説明

酸化脂肪の安定化法

存在するアルデヒド又はケトンで有機亜硫酸塩を生成するように、基本組成物を亜硫酸水素陰イオン源に接触させる、酸化されてアルデヒド又はケトンを生成する不飽和脂肪酸を含有する基本組成物を含む、家畜用飼料又はペットフード製品の旨味を改善する方法。亜硫酸水素塩処理した家畜用飼料及びペットフード製品、並びに亜硫酸水素陰イオン源を含有する旨味増加剤も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2005年6月17日提出の米国仮出願番号第60/692,035号の優先権を主張し、その開示を参照によってここに組み入れる。
【0002】
発明の背景
本発明は、全般に酸化された脂肪又は油を含む家畜用飼料又はペットフード製品の旨味を改善する方法に関する。特に、本発明は、飼料又はフード製品を亜硫酸水素陰イオン源で混合するか又は被覆することにより、酸化されてアルデヒド及びケトンを生成する不飽和脂肪酸を含む家畜用飼料及びペットフード製品の旨味の改善に関する。
【背景技術】
【0003】
動物飼料製造業者及びペットフード製造業者は、低い製造コストで、分解及び細菌汚染に対する耐性と高い栄養価を組み合わせた食品を提供することを長い間渇望してきた。加えて、動物飼料及びペットフード製造業者は、低コストで実現できる高度の旨味を強く望んでいる。
【0004】
飼料用の肉及び食肉副産物、動物性脂肪、油及び植物油などの原料の使用は、家畜用飼料及びペット用フード製品の製造では一般的である。貯蔵条件、時間、温度などはすべて、最終製品の安定性並びに飼料及びペットフードとしての最終的な値打ちに悪影響を及ぼす。このことは、酸化されやすい物質中で十分な抗酸化剤を使用しないという習慣によって急速に進行する。
【0005】
高品質のペットフード製品の人気は、この産業分野においてより良い品質の配合成分の消費を促し、より劣った品質の配合成分を低価格の食品及び飼料製品の製造業者に適正なコストで入手可能にした。低価格の成分は、典型的には、美味しくないものであり、旨味に反して働く酸化作用の結果としての臭気と風味を含む。まずさ(negative palatability value)の程度は、バッチからバッチへと変化する。
【0006】
食肉、油及び脂肪原材料の栄養価は、決定的な要素であるが、旨味もそうである。製品酸化は、栄養価に悪影響があるずっと前に、旨味に重大な影響を与えることがある。ペットは特に食べ物の好みが激しく変わりやすい。
【0007】
酸敗臭として知られる状態は、栄養価に悪影響があるずっと前に、脂肪及び油を含有する家畜用飼料及びペットフードの原料の旨味に悪影響を与えることがある。食肉及び食肉副産物中の酸敗臭は、動物性脂肪、油及び植物油中におけると同様に、結果として旨味を非常に損なう化合物を生成する、自然に進行する酸化過程の結果である。その影響は、旨味を増加する成分の適用によっては軽減されない。研究では、試料が腐敗臭のある脂肪又は油成分を含む場合には、旨味増加成分を含有するドッグフードの試料に最初は引き寄せられた犬が、近くでの検分では拒絶した。
【0008】
特に、不飽和脂肪酸の酸化は、アルコール類の部分的酸化生成物であるヘキサナール生成に主に寄与する。これらのアルコール類は、不飽和多価脂肪及び油の自然酸化によって生じる。これは、過酸化物の生成によって検出でき、過酸化物価(PV)の測定を通じて評価できるプロセスである。
【0009】
通常の酸化の過程では、不飽和脂肪酸の不飽和の炭素−炭素結合が酸素に攻撃され、過酸化物を形成する。過酸化物は、いくつか追加の段階を経て、最終的に様々な鎖長さのアルデヒド及びケトンを生じる。重要なアルデヒドには、ペンタナール、ヘキサナール及びヘプタナールが挙げられる。特に関心のあるアルデヒドはヘキサナールであり、犬及び猫を含む多くの動物に好まれない食味(palatant)である風味化合物としてよく知られている。
【0010】
現在のところ、不飽和脂肪酸を含む飼料及び食品用の原料は、例え栄養価が損なわれていなくても、アルデヒド及びケトンが旨味に影響を与えるのに十分な濃度になれば、廃棄されなければならない。そうしなければ、取引業者の間でよくない評判を得る最終生成物となるリスクがある。したがって、仮に望ましくないアルデヒド及びケトンを除去することのできる手段が手に入れば、そうでなければ廃棄されたであろう栄養になる原料を使用することができ、かなりの額のコスト削減を実現できる。
【0011】
ペンタナール、ヘキサナール及びヘプタナールのようなアルデヒドを形成する不飽和脂肪酸の酸化は、人が消費する食料品の配合及び製造においても問題となる。一つの例は、食べ物をその中で揚げる調理用油である。調理用油は望ましくないアルデヒド及びケトンを生じて急速に酸化し、風味及び他の感覚を刺激する特性を損なうことにより旨味に悪影響を及ぼす。市販食品の製造業者及び飲食店はそのために頻繁に調理用油を交換しなければならない。なぜならば、一般消費者に通常受け入れられない食品となるには十分な濃度の、少量のアルデヒド及びケトンが生成するからである。調理用油を再生利用する手段が手に入れば、相当なコスト削減が可能になる。
【0012】
したがって、酸化不飽和脂肪酸からアルデヒド及びケトンを取り除くことのできる方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0013】
発明の概要
この必要性は、本発明によって満たされる。アルデヒド及びケトンを亜硫酸水素塩と共に有機亜硫酸塩に転換する十分記載された経路が、酸化不飽和脂肪酸を含有する家畜用飼料及びペットフード製品中の揮発性のアルデヒド及びケトンを不揮発性の有機亜硫酸塩に転換することに適用でき、それにより、家畜用飼料及びペットフード製品の旨味を改善するための主要なハードルを乗り越えられることを発見した。
【0014】
したがって、本発明の一態様によれば、基本組成物が酸化されてアルデヒド又はケトンを生成する不飽和脂肪酸を含有する家畜用飼料又はペットフード製品の旨味を改善する方法が提供され、ここで、基本組成物は、存在するどのようなアルデヒド又はケトンも水溶性の有機亜硫酸塩に形成するために、亜硫酸水素陰イオン源に接触させる。有機亜硫酸塩は、水性条件下で、発生し得る亜硫酸水素陰イオンから、例えば、水中でのメタ亜硫酸水素塩種の溶解により生ずる。よって、亜硫酸水素陰イオン源は乾燥したメタ亜硫酸水素塩種及び亜硫酸水素塩が水和した水性亜硫酸水素塩溶液を含む。
【0015】
したがって、亜硫酸水素陰イオンは、乾燥したメタ亜硫酸水素塩種を水分を含有する基本組成物に加えることにより供給されてもよいし、又は水性亜硫酸水素塩溶液を乾燥した又は水分を含有する基本組成物に接触させてもよい。典型的には、メタ亜塩硫酸水素塩種は、亜硫酸水素陰イオンが生成するのに十分な水が基本組成物中に存在するときに、乾燥した状態で基本組成物に加えるか、塗布することができる。もし水が不十分であれば、水性亜硫酸水素塩溶液は、典型的には押出し粒(kibble)に塗布されるか添加される。
【0016】
溶液は水分を含有する基本組成物にも添加するか塗布することができるが、これは、そのような製品から過剰な水分を乾燥させることに伴うエネルギーコストの故に、望ましくない。本発明による方法は、バッチ工程又は連続工程で実施することができる。
【0017】
本発明のこの態様の一実施の形態によれば、基本組成物が乾燥又は半乾燥粒を形成するために押出しされる際、粒押出しの前後いずれでも、基本組成物は亜硫酸水素陰イオン源に接触させてよい。基本組成物を粒押出しの後で亜硫酸水素陰イオン源に接触させるときは、水性亜硫酸水素塩溶液を粒表面に塗布する。本発明のこの態様の別の実施の形態によれば、旨味増加成分が、基本組成物を亜硫酸水素塩溶液に接触させる前後いずれでも、粒表面に塗布される。
【0018】
ペットフードの製品が調理された湿潤製品であるときには、調理に先立って又はその後に基本組成物を亜硫酸水素陰イオン源に接触させてよい。調理に先立つ接触は、生産効率の点から好ましい。したがって、本発明のこの態様の別の実施の形態によれば、酸化されてアルデヒド又はケトンを生成する不飽和脂肪酸を含有する調理済み湿潤ペットフード製品の旨味を改善する方法が提供され、フード製品は、存在しているどのようなアルデヒド又はケトンも有機亜硫酸塩に形成するため、調理に先立って亜硫酸水素陰イオン源に接触させる。典型的には、乾燥したメタ亜硫酸水素塩を湿潤製品に添加する。
【0019】
本発明のこの態様の一実施の形態では、原料をフード製品に添加する前に、不飽和脂肪酸を含有するフード製品原料を処理する。本発明はしたがって、原料をフード製品に添加する前に、酸化されてアルデヒド又はケトンを生成する不飽和脂肪酸を含有するどのような原料にも亜硫酸水素陰イオン源を調理に先立って接触させることにより、フード製品に亜硫酸水素陰イオン源を接触させる方法を提供する。
【0020】
本発明のこの態様の別の実施の形態では、飼料又はフード製品が使用可能な状態に貯蔵され、旨味が改善された後に、さらなる酸化に抗して安定化させるために、酸化防止剤を飼料又はフード製品に添加する。この態様に従う方法は、効果的な量の飼料又はフード用の酸化防止剤を飼料又はフード製品に加える段階を含む。飼料又はフード用の酸化防止剤の例としては、エトキシキン、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、三級ブチルハイドロキノン、トコフェロール、プロピルガラート及びローズマリー抽出物が挙げられる。
【0021】
メタ亜塩硫酸水素塩種としてはどのようなメタ亜塩硫酸水素塩も使用できるが、メタ亜塩硫酸水素アンモニウム、アルカリ金属の亜硫酸水素塩を含むものが好ましく、メタ亜塩硫酸水素ナトリウム又はメタ亜硫酸水素カリウムがより好ましく、メタ亜塩硫酸水素ナトリウムがもっとも好ましい。水と接触させると、メタ亜塩硫酸水素塩種はすぐに水性亜硫酸水素陰イオンを生成し、これは存在するどのようなアルデヒド及びケトンとも即座に反応する。アルデヒド及びケトンは、不揮発性で水に可溶の水溶性有機亜硫酸塩を形成する。したがって、本発明のこの態様の別の実施の形態では、接触段階で、存在するどのようなアルデヒド又はケトンも水性溶液に溶解する水溶性の有機亜硫酸塩に生成するために、飼料又はフード製品を亜硫酸水素塩水和物の水性溶液に接触させる方法が提供され、この方法はさらに飼料又はフード製品を水性溶液から分離する段階を含む。
【0022】
この実施の形態によれば、接触段階は一度、又は必要な回数だけ行うことができ、飼料又はフード製品を使用可能な状態で貯蔵し、旨味を改善する。飼料又はフードを水性溶液から分離した後は、その後の使用のために乾燥させるか、又は乾燥に先立って、残留している有機亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を取り除くために、一度若しくは繰り返し水で洗浄してもよい。
【0023】
本発明のこの態様の別の実施の形態では、水性亜硫酸水素塩溶液を再利用する目的で亜硫酸水素塩を再生するように、水性溶液から有機亜硫酸水素塩を取り除く。この実施の形態による方法は、飼料又はフード製品をそこから分離した後に、水性溶液を酸化する段階を含み、有機亜硫酸塩はアルデヒド又はケトン及び亜硫酸水素塩に転換して戻され、アルデヒド又はケトンは水性亜硫酸水素塩溶液から分離される。アルデヒド又はケトンを分離した後は、好ましい方法では亜硫酸水素塩溶液を同じ又は異なる品質の飼料又はフード製品に接触させる。
