説明

酸増粘食品組成物及び食品

本発明は、高粘度乳タンパク質及びタンパク質を増粘させるための十分な酸性度を欠く香味料からなる食品組成物、該組成物からなる食品、並びに該組成物の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年6月8日に出願された米国仮出願第60/688,654号、2005年10月18日に出願された米国仮出願第60/728,210号、及び2005年10月31日に出願された米国出願第11/263,815の利益を主張し、それらの内容はそれらの全体において本明細書中に引用により取り込まれている。
【0002】
(1.本発明の分野)
本発明は、高粘度乳タンパク質及び該乳タンパク質を増粘させるための十分な酸性度を欠く香味料を含む食品組成物、該組成物を含む食品、並びに該組成物の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(2.本発明の背景)
パイ及び同様のデザートは数代にわたって消費者を楽しませてきた。注目に値するパイは、その風味及び食感で高く評価されている。多くのパイの食感は、粘度の高いフィリングによりもたらされる。フィリングは、例えば澱粉、ゼラチン、又はタンパク質濃厚剤などの種々の方法によって粘度を高くすることができる。キーライムパイはパイの中でも有名である。キーライムパイの風味及び稠度(consistency)と適合できる食品組成物はほとんどない。当業者は、キーライムパイのすばらしい食感が、ライムジュースの作用により、ミルク及び卵のタンパク質の粘度が上昇したためであることを認識するであろう。実際、キーライムジュースによって、全く焼かずに又は冷蔵せずに、キーライムパイの粘度を高くすることができる。
【0004】
残念なことに、キーライムパイの食感があり、他の風味を有する食品はほとんどない。同様の食品を、レモンジュースを使用して製造することができ、得られるものはレモン風味である。レモン又はライム以外の風味を有する高粘度食品組成物を調製する試みでは、多くの場合、扱いにくい液体組成物になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、酸増粘食品組成物及び食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(3.発明の要旨)
著しいことに、本発明は、高粘度タンパク質パイから風味の制限を取り除く食品組成物を提供して、ライム及びレモン以外の風味の範囲を広げる。実際、本発明は、当業者が想像できるあらゆる風味、特にレモン又はライム以外の風味と組み合わせた、キーライムパイの高粘度乳タンパク質を有する食品組成物を提供する。
【0007】
特定の動作理論により制限されることを意図するものではないが、本発明は、食品組成物の味を損なうことなく、キーライムパイに期待される稠度まで乳タンパク質を増粘させることができる、特定の食酸を使用することにある程度基づいている。したがって、本発明は、高粘度乳タンパク質及びレモン又はライム以外の香味料を含む、食品組成物を提供する。
【0008】
ひとつの態様において、本発明は、乳タンパク質、及びレモン又はライム以外の香味料を含む食品組成物を提供する。乳タンパク質は、当業者に公知の任意の乳タンパク質源からできたものでよい。食品組成物は甘味料を含んでもよい。該甘味料は、当業者に公知の任意の甘味料でよく、乳タンパク質の粘度及び稠度を維持するのに十分な量であることが好ましい。好ましい実施態様において、乳タンパク質及び砂糖は、加糖練乳の形態である。食品組成物は、卵を、例えば、卵黄のみ、卵白のみ、又は両方の形態で、場合によって含むことができる。
【0009】
レモンジュース又はライムジュース以外を使用して乳タンパク質を増粘させるには、当業者に明らかな方法で乳タンパク質を増粘させることができる。好ましい実施態様において、乳タンパク質を増粘させるのに十分な量の1種以上の食酸を加えることにより、乳タンパク質を増粘させる。食酸は、当業者に公知の任意の食酸でもよい。ある実施態様において、該食酸は、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、及びアジピン酸からなる群から選択される。有利な実施態様において、本発明は、アスコルビン酸及び酒石酸の両方を含む食品組成物を提供する。別の有利な実施態様において、本発明は、クエン酸、リンゴ酸、及び酒石酸を含む食品組成物を提供する。
【0010】
粘度を高くする澱粉又はゲルなどの従来の増粘剤の使用を避けることにより、本発明のある食品組成物が、従来の澱粉質又は粘着性のある高粘度食品組成物と比較して、よりすっきりした明確な風味に到達し、かつ、より長く、より豊かなその後味がさらなる満足感を与えると考えられている。したがって、ある実施態様において、本発明は、高粘度乳タンパク質を含み、澱粉及びゲルを実質的に含まない食品組成物を提供する。勿論、幾つかの実施態様において、本発明の方法で増粘された食品組成物は、本明細書中に記載された方法で増粘される限り、ある程度の澱粉又はゲルをさらに含むことができる。したがって、さらなる実施態様において、本発明は、澱粉又はゲル、或いは両方、乳タンパク質、及び該乳タンパク質を増粘させるのに十分な量の1種類以上の食酸を含む食品組成物を提供する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は本発明の食品組成物を含む食品を提供する。該食品は、本発明の方法による高粘度乳タンパク質を含む食品組成物から製造できる、当業者に明らかな任意の食品とすることができる。ある実施態様において、本発明は、パイ、カスタード、及びプディングを含むがこれらに限定されない食品を提供する。さらなる実施態様において、本発明は、本発明の食品組成物を含む機能性食品、すなわち食品薬(foodaceuticals)を提供する。本明細書中において、「機能性食品」、すなわち「食品薬」には、例えばアスコルビン酸などの追加栄養素を非常に多く含む食品が含まれる。
【0012】
別の態様において、本発明は、本発明の食料組成物を製造する方法を提供する。一般に、該方法は、乳タンパク質を十分な所定の量の1種以上の食酸と接触させて、乳タンパク質を増粘させることを含む。ある実施態様において、該組成物を加熱して、乳タンパク質を固め、潜在的食品不純物を最小限にすることができる。ある実施態様において、該組成物を冷却して乳タンパク質を増粘させることができる。
【0013】
有利なことに、本発明の酸を使用して食品組成物を増粘させる場合、酸性pH値により、消化時の食品組成物の炭水化物の吸収を遅くすることができる。本発明のある食品組成物では、吸収が遅くなることによって、より低い血糖インデックスを得ることができる。
