説明

酸素バリア層を備えたパイプ及び継手システム

【課題】酸素バリア層を備えたパイプを提供することを目的とするものであり、パイプ抜け防止部材等によって表面にパイプ抜け防止部材の爪が食い込んだとしてもこの中間層にまでは達することがなく、酸素バリア性が永久に保たれることとなったものである。
【解決手段】内層11及び外層12とその間に挟まれる酸素バリア性を有する中間層13とよりなることを特徴とする酸素バリア層を備えたパイプであり、かかるの三層は樹脂材料であって、共押出し成形によって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給水や給湯の配管に用いられるパイプ及び継手システムに関するものであり、更にいえば、酸素バリア層を有するパイプ及び継手システムにかかるものである。
【背景技術】
【0002】
近年になり、給水・給湯用パイプとしてポリブテンや架橋ポリエチレン等で製造されたパイプが用いられるようになってきた。しかしながらこの種のパイプは大気中の酸素の透過があり、パイプ中の流体に大気より酸素が侵入することとなる。これによって本来的に改良されるべき問題が発生した。
【0003】
例えば、北海道や東北地方の寒冷地等では壁に添ってパネルヒ−タ−が設置されるケ−スが多くなってきたが、温水が流れるヒ−タ−本体は鉄製である。このため、温水中に酸素が含まれていると永年の使用によってヒ−タ−本体に錆の発生が生じてしまうという問題があった。このため、用いられるパイプの表面に酸素バリア層を形成することが行われている。
【0004】
しかしながら、上記のパイプ同士の接続やパイプと各種器具への接続の際に、止水リングとパイプ抜け防止部材が内蔵された継手を用いて接続するのが一般的である。特に、パイプ抜け防止部材にあってはパイプに向かって爪が形成され、この爪がパイプに食い込んで接続・固定されるものである。
【0005】
図1は継手一例を示す図であり、継手内に止水リング1とパイプ抜け防止部材2が内蔵され、抜けを防止するためにソケット3が装着されている。このパイプ抜け防止部材2の内周面には爪4が形成されている。従って、ソケット3よりパイプ5が差し込まれると、パイプ5の表面に止水リング1が接触して漏水を防止し、パイプ抜け防止部材2の爪4がパイプ5の表面に食い込んでパイプ5の抜けを防止するものである。
【0006】
しかしながら、酸素の侵入を防ぐためにパイプ5の表面に酸素バリア層5aが形成されている場合には、この食い込んだ爪4によって酸素バリア層5aが破壊されてしまうことがある。即ち、酸素バリア層5aがパイプ5の外表面に配置されていたため、施工時のパイプ取り回し時の引き摺り等により、酸素バリア層5aを傷付けてしまう懸念があった。又、従来のパイプ5では、給水・給湯分野で広まっているパイプ抜け防止部材2を用いた継手を採用することを困難にしていた。接続時に継手の爪4で酸素バリア層5aを傷付けてしまうからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、酸素バリア層を備えたパイプを提供することを目的とするものであり、パイプ抜け防止部材等によって表面に爪が食い込んでもその機能を失うことのないパイプ及び継手システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は、内層及び外層とその間に挟まれる酸素バリア性を有する中間層とよりなることを特徴とする酸素バリア層を備えたパイプ(請求項1)にかかるものであり、好ましくは、かかるの三層は樹脂材料(請求項2〜3)であって、共押出し成形(請求項4)によって得られるものである。
【0009】
そして、パイプ継手システムとしては、NBRやEPDM等の止水Oリングと、ブチルゴム等の酸素不透過性Oリングとを備えたパイプ継手を採用する(請求項5、6)ことによりより大きな特徴が発揮されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって得られたパイプはバリア層がパイプの中間に存在(請求項1)するため、内外層、特に外層にてかかる層が保護されており、例えばパイプ抜け防止部材の爪が食い込んだとしてもこの中間層にまでは達することがなく、酸素バリア性が永久に保たれることとなったものである。
【0011】
一方、パイプ継手システム(請求項5、6)としては、パイプの表面と接するOリングの機能を分け、特に酸素不透過性のOリングを用いることによって更に特徴が増大するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のパイプは前述した通り給水・給湯用のパイプに最適なものであり、酸素バリア性を有する層をパイプの肉厚中央部に配置した(請求項1)もので、施工時の酸素バリア層の傷付きを防止し、パイプ抜け防止部材等が使用される継手に対応できるタイプとしたものであり、装着は完全であり、しかも、大気からの酸素がパイプ内に侵入することがなく、流体中に不要な酸素が入り込まないため、例えば鉄製のパネルヒ−タ−本体が錆びる等という欠陥は生じなくなるという特徴がある。
【0013】
勿論、本発明のパイプの使用箇所に制限はないが、水道水を流すような場合には、内層は水道水中に含まれる塩素等によって侵されない材料を採用すべきであり、内層はパイプに流される流体に侵されてしまうものであってはならない。又、使用される場所によっては、パイプに柔軟性を持たせたり、耐摩耗性を持たせたりする必要があるが、これらの要求を満足する材料を選択する必要があることは言うまでもない。
