説明

酸性条件下での抗菌性コンタクトレンズの調製プロセス

本発明は、金属を含有する抗菌性レンズ、および、当該抗菌性レンズの製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願〕
本願は、2006年10月31日に出願された米国仮特許出願第60/863,583号の非仮特許出願である。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、抗菌性レンズの調製方法に関するものである。
【0003】
〔発明の背景〕
1950年代以降、視力を改善するためのコンタクトレンズは、商業的に使用されるようになってきた。第一期のコンタクトレンズは、硬質材料で形成されていた。当該コンタクトレンズは、目が覚めている間、患者によって使用され、かつ、洗浄のために取り外された。このコンタクトレンズの分野における現在の開発は、洗浄のために取り外さずに、数日以上の連続装用が可能なソフトコンタクトレンズを生み出した。多くの患者が当該ソフトコンタクトレンズを快適性の増大から好むが、当該ソフトコンタクトレンズはユーザーに多少の拒絶反応を生じさせることがある。当該ソフトコンタクトレンズの長期使用は、ソフトコンタクトレンズ表面上での細菌または他の微生物、特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の増殖を促進することがある。細菌または他の微生物の増殖は、コンタクトレンズによる急性結膜充血およびこの同類の症状等、有害な副作用を生じることがある。細菌または他の微生物の問題が十中八九、ソフトコンタクトレンズの長期使用に関連しているが、細菌または他の微生物の増殖は、ハードコンタクトレンズ装用者にも同様に生じる。
【0004】
本出願人以外の者は、コンタクトレンズへの金属塩等の抗菌剤の添加が細菌または他の微生物の増殖を抑制できることを教示してきた。参照によって、この明細書にそっくりそのまま組み込まれる米国特許出願2004/0150788号を参照されたい。抗菌剤を含有する多数のコンタクトレンズを製造するためには、当該レンズの調製プロセスは、一貫した結果を与える必要がある。米国特許出願2004/0150788号に開示された一部のプロセスが、異なるレンズ処方に使用される場合に、製造されるコンタクトレンズには、当該コンタクトレンズ中に含有される抗菌剤の量にバラツキが生じる。レンズ毎の抗菌剤の含有量が製造ロット間で一致しなければならないので、一貫した製造物を製造できる、抗菌剤を含有するコンタクトレンズの調製プロセスを見出すことが望ましい。この要求は、以下の本発明によって満たされる。
【0005】
〔本発明の詳細な記述〕
本発明は、金属塩を含む抗菌性レンズ、当該金属塩から本質的になる抗菌性レンズ、あるいは、当該金属塩からなる抗菌性レンズを調製する方法を含むものであり、当該方法は、
(a)硬化レンズを、塩前駆体および有効量の酸性物質を含む溶液、当該塩前駆体および当該有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、当該塩前駆体および当該有効量の酸性物質からなる溶液で、処理するステップであって、当該溶液のpHが約7.0未満である、ステップ、および
(b)ステップ(a)で処理されたレンズを、金属剤および有効量の酸性物質を含む溶液、当該金属剤および当該有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、当該金属剤および当該有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、当該溶液のpHが約7.0未満である、ステップを含むものである。この明細書で使用されているように、用語「抗菌性レンズ」とは、以下の特性:レンズへの細菌または他の微生物の付着の抑制、レンズ上での細菌または他の微生物の増殖の抑制、および、レンズの表面上またはレンズの周辺領域内での細菌または他の微生物に対する殺菌のうち、一つ以上の特性を呈するレンズを意味する。本発明の目的上、レンズへの細菌または他の微生物の付着、レンズ上での細菌または他の微生物の増殖、および、レンズの表面上の細菌または他の微生物の存在は、全体的に「微生物のコロニー形成」と呼ばれる。好適には、本発明のレンズは、生存している細菌または他の微生物において少なくとも約0.25の対数減少値を呈するものであり、より好ましくは少なくとも約0.5の対数減少値を呈するものであり、最も好ましくは少なくとも約1.0の対数減少値を(90%以上の抑制効果)呈するものである。このような細菌または他の微生物は、眼内で見出される生物、特に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、アカントアメーバ属(Acanthamoeba species)、黄色ブドウ球菌(Staphyoccus aureus)、大腸菌(Escherichia. coli)、表皮ブドウ球菌(Staphyoccus epidermidis)、および、霊菌(Serratia marcesens)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0006】
この明細書で使用されているように、用語「酸性物質」とは、溶液のpHを7未満のpH値に低下させるために、当該溶液に添加され得る組成物を云う。酸性物質の例は、酢酸、硫酸、および、塩酸を含むが、これらに限定されるものではない。好適な酸性物質は、酢酸である。用語「有効量」とは、溶液のpHを7未満のpH値に低下させるために必要な酸性物質の濃度を云う。当該有効量が溶液のpHを約5未満のpH値に、より好適には約4未満のpH値に、最も好適には約3.6未満のpH値に低下させるものであることが好ましい。好適な酸性物質である酢酸は、約0.01%〜約10%(当該溶液の全重量に基づく重量%)の濃度で、より好ましくは約0.5%の濃度で、最も好ましくは約0.05%の濃度で存在する。ステップ(a)およびステップ(b)における酸性物質は、同一でも、あるいは、異なるものであってもよい。ステップ(a)およびステップ(b)における酸性物質は、同一であることが好ましい。
