2は、ターゲット20Bに対向する領域を通過中の基材11の表面(中間層12の表面)にその他端側から堆積する。
【0035】
ターゲット20A、20Bに、同時にそれぞれレーザビームB1、B2を照射することにより、ターゲット20A、20Bと対向する領域を通過中の基材11の表面(中間層12の表面)に、その一端側からはターゲット20Aからの噴流F1が堆積し、その他端側からはターゲット20Bからの噴流F2が堆積する。これにより、その幅方向の一端部13AがRE(1)BaCu7−δからなり、幅方向の他端部13BがRE(2)BaCu7−δからなり、幅方向の中央部13Cは両端部13A、13Bを構成する超電導体が混合された[RE(1)RE(2)1−a]BaCu7−δの組成を有する酸化物超電導層13を成膜することができる。
【0036】
図3に示す構成のレーザ蒸着装置は、基材11を例えば10〜500m/hの搬送速度で長手方向に搬送しつつ、基材11を酸化物超電導層13の成膜温度に好適な温度(例えば700〜900℃)に加熱しながら成膜する。また、必要に応じて減圧容器内に酸素ガスを導入して容器内を酸素雰囲気として成膜を行っても良い。
なお、ターゲットとして、ターゲット20A、20Bの間に、さらに[RE(1)RE(2)1−a]BaCu7−δの組成を有する複合酸化物のターゲットを配置し、このターゲットにもレーザビームを照射して、基材11の中央部に[RE(1)RE(2)1−a]BaCu7−δの組成を有する薄膜を形成して、酸化物超電導層13を形成してもよい。
【0037】
上述した本発明の酸化物超電導線材の製造方法は、RE元素の組成が異なる2種のターゲットを成膜領域に配置された基材11の表面(成膜面)に対向して幅方向に並べて配置し、これらのターゲットにレーザビームを照射することにより、その幅方向におけるRE元素の含有量が異なる酸化物超電導層13を一工程で簡便に成膜することができる。したがって、広範囲の外部磁場強度および広い温度領域において高い超電導特性を有する酸化物超電導層を少ない工程数で製造できる。
【0038】
図1に示す酸化物超電導線材10は、図2に示すように、酸化物超電導層13の上に安定化層14を積層させて使用される。
安定化層14は、酸化物超電導層13の一部領域が常電導状態に遷移しようとした場合に、電流のバイパス路として機能することで、酸化物超電導層13を安定化させて焼損に至らないようにする、主たる構成要素である。
安定化層14は、導電性が良好な金属からなるものが好ましく、具体的には、銀又は銀合金、銅などからなるものが例示できる。安定化層14は1層構造でも良いし、2層以上の積層構造であってもよい。
安定化層14は、公知の方法で積層できる。安定化層14が1層構造の場合は、銀層をメッキやスパッタ法で形成する方法が挙げられる。また、安定化層14が2層構造の場合は、銀層をメッキやスパッタ法で形成し、その上に銅テープなどを貼り合わせるなどの方法を採用できる。安定化層14の厚さは、3〜300μmの範囲とすることができる。
【0039】
上記第1実施形態の酸化物超電導線材10は、酸化物超電導層13の一端側にRE(1)元素が含有され、他端側にRE(2)元素が含有され、中央部側にRE(1)元素とRE(2)元素の両方を含む場合を例示したが本発明はこの例に限定されない。
例えば、図4に示す第2実施形態の酸化物超電導線材30のように、基材11上に中間層12を介して積層された酸化物超電導層33が、その一端部33aがRE(1)BaCu7−δからなり、中央部33bがRE(2)BaCu7−δからなり、他端部33cがRE(3)BaCu7−δからなる構成とすることもできる。ここで、RE(1)とRE(3)は同一でも異なっていてもよいが、RE(2)はRE(1)および/またはRE(3)とは異なっている。
RE(1)およびRE(3)としては低い温度領域において磁場中で高特性を示す超電導体を選択した場合は、RE(2)BaCu7−δとしては高い温度領域において磁場中で高特性を示す超電導体を選択して酸化物超電導層33を構成することが好ましい。また、RE(1)およびRE(3)としては高い温度領域において磁場中で高特性を示す超電導体を選択した場合は、RE(2)BaCu7−δとしては低い温度領域において磁場中で高特性を示す超電導体を選択して酸化物超電導層33を構成することが好ましい。このような構成の酸化物超電導層33は、広い温度範囲において磁場中で高い超電導特性を発現できる。
