説明

酸安定性のタンパク質製品の製造方法およびそれで製造された製品

本発明は、酸性媒体中で安定な、乳タンパク質を含有する粉末および液体の製造方法に関する。具体的には、本発明は、水、乳またはジュースと混合して安定で高タンパク質の酸性化飲料を形成しうる粉末の製造方法に関する。さらに、本発明は、酸性媒体中で安定な、炭酸入りの香味付き乳飲料または炭酸入りの香味付き酸性化乳飲料の製造方法にも及ぶ。さらに、本発明は、安定化した酸成分と安定化したタンパク質成分とをブレンドして酸性化したタンパク質成分を形成することによる、ヨーグルトスタイルの飲料およびクリームチーズを製造する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸性媒体中で安定な、乳タンパク質を含有する粉末および液体の製造方法に関する。具体的には、本発明は、水、乳またはジュースと混合して、安定で高タンパク質の酸性化飲料を形成しうる粉末の製造方法に関する。さらに、本発明は、酸性媒体中で安定な、炭酸入りの香味付き乳飲料または炭酸入りの香味付き酸性化乳飲料の製造方法にも及ぶ。
【背景技術】
【0002】
種々の、いわゆる「即時飲用可能な」酸性化乳飲料、例えば、南アフリカにてTropika(商標)およびCabana(商標)の商品名で販売されているものは、飲料市場ではよく知られている。こうした即時飲用可能な酸性化乳飲料は比較的低いpH値を有するが(典型的にはpH3.5〜4.3の間)、これは、その酸性の性質が、心地よく爽やかな味をもたらすという事実によるものである。
【0003】
乳タンパク質ミセルは、主に3つの成分、すなわち、ホエータンパク質、カゼインタンパク質およびリン酸カルシウムを含む。乳のpH値が低くなると、乳中のタンパク質の酸性基および塩基性基が中和される。タンパク質上の正電荷が負電荷と全く等しいpH値では、タンパク質の正味の全電荷はゼロである。該pH値をタンパク質の「等電点」と呼ぶ。カゼインの場合、該pH値は約4.6であり、カゼインがもはや乳中の懸濁液中に存在しないときのpH値である。乳のpHがその等電点以下まで下がる場合、例えば、乳に酸を加えた場合、または乳中で酸生成細菌を増殖させた場合には、カゼインは乳から析出して凝固し始める。
【0004】
4.6より低いpH値でのカゼイン析出の問題を克服するために、酸性化乳飲料の製造業者は、高メトキシルペクチン(ペクチン)およびカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)などの安定化剤を使用して、乳に酸が加わった際のカゼインの析出および凝固を阻止する。従来の方法では、カゼインを含むタンパク質成分(例えば乳)と安定化剤とが供給される。該タンパク質成分中では、カゼインおよび安定化剤は負電荷をもつ。タンパク質成分が酸性化して等電点を下回ると、カゼインの電荷は反転して正となり、その結果、負に帯電した安定化剤と、今や正に帯電したカゼインとの間に引力をもたらす。カゼインと安定化剤との新しい正味の全体電荷は負であり、その結果、溶液中で静電反発が生じることにより、溶液外へのカゼインの析出が妨げられる。
【0005】
この従来法の1つの欠点は、かかる製品のタンパク質濃度が非常に低いことである。実際には、こうした方法を用いると、溶液中では製品1リットル当たり最大約1%のタンパク質、すなわち製品1000ml当たり約10グラムのタンパク質しか含有させることができない。さらに、該タンパク質濃度は、適切な安定化を維持するために高圧ホモジナイゼーションを用いなければ達成できない。より多くのタンパク質を含有する酸性化乳飲料を製造するための伝統的な方法を用いると、概して、シネリシス(synerisis)が生じ、ほとんどの場合、良好な凍結融解安定性をもたない製品となる。
【0006】
従来技術に関連する別の欠点は、特に非変性乳を使用する場合は、液体のホエー分離、ならびに、製品を消費した後で舌の上および口の中に残る粉っぽさである。
【0007】
液体の酸性化乳飲料を製造する従来の方法に関連するまたさらなる問題は過剰な発泡であり、これは、非変性乳タンパク質製品の酸性化中に起こる傾向にある。比較的多量の非変性乳タンパク質を含有する製品中では、使用する安定化剤の量を増やさなければならず、その結果、製造している製品において粘稠度が高くなる。また、発生する泡は、脱気が困難なスラリー中で空気を捕捉する傾向にある。そのような捕捉された空気(遊離酸素を含有する場合)は、細菌、酵母およびカビなどの微生物がその中で増殖するという事実により、製造された製品がほとんどの場合腐敗する結果となることはよく知られている。
【0008】
酸性化乳飲料、特に、粘稠性が低くタンパク質含有量が比較的高いもの(ドリンクヨーグルトなど)を製造する従来の方法に関連する別の問題は、タンパク質を確実に安定化させるために、pHが3.5〜4.5の間でなければならないことである。前述のように、pHは、製品の味を決定するうえで重要な役割を果たす。この範囲外のpHは結果としてタンパク質を不安定にするので、食品製造業者には、pH、ひいては製品の味を操作する柔軟性はない。例えば、酸味の少ない、すなわち4.6(前述のように、このpHにおいてカゼインは溶液中で最も溶けにくい)に近いpHを有する乳飲料を製造することができれば有利であろう。
【0009】
さらに、これまで、タンパク質含量が1%を超える炭酸入り乳飲料、炭酸入り酸性化乳飲料、酸性化乳飲料、または、安定な、ミセル形態中にその全てのタンパク質を有する粉末状の酸性化乳飲料を製造することは不可能であった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、酸性化したタンパク質成分を製造する方法であって、
−タンパク質成分を供給する工程、
−酸と、水中に溶解された第1の安定化剤処方の量、安定化した酸成分中での任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分な量の第1の安定化剤処方とを含む安定化した酸成分を供給する工程、および
−安定化した酸成分をタンパク質成分とブレンドして酸性化したタンパク質成分を形成する工程を含む、方法が提供される。
【0011】
この方法は、酸成分中での任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分な量の第1の安定化剤処方を供給することにより酸を安定化させる工程を包含する。具体的には、この方法は、1.68グラム〜4.00グラム、好ましくは1.92グラムの第1の安定化剤処方を、10−2.50mol/L〜10−2.70mol/L、好ましくは10−2.53mol/Lの水素イオン濃度を含む1リットルの安定化されていない酸に加えて、最終水素イオン濃度が10−2.71mol/L〜10−3.10mol/Lとなる安定化した酸成分を製造することを提供する。
【0012】
安定化した酸成分は、2.70以上のpH、好ましくは2.71〜2.94のpHを有していてもよい。この方法は、所望のpHが達成された後で、安定化した酸成分中に緩衝剤をブレンドする必要がないことを特徴としていてもよい。
【0013】
第1の安定化剤処方は、親水コロイド状の多糖類ガム安定化剤を含んでもよい。多糖類ガム安定化剤は、微結晶性セルロース、ジェランガム、アルギネート、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ペクチンおよびセルロースガムを含む群から選択してもよい。好ましくは、多糖類ガム安定化剤はカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)である。本発明の好ましい形態において、多糖類ガム安定化剤は低分子量を有する。さらに、多糖類ガム安定化剤はアニオン性であってもよい。
【0014】
酸は、クエン酸一水和物などの食品等級酸であってもよいが、リン酸、乳酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酒石酸またはグルコノデルタラクトンなど、pHを低下させる能力のある任意の酸または酸生成化合物を使用してもよいことは理解されよう。本発明の1の実施態様において、酸は、フルーツジュースまたは野菜ジュースまたはその組合せである。
【0015】
タンパク質成分は、水中に溶解されたミセル形態の非変性の液体タンパク質または粉末タンパク質を含んでいてもよい。「ミセル形態の非変性タンパク質」は、その中で、ホエータンパク質およびカゼインタンパク質がそのコロイド状リン酸カルシウムと一緒になった、純粋な天然状態のタンパク質を意味すると解釈されよう。典型的には、このタンパク質成分は、乳ベースのタンパク質を含む。具体的には、乳ベースのタンパク質は、液体乳、無糖練乳、乳粉末、乳タンパク質濃縮物および/または乳タンパク質単離物の形態の哺乳動物の乳を含む。
【0016】
あるいは、タンパク質成分は、豆乳粉末、大豆タンパク質濃縮物、大豆タンパク質単離物など大豆ベースのタンパク質、または、植物もしくは動物に由来する別の任意のタンパク質もしくはタンパク質加水分解産物であり、その等電点において不溶性で、有機塩またはポリリン酸塩と共にミセル形態で存在し、陽イオン、特にカルシウムイオンと共に溶液中でコロイド状であるものを含んでもよい。
【0017】
タンパク質成分は、水中に溶解されたある量の第2の安定化剤処方、または、安定化したタンパク質成分を製造させるための液体タンパク質成分と混合してもよく、これを安定化した酸成分とブレンドして酸性化したタンパク質成分を形成してもよい。第2の安定化剤処方の量は、安定化した酸成分から水素イオンが非結合状態になり酸性化したタンパク質成分中のタンパク質ミセルに引き付けられるのを阻止するのに十分な量であってもよい。タンパク質ミセル上の負電荷を最大化し、最終的に最大のタンパク質ミセル保護を達成するためには、タンパク質成分と第2の安定化剤成分との比率が、安定化したタンパク質成分からタンパク質ミセルの析出が最大限に達成される程度でなければならない。
【0018】
第2の安定化剤処方は、アニオン性で親水コロイド状の低分子量の多糖類ガム安定化剤である。多糖類ガム安定化剤は、カラギーナン、ジェランガム、ガッチガム、寒天、キサンタンガム、トラガカントガム、アルギネート、ペクチンおよびセルロースガムを含む群から選択してもよい。具体的には、多糖類ガム安定化剤は直鎖状の多糖であってもよい。
【0019】
第2の安定化剤処方の多糖類ガム安定化剤は、カルボキシル基を含むであろう。具体的には、多糖類ガム安定化剤は、単糖単位当たり3つのヒドロキシル基のうち少なくともいくつかがカルボキシル基で置換されて多糖類ガム安定化剤がイオン性になることを特徴とする。より詳細には、多糖類ガム安定化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)であってもよい。
【0020】
安定化したタンパク質成分中のタンパク質成分と第2の安定化剤処方との比率は、17:1〜5.666:1であってもよく、好ましくは8.5:1であってもよい。
【0021】