【0024】
本発明の方法はしたがって、原料を家畜用飼料及びペットフード製品として使用するため、過度に酸化した食肉、食肉副産物、動物性脂肪、油及び植物油を旨味を改善して使用できる状態に改良することに使用できる。なぜならば、本発明の方法は、飼料又はフード製品を安定化させるために酸化防止剤を加える方法も意図しており、本発明の別の態様では、分離した第一及び第二の容器のあるキットが提供され、メタ亜塩硫酸水素塩又はその水性溶液が第一の容器に、一つ以上の飼料又はフード用の酸化防止剤が第二の容器に入る。
【0025】
ペットフードの製造業者は、脂肪酸が旨味増加剤を遮断するまずい食味(negative palatants)を生成し酸化した原料を使用している場合に、しばしば旨味の問題を、効果的でない旨味増加剤のせいにする。したがって、本発明の方法は理想的には、飼料及びフード製品の製品に旨味増加剤が調合される前に、家畜用飼料及びペットフード製品から酸化脂肪酸を除去するのに使用される。したがって、本発明のキットの態様による一実施の形態は、ペットフード製品の旨味増加成分の第三の容器を備えるキットである。適当な旨味増加成分は、一つ以上のリン酸塩、ピロリン酸塩又はポリリン酸塩を含む。
【0026】
本発明の方法は、望ましくないアルデヒド及びケトンの不飽和脂肪酸の酸化生成物による旨味への悪影響のない、有機亜硫酸塩を含有する家畜用飼料及びペットフード製品が提供される。したがって、本発明の別の態様によれば、酸化されてアルデヒド又はケトンを生成する不飽和脂肪酸を含有する基本組成物を亜硫酸水素陰イオン源に接触させることにより製造する、押出しの家畜用飼料又はペットフード組成物が提供される。
【0027】
基本組成物は、押し出しに先立って、亜硫酸水素陰イオン源に混合されてもよい。そうでなければ、基本組成物は、押出しの後に亜硫酸水素陰イオン源で被覆されてもよく、好ましくは、亜硫酸水素塩水和物の水性溶液で、旨味増加成分の適用前後いずれでもよい。亜硫酸水素陰イオン源を含む水性旨味増加成分も使用できる。したがって、本発明は、亜硫酸水素陰イオン源を含有する水性旨味増加成分もまた提供する。本発明のこの態様の別の実施の形態では、基本組成物又は旨味増加成分は飼料又はフード用の酸化防止剤を含む。
【0028】
本発明のその他の特徴は、本発明の原理、それらを実施するためにここで提示する最良の形態を開示している、以下の記述及び請求の範囲が指し示すであろう。
【0029】
図面の簡単な説明
図1は、4種の市販の基本的なペットフード製品の過酸化物価に対する亜硫酸水素塩濃度の影響を示す。
【0030】
図2は、亜硫酸水素塩のヘキサナール付加物の像である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明による方法は、過度に酸化した家畜用飼料及びペットフード製品を亜硫酸水素陰イオン源に接触させる。このような飼料及びフード製品は、ペンタナール、ヘキサナール及びヘプタナール、そのうち特にヘキサナールなどの、旨味に悪影響を及ぼすアルデヒド及びケトンを生成して酸化した不飽和脂肪酸を含む。本発明は、亜硫酸水素塩は脂質の酸化した鎖を切断する機能を有しているという理解に基づいている。そのことにより、本発明において過酸化物を攻撃しかつそれをスルホン酸塩に置き換えることができ、したがって過酸化物濃度を引き下げることに使えることを発見するに至った。さらに、亜硫酸水素塩はシステインのジスルフィド結合を切断し、タンパクを伸ばすことの理解は、それにより、亜硫酸水素塩は本発明において重要な酵素に対して使用でき、結果として変性と酵素の不活性化をもたらすことを発見するに至った。
【0032】
飼料及びフード製品は、アルデヒド及びケトンから旨味に悪影響を与えない有機亜硫酸塩を生成するために、亜硫酸水素陰イオン源に接触させる。本発明の目的のために、亜硫酸水素陰イオン源との接触は、湿潤又は乾燥飼料又はフード製品の亜硫酸水素塩水和物の水性溶液への接触により、又は、メタ亜塩硫酸水素塩を溶解し亜硫酸水素陰イオンを生成するのに十分な水分と共に、乾燥メタ亜塩硫酸水素塩を飼料又はフード製品に接触させることのいずれかにより起こる。
【0033】
家畜用飼料及びペットフード製品は、典型的には、乾燥又は半乾燥の押出しの粒として形成される。本発明の目的のためには、ペレット又はその他のあらゆる記述用語として参照されるものを含む、一口大の乾燥又は半乾燥家畜用飼料又はペットフードが、粒として参照される。接触段階は、押出しに先立って乾燥メタ亜塩硫酸水素塩を、亜硫酸水素陰イオンを生成するために、混合又は蒸気中のコンディショニング中に十分な水分にさらされる基本組成物に加えることで、又は、存在するアルデヒド又はケトンを有機亜硫酸塩に転換するために、亜硫酸水素塩水和物の水性溶液を押出し機に加えたり、押出しの後にその中に浸すように粒の表面に噴霧したりすることで実施してもよい。しかしながら、飼料又はフードを亜硫酸水素陰イオンと共に水と完全に混合することを可能にするいかなる形態も本発明と共に使用するのにふさわしく、それは混合又は蒸気中のコンディショニング中の水性亜硫酸水素塩溶液の添加を含む。しかしながら、亜硫酸水素塩溶液は、過剰な水分を除くのに必要とされるコストの故に、水分を含有する製品に加えることは好ましくない。
【0034】
本発明の方法は、調理された製品である湿ったドッグフード又はキャットフードなどの、湿潤ペットフード製品にも適用できる。亜硫酸水素陰イオン源は調理の前又は後に添加できるが、調理後の添加は実用的でない。なぜなら、湿潤製品は密封された缶を加圧加熱殺菌する(retort)ことで調理され、亜硫酸水素陰イオン源を添加するために開封し再度密封する必要があると考えられるからである。したがって、実用性のためには、亜硫酸水素陰イオン源は調理に先立って加えることになる。
【0035】
好ましくは、酸化されてアルデヒド又はケトンを生成する不飽和脂肪酸を含有する原料成分を、原料をフード製品に加える前に、亜硫酸水素陰イオン源に接触させる。そのような不飽和脂肪酸を含有する原料には、生の食肉、食肉副産物、動物性脂肪、油及び植物油が含まれる。
【0036】
十分な水分と共に製品に加えられる乾燥したメタ亜塩硫酸水素塩としては、アルカリ金属のメタ亜塩硫酸水素塩が好ましく、ナトリウム又はカリウムのメタ亜塩硫酸水素塩がより好ましい。本発明で用いるのに適当な水性亜硫酸水素塩溶液は、約0.0001〜約20重量%の亜硫酸水素塩水和物を含み、その濃度は約1〜約9重量%が好ましい。また、新鮮な溶液の使用が好ましい。
【0037】
飼料及びフード製品は、酸化の程度によるが、旨味を増加させられる量の亜硫酸水素陰イオン源に接触させる。このことは、この分野の通常の技術者が、必要以上の実験をすることなく、典型的には飼料又はフード製品の過酸化物価を参照して、容易に決定できる。その量は、好ましくはフード又は飼料製品を使用可能な状態で貯蔵することのできる量である。本発明の目的のためには、「使用可能な状態」は、家畜又はペットによる製品の消費に関する購入者の満足度を参照して、消費者の反対なしに市場に出せる製品として定義される。
【0038】
もし使用量が少なすぎれば、接触段階は、望ましい製品が得られるまで繰り返すことができる。飼料又はフード製品は、亜硫酸水素塩が化学量論的に等価であるよりもわずかに少ないかわずかに多いかの間で、効果的となるように亜硫酸水素陰イオン源に接触させる。化学量論的に等価であるよりわずかに少ないときには、望ましくない製品が依然として生産される。しかしながら、残りの亜硫酸水素塩も旨味に悪影響を与える。したがって、化学量論的に過剰などのようなものも、旨味に対する悪影響を過度に生じる濃度で提供されてはならない。このことも、必要以上の実験をすることなく、当業者には容易に決めることができ、典型的には、亜硫酸水素塩の残留分析を参照することによる。
【0039】
したがって、好ましい飼料及びフード製品は以下に接触させることにより製造でき、それは乾燥したメタ亜塩硫酸水素塩又は、揮発性のケトン及びアルデヒドの少なくとも90重量%を有機亜硫酸塩に転換するのに効果的な量の亜硫酸水素陰イオンを製品に添加する水性亜硫酸水素塩溶液である。典型的には、約0.01〜約1.25重量%の亜硫酸水素塩を飼料又はフード製品に加え、その大部分又は全部が有機亜硫酸塩に転換される。好ましくは、約0.1〜約0.9重量%の亜硫酸水素塩が製品に添加され、約0.6〜約0.8重量%の量がもっとも好ましい。
【0040】
本明細書で参照されるように、乾燥及び半乾燥ペットフードは、一般的に、約50重量%以下の水分を有するタンパク質及びデンプン質物質の栄養バランスのとれた混合物に関する。湿潤ペットフード製品は、一般的に、を50重量%を超える水分を有するタンパク質及びデンプン質物質の栄養バランスのとれた混合物に関する。
【0041】
湿潤フードでは、タンパク質及びデンプン質物質は、典型的には、ゼラチンなどの親水コロイドと共に成形される。湿潤フード製品中の肉は、実際の肉又は再形成され乳化された肉及びその副産物の大きな塊として供給される。湿潤ペットフードは、親水コロイド及び調味料から製造される肉汁成分も追加して含んでいてもよく、それ故に、亜硫酸水素塩は好ましくは食肉成分に添加される。
【0042】
ここで説明するペットフード組成物は、特にリストアップした配合成分に限定することを意図してはいない。なぜならば、そういう配合成分は、例えば次のような因子に依存するからであり、それは特定のペットの種類に要求される栄養バランスや、製造業者に入手可能な配合成分などである。タンパク質及びデンプン質物質に加えて、ペットフード組成物は、ビタミン、ミネラル、及び、調味料、保存料、乳化剤、保湿剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。ビタミン、ミネラル、脂肪、タンパク及び炭水化物の相対的な比率を含む栄養バランスは、獣医学分野で知られている栄養基準量に従って決められる。例えば、キャットフード組成物の栄養バランスは、猫に必要とされる栄養として知られるものに従って決められる。
【0043】
家畜用飼料は、穀類及び貯蔵牧草成分などに関し、ペットフード製品同様にビタミン、ミネラル、及び、調味料、保存料、乳化剤、保湿剤などの他の添加剤を含む。ビタミン、ミネラル、脂肪、タンパク及び炭水化物の相対的な比率を含む栄養バランスは、大きな動物の獣医学分野で知られている栄養基準量に従って決められる。
【0044】
ふさわしいタンパク質物質は、少なくとも約15重量%のタンパク含有量を有する材料を含んでいてもよく、それは、大豆、綿実及び落花生などの植物タンパク、カゼイン、アルブミン並びに新鮮な魚肉組織及び新鮮な魚の組織を含む新鮮な動物組織などの動物タンパク、乾燥した又は粗挽き粉(meal)の状態にした魚粉、鶏肉粉、食肉粉、骨粉などを含む。他の種類の適当なタンパク質物質のふさわしいものとしては、小麦グルテン又はトウモロコシグルテン及びイーストなどの微生物タンパクが含まれる。
【0045】
