説明

酸素を捕捉するターポリマー

酸素分子を捕捉するための方法およびシステムが開示されている。このシステムは、酸素分子の還元剤として新規ターポリマーを採用する。ターポリマーは、大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマー、不飽和官能性ポリマー、エポキシ官能基スチレン−アクリレートオリゴマーの重合生成物である。本発明の別の局面は、熱可塑性ポリマーマトリックスと、酸素分子の還元剤として機能するターポリマーとを含む熱可塑性配合物である。本発明の別の局面は、熱可塑性配合物を含む熱可塑性物品であり、例えば、瓶の予備成形品、吹込み成形された瓶、または酸化しやすい生鮮食品または飲料が入った瓶である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、代理人事件番号12009004を有する、2009年6月19日に提出された米国仮特許出願第61/218,637号からの優先権を主張する。この仮特許出願は、参照により援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、熱可塑性配合物から作られる容器および包装の中の酸素を捕捉するための還元剤として機能し、酸化防止剤としても知られる新規ターポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
食べ物を腐らせることは、数千年にわたって人類の課題であった。食べ物のための容器、特に、消費可能な1回分の飲食品を出すための容器は、石からセラミック、金属、ガラス、プラスチックへと進化してきた。
【0004】
飲食品の保存可能期間は、食品または飲料によって占められていない容器の容積内にある酸素分子(「ヘッドスペースの酸素」)、容器の壁の大部分の中にある酸素分子(「内在する酸素」)、容器の壁または密閉部分を透過する酸素分子(「透過した酸素」)で酸化することによって影響を受ける。また、食品または飲料自体も、ヘッドスペースにおいて平衡状態にある酸素を含んでいる。
【0005】
酸素分子を捕捉する配合物、例えば、ColorMatrix(ベリア、オハイオ、USA)製のAMOSORB DFC 4020という商品名の酸素捕捉剤が知られている。しかし、この酸素捕捉剤製品は、酸素を捕捉するものとしてMXD6ポリアミドを利用しており、この物質は、持続可能性が原因となり、リサイクル中に問題を生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この技術分野で必要とされていることは、好ましくは、熱可塑性配合物からプラスチック物品を作成した後、特に、酸素透過性の配合物の場合に、熱可塑性配合物の中の酸素分子を捕捉するための非ポリアミド系である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面は、酸素分子と反応しやすい炭素−炭素不飽和結合を有するターポリマーであって、大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマー、不飽和官能性ポリマー、エポキシ官能基スチレン−アクリレートオリゴマーの重合生成物を含む、ターポリマーである。
【0008】
本発明の別の局面は、熱可塑性ポリマーマトリックスと、酸素分子の還元剤として機能するターポリマーとを含む熱可塑性配合物である。
【0009】
本発明の別の局面は、熱可塑性配合物を含む熱可塑性物品であり、例えば、瓶の予備成形品、吹込み成形された瓶、または酸化しやすい生鮮食品または飲料が入った瓶である。
【0010】
本発明の別の局面は、酸素分子の還元剤を熱可塑性配合物へと混合する工程と、熱可塑性配合物から物品を作成する工程とを含み、還元剤は、上述のいずれかに記載のターポリマーであり、ターポリマーは、酸素分子と反応しやすい炭素−炭素不飽和結合を有する、熱可塑性物品の中の酸素を捕捉する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(プラスチック物品の熱可塑性マトリックス)
プラスチック物品を作成する際に、熱可塑性プラスチックは候補のひとつであろう。本発明は、主に、生鮮飲食品産業で役立ち、本発明の熱可塑性配合物から作られるプラスチック物品は、酸素に腐敗効果があるために酸素の存在を最低限にする必要があるような、任意の産業または消費物品産業でも用いることができる。例えば、エレクトロニクス産業は、密閉された空間にある電子部品の高価な金属が酸化するのを最低限にするために、密閉された空間内の酸素の存在を制限する必要があるだろう。
【0012】
しかし、ほとんどの場合、プラスチック物品は、生鮮食品または飲料の包装として使用することが意図されている。最終的なプラスチック包装物品は、成形、押出成形、カレンダー成形などによって熱可塑性マトリックスから作られ、この最終的な物品に何を入れるか、またはこの物品が何を保護するかが、本発明の熱可塑性プラスチックの使用の適切さを決定づける。
【0013】
飲食品産業で用いられる熱可塑性プラスチックの非限定的な例は、ポリエステル(ポリラクチドおよびポリヒドロキシアルカノエートを含む)、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、あらゆる種類の熱可塑性エラストマー(熱可塑性加硫物を含む)などである。
【0014】
消費可能な飲食品の保存可能期間は、このような飲食品のための容器の中に含まれる酸素分子、またはこの容器を透過する酸素分子との反応による酸化の影響から守られる必要があるため、本発明で使用されるべき熱可塑性プラスチックの選択は、包装の費用、外観、他の包装に関する考慮事項に基づく。
【0015】
候補となるポリマーの中で、ポリエステルおよびポリエチレンが、包装材料として好ましい。中でも、ポリエステル、特に、炭酸消費物品および非炭酸消費物品のプラスチック飲料容器として、ポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられる。さらに、熱可塑性エラストマーは、プラスチック飲料容器のような包装材料を用いた密閉部、または密閉ライナーまたは密閉ガスケット、またはシールとして用いるのが好ましい。
【0016】
(酸素分子の還元剤)
包装に熱可塑性マトリックスが選ばれると、酸素分子の還元剤を選ぶことができる。本発明の還元剤は、以下に説明するような特定の理由のために選択されたオリゴマーから形成される新規ターポリマーである。
【0017】
(ベースとなる要素)
ターポリマーのベースとなる要素は、プラスチック包装物品を作成する熱可塑性マトリックスと同じであるか、またはこの熱可塑性マトリックスと適合性のものから選択される。
【0018】
プラスチック物品の熱可塑性マトリックスがPETである場合、ベースとなる要素は、大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマーであってもよい。これらのポリマーは、MPOとしても知られ、好ましい熱可塑性プラスチックを製造するという特徴と、好ましい熱硬化性用途の特徴を有することが文献で十分に報告されている。製造業者であるCyclics Corporationは、CBT(登録商標)樹脂製品をwww.cyclics.com.で報告している。
【0019】
環状ポリ(ブチレンテレフタレート)(「PBT」)のCBTTM樹脂は、室温で固体であり(粉末、ペレット、フレーク)、加熱すると、150℃(300°F)より高い温度で完全に融解し、粘度は150mPa・s(150cP)の範囲であり、180℃(355°F)では、粘度が20mPa・s(20cP)未満まで急に下がる。特定のスズ重合触媒またはチタニウム重合触媒と混合すると、PBT環は、環状形態の環が開環し、接続し(すなわち、重合し)、発熱または気体発生をともなわず、高分子量PBT熱可塑性プラスチックを形成する。温度および用いられる触媒の種類によって、完全な重合は、10分の1秒で行うことができるものから、何分もかかるものまである。低粘度で、かつ重合がすばやいことで、多くの異なる用途での迅速な加工が可能になる。
【0020】
これらのCBT(登録商標)樹脂は、Cyclics Corporationによれば、以下の特徴を示す。市販グレードのPBTは、典型的なポリマー添加剤およびフィラーと組み合わせると、広範囲の機械特性、電気特性、熱特性を示し、PBT熱可塑性プラスチックを非常に汎用性の高い材料にする。これらの材料の利点としては、剛性および靭性、強化グレードでは高い耐熱性、耐化学薬品性、寸法安定性/低い水吸収性、電気絶縁性、高アーク耐性、難燃性、熱成形性、成形操作(例えば、溶接、接着、色付け)後の順応性、リサイクル性が挙げられる。
【0021】
大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマーは、米国特許第6436549号;第6436548号;第6420048号;第6420047号;第6369157号;第5710086号;第5668186号;第5663282号;第5661214号;第5648454号;第5591800号;第5527976号;第5498651号;第5466744号;第5446122号;第5434244号;第5407984号;第5389719号;第5387666号;第5386037号;第5348985号;第5231161号;第5191013号;第5039783号、米国特許公開第20020107356号で十分に定義されており、特性決定されており、これらすべての開示内容は、本明細書に参考として組み込まれる。このような特許も、製造方法を記載している。
【0022】
開示されている種々の大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマーの中で、大環状ポリ(ブチレンテレフタレート)(「環状PBT」)および大環状ポリ(エチレンテレフタレート)(「環状PET」)は、半結晶性であるため、望ましい。環状PBTは、環状PETと比べて結晶化速度が大きいため、好ましい。
【0023】
数種類の環状PBTグレードの中で、CBT100グレードが好ましく(CAS番号263244−54−8)、Cyclics Corporationから入手可能である。
【0024】
式Iは、環状PBTを示す。
【0025】
【化1】