さらに、増粘剤がアスコルビン酸を含む場合、結果として得られる食品組成物のビタミンCの栄養的価値を強化することができる。本発明のある食品組成物は、1食当たり、ビタミンCを最大500mg含むことができる。本発明の他の食品組成物は、1食当たり、ビタミンCを最大1000mg、又はそれ以上含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(4. 発明の詳細な説明)
(4.1 定義)
他に特定されていない限り、本明細書中で使用される用語は、当業者に公知の一般の意味を有する。
本発明の文脈の「増粘された(thickened)」とは、粘度が高くなり、又は凝固して、固体又は半固体の組成物を形成したタンパク質を含む組成物をいう。特定の実施態様において、本発明のある固体又は半固体の組成物がキーライムパイフィリィングの稠度を有することを、当業者は認識するであろう。別の幾つかの実施態様において、所望される他の食感と合うように、稠度を調製することができる。ある実施態様において、増粘された食品組成物をナイフで切り分け、フォークで食べることができる。一般に、冷蔵庫又は室温で液体ではなくなった食品組成物を、高粘度食品組成物とすることができる。フリーザー温度で固体状態、すなわち、本発明によれば、冷凍された乳タンパク質及び冷蔵庫内温度で液体である乳タンパク質を含む食品組成物は、増粘されていない。
【0015】
「食酸」とは、当業者が食品に有用であると認める酸をいう。食酸は、本発明の食品組成物のpHを下げるのに十分強いことが好ましい。ある実施態様において、該食酸は、米国連邦食品医薬品局などの監督機関により安全であると一般に認められている。特定の実施態様において、食酸は、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、グルコノデルタラクトン、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、酸性リン酸塩、コハク酸、酒石酸、及び酸性酒石酸カリウムからなる群から選択される。
【0016】
(4.2 本発明の実施態様)
本発明は、乳タンパク質、及び、著しいことには、レモン又はライム以外の香味料を含む高粘度食品組成物を提供する。本発明の発見によれば、食品組成物を、実質的に当業者が想像できるあらゆる風味のキーライムパイの稠度を有する高粘度乳タンパク質で製造することができる。本発明は、キーライムパイから、従来の風味の制限をすべて取り除いている。したがって、下記のとおりに調製される場合、本発明は、高粘度乳タンパク質、及びレモン又はライム以外の香味料を含む食品組成物を提供する。
【0017】
ある実施態様において、本発明は、香味剤の風味を損なうことなく、味覚を楽しませる粘度及び食感を得る香味剤並びに増粘剤を組み合わせた食品組成物を提供する。ある実施例において、本発明は、高粘度乳タンパク質及びオレンジジュースの香味料を含む食品組成物を提供する。乳タンパク質及びオレンジジュースで食品組成物を製造する従来の試みでは、パイなどの食品を得るには十分増粘されなかった。本発明のオレンジ風味のパイは粘度が高く、おいしい食感、及び同時に豊かなオレンジ風味を有している。
【0018】
本発明によれば、食品組成物の乳タンパク質は増粘されている。乳タンパク質は、受け入れ基準により増粘されていると当業者が認めるものであれば、「増粘」されている。ある実施態様において、乳タンパク質は、食品組成物が冷蔵庫内又は室温で液体ではなくなった場合、増粘されている。ある実施態様において、乳タンパク質は、食品組成物が固体又は半固体である場合、増粘されている。ある実施態様において、食品組成物を容易に注ぐことはできない。ある実施態様において、当業者が理解するように、食品組成物をナイフで切り分け、この形が崩れないように40°F(4.44℃)で保存することができる。さらなる実施態様において、当業者が理解するように、食品組成物をナイフで切り分け、この形が崩れないように40°F(4.44℃)で保存し、フォーク又はスプーンで食べることができる。
【0019】
ある実施態様において、食品組成物は、本発明の増粘剤がない場合の食品組成物の粘度よりも、実質的に高い粘度を有する。ある実施態様において、増粘時に、該食品組成物を本発明の増粘剤がない場合の食品組成物と比較すると、該食品組成物は少なくとも50%、100%、150%、200%、300%、400%、500%以上粘度が高い。幾つかの実施態様において、該食品組成物は、1500 センチポアズ(cps)、2500 cps、4000 cps, 5000 cps, 7500 cps, 10000 cps, 15000 cps, 20000 cps, 25000 cps, 30000 cps, 40000 cps, 45000 cps, 50000 cps, 60000 cps、又は 75000 cpsよりも高い粘度を有する。粘度は、当業者に公知の技術で測定することができる。
【0020】
ある実施態様において、濃厚さ、すなわち粘度を室温で測定する。さらなる実施態様において、濃厚さ、すなわち粘度を冷蔵庫内温度(例えば、35〜40°F(1.67〜4.44℃))で測定する。さらに下記のとおり、増粘させるのに十分な時間、該組成物を冷却した後で、濃厚さ、すなわち粘度を測定することが好ましい。
【0021】
(4.2.1 乳タンパク質)
乳タンパク質は、当業者に公知の任意の乳タンパク質でもよい。ある実施態様において、乳タンパク質は、所定の量の水分を取り除いたミルクの形態である。有用な実施例は、無糖練乳及び加糖練乳を含む。
ある実施態様において、乳タンパク質にもよるが、食品組成物は乳タンパク質に加えて砂糖を含む。特定の動作理論により制限されることを目的とはしないが、砂糖は本発明の食品組成物の食感及び粘度をもたらす働きがあると考えられる。また、勿論、砂糖は本発明のある食品組成物に甘味をもたらすことができる。
【0022】
ある実施態様において、乳タンパク質は加糖練乳である。加糖練乳は、当業者に公知の任意の加糖練乳、又は同等の物でもよい。例えば、加糖練乳は、含有水分の約60%を取り除き、かつ最終重量が約40 〜45%以上になるように砂糖を加えたミルクでもよい。ミルクは、全脂肪、低脂肪、又は脱脂粉乳でもよい。当業者に明らかな方法で、加糖練乳を調製又は調達することができる。特定の実施態様において、加糖練乳を、商業供給業者、例えばEagle、Meadow Gold、Carnation、 Nestle、Casa Solano、又は当業者に公知の他の供給業者から調達する。加糖練乳を含む食品組成物が好ましい。
