説明

酸化状態で高透過性を示す黒色の可溶性共役ポリマー

少なくとも可視領域の大部分に亘って光を吸収し、中性状態において肉眼で観察したときに実質的に黒色を示すが、電気化学的にドープされたときに高い透過性を示す、可溶性の供与体-受容体型エレクトロクロミックポリマー(DA-ECP)が調製される。該共役ポリマーは、複数の供与体単位の配列によって分離された受容体単位を有する。該配列は単分散性または多分散性である。該DA-ECPは、少なくとも1種の供与体−受容体型オリゴマー(DA−オリゴマー)であって、少なくとも1種の内部受容体繰返し単位と、該オリゴマーの全末端基上の少なくとも1種の供与体繰返し単位とを有する多量の該オリゴマーおよび所望による少なくとも1種の供与体モノマーおよび/または供与体オリゴマーを重縮合させることにより調製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年3月19日出願の米国特許仮出願第61/070,102号の利益を主張する。図面および表を含む該仮出願の全ての開示内容は、本願明細書の一部を成す。
【背景技術】
【0002】
共役ポリマー中に電子過剰領域と電子不足領域とを交互に配置することに基づく価電子帯と伝導帯の広域化の概念は、1993年にハビンガ等によって導入された。0.5eVのような狭い小さなエネルギーギャップの獲得能を用いることにより新たな次元がバンドギャップ工学の概念に追加され、その後、高分子レベルでの「供与体−受容体」理論が誕生した。電界効果トランジスタ、発光ダイオードおよび光起電力技術等のデバイス用途に対する、この発見による多大な影響にもかかわらず、供与体-受容体型の導電性ポリマーがエレクトロクロミックポリマー(ECP)に使用されるようになったのはごく最近である。
【0003】
ECPは、機械的柔軟性、高いコントラスト比、速い応答時間、および構造の制御による色調の微調整をもたらす固有電位を併有する。ポリマー型のエレクトロクロムは、反射型および吸収型/透過型のエレクトロクロミックデバイス(ECD)およびディスプレーに使用される金属酸化物(MO)に代わる最も魅力的な代替品である。
【0004】
近年における開発の焦点は、一般的には、窓、鏡およびディスプレーなどのデバイス内へ、急速で可逆的な色調変化性をもたらす物質としてECPを組込むことに向けられている。原色の加色スペースを完成させるために、多数の赤、青および緑(RGB)の候補となるものが報告されているが、可視スペクトル全体に亘って効果的に吸収する物質を設計することの複雑さに起因して、黒色の飽和ポリマーを製造する試みは成功していない。このような黒色の飽和ECPは、紫外−可視スペクトルの広帯域幅に亘って均一に吸光する物質を同定して調製するための研究が継続的に行われているポリマー基材の太陽電池(PSC)の製造に対して、非常に有用である。
【0005】
主に、可視領域に亘る全ての吸収バンドを同時にかつ効率的に漂白することが困難であるために、高い透過状態に切り替えることができる強吸収性ECPが依然として要求されている。一般的には、ECPsにおいて、化学的または電気化学的に酸化還元を制御することによって誘発されるドーピングレベルが、漸進的に増加するにつれて、対イオンで平衡化された帯電キャリアーが骨格に沿って発生し、これによって、ポリマー固有の光学遷移の変化がもたらされる。エネルギーギャップが充分に低いポリマーが、酸化的(p−型)ドーピングを受けると、近赤外領域での吸収を示すラジカルカチオン(ポーラロン)およびジカチオン(バイポーラロン)が形成され、これによって、可視領域における電気活性材料の基底状態の光学遷移が消失する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、受容体繰返し単位が複数の供与体繰返し単位間に分散する、供与体−受容体型共役ポリマー(DA-CP)を対象とし、該DA−CPは可溶性であって、可視光の高い吸収性を示すので、薄膜として肉眼で観察した場合に黒色を示す。一般的に、DA-CPは、供与体−受容体型エレクトロクロミックポリマー(DA-ECP)であり、該DA-CPは、実質的に黒色を示す1つの酸化還元状態において可視光の高い吸収性を示すことができ、別の酸化還元状態においては、着色するか、または全可視光に対して高い透過性を示すことができる。DA-CPは、少なくとも2つの供与体繰返し単位によって相互に分離された受容体繰返し単位を有する。あるいは、該DA-CPにおいては、少なくとも2つの供与体繰返し単位を含有する配列によって複数の受容体繰返し単位の配列が相互に分離される。供与体繰返し単位の配列は、受容体繰返し単位の間に偶数個の単分散型配列を有するか、あるいは受容体繰返し単位の間に多分散型配列を有することができる。しかしながら、供与体繰返し単位の最小配列は、少なくとも2種類の供与体繰返し単位を含有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