(不飽和ポリマー還元要素)
ターポリマーは、次に、不飽和ポリマー還元要素を含む。不飽和官能性ポリマーである任意の分子、すなわち、ターポリマーを重合した後にも炭素−炭素不飽和部(二重結合または三重結合のいずれかを含む)を保持している任意のモノマーまたはオリゴマーまたは官能基化されたポリマーは、ターポリマーで使用する候補物質である。
【0026】
不飽和官能性ポリマー還元要素の非限定的な例としては、ヒドロキシル官能性またはグリシジル官能性のポリアルケンまたはポリアルキン、例えば、末端がヒドロキシルのポリブタジエンまたはエポキシ官能基化された末端がヒドロキシルのポリブタジエンが挙げられる。これらの例の中で、市販の末端がヒドロキシルのポリブタジエンが好ましい。というのも、この物質は、反応性押出重合で用いるように調整可能で、数平均分子量が約2800であり、骨格の約20%がビニル二重結合である無色の液体だからである(CAS番号69102−90−5)。
【0027】
また、予測できなかったことだが、不飽和官能性ポリマー還元要素の分子量が、酸素捕捉剤としてのターポリマーの性能に影響を及ぼすこともわかっている。数平均分子量が約1300であり、骨格の約20%がビニル二重結合である、末端がヒドロキシルのポリブタジエンは、得られるターポリマーに酸素捕捉能を付与することができず、他のすべての因子は同じである。したがって、本発明は、数平均分子量(Mn)が1400よりも大きいこと、好ましくは少なくとも約2800であることが好ましい。
【0028】
本願の出願時に、数平均分子量が約1400〜2800であり、末端がヒドロキシルのポリブタジエンは市販されていない。しかし、これ以降に、本発明の範囲は、Mnが約1400よりも大きく、反応して、酸素捕捉能を有するターポリマーを生成するような不飽和官能性ポリマー還元要素を含むように修正されるべきである。
【0029】
式IIは、末端がヒドロキシルのポリブタジエンを示し、式中、nは、25よりも大きくなければならない。
【0030】
【化2】