【0014】
酸素バリア層(中間層)として好適な材料としては、エチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド(MXD6)等がある(請求項2)。尚、酸素バリア層の埋設位置としてはパイプ抜け防止部材の爪の食い込みに影響されない位置が好ましいことは言うまでもなく、通常では、内外層を形成する材料、パイプ抜け防止部材の爪の長さや大きさ、パイプ抜け防止部材に加わる圧力等にもよるが、爪が食い込む側からみて約10〜20%程度のパイプ厚みにまで食い込むこととなる。従って、20%以上の部位に酸素バリア層を形成するのがよく、好ましくは、爪が食い込む側より40〜70%の厚さの部位に酸素バリア層を形成しておくのがよい。
【0015】
内層及び外層としては、樹脂及びゴム材料が選択され、樹脂材料としては例えばポリブテン、架橋ポリエチレン、塩ビ、ポリアミド等が挙げられる(請求項3)。又、ゴム材料としては、例えばブチルゴム、臭素化ブチルゴム、エチレン・プロピレン共重合体(EPDM)、ニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、CSM等が挙げられる。選択される内外層の材料は同じ材質であっても別材質であってもよい。尚、ゴム材料が用いられる場合には、繊維補強層(例えば、PET、PEN、ポリエステル、ポリアミド等)が更に用いられる場合がある。
【0016】
特に、本発明のパイプが給水・給湯用パイプとして用いられる場合には、内外層をポリブテン、架橋ポリエチレン、塩ビ、ポリエチレン等の樹脂で構成(請求項3)し、中間の酸素バリア層として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド(MXD6)等(請求項2)を用いて、三層共押出成形(請求項4)によって得られる樹脂パイプが好適である。
【0017】
本発明の特徴を更に発揮させるためには、パイプ継手側にも工夫を凝らす継手システムとすることが好ましいことは勿論であって、例えば、従来ではNBRやEPDM等の止水Oリングをもって酸素不透過性を兼ねていたが、これとは別にブチルゴム等の酸素不透過性Oリングを備えることによって大きな効果がもたらされることとなる。
【0018】
第1のシステム(請求項5)としては、二つの段部を形成した継手基体と、大径の段部内に止水Oリング及びパイプ抜け防止部材を内蔵し、これらの抜けを防止するキャップを継手基体に装着されたパイプ継手であって、前記止水Oリング4と並列に酸素不透過性Oリングを備え、請求項1乃至4記載の酸素バリア層を備えたパイプを継手基体の小径の段部内に差し込んだことを特徴とするパイプ継手システムである。
【0019】
第2のシステム(請求項6)としては、パイプの内周に差し込まれる内筒を備えた継手基体と、内筒を覆うパイプ抜け防止部材と、当該パイプ抜け防止部材の抜けを防止するキャップを継手基体に装着されたパイプ継手であって、内筒に止水Oリングと酸素不透過性Oリングを並列に備え、請求項1乃至4記載の酸素バリア層を備えたパイプを内筒に差し込んだことを特徴とするパイプ継手システムである。
【実施例】
【0020】
以下、実施例をもって本発明を更に説明する。図2は本発明の酸素バリア層を備えた樹脂パイプ10の断面図である。図中、11は内層を形成するポリブテン樹脂層であり、12は外層を形成するポリブテン樹脂層である。この内外のポリブテン層のほぼ50%(中間)の位置に酸素バリア層13としてEVOH樹脂層が挟まれたもので、その厚さは約0.5mmである。これらの三層は同時に共押出し成形されたものである。
【0021】
図1に示すパイプ抜け防止部材2を用いたいわゆるワンプッシュ型継手に、図2に示した樹脂パイプ10を差し込んで装着した。尚、樹脂パイプ10の差し込み先端にはサポ−トスリ−ブ20を挿入した。止水は止水リング1が樹脂パイプ10の外表面に接触して完全に止水機能を発揮した。
【0022】
一方、樹脂パイプ10の抜けであるが、パイプ抜け防止部材2の爪4が表面に食い込んで抜けが防止された。この際、爪4は樹脂パイプ10の外層12に食い込むこととなるが、酸素バリア効果のある中間層13には達することがなく、両者の装着・離脱を繰り返したが、パイプ抜け防止部材2及び止水リング1の接触による影響はなく、酸素バリア層(中間層)13は無傷であり、バリア効果も完全であった。
【0023】
尚、図1に示した同種の継手には、パイプ10の内表面に止水リング1が接触する構造のものもあるが、これまた内層11によって酸素バリア層13が守られるため、バリア効果も万全であることは言うまでもない。
【0024】
図3はパイプ継手システムの第1を示す図である。この例では、継手基体31に二つの段部32、33が形成されている。そして、大径の段部32内に止水Oリング34及び酸素不透過性Oリング37、更にはパイプ抜け防止部材35を内蔵し、これらの抜けを防止するキャップ36からなっている。図2に示すパイプ10をキャップ36内に差し込み、止水Oリング34及び酸素不透過性Oリング37はパイプ10の外表面に接触して漏水及び酸素の侵入が防止され、更にパイプ10の外表面にパイプ抜け防止部材35の爪35aが食い込み、抜けが防止される構造となっている。この場合、内側に止水Oリング34を、外側に酸素不透過Oリング37を配置するのがよい。
