酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体及びその製造方法並びにそれを配合した化粧料
【課題】安価かつ高収率にハイブリッド粉体が得られる酸化鉄とオルガノポリシロキサンのハイブリッド粉体の製造方法を提供する。
【解決手段】(A)塩化鉄(III)をアルカリと反応させて(a)水酸化鉄(III)を得て、この(a)水酸化鉄(III)に(B)下記一般式(1)
(式中、Rは同一または異なってもよく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xはエーテル結合(−O−)を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは1〜12である)で表されるオルガノポリシロキサンをモル比((a):(B))10:0.05〜10:1.5で添加して反応させることを特徴とする酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の製造方法。
【解決手段】(A)塩化鉄(III)をアルカリと反応させて(a)水酸化鉄(III)を得て、この(a)水酸化鉄(III)に(B)下記一般式(1)
(式中、Rは同一または異なってもよく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xはエーテル結合(−O−)を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは1〜12である)で表されるオルガノポリシロキサンをモル比((a):(B))10:0.05〜10:1.5で添加して反応させることを特徴とする酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体及びその製造方法に関し、さらにその粉体を配合した化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、彩色性、被覆性、展延性、付着性等を付与することを目的として、種々の無機顔料が配合されている。無機顔料の中には、溶媒に対する分散性が低く凝集しやすいものがあり、このような無機顔料は、化粧料中に安定して配合することが困難である。また、その形状や物性により化粧料中に多量に配合すると使用感上好ましくないものがある。
【0003】
例えば、黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄などの酸化鉄は、凝集性が強く、油剤に対する分散性が低いため、これらを配合した化粧料は保存安定性に劣ったり、均一な化粧膜を得ることが困難であった。また酸化鉄は、滑らかな使用感が得られにくく、さらに、固体表面活性が高いため、油剤を基剤とした化粧料中で酸敗を促進し、皮膚上では皮脂の酸化を促進するという問題点を有していた。
【0004】
このような問題点を解消するために、無機顔料の表面をオルガノポリシロキサンなどの疎水化剤で処理することにより、その表面を改質することが行われている。しかしながら、表面処理するだけでは、十分な改質効果が得られない場合があった。
【0005】
一方、無機顔料に有機物質をより均質に融合させた有機無機ハイブリッド粉体の開発も進められており、例えば、重合性金属アルコキシドを含む膨潤溶媒でシード粒子を膨潤させた後、この金属アルコキシド中の不飽和二重結合により重合させ、次いで金属アルコキシドのアルコキシ基を加水分解及び縮合させることにより得られる有機無機ハイブリッド粉体が開示されている(特許文献1)。また、本出願人も、金属のアルコキシドを加水分解してゾルを生成させ、このゾルに反応性オルガノシロキサンを添加してハイブリッドゾル溶液を生成させ、次いでこのハイブリッドゾル溶液をアンモニア水溶液と有機溶媒の混合液に滴下することにより得られる金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を既に提案している(特許文献2)。
【0006】
このように、有機無機ハイブリッド材料の製造においては、反応性が高いことから金属アルコキシドを出発原料としたゾル‐ゲル反応を採用することが一般的である。しかし、上記特許文献1の製造方法を酸化鉄のハイブリッド粉体に適用しようとすると、鉄アルコキシドは、高価であるためコストが非常に高くなってしまう。また鉄アルコキシドは、空気中で瞬時に酸化されることから収率が低く、安定して製造するためには、不活性ガス雰囲気中で反応を行う必要があるなどの制約があった。また後者の特許文献2の方法では、金属アルコキシドを加水分解した後、反応性オルガノシロキサンを加水分解し、これらを縮合反応させるために、触媒としてアンモニアを使用しているが、これにより臭気が発生するなど作業性の面で問題となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−265686号公報
【特許文献2】特許3843387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、作業性の問題がなく、より安価に、安定して高収率で酸化鉄とオルガノポリシロキサンのハイブリッド粉体を得ることができる製造方法が求められており、本発明はそのような製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、出発原料として塩化鉄を用い、これに特定構造のオルガノポリシロキサンを特定の比率で反応させることによって、空気中でも安定して製造することができ、また触媒を使用しなくても縮合反応が速やかに進行し、高収率で酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、(A)塩化鉄(III)をアルカリと反応させて(a)水酸化鉄(III)を得て、この(a)水酸化鉄(III)に(B)下記一般式(1)
【化1】
(式中、Rは同一または異なってもよく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示
し、Xはエーテル結合(−O−)を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を示
し、nは1〜12である)
で表されるオルガノポリシロキサンをモル比((a):(B))10:0.05〜10:1.5で添加して反応させることを特徴とする酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の製造方法である。
【0011】
また本発明は、上記製造方法によって得られる酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体である。
【0012】
さらに本発明は、上記酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を配合してなる化粧料である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法によれば、臭気等の発生がなく良好な製造環境において、低コストかつ高収率で酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を得ることができる。また本発明の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、油剤中で良好な分散性を示し、またブルーシフトによりUV−AおよびB領域の遮断能にも優れ、さらに固体触媒活性が低いものである。したがって、この酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を配合した化粧料は、粉体の分散安定性、化粧膜の均一性、使用感に優れるとともに、優れた紫外線防御効果を有し、さらに化粧料中の油剤や皮脂の劣化を抑制することが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】製造実施例1〜4および製造比較例1の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の電子顕微鏡写真である。
【図2】製造実施例1〜3の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体および赤酸化鉄の320〜700nmの光透過率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の製造方法は、まず、出発原料として(A)塩化鉄(III)を用い、これをアルカリと反応させて(a)水酸化鉄(III)を得る。出発原料として鉄アルコキシドを用いる場合、特に鉄メトキシドやエトキシドは、空気中で不安定であるため窒素雰囲気中で反応を行う必要があるが、塩化鉄(III)は、安定性がこれよりも高く空気中で反応させることができる。反応に用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、これらを(A)塩化鉄(III)に対して当量以上添加することが好ましい。具体的には、例えば、3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、1mol/Lの塩化鉄(III)水溶液を滴下し、30〜100℃で0.5〜5時間程度反応させればよい。
【0016】
次いで、得られた(a)水酸化鉄(III)に(B)下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを添加して反応させる。
【0017】
【化2】
【0018】
上記式(1)中、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であるが、反応性が高いことから、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。また、Rは同一であっても、異なっていてもよいが、全て同一であることが好ましい。Xは、エーテル結合(−O−)を有していてもよい炭素数2〜4アルキレン基であり、好ましくは、炭素数3のアルキレン基である。一方、nは1〜12の範囲であり、好ましくは4〜10である。この範囲であれば、分散性や使用感等に優れた粒子を得ることができる。このようなオルガノポリシロキサンの市販品として、X-24-9050(信越化学工業社製;上記式(1)においてRがすべてメチル基、Xが炭素数3のアルキレン基、n=8)等が挙げられる。また上記式(1)のオルガノポリシロキサンは、例えば、両末端にSi−Hを有するジメチルポリシロキサンとアリルトリアルコキシシランを塩化白金酸を触媒として用いて反応させることによって得ることができる。
【0019】
上記(B)のオルガノポリシロキサンを、(a)水酸化鉄(III)に対しモル比((a):(B))10:0.05〜10:1.5、好ましくは、10:0.05〜10:1.0の範囲で添加する。この範囲であれば、分散性や使用感等に優れた粒子が得られる。
【0020】
(B)は適当な有機溶媒の溶液として、前記(a)水酸化鉄(III)に滴下して添加することが好ましい。有機溶媒としては、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール等が使用できるが、(B)の溶解性が高いことから2−プロパノールが好適である。
【0021】
このように、(a)水酸化鉄(III)に(B)上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを添加して反応させ、酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッドを調製する。反応は、30〜110℃、好ましくは40〜100℃で、2〜10時間程度行う。また反応は、水の存在下で行うことが好ましい。上記一般式(1)のオルガノポリシロキサンにおいて、Rが炭素数1〜4のアルキル基である場合、すなわち、アルコキシ基が含まれる場合には、まずこのアルコキシ基が加水分解してOH基となり、次いで(a)水酸化鉄(III)のOH基と縮合反応すると考えられる。したがって、(B)オルガノポリシロキサン中のアルコキシ基と当量以上の水を用いることが好ましく、例えば、(B)オルガノポリシロキサンとして、Rが全てメチル基のものを用いた場合には、(B)1molに対して水6mol以上用いることが好ましい。そして(B)オルガノポリシロキサンのOH基と(a)水酸化鉄(III)のOH基が縮合反応し、Fe−O−Si−結合が形成され、酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッドゲル粒子が形成されると考えられる。この反応では、アンモニア等の触媒を用いてもよいが、本発明の製造方法においては、このような触媒を用いなくとも速やかに反応を進行させることができる。
【0022】
得られた酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッドゲル粒子分散液から、濾過、吸引濾過、遠心分離、デカンテーション等の公知の固液分離手段により、固形分を分離して、必要により2−プロパノール等で洗浄してから、100〜150℃、2〜6時間程度乾燥し、さらに必要に応じて解砕することにより、酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体が得られる。
【0023】
このように、本発明の製造方法は、安価な塩化鉄(III)を出発原料とし、空気中で安定して製造できるため、鉄アルコキシドを用いた製造方法と比べ、低コストかつ高収率で酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体を得ることができる。
【0024】
かくして得られる本発明の酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体は、酸化鉄とオルガノポリシロキサンが均質に複合したものであり、例えば、この粉体を光学顕微鏡で観察したとき、酸化鉄相とオルガノポリシロキサン相とを区別することができないものである。またその粒径は、解砕することにより、0.01〜50.0μm、更に0.05〜10.0μm程度とすることが好ましい。酸化鉄は、油剤に対する分散性が低く凝集しやすいが、本発明の酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体は、油剤に対し良好な分散性を示す。また、酸化鉄は固体触媒活性が高いことが知られているが、本発明のハイブリッド粉体は、固体触媒活性が低減され、さらに、ブルーシフトによりUV−AおよびB領域の紫外線遮断能が向上したものである。ここでブルーシフトとは、遷移金属を含有する化合物の吸収波長が低波長側にシフトする現象を言う。
【0025】
本発明の化粧料は、上記酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体を配合し、常法によって調製して得られるものであり、本発明の効果を損ねない範囲において、通常化粧料に配合される任意成分を配合することができる。
【0026】
このような任意成分としては、感触調整や着色を目的とした上記酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体以外の粉体成分や、基材、エモリエント成分等として油性成分、保湿成分等として水性成分、アルカリ剤、乳化、粉体分散、感触調整の為の界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、水溶性皮膜形成性樹脂、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、繊維、香料などを挙げることができる。
【0027】