ふさわしいデンプン質物質は、約15重量%を下回るタンパク含有量を有し、かなりの比率の小麦デンプン又は炭水化物を含有するどのような物質を含んでいてもよく、それには、トウモロコシ、ミロ、アルファルファ、小麦、大麦、米、大豆皮及び低タンパク含有量の他の穀類などの穀類が含まれる。タンパク質及びデンプン質物質に加えて、他の炭水化物と共に、乳清及び他の乳製品副産物などの他の物質が加えられてもよい。加えて、例えば、コーンシロップ又は糖蜜などの公知の調味料が加えられていてもよい。
【0046】
通常、ここで使用される家畜用飼料組成物及びペットフード組成物の語は、市販されている、実質的に家畜及びペットの唯一の食事を提供することを意図した栄養バランスのとれた組成物に当てはまる。したがって、このような組成物は、家畜及びペットの健康を維持するのに最少量のタンパク含有量を有するものとして記載され得る。しかしながら、フードの最少量のタンパク含有量は、動物の年齢及び飼育状況によって変化する。
【0047】
例えば、繁殖用のメス及び子猫の栄養バランスのとれたキャットフード組成物は、乾燥した主成分物質の少なくとも約28重量%の最小タンパク含有量を必要とする。繁殖用でない成長した猫の栄養バランスのとれたキャットフード組成物は、乾燥した主成分物質の約26重量%の最小タンパク含有量を必要とする。さらに典型的には、市販の成長した繁殖させない猫用のキャットフード組成物のタンパク含有量は、フードがあらゆる猫の栄養所要量を満たすことを確実にするために、乾燥した主成分物質の約30重量%、である。
【0048】
例えば、亜硫酸水素陰イオン源を塗布する、この分野でよく知られた乾燥ペットフード組成物の典型的な調合は、以下のとおりである:
0〜70重量%のトウモロコシ、小麦、大麦又は米などの穀類ベースの粗挽き粉又は粉;
0〜30重量%の鶏肉又は牛肉粉などの動物の副産物の粗挽き粉;
0〜25重量%のトウモロコシグルテン粉;
0〜25重量%の鶏肉又は牛肉組織などの新鮮な動物組織;
0〜25重量%の大豆粗挽き粉又は粉;
0〜25重量%の新鮮な魚組織;
0〜20重量%の魚介類ベースの粗挽き粉;
0〜l0重量%の動物性脂肪;
0〜10重量%の高フルクトースのコーンシロップ;
O〜l0重量%の乾燥糖蜜;
0〜1.5重量%のリン酸;及び
0〜1.5重量%のクエン酸。
【0049】
さらに、ビタミン及びミネラルが、アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)のガイドラインとして知られるところに従って加えられる。AAFCOのデータは、炭酸カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化コリン、タウリン、酸化亜鉛、硫酸第一鉄、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンD3、リボフラビン、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、ビオチン、硝酸チアミン、硫酸銅、葉酸及びピロキシジンを含む。
【0050】
家畜用飼料は、典型的には、反芻によって食物となる植物原料から製造され、それらはマメ科の干し草、牧草の干し草、トウモロコシサイレージ、牧草サイレージ、マメ科植物のサイレージ、トウモロコシ粒、大麦、オーツ麦、蒸留かす、ビールかす、大豆粗挽き粉及び綿実粗挽き粉である。亜硫酸水素陰イオン源を塗布する、この分野でよく知られた乾燥家畜用フード組成物の典型的な調合は、以下のとおりである:
0〜70重量%のトウモロコシ、小麦、大麦又は米などの穀類ベースの粗挽き粉又は粉;
0〜30重量%の鶏肉粉又は牛肉粉などの動物副生産物の粗挽き粉;
0〜25重量%のトウモロコシグルテン粗挽き粉;
0〜25重量%の大豆粗挽き粉又は粉;
0〜20重量%の魚介類ベースの粗挽き粉;
0〜10重量%の動物性脂肪;
0〜10重量%の高フルクトースのコーンシロップ;
0〜10重量%の乾燥糖蜜;
0〜1.5重量%のリン酸;及び
0〜1.5重量%のクエン酸。
【0051】
乾燥及び半乾燥家畜用飼料及びペットフードは、様々な方法で製造することができる。商業ベースで広く使用されているそのような方法の一つは、調理−押出し法である。調理−押出し法では、乾燥した配合成分をまず、混合物を成形するために、合わせて混合する。この混合物は、押出しを可能にするために十分に湿った所である、蒸気コンディショナーに運ばれる。混合物は次いで調理/押出し機に投入され、そこで上昇した温度と圧力で短時間調理され、その後金型を通って装置の外に押し出される。金型は製品を特定の形状に押出す。
【0052】
製品の個々の小片は、製品の押出しの流れの終点で、定期的に切断することで作られる。個々の小片又は粒は、熱した空気乾燥機で乾燥させる。通常は、製造物は水分が15%未満になるまで、好ましくは水分が9〜12%になるまで乾燥する。最終的な粒状物(pebbles)又は粒は(kibbles)、基本飼料又はフード組成物で構成される。
【0053】
乾燥及び半乾燥ペットフード組成物については、乾燥した粒子又は小片はその後バルクコンベヤーでコーティングドラムに移送され、動物性脂肪を噴霧される。例えば、クエン酸又はリン酸のような他の液体が代わりに小片に塗布されてもよく、動物性脂肪に加えて塗布されてもよく、その間又はその後、典型的には旨味増加剤の被覆が塗布される。
【0054】
そのコーティングは連続層である必要はないが、好ましくは均一であるのがよい。脂肪が冷えた後、もし脂肪の被覆がなければ、製品が混合される間、旨味増加剤は乾燥粉末若しくは液体として、又は両方で、適用されてもよい。液体の旨味増加剤は典型的には噴霧され、一方、乾燥旨味増加剤は典型的には、好ましくは粒子又は小片により均一に塗布するためにメッシュスクリーンを通して、はたきつける。そうでなければ、旨味増加剤は脂肪と混合することもでき、同時に塗布することもできる。均一な被膜を実現するために、多重の被膜にしてもよいことに注意されたい。
【0055】
押出し製品では、亜硫酸水素陰イオン源は、押出しの前に、家畜用飼料又はペットフード配合成分に、乾燥したメタ亜塩硫酸水素塩を混合又は蒸気中のコンディショニング中に配合に加えることにより、又は水性亜硫酸水素塩溶液を調理/押出し機に加えることにより、接触させてもよい。水性亜硫酸水素塩溶液を押出しされた粒子又は小片に塗布してもよい。ペットフード製品では、粒子又は小片を、アルデヒド又はケトンと接触する亜硫酸水素塩の能力を妨げる可能性のある、動物性脂肪で覆う前に、水性溶液を塗布してもよい。
【0056】
肉汁ベースの湿潤ペットフード製品は、食肉、食肉様物質又は食肉副産物を挽き、その後、低圧押出しにより挽いた混合物をそれらを調理する蒸気トンネルで成形することによって製造される。小麦デンプン及び結合剤が次いで添加され、その後混合物は小片に切り分けられ、水又は肉汁と混合され、缶に密閉され、ハイドロスタット、連続加圧加熱殺菌装置(retort)又は回転かくはん加圧加熱殺菌装置(steritort)で調理される。
【0057】
肉汁ベースの湿潤ペットフード製品は、食肉、食肉様物質又は食肉副産物を柔らかくし、柔らかくした材料を水、小麦デンプン及び結合剤と共に再成形することにより製造される。混合物は、その後缶に密封され、ハイドロスタット、連続加圧加熱殺菌装置(又は回転かくはん加圧加熱殺菌装置で調理される。
【0058】
半湿潤製品は、食肉、食肉様物質又は食肉副産物を柔らかくし混合し、混合物を下調理し、その後、水分を保持するために製品をグリセロール、ポリソルベート、トゥイーン、スパンなどの保湿剤と混合することにより、製造される。得られた混合物は成形され、缶又はパウチに入れられ、加圧加熱殺菌するか、又は圧縮成型し調理するか、又はパウチ中で加圧加熱殺菌する。
【0059】
本発明の目的のためには、食肉及び食肉副産物は、動物種及び魚種由来の食肉及び食肉副産物を含むものとして定義される。本発明の方法により旨味を改善することのできる動物の食肉及び食肉副産物の例としては、これらに限定はされないが、牛肉、豚肉、羊肉又は子羊肉、鶏肉、鴨肉、など由来の食肉及び食肉副産物が含まれる。使用することのできる魚肉製品及び魚肉副産物の例には、これらに限定はされないが、マグロ、サケ、コイ、白身魚、エビなど由来の製品及び副産物が含まれる。
【0060】
本発明により旨味を改善することのできる不飽和の動物性脂肪、油及び植物油の例には、獣脂、鶏の脂肪及びラードのような動物性脂肪、キャノーラ油、ひまわり油、サフラワー油、綿実油、キャノーラ油、亜麻仁油、大豆油、オリーブ油、トウモロコシ油などの植物油、及びそれらの副産物が含まれる。動物性の油の例には、メンハーデン、ニシン、サバ、カプラン、テラピア、マグロ、イワシ、サンマ、オキアミ、サケ、カタクチイワシ、ガンギエイ、クジラ、アザラシ、カニ、エビ、ロブスター、ウナギ、軟体動物など由来の魚油及びそれらの副産物が含まれる。植物油は、藻類、コンブなどの海産の植物由来の油も含む。
【0061】
本発明による好ましい方法では、有害なアルデヒド及びケトンの続く生成を遅らせるために、一つ以上の飼料又はフード用の酸化防止剤を飼料又はフード製品に加える。ふさわしい酸化防止剤は、これらに限定はされないが、エトキシキン、BHA、BHT、第三級ブチルハイドロキノン、プロピルガラート、トコフェロール、ローズマリー抽出物などを含む。約.01〜約1000ppmの量を使用する必要がある。
【0062】
本発明の方法は、アルデヒド又はケトンから生成した有機亜硫酸塩を水性溶液に溶解させるために、家畜用飼料又はペットフード製品を水性亜硫酸水素塩溶液で洗浄する方法も含み、その後飼料又はフードは水性溶液から分離される。回収された原料は、場合によっては、残りの有機亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩を取り除くために水で洗浄される。
【0063】
使用可能な原料を得る前に、一回以上このプロセスを繰り返す必要がある場合もあり、その後家畜用飼料又はペットフード製品に調合する前に乾燥する。本発明の方法の実施の形態は、乾燥、半乾燥及び湿潤ペットフード製品を含む、家畜用飼料又はペットフードに必須のものとして使用することを意図した、不飽和脂肪酸を含有する酸化原料の旨味を改善するために使用することができる。
【0064】
飼料又はフードが水性溶液から除かれた後、水性溶液は、アルデヒド又はケトン及び亜硫酸水素塩を再生するために、従来の手段で酸化してもよい。再生されたアルデヒド又はケトンは、水性溶液から、水性溶液をエーテルで洗浄するなど、従来の溶媒抽出技術により分離してもよい。
【0065】
再生された亜硫酸水素塩溶液は、原料と同量で二度目に洗浄するか、又は原料の新しい量で洗浄するために、その後再使用することができる。再生された溶液は、一連のバッチ工程、又は再生された亜硫酸水素塩溶液が原料の一定供給に連続して運ばれる連続工程で使用することができる。連続工程では、水又は亜硫酸水素塩が、必要な一定の溶液濃度を保つために、定期的に補充されてもよい。
【0066】
本発明は、飼料又はフード用の酸化防止剤及びメタ亜塩硫酸水素塩種又は水性亜硫酸水素塩溶液が組み合わせて分配される別々の容器のある、キットの組み合わせも意図している。これは発明の目的である、過度に酸化された製品を使用可能な状態に改良し、それにより旨味を改善し、一つ以上の酸化防止剤の添加により最終製造物を安定化させることを促進する。