タンパク質成分および第2の安定化剤処方には高せん断混合を施してもよい。好ましくは、タンパク質成分および第2の安定化剤処方を1段階または2段階のホモジナイゼーション工程に供して、安定化したタンパク質成分を形成する。
【0022】
この方法は、高せん断混合およびホモジナイゼーションの後で、安定化したタンパク質成分中に緩衝剤をブレンドすることを包含してもよい。
【0023】
安定化したタンパク質成分を安定化した酸成分中に高せん断混合条件下で加えて、酸性化したタンパク質成分を形成してもよい。酸性化したタンパク質成分のpHは、3.1〜6.5であってもよい。酸性化したタンパク質成分に消泡剤を加えてもよい。酸性化したタンパク質成分中では、タンパク質ミセルは立体障害により保護され、最終的なpHはタンパク質ミセルの濃度によって決まる。
【0024】
この方法は、安定化したタンパク質成分を安定化した酸成分に加える間に付加的な泡が形成されていないことが、安定化した酸成分中の酸:安定化剤の比率および安定化したタンパク質成分中のタンパク質:安定化剤の比率が正しい割合であるという確証となることを特徴としていてもよい。この理由は、タンパク質ミセルの立体保護は、水素イオンがリン酸塩を溶液中に溶解させることによりタンパク質ミセルを不安定化させること(これが最終的に追加の泡を生じさせる)を防止するからである。
【0025】
本出願人は、安定化した酸成分中の水素イオンおよび酸性化したタンパク質成分が2つの様式で利用されると仮定する。典型的には、少量の水素イオンが安定化剤のカルボキシル基とイオン結合し、安定化剤をその点で中性にすると考えられる。残りの水素イオン[具体的にはヒドロニウムイオン(H)の形態をしたもの]は、安定化剤の反応可能なカルボキシル基と静電気的に結合して安定化剤を正にし、非結合状態のヒドロニウムイオンを1個も残さないことにより、引き付け合う点で正に帯電したヒドロニウムイオン−安定化剤複合体が形成されることになる。正に帯電したヒドロニウムイオン−安定化剤複合体は、立体保護の第1段階において今やより負に帯電したタンパク質ミセルに引き付けられ、その結果、立体保護の第2段階が生じることになる。最適なタンパク質ミセル懸濁液にするには立体保護の第2段階が必要であり、すなわち、立体保護の第1段階における負に帯電した全てのタンパク質ミセルがヒドロニウムイオン−安定化剤複合体と静電気的に結合しなくてはならない。タンパク質ミセルと結合しない残りのヒドロニウムイオン−安定化剤複合体は、溶液中でコロイド状であり、必要な酸性度をもたらす。
【0026】
この方法は、酸性化したタンパク質成分中のタンパク質ミセルの適切な安定化を確実にするために、酸と、溶解した第1の安定化剤処方とが一緒に加えられる1時間以内に、安定化した酸成分を安定化したタンパク質成分とブレンドする工程を包含してもよい。
【0027】
酸性化したタンパク質成分は、1段階または2段階のホモジナイゼーション工程に供してもよい。
【0028】
好ましくは、安定化したタンパク質成分および安定化した酸成分は、混合中に水を含んでいてもよい。より好ましくは、この水は、濾過した脱イオン水であってもよい。
【0029】
この方法は、酸性化したタンパク質成分を乾燥させて酸性化したタンパク質粉末を形成する工程を包含してもよい。酸性化したタンパク質成分は、噴霧乾燥を用いて乾燥させてもよい。酸性化したタンパク質の乾燥粉末は、100マイクロメートル以上の粒径を有してもよく、溶解性をより良好にするために凝集させてもよい。酸性化したタンパク質成分の乾燥は、噴霧乾燥プロセス中にヒドロニウムイオンの脱水がないような方式で行われなければならないか、または、少なくとも脱水が最低限に保たれなければならず、それにより、脱水された非結合ヒドロニウムイオン(すなわち水素イオン)を緩衝剤により中和でき、カルボキシル基とヒドロニウムイオンとの間の静電引力が維持される。
【0030】
典型的には、酸性化したタンパク質の噴霧乾燥粉末の含水量は、5%〜15%、好ましくは10%〜12%である。
【0031】
酸性化したタンパク質粉末は、ヒドロニウムイオンに対し脱水効果をもたないことを特徴とする自由流動化剤を含有してもよい。自由流動化剤は、二酸化ケイ素であってもよい。
【0032】
噴霧乾燥の入口温度は、最適な酸性化したタンパク質粉末製品を得るために、110℃〜160℃、好ましくは150℃〜160℃であってもよい。
【0033】
本発明の1の実施態様において、タンパク質成分は、スラリーの形態で水和された状態を保つ。
【0034】
この方法は、
−安定化した酸成分を乾燥させて安定化した酸粉末を形成する工程と、
−安定化した酸粉末を酸性化したタンパク質粉末と乾燥ブレンドして酸−タンパク質粉末ブレンド物を形成する工程をさらに包含してもよい。
【0035】
この方法は、安定化した酸成分を乾燥させる前にこれに増量剤を加える工程を包含してもよい。増量剤は、加水分解デンプン、糖およびマルトデキストリンを含む群から選択してもよい。好ましくは、増量剤はマルトデキストリンである。
【0036】
安定化した酸成分は、噴霧乾燥を用いて乾燥させてもよい。
【0037】
安定化した酸粉末は、緩衝剤を含んでいてはならない。
【0038】
本発明の一形態において、酸−タンパク質粉末のブレンド物を水に加えてドリンクヨーグルトスタイルの飲料または即時飲用可能な酸性化乳飲料を形成してもよい。
【0039】
本発明の代替的な一形態において、この方法は、安定化した酸粉末を、予め水和したCMC粉末とブレンドし、このブレンド物を乳などのタンパク質成分中に加えてヨーグルトスタイルの飲料を製造する工程を提供する。予め水和したCMC粉末を製造するために、含水量が14%〜17%となるようにCMCをぬらしてから再乾燥させる。予め水和したCMC粉末は、溶解性が増すように凝集させてもよい。
【0040】
この方法は、安定化した酸粉末を封入する工程も提供できる。具体的には、封入は、予め水和した安定化剤をタンパク質成分中に最初に溶解させ、それによりそのカルボキシル基をタンパク質ミセル上に吸着させるために、安定化した酸粉末が溶解し始める前に少なくとも10秒の遅れがあるようにするものである。
【0041】
本発明のまたさらなる一形態において、この方法は、乳タンパク質成分をCMCの形態の第2の安定化剤処方と高せん断条件下でブレンドして安定化したタンパク質成分を形成する工程、および、安定化したタンパク質成分を安定化した酸粉末とブレンドしてクリームチーズを製造する工程を提供する。そのようにして製造されたクリームチーズは、その中にホエータンパク質を含んでいることを特徴としていてもよい。
【0042】
本発明のまた別の形態において、この方法は、フルーツジュースまたは野菜ジュースまたはその組合せの形態の酸を含む安定化した酸成分と、予め水和したCMC粉末の形態の第1の安定化剤処方とを供給する工程、および、安定化した酸成分を、酸性化したタンパク質粉末、酸性化したタンパク質成分または安定化したタンパク質成分のいずれかのうち1つとブレンドして、いわゆる「スムージー」を形成する工程を提供する。スムージーは、典型的には、新鮮なフルーツおよび/またはフルーツジュースから作られる口当たりがよく濃厚な飲料であり、ヨーグルト、アイスクリームまたは乳とブレンドされる。そのようにして製造されたスムージーは、カゼイン乳タンパク質を含んでいることを特徴としてもよい。
【0043】
この方法は、安定化した酸粉末および酸性化したタンパク質粉末に自由流動化剤を加えて、粉末が周囲空気から水分を引き込むのを防止するさらなる工程を包含してもよい。
【0044】
この方法は、水中に予め溶解しているある量の第1の安定化剤処方から発泡する二酸化炭素により形成される、炭酸を含む安定化した酸成分を供給する工程、および、安定化したタンパク質成分を安定化した酸成分中に高せん断下で加えて炭酸入り酸性化タンパク質飲料を形成するか、またはその代わりに、酸性化したタンパク質成分を安定化した酸成分中に高せん断下で加えて炭酸入り酸性化タンパク質飲料を形成するかいずれかのさらなる工程を包含してもよい。
【0045】
炭酸は、2.7を超える、好ましくは2.87を超える、より好ましくは2.94以上のpHを有していてもよい。安定化した酸成分は、緩衝剤を含んでいてはならない。
【0046】
次に、非限定的な例のみを用い、さらに、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のコア成分およびそれらを製造する方法の概略図である。
【図2】本発明の他の方法のためのコア成分として使用される酸性化したタンパク質成分および酸性化したタンパク質粉末を製造する方法、ならびに、ドリンクヨーグルトおよび酸性化乳飲料を製造するための方法をより詳細に示す図である。
【図3】ドリンクヨーグルトおよび酸性化乳飲料を製造する代替的な方法を示す図である。
【図4】ヨーグルトスタイルの飲料を製造するまたさらなる方法を示す図である。
【図5】クリームチーズを製造する方法を示す図である。
【図6】スムージーを製造する方法を示す図である。
【図7】炭酸入り酸性化タンパク質飲料を製造する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本明細書では、同様の参照番号は、以下に記載の本発明の多様な方法における同様の構成要素を示すために使用することになる。
【0049】
酸性化乳飲料を調製するために使用される従来のプロセスでは、乳中のコロイド状リン酸カルシウムの形態のリン酸塩は、酸性化プロセス中に溶解される。乳に酸を加える結果、乳中のカゼイン分子の電荷が最終的に反転(負から正へ)する。コロイド状リン酸カルシウムと酸との間の反応により、最終的には、タンパク質分子が中性になり、それどころか、さらなる酸性化の後にその電荷が反転することが知られている。この酸性化プロセスは、伝統的な方法を用いた場合に、酸性化乳飲料中で過剰な付加的な泡が生じる原因である。カゼインの電荷を反転させて最終的な安定化を得るこの方法を用いることには欠点があるが、その理由は、タンパク質の量が少ない、すなわち溶液中で約1%のみであること、および、ほとんどの場合に高圧ホモジナイゼーションが必要なことである。
【0050】
本発明は、望ましくない泡が加わり、かつpH範囲が制限される(すなわち約3.5〜4.5)問題に対処することを提唱するとともに、使用するタンパク質材料を正しい割合の安定化剤と適切に水和させてから、それ自体が正しい割合である酸−安定化剤成分を用いて酸性化させることを確実にすることによりタンパク質含量を増やすことも試みる。
【0051】
乳ベース中で正しい割合の安定化剤を使用すると、安定化剤のいくつかまたは全てのカルボキシル基がカゼインミセルのカルシウム橋に吸着されることにより、タンパク質ミセルの全体の負電荷が増えるのだろうと考えられる。タンパク質ミセルが溶液から析出し、結果として最適なタンパク質ミセル保護が得られるのは、この時点においてである。全てのカルシウム橋が十分に保護されれば、正しい割合で酸安定化剤混合物と接触したときのみ、カゼインは、沈降および凝集しにくくなるだろう。
【0052】
