説明

酸性液の処理装置及び処理方法

【課題】原子力発電所や火力発電所の復水脱塩装置の再生時に排出されるモノエタノールアミン含有希塩酸廃液等の非イオン/カチオン性水溶性化合物を効率的かつ経済的に処理する。
【解決手段】アニオン交換膜21によって原水室22とアルカリ溶液室23とに隔てられた中和透析装置2の原水室22に非イオン/カチオン性水溶性化合物を通水すると共に、アルカリ溶液室23にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和及び脱塩処理する。中和脱塩処理で発生するアルカリ廃液は触媒酸化装置10で触媒酸化処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液を、効率的に中和脱塩又は中和脱塩減容化する処理装置と方法に関する。詳しくは原子力発電所や火力発電所の復水脱塩装置の再生時に排出されるモノエタノールアミン含有希塩酸性液等の非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液を、効率的かつ経済的に中和脱塩又は中和脱塩減容化する処理装置と処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電や火力発電の復水工程では、モノエタノールアミン(MEA)などのアミン類が蒸気生成ラインの防食剤として用いられている。通常、これらのアミン類は、ライン中に設けられた復水脱塩装置(以下「コンデミ」と称す場合がある。)のカチオン交換樹脂に捕捉され、復水脱塩装置の再生の際に再生廃液に含まれて排出される。排出されたアミン類は、COD源や富栄養化源となって河川や湖沼を汚染するため、これを処理する必要がある。
【0003】
このコンデミ再生廃液は、COD及び窒素負荷の高い液であるため、一般に熱分解又は液中燃焼などにより処理されているが、コンデミ再生廃液をそのまま熱分解又は液中燃焼装置に供するには、廃液量が多く処理コストが高くつくことから、その減容化が望まれる。
【0004】
本出願人は、先に、コンデミ再生廃液等の酸性液を効率的かつ経済的に処理する技術として、次の(1),(2)を提案した。
(1) 窒素化合物を含有する酸性液を、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に通水すると共に、前記他方の室にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和及び脱塩処理し、得られた中和脱塩処理液中の窒素化合物を濃縮する方法及び装置(特許文献1)。
(2) 非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた該一方の室に該酸性液を通水するとともに、該他方の室に該酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和脱塩及び減容化する方法及び装置(特許文献2)。
【0005】
特許文献1,2の処理技術であれば、コンデミ再生廃液等の酸性液を経済的かつ効率的に処理することができるが、酸性液の中和脱塩処理又は中和脱塩減容化においては、酸性液からエタノールアミンなどの有機物や窒素成分の3〜30%がアニオン交換膜を通過してアルカリ溶液側に移行するため、中和脱塩又は中和脱塩減容化処理後のアルカリ溶液(以下、使用後のアルカリ溶液を「アルカリ廃液」と称す場合がある。)は、COD、及びN(窒素)成分の処理が必要となる。
【0006】
従来、COD,N処理技術としては、生物処理技術と、液中燃焼技術と、紫外線やオゾン、過硫酸を用いた促進酸化技術、触媒酸化技術などがある。
【0007】
生物処理では、CODとN成分を有機物分解、硝化脱窒により除去できるが、次のような問題がある。即ち、生物処理は、系内のpHを中性領域に調整する必要がある一方で、アルカリ廃液は、脱酸速度を高く保つために中和脱塩処理後もアルカリ性となるため、生物処理に先立ち、アルカリ廃液に酸を添加して中和処理する必要がある。また、生物によるN処理は、最適なpHがあるために、厳密なpH調整が必須であるが、生物分解により、以下の反応でアルカリであるアミンやN成分が分解・硝化するとpHが低下するため、中性を保つために今度はアルカリを添加する必要がある。そして、その後、脱窒が起こると、pHは上昇するため、中性に保つために酸を添加する必要がある。
NH+2O→NO+2H+HO(酸が発生するためアルカリで中和する必要がある)
6NO+5CHOH→3N+5CO+6OH+7HO(アルカリが発生するため酸で中和する必要がある)
【0008】
また、生物処理設備は、有機物分解槽、硝化槽、脱窒槽、再曝気槽、沈殿槽といった槽から構成され、それぞれの設備と生物を安定的に維持するためのメンテナンスに多くの労力を要する。
また、一般に、生物処理可能な塩類濃度の上限は海水の塩類濃度である3重量%程度であるため、生物処理が可能なようにアルカリ廃液の塩類濃度を数パーセント以下に調整するために、希釈水で希釈することが必要となる。すなわちアルカリ廃液が約0.5N以上のアルカリ溶液である場合は、下記式で算出されるように塩類濃度が3重量%(生成塩がNaClとして)以上となるため、希釈が必要となる。アルカリ廃液の希釈を行うと被処理水量が増大し、処理設備のすべてを大型化することが必要となる。
0.5N×58.5=約30g/L
【0009】
一方、液中燃焼技術は、パーセントレベルの高濃度廃液処理に適した技術であるが、アルカリ廃液中のCOD、T−Nは数10〜1000mg/L程度の濃度であるため、水分を燃焼するための燃料費が過大となり非効率である。
【0010】
紫外線酸化や、オゾン、過硫酸を用いた促進酸化技術は、酸化剤である紫外線やオゾンの発生器が高価であることや、窒素成分が酸化されて硝酸となるので、生物処理の脱窒設備が別に必要となるために、非効率である。
【0011】
これに対して、触媒酸化であれば、上述のような問題はない点において優れているが、被処理水の触媒酸化への適用性を考慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特願2010−262511
【特許文献2】特願2010−262506
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、特許文献1,2に記載される中和脱塩或いは中和脱塩減容化処理で発生するアルカリ廃液を工業的に有利に処理する酸性液の処理装置及び処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記の中和脱塩或いは中和脱塩減容化処理で発生するアルカル廃液の処理技術について種々検討した結果、このアルカリ廃液は、触媒酸化処理することが、その他のCOD,N処理技術と比較し、最も簡易に放流可能な水質を得る方法であることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0015】