(接続要素)
ターポリマーを調製するために、接続要素を用いる。任意の市販の鎖伸長剤が、接続要素として用いる候補物質であるが、環状PBTおよび不飽和官能性ポリマーの両方と適合性であり、反応性でなければならない。
【0031】
接続要素として優れた候補物質は、BASF CorporationからJoncryl(登録商標)という名称の鎖伸長剤で上市されているエポキシ官能基スチレン−アクリレートオリゴマーである。
【0032】
エポキシ官能基低分子量スチレン−アクリレートコポリマーに関するさらなる情報は、米国特許第6,605,681号(Villalobosら)および米国特許第6,984,694号(Blasiusら)に開示されており、本明細書に参考として組み込まれる。
【0033】
参考文献としてこれらの特許を用いて言いかえると、オリゴマー鎖伸長剤は、(i)少なくとも1つのエポキシ官能基(メタ)アクリルモノマーと;(ii)少なくとも1つのスチレンモノマーおよび/または(メタ)アクリルモノマーとの重合生成物であり、この重合生成物は、エポキシ当量が約180〜約2800であり、数平均エポキシ官能基(Efn)値が、約30未満であり、重量平均エポキシ官能基(Efw)値が約140までであり、数平均分子量(Mn)値が6000未満である。好ましくは、オリゴマー鎖伸長剤の多分散性指数は、約1.5〜約5である。
【0034】
BASFから入手可能であり、有用な種々のJoncryl(登録商標)グレードは、ADR−4300、ADR−4370−S、ADR−4368−F、ADR−4368−Cであり、これらはすべて固体である。または、液体グレードのもの、つまり、ADR−4380、ADR−4385、ADR−4318を用いてもよい。
【0035】
特に好ましいのは、Joncryl(登録商標)ADR−4368−Cグレードである。このグレードの数平均分子量は、3000未満であり、ポリマー鎖あたりのエポキシ官能基が約4個より多い。
【0036】
エポキシ官能基は、環状PBTおよび不飽和官能性ポリマーの両方と反応し、生鮮食品または飲料が入ったプラスチック包装物品の中の酸素を捕捉する際に優れた還元剤として機能するのに適したコポリエステルターポリマーを形成するのに適している。
【0037】
式IIIは、エポキシ官能基スチレン−アクリレートポリマーを示し、式中、R〜Rは、H、CH、2〜10個の炭素原子を有する高級アルキル基、またはこれらの組み合わせであってもよく;Rは、アルキル基であってもよく;x、y、zは、それぞれ、1〜20であってもよい。
【0038】
【化3】

本発明で合成されたターポリマーは、酸素分子と反応することが可能な高分子であり、このような高分子が存在する物品表面および物品の壁の大部分の中で酸素分子を捕捉する。高分子ターポリマーを用いる利点は、高分子ターポリマーが揮発性ではなく、食品または飲料を保持する熱可塑性物品に含まれる容積の中を移動しないことである。高分子は、熱可塑性配合物から移動しない。
【0039】
ターポリマーを形成するためのベースとなる要素、不飽和官能性ポリマー還元要素、接続要素の組み合わせは、このターポリマーが、物品への良好な分散性を与えるためにプラスチック物品の熱可塑性マトリックスと適合性であるため、本発明の使用を適切なものにする。または、ターポリマーは、熱可塑性マトリックスと分子レベルで良好な適合性を有しており、透明性および透過性を最適化する。最も好ましくは、ターポリマーは、熱可塑性マトリックスと混和性である。
【0040】
ターポリマーの酸素捕捉性は、ターポリマーが重合した後に、不飽和官能性ポリマー還元要素の未反応部分として残る炭素−炭素不飽和結合が存在することによって生じる。これらの炭素−炭素不飽和結合は、酸素分子と反応しやすい。実際に、この高分子のポリマーとしての他の使用は、酸素の存在下で崩壊していくことからわかり、熱可塑性マトリックスに対し、この高分子を、酸素を捕捉する添加剤として使用することは、本発明で有益である。
【0041】
ターポリマーは、重合中に上記の3種類の要素の触媒によって利益を得る。市販の触媒を用いてもよい。現時点で好ましいのは、有機チタネート、例えば、チタンテトラキス(2−エチルヘキサノレート)(CAS番号1070−10−6)である。
【0042】
ターポリマーは、上述の3種類の要素をさまざまな量で含んでいてもよいが、酸素捕捉能が、酸素を還元し、プラスチック包装物品の内部容積から酸素を取り除くのに利用可能な未反応の炭素−炭素不飽和結合の数と直接関係があるため、不飽和官能性ポリマー要素が多量であること、好ましくは大部分であることが好ましいことがわかっている。
【0043】
ターポリマーは、高分子であり、プラスチック物品の塊から、プラスチック物品の表面への移動または「ブルーミング(blooming)」は起こりにくいが、プラスチック包装物品の壁の大部分または壁表面のどちらであるかにかかわらず、ターポリマーと接触する遊離酸素分子によって酸化しやすい不飽和炭素−炭素部分を有している。実際に、この酸化しやすさによって、高分子ターポリマーが還元剤となり、それぞれの酸素分子−不飽和炭素結合反応が、本発明のターポリマーを用いて作られた飲食品用容器または包装の中で移動する酸素分子を捕捉する事象である。
【0044】
表1は、ターポリマーについて、許容範囲の成分の相対重量%、望ましい成分の相対重量%、好ましい成分の相対重量%を示す。
【0045】
【表1】

