説明

酸性ガスで透過したカルボキシアルキルデンプン粒子、押出物、及びそれを生成するためのプロセス

本開示は酸性ガスで透過したカルボキシアルキルデンプンを含む粒子と、吸収性材料としてのその使用とに関する。高吸水性材料は酸性ガスで透過し、0.7psiで少なくとも14g/gのAUL、かつ少なくとも18g/gのCRCに到達するまで少なくとも100℃の温度まで加熱したカルボキシアルキルデンプン粒子から得られうることを発見した。更に、アルカリ性のデンプン押出物のpHが粒子を100℃未満の温度に処理すると同時に押出物の粒子を酸性ガスで透過することによって調整できることを発見した。本明細書中に記載の方法によって得られるカルボキシアルキルデンプン粒子は分子内エステル結合があることで特徴づけられ、核内よりも粒子の表面で数が大きくなり、粒子の酸性ガスの陽イオンの濃度は核よりも表面で大きくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はカルボキシアルキルデンプンを含む酸性ガスで透過した粒子と、バイオ系の高吸水性樹脂を生成するための更なる処理とに関する。特に、カルボキシアルキルデンプンを含む粒子のガス透過及び表面処理のためのプロセスが開示されている。更なる特定の態様においては、酸性ガスで透過することによるアルカリ性のデンプン押出物の中和のためのプロセスが開示されている。更に開示されているのは、その使用及び調合物の他、それによって生成されるカルボキシアルキルデンプン及びアルカリ性のデンプン押出物の組成物である。
【背景技術】
【0002】
高吸水性樹脂といった水吸収性材料は:使い捨て型衛生用品(すなわち、おむつ、失禁用品、婦人用衛生用品、エアレイド、及び吸収性ドレッシング剤);家庭用品;密封材料;湿潤剤;土壌調整用の農業製品;石油掘削液(すなわち、架橋材料、破砕流体);抗縮合性コーティング剤;土壌において水を保持し、かつ水を植物及び樹木の根に放出する農業、園芸、及び林業用途;繊維工業;印刷用途;吸収性紙製品;包帯及び外科用パッド(すなわち、創傷ドレッシング剤);鉱石処理;コンクリート製品;ペット用厩肥;水処理;食料品のクッション剤(すなわち、生鮮食品の輸送及び食品包装に関する用途);洗浄剤;消火用ゲル;密封材料;曇りの制御;水溶性の化学汚染流を含む酸性及び/又は塩基性の水溶性汚染流の浄化用の化学吸収剤;遅効性及び徐放性の化粧品及び医薬品用の(薬剤送達システムとしても既知の)高分子ゲル;及び人工雪の製造;そして人工雪の製造;といった多様な用途に用いることができる。しかしながら、「SAP」とも称される高吸水性樹脂の主要な使途は個人用の使い捨て型衛生用品である。これらの製品は、用いられる高吸水性材料の量が減少する順番で、おむつ、トレーニングパンツ、成人失禁用製品、及び婦人用衛生用品を含む。
【0003】
超薄型の製品の開発に伴い、高吸水性樹脂の需要が増加してきた。高吸水性樹脂は多量の液体を吸収する必要があるだけではなく、応力下で液体を維持することが必要であり、圧力下で膨張を維持することが必要であり、更には膨張した場合に液体が流れるのを許容するように動作する特異的なゲル粒子があることが必要である。高吸水性樹脂の中でも、ポリアクリラートは今日広く用いられている。しかしながら、現行のポリアクリラートはバイオ系ではなく、二酸化炭素排出量の増加と、再生不可能な石油埋蔵量の枯渇、エネルギー価格の変動に対する脆弱性が増加する。代替物として、カルボキシメチルセルロース(CMC)は部分的にはバイオ系であり、高吸水性材料として長きにわたり用いられてきた。
【0004】
しかしながら、CMCは、水に過剰に溶解することが重要な問題であり、これによって高吸水性材料として用いる場合に性能特性が低品質となる。更には、CMCの製造で一般的には、1残基あたりで高含量の必要のない置換(カルボシキ化)、すなわち1残基あたりで0.7を超える置換が材料に生じる。カルボシキ化によって石油系有機反応物の使用が要求されるため、カルボシキ化が過剰になると、材料費が増加し、再生可能な物質の度合が低くなり、二酸化炭素排出量が増加する。Chatterjeeらの米国特許第3,731,686号、Reidらの米国特許第3,379,721号、及びNingらの米国特許第5,247,072号の各々は、熱処理によってCMCを不溶化する手段について記載した。酸性化は更に、CMCを不溶化する手段としてReidらの米国特許第3,379,720号、Thorntonらの米国特許第6,765,042号、及びKaczmarzykらの米国特許第4,044,766号に記載されてきた。これらの酸性化の様式は、高価な液体処理ステップ、溶媒を乾燥させるための更なるエネルギーを必要とする酸性担体として液体溶媒を用いることが重要な問題である。これらの問題を解決するために、酸性ガスはOunoらの米国特許第3,391,135号及びMarderらの米国特許第4,200,737号に記載のように、CMC粒子を処理するのに用いられてきた。しかしながら、CMCは更に吸収剤として不適切ないくつかの欠点を有する。高吸収性のCMCは、安定した製品の製造に特定のセルロース繊維の供給源が要求される場合に特定のセルロース繊維の種類に非常に特異的になることが、重要な欠点である。更に、総てのほとんどの天然供給源由来のセルロース繊維は、カルボキシメチル化反応自体によって破壊しなければならない結晶パターンが生じ、セルロース高分子を通して、特異的でかつ予測不可能な置換パターンが得られる。
【0005】
カルボキシメチルデンプン(CMS)の吸収剤はCMCと比べてほとんど調査されていなかった。Grossの米国特許第5,079,354号及びQinらの米国特許第5,550,189号はCMSの吸収剤について記載した。水系の反応が無効であるか、あるいは代替的には乾燥又は溶媒合成の性能が低品質であるため、CMSはバイオ系の吸収性材料として消極的に調査されるだけであった。Theodorusらのオランダ特許第9100249A号では、吸収剤として使用の可能性のある材料としてCMS押出物を記載した。しかしながら、Theodorusらによって記載された製造のプロセスは、過剰量のモノクロロ酢酸を用いて、その場で塩化水素を生成しており、それによって有意な量の残留塩がCMS粒子内部にある材料が生じ、本明細書中で後に詳細に述べるように、粒子は表面処理されるのではなく至る所が均一に酸性化された。恐らくは表面処理の欠如と高含量の塩の存在との双方のために、Theodorusらによって記載のCMS材料は、0.7psiの負荷下での吸収率(AUL:Absorbency Under Load)が少なくとも14g/gであり、遠心保持容量(CRC:centrifuge retention capacity)が少なくとも18g/gといった、おむつ用途のための高吸水性材料として用いるのに許容可能な工業仕様に到達できない。最近になって、Koutlakisらの米国特許出願第2008/177057A1号が、AULが少なくとも14g/gのCMS粒子が生じるCMS押出物の溶媒系の処理について記載した。しかしながら、これらの表面処理は溶媒系で行われるため、これらのプロセスにはThorntonらによって記載された:更なる液体処理ステップ;更なるエネルギー費用;及び、粒子の摩損;といった同様の問題があり、その出願においては「静的環境(static environment)」と称されていた。
【0006】
本開示はこれらの問題及び他の問題を扱い、当該技術分野の当業者が以下の開示を理解すると容易に識別するであろう更なる利点を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は多数の文献を引用し、本明細書中に組み込まれる内容は、組み込まれた文献が本開示と矛盾する情報を含まない限り、本明細書中に記載のプロセスによってCMS粒子の生成を可能にするような材料及び生成方法の情報及び/又はソースを提供し、本開示で用いた技術用語を理解するのに必要な範囲のみであり、その場合においては、本開示の規制及び引用によって組み込まれる情報は、矛盾する内容がないと見なすべきである。
【0008】
高吸水性樹脂は、熱処理前に酸性ガスで透過したカルボキシアルキルデンプンを含む粒子から得られうることを予期せず発見した。これらの吸収性材料は:カルボキシアルキルデンプンを含む粒子を酸性ガスで透過するステップと;粒子を少なくとも100℃の温度で処理するステップと;を具える方法によってなされうる。任意に加熱ステップはカルボキシアルキルデンプンで0.7Psiで少なくとも14g/gのAUL、及び少なくとも18g/gのCRCが生じるまで行われる。