粉体成分としては、化粧料一般に使用される粉体であれば、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン・酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、カオリン、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、珪ソウ土、ヒドロキシアパタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、酸化鉄・酸化チタン被覆合成金雲母、魚燐箔、二酸化チタン被覆ガラスフレーク、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体類、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、N−アシルリジン等の有機粉体類、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。また、これら粉体は2種以上を複合化したものを用いても良く、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石ケン、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、油脂、炭化水素、界面活性剤、アミノ酸系化合物、水溶性高分子等の1種又は2種以上を用いて公知の方法により表面処理を施したものであっても良い。
【0028】
油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0029】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、でんぷん糖、ラクチトール等の糖類、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、乳酸ナトリウム等の塩類、アロエベラ、ウィッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。
【0030】
アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ剤、L−アルギニン等の塩基性アミノ酸、トリエタノールアミン、アンモニア、アミノメチルプロパノール等の有機アルカリ剤が挙げられる。
【0031】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。
【0032】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、1,2−ペンタンジオール、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0033】
繊維としては、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維、レーヨン等の人造繊維、セルロース等の天然繊維、アセテート人絹等の半合成繊維等が挙げられ、これらの繊維は一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができる。このうち、ナイロンを用いる場合には、長さは0.3〜3mmのものが好ましく、太さは0.1〜20デニールのものが好ましく、更には0.5〜10デニールのものがより好ましい。
【0034】
本発明の化粧料の剤型としては、粉体タイプ、油性タイプ、O/Wタイプ、W/Oタイプ、水系タイプ、多層タイプ等を挙げることができる。また、その種類としては、ファンデーション、化粧下地、白粉、コンシーラー、日焼け止め料、アイカラー、ほほ紅、口紅、マスカラ、アイライナー、ボディーローション等を挙げることができる。このうち、本発明の効果がより発揮されることから、剤型としては、粉体タイプ、油性タイプ、O/Wタイプ、W/Oタイプが好ましく、また化粧料の種類としては、ファンデーション、化粧下地、白粉が好ましい。
【0035】
黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄などの酸化鉄は、油剤に対して分散性が低いため、これらを配合した化粧料は、分散安定性に劣ったり、均一な化粧膜が得られにくかったが、本発明の酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体を配合した化粧料は、分散安定性および化粧膜の均一性に優れ、さらに滑らかな使用感を得ることができる。また酸化鉄は、固体触媒活性が高いため、化粧料中の油脂の酸化や色素の分解が促進される問題があったが、本発明の化粧料は、色素の退色や油脂の酸化による臭いの発生が抑制され、保存安定性に優れたものである。さらに、酸化鉄は紫外線の遮断能が低く、これを配合しても十分な効果が得られなかったが、本発明の化粧料は、UV−AおよびB領域の遮断能が高く、優れた紫外線防御効果を有するものである。
【0036】
また本発明の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、インクや塗料に利用することもできる。さらに、固体触媒活性が低く紫外線遮断能に優れることから、樹脂のフィラー剤として、樹脂の劣化を抑制したり、樹脂に紫外線防御機能を付与することが可能である。
【実施例】
【0037】
次に実施例等により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制限されるものではない。なお、特に断らない限り、%は質量%を意味する。
【0038】
製造実施例1(モル比Fe:Si((a):(B))=10:1.5ハイブリッド粉体)
3.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mlに、1.0mol/Lの塩化鉄(III)水溶液50mlを滴下速度100ml/hにて滴下し、40℃、1時間の条件にて反応させ、水酸化鉄(III)を調製した。この水酸化鉄(III)に、0.0075molの反応性オルガノポリシロキサンX-24-9050(信越化学工業社製;前記一般式(1)においてRがすべてメチル基、Xが炭素数3のアルキレン基、n=8)を2−プロパノール50mlに溶解させた溶液を、徐々に滴下後、60℃、2時間の条件にて反応させた。得られた分散液を吸引濾過にて濾別し、2−プロパノールにて数回洗浄後、茶褐色のスラリー状物を得た。これを100℃、2時間乾燥させ、酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を収量7.00g(収率55.1%)で得た。
【0039】
製造実施例2(モル比Fe:Si((a):(B))=10:1.0ハイブリッド粉体)
3.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mlに、1.0mol/Lの塩化鉄(III)水溶液50mlを滴下速度100ml/hにて滴下し、40℃、1時間の条件にて反応させ、水酸化鉄(III)を調製した。この水酸化鉄(III)に、0.005molの反応性オルガノポリシロキサンX-24-9050を2−プロパノール50mlに溶解させた溶液を、徐々に滴下後、60℃、2時間の条件にて反応させた。得られた分散液を吸引濾過にて濾別し、2−プロパノールにて数回洗浄後、茶褐色のスラリー状物を得た。これを100℃、2時間乾燥させ、酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を収量7.85g(収率76.6%)で得た。
【0040】
製造実施例3(モル比Fe:Si((a):(B))=10:0.5ハイブリッド粉体)
3.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mlに、1.0mol/Lの塩化鉄(III)水溶液50mlを滴下速度100ml/hにて滴下し、40℃、1時間の条件にて反応させ、水酸化鉄(III)を調製した。この水酸化鉄(III)に、0.0025molの反応性オルガノポリシロキサンX-24-9050を2−プロパノール50mlに溶解させた溶液を、徐々に滴下後、60℃、2時間の条件にて反応させた。得られた分散液を吸引濾過にて濾別し、2−プロパノールにて数回洗浄後、茶褐色のスラリー状物を得た。これを100℃、2時間乾燥させ、酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を収量5.70g(収率73.1%)で得た。
【0041】
製造実施例4(モル比Fe:Si((a):(B))=10:0.05ハイブリッド粉体)
3.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mlに、1.0mol/Lの塩化鉄(III)水溶液50mlを滴下速度100ml/hにて滴下し、40℃、1時間の条件にて反応させ、水酸化鉄(III)を調製した。この水酸化鉄(III)に、0.00025molの反応性オルガノポリシロキサンX-24-9050を2−プロパノール50mlに溶解させた溶液を、徐々に滴下後、60℃、2時間の条件にて反応させた。得られた分散液を吸引濾過にて濾別し、2−プロパノールにて数回洗浄後、茶褐色のスラリー状物を得た。これを100℃、2時間乾燥させ、酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を収量4.80g(収率85.9%)で得た。
【0042】
製造比較例1(モル比Fe:Si((a):(B))=10:2)
3.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mlに、1.0mol/Lの塩化鉄(III)水溶液50mlを滴下速度100ml/hにて滴下し、40℃、1時間の条件にて反応させ、水酸化鉄(III)を調製した。この水酸化鉄(III)に、0.01molの反応性オルガノポリシロキサンX-24-9050を2−プロパノール50mlに溶解させた溶液を、徐々に滴下後、60℃、2時間の条件にて反応させた。得られた分散液を吸引濾過にて濾別し、2−プロパノールにて数回洗浄後、茶褐色のスラリー状物を得た。これを100℃、2時間乾燥させ酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を収量7.05g(収率52.4%)で得た。この粉体に力をかけるとややべたつきが生じた。
【0043】
試験例1
電子顕微鏡による観察:
製造実施例1〜4で得られた粉体を乳鉢にて充分に磨り潰し、走査型電子顕微鏡で観察した。製造比較例1で得られた粉体についても、同様に顕微鏡で観察した。それぞれの粉体の電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0044】
試験例2
固体触媒活性の評価(1):
製造実施例1〜4で得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体について、特開2009−222702号公報に記載のカルテノイド系色素を用いた粉体の固体触媒活性評価法により評価した。すなわち、0.025g/Lのアスタキサンチン/トリ2−エチルへキサン酸グリセリル溶液24gに、各粉体2gを添加し、1時間超音波にて分散後、溶液の半分を遠心分離し、アスタキサンチン(吸光ピーク473.5nm)の吸光度測定(UV−2500 SHIMADZU社製)を行った。また溶液の半分は、50℃の恒温槽に1週間保管後、同様に吸光度測定を行った。固体触媒活性によるアスタキサンチンの褪色率(%)は、分散直後の吸光度を初期値とし、以下の式にて算出した。
【0045】
褪色率(%)=(A−B)/A×100
A:分散直後のアスタキサンチンの吸光度
B:50℃1週間後のアスタキサンチンの吸光度
【0046】
また、固体触媒活性を以下の判定基準に基づき判定した。退色率と共に表1に示す。なお、黄酸化鉄、黒酸化鉄についても同様に評価を行った。また、これらを下記の方法でシリコーン処理したものについても同様に評価した。なお、判定基準は、各粉体を配合した製品中の変臭、変色の有無から、褪色率40%未満は問題ないと判断されたことに基づき、下記のように設定した。
【0047】
(シリコーン処理2%黄酸化鉄及びシリコーン処理2%黒酸化鉄の製造方法)
ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサンをイソプロピルアルコールに20%溶解した溶液10質量部を、黄酸化鉄または黒酸化鉄98質量部に徐々に添加しながら、ヘンシェルミキサーにて混合する。次いで、125℃で乾燥後、シリコーン処理物を得る。
(判定基準)
◎:褪色率が30%未満である。
○:褪色率が30%以上、40%未満である。
△:褪色率が40%以上、60%未満である。
×:褪色率が60%以上である。
【0048】
【表1】
【0049】
表1に示した結果より、製造実施例の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、黄酸化鉄、黒酸化鉄、シリコーン処理黄酸化鉄、シリコーン処理黒酸化鉄と比較し、固体触媒活性が低いことが示された。
【0050】
試験例3
固体触媒活性の評価(2):
皮脂成分であるオレイン酸について、劣化試験を実施した。オレイン酸と製造実施例1〜4で得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を10:1の比率で混合し、超音波機(BRANSONIC 1510J−DTH 42kHz)を用いて1時間分散した。これらと、標準品として粉体を配合しないオレイン酸のみのものを、50℃の恒温槽に1週間保管後、変臭を標準品と比べ評価し、劣化抑制効果を確認した。劣化抑制は以下の判定基準に基づき判定した。なお、比較として黄酸化鉄と黒酸化鉄および試験例2で調製したこれらのシリコーン処理物を用いた。その結果を表2に示す。
【0051】
(判定基準)
◎:標準品と全く変らない。
○:標準品よりわずかに変臭があるが殆ど変らない。
△:標準品より少し変臭があり変化したことがわかる。
×:標準品よりかなり変臭があり変化したことがわかる。
【0052】
【表2】
【0053】
表2より、製造実施例1〜4の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、黄酸化鉄、黒酸化鉄、シリコーン処理黄酸化鉄、シリコーン処理黒酸化鉄と比較し、皮脂の酸化劣化を有効に抑制することが示された。
【0054】
試験例4
粉体分散性の評価:
製造実施例1〜4で得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の油剤への分散性を評価した。比較として、製造比較例1で得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体、赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄および試験例2と同様にして処理したこれらのシリコーン処理物を用いた。油剤として2−エチルヘキサン酸グリセリル20質量部に各試料0.5質量部を添加して分散し、超音波にて1時間分散後、沈降管に入れ、液面を25cmに調整した。下記の判定基準に基づき、3日後の分散層の厚みからその分散性を評価した。結果を表3に示す。
【0055】
(判定基準)分散性判定方法
◎:分散層が15cm以上ある。
○:分散層が10cm以上、15cm未満である。
△:分散層が5cm以上、10cm未満である。
×:分散層が5cm未満である。
【0056】
【表3】
【0057】
表3より、製造実施例の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄と比較し、分散性が高いことが示された。
【0058】
試験例5
粉体分散物の紫外線遮断能の評価:
(粉体分散物の調製方法)
下記に示す処方の粉体分散物を、3本ローラーで各成分を分散することにより調製した。粉体として、製造実施例1〜4及び製造比較例1で得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体、赤酸化鉄、黄酸化鉄を用いた。
(成分) (質量部)
1.1,3−ブチレングコール 2
2.セスキオレイン酸ソルビタン 0.2
3.ポリオキシエチレン(E,O.20)ソルビタンモノオレート 0.4
4.レシチン 0.3
5.粉体 2
【0059】
(透過率測定)
得られた各粉体分散物を、ドクターブレード(6μm)にて石英版に塗布し、吸光度測定装置(UV−2500 SHIMADZU社製)にて320nm〜700nm透過率を測定した。製造実施例1〜3および赤酸化鉄の測定結果を図2に示す。また、波長360nmにおける透過率について、下記紫外線遮断能の判定基準に基づき判定した。その結果を表4に示す。
【0060】
(判定基準)
◎:360nmの透過率(%)が5%未満である。
○:360nmの透過率(%)が5%以上、10%未満である。
△:360nmの透過率(%)が10%以上、15%未満である。
×:360nmの透過率(%)が15%以上である。
【0061】
【表4】
【0062】
