説明

酸素および/または水素ガスを生成するための装置

【課題】本発明の目的は、加圧チャンバを必要としない、実際に携帯可能な酸素生成装置である呼吸装置を提供することである。
【解決手段】本発明の装置は、水を分解することによって酸素および/または水素を提供し、ジルテニウムを有する繰り返しユニットにおける第1のスクリーンおよびゼオライト結晶体を有する第2のスクリーンを有する交互の繰り返し触媒および濾過スクリーンを用いて、吐き出された空気、周囲空気、および/またはファン電動機からの空気から酸素を濾過する装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2007年9月7日に出願された米国仮出願番号第60/967,756号の優先権を主張し、それは本明細書において参照することにより援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、酸素および水素生成装置に関し、より詳細には、フィルター材料を用いて、水、呼気、および/または室内の湿度から、呼吸に利用可能な酸素を生成するための酸素生成装置に関するが、それに限定されない。このフィルター材料は、ホウ素でドープした炭素膜に結合された少なくとも1つのジルテニウム/ジルテニウム錯体およびゼオライト結晶を含む合成膜を含む。本発明のフィルター材料は、ジルテニウム/ジルテニウム錯体の使用に起因した高分離効率を提供するだけでなく、ゼオライトの触媒特性をそのジルテニウム/ジルテニウム錯体の高分離効率と合わせることによって、さらなる分離効率を提供する。
【背景技術】
【0003】
本発明は一般に、酸素生成装置に関し、より詳細には、水、呼気からの蒸気、および周囲の湿気から酸素を遊離させるフィルター材料を備えるカートリッジを含む新規で有用な呼吸装置に関する。本発明のフィルター材料は、呼吸経路の空気がフィルター材料に流れて通過し、このフィルター材料によって生成された酸素が患者の吸入経路に戻って流れるように、その装置内に配置される。化学物質およびフィルターを用いる酸素生成装置は新しいものではないが、いくつかの欠点がある。今日、市販で利用可能である呼吸装置は、作動させるために、加圧チャンバ、酸素の供給、熱交換器等、しばしば大型の機械装置を必要とするので実際には携帯できない。特に、特許文献1(これは本明細書において参照することにより援用される)に記載される圧力スイング吸着サイクル(「PSA」)方法を用いる装置は、加圧チャンバを必要とする。PSAシステムにおいて、酸素は、供給された気流から、窒素を選択的に吸着することによって生成される。PSAは少なくとも1つ、しばしば2つの吸着床を有し、この吸着床は、低圧力において酸素ガスを引きつけ、より高圧力においてその吸着された酸素を放出するように設計されている。PSAプロセスは、特定のガスが、他のガスより多かれ少なかれ異なる強さで固体表面に引き付けられ、吸着される傾向があるため、混合物中のガスを分離するために使用され得る。
【0004】
呼吸のための酸素を生成するために利用できる別の酸素生成プロセスは、PSAプロセスの原理の一部を利用するものであり、真空スイング吸着(VSA)と呼ばれる。「VSA」プロセスにおいて、ガスは圧力を用いて分離されるが、PSAプロセスとは異なり、より低い絶対圧力で行われる。これらの方法は効果があるが、それらは、複数の加圧容器および電子バルブシステムを必要とするので、携帯性を与えることは不可能ではないにしろ困難である。すなわち、これらのシステムは自動的に行われるか、または、しばしばPLCで制御された、入念に計算された計時サイクルによってのいずれかのバルブ操作を必要とする。したがって、これらのシステムは極めて大型であるので、このことが、患者が直接に酸素生成システムを身に付けるか、または、患者の呼吸パターンに拘束されず、実際に携帯可能なシステムであることを阻んでいる。
【0005】
長年にわたり、PSAおよびVSAシステムに対する改良が、例えば特許文献2等(本明細書において参照することにより援用される)においてなされてきた。以前のPSAおよびVSAのシステムは、酸素純度の高い生成物を生成するために、交差している弁の調節およびゼオライト吸着物質を使用しているが、これらのシステムはいずれも一貫性がなく、また簡素でもなかった。一定した酸素生成を維持するために、特許文献2は、パージされている容器または床(bed)から「廃ガス」と呼ばれる吸着部分の一部を吸引するために真空ポンプを使用している。しかしながら、以前のPSAおよびVSAシステムに対するこれらの開発は、数サイクルによる生成物としての酸素ガスが使用者または患者を通して行き来するように、付加される相制御、例えば、ガス流入、真空化再加圧およびダンピングを含む、より複雑な電気機械設計付加を必要とし、低流量(典型的には約6lpm未満)ではあるがより高い収率を与えた。
【0006】
酸素の濾過/発生における次の開発は1980年代に起こり、これは特許文献3(本明細書において参照することにより援用される)に記載されている。この特許において、吸着濾過材料の容器または床は、双方とも、吸着期間を周期的に経て、その容器または床は圧縮器からガスを受け取り、次いで真空ポンプを用いて床から再吸収される。理解されるように、この改良はさらなる装置をこのシステムに追加するものであり、携帯可能なシステムとしては使用できそうにない。
【0007】
それゆえ、今日の業界において必要とされるものは、加圧チャンバ/弁、および他の大型装置を必要とせずに用いることができ、携帯可能な呼吸装置または固定型の供給システムのいずれかにおいて用いられる、十分な酸素量を生成することができる、フィルターを使用した酸素生成装置である。すなわち、加圧チャンバおよび減圧チャンバ、ならびに/または開閉式の複合弁システムを必要とせず、患者の呼吸を維持するのに必要な速度および濃度にて酸素を生成するためにフィルター材料が用いられる装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第2,944,627号明細
【特許文献2】米国特許第3,313,091号明細書
【特許文献3】米国特許第4,222,750号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術の欠点を克服し、他方で、患者による呼吸に必要とされる適切な酸素レベルを維持することができる、実際に携帯可能な酸素生成システムとして利用可能であるか、または様々な工業的条件において利用可能である、酸素生成装置を提供する。本発明は以下の段落で検討する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの目的は、加圧チャンバを必要としない、実際に携帯可能な酸素生成装置である呼吸装置を提供することである。すなわち、本発明は、カートリッジを収容するように構成された領域を有する管状および固体のフレームを含む供給源から、酸素および/または水素ガスを生成するための装置を提供する。このカートリッジは、呼吸のために水を二分子の酸素および水素に、ならびに可能なエネルギー使用のために水を水素に化学的に分解するように設計された複数の繰り返しユニットを備えるフィルター材料を収容するように構成されている。この繰り返しユニットは2つの異なる種類の材料を有する2つのスクリーンを含む。スクリーンを生成するためにフレーム内に入れられた電気発生触媒である第1の材料は、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜と直接接触するように配置されたジルテニウム/ジルテニウム分子、および少なくとも1つの種類の陰イオンを有する多孔性のホウ素でドープされた炭素膜を含む。多孔性のホウ素でドープされた炭素膜は、その多孔性のホウ素でドープされた炭素膜に埋め込まれたナノカーボンチューブのメッシュ状の網、およびジルテニウム/ジルテニウム分子が結合される多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の反対面に結合されたルテニウムイオンを捕捉するシデロフォアプレートを備える。遊離ルテニウムイオンは装置から呼吸する者に対して有害であるので、このイオン的に帯電したシデロフォアプレートが、使用中に多孔性のホウ素でドープされた炭素膜から除去され得る遊離ルテニウムイオンを捕捉するように設計されている。
【0011】
繰り返しユニットの第2のスクリーンは、限外濾過のゼオライト含有合成膜を囲むフレーム内に備えられる。この第2のスクリーンは、第1のスクリーンの後方に直接配置されて1つの繰り返しユニットを形成する。本発明の装置は、その装置が一人の患者、複数の患者、航空機の給気、室内酸素供給デバイス、燃料電池、あるいは、酸素および/または水素の貯蔵に利用されるかどうかに依存して、約3〜約100、またはそれ以上の繰り返しユニットを含むことができる。第2のスクリーン合成膜は、ナノカーボンチューブのメッシュ状の網を形成するために、合成膜の表面に結合、および/またはそれに埋め込まれた複数のナノカーボンチューブを含む。少なくとも1つのゼオライト結晶体は、ナノカーボンチューブと直接接触し、合成膜は、各々が約0.1〜約3.0nmの直径を有する複数の孔を備え、ナノカーボンチューブに結合したゼオライト結晶体は孔の少なくとも一部と重なる。この合成膜は、シデロフォアを含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の表面に近接して配置される。
【0012】
酸素および/または水素ガスを生成するための装置は、いくつかの繰り返しユニット、小型のファン電動機、吸口、およびフローブースターを含んでもよい。この吸口は本装置に接続されて、その結果、吐き出された空気と一緒にファン電動機からの空気の流れは第1および第2のフィルターを介して移動することができ、二分子の酸素を生成する。フローブースターは互いに筐体内に配置される第1および第2のノズルを有する。第1および第2のノズルは両端が開口し、広い端部と、次第に先細くなった狭い端部とを有し、ここで第1および第2のノズルの広い端部は小型のファン電動機と連通する。フローブースターの筐体は、このフローブースターの第1および第2のノズルの真上に配置された複数の孔を有するように構成される。これらの孔により、空気が第1のノズルを出て第2のノズルに移動すると、生成されるベンチュリ効果に起因してフローブースターへのさらなる空気の移動が可能となる。
【0013】
本発明の酸素および/または水素ガスを生成するための装置は、フラップ弁および少なくとも2つの分岐部を有する分岐した加速器をさらに備える。このフラップ弁は第1の位置と第2の位置との間を軸回転するように構成される。フラップ弁が第1の位置にある場合、分岐した加速器の第1の脚部は閉鎖されて第2の脚部が開く。フラップ弁が第2の位置にある場合、分岐した加速器の第2の脚部は閉鎖されて第1の脚部が開く。これにより、空気がフローブースターからスクリーンまたはスクリーンの中空のフレームに流れるか、あるいは患者の個々の呼吸パターンによって制御されるように、吸口と連通するフラップ弁によって方向を転換されるかのいずれかが可能になる。代替的には、本装置は、フラップ弁が1つの位置にロックできるように構成されているので、フローブースターから直接、または吸口のみから送られるかのいずれかで、フィルター材料のための空気の流れを得ることができる。このフラップ弁はいつでもロック解除することができるので、フローブースターおよび吸口の両方からの空気の流れが可能となっている。