【0009】
更には、pHを調整し、更にはアルカリ性のデンプン押出物の粒子を酸性ガスで中和することが可能であることを発見した。このことは更に、アルカリ性のデンプン押出物の粒子を酸性ガスで透過することによって実現される。一般的には、アルカリ性のデンプン押出物は、最も一般的にはカルボキシアルキルデンプンを含み、粒径が150μmないし850μmの範囲にある粒子形態であり、更に一般的な実施形態においてはカルボキシメチルデンプンを含む。
【0010】
更なる実施形態においては、本開示は、カルボキシアルキルデンプンを含み、酸性ガスで透過した粒子で生成された高吸水性樹脂の使用に関する。これらの粒子は:使い捨て型生理用品(すなわち、おむつ、失禁用品、婦人用衛生用品、エアレイド、及び吸収性ドレッシング剤);家庭用品;密封材料;湿潤剤;土壌調整用の農業製品;石油掘削液(すなわち、架橋材料、破砕流体);抗縮合性コーティング剤;土壌において水を保持し、かつ水を植物及び樹木の根に放出する農業、園芸、及び林業用途;繊維工業;印刷用途;吸収性紙製品;包帯及び外科用パッド(すなわち、創傷ドレッシング剤);鉱石処理;コンクリート製品;ペット用厩肥;水処理;曇りの制御;食料品のクッション剤(すなわち、生鮮食品の輸送及び食品包装に関する用途);洗浄剤;消火用ゲル;密封材料;水溶性の化学汚染流を含む酸性及び/又は塩基性の水溶性汚染流の浄化用の化学吸収剤;遅効性及び徐放性の化粧品及び医薬品用の(薬剤送達システムとしても既知の)高分子ゲル;エアレイド;そして人工雪の製造;における吸収剤として用いることができる。これらのカルボキシアルキルデンプンは更に、液体用の吸収剤として用いることができ、限定しない例は、水、水溶液、生理学的液体、及び生理食塩水を含む。
【0011】
更なる実施形態においては、本開示は別の材料と組合わせた、カルボキシアルキルデンプンを含有し、酸性ガスで透過した粒子を含む組成物に関する。これらの組成物は一般的にはカルボキシアルキルデンプン粒子と共吸収性材料とを含む。更には、最も一般的な実施形態は酸性ガスで処理したカルボキシメチルデンプン粒子を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明で一般的に記載されるように、添付の図面の引用がなされており、その好適な実施形態を例示によって示している。
【図1】図1は、本発明のある実施形態による酸性ガスで透過したカルボキシアルキルデンプン粒子の粒径分布に対する粒子pHのグラフである。
【図2】図2は、本発明のある実施形態により処理され、カルボキシメチルデンプンを製造するのに用いられる押出成型機のスクリュー構成の側面図を例示する。
【図3】図3は、本発明のある実施形態によるカルボキシメチルデンプンの洗浄中のpH及びHCl添加の動態を示す。
【図4】図4は、本発明のある実施形態によって、多様な量の酸性ガスで透過したアルカリ性のカルボキシメチルデンプンの押出物のpH調整を例示するグラフである。
【図5】図5は、本発明のある実施形態により、HCLガスで処理したカルボキシメチルデンプンを含む粒子の奥行きに対して塩素の相対濃度を例示するグラフである。これはアルゴンエッチングでのX線電子分光法(XPS)によってなされた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《定義》
本明細書中で用いられる用語の明確かつ矛盾のない理解のために、多数の定義が以下に提供されている。更に、他に定義されない限り、本明細書中に用いられるような総ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって共通に理解されているような意味と同一である。
【0014】
特許請求の範囲及び/又は明細書中で、用語「具える、含む(comprising)」とともに用いる場合に、単語「ある(a、an)」の使用は「1つ(one)」を意味するが、「1以上(one or more)」、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1または1を超える(one or more than one)」の意味とも一致する。同様に、単語「別の(another)」は少なくとも第2以上のものを意味しうる。
【0015】
本明細書及び1以上の請求項に用いられるように、用語「具える、含む(comprising)」(及び、「comprise」及び「comprises」といった「comprising」の任意の形態)、「有する(having)」(及び、「have」及び「has」といった「having」の任意の形態)、「含む、具える(including)」(及び、「include」及び「includes」といった「including」の任意の形態)、あるいは「含む(containing)」(及び、「contain」及び「contains」といった「containing」の任意の形態)は包括的又は開放的であり、更なる列挙しない要素又はプロセスのステップを除外しない。
【0016】
本明細書及び1以上の請求項に用いられるように、数値に関する用語「約(about)」は、本開示の文脈において数値を測定するのに当該技術分野の当業者によって通常用いられる機器の誤差率内であること、特に、識別可能な機能又は特性が、表示の数値で正確に呈示される機能又は特性と相異しない場合に表示の数値の範囲であることを意味する。多様なパラメータに対する限定しない実施形態においては、本用語は表示の数値の10%以内、5%以内、1%以内、一部の場合においては0.5%以内であってもよい。
【0017】
本明細書中で用いられるように、材料に関する用語「割合(percent:%)」は他に指定されない限りにおいては、重量パーセント(すなわち、%(w/w))のことである。
【0018】
本明細書中で用いられるように、用語「生理食塩水(saline solution)」は脱イオン水における0.9%(w/w)の塩化ナトリウム溶液のことである。
【0019】
本明細書中で用いられるように、用語「分散した粒子(discrete particle)」は個々の粒子のことである。
【0020】
本明細書中で用いられるように、用語「デンプン(starch)」は、デンプン、加工デンプン、アミロペクチン、加工アミロペクチン、アミロース、及び加工アミロースといった、デンプンの重合体、その成分、及びその誘導体のことである。
【0021】
本明細書中で用いられるように、用語「自由膨張容量(FSC:Free Swell Capacity)」は「全吸収(Total Absorption)」とも称され、組成物1グラムあたりに吸収される液体の含量(g)のことである。一般的な液体は生理食塩水である(0.9重量パーセントのNaCl溶液、以降は0.9%NaCl溶液又は生理食塩水と称する)。
【0022】
本明細書中で用いられるように、用語「遠心保持容量(CRC:Centrifuge Retention Capacity)」は「保持率(Retention)」とも称され、250Gの遠心力への組成物の曝露後に、組成物1グラムあたりに保持される液体の含量(g)のことである。一般的な液体は、生理食塩水である。
【0023】
本明細書中で用いられるように、0.7psi(5kPa)での「負荷下での吸収(AUL:Absorption Under Load)」という用語は、「圧力に対する吸収(AAP:Absorption Against Pressure)」又は「圧力下での吸収(AUP:Absorption Under Pressure)」とも称され、所定の圧力の印加の下で組成物1グラムあたりに吸収される液体の含量(g)のことである。一般的な液体は生理食塩水である(0.9重量パーセントのNaCl溶液、以降は0.9%NaCl溶液又は生理食塩水と称する)。
【0024】
本明細書中で用いられるように、用語「吸収性材料(absorbent material)」又は「吸収性重合体(absorbent polymer)」は、乾燥固形状態の材料のことであり、液体膨張特性が良好であり、液体と接触時にゲル形成できる。このような液体の限定しない例は水、水溶液、生理食塩水、又は生理学的液体である。