表4より、製造実施例1〜4の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、製造比較例1のハイブリッド粉体や赤酸化鉄、黄酸化鉄と比較し、紫外線遮断能に優れることが示された。また、図2より、赤酸化鉄の遮断領域は、560nm付近から320nmであり、その透過率は約15%であるが、製造実施例2、3のハイブリッド粉体の遮断領域は、それよりも低波長側にシフト(ブルーシフト)し、400nm付近から320nmにあり、その透過率は、約0.5%と低く、赤酸化鉄と比較して、UV−AおよびB領域の遮断能に優れることが分かった。また、製造実施例1のハイブリッド粉体においても、400nm付近から320nmでは、赤酸化鉄よりも高い遮断能を有することが分かった。
【0063】
実施例1〜4および比較例1〜4
下記表5に示す処方のO/W型下地を以下の製造方法により調製した。得られたO/W型下地について、化粧料評価専門パネル20名に、「化粧膜の均一性」、「滑らかな使用感」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を用いて、以下の判定基準に従って判定した。結果を併せて表5に示す。なお、酸化鉄および製品中のFe含量の計算値を表中に示す。
【0064】
[評価基準]
(評価結果) : (評点)
非常に良好 : 6点
良好 : 5点
やや良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
非常に不良 : 0点
【0065】
[判定基準]
(評点の平均) : (判定)
5.0以上 : ◎ 非常に良好
3.5以上〜5.0未満: ○ 良好
1.5以上〜3.5未満: △ 不良
1.5未満 : × 非常に不良
【0066】
(紫外線防御効果)
また、各O/W型下地に対して、SPFアナライザー(Labsphere社製 UV−2000S)を用いて、In−VitroによるSPF値を測定した。測定条件は、各O/W型下地約0.2gをトランスポアテープ(3M社)に均一に塗布後、280−400nmの範囲におけるSPF値を測定し、以下の評価基準に従って判定した。結果を併せて表5に示す。
【0067】
(評価基準)
◎:SPF値が15以上である。
○:SPF値が10以上、15未満である。
△:SPF値が5以上、10未満である。
×:SPF値が5未満である。
【0068】
【表5】
*1:CARBOPOL 940(LUBRISOL ADVANCED MATERIALS A社製)
*2:ペミュレンTR−1(NOVEON社製)
*3:レシチンCLO(J−オイルミルズ社製)
【0069】
(製法)
(1)成分1〜4を80℃にて均一に溶解する。
(2)成分5〜9を80℃にて均一に溶解する。
(3)(2)に(1)を添加し、80℃にて乳化した後、成分10を加え、混合する。
(4)成分11〜21をローラーにて処理する。
(5)冷却した(3)に(4)を加え、混合する。
(6)(5)を脱泡し、容器に充填する。
【0070】
実施例1〜4のO/W型下地は、「紫外線遮断効果」、「化粧膜の均一性」、「滑らかな使用感」に優れたO/W型下地であった。比較例1〜3のO/W型下地は、紫外線遮断効果、化粧膜の均一性、滑らかな使用感全てに劣るものであった。比較例4のO/W型下地は、紫外線遮断能には優れるものの酸化鉄の配合量が多いため、化粧膜の均一性、滑らかな使用感に劣るものであった。
実施例1のO/W型下地中に含まれるFe含有量は、比較例2、3のO/W型下地中に含まれるFe含有量と比較して低い値であるが、紫外線防御効果が高いものであった。これは、ブルーシフトにより製造実施例1のハイブリッド粉体のUV−AおよびB領域の遮断能が高くなったこと、及び化粧膜の均一性(分散性)が従来の酸化鉄と比較して優れることが考えられる。
【0071】
実施例5 O/W型ファンデーション
下記処方のO/W型ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.5
2.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
3.1,3−ブチレングリコール 10.0
4.シリコーン処理酸化チタン *4 10.0
5.シリコーン処理ベンガラ *4 0.4
6.製造実施例1のハイブリッド粉体 2.0
7.シリコーン処理黒酸化鉄 *4 0.1
8.シリコーン処理タルク *4 5.0
9.カルボキシビニルポリマー *1 0.3
10.トリエタノールアミン 1.0
11.精製水 残量
12.エタノール 2.0
13.ステアリン酸 1.0
14.ベヘニルアルコール 0.5
15.流動パラフィン 2.0
16.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
17.パラメトキシケイ皮酸2−エチルへキシル 2.0
18.ワセリン 0.5
19.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.1
20.香料 0.05
*4:ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン5%処理(ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサンをイソプピルアルコールに溶解した溶液を、各粉体に徐々に添加しながら、ヘンシェルミキサーにて混合し、次いで125℃で乾燥したもの)
【0072】
(製法)
(1)成分1〜8をローラーにて均一に分散する。
(2)成分9〜11を均一に混合する。
(3)(2)に(1)を添加し、均一に混合する。
(4)成分13〜19を80℃にて混合溶解する。
(5)(3)に(4)を80℃にて添加し、乳化し、成分12を加え、混合する。
(6)(5)を冷却し、成分20を添加し、O/W型ファンデーションを得た。
【0073】
得られたO/W型ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたO/W型ファンデーションであった。
【0074】
実施例6 W/O型ファンデーション
下記処方のW/O型ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイル
メチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体 *5 2.0
2.PEG−3ジメチコン *6 1.0
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
4.製造実施例2のハイブリッド粉体 3.0
5.シリコーン処理赤酸化鉄 *7 0.5
6.シリコーン処理黄酸化鉄 *7 0.5
7.シリコーン処理黒酸化鉄 *7 0.5
8.シリコーン処理酸化チタン *4 10.0
9.シリコーン処理タルク *4 5.0
10.トリ2−エチルへキサン酸グリセリル 10.0
11.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
12.精製水 残量
13.塩化ナトリウム 0.5
14.1,3−ブチレングリコール 10.0
15.エタノール 5.0
16.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.1
17.香料 0.05
*5:KF−6026(信越化学工業社製)
*6:KF−6015(信越化学工業社製)
*7:ジメチルポリシロキサン3%処理(ジメチルポリシロキサをイソプピルアルコールに溶解した溶液を、各粉体に徐々に添加しながら、ヘンシェルミキサーにて混合し、次いで125℃で乾燥したもの)
【0075】
(製法)
(1)成分1〜3を均一に混合する。
(2)成分4〜11をローラーにて均一に分散する。
(3)(1)に(2)を添加し、均一混合する。
(4)(3)に成分12〜17を添加、乳化し、W/O型ファンデーションを得た。
【0076】
得られたW/O型ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたW/O型ファンデーションであった。
【0077】
実施例7 油性固形状ファンデーション
下記処方の油性固形状ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.タルク 15.0
2.マイカ 10.0
3.シリコーン処理酸化チタン *4 15.0
4.製造実施例3のハイブリッド粉体 5.0
5.シリコーン処理ベンガラ *4 0.2
6.シリコーン処理黄酸化鉄 *7 0.5
7.シリコーン処理黒酸化鉄 *7 0.2
8.ポリエチレンワックス 7.0
9.マイクロクリスタリンワックス 6.0
10.トリ2−エチルへキサン酸グリセリル 残量
11.ジメチルポリシロキサン *8 10.0
12.流動パラフィン 20.0
13.ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイル
メチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体 *5 2.0
14.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.1
15.香料 0.02
*8:KF―96(20CS)(信越化学工業社製)
【0078】
(製法)
(1)成分8〜14を90℃にて加熱溶解する。
(2)(1)に成分1〜7を添加し、ローラーにて均一に分散する。
(3)(2)に成分15を添加し、80℃にて溶解後、金皿に充填し、油性固型ファンデーションを得た。
【0079】
得られた油性固形状ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた油性固形状ファンデーションであった。
【0080】
実施例8 固形粉末状ファンデーション
下記処方の固形粉末状ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.シリコーン処理酸化チタン *4 15.0
2.タルク 残量
3.製造実施例3のハイブリッド粉体 3.0
4.シリコーン処理ベンガラ *4 0.3
5.シリコーン処理黄酸化鉄 *7 0.5
6.シリコーン処理黒酸化鉄 *7 0.1
7.マイカ 20.0
8.ナイロン末 2.0
9.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
10.流動パラフィン 3.0
11.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 3.0
12.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
13.香料 0.15
【0081】
(製法)
(1)成分1〜8を均一に混合する。
(2)(1)に成分9〜13を添加し、均一に混合する。
(3)(2)をパルベライザーで粉砕する。
(4)(3)を金皿に充填し、固形粉末型ファンデーションを得た。
【0082】
得られた固形粉末状ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた固形粉末状ファンデーションであった。
【0083】
実施例9 粉末状ファンデーション
下記処方の粉末状ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.架橋型メチルポリシロキサン混合物 *9 7.0
2.ジメチルポリシロキサン *10 1.0
3.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
4.ラウロイル−L−リジン 40.0
5.ナイロン末 10.0
6.タルク 残量
7.酸化チタン 7.0
8.製造実施例4のハイブリッド粉体 1.5
9.赤酸化鉄 0.1
10.黄酸化鉄 0.5
11.黒酸化鉄 0.1
12.窒化ホウ素 5.0
13.香料 0.1
*9:KSG−16(信越化学工業社製)
*10:KF−96(6CS)(信越化学工業社製)
【0084】
(製法)
(1)成分1〜2をデスパーミキサーにて混合しゲルを調製する。
(2)成分3〜13をスーパーミキサーにて混合分散する。
(3)(2)に(1)を加えて、攪拌する。
(4)(3)を容器に充填して粉末状ファンデーションを得た。
【0085】
得られた粉末状ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた粉末状ファンデーションであった。
【0086】
実施例10 油性アイシャドウ
下記処方の油性アイシャドウを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸デキストリン *11 2.0
2.リンゴ酸ジイソステアリル 2.5
3.2−エチルヘキサン酸セチル 15.0
4.パルミチン酸デキストリン *12 12.0
5.流動パラフィン 残量
6.水添ポリイソブテン 1.5
7.無水ケイ酸 6.0
8.ナイロン末 5.0
9.シリコーン処理タルク *4 0.5
10.製造実施例1のハイブリッド粉体 5.0
11.赤色202号 0.05
12.黄色4号アルミニウムレーキ 0.05
13.青色1号アルミニウムレーキ 0.05
14.雲母チタン 1.5
15.香料 0.2
*11:レオパールTT(千葉製粉社製)
*12:レオパールKL(千葉製粉社製)
【0087】
(製法)
(1)成分1〜6を100℃で溶解混合する。
(2)(1)に成分7〜15を加え、3本ローラーにて均一に分散する。
(3)(2)を80℃で容器に流し込み、冷却固化して油性アイシャドウを得た。
【0088】
得られた油性アイシャドウは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた油性アイシャドウであった。
【0089】
実施例11 固形粉末状アイシャドウ
下記処方の固形粉末状アイシャドウを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.雲母チタン 30.0
2.タルク 残量
3.製造実施例2のハイブリッド粉体 5.0
4.黄色401号 1.0
5.赤色202号 0.5
6.ナイロン末 2.0
7.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 4.0
8.流動パラフィン 4.0
9.ワセリン 1.0
10.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.3
11.香料 0.2
【0090】
(製法)
(1)成分1〜6を均一に混合する。
(2)(1)に成分7〜11を添加し、均一に混合する。
(3)(2)をパルベライザーで粉砕する。
(4)(3)を金皿に充填し、固形粉末状アイシャドウを得た。
【0091】
得られた固形粉末状アイシャドウは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた固形粉末状アイシャドウであった。
【0092】
実施例12 水系ジェル状ファンデーション
下記処方の水系ジェル状ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.ジェランガム *15 0.5
2.プロピレングリコール 5.0
3.1,3−ブチレングリコール 10.0
4.グリセリン 3.0
5.水添レシチン *16 1.0
6.スクワラン 1.0
7.ナイロン粉末 10.0
8.酸化チタン 8.0
9.製造実施例3のハイブリッド粉体 2.0
10.黄酸化鉄 0.2
11.ベンガラ 0.05
12.黒酸化鉄 0.01
13.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
14.香料 0.05
15.精製水 残量
*15:ケルコゲルLT100(大日本住友製薬社製)
*16:ベイシスLS−60HR(日清オイリオグループ社製)
【0093】
(製法)
(1)成分1、2、15を加温溶解する。
(2)成分3〜13を混練処理する。
(3)(1)に(2)を加え冷却し、成分14を添加して水系ジェル状ファンデーションを得た。
【0094】
得られた水系ジェル状ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた水系ジェル状ファンデーションであった。
【0095】
実施例13 固形粉末状フェイスカラー
下記処方の固形粉末状フェイスカラーを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.雲母 30.0