[1] 非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理装置であって、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和及び脱塩する中和脱塩装置と、該中和脱塩装置で中和及び脱塩に使用されたアルカリ液を触媒酸化する触媒酸化装置とを有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【0016】
[2] [1]において、前記中和脱塩装置で中和及び脱塩された中和脱塩処理液を濃縮する濃縮装置を有し、該濃縮装置で発生した希薄液が前記中和及び脱塩に使用されたアルカリ液と共に触媒酸化装置で触媒酸化されることを特徴とする酸性液の処理装置。
【0017】
[3] [2]において、前記濃縮装置が、蒸留濃縮装置、電気脱イオン装置及び電気透析装置のいずれかであることを特徴とする酸性液の処理装置。
【0018】
[4] 非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理装置であって、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室に該酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を通水して、該酸性液を中和脱塩及び減容化する中和脱塩減容化装置と、該中和脱塩減容化装置で中和脱塩及び減容化に使用されたアルカリ液を触媒酸化する触媒酸化装置とを有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【0019】
[5] 非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理方法であって、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和及び脱塩する中和脱塩工程と、該中和脱塩工程で中和及び脱塩に使用されたアルカリ液を触媒酸化する触媒酸化工程とを有することを特徴とする酸性液の処理方法。
【0020】
[6] [5]において、前記中和脱塩工程で中和及び脱塩された中和脱塩処理液を濃縮する濃縮工程を有し、該濃縮工程で発生した希薄液を前記中和及び脱塩に使用されたアルカリ液と共に触媒酸化工程で触媒酸化することを特徴とする酸性液の処理方法。
【0021】
[7] [6]において、前記濃縮工程が、蒸留濃縮装置、電気脱イオン装置及び電気透析装置のいずれかによる工程であることを特徴とする酸性液の処理方法。
【0022】
[8] 非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理方法であって、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室に該酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を通水して、該酸性液を中和脱塩及び減容化する中和脱塩減容化工程と、該中和脱塩減容化工程で中和脱塩及び減容化に使用されたアルカリ液を触媒酸化する触媒酸化工程とを有することを特徴とする酸性液の処理方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液(以下、非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を「非イオン/カチオン性水溶性化合物」と称し、これを含有する酸性液を「非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液」又は「原水」と称す場合がある。)の中和脱塩或いは中和脱塩減容化処理で発生するアルカリ廃液を触媒酸化することにより、容易かつ効率的に、簡易な装置で放流可能な水質に処理することができる。
【0024】
即ち、本発明者は、触媒酸化処理においては、被処理水のpHは10〜12程度のアルカリ性であることが最も効率が良いことを見出した。非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液の中和脱塩或いは中和脱塩減容化処理で発生するアルカリ廃液は、通常pH10〜14程度であるため必要に応じて若干のpH調整を行うのみで触媒酸化に適用可能であり、希釈水も不要である。しかも、触媒酸化処理であれば、アルカリ廃液中のアミンやアンモニア等の窒素成分を効率的に分解することができ、COD<10mg/L、T−N<20〜60mg/L程度の良好な水質の処理水を得ることができる。これは、海域の排水基準を十分に満たす水質である。しかも、アミンやアンモニア等の分解によりpHが低下するため、放流に際してのpH調整においても中和のために必要な酸量は、大幅に低減される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の酸性液の処理装置及び方法の実施の形態を示す系統図である。
【図2】本発明の酸性液の処理装置及び方法の他の実施の形態を示す系統図である。
【図3】本発明に係る濃縮装置として好適な電気脱イオン装置の一例の概略構成を示す模式的な断面図である。
【図4】本発明に係る濃縮装置として好適な電気脱イオン装置の他の例の概略構成を示す模式的な断面図である。
【図5】実施例1で採用した中和透析装置の構成を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の酸性液の処理装置及び処理方法の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
なお、本明細書では、本発明で処理する非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液が、酸として塩酸(HCl)を含み、このような酸性液をアルカリ溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和脱塩及び減容化処理する場合を例示して、本発明を説明するが、本発明で処理対象とする酸性液に含まれる酸は、塩酸に限らず、硫酸等の他の酸であってもよい。非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液に含まれる酸が硫酸等の他の酸の場合、以下の説明において、ClイオンはSO2−イオン等の酸のHの対となるアニオンであり、また、アルカリ溶液として水酸化ナトリウム水溶液以外のアルカリ溶液を用いた場合、以下の説明において、NaイオンはKイオン等のアルカリのOHの対となるカチオンである。
【0028】
図1,2は、本発明の実施の形態を示す系統図であり、図1の装置は、原水槽1、中和透析装置2、中継槽を兼ねた電気脱イオン装置4の被処理液循環槽3、電気脱イオン装置4、処理水槽5、及び触媒酸化装置10で主に構成される。
図2の装置は、原水槽1、中和透析装置2、蒸留濃縮装置6、液中燃焼装置7、及び触媒酸化装置10で主に構成される。
【0029】
[非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液]
本発明の処理対象となる非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液としては、特に制限はないが、例えば、以下の(1)〜(3)が挙げられる。