【0025】
本明細書中で用いられるように、用語「高吸水性樹脂(SAP:superabsorbent、superabsorbent polymer)」は水、水溶液、生理食塩水、又は生理学的液体といった液体と接触時にゲル形成できる吸収性材料のことである。このような材料は少なくとも15g/gの遠心保持容量(CRC)で特徴づけられる。
【0026】
本明細書中で用いられるように、用語「含水量(moisture content)」は固体に含まれる水の含量(重量パーセント)のことである。
【0027】
本明細書中で用いられるように、用語「粒状材料(granular material)」、「粒剤(granule)」、「粒子(particle)」、「粉末(powder)」、「細粒子(grain)」、又は「微粉(dust)」は微細に分割した状態における微粒子状物質のことである。
【0028】
本明細書中で用いられるように、用語「粒径(particle size)」は粒子の最大寸法のことである。粒径は篩分け方法、光学電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡を用いて、ならびに他の公知の方法によって直接的に定量できる。粒径は粒子が完全な球形である場合に粒子の直径と、あるいは長方形の場合は粒子の長さと意味的に等価である。
【0029】
本明細書中で用いられるように、用語「分散したゲル粒子(discrete gel particle)」は、生理食塩水における最大限度に膨張すると即時に、ヒドロゲル粒子の分散が現れる高吸水性樹脂の粒子のことである。
【0030】
本明細書中で用いられるように、用語「粒子表面(particle surface)」又は「表面領域(surface zone)」は、粒子の最外側の固体層のことである。これは粒子の表面から粒径の約3分の1の深さまで延在する層に対応する。
【0031】
本明細書中で用いられるように、用語「粒子の核(particle core)」は粒子の最内側の固体の核のことである。この核は粒子表面から最も遠い時点に配置され、上に規定するような粒子表面の最内側の境界に延在する。
【0032】
本明細書中で用いられるように、用語「酸性ガス(acidic gas)」は湿気又は水分と接触する場合に酸として作用する気相における材料のことである。酸の定義はプレンステッド・ラウリ(Bronsted−Lowry)の酸を意味し、酸の機能が定常状態である条件下で、Hを供与できる化合物である。
【0033】
本明細書中で用いられるように、「粒子のpH(particle pH)」、「カルボキシアルキルデンプンのpH(carboxyalkyl starch pH)」、又は「CMSのpH(CMS pH)」は、脱イオン水における10%の粒子の平衡懸濁液で定量されるpHのことである。
【0034】
本明細書中で用いられるように、「粒子の導電性(particle conductivity)」、「カルボキシアルキルデンプンの導電性(carboxyalkyl starch conductivity)」、あるいは「CMSの導電性(CMS conductivity)」は、脱イオン水における1%の粒子の懸濁液で定量される導電性のことである。
【0035】
本明細書中で用いられるように、「CMS」はカルボキシメチルデンプンのことである。
【0036】
本明細書中で用いられるように、「押出物(extrudate)」は押出加工プロセスで形成された材料であり、これによって固体、ゲル、乳濁液、懸濁液、又は溶液の形態で流入した材料の流動に圧力が印加されて、任意にインペラー又はスクリューによって提供されうるようなずり応力が印加されて、材料は鋳型(dye)に対向するチャンバ内に圧縮され、鋳型の開口部によって、圧縮された材料は固体、ゲル、乳濁剤、又は粒子の形態でチャンバから出すことができる。
【0037】
本明細書中で用いられるように、「透過する(permeate)」及びその文法的な変化形はガスが材料の少なくとも一部の上に、及び少なくとも一部を介して拡散するように材料とガスとを接触させるという意味である。
【0038】
《カルボキシアルキルデンプン粒子》
カルボキシアルキルデンプンの中でも、カルボキシメチルデンプンは通常検討される。カルボキシメチルデンプンは十分な浸透力を与え、負荷の下で高吸収率を得るのに十分な反発的なクーロン力を更に与える。本出願において記載される総ての場合においては、カルボキシメチルデンプンは一般的なカルボキシアルキルデンプンと考えるべきである。
【0039】
《カルボシキアルキル化》
カルボキシルアルキルの官能基はウィリアムソンのエーテル合成下でアルカリ化されたデンプンにエーテル結合を介して容易に接合できる。これは脱離基を有するハロ酸及びその塩といった試薬で容易になされうる。このようなハロ酸の限定しない例は、モノクロロ酢酸といったCないしCのハロ酸である。ハロ酸塩の限定しない例は、モノクロロ酢酸ナトリウム、モノクロロ酢酸カリウム、モノクロロ酢酸リチウム、及びその混合物といったハロ酢酸のアルカリ金属塩である。一般的なカルボシキアルキル化反応は以下に要約できる。

デンプン−(OH)+X−(CH−COZ+WOH→デンプン−(OH)3−m−((CH−COZ)+mWX+H

ここでYはアルキレン単位の数である。Xは求核性の脱離基であり、その限定しない例は塩素、臭素及びヨウ素である。Wはアルカリ金属である。Zは水素、アルカリ金属、又はアンモニウム基であり、mはカルボキシアルキルデンプンはカルボキシアルキルデンプンの置換度である。
【0040】
本教示で検討するように、デンプンは、分子量が少なくとも500,000g/molの、αグリコシド結合におけるグルコース多量体として特徴づけてもよい。デンプンは多くの供給源由来にできる。デンプン供給源の限定しない例は、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモ、ヤマノイモ、カサバ、イネ、キビ、モロコシ、オオムギ、オートムギ、マメ、ソラマメ、エンドウマメ、レンズマメ、ソバ、バナナ、アラカチャ、アンデスカタバミ、サゴ、タロイモ、サツマイモ、そのロウ質種(ロウ質のトウモロコシといった)、及びその混合物である。デンプン供給源の中で、ロウ質のトウモロコシ、ジャガイモ、トウモロコシ、及びコムギは特に検討される。
【0041】
カルボシキアルキル化したデンプンを生成するための方法のうち、アルカリ性の水性媒体で分散した後にカルボシキアルキル化したデンプンは最も好適な選択であると考えられる。どの理論とも結びつかないが、カルボシキアルキル化剤、及びデンプン鎖が水性環境でより不安定であると考えられる。デンプン構造はデンプンがゼラチン化し、その半晶質パターンが開放されたときに、水酸化物によってより容易に透過される。これによって得られる効果はカルボキシアルキル基が更に均一に置換されることであり、吸収特性が増加する。アルカリ性の水性媒体の限定しない例は少なくとも11.0のpHにより特徴づけられる水性環境である。このようなpHは水中に水酸化アルカリを分散させることによって実現されうる。このような水酸化物の限定しない例は水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、及び水酸化カリウムである。このようなアルカリ性の水性媒体における一般的な含水量は15%ないし99%の範囲であってもよい。
【0042】
検討した本発明の形態においては、デンプンは反応性の押出加工プロセスによってカルボシキアルキル化される。これによって、反応効率を増加させ、反応時間を減少させることが可能となる。デンプンは押出加工用の理想の物質である。デンプンはゼラチン化するために、十分な量の水及びアルカリ、ならびに/又は熱を必要とする。反応性の押出加工においては、デンプン、水、及びアルカリが調整した量で添加され、混合後、熱が押出成形機の反応チャンバに印加され、デンプンがカルボシキ化し、特に必要な場合にのみ、押出成形機の捏和素子の近くでゲル化可能となる。このプロセスは所望されない副反応を制限するだけでなく、分子量の減成を制限し、必要なエネルギーを低減する。カルボシキアルキル化−押出加工の反応における水成分の総量は一般的には15%ないし30%の範囲にある。このように水の量を低減することによって、溶液によるカルボシキアルキル化と比較すると反応効率が高くなる。