2.タルク 残量
3.合成金雲母 10.0
4.製造実施例4のハイブリッド粉体 1.0
5.赤226号 0.2
6.流動パラフィン 4.0
7.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 4.0
8.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
9.香料 0.2
【0096】
(製法)
(1)成分1〜5を均一に混合する。
(2)(1)に成分6〜9を添加し、均一に混合する。
(3)(2)をパルベライザーで粉砕する。
(4)(3)を金皿に充填し、固形粉末状フェイスカラーを得た。
【0097】
得られた固形粉末状フェイスカラーは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた固形粉末状フェイスカラーであった。
【0098】
実施例14 スティック状口紅
下記処方のスティック状口紅を以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.ポリエチレンワックス 7.0
2.マイクロクリスタリンワックス 3.0
3.パラフィンワックス 2.0
4.トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 20.0
5.テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 10.0
6.ジメチルポリシロキサン *8 3.0
7.2−エチルヘキサン酸セチル 残量
8.製造実施例1のハイブリッド粉体 4.0
9.赤202号 0.5
10.黄色4号 2.0
11.酸化チタン 0.1
12.酸化チタン処理合成金雲母 *17 3.0
*17:プロミネンス YF(日本光研工業社製)
【0099】
(製法)
(1)成分1〜7を100℃にて均一に溶解混合する。
(2)(1)に成分8〜12を添加し、3本ローラーにて均一に分散する。
(3)(2)を85℃に加熱後、容器に流し込み、冷却してスティック状口紅を得た。
【0100】
得られたスティック状口紅は粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたスティック状口紅であった。
【0101】
実施例15 油性アイライナー
下記処方の油性アイライナーを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.パラフィンワックス 8.0
2.ポリイソブチレン 16.0
3.ポリエチレンワックス 8.0
4.水添マイクロクリスタリンワックス 3.0
5.軽質流動イソパラフィン 残量
6.製造実施例2のハイブリッド粉体 15.0
7.シリコーン処理黒酸化鉄 *7 1.0
8.シリコーン処理タルク *4 5.0
【0102】
(製法)
(1)成分1〜4を100℃に加温し、均一混合する。
(2)成分5〜8を均一混合する。
(3)(1)に(2)を添加し、均一に混合する。
(4)(3)をローラーにて処理し、油性アイライナーを得た。
【0103】
得られた油性アイライナーは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた油性アイライナーであった。
【0104】
実施例16 アイブロウ
下記処方のアイブロウを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.アクリル酸アルキル共重合体エマルション *18 30.0
2.L−アルギニン 1.0
3.精製水 残量
4.エタノール 15.0
5.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.5
6.1,3−ブチレングリコール 3.0
7.製造実施例3のハイブリッド粉体 3.0
8.黒酸化鉄 0.01
9.黄酸化鉄 0.01
10.ベンガラ 0.01
11.防腐(1,2−ペンタンジオール) 0.2
12.香料 0.1
*18:ヨドゾールGH41F(アクゾノーベル社製)
【0105】
(製法)
(1)成分1〜4を均一に混合する。
(2)成分5〜10をローラーにて処理する。
(3)(1)に(2)、成分11、12を添加後、均一に混合し、アイブロウを得た。
【0106】
得られたアイブロウは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたアイブロウであった。
【0107】
実施例17 非水系マスカラ
下記処方の非水系マスカラを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.ロジン酸ペンタエリトリット 10.0
2.キャンデリラ樹脂 *19 3.0
3.ミツロウ 2.0
4.パラフィンワックス 1.0
5.マイクロクリスタリンワックス 0.6
6.ポリエチレンワックス 0.4
7.パルミチン酸デキストリン *12 2.0
8.トリメチルシロキシケイ酸 *20 6.0
9.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 5.0
10.プロピオンカーボネート 1.0
11.軽質流動イソパラフィン 残量
12.製造実施例4のハイブリッド粉体 7.0
13.シリカ 3.0
14.タルク 5.0
*19:キャンデリラ樹脂E−1(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*20:シリコンKF−9021(信越化学工業社製)
【0108】
(製法)
(1)成分1〜7を110℃に加温する。
(2)(1)に成分8〜11を添加混合する。
(3)(2)に成分12〜14を添加混合する。
(4)(3)を3本ローラーにて処理し、非水系マスカラを得た。
【0109】
得られた非水系マスカラは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた非水系マスカラであった。
【0110】
実施例18 O/W型マスカラ
下記処方のO/W型マスカラを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.ステアリン酸 2.0
2.ミツロウ 10.0
3.セトステアリルアルコール 1.0
4.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 1.5
5.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
6.製造実施例1のハイブリッド粉体 7.0
7.無水ケイ酸 3.0
8.精製水 残量
9.1,3−ブチレングリコール 10.0
10.トリエタノールアミン 1.5
11.アクリル酸アルキル共重合体エマルション *18 30.0
13.防腐剤(1,2−ペンタンジオール) 0.2
14.香料 0.2
【0111】
(製法)
(1)成分1〜7を80℃にて均一に混合する。
(2)成分8〜14を80℃にて均一に混合する。
(3)(1)に(2)を添加し、乳化する。
(4)(3)を冷却し、O/W型マスカラを得た。
【0112】
得られたO/W型マスカラは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたO/W型マスカラであった。
【0113】
実施例19 W/O型日焼け止め料
下記処方のW/O型日焼け止め料を以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.酸化亜鉛 10.0
2.シリコーン処理微粒子酸化チタン *4 5.0
3.製造実施例2のハイブリッド粉体 5.0
4.セスキイソステアリン酸ソルビタン 1.0
5.トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 10.0
6.パルミチン酸2−エチルヘキシル 5.0
7.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
8.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 10.0
9.メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・
オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体 *21 2.0
10.精製水 残量
11.塩化ナトリウム 0.2
12.エタノール 5.0
13.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
14.香料 0.1
*21:ABIL EM90(EVONIC GOLDSCHMIDT GMBH社製)
【0114】
(製法)
(1)成分1〜5を3本ローラーにて均一に分散する。
(2)(1)に成分6〜9を添加し、均一に混合する。
(3)(2)に成分10〜14を添加しながら乳化し、W/O型日焼け止め料を得た。
【0115】
得られたW/O型日焼け止め料は粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたW/O型日焼け止め料であった。
【0116】
実施例20 水系ジェル状アイシャドウ
下記処方の水系ジェル状アイシャドウを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.シリコーン処理タルク *4 2.0
2.レシチン *3 0.2
3.セスキオレイン酸ソルビタン 0.1
4.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(E.O.20)ソルビタン 0.2
5.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
6.製造実施例3のハイブリッド粉体 2.0
7.1,3−ブチレングリコール 2.0
8.合成金雲母 15.0
9.フッ素処理雲母チタン *22 15.0
10.フッ素処理ガラス末 *23 3.0
11.(ポリエチレンテレフタレート/ポリメタクリル酸メチル)積層末 *24
3.0
12.ジェランガム *15 0.5
13.1,3−ブチレングリコール 13.0
14.精製水 残量
15.キレート剤(エデト酸二ナトリウム) 0.2
16.香料 0.2
*22:パーフルオロオクチルトリエトキシシラン2%処理
*23:パーフルオロオクチルトリエトキシシラン2%処理のメタシャインMC1080TY(日本板硝子社製)
*24:オーロラフレークバイオレット0.05(角八魚鱗箔)
【0117】
(製法)
(1)成分12〜15を均一に混合し、80℃にて膨潤する。
(2)成分1〜7を3本ローラーにて均一に分散する。
(3)(1)に(2)を添加し、均一に分散する。
(4)(3)に成分8〜11を添加し、均一に分散する。
(5)(4)に成分16を加え、脱泡後、容器に充填し、水系ジェル状アイシャドウを得た。
【0118】
得られた水系ジェル状アイシャドウは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた水系ジェル状アイシャドウであった。
【0119】
実施例21 油性顔料インク組成物
下記処方の油性顔料インク組成物を以下の製法により調製した。
(分散剤A)
(成分) (%)
1.製造実施例1のハイブリッド粉体 25.0
2.分散剤 *25 25.0
3.エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 50.0
*25:SOLSPERSE32550(ルーブリゾール社製)
(製法)
(1)成分1〜3を、直径0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)により2時間分散し、分散液Aを得た。
【0120】
(組成物)
(成分) (%)
1.分散液A 12.0
2.塩化ビニル樹脂 *26 1.7
3.プロピレングリコールジアセテート(有機溶媒) 21.3
4.3−メトキシブチルアセテート(有機溶媒) 20.0
5.ジプロピレングリコールジメチルエーテル(有機溶媒) 25.0
6.N−メチル−2−ピロリドン(有機溶媒) 20.0
*26:UCAR Solution Vinyl Resin VYHD(分子量22000、ダウ・ケミカル社製)
(製法)
(1)成分1〜6をマグネチックスターラーにより30分間攪拌する。
(2)ガラス繊維ろ紙GFP(株式会社桐山製作所製、補足粒子0.8μm)を用いて、吸引ろ過を行い、油性ブラウンインク組成物を調製した。
【0121】
得られた油性顔料インク組成物は、粉体分散性に優れ、定着性、保存安定性に優れるものであった。
【0122】
実施例22 塗料
下記処方の塗料を以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.メタクリル酸メチル樹脂 *27 30.0
2.分散剤 *25 14.0
3.酢酸エチル 26.0
4.製造実施例2のハイブリッド粉体 30.0
*27:パラペットG(クラレ社製)
(製法)
(1)成分1〜4を直径0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)により2時間分散し、塗料を得た。
【0123】
得られた塗料は、粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果に優れるものであった。
【0124】
実施例23 樹脂劣化防止フィラー剤を添加した樹脂シート
以下の方法により、樹脂シートを成形した。
(成分) (%)
1.軟質ポリ塩化ビニル 98.0
2.製造実施例3のハイブリッド粉体 2.0
(製法)
(1)成分1、2を混合し、加熱ロールに圧延して0.24mmのシートを成形した。
【0125】
得られた成形シートは、粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果に優れるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の製造方法は、低コストかつ高収率で酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を得ることが可能な方法として有用なものである。また、本発明の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、粉体分散性に優れ、使用感が良好で、また優れた紫外線防御能を有することから、化粧料の原料として優位に利用できる。さらに、インクや塗料に利用したり、固体触媒活性が低いことから、樹脂の劣化防止用フィラー剤としても利用することも可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体及びその製造方法に関し、さらにその粉体を配合した化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、彩色性、被覆性、展延性、付着性等を付与することを目的として、種々の無機顔料が配合されている。無機顔料の中には、溶媒に対する分散性が低く凝集しやすいものがあり、このような無機顔料は、化粧料中に安定して配合することが困難である。また、その形状や物性により化粧料中に多量に配合すると使用感上好ましくないものがある。
【0003】
例えば、黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄などの酸化鉄は、凝集性が強く、油剤に対する分散性が低いため、これらを配合した化粧料は保存安定性に劣ったり、均一な化粧膜を得ることが困難であった。また酸化鉄は、滑らかな使用感が得られにくく、さらに、固体表面活性が高いため、油剤を基剤とした化粧料中で酸敗を促進し、皮膚上では皮脂の酸化を促進するという問題点を有していた。
【0004】
このような問題点を解消するために、無機顔料の表面をオルガノポリシロキサンなどの疎水化剤で処理することにより、その表面を改質することが行われている。しかしながら、表面処理するだけでは、十分な改質効果が得られない場合があった。
【0005】