【0040】
RE(1)−RE(2)−RE(3)の組み合わせとしては、具体的には、Gd−Y−Gd、Y−Gd−Y、Sm−Y−Sm、Y−Sm−Y、Nd−Y−Nd、Y−Nd−Y、Gd−Y−Sm、Gd−Y−Nd、Nd−Y−Smが挙げられる。このような構成の酸化物超電導層33を備える酸化物超電導線材30は、臨界温度以下の広い温度領域において磁場中で高い超電導特性を発現できる。
【0041】
この例の酸化物超電導層33を形成するには、幅広の基材11を用い、図3に示す装置において、ターゲット20AとしてRE(1)BaCu7−δと同等または近似した組成のものを用い、ターゲット20BとしてRE(3)BaCu7−δと同等または近似した組成のものを用い、さらに、第3のターゲットとしてRE(2)BaCu7−δと同等または近似した組成のものを用い、この第3のターゲットをターゲット20A、20Bの間に配置する。そして、ターゲット20A、20BにレーザビームB1、B2を照射するのと同時に、第3のターゲットにもレーザビームを照射することにより、ターゲット20Aからの噴流F1を基材11の一端側から、ターゲット20Bからの噴流F2を基材11の他端側から、第3のターゲットからの噴流を基材11の中央部に堆積させることにより、図4に示す酸化物超電導層33を形成できる。
【0042】
なお、幅広の基材11を用いる場合は、酸化物超電導層33の一端側から他端側に向かって、RE(1)−RE(2)−RE(1)−RE(2)、RE(1)−RE(2)−RE(3)−RE(4)、RE(1)−RE(2)−RE(3)−RE(4)−RE(5)などのように、RE元素の異なる4つ以上の領域を備えて酸化物超電導層33が構成されていてもよい。その場合も、基材11の表面に対向配置する複数のターゲットを、形成しようとする酸化物超電導層33の組成に合わせて基材11の幅方向に並べて配置して、各ターゲットにレーザビームを照射してPLD法により成膜を行えばよい。
【0043】
また、上記第1および第2実施形態では、酸化物超電導層13、33が一層構造の場合を例示したが、本発明はこの例に限定されず、図5に示す第3実施形態の酸化物超電導線材40のように、二層以上の複数層構造の酸化物超電導層43であってもよい。この場合、酸化物超電導層13上に積層する第2の酸化物超電導層13Rの組成は、酸化物超電導層13の組成を基材11の幅方向中心軸Pに対して反転させた組成と略同一とすることが好ましい。即ち、第2の酸化物超電導層13Rの一端部13Rの組成は酸化物超電導層13の他端部13Bと同じ組成であり、第2の酸化物超電導層13Rの他端部13Rの組成は酸化物超電導層13の一端部13Aと同じ組成であることが好ましい。このような積層構造の酸化物超電導層43を備える構成とすることにより、上記第1および第2実施形態の酸化物超電導線材10、30の効果に加え、線材の幅方向における特性分布が少ない酸化物超電導線材40とすることができる。
図5に示す酸化物超電導線材40は、上記第1実施形態の酸化物超電導線材10と同様にして酸化物超電導層13を成膜した後に、ターゲット20A、20Bの位置を入れ替えて第2の酸化物超電導層13Rを成膜することにより作製できる。
【0044】
また、上記実施形態では、酸化物超電導層の幅方向でRE元素の含有量が徐々に変化する場合を例示したが、本発明の酸化物超電導線材はこの例に限定されない。例えば、図6に示す第4実施形態の酸化物超電導線材50のように、酸化物超電導層53の幅方向で隣接する一端部53aと中央部53bと他端部53cとで、それぞれ含まれるRE元素が異なっており、一端部53aと中央部53bとの境界部53P及び中央部53bと他端部53cとの境界部53Qを境に、その組成が一変していてもよい。
この例の酸化物超電導層53を形成するには、例えば、中央部53b及び他端部53cとなる部分の中間層12上にマスキングして表面が露出しない状態として、一端部53aのみを成膜した後、同様に、所望の所定位置のみを露出させた状態で中央部53b、他端部53cを順次成膜すればよい。