【0007】
この明細書で使用されているように、用語「金属塩」とは、一般式:[M]a[X]bを有する、あらゆる分子を意味し、ここで、Xは、あらゆる負帯電イオンを含み、aは1以上であり、bは1以上であり、Mは、以下のイオン:Al+3、Co+2、Co+3、Ca+2、Mg+2、Ni+2、Ti+2、Ti+3、Ti+4、V+2、V+3、V+5、Sr+2、Fe+2、Fe+3、Ag+1、Ag+2、Au+2、Au+3、Au+1、Pd+2、Pd+4、Pt+2、Pt+4、Cu+1、Cu+2、Mn+2、Mn+3、Mn+4、Zn+2、および、これらの同類に限定されないが、これらのイオン群から選択された、いずれかの正帯電金属である。Xの例は、CO3-2、NO3-1、PO4-3、Cl-1、I-1、Br-1、S-2、O-2、および、これらの同類を含むが、これらに限定されるものではない。さらに、Xは、C1-5アルキルCO2-1等、CO3-2、NO3-1、PO4-3、Cl-1、I-1、Br-1、S-2、O-2、および、これらの同類を含有する負帯電イオンを含む。この明細書で使用されているように、用語「金属塩」は、国際公開WO03/011351号に開示されたゼオライトを含まない。この特許出願は、参照によって、この明細書にそっくりそのまま組み込まれる。好適には、aは、1、2または3である。好適には、bは、1、2または3である。好適な金属イオンは、Mg+2、Zn+2、Cu+1、Cu+2、Au+2、Au+3、Au+1、Pd+2、Pd+4、Pt+2、Pt+4、Ag+2およびAg+1である。特に好適な金属イオンは、Ag+1である。適切な金属塩の例は、硫化マンガン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫化銅、および、リン酸銅を含むが、これらに限定されるものではない。銀塩の例は、硝酸銀、硫酸銀、ヨウ素酸銀、炭酸銀、リン酸銀、硫化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、および、酸化銀を含むが、これらに限定されるものではない。好適な銀塩は、ヨウ化銀、塩化銀、および、臭化銀である。
【0008】
レンズ中の金属の含有率は、レンズの全重量に基づいて測定される。金属が銀である場合に、銀の好適な含有率は、レンズの乾燥重量に基づいて、約0.00001重量%(0.1ppm)〜約10.0重量%、好ましくは約0.0001重量%(1ppm)〜約1.0重量%、最も好ましくは約0.001重量%(10ppm)〜約0.1重量%である。金属塩の添加では、金属塩の分子量が、金属イオンの重量%の金属塩への変換率を決定する。銀塩の好適な含有率は、レンズの乾燥重量に基づいて、約0.00003重量%(0.3ppm)〜約30.0重量%、好ましくは約0.0003重量%(3ppm)〜約3.0重量%、最も好ましくは約0.003重量%(30ppm)〜約0.3重量%である。
【0009】
用語「塩前駆体」とは、金属イオンで置換できる陽イオンを含有する、あらゆる化合物または組成物(水溶液を含む)を云う。溶液中での塩前駆体の濃度は、当該溶液の全重量に基づいて、約0.00001重量%〜約10.0重量%(0.1ppm〜100,000ppm)、好ましくは約0.0001重量%〜約1.0重量%(1ppm〜10,000ppm)、最も好ましくは約0.001重量%〜約0.1重量%(10ppm〜1000ppm)である。塩前駆体の例は、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、硫化ナトリウム、塩化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、硫化リチウム、臭化カリウム、塩化カリウム、硫化カリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ルビジウム、臭化ルビジウム、塩化ルビジウム、硫化ルビジウム、ヨウ化セシウム、臭化セシウム、塩化セシウム、硫化セシウム、ヨウ化フランシウム、臭化フランシウム、塩化フランシウム、硫化フランシウム、テトラクロロ輝銀鉱ナトリウム(sodium tetrachloro argentite)、および、これらの同類等の無機分子を含むが、これらに限定されるものではない。有機分子の例は、テトラアルキル乳酸アンモニウム(tetra-alkyl ammonium lactate);テトラアルキル硫酸アンモニウム;テトラアルキル塩化アンモニウム、テトラアルキル臭化アンモニウムまたはテトラアルキルヨウ化アンモニウム等のハロゲン化四級アンモニウム(quaternary ammonium halide)を含むが、これらに限定されるものではない。好適な塩前駆体は、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化リチウム、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、ヨウ化カリウム、および、テトラクロロ輝銀鉱ナトリウムからなる群より選択されるものであり、特に好適な塩前駆体はヨウ化ナトリウムである。
【0010】
用語「金属剤」とは、金属イオンを含有する、あらゆる組成物(水溶液を含む)を云う。このような組成物の例は、硝酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀(silver triflate)、または、酢酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、硫酸銀、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸銅、および、硫酸銅の水溶液または有機性溶液を含むが、これらに限定されるものではなく、ここで、溶液中の金属剤の濃度が約1マイクログラム/ミリリットル以上である。好適な金属剤が硝酸銀水溶液であり、ここで、溶液中の硝酸銀の濃度は、当該溶液の全重量に基づいて、約0.0001重量%以上から約2重量%までであり、より好ましくは約0.001重量%超から約0.01重量%までである。