(1) 窒素化合物含有酸性液
(2) 金属イオン含有酸性液
(3) 界面活性剤、洗浄剤含有酸性液
【0030】
(1)窒素化合物含有酸性液としては、例えば火力発電所や加圧水型原子力発電所などにおいて、防食剤としてモノエタノールアミン(MEA)やモルホリンなどの有機アミンを添加した復水の脱塩装置(コンデミ)に用いられるカチオン交換樹脂を再生した酸性廃液(以下「コンデミ再生酸性廃液」と称す場合がある。)を挙げることができる。
【0031】
カチオン交換樹脂の再生には、塩酸や硫酸等の酸が用いられるため、このコンデミ再生酸性廃液には脱着した有機アミン(正確には有機アミンの酸塩)と再生薬品としての塩酸や硫酸などの酸のほか、微量の銅イオン、鉄イオン、また有機アミンの分解物であるアンモニアなどが含まれている。
【0032】
このようなコンデミ再生酸性廃液の有機アミンやその他の水質成分の濃度やpHは、その廃液の種類によって異なるが、例えば以下のような水質である。
【0033】
【表1】

【0034】
(2)金属イオン含有酸性液としては、製鉄工場や金属材加工工場などにおける揮発性酸による酸洗工程から排出される金属溶解酸排液などが挙げられる。
【0035】
(3)界面活性剤、洗浄剤含有酸性液としては、例えば、半導体製造プラントから排出されるリンス排水などが挙げられる。
即ち、半導体製造プラントからは、pH2.5〜3.5、H濃度10〜30ppmで、TOC成分として界面活性剤、アセトン、イソプロパノール、酢酸等のカルボン酸などを1〜3ppm含有するリンス排水が排出される。従来、このような半導体リンス排水は、第1の活性炭吸着塔、弱塩基性アニオン交換樹脂塔、強酸性カチオン交換樹脂塔、強塩基性アニオン交換樹脂塔、逆浸透膜処理装置、高圧紫外線照射装置、第2の活性炭吸着塔、真空脱気塔、混床式イオン交換樹脂塔に順次通水して処理されているが、このような従来の半導体リンス排水の処理方法においては、pH2.5〜3.5の酸性のリンス排水を処理するため、第1の活性炭吸着塔の性能が経時により低下して、第1の活性炭吸着塔のH分解性能が低下し、活性炭吸着塔から流出したHが、弱塩基性アニオン樹脂塔の樹脂をHによる酸化で劣化させ、弱塩基性アニオン交換樹脂塔の性能を低下させる;第1の活性炭吸着塔のH分解性能が低下すると、リンス排水中の界面活性剤の吸着性能も低下し、後段の強塩基性アニオン交換樹脂塔の性能低下を引き起こす;といった問題があったが、本発明によれば、このような酸性液を効率的に処理することができる。
【0036】
[中和脱塩処理]
本発明に係る中和脱塩処理においては、まず、アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた一方の室に原水である非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液を通水すると共に、他方の室にアルカリ溶液を通水して原水を中和及び脱塩する。
【0037】
この原水の中和脱塩処理に用いる装置としては、アニオン交換膜を用いた中和透析装置(拡散透析装置)2が好適に使用される。
【0038】
図1は、原水の中和脱塩処理に、中和透析装置(拡散透析装置)2を用いた例を示し、原水槽1内の原水は、ポンプPにより、プレフィルター11で微粒子成分が除去された後、内部がアニオン交換膜21で原水室22とアルカリ溶液室23とに仕切られた中和透析装置2の原水室22に導入される。ここでプレフィルター11は必要に応じて設けられるものである。一方、アルカリ溶液室23には、アルカリ溶液貯槽24から、ポンプPによりアルカリ溶液が導入される。
【0039】
このアルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム等の溶解性アルカリ化合物の水溶液を用いることができる。
【0040】
コンデミにおいて、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混床樹脂を分離するために、16重量%のNaOH水溶液を用いてアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の比重差を利用して分離する技術を用いている現場では、別途、この分離に用いたアルカリ廃液が排出される。
このようにコンデミの再生現場では、アルカリ廃液が過剰に排出される場合があり、本発明においては、このようなコンデミ再生アルカリ廃液等のアルカリ廃液をアルカリ溶液として用いることもできる。
アルカリ溶液としては、更に他の施設から排出されるアルカリ廃液を用いてもよい。
【0041】
中和透析装置2では、原水室22に導入された原水中のClイオンがアニオン交換膜21を透過してアルカリ溶液室23に移動することにより脱塩され、一方、アルカリ溶液室23内のOHイオンがアニオン交換膜21を透過して原水室22に移動することにより原水が中和される。原水室22の流出液は原水槽1に返送され、原水は循環処理される。一方、アルカリ溶液室23からの流出液もアルカリ溶液貯槽24に返送されて循環される。
【0042】
このような中和透析装置2による中和脱塩処理においては、次のような態様を採用することが好ましい。
【0043】
(1) アニオン交換膜21としては、耐酸性、耐アルカリ性に優れた膜を用いる。また、中和透析装置2の接液面も、耐腐食性に優れた材料で構成されていることが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂でライニングしたものが好ましい。
【0044】
(2) アニオン交換膜膜面には濃度分極層が形成され、これが物質の拡散律速となり、Clイオン、OHイオン及び水の透過移動速度が制限される。これを防止して透過移動速度を高めるために、アニオン交換膜面近傍の濃度分極を低減するべく、膜面流速を高めることが好ましく、具体的には、原水室22側及びアルカリ溶液室23側の膜面流速をそれぞれ0.1cm/sec以上、例えば1〜8cm/secとすることが好ましい。膜面流速が低いとClイオン及びOHイオンの移動速度を速くすることができず、所望の中和脱塩処理液を得るために長時間を要するようになる。ただし、膜面流速を過度に高くすることは、装置構成上現実的ではない。このような膜面流速を得るために、原水ポンプP及びアルカリ溶液ポンプPとしては、高流速送液が可能なダイヤフラムポンプ等を用いることが好ましい。
【0045】
(3) アルカリ溶液としては、中和に必要な酸消費の総量(mg−CaCO)が、原水のアルカリ消費の総量(mg−CaCO)の1倍以上のものを用いる。
なお、アニオン交換膜でのClとOHの移動速度は、極限モル伝導率で示されるイオンの移動のしやすさで決定され、ClとOHの極限モル伝導率はそれぞれ198.3Scm・mol−1、76.35Scm・mol−1である。したがって、OHはClの2.6倍移動しやすいことが分かる。このことより、酸性液からのClのアルカリ溶液側への移動速度を高く維持するには、アルカリ溶液のOH濃度は少なくとも酸性液のCl濃度の1/2.6倍以上とすることが望ましい。