本出願人は、例えば、酸性化の間正しい割合でクエン酸を安定化剤と共に使用すると、負に帯電した安定化剤がそのカルボキシル基を介して溶液中の正に帯電したヒドロニウムイオンに引き付けられると考える。ヒドロニウムイオンは、安定化剤により2つの様式で利用される。第1の様式によれば、安定化剤は、溶液に由来する水素イオンを消費する能力を有する。その理由は、同量の酸をより多量の安定化剤と共に使用すると、イオン結合により溶液のpHが高まるからである。さらに、酸性化中に溶液の粘稠性が低下する。これにより恐らく、水素イオンが安定化剤のカルボキシル基と結合し、ガムの親水性が低下する。
【0053】
第2の様式によれば、一部のカルボキシル基は、ヒドロニウム(H)イオンと静電気的に結合し、これによりpHの酸性化が促される。この結果、安定化剤は正の領域を有することになる。この結合により、乳および安定化剤を酸と安定化剤との混合物と合わせたとき、酸−安定化剤混合物中の安定化剤のカルボキシル基は、リン酸カルシウムと反応することが可能な水素イオンを残さず、それにより、望ましくない付加的な泡の発生を阻止することになると考えられる。さらに、この2つの混合物を合わせる間、安定化剤の正に帯電した領域のいくつかは、今やさらに負に帯電したタンパク質ミセル上に吸着し、それによりタンパク質ミセルにとっての保護シールドが形成される結果、立体保護が生じると考えられる。ヒドロニウムイオンがカルボキシル基から非結合状態になりリン酸塩を溶液中に溶解させることを防止することにより安定性を維持するのは、この保護シールドまたは立体保護である。
【0054】
しかし、仮に、カルシウム橋上に吸着するのに十分な量の、最初は負の安定化剤をタンパク質ミセルが有さない場合には、ヒドロニウムイオンは、安定化した酸成分中のカルボキシル結合から移動し、遮蔽されていないリン酸塩を溶液中に溶解させ、それにより溶液が不安定化することになる。
【0055】
さらに、仮に、カルシウム橋上に吸着するのに十分な量の、最初は負の安定化剤をタンパク質ミセルが有するが、溶液中に非結合ヒドロニウムイオンが存在する(すなわち、イオンがカルボキシル基と結合していない)場合には、水素イオンはリン酸塩を溶液中に溶解させ、それにより、立体保護が無効になることから溶液が不安定化することになる。
【0056】
現段階で完全に解明されてはいないが、恐らく、酸性化後の安定化したタンパク質ミセル上の電荷は正であり、これにより溶液中で正電荷の反発が生じてタンパク質ミセルが懸濁し、負電荷の斥力を用いて安定性を作り出しタンパク質分子を懸濁させる伝統的な方法と比較して安定性が生み出されると仮定される。
【0057】
前述の技術を用いれば、沈降および凝集がほとんどまたは全くない安定な混合物が保証され、製品が発泡することなく、より高いタンパク質含量を達成することもできる。さらに、より広いpH範囲が達成されるが、これは、正電荷を達成するタンパク質に安定性は左右されないからである。
【0058】
図2は、本発明による酸安定性のタンパク質製品、とりわけ、酸性化したタンパク質成分用の液体または粉末を製造する方法において採用されることになる工程の概略図を示すものである。本発明のこの方法を用いて製造できる典型的な製品としては、異なるタンパク質およびpHレベルを有し粘稠性が異なる粉末状および液体のタンパク質飲料が挙げられる。典型例としては、飲料および飲料濃縮物であり、アルコールタイプ、調味料、氷菓、菓子、さらにはパーソナルケア化粧品が挙げられる。
【0059】
この方法における第1の工程は、スラリーの形態の安定化したタンパク質成分14を供給する。安定化したタンパク質成分14は、ミセル形態のタンパク質である非変性乳タンパク質10、および、高せん断条件の間に、濾過した脱イオン水中に溶解していた第2の安定化剤12を含む。安定化したタンパク質成分14は、クエン酸三ナトリウムの形態の緩衝剤を含んでいる。好ましくは、安定化したタンパク質成分14は、緩衝剤を加える前に、1または2段階のホモジナイゼーション工程によりホモジナイズする。
【0060】
本発明のこの実施態様において、タンパク質成分10としてスキムミルク粉末を使用する。ただし、多様な形態のタンパク質材料を出発タンパク質成分として使用できると考えられることを指摘しておく。タンパク質成分としては、例えば、無糖練乳、乳粉末、乳タンパク質濃縮物および乳タンパク質単離物、または、豆乳粉末、大豆タンパク質濃縮物、大豆タンパク質単離物などの代替的なタンパク質もしくはタンパク質加水分解産物、ならびに乳由来のカゼイネートを挙げることができよう。こうした代替的なタンパク質は、ミセルの形態にさらに加工して、特許請求する方法に適したものにしなければならない。
【0061】
ここで、第2の安定化剤処方12は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を含む。第2の安定化剤処方12の目的は、安定化したタンパク質成分14中のカゼインが、酸安定化剤ブレンドに暴露された際に析出および凝固するのを防止することである。
【0062】
安定化したタンパク質成分14は、乳製品のプロセスにおける蒸発装置の上流で製造してもよく、すなわち、液体脱脂乳10および第2の安定化剤処方12を蒸発装置中で濃縮してスラリーを形成してもよい。あるいは、脱脂乳10および第2の安定化剤処方12は、乳製品のプロセスの蒸発装置から下流で製造することもできよう。すなわち、濃縮された脱脂乳10は、この時点で中に混ぜ入れられた安定化剤処方12を有することができる。典型的には、安定化したタンパク質成分14は、完全に水和した状態のままである。スラリーのホモジナイゼーションは、1または2段階のいずれかにおいて行うことができる。所望により、脱脂乳10は、膜限外濾過技術を用いてさらに加工することもできると考えられるが、この場合、必要なタンパク質含有量に応じた乳タンパク質濃縮物または単離物などの保持物が形成される。
【0063】
安定化したタンパク質成分14は、脱気されていて空気を捕捉していないことが好ましい。
【0064】
この方法の次の工程は、同じくスラリーの形態の安定化した酸成分20を提供することである。この実施態様の安定化した酸成分20は、クエン酸一水和物の形態の食品等級酸16を、ある量の第1の安定化剤処方18(この場合はCMCである)と一緒に含む。しかし、リン酸、乳酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酒石酸、グルコノデルタラクトンおよびフルーツジュースまたは野菜ジュースを含め、他の酸も使用できるであろうということは容易に理解されよう。この第1の安定化剤処方18は、クエン酸に暴露された際に乳中のカゼインが析出および凝固するのを阻止すると考えられることから、第2の安定化剤処方12と同じ目的を果たす。このことは、第1の安定化剤処方18に対する正しい量の酸16(以下に計算するとおり)を安定化したタンパク質成分14と確実にブレンドすることにより達成される。
【0065】
この方法における次の工程は、安定化したタンパク質成分14を安定化した酸成分20中に高せん断条件32下で導入して、酸性化したタンパク質成分22を形成することを含む。安定化したタンパク質成分14を安定化した酸成分20中に導入するのであってその逆ではない理由は、今やさらに負に帯電したカゼインミセルと正に帯電したヒドロニウムイオン−安定化剤複合体との引付け合いにより生じる、混合物の突然の粘稠性上昇を防止することである。工程32における高せん断混合は、スラリーの適切な混合に役立つことを指摘しておく。スラリーをホモジナイズすることは有益である。
【0066】
安定化したタンパク質成分14と安定化した酸成分20とを合わせる際の沈降および凝集を防止するために、第1の安定化剤処方18と安定化した酸成分の酸16とは適切な比率でなければならないことをさらに指摘しておく。この点を以下に記載することにする。
【0067】
安定化した酸成分20は、典型的には静止させておくかまたは水和させて、気泡が捕捉されないようにすべきである。安定化した酸成分20は、さらに好ましくは、製造後比較的短期間のうちに、安定化したタンパク質成分14と合わせるべきであるが、その理由は、長期間遅れると、2つのスラリー(安定化したタンパク質成分14および安定化した酸成分20を構成する)を合わせる際に凝集が生じる可能性があると考えられるからである。これは恐らく、安定化した酸成分20中の第1の安定化剤処方18の架橋により正および負の領域が互いに引き合い、それにより、電荷が相殺されて無効になり、酸性化したタンパク質成分22中の第2段階の立体保護においてタンパク質ミセルが安定化するのであろう。典型的には、酸性化したタンパク質成分22は、消泡剤を含有できると考えられる。
【0068】
この工程は、おいしく飲める飲料とするために、異なる粘稠性および異なるタンパク質レベルを有する製品の製造に使用できると考えられることを指摘しておく。工程32は、酸性化された乳濃縮物に水を加えて再構成するだけで末端消費者が酸性化乳飲料を調製できるように、甘味剤および香味剤および保存料の添加も包含できると考えられる。
【0069】
安定化したタンパク質成分14と安定化した酸成分20とを高せん断プロセス容器中にて真空下で混合して、先に説明したようなさらなる脱気が回避されれば、有益である。
【0070】
工程32の間に形成されるスラリーは、形成された濃縮物を水と混合する際の製品の腐敗および発泡を防止するために、適切に脱気されるべきである。
【0071】
この方法における最終工程は、酸性化したタンパク質粉末24を形成するための酸性化したタンパク質成分22の乾燥34を含む。典型的には、乾燥34は、噴霧乾燥プロセスを用いると有効であろう。
【0072】
酸性化したタンパク質粉末24を構成する乾燥粒子を水と接触させると、タンパク質および安定化剤が中身であることから結果として高い表面張力が生じるため、酸性化したタンパク質粉末24は凝集させることが有益であることを指摘しておく。これにより、酸性化したタンパク質粉末24の溶解が容易になると思われる。
【0073】
最終工程は、製造された酸性化したタンパク質粉末24が、水中で溶解されたときに沈降しないように、穏やかな多段階乾燥サイクル36を包含してもよいと考えられる。噴霧乾燥の入口温度は110℃を超えるべきではないが、規模の経済の観点から、このような低い入口温度で噴霧乾燥することは実際的でないように思われるかもしれない。より高い入口温度を用いると、水中で溶解させた際に沈降しがちになる酸性化したタンパク質粉末24が典型的に製造されよう。
【0074】
噴霧乾燥は、食用製品を乾燥させるための比較的穏やかなプロセスであるが、これは、形成された粒子は乾燥チャンバーのホットゾーンにおいて50℃台で最高温度に達するという事実による。しかし、結果として得られる製品中では、タンパク質の変性が依然として生じる。いわゆる「熱変性」は、噴霧粒子から急速に水が失われることにより生じ、それにより今度はヒドロニウムイオンの脱水が引き起こされる結果リン酸塩が溶解し、それが原因となってタンパク質ミセルが不安定化し不溶性になるのであろうと考えられる。この結果、酸性化したタンパク質粉末24を水と混合すると、最終的に沈降が生じるのであろう。
【0075】