加糖練乳の有用な代替品には、当業者に公知の任意の乳タンパク質、及び砂糖が豊富な組成物がある。実施例には、含水量を取り除いたミルクの形態が含まれる。さらなる実施例は、含水量を取り除き、かつ砂糖を加えたミルクの形態を含む。
【0023】
ある実施態様において、乳タンパク質は、無糖練乳又は植物油を加えた脱脂乳である。無糖練乳は、当業者に公知の任意の無糖練乳でもよい。例えば、ある実施態様において、無糖練乳は、含水量を取り除いた乳製品でもよい。当業者に明らかな方法で、無糖練乳を調製又は調達することができる。無糖練乳は、全脂肪、低脂肪、又は脱脂粉乳の無糖練乳でもよい。特定の実施態様において、無糖練乳を、商業供給業者、例えば、Carnation、Borden、Nestle、Albertson、又は当業者に公知の他の商業供給業者から調達する。好ましい実施態様において、本明細書中に記載されているように、無糖練乳を甘味料と混ぜ合わせる。
【0024】
ある実施態様において、本発明の食品組成物は卵をさらに含む。上記の乳製品に卵を加えることが好ましい。卵は、本発明の食品組成物を製造するのに有用な、当業者に公知の任意の形態とすることができる。例えば、ある実施態様において、卵は卵黄の形態である。さらなる実施態様において、卵は卵白の形態である。卵白をよく混ぜる又は泡立てる、或いは該食品組成物の調製を阻害しないような当業者に明らかな他の方法で調製してもよい。さらなる実施態様において、卵は卵黄及び卵白の形態である。
【0025】
卵は当業者が所望する量で存在してもよい。ある実施態様において、食品組成物は、食品組成物1kg当たり、Lサイズの卵3個〜5個の卵黄を含む。ある実施態様において、食品組成物は、食品組成物1kg当たり、Lサイズの卵3個の卵黄を含む。ある実施態様において、食品組成物は、食品組成物1kg当たり、Lサイズの卵4個の卵黄を含む。ある実施態様において、食品組成物は、食品組成物1kg当たり、Lサイズの卵5個の卵黄を含む。
【0026】
さらなる実施態様において、食品組成物は、食品組成物1kg当たり、Lサイズの卵1個以上の卵白を含む。ある実施態様において、食品組成物は、食品組成物1kg当たり、Lサイズの卵1個〜6個の卵白を含む。好ましい実施態様において、卵白をよく混ぜる、又は泡立てる。さらなる実施態様において、食品組成物は、様々な比率で、卵黄及び卵白の両方を含む。
【0027】
さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は卵を含まない。本発明の食品組成物は、卵を使用しても使用しなくても、増粘され得ることが見出されている。したがって、本発明の食品組成物は、味又は食感のために所望される場合には卵を含んでもよく、本発明の食品組成物は卵を含まなくてもよい。
【0028】
(4.2.2 任意の甘味料)
ある実施態様において、本発明の食品組成物は甘味料を含む。乳タンパク質が無糖練乳の形態である場合、甘味料が好んで使用される。乳タンパク質が加糖練乳の形態である場合、加糖練乳が砂糖を含むため、さらなる甘味料は必要ない。しかし、当業者がさらなる甘味料を所望する場合は、ある実施態様において、本発明はフルーツネクターなどの甘味のある香味料を含み、加糖練乳及びさらなる甘味料を含む食品組成物を提供する
【0029】
甘味料は、当業者に有用であるとみなされた任意の甘味料でもよい。特定の実施態様において、甘味料は、当業者に公知の単糖類、二糖類、又は多糖類の甘味料である。好ましい甘味料は、砂糖、ブラウンシュガー、粉砂糖、蜂蜜、糖蜜、及びコーンシロップであるが、これらに限定されない。前述の甘味料により、本発明の食品組成物の食感が向上し得ることが見出されている。しかし甘味料は、本発明の食品組成物を増粘させるのに必ずしも必要ではないことが見出されている。したがって、ある実施態様において、本発明の食品組成物は、甘味料を含まなくてもよい。さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は、アスパルテーム、スクラロース、又はサッカリンなどの人口甘味料を含んでもよい。
【0030】
(4.2.3 増粘剤)
本発明の食品組成物は、当業者に公知の任意の増粘剤を含んでもよい。増粘剤は、本発明の食品組成物を増粘させる、すなわち粘度を高くすることができるはずである。
ある実施態様において、増粘剤は1種以上の食酸である。ある実施態様において、食酸は、食品組成物の乳タンパクの粘度を高くする、すなわち増粘の働きをする。さらに、ある実施態様において、食酸は、本発明の食品組成物に、すっきりした味又は滑らかな食感をもたらす。
【0031】
食酸は、食用であり、かつさらに本発明の食品組成物のpHをコントロールするのに有用である、当業者に公知の任意の酸でもよい。好ましい実施態様において、該食酸は、米国連邦食品医薬品局などの監督機関により安全であると一般に認めてられている。該食酸は、現在又は本出願の出願後に安全であるとみなされ得る。ある実施態様において、本発明の食酸は、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、グルコノデルタラクトン、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、酸性リン酸塩、コハク酸、酒石酸、及び酸性酒石酸カリウムからなる群から選択される。好ましい実施態様において、食酸は、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、及び酒石酸からなる群から選択される。これらの好ましい酸により、特に満足のいく味が食品組成物にもたらされる。
【0032】
食酸がアスコルビン酸である場合、本発明の食品組成物は栄養面での効果を有利にも提供する。したがって、ある実施態様において、本発明は、アスコルビン酸が豊富な高粘度乳タンパク質を含む食品組成物を提供する。
ある実施態様において、本発明は、食酸の組み合わせを含む組成物を提供する。特定の実施態様において、本発明は、アスコルビン酸及び酒石酸を含み、食品のビタミン含有量を増加させて、従来の増粘剤よりもすっきりした味をもたらす食品組成物を得る、食品組成物を提供する。1種以上の食酸と香味料とのさらなる組み合わせは以下の実施例に記載されており、当業者には明らかだろう。
【0033】
ある実施態様において、食品中で少量では安全であるとみなされるさらなる酸を使用して、食品のpHを調製することができる。該酸には、安息香酸、塩酸、及び硫酸があるが、これらに限定されるものではない。さらなる酸味料は、当業者に明らかだろう。
ある実施態様において、1種以上の食酸が、食品組成物を増粘させるのに十分な量で本発明の食品組成物中に存在する。個々の量は、食品組成物の全体量、食品組成物の液体量、乳タンパク質、及び食酸の特性(例えば、その酸解離定数(pKa))に依存するであろう。