DA-CP中の受容体繰返し単位は、2,1,3-ベンゾチアジアゾール(BTD)単位、またはチアジアゾロキノキサリン、キノキサリン、チエノチアジアゾール、チエノピラジン、ピラジノキノキサリン、ベンゾビスチアジアゾールもしくはチアジアゾロチエノピラジンの任意の誘導体にすることができ、また、複数の異なる受容体単位を任意に組合せて使用することができる。これらの受容体単位と結合するのが供与体単位である。供与体単位は、チオフェンを含有する繰返し単位、例えば3,4-ビス(アルコキシ)チオフェンまたはビス-アルキルオキシ置換3,4-アルキレンジオキシチオフェンなどにすることができる。DA-CPは以下の供与体単位を有してもよい:少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アルキルオキシ置換チオフェン、少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アリールオキシ置換チオフェン、少なくとも1種のジ−またはポリ−アリールオキシアルコキシ置換チオフェン、少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アルコキシ置換3,4-アルキレンジオキシチオフェン、少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アリールオキシ置換3,4-アルキレンジオキシチオフェン、および少なくとも1種のジ−またはポリ−アリールオキシアルコキシ置換3,4-アルキレンジオキシチオフェンがそれぞれ独立して組込まれるか、あるいは任意に組合せて組込まれた供与体単位。
【0008】
また、本発明は、上述した可溶性のDA-CPの調製法にも関する。該調製法においては、少なくとも1種の内部の受容体繰返し単位と、DA-オリゴマーの両端に位置する少なくとも1種の供与体繰返し単位とを含有する少なくとも1種のDAオリゴマーを複数含有する重合混合物を供給し、次いで、該混合物を重合することにより、可視光の高い吸収性を示し、薄膜として肉眼で観察した場合に黒色を示すDA-CPが得られる。1つの実施態様において、DAーオリゴマーは、H-(D)-A-(D)m’-Hおよび/またはH-(DD')-A-(Dx'D'y')-Hで表される構造を有する少なくとも1種のオリゴマーを含有できる。式中、Aは受容体単位、DおよびD’は異なる供与体単位を示し、mおよびm’はそれぞれ独立して1〜5で表される単分散性または多分散性を示し、xは0〜mを示し、x’は0〜m’を示し、yはm−xを示し、y’はm’−x’を示し、DまたはD’は、Aまたは末端基に隣接できる。調製方法の別の実施態様において、DA−オリゴマーは、H-(D)-A-(D)m’-Hおよび/またはH-(DD')-A-(Dx'D'y')-Hであってもよく、また、H-(DD')-A'-(Dx'D'y')-H、H-(DD')-(A)n-(Dx'D'y')-H、H-(DD')-(A')n-(Dx'D'y')-H、H-(DD')-(AwA'z)-(Dx'D'y')-H、H-[(DD'y)-(A)]n-(Dx'D'y')-H、およびH-(DD')-A-(Dx'D'y')-A'-(Dx''D'y'')-Hで表される構造を有する少なくとも1種の別のオリゴマーを含有してもよい。これらの式中、AおよびA'は異なる受容体単位を示し、DおよびD’は異なる供与体単位を示し、m、m'、m''およびnはそれぞれ独立して1〜5で表される単分散性または多分散性を示し、xは0〜mを示し、x’は0〜m’を示し、x''は0〜m''を示し、yはm−xを示し、y’はm’−x’を示し、y''はm''−x''を示し、nは1〜5を示し、n'は1〜5を示し、wは0〜n'を示し、zはn'−wを示し、DまたはD’は、A、A’および末端基に隣接できる。DA−オリゴマーに加えて、該DA−オリゴマーの供与体単位と同一または異なる供与体単位を含有する少なくとも1種のモノマーを複数含む重合混合物から、DA-CPを調製することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は、本発明の実施態様による供与体−受容体型エレクトロクロミックポリマー(DA-ECP)並びに該ポリマーを得るために重合される供与体含有ポリマー、供与体-受容体型オリゴマー(DA−オリゴマー)および供与体モノマーの化学構造式を示す。図1(b)は、該ポリマーの吸収スペクトルを示す。1(c)は該ポリマー溶液のカラー写真を示す。
【図2】図2は、供与体モノマーと、DA−オリゴマーと、本発明の実施態様によるDA−オリゴマーのホモポリマーを調製する反応スキームを示す。
【図3】図3(a)は、本発明の実施態様による供与体−受容体型エレクトロクロミックポリマー(DA-ECP)並びに該ポリマーを得るために重合される供与体含有ポリマー、供与体・受容体型オリゴマー(DA−オリゴマー)および供与体モノマーの化学構造式を示す。図3(b)は、該ポリマーの吸収スペクトルを示す。3(c)は該ポリマー溶液のカラー写真を示す。
【図4】図4は、供与体モノマーと、DA−オリゴマーと、本発明の実施態様によるDA−オリゴマーのホモポリマーを調製する反応スキームを示す。
【図5】図5(a)は、DA-トリマーと供与体モノマーから調製される本発明の実施態様によるランダムコポリマーDA-ECPの化学構造式を示す。図5(b)は、様々な電気化学的ドーピング段階におけるDA-ECP薄膜の、可視領域および近赤外領域での吸収スペクトルを示す。図5(c)は、中性状態および完全な酸化状態におけるDA-ECPフィルムのカラー写真を示す。
【図6】図6は、図5で示したランダムコポリマーDA-ECPの3種類の膜厚における相対輝度を最大吸光度に関してプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