この問題に対処するには、より高い入口温度(典型的には160℃台の温度)が利用できるように、安定化したタンパク質成分14は、脱水されたヒドロニウムイオンを全て中和するための緩衝剤を含んでいることが好ましい。しかし、より穏やかな乾燥が典型的には好ましい。適当な緩衝剤の例はクエン酸三ナトリウムである。
【0076】
急速な乾燥プロセス中では、スラリー相中の安定化剤のカルボキシル基に最初に引き付けられた脱水されたヒドロニウムイオンの形態をした水素イオンは、乾燥プロセス中に、遊離状態になり、水が失われることにより反応が可能になると考えられる。この水素イオンは、今度はリン酸塩を溶解させることで製品の安定性を徐々に低下させ、恐らく、タンパク質の電荷を負から正へ中性化または反転させるようになる。飲料を調製するために、最終的に乾燥粉末を水中で再度ぬらすと、安定化されていないカゼインミセルは凝結し、沈降が生じるであろう。
【0077】
クエン酸ナトリウム緩衝剤を加えると、噴霧乾燥中に放出される水素イオンは全て中和されることになろう。乾燥プロセス中にヒドロニウムイオンが脱水されると、安定化剤のカルボキシル基から放出された今や正に帯電した反応可能な水素イオンは、負に帯電したクエン酸イオンにより中和されることになり、一方、置換されたナトリウムイオンは安定化剤の反応可能なカルボキシル基に引き付けられることになる(と考えられる)。次に、形成された粉末を水中に再導入すると、平衡状態に達するまでの間、中和された水素イオンは、そのクエン酸結合から解離して再びヒドロニウムイオンを形成し、ナトリウムイオンを再度置換することにより安定化剤の負に帯電したカルボキシル基に引き付けられるようになり、それにより元のpHが維持され、さらにはリン酸塩が溶液中に溶解されるのが防止されることにより安定性が維持されると考えられる。
【0078】
形成されたこの粉末は、水中で溶解された後に発泡、沈降または凝結しないと考えられる。しかし、リン酸カルシウムと反応すると考えられる遊離水素イオンの発生を防止するためには、クエン酸ナトリウムの量が特定の用量未満になるのが許容できないことは回避できない。次に、酸性化したタンパク質粉末24を水に加えて、おいしく飲めるヨーグルトスタイルの飲料または乳−ジュースタイプの飲料38を形成する。
【0079】
前述の方法は、以下の実施例を参照しながらより詳細に説明できる。カゼインの析出を防止するために、安定化したタンパク質成分14中にはタンパク質成分10に対する正しい比率の第2の安定化剤処方12が存在しなければならない。さらに、安定化した酸成分20中には、酸16に対する正しい比率の第1の安定化剤処方18が存在しなければならず、酸性化したタンパク質成分22中には、緩衝剤に対する正しい比率の酸が存在しなければならない。
【0080】
第2の安定化剤処方12とタンパク質成分10との比率は、1:17〜1:5.666であり、好ましくは1:8.5である。1:17の比率は、CMC1g(乾燥重量ベース)対タンパク質17g(乾燥重量ベース)に等しい。スキムミルク粉末剤の場合、この比率は、CMC1g対スキムミルク粉末50gに等しい。より好ましい1:8.5の比率は、CMC1g(乾燥重量ベース)対タンパク質8.5g(乾燥重量ベース)に等しい。スキムミルク粉末剤の場合、この比率は、CMC1g対スキムミルク粉末25gに等しい。
【0081】
安定化したタンパク質成分14と安定化した酸成分20とを合わせた際の凝集を防止するためには、第1の安定化剤処方18中のCMC対クエン酸一水和物16の比率は、乾燥重量ベースで1:1.096491から、好ましくは1:1.302083からである。異なる飲料において、異なる粘稠性およびpH値を得るためには、酸16対CMC18の量は変化してもよいと考えられるが、CMC対クエン酸一水和物の比率(%)は、酸16が第1の安定化剤処方18の量の1.096491倍を超えないようなものでなければならない。好ましくは、酸は、第1の安定化剤処方18の量の1.302083倍を超えてはならず、またはより具体的には、最初の酸濃度対CMCは、10−2.53mol/L:CMC1.92g/Lである。
【0082】
酸16と緩衝剤との比率は、1:0.05から、好ましくは1:0.15からである。1:0.05の比率は、クエン酸一水和物1g(乾燥重量ベース)対クエン酸三ナトリウム0.05g(乾燥重量ベース)に等しい。一方、1:0.15の比率は、クエン酸一水和物1g(乾燥重量ベース)対クエン酸三ナトリウム0.15g(乾燥重量ベース)に等しい。
【0083】
安定化した酸成分20中のCMC18対酸16の比率を試験的に計算して、1つの近似的な既知値を求めてある。この既知値を用いると、pH値を決定するための等式、すなわち、
pH=−log10[H
[式中、[H]はHイオンの濃度(単位:1リットル当たりのモル)である]
を用いて式を導くことができる。
【0084】
この式は、本発明による酸性化したタンパク質成分22における所望のpH値に必要な安定化剤のおよその最小量を決定するための指標として、具体的には、クエン酸一水和物2.5gで希釈した1リットル溶液のpHを測定することにより使用できると考えられる。この溶液のpHはおよそ2.53であり、これは10−2.53mol/Lの水素イオンに等しい。クエン酸一水和物2.5gは安定化剤1.92gと組み合わせて使用する。この量は、安定化したタンパク質成分14を安定化した酸成分20と合わせた際に凝集および沈降を有効に防止するために使用される、安定化剤1.92g当たり10−2.53mol/Lの水素イオンに等しい。
【0085】
前記の値を用い、安定化されていない酸成分のpH値を用いると、新しい安定化されていない酸成分に必要な、安定化剤の最小量を、乾燥重量ベースで決定することが可能である。pH=−log10[H]の式を用いると、混合物の新しいpHが5であれば、安定化剤の必要量は、溶液中のH濃度を最初に決定することにより使用でき、すなわち、以下のようになる:
5=−log10[H
=10−5
=10−5mol/L
【0086】
ここで、以下の連立方程式を用いることにより、安定化剤の量を決定できる:
試料1:
10−2.53mol/L=安定化剤1.92g
試料2:
10−5mol/L=安定化剤Xg
∴ Xg(10−2.53mol/L)=1.92g(10−5mol/L)
∴ X=安定化剤0.00650581g
【0087】
したがって、最小0.00650581gの安定化剤が必要である。
【0088】
安定化剤/L=1.92[10(2.53)−(pH)](式中、pHは、標準的な温度および圧力で安定化されて、安定化した酸成分を形成する溶液の最初の酸性度である)。この単純化された式は、安定化剤対酸の正しい割合を与えるための指標として使用できるが、溶液から放出されている追加的な泡がないことをチェックし、ならびに溶解しているリン酸塩についてテストするには、物理的テストが推奨される。
【0089】
この式は、溶液中で完全にイオン化する強酸については線形で理想的であるが、溶液中で完全にはイオン化しないクエン酸などの弱酸に使用することもできる。これについては、安定化される前のRTC(ready to consume、即時消費可能な)製品1リットル中の酸溶液のpHを知ることにより達成できる。前記の式を用いて必要な安定化剤を算出し、それに希釈率を掛けると、最終的な安定化剤の量が導かれる。
【0090】
追って実施例3で説明するように、希釈後に約12%のスキムミルク濃度を有するRTC飲料11.609Lを製造するためのスラリー濃縮物の希釈率は1:10.609である。RTC溶液1リットルを作るための酸溶液のpHは2.53であり、前記の式を使用すると、必要な安定化剤は1.92gとなる。その後、安定化剤に、製造すべき製品の最終容量、すなわち11.609を掛けなくてはならない。したがって、十分な安定化に必要な安定化剤の最終量は、11.609×1.92g=22.290gとなろう。弱酸を補う理由は、製品を希釈する間、カルボキシル基にイオン結合された水素イオンの一部が溶液中でヒドロニウムイオンへのイオン化を始め、静電気的にカルボキシル基に直ちに再度引き付けられるようになり、それにより平衡状態を維持することになるからである。一方、補填用の安定化剤を加えなければ溶液は平衡状態に達しようとし続けることになると思われるが、このとき水素イオンは、イオン化していない酸から放出されることになり、このことは溶液の安定性にとって不利益である。その理由は、この遊離した非結合ヒドロニウムイオンはリン酸塩を溶液中に溶解させ、それにより溶液を沈降および凝結させることになるからである。
【0091】
安定化剤1.92g当たりクエン酸一水和物2.5gは、使用する安定化剤1.92g当たり10−2.53mol/Lの水素イオンに等しい。さらに、安定化剤X量当たり10−50mol/Lの水素イオンが必要である。したがって、Xは、酸ベースの溶液のpH値が5である安定化剤0.00650581gに等しい。この数字は、炭酸入り乳飲料の製造に必要な安定化剤の最小量を決定するうえで有用であり、その理由は、炭酸は、第1の安定化剤18の炭酸化中に形成されることになるからである。
【0092】
同様に、乾燥プロセス中に溶液を中和するために必要な緩衝剤の既知量を用いると、カルボキシル結合から外れて緩衝剤の陰イオンと結合するHイオンの量を計算できる。この数字は、乾燥プロセス中に必要な緩衝剤の最小量を確定するうえで有用となると考えられる。必要な緩衝剤の量は、乾燥プロセスがどの低度穏やかに実施されるかによっても決まってくるということに留意しなければならない。
【0093】
前述の計算方法は、低温殺菌プロセス中に追加の緩衝剤が必要か否かを決定するうえで使用できる。当業者であれば、溶液を加熱すると溶液のpH値が下がることになるという事実を承知しているであろう。
【0094】
要約すると、安定化した酸成分20の第1の安定化剤処方18の量は、安定化した酸成分20中での任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分な量でなくてはならない。同様に、安定化したタンパク質成分14中の第2の安定化剤12の量も、安定化した酸成分20から水素イオンが非結合状態になり酸性化したタンパク質成分22中のタンパク質ミセルに引き付けられることを阻止するのに十分な量でなくてはならない。
【0095】
本発明は、非変性乳タンパク質が直面する問題に対処することを意図したものであるが、タンパク質をタンパク質ミセルに改変するのに十分な工程が採用される場合には、前述のプロセスを用いれば、他のタンパク質またはタンパク質加水分解産物は同じように良好に機能できると考えられることに注目しなければならない。さらに、前述の実施形態はクエン酸一水和物を使用するが、酸16溶液中の水素イオン濃度の量に対して必要な安定化剤の量を正確に決定するのに適した工程が採用される限り、他の酸、ならびに、フルーツの内容物を含有する酸を使用できることを指摘しておく。この量は、前述のpH計算を指標として用いれば、当業者であれば容易に計算できる。
【0096】