【0043】
一般的には、反応性の押出加工によるカルボシキアルキル化は2軸スクリュー式の押出成形機を用いて行われる。2軸スクリュー式の押出成形機は可撓性であり、比較的低い含水量で効率の高いカルボシキアルキル化を行うのに必要なせん断を行う。最初に、デンプン及びカルボシキアルキル化剤といった乾燥材料は押出成形機に供給される。乾燥材料はアルカリ(水酸化物)の注入地点に運搬されて、捏和素子の近傍に配置される。アルカリは一般的には、水酸化物溶液として注入される。水を任意に注入してもよい。水分は一般的には、押出成形機における反応成分の15%ないし30%の範囲にある含量に到達する。押出成形機における試薬の減成を制限するために、温度は適切に140℃程度に維持される。これらの条件下で、カルボシキ化及びゼラチン化したデンプンを含むアルカリ性で水溶性の練粉が生成される。練粉は任意に鋳型に汲み出されて、押出物の繊維又はペレットを得る。それらの押出物は通常、含水量は5%ないし15%の範囲となるように流動層乾燥機において対流手段によって乾燥され、それは押出した材料を粒子に後に粉砕するのに必要である。粒径は150μmないし850μmの範囲であり、一般的な高吸水性樹脂の用途に所望される。
【0044】
《pH調整》
一般的には、粒子に粉砕後、アルカリ性のカルボシキ化したデンプン押出物は酸性ガスで透過される。粒子は、部分真空を生成して、酸性ガス透過の前に粒子を脱気できる密閉容器に配置してもよい。一般的には30kPa以下の真空で十分である。脱気後、酸性ガスを添加して、粒子を透過する。酸性ガスのうち、鉱酸のガスが好適である。ハロゲン、ハロゲン化物、更に特異的には塩化水素が最も一般的に用いられる。塩化水素は強酸であり、分子量が比較的小さく(36.5g/mol)、デンプン押出物に良好に透過可能である。ガス透過は1ステップでなされるか、複数ステップでなされて、材料に確実に、より完全に通過させることができる。複数ステップの透過プロセスにおいて、粒子を透過するのに十分な時間での酸性ガスへの各々の曝露の間に、粒子は部分真空において脱気されて、気泡を除去して完全な透過を妨害する真空遮断する障壁の形成を防止する。中程度の攪拌は透過プロセス及び/又は脱気ステップ中に行ってもよい。温度は通常は100℃未満、一般的には室温(10℃ないし40℃)で維持される。
【0045】
アルカリ性のデンプン押出物のpHは透過中の酸性ガスへの曝露によって都合よく調整されることが見出された。このpH調整ステップには多くの利点がある。主要な利点は、溶媒洗浄ステップといった後の処理ステップ中に必要なpH調整を回避又は低減することである。別の利点は、気体状態の比較的「乾燥した化学物質(dry chemistry)」といった酸のアルカリ性のデンプン押出物の粒子内部への透過が増加することである。更に、塩は、pHが5.0ないし8.0の範囲にあるデンプン押出物の粒子から更に容易に抽出される。本明細書中で前述したように、一般的なデンプン押出物はカルボキシアルキルデンプンの押出物、特にカルボキシメチルデンプンの押出物であり、pHが高くなると、カルボン酸成分とカチオンとの間の塩結合の形成が強くなる傾向にある。
【0046】
アルカリ性のデンプン押出物を粒子に粉砕することによって、中和とアルカリ性のデンプン押出物への酸性ガス透過との双方に役立つことが発見された。粉砕するために、デンプン押出物の含水量は多くても12%であることを要する。水分は乾燥によって調整できる。粒子に粉砕した時点で、デンプン押出物の粒径は150μmないし850μmの範囲となる。粒径の調整は粉砕器によって行うことができ、粒径はふるいによって選択できる。多くの型式の粉砕機器を用いることができる。好適な粉砕器の例は、ハンマー式粉砕器又はローラー式粉砕器である。
【0047】
《精製》
カルボキシアルキルデンプンの精製は重要な検討事項である。有意な量の任意の残留不純物によって、「塩による害(salt poisoning)」が生じ、性能の低下が生じる。従って、これらの塩を除去するために、精製ステップを行うことが一般的である。カルボキシアルキルデンプンは水及び水溶性有機溶媒で洗浄することによって塩を少なくとも部分的に精製できる。水溶性有機溶媒の限定しない例はCないしCアルコール、及びCないしCアルコール/水の混合物を含む。CないしCアルコールのうち、メタノール、特にメタノール/水の混合物が検討される。凝集のしきい値未満にこのような混合物の水成分を維持することは有用である。凝集のしきい値で、カルボキシアルキルデンプン粒子が凝集し、洗浄ステップ中に集塊を形成する。凝集のしきい値未満に維持することは溶媒における水濃度を慎重に選択し、洗浄ステップの温度を制御することによって行うことができる。限定しない例は60℃での85/15(v/v)のメタノール/水の混合物、あるいは22℃での75/25(v/v)の混合物である。溶媒を用いて洗浄した材料を浄化した時点で、カルボキシアルキルデンプン粒子は濾過及び乾燥される。「更なる乾燥(dryer)」溶媒の使用は、溶媒洗浄の最後に水を除去する際に乾燥を容易にでき、更なるステップ中に集塊が形成するのを防ぐことができる。更なる乾燥溶媒は、洗浄溶媒よりも水成分が少ない水混和性の有機溶媒、例えば少なくとも90%のメタノール又はエタノールであってもよい。カルボキシアルキルデンプンは1%未満の塩化ナトリウムを含む場合に精製されたと見なされ、脱イオン水における粒子の1%の懸濁液の導電率が多くとも1,500μS/cmである場合に、十分に浄化された塩であると特徴づけられうる。洗浄溶媒及び更なる乾燥溶媒は、イオン交換樹脂で精製して抽出した塩を除去することによって、再生及び再利用してもよい。
【0048】
洗浄ステップ後に、カルボキシアルキルデンプン粒子の含水量及びかさ密度を調整することは通常である。カルボキシアルキルデンプン粒子は一般的には、浄化ステップの洗浄及び乾燥した溶媒から濾過される。乾燥時に、有機物混和性の溶媒は水の前に通常蒸発する。このことによって、カルボキシアルキルデンプン粒子における相対的な水分が増加し、カルボキシアルキルデンプン粒子の密度が0.5ないし0.7g/cmの範囲に変化する。水分は更に、都合よく12%以下の量に低減する。集塊は乾燥技術によって乾燥ステップ中に形成することは可能である。更に大きな集塊は篩をかけた後に回収され、ハンマーミル又はローラーミルといった粉砕手段によって再粉砕できる。全プロセス後の所望の粒径は一般的には150μmないし850μm(100メッシュないし20メッシュ)である。
【0049】
《透過/加熱》
出願人は驚くべきことに、カルボキシアルキルデンプン粒子の気体の酸との透過、その後の少なくとも100℃の温度での熱処理によって、粒子の他の可能なカルボキシアルキルデンプンの画分が不溶化することを発見した。更に興味深いことに、出願人は適切な加熱時間と温度との組合せによって、CRCを18g/g未満に、あるいはFSCを28g/g未満に低下させることなく、0.7psiで少なくとも14g/gのAULに到達するように酸性ガスで処理した粒子を硬化させることが可能であることを発見した。
【0050】
透過すべきカルボキシアルキルデンプンを含む粒子の特徴は通常数多くあり、前述のようなステップから推測される。カルボキシアルキルデンプンを含む粒子のかさ密度は通常0.5g/cmないし0.7g/cmの範囲にある。一般的には、カルボキシアルキルデンプンのカルボキシアルキル置換の度合は(ASTM D1439−83aの方法によって定量されるように)残基あたり0.3ないし1.0の範囲である。置換度が0.4ないし0.7の範囲にあるものが更に通常である。本教示により洗浄及び乾燥させた粒子の含水量は透過した際に、12%以下にすべきである。0%ないし8%の範囲の粒子含有量が最も好適である。含水量の淘汰は本明細書中で後述するように熱処理中に気圧に悪影響を与える。本教示によって生成される好適なカルボキシアルキルデンプン粒子は更に、通常はpHが6.2ないし6.8の範囲にある脱イオン水での10%(w/w)懸濁液で測定した場合に、pHが5.5ないし7.5の範囲になることによって特徴づけられる。そのカルボキシアルキルデンプン粒子は比較的純性であり、一般的には1%未満の塩化ナトリウムを含み、脱イオン水での1%懸濁液で測定すると導電性が1500μS/cm未満になることによって特徴づけられる。