可視領域において吸収性を示す新規な高コントラスト性エレクトロクロミックポリマー(ECP)を得るために、供与体単位および受容体単位が使用される。この場合、供与体-受容体型ECP(DA-ECP)の繰返し単位および第1の黒色ポリマーエレクトロクロムに組み込まれている電子過剰領域と電子不足領域の相対的な寄与度を変化させることによって、多重なエネルギー遷移が制御される。本発明によるDAーECPは、末端の供与体単位と結合して重合性オリゴマー(DA−オリゴマー)を生成する内部の受容体単位を用いて構成される繰返し単位を有する。その後、該DA−オリゴマーを重合させてDA-ECPを生成させる。その結果、重複して種々の色相と彩度を示す中性状態の着色物質をもたらす短波長帯と長波長帯が得られる。この場合、充分な数の供与体単位を組み込むことによって、可視スペクトル全域に亘って吸収スペクトルを示すコポリマーが得られる。DA-ECPは、1Vよりも小さい電位窓で、不透明な中性状態から高い透過性を示す酸化状態への急速且つ可逆的な変化を示すことができるので、該DA-ECPは、低電圧デバイスの用途で有用となる。さらに、本発明によるDA-ECPは、簡便な沈着法、例えば、スピンコーティング、噴霧鋳造、および種々の印刷法(例えば、インクジェット印刷)を使用することによって、エレクトロクロミックデバイスへ容易に加工できる。中性のポリマーの、全可視領域に亘る吸収特性は、電荷輸送特性と相俟って、黒色の太陽電池に使用できる新規な供与体-受容体型共役ポリマー(DA-CP)の提供を可能にする。
【0011】
本発明による中性状態で黒色を示すDA-CPは、分離された内部の受容体単位、または、2つ以上の供与体単位の配列によって他の受容体単位から分離された受容体単位配列を含有する構造を有する。DA-CPの吸収スペクトルは、供与体単位と受容体単位の比率によって左右される。一般に、DA-CPにおける低エネルギー側の最大吸収と高エネルギー側の最大吸収の波長差は比較的小さくなる。その一方で、最大波長の差が減少するにつれて、吸収ピーク幅は維持されるか増加して、ピークの域がより大きくなる。例えば、中心の受容体単位が単一の2,1,3-ベンゾチアジアゾール(BTD)単位であり、供与体単位が3,4-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)チオフェン(DOT-(OEtHx))単位である本発明における1つの実施態様において、DA-ECP中の各BTD単位間に存在するDOT-(OEtHx)の特定の数が、それぞれP1、P2およびP3として図1aに表されるように、2単位から4単位、5単位および6単位と増加するにつれて、図1bに示されるように、最大吸収の差が247nmから181nm〜150nmへと減少する。BTD単位を分離する6個のDOT-(OEtHx)単位(すなわち、P3)の場合、ピークの重複は、ほぼ均一な吸収が観察されるのに充分であり、また、625〜700nmおよび450〜550nmで極僅かな光の透過が生じるので、P3に関する別の黒色DA-ECPに対して暗褐色の色相がもたらされる。多くの用途において使用される該DA−CPは、肉眼で観察した場合において、効果的に黒色の外観を示すことができる。何故ならば、全ての可視スペクトルを完全にまたは均一に吸収できないが、ディスプレー内の他の色相に対するコントラストが充分に高いからである。別の用途において、DA-CPは、可視スペクトル全域に亘り全てのスペクトルを高く吸収するような組成物であってもよい。
【0012】
図2は、図1aのDA−オリゴマーに関する合成法を示す(図1のM1、M2およびM3は、図2においてそれぞれ6a、6bおよび6cに対応する)。図2において表されるように、モノスタンニル化3,4-ジアルコキシチオフェン(例えば4)の対を、受容体単位の前駆体(例えば5a)と共役させることができる。図2で表されるようなエーテルを調製するための適当な反応および条件は、当業者に既知である。
【0013】
図2において示されるような本発明による実施態様において、スティル反応を使用して、有機スズ化合物4をジブロモ化した受容体単位の前駆体5aと共役させることができる。臭素の代わりに、別のハロゲン、例えば塩素、ヨウ素またはフッ素を、受容体含有種のために使用することができる。受容体単位の前駆体は、対称的にハロゲン化することができるが、必ずしもこのようにする必要はない。ハロゲンは、例えば5aで表されるような受容体含有種の等価な部位に配置させることができる。スティル反応過程は当業者において既知であり、例えば、パラジウム(0)触媒または図2に示されるようなパラジウム(II)触媒を使用して、該反応を行なうことができる。図2の6a等の可溶性のDA−オリゴマーは、例えばカラムクロマトグラフィーを含む種々の方法によって分離できる。DA−オリゴマーは、図2の化合物5bへの臭素化のようにしてハロゲン化した後、モノスタンニル化3,4-ジアルコキシチオフェン(例えば図2の4)の別の対と共役させることによって、2つの供与体繰返し単位が受容体繰返し単位の両端に結合したDA−オリゴマー(例えば図2の6b)を調製することができる。該DAオリゴマーは、例えば、図2において示される5cを経由して6cを形成するようにして、別の供与体繰返し単位を含ませることができる。図2は、単一の供与体繰返し単位を有するDA−オリゴマーの形成を示すが、逐次的なスティル反応において異なる有機スズ化合物を使用することにより、供与体単位を異なるようにすることができる。ここでは、スティル反応について説明したが、当業者において既知である別のカップリング反応、例えば熊田カップリング反応、檜山カップリング反応、根岸カップリング反応、鈴木カップリング反応などを使用することができる。当業者が設計できる別のカップリング反応を行うために、有機スズ化合物の有機スズ置換基を、任意の適当な置換基、例えば有機ホウ素置換基、有機マグネシウム置換基、有機亜鉛置換基または有機シラン置換基などに置き換えることができる。