【0011】
用語「溶液」とは、脱イオン水、生理食塩水、ホウ酸生理食塩水または緩衝性生理食塩水等の水性物質、あるいは、1個〜24個の炭素原子を有するアルコール類、環状アミド類、非環式アミド類、エーテル類および酸類等の有機性物質を云う。
【0012】
用語「処理」とは、金属剤および酸性物質を含有する溶液、あるいは、塩前駆体および酸性物質を含有する溶液をレンズに接触させる、あらゆる方法を云うものであり、ここで、好適な方法は、金属剤および酸性物質、あるいは、塩前駆体および酸性物質のいずれかを含有する溶液中にレンズを浸漬させることである。処理は、当該溶液中でレンズを加熱することを含めることができるが、処理は、周囲温度で実行されることが好ましい。この処理時間は、好ましくは約1分間〜約24時間であり、より好ましくは約3分間〜約30分間である。
【0013】
この明細書で使用されているように、用語「レンズ」は、眼球内または眼球上に配する眼用装置を云う。これらの眼用装置は、光学補正、創傷治療、薬剤送出、診断的機能、美容上の強調すなわち効果、あるいは、これらの特性の組み合わせを付与することができる。用語「レンズ」は、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、被せレンズ(overlay lenses)、眼球用挿入体(ocular inserts)、および、光学挿入体(optical inserts)を含むが、これらに限定されるものではない。ソフトコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲルおよびフルオロヒドロゲルを含むが、これらに限定されない、シリコーンエラストマーまたはヒドロゲルから形成される。
【0014】
例えば、用語「レンズ」は、米国特許第5,710,302号明細書、国際公開WO9421698号、欧州特許第406161号、日本特許出願JP2000016905号、米国特許第5,998,498号明細書、米国特許出願09/532,943号、米国特許第6,087,415号明細書、米国特許第5,760,100号明細書、米国特許第5,776,999号明細書、米国特許第5,789,461号明細書、米国特許第5,849,811号明細書および米国特許第5,965,631号明細書に記述されたソフトコンタクトレンズ処方から形成されたレンズを含むが、これらに限定されるものではない。ソフトコンタクトレンズの処方例は、エタフィルコンA、バラフィルコンA、ブフィルコン(bufilcon)A、デルタフィルコンA、ドロキシフィルコン(droxifilcon)A、フェムフィルコン(phemfilcon)A、オクフィルコン(ocufilicon)A、パーフィルコン(perfilcon)A、オクフィルコン(ocufilcon)B、オクフィルコン(ocufilcon)C、オクフィルコン(ocufilcon)D、オクフィルコン(ocufilcon)E、メタフィルコンA、メタフィルコンB、ビフィルコン(vifilcon)A、フォコフィルコン(focofilcon)A、テトラフィルコンB、および、米国特許第5,998,498号明細書、米国特許出願09/532,943号、2000年8月30日に出願された米国特許出願09/532,943号の一部継続出願、国際公開WO03/22321号、米国特許第6,087,415号明細書、米国特許第5,760,100号明細書、米国特許第5,776,999号明細書、米国特許第5,789,461号明細書、米国特許第5,849,811号明細書および米国特許第5,965,631号明細書で調製されるようなシリコーンヒドロゲルを含むが、これらに限定されるものではない。これらの特許文献ばかりでなく、この段落で開示された他の全特許文献は、参照によって、この明細書にそっくりそのまま組み込まれる。
【0015】
本発明のレンズは、シリコーンヒドロゲル成分から形成されてもよい。シリコーン含有成分は、モノマー、マクロマーまたはプレポリマー中に、少なくとも一つの[-Si-O-Si]基を含有する成分である。好適には、ケイ素原子(Si)、および、これらのケイ素原子に結合した酸素原子(O)は、シリコーン含有成分の全分子量に対して、20重量%を超える量で、より好ましくは30重量%を超える量で、当該シリコーン含有成分中に存在している。有用なシリコーン含有成分は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミドおよびスチリルの各官能基等の重合性官能基を含む。シリコーンヒドロゲル処方中に含有され得るシリコーン含有成分の例は、シリコーンマクロマー類、プレポリマー類およびモノマー類を含むが、これらに限定されるものではない。シリコーンマクロマー類の例は、米国特許第4,259,467号明細書、米国特許第4,260,725号明細書および米国特許第4,261,875号明細書に記述された親水性ペンダント基でメタクリレート化されたポリジメチルシロキサン;米国特許第4,136,250号明細書、米国特許第4,153,641号明細書、米国特許第4,189,546号明細書、米国特許第4,182,822号明細書、米国特許第4,343,927号明細書、米国特許第4,254,248号明細書、米国特許第4,355,147号明細書、米国特許第4,276,402号明細書、米国特許第4,327,203号明細書、米国特許第4,341,889号明細書、米国特許第4,486,577号明細書、米国特許第4,605,712号明細書、米国特許第4,543,398号明細書、米国特許第4,661,575号明細書、米国特許第4,703,097号明細書、米国特許第4,837,289号明細書、米国特許第4,954,586号明細書、米国特許第4,954,587号明細書、米国特許第5,346,946号明細書、米国特許第5,358,995号明細書、米国特許第5,387,632号明細書、米国特許第5,451,617号明細書、米国特許第5,486,579号明細書、米国特許第5,962,548号明細書、米国特許第5,981,615号明細書、米国特許第5,981,675号明細書および米国特許第6,039,913号明細書に記述された重合性官能基を有するポリジメチルシロキサンマクロマー類;米国特許第5,010,141号明細書、米国特許第5,057,578号明細書、米国特許第5,314,960号明細書、米国特許第5,371,147号明細書および米国特許第5,336,797号明細書に記述されているような親水性モノマー類を組み入れたポリシロキサンマクロマー類;米国特許第4,871,785号明細書および米国特許第5,034,461号明細書に記述されているようなポリジメチルシロキサン部およびポリエーテル部を含むマクロマー類;これらの組み合わせ、ならびに、これらの同類を含むが、これに限定されるものではない。