一方、無機顔料に有機物質をより均質に融合させた有機無機ハイブリッド粉体の開発も進められており、例えば、重合性金属アルコキシドを含む膨潤溶媒でシード粒子を膨潤させた後、この金属アルコキシド中の不飽和二重結合により重合させ、次いで金属アルコキシドのアルコキシ基を加水分解及び縮合させることにより得られる有機無機ハイブリッド粉体が開示されている(特許文献1)。また、本出願人も、金属のアルコキシドを加水分解してゾルを生成させ、このゾルに反応性オルガノシロキサンを添加してハイブリッドゾル溶液を生成させ、次いでこのハイブリッドゾル溶液をアンモニア水溶液と有機溶媒の混合液に滴下することにより得られる金属酸化物・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を既に提案している(特許文献2)。
【0006】
このように、有機無機ハイブリッド材料の製造においては、反応性が高いことから金属アルコキシドを出発原料としたゾル‐ゲル反応を採用することが一般的である。しかし、上記特許文献1の製造方法を酸化鉄のハイブリッド粉体に適用しようとすると、鉄アルコキシドは、高価であるためコストが非常に高くなってしまう。また鉄アルコキシドは、空気中で瞬時に酸化されることから収率が低く、安定して製造するためには、不活性ガス雰囲気中で反応を行う必要があるなどの制約があった。また後者の特許文献2の方法では、金属アルコキシドを加水分解した後、反応性オルガノシロキサンを加水分解し、これらを縮合反応させるために、触媒としてアンモニアを使用しているが、これにより臭気が発生するなど作業性の面で問題となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−265686号公報
【特許文献2】特許3843387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、作業性の問題がなく、より安価に、安定して高収率で酸化鉄とオルガノポリシロキサンのハイブリッド粉体を得ることができる製造方法が求められており、本発明はそのような製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、出発原料として塩化鉄を用い、これに特定構造のオルガノポリシロキサンを特定の比率で反応させることによって、空気中でも安定して製造することができ、また触媒を使用しなくても縮合反応が速やかに進行し、高収率で酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、(A)塩化鉄(III)をアルカリと反応させて(a)水酸化鉄(III)を得て、この(a)水酸化鉄(III)に(B)下記一般式(1)
【化1】
(式中、Rは同一または異なってもよく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示
し、Xはエーテル結合(−O−)を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を示
し、nは1〜12である)
で表されるオルガノポリシロキサンをモル比((a):(B))10:0.05〜10:1.5で添加して反応させることを特徴とする酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の製造方法である。
【0011】
また本発明は、上記製造方法によって得られる酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体である。
【0012】
さらに本発明は、上記酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を配合してなる化粧料である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法によれば、臭気等の発生がなく良好な製造環境において、低コストかつ高収率で酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を得ることができる。また本発明の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、油剤中で良好な分散性を示し、またブルーシフトによりUV−AおよびB領域の遮断能にも優れ、さらに固体触媒活性が低いものである。したがって、この酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を配合した化粧料は、粉体の分散安定性、化粧膜の均一性、使用感に優れるとともに、優れた紫外線防御効果を有し、さらに化粧料中の油剤や皮脂の劣化を抑制することが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】製造実施例1〜4および製造比較例1の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の電子顕微鏡写真である。
【図2】製造実施例1〜3の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体および赤酸化鉄の320〜700nmの光透過率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の製造方法は、まず、出発原料として(A)塩化鉄(III)を用い、これをアルカリと反応させて(a)水酸化鉄(III)を得る。出発原料として鉄アルコキシドを用いる場合、特に鉄メトキシドやエトキシドは、空気中で不安定であるため窒素雰囲気中で反応を行う必要があるが、塩化鉄(III)は、安定性がこれよりも高く空気中で反応させることができる。反応に用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、これらを(A)塩化鉄(III)に対して当量以上添加することが好ましい。具体的には、例えば、3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、1mol/Lの塩化鉄(III)水溶液を滴下し、30〜100℃で0.5〜5時間程度反応させればよい。
【0016】
次いで、得られた(a)水酸化鉄(III)に(B)下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを添加して反応させる。
【0017】
【化2】
【0018】
上記式(1)中、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であるが、反応性が高いことから、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。また、Rは同一であっても、異なっていてもよいが、全て同一であることが好ましい。Xは、エーテル結合(−O−)を有していてもよい炭素数2〜4アルキレン基であり、好ましくは、炭素数3のアルキレン基である。一方、nは1〜12の範囲であり、好ましくは4〜10である。この範囲であれば、分散性や使用感等に優れた粒子を得ることができる。このようなオルガノポリシロキサンの市販品として、X-24-9050(信越化学工業社製;上記式(1)においてRがすべてメチル基、Xが炭素数3のアルキレン基、n=8)等が挙げられる。また上記式(1)のオルガノポリシロキサンは、例えば、両末端にSi−Hを有するジメチルポリシロキサンとアリルトリアルコキシシランを塩化白金酸を触媒として用いて反応させることによって得ることができる。
【0019】
上記(B)のオルガノポリシロキサンを、(a)水酸化鉄(III)に対しモル比((a):(B))10:0.05〜10:1.5、好ましくは、10:0.05〜10:1.0の範囲で添加する。この範囲であれば、分散性や使用感等に優れた粒子が得られる。
【0020】
(B)は適当な有機溶媒の溶液として、前記(a)水酸化鉄(III)に滴下して添加することが好ましい。有機溶媒としては、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール等が使用できるが、(B)の溶解性が高いことから2−プロパノールが好適である。
【0021】
このように、(a)水酸化鉄(III)に(B)上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンを添加して反応させ、酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッドを調製する。反応は、30〜110℃、好ましくは40〜100℃で、2〜10時間程度行う。また反応は、水の存在下で行うことが好ましい。上記一般式(1)のオルガノポリシロキサンにおいて、Rが炭素数1〜4のアルキル基である場合、すなわち、アルコキシ基が含まれる場合には、まずこのアルコキシ基が加水分解してOH基となり、次いで(a)水酸化鉄(III)のOH基と縮合反応すると考えられる。したがって、(B)オルガノポリシロキサン中のアルコキシ基と当量以上の水を用いることが好ましく、例えば、(B)オルガノポリシロキサンとして、Rが全てメチル基のものを用いた場合には、(B)1molに対して水6mol以上用いることが好ましい。そして(B)オルガノポリシロキサンのOH基と(a)水酸化鉄(III)のOH基が縮合反応し、Fe−O−Si−結合が形成され、酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッドゲル粒子が形成されると考えられる。この反応では、アンモニア等の触媒を用いてもよいが、本発明の製造方法においては、このような触媒を用いなくとも速やかに反応を進行させることができる。
【0022】
得られた酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッドゲル粒子分散液から、濾過、吸引濾過、遠心分離、デカンテーション等の公知の固液分離手段により、固形分を分離して、必要により2−プロパノール等で洗浄してから、100〜150℃、2〜6時間程度乾燥し、さらに必要に応じて解砕することにより、酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体が得られる。
【0023】
このように、本発明の製造方法は、安価な塩化鉄(III)を出発原料とし、空気中で安定して製造できるため、鉄アルコキシドを用いた製造方法と比べ、低コストかつ高収率で酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体を得ることができる。
【0024】
かくして得られる本発明の酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体は、酸化鉄とオルガノポリシロキサンが均質に複合したものであり、例えば、この粉体を光学顕微鏡で観察したとき、酸化鉄相とオルガノポリシロキサン相とを区別することができないものである。またその粒径は、解砕することにより、0.01〜50.0μm、更に0.05〜10.0μm程度とすることが好ましい。酸化鉄は、油剤に対する分散性が低く凝集しやすいが、本発明の酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体は、油剤に対し良好な分散性を示す。また、酸化鉄は固体触媒活性が高いことが知られているが、本発明のハイブリッド粉体は、固体触媒活性が低減され、さらに、ブルーシフトによりUV−AおよびB領域の紫外線遮断能が向上したものである。ここでブルーシフトとは、遷移金属を含有する化合物の吸収波長が低波長側にシフトする現象を言う。
【0025】
本発明の化粧料は、上記酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体を配合し、常法によって調製して得られるものであり、本発明の効果を損ねない範囲において、通常化粧料に配合される任意成分を配合することができる。
【0026】
このような任意成分としては、感触調整や着色を目的とした上記酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体以外の粉体成分や、基材、エモリエント成分等として油性成分、保湿成分等として水性成分、アルカリ剤、乳化、粉体分散、感触調整の為の界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、水溶性皮膜形成性樹脂、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、繊維、香料などを挙げることができる。
【0027】
粉体成分としては、化粧料一般に使用される粉体であれば、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン・酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、カオリン、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、珪ソウ土、ヒドロキシアパタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、酸化鉄・酸化チタン被覆合成金雲母、魚燐箔、二酸化チタン被覆ガラスフレーク、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体類、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、N−アシルリジン等の有機粉体類、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。また、これら粉体は2種以上を複合化したものを用いても良く、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石ケン、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、油脂、炭化水素、界面活性剤、アミノ酸系化合物、水溶性高分子等の1種又は2種以上を用いて公知の方法により表面処理を施したものであっても良い。
【0028】
油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0029】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、でんぷん糖、ラクチトール等の糖類、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、乳酸ナトリウム等の塩類、アロエベラ、ウィッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。
【0030】
アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ剤、L−アルギニン等の塩基性アミノ酸、トリエタノールアミン、アンモニア、アミノメチルプロパノール等の有機アルカリ剤が挙げられる。
【0031】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。
【0032】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、1,2−ペンタンジオール、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0033】
繊維としては、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維、レーヨン等の人造繊維、セルロース等の天然繊維、アセテート人絹等の半合成繊維等が挙げられ、これらの繊維は一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができる。このうち、ナイロンを用いる場合には、長さは0.3〜3mmのものが好ましく、太さは0.1〜20デニールのものが好ましく、更には0.5〜10デニールのものがより好ましい。
【0034】
本発明の化粧料の剤型としては、粉体タイプ、油性タイプ、O/Wタイプ、W/Oタイプ、水系タイプ、多層タイプ等を挙げることができる。また、その種類としては、ファンデーション、化粧下地、白粉、コンシーラー、日焼け止め料、アイカラー、ほほ紅、口紅、マスカラ、アイライナー、ボディーローション等を挙げることができる。このうち、本発明の効果がより発揮されることから、剤型としては、粉体タイプ、油性タイプ、O/Wタイプ、W/Oタイプが好ましく、また化粧料の種類としては、ファンデーション、化粧下地、白粉が好ましい。
【0035】
黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄などの酸化鉄は、油剤に対して分散性が低いため、これらを配合した化粧料は、分散安定性に劣ったり、均一な化粧膜が得られにくかったが、本発明の酸化鉄・オルガノシロキサンハイブリッド粉体を配合した化粧料は、分散安定性および化粧膜の均一性に優れ、さらに滑らかな使用感を得ることができる。また酸化鉄は、固体触媒活性が高いため、化粧料中の油脂の酸化や色素の分解が促進される問題があったが、本発明の化粧料は、色素の退色や油脂の酸化による臭いの発生が抑制され、保存安定性に優れたものである。さらに、酸化鉄は紫外線の遮断能が低く、これを配合しても十分な効果が得られなかったが、本発明の化粧料は、UV−AおよびB領域の遮断能が高く、優れた紫外線防御効果を有するものである。
【0036】
また本発明の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、インクや塗料に利用することもできる。さらに、固体触媒活性が低く紫外線遮断能に優れることから、樹脂のフィラー剤として、樹脂の劣化を抑制したり、樹脂に紫外線防御機能を付与することが可能である。
【実施例】
【0037】
次に実施例等により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制限されるものではない。なお、特に断らない限り、%は質量%を意味する。
【0038】
製造実施例1(モル比Fe:Si((a):(B))=10:1.5ハイブリッド粉体)
3.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mlに、1.0mol/Lの塩化鉄(III)水溶液50mlを滴下速度100ml/hにて滴下し、40℃、1時間の条件にて反応させ、水酸化鉄(III)を調製した。この水酸化鉄(III)に、0.0075molの反応性オルガノポリシロキサンX-24-9050(信越化学工業社製;前記一般式(1)においてRがすべてメチル基、Xが炭素数3のアルキレン基、n=8)を2−プロパノール50mlに溶解させた溶液を、徐々に滴下後、60℃、2時間の条件にて反応させた。得られた分散液を吸引濾過にて濾別し、2−プロパノールにて数回洗浄後、茶褐色のスラリー状物を得た。これを100℃、2時間乾燥させ、酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を収量7.00g(収率55.1%)で得た。
【0039】
製造実施例2(モル比Fe:Si((a):(B))=10:1.0ハイブリッド粉体)
3.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mlに、1.0mol/Lの塩化鉄(III)水溶液50mlを滴下速度100ml/hにて滴下し、40℃、1時間の条件にて反応させ、水酸化鉄(III)を調製した。この水酸化鉄(III)に、0.005molの反応性オルガノポリシロキサンX-24-9050を2−プロパノール50mlに溶解させた溶液を、徐々に滴下後、60℃、2時間の条件にて反応させた。得られた分散液を吸引濾過にて濾別し、2−プロパノールにて数回洗浄後、茶褐色のスラリー状物を得た。これを100℃、2時間乾燥させ、酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を収量7.85g(収率76.6%)で得た。
【0040】
製造実施例3(モル比Fe:Si((a):(B))=10:0.5ハイブリッド粉体)
3.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mlに、1.0mol/Lの塩化鉄(III)水溶液50mlを滴下速度100ml/hにて滴下し、40℃、1時間の条件にて反応させ、水酸化鉄(III)を調製した。この水酸化鉄(III)に、0.0025molの反応性オルガノポリシロキサンX-24-9050を2−プロパノール50mlに溶解させた溶液を、徐々に滴下後、60℃、2時間の条件にて反応させた。得られた分散液を吸引濾過にて濾別し、2−プロパノールにて数回洗浄後、茶褐色のスラリー状物を得た。これを100℃、2時間乾燥させ、酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を収量5.70g(収率73.1%)で得た。
【0041】
製造実施例4(モル比Fe:Si((a):(B))=10:0.05ハイブリッド粉体)
3.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mlに、1.0mol/Lの塩化鉄(III)水溶液50mlを滴下速度100ml/hにて滴下し、40℃、1時間の条件にて反応させ、水酸化鉄(III)を調製した。この水酸化鉄(III)に、0.00025molの反応性オルガノポリシロキサンX-24-9050を2−プロパノール50mlに溶解させた溶液を、徐々に滴下後、60℃、2時間の条件にて反応させた。得られた分散液を吸引濾過にて濾別し、2−プロパノールにて数回洗浄後、茶褐色のスラリー状物を得た。これを100℃、2時間乾燥させ、酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を収量4.80g(収率85.9%)で得た。
【0042】
製造比較例1(モル比Fe:Si((a):(B))=10:2)
3.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mlに、1.0mol/Lの塩化鉄(III)水溶液50mlを滴下速度100ml/hにて滴下し、40℃、1時間の条件にて反応させ、水酸化鉄(III)を調製した。この水酸化鉄(III)に、0.01molの反応性オルガノポリシロキサンX-24-9050を2−プロパノール50mlに溶解させた溶液を、徐々に滴下後、60℃、2時間の条件にて反応させた。得られた分散液を吸引濾過にて濾別し、2−プロパノールにて数回洗浄後、茶褐色のスラリー状物を得た。これを100℃、2時間乾燥させ酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を収量7.05g(収率52.4%)で得た。この粉体に力をかけるとややべたつきが生じた。
【0043】
試験例1
電子顕微鏡による観察:
製造実施例1〜4で得られた粉体を乳鉢にて充分に磨り潰し、走査型電子顕微鏡で観察した。製造比較例1で得られた粉体についても、同様に顕微鏡で観察した。それぞれの粉体の電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0044】
試験例2
固体触媒活性の評価(1):
製造実施例1〜4で得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体について、特開2009−222702号公報に記載のカルテノイド系色素を用いた粉体の固体触媒活性評価法により評価した。すなわち、0.025g/Lのアスタキサンチン/トリ2−エチルへキサン酸グリセリル溶液24gに、各粉体2gを添加し、1時間超音波にて分散後、溶液の半分を遠心分離し、アスタキサンチン(吸光ピーク473.5nm)の吸光度測定(UV−2500 SHIMADZU社製)を行った。また溶液の半分は、50℃の恒温槽に1週間保管後、同様に吸光度測定を行った。固体触媒活性によるアスタキサンチンの褪色率(%)は、分散直後の吸光度を初期値とし、以下の式にて算出した。
【0045】
褪色率(%)=(A−B)/A×100
A:分散直後のアスタキサンチンの吸光度
B:50℃1週間後のアスタキサンチンの吸光度
【0046】
また、固体触媒活性を以下の判定基準に基づき判定した。退色率と共に表1に示す。なお、黄酸化鉄、黒酸化鉄についても同様に評価を行った。また、これらを下記の方法でシリコーン処理したものについても同様に評価した。なお、判定基準は、各粉体を配合した製品中の変臭、変色の有無から、褪色率40%未満は問題ないと判断されたことに基づき、下記のように設定した。
【0047】
(シリコーン処理2%黄酸化鉄及びシリコーン処理2%黒酸化鉄の製造方法)
ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサンをイソプロピルアルコールに20%溶解した溶液10質量部を、黄酸化鉄または黒酸化鉄98質量部に徐々に添加しながら、ヘンシェルミキサーにて混合する。次いで、125℃で乾燥後、シリコーン処理物を得る。
(判定基準)
◎:褪色率が30%未満である。
○:褪色率が30%以上、40%未満である。
△:褪色率が40%以上、60%未満である。
×:褪色率が60%以上である。
【0048】
【表1】
【0049】
表1に示した結果より、製造実施例の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、黄酸化鉄、黒酸化鉄、シリコーン処理黄酸化鉄、シリコーン処理黒酸化鉄と比較し、固体触媒活性が低いことが示された。
【0050】
試験例3
固体触媒活性の評価(2):
皮脂成分であるオレイン酸について、劣化試験を実施した。オレイン酸と製造実施例1〜4で得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を10:1の比率で混合し、超音波機(BRANSONIC 1510J−DTH 42kHz)を用いて1時間分散した。これらと、標準品として粉体を配合しないオレイン酸のみのものを、50℃の恒温槽に1週間保管後、変臭を標準品と比べ評価し、劣化抑制効果を確認した。劣化抑制は以下の判定基準に基づき判定した。なお、比較として黄酸化鉄と黒酸化鉄および試験例2で調製したこれらのシリコーン処理物を用いた。その結果を表2に示す。
【0051】
(判定基準)
◎:標準品と全く変らない。
○:標準品よりわずかに変臭があるが殆ど変らない。
△:標準品より少し変臭があり変化したことがわかる。
×:標準品よりかなり変臭があり変化したことがわかる。
【0052】
【表2】
【0053】
表2より、製造実施例1〜4の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、黄酸化鉄、黒酸化鉄、シリコーン処理黄酸化鉄、シリコーン処理黒酸化鉄と比較し、皮脂の酸化劣化を有効に抑制することが示された。
【0054】
試験例4
粉体分散性の評価:
製造実施例1〜4で得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の油剤への分散性を評価した。比較として、製造比較例1で得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体、赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄および試験例2と同様にして処理したこれらのシリコーン処理物を用いた。油剤として2−エチルヘキサン酸グリセリル20質量部に各試料0.5質量部を添加して分散し、超音波にて1時間分散後、沈降管に入れ、液面を25cmに調整した。下記の判定基準に基づき、3日後の分散層の厚みからその分散性を評価した。結果を表3に示す。
【0055】
(判定基準)分散性判定方法
◎:分散層が15cm以上ある。
○:分散層が10cm以上、15cm未満である。
△:分散層が5cm以上、10cm未満である。
×:分散層が5cm未満である。
【0056】
【表3】
【0057】
表3より、製造実施例の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄と比較し、分散性が高いことが示された。
【0058】
試験例5
粉体分散物の紫外線遮断能の評価:
(粉体分散物の調製方法)
下記に示す処方の粉体分散物を、3本ローラーで各成分を分散することにより調製した。粉体として、製造実施例1〜4及び製造比較例1で得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体、赤酸化鉄、黄酸化鉄を用いた。
(成分) (質量部)
1.1,3−ブチレングコール 2
2.セスキオレイン酸ソルビタン 0.2
3.ポリオキシエチレン(E,O.20)ソルビタンモノオレート 0.4
4.レシチン 0.3
5.粉体 2
【0059】
(透過率測定)
得られた各粉体分散物を、ドクターブレード(6μm)にて石英版に塗布し、吸光度測定装置(UV−2500 SHIMADZU社製)にて320nm〜700nm透過率を測定した。製造実施例1〜3および赤酸化鉄の測定結果を図2に示す。また、波長360nmにおける透過率について、下記紫外線遮断能の判定基準に基づき判定した。その結果を表4に示す。
【0060】
(判定基準)
◎:360nmの透過率(%)が5%未満である。
○:360nmの透過率(%)が5%以上、10%未満である。
△:360nmの透過率(%)が10%以上、15%未満である。
×:360nmの透過率(%)が15%以上である。
【0061】
【表4】
【0062】
表4より、製造実施例1〜4の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、製造比較例1のハイブリッド粉体や赤酸化鉄、黄酸化鉄と比較し、紫外線遮断能に優れることが示された。また、図2より、赤酸化鉄の遮断領域は、560nm付近から320nmであり、その透過率は約15%であるが、製造実施例2、3のハイブリッド粉体の遮断領域は、それよりも低波長側にシフト(ブルーシフト)し、400nm付近から320nmにあり、その透過率は、約0.5%と低く、赤酸化鉄と比較して、UV−AおよびB領域の遮断能に優れることが分かった。また、製造実施例1のハイブリッド粉体においても、400nm付近から320nmでは、赤酸化鉄よりも高い遮断能を有することが分かった。
【0063】
実施例1〜4および比較例1〜4
下記表5に示す処方のO/W型下地を以下の製造方法により調製した。得られたO/W型下地について、化粧料評価専門パネル20名に、「化粧膜の均一性」、「滑らかな使用感」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を用いて、以下の判定基準に従って判定した。結果を併せて表5に示す。なお、酸化鉄および製品中のFe含量の計算値を表中に示す。
【0064】
[評価基準]
(評価結果) : (評点)
非常に良好 : 6点
良好 : 5点
やや良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
非常に不良 : 0点
【0065】
[判定基準]
(評点の平均) : (判定)
5.0以上 : ◎ 非常に良好
3.5以上〜5.0未満: ○ 良好
1.5以上〜3.5未満: △ 不良
1.5未満 : × 非常に不良
【0066】
(紫外線防御効果)
また、各O/W型下地に対して、SPFアナライザー(Labsphere社製 UV−2000S)を用いて、In−VitroによるSPF値を測定した。測定条件は、各O/W型下地約0.2gをトランスポアテープ(3M社)に均一に塗布後、280−400nmの範囲におけるSPF値を測定し、以下の評価基準に従って判定した。結果を併せて表5に示す。
【0067】
(評価基準)
◎:SPF値が15以上である。
○:SPF値が10以上、15未満である。
△:SPF値が5以上、10未満である。
×:SPF値が5未満である。
【0068】
【表5】
*1:CARBOPOL 940(LUBRISOL ADVANCED MATERIALS A社製)
*2:ペミュレンTR−1(NOVEON社製)
*3:レシチンCLO(J−オイルミルズ社製)
【0069】
(製法)
(1)成分1〜4を80℃にて均一に溶解する。
(2)成分5〜9を80℃にて均一に溶解する。
(3)(2)に(1)を添加し、80℃にて乳化した後、成分10を加え、混合する。
(4)成分11〜21をローラーにて処理する。
(5)冷却した(3)に(4)を加え、混合する。
(6)(5)を脱泡し、容器に充填する。
【0070】
実施例1〜4のO/W型下地は、「紫外線遮断効果」、「化粧膜の均一性」、「滑らかな使用感」に優れたO/W型下地であった。比較例1〜3のO/W型下地は、紫外線遮断効果、化粧膜の均一性、滑らかな使用感全てに劣るものであった。比較例4のO/W型下地は、紫外線遮断能には優れるものの酸化鉄の配合量が多いため、化粧膜の均一性、滑らかな使用感に劣るものであった。