【0034】
ある実施態様において、組成物の乳タンパク質を増粘させるのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。該量は、本明細書中の教示内容から、当業者に明らかだろう。ある実施態様において、pH5.0未満の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、pH4.9未満の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、pH4.8未満の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、pH4.7未満の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、pH4.6未満の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、pH4.5未満の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、pH4.4未満の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、pH4.3未満の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、pH4.2未満の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、pH4.1未満の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、pH4.0未満の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。
【0035】
ある実施態様において、約pH3.0〜約5.0の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、約pH3.2〜約4.9の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、約pH3.2〜約4.8の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、約pH3.2〜約4.7の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、約pH3.2〜約4.6の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、約pH3.2〜約3.9の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。さらなる実施態様において、約pH3.2〜約3.4の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。
【0036】
ある実施態様において、約pH3.2の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。ある実施態様において、約pH3.4の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。ある実施態様において、約pH3.9の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。ある実施態様において、約pH4.5の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。ある実施態様において、約pH4.7の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。ある実施態様において、約pH4.8又は約4.9の食品組成物を得るのに十分な総量の1種以上の食酸が存在する。
【0037】
ある実施態様において、本発明の食品組成物は1kg当たり、合計約2g〜約10gの食酸を含む。さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は1kg当たり、合計約2g〜約8gの食酸を含む。さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は1kg当たり、合計約4g〜約8gの食酸を含む。さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は1kg当たり、合計約6g〜約8gの食酸を含む。さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は1kg当たり、合計約2gの食酸を含む。さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は1kg当たり、合計約4gの食酸を含む。さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は1kg当たり、合計約6gの食酸を含む。さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は1kg当たり、合計約8gの食酸を含む。さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は1kg当たり、合計約10gの食酸を含む。
【0038】
特定の実施態様において、本発明の食品組成物は、食酸として、アスコルビン酸、及び酒石酸を含む。ある実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、アスコルビン酸約2g、及び酒石酸約2gを含む。ある実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、アスコルビン酸約3g、及び酒石酸約3gを含む。さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、アスコルビン酸約4g、及び酒石酸約4gを含む。さらなる実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、アスコルビン酸約5g、及び酒石酸約5gを含む。勿論、本発明は、食酸1種のみ又は任意の組み合わせで、アスコルビン酸のみ若しくは酒石酸のいずれかを含む食品組成物を提供する。アスコルビン酸、及び酒石酸を含む食品組成物は、それぞれの酸の特性を有利にも示すことができる。