この明細書で引用された全特許文献は、参照によって、この明細書にそっくりそのまま組み込まれる。
【0016】
米国特許第5,760,100号明細書、米国特許第5,776,999号明細書、米国特許第5,789,461号明細書、米国特許第5,807,944号明細書、米国特許第5,965,631号明細書および米国特許第5,958,440号明細書に記述されたシリコーンおよび/またはフッ素含有マクロマー類が使用されてもよい。適切なシリコーンモノマー類は、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート、3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシランおよび国際公開WO03/22321号に開示された物質等のヒドロキシ官能性シリコーン含有モノマー類、ならびに、米国特許第4,120,570号明細書、米国特許第4,139,692号明細書、米国特許第4,463,149号明細書、米国特許第4,450,264号明細書、米国特許第4,525,563号明細書、米国特許第5,998,498号明細書、米国特許第3,808,178号明細書、米国特許第4,139,513号明細書、米国特許第5,070,215号明細書、米国特許第5,710,302号明細書、米国特許第5,714,557号明細書、および、米国特許第5,908,906号明細書に記述されたモノメタクリロキシプロピル末端化ポリジメチルシロキサン(mPDMS)含有モノマー類またはシロキサンモノマー類を含む。
【0017】
適切な追加のシロキサン含有モノマー類は、米国特許第4,711,943号明細書に記述された3-メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)のアミド類似体、米国特許第5,070,215号明細書に記述されたビニルカルバメートまたはカーボネート類似体、および、米国特許第6,020,445号明細書に収録されたモノマー類、モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン類、3-メタクリロキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、および、これらの組み合わせを含む。
【0018】
ソフトコンタクトレンズ処方に加えて、ハードコンタクトレンズも使用されてもよい。ハードコンタクトレンズ処方の例は、ポリ(メチル)メタクリレートのポリマー類、シリコンアクリレート(silicon acrylates)、シリコーンアクリレート(silicone acrylates)、フルオロアクリレート、フルオロエーテル、ポリアセチレンおよびポリイミドを含むが、これらに限定されないポリマー類から形成されるものであり、ここで、代表例の調製は、日本特許出願JP200010055号、日本特許第6123860号および米国特許第4,330,383号明細書に見出されることができる。本発明の眼内レンズは、公知の材料を用いて形成され得る。例えば、当該レンズは、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネートまたはこれらの同類の材料、および、これらの組み合わせを含むが、これらに限定されない硬質材料から形成されてもよい。さらに、ヒドロゲル、シリコーン材料、アクリル系材料、フルオロカーボン材料、および、これらの同類の材料、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない可撓性材料が使用されてもよい。典型的な眼内レンズは、国際公開WO0026698号、国際公開WO0022460号、国際公開WO9929750号、国際公開WO9927978号、国際公開WO0022459号、および、日本特許出願JP2000107277号、米国特許第4,301,012号明細書、米国特許第4,872,876号明細書、米国特許第4,863,464号明細書、米国特許第4,725,277号明細書、米国特許第4,731,079号明細書に記述されている。この出願に記述された全参考文献は、参照によって、この明細書にそっくりそのまま組み込まれる。
【0019】
好適には、本発明のレンズは、エタフィルコンA、ゲンフィルコンA、ガリフィルコンA、レネフィルコンA、ポリマコン(polymacon)、アクアフィルコン(acquafilcon)A、バラフィルコンAおよびロトラフィルコンAから形成されたレンズに匹敵する光学的な透明度を有する程度に、光学的に透明である。最も好適なレンズ処方は、イオン性レンズを調製するために使用されるものである。このようなレンズの調製に有用なモノマー類は、メタクリル酸およびこの同類を含む。最も好適なレンズ処方の例は、エタフィルコンA、バラフィルコンA、ブフィルコン(bufilcon)A、デルタフィルコンA、ドロキシフィルコン(droxifilcon)A、フェムフィルコン(phemfilcon)A、オクフィルコン(ocufilicon)A、パーフィルコン(perfilcon)A、オクフィルコン(ocufilcon)B、オクフィルコン(ocufilcon)C、オクフィルコン(ocufilcon)D、オクフィルコン(ocufilcon)E、メタフィルコンA、メタフィルコンB、ビフィルコン(vifilcon)A、フォコフィルコン(focofilcon)A、および、テトラフィルコンBを調製するために使用されるものを含む。