【0014】
本発明はまた、本発明の呼吸デバイスを用いる患者に酸素を提供するための方法に関する。
【0015】
本デバイスの装置を、以下の図面と共に、詳細な説明の記載の段落においてより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明のフィルター材料のジルテニウム/ジルテニウム分子を含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の前面の斜視図を示す。
【図2】図2は、本発明のフィルター材料のジルテニウム/ジルテニウム分子およびシデロフォアプレートを含む、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の裏面の斜視図を示す。
【図3】図3は、本発明のフィルター材料のゼオライト結晶体を含む合成膜の表面の斜視図を示す。
【図4】図4は、フレーム内に設置されたゼオライト結晶体を含む合成膜の前面の斜視図を示す。
【図5】図5は、本発明のフィルター材料のフレームに接続された分岐した空気の流れの加速器を有するスクリーンの前面の斜視図を示す。
【図6】図6は、本発明の空気弁/分岐した空気の流れの加速器の接続、および流体増幅管の断面図を示す。
【図7】図7Aは本装置の空気弁部分の断面図を示し、空気弁がニュートラルの位置にある。図7Bは、本装置の空気弁部分の断面図を示し、本発明の分岐した空気の流れの加速器の第1の分岐部を閉鎖する位置に空気弁がある。図7Cは、本装置の空気弁部分の断面図を示し、本発明の分岐した空気の流れの加速器の第2の分岐部を閉鎖する位置に空気弁がある。
【図8】図8は、本装置に挿入されるカートリッジ/カートリッジホルダーの斜視図を示す。
【図9】図9はカートリッジの断面図を示す。
【図10】図10は、本発明のフローブースター管に取り付けられたフローブースターの断面図を示す。
【図11】図11は、本発明のフローブースターの分解斜視図を示す。
【図12】図12は、本発明の患者用呼吸デバイスの正面斜視図を示す。
【図13】図13は、本発明の患者用呼吸デバイスの側面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、多数の繰り返し酸素濾過ユニットを備える高酸素生成装置に関する。各繰り返しユニットはフレームおよびフィルター材料を有する2つの異なるスクリーンを備える。第1のスクリーンおよび第2のスクリーンのフィルター材料は、水から二分子の酸素および水素を化学的に生成するように、互いに相補的に作用するように設計されており、2つの異なるスクリーンを含む。1つのスクリーンは触媒スクリーンであり、もう1つのスクリーンは限外濾過スクリーンであり、交互に繰り返す構成にて配置される。特に、スクリーンの交互の配置構成は、酸素生成フィルターの分解を生じさせ得る、酸素生成の間のラジカル中間体の形成、および、そのようなフィルターの機能性を低減することが知られているフィルター材料上の過剰な水の累積の両方を防ぐように特に設計されている。
【0018】
本発明の装置は、それが、水上または水中下での携帯可能呼吸デバイスとしてか、数人の患者に対して酸素を生成することができる、それほど携帯可能ではない(または固定式の)装置としてか、酸素の生成を必要とする産業上の用途および/または任意の他の用途のために酸素を生成するための装置としてのいずれかとして使用可能であるように設計される。すなわち、本発明は、カートリッジを収容するように構成された領域を有する管状および固体のフレームを備える、供給源から酸素および/または水素ガスを生成するための装置を提供する。この装置において用いられるカートリッジは、スクリーンの形態でフィルター材料を含む複数の繰り返しユニットを収容するように構成される。ゼオライトを含有するスクリーンと交互になっている、その複数の繰り返しユニットの電気生成触媒材料は、呼吸のために、水を二分子の酸素および水素に化学的に分解するように設計される。濾過のために用いられるゼオライトスクリーンおよびジルテニウムを含有するスクリーンの繰り返しユニットは、この装置の構造のすぐ後にさらに記載される。
【0019】
本発明の1つの実施形態において、この装置は、患者から管状のフレームに呼気を送る吸口を有するように構成され、ここでそのフレームは、本発明のフィルター材料および触媒薄膜にわたる空気の流れを提供するように配置される。呼気から、および/または周囲環境から得られた空気からの水蒸気は、それが本発明のフィルター材料を越えて/介して流れると、酸素と水素に化学的に分解される。酸素の流れは次いで呼吸のために患者に送り返される。
【0020】
本発明の装置は、吸口に加えて、または別の方法においては、吸口の代わりに、フローブースターをさらに備えることができる。このフローブースターは、周囲環境から、および小型のファン電動機等の機械的に操作される空気源から、空気を吸引するように設計される。このフローブースターは、互いに筐体内に配置された第1および第2のノズルを備える。この第1および第2のノズルは両端部が開口し、広い端部と、次第に先細くなった狭い端部とを有する。この第1および第2のノズルの広い端部は、例えばファンなど、空気生成装置と連通して配置される。フローブースターの筐体は、空気が第1のノズルから出て第2のノズルへと移動すると、生じるベンチュリ効果に起因して、さらなる空気をフローブースターに吸引することができる、第1および第2のノズルの上方に配置された複数の孔を有する。
【0021】
吸口およびフローブースターの両方を備える実施形態において、2つの空気の流れの装置は、フラップ弁および少なくとも2つの分岐部を有する分岐した加速器によって、フレームに取り付けられている。第1の分岐部は、出入り口領域に近接して流体連通するように構成され、第2の分岐部は本発明のフローブースターと連通する。本発明のフラップ弁は第1および第2の位置を有するように設計される。フラップ弁が第1の位置にある場合、分岐した加速器の第1の脚部は閉鎖され第2の脚部が開く。フラップ弁が第2の位置にある場合、分岐した加速器の第2の脚部は閉鎖され第1の脚部が開く。第1から第2の位置へのフラップ弁の作動は、本発明の装置を装着した患者の呼吸パターンを介して達成される。このフラップ弁は、空気によって作動される空気弁であってもよく、ここで分岐した加速器の中空管は、吸口(またはフローブースター)からの空気を増幅するように構成された流体増幅器であるので、空気フラップ弁を作動させるのに十分な空気の流れを提供することができる。
【0022】
吸口を有さず、その代わりにフローブースターのみを有する実施形態において、フラップ弁は1つの位置において恒久的に閉鎖できるか、あるいは代替的には、加速器は単一の管でフラップ弁が必要ではないかのいずれかである。同様の構成としては、1つの吸口のみが存在しフローブースターがないといった1つの実施形態を含むであろう。これらの実施形態もまた、本発明の構成物の範囲内であるとみなされる。
【0023】
本発明の装置は、各スクリーンのフレームの中空部分および装置全体と連通する複数の吹き抜け加速器ノズルをさらに備える。吹き抜け加速器ノズルは、(呼気段階の間およびフローブースターから)本発明のフィルター材料上に空気を提供するのを支援する。吹き抜け加速器ノズルに加え、本装置はまた、フレームと連通し、複数の捕捉器のノズルと真向いに配置された複数の捕捉器ノズルを含む。複数の加速器のノズル(平行し、フィルター材料の表面に亘って空気を流す)および複数の捕捉器のノズル(未反応の空気の流れ、フィルター上の空気の流れからの副産物および過剰な電荷の負荷による形成物を取り除く)の組合せは、フィルター材料の継続的な作動のための空気の流れを提供し、使用されるために、および/または本装置から放出されるために、フレーム内の未反応の空気の流れ、副産物、酸素、および水素を捕捉する。
【0024】
フィルター材料を横断する空気の流れを促進するために、吹き抜け加速器のノズルは、フレームに取り付けられた広い端部およびフィルター材料上に少なくとも部分的に配置された狭い端部を有するように設計可能であり、それによって、吹き抜け加速器のノズルからの空気はフィルター材料上に流れる。本発明の捕捉器のノズルは逆向きの設計を有する。すなわち、捕捉器のポートは、狭い端部をフレームに取り付け、広い端部をフィルター材料上に少なくとも部分的に配置することができ、それによって、使用されるために、および/または本装置から放出されるために、未反応の空気の流れおよび吹き抜け加速器のポートからの副産物が捕捉器のポートによって捕捉され、そのフレームに導かれる。
【0025】
本発明の代替の実施形態において、本装置は、周囲環境からのみの空気の流れを供給するように構成することができ、一度酸素および/または水素が生成されると、そのガス(複数のガス)は貯蔵容器に貯蔵でき、それによって、それらのガスは複数の患者の酸素の要求をサポートするために用いられることができる。ここで、いくつかのカートリッジが連続して用いられることができ、それによって、空気のさらなる流れが十分に利用でき、さらなる二分子の酸素が生成可能である。さらに、本装置は、フィルターが、周囲空気、および上述のような、患者から吐き出された空気に代わって代替の供給源から二分子の酸素を生成するように設計され得る。しかしながら、好ましい実施形態は、フローブースターを介して、患者および周囲環境の両方から空気の流れを集める装置である。これらの構成の全ては、本発明の範囲内にあるとみなされ、また、本発明の触媒および濾過スクリーンを用いるように設計されている。
【0026】
従って、上述のように、本発明のカートリッジは、フレームの少なくとも一部と流体連通し、繰り返しユニットのスクリーンを含む各フィルター材料と近接する、吹き抜け加速器のポートおよび捕捉器のポートが備えられた複数の繰り返しユニット(フィルター材料)を収容するように構成される。吸口、フローブースター、および加速器管は、一度カートリッジが本装置の専用のスロットに挿入されると、カートリッジ内のスクリーンの各々の触媒およびフィルター材料と流体連通して配置される。これにより、本発明の装置に十分な空気の流れを提供し、それによって、呼吸または産業利用のために、水が二分子の酸素および水素に化学的に分解される。この繰り返しユニットをさらに以下で記載する。
【0027】
交互のフィルター材料の第1のスクリーンは、炭素膜に直接結合されるジルテニウム/ジルテニウム分子、および少なくとも一種類の陰イオンを含む、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜である。第1のスクリーンの後方に配置される第2のスクリーンは、合成膜に取り付けられた同心円状に配置されたナノカーボンチューブと直接接触する少なくとも1つのゼオライト結晶体を含む合成膜からできている。合成膜は、約0.1nm〜約3.0nmの直径を有する複数の孔を含む。ゼオライト結晶体は、ナノカーボンチューブに結合され、それらの孔の少なくとも一部と重なる。単一の繰り返し可能なユニットを形成し、連続的に配置できることで所定の供給源から酸素をより生成するのはこの構造である。