【0014】
DA−オリゴマーは、単一のDA−オリゴマーを使用するかまたは異なるDAオリゴマーを併用する逐次重合法によって重合することができる。図2は、塩化第二鉄を使用して、6a、6bおよび6cの各DA−オリゴマーを縮合させることによって、DA-CP7a、7bおよび7cを生成させることを説明する。当業者は、DA−オリゴマーを重縮合するための別の反応系を容易に採用できる。
【0015】
図2に示されるように、DA−オリゴマーの例示的な逐次縮合および臭素化においては、DA−三量体(M1)からDA−七量体(M3)に反応が進行するにつれて、反応収率
は漸進的に減少する。図2に示されるように、この収率の規則的な減少は、DA−オリゴマーの重合を示すものではない。この場合、DA−オリゴマーの大きさに応じて単離収率が規則的な変化を示すことなく、P1、P2およびP3(図2の7a、7bおよび7c)は同じ転化率で生成される。
【0016】
図1bにおいて示されるように、DOT-(OEtHx)のホモポリマー(P4)は、475nmで最大吸収を示す。従って、DA−オリゴマーまたはDA−オリゴマーの混合物の共重合は、可視スペクトルの所望の波長における、相対吸収度を増加させるために行うことができる。例えば、DA−トリマー(図1aのM1)とDOT-(OEtHx)との共重合は、P1の場合のように、625〜700nmでの吸収を保持でき、450〜550nmでの吸収を強めることによって、茶色を呈さない黒色のDA-CPをもたらす。また、このようなランダム共重合能によって、黒色のDA-CPを得るために必要となる合成の工程数を減少させることができ、例えば、M1からM3へ変換させるために必要とされる4段階の合成変換工程は、出発原料から黒色のDA-CPを得る反応工程から省略できる。
【0017】
本発明による別の実施態様において、受容体としての内部のBTDと、供与体としてのビス-2−エチルヘキシルオキシ置換3,4-プロピレンジオキシチオフェンとを含有するDA−オリゴマー(図3のM5、M6,およびM7)から、図3で示されるようにして、コポリマーを調製することができる。3,4-ビス(アルコキシ)チオフェンとは対照的に、3,4-アルキレンジオキシチオフェンは、該3,4-ビス(アルコキシ)チオフェンよりも高い最高被占分子軌道(HOMO)を有するより強い供与体である。従って、該供与体は、受容体単位の変化を生じることなく、その後得られるポリマーのバンドギャップを狭くする。図3bから理解されるように、P5からP7へ変化するにつれて、低エネルギー側にある吸収極大の青色シフトは極めて小さく、また、図1のP3とは異なり、P7は赤色光を効果的に吸収する。しかしながら、P5からP7へ変化するにつれて、高エネルギー側にある吸収極大の赤色シフトは、P1からP3への変化の場合と比べより顕著であり、これによって400〜500nmの領域において青色の透過がもたらされる。図4は、3,4-アルキレンジオキシチオフェンからDA−オリゴマーM5、M6およびM7(それぞれ、図4において12a、12bおよび12cで示される)と、これらのDA-CPである、P5、P6およびP7(それぞれ、図4において13a、13bおよび13cで示される)を合成する方法を示す。この反応において、DA−オリゴマーの収率はほとんど変わらないが、DA−7量体を多段階合成することによって、ほぼ黒色のDA-CPを調製するための費用効率が説明されている。さらに、3,4-ビス(アルコキシ)チオフェンを基剤とするDA-CPに関する図2の場合のように、この重合反応も単離収率において不規則な違いを示す。
【0018】
DA-オリゴマー(M5)とビス-2-エチルヘキシルオキシ置換3,4-プロピレンジオキシチオフェン(図3aのM8)とを共重合させ、コポリマー(図5aのP9)を得た。M5に対するM8のコモノマー比が4であった場合、規則性コポリマーP7と同数の供与体繰返し単位と受容体繰返し単位を有する、ほぼランダムなコポリマー(P9)が生成される。しかしながら、図5bに示されるような、M5に対するM8の割合が1:4であるコポリマーの吸収スペクトルは、図3bのP7における吸収スペクトルと比べて大きく異なる。この場合、著しく大きな吸収が400〜450nmの青色領域において生じる。また、該吸収は、コモノマー比が1:4のランダムコポリマーの吸収と一致する。該ランダムコポリマーにおいては、受容体単位の間に2つの供与体単位を有する配列は全供与体配列の約20%であり、3つの供与体単位を有する配列は全供与体配列の16%であり、4つの供与体単位を有する配列は全供与体配列の13%であり、5つ以上の供与体単位を含有する配列は全供与体配列の40%を越える。重合は、2未満の分散度を示す約14kDaのポリマーが生成するまで進行した。この分子量は約30の重合度に対応する。中性のDA-CP(P9)は、薄膜状固体状態では黒色であり、肉眼で認識できる他の色彩を示さない。該DA-CPは、室温から100℃までの温度範囲においては、著しい光学変化を示さず、このことは、この温度範囲においては著しいポリマーの凝集または温度による有効共役長の変化が発生しないことを示す。
【0019】