【0020】
上述された多くのレンズ処方は、ユーザーが1日間〜30日間の範囲の連続期間で、レンズを装用することを可能にする場合がある。レンズが眼球上にある期間が長ければ長いほど、細菌または他の微生物がレンズ表面上で増殖する機会が増大することは、公知である。したがって、長期間にわたって、銀等の抗菌剤を放出するレンズを開発する必要がある。
【0021】
用語「硬化」とは、レンズを形成するためのレンズ成分(すなわち、モノマー類、プレポリマー類、マクロマー類およびこれらに同類の成分)の混合物を反応させるために使用される多くの方法のいずれかの方法を云う。レンズは、光または熱によって硬化され得る。好適な硬化方法は、エネルギ放射による方法であり、好ましくは、紫外線または可視光照射による方法、最も好ましくは可視光照射による方法である。本発明のレンズ処方は、震盪または撹拌等、この技術分野における当業者にとって公知の方法のいずれかによって形成され、かつ、ポリマー製品または装置を公知の方法によって形成するために使用され得るものである。
【0022】
例えば、本発明の抗菌性レンズは、反応性成分および任意の希釈剤(複数の希釈剤)を重合開始剤と混合させ、かつ、旋盤加工、切断加工およびこれらの同類の加工によって適切な形状に形成されうる生成物を形成する上で適した条件で硬化させることによって調製されてもよい。また、反応性混合物は、成形型内に配された後に、適切な製品となるように硬化されてもよい。
【0023】
コンタクトレンズの製造において、レンズ処方を処理するための種々のプロセスは、公知であり、回転成形法および静的成形(static casting)法を含む。回転成形法は、米国特許第3,408,429号明細書および米国特許第3,660,545号明細書に開示されており、静的成形法は、米国特許第4,113,224号明細書および米国特許第4,197,266号明細書に開示されている。本発明の抗菌性レンズを製造するための好適な方法は、成型法である。ヒドロゲルレンズの場合において、この成形法では、レンズ処方が最終的な所望のレンズに近似した形状を有する成形型内に配されて、当該レンズ処方が、このレンズ処方中の成分が重合化する条件に置かれることで、硬化した円盤状部材を生成するものであり、この円盤状部材は、多くの異なる処理ステップにさらされ、当該処理ステップは、重合化したレンズを最終的な包装内に封入する前に、当該レンズを膨潤させるか、あるいは他に、平衡化させるために、当該レンズを液体(水、無機塩類、または、有機溶液など)で処理するステップを含むものである。この方法は、米国特許第4,495,313号明細書、米国特許第4,680,336号明細書、米国特許第4,889,664号明細書および米国特許第5,039,459号明細書にも記述されており、これらの特許文献は、参照によって、この明細書に組み込まれる。膨潤されず、あるいは他に、平衡化されなかった重合化レンズは、本発明の目的の硬化レンズとみなされる。
【0024】
さらに、本発明は、金属塩を含む抗菌性レンズ、当該金属塩から本質的になる抗菌性レンズ、あるいは、当該金属塩からなる抗菌性レンズを調製する方法を含むものであり、当該方法は、
(a)硬化レンズを、金属剤および有効量の酸性物質を含む溶液、当該金属剤および当該有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、当該金属剤および当該有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、当該溶液のpHが約7.0未満である、ステップ、および
(b)ステップ(a)で処理されたレンズを、塩前駆体および有効量の酸性物質を含む溶液、当該塩前駆体および当該有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、当該塩前駆体および当該有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、当該溶液のpHが約7.0未満である、ステップを含むものであり、当該ステップから本質的になるものであり、あるいは、当該ステップからなるものである。用語「抗菌性レンズ」、「金属塩」、「塩前駆体」、「金属剤」、「有効量」および「処理」は、すべて、上述した意味および好適な範囲を有している。
【0025】
またさらに、本発明は、金属塩を含む抗菌性レンズ、当該金属塩から本質的になる抗菌性レンズ、あるいは、当該金属塩からなる抗菌性レンズであって、ある方法によって調製された抗菌性レンズを含み、当該方法は、
(a)硬化レンズを、塩前駆体および有効量の酸性物質を含む溶液、当該塩前駆体および当該有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、当該塩前駆体および当該有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、当該溶液のpHが約7.0未満である、ステップ、および
(b)ステップ(a)で処理されたレンズを、金属剤および有効量の酸性物質を含む溶液、当該金属剤および当該有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、当該金属剤および当該有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、当該溶液のpHが約7.0未満である、ステップを含むものである。用語「抗菌性レンズ」、「金属塩」、「塩前駆体」、「金属剤」、「有効量」および「処理」は、すべて、上述した意味および好適な範囲を有している。
【0026】
またさらに、本発明は、金属塩を含む抗菌性レンズ、当該金属塩から本質的になる抗菌性レンズ、あるいは、当該金属塩からなる抗菌性レンズであって、ある方法によって調製された抗菌性レンズを含み、当該方法は、