なお、アルカリ(NaOH)の濃度を高くするとアルカリ溶液の浸透圧が原水の浸透圧よりも高くなり、原水中の水がアニオン交換膜を透過してアルカリ溶液側へ移動し、原水が濃縮されるようになる。
【0046】
従って、前述のコンデミ再生アルカリ廃液等のアルカリ廃液をアルカリ溶液として用いる場合において、アルカリ濃度が不足する場合には、必要に応じてNaOH等のアルカリを添加してその濃度を調整することが好ましい。
【0047】
(4) 中和脱塩処理は、得られる中和脱塩処理液(原水室22からの流出液)のpHが中性、例えば5〜9程度になった時点で終了し、得られた中和脱塩処理液は次の濃縮処理に供することが好ましい。
この中和脱塩処理液のpHが3未満では、中和脱塩処理が不十分であり、濃縮処理に先立ち、中和脱塩処理を行うことによる本発明の効果を十分に得ることができない。中和脱塩処理液のpHを過度に上げると、アルカリ溶液室23側からアニオン交換膜21を透過して原水室22側に移行するNaイオン量が増え(以下に記載するように、アニオン交換膜であっても若干量のカチオン成分の透過がある。)、後工程の濃縮処理における総イオン量が増加して非効率である。
【0048】
このpH管理の目的で、中和透析装置2の原水室22の流出配管に通液型pH計を設置して、原水室22の流出液のpHを監視し、このpH値が所定値に達したら、原水室22の流出液の送液を、原水槽1から電気脱イオン装置4の被処理液循環槽3に切り換えるようにしても良い。
【0049】
なお、中和透析装置2における原水室22の原水流通方向とアルカリ溶液室23のアルカリ溶液の流通方向は、並流であっても向流であってもよいが、酸性液のアルカリ消費量とアルカリ性液の酸消費量に差をつけて、出口水質を中性に近づけるには、図1に示すように向流通水であることが好ましい。
【0050】
また、原水及びアルカリ溶液は一過式で通水することも可能であるが、一般的には、一過式の通水では十分な中和透析を行えないことから、図1に示すような循環通水とすることが好ましい。
バッチ式ではなく、連続処理を行う場合には、原水槽1に原水を導入すると共に、中和透析装置2の原水室22から返送された中和脱塩処理液を原水槽1に受け、この原水槽1から槽内液の一部を取り出して次の濃縮処理に供することが好ましい。
【0051】
図1において、中和透析装置2には、1枚のアニオン交換膜21により原水室22とアルカリ溶液室23とがそれぞれ1室ずつ形成されているが、中和透析装置2の構成はこれに何ら限定されず、例えば、アルカリ溶液室/アニオン交換膜/原水室/アニオン交換膜/アルカリ溶液室/アルカリ交換膜/原水室/アニオン交換膜/アルカリ溶液室というように、複数枚のアニオン交換膜により、複数の原水室とアルカリ溶液室とが交互に形成されたものであってもよい。
【0052】
本発明によれば、このような中和透析装置を用いた中和脱塩処理により、原水を、前述の如く、pH5〜9、例えばpH6〜8(pH7程度)の中性に中和すると共に、好ましくはClイオン濃度が原水のClイオン濃度の30〜50%にまで低減した中和脱塩処理液を得ることができる。なお、この中和脱塩処理液を電気脱イオン装置又は電気透析装置で濃縮する場合、通電のための被処理液のイオン濃度を確保する上で中和脱塩処理液の窒素化合物等のカチオン性化合物の濃度は1000mg/L以上、特に5000〜20000mg/L程度であることが好ましい。
【0053】
[触媒酸化処理]
アニオン交換膜21であってもカチオン成分や非イオン成分を透過することは一般的に知られており、上述のような中和脱塩処理又は後述の中和脱塩減容化処理で、アルカリ溶液23側から原水室22へのカチオン成分(例えばNaOHのNaイオン)や非イオン成分の移動が、また、原水室22側からアルカリ溶液室23への非イオン/カチオン性水溶性化合物由来のカチオン成分や非イオン成分の移動がある。
【0054】
従って、原水の中和脱塩又は中和脱塩減容化処理に使用されたアルカリ溶液(アルカリ廃液)は、原水から透析したClイオンを含み、原水の中和(原水室へのOHイオンの透析)と原水からの水の移動でpHが低下すると共に液量が増加した弱アルカリ性の液であると共に、原水室22からアニオン交換膜21を透過した若干量の非イオン/カチオン性水溶性化合物を含むものである。
ただし、この非イオン/カチオン性水溶性化合物濃度は低いことから、本発明においては、このアルカリ廃液は、図1に示す如く触媒酸化装置10で窒素化合物等の非イオン/カチオン性水溶性化合物を分解した後、酸で中和して放流する。
【0055】
この触媒酸化処理で分解除去されるCOD成分は、酸性有機物の有機酸や塩基性有機物のアミン、アミド等である。また、N成分は上述のCOD成分のうちのアミン、アミド等の触媒酸化可能な有機体窒素成分、ヒドラジン、アンモニア等である。
【0056】
触媒酸化処理に用いる触媒としては、過酸化物となる金属を担持させた過酸化金属触媒を好適に利用することができる。例えば、NiやCoを、陽イオン交換能を有する粒状ゼオライトにイオン交換操作で担持させた後、活性化処理する方法でこれらの金属を酸化物(過酸化物)に変換処理したものがある。
【0057】
触媒酸化装置10としては、このような触媒を充填した充填層を有する触媒充填塔を用い、この触媒充填塔にアルカリ廃液を下向流又は上向流で通液して触媒酸化処理することが好ましい。
【0058】
酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムや、脱窒素が不要であれば過酸化水素や過硫酸、オゾンなどの1種又は2種以上を利用することができる。次亜塩素酸ナトリウムでは有機物酸化のみならず以下に示す脱窒素反応が起こるため、COD及びNの処理が可能である。
アンモニアの場合:
NH+3/2NaClO→1/2N+3/2NaCl+3/2HO+H
ヒドラジンの場合:
+2NaClO→N+2NaCl+2H
【0059】
酸化剤の添加量はアルカリ廃液中のCOD成分及びN成分の含有量によって適宜調整される。一般的には理論必要量の1〜2倍、特に1.2〜1.5倍程度とすることが好ましい。
【0060】
触媒酸化処理条件としては、pH10〜13、好ましくは11〜12のアルカリ性で処理可能であり、温度は30〜80℃、好ましくは40〜60℃である。
【0061】
通常、中和脱塩処理後のアルカリ廃液はpH10〜14程度であるため、殆どpH調整を要することなく触媒酸化処理に供することができる。
また、温度については、必要に応じてアルカリ廃液を加温して触媒酸化充填塔に通液すればよい。
【0062】
触媒酸化装置で得られる触媒酸化処理液は、アルカリ廃液中のCOD成分、N成分が十分に分解除去され、かつ、アミンやアンモニアの分解でpHが若干低下し、pH8〜13程度の液であるため、これに塩酸等の酸を添加してpH中性にpH調整して放流することができるが、その際の酸添加量は、アルカリ廃液をそのままpH調整して放流する場合に比べて大幅に低減される。
【0063】
[濃縮処理]
図1において、中和透析装置2で得られる原水の中和脱塩処理液は、次いで、濃縮処理に供する。
【0064】