【0028】
合成膜は、約0.1nm〜約3.0nmの直径を有する複数の孔を備える。ゼオライト結晶体はナノカーボンチューブに結合され、それらの孔の少なくとも一部と重なる。これは、単一の繰り返しユニットを形成し、連続的に配置できることで吐き出された空気または別の供給源からの水蒸気から高酸素の生産物を生成する構造である。
【0029】
第1のスクリーンに使用される特有のジルテニウム/ジルテニウム分子は、いくつかのルテニウム原子を含む。化学的に、「ルテニウム」は一般に、ウラル山脈ならびに北アメリカおよび南アメリカにおいて他の白金族金属とともに鉱石に見出される。少量だが、商業的に重要な量はまた、サドベリー、オンタリオ州から抽出される硫鉄ニッケル鉱、および南アフリカにおける輝岩堆積物にも見出される。市販のルテニウムは、複雑な化学プロセスを介して単離され、そこで水素が、粉末を生じる塩化アンモニウムルテニウムを減少させるために使用される。次いで、その粉末は粉末治金技術により固められる。歴史的に、ルテニウムは、天然のままの白金の溶解後に残った残渣からでると理解されていた。ルテニウムは遷移金属であり、ほとんどの遷移金属と同様に強力なルイス酸である。つまり、それらはルイス塩基として作用する多くの分子またはイオンから容易に電子を受容する。ルイス塩基がルイス酸とその電子対を示す場合、ルイス酸と配位するといわれ、配位共有結合を形成する。ルイス塩基が、ルイス酸として作用する金属と配位し、全体の構造単位を形成する場合、配位化合物が形成される。この種の化合物、または錯体において、ルイス塩基は配位子と呼ばれ、このような配位子は、カチオン性、アニオン性または電荷中性であってもよい。
【0030】
本発明のルテニウム錯体の別の部分は、ポリオキソメタレート、すなわち「POM」である。分類として、POMは、触媒として使用するために非常に機能的であり、酸化反応における試薬として酸素および/または過酸化水素の分子を活性化できる。しかしながら、触媒としてルテニウム含有分子を用いることに関する1つの主要な問題は、ルテニウム触媒の変性および触媒を除去/分解し得るイオンと接触するものに対するルテニウム有害作用の危険性である。本発明のフィルター材料の設計は、独自に設計したシデロフォアを用いることにより、そしてそのシデロフォアおよびそのシデロフォアと接触するナノカーボンチューブを電気的に荷電することにより部分的にそれらの問題を克服する。
【0031】
本発明のフィルター材料の第1のスクリーンは、ホウ素でドープされた合成炭素薄膜およびルテニウム錯体の他に合成炭素薄膜の反対側に結合した帯電したプレートを含む。ホウ素でドープされた合成炭素薄膜および帯電したプレートの両方は、シデロフォアとして相乗的に機能する。シデロフォアは、遊離荷電イオンを引き付け、結合する化合物である。つまり、イオンがフィルター材料を通り、フィルターから出てヒトの空気の流れに入り続ける前に、錯体は遊離荷電イオンを捕捉する。本発明のシデロフォアは、遊離ルテニウムイオンを含む正に荷電したイオンに特異的であるように負に帯電する。従って、本発明のジルテニウム/ジルテニウム錯体から除去され得る任意の正のルテニウムイオンを捕捉することは、酸素を発生させるための触媒としてルテニウムを用いることの欠点を克服し、従って、ルテニウム有害作用に対する安全策を提供する。
【0032】
本発明の一実施形態は、水供給源から酸素および/または水素ガスを取り出すためのフィルター材料を提供し、それは、ジルテニウム/ジルテニウム分子および炭素膜に直接結合されるか、または必要に応じて、中間体化合物および/または構造を介して、少なくとも1種類の陰イオンを有する多孔性のホウ素でドープされた炭素膜を含む。本発明のジルテニウム/ジルテニウム分子が、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜と直接接触されるか、または中間体化合物および/もしくは構造を介して結合されるか否かに関わらず、それらはイオン結合される。
【0033】
本発明の一実施形態において、本発明のジルテニウム/ジルテニウム分子の各々のうちの1つのジルテニウム分子は、以下の式(I)[Ru(CO)(u−n2−CR)を有し、式中、uは、[Ru(EDTA)2−、(CO)、F、Co−2、NO(カチオン性)、水素結合芳香族/カルボン酸−(二重結合酸素またはその中の部位における重合としての複数の結合あるいは単一の結合のいずれかに関する)、エチレンジアミン、アニオン性配位子としてハロゲン化物、カルボン酸、不飽和炭化水素、直線状または曲線状のいずれかの金属中心に配位する硝酸、ブタジエン、カルボキシレート配位子、アニオン性(RO−およびRCO−2(ここでRはHまたはアルキル基である)または中性配位子(R、RS、CO、CN)、CHCN(アセトニトリル)、NH(アンモニアアミン)F、Cl、スコルピオナート配位子(3つのピラゾールに結合されたホウ素)としてトリス(ピラゾリル)ホウ酸塩;化合物の「挟み(pincer)」とは、金属に結合できる2つのピラゾール基(C)由来の窒素へテロ原子を指す)およびそれらの混合物、好ましくは[Ru(EDTA)2−からなる群より選択される架橋配位子であり;
式中、nは、少なくとも2であり、かつ分子の配位座数(denticity)に依存し(つまり、同じ中心原子に結合される所定の配位子からの供与基の数);
式中、Lは、[Ru(PhPCHCHPPh)(EDTA)]2+、C、RC=CR(ここでRはHまたはアルキルである)、1,1−ビスジフェニルホスフィノメタン、ジエチレントリアミン[ジエン]結合、好ましくは三座、トリアザシクロノナン[ジエン]結合、好ましくは三座、トリフェニルホスフィンおよびそれらの混合物からなる群より選択される配位子であり;
式中、CRは、カルボン酸、カルボキシレート配位子、アニオン性(ROおよびRCO(ここでRはアルキル基である))または中性配位子(R、RS、CO、CN(ここでRはアルキル基である))およびそれらの混合物であり;ならびにxは約1〜約30、好ましくは1〜約20、より好ましくは1〜約10である。
【0034】
本発明のジルテニウム/ジルテニウム分子の各々のうちの他の分子は、効果的な触媒においてRuZn(HO)(ZnW34−14に変換される以下の式(II)[WZnRuIII(OH)(HO)(ZnW34]を有するジルテニウム置換ポリオキソメタレートである。ジルテニウム分子における各ルテニウム間の距離は、約2.0オングストローム〜約3.0オングストローム、好ましくは約2.25オングストローム〜約3.0、そしてより好ましくは約2.50オングストローム〜約2.80オングストロームである。
【0035】
本発明の1つの特定の実施形態において、Shannonらによる米国特許第7,208,244号(その全体は本明細書に参照として援用される)に記載されているジルテニウム置換ポリオキソメタレートは、本発明のフィルター材料の利点を提供するように、上記のホウ素でドープされた炭素薄膜と関連して使用され得る。
【0036】
本発明のさらに別の実施形態において、フィルター材料は、ジルテニウム/ジルテニウム分子が結合される炭素膜の反対面に結合されるルテニウムイオンを捕捉するシデロフォアプレートをさらに含む。シデロフォアプレートは、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜から除去される遊離ルテニウムイオンを捕捉するようにイオン的に帯電される。シデロフォアプレートは、負または正に帯電したイオン、および樹脂粘土からなる群より選択されてもよく、ここでその粘土は複数の孔を有する中空のチューブ状のプレートに成形される。特に、シデロフォアプレートは、ポリスルフォネートが含浸した樹脂プレート、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)含有プレート、およびそれらの混合物であってもよい。
【0037】
本発明の1つの実施形態において、シデロフォアプレートは、炭素のドープされた膜のナノチューブの一端に結合され、そのシデロフォアプレートの少なくとも一部は、薄膜に直接結合され、および/または薄膜に埋め込まれる。この設計は、シデロフォアプレートが遊離ルテニウムイオンを捕捉でき、かつイオン結合できることを可能にする。上記のように、このことは、フィルター材料が呼吸のための酸素を生成するために使用される場合、必須である。フィルター材料によって生成される酸素が呼吸のために使用されないが、代わりに工業用プロセスに使用される一実施形態においては、シデロフォアプレートはそれほど重要ではない。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態において、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜は、ナノカーボンチューブのメッシュ状の網をさらに含んでもよい。そのナノカーボンチューブのメッシュ状の網のナノチューブは、約20ナノメートル〜約450ナノメートル、好ましくは20ナノメートル〜約250ナノメートル、そしてより好ましくは約20ナノメートル〜約100ナノメートルの直径を有する。ナノカーボンチューブのメッシュ状の網は、各チューブが、比較的少ない抵抗の流れにおいて多くの流れを運搬できるように設計され、それは二分子の酸素および/または水素を生成するために水素結合を分裂しやすくするように、水の酸素−水素結合を不安定にするために使用される。従って、それらの結合を分裂するのに必要なエネルギーおよび時間は少なく、それ故、二分子の酸素を迅速に、かつ容易に生成できる。ナノチューブの網は、約0.2〜約5.0ミクロンまで支持POMマトリクスの上に延びる。
【0039】
炭素薄膜へのジルテニウムの結合は、炭素の基質への結合で開始する。本発明の一実施形態において、化学蒸着(CDV)からの炭素原子が四面体配位型のSp軌道ネットワークを開始する基質表面で核となることができるように、シリコン基質などが使用される。CDVは、前駆ガスとして水素およびメタンを使用し、「加熱方法」に用いる。例えば、加熱方法は、基質表面と相互作用し、炭素原子が表面によって吸着され得、生じる癒着が増加するように、反応種、主に「メチル基」の拡散を与えるためにフィラメントを使用してもよい。一旦完成すると、薄膜の表面は、主としてC−H単結合を有する第三炭素原子である。
【0040】
炭素薄膜のドーピングは、ホウ素、フッ素および/または窒素を用いて完成されてもよい。ドーピングレベルの濃度が増加するにつれて、ダイヤモンド(炭素)の絶縁体の挙動は、半導体のものに変わり、さらに完全な金属的挙動に変わる。この電気化学効果を達成するために、ホウ素のドーピングのレベルは、ダイヤモンド(炭素)レベルにおいて低い抵抗降下を生じるのに十分でなければならないが、ドーピング合成の間にグラファイト相を誘導する結晶構造を変化させるか、または乱すほど低くなくてもよい。これを達成し得る1つの方法は、炭素薄膜と接触する際に配合される蒸気としてフッ素でドープすることであり、フッ素は、イオンとして結合を形成する水素およびホウ素と相互作用する。これを達成するための別の可能な方法は、ホウ素およびフッ素の両方の混合物で炭素をドーピングすることである。フッ素に関しては陰性ドーピングの場合である。すなわち、陰性F原子は余分な電子およびわずかに低いエネルギーレベルを有する(すなわち、約0.35eVのホウ素と対照的に約0.28〜0.32eV)。典型的に、ポリ(テトラフルオロエタン)およびテフロン(登録商標)などのいくつかの一般的なフルオロカーボン重合体に見られ得るように、炭素−フッ化物結合は共有結合で非常に安定である。代替的に、本発明は、基質上のグラファイトの堆積を利用して、高品質のグラファイトの微小機械的開裂によって炭素堆積を生成してもよい。