【0051】
均一に分布したカルボキシアルキル基を含むカルボキシアルキルデンプン粒子には有望な構造上の特性がある。実際に、合成中のアルカリの分散によって、カルボキシアルキルデンプン粒子がデンプン全体で均一に置換されるため、カルボキシアルキル基は更に、デンプンの粒子の核及び粒子表面全体に均一に分布すると見出される。酸性ガスがカルボキシル基と粒子で触媒した形態のエステルを透過するため、表面よりも粒子の核内でエステルがわずかな勾配でエステルの平坦な分布が得られ、表面を更に剛性及び核を更に多孔性にし、ひいてはCRCが高い粒子を生成する。
【0052】
驚くべきで、かつ都合のよいことに、カルボキシアルキルデンプン粒子を酸性ガスで透過することによって粒子全体が均一にならないことが発見された。本明細書中に上述するように、粒径は一般的には、150μmないし850μmとなるように選択される。気体での酸処理後に、150μmないし250μmの範囲の粒径の粒子は600μmないし850μmの範囲の粒径の粒子よりも(水における10重量パーセントの懸濁液において)pHが低いことを発見した。150ないし250μmの範囲の粒径を有する粒子は一般的にはその懸濁液においてpHが4.80ないし5.00の範囲となるが、600μmないし850μmの範囲の粒径を有する粒子は一般的にはpHが5.35ないし5.50の範囲となる。粒子の核は粒子が小さい(例えば厚さの影響)場合に、酸透過プロセスによって更に容易に透過でき、ひいては小さな粒子の懸濁液におけるpHの測定値は大きな粒子よりも有意に低くなると考えられる。この現象は図1において最良に示されており、粒径とpHとの間の相関関係を例示しており、pHの急激な低下は粒子の小ささと関連する。更に、図に示されるようにこの現象はX線電子分光法によって更に特徴づけられ、粒子の表面での酸性ガスのアニオン(この場合は、塩素)の相対濃度が5400秒のアルゴンでの研磨時間後に曝露された深さでは、粒子の内部(核)における濃度よりも高くなる。この場合においては、5400秒のアルゴンでの研磨時間での塩素の相対濃度は、0秒での研磨時間での相対濃度よりも少なくとも10%低くなる。実際には、図5は塩素の相対濃度は比較的一定であり、5400秒で曝露した材料と比較して最初の1500秒のアルゴンでの研磨時間で曝露した材料よりも30%高くなり、これらの時間の間で、粒子の深さと塩素濃度との間で規則的な相関があることを示している。
【0053】
本明細書中で上述したように、透過は中間の脱気する複数のステップで誘導できる。本明細書中に呈示したpH及び塩素濃度に関する情報は、有効な透過を測定する方法を提供する。各々の透過ステップで、pHは10%(w/w)の水懸濁液で評価できる。4.5ないし5.5、更に望ましくは5.3ないし5.5の範囲のpH値の定量によって、透過が成功しており、pHがその値に到達した際に停止できることを示している。
【0054】
カルボキシアルキルデンプン粒子は酸性ガスと反応させることが可能となり、次いで、熱処理ステップのために30kPa以下、更に一般的には20kPa以下の部分真空で脱気される。3kPaの部分真空は、温度上昇率と初期の含水量との双方に広範な可撓性を与えるため一般的である。20kPaの圧力は温度上昇率ならびに高い初期含水量の更なる微調整を要求する。中程度の攪拌は透過時間、反応時間、脱気時間、又は熱処理時間中にすることができる。透過後に脱気した時点で、かつ、デンプンが標的のpHに到達した時点で、温度は100℃超に上昇する。カルボキシアルキルデンプン粒子が高温になるにつれて、好適な性能特性を得るように熱曝露するのに必要な時間が短くなる。加熱は一般的には115℃ないし140℃の間で行われる。加熱時間及び温度は、カルボキシアルキルデンプン粒子が0.7psiで少なくとも14g/gに到達する時に、かつ持続的な加熱あるいはあまりにも顕著な温度での加熱で生じる18g/g未満へのCRCの低下前に十分となる。粒子は更に、FSCが少なくとも28g/gとなることで任意に特徴づけられるべきである。
【0055】
加熱は、対流により、あるいは放射線の接触により加熱したガスと粒子との直接的に誘導される接触によって行われうる。一般的には、加熱は透過用に用いられるのと同じ密閉容器で行われる。熱供給源は例えば、電磁放射線供給源、高熱ガス、放射線加熱素子、又は加熱面にできる。一般的には、中程度の赤外線、又は炭素赤外線と同定される赤外放射源は更に非常に好適である。
【0056】
吸収性の性能特性に加えて、カルボキシアルキルデンプン粒子は膨張する際に不溶性のゲルを形成する。この不溶性のゲルは分散したゲル粒子の集合(compendium)から生成される。ゲル粒子は分散性(discreet)であり非凝集性であるため、水溶液は粒子の集合にわたる液体の均一な分布を可能にする分散性のゲル粒子の間及びそこを介して流動できる。これは特に、液体の透過が吸収性の核の総ての軸にわたって生じるようなおむつに所望される特徴である。
【0057】
どの理論とも結びつかないが、酸性ガスは特に粒子の表面で、これらの官能基の間で分子内エステル化を引き起こすデンプンのヒドロキシル基とカルボキシアルキル部分のカルボキシラート基との間のフィッシャーのエステル化(Fischer−esterification)を促進する触媒として作用すると考えられる。分子内エステル化によってデンプンの重合体の異なる部分を架橋結合しなければならないが、本教示においては、架橋剤が用いられず、HCLの酸のみが分子内エステル化を生じさせる触媒として作用するため、Mertensによって記載のように架橋剤を用いて架橋結合したのと同一の表面ではない。驚くべきことに、これらの分子内エステルは遠心保持容量を18g/g未満に低減させない。分子内エステル化度は様々な手段、例えば透過中に用いられる酸性ガスの量を制御すること、酸性ガス透過プロセスの圧力を制御すること、粒子または酸性ガスの含水量を変えること、熱処理プロセス中の圧力を変えること、ならびに熱処理中の温度上昇を制御することによって制御してもよい。分子内エステル化は酸によって触媒され、酸は粒子を均一には透過せず、核よりも表面で多く粒子を透過するため、酸性ガス透過によって生成された粒子は、表面よりも内部の核で形成される分子内エステルが少なくなるという結果になる。粒子のサンプルの精査及び様々な部分に形成されるエステルの測定によって、図5に見られ、かつ示される塩素分布の勾配と同様のエステルの勾配が実証される。
【0058】
エステル形成は多様な技術によって定量できる。一の技術は塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液1mlに0.05の粒子を溶解することによってエステル結合を化学的に測定することである。4滴の20%(w/w)のNaOH溶液が添加され、混合物は72℃に2分間供され、室温(22℃)に冷却される。次いで、1NのHCl溶液2mlが添加される。溶液が乳濁する場合、エタノール(95重量パーセント)を2ml添加する。次いで液滴で、塩化第一鉄溶液(100mlの脱イオン水に5gのFeCl)を添加する。溶液が紫色になるとエステル結合が検出され、エステル形成度は発色した呈色の分光光度測定によって定量できる。
【0059】
本開示の粒子は他の共吸収性材料と混合して、吸収性組成物を提供してもよい。例示的な実施形態においては、吸収性組成物は約1ないし約99%(w/w)のカルボキシアルキルデンプンと、約99ないし約1%(w/w)の共吸収性材料とを含んでもよい。共吸収性材料の限定しない例は合成性の吸収性重合体、デンプン系吸収剤、マンノース含有性の多糖類、繊維、及びその混合物を含む。
【0060】
デンプン系吸収剤の限定しない例は:Huppeら(カナダ特許第2,308,537号)によって開示されたようなガラス状のデンプン;Thibodeauら(カナダ特許第2,462,053号)によって開示されたようなアミロペクチンネットワーク;Chevignyら(カナダ特許第2,534,026号)によって開示されたような多糖類の凝集体;ヒドロキシエチルデンプン;ヒドロキシプロピルデンプン;Berradaら(カナダ特許第2,483,049号)によって開示されたようなデンプンのナノ複合材料;及びその混合物;を含む。
【0061】