【0045】
さらに、上記第1実施形態の酸化物超電導線材10では、酸化物超電導層13の一端部13AがRE(1)BaCu7−δからなり、幅方向の他端部13BがRE(2)BaCu7−δからなり、中央部13Cが[RE(1)RE(2)1−a]BaCu7−δの組成を有する場合を例示したが、本発明はこの例に限定されない。図1に示す酸化物超電導層13の組成を幅方向中心で反転させた組成、即ち、一端部13Aおよび他端部13Bが[RE(1)RE(2)1−a]BaCu7−δ(式中、0<a<1を満たす。)の組成を有し、中央部13Cのうち一端部側の部分がRE(1)BaCu7−δからなり、中央部13Cのうち他端部側の部分がRE(2)BaCu7−δからなる場合も本発明の範囲内である。この例の酸化物超電導層の成膜は、形成しようとする酸化物超電導層の組成に合わせて、使用するターゲットの種類、および成膜時のターゲットの配置を変更し、且つ上記したマスキングなどの手法により中間層上の成膜面(露出面)を制御する方法を組み合わせて行えばよい。
【0046】
以上、本発明の酸化物超電導線材およびその製造方法について説明したが、上記実施形態において、酸化物超電導線材の各部、成膜装置を構成する各部は一例であって、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
幅10mm、厚さ0.1mmのハステロイC276(米国ヘインズ社製商品名)製のテープ状の基材上に、スパッタ法によりAl(拡散防止層;膜厚100nm)を成膜した上に、イオンビームスパッタ法によりY(ベッド層;膜厚30nm)を成膜した。次いで、このベッド層上に、イオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)によりMgO(中間層;膜厚10nm)を形成した上に、PLD法によりCeO(キャップ層;膜厚500nm)を成膜した。
【0049】
次に、CeO層上に図3に示すレーザ蒸着装置を用いて、PLD法により膜厚1.0μmの酸化物超電導層を成膜した。酸化物超電導層の成膜は、ターゲット20Aとして77K付近のような高温領域で磁場中特性が良好なGdBaCu7―δ(Gd123)を用い、ターゲット20Bとして20Kのような低温領域で磁場中特性が良好なYBaCu7−δ(Y123)を用い、図3に示すように基材表面にその幅方向両側から斜めに対向するように配置し、温度800℃、酸素分圧60Pa、各ターゲット−基材表面(成膜面)間距離80mm、レーザ出力200Wで行った。
【0050】
成膜した酸化物超電導層の組成分析を行ったところ、酸化物超電導層の一端部の組成はGdBaCu7−δ、中央部の組成は[Gd0.50.5]BaCu7−δ、他端部の組成はYBaCu7−δであり、線材幅方向において徐々に希土類元素がGdからYに変わっていくような組成の膜が得られた。
さらに、この酸化物超電導層上に厚さ10μmのAgの安定化層をスパッタ法により形成し、酸素アニールを500℃で行った。以上の工程により酸化物超電導線材を作製した。
【0051】
(比較例1)
ターゲットとしてGdBaCu7―δ(Gd123)を用い、膜厚1μmのGdBaCu7―δよりなる酸化物超電導層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして酸化物超電導線材を作製した。
(比較例2)
ターゲットとしてYBaCu7―δ(Y123)を用い、膜厚1μmのYBaCu7―δよりなる酸化物超電導層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして酸化物超電導線材を作製した。
【0052】
実施例1、比較例1および2の各酸化物超電導線材について、5Tの外部磁場下における、20K〜77Kまでの様々な温度における臨界電流密度(Jc)を測定した。なお、外部磁場は酸化物超電導層のc軸(基材平面に対して垂直方向)に対して水平な方向に印加した。その結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