(ターポリマーの重合)
ターポリマーの重合は、バッチ操作または連続操作で行うことができる。
【0046】
連続プロセスでの重合は、典型的には、押出機のヘッド部で、末端がヒドロキシルの液体ポリブタジエンのような不飽和官能性ポリマー、接続要素、重合触媒を加え、ベースとなる要素を溶融させるのに十分な温度まで上がった押出機で行う。押出機の速度は、毎分約20回転〜毎分約600回転(rpm)、好ましくは、約500〜約550rpmの範囲であってもよいが、実際の条件は、押出機の直径、長さ/距離の比率などによるだろう。例えば、16mm ZSK Prismツインスクリュー式押出機は、約50〜75rpmで操作すべきであり、一方、18mm Leistritzツインスクリュー式押出機は、500〜550rpmで操作すべきである。典型的には、押出機から出たものを、プラスチック包装物品の熱可塑性マトリックスと混合するためにペレット化する。
【0047】
バッチプロセスでの混合は、典型的には、他の2種類の要素との混合および反応をうまく行うために、ベースとなる要素を溶融させるのに十分な温度まで上げたBanburyミキサーで行う。混合速度は、60〜1000rpmの範囲である。また、ミキサーから出たものを、上で説明したように後で混合するために小さく切断する。
【0048】
重合によって、少なくとも約98%のターポリマーが得られ、すべて、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールの5%クロロホルム溶液を用いたポリスチレンを試験リファレンスとして用いるゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定した場合、重量平均分子量(Mw)は約15,000であり、数平均分子量(Mn)は約8,000であり、多分散性は約1.82〜約1.95である。このターポリマーは、示差走査熱量測定(DSC)によって、融点が約210〜215℃であることがわかった。
【0049】
(ターポリマーのマスターバッチ)
ターポリマーは、プラスチック物品を作成するための射出成形時に、熱可塑性マトリックスおよび他の成分に加えるためのマスターバッチまたは濃縮物として機能してもよい。マスターバッチとして用いられる場合、ターポリマーは、他の成分(例えば、触媒、着色剤、他の機能性添加剤)のためのキャリアとして働く場合がある。キャリアが最終的なプラスチック物品の活性成分であるようなマスターバッチの形成は、当業者には十分に知られた技術である。ターポリマーが、熱可塑性マトリックスに溶融混合している間に別の「熱履歴」を受けないように、ターポリマーのマスターバッチが好ましい。
【0050】
(熱可塑性マトリックス中のターポリマーの配合物)
ターポリマーを、単独で熱可塑性マトリックスに混合してもよいが、この配合物は、好ましくは、酸化触媒を用いることで利点が生まれ、酸素との還元反応を助けるものである。
【0051】
実際に、触媒が用いられる場合、ターポリマーと混合する前に、熱可塑性マトリックスに触媒をあらかじめ混合しておくか、または、ターポリマーおよび熱可塑性マトリックスとともに成形する前に、マスターバッチキャリアにあらかじめ混合しておくことができる。
【0052】
(ターポリマーの還元要素のための酸化触媒)
触媒は、ターポリマーの不飽和還元剤要素を活性化するのに役立つだろう。触媒は必須ではないが、あると好ましい。存在する場合、触媒は、光によって活性化する触媒、水分によって活性化する触媒、熱によって活性化する触媒などであってもよく、これらはすべて、当業者には十分に知られている。
【0053】
本発明のターポリマーは、触媒作用を必要とせずに、酸素の捕捉を進めることができる。例えば、包装に食品または飲料を充填するのと同時、またはほぼ同時に作成される包装は、酸素分子の還元を開始するために活性化させる必要がないような酸素捕捉剤から利点を受けることができる。
【0054】
しかし、ある特定の産業では、酸素分子の還元剤として機能するターポリマーが、包装または容器を作成するまでは作用しないことが非常に重要である。飲料瓶および他の液体の容器は、最終的な寸法の開口部を有するが、最終的な容積の形にはなっていない、いわゆる「予備成形品」を作成する工程と;この予備成形品を、最終的な寸法を有する容器、入れ物または瓶に成形する第2の工程の2工程で作られることが多い。例えば、水、ソフトドリンク、ビールの瓶は、適切な寸法のネジ口を備えており、残りの部分は、へこんだ瓶であるか、または先端が切断された試験管に似た、非常に形の崩れた状態である予備成形品から出発する。瓶詰め工場では、飲料を充填する直前に、この予備成形品を吹込み成形によって膨らませ、1リットル瓶または0.5リットル瓶を形成する。
【0055】
吹込み成形および充填の前に、保存中の環境にさらされている予備成形品の状態で酸素捕捉性を無駄に使いたくないため、ターポリマーの酸素捕捉機能の相対的な休止状態は、飲料産業にとって重要である。したがって、この産業にとって、特に、予備成形品に依存する任意の他の産業(例えば、ヘルスケア産業または化粧品産業)にとって、酸素の捕捉開始は、予備成形品が作られた後に、なんらかの事象によって引き起こされることが必要である。
【0056】
触媒の非限定的な例は、遷移金属(熱によって活性化する)、ベンゾフェノン(光によって活性化する)である。ターポリマーに対する触媒の濃度は、酸素捕捉に関与するには、ターポリマーあたり、10ppmと少なくてもよい。
【0057】
触媒の中で、遷移金属塩は、熱によって活性化するため、最も好ましい。このような塩としては、コバルト、セリウム、マンガンなどの塩が挙げられる。これらの種類の触媒は、予備成形品から吹込み成形された瓶の形成を、最終的な成形のために予備成形品を溶融させるために高温で行うときに、ターポリマーを活性化させ、高分子酸素還元剤として機能させるのに適している。
【0058】
市販の触媒の非限定的な例は、酸化可能な有機配合物を酸化する触媒として役立つステアリン酸コバルト(CAS番号13586−84−0)である。
【0059】
(任意の添加剤)
食品または飲料の包装または酸素感受性の電子部品として用いられるプラスチック物品は、熱可塑性マトリックスと、酸素分子の還元剤と、場合により、還元剤のための酸化触媒とを含む熱可塑性配合物の望ましい処理特性または性能特性を得るのに十分な量で従来のプラスチック添加剤を含んでいてもよい。添加剤の量は、無駄に多くなく、配合物の加工または性能に悪影響を与えない量であるべきである。熱可塑性プラスチック混合の当業者は、過度の実験をすることなく、Plastics Design LibraryからのPlastics Additives Database(2004)(www.williamandrew.com)のような論文を参照しつつ、本発明の配合物に含めるために、多くの異なる種類の添加剤から選択することができる。
【0060】
任意要素の添加剤の非限定的な例としては、接着促進剤;殺生物剤(抗菌剤、抗真菌剤、防かび剤)、曇り止め剤;静電防止剤;結合剤、膨張剤、発泡剤;分散剤;フィラーおよび増量剤;防火剤および難燃剤、防煙剤;耐衝撃性改良剤;開始剤;潤滑剤;マイカ;顔料、着色剤、染料;可塑剤;加工助剤;剥離剤;シラン、チタネート、ジルコネート;すべり剤およびブロッキング防止剤;安定化剤;ステアレート;紫外線吸収剤;粘度調整剤;ワックス、およびこれらの組み合わせが挙げられる。この配合物が、任意の規制産業においてプラスチック物品として使用される場合、当業者は、規制されている末端用途に適した任意の添加剤のみを選択することをわかっているだろう。
【0061】
表2は、射出成形時、またはあらかじめ混合した配合物として以前にマスターバッチと混合した本発明の配合物について、許容範囲の成分の相対重量%、望ましい成分の相対重量%、好ましい成分の相対重量%を示す。いずれの場合でも、表2は、最終的なプラスチック物品の形態における配合物の配合パラメーターを示す。
【0062】
【表2】