マンノース含有性の多糖類の限定しない例は、ガーゴム、タラガム、ローカストビーンガム、コンニャク、メスキートガム、サイリウムエキス、コロハエキス、及びその混合物を含む。マンノース含有性の多糖類は化学修飾又は酵素修飾してもよく(すなわち、マンノース誘導体)、架橋結合するか、あるいはナノ複合材料の形態であってもよい。
【0062】
繊維の限定しない例はセルロース、ビスコース、レーヨン、酢酸セルロース、ポリアミド(すなわち、ナイロン(商標))、ポリアルキレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、複合繊維、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリプロパンジオール、ポリヒドロキシアルカノアート、リヨセル(商標)、ミズゴケ、及びその混合物を含む。
【0063】
本開示の吸収性組成物において、共吸収性材料として用いるべき合成性の吸収性重合体は一般的には、ラジカル重合又はラジカル片の重合による単量体の重合によって得られ、その限定しない例は、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、無水アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸塩、メタクリル酸エステル、無水メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸塩、マレイン酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、ビニルグアジニン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、及びその混合物を含む。
【0064】
本開示の粒子、又はこのような粒子を含む吸収性組成物は、液体を吸収するための方法における使用に好適である。本開示の実施形態においては、本開示のカルボキシアルキルデンプン粒子のうちの1以上が吸収すべき液体と接触する。液体の限定しない例は水、水溶液、生理学的液体、及び生理食塩水を含む。本開示の粒子は吸収すべき1以上の液体との接触時に、内部に1以上の液体を捕捉するゲルを形成する。
【0065】
本開示の粒子は、おむつ、失禁用製品、食料品のクッション剤、及び生理用ナプキンといった衛生用品で用いられうる。本開示の粒子は更に:食料品のクッション剤;土壌において水を保持し、かつ水を植物及び樹木の根に放出する農業、園芸、及び林業用途;繊維工業;印刷用途;吸収性紙製品;鉱石処理;コンクリート添加剤;ペット用厩肥;水処理;曇りの制御;掘穿泥水(すなわち、架橋材料、破砕流体);食料品のクッション剤(すなわち、生鮮食品の輸送及び食品包装に関する用途);洗浄剤;抗縮合性コーティング剤;消火用ゲル;密封材料;包帯及び外科用パッド(すなわち、創傷ドレッシング剤);水溶性の化学汚染流を含む酸性及び/又は塩基性の水溶性汚染流の浄化用の化学吸収剤;遅効性及び徐放性の化粧品及び医薬品用の(薬剤送達システムとしても既知の)高分子ゲル;そして人工雪の製造といった他の用途に用いてもよい。粒子は更に、液体用の吸収剤として用いることができ、その限定しない例は水、水溶液、生理学的液体、及び生理食塩水を含む。
【0066】
以下に提供するのは実験プロトコル及び実施例であって、本開示の理解を促進し、本明細書中に開示の酸性ガスで透過したカルボキシアルキルの製造を可能にする。これらのプロトコル及び実施例は限定するものではなく、単なる例示として示されている。条件及び詳細は本明細書中に提供の実質的な教示から逸脱することなく変更してもよく、当該技術分野の当業者によって選択されるようなこれらの実施例に加えても、又は削除してもよい。
【0067】
《材料及び方法》
[化学物質]:
グレードAのコムギデンプン(Whetstar(商標)4)がArcher Daniels Midland社(イリノイ州ディケーター)から入手した。モノクロロ酢酸ナトリウムの粒剤はAkzo−Nobel社(オランダ,アーメルスフォールト)から入手した。硫酸はFisher社(ペンシルベニア州ピッツバーグ)から入手した。水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩酸、及びメタノールはLabmat社(カナダ,ケベックシティー)から入手した。塩化水素はAir Liquide(フランス,パリ)から入手した。
【0068】
《機器》
[デキストリナイザー(dextrinizer)]: 内部加熱した混合シャフトを具備する型番F/11のNOREDUX COOKERを用いた。
[流動層乾燥機]: モデルQAD/C−1260Sの担体振動機器をカルボキシメチルデンプンの押出物のペレットを乾燥させるのに用いた。
[ペレッタイザー]: Conairの繊維カッターが押出物の繊維をペレット状に切削するのに用いられた(約1mm厚、直径3mm)。
[粉砕器]: Pallmannの粉砕器型の衝突器PP8Sを用いた。
[対流オーブン]: National Drying Machinery Company社(米国フィラデルフィア)のLabトレイ式乾燥機TY2を用いた。
[反応器]: 68cm長のプロペラが反応器の底部から30cm間隔となるシャフトを具備する7000リットルの二重外被型のステンレス鋼回分反応器を用いた。
[赤外線オーブン]: Panasonic製のNB−G100Pの赤外線オーブンを用いた。
[Lab粉砕器]: Braun(商標)モデルのKSM粉砕器を少量の場合にサンプルを粉砕するのに用いた。
【0069】
《反応式の押出成形機》
Leistritz社の2軸スクリュー式の押出成形機ZSE40HP(40mm)が反応性のカルボシキアルキル化のために用いられた。押出成形機のL/D比は40であった。デンプンはAcrisonの重力攪拌式供給器(405−170−OE)で供給された。モノクロロ酢酸ナトリウムはAcrisonの重力式供給器(405−1015−C)で供給された。デンプン及びモノクロロ酢酸ナトリウムは30mmないし180mmで供給された。水酸化ナトリウムの注入ノズルは押出成形機の始端から560mmに配置され、Cole−Parmer式蠕動ポンプを具備していた。水の注入ノズルは押出成形機の始端から720mmに配置され、Cole−Parmer式蠕動ポンプを更に具備していた。閉端式で中実の円筒部は始端から640mmないし800mmに配置された。ベントは1120mmないし1280mmに配置された。スクリューの設計は図2に例示され、以下に詳述する。
【0070】

【0071】
総ての押出成形機の素子は二重に羽根をつけられている。捏和素子の厚さは2mmであった。
【0072】
《試験方法》
Modern Superabsorbent Polymer Technology(Buchholz,F.L.及びGraham,A.T.編,Wiley−VCH,New York,1998,section 4.6.1.Swelling Capacity:Theory and Practice,p.147)に記載のように、いくつかの測定方法は高分子の膨張容量を特徴づけるのに用いることができる。高吸水性樹脂の分野においては、重力性膨張容量(Gravimetric Swelling Capacity:自由膨張容量(FSC)とも称される)及び遠心容量(Centrifuge Capacity:遠心保持容量(CRC)とも称される)は推奨の方法である。FSC及びCRCは得られた吸収性生成物の膨張容量を特徴づけるのに用いられた。
【0073】
[FSC及びCRC測定用のティーバッグ]: ティーバッグ(10×10cm)はグレート07291のAhlstrom社(英国チャーンサイドダンス)の熱密封型のフィルタ紙(16.5±0.5g/m)で生成した。
[FSCの測定]: 0.9%のNaCl溶液における自由膨張容量(FSC)はWorldwide Strategic Partnersによる推奨の試験方法であるWSP240.2(05)A(EDANA−INDA)によって定量された。しかしながら、使用したティーバッグは前述したようにわずかに大きかった。
[CRCの測定]: 0.9%のNaCl溶液における遠心保持容量(CRC)はWorldwide Strategic Partnersによる推奨の試験方法であるWSP241.2(05)A(EDANA−INDA)によって定量された。しかしながら、使用したティーバッグは前述したようにわずかに大きかった。