(a)硬化レンズを、金属剤および有効量の酸性物質を含む溶液、当該金属剤および当該有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、当該金属剤および当該有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、当該溶液のpHが約7.0未満である、ステップ、および
(b)ステップ(a)で処理されたレンズを、塩前駆体および有効量の酸性物質を含む溶液、当該塩前駆体および当該有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、当該塩前駆体および当該有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、当該溶液のpHが約7.0未満である、ステップを含むものである。用語「抗菌性レンズ」、「金属塩」、「塩前駆体」、「金属剤」、「有効量」および「処理」は、すべて、上述した意味および好適な範囲を有している。
【0027】
本発明を説明するために、以下の実施例が収録される。これらの実施例は、本発明を限定するものではない。当該実施例は、本発明を実施する方法を示唆するだけであることを意味する。コンタクトレンズばかりでなく、他の特殊な製品に精通している者は、本発明を実施する他の方法を見出す場合がある。しかし、当該方法は、本発明の範囲内にあるものとみなされる。
【0028】
〔実施例〕
以下の略称は、実施例に使用される。
Blue HEMA=実施例4すなわち米国特許第5,944,853号明細書に記述されるような反応性青色4号とヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)との反応生成物
CGI 819=ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド
DI water=脱イオン水
DMA=N,N-ジメチルアクリルアミド
HEMA=ヒドロキシエチルメタクリレート
MAA=メタクリル酸
mPDMS=モノメタクリロキシプロピル末端化ポリジメチルシロキサン(分子量:800〜1000)
acPDMS=ビス-3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン
Norbloc=2-(2´-ヒドロキシ-5-メタクリロイルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(2-(2’-hydroxy-5-methacrylyloxyethylphenyl)-2H-benzotriazole)
ppm=乾燥レンズの1グラム当たりのサンプルの百万分の一マイクログラム
PVP=ポリビニルピロリジノン(360,000または2,500)
Simma 2=3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン
TAA=三級アミルアルコール
【0029】
〔硫酸ナトリウム包装用溶液(SSPS)〕
硫酸ナトリウム包装用溶液(SSPS)は、脱イオン水(H2O)に以下の成分を含有している。
1.40重量%の硫酸ナトリウム
0.185重量%のホウ酸ナトリウム[1330-43-4]、マリンクロート(Mallinckrodt)社製
0.926重量%のホウ酸[10043-35-3]、マリンクロート(Mallinckrodt)社製
0.005重量%のメチルセルロース
【0030】
〔タイプA系レンズの調製〕
ヒドロゲル混合物は、次のモノマー混合物(すべての量は重量%として算出された:30.00%の3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン(Simma 2)、28.0%のモノメタクリロキシプロピル末端化ポリジメチルシロキサン(mPDMS)、5.0%のビス-3-アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(acPDMS)、19.0%のN,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、7.15%のヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、1.60%のメタクリル酸(MAA)、7.00%のポリビニルピロリジノン(360,000、PVP)、2.0%の2-(2´-ヒドロキシ-5-メタクリロイルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(Norbloc)、1.0%のビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(CGI 819)、および、0.02%のBlue HEMA(反応性青色4号とヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)との反応生成物))から作られ、60重量%の上記成分混合物は、40重量%の希釈剤、すなわち、配合比72.5:27.5の三級アミルアルコール(TAA):ポリビニルピロリジノン(2,500、PVP)でさらに希釈されて、最終的なモノマー混合物を形成した。二つの部品で構成されるコンタクトレンズ成形型内に配された当該混合物は、以下の連続条件:a)室温で、1ミリワット/平方センチメートルのエネルギを放出する可視光を用いて30秒間、b)75℃、120秒間、c)75℃、120秒間、1.8ミリワット/平方センチメートルのエネルギを放出する可視光、および、d)75℃、240秒間、6.0ミリワット/平方センチメートルのエネルギを放出する可視光を用いて硬化された。硬化レンズは、当該成形型から取り出され、かつ、脱イオン水で水和処理された。
【0031】
〔実施例1〕
〔酸性物質を用いない、硬化レンズからの抗菌性レンズの調製〕