【0041】
基板へのホウ素およびフッ素イオンでドープされた炭素を生成するためのなおさらに別の代替は、酸化ホウ素および少量のモル濃度のフッ化水素酸塩(Hydroflourine)(約1.9リットル〜約2.5リットルのメタンあたり約0.22リットル〜約0.34リットル未満)を蒸発することである。上で考察したように、ペルフルオロアルキル−アルコキシシランおよび/またはトリフルオロプロピル−トリメトキシシラン(TFPTMOS)などのフッ素含有化合物が、炭素のホウ素でドープされた薄膜と相互作用するために使用されてもよい。ただし、そのフッ素含有化合物は、1分子あたり少なくとも1つの炭素−金属結合を有する。
【0042】
生成される薄膜は半導体として機能する。その半導体効果に加えて、ホウ素でドープされた合成ダイヤモンド(炭素)薄膜からなるジルテニウム/ジルテニウムスクリーンは、20リットル/分より多い流量および/または4リットル/25秒より多い水量が本発明のフィルター材料を通過する場合、木挽き台配向におけるルテニウム錯体、およびPOMの配列が、過度に分離し、ねじれないように、アンカーとして使用される。従って、ホウ素でドープされた炭素薄膜は半導体の特性を与えるだけではなく、ジルテニウム分子が多流量下で歪められることを防ぐようにも機能する。さらに、フッ素と一緒にホウ素でドープされた炭素薄膜は、ルテニウム錯体および内圏配位子の両方に配向される木挽き台に結合される電気陰性部分を増幅する誘起効果(l−)を生じるが、外圏結合としてジルテニウム−POMから等しく伸びる。
【0043】
「木挽き台分子」は、共有結合、イオン結合、および/または配位錯体化のいずれかでPOM分子と錯体化/結合できる。特に、木挽き台分子とPOM分子との間の結合技術はイオン結合である。なぜなら、この錯体は、POMと錯体化するために、木挽き台分子に結合したFからの誘導作用を用いるからである。この化学的な誘導作用は、静電誘導による分子中の原子鎖を介した電荷の移動の実験的に観察可能な作用である(IUPACの定義)。置換基によって与えられる正味の極性効果は、この誘電作用とメソメリー効果との組み合わせである。2つの異なる原子間のs結合における電子雲は均一ではなく、2つの原子のより電気陰性の方へわずかに移る。これにより、より電気陰性原子である結合極性の永久状態が生じる(本発明者らの場合、Fはわずかに陰性の荷電(d+)を有し、他の原子はわずかに陽性の荷電(d+)を有する)。次いで電気陰性原子(F−)が原子鎖、通常、炭素(木挽き台の配位子の点におけるカルボン酸のORC誘導体)に結合される場合、陽性の荷電がその鎖において他の原子に中継される(−l効果としても公知である電子求引性誘起効果を与えるPOMに対する木挽き台にわたる)。
【0044】
純粋に「POM種にイオン結合した木挽き台」が本発明において使用される場合、ルテニウム木挽き台コアの間のさらに公知の架橋配位子は、アニオン性[Ru(EDTA)2−[Ru(EDTA)2−として与えられ、その架橋配位子は、次にトリエチレンジアミン、HNCHCHCHNHとアミドを形成することによって連結され得るカチオン性([Ru(PhPCHCHPPh)(EDTA)]2+)として使用される。これは、2つの分子コアおよびルテニウム置換ポリオキソメタレート(RPOM)、WZnRuIII(OH)(HO(ZnW3411を結合するために特定の配位子として両方に使用される。これは、a)木挽き台分子を破壊せず、そしてB)最終生成物として高純度の(97%より高い)酸素を生成するための電気生成能力に起因するように行われる。これは、金属炭化物中間体が使用される場合にはあてはまらない非常に反発する種の下でさえもさらなるルテニウム原子の近接によって達成され得る。
【0045】
ダイヤモンドまたはグラファイト構造中の炭素はsp混成であるが、ホウ素(非炭素、すなわち、非ダイヤモンド)はsp種である。上記で考察した炭素およびホウ素の特定の混成状態は、薄膜に電気伝導度を与えるのに重要であり、その結果、薄膜は、固定基板および酸素生成電極の両方として機能する。上記の目的について効果的であるように、薄膜は、その薄膜(スクリーン)サイズの約2100ppm〜約6,800ppm/0.1cmの範囲においてホウ素でドープされなければならない。
【0046】
本発明のさらに別の実施形態において、本発明のフィルター材料は、そこに結合および/または埋め込まれる複数のナノカーボンチューブを有する合成膜をさらに含み、ナノカーボンチューブのメッシュ状の網を形成する。本発明の合成膜は、SiO、AlO、およびそれらの混合物からなる群より選択される。ゼオライトの結晶構造は、典型的に、四面体構造において4つの酸素原子(−2価)に囲まれているシリコン原子(+4価)からなる繰返しユニットに基づく。四面体の正味0の価数を与える2つのSi原子は、酸素分子を共有する。アルミニウム(+3の価数を有する)が四面体の配向において置換される場合、正味荷電−1が生じ、それ故、ゼオライトの陽イオン交換特性が生じる(さらに以下に記す)。合成膜は、シデロフォアが結合される多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の表面と近接するように配置される。本発明の合成膜は、それに結合および/または埋め込まれるナノカーボンチューブのメッシュ状の網と直接接触する少なくとも1つのゼオライト結晶体さらに含む。合成膜は、約0.1〜約3.4nm、好ましくは約0.1nm〜約3.0nm、そしてより好ましくは約2.0nm〜約2.9nmの直径を有する複数の孔を有する。
【0047】
ゼオライトは典型的に、微孔構造を有する水和されたアルミノケイ酸塩鉱物である。従って、本発明の合成ゼオライトの合成膜は、ゼオライトの孔に入り得る分子またはイオン種の最大サイズが、通常、開口部の環の大きさによって規定される篩中の穴の直径によって制御される分子篩として動作する。例えば、8員環構造を有するゼオライト複合体は、8つの四面体配位のケイ素(またはアルミニウム)原子および8つの酸素原子から構築された閉ループであり、それ自体、複数の孔を含む。つまり、ゼオライト合成膜の内部細孔容積への特定のイオンの流入を制御するそのゼオライト合成膜の開口部のサイズは、環内のT原子(T=SiまたはAl)および酸素の数によって決定される。その開口部は、超大型(12員環より大きい)、大型12、中型(10)または小型(8)と分類される。開口部のサイズは、ゼオライトAなどの8員環構造について約0.4nm、ZSM−5などの10員環構造について約0.54nm、ならびにゼオライトXおよびZSM−12などの12員環構造について約7.4nmの範囲であり、それらの全ては本発明において使用されてもよい。
【0048】
合成膜自体は約0.1〜約3.0nmの直径を有する複数の孔を含み、酸素ふるい効果(O=2.96ÅおよびN=3.16Å)を与える。ナノカーボンチューブに結合されたゼオライト結晶体は、孔の少なくとも一部と重なる。結合されたカーボンナノチューブおよびそのナノカーボンチューブと直接接触するゼオライト結晶体を有する薄い合成膜とともにジルテニウム/ジルテニウム分子を含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜は、本発明のフィルター材料を構成するために使用され得る繰り返しユニットを形成する。
【0049】
本発明に使用されるゼオライトは、TO四面体構造から構成される結晶構造を有し、ここでTは、SiまたはAlのいずれかである。多数の天然のゼオライトに加えて、種々の合成ゼオライトも同様に存在する。上記のように、ゼオライトの結晶構造は、四面体構造において4つの酸素原子(−2価)により囲まれるシリコン原子(+4価)からなる繰返しユニットに基づく。各酸素原子は2つのSi原子により共有され、ゼオライトを四面体構造にし、正味の荷電を0にする。アルミニウム(+3の価数を有する)が四面体構造において置換される場合、ゼオライトは−1の正味荷電を有する。この負の荷電はゼオライトの陽イオン交換特性を生じる。ゼオライトは、非常に均一の規定された孔のサイズおよび高い多孔率を有し、その結果としてそれら固有の結晶構造を生じる。この理由のために、ゼオライトは分子篩として有用である。
【0050】
本発明の一実施形態において、ゼオライト結晶体は、ナノカーボンチューブのメッシュ状の網のナノカーボンチューブに直接結合され、それによって、そのゼオライト結晶体は、合成膜における孔の少なくとも一部と重なる。この構成により、水分子とゼオライト/ナノチューブ(および上記のジルテニウム錯体)との反応から生成される酸素および/または水素が、合成膜の孔を通して流れることを可能にし、所定の目的のために収集および使用される。ジルテニウム/ジルテニウムを含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜と、合成膜における孔の少なくとも一部と重なるナノカーボンチューブのメッシュ状のネットワークに結合されたゼオライト結晶体を含む合成膜との組み合わせは、本発明のフィルター材料の繰り返しユニットを形成する。
【0051】
しかしながら、分裂していない水は、頻繁に特定のゼオライトの孔を遮断し、それによって、それらのゼオライトはしばしば不良になり、それらの分離特性を低下させる。本発明のフィルター材料の構造により、チューブのメッシュ状の網に結合されるゼオライトが「詰まらない」状態のままになり、長期間機能することを可能にする。なぜなら、本発明のフィルター材料のナノチューブは、水の水素/酸素結合を不安定化し、それにより、フィルター材料のジルテニウム分子が水を酸素および水素に分解することを容易にするからである。ジルテニウム分子により分解される水が多くなると、多くの酸素/水素が生成し、本発明の合成膜のナノチューブに結合されるゼオライトの孔を塞ぐことのできる水は少なくなる。一旦酸素および/または水素が生成されると、呼吸、保存または工業的用途のために捕捉され、使用されることができる。
【0052】
使用されるゼオライトの孔のサイズも重要である。孔が非常に大きいと、水がゼオライトフィルターを通過することができ、酸素および水素に分解されず、非常に小さいと、生成される酸素および/または水素が保持されて、フィルターから外側へ通過できず、それらを利用することができない。従って、サイズに基づいて他の分子は排除するが、特定の分子の吸着を可能にするように、ゼオライトの孔の開口を微調整できるようにすることが重要である。ゼオライトの孔のサイズを変化させる1つの方法は、ある陽イオンから別の陽イオンへ交換性陽イオンを変化させることである。例えば、ゼオライトAにおいてNa+イオンをCa++イオンに変えると、有効な開口サイズは増加する。これはまた、ゼオライトのAl/Si比を変化させることによっても達成され得る。Alに対するSiの割合の増加は、単位格子サイズをわずかに減少させ、交換性陽イオンの数を減少させ、それにより、チャネルを遊離し、ゼオライトの特性をより疎水性にする。