さらなる実施態様において、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、及びアジピン酸などの酸、並びに他の多くの酸を、当業者が認識する特性により、単独で又は組合せて使用することができる。
【0039】
特定の実施態様において、本発明の食品組成物は、食酸として、リンゴ酸、アスコルビン酸、及び酒石酸を含む。ある実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、リンゴ酸約1g、アスコルビン酸約1g、及び酒石酸約1gを含む。ある実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、リンゴ酸約2g、アスコルビン酸約2g、及び酒石酸約2gを含む。ある実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、リンゴ酸約2.67g、アスコルビン酸約2.67g、及び酒石酸約2.67gを含む。ある実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、リンゴ酸約3g、アスコルビン酸約3g、及び酒石酸約3gを含む。
【0040】
特定の実施態様において、本発明の食品組成物は、食酸として、リンゴ酸、クエン酸、及び酒石酸を含む。ある実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、リンゴ酸を約1g、クエン酸約1g、及び酒石酸約1gを含む。ある実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、リンゴ酸約2g、クエン酸約2g、及び酒石酸約2gを含む。ある実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、リンゴ酸約2.67g、クエン酸約2.67g、及び酒石酸約2.67gを含む。ある実施態様において、本発明の食品組成物は、1kg当たり、リンゴ酸約3g、クエン酸約3g、及び酒石酸約3gを含む。
【0041】
(4.2.4 香味剤)
本発明の食品組成物は1種以上の香味剤をさらに含む。香味剤は、ライムジュース又はレモンジュースを基にする香味剤以外の、当業者に公知の任意の香味剤でもよい。特定の動作理論により制限されることを目的とはしないが、ライムジュース及びレモンジュースは、前述の増粘剤を加えなくても、本発明の食品組成物の乳タンパク質を増粘させるのに十分酸性度が高いと考えられている。したがって、より好ましい実施態様において、本発明の食品組成物は、ライムジュース及びレモンジュースを含まない。ある実施態様において、本発明の食品組成物は、乳タンパク質を増粘させるのに十分な酸性度ではない香味料を含む。
【0042】
しかし、ある実施態様において、当業者は、少量のライムジュース又はレモンジュースを含む食品組成物を調製することを望むかもしれない。例えば、前述の食品組成物は、約pH5.0以上である食品組成物を得ることができるのに十分なだけのライムジュース又はレモンジュースを含んでもよい。したがって、本発明は、少量のライムジュース又はレモンジュース、或いは両方、及び上記のpHの範囲、例えば約pH3.2〜約4.9を得るのに十分な量の食酸を含む食品組成物を提供して、このようにして高粘度乳タンパク質を含む食品組成物を提供する。
さらなる実施態様において、食品組成物はライムジュース及びレモンジュースを含まない。ライムジュース又はレモンジュースが食品組成物の風味を支配し得るので、ライムジュース及びレモンジュースが存在しないことは有利になり得る。
香味剤は、ライムジュース又はレモンジュース以外の、当業者に公知の任意の香味剤でもよい。著しいことには、本発明の方法によれば、食品組成物を、以下に詳細に記述する香味剤を使用してさらに増粘させることができる。
【0043】
ある実施態様において、香味剤は、下記からなる群から選択される:アババイ、アセロラ、オールスパイス、アーモンド、アマレット、アニス、アップルサイダー、アップルジュース、アップルパイ、アップルソース、アップルスパイス、アンズ、バナナ、ベリー(例えば、ブラックベリー、デューベリー、ボイゼンベリー、ローガンベリー、ラズベリー、ブルーベリー、クランベリー、ハックルベリー、コケモモ、イチゴ、ニワトコ、グーズベリー、桑の実など)、クログルミ、バーボン、ブランデー、ブラウンシュガー、風船ガム、バーガンディ、バターペカン、バターミルク、バターラム酒、バタースカッチ、メロン、カプチーノ、キャラメル、炭酸飲料、カルダモン、人参、カシュー、カサーバ、カシス、シャンパン、シャルドネ、チーズケーキ、サクランボ、チェリーコーラ、チョコレート、チョコレートリボン、チョコレートリップル、シナモン、シナモンシュガー、柑橘類、クローブ、ココア、ココナッツ、コーヒー、コーヒーリキュール、コニャック、コーラ、綿菓子、クランベリー、クリーム、クリームソーダ、クリームブリュレ、スグリ(赤、黒、又は白)、カスタード、カスタードクリーム、ダイキリ、ドラゴンフルーツ、ドゥルセ デ レーチェ、ドリアン、エクレア、卵、エッグノッグ、フェイジョア、イチジク、五香粉、フレンチバニラ、フルーツポンチ、ガランガル、ショウガ、ジンジャーエール、ブドウ、グレープフルーツ、グレナディン、グァナバナ、グァバ、ハシバミの実、ハイビスカス、蜂蜜、糖液、アイリッシュクリーム、キーウィ、ラベンダー、甘草、リキュール、レイシ、マカダミア、マイタイ、メース、マハレブ、マンゴー、マンゴスチン、メープル、マルガリータ、マシュマロ、ミルク、ミント(例えば、ペパーミント、スペアミント、ダブルミント、シラタマノキなど)、ミックスベリー、ミックスフルーツ、モヒート、モラセス、ネクタリン、ナツメグ、オートミール、オレンジ(例えば、スィートオレンジ、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、マンダリン、ブラッドオレンジ、スカーレットネーブルオレンジなど)、タンジェリン、タンジェロ、オレンジリキュール、オレンジミント、オレンジピール、オレンジ-バニラ、オレンジウォーター(オレンジブロッサムウォーター、又はオレンジフラワーウォーター)、オレンジスパイス、パパイヤ、パッションフルーツ、モモ、セイヨウナシ、ペパーミント、ピニャコラーダ、パイナップル、ピスタチオ、プラム、プルオット、ザクロ、プラリネ、プルーン、カボチャ、パンプキンパイ、パンプキンスパイス、マルメロ、レーズン、ランブータン、ラズベリー、ルバーブ、ルートビア、バラ、ローズヒップ、ローズマリー、ローズウォーター、ラム酒、サフラン、サングリア、ゴマ、ソーダ、サワークリーム、トグバンレイシ、大豆、オランダハッカ、スターフルーツ、イチゴ、イチゴ-バナナ、イチゴ-キーウィ、イチゴ-ライム、イチゴ-メロン、イチゴと他の組み合わせ、砂糖、ウルシ、スィートポテト、バンレイシ、タマリンド、タンジェロ、タンジェリン、テキーラ、タイム、ティラミス、タフィー、トリプルセック、トロピカルフルーツ、トロピカルパンチ、トッティフレッティ、バニラ、バニラビーン、クルミ、スイカ、ウイスキー、ホワイトチョコレート、ワイルドベリー、ワイン、ヤマイモ、ヤーバ ブエナ、及びヨーグルト。