【0025】
図4はパイプ継手システムの第2を示す図である。図2に示すパイプ10の内周に差し込まれる内筒38を備えた継手基体31と、内筒38を覆う外筒38aが形成され、パイプ抜け防止部材35が外筒38aの先端に配置され、パイプ抜け防止部材35の抜けを防止するキャップ36を継手基体31に装着されたものであり、内筒38に止水Oリング34と酸素不透過性Oリング37を並列に備えたパイプ継手である。図にあって、35bはパイプ抜け防止部材35のパイプ10への食い込みを解除するリングであり、外側より内側に向かって押すことによって食い込みが解除されることとなる。尚、外筒38aは継手基体31と別体に構成されてもよい(31a、31b)。
【0026】
この例では、内筒38の表面に二本の周溝39a、39bを形成し、これに止水Oリング34及び酸素不透過性Oリング37を別々に嵌め込んだものである。第2のシステムにあっては、内側の周溝39aに止水Oリング34を外側の周溝39bに酸素不透過Oリング37を嵌め込むのがよい。
【0027】
ここで示したパイプ継手はパイプがワンプッシュで装着され、Oリングを二つの機能に分け、夫々に最適な材料で構成した二つのOリングを用いたものであり、これによって漏水の防止と酸素の透過を阻止することができることとなったものである。これによりワンプッシュ継手酸素不透過継手として使用でき施工性が飛躍的に向上する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のパイプ及びパイプ継手システムは、以上の構成としたことによりパイプの内外層の中間に酸素バリア層を配したため、パイプ抜け防止部材を用いたような継手に接続してバリア効果が低減せず、又、パイプを加締めて他の部材に接続した場合であっても酸素バリア層は無傷のままとなる。一方、パイプ継手システムにあっても、特に酸素不透過性のOリングを採用することによってそのシ−ル性を増したものである。
【0029】
ここで酸素バリア層の例として例示したEVOHやMXD6は、内部流体の漏れに対してもバリア性の高い樹脂であるため、各所で問題となっている環境対応等の目的で使用することもでき、例えばク−ラ−等の冷媒用パイプにも適用可能である。尚、パイプ内に熱水が満たされる場合には、酸素バリア層が熱水側により近い方が熱水の湿度による特性低下の影響が少ないということも効果としてもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は従来のパイプ及びパイプ抜け防止部材の適用例を示す図である。
【図2】図2は本発明の(樹脂)パイプを示す一部切断側面図である。
【図3】図3は第1のパイプ継手システムを示す図である。
【図4】図4は第2のパイプ継手システムを示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1‥止水リング、
2‥パイプ抜け防止部材、
3‥ソケット、
4‥パイプ抜け防止部材の爪、
5‥パイプ、
5a‥パイプ表面の酸素バリア層、
10‥本発明の樹脂パイプ、
11‥内層、
12‥外層、
13‥中間層(酸素バリア層)、
31‥継手基体、
32、33‥段部、
34‥止水Oリング、
35‥パイプ抜け防止部材、
35a‥爪、
36‥キャップ、
37‥酸素不透過性Oリング、
38‥内筒、
39a、39b‥周溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層及び外層とその間に挟まれる酸素バリア性を有する中間層とよりなることを特徴とする酸素バリア層を備えたパイプ。
【請求項2】
中間層が、エチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド(MXD6)より選ばれた請求項1記載の酸素バリア層を備えたパイプ。
【請求項3】
内外層が、ポリブテン、架橋ポリエチレン、塩ビ、ポリアミドより選ばれた請求項1又は2記載の酸素バリア層を備えたパイプ。
【請求項4】
内外層及び中間層が、三層同時押出し成形によって形成された請求項1乃至3いずれか1記載の酸素バリア層を備えたパイプ。
【請求項5】
二つの段部を形成した継手基体と、大径の段部内に止水Oリング及びパイプ抜け防止部材を内蔵し、これらの抜けを防止するキャップを継手基体に装着されたパイプ継手であって、前記止水Oリングと並列に酸素不透過性Oリングを備え、請求項1乃至4記載の酸素バリア層を備えたパイプを継手基体の小径の段部内に差し込んだことを特徴とするパイプ継手システム。
【請求項6】
パイプの内周に差し込まれる内筒を備えた継手基体と、内筒を覆うパイプ抜け防止部材と、当該パイプ抜け防止部材の抜けを防止するキャップを継手基体1に装着されたパイプ継手であって、内筒に止水Oリングと酸素不透過性Oリングを並列に備え、請求項1乃至4記載の酸素バリア層を備えたパイプを内筒に差し込んだことを特徴とするパイプ継手システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−55786(P2008−55786A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236262(P2006−236262)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】