【0067】
好ましいキットは、独立の容器に第一の成分として、ペットフード製品用の旨味増加成分を有する。三容器のキットの目的は、有害なアルデヒド及びケトンを酸化された原料から取り除き、原料が旨味増加成分と調合される前に原料をさらなる酸化に対して安定化させるために、メタ亜塩硫酸水素塩及び酸化防止剤を旨味増加成分と共に分配することである。
【0068】
好ましい旨味増加成分は、一つ以上の旨味を増加する化合物を含み、その例としては、ピロリン酸並びにそのナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム塩、リン酸並びにそのナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム塩、トリポリリン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム塩、ヘキサポリリン酸のカリウム、カルシウム及びマグネシウム塩、又はクエン酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、酢酸、ギ酸並びにヘクサミン酸などの有機酸、並びにそれらのナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム塩が挙げられる。ふさわしい旨味増加成分の例としては、2005年5月19日公開の米国特許出願公開第2005/0106285号に開示のものがあり、その開示は参照によりここに組み入れられる。
【0069】
本発明は、本発明の方法に従って製造された家畜用飼料及びペットフード製品も含み、亜硫酸水素塩を伴うアルデヒド及びケトンの反応から得られる有機亜硫酸塩が存在する。これらの有機亜硫酸塩は、旨味に全く悪影響を与えない。押出しの飼料及びフード組成物は、押出しの前後両方で、亜硫酸水素塩に接触させたものを含む。好ましい製品は、一つ以上の酸化防止剤を含有し、旨味増加成分で被覆された製品を含む。
【0070】
湿潤ペットフード組成物はまた、好ましくは調理に先立って、亜硫酸水素陰イオン源に接触させたものを含む。好ましい製品は、そのような原料がフードに加えられる前に、不飽和脂肪酸を含有する原料を亜硫酸水素陰イオン源に接触させることにより、亜硫酸水素陰イオン源に接触させる。他の好ましい製品は、一つ以上の酸化防止剤を含有する製品及び旨味増加成分を含有する製品を含む。
【0071】
本発明は、亜硫酸水素陰イオン源を含有するペットフード製品用の旨味増加成分を含み、その応用としては、存在しているいかなる揮発性のケトン及びアルデヒドも不揮発性の有機亜硫酸塩に転換すること、かつ旨味増加成分を供給することの両方である。旨味の増加のさらなる改善が得られるが、それはそうでなければ旨味増加剤の効果を損なう、まずい食味(negative palatants)を除くからである。
【0072】
本発明の旨味増加剤は、約0.1〜80重量%の一つ以上の旨味を増加する化合物を含み、その例は上に列挙されている。旨味を増加する化合物の濃度は、約5〜約50重量%が好ましく、約10〜約35重量%の濃度がより好ましく、約15〜約30重量%からさらに好ましい。
【0073】
旨味増加剤は、一つ以上の旨味増加化合物が最終ペットフード製品の約0.01〜約5.0重量%を構成するように、調合され適用される。好ましくは、旨味増加剤は、一つ以上の旨味を増加する化合物が最終ペットフードの約0.05〜約2.0重量%を構成するように調合され、より好ましくは約0.1〜約1.0重量%、さらに好ましくは約0.25〜約0.75重量%である。
【0074】
本発明による好ましい旨味増加剤は、約0.01%〜約20重量%の亜硫酸水素陰イオン源を含み、約1〜約9重量%の濃度がより好ましい。好ましくは、旨味増加剤は、亜硫酸水素塩の約0.01〜約1.25重量%がフード製品に加えられる、乾燥メタ亜塩硫酸水素塩又は水性亜硫酸水素塩溶液の量で調合され、その後その大部分又は全部が有機亜硫酸塩に転換される。好ましくは、亜硫酸水素塩の約0.01〜約0.2重量%がフードに加えられ、約0.025〜約0.15重量%が最も好ましい。
【0075】
本発明に従う好ましい旨味増加剤は、さらに一つ以上の飼料又はフード用の酸化防止剤を含有し、その例は上に列挙されており、さらなるアルデヒド及びケトン生成に対して製品を安定化させるのに十分な濃度の酸化防止剤と共にフード製品を供給するために効果的な濃度で含有する。旨味増加成分中、約0.01〜2.5重量%の濃度を使用することが必要であり、約0.1〜約1.0重量%の濃度が好ましい。好ましくは、旨味増加剤は、約0.01〜約1000ppmの酸化防止剤がフード製品に添加される、酸化防止剤の量が調合される。
【0076】
本発明による好ましい旨味増加剤中には、一つ以上の生産物又は副産物の約5〜約99重量%を含有する旨味増加剤があり、一つ以上の製造物又は副産物は、上記の食肉製品、食肉副産物、食肉様製品、乳製品及び乳製品副産物から選択される。使用できる乳製品及び乳製品副産物の例には、これらに限定はされないが、チーズ、乳タンパク、乳清などに由来する製品又は副産物が含まれる。
【0077】
単独で又は組み合わせで提供される好ましい生産物又は副産物には、牛肉及び鶏肉の生産物又は副産物が含まれる。魚肉製品及び副産物は同様に好ましい。生産物又は副産物濃度は約20〜約70重量%が好ましい。
【0078】
本発明による同じ又は他の好ましい旨味増加剤中には、一つ以上のアミノ酸約0.01〜約10重量%を含有する旨味増加剤がある。使用できるアミノ酸の例には、これらに限定はされないが、アラニン、グリシン、システインなどが含まれる。単独で又は組み合わせで提供される好ましいアミノ酸には、グリシン、L−アラニンなどが含まれる。アミノ酸濃度は、約0.1〜約4.0重量%が好ましい。
【0079】
本発明による同じ又は他の好ましい旨味増加剤は、一つ以上の微生物又は植物タンパクの約5〜約70重量%を含有する旨味増加剤である。使用できる微生物タンパクの例には、これらに限定はされないが、ビール酵母、パン酵母などが含まれる。使用できる植物タンパクには、これらに限定はされないが、トウモロコシグルテン、大豆タンパク、大豆粉、加水分解植物タンパク(HVP)などが含まれる。微生物又は植物タンパク濃度は約10〜約40重量%が好ましい。
【0080】
本発明による同じ又は他の好ましい旨味増加剤中には、一つ以上の炭水化物の約0.01〜約50重量%を含有する旨味増加剤である。使用できる炭水化物には、これらに限定はされないが、グルコース、キシロース、フルクトース、デンプン加水分解物などが含まれる。炭水化物濃度は約10〜約30重量%が好ましい。
【0081】
好ましい調合の一例は、約10〜約40重量%の固形分の一つ以上の旨味を増加する化合物; 約30〜約60重量%の一つ以上の、動物性製品、動物性副産物、魚肉製品、魚肉副産物、乳製品及び乳製品副産物から選択される製品又は副産物; 約25〜約35重量%の一つ以上の微生物タンパク源; 約1〜約9重量%の亜硫酸水素塩; 約0.1〜約1.0重量%の一つ以上の酸化防止剤; 約2〜約4重量%の一つ以上のアミノ酸; 及び約0.5〜約60重量%の一つ以上の炭水化物を有する。
【0082】
乾燥状態の調合は、約96重量%の固形量を有する。液状での調合は、総固形量が約30重量%に低くなるよう水で希釈してよく、好ましくは、スプレー噴霧に適当な粘度とレオロジーとを得るために、約50重量%以下の固形量である。
【0083】
水分量は、水性亜硫酸水素塩溶液のような、水分を含有する又は液体成分により供給することができ、その量は、製品の固形量を保つために、よく知られた技術により選択される。本発明による液状での調合では、pHは約2〜約9である。好ましい液状の調合では、pHは約2〜約3である。
【0084】
本発明による液状の旨味増加剤調合のために、例えば、混合機中で市販の液体配合成分を組み合わせてもよい。液状配合成分は、スラリーになるまですり潰すか又は乳化し、液状配合成分が一緒に混ぜ合わさる。タンパクの加水分解のために、市販のプロテアーゼをスラリーに添加してもよく、後に加熱、酸、又は他の方法により不活性化する。ソルビン酸などの保存料も同様に添加することができる。スプレー噴霧がしやすくなるよう粘度及びスラリーの固形量を調節するために、水が加えられる。液状の旨味増加剤は、均一な被膜を実現し乾燥を可能にするように、製品上に噴霧される。
【0085】
旨味増加剤の乾燥状態の調合は、本発明の一実施の形態により準備されるが、それは市販の乾燥配合成分を混合し、バッチミキサー中に所望の比率で旨味増加化合物、乾燥メタ亜塩硫酸水素塩、アミノ酸、無機塩及び有機物質を含み、乾燥に先立って均一に混合される。
【0086】
乾燥状態の実施の形態によれば、液状及び乾燥配合成分は、均一な混合物が形成されるまで、ミキサーで、全部又はいくつかの乾燥配合成分と共に液状配合成分を混合することにより、混ぜ合わせる。混合物は蒸発又は凍結乾燥により乾燥し、例えば、さらに残りの乾燥配合成分と均一な混合物を形成するまでタンブラー中で混合される、乾燥した、粉末状製品を形成する。
【0087】
本発明の方法は、酸化され又は加熱処理された、使用済み揚げ油、他の油及び脂肪製品を再生することにも適用できる。油又は液状の脂肪は、遊離脂肪酸を石鹸に転換し油から取り除くために、初めにNaOH又はKOHなどの強塩基に接触させる。得られた液体はその後メタ亜塩硫酸水素塩種に、アルデヒド及びケトンを除くために接触させる。好ましい方法においては、塩基とメタ亜塩硫酸水素塩種は、油又は液状の脂肪を順次通過させる不活性な支持材上で隔離される。
【0088】
以下の、これらに限定されない実施例の記載は、特定の発明の態様を具体的に説明する。これらの実施例は、範囲を狭めるものではなく、むしろ好ましい実施形態を例示するものである。部及びパーセントは、特に記載しない限り全て重量基準であり、全ての温度はセ氏温度である。
【実施例】
【0089】
実施例1〜9: 水性NaHSO溶液を用いたチキンミールの処理
高酸化された水分含有量4.83重量%の混ぜ物のないチキンミールは、大手飼料製造業者から購入した。それらの最も酸化された品揃えを特別に要請した。酸化の程度は、臭気の採取、過酸化物価、及びヘキサナール分析により確認した。試料は、環境温度(25℃)、チキンミール試料200gに対して亜硫酸水素塩溶液50mLの割合で、ベークライト製の蓋を有する褐色ガラスの試料瓶中で処理した。亜硫酸水素塩濃度は、0〜9重量%/volで変化させた。亜硫酸水素塩なしの水試料50mLをコントロールとして、水分変動が旨味に及ぼす影響を除くために使用した。褐色ガラスは、漂白効果の潜在的な原因であるUV光を避けるために使用した。
【0090】
試料は、0、5、15、30及び60分の回収物を、回転テーブル上で回転させた。集めた試料は、すぐに凍結し、分析のために保持した。分析は、瓶の頭部空間についてGC並びにMS同定及び定量を行った。コントロールに対する3%、4%及び6%の亜硫酸水素塩の処理の結果は表1に示されている。
【0091】
【表1】