【0053】
本発明に使用されるゼオライトは主にケイ酸アルミニウムから構成され、アルミナ基板は、選択される最終生成物を生成するように、他の原子は排除するが、一部の原子を通す分子篩として機能するアルミナ孔を含む。この適用の目的のために、用語「分子篩」とは、サイズ排除プロセスに主に基づいて選択的に分子を分類する特定の性質をいう。本発明に使用できるゼオライトは、含水ケイ酸アルミニウム無機物、典型的には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のファミリーのうちのいずれか1つを含み、それらの分子は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウム、あるいは対応する合成化合物の陽イオンを含む。
【0054】
従って、本発明のフィルター材料は、膜の一方の側にジルテニウム分子、および他方の側に遊離ルテニウムイオンを補足するためのシデロフォアを含む炭素のホウ素でドープされた膜を含む繰返しユニット、続いて、合成膜に結合される炭素のナノチューブのメッシュ状の網およびゼオライト結晶体を含む合成膜から構成される。それらの繰返しユニットのいくつかは、フィルター材料が高生産量の酸素および/または水素の生成物を提供するように、連続して集められてもよい。この固有のフィルター材料は、2つの異なる材料を合わせており、これにより、基礎材料のものと異なる特徴を有する新規の材料が得られる。このように、本発明のフィルター材料は、多量の二分子の酸素を電気発生させるだけでなく、分子篩の「ゼオライト媒体」を介する直接的な濾過を用いることにより、呼吸装置、将来に使用するための酸素の保存または工業的用途に使用するための二分子の酸素を捕捉する。
【0055】
合成膜の表面に埋め込まれるナノカーボンチューブのメッシュ状の網は、ゼオライトコーティング合成膜の表面上に約0.1〜約7ミリメートル、好ましくは約0.2〜約6ミリメートル、そしてより好ましくは約0.2〜約5ミリメートルまで延びる。ジルテニウムを含む炭素のドープされた膜に結合するナノチューブと同様に、ナノカーボンチューブは、約20ナノメートル〜約450ナノメートルの直径を有してもよい。ナノカーボンチューブのメッシュ状の網は、電子ビームリソグラフィー、原子間力顕微鏡、化学的に帯電した分子インク、結晶化自己集合、播種自己集合、および/またはそれらの組み合わせならびに埋め込まれる合成膜の孔に影響を与えない任意の他の手段を用いて合成膜の表面に埋め込まれてもよい。
【0056】
本発明のフィルター材料が適切な配置を有することを確実にするために使用され得る1つの方法は、高解像度SEMを備えるFIB(集束イオンビーム)を統合するFEI 830デュアルビームシステムを使用する「IBM Almaden’s Materials Characterization and Analysis Lab」による組み込みプロセスの間の直接可視化である。この方法は、粉砕または堆積手順を実施しながら、分析者が特定の部位の画像を捕捉することを可能にする。炭素薄膜を製造する際に、ホウ素でドープされた薄膜に埋め込まれるナノカーボンチューブについての最初の孔を掘るように、その薄膜は加速ガリウムイオンによって最初に粉砕される。一旦完了すると、炭素の金属酸化物は粉砕された領域内に堆積されて、パターンおよび望まれないカーボンチューブを形成するが、アルゴンなどの不活性ガスは、薄膜の表面に流れる。付加的な炭素でドープされた原子は、ガリウムイオンによって薄膜内に以前に形成されたナノカーボンチューブの凹上のアルゴンガス表面に堆積される。堆積は、ALD(原子層堆積)またはCVDのいずれかにより完了されてもよく、それによって、炭素チューブが、最も内側の点から薄膜の外側へ広がる同心円状に配置される。一旦、カーボンナノチューブが完成すると、そのカーボンナノチューブの端部は開いたままになり、それによって、流れがカーボンナノチューブ内に付与され得る。次いで、ジルテニウム分子は、新規に調製された薄膜表面においてホウ素、フッ素と結合するように、調製された表面にエアロゾル化されるか、またはCVDを用いて付与される。
【0057】
代替として、炭素のホウ素でドープされたフッ化物膜を形成するために使用される方法は、Ar−Flガス混合物中のh−BNおよびグラファイトからなる複合ターゲットを用いて高周波マグネトロンスパッタリングによってなされ得、固体アルゴンマトリクス中のフッ化水素の光分解によって形成されるAr−Fガス混合物は、アルゴンフッ素水素化物(HArF)の形成を誘導する。形成後、炭素のドープされたフッ化物の薄膜は、X線回折、フーリエ変換赤外線分光法および/またはX線光電子分光法によって特徴付けられ得る。これらの手順の詳細は、Preparation of boron carbon nitride thin films by radio frequency magnetron sputtering,Applied Surface Science,Volume252,Issue12,2006年4月15日,4185−4189ページ,Lihua Liu,Yuxin Wang,Kecheng Feng,Yingai Li,Weiqing Li,Chunhong Zhao,Yongnian Zhao;およびA stable argon compound.Leonid Khriachtchev,Mika Pettersson,Nino Runeberg,Jan Lundell & Markku Rasanen.Department of Chemistry,PO Box55(A.I.Virtasen aukio1),FIN−00014 University of Helsinki,Finland.Nature406,874−876(2000年8月24日)に見出され得る。
【0058】
ホウ素でドープされた膜および合成膜の両方のナノカーボンチューブのメッシュ状の網は、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜またはゼオライト合成膜のいずれかの中心領域から出発して外側へ同心円状に間隔をあけた円で配置され得る。
【0059】
本発明のフィルター材料全体は、ゼオライト合成膜のスクリーンが、ジルテニウムのホウ素でドープされた薄膜スクリーンの後方に配置されるように設計され、その結果、そのジルテニウムスクリーンは、空気の流れ付近に存在する。すなわち、空気の流れはまず、ジルテニウムスクリーンと接触する。このように、空気の流れに含まれる水分は影響を受け、水の水素および酸素への分解を高めるように電気化学的に支援される。ゼオライトおよびジルテニウムスクリーンは直列で機能する。本発明の1つの好ましい実施形態において、6つのスクリーンのセットが、患者の呼吸装置に使用され得るフレームを有するカートリッジ内に含まれ得る。ジルテニウム壁に結合され、囲まれるゼオライト中心を挟むジルテニウム中心および外側の境界は、その精度および結合面についてFTIRおよび/またはX線結晶学によって生成後、解析される。
【0060】
カートリッジは、必要な場合、除去され、交換され得るように設計される。カートリッジは再利用可能なように製造されてもよいし、または単一の使用装置であってもよい。カートリッジについての多くの異なる構造が可能であり、本発明のフィルター材料の機能性を限定または変更しない。つまり、新しい種類のジルテニウム/ジルテニウムのホウ素でドープされた薄膜スクリーンと、直列で機能する新しい種類のゼオライト合成膜スクリーンとの間を交互するフィルター材料を提供して、呼吸するための個々の患者、酸素保存装置、または工業的消費のために二分子の酸素を生成する。上記のように、本発明固有の設計は同時に、酸素生成の間、ラジカル中間体を増加するのを防ぎ、本発明のフィルター材料に使用される酸素触媒および陰イオン電極の分解を防ぐ。
【0061】
本発明の特定の実施形態は、本発明をより良く記載するために添付の図面と共に記載されるか、いかなる意味においても本発明を限定するとみなされるべきではない。
【0062】
図1は、本発明のフィルター材料(10)のジルテニウム/ジルテニウム分子を含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の前面の斜視図を示す。上記および図1に示すように、スクリーンを構成するメッシュ状の材料は炭素であり、上部(55)、底部(60)、右側(45)および左側(50)を有するホウ素でドープされたスクリーン(15)である。円形、卵形、楕円形、平行四辺形、特に正方形、長方形および三角形などの代替の形状もまた、本発明の範囲内である。
【0063】
図1は、説明の目的のみのために長方形のスクリーンを示すが、他の形状が本発明の範囲内に含まれると想定される。ナノカーボンチューブ(20)が、炭素のホウ素でドープされたスクリーン(15)上/内に配置されるか、または埋め込まれ、それは、スクリーンの中心点から始まり、放射状に外側に広がって、同心配置にゆるく充填されたコイル構造を形成する。ナノカーボンチューブは同心円状に配置されるが、代替的な実施形態において、ナノカーボンのナノチューブが、炭素のホウ素でドープされたスクリーン(15)の設計および形状に依存して異なるパターンで配置されてもよい。スクリーンの異なる形状のように、ナノチューブの異なる配置もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0064】
炭素のホウ素でドープされたスクリーン(15)の全体にわたって分散されるのは、多数のホウ素原子(25)である。これらのホウ素原子(25)は、スクリーン全体にわたって均一に分散されてもよいか、またはナノカーボンチューブの領域内に集中されてもよい。ナノ炭素スクリーン(15)の中心領域付近に、少なくとも1つのジルテニウム置換ポリオキソメタレート(POM)錯体(40)が存在する。上記のように、本発明の一実施形態において、ジルテニウム置換ポリオキソメタレート(POM)錯体(40)は、POM(30)に結合されたジルテニウム木挽き台(sawhorse)分子(35)を含む。ジルテニウム木挽き台分子(35)は、スクリーンに最も近接して配置されるが、POM(30)はスクリーンの面から外側へ伸びる。この配置により、水を二分子の酸素および水素へと迅速かつ効率良く分解することを可能にする。この配置は、本発明のフィルター材料の繰り返しユニットの第1のスクリーンの構造的配置を構成する。
【0065】