【0044】
上記香味剤のいずれも、上記の他の香味剤と組み合わせて使用することができる。特定の組み合わせは、例えば、ミックスフルーツ(イチゴ/バナナ、マンゴー/パイナップル、パパイヤ/グァバ/オレンジ、トッティフレッティなど)、及びミックスフレーバー(オレンジ/バニラ、オレンジ スパイス、アップル シナモン、チョコレート/ラズベリーなど)である。
【0045】
当業者が認めるように、上記香味剤の幾つかは、適切な柑橘類の皮、芳香油、又はエッセンスとの組み合わせにより効果を高めることができる。例えば、オレンジ香味剤のいずれかを、オレンジ、タンジェリン、又はタンジェロの皮と組み合わせると、食品組成物の風味がさらに良くなる。さらに、バニラ、チョコレート、又はシナモンなどの関連のない香味料も同様に使用できる。
【0046】
ある実施態様において、香味剤は、アップルサイダー、アプルソース、アンズ、ブラウンシュガー、コーラ、エッグノッグ、フルーツポンチ、ブドウ、グレープフルーツ、ハイビスカス、マンゴー、マルガリータ、ミックスベリー、ミックスフルーツ、オレンジ、オレンジ-バニラ、パッションフルーツ、モモ、ピニャコラーダ、パイナップル、ラズベリー、イチゴ、イチゴ-バナナ、タマリンド、タンジェロ、タンジェリン、トロピカルフルーツ、トロピカルパンチ、及びトッティフレッティからなる群から選択される。
【0047】
当業者に明らかな形態又は量の香味剤を加えることができる。特定の実施態様において、香味剤を液体の形態で加える。該量は、食品組成物に所望の風味を提供するのに十分な量でなくてはいけない。ある実施態様において、香味剤がフルーツジュースである場合、食品組成物は、食品組成物1kg当たり、ジュース約59ml(約1/4カップ)〜約237ml(約1カップ)を含むことができる。ある実施態様において、食品組成物は、食品組成物1kg当たり、香味剤約59ml(約1/4カップ)、約118ml(約1/2カップ)、約177ml(約3/4カップ)、又は237ml(約1カップ)を含むことができる。好ましい実施態様において、食品組成物は、食品組成物1kg当たり、香味剤約118ml(約1/2カップ)を含む。香味剤が他のフルーツジュースである場合、当業者は、香味剤の量を調整して、食品組成物における香味剤の刺激の強さにすることができる。当業者は、香味剤の量が最適な増粘のために使用される酸の量に影響を与えることを認識するだろう。香味剤の量を調整する場合、最適な食酸の量を決定するのは、当業者の範囲内である。
【0048】
ある実施態様において、増粘剤はアスコルビン酸であり(例えば、1kg当たり8g)、及び香味剤は、アップルサイダー、アプルソース、アンズ、ブラウンシュガー、コーラ、エッグノッグ、フルーツポンチ、ブドウ、グレープフルーツ、ハイビスカス、マンゴー、マルガリータ、ミックスベリー、ミックスフルーツ、オレンジ、オレンジ-バニラ、パッションフルーツ、モモ、ピニャコラーダ、パイナップル、ラズベリー、イチゴ、イチゴ-バナナ、砂糖、タマリンド、タンジェロ、タンジェリン、トロピカルフルーツ、トロピカルパンチ、及びトッティフレッティからなる群から選択される。
【0049】
ある実施態様において、増粘剤は酒石酸であり(例えば、1kg当たり8g)、及び香味剤は、アップルサイダー、アプルソース、アンズ、ブラウンシュガー、コーラ、エッグノッグ、フルーツポンチ、ブドウ、グレープフルーツ、ハイビスカス、マンゴー、マルガリータ、ミックスベリー、ミックスフルーツ、オレンジ、オレンジ-バニラ、パッションフルーツ、モモ、ピニャコラーダ、パイナップル、ラズベリー、イチゴ、イチゴ-バナナ、砂糖、タマリンド、タンジェロ、タンジェリン、トロピカルフルーツ、トロピカルパンチ、及びトッティフレッティからなる群から選択される。
【0050】
ある実施態様において、増粘剤はアスコルビン酸(例えば、1kg当たり4g)、及び酒石酸(例えば、1kg当たり4g)の組み合わせであり、並びに香味剤は、アップルサイダー、アプルソース、アンズ、ブラウンシュガー、コーラ、エッグノッグ、フルーツポンチ、ブドウ、グレープフルーツ、ハイビスカス、マンゴー、マルガリータ、ミックスベリー、ミックスフルーツ、オレンジ、オレンジ-バニラ、パッションフルーツ、モモ、ピニャコラーダ、パイナップル、ラズベリー、イチゴ、イチゴ-バナナ、砂糖、タマリンド、タンジェロ、タンジェリン、トロピカルフルーツ、トロピカルパンチ、及びトッティフレッティからなる群から選択される。
【0051】
特定の実施態様において、増粘剤はリンゴ酸(例えば、1kg当たり2g、又は1kg当たり2.67g)、クエン酸(例えば、1kg当たり2g、又は1kg当たり2.67g)、及び酒石酸(例えば、1kg当たり2g、又は1kg当たり2.67g)の組み合わせであり、並びに香味剤は、アップルサイダー、アプルソース、アンズ、ブラウンシュガー、コーラ、エッグノッグ、フルーツポンチ、ブドウ、グレープフルーツ、ハイビスカス、マンゴー、マルガリータ、ミックスベリー、ミックスフルーツ、オレンジ、オレンジ-バニラ、パッションフルーツ、モモ、ピニャコラーダ、パイナップル、ラズベリー、イチゴ、イチゴ-バナナ、砂糖、タマリンド、タンジェロ、タンジェリン、トロピカルフルーツ、トロピカルパンチ、及びトッティフレッティからなる群から選択される。
【0052】
本発明の食品組成物を使用して、高粘度乳タンパク組成物が有用である、当業者に公知の食品を製造することができる。ある実施態様において、本発明は、本発明の食品組成物を含むパイを提供する。さらなる実施態様において、本発明は、本発明の食品組成物を含むカスタードを提供する。さらなる実施態様において、本発明は、本発明の食品組成物を含むプディングを提供する。
【0053】
(4.3 食品組成物の調製)
さらなる実施態様において、本発明は本発明の食品組成物の調製方法を提供する。一般に、本発明の方法は、乳タンパク質を、本発明の香味剤及び本発明の増粘剤と接触させるステップを含む。
材料を任意の順序で制限なく接触させることができる。ある実施態様において、乳タンパク質を香味剤と接触させて、結果として得られる混合物を増粘剤と接触させる。さらなる実施態様において、乳タンパク質を増粘剤と接触させて、結果として得られる混合物を香味剤と接触させる。勿論、乳タンパク質は、増粘剤と接触させると粘度が上昇し始め得るので、適度にできるだけ早く、該混合物を香味剤と接触させるのが有利である。ある実施態様においては、乳タンパク質を増粘剤及び香味剤と同時に接触させる。