硬化され、かつ、水和されたタイプA系レンズは、50ppmのメチルセルロース(レンズ一枚当たり3ミリリットルまでの溶液)を含有するヨウ化ナトリウム脱イオン水溶液(500ppm〜700ppm)を充填した瓶内に配置され、かつ、瓶回転装置上で一晩、回転処理される。当該レンズは、当該瓶から、過剰のヨウ化ナトリウム溶液が除去されたブリスターパックへ移された。適切な分散剤を含有する硝酸銀脱イオン水溶液(800マイクロリットル、150ppm)は、2〜5分間で、当該ブリスターパック内に添加された。硝酸銀溶液が除去されると共に、当該レンズが、脱イオン水を収容する瓶内に配置され、かつ、瓶回転装置上で約30分間、回転処理された。脱イオン水は、50ppmのメチルセルロースを含有するホウ酸緩衝硫化ナトリウム水溶液(SSPS)と交換され、かつ、瓶回転装置上で更に30分間、回転処理された。その後、当該溶液は、新鮮なホウ酸緩衝硫化ナトリウム水溶液(SSPS)と交換された。
【0032】
その後、当該レンズは、新しいブリスターパックへ移され、かつ、このブリスターパックには、950マイクロリットルのホウ酸緩衝硫化ナトリウム水溶液(SSPS)が加えられた。ブリスターパックが封止され、125℃で18分間、加圧殺菌されて、後述される方法を用いて銀含有量について分析された。これらの結果は、図1に示されている。このデータは、ヨウ化ナトリウムの濃度を上昇させると、意外にも、レンズ中に堆積されるヨウ化銀の量を減少させることを示している。
【0033】
レンズに対する加圧殺菌後における当該レンズ中の銀の含有量は、中性子放射化機器分析法(INAA)によって確認された。中性子放射化機器分析法(INAA)は、原子炉内での中性子の放射による特定の放射性核種の人工的な誘導に基づく定性的かつ定量的な元素分析法である。サンプルに対する照射後に、放射性核種の崩壊によって放出される固有ガンマ線の定量的な測定が行われる。特定エネルギで検出されたガンマ線は、高度の特異性があることを考慮に入れる必要がある特定の放射性核種の存在を示すものである。ベッカー・ディー・エー(Becker, D.A.);グリーンバーグ・アール・アール(Greenberg, R.R.);ストーン・エス・エフ(Stone, S.F.)による放射分析核化学誌(J. Radioanal. Nucl. Chem.)、1992年、第160(1)巻、第41頁〜第53頁;ベッカー・ディー・エー(Becker, D.A.);アンダーソン・ディー・エル(Anderson, D.L.);リンドストローム・アール・エム(Lindstrom, R.M.);グリーンバーグ・アール・アール(Greenberg, R.R.);ガリティ・ケイ・エム(Garrity, K.M.);マッケイ・イー・エー(Mackey, E.A.)による放射分析核化学誌、1994年、第179(1)巻、第149頁〜第154頁。コンタクトレンズ材料中の銀の含有量を定量化するために使用される中性子放射化機器分析法(INAA)の手順は、以下の二つの核反応を使用する:
1.放射化反応において、110Agは、原子炉で生成された放射性中性子の捕獲後に、安定な109Ag(同位体存在度=48.16%)から生成される。
2.減衰反応において、110Ag(τ1/2=24.6秒)は、この放射性核種に特異的なエネルギ(657.8キロ電子ボルト)で生じる、銀の初期濃度に比例した量の陰電子の放射によって、主として崩壊する。
標準品およびサンプルに対する照射による110Agの崩壊に特異的なガンマ線の放出は、ガンマ線分光分析法、定評のある波高分析法によって測定され、これにより、検体の濃度測定値を得る。
【0034】
〔実施例2〕
〔酸性物質を用いる、硬化レンズからの抗菌性レンズの調製〕
実施例1の手順は、ヨウ化ナトリウム溶液および硝酸銀溶液に0.05重量%の酢酸脱イオン水溶液が添加されたことを除き、反復された。レンズは、銀含有量について分析され、かつ、そのデータは、図2に示されている。このデータは、酸性化プロセスが、硝酸ナトリウムの量が増加されると、レンズ中に堆積されるヨウ化銀の量が期待されたように上昇することを示している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】中性条件下での製法における銀の含有量とヨウ化ナトリウムの濃度との関係を示すグラフである。
【図2】酸性化プロセスにおける銀の含有量とヨウ化ナトリウムの濃度との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属塩を含む抗菌性レンズを調製する方法において、
前記方法は、
(a)硬化レンズを、塩前駆体および有効量の酸性物質を含む溶液、前記塩前駆体および前記有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、前記塩前駆体および前記有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、前記溶液のpHが約7.0未満である、ステップと、
(b)ステップ(a)で処理された前記レンズを、金属剤および有効量の酸性物質を含む溶液、前記金属剤および前記有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、前記金属剤および前記有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、前記溶液のpHが約7.0未満である、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記酸性物質は、酢酸、塩酸、および、硫酸からなる群より選択される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記酸性物質は、酢酸である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記酸性物質の有効量は、約0.01%〜約10%である、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記酸性物質の有効量は、約0.5%である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記酸性物質の有効量は、約0.05%である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