薄膜は、ITOで被覆したガラス上にP9のトルエン溶液(4mg/mL)を噴霧鋳造することによって調製した。その後、該薄膜は、安定で再現性のある切替え特性が得られるまで酸化還元サイクルに付した。Fc/Fcに対して較正した銀線の準参照電極と白金線の対電極と、0.1M濃度の、LiBF/プロピレンカーボネートの支持電解質を使用することによって、該薄膜を電気化学的酸化処理に付した。図5bは、薄膜に-0.1Vの電位を加えると、このDA-ECPの全吸収帯が同時に漂白されることを示す。該漂白が発生すると、着色した透過性フィルムの場合のように、近赤外領域においてポーラロン遷移とバイポーラロン遷移が生じる。592nmで1.13(任意単位)の極大吸収を基準として使用する場合、電解酸化に基づく透過率変化は約51.5%であり、この値は高いエレクトロクロミックコントラストに対応するとみなされる。上述のように、フィルムは黒色(中性状態)から透明(ドープした状態)へ変化する。
【0020】
人間の目の感度に合わせて調整した可視光に対する物質の透過率として定義される相対輝度を、フィルムの極大吸収が1.04、1.14および2.58(任意単位)を示す種々の膜厚のDA-ECP(P9)に関して測定した(L値は19、37および45であった。なお、Lは、値0が黒色を意味し、値100が白色を意味する、色の明度を表すCIELAB色定義である)。図6に示すような電気化学的酸化において、中性状態から完全に酸化した透過状態へとドーピングが進行する場合、L値は、72,81および85に増加し、また、相対発光の変化量は、1.04(任意単位)の最も薄いフィルムにおける52%から、2.58(任意単位)の最も厚いフィルムにおける40%まで変化する。該フィルムは、0.8V未満の電圧を切替えるという条件を満たしており、また、これらのL値は、ポリマーが色空間の「白色点(W)」にほぼ到達できることを示す。
【0021】
本発明による別の実施態様において、受容体単位であるBTDおよび供与体単位である3,4-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)チオフェン若しくはビス-2-エチルヘキシルオキシ置換3,4-プロピレンジオキシチオフェンは、別の受容体単位および種々の受容体単位の混合単位によって置換することができる。例えば、別の受容体単位は、チアジアゾロキノキサリン、キノキサリン、チエノチアジアゾール、チエノピラジン、ピラジノキノキサリン、ベンゾビスチアジアゾールおよび/またはチアジアゾロチエノピラジンの誘導体にすることができる。供与体置換基としては、任意の可溶性側鎖を含有する電子過剰な複素環を単独で使用するかまたは併用することができ、この種の複素環には、例えばシクロペンタジチオフェン、チエノチオフェンおよびフルオレン誘導体などの縮合系等が含まれる。
【0022】
本発明の目的において、可溶性側鎖は、例えば1-24個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル鎖、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシルまたはドデカニルなどであってもよい。また、例えば2-5個の炭素原子を含有するアルキレン鎖、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタレンなどであってもよい。アルキル鎖またはアルキレン鎖は、1箇所または複数箇所において、1個または複数個の酸素原子、硫黄原子、-SO-、SO-、カルボニル、-COO-、CONH-、-NH、-CON(C1-8アルキル)-、または-N(C1-8アルキル)-などを含有してもよい。
【0023】
例えば、アルキル基は、1箇所または複数箇所において、1個または複数個の酸素原子、硫黄原子、カルボニル、-COO-、-NH-または-N(C1-8アルキル)-を含有してもよい。これらの介在基を含有しないまたは含有するアルキルまたはアルキレンは、1箇所または複数箇所において、1個または複数個の以下に例示する基によって置換することができる:C3-6のシクロアルキル基、ハロゲン、-OR、-COOR、-COOM、-SOM、-SOH、ホスホン酸、ハロゲン、-CONR'R-、-NR'R、ホスホン酸塩、アンモニウム塩または、-L-Arまたは-C(O)-L-Arで表される基。(式中、Mは窒素カチオンまたは金属カチオンを示す:RおよびR'はそれぞれ独立して、水素原子;-L-Ar、-C(O)-L-Arまたは-C(O)-O-L-Ar基;1箇所または複数箇所において、1個または複数個の酸素原子、硫黄原子、カルボニル、-COO-、-CONH-、-NH-、-CON(C1-8アルキル)-、または-N(C1-8アルキル)-を含有しないまたは含有するC1-24アルキル、C3-24アルケニル、C3-6シクロアルキルまたはC1-24アルキルカルボニルを示す。なお、これらの介在基を含有しないまたは含有するアルキル、アルケニル、シクロアルキルまたはアルキルカルボニルは、1箇所または複数箇所において、1個または複数個のハロゲン、-OH、C7-12アラルキル、C2-12アルキルカルボニル、C1-24アルコキシ、C2-24アルキルカルボキシ、-COOM、-CONH-、CON(H)(C1-8アルキル)、CON(C1-8アルキル)、-NH、-N(H)(C1-8アルキル)、-N(C1-8アルキル)、-SOM、フェニル、1箇所または複数箇所において1個または複数個のC1-8アルキルで置換されたフェニル、ナフチル、1箇所または複数箇所において1個または複数個のC1-8アルキルアンモニウム塩で置換されたナフチル、ホスホン酸またはホスホン酸塩で未置換または置換されてもよい。または、窒素原子を含有する場合、RおよびR'は窒素原子共に、-O-、-NH-、または-N(C1-8アルキル)-を含有しないまたは含有する5員環、6員環または7員環を形成してもよい:Lは直接結合であるか、1個または複数個の酸素原子を含有しないまたは含有するC1-12アルキレンであって、および1箇所または複数箇所において、1個または複数個の-OH、ハロゲン、C1-8アルキル、C1-24アルコキシ、C2-24アルキルカルボキシ、-NH、-N(H)(C1-8アルキル)、-N(C1-8アルキル)、またはアンモニウム塩によって置換されることもある該C1-12アルキレンを示す)。