前述の方法の結果得られる製品は、ビタミン、ミネラル、プレバイオティクスおよびプロバイオティクスで強化できると考えられることをさらに指摘しておく。この製品は、保存料を含んでいてもよいと考えられる。使用できると考えられる保存料の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムおよびピマリシンが挙げられる。
【0097】
当然ながら、他の緩衝剤を採用することもできよう。そのような緩衝剤の例としては、リン酸カリウム、乳酸ナトリウムおよび酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0098】
図面の図3〜6は、特許請求の範囲の方法のいくつかの変形を用いて酸安定性のタンパク質製品を製造するうえで採用されることになる工程を示す図を提供するものである。本発明により製造できる典型的な製品は、異なるタンパク質およびpHレベルおよび粘稠性を有するタンパク質飲料、例えば、低pHの乳飲料、おいしく飲めるヨーグルトスタイルの飲料、ならびに、ホエー分離していないクリームチーズおよび乳タンパク質入りのフルーツスムージーである。
【0099】
図3は、ヨーグルトスタイルの飲料または酸性化乳飲料を製造する代替的な方法を開示するものである。この方法は、安定化した酸成分20をマルトデキストリンの形態の増量剤と混合する工程と、このブレンド物を噴霧乾燥して安定化した酸粉末26を得る工程とを含む。その場合、この方法は、前述の要領で、安定化した酸粉末26を酸性化したタンパク質粉末24とブレンドして、酸−タンパク質粉末ブレンド物30を形成することを提供する。こうすると、酸−タンパク質粉末ブレンド物30を水に加えるだけで、おいしく飲めるヨーグルトスタイルの飲料または乳ジュースタイプの飲料38が形成される。
【0100】
図4は、ヨーグルトスタイルの飲料を製造するまた別の方法を例証するものである。この方法は、図3に記載の方法と同様、安定化した酸成分20をマルトデキストリン28の形態の増量剤と混合する工程と、このブレンドを噴霧乾燥して安定化した酸粉末26を得る工程と、次に、この粉末26を、予め水和した粉末状のCMC12および緩衝剤とブレンドして、安定化した酸粉末ブレンド31を製造する工程とを提供する。安定化した酸粉末ブレンド31を液体タンパク質成分10に加えて、ヨーグルトスタイルの飲料40を製造する。
【0101】
図5は、本発明によるクリームチーズを製造する方法を例証するものである。この方法は、CMCの形態の第2の安定化剤処方12を、乳、乳タンパク質濃縮物または乳タンパク質単離物の形態のタンパク質成分10に加える工程と、この2つを高せん断条件下でブレンドして安定化したタンパク質成分14を形成する工程とを提供する。次に、安定化した酸粉末26を安定化したタンパク質成分14中にブレンドして、クリームチーズ42を製造する。
【0102】
図6は、スムージーを製造する方法を例証するものである。この方法は、フルーツジュースまたは野菜ジュースまたはその組合せの形態の酸16を供給する工程を含む。酸16に、予め水和したCMCの形態の第1の安定化剤処方18を加えて、安定化した酸成分20を製造する。次に、酸性化したタンパク質粉末24または酸性化したタンパク質成分22または安定化したタンパク質成分14を安定化した酸成分20に加えて、スムージー44を製造する。
【0103】
図7は、本発明による炭酸入りタンパク質飲料を製造する方法を例証するものである。この方法は、第1の安定化剤処方18を水中にブレンドしてからこの混合物中に二酸化炭素を導入して、安定化した酸成分20を製造する工程を提供する。安定化したタンパク質成分14は、第2の安定化剤処方12を、水中に溶解されたタンパク質10と混合し、この混合物をホモジナイズすることにより製造する。安定化したタンパク質成分14を安定化した(炭酸入りの)酸成分20中に導入して、炭酸入り酸性化タンパク質飲料46を形成する。炭酸入り酸性化タンパク質飲料46には、ホモジナイゼーションを施してもよい。
【0104】
先に開示したものに代わる方法では、酸性化したタンパク質成分22を安定化した(炭酸入りの)酸成分20中に直接導入して、炭酸入り酸性化タンパク質飲料46を形成する。
【0105】
安定化剤処方の量が、炭酸化工程の結果として生じる可能性のある任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分でなければならないことは重要である。
【0106】
具体的には前述していないが、前述の方法により形成された酸安定性のタンパク質製品にアルコールを加えてもよい。
【0107】
この方法は、食品の酸を使用することによる直接的な酸性化を用いた酸性化乳製品の製造を説明するものであるが、そのような製品を製造するのに十分な工程が採用されれば、開始培養物を使用することによる乳の間接的な酸性化を用いることにより、同様の官能特性を有する製品を製造することもできることに注目しなければならない。一例は乳の限外濾過の間であると考えられ、このとき、乳糖を含有する成分またはパーミエート(permeate)に開始培養物を播種して乳酸を所望のpHにすることができる。次に、この溶液を、予め水和したCMCまたは溶解しているCMC溶液と、全ての非結合水素イオンが反応できなくなるまで高せん断下でブレンドできる。次に、この酸成分を、残存しているタンパク質成分または保持物(ホエー分離していないヨーグルト飲料を形成するように安定化されている)とブレンドできる。このヨーグルト飲料は伝統的なヨーグルトに伴う粉っぽさをもたないことになることにも注目しなければならない。
【0108】
以下の実施例において本発明をさらに例示するものとする。
【実施例】
【0109】
実施例1(即時飲用可能な飲料約1000mlを調製するため)
酸性化乳飲料:1リットル当たり脱脂乳約120gまたはスキムミルク12%を含有する。
好ましいpH値は3.9〜4.2
【0110】
【表1】

【0111】
工程1:安定化したタンパク質成分の調製
1.1 脱脂乳粉末12gをCMC0.48gと乾燥ブレンドしてから、該ブレンドを高せん断下で水に加える。クエン酸三ナトリウム0.375gを溶液に加え、よくブレンドする。
1.2 少なくとも30分間水和および消泡させる。
1.3 所望により、クエン酸三ナトリウムの添加前にホモジナイズしてもよい。
【0112】
工程2:酸成分の調製
2.1 CMC1.92gとショ糖10gとを乾燥ブレンドする。該乾燥ブレンドを高せん断下で水450g中に加え、ガムが完全に水和するのを待ってから、クエン酸2.5gをこの溶液に加えて、よくブレンドする。
2.2 好ましくは60分間未満、水和および消泡させる。
2.3 所望によりホモジナイズしてもよい。
【0113】
工程3:高せん断下での工程1および工程2の製造物の組み合わせ。この段階で、残りのショ糖105g、着色料および香味料を加え入れることができる。所望により、1または2段階のいずれかで100〜200バールでホモジナイズする。この段階で消泡剤を加えることができる。
【0114】
工程4:低温殺菌し、容器の中に充填して冷却する。
【0115】
実施例2(即時飲用可能な飲料約1000mlを調製するため)
酸性化乳飲料:粉っぽさのないドリンクヨーグルトと同様、1リットル当たり脱脂乳約1000gを含有する。
好ましいpH値は4.1〜4.3
【0116】
【表2】

【0117】
工程1:安定化したタンパク質成分の調製
1.1 脱脂乳粉末100gをCMC4gと乾燥ブレンドしてから、該ブレンドを高せん断下で水450gに加える。次に、クエン酸三ナトリウム1.05gを溶液に加え、よくブレンドする。
1.2 少なくとも30分間水和および消泡させるか、または所望によりスラリーを脱気装置に通す。
1.3 所望により、ホモジナイズしてもよい。
【0118】
工程2:酸成分の調製
2.1 CMC5.376gとショ糖25gとを乾燥ブレンドする。該乾燥ブレンドを高せん断下で水450g中に加え、ガムを完全に水和させてから、クエン酸一水和物7gをこの溶液に加えて、よくブレンドする。
2.2 所望によりホモジナイズしてもよい。
2.3 好ましくは60分間未満、水和および消泡させる。
【0119】
工程3:高せん断下での工程1および工程2の製造物の組み合わせ。この段階で、残りのショ糖75g、着色料および香味料を加え入れることができる。所望により、1または2段階のいずれかで100〜200バールでホモジナイズしてから、所望によりスラリーを脱気装置に通す。この段階で消泡剤を加えてもよい。
【0120】
工程4:低温殺菌し、容器の中に充填して冷却する。
【0121】
実施例3(噴霧乾燥用のスラリー約1000mlを調製するため)
酸性化された乳スラリー:+−約20%の全固形物を含有する
【0122】
【表3】

【0123】
工程1:安定化したタンパク質成分14の調製
1.1 脱脂乳粉末139.316gをCMC5.572gと乾燥ブレンドして、高せん断下で水252.897g中に入れる。次に、クエン酸三ナトリウム4.353gを混ぜ入れ、よくブレンドする。
1.2 少なくとも30分間水和および消泡させるか、または所望によりスラリーを脱気装置に通す。
1.3 好ましくは、スラリーを1または2段階でホモジナイズすべきである。
【0124】
工程2:酸成分の調製
2.1 CMC22.29gを高せん断下で水542.983g中に加えてから、クエン酸を溶液に加えて、よくブレンドする。
2.2 所望によりホモジナイズしてもよい。
2.3 好ましくは60分間未満、水和および消泡させる。
【0125】
工程3:工程1の製造物を工程2中に高せん断下で合わせる。所望により、1または2段階のいずれかでホモジナイズしてから、好ましくは、スラリーを脱気装置に通す。この段階で消泡剤を加えてもよい。
【0126】
工程4:含水量が10%〜12.5%になるまで150℃〜160℃で噴霧乾燥させるが、110℃の第1段階で噴霧乾燥してから、流動床を使用して、10%〜12.5%の適切な含水量になるまで冷却することが好ましい。
【0127】
必要に応じ、酸タンパク質ベースの混合物に保存料を加えてもよい。噴霧乾燥機が処理できる粘稠性およびさらにはブレンド設備によっては、工程3のスラリーは全固形物をより多く含有してもよい。
【0128】
製品保管寿命は、最大12カ月以上を保つべきである。乾燥粉末を、糖、甘味料またはその組合せ、香味料および着色料と乾燥ブレンドして、水に加える粉末飲料を調製できる。
【0129】
噴霧乾燥粉末約20gを顆粒状のショ糖115g、香味料および着色料と乾燥ブレンドして、粉末タイプの清涼飲料ブレンドを製造する。該ブレンドを水900mlと混合して、pH約3.9の飲料約1リットルを製造する。
【0130】
実施例4(フルーツバースタイル−本物のフルーツのスムージー約1000gを調製するため)
本物のフルーツのスムージー:1000g当たり脱脂乳粉末約100gおよびピューレにしたばかりのフルーツ700gを含有
【0131】
【表4】

【0132】
工程1:安定化したタンパク質成分の調製
1.1 脱脂乳粉末100gをCekol30 CMC 4gと乾燥ブレンドしてから、該ブレンドを高せん断下で水に加え、所望により該ブレンドにクエン酸三ナトリウムを加える。
1.2 少なくとも30分間水和させる。