この濃縮処理は、蒸留濃縮、或いは電気脱イオン装置又は電気透析装置などを用いて行うことができるが、特に、電気脱イオン装置又は電気透析装置を好適に用いることができ、とりわけ電気脱イオン装置を用いるのが好ましい。
【0065】
電気脱イオン装置又は電気透析装置は、陽極及び陰極と、陽極と陰極との間に、イオン透過性の隔膜により区画された希釈室及び濃縮室とを備え、陽極/陰極間に直流電圧を印加することにより、希釈室に導入された中和脱塩処理液中の有機アミン及びNH等のカチオン性水溶性化合物由来のイオンと、Na、Clなどの酸、アルカリ由来のイオンをイオン透過性の隔膜を透過させて濃縮室内に分離回収する。
【0066】
図1は、濃縮に電気脱イオン装置4を用いた例を示し、中和透析装置2の原水室22から流出した中和脱塩処理液は、電気脱イオン装置4の被処理液循環槽3を経て、ポンプPにより、プレフィルター12にて微粒子成分が除去された後、電気脱イオン装置4に導入される。ここでプレフィルター12は必要に応じて設けられるものである。
【0067】
図3,4は、本発明において、濃縮装置として好適に用いられる電気脱イオン装置の一例の概略構成を示す模式的な断面図であり、図3,4において、同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
【0068】
図3の電気脱イオン装置4は、電極(陽極41、陰極42)の間に複数のアニオン交換膜(A膜)43及びカチオン交換膜(C膜)44を交互に配列して濃縮室45と希釈室46とを交互に形成したものである。
【0069】
この希釈室46には、カチオン交換体であるカチオン交換樹脂のみ、或いは、アニオン交換体であるアニオン交換樹脂とカチオン交換体であるカチオン交換樹脂が混合もしくは複層状に充填されている。なお、イオン交換体としては、イオン交換樹脂に限らず、イオン交換繊維もしくはグラフト交換体等を用いてもよい。希釈室46に充填されるアニオン交換体とカチオン交換体の比率(体積比)は、アニオン交換体:カチオン交換体=95〜0:5〜100とすることが好ましい。このように、カチオン交換体のみか、或いは、カチオン交換体とアニオン交換体との併用とする理由は、希釈室46内には、カチオン交換体が流路となるセル中に存在していれば、除去効率の向上を図ることができるとの理由による。
【0070】
また、濃縮室45と、陽極室47及び陰極室48にも、必要に応じてアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが混合して充填されている。イオン交換樹脂などのイオン交換体のほか、活性炭又は金属等の電気伝導体が濃縮室45、陽極室47及び陰極室48に充填されていてもよい。電気伝導体としては、これら濃縮室、陽極室及び陰極室における電気抵抗値を安定化させるため、被処理液又は希釈水の電気抵抗を低下させることができ、セルの通水圧力を高めないものであれば良く、特に制限はない。ただし、電極に直接触れることで酸化還元を受けやすい材料は不向きである。
【0071】
陽極室47には、アニオン交換樹脂を充填せず、充填する場合、カチオン交換樹脂のみとする。これは、アニオン交換樹脂が酸化劣化を受けやすいためである。
【0072】
電気脱イオン装置4の被処理液である中和脱塩処理液は、希釈室46に導入され、濃縮室45、陽極室47及び陰極室48には純水が導入される。被処理液が希釈室46内を流通する間に、液中の有機アミン、NHイオン、Naイオン等のカチオン成分がカチオン交換膜(C膜)44を透過して濃縮室45内に移行し、カチオン成分が濃縮室45内に濃縮される。同様に、Clイオン等のアニオン成分がアニオン交換膜(A膜)43を透過して濃縮室45に移行し、濃縮室45内に濃縮される。
【0073】
濃縮室45から排出された濃縮液の一部は、濃縮率を高めるために、濃縮液循環槽49を経てポンプPにより濃縮室45の入口側に循環され、残部は産廃受槽(産業廃棄物受槽)13に貯留される。従って、濃縮室45には系外へ排出される濃縮液に相当する分の純水が補給水として導入される。
【0074】
濃縮室45から排出される濃縮液のうち、濃縮室45の入口側に循環される循環液量は、目的とする濃縮度や処理効率に応じて適宜決定されるが、通常、濃縮室45から排出される全濃縮液の1〜20%程度とすることが好ましい。
【0075】
希釈室46から排出される希釈水は、被処理液である中和脱塩処理液中のカチオン成分及びアニオン成分が分離除去されたものであり、処理水槽5を経てポンプPにより排出されるが、本発明においては、この希釈水を触媒酸化装置10に送給してアルカリ廃液と共に触媒酸化処理に供してもよい。また、この希釈水は、電気脱イオン装置(又は電気透析装置)の電極水及び/又は濃縮室に導入する純水として用いることもできる。更に、中和透析装置2に用いるアルカリ溶液調製のための純水として用いることもできる。
【0076】
陽極室47及び陰極室48から排出される電極室排水は、陽極水と陰極水を混和した後、必要に応じて適切な処理を行い、放流排出したり、電極室給水に再利用したりすることができるが、以下の理由により、陽極室47へのClイオンの侵入を避けるべく、電極水を循環使用する場合は、陽極水と陰極水とを混合せずに、陽極水のみを循環させることが好ましい。この陽極水は純水であってもよく、アルカリ溶液、例えば、0.1〜1N程度のNaOH等のアルカリ水溶液であってもよい。
【0077】
電気脱イオン装置又は電気透析装置においては、除去対象イオンとして、カチオンだけでなくアニオン成分も移動させるため、濃縮室にClイオンが入り込む。そのClイオンが陽極と接触すると陽極酸化反応を受けて、酸化力のある次亜塩素酸になり、イオン交換樹脂やイオン交換膜を劣化される。中和脱塩処理液中のCl濃度が低い場合はその影響は少ないが、本発明において中和脱塩処理を行った中和脱塩処理液であっても、通常Cl濃度は10〜20g/Lと未だ高濃度である。このため、陽極室47とこれに隣接する濃縮室45又は希釈室46はカチオン交換膜(パイポーラ膜であってもよい。)で分離して、酸化性の物質や陽極酸化により酸化性となる物質の陽極室47への侵入を防止することが好ましいことから、陽極水についても、このような物質を含まないことが好ましく、このため、陽極室47には、このような物質を含まない、純水又はアルカリ溶液を供給し、陽極水を循環使用する場合には、陽極室のみで循環させることが好ましい。
【0078】
なお、図3は本発明における濃縮装置として好適な電気脱イオン装置の一例を示すものであって、本発明で用いる電気脱イオン装置は、何ら図示のものに限定されるものではない。
【0079】
例えば、濃縮室や希釈室の数や配置についても特に制限はなく、より多くの濃縮室及び希釈室を設けても良く、また、図4に示す如く、濃縮室45及び希釈室46を1室ずつ設けた電気脱イオン装置4Aであっても良い。この電気脱イオン装置4Aであっても、図3の電気脱イオン装置4と同様に、希釈室46に導入された中和脱塩処理液中の有機アミン、NHイオン、Naイオン等のカチオン成分がカチオン交換膜(C膜)44を透過して濃縮室45内に移行し、カチオン成分が濃縮室45内に濃縮される。同様に、Clイオン等のアニオン成分がアニオン交換膜(A膜)43を透過して濃縮室45に移行し、濃縮室45内に濃縮される。
【0080】