【0092】
3%、4%及び6%試料中、ヘキサナールの平均還元率は、それぞれ71.7%、84.8%及び93.0%であった。
【0093】
実施例10〜12: 水性NaHSO溶液による粒(kibble)の処理
古くなった市販の粒を購入した。粒は、栄養学的観点からは典型的なものであるが、高度に酸化されていた。粒は、大部分は穀類ベースであるが、豚肉、鶏肉副産物並びに多種の動物性及び植物性脂肪も含んでいた。過酸化物価は、試料が酸化していて処理が必要であることを確認するために測定した。
【0094】
粒は、粒100gを濃度0〜9重量%/volの亜硫酸水素塩溶液10mLで処理した以外は、実施例1〜9と同様に処理した。コントロールに対する亜硫酸水素塩処理の結果を表2に示す。
【0095】
【表2】

【0096】
3種類の濃度全ては、ヘキサナール濃度が、相当に還元されたことを示した。
【0097】
実施例13〜16: 過酸化物価の測定
四種類の市販の粒の銘柄を購入し、実施例10〜12と同様にして、濃度3〜9重量%/volの亜硫酸水素塩で処理した。過酸化物価を測定した結果が図1に示されており、これは亜硫酸水素塩処理の最適濃度範囲を表している。
【0098】
実施例17〜20: 酸化した粒の処理後の犬による旨味試験
処理後の粒の旨味を、標準二種ボウル法(two bowl methodology)を用いて測定した。実施例10〜12の処理後の粒を、水処理されたコントロールに対して評価した。パネル試験は、最低でも20の動物で構成した。試験の時間間隔は、1日又は2日であり、消費比率(CR)及び最初の選択(FC)を測定した。結果は両側Student−T 検定により分析し、表3に示す。
【0099】
【表3】