【0024】
本発明の目的において、アリールは、1箇所または複数箇所において1個または複数個のハロゲン、-OH、C1-24アルコキシ、C2-24アルキルカルボキシ、COOQ''、-CONH-、CON(H)(C1-8アルキル)、-CON(C1-8アルキル)、-NH、-N(H)(C1-8アルキル)、-N(C1-8アルキル)、-SOM、SOH、アンモニウム塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、1箇所または複数箇所において1個または複数個のハロゲンにより未置換または置換されたC1-24アルキル、によって未置換または置換されたC6-10の芳香族またはC1-9の飽和若しくは不飽和の複素環である。式中、Q''は、水素、金属基、グリコールエーテル、フェニルまたはベンジル、あるいは1箇所または複数箇所において1個または複数個のハロゲン、ヒドロキシ、C1-24アルコキシまたはC1-12アルキルで置換されたフェニルまたはベンジルを示す。
【0025】
供与体繰返し単位の側鎖基(pendent group)は、可溶性単位から不溶性単位に変換できるような側鎖基であってもよく、これらは、「重合性のアルキレンジオキシ複素環の化学的脱官能化」レイノルズ他著、国際特許出願第PCT/US2007/061016号明細書(2007年1月25日出願)および国際特許出願公開第2007/087587号A2明細書(2007年8月2日出願)に記載されており、これらの文献の記載内容も本明細書の一部を成す。DA-CPを使用する装置が可溶性のDA-CPを使用することにより導電性を示さなくなるような用途に関して、供与体繰返し単位にこのような側鎖基を使用することで、可溶性のDA-CPを不溶性のDA-CPに変換できる。さらに、デバイスを、化学的な脱官能化を行う前に溶液から製造できるので、本発明による加工可能な特徴を具備する所望の溶液が得られる。
【0026】
DA-ECP中の受容体単位に対する供与体の割合は、例えば、M1またはM5に類似するH-D-A-D-Hなどのような単独重合したDA-トリマーにおける割合(この場合、ポリマー中の各受容体単位の間に2個の供与体単位が存在する)から、例えば、供与体モノマーをDA-トリマーまたは他のDA-オリゴマーと共重合させた場合などのように、受容体単位に対する供与体単位の割合を大きくできる場合の割合まで変化させることができ、事実上、D/A比は特に制限されないが、多くの共重合体の場合、D/A比は約10未満である。
【0027】
種々のDA-CPを得るために、本発明による実施態様において、H-(D)m-A-(D)m’-H(式中、mおよびm’はそれぞれ独立して1〜5で表され、単分散性または多分散性を示してもよい)で表される種々のDA−オリゴマーを組合せて使用できる。種々の供与体単位を含有するDA−オリゴマー、例えば、H-(DxD'y)-A-(Dx'D'y')-Hで表されるオリゴマーを使用してもよい(式中、供与体配列のDまたはD’のいずれかが受容体単位Aおよび/または末端基に隣接し、不規則にまたは規則的に配置されるD単位およびD’単位を含有し、単分散性または多分散性を示すことができ、xは0〜mを示し、x’は0〜m’または0若しくはm’を示し、yはm−xを示し、y’はm’−x’を示し、mおよびm’はそれぞれ独立して1〜5を示す)。種々のDA−オリゴマーの混合物を、付加的な供与体モノマーの存在下または不存在下において共重合させることができる。該付加的な供与体モノマーは、DA−オリゴマーによって得られる供与体単位とは異なる供与体単位をDA-CPに付与することができる。可視スペクトルの種々の波長で吸収をもたらすように選択された配列を有するDA-CPを共重合するために、必要に応じて種々のモノマーを含有する種々のDA−オリゴマーを選択することができる。例えば、M2とM7は、付加的な供与体モノマーの存在下、または不存在下において共重合させることができる。この場合、生成するコポリマー中の、共役M2DA−5量体由来の配列は、約410nmで最大吸収をもたらし、一方で、共役M7DA−7量体由来の配列は、約607nm最大吸収をもたらすので、赤、青、および可視領域全域での良好な吸収が可能となる。
【0028】