図2は、ジルテニウム/ジルテニウム分子およびシデロフォア(115)を含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜(100)の裏面の斜視図を示す。本発明の炭素のホウ素でドープされたスクリーンは、上部(105)、底部(110)、左側(120)および右側(125)を有する。図2に示されるシデロフォア(115)は、スクリーンの底部(110)に配置されるが、シデロフォア(115)が、スクリーンの形状およびナノチューブの配置に依存してスクリーンの他の部分に配置されることは本発明の範囲内である。炭素のホウ素でドープされたスクリーン(15)は、図1および上記に示すようにホウ素原子(25)、ならびに炭素ナノチューブ(20)および少なくとも1つのジルテニウム置換ポリオキソメタレート(POM)錯体(40)を含む。
【0066】
シデロフォア(115)は、複数の孔を有する中空のチューブ状構造の形態であってもよく、そのシデロフォア(115)の少なくとも一端は、ナノカーボンチューブの少なくとも一端と直接つながる。代替的に、シデロフォア(115)はイオン的に帯電したプレートの形態であってもよい。いずれの構造も、フィルター材料によって生成される酸素を吸う患者が遊離ルテニウムイオンを吸収するのを防ぐように、フィルター材料から除去され得るルテニウムイオンなどの荷電イオンを捕捉するように設計される。プレートまたは中空のチューブのシデロフォア(115)のいずれも、含浸されたポリスルフォネート樹脂、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびそれらの混合物から構成され得る。
【0067】
図3は、本発明のゼオライト結晶体を含む合成膜(200)の表面の斜視図を示す。これは、フィルターの繰り返しユニットに隣接するスクリーンであり、図2に示すシデロフォアを有するホウ素でドープされた炭素膜の裏面に対して配置される。合成膜(200)は、上部(205)、底部(210)、右側(220)および左側(225)を有し、長方形の形状で示される。第1のスクリーンと同様に、合成スクリーンは、長方形の形状で示されるが、円形、卵形、楕円形、平行四辺形、特に正方形、長方形、および三角形などの代替の形状が、本発明の範囲内に含まれることは想定される。つまり、図3は、説明の目的のみのために長方形のスクリーンを示すが、他の形状も本発明の範囲内である。
【0068】
図1および図2のホウ素でドープされた炭素膜と同様に、図3の合成膜は、その合成膜に埋め込まれるか、または配置される炭素のナノチューブ(215)を有する。合成スクリーンはまた、ナノチューブ(215)、合成膜、またはその両方と直接接触するゼオライト結晶体(240)を有する。
【0069】
図4は、フレーム(130)に設置されたゼオライト分子を含む合成膜の前面の斜視図を示す。本発明のフィルター材料のフィルター/フレーム(130)は、構造用であり、かつフィルタースクリーンの異なる領域に対するガスの中空管経路として機能する、フレーム(135)を備える。このフレームは、広い端部(155)および狭い端部(140)を有するいくつかの吹き抜け(blow−by)ノズル(145)を備える。この吹き抜けノズルの広い端部(155)はフレーム(135)に連結されており、狭い端部(140)はゼオライト結晶スクリーン上に延在する。患者から吐き出されるか、大気から得られるか、またはファン電動機(図6に示す)から生成されるかのいずれかである空気が、フレーム(135)に移動すると、その空気の少なくとも一部が、ゼオライト結晶スクリーン(170)上に配置された狭い端部(140)から出るように、吹き抜けノズル(155)の広い端部を介して通過する。この空気によって、酸素がその空気に含まれる成分のガスから吸着されて、さらにその空気が酸素に加えられ、触媒スクリーンからの水から水素が分解する。
【0070】
フレーム(140)はまた、そのフレーム(140)に取り付けられた狭い端部(180)およびゼオライト結晶スクリーン(170)上に延在する広い端部(185)を有する捕捉器(175)を備える。上述のように、捕捉器(175)のこの特定の構成により、酸素、過剰な水、過剰なガス、増加した表面帯電、およびスクリーンを通過しない排ガスが、捕捉器(175)の広い端部(185)およびフレーム(135)に吸引され、フィルター材料から回収および/または排出させることができる。捕捉器の詳細な設計は、吹き抜けノズル(145)の向かい側のスクリーン上に配置された広い端部(185)、およびフレーム(140)に取り付けられた狭い端部(180)を有し、フレーム内のこの位置において、意図する圧縮により空気の流れを加速させ、これにより、上記のガスを吸引できる捕捉器ノズルへの吸引を促進する。
【0071】
吹き抜けノズル(145)はまた、このノズル(145)から流入した空気をスクリーン(170)に渡って進ませるように特に設計されている。すなわち、吹き抜けノズル(145)の広い端部(155)がフレーム(140)に取り付けられているので、吹き抜けノズル(145)に入る空気の経路が、狭い端部(140)に圧縮され、スクリーン(170)上に出る。その圧縮された経路により、スクリーン上に出る空気の流れは、それが流入するときよりも、より加速された速度で外に出ることができる。フレーム130はまた、上記し、かつ図6に示す分岐した加速器と連結するように設計された第1の接続部(150)および第2の接続部(190)を備える。
図3に示したフィルターと同様に、合成膜(170)は、図3で示したものと同様の構成要素、すなわち、ナノチューブ(165)に結合されたゼオライト原子を有する同心円状の配置に構成されたナノチューブ(165)を有する。
【0072】
図1および図2に示したジルテニウム錯体(40)を有するホウ素でドープされた炭素スクリーンはまた、上記図4に示すようなフレームに配置される。すなわち、図1および図2に示したホウ素でドープされた炭素スクリーンは、上述し、かつ図4に示した捕捉器および吹き抜けノズルを有するフレームに設置され、かつ本発明のフィルター材料の繰り返しユニットの一部である。
【0073】
図5は、本発明のフィルター材料のフレームに接続された分岐した空気の流れ加速器(305)を備える、ゼオライト結晶体を含む合成膜(300)の前面の斜視図を示す。分岐した加速器(305)は、第1の分岐部(310)および第2の分岐部(315)に分岐するメイン供給管(355)を有する。第1および第2の分岐部(310および315)は、分岐点(360)にてメイン供給管(355)に接続されており、この分岐点はその中に配置された空気弁(図7A〜図7Cに示す)を有する。上述およびさらに以下で記載するように、この空気弁は、空気/液体の流れを、分岐した加速器(305)のうちの第1の分岐部(310)または第2の分岐部(315)のいずれかに転換するように設計されている。図5に示す実施形態において、第1の分岐部(310)は、第1の脚部(320)および第2の脚部(325)にさらに分岐する。
【0074】
第1の分岐部(310)の第1の脚部(320)は、第1の分岐部(310)の第1の脚部(320)から出る空気の流れ体の流れが図4に示す捕捉器ノズルへと流れるように構成された、フレーム取付け位置(335)に接続される。第1の分岐部(310)の第2の脚部(325)はフレーム接続位置(330)に取り付けられており、このフレーム接続位置は、第2の脚部(325)を出る空気の流れ体の流れが吹き抜けノズル(355)へと流れるように構成されている。この吹き抜けノズルは、空気が合成膜の表面を横断して外に出る場合、その空気の流れをさらに加速するように設計されている。
【0075】
分岐した加速器の第2の分岐部(315)は、第2の分岐部(315)を出る空気の流れ体が合成膜中、および合成膜上に直接出るように配置されている。第2の分岐部(315)の端部には、二分子の酸素および水素になる空気および/または水のゼオライトスクリーンへの吸着を可能にするように、合成スクリーン(350)の表面上に空気の流れ体の分配を支援する、拡張した漏斗状のスクリーン(340)が備わっていてもよい。
同様の配置構成もまた、図1および図2、ならびに上述に示したホウ素でドープされた炭素スクリーンについても用いられる。実際には、交互ユニットのスクリーンの各々が図5に示すように構成される。すなわち、ナノカーボンのホウ素でドープされたスクリーンおよび合成ゼオライトスクリーンは、各々、捕捉器および吹き抜けノズルへ空気の流れ体を供給し、かつ各々のスクリーンの表面を横断する流れを分配するように、さらに分岐された、分岐した加速器を含む。
【0076】
図6は、本発明の空気弁/分岐した空気の流れ加速器の接続部の断面図を示す。加速器の接続部は、出入り口領域(430)および、フローブースター(415)に接続されたフローブースター管(410)に接続された出入り口領域管(405)に接続される。フローブースター(415)は、上述およびさらに以下で記載するように、周囲からのさらなる空気を吸引するそのフローブースター(415)を介して、空気の流れを生成するように設計されたファン電動機(420)にさらに接続される。フローブースターは図10および図11に詳細に示される。
【0077】
出入り口領域(430)およびフローブースター(420)の両方からの空気の流れは、本発明の空気弁(425)システムの方向へと移動する。空気弁(425)は枢軸位置(450)に取り付けられており、これにより、分岐した加速器の管のうちの第1の分岐部(435)または第2の分岐部(440)のいずれかの方向に弁が移動することができる。上述で検討したように、患者が出入り口領域(430)から息を吐き出すと、空気の流れは流体増幅器管(405)を下方に移動して空気弁(425)にぶつかり、このようにして、分岐した加速器管の第2の分岐部(440)を閉鎖するために、空気弁が枢軸位置(450)を中心にして軸回転する。空気弁がこの位置にある場合、空気は第1の分岐部(435)に流入して、上述のように、吹き抜けノズルおよび捕捉器ノズルに分配される。患者が息を吸い込む場合、空気弁(425)は、第1の分岐部(435)を閉じるように、枢軸位置(450)を中心にして軸回転し、フローブースター(415)からの空気の流れがフローブースター管(410)の下方へと移動し、そして第2の分岐部(440)へと移動し、このようにして、上述でも検討したように、ジルテニウムおよびゼオライトスクリーン上に分配される。空気弁(425)の異なる位置を、図7A、図7B、および図7Cにさらに示す。
【0078】
図7Aにおいて、空気弁(425)は、ニュートラルの位置で示されており、それにより、空気の流れは第1および第2の分岐部(435および440)の両方に移動する。図7Bにおいて、空気弁(425)は第1の分岐部(435)を閉じた状態で示されており、フローブースター管(410)からの空気は第2の分岐部(440)に移動し、ここで空気はジルテニウムおよびゼオライトスクリーン上に分配される。図7Cにおいて、空気弁(425)は第2の分岐部(435)を閉じた状態で示されており、吸口管(405)からの空気の流れは第1の分岐部(435)に移動する。
【0079】
図8は、加速器管への接続部を含む、カートリッジ/カートリッジホルダーの斜視図を示す。図8に示すように、本発明のフィルター材料の複数の交互のスクリーン(605)はカートリッジ(610)内に配置されてもよい。この交互に積み重ねられた配置構成は、上述のように、ジルテニウム/ジルテニウム分子および少なくとも1つのシデロフォアを含む第1のホウ素でドープされた炭素膜を備え、第2のスクリーンは本発明のゼオライトを含む合成膜である。この配置構成は、次いで繰り返されて、フィルターカートリッジホルダーに挿入可能であるフィルターカートリッジ(610)内に収容可能な、本発明のフィルター材料を構成する。