[AULの測定]: 0.9%のNaCl溶液における0.7psiでの負荷下での吸収(AUL:Absorption Under Load)は、Worldwide Strategic Partnersによる推奨の試験方法であるWSP242.2(05)A(EDANA−INDA)によって定量された。しかしながら、使用したティーバッグは前述したようにわずかに大きかった。ペトリ皿のトレイは表面積が177cmであり、フィルタプレートは直径90mmであり、ピストンはステンレス鋼で生成した。これらの因子はAULの測定に任意の有意な影響を与えるとは考えられない。
【0074】
《カルボキシメチルデンプンの調製》
含水量が10.0%のコムギデンプンは、TSE(ZSEが40mm)において13.1kg/時(28.8lbs/時)の流量で、重力攪拌式供給器で押出成形機に供給された。クロロ酢酸ナトリウムは5.09kg/時(13lbs/時)の流量で重力式供給器に同時供給された。水酸化ナトリウム溶液(50%)は4.26kg/時(9.4lbs/時)の流量で注入された。円筒部の温度はB2=29℃、B3=29℃、B4=29℃、B5=43℃、B6=65℃、B7=82℃、B8=82℃、B9=82℃、B10=82℃であった。スクリュー速度は200rpmに設定され、スクリュー負荷は36ないし37%で設定された。TSEは3mmの直径の10の孔部を含む鋳型を具備した。鋳型の圧力放出は620kPaないし1.6MPa(90ないし232psig)の範囲であった。温度が107℃の押出物はペレッタイザーに運搬した。得られたペレットはその後、80℃で約4時間乾燥させる流動層乾燥機に空気圧で運搬された。含水量は8ないし11%の範囲で得られた。サンプルは次いで、ハンマーミルで20ないし100メッシュに粉砕された。0.55の平均DSはASTM D1439−83aの方法によって特徴づけられた。
【実施例1】
【0075】
《酸性ガス透過によるカルボキシアルキルデンプンの表面処理》
粉砕され、かつ低品質(dirty)のCMS(320Kg:20ないし100メッシュ)は、7000リットルの二重外被型のステンレス鋼反応器に添加した。反応器は次いで20mmHgまで排気した。窒素が注入されて、大気圧(760mmHg)と平衡にした。55ないし60℃で、約1725リットルの事前加熱した溶媒(82.5%MeOHでのMeOH/HO)は反応器内に注入された。スラリーは68cm長のプロペラが反応器の底部から30cm間隔で具備するシャフトで約100rpmで攪拌した。混合物のpHは2.1%(w/w)のHCl溶液を添加することによって調整した。HCl溶液は一般的には、41.3mlのHCl、108.7mlの水道水、及び850mlのメタノールを用いて調製した。塩酸は図3に例示した動態によって添加した。データのように、図3は120gのCMS(無水ベース)しか得られないため、反応が大きなパイロット規模の反応槽で同一の結果で評価される際に、2373回を超えるHClが用いられた。浄化は5回の下位の洗浄ステップが1時間おきに続く場合に分割した。各々の洗浄ステップの終わりに、カルボキシメチルデンプン粒子が沈殿可能となり、上澄液は廃棄された。10%懸濁液における6.2ないし6.8の粒子のpHは5回目の洗浄の終了時に測定した。5回目の洗浄の終了時に、スラリーはWildenポンプで1ないし1.5インチのパイプを通って、フィルタを具備した遠心分離器に汲み上げられた。生成物は400ないし600rpmで20分間遠心分離され、ペレット化された材料はトレイに移動され、3ないし4cm厚のCMA層を生成し、3ないし5日間、60ないし70℃でステンレス鋼のオーブンで乾燥させた。凝集体は収集し、3cm片に破壊し、20ないし100メッシュに粉砕した。この生成物から、60gが実施例4のために保持された。
【0076】
この手順は2回反復した。これらの組合わせた2回分のうちの約906lbsはデキストリナイザーに充填した。180mmHgの真空が緩やかな混合下で5分間なされた。約1.8kg(4lbs)の塩化水素を次いで添加し、緩やかな混合下で約30分間反応させた。粒子のpHは5.2ないし5.3の範囲であり、カルボキシメチルデンプンの試料の水懸濁液における割合で測定した。次いで、カルボキシメチルデンプンは180mmHgで再度真空にした。更に緩やかな混合下で、デキストリナイザー及びカルボキシメチルデンプンの温度は約2時間で121℃まで上昇させた。カルボキシメチルデンプンは更なる緩やかな攪拌下で、121℃で4.5時間処理した。この生成物の性能は表2にまとめている。
【0077】
[表2:HClで透過して表面処理したCMS]

【0078】
これと同様の試料は更に、X線電子分光法で分析した。サンプルは銅製のディスクに接着され、そのわずかな電気伝導度を補償可能にした。わずかな導体となるが、荷電効果は粒子の表面で観察された。これは、低エネルギーの電子供給源(10eV)を用いることによって補償した。この処理後であっても、ピークは広範囲で推移するが、それにも拘わらず分析された。供給源は単色光であり、AlKα線(1486.6eV)がde 10kVの電子(e−)、P=150Wで生成された。ビームはLAXLレンズでスポット(1000×750μm)に集束された。サンプルは3kVのアルゴンでイオンエッチングされ、1.5mm×2.5mmの表面積がエッチングされ、炭素材料に対し1分あたり約25nmの速度でエッチングした。圧力は約1×10−9であった。このアルゴン研磨技術下で測定した塩素濃度は図5に示している。
【実施例2】
【0079】
《酸性ガス透過によりpH調整及び表面処理したカルボキシメチルデンプン》
押出成形機(3980kg)からのカルボキシメチルデンプンはデキストリナイザーに充填した。デキストリナイザーは180mmHgの真空下で、5分間の緩やかな回転攪拌で維持された。4.54kgの気体の塩化水素が、0.45kg/分の速度でデキストリナイザー内に添加された。気体のHClの一部を添加した後に、生成物は5分間の緩やかな回転攪拌で維持され、180mmHgで真空にされた。カルボキシメチルデンプン粒子の試料はデキストリナイザーから取出され、10%の水懸濁液でそのpHを定量した。
【0080】
別の4.54kgの気体の塩化水素が、0.45kg/分の速度でデキストリナイザー内に添加された。気体のHClの一部を添加した後に、生成物は5分間の緩やかな回転攪拌で維持され、180mmHgで真空にされた。カルボキシメチルデンプン粒子の試料はデキストリナイザーから取出され、10%の水懸濁液でそのpHを定量した。別の4.54kgの気体の塩化水素が、0.45kg/分の速度でデキストリナイザー内に添加された。気体のHClの一部を添加した後に、生成物は5分間の緩やかな回転攪拌で維持され、180mmHgで真空にされた。カルボキシメチルデンプン粒子の試料はデキストリナイザーから取出され、10%の水懸濁液でそのpHを定量した。この段階においては、全部で13.62kgの塩化水素が最初に添加され、最終的に2.27kgの塩化水素が最後に添加された。生成物は180mmHgで真空に供され、デキストリナイザーから放出された。その最終pHは10%水懸濁液で測定されるように6.27であった。総てのカルボキシメチルデンプン粒子試料はそのpHを測定した。測定値は図4に示される。
【0081】
実施例1の中和されているが低品質のCMSの集塊から、1.2kgのCMSが60℃で60分間、6000mlの85%(v/v)のメタノール/水の溶液に配置された。生成物はフィルタされて、更に60℃で60分間、6000mlの85:15(v/v)のメタノール/水の溶液に2回目の配置がされた。生成物はフィルタされて、更に60℃で60分間、6000mlの85:15(v/v)のメタノール/水の溶液に3回目の配置がされた。生成物はフィルタされて、更に60℃で60分間、6000mlの85:15(v/v)のメタノール/水の溶液に4回目の配置がされた。生成物はフィルタされて、更に60℃で60分間、6000mlの85:15(v/v)のメタノール/水の溶液に5回目の配置がされた。試料は測定のために供された。pHが7.37の10%の水懸濁液;0.11%のNaCl成分;及び835μS/cmの導電性が記録された。得られた固体は次いで濾過され、対流オーブンにおいて65℃で乾燥した。生成物は20ないし100メッシュに粉砕されたケークを形成した。