実施例1のO/W型下地中に含まれるFe含有量は、比較例2、3のO/W型下地中に含まれるFe含有量と比較して低い値であるが、紫外線防御効果が高いものであった。これは、ブルーシフトにより製造実施例1のハイブリッド粉体のUV−AおよびB領域の遮断能が高くなったこと、及び化粧膜の均一性(分散性)が従来の酸化鉄と比較して優れることが考えられる。
【0071】
実施例5 O/W型ファンデーション
下記処方のO/W型ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.5
2.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
3.1,3−ブチレングリコール 10.0
4.シリコーン処理酸化チタン *4 10.0
5.シリコーン処理ベンガラ *4 0.4
6.製造実施例1のハイブリッド粉体 2.0
7.シリコーン処理黒酸化鉄 *4 0.1
8.シリコーン処理タルク *4 5.0
9.カルボキシビニルポリマー *1 0.3
10.トリエタノールアミン 1.0
11.精製水 残量
12.エタノール 2.0
13.ステアリン酸 1.0
14.ベヘニルアルコール 0.5
15.流動パラフィン 2.0
16.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
17.パラメトキシケイ皮酸2−エチルへキシル 2.0
18.ワセリン 0.5
19.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.1
20.香料 0.05
*4:ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン5%処理(ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサンをイソプピルアルコールに溶解した溶液を、各粉体に徐々に添加しながら、ヘンシェルミキサーにて混合し、次いで125℃で乾燥したもの)
【0072】
(製法)
(1)成分1〜8をローラーにて均一に分散する。
(2)成分9〜11を均一に混合する。
(3)(2)に(1)を添加し、均一に混合する。
(4)成分13〜19を80℃にて混合溶解する。
(5)(3)に(4)を80℃にて添加し、乳化し、成分12を加え、混合する。
(6)(5)を冷却し、成分20を添加し、O/W型ファンデーションを得た。
【0073】
得られたO/W型ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたO/W型ファンデーションであった。
【0074】
実施例6 W/O型ファンデーション
下記処方のW/O型ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイル
メチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体 *5 2.0
2.PEG−3ジメチコン *6 1.0
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
4.製造実施例2のハイブリッド粉体 3.0
5.シリコーン処理赤酸化鉄 *7 0.5
6.シリコーン処理黄酸化鉄 *7 0.5
7.シリコーン処理黒酸化鉄 *7 0.5
8.シリコーン処理酸化チタン *4 10.0
9.シリコーン処理タルク *4 5.0
10.トリ2−エチルへキサン酸グリセリル 10.0
11.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
12.精製水 残量
13.塩化ナトリウム 0.5
14.1,3−ブチレングリコール 10.0
15.エタノール 5.0
16.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.1
17.香料 0.05
*5:KF−6026(信越化学工業社製)
*6:KF−6015(信越化学工業社製)
*7:ジメチルポリシロキサン3%処理(ジメチルポリシロキサをイソプピルアルコールに溶解した溶液を、各粉体に徐々に添加しながら、ヘンシェルミキサーにて混合し、次いで125℃で乾燥したもの)
【0075】
(製法)
(1)成分1〜3を均一に混合する。
(2)成分4〜11をローラーにて均一に分散する。
(3)(1)に(2)を添加し、均一混合する。
(4)(3)に成分12〜17を添加、乳化し、W/O型ファンデーションを得た。
【0076】
得られたW/O型ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたW/O型ファンデーションであった。
【0077】
実施例7 油性固形状ファンデーション
下記処方の油性固形状ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.タルク 15.0
2.マイカ 10.0
3.シリコーン処理酸化チタン *4 15.0
4.製造実施例3のハイブリッド粉体 5.0
5.シリコーン処理ベンガラ *4 0.2
6.シリコーン処理黄酸化鉄 *7 0.5
7.シリコーン処理黒酸化鉄 *7 0.2
8.ポリエチレンワックス 7.0
9.マイクロクリスタリンワックス 6.0
10.トリ2−エチルへキサン酸グリセリル 残量
11.ジメチルポリシロキサン *8 10.0
12.流動パラフィン 20.0
13.ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイル
メチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体 *5 2.0
14.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.1
15.香料 0.02
*8:KF―96(20CS)(信越化学工業社製)
【0078】
(製法)
(1)成分8〜14を90℃にて加熱溶解する。
(2)(1)に成分1〜7を添加し、ローラーにて均一に分散する。
(3)(2)に成分15を添加し、80℃にて溶解後、金皿に充填し、油性固型ファンデーションを得た。
【0079】
得られた油性固形状ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた油性固形状ファンデーションであった。
【0080】
実施例8 固形粉末状ファンデーション
下記処方の固形粉末状ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.シリコーン処理酸化チタン *4 15.0
2.タルク 残量
3.製造実施例3のハイブリッド粉体 3.0
4.シリコーン処理ベンガラ *4 0.3
5.シリコーン処理黄酸化鉄 *7 0.5
6.シリコーン処理黒酸化鉄 *7 0.1
7.マイカ 20.0
8.ナイロン末 2.0
9.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
10.流動パラフィン 3.0
11.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 3.0
12.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
13.香料 0.15
【0081】
(製法)
(1)成分1〜8を均一に混合する。
(2)(1)に成分9〜13を添加し、均一に混合する。
(3)(2)をパルベライザーで粉砕する。
(4)(3)を金皿に充填し、固形粉末型ファンデーションを得た。
【0082】
得られた固形粉末状ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた固形粉末状ファンデーションであった。
【0083】
実施例9 粉末状ファンデーション
下記処方の粉末状ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.架橋型メチルポリシロキサン混合物 *9 7.0
2.ジメチルポリシロキサン *10 1.0
3.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
4.ラウロイル−L−リジン 40.0
5.ナイロン末 10.0
6.タルク 残量
7.酸化チタン 7.0
8.製造実施例4のハイブリッド粉体 1.5
9.赤酸化鉄 0.1
10.黄酸化鉄 0.5
11.黒酸化鉄 0.1
12.窒化ホウ素 5.0
13.香料 0.1
*9:KSG−16(信越化学工業社製)
*10:KF−96(6CS)(信越化学工業社製)
【0084】
(製法)
(1)成分1〜2をデスパーミキサーにて混合しゲルを調製する。
(2)成分3〜13をスーパーミキサーにて混合分散する。
(3)(2)に(1)を加えて、攪拌する。
(4)(3)を容器に充填して粉末状ファンデーションを得た。
【0085】
得られた粉末状ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた粉末状ファンデーションであった。
【0086】
実施例10 油性アイシャドウ
下記処方の油性アイシャドウを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸デキストリン *11 2.0
2.リンゴ酸ジイソステアリル 2.5
3.2−エチルヘキサン酸セチル 15.0
4.パルミチン酸デキストリン *12 12.0
5.流動パラフィン 残量
6.水添ポリイソブテン 1.5
7.無水ケイ酸 6.0
8.ナイロン末 5.0
9.シリコーン処理タルク *4 0.5
10.製造実施例1のハイブリッド粉体 5.0
11.赤色202号 0.05
12.黄色4号アルミニウムレーキ 0.05
13.青色1号アルミニウムレーキ 0.05
14.雲母チタン 1.5
15.香料 0.2
*11:レオパールTT(千葉製粉社製)
*12:レオパールKL(千葉製粉社製)
【0087】
(製法)
(1)成分1〜6を100℃で溶解混合する。
(2)(1)に成分7〜15を加え、3本ローラーにて均一に分散する。
(3)(2)を80℃で容器に流し込み、冷却固化して油性アイシャドウを得た。
【0088】
得られた油性アイシャドウは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた油性アイシャドウであった。
【0089】
実施例11 固形粉末状アイシャドウ
下記処方の固形粉末状アイシャドウを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.雲母チタン 30.0
2.タルク 残量
3.製造実施例2のハイブリッド粉体 5.0
4.黄色401号 1.0
5.赤色202号 0.5
6.ナイロン末 2.0
7.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 4.0
8.流動パラフィン 4.0
9.ワセリン 1.0
10.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.3
11.香料 0.2
【0090】
(製法)
(1)成分1〜6を均一に混合する。
(2)(1)に成分7〜11を添加し、均一に混合する。
(3)(2)をパルベライザーで粉砕する。
(4)(3)を金皿に充填し、固形粉末状アイシャドウを得た。
【0091】
得られた固形粉末状アイシャドウは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた固形粉末状アイシャドウであった。
【0092】
実施例12 水系ジェル状ファンデーション
下記処方の水系ジェル状ファンデーションを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.ジェランガム *15 0.5
2.プロピレングリコール 5.0
3.1,3−ブチレングリコール 10.0
4.グリセリン 3.0
5.水添レシチン *16 1.0
6.スクワラン 1.0
7.ナイロン粉末 10.0
8.酸化チタン 8.0
9.製造実施例3のハイブリッド粉体 2.0
10.黄酸化鉄 0.2
11.ベンガラ 0.05
12.黒酸化鉄 0.01
13.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
14.香料 0.05
15.精製水 残量
*15:ケルコゲルLT100(大日本住友製薬社製)
*16:ベイシスLS−60HR(日清オイリオグループ社製)
【0093】
(製法)
(1)成分1、2、15を加温溶解する。
(2)成分3〜13を混練処理する。
(3)(1)に(2)を加え冷却し、成分14を添加して水系ジェル状ファンデーションを得た。
【0094】
得られた水系ジェル状ファンデーションは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた水系ジェル状ファンデーションであった。
【0095】
実施例13 固形粉末状フェイスカラー
下記処方の固形粉末状フェイスカラーを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.雲母 30.0
2.タルク 残量
3.合成金雲母 10.0
4.製造実施例4のハイブリッド粉体 1.0
5.赤226号 0.2
6.流動パラフィン 4.0
7.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 4.0
8.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
9.香料 0.2
【0096】
(製法)
(1)成分1〜5を均一に混合する。
(2)(1)に成分6〜9を添加し、均一に混合する。
(3)(2)をパルベライザーで粉砕する。
(4)(3)を金皿に充填し、固形粉末状フェイスカラーを得た。
【0097】
得られた固形粉末状フェイスカラーは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた固形粉末状フェイスカラーであった。
【0098】
実施例14 スティック状口紅
下記処方のスティック状口紅を以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.ポリエチレンワックス 7.0
2.マイクロクリスタリンワックス 3.0
3.パラフィンワックス 2.0
4.トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 20.0
5.テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 10.0
6.ジメチルポリシロキサン *8 3.0
7.2−エチルヘキサン酸セチル 残量
8.製造実施例1のハイブリッド粉体 4.0
9.赤202号 0.5
10.黄色4号 2.0
11.酸化チタン 0.1
12.酸化チタン処理合成金雲母 *17 3.0
*17:プロミネンス YF(日本光研工業社製)
【0099】
(製法)
(1)成分1〜7を100℃にて均一に溶解混合する。
(2)(1)に成分8〜12を添加し、3本ローラーにて均一に分散する。
(3)(2)を85℃に加熱後、容器に流し込み、冷却してスティック状口紅を得た。
【0100】
得られたスティック状口紅は粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたスティック状口紅であった。
【0101】
実施例15 油性アイライナー
下記処方の油性アイライナーを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.パラフィンワックス 8.0
2.ポリイソブチレン 16.0
3.ポリエチレンワックス 8.0
4.水添マイクロクリスタリンワックス 3.0
5.軽質流動イソパラフィン 残量
6.製造実施例2のハイブリッド粉体 15.0
7.シリコーン処理黒酸化鉄 *7 1.0
8.シリコーン処理タルク *4 5.0
【0102】
(製法)
(1)成分1〜4を100℃に加温し、均一混合する。
(2)成分5〜8を均一混合する。
(3)(1)に(2)を添加し、均一に混合する。
(4)(3)をローラーにて処理し、油性アイライナーを得た。
【0103】
得られた油性アイライナーは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた油性アイライナーであった。
【0104】
実施例16 アイブロウ