【0100】
犬は、亜硫酸水素塩処理した粒に著しい嗜好性を示し、亜硫酸水素塩濃度が増加するにつれて嗜好性も増加した。
【0101】
実施例21〜23: 新鮮な配合成分で作られた粒の処理後の旨味試験
比較として、実施例18の旨味試験を、社内で新鮮な配合成分から準備した粒を用いて、犬で繰り返した。3〜7重量%/volの亜硫酸水素塩で処理した粒は、水処理後のコントロールに対して評価した。結果は表4に示す。
【0102】
【表4】

【0103】
粒には実質的な旨味の問題は何もないため、犬は亜硫酸水素塩処理した材料に嗜好性を示さなかった。
【0104】
実施例24〜28: 酸化したチキンミール処理後の犬による旨味試験
実施例21〜23と同様の新鮮な犬用粒を古くなったチキンミールで覆い、亜硫酸水素塩で(実施例1〜9と同様にして)処理するか又は処理をしなかった。処理していない古くなったチキンミールを用いた粒の旨味を、処理後の古くなったチキンミールに対して測定した。被覆した試料の旨味は、実施例17〜20の標準二種ボウル法を用いて犬で評価した。結果は表5に示す。
【0105】
【表5】

【0106】
犬は、古いチキンミールで覆った処理していない粒に対して、亜硫酸水素塩溶液処理した古いチキンミールで覆った粒に嗜好性を示した。
【0107】
実施例29〜34: 酸化防止剤を添加しないチキンミールの犬による旨味試験
押出しに先立って、市販のベースの調合を酸化防止剤を添加しないチキンミールを含むように変更した。変更したベースの調合は次いで、メタ亜塩硫酸水素ナトリウム塩を乾燥又は液体で加えて、旨味試験のための粒を押出しをした。全ての試料は、亜硫酸水素塩を全く加えていないコントロール試料と比較して、旨味への亜硫酸水素塩の明確な効果を示した。結果を表6に示す。
【0108】
【表6】

【0109】
実施例35〜38: 酸化した粒の処理後の猫による旨味試験
古くなりかつ高度に酸化された市販の猫用粒を購入し、実施例10〜12と同様に処理した。処理後の粒は、実施例17〜20と同様にして、水処理したコントロールに対して、猫を用いて評価した。犬の試験の場合と同様に、旨味は、標準二種ボウル法を用いて測定した。結果を表7に示す。
【0110】
【表7】

【0111】
猫は、亜硫酸水素塩処理した粒に著しい嗜好性を示した。これらの実施例は、旨味増加成分を添加して、亜硫酸水素塩処理した粒及び水処理したコントロール双方について繰り返した。すると、処理した試料への嗜好性が再度示された。
【0112】
実施例39〜42: 酸化したチキンミールの処理後の猫による旨味試験
実施例39〜42では、社内で新しく準備した猫用粒を、未処理の及び亜硫酸水素塩処理したチキンミールで覆って繰り返した。被覆した試料の旨味は、実施例24〜28と同様にして、猫による実施例17〜20における標準二種ボウル法を使用して評価した。結果は表8に示す。
【0113】
【表8】

【0114】
猫は、未処理のチキンミール及び旨味増加成分で覆った粒に比較して、旨味増加成分及び亜硫酸水素塩処理したチキンミールで覆った粒に対して嗜好性を示した。
【0115】
市販の湿潤キャットフードの調合を、9重量%/vol及び15重量%/volの濃度の亜硫酸水素塩で処理し、実施例39〜42におけると同様に猫を用いて評価した。処理後の組成物に対する嗜好性が再度示された。
【0116】
実施例43〜47: 酸化防止剤を添加しないチキンミールの猫による旨味試験
押出しに先立って、市販のベースの調合を、酸化防止剤無添加のチキンミールを含むように変更した。変更したベースの調合はその後、実施例29〜31と同様の旨味試験のため、乾燥したメタ亜塩硫酸水素ナトリウム塩を添加して押出し、粒を成形した。表9に示した結果は、亜硫酸水素塩を全く加えていないコントロール試料と比較して、亜硫酸水素塩の旨味に対する大幅な効果を表している。
【0117】
【表9】

【0118】
実施例43〜46で使用した粒試料は、初めに水分、タンパク、脂肪、灰分、及びPVを分析した。これらの分析結果は、表10に掲載する。
【0119】
【表10】