(本発明の有用性)
すでに説明したように、酸化しやすい内容物を含むように設計されている任意の熱可塑性物品は、酸素捕捉剤として機能し、最終形態では物品の一部となる高分子で移動しない新規ターポリマーから利点を得ることができる。本発明の配合物(新規ターポリマーを含む)から利点を受ける産業は、非常に規制が厳しい飲食品産業から、非常に規制が厳しい高性能エレクトロニクス産業の範囲にわたっていてもよい。
【0063】
酸素が、香料、染料、アミノ酸、ビタミン、脂肪酸、酸化防止剤(他の目的のために存在する)、他の感受性の有機化学物質と反応し得ることが知られている。酸素は、酵素を変換し、酵母、かびまたは細菌の増殖を含む嫌気性プロセスの成長を促進する場合がある。
【0064】
任意の食品または飲料、医薬または化粧品、または酸素分子と非常に反応性が高い任意の他の材料は、本発明から利点を受けることができる。食品および他の腐りやすい材料の保存可能期間は、高分子還元剤、好ましくは、適切なときに触媒によって活性化される高分子還元剤が存在することによって延ばすことができる。
【実施例】
【0065】
(実施例1および2および比較例A−−ターポリマーの調製)
実施例1および2および比較例Aは、ベースとなる要素、不飽和部還元要素、接続要素からのターポリマーの調製に関する。
【0066】
表3は、成分および配合を示す。表4は、Prism 16mm 40 L/D ツインスクリュー式押出機における反応性押出条件を示す。
【0067】
【表3−1】

【0068】
【表3−2】

【0069】
【表4】

ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用し、実施例1および2について、転化率、ポリスチレンを基準とする分子量を分析した。以下の材料を用いて試験を行った。1ガロン瓶にリサイクルされる、5% HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を含むクロロホルム移動相;Phenomenex Phenogel 5μm Linear column(直列に2つ)。300×7.8mm(L×直径)、P/N 00H−3259−KO;サンプルを溶解するために、ヘキサフルオロイソプロパノール/塩化メチレン 25/75容積/容積;サンプルを希釈するために、クロロホルム;サンプルを濾過するための0.45μm TeflonTMシリンジフィルター;クリンプトップとTeflonTM障壁を有するゴム製シールとを備えるオートサンプラー用バイアル;ポリスチレンMW標準:3,500、30,000、115,000、400,000、2,000,000。
【0070】
これらのサンプルは、以下のように調製した。(1)ほぼ20〜50mgのサンプル(樹脂の重量)を5mLバイアルに入れた。(2)25% HFIP/75%CHCl混合物1mLを加えた。このバイアルのふたをしっかり閉めた。(3)必要な場合には、わずかに温めながら、樹脂が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。(4)クロロホルム3mLをバイアルに加えた。(5)この溶液を、0.45μmシリンジフィルターを介してオートサンプラー用バイアルに濾過した。バイアルの上部を圧着した。
【0071】
GPC装置は、以下の設定を有していた。(a)カラムを通る流速1mL/分で1ガロン瓶にリサイクルされる、5% HFIPを含むクロロホルム。(b)ポンプ圧は、20〜30barであった。(c)サンプルの注入量は1μLであった。(d)カラムオーブンの温度は40℃であった。検出波長は254nmであった。
【0072】
GPCの結果を、N雰囲気下、TA Instrument DSC 2010装置によって、加熱速度10℃/分で決定される融点とともに、表5にあらわしている。
【0073】
【表5】