上述のH-(D)m-A-(D)m'-HおよびH-(DD')-A-(Dx'D'y')-H型のDA−オリゴマーに加えて、別の受容体を含有するDA−オリゴマー、例えば、H-(DD')-(A)n-(Dx'D'y')-H、H-(DD')-(AwA'z)-(Dx'D'y')-H、H-[(DD')-(A)]n-(Dx'D'y')-H、H-(DD')-A-(Dx'D'y')-A'-(Dx''D'y'')-Hおよび/またはこれらの任意の混合物若しくは誘導体を本発明における実施態様において使用できる(式中、D、D'、x、y、x'、y'、mおよびm'は上記定義のとおりであり、nは1〜5を示し、n'は1〜5を示し、wは0〜n'を示し、zはn'-wを示し、また、A'は第二の受容体単位であり、nは単分散性または多分散性を示す)。さらに、DA−オリゴマーと単量体の供与体との共重合によって供与体単位を組み込むことができ、および/または任意の供与体モノマーに加えて若しくはその代わりに、オリゴマーの供与体(D-オリゴマー)を共重合に使用することができる。例えば、D−オリゴマーは、H-(D)-H、H-(D)(D')y-H、H-(D)(D')y(D)-H、またはH-(DD')-Hで表される構造を有することができる(これらの式中、xおよびyは単分散性または多分散性を示す)。あるいはDオリゴマーは、2種以上の供与体単位の規則的または不規則な任意の組合せを有してもよい。D−オリゴマーおよびモノマーの混合物を、共重合混合物中に含有させることができる。当業者に理解できるように、上述のものに加えて、DA−オリゴマー、D−オリゴマーおよびモノマーの組成における別の変形態様も、本発明によるDA-ECPを調整するために使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によるDA-ECPは、多種多様なエレクトロクロミック装置、例えば、エレクトロクロミック製の窓、ミラー、表示装置およびエレクトロクロミックペーパなどに有用である。さらに、高分子太陽電池用途、光起電力装置、帯電防止導体、透明導体、電界効果トランジスタ、スーパーキャパシタ、バッテリーおよびその他の電子部品におけるDA−CPとして該ポリマーを使用できる。
【0030】
本発明において言及するか、または引用した全ての特許、公開特許、仮出願、および刊行物の全ての図および表を含む全記載内容は、本明細書による明確な教示内容と整合する範囲内で、本明細書の一部を成す。
【0031】
本明細書に開示される実施例および実施態様は本発明を例示的に説明するために記載されたものであり、これらの記載内容に基づく種々の修正または変更は当業者によって想起される事項であって、これらの事項も本発明の技術的な思想と範囲に包含されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の供与体繰返し単位の間に分散する受容体繰返し単位を含有する供与体−受容体型共役ポリマー(DA-CP)であって、薄膜状態において、第1酸化還元状態で可視光の高い吸収性を示し、肉眼で観察したときに黒色を示す該DA-CP。
【請求項2】
可溶性のポリマーを含有する請求項1に記載のDA-CP。
【請求項3】
供与体-受容体型エレクトロクロミックポリマー(DA-ECP)を含有し、第1酸化還元状態において可視光の高い吸収性を示すと共に、第2酸化還元状態において可視光の高い透過性を示す請求項1に記載のDA-CP。
【請求項4】
供与体-受容体型エレクトロクロミックポリマー(DA-ECP)を含有し、第1酸化還元状態において可視光の高い吸収性を示すと共に、第2酸化還元状態において着色する請求項1に記載のDA-CP。
【請求項5】
受容体繰返し単位が、複数の供与体繰返し単位によって相互に分離される請求項1に記載のDA-CP。
【請求項6】
受容体繰返し単位が、複数の供与体繰返し単位によって相互に分離される受容体繰返し単位の配列を含有する請求項1に記載のDA-CP。
【請求項7】
供与体繰返し単位が、受容体繰返し単位間の偶数個の単分散配列中に存在する請求項1に記載のDA-CP。
【請求項8】
受容体繰返し単位間にある多分散型配列中に供与体繰返し単位が存在し、最小の該配列が少なくとも2個の供与体繰返し単位を有する請求項1に記載のDA-CP。
【請求項9】
受容体繰返し単位が2,1,3-ベンゾチアジアゾール(BTD)単位を含有する請求項1に記載のDA-CP。
【請求項10】
受容体繰返し単位が、チアジアゾロキノキサリン、キノキサリン、チエノチアジアゾール、チエノピラジン、ピラジノキノキサリン、ベンゾビスチアジアゾール、チアジアゾロチエノピラジンまたはこれらの任意の混合物の少なくとも1種の誘導体を含有する請求項1に記載のDA-CP。
【請求項11】
複数の供与体繰返し単位が、少なくとも1種のチオフェン含有繰返し単位を含有する請求項1に記載のDA-CP。
【請求項12】
複数の供与体繰返し単位が、少なくとも1種の3,4-ビス(アルコキシ)チオフェン、少なくとも1種のビス-アルキルオキシ置換3,4-アルキレンジオキシチオフェンまたはこれらの任意の混合物を含有する請求項1に記載のDA-CP。
【請求項13】
複数の供与体繰返し単位が、少なくとも1種の縮合チオフェン置換基を含有する請求項1に記載のDA-CP。
【請求項14】
複数の供与体繰返し単位が、少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アルキルオキシ置換チオフェン;少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アリールオキシ置換チオフェン;少なくとも1種のジ−またはポリ−アリールオキシアルコキシ置換チオフェン;
少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アルコキシ置換3,4-アルキレンジオキシチオフェン;少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アリールオキシ置換3,4-アルキレンジオキシチオフェン;少なくとも1種のジ−またはポリ−アリールオキシアルコキシ置換3,4-アルキレンジオキシチオフェン;またはこれらの任意の混合物を含有する請求項1に記載のDA-CP。
【請求項15】