【0120】
実施例43〜46で使用した試料のアルデヒド濃度も調査した。コントロールに対する亜硫酸水素塩処理の結果は、表11に示した。
【0121】
【表11】

【0122】
実施例47〜52: 様々な香料を使用した保存試料の猫による旨味試験
実施例43〜46の猫用ベースを様々な香料と共に調合し、3個月保存し、その後追加の旨味試験を行った。結果は表12に示す。
【0123】
【表12】

【0124】
実施例53〜55: 亜硫酸ナトリウムを含有する保存試料の猫による旨味試験
実施例55〜55で使用した猫用ベースは、様々な香料と共に調合し少し時間をおいた。実施例54の香料(flavorant)は、亜硫酸ナトリウムも含んでいた。結果を表13に示す。
【0125】
【表13】

【0126】
上記は、粒の様々な濃度の亜硫酸水素塩の表面塗布で得られた肯定的な結果を示している。亜硫酸水素塩は、製品の貯蔵寿命を延ばすことも分かった。肯定的な結果は、乾燥メタ亜塩硫酸水素塩を他の乾燥粒配合成分と、粒の調理−押出しに先立って、混合することによっても得られる。
【0127】
実施例56〜64: 亜硫酸水素塩処理した塊状(缶)の製品の猫による旨味試験
塊状の缶詰に成形されたキャットフード製品は、連続する水中ハイドロスタットプロセスにより(submerged hydrostat process)、製品を製造するために調理及び滅菌に十分な温度と圧力で、市販製品の設備で市販品の規模で、典型的なキャットフードの缶詰を準備した。
【0128】
2重量%のメタ亜塩硫酸水素ナトリウムを含有する亜硫酸水素塩の組成物を、試験のためにキャットフード製造業者に送った。市販の湿潤キャットフードの調合物は、キャットフード製造業者により、量を変化させた亜硫酸水素塩組成物で処理され、猫で評価された。処理後の組成物は、亜硫酸水素塩組成物を全く含まないコントロール試料に比較して、好まれるか又は同等であった。結果は表14に掲載する。
【0129】
【表14】

【0130】
実施例65〜69: 高水分の亜硫酸水素塩で改質した粒の調査
犬用粒の押出し試験中、亜硫酸水素塩で改質した粒の試料いくつかを、押出しの段階で集めた。試料は、気密性のよい容器中に室温で約5カ月保管した。5ヶ月後、試料を目視で観察したところ、容器は5ヶ月間気密性が保たれていたため、その試料のいくつかはカビが生えていなかった。この結果は、残っていた未反応の亜硫酸水素塩により作り出された還元雰囲気による影響と思われる。これらカビの生えていない試料は、水分含有量及び水活性を試験した。亜硫酸水素塩を添加することで、気密容器中の高水分の試料は、表15に掲載した条件下でカビ生成から保護された。
【0131】
【表15】