酸素捕捉剤としてのターポリマーの性能を評価するために、示差走査熱量測定(DSC)を用いた。ASTM D385−06にしたがって、この試験方法は、サンプルを高温まで加熱し、平衡状態に達したら、周囲の雰囲気を窒素から酸素に変えることからなる。実施例1および2、比較例Aの場合、120℃を選択した。酸化が開始するまで、最初に酸素にさらされる時間は、酸化誘発時間(OIT)と考える。特定のOIT測定手順は、以下の通りであった。
【0074】
(1)熱流量、ガス(O & N)の流速50cc/分、温度計について、熱量計を較正した。
【0075】
(2)6〜8mgのサンプルを小片として秤量した(必要な場合、切断する)
(3)Nとともに、流速50cc/分で15分間、サンプルをサンプルセルに入れた。
【0076】
(4)N雰囲気下、サンプルを加熱速度20℃/分で設定温度まで加熱し、熱流量を記録した。
【0077】
(5)N中、設定温度で10分間保持し、熱流量の記録を続けた。
【0078】
(6)流速50cm/分で、NからOに切り替えた。
【0079】
(7)O中、サンプルを一定の設定温度に保持し、120分間熱流量を記録し続けた。
【0080】
(8)初期酸化時間およびピーク酸化時間のデータを集めた。
【0081】
表6は、実施例1および2、比較例AのOITの結果を示す。
【0082】
【表6】

OITの結果が、酸素との良好な反応性を示しているため、OITの結果は、実施例1および2が、両方とも酸素を捕捉するための良好な候補物質であることを示していた。比較例Aは、試験中に、酸化の指標である発熱ピークが得られなかった。別の比較例Aのサンプルを作製し、再び試験し、再び発熱ピークは得られなかった。
【0083】
(実施例3〜4、比較例A〜B)
実施例3および4は、それぞれ、酸素を捕捉する触媒も含むポリエステル熱可塑性マトリックス中、実施例1および2のターポリマーを使用した。比較例Aは、ポリエステルそのものであった。比較例Bは、主要な市販の酸素捕捉剤をマスターバッチの形態で含むコポリエステル熱可塑性マトリックスの溶融混合物であった。
【0084】
表7は、成分および配合を示す。
【0085】
【表7】

実施例3および4、比較例AおよびBを、1個の空洞を有するBOY50M射出成型機を用いて、25gの予備成形品へと射出成形し、水で冷却し、予備成形の型は、ノズルでの射出温度が260℃、ホッパ温度が275℃、射出サイクル時間が約25秒であった。次いで、予備成形品を、125℃の温度で操作するPOLIOL PA−1成形機を用い、容積が370mlの瓶へと吹込み成形した。
【0086】
次いで、実施例3および4、比較例AおよびBの瓶サンプルについて、以下の試験方法を用いて酸素透過率(OTR)を調べた。
【0087】
最初に、22.2℃、相対湿度50%の環境下で、空の試験瓶をエポキシで金属板に貼り付けた。次いで、この瓶をMocon Oxtran機に取り付け、酸素透過率を測定する。所与の試験間隔で瓶の酸素透過率が平衡状態に達したら、瓶をMocon Oxtranから外し、瓶をパージングシステムに移動させることによって、内部に99.9%窒素/0.1%水素を連続的にパージした。瓶をパージングステーションから取り出し、完全に平衡状態になるまで測定セルに置くことによって、瓶の酸素透過率を1ヶ月に1回、4ヶ月まで測定した。表9は、その結果を示している。
【0088】
【表9】

実施例3および4の性能は、比較例Bと比べて、比較例Bから作られた瓶に酸素捕捉添加剤を5倍量加えても、良好である(3% 対 0.6%)。実際に、実施例3は、4ヶ月間にわたって、存在する還元剤の量が5分の1の状態であっても、比較例Bの酸素捕捉剤よりもかなり良好な性能である。
【0089】
(実施例5〜9、比較例C〜E)
商業的な装置の環境で、信頼度の高い状態で、不定形のポリエステル、触媒、着色剤を含むマスターバッチを用い、実施例2のターポリマー調合物を用いた配合物において、さらなる試験を行った。しかし、ターポリマーについて商業的な条件を模倣するために、実施例2を、表10に定義されている押出条件で、もっと大きな反応押出機で作製した。表11は、成分、成形方法、結果を示す。
【0090】
【表10】