以下の工程を含む、可溶性の供与体−受容体含有共役ポリマー(DA-CP)の調製方法であって、該DA-CPが、薄膜形態で可視光の高い吸収性を示し、肉眼で観察したときに黒色を示す該方法:
(i)少なくとも1種の内部受容体繰返し単位と複数の供与体繰返し単位とを含有する少なくとも1種のDAオリゴマーであって、該DAオリゴマーの各末端に少なくとも1種の供与体繰返し単位が存在する該オリゴマーを多量に含有する重合混合物を調製し、次いで、
(ii)該重合混合物を化学的に重合させる。
【請求項16】
DAオリゴマー中の複数の受容体繰返し単位が、複数の供与体繰返し単位を含有する配列によって相互に分離される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
配列が偶数個であり単分散型である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
配列が多分散型であり、該配列の各々が複数の供与体繰返し単位を含有する請求項16に記載の方法。
【請求項19】
受容体繰返し単位が2,1,3-ベンゾチアジアゾール(BTD)単位を含有する請求項15に記載の方法。
【請求項20】
受容体繰返し単位が、チアジアゾロキノキサリン、キノキサリン、チエノチアジアゾール、チエノピラジン、ピラジノキノキサリン、ベンゾビスチアジアゾール、チアジアゾロチエノピラジンの少なくとも1種の誘導体、またはこれらの任意の混合物を含有する請求項15に記載の方法。
【請求項21】
複数の供与体繰返し単位が、少なくとも1種の3,4-ビス(アルコキシ)チオフェン、少なくとも1種のビス-アルキルオキシ置換3,4−アルキレンジオキシチオフェンまたはこれらの任意の混合物を含有する請求項15に記載の方法。
【請求項22】
複数の供与体繰返し単位が、以下の成分を含有する請求項15に記載の方法:少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アルキルオキシ置換チオフェン;少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アリールオキシ置換チオフェン;少なくとも1種のジ−またはポリ−アリールオキシアルコキシ置換チオフェン;少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アルコキシ置換3,4-アルキレンジオキシチオフェン;少なくとも1種のモノ−、ジ−またはポリ−アリールオキシ置換3,4-アルキレンジオキシチオフェン;少なくとも1種のジ−またはポリ−アリールオキシアルコキシ置換3,4-アルキレンジオキシチオフェン;またはこれらの任意の混合物。
【請求項23】
DA−オリゴマーが、H-(D)-A-(D)m’-Hおよび/またはH-(DD')-A-(Dx'D'y')m’-H(式中、Aは受容体単位を示し、DおよびD’は異なる供与体単位を示し、mおよびm’はそれぞれ独立して1〜5を示して、単分散性または多分散性を示し、xは0〜mを示し、x’は0〜m’を示し、yはm−xを示し、y’はm’−x’を示し、DまたはD’はAまたは末端基に隣接する)で表される構造を有する少なくとも1種のオリゴマーを含有する請求項15に記載の方法。
【請求項24】
DA−オリゴマーが、H-(DD')-A'-(Dx'D'y')-H、H-(DD')-(A)n-(Dx'D'y')-H、H-(DD')-(A')n-(Dx'D'y')-H、H-(DD')-(AwA'z)-(Dx'D'y')-H、H-[(DD')-(A)]n-(Dx'D'y')-H、およびH-(DD')-A-(Dx'D'y')-A'-(Dx''D'y'')-H(これらの式中、AおよびA'は異なる受容体単位を示し、DおよびD’は異なる供与体単位を示し、xは0〜mを示し、x’は0〜m’を示し、yはm−xを示し、y’はm’−x’を示し、wは0〜n'を示し、zはn'−wを示し、m、m'、m''、nおよびn'はそれぞれ独立して1〜5を示して、単分散性または多分散性を示し、DまたはD’は、A、A’および末端基に隣接する)で表される構造を有する少なくとも1種の別のオリゴマーを含有する請求項24に記載の方法。
【請求項25】
DA−オリゴマーの供与体単位と同一または異なる供与体単位を含有する少なくとも1種のモノマーを重合混合物へ添加する工程を更に含む請求項15に記載の方法。
【請求項26】
DA−オリゴマーまたはモノマーの供与体単位と同一または異なる供与体単位を含有する少なくとも1種のDオリゴマーを重合混合物へ添加する工程を更に含む請求項15に記載の方法。
【請求項27】
DA−オリゴマー中の供与体単位と同一または異なる供与体単位を含有する少なくとも1種のDオリゴマーを重合混合物へ添加する工程を更に含む請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−515534(P2011−515534A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500761(P2011−500761)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/081606
【国際公開番号】WO2009/117025
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(507371168)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド (38)
【Fターム(参考)】