【0080】
フィルターカートリッジは、第1の分岐部(620)の第1の脚部をフレームに取付けることができ、上述のように、この第1の脚部が吹き抜けノズルに空気の流れを分配できるように構成されている。フィルターカートリッジはまた、第1の分岐部(630)の第2の脚部をフレームに取付けることができ、上述のように、この第2の脚部が捕捉器ノズルに空気の流れを分配できるように構成されている。フローブースター管(640)および吸口管(635)の接続もまた図8に示されている。カートリッジホルダー(615)は、取外し可能なように設計されてもよく、別の方法では、新たなカートリッジ(610)がデバイスに挿入されかつ取り替え可能なように構成されてもよい。両方の構成が本発明の一部としてみなされる。
【0081】
図9は、図8に示したカートリッジホルダー(615)およびカートリッジ(610)の断面図である。この断面(700)は、第1の分岐部(725)の第1および第2の脚部によって各スクリーンに接続されたフレームを示す。このフィルター材料は、カートリッジ内のフィルター材料を形成するための、ゼオライト含有スクリーン(710)および(720)によって隔てられた繰り返しのナノカーボンのホウ素でドープされたスクリーン(705)および(715)を示す。上述のように、カートリッジは2つの繰り返しユニットを有した状態で示されているが、いずれかの複数のカートリッジまたはさらなるスクリーンを有するカートリッジを、本発明の実施に際して用いることができる。
【0082】
図10は、本発明のフローブースター管に取り付けられたフローブースター(800)の断面図を示す。フローブースター(800)は、本発明のフローブースター管への空気の流れを増加させるように特に設計されている。フローブースター(800)の断面図に示すように、第1の漏斗(840)は第2の漏斗(835)内に取り付けられているので、第1の漏斗(840)の喉部(throat)または流出部(810)は第2の漏斗(835)の流路(815)内に配置される。第1の漏斗(840)の喉部(810)からの空気の流れは流出部(820)にて、第2の漏斗(835)から外に出て、この流出部は、図6に示すフローブースター管と流体連通している。第1の漏斗(840)からの空気の流れが第2の漏斗(835)の通路に入ると、さらなる空気を第2の漏斗(835)に供給し、第2の漏斗の通路(815)に引き込むように構成された複数のベンチュリ管(830)が第2の漏斗(835)の真上にある。基本的には、フローブースター(800)は、本発明のフィルターシステムへの空気の流れを増加させ、それにより、生成される二分子の酸素の量を増加させるための、2つのベンチュリシステムを有して設計される。図6に示すように、フローブースターは、患者から吐き出された空気の流れを加えた空気の流れを提供するように、ファン電動機に取付けることができる。第2のフローブースター(図示せず)は、同じ原理に従って空気の流れを増加させるために、図6の第1のものとは逆に配置可能である。
【0083】
図11は、フローブースター機能のために設計される、空気の流れの量を増減し得ることで吸気の酸素濃度を変更し得る複数のベンチュリ管を提供するように、フローブースター本体(825)に配置可能な別個のフローブースターキャップ(910)を有するフローブースター本体(825)を示す、本発明のフローブースター(900)の拡大斜視図である。この斜視図(900)はまた、一端にある第2の漏斗(835)の流出ノズル(820)、および真向かいの他端にある第1の漏斗(840)の流入口(805)を示す。複数のベンチュリ孔を含むキャップ(910)は、フローブースター本体(825)の上部に適合し、このキャップの下のベンチュリ管(図10に示す)と接触するので、上述のように、増加または減少した空気が第2の漏斗に引き込まれることができる。
【0084】
上述の構造は、二分子の酸素および/または酸素を、産業用デバイスまたは患者のいずれかに提供するために利用できる。図12は、本発明の技術を利用した患者用呼吸デバイス(1000)の正面図を示す。呼吸デバイス(1000)は、患者の鼻の上に取り付けられ、吐き出された空気を集めて、酸素を送り込まれた空気を患者に提供するように設計された鼻用シェル(nasal shell)(1005)を備える。鼻用シェル(1005)は、呼吸量を最大にするように、デバイスを適切に配置するように構成されたリップサポート(lip support)(1010)上に取り付けられる。このサポート(1010)は、吐き出された空気をフィルターデバイスに提供し、かつその濾過デバイスからの呼吸のための酸素を送り込まれた空気を受取る、空気の流れ管(1045)に取り付けられる。空気の流れ管(1045)は、濾過デバイスを含むケーシング(1070)と流体連通する。このケーシングは、本発明のジルテニウム/ゼオライトの濾過デバイス(1030)からの流出ガスを捕捉する流出管(1025)に取り付けられる。フローブースター(1040)は、ケーシング(1070)内において、ジルテニウム/ゼオライトの濾過デバイス(1030)に取り付けられる。本発明のフローブースター(1040)への増加した空気の流れを提供するように設計されたファン電動機(1035)は、フローブースター(1040)の端部に取り付けられる。
【0085】
図12に示した患者用呼吸デバイス(1000)は、吐き出された空気、ファン電動機(1035)からの空気、ならびに、周囲からのさらなる空気を、フローブースター(1040)におけるベンチュリシステムを介して濾過デバイス(1030)へ流し込むように構成されている。本明細書全体に亘って検討し、かつ図面においても示した構成要素を備える濾過デバイスへ空気が流れると、水を分解して二分子の酸素および水素を生成することを支援する。すなわち、水は、ジルテニウム/ゼオライトのフィルターによって分解し、鼻用シェル(1005)と連結された空気の流れ管(図13に示した1045)を介して患者に流し込まれる。
【0086】
図13は、鼻用シェル(1005)、サポート(1010)、空気の流れ管(1045)、およびフィルターケーシング(1070)に加え、酸素を送り込まれた空気の流れを患者に供給する幅広の漏斗(1060)を示す、患者用呼吸デバイス(1100)の側面図を示す。幅広の漏斗(1060)は、本発明の濾過システム(1030)から生成される酸素および水素化された空気を捕捉する流出管(1025)を介して本発明の濾過システムからの酸素が送り込まれた空気を供給する。鼻用シェルおよびフィルターケーシングの代替構成もまた可能であり、患者へ、および患者からの適切な空気の流れが達成可能である限り、本発明の範囲内にあるとみなされる。
【0087】
本発明はまた、上述でも記載した濾過システムが、必要としている患者に二分子の酸素および/または水素ガスを生成するように、上述の本発明の実施形態のうちの1つの出入り口領域および/またはフローブースターに空気の流れを供給することによって、二分子の酸素および/または水素を生成するための方法に関する。
【0088】
上述の記載が多くの特性を含む一方で、これらの特性は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、本発明の好ましい実施形態の例示としてのみ解釈されるべきである。当業者は本明細書に添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の範囲および主旨内において多くの他の実施形態を想定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源から酸素および/または水素ガスを生成するための装置であって、
カートリッジを収容するように構成された領域を有する管状および固体のフレームを備え、
前記カートリッジは複数の繰り返しユニットを備えるフィルター材料を収容するように構成され、
前記繰り返しユニットは、
ジルテニウム/ジルテニウム分子および少なくとも1種類の陰イオンを含む多孔性のホウ素でドープされた炭素膜であって、前記ジルテニウム/ジルテニウム分子および前記陰イオンは前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜と直接接触し、前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜はさらに、ナノカーボンチューブのメッシュ状の網、および前記少なくとも1つのジルテニウム/ジルテニウム分子が結合される前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の反対側表面に結合されるルテニウムイオンを捕捉するシデロフォアプレートを備え、前記シデロフォアプレートは、前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜から除去される遊離ルテニウムイオンを捕捉するように、イオン的に帯電されている、多孔性のホウ素でドープされた炭素膜と、
ナノカーボンチューブのメッシュ状の網を形成するために合成膜の表面に結合および/または埋め込まれた複数のナノカーボンチューブ、ならびに前記ナノカーボンチューブと直接接触する少なくとも1つのゼオライト結晶体を含む合成膜であって、前記合成膜は、約0.1〜約3.0nmの直径を有する複数の孔を含み、前記ナノカーボンチューブに結合された前記ゼオライト結晶体は前記孔の少なくとも一部と重なり、前記合成膜は、前記シデロフォアを含む前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の前記表面と密接に接触した位置にある、合成膜と
を備える、装置。
【請求項2】
前記フレームは吸口をさらに備える、請求項1に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項3】
フローブースターをさらに備え、前記フローブースターは、互いに筐体内に配置された第1および第2のノズルを含み、前記第1および第2のノズルは両端部が開口し、広い端部と、次第に先細くなった狭い端部とを有し、前記第1および第2のノズルの前記広い端部はファンと連通し、
前記筐体は、前記第1および第2のノズルの上に複数の孔を有し、これにより、空気が前記第1のノズルを出て、前記第2のノズルへと移動すると、生じるベンチュリ効果に起因して、さらなる空気を前記フローブースターに引き込む、請求項2に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項4】
請求項1に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置であって、前記フレームは、フラップ弁および少なくとも2つの分岐部を有する分岐した加速器をさらに備え、
前記第1の分岐部は前記吸口と連通し、前記第2の分岐部はフローブースターと連通し、