成形法Aは、1リットルのプラスチック瓶へと吹込み成形される予定の予備成形品を成形する商業的な成形操作を用いた。この成形機は、300℃の温度で、約11秒間のサイクル時間で質量35gの72個の予備成形品を製造する、72個の空洞を有していた。次いで、方法Aを用い、実施例5および6、比較例Cのそれぞれの瓶サンプルについて、実施例3および4を調べたのと同じ試験法だが、22.2℃、相対湿度50%ではなく、大気条件下で試験方法を用い、酸素透過率(OTR)を調べた。表12は、その結果を示す。表12から、実施例5および6は両方とも、比較例C(すなわち、実施例2のターポリマーを含まないPET瓶)よりもかなり大きな酸素捕捉性を示したことが示されている。また、実施例6は、実施例5よりもかなり低いOTRを示し、このことは、使用した着色剤が、実施例2のターポリマーの酸素捕捉活性を高めていることを示していることを注記しておく。
【0091】
成形法Bは、0.5リットルのプラスチック瓶へと吹込み成形される予定の予備成形品を成形する商業的な成形操作を用いた。この成形機は、305℃の温度で、約10秒間のサイクル時間で質量24gの48個の予備成形品を製造する、48個の空洞を有していた。次いで、方法Bを用いた実施例7および9、比較例Dそれぞれの瓶サンプルを、以下の試験方法を用い、OxySense(登録商標)210 Tシステムを用いて酸素の侵入量について調べた。その結果を表13および14に示しており、試験手順は、以下のとおりである。
【0092】
1.試験対象のそれぞれの変数の瓶を集める。
【0093】
2.小さなアルミニウム秤量皿に、少量のシリコーンのりを絞り出す。
【0094】
3.O2xyDot(登録商標)(O2xyDot(登録商標)は、酸素濃度の関数として蛍光が変化する、染み込ませた特殊な染料「センサードット(sensor dot)」を含んでいる)を、減圧ペンを用いて包装から除去し、光沢のある(ガラス基板)側を上にする。のりの上に切断したQチップを浸し、ドットの光沢のある側にのりを付ける。
【0095】
4.充填線の下の平坦な表面の中のスポットに、瓶の内側に1個のドットを置き、予想される充填線の上にさらなるドットを置く。一連のすべての瓶について、同じ位置にドットを置くようにする。
【0096】
5.15〜30分間かけて、のりを完全に乾かす。
【0097】
6.フェンダーウォッシャーに通し、1/2インチのゴムセプタムを可能な限り遠くに引っ張り、余分なセプタムを切り取ることによって金属密閉部を作成する。
【0098】
7.滅菌蒸留水を用い、充填線まで瓶を満たす。
【0099】
8.小さなエポキシの環を貼り付け、瓶を仕上げ、ウォッシャーに押し付ける。
【0100】
9.別のエポキシの環とセプタムを仕上げ部の周囲に貼り付け、漏れがないように十分に密着させる。
【0101】
10.15〜30分間かけて、エポキシをすばやく固定し、硬化する。
【0102】
11.2個の18G針をそれぞれのセプタムに配置し、1個は、水を満たしたシリンジに接続し、2個めは、99.99%窒素のタンクに接続する。窒素パージ用の針は、気体の泡が水の充填線よりも下にくるように、針を延ばす。
【0103】
12.65〜70cc/分の速度で、少なくとも3〜4時間かけて瓶をパージし、酸素濃度を0.5%未満まで下げる。3時間後、瓶の中の酸素量をOxySense(登録商標)210T分析機を用いて調べ、パージ時間を延長することが必要かどうかを決定する。
【0104】
13.パージステーションから瓶を除去し、瓶のヘッドスペースおよび充填線の下の両方に配置したOxyDot(登録商標)から初期の値を読み取る。
【0105】
14.試験時間中、保存のためにサンプルを72°F/50%RH中に置く。
【0106】
15.所定の間隔で瓶を除去し、OxySense(登録商標)システムを用いて酸素濃度を読む。
【0107】
16.その時点での酸素濃度の読みから、初期の酸素濃度を引くことによって、酸素の侵入量を決定する。
【0108】
表13は、それぞれ水を充填した瓶の水内容物中の酸素侵入量を示し、表14は、それぞれの水を充填した瓶のヘッドスペースの酸素侵入量を示す。表13および14において、それぞれの水内容物またはヘッドスペースのいずれかでの負の値の酸素侵入量は、水内容物またはヘッドスペースに酸素が侵入していないというだけではなく、充填している間に、水内容物またはヘッドスペースに酸素が捕捉され、瓶の側壁にある酸素捕捉添加剤によって消費されたことを意味する。
【0109】
表13および表14が示しているように、実施例2のターポリマーを0.45〜1.2wt%の保持量で加えた実施例7〜9の瓶は、比較例Dよりも、水内容物またはヘッドスペースへの酸素侵入がかなり少ないことを示していた。しかし、実施例7および8は、比較例E(MXD6ポリアミド技術)よりも効果が低いが、コポリエステルに由来する酸素捕捉剤のリサイクルは、ポリアミドベースの酸素捕捉剤が熱酸化による脱色により持続可能性が悪化するため、ポリアミドベースの酸素捕捉剤のリサイクルよりも容易であるため、商業的に現実味があるという点で利点がある。
【0110】
さらに、実施例9の瓶は、実施例2のターポリマーを保持量1.2wt%で含んでおり、比較例Eに匹敵し、さらに、好ましいリサイクル持続可能性という利点を有していた。この比較から、当業者および表9の結果に関する知識は、実施例3の性能(実施例1のターポリマーから作られ、実施例4の性能よりも優れている)が、この実験で、比較例Eよりも優れた酸素侵入性能を与え、また、好ましいリサイクル持続可能性を有するだろうことを認識するだろう。
【0111】
【表11】