表1の結果より、実施例1の酸化物超電導線材は、比較例1、2の酸化物超電導線材と比較して、20K〜77Kの広い温度領域において高い臨界電流特性を示していた。また、実施例1の酸化物超電導線材の30Kおよび50Kにおける臨界電流密度は、比較例1、2よりも高くなっていた。これは、実施例1の酸化物超電導層はGd123とY123との境界の部分で積層欠陥やひずみが形成されており、この部分が磁束ピンニング点として機能することにより臨界電流特性が向上したものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、例えば超電導モータ、限流器など、各種超電導機器に用いられる酸化物超電導線材に利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
10、30、40、50…酸化物超電導線材、11…基材、12…中間層、13、13R、33、43、53…酸化物超電導層、14…安定化層、20A、20B…ターゲット、21…供給リール、22…巻取リール、23…加熱装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状の基材と、該基材の上方に設けられた中間層と、該中間層の上方に設けられたREBaCu7−δ(式中、REは希土類元素のうちの1種又は2種以上を表す。)の組成式で表される酸化物超電導体からなる酸化物超電導層と、を備え、
前記酸化物超電導層を構成する酸化物超電導体のRE元素の種類が、該酸化物超電導層の幅方向で異なることを特徴とする酸化物超電導線材。
【請求項2】
前記酸化物超電導層において、幅方向の一端側と、幅方向の他端側又は中央部側とでRE元素の種類が異なっており、RE元素としてYを含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材。
【請求項3】
前記酸化物超電導層が、GdBaCu7−δ、SmBaCu7−δおよびNdBaCu7−δから選択される少なくとも1種と、YBaCu7−δと、から構成され、
該酸化物超電導層の幅方向において、Yの含有量が0〜100mol%の範囲で異なる傾斜組成部分を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物超電導線材。
【請求項4】
前記酸化物超電導層の幅方向の一端側がYBaCu7−δから構成され、該酸化物超電導層の幅方向の他端側がGdBaCu7−δ、SmBaCu7−δおよびNdBaCu7−δから選択される1種から構成され、
該酸化物超電導層の幅方向の中央部が、幅方向の両端側のRE元素を両方含む複合酸化物より構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材。
【請求項5】
前記酸化物超電導層上に第2酸化物超電導層が積層され、
前記第2酸化物超電導層の組成は、前記酸化物超電導層の幅方向中心に対して該酸化物超電導層の組成を反転させたものと略同一であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸化物超電導線材。
【請求項6】
REBaCu7−δ(式中、REは希土類元素のうちの1種又は2種以上を表す。)の組成式で表される酸化物超電導体の構成元素を含むターゲットを用い、
テープ状の基材の表面と対向して、RE元素の種類が異なる2種以上のターゲットを該基材の幅方向に並べて配置し、
これらのターゲットの表面にレーザビームを照射し、これらのターゲットの構成粒子を叩き出し若しくは蒸発させ、前記基材の表面上に前記2種以上のターゲットの構成粒子を堆積させて、前記基材上に前記酸化物超電導体のRE元素の種類がその幅方向で異なる酸化物超電導層を形成する工程を備えることを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−37838(P2013−37838A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171622(P2011−171622)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】