【0082】
粉砕した集塊から、40gが、隔壁を具備する蓋で密封できる500mlのポリプロピレンの広口瓶に配置した。150mlのポリプロピレンのビーカーはサンプルにわたって配置され、10gのNaClで充填した。シリンジに含まれる1.5gの濃硫酸がNaClのビーカーに注入され、塩化水素を生成した。この混合物は10分間反応させた。その後、CMSが10%の水懸濁液で5.43のpHに到達するまで、CMSのpHを測定して、硫酸がこの方法で添加された。得られたCMSから、10gが9cmの結晶化皿に配置された。CMSは20分間140℃で赤外線加熱した。この生成物の性能は表3にまとめている。
【0083】
[表3:HClで透過して表面処理したCMS]

【実施例3】
【0084】
《粒径ごとのpH》
実施例2の浄化及び粉砕した集塊から、60gが、隔壁を具備する蓋で密封できる500mlのポリプロピレンの広口瓶に配置した。150mlのポリプロピレンのビーカーはサンプルにわたって配置され、10gのNaClで充填した。シリンジに含まれる0.6mlの濃硫酸がNaClのビーカーに注入され、塩化水素を生成した。CMS粒子は1180μm、850μm、600μm、425μm、300μm、250μm、及び150μmで篩にかけられ、これらの粒径別の粒子のpHは図1に示されている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性ガスで透過したカルボキシアルキルデンプンを含む粒子であって、分子内エステル結合が少なくとも前記粒子の表面にあることで特徴づけられる粒子。
【請求項2】
請求項1に記載の粒子において、前記カルボキシアルキルデンプンがカルボキシメチルデンプンであることを特徴とする粒子。
【請求項3】
請求項1に記載の粒子において、前記酸性ガスが塩化水素であることを特徴とする粒子。
【請求項4】
請求項1に記載の粒子において、当該粒子の内核よりも前記粒子の表面で多くのエステル結合を前記粒子が呈示することを特徴とする粒子。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の粒子が、0.7psiで少なくとも14g/gの負荷下での吸収、かつ少なくとも18g/gの遠心保持容量で特徴づけられる粒子。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の粒子が、水で膨張するときに分散したゲル粒子を形成することで特徴づけられる粒子。
【請求項7】
請求項1に記載の粒子において、自己のエステル結合の存在が塩化第一鉄/ヒドロキシルアンモニウムの試験で示されることを特徴とする粒子。
【請求項8】
請求項1に記載の粒子において、当該粒子が酸性ガスの解離で得られるアニオンを含むことを特徴とする粒子。
【請求項9】
請求項8に記載の粒子において、前記アニオンが塩素であることを特徴とする粒子。
【請求項10】
請求項9に記載の粒子において、XPSで定量されるように、前記塩素の相対濃度が、アルゴンでの0秒の研磨時間で測定した場合に、アルゴンでの5400秒の研磨時間と比較して、前記粒子の核内よりも前記粒子の表面で高くなることを特徴とする粒子。
【請求項11】
請求項9に記載の粒子において、XPSで定量されるように、前記塩素の相対濃度が、アルゴンでの5400秒の研磨時間よりも、アルゴンでの研磨時間の最初の1500秒間で、30%よりも高くなることを特徴とする粒子。
【請求項12】
請求項1に記載の粒子において、当該粒子は:粒径が150μmないし850μmであり;かさ密度が0.5g/cmないし0.7g/cmであり;含水量が12%程度である;ことを特徴とする粒子。
【請求項13】
請求項1に記載の粒子において、前記カルボキシアルキルデンプンが:0.3ないし1.0の範囲にある置換度と;カルボキシアルキル基の均一な分布と;脱イオン水での前記粒子の10%(w/w)懸濁液において測定される場合に5.5ないし8.0の範囲にあるpHと;1%(w/w)程度のNaCl成分と;水での1%(w/w)懸濁液において測定される場合の1500μS/cm程度の導電率と;からなる群から選択される少なくとも1の特性で更に特徴づけられる粒子。
【請求項14】
共吸収剤と組合わせた請求項1及び4のうちの少なくとも1つに記載の粒子を含むことを特徴とする吸収性組成物。
【請求項15】
おむつ、失禁用品、婦人用衛生用品、印刷製品、繊維製品、吸収性紙製品、エアレイド、吸収性ドレッシング剤、家庭用品、密封材料、湿潤剤、抗縮合性コーティング剤、土壌調整製品、厩肥製品、コンクリート製品、石油掘削液、採掘液、化学吸収剤、徐放性高分子ゲル、洗浄剤、消火用ゲル、人工雪、及び食品のクッション剤からなる群から選択される製品における、請求項1及び4のうちの少なくとも1つの粒子の使用。
【請求項16】
水、水溶液、生理学的液体、及び生理食塩水からなる群から選択される液体用の吸収剤としての、請求項1及び4のうちの少なくとも1つに記載の粒子の使用。
【請求項17】
高吸水性樹脂の製造のための方法であって:
a)カルボキシアルキルデンプンを含む粒子を得るステップと;
b)前記粒子を酸性ガスで透過するステップと;
c)前記粒子が0.7psiで少なくとも14g/gの負荷下での吸収、かつ少なくとも18g/gの遠心保持容量で特徴づけられるまで、前記粒子を少なくとも100℃の温度まで加熱するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法において、前記粒子が透過前、透過後、及び加熱中から選択される少なくとも1の時間に真空に供されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、該熱処理中の気圧が3kPa以下であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法において、前記カルボキシアルキルデンプンがカルボキシメチルデンプンであることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項15に記載の方法において、前記酸性ガスが塩化水素であることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項15に記載の方法において、該加熱ステップが115℃ないし140℃の範囲にある温度で行われることを特徴とする方法。
【請求項23】
アルカリ性のデンプン押出物のpHを調整するための方法であって:
a)アルカリ性のデンプン押出物を得るステップと;
b)前記アルカリ性のデンプン押出物を酸性ガスで透過するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、該押出物が150μmないし850μmの範囲の粒径の粒子形態であることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法において、前記酸性ガスが塩化水素であることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項23に記載の方法において、前記アルカリ性のデンプン押出物がカルボキシメチルデンプンを含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項23に記載の方法において、前記アルカリ性のデンプン押出物が透過後に真空に供されることを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−518711(P2012−518711A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551265(P2011−551265)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/024872
【国際公開番号】WO2010/096742
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(507303309)アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド カンパニー (16)
【Fターム(参考)】