【0112】
【表12】

【0113】
【表13】

【0114】
【表14】

したがって、過度な実験を行うことなく、当業者は、酸素捕捉能を何倍かに増やすために、ターポリマーの量を増やして混合することができ、傷みやすく、消費可能な食品または飲料が入ったプラスチック包装物品について、保存可能月数にわたって存在する酸素分子または透過する酸素分子に対して還元剤として機能するターポリマーによる捕捉速度を決定することができる。
【0115】
本発明は、上の実施形態に限定されない。特許請求の範囲は以下である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素分子と反応しやすい炭素−炭素不飽和結合を有するターポリマーであって、大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマー、不飽和官能性ポリマー、エポキシ官能基スチレン−アクリレートオリゴマーの重合生成物を含む、ターポリマー。
【請求項2】
前記大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマーが、大環状ポリ(ブチレンテレフタレート)または大環状ポリ(エチレンテレフタレート)、またはこれら両方の組み合わせを含む、請求項1に記載のターポリマー。
【請求項3】
前記不飽和官能性ポリマーが、末端がヒドロキシルのポリブタジエンである、請求項1に記載のターポリマー。
【請求項4】
前記エポキシ官能基スチレン−アクリレートオリゴマーが、(i)少なくとも1つのエポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーと;(ii)少なくとも1つのスチレンモノマーおよび/または(メタ)アクリルモノマーとの重合生成物であり、前記重合生成物は、エポキシ当量が約180〜約2800であり、数平均エポキシ官能基(Efn)値が、約30未満であり、重量平均エポキシ官能基(Efw)値が、約140までであり、数平均分子量(Mn)値が6000未満である、請求項1に記載のターポリマー。
【請求項5】
前記大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマーが、前記ターポリマー中に、前記ターポリマーの約30〜約60重量%の範囲で存在し、前記不飽和官能性ポリマーが、前記ターポリマー中に、前記ターポリマーの約30〜約55重量%の範囲で存在し、前記エポキシ官能基スチレン−アクリレートオリゴマーが、前記ターポリマー中に、前記ターポリマーの約5〜約20重量%の範囲で存在し、前記末端がヒドロキシルのポリブタジエンが、1400より大きな数平均分子量を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のターポリマー。
【請求項6】
前記大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマーが、ターポリマー中、ターポリマーの約35〜約45重量%の量で存在し、前記不飽和官能性ポリマーが、ターポリマー中、ターポリマーの約35〜約55重量%の量で存在し、前記エポキシ官能基スチレン−アクリレートオリゴマーが、ターポリマー中、ターポリマーの約5〜約20重量%の量で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のターポリマー。
【請求項7】
前記大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマーが、前記ターポリマー中、前記ターポリマーの約40重量%〜約45重量%の量で存在し、前記不飽和官能性ポリマーが、前記ターポリマー中、前記ターポリマーの約40重量%〜約55重量%の範囲で存在し、前記エポキシ官能基スチレン−アクリレートオリゴマーが、前記ターポリマー中、前記ターポリマーの約5重量%〜約10重量%の範囲で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のターポリマー。
【請求項8】
前記ターポリマーは、すべて試験リファレンスとしてポリスチレンを用いるゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定した場合、重量平均分子量(Mw)が約15,000であり、数平均分子量(Mn)が約8,000であり、多分散性が約1.82〜約1.95である、請求項7に記載のターポリマー。
【請求項9】
前記ターポリマーは、示差走査熱量測定(DSC)によって測定すると、融点が約210〜215℃である、請求項8に記載のターポリマー。
【請求項10】
(a)熱可塑性ポリマーマトリックスと;(b)請求項1〜9のいずれかに記載のターポリマーとを含む、熱可塑性配合物。
【請求項11】
酸素分子の還元剤として機能するターポリマーのための触媒をさらに含む、請求項10に記載の配合物。
【請求項12】
接着促進剤;殺生物剤(抗菌剤、抗真菌剤、防かび剤)、曇り止め剤;静電防止剤;結合剤、膨張剤、発泡剤;分散剤;フィラーおよび増量剤;防火剤および難燃剤、防煙剤;耐衝撃性改良剤;開始剤;潤滑剤;マイカ;顔料、着色剤、染料;可塑剤;加工助剤;剥離剤;シラン、チタネート、ジルコネート;すべり剤およびブロッキング防止剤;安定化剤;ステアレート;紫外線吸収剤;粘度調整剤;ワックス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される機能性添加剤をさらに含む、請求項10に記載の配合物。
【請求項13】
前記ターポリマーが、前記配合物の約0.1〜約3重量%含まれる、請求項10に記載の配合物。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1項に記載の配合物を含む熱可塑性物品。
【請求項15】
前記物品が、瓶の予備成形品である、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記物品が、吹込み成形された瓶である、請求項14に記載の物品。
【請求項17】
前記瓶に、酸化しやすい生鮮食品または飲料が入っている、請求項14に記載の物品。
【請求項18】
熱可塑性物品の中の酸素を捕捉する方法であって、
(a)酸素分子の還元剤を熱可塑性配合物へと混合することと、
(b)前記熱可塑性配合物から物品を作成することとを含み、
ここで、前記還元剤は、請求項1〜9のいずれかに記載のターポリマーであり、
前記ターポリマーは、酸素分子と反応しやすい炭素−炭素不飽和結合を有する、方法。
【請求項19】
工程(a)は、前記熱可塑性混合物に触媒を混合することも含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ターポリマーが、炭素−炭素不飽和結合との反応によって酸素分子を還元し、それによって、前記物品から酸素分子を捕捉する、請求項18または19に記載の方法。

【公表番号】特表2012−530808(P2012−530808A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516294(P2012−516294)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/038977
【国際公開番号】WO2010/148188
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(502387566)ポリワン コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】