【0133】
工程2:酸成分の調製
2.1 予め水和したCMC15粉末1gを高せん断下でフルーツピューレ700gに加え、ガムを完全に水和させる。
【0134】
工程3:高せん断下での工程1および工程2の製造物の組み合わせ
【0135】
製造物を準備する。
安定化したタンパク質成分は、低pHでタンパク質含量の高い酸性化したタンパク質の噴霧乾燥粉末約50gで代用し、次にフルーツピューレ950gに加えることができよう。その場合、安定化したタンパク質成分にするための30分の水和時間はとらない。乳糖を減らしたレシピの場合、スキムミルクは乳タンパク質単離物で代用できる。
【0136】
実施例5(ドリンクヨーグルトタイプの飲料約1000gを調製するための安定化した酸粉末)
スラリー:+−約15%の全固形物を含有する。
【0137】
【表5】

【0138】
工程1:酸粉末成分の調製
1.1 消泡剤を水1246.430g中に混ぜ入れる(所望により)。
1.2 安定化剤、すなわちCekol30を高せん断下で水中に混ぜ入れる。
1.3 混合物を完全に水和させる。
1.4 高せん断下で酸を安定化剤混合物に加え、完全に溶解させる。
1.5 酸性化した混合物にマルトデキストリンを高せん断下で加える。所望により、マルトデキストリンはCekol30とブレンドして、1.2により水中に溶解させることができると考えられる。
1.6 含水量が10%〜15%であるこの混合物を120℃〜150℃で噴霧乾燥させる。噴霧乾燥は、酸性化の1時間以内に行わなければならない。この粉末30.2gを予め計量しておく。
【0139】
工程2:香味成分の調製
2.1 香味成分の原料を全て乾燥ブレンドする。
【0140】
工程3:予め計量しておいた工程1の酸粉末を、工程2の中に合わせて、よくブレンドする。Sipernat(二酸化ケイ素)のような自由流動化剤を使用してもよい。
【0141】
工程4:工程3の粉末を液体乳1リットルと混合してドリンクヨーグルトスタイルの飲料を製造する。溶解性が問題である場合は、酸成分中のSilfoamexを23.714g未満に減らしてもよい。
【0142】
実施例6(炭酸入り酸性化乳飲料約1000mlを調製するため)
炭酸入り酸性化乳飲料:脱脂乳約120gを含有する
【0143】
【表6】

【0144】
工程1:安定化剤成分の調製
Cekol30 0.5gを水896.723gと高せん断条件下で混合し、完全に溶解させる。混合物は、真空システムを用いることにより、気泡がない状態にすべきである。次に、保持容器をCOで加圧すべきである。この混合物をこの段階で炭酸化し、通常のレベル、すなわちCOガスの容量が±4の炭酸入りソーダ飲料にできる。一方、圧力下では、この混合物は高せん断下で混合すべきである。この混合物は、所望により、全てのCOが溶液中に溶解するまで静止させておいてもよい。酸性化乳成分(捕捉された空気がない状態でなければならない)、ならびに、香味料および着色料を含有する液体糖は、炭酸入りの安定化剤混合物中に高せん断下で送り込むことができる。この混合物は、所望により、COが全て溶液中に溶解されるまで静止させておいてもよい。この混合物は、消泡剤を含有してもよい。
【0145】
工程2:混合物をホモジナイズする
炭酸入りのタンパク質飲料は、この段階で、COで加圧されている別の容器に移してもよい。ホモジナイザーは、両方の容器の間に設置すべきである。製品は、この段階で、ホモジナイザーを経由して、COで加圧された他方の容器中に送り込む。この混合物は、1または2段階のホモジナイズサイクルを用いて、100バール〜200バールでホモジナイズできる。炭酸入りの混合物は、COが全て溶液中に溶解されるまで、他方の容器中で落ち着かせることができる。炭酸入り飲料は、この段階で容器中に加圧充填できる。普通の低温殺菌手順をその前に行ってもよい。この混合物は、消泡剤を含んでいてもよい。
【0146】
実施例7(炭酸入り乳飲料約1000mlを調製するため)
炭酸入り乳飲料:脱脂乳約1000gを含有する
【0147】
【表7】

【0148】
工程1:炭酸入りタンパク質飲料の調製
Cekol30 0.5gを水675.000gと高せん断条件下で混合し、完全に溶解させる。混合物は、真空システムを用いることにより、気泡がない状態にしなくてはならない。次に、保持容器をCOで加圧する。この混合物をこの段階で炭酸化し、従来のレベル、すなわちCOガスの容量が±4の炭酸入りソーダ飲料にする。一方、圧力下では、この混合物は高せん断条件下で混合する。この混合物は、所望により、COが全て溶液中に溶解するまで静止させておいてもよい。高せん断により混合してから、その後ホモジナイズして緩衝剤が加えられた調製済みの安定化したタンパク質成分は、捕捉された空気がない状態でなくてはならず、高せん断下で炭酸入りの安定化剤混合物中に送り込み、次いで液体糖、香味料および着色料を加える。この混合物は、所望により、COが全て溶液中に溶解されるまで落ち着かせておいてもよい。
【0149】
工程2:混合物をホモジナイズする。
炭酸入り酸性化タンパク質飲料は、この段階で、COで加圧されている別の容器中に移してもよい。ホモジナイザーは、両方の容器の間に設置する。形成された製品を、COで加圧された他方の容器中にホモジナイザー経由で送り込む。この混合物は、1または2段階のホモジナイズサイクルを用いて、100バール〜200バールでホモジナイズする。この炭酸入り混合物は、COが全て溶液中に溶解されるまで、他方の容器中に落ち着かせておく。この炭酸入り飲料は、この段階で容器中に加圧充填する。普通の低温殺菌手順をその前に行ってもよい。
【0150】
変換率:1バール=1×10Pa
実験装置および特別原料一覧:
原料:
1.TIC−PRETESTED(登録商標)Pre−Hydrated(登録商標)Ticalose(登録商標)CMC15粉末(製造者:TIC GUMS)
2.CP Kelco−CEKOL30カルボキシメチルセルロースナトリウム(製造者:CP Kelco)
3.Silfoamex 212F 20%消泡剤−ジメチルシロキサンエマルション(製造業者:Chemserve、南アフリカ)
実験装置:
1.Silverson L4RT 実験用高せん断ミキサー
2.AnD MX−50 水分分析計
3.IQ Scientific pHメーター
4.BUCHI 小型噴霧乾燥機:型番B−290
5.Soda Stream Premium 炭酸注入機
6.自己組立による特製の真空チャンバー
7.自己組立による特製の流動床プロセッサー
8.自己組立による特製の大型噴霧乾燥チャンバー(比較的大きな粒子サイズ用)。
【0151】
【表8】

【0152】
【表9】

【0153】
【表10】

【0154】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性化したタンパク質成分を製造する方法であって、
−タンパク質成分を供給する工程、
−酸と、水中に溶解された第1の安定化剤処方の量、安定化した酸成分中での任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分な量の第1の安定化剤処方とを含む安定化した酸成分を供給する工程、および
−安定化した酸成分をタンパク質成分とブレンドして酸性化したタンパク質成分を形成する工程を含む、方法。
【請求項2】
安定化した酸成分が、1.68グラム〜4.0グラムの第1の安定化剤処方を、10−2.50mol/L〜10−2.70mol/Lの水素イオン濃度を含む1リットルの安定化されていない酸に加えて、最終的な水素イオン濃度が10−2.71mol/L〜10−3.10mol/Lである安定化した酸成分を製造することによって製造される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
安定化した酸成分が、1.92グラムの第1の安定化剤処方を、10−2.53mol/Lの水素イオン濃度を含む1リットルの安定化されていない酸に加えて、安定化した酸成分を製造することによって製造される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
安定化した酸成分が2.70以上のpHを有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
安定化した酸成分が2.71〜2.94のpHを有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第1の安定化剤処方が親水コロイド状の多糖類ガム安定化剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
多糖類ガム安定化剤が、微結晶性セルロース、ジェランガム、アリギネート、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ペクチンおよびセルロースガムを含む群から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
多糖類ガム安定化剤がカルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC)である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
多糖類ガム安定化剤が低分子量を有する、請求項6記載の方法。
【請求項10】
多糖類ガム安定化剤がアニオン性である、請求項6記載の方法。
【請求項11】
酸が食品等級酸である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
酸が、クエン酸、リン酸、乳酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酒石酸、グルコノデルタラクトン、フルーツジュースまたは野菜ジュースである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
タンパク質成分が、水中に溶解されたミセル形態の非変性の液体タンパク質または粉末タンパク質を含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
タンパク質成分が、乳ベースのタンパク質を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
乳ベースのタンパク質が、液体乳、無糖練乳、乳粉末、乳タンパク質濃縮物および/または乳タンパク質単離物の形態の哺乳動物の乳を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
タンパク質成分が、豆乳粉末、大豆タンパク質濃縮物および大豆タンパク質単離物など大豆ベースのタンパク質を含み、大豆ベースのタンパク質が、有機塩またはポリリン酸塩と共にミセル形態で存在し、かつ陽イオン、特にカルシウムイオンと共に溶液中でコロイド状である、請求項13記載の方法。
【請求項17】
タンパク質成分が、その等電点において不溶性である植物または動物に由来するタンパク質またはタンパク質加水分解産物を含み、有機塩またはポリリン酸塩と共にミセル形態で存在し、かつ陽イオン、特にカルシウムイオンと共に溶液中でコロイド状である、請求項13記載の方法。