卵などの任意の材料を、何時でも食品組成物に加えることができる。これらの材料は、乳タンパク質を増粘剤と接触させる前に、又は乳タンパクを増粘剤と接触させたすぐ後に加えるのが有利である。
【0054】
結果として得られる食品組成物は、当業者のいかなる使用条件下においても、増粘されるはずである。ある実施態様において、食品組成物を、例えば325°F(163℃)の高温で保温して、該組成物を固め、乳中不純物を殺す、又は最小限にする。ある実施態様において、最適に増粘させるために、食品組成物を、冷蔵庫内温度、例えば35〜40°F(1.67〜4.44℃)で冷却する。好ましい実施態様において、食品組成物を高温で保温し、増粘させ、室温まで冷まし、その後、冷蔵庫内温度又はフリーザー温度で冷却する。当業者の判断により、食品組成物を増粘させるのに必要とされる時間、又はさらに長い時間、該組成物を冷却してもよい。ある実施態様において、食品組成物を、3時間〜3日間、又はそれ以上冷却する。ある実施態様において、食品組成物を焼成し、冷凍し、かつ冷たくして出すことができる。ある実施態様において、食品組成物を冷蔵し、又は焼成せずに冷凍して、冷たくして出すことができる。ある実施態様において、食品組成物を冷凍保存することができ、調理又は再加熱して、熱くして、温かくして、又は室温で出すことができる。
【0055】
当業者が認識するとおり、潜在的不純物を含む材料を使用する場合、例えば、卵又は卵黄を使用する場合、高温で保温することが好ましい。高温での保温は、ある実施態様において、及び当業者の判断により省略できる。例えば、高温での保温は、食品組成物が卵及び卵黄を含まない場合に省略できる。また、高温での保温は、食品組成物が殺菌された卵、すなわち殺菌された卵黄、及び当業者の判断で不純物のリスクがほとんどない或いは全くない材料を含む場合にも省略できる。
【0056】
食品組成物は当業者に明らかな条件で保存できる。ある実施態様において、食品組成物を冷蔵庫内温度(例えば35〜40°F(1.67〜4.44℃))で保存する。さらなる実施態様において、食品組成物をフリーザー温度で保存する。
食品組成物を当業者に明らかな温度で出すことができる。ある実施態様において、食品組成物を冷蔵温度で出すことができる。ある実施態様において、食品組成物を室温で出すことができる。ある実施態様において、食品組成物を加熱温度で出すことができる。
【0057】
好ましい実施態様において、食品組成物を高温で保温し、フリーザー温度又は冷蔵庫内温度で保存し、冷却温度で出す。さらに好ましい実施態様において、食品組成物を高温で保温せずに、フリーザー温度又は冷蔵庫内温度で保存し、冷たくして出す。別の好ましい実施態様において、食品組成物を高温で保温し、フリーザー温度で保存し、加熱温度又は室温で出す、又は保温後直ちに温かくして出す。別の好ましい実施態様において、食品組成物をフリーザー温度又は冷蔵庫内温度で保存し、その後、出す前に殺菌又は加熱する。
パイ、カスタード及びプディングなどの食品は、上記方法に標準の技術を加えて製造することができる。該標準技術は当業者に公知であり、本明細書中で繰り返される必要はない。
【実施例】
【0058】
(5.1 実施例1):酸増粘オレンジジュースパイ
本実施例は、本発明の食品組成物の調製を実証する。
最初に、よく摩り下ろしたMサイズのオレンジ2個の皮を、Lサイズの卵4個の卵黄と泡立てた。おいしいパイを製造するためには、卵黄は3個〜5個のうち何個でもよく、卵黄の量は好みの問題である。よく摩り下ろしたオレンジ2個の皮は、増粘させるのに必要ではないが、さらに風味をつけるために加えた。純正柑橘油小さじ1杯半を、この皮の代わりに使用することができる。加糖練乳14オンス(397g)を加えて混ぜた。オレンジジュース4オンス(126ml)を加えて混ぜた。アスコルビン酸4g、及び酒石酸4gを加えて混ぜた。室温でいくらかの増粘が見られた。
【0059】
該混合物をグラハムクラッカークラストに注ぎ込み、混合物の中心部分が固まるまで約15分間、325°F(163℃)で焼いた。ショートブレッドクラスト、クッキークラスト、及びチョコレートクラスト、全てがおいしいバリエーションとなり、あらゆる種類のクラストがこのパイに使用できる。その後、このパイをラックの上で室温まで冷まし、その後冷蔵した。例えば、パイは3日間まで冷蔵が可能であり、或いはさらに長く保存するには冷凍が可能である。
結果として得られる、明確ですっきりした風味を有する高粘度パイは、ナイフで切り分けられ、冷やして出され、フォークで食べて楽しむことができる。
【0060】
(5.2 実施例2):酸増粘パイ
下記パイは、実施例1の方法により製造されたが、実施例のオレンジの皮、オレンジジュース、及び食酸の代わりに、下記の香味剤及び増粘剤を使用した。任意の酸又は酸の組み合わせを、任意の香味料と共に使用できるので、これらの実施例は、可能なものの一部のみを示すにすぎない点に留意されたい。
なお、格別な味わいのためのもっともおいしい酸又は酸の組み合わせは、個人的な好みの問題である。
【表1】

【0061】
(5.3 実施例16):酸増粘オレンジ及びタンジェリンパイ
本実施例は、本発明の食品組成物の調製を実証する。
最初に、よく摩り下ろしたMサイズのオレンジ2個の皮を、Lサイズの卵4個の卵黄と泡立てた。加糖練乳14オンス(397g)を加えて混ぜた。増粘させるのに必要ではないが、純正柑橘油小さじ1杯半を、さらに風味をつけるために加えた。その後、オレンジジュース5オンス(158ml)を加えて混ぜた。アスコルビン酸4g、及び酒石酸4gを加えて混ぜた。室温でいくらかの増粘が見られた。
【0062】
該混合物をグラハムクラッカークラストに注ぎ込み、混合物の中心部分が固まるまで約15分間、325°F(163℃)で焼いた。パイをラックの上で室温まで冷まし、その後、パイは3日間まで冷蔵し、又は保存のために冷凍庫へ移した。
結果として得られる、明確かつすっきりしたオレンジ及びタンジェリンの風味を有する高粘度パイは、ナイフで切り分けられ、冷やして出され、フォークで食べて楽しむことができる。
【0063】