【0132】
上述した本発明の様々な実施の形態から、本発明の目的が達成されることは明白である。本発明は詳細に記述し描写したが、図面及び実施例のみによっても同じことが意図され、そのことによっては限定されないことをはっきり理解すべきである。したがって、本発明の思想及び範囲は、添付の請求の範囲の要件によってのみ限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1は、4種の市販の基本的なペットフード製品の過酸化物価に対する亜硫酸水素塩濃度の影響を示す。
【図2】図2は、亜硫酸水素塩のヘキサナール付加物の像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜用飼料又はペットフード製品の旨味を改善する方法であって、酸化されてアルデヒド又はケトンを生成する不飽和脂肪酸を含有する基本組成物を含み、該方法は、存在するアルデヒド又はケトンで有機亜硫酸塩を生成するために、該基本組成物を亜硫酸水素陰イオン源に接触させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
上記亜硫酸水素陰イオン源は、メタ亜塩硫酸水素塩種である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記亜硫酸水素陰イオン源が亜硫酸水素塩水和物の水性溶液である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記水性亜硫酸水素塩溶液が、メタ亜塩硫酸水素アンモニウム又はアルカリ金属の亜硫酸水素塩の水性溶液である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記アルカリ金属の亜硫酸水素塩が、亜硫酸水素ナトリウム又は亜硫酸水素カリウムである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上記水性溶液中の亜硫酸水素陰イオンの濃度が約0.0001〜約20重量%である請求項3に記載の方法。
【請求項7】
上記基本組成物が、乾燥又は半乾燥の粒(kibble)を形成するために押出しされ、押出しの前に上記亜硫酸水素陰イオン源に接触される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記基本組成物が乾燥又は半乾燥の粒を形成するために押出しされ、押出しの後、上記亜硫酸水素陰イオン源が上記粒の表面に塗布される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
押出しされた後、さらに、上記粒の表面に旨味増加成分を塗布する段階を含む請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
酸化されてアルデヒド又はケトンを生成する不飽和脂肪酸を含有する飼料又はフード用の原料を含む調理済み湿潤ペットフード製品の旨味を改善する方法であって、該方法は、存在するアルデヒド又はケトンで有機亜硫酸塩を生成するために、上記フード製品を亜硫酸水素陰イオン源に接触させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
上記フード製品は、調理に先立って、上記亜硫酸水素陰イオン源に接触させる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記原料を上記フード製品に添加する前に、上記陰イオン源を上記原料に接触させることにより、調理に先立って、上記亜硫酸水素陰イオン源を上記フード製品に接触させる請求項10に記載の方法。
【請求項13】
上記亜硫酸水素陰イオン源が、メタ亜塩硫酸水素塩種である請求項10に記載の方法。
【請求項14】
上記亜硫酸水素陰イオン源が、亜硫酸水素塩水和物の水性溶液である請求項10に記載の方法。
【請求項15】
上記水性亜硫酸水素塩溶液が、アルカリ金属の亜硫酸水素塩の水性溶液である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記アルカリ金属の亜硫酸水素塩が、亜硫酸水素ナトリウム又は亜硫酸水素カリウムである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記フード製品がさらに旨味増加成分を含む請求項10に記載の方法。
【請求項18】
上記旨味増加成分が、ピロリン酸、ポリリン酸塩、リン酸、リン酸塩、トリポリリン酸、トリポリリン酸塩、ヘキサポリリン酸、ヘキサポリリン酸塩、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、フマル酸、フマル酸塩、乳酸、乳酸塩、酢酸、酢酸塩、ギ酸、ギ酸塩、ヘクサミン酸及びヘクサミン酸塩からなる群から選ばれる一つ以上の化合物の旨味増加量を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記旨味増加成分が、ピロリン酸、ポリリン酸塩、リン酸、リン酸塩、ポリリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサポリリン酸塩、ヘキサポリリン酸塩、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、フマル酸、フマル酸塩、乳酸、乳酸塩、酢酸、酢酸塩、ギ酸、ギ酸塩、 ヘクサミン酸及びヘクサミン酸塩からなる群から選ばれる一つ以上の化合物の旨味増加量を含む請求項9に記載の方法。
【請求項20】
上記接触段階が、水性溶液に溶解する水溶性の有機亜硫酸塩を存在するアルデヒド又はケトンで生成するために、上記飼料又はフード製品を上記水性亜硫酸水素塩溶液に接触させることを含み、上記方法はさらに上記溶液から上記飼料又はフード製品を分離する段階を含む請求項3に記載の方法。
【請求項21】
さらに、上記水性溶液から上記飼料又はフード製品を分離した後、上記接触段階を繰り返す段階を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、上記水性溶液から上記飼料又はフード製品を分離した後、上記飼料又はフード製品を一回以上水で洗浄する段階を含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
さらに、上記飼料又はフード製品を分離した後、有機亜硫酸塩を対応するアルデヒド又はケトンに転換して戻し、かつ、上記亜硫酸水素塩溶液を再生するために、上記水性溶液を酸化する段階を含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
さらに、存在するアルデヒド又はケトンを上記水性溶液から分離する段階を含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
さらに、再生した亜硫酸水素塩溶液を同量又は異なる量の酸化脂肪酸を含有する飼料又はフード製品に接触させる段階を含む請求項23に記載の方法。
【請求項26】
さらに、効果的な量の飼料又はフード用の酸化防止剤を上記飼料又はフード製品に添加する段階を含む請求項1又は10に記載の方法。
【請求項27】
上記酸化防止剤が、エトキシキン、BHA、BHT、プロピルガラート、トコフェロール及びローズマリー抽出物からなる群から選ばれる請求項26に記載の方法。
【請求項28】
上記酸化防止剤を、約0.01〜約1000ppmの酸化防止剤濃度を提供するのに効果的な量で飼料又はフード製品に添加する請求項26に記載の方法。
【請求項29】
上記飼料又はフード製品が、上記不飽和脂肪酸を含有する飼料又はフード用の生食肉又は食肉副産物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項30】
上記飼料又はフード用の原料が食肉又は食肉副産物である請求項10に記載の方法。
【請求項31】
上記食肉又は食肉副産物が、牛肉、豚肉、羊肉、子羊肉、鶏肉、カモ肉、マグロ、サケ、コイ、白身魚及びエビから得られる食肉又は食肉副産物からなる群から選ばれる請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
上記飼料又はフード製品が、上記不飽和脂肪酸を含有する動物性又は植物性の脂肪又は油を含む請求項1に記載の方法。
【請求項33】
上記飼料又はフード用の原料が、動物性又は植物性の脂肪又は油である請求項10に記載の方法。
【請求項34】
上記方法がバッチ工程である請求項1又は20に記載の方法。
【請求項35】
上記方法が連続工程である請求項1又は20に記載の方法。
【請求項36】
上記動物性脂肪が、上記亜硫酸水素陰イオン源の入った混合物中で上記製品に塗布される請求項32又は33に記載の方法。
【請求項37】
飼料又はフード用の酸化防止剤及びメタ亜塩硫酸水素塩種又は水性亜硫酸水素塩溶液の別々の容器を含むキット。
【請求項38】
さらに、旨味増加成分の別の第三の容器を含む請求項37に記載のキット。
【請求項39】
酸化されてアルデヒド又はケトンを生成する不飽和脂肪酸を含有する基本組成物で調製され、押出しに先立って亜硫酸水素陰イオン源が混合される、押出し家畜用飼料又はペットフード組成物。
【請求項40】
酸化されてアルデヒド又はケトンを生成する不飽和脂肪酸を含有する基本組成物で調製され、押出し後に亜硫酸水素陰イオン源で覆われる、押出し家畜用飼料又はペットフード組成物。
【請求項41】
上記亜硫酸水素陰イオン源がメタ亜塩硫酸水素塩種である請求項39又は40に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項42】
上記亜硫酸水素陰イオン源が、亜硫酸水素塩水和物の水性溶液である請求項39又は40に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項43】
上記水性亜硫酸水素塩溶液が、アルカリ金属の亜硫酸水素塩の水性溶液である請求項42に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項44】
上記アルカリ金属の亜硫酸水素塩が、亜硫酸水素ナトリウム又は亜硫酸水素カリウムである請求項43に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項45】
上記基本組成物が、押出し後に旨味増加成分で覆われている請求項39又は40に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項46】
上記旨味増加成分が、ピロリン酸、ポリリン酸塩、リン酸、リン酸塩、トリポリリン酸、トリポリリン酸塩、ヘキサポリリン酸、ヘキサポリリン酸塩、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、フマル酸、フマル酸塩、乳酸、乳酸塩、酢酸、酢酸塩、ギ酸、ギ酸塩、ヘクサミン酸及びヘクサミン酸塩からなる群から選ばれる一つ以上の化合物の旨味増加量を含む請求項45に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項47】
さらに、効果的な量の飼料又はフード用の酸化防止剤を含む請求項39又は40に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項48】
上記酸化防止剤が、エトキシキン、BHA、BHT、プロピルガラート、トコフェロール及びローズマリー抽出物からなる群から選ばれる請求項37に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項49】
上記酸化防止剤が約0.01〜約1000ppmの量で存在する請求項47に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項50】
上記基本組成物が、上記不飽和脂肪酸を含有する飼料又はフード用の生の食肉又は食肉副産物を含むことを特徴とする請求項39又は40に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項51】
上記食肉又は食肉副産物が、牛肉、豚肉、羊肉、子羊肉、鶏肉、カモ肉、マグロ、サケ、コイ、白身魚及びエビから得られる食肉又は食肉副産物からなる群から選ばれる請求項50に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項52】
上記基本的組成物が、上記不飽和脂肪酸を含有する動物性又は植物性の脂肪又は油を含むことを特徴とする請求項39又は40に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項53】
酸化されてアルデヒド又はケトンを生成する不飽和脂肪酸を含有する原料から製造された調理済み湿潤ペットフード組成物であって、該フード組成物は調理に先立って亜硫酸水素陰イオン源に接触させることを特徴とするフード組成物。
【請求項54】
上記フード組成物を、上記フード組成物に上記原料を加える前に、上記原料を上記亜硫酸水素塩溶液に接触させることにより、調理に先立って上記亜硫酸水素塩溶液に接触させる請求項53に記載のフード組成物。
【請求項55】
上記亜硫酸水素陰イオン源がメタ亜塩硫酸水素塩種である請求項53に記載のフード組成物。
【請求項56】
上記亜硫酸水素陰イオン源が亜硫酸水素塩水和物の水性溶液である請求項53に記載のフード組成物。
【請求項57】
上記水性亜硫酸水素塩溶液が、アルカリ金属の亜硫酸水素塩の水性溶液である請求項56に記載のフード組成物。
【請求項58】
上記アルカリ金属の亜硫酸水素塩が、亜硫酸水素ナトリウム又は亜硫酸水素カリウムである請求項57に記載のフード組成物。
【請求項59】
さらに、旨味増加成分を含む請求項53に記載のフード組成物。
【請求項60】
上記旨味増加成分が、ピロリン酸、ポリリン酸塩、リン酸、リン酸塩、トリポリリン酸、トリポリリン酸塩、ヘキサポリリン酸、ヘキサポリリン酸塩、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、フマル酸、フマル酸塩、乳酸、乳酸塩、酢酸、酢酸塩、ギ酸、ギ酸塩、ヘクサミン酸及びヘクサミン酸塩からなる群から選ばれる一つ以上の化合物の旨味増加量を含む請求項59に記載のフード組成物。
【請求項61】
さらに、効果的な量の飼料又はフード用の酸化防止剤を含む請求項53に記載のフード組成物。
【請求項62】
上記酸化防止剤が、エトキシキン、BHA、BHT、プロピルガラート、トコフェロール及びローズマリー抽出物からなる群から選ばれる請求項61に記載のフード組成物。
【請求項63】
上記酸化防止剤が約0.01〜約1000ppmの量で存在する請求項61に記載のフード組成物。
【請求項64】
上記原料が不飽和脂肪酸を含有する生の食肉又は食肉副産物を含む請求項53に記載のフード組成物。
【請求項65】
上記食肉又は食肉副産物が、牛肉、豚肉、羊肉、子羊肉、鶏肉、カモ肉、マグロ、サケ、コイ、白身魚及びエビから得られる食肉又は食肉副産物からなる群から選ばれる請求項64に記載のフード組成物。
【請求項66】
上記原料が、上記不飽和脂肪酸を含有する動物性又は植物性の脂肪又は油を含むことを特徴とする請求項53に記載のフード組成物。
【請求項67】
上記フード組成物が、押出し後に、上記動物性脂肪の混合物中で、上記亜硫酸水素陰イオン源で覆われる請求項40に記載の飼料又はフード組成物。
【請求項68】
押出しペットフード用の旨味増加成分であって、該成分は、旨味を増すのに効果的な量で、亜硫酸水素陰イオン源の約0.01〜約20重量%の、少なくとも一種の旨味増加化合物、並びに、食肉製品、食肉副産物、魚肉製品、魚肉副産物、乳製品、乳製品副産物、微生物タンパク源、植物タンパク、炭水化物及びアミノ酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の配合成分を含む成分。
【請求項69】
上記旨味増加化合物が、ピロリン酸、ポリリン酸塩、リン酸、リン酸塩、トリポリリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサポリリン酸、ヘキサポリリン酸塩、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸、酒石酸塩、フマル酸、フマル酸塩、乳酸、乳酸塩、酢酸、酢酸塩、ギ酸、ギ酸塩、ヘクサミン酸及びヘクサミン酸塩からなる群から選ばれる請求項68に記載の成分。
【請求項70】
少なくとも一種の旨味増加化合物を約0.1〜約80重量%含む請求項68に記載の成分。
【請求項71】
上記成分が乾燥しており、上記亜硫酸水素陰イオン源がメタ亜塩硫酸水素塩種である請求項68に記載の成分。
【請求項72】
上記成分が液状であり、上記亜硫酸水素陰イオン源が亜硫酸水素塩の水性溶液である請求項68に記載の組成。
【請求項73】
上記水性亜硫酸水素塩溶液が、アルカリ金属の亜硫酸水素塩の水性溶液である請求項72に記載の成分。
【請求項74】
上記アルカリ金属の亜硫酸水素塩が、亜硫酸水素ナトリウム又は亜硫酸水素カリウムである請求項73に記載の成分。
【請求項75】
さらに、効果的な量の酸化防止剤を含む請求項68に記載の成分。
【請求項76】
上記酸化防止剤が、エトキシキン、BHA、BHT、プロピルガラート、トコフェロール及びローズマリー抽出物からなる群から選ばれる請求項75に記載の成分。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−509498(P2009−509498A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516823(P2008−516823)
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/010153
【国際公開番号】WO2007/001522
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507411796)エヌユー エスシーアイ ラボラトリーズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】