【請求項18】
タンパク質成分が、水中または液体タンパク質成分中に溶解された第2の安定化剤の量と混合され、安定化したタンパク質成分を製造し、安定化した酸成分とブレンドして、酸性化したタンパク質成分を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
第2の安定化剤の量が、安定化した酸成分から水素イオンが非結合状態になり、酸性化したタンパク質成分中のタンパク質ミセルに引き付けられるのを阻止するのに十分な量である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
タンパク質成分と第2の安定化剤成分との比率が、安定化したタンパク質成分からタンパク質ミセルの析出が最大限に達成される程度である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
第2の安定化剤が、アニオン性で親水コロイド状の低分子量の多糖類ガム安定化剤である、請求項18記載の方法。
【請求項22】
多糖類ガム安定化剤が、カラギーナン、ジェランガム、ガッチガム、寒天、キサンタンガム、トラガカントガム、アルギネート、ペクチンおよびセルロースガムを含む群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
多糖類ガム安定化剤が直鎖状の多糖である、請求項21記載の方法。
【請求項24】
多糖類ガム安定化剤がカルボキシル基を含んでいる、請求項21記載の方法。
【請求項25】
多糖類ガム安定化剤が、単糖単位当たり3つのヒドロキシル基のうち少なくともいくつかがカルボキシル基で置換されて多糖類ガム安定化剤がイオン性になることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項26】
多糖類ガム安定化剤がカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)である、請求項21記載の方法。
【請求項27】
安定化したタンパク質成分中のタンパク質成分と第2の安定化剤との比率が17:1〜5.666:1である、請求項18記載の方法。
【請求項28】
タンパク質成分と第2の安定化剤との比率が8.5:1である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
タンパク質成分および第2の安定化剤に高せん断混合を施す、請求項18記載の方法。
【請求項30】
タンパク質成分および第2の安定化剤が、1段階または2段階のホモジナイゼーション工程に供されて、安定化したタンパク質成分を形成する、請求項18記載の方法。
【請求項31】
緩衝剤が、高せん断混合後に、安定化したタンパク質成分中にブレンドされる、請求項18または29記載の方法。
【請求項32】
安定化したタンパク質成分が消泡剤を含んでいない、請求項18記載の方法。
【請求項33】
安定化したタンパク質成分が、高せん断条件下で安定化した酸成分中に加えて、酸性化したタンパク質成分を形成する、請求項1および18記載の方法。
【請求項34】
酸性化したタンパク質成分が3.1〜6.5のpHを有する、請求項1記載の方法。
【請求項35】
酸性化したタンパク質成分が消泡剤と加えられる、請求項1記載の方法。
【請求項36】
安定化したタンパク質成分を安定化した酸成分に加える間に付加的な泡が形成されていないことが、安定化した酸成分中の酸:安定化剤の比率および安定化したタンパク質成分中のタンパク質:安定化剤の比率が正しい割合であるという確証となる、請求項1および18記載の方法。
【請求項37】
安定化した酸成分が、酸と、溶解している第1の安定化剤とが一緒に加えられる1時間以内に、安定化したタンパク質成分とブレンドされる、請求項1および18記載の方法。
【請求項38】
酸性化したタンパク質成分が、1段階または2段階のホモジナイゼーション工程に供される、請求項1記載の方法。
【請求項39】
安定化したタンパク質成分と安定化した酸成分とが、濾過した脱イオン水中でブレンドされる、請求項1および18記載の方法。
【請求項40】
酸性化したタンパク質成分を乾燥させて酸性化したタンパク質粉末を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
酸性化したタンパク質成分が、噴霧乾燥を用いて乾燥される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
酸性化したタンパク質粉末が、100マイクロメートル以上の粒径を有し、溶解性をより良好にするために凝集される、請求項40記載の方法。
【請求項43】
酸性化したタンパク質成分が、噴霧乾燥プロセス中にヒドロニウムイオンの脱水がないような方式で乾燥されるか、または、少なくとも脱水が最低限に保たれ、それにより、脱水された非結合ヒドロニウムイオン(すなわち水素イオン)が緩衝剤により中和でき、カルボキシル基とヒドロニウムイオンとの間の静電引力が維持される、請求項41記載の方法。
【請求項44】
酸性化したタンパク質粉末の含水量が5%〜15%である、請求項40記載の方法。
【請求項45】
酸性化したタンパク質粉末の含水量が10%〜12%である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
酸性化したタンパク質粉末が、ヒドロニウムイオンに対し脱水効果をもたないことを特徴とする自由流動化剤を含有して、酸性化したタンパク質粉末が周囲空気から水分を引き込むことを防止する、請求項40記載の方法。
【請求項47】
自由流動化剤が二酸化ケイ素である、請求項46記載の方法。
【請求項48】
噴霧乾燥の入口温度が110℃〜160℃である、請求項41記載の方法。
【請求項49】
入口温度が150℃〜160℃である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
酸性化したタンパク質粉末が、水に加えられて、ヨーグルトスタイルの飲料または即時飲用可能な酸性化乳飲料を形成する、請求項40記載の方法。
【請求項51】
タンパク質成分が、スラリーの形態で水和された状態を保つ、請求項1記載の方法。
【請求項52】
−安定化した酸成分を乾燥させて安定化した酸粉末を形成する工程、および
−安定化した酸粉末を酸性化したタンパク質粉末と乾燥ブレンドして酸−タンパク質粉末ブレンドを形成する工程をさらに包含する、請求項1記載の方法。
【請求項53】
−安定化した酸成分を乾燥させて安定化した酸粉末を形成する工程、および
−安定化した酸粉末を、予め水和したCMC粉末および緩衝剤と乾燥ブレンドして安定化した酸粉末ブレンドを形成する工程をさらに包含する、請求項1記載の方法。
【請求項54】
安定化した酸成分を乾燥させる前に、安定化した酸成分に増量剤を加える工程を包含する、請求項52または53記載の方法。
【請求項55】
増量剤が、加水分解デンプン、糖およびマルトデキストリンを含む群から選択される、請求項54記載の方法。
【請求項56】
増量剤がマルトデキストリンである、請求項55記載の方法。
【請求項57】
安定化した酸成分が、噴霧乾燥を用いて乾燥されて、安定化した酸粉末を形成する、請求項52または53記載の方法。
【請求項58】
安定化した酸粉末が緩衝剤を含んでいない、請求項52または53記載の方法。
【請求項59】
酸タンパク質粉末ブレンドが、水に加えられ、ヨーグルトスタイルの飲料または即時飲用可能な酸性化乳飲料を形成する、請求項52記載の方法。
【請求項60】
安定化した酸粉末ブレンドが、安定化したタンパク質成分中にブレンドされ、ヨーグルトスタイルの飲料を製造する工程をさらに含む、請求項53記載の方法。
【請求項61】
タンパク質成分が液体乳である、請求項60記載の方法。
【請求項62】
予め水和した粉末CMCの含水量が14%〜17%となり、かつ凝集して溶解性が増すように、CMCを最初にぬらし、次いで、乾燥させることにより、予め水和した粉末CMCが製造される、請求項53記載の方法。
【請求項63】
安定化した酸粉末を封入する工程であって、安定化した酸粉末ブレンド中の予め水和したCMC粉末を請求項60記載のタンパク質成分中に最初に溶解させるために、安定化した酸粉末が溶解し始める前に少なくとも10秒の遅れがあるように封入を行う工程を包含する、請求項53記載の方法。
【請求項64】
タンパク質成分が乳、乳タンパク質濃縮物または乳タンパク質単離物の形態であり、第2の安定化剤がCMCの形態であり、タンパク質成分を第2の安定化剤と高せん断条件下でブレンドして安定化したタンパク質成分を形成し、安定化したタンパク質成分を安定化した酸粉末とブレンドしてクリームチーズを製造するさらなる工程を包含する、請求項1記載の方法。
【請求項65】
クリームチーズがホエータンパク質を含んでいる、請求項64記載の方法。
【請求項66】
安定化した酸成分が、フルーツジュースまたは野菜ジュースの形態の酸と、予め水和したCMC粉末の形態の第1の安定化剤とを含み、安定化した酸成分を、酸性化したタンパク質粉末、酸性化したタンパク質成分または安定化したタンパク質成分のいずれかのうち1つとブレンドしてスムージーを形成する、請求項1および18記載の方法。
【請求項67】
スムージーがカゼイン乳タンパク質を含んでいる、請求項66記載の方法。
【請求項68】
安定化した酸粉末が、ヒドロニウムイオンに対し脱水効果をもたないことを特徴とする自由流動化剤を含有して、酸性化したタンパク質粉末が周囲空気から水分を引き込むことを防止する、請求項52または53記載の方法。
【請求項69】
安定化した酸成分が、水中に予め溶解しているある量の第1の安定化剤処方中に二酸化炭素を導入して炭酸入りの安定化した酸成分を形成することによって製造される、請求項1記載の方法。
【請求項70】
安定化したタンパク質成分または酸性化したタンパク質成分が、炭酸入りの安定化した酸成分中に導入されて炭酸入り酸性化タンパク質飲料を形成する、請求項18および69記載の方法。
【請求項71】
炭酸入りの安定化した酸成分が2.7を超えるpHを有する、請求項69記載の方法。
【請求項72】
炭酸入りの安定化した酸成分が2.87を超えるpHを有する、請求項71記載の方法。
【請求項73】
炭酸入りの安定化した酸成分が2.94以上のpHを有する、請求項71記載の方法。
【請求項74】
酸性化したタンパク質粉末を製造する方法であって、
−酸と、水中に溶解された第1の安定化剤処方の量、安定化した酸成分中での任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分な量の第1の安定化剤処方とを含む安定化した酸成分を供給する工程、
−タンパク質成分と、水中に溶解された第2の安定化剤処方の量、安定化した酸成分から水素イオンが非結合状態になり酸性化したタンパク質成分中のタンパク質ミセルに引き付けられるのを阻止するのに十分な量の第2の安定化剤処方とを含む安定化したタンパク質成分を供給する工程、