ステップ(a)および(b)における前記溶液のpHは、約2〜約5である、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
ステップ(a)および(b)における前記溶液のpHは、約2〜約4である、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
ステップ(a)および(b)における前記溶液のpHは、約3〜約4である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記塩前駆体は、テトラアルキル乳酸アンモニウム、テトラアルキル硫酸アンモニウム、テトラアルキル塩化アンモニウム、テトラアルキル臭化アンモニウム、アルキルヨウ化アンモニウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化リチウム、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、および、テトラクロロ輝銀鉱ナトリウムからなる群より選択される、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記塩前駆体は、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化リチウム、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、および、テトラクロロ銀酸ナトリウムからなる群より選択される、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
前記塩前駆体は、ヨウ化ナトリウムである、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、
前記金属剤は、ヨウ化銀、塩化銀、および、臭化銀からなる群より選択される、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、
前記塩前駆体は、硝酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、および、酢酸銀からなる群より選択される、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、
前記塩前駆体は、酢酸銀である、方法。
【請求項16】
金属塩を含む抗菌性レンズを調製する方法において、
前記方法は、
(a)硬化レンズを、金属剤および有効量の酸性物質を含む溶液、前記金属剤および前記有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、前記金属剤および前記有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、前記溶液のpHが約7.0未満である、ステップと、
(b)ステップ(a)で処理された前記レンズを、塩前駆体および有効量の酸性物質を含む溶液、前記塩前駆体および前記有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、前記塩前駆体および前記有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、前記溶液のpHが約7.0未満である、ステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
金属塩を含み、ある方法によって調製された抗菌性レンズにおいて、
前記方法は、
(a)硬化レンズを、塩前駆体および有効量の酸性物質を含む溶液で処理するステップであって、前記溶液のpHが約7.0未満である、ステップ、および
(b)ステップ(a)で処理された前記レンズを、金属剤および有効量の酸性物質を含む溶液で処理するステップであって、前記溶液のpHが約7.0未満である、ステップを含む、抗菌性レンズ。
【請求項18】
請求項17に記載の抗菌性レンズにおいて、
前記金属塩はヨウ化銀であり、前記塩前駆体は硝酸ナトリウムであり、前記金属剤は硝酸銀であり、ステップ(a)および(b)における前記溶液のpHは、約3〜約4である、抗菌性レンズ。
【請求項19】
金属塩を含み、ある方法によって調製された抗菌性レンズにおいて、
前記方法は、
(a)硬化レンズを、金属剤および有効量の酸性物質を含む溶液で処理するステップであって、前記溶液のpHが約7.0未満である、ステップ、および
(b)ステップ(a)で処理された前記レンズを、塩前駆体および有効量の酸性物質を含む溶液、前記塩前駆体および前記有効量の酸性物質から本質的になる溶液、あるいは、前記塩前駆体および前記有効量の酸性物質からなる溶液で処理するステップであって、前記溶液のpHが約7.0未満である、ステップを含む、抗菌性レンズ。
【請求項20】
請求項19に記載の抗菌性レンズにおいて、
前記金属塩はヨウ化銀であり、前記塩前駆体は硝酸ナトリウムであり、前記金属剤は硝酸銀であり、ステップ(a)および(b)における前記溶液のpHは、約3〜約4である、抗菌性レンズ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−508421(P2010−508421A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535402(P2009−535402)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/082597
【国際公開番号】WO2008/055048
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(591175675)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】