本明細書中に引用した全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれの個々の公表、又は特許出願が、引用により取り込まれるように、詳細かつ個別に示され、本明細書中に引用により取り込まれている。本発明は、明確に理解されるために例証及び実施例として詳細に記載されているが、添付された請求項の精神又は範囲を逸脱しない範囲でこれらに変更及び改質がなされてもよいことは、本発明の内容から当業者には容易に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加糖練乳又は無糖練乳、レモン又はライム以外の香味料、及び該加糖練乳又は無糖練乳を増粘させるのに十分な量の1種以上の食酸を含む食品組成物。
【請求項2】
前記組成物のpHが4.9未満である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項3】
前記組成物のpHが4.8未満である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項4】
前記組成物のpHが4.7未満である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項5】
前記組成物のpHが4.6未満である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項6】
前記組成物のpHが4.5未満である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項7】
前記組成物のpHが約3.4〜約4.7の間である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項8】
前記組成物のpHが約3.4〜約3.9である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項9】
前記組成物のpHが約3.4である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項10】
前記食酸が、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、グルコノデルタラクトン、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、酸性リン酸塩、コハク酸、酒石酸、及び酸性酒石酸カリウムからなる群から選択される、請求項1記載の食品組成物。
【請求項11】
前記食酸が、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、及び酒石酸からなる群から選択される、請求項1記載の食品組成物。
【請求項12】
前記食酸がアスコルビン酸である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項13】
前記食酸がクエン酸である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項14】
前記食酸がリンゴ酸である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項15】
前記食酸が酒石酸である、請求項1記載の食品組成物。
【請求項16】
アスコルビン酸、及び酒石酸を含む、請求項1記載の食品組成物。
【請求項17】
リンゴ酸、クエン酸、及び酒石酸を含む、請求項1記載の食品組成物。
【請求項18】
1kg当たり、食酸約2g〜約10gを含む、請求項1記載の食品組成物。
【請求項19】
1kg当たり、食酸約4g〜約8gを含む、請求項1記載の食品組成物。
【請求項20】
1kg当たり、食酸約2gを含む、請求項1記載の食品組成物。
【請求項21】
1kg当たり、食酸約4gを含む、請求項1記載の食品組成物。
【請求項22】
1kg当たり、食酸約6gを含む、請求項1記載の食品組成物。
【請求項23】
1kg当たり、食酸約8gを含む、請求項1記載の食品組成物。
【請求項24】
1kg当たり、アスコルビン酸約4g、及び酒石酸約4gを含む、請求項1記載の食品組成物。
【請求項25】
卵をさらに含む、請求項1記載の食品組成物。
【請求項26】
前記卵が、卵黄又は卵白、或いは卵黄及び卵白の両方の形態である、請求項25記載の食品組成物。
【請求項27】
1kg当たり、卵黄3個〜5個を含む、請求項26記載の食品組成物。
【請求項28】
泡立てた卵白を含む、請求項26記載の食品組成物。
【請求項29】
前記香味料が、アップルサイダー、アップルソース、アンズ、ブランウシュガー、フルーツポンチ、ブドウ、グレープフルーツ、ハイビスカス、マンゴー、マルガリータ、ミックスベリー、ミックスフルーツ、オレンジ、オレンジ-バニラ、パッションフルーツ、モモ、ピニャコラーダ、パイナップル、ラズベリー、イチゴ、イチゴ-バナナ、砂糖、タマリンド、タンジェロ、タンジェリン、トロピカルフルーツ、トロピカルパンチ、及びトッティフレッティからなる群から選択される、請求項1記載の食品組成物。
【請求項30】
請求項1記載の食品組成物を含む、パイ。
【請求項31】
請求項1記載の食品組成物を含む、カスタード。
【請求項32】
請求項1記載の食品組成物を含む、プディング。
【請求項33】
加糖練乳を、レモン又はライム以外の香味料、及び十分な量の1種以上の食酸と接触させて、該加糖練乳を増粘させ、それにより前記食品組成物を得るステップを含む、食品組成物の製造方法。
【請求項34】
前記食品組成物を冷蔵するステップをさらに含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記食品組成物を冷凍するステップをさらに含む、請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記食品組成物を約325°F(約163℃)で保温するステップをさらに含む、請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記食品組成物を冷蔵するステップをさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記食品組成物を冷凍するステップをさらに含む、請求項36記載の方法。

【公表番号】特表2008−543282(P2008−543282A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515788(P2008−515788)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/021563
【国際公開番号】WO2006/133014
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(507399612)ダッズレピエ パルトネルス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】