また、濃縮装置としては、電気脱イオン装置ではなく、希釈室等にイオン交換体が充填されていないこと以外は電気脱イオン装置と同様の構成とされた電気透析装置を用いることもできる。
【0081】
電気透析装置及び電気脱イオン装置では、イオン移動による同様の機構で濃縮が行われるが、以下の理由により、特に中和脱塩処理液中の除去対象イオン濃度が低い場合には、電気脱イオン装置を用いるほうが効率的である。
【0082】
即ち、被処理液と希釈水では電気伝導率が異なるため、電気透析装置を用いた場合は希釈室内に電流密度分布が起こり、抵抗の高い出口側で電流が流れにくくなる。その電流密度分布の緩和に、イオン交換樹脂等のイオン交換体の充填が有効である。また、被処理液中の除去対象イオン濃度が低い場合、電気透析ではイオン交換膜面のみが除去対象イオンの吸着サイトとなり、十分な除去効率が得られない。これに対して、電気脱イオン装置であれば、膜面だけではなく希釈室内に充填されているイオン交換樹脂等のイオン交換体も除去対象イオンの吸着サイトとなり、広範囲な領域で除去対象イオンを吸着することができるため、高効率な除去(希釈、濃縮)が可能となる。
【0083】
更に、濃縮装置としては、蒸留濃縮装置を用いることもできる。この場合には、中和脱塩処理液を塩が析出しない程度に濃縮することが好ましい。
【0084】
なお、中和脱塩処理液を電気脱イオン装置又は電気透析装置で濃縮する場合、電気脱イオン装置又は電気透析装置の希釈室へ流入させる中和脱塩処理液のカチオン性の水溶性化合物濃度が低くなると、電気脱イオン装置又は電気透析装置の効率が低下するため、中和脱塩処理液のカチオン性の水溶性化合物濃度が1000mg/L以下になった場合は、処理を中断して中和脱塩処理液を触媒分解処理装置に供給してカチオン性の水溶性化合物を分解するようにすることもできる。
【0085】
このような濃縮装置により濃縮された濃縮液(電気脱イオン装置又は電気透析装置の濃縮室から排出される濃縮液)は、熱分解又は液中燃焼処理等により処理することができるが、それに先立ち、必要に応じて、この濃縮液を更に濃縮しても良い。この場合の濃縮手段としては特に制限はないが、蒸留濃縮装置、特に減圧蒸留濃縮装置を用いるのが濃縮効率の面で有利である。
【0086】
この濃縮液の濃縮の程度は、特に制限はないが、熱分解又は液中燃焼処理に供される濃縮液中の非イオン/カチオン性水溶性化合物濃度が25重量%以上、例えば40〜95重量%程度となるように濃縮することが好ましい。なお、非イオン/カチオン性水溶性化合物がモノエタノールアミンである場合、濃度が70重量%を超えると引火点を有する化合物となるため、その取り扱いの点から上限を70重量%とすることが好ましい。
【0087】
なお、中和脱塩処理液の蒸留濃縮又は濃縮液の更なる蒸留濃縮で得られる凝縮水は、電気脱イオン装置又は電気透析装置の電極室及び/又は濃縮室に導入する純水として用いることができる。
【0088】
一方、中和脱塩処理液を電気脱イオン装置又は電気透析装置で濃縮した場合に得られる希釈水(電気脱イオン装置又は電気透析装置の希釈室から排出される希釈水)は、中和脱塩処理液中の非イオン/カチオン性水溶性化合物、その他のイオン成分が分離除去されたものであるが、前述の如く、必要に応じて、この希釈水を更に触媒酸化装置に導入して触媒酸化処理した後、中和、放流することもできる。
【0089】
[中和脱塩減容化処理]
図2に示す装置は、中和透析装置2において、アルカリ溶液として、非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を用い、中和脱塩処理液の濃縮処理の代りに、非イオン/カチオン性水溶性化合物含有酸性液の中和脱塩処理と共に減容化処理を行う点が図1に示す装置と異なる。
【0090】
この原水の中和脱塩及び減容化処理に用いる中和透析装置(拡散透析装置)2の構成は、図1に示すものと同一である。
【0091】
中和透析装置2では、原水室22に導入された原水中のClイオンがアニオン交換膜21を透過してアルカリ溶液室23に移動することにより脱塩され、一方、アルカリ溶液室23内のOHイオンがアニオン交換膜21を透過して原水室22に移動することにより原水が中和される。アルカリ溶液の浸透圧が高い場合には、同時に、原水室22側から、浸透圧の高いアルカリ溶液室23側へ水が移行することで、原水の脱水、減容化が行われる。原水室22の流出液は原水槽1に返送され、原水は循環処理される。一方、アルカリ溶液室23からの流出液もアルカリ溶液貯槽24に返送されて循環される。
【0092】
このような中和透析装置2による中和脱塩及び減容化処理においては、図1における中和脱塩処理と、以下の点以外は同様の態様を採用することが好ましい。
【0093】
即ち、アルカリ溶液としては、原水よりも浸透圧の高いものを用いる。
また、アルカリ溶液としては、中和に必要な酸消費の総量(mg−CaCO)が、前記酸性液のアルカリ消費の総量(mg−CaCO)の1倍以上であればよい。
なお、アニオン交換膜でのClとOHの移動速度は、極限モル伝導率で示されるイオンの移動のしやすさで決定され、ClとOHの極限モル伝導率はそれぞれ198.3Scm・mol−1、76.35Scm・mol−1である。したがって、OHはClの2.6倍移動しやすいことが分かる。このことより、酸性液からのClのアルカリ溶液側への移動速度を高く維持するには、アルカリ溶液のOH濃度は少なくとも酸性液のCl濃度の1/2.6倍以上とすることが望ましい。
基本的にアルカリ(NaOH)の濃度を高くすることでアルカリ溶液の浸透圧を原水の浸透圧よりも高くするためには、アルカリ溶液の炭酸カルシウム換算の酸消費量(mg−CaCO/L)(アルカリ度)が、原水の炭酸カルシウム換算のアルカリ消費量(mg−CaCO/L)(酸度)に対して1倍以上、特に2〜6倍程度、とりわけ3〜4倍の濃厚アルカリ溶液であることが好ましい。このアルカリ溶液のアルカリ濃度が低いと、効率的な減容化処理を行えない。原水の酸濃度に対するアルカリ溶液のアルカリ濃度が高い程、水の移動が円滑に進行し、原水の濃縮効率が向上するが、アルカリ溶液は、その取り扱い性等の面で、アルカリ消費量の6倍以下、とりわけ4倍以下とすることが好ましい。
【0094】
従って、前述のコンデミ再生アルカリ廃液等のアルカリ廃液をアルカリ溶液として用いる場合において、アルカリ濃度が不足する場合には、必要に応じてNaOH等のアルカリを添加してその濃度を調整することが好ましい。
【0095】
アルカリ溶液のアルカリ濃度を高濃度とすることにより、原水との浸透圧差を十分に大きくして、効率的な減溶化を行えるが、過度に高濃度のアルカリ溶液は、その取り扱い性、用いるアニオン交換膜の入手の面で問題がある。
従って、本発明においては、アルカリ溶液に、塩を溶解させて、アルカリ濃度を過度に高めることなく、原水との浸透圧差を高めることも好ましく採用される。
【0096】
この場合、アルカリ溶液に添加する塩類としては、安価に入手できる塩類であればよく、特にNaCl、NaSO、KCl、KSO、MgCl、MgSOなどの塩類やその混合物が挙げられる。これらの塩類は、排水基準の対象物質とならず、また食品向けなどに適さず産廃処分とされている塩でもあり、安価に入手できるため好適である。