下記処方のアイブロウを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.アクリル酸アルキル共重合体エマルション *18 30.0
2.L−アルギニン 1.0
3.精製水 残量
4.エタノール 15.0
5.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.5
6.1,3−ブチレングリコール 3.0
7.製造実施例3のハイブリッド粉体 3.0
8.黒酸化鉄 0.01
9.黄酸化鉄 0.01
10.ベンガラ 0.01
11.防腐(1,2−ペンタンジオール) 0.2
12.香料 0.1
*18:ヨドゾールGH41F(アクゾノーベル社製)
【0105】
(製法)
(1)成分1〜4を均一に混合する。
(2)成分5〜10をローラーにて処理する。
(3)(1)に(2)、成分11、12を添加後、均一に混合し、アイブロウを得た。
【0106】
得られたアイブロウは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたアイブロウであった。
【0107】
実施例17 非水系マスカラ
下記処方の非水系マスカラを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.ロジン酸ペンタエリトリット 10.0
2.キャンデリラ樹脂 *19 3.0
3.ミツロウ 2.0
4.パラフィンワックス 1.0
5.マイクロクリスタリンワックス 0.6
6.ポリエチレンワックス 0.4
7.パルミチン酸デキストリン *12 2.0
8.トリメチルシロキシケイ酸 *20 6.0
9.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 5.0
10.プロピオンカーボネート 1.0
11.軽質流動イソパラフィン 残量
12.製造実施例4のハイブリッド粉体 7.0
13.シリカ 3.0
14.タルク 5.0
*19:キャンデリラ樹脂E−1(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*20:シリコンKF−9021(信越化学工業社製)
【0108】
(製法)
(1)成分1〜7を110℃に加温する。
(2)(1)に成分8〜11を添加混合する。
(3)(2)に成分12〜14を添加混合する。
(4)(3)を3本ローラーにて処理し、非水系マスカラを得た。
【0109】
得られた非水系マスカラは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた非水系マスカラであった。
【0110】
実施例18 O/W型マスカラ
下記処方のO/W型マスカラを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.ステアリン酸 2.0
2.ミツロウ 10.0
3.セトステアリルアルコール 1.0
4.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 1.5
5.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
6.製造実施例1のハイブリッド粉体 7.0
7.無水ケイ酸 3.0
8.精製水 残量
9.1,3−ブチレングリコール 10.0
10.トリエタノールアミン 1.5
11.アクリル酸アルキル共重合体エマルション *18 30.0
13.防腐剤(1,2−ペンタンジオール) 0.2
14.香料 0.2
【0111】
(製法)
(1)成分1〜7を80℃にて均一に混合する。
(2)成分8〜14を80℃にて均一に混合する。
(3)(1)に(2)を添加し、乳化する。
(4)(3)を冷却し、O/W型マスカラを得た。
【0112】
得られたO/W型マスカラは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたO/W型マスカラであった。
【0113】
実施例19 W/O型日焼け止め料
下記処方のW/O型日焼け止め料を以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.酸化亜鉛 10.0
2.シリコーン処理微粒子酸化チタン *4 5.0
3.製造実施例2のハイブリッド粉体 5.0
4.セスキイソステアリン酸ソルビタン 1.0
5.トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 10.0
6.パルミチン酸2−エチルヘキシル 5.0
7.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
8.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 10.0
9.メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・
オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体 *21 2.0
10.精製水 残量
11.塩化ナトリウム 0.2
12.エタノール 5.0
13.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
14.香料 0.1
*21:ABIL EM90(EVONIC GOLDSCHMIDT GMBH社製)
【0114】
(製法)
(1)成分1〜5を3本ローラーにて均一に分散する。
(2)(1)に成分6〜9を添加し、均一に混合する。
(3)(2)に成分10〜14を添加しながら乳化し、W/O型日焼け止め料を得た。
【0115】
得られたW/O型日焼け止め料は粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れたW/O型日焼け止め料であった。
【0116】
実施例20 水系ジェル状アイシャドウ
下記処方の水系ジェル状アイシャドウを以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.シリコーン処理タルク *4 2.0
2.レシチン *3 0.2
3.セスキオレイン酸ソルビタン 0.1
4.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(E.O.20)ソルビタン 0.2
5.防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.2
6.製造実施例3のハイブリッド粉体 2.0
7.1,3−ブチレングリコール 2.0
8.合成金雲母 15.0
9.フッ素処理雲母チタン *22 15.0
10.フッ素処理ガラス末 *23 3.0
11.(ポリエチレンテレフタレート/ポリメタクリル酸メチル)積層末 *24
3.0
12.ジェランガム *15 0.5
13.1,3−ブチレングリコール 13.0
14.精製水 残量
15.キレート剤(エデト酸二ナトリウム) 0.2
16.香料 0.2
*22:パーフルオロオクチルトリエトキシシラン2%処理
*23:パーフルオロオクチルトリエトキシシラン2%処理のメタシャインMC1080TY(日本板硝子社製)
*24:オーロラフレークバイオレット0.05(角八魚鱗箔)
【0117】
(製法)
(1)成分12〜15を均一に混合し、80℃にて膨潤する。
(2)成分1〜7を3本ローラーにて均一に分散する。
(3)(1)に(2)を添加し、均一に分散する。
(4)(3)に成分8〜11を添加し、均一に分散する。
(5)(4)に成分16を加え、脱泡後、容器に充填し、水系ジェル状アイシャドウを得た。
【0118】
得られた水系ジェル状アイシャドウは粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果、色ムラのない均一な化粧膜、滑らかな使用感に優れた水系ジェル状アイシャドウであった。
【0119】
実施例21 油性顔料インク組成物
下記処方の油性顔料インク組成物を以下の製法により調製した。
(分散剤A)
(成分) (%)
1.製造実施例1のハイブリッド粉体 25.0
2.分散剤 *25 25.0
3.エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 50.0
*25:SOLSPERSE32550(ルーブリゾール社製)
(製法)
(1)成分1〜3を、直径0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)により2時間分散し、分散液Aを得た。
【0120】
(組成物)
(成分) (%)
1.分散液A 12.0
2.塩化ビニル樹脂 *26 1.7
3.プロピレングリコールジアセテート(有機溶媒) 21.3
4.3−メトキシブチルアセテート(有機溶媒) 20.0
5.ジプロピレングリコールジメチルエーテル(有機溶媒) 25.0
6.N−メチル−2−ピロリドン(有機溶媒) 20.0
*26:UCAR Solution Vinyl Resin VYHD(分子量22000、ダウ・ケミカル社製)
(製法)
(1)成分1〜6をマグネチックスターラーにより30分間攪拌する。
(2)ガラス繊維ろ紙GFP(株式会社桐山製作所製、補足粒子0.8μm)を用いて、吸引ろ過を行い、油性ブラウンインク組成物を調製した。
【0121】
得られた油性顔料インク組成物は、粉体分散性に優れ、定着性、保存安定性に優れるものであった。
【0122】
実施例22 塗料
下記処方の塗料を以下の製法により調製した。
(成分) (%)
1.メタクリル酸メチル樹脂 *27 30.0
2.分散剤 *25 14.0
3.酢酸エチル 26.0
4.製造実施例2のハイブリッド粉体 30.0
*27:パラペットG(クラレ社製)
(製法)
(1)成分1〜4を直径0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)により2時間分散し、塗料を得た。
【0123】
得られた塗料は、粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果に優れるものであった。
【0124】
実施例23 樹脂劣化防止フィラー剤を添加した樹脂シート
以下の方法により、樹脂シートを成形した。
(成分) (%)
1.軟質ポリ塩化ビニル 98.0
2.製造実施例3のハイブリッド粉体 2.0
(製法)
(1)成分1、2を混合し、加熱ロールに圧延して0.24mmのシートを成形した。
【0125】
得られた成形シートは、粉体分散性に優れ、紫外線遮断効果に優れるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の製造方法は、低コストかつ高収率で酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を得ることが可能な方法として有用なものである。また、本発明の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体は、粉体分散性に優れ、使用感が良好で、また優れた紫外線防御能を有することから、化粧料の原料として優位に利用できる。さらに、インクや塗料に利用したり、固体触媒活性が低いことから、樹脂の劣化防止用フィラー剤としても利用することも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)塩化鉄(III)をアルカリと反応させて(a)水酸化鉄(III)を得て、この(a)水酸化鉄(III)に(B)下記一般式(1)
【化1】
(式中、Rは同一または異なってもよく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示
し、Xはエーテル結合(−O−)を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を示
し、nは1〜12である)
で表されるオルガノポリシロキサンをモル比((a):(B))10:0.05〜10:1.5で添加して反応させることを特徴とする酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の製造方法。
【請求項2】
(a)水酸化鉄(III)と(B)一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンとの反応を30〜110℃で行うものである請求項1記載の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の製造方法。
【請求項3】
(A)塩化鉄(III)をアルカリと反応させて(a)水酸化鉄(III)を得て、この(a)水酸化鉄(III)に(B)下記一般式(1)
【化2】
(式中、Rは同一または異なってもよく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示
し、Xはエーテル結合(−O−)を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を示
し、nは1〜12である)
で表されるオルガノポリシロキサンを、モル比((a):(B))10:0.05〜10:1.5で反応させて得られる酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体。
【請求項4】
請求項3に記載の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を配合してなる化粧料。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の製造方法により得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を配合してなる化粧料。
【請求項1】
(A)塩化鉄(III)をアルカリと反応させて(a)水酸化鉄(III)を得て、この(a)水酸化鉄(III)に(B)下記一般式(1)
【化1】
(式中、Rは同一または異なってもよく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示
し、Xはエーテル結合(−O−)を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を示
し、nは1〜12である)
で表されるオルガノポリシロキサンをモル比((a):(B))10:0.05〜10:1.5で添加して反応させることを特徴とする酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の製造方法。
【請求項2】
(a)水酸化鉄(III)と(B)一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンとの反応を30〜110℃で行うものである請求項1記載の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体の製造方法。
【請求項3】
(A)塩化鉄(III)をアルカリと反応させて(a)水酸化鉄(III)を得て、この(a)水酸化鉄(III)に(B)下記一般式(1)
【化2】
(式中、Rは同一または異なってもよく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示
し、Xはエーテル結合(−O−)を有していてもよい炭素数2〜4のアルキレン基を示
し、nは1〜12である)
で表されるオルガノポリシロキサンを、モル比((a):(B))10:0.05〜10:1.5で反応させて得られる酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体。
【請求項4】
請求項3に記載の酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を配合してなる化粧料。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の製造方法により得られた酸化鉄・オルガノポリシロキサンハイブリッド粉体を配合してなる化粧料。
【図2】
【図1】
【図1】
【公開番号】特開2011−213800(P2011−213800A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81548(P2010−81548)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]