−安定化した酸成分を安定化したタンパク質成分と高せん断条件下でブレンドして酸性化したタンパク質成分を形成する工程、および
−酸性化したタンパク質成分を乾燥させて酸性化したタンパク質粉末を形成する工程を含む、方法。
【請求項75】
ドリンクスタイルのヨーグルト飲料または即時飲用可能な酸性化乳飲料を製造する方法であって、請求項74記載の酸性化したタンパク質粉末を水に加えて、ドリンクスタイルのヨーグルト飲料または即時飲用可能な酸性化乳飲料を形成する工程を含む方法。
【請求項76】
ドリンクスタイルのヨーグルト飲料または即時飲用可能な酸性化乳飲料を製造する方法であって、
−酸と、水中に溶解された第1の安定化剤処方の量、安定化した酸成分中での任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分な量の第1の安定化剤処方とを含む安定化した酸成分を供給する工程、
−安定化した酸成分に増量剤を加える工程、
−安定化した酸成分を乾燥させて安定化した酸粉末を形成する工程、
−安定化した酸粉末を請求項74記載の酸性化したタンパク質粉末と乾燥ブレンドして酸−タンパク質粉末ブレンドを形成する工程、および
−酸−タンパク質粉末ブレンドを水に加えて、ドリンクスタイルのヨーグルト飲料または即時飲用可能な酸性化乳飲料を形成する工程を含む、方法。
【請求項77】
ヨーグルトスタイルの飲料を製造する方法であって、
−酸と、水中に溶解された第1の安定化剤処方の量、安定化した酸成分中での任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分な量の第1の安定化剤処方とを含む安定化した酸成分を供給する工程、
−安定化した酸成分に増量剤を加える工程、
−安定化した酸成分を乾燥させて安定化した酸粉末を形成する工程、
−安定化した酸成分から水素イオンが非結合状態になり酸性化したタンパク質成分中のタンパク質ミセルに引き付けられるのを阻止するのに十分な量の、予め水和したCMC粉末の形態の安定化した第1の安定化剤処方を供給する工程、
−液体乳の形態のタンパク質成分を供給する工程、
−安定化した酸粉末、予め水和したCMC粉末および緩衝剤をブレンドして安定化した酸粉末ブレンドを形成する工程、ならびに
−安定化した酸粉末ブレンドを安定化したタンパク質成分とブレンドしてヨーグルトスタイルの飲料を形成する工程を含む、方法。
【請求項78】
クリームチーズを製造する方法であって、
−酸と、水中に溶解された第1の安定化剤処方の量、安定化した酸成分中での任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分な量の第1の安定化剤処方とを含む安定化した酸成分を供給する工程、
−安定化した酸成分に増量剤を加える工程、
−安定化した酸成分を乾燥させて安定化した酸粉末を形成する工程、
−乳、乳タンパク質濃縮物または乳タンパク質単離物の形態のタンパク質成分を含む安定化したタンパク質成分と、安定化した酸成分から水素イオンが非結合状態になり酸性化したタンパク質成分中のタンパク質ミセルに引き付けられるのを阻止するのに十分な量の、水中に溶解されたCMCの形態の第2の安定化剤処方とを供給して、タンパク質成分とCMCとを高せん断条件下でブレンドして安定化したタンパク質成分を形成する工程、ならびに
−安定化した酸粉末を安定化したタンパク質成分中にブレンドしてクリームチーズを形成する工程を含む、方法。
【請求項79】
スムージーを製造する方法であって、
−フルーツジュースまたは野菜ジュースまたはその組合せの形態の酸を含む安定化した酸成分と、安定化した酸成分中での任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分な量の、安定化した酸成分中に溶解している、予め水和したCMC粉末の形態の第1の安定化剤処方とを供給する工程、および
−安定化した酸成分を請求項74記載の酸性化したタンパク質粉末とブレンドしてスムージーを形成するか、または
−安定化した酸成分を、タンパク質成分と、安定化した酸成分から水素イオンが非結合状態になり酸性化したタンパク質成分中のタンパク質ミセルに引き付けられるのを阻止するのに十分な量の、水中に溶解された第2の安定化剤処方とを含む安定化したタンパク質成分とブレンドしてスムージーを形成するか、または
−安定化した酸成分を請求項74記載の酸性化したタンパク質成分とブレンドしてスムージーを形成するか、いずれかの工程を含む、方法。
【請求項80】
炭酸入り酸性化タンパク質飲料を製造する方法であって、
−水中に予め溶解しているある量の第1の安定化剤処方中に二酸化炭素を導入することにより製造される安定化した酸成分を供給して、炭酸入りの安定化した酸成分を形成する工程、および
−炭酸入りの安定化した酸成分を、タンパク質成分と、水中に溶解している第2の安定化剤処方とを含む安定化したタンパク質成分とブレンドして炭酸入り酸性化タンパク質飲料を形成するか、または
−炭酸入りの安定化した酸成分を酸性化したタンパク質成分とブレンドして炭酸入り酸性化タンパク質飲料を形成するか、いずれかの工程を含む、方法。
【請求項81】
酸と、水中に溶解された第1の安定化剤処方の量、安定化した酸成分中での任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分な量の第1の安定化剤処方とを含む安定化した酸成分。
【請求項82】
タンパク質成分と、請求項81記載の安定化した酸成分から水素イオンが非結合状態になるのを阻止するのに十分な量の、水中に溶解された第2の安定化剤処方または液体タンパク質成分とを含む安定化したタンパク質成分。
【請求項83】
−タンパク質成分と、水中または液体タンパク質中で溶解された第2の安定化剤処方の量、安定化した酸成分から水素イオンが非結合状態になるのを阻止するのに十分な量の第2の安定化剤処方とを含む安定化したタンパク質とブレンドされた、
−酸と、水中で溶解された第1の安定化剤処方の量、安定化した酸成分中での任意の非結合水素イオンの発生を阻止するのに十分な量の第1の安定化剤処方とを含む安定化した酸成分を含む酸性化したタンパク質成分。
【請求項84】
請求項83記載の乾燥させた酸性化したタンパク質成分を含む酸性化したタンパク質粉末。
【請求項85】
請求項81記載の乾燥させた安定化した酸成分を含む安定化した酸粉末。
【請求項86】
請求項84記載の酸性化したタンパク質粉末と請求項85記載の安定化した酸粉末とを含む酸−タンパク質粉末ブレンド。
【請求項87】
請求項85記載の安定化した酸粉末と、安定化した酸粉末とブレンドされた予め水和したCMC粉末および緩衝剤とを含む安定化した酸粉末ブレンド。
【請求項88】
安定化されていない酸中の10−2.50mol/L〜10−2.70mol/Lの水素イオン濃度に対し1.68グラム〜4.00グラムの第1の安定化剤処方を含む、請求項81記載の安定化した酸成分。
【請求項89】
安定化した酸成分が10−2.71mol/L〜10−3.10mol/Lの最終水素イオン濃度となるように、安定化されていない酸中の10−2.53mol/Lの水素イオン濃度に対し1.92グラムの第1の安定化剤処方を含む、請求項88記載の安定化した酸成分。
【請求項90】
安定化したタンパク質成分におけるタンパク質成分と第2の安定化剤処方との比率が17:1〜5.666:1である、請求項82記載の安定化したタンパク質成分。
【請求項91】
タンパク質成分と第2の安定化剤との比率が8.5:1である、請求項90記載の安定化したタンパク質成分。
【請求項92】
ホエータンパク質を含んでいることを特徴とする、請求項78記載の方法によって製造されるクリームチーズ。
【請求項93】
カゼイン乳タンパク質を含んでいることを特徴とする、請求項79記載の方法によって製造されるスムージー。
【請求項94】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項1記載の酸性化したタンパク質成分を製造する方法。
【請求項95】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項74記載の酸性化したタンパク質粉末を製造する方法。
【請求項96】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項75、76または77のいずれか一項に記載のドリンクタイプのヨーグルト飲料および/または即時飲用可能な酸性化乳飲料を製造する方法。
【請求項97】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項78記載のクリームチーズを製造する方法。
【請求項98】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項79記載のスムージーを製造する方法。
【請求項99】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項80記載の炭酸入り酸性化タンパク質飲料を製造する方法。
【請求項100】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項81記載の安定化した酸成分。
【請求項101】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項82記載の安定化したタンパク質成分。
【請求項102】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項83記載の酸性化したタンパク質成分。
【請求項103】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項84記載の酸性化したタンパク質粉末。
【請求項104】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項85記載の安定化した酸粉末。
【請求項105】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項86記載の酸−タンパク質粉末ブレンド。
【請求項106】
実質的に本明細書中に例証および例示されたとおりの、請求項87記載の安定化した酸粉末ブレンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−500015(P2011−500015A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528505(P2010−528505)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053488
【国際公開番号】WO2009/047657
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510102074)ネアーソンズ・フレーバーハウス・クロース・コーポレイション (1)
【氏名又は名称原語表記】NAIRSONS FLAVOURHOUSE CC
【Fターム(参考)】