【0097】
アルカリ溶液への塩類の添加量には特に制限はなく、アルカリ溶液の塩類濃度が、原水である酸性液の全溶解性物質濃度よりも高く、塩類を溶解できる上限濃度まで用いることができる。塩類を含むアルカリ溶液の塩類濃度には特に制限はなく、用いる塩類の種類によっても異なるが、通常10〜30重量%程度である。
塩類を含むアルカリ溶液は、アルカリ溶液に予め塩類を溶解させて調製してもよく、また、処理の途中でアルカリ溶液に連続的に又は間欠的に塩類を添加して調製してもよい。
【0098】
中和脱塩及び減容化処理は、得られる中和脱塩減容化処理液(原水室22からの流出液)のpHが中性、例えば4〜10程度になるまで行うことが好ましい。
この中和脱塩減容化処理液のpHが3未満では、中和脱塩及び減容化処理が不十分であり、本発明の効果を十分に得ることができない。中和脱塩減容化処理液のpHを過度に上げると、アルカリ溶液室23側からアニオン交換膜21を透過して原水室22側に移行するNaイオン量及び原水室22側からアニオン交換膜21を透過してアルカリ溶液室23に移行する非イオン/カチオン性水溶性化合物量が増え(以下に記載するように、アニオン交換膜であっても若干量のカチオン成分や非イオン成分の透過がある。)、好ましくない。
【0099】
このpH管理の目的で、中和透析装置2の原水室22の流出配管に通液型pH計を設置して、原水室22の流出液のpHを監視し、このpH値が所定値に達したら、原水室22の流出液の送液を、原水槽1から蒸留濃縮装置6に切り換えるようにしても良い。
【0100】
なお、中和透析装置2における原水室22の原水流通方向とアルカリ溶液室23のアルカリ溶液の流通方向は、並流であっても向流であってもよいが、酸性液のアルカリ消費量とアルカリ性液の酸消費量に差をつけて、出口水質を中性に近づけるには、図2に示すように向流通水であることが好ましい。
【0101】
また、原水及びアルカリ溶液は一過式で通水することも可能であるが、一般的には、一過式の通水では十分な中和、浸透透析を行えないことから、図2に示すような循環通水とすることが好ましい。
バッチ式ではなく、連続処理を行う場合には、原水槽1に原水を導入すると共に、中和透析装置2の原水室22から返送された中和脱塩減容化処理液を原水槽1に受け、この原水槽1から槽内液の一部を取り出して次の蒸留濃縮処理等に供することが好ましい。
【0102】
図2において、中和透析装置2には、1枚のアニオン交換膜21により原水室22とアルカリ溶液室23とがそれぞれ1室ずつ形成されているが、中和透析装置2の構成はこれに何ら限定されず、後掲の図2に示されるように、アルカリ溶液室/アニオン交換膜/原水室/アニオン交換膜/アルカリ溶液室/アニオン交換膜/原水室というように、複数枚のアニオン交換膜により、複数の原水室とアルカリ溶液室とが交互に形成されたものであってもよい。
【0103】
本発明によれば、このような中和透析装置を用いた中和脱塩及び減容化処理により、前述の如く、pH4〜10の中性に中和すると共に、好ましくはClイオン濃度が原水のClイオン濃度の20〜50%にまで低減し、また、液量が原水に対して40〜80%に減容化された中和脱塩減容化処理液を得ることができる。
【0104】
このような中和脱塩減容化処理で発生するアルカリ廃液は、図1に示す装置と同様に、触媒酸化装置10に送給されて触媒酸化処理される。
【0105】
[蒸留濃縮処理]
原水の中和脱塩減容化処理液(中和透析装置2の原水室22から流出する処理液)は、次いで、液中の窒素化合物等の非イオン/カチオン性水溶性化合物の分解処理に供するが、それに先立ち、必要に応じて、この中和脱塩減容化処理液を更に濃縮して、非イオン/カチオン性水溶性化合物の濃度を高めても良い。この場合の濃縮手段としては特に制限はないが、図2に示すように蒸留濃縮装置6、特に減圧蒸留濃縮装置を用いるのが濃縮効率の面で有利である。
また、原水の中和脱塩減容化処理液は、正浸透処理により濃縮することもできる。
【0106】
この中和脱塩減容化処理液の濃縮の程度は、特に制限はないが、得られる濃縮液中の非イオン/カチオン性水溶性化合物濃度が25重量%以上、例えば40〜95重量%程度となるように濃縮することが好ましい。なお、非イオン/カチオン性水溶性化合物がモノエタノールアミンである場合、濃度が70重量%を超えると引火点を有する化合物となるため、その取り扱いの点から上限を70重量%とすることが好ましい。
【0107】
なお、中和脱塩減容化処理液の蒸留濃縮で得られる凝縮水は、アルカリ溶液調製のための純水として用いることができる。
【0108】
図2においては、蒸留濃縮装置6で濃縮された濃縮液は、次いで液中燃焼装置7に送給して常法に従って窒素化合物等の非イオン/カチオン性水溶性化合物を分解処理する。
この非イオン/カチオン性水溶性化合物の分解処理は、高温の酸化性もしくは還元性雰囲気下で分解し、燃焼ガスを廃液中に直接噴射して熱交換を行う液中燃焼処理の他、流動床内に濃縮液を供給して、流動床の表面で濃縮液を蒸発、分解させる流動床燃焼処理、助燃剤を用いた、もしくは用いない直接燃焼処理等で行うこともできる。
【0109】
原水の中和脱塩減容化処理液を正浸透処理により濃縮する場合は、例えば、図2に示す中和透析装置2において、アルカリ溶液室23に通水する液をアルカリ溶液から高塩類濃度溶液に切り換えて、そのまま循環通水を行うことにより原水の中和脱塩減容化処理液を更に濃縮することができる。この場合、高塩類濃度溶液に用いる塩類としては、前述のアルカリ溶液に添加する塩類として例示したものを用いることができるが、その他、炭酸アンモニウムのような脱気により液から分離できる塩類も好適に用いることができる。すなわち、炭酸アンモニウムを高濃度に溶解した高塩類濃度溶液を通水すると、浸透圧により酸性液(原水の中和脱塩減容化処理液)側から水が高塩類濃度液側に移動する。その後、原水の中和脱塩減容化処理液の正浸透処理に伴い、水の移動で希釈された液中の炭酸アンモニウムは脱気膜でガスとして容易に分離が可能であり、再度、高塩類濃度溶液の調製に利用することが可能である。
【実施例】
【0110】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0111】
なお、以下において、復水脱塩装置のカチオン樹脂再生模擬排液を下記表2に示す組成に調整したものを原水(以下「模擬原水」と称す。)として用いた。
【0112】
【表2】

【0113】
また、以下において、中和透析装置による中和脱塩処理は、原水及びアルカリ溶液の全量を循環通水することによって行われているが、本発明における中和脱塩処理は何ら全量循環通水処理に限定されるものではなく、原水、アルカリ溶液の一部のみを循環通水するものであってもよく、また、全量を一過式で通水するものであってもよい。
【0114】
[実施例1]
模擬原水を、接液面がポリテトラフルオロエチレンでコーティングされた中和透析装置((株)アストム製)に通して中和脱塩処理した。
この中和透析装置の系統図を図5に示す。図5において、図1に示す部材と同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