前記フラップ弁は第1および第2の位置を有し、これにより、前記フラップ弁が前記第1の位置にある場合に前記分岐した加速器の第1の脚部が閉鎖され第2の脚部が開き、前記フラップ弁が前記第2の位置にある場合に前記分岐した加速器の前記第2の脚部が閉鎖され前記第1の脚部が開く、装置。
【請求項5】
吹き抜け加速器のポートからの空気が前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜上に流れるように、前記フレームと連通する複数の吹き抜け加速器のポートと、
前記フレームと連通し、前記複数の吹き抜け加速器のポートの向かい側に配置された複数の捕捉器のポートであって、これにより、前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜上に流れる前記吹き抜け加速器のポートからの未反応の空気の流れと、副産物との混合物が、前記捕捉器のポートによって捕捉され、使用されるために、および/または前記装置から放出されるために、前記フレームに導かれる、複数の捕捉器のポートと
をさらに備える、請求項4に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項6】
前記フラップ弁は、前記分岐した加速器の分岐位置に配置される、請求項4に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項7】
請求項6に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置であって、前記吹き抜け加速器のポートは、前記フレームに取り付けられた広い端部、および前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜上に少なくとも部分的に配置された狭い端部を有して、前記吹き抜け加速器のポートからの空気が前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜上に流れる、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置であって、前記捕捉器のポートは前記フレームに取り付けられた狭い端部、および前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜上に少なくとも部分的に配置された広い端部を有して、前記吹き抜け加速器のポートからの未反応の空気の流れ、および副産物が前記捕捉器のポートによって捕捉され、使用されるために、および/または前記装置から放出されるために、前記フレームに導かれる、装置。
【請求項9】
前記吸口および前記第1の分岐部は、前記吸口から前記分岐した加速器の前記分岐位置まで導かれる空気を増幅するように構成された中空管によって連結されて、前記フラップ弁を作動させる、請求項6に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項10】
前記フラップ弁は空気によって作動する空気弁であり、前記中空管は、前記空気フラップ弁を作動させるために十分な空気の流れを提供するように、前記吸口からの空気を増幅するように構成された流体増幅器である、請求項9に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項11】
前記繰り返しユニットの前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の前記ジルテニウム/ジルテニウム分子の各々のうちの1つのジルテニウム分子は、以下の式(I)
[Ru(CO)(u−n2−CR) (I)
を有し、
式中、uは、[Ru(EDTA)2−、(CO)、F、Co−2、NO(カチオン性)、水素結合芳香族/カルボン酸−(二重結合酸素またはその中の部位における重合としての複数の結合あるいは単一のいずれか)、エチレンジアミン、アニオン性配位子としてハロゲン化物、カルボン酸、不飽和炭化水素、直線状または曲線状のいずれかの金属中心に配位する硝酸、ブタジエン、カルボキシレート配位子、アニオン性(RO−およびRCO−2(ここでRはHまたは炭化水素である))または中性配位子(R、RS、CO、CN)、CHCN(アセトニトリル)、NH(アンモニアアミン)F、Cl、トリス(ピラゾリル)ホウ酸塩およびそれらの混合物、好ましくは[Ru(EDTA)2−からなる群より選択される架橋配位子であり;
式中、nは、少なくとも2であり、かつ分子の配位座数(denticity)に依存し(つまり、同じ中心原子に結合される所定の配位子からの供与基の数);
式中、Lは、[Ru(PhPCHCHPPh)(EDTA)]2+、C、RC=CR(ここでRはHまたはアルキルである)、1,1−ビスジフェニルホスフィノメタン、ジエチレントリアミン[ジエン]結合、好ましくは三座、トリアザシクロノナン[ジエン]結合、好ましくは三座、トリフェニルホスフィンおよびそれらの混合物からなる群より選択される配位子であり;
式中、CRは、カルボン酸、カルボキシレート配位子、アニオン性(ROおよびRCO(ここでRはアルキル基である))または中性配位子(R、RS、CO、CN(ここでRはアルキル基である))およびそれらの混合物であり;ならびに
xは1〜約30の間である、
請求項10に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項12】
前記式(I)の前記ジルテニウム/ジルテニウム分子のうちの1つのジルテニウムは、以下の式(II)
[WZnRuIII(OH)(HO)(ZnW34] (II)
を有する、ジルテニウム置換ポリオキソメタレートに結合される、請求項11に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項13】
前記シデロフォアプレートは、ポリスルフォネート樹脂が含浸したプレート、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項14】
前記ジルテニウム/ジルテニウムにおける各々のルテニウムの間の距離が約2.75オングストロームである、請求項12に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項15】
前記ナノカーボンチューブのメッシュ状の網の前記ナノチューブが、約20ナノメートル〜約450ナノメートルの直径を有する、請求項12に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項16】
前記合成膜は、SiO、AlO、およびそれらの混合物である、請求項12に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項17】
前記合成膜の前記表面に埋め込まれた前記ナノカーボンチューブのメッシュ状の網は、前記表面の上に約0.2ミリメートル〜約5ミリメートル延びている、請求項16に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項18】
前記ナノカーボンチューブのメッシュ状の網は、前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の中心領域から出発して外側へ広がる、同心円状に間隔をあけた円で配置される、請求項12に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項19】
前記ゼオライトを含む合成膜の前記表面に埋め込まれたナノカーボンチューブは、前記多孔性のホウ素でドープされた炭素膜の中心領域から出発して外側へ広がる、同心円状に間隔をあけた円で配置される、請求項12に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項20】
前記カートリッジは前記装置から取り外し可能であり、取り外し可能なカートリッジケースのための挿入部分をさらに備え、前記カートリッジケースは、複数のスロット、および前記カートリッジケースの一方の側から他方の側に延在する空洞を有するように構成され、前記複数のスロットは前記繰り返しユニットを収容するように構成され、前記空洞は前記フィルター材料の少なくとも一部を前記供給源に露出させるように構成される、請求項1に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項21】
前記式(II)の前記ジルテニウム置換ポリオキソメタレートは、Na14[RuZn(HO)(ZnW34]である、請求項12に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項22】
前記式(II)の前記ジルテニウム置換ポリオキソメタレートは、Na14[RuZn(HO)(ZnW34]である、請求項21に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項23】
請求項1に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置を備える、呼吸デバイス。
【請求項24】
請求項11に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置であって、前記式(I)は、Ru(III)(CN)−3、PO−3、F、およびそれらの混合物からなる群より選択されるアニオン性化学基、または式{Ru[N(CHNH6+}Ru[N(CHNH6+}を有するヘキサメチレンテトラアミンのジルテニウム錯体のカチオン性形態のいずれかに結合される、装置。
【請求項25】
前記式(II)はRuZn(H0)(ZnW34−14に変換される、請求項12に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項26】
前記Na14[RuZn(H0)(ZnW34]が、RuZn(HO)(ZnW34−14またはRuZn(H0)(ZnW34−14に変換される、請求項21に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための装置。
【請求項27】
二分子の酸素および/または水素を生成するための方法であって、
装置から酸素および/または水素ガスの流れを生成するように、請求項に記載の酸素および/または水素ガスを生成するための前記装置において、請求項5に記載の前記吸口および/またはフローブースターに空気の流れを提供する工程を含む、方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−537821(P2010−537821A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524045(P2010−524045)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/010441
【国際公開番号】WO2009/035545
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510061759)
【出願人】(510061760)
【出願人】(510061771)
【出願人】(510061782)
【Fターム(参考)】