【0115】
この中和透析装置では、原水槽1内の被処理液をポンプPで原水室22に導入した後、原水槽1に循環通水する一方で、アルカリ溶液貯槽24内のアルカリ溶液をアルカリ溶液室23に循環通水するように構成されている。
【0116】
中和透析は、以下のように実施した。
アニオン交換膜21としては、耐酸、耐アルカリ性に優れた(株)アストム製アニオン交換膜「ネオセプタAHA」を用いた。
模擬原水5Lを原水槽1に入れて原水室22に循環通水し、一方、アルカリ溶液としては、NaOH濃度250g/LのNaOH水溶液(pH>14、原水のHClモル濃度0.5Mに対して約12.5倍)を0.6L準備し、中和透析装置2のアルカリ溶液室23に導入し、アルカリ溶液貯槽24を経て循環通水した。
【0117】
原水循環ポンプP及びアルカリ溶液循環ポンプPとしては、ダイヤフラムポンプを用い、原水室22及びアルカリ溶液室23の膜面流速がいずれも6cm/secとなるように通水した。
【0118】
原水ポンプPの出口側には、孔径10μmのプレフィルター(保安フィルター)11を設けて原水中の微粒子成分を除去した。
【0119】
この処理中に、原水槽1内の液pHを測定し、pHが7.0まで低下したときに、循環通水を停止した。
【0120】
中和脱塩処理液の水質と、中和脱塩処理後のアルカリ溶液(アルカリ廃液)の水質及び水量を表3に示した。
【0121】
【表3】

【0122】
中和脱塩処理後のアルカリ廃液は、pHを11.5に調整した後、触媒酸化装置に通水して以下の条件で触媒酸化処理した。得られた触媒酸化処理水の水質と水量を表4に示す。
【0123】
<触媒酸化条件>
触媒:コバルト担持触媒
酸化剤:次亜塩素酸ナトリウム 16300mg/L添加
水温:50℃
SV:1.5
pH:11.5
【0124】
処理水の水質を表4に示す。
【0125】
[比較例1]
実施例1の中和脱塩処理で得られたアルカリ廃液を以下の条件で生物処理した。得られた生物処理水の水質と水量を表4に示す。
【0126】
<生物処理条件>
方式:浮遊法
酸を添加してpH7.2に調整した後、水を加えて希釈し、有機物分解槽にてCOD成分を分解し、次いで硝化槽にてアンモニアを硝酸まで硝化し、次いで脱窒槽にて硝酸を脱窒し、次いで再曝気槽にて脱窒処理における余剰CODを分解し、その後沈殿槽にて浮遊汚泥を沈降分離し、分離水を処理水として取り出すと共に、沈降汚泥を有機物分解槽に返送した。
pH調整:有機物分解槽pH7.2
硝化槽pH7.2
脱窒槽pH7.2
MLSS:4000mg/L
水温 :25℃
【0127】
【表4】

【0128】
[考察]
実施例1では、触媒酸化処理水が下記表5に示す海域の排水基準を満たしたのに対し、比較例1の生物処理水は窒素の基準は満たしているものの生物代謝産物由来のCOD成分が高く、排水基準を達成できていない。比較例1では、さらに凝集、濾過及び活性炭などの装置でCOD成分の除去が必要である。
また、比較例1は希釈が必要であるため、放流水量も実施例1の約2.5倍と多くなっている上に、設備点数も多く、メンテナンス性、スペースの観点からも比較例1は実施例1に劣ると判定される。
【0129】
【表5】

【符号の説明】
【0130】
1 原水槽
2 中和透析装置
3 被処理液循環槽
4,4A 電気脱イオン装置
5 処理水槽
6 蒸留濃縮装置
7 液中燃焼装置
10 触媒酸化装置
13 産廃受槽
21 アニオン交換膜
22 原水室
23 アルカリ溶液室
24 アルカリ溶液貯槽
41 陽極
42 陰極
43 アニオン交換膜(A膜)
44 カチオン交換膜(C膜)
45 濃縮室
46 希釈室
47 陽極室
48 陰極室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理装置であって、
アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和及び脱塩する中和脱塩装置と、
該中和脱塩装置で中和及び脱塩に使用されたアルカリ液を触媒酸化する触媒酸化装置とを有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【請求項2】
請求項1において、前記中和脱塩装置で中和及び脱塩された中和脱塩処理液を濃縮する濃縮装置を有し、該濃縮装置で発生した希薄液が前記中和及び脱塩に使用されたアルカリ液と共に触媒酸化装置で触媒酸化されることを特徴とする酸性液の処理装置。
【請求項3】
請求項2において、前記濃縮装置が、蒸留濃縮装置、電気脱イオン装置及び電気透析装置のいずれかであることを特徴とする酸性液の処理装置。
【請求項4】
非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理装置であって、
アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室に該酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を通水して、該酸性液を中和脱塩及び減容化する中和脱塩減容化装置と、
該中和脱塩減容化装置で中和脱塩及び減容化に使用されたアルカリ液を触媒酸化する触媒酸化装置とを有することを特徴とする酸性液の処理装置。
【請求項5】
非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理方法であって、
アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室にアルカリ溶液を通水して該酸性液を中和及び脱塩する中和脱塩工程と、
該中和脱塩工程で中和及び脱塩に使用されたアルカリ液を触媒酸化する触媒酸化工程とを有することを特徴とする酸性液の処理方法。
【請求項6】
請求項5において、前記中和脱塩工程で中和及び脱塩された中和脱塩処理液を濃縮する濃縮工程を有し、該濃縮工程で発生した希薄液を前記中和及び脱塩に使用されたアルカリ液と共に触媒酸化工程で触媒酸化することを特徴とする酸性液の処理方法。
【請求項7】
請求項6において、前記濃縮工程が、蒸留濃縮装置、電気脱イオン装置及び電気透析装置のいずれかによる工程であることを特徴とする酸性液の処理方法。
【請求項8】
非イオン性又はカチオン性の水溶性化合物を含有する酸性液の処理方法であって、
アニオン交換膜によって一方の室と他方の室とに隔てられた前記一方の室に該酸性液を通水すると共に、前記他方の室に該酸性液よりも浸透圧の高いアルカリ溶液を通水して、該酸性液を中和脱塩及び減容化する中和脱塩減容化工程と、
該中和脱塩減容化工程で中和脱塩及び減容化に使用されたアルカリ液を触媒酸化する触媒酸化工程とを有することを特徴とする酸性液の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−196630(P2012−196630A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62909(P2011−62909)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】