説明

酸素安定活性剤含有組成物

本発明は、不活性コア粒子を含む水分及び酸素安定組成物に関し、炭水化物マトリックスでカプセル化された少なくとも1の活性化合物で部分的または完全にコーティングされ、当該マトリックスは炭水化物マトリックスの全重量に基づいて、5〜95重量%高分子量フィルム形成炭水化物;5〜30重量%単、二及び三糖類;及び0〜30重量%マルトデキストリンにより特徴付けられ、ここでコーティング粒子はさらに、変性セルロースでコーティングされる。炭水化物マトリックス内にカプセル化される活性化合物はフレーバー剤、香料、医薬品、及び洗浄活性成分からなる群より選択できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の技術分野
本発明は酸素安定活性剤含有組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
発明の背景
フレーバー剤(風味剤)は多くの食品及び非食品製品において添加剤として用いられる。通常、フレーバー剤は砂糖菓子、チューイングガム、歯磨剤などに加えられる。従って、食品へのフレーバー剤、特に揮発性または芳香族フレーバー剤の混和はフレーバー剤研究開発の分野内で徹底して研究されてきた課題である。通常、このような揮発性または芳香族フレーバー剤はコーヒー香料、ミント香料、エステル、アセトアルデヒド、種々の精油、硫黄化合物及びこれらの混合物から選択される。
【0003】
しかしながら、このようなフレーバー剤が直面する問題は酸素に過敏であることであり、特に保存において、フレーバー成分の酸化を導き、言い換えると、香りが失われる。この酸化の結果、消費者の当該製品への認識が弱くなる。
【0004】
このような酸化からフレーバー剤を保護するためにカプセル技術の応用が用いられてきた。それでもやはり、酸化に対して安定した改善された活性剤含有組成物に対する要望が存在する。
【0005】
フレーバー剤の基材も重要である。従来の基材はたいてい軟らかすぎて強い機械的圧力に抵抗できず、特に、チューイングガム作業条件において生じる圧力に抵抗できない。これらのチューイングガム作業条件は通常、温度35〜55℃、及びいわゆるZ−ブレード混合機中で混合することにより生じる高せん断力を含む。通常適当なガム基礎剤(樹脂、乳化剤、PVA、充填剤及びエラストマー)、糖及びシュガー・シロップ(または無糖の同等物)、グリセロール及びフレーバー剤の混合使用により生じる軟らかい構造、及び温度−せん断混合及び最終的な水分含量約1−5%は、フレーバー剤の漏れを生じ、フレーバー剤の損失が早くなり、従って、消費者により製品の悪い点を認識させてしまう。
【0006】
WO02/47492に記載の通り、水分及び酸素安定組成物は、部分的にまたは完全に少なくとも1の活性化合物でコーティングされた不活性コア粒子を含み、当該活性化合物は炭水化物マトリックス内にカプセル化され、当該炭水化物マトリックスが炭水化物マトリックスの全重量に基づいて、5〜30重量%の単、二及び/または三糖類及び0〜30重量%マルトデキストリンと一緒に5〜95重量%の高分子量フィルム形成炭水化物を含む、組成物を用いることにより得ることができ、ガラス状態になることが最近、出願人により見出された。
【0007】
欧州特許A 1 252 892号は、(a)変性セルロース及び(b)少なくとも1の食用水溶性添加剤及び食用ポリマー物質を含む、コーティング剤について記載する。当該コーティング剤は、成分の蒸発により生じる劣化、成分の変化、色変化、変色等から保護すべきコア物質のコーティングに特に効果的であり、好ましくは水の存在下で素早く放出できることが記載されている。
【0008】
無糖基材の必要性により、例えば無糖チューイングガムにおいて、単糖類及び二糖類の使用に制限が強いられ、劣った酸素安定性を生じることがわかっている。この劣った酸素安定性は代替甘味分子、例えばソルビトール、キシリトール、または基材系のガラス転移温度を大きく低下させるその他の甘味剤の使用に関係する。
【0009】
また、チューイングガムなどの特定の製品はその他の製品よりも、ベース材料とフレーバー成分との相互作用に起因して、特に長期間の保存において酸素により敏感であることもわかっている。
【0010】
従って、改善された酸素安定活性剤含有組成物の必要性が存在する。
【0011】
この問題を解決するための1の解決策は組成物に酸化防止剤を組み込むことである。しかしながら、場合によっては組成物が希釈される場合、必要以上の量を加えなければならない。さらに、その他の添加剤同様、使用がより規制される傾向にあり、それによって認可量が減少している。
【0012】
この問題を解決する他の手段は、フレーバー混合物から重大な酸化化合物を取除くことである。しかしながら、これはフレーバー剤プロファイルの実現性を格段に制限する。
【0013】
本発明は、温度上昇に対して可逆ゲル形成特性を有する変性セルロースを用いてさらに粒子をコーティングすることにより酸化に対して非常に安定な粒子が得られることを予期せず見出したものである。さらに、本発明の組成物は過酷な処理条件、特に高せん断条件、すなわち、活性化合物の制限された程度の漏れが観測されるような条件に抵抗できる。
【0014】
発明の概要
本発明の1の側面において、不活性コア粒子を含む酸素安定組成物を提供し、当該不活性コア粒子は部分的にまたは完全に少なくとも1の活性化合物でコーティングされ、当該活性化合物は炭水化物マトリックス内にカプセル化され、当該マトリックスは、炭水化物マトリックスの全重量に基づいて、5〜95重量%高分子量フィルム形成炭水化物;5〜30重量%単、二及び三糖類;及び0〜30重量%マルトデキストリンを特徴とし、前記コーティング粒子は温度上昇に対して可逆ゲル形成特性を有する変性セルロースでさらにコーティングされる。
【0015】
本発明の他の側面において、前記組成物の調製方法を提供し、以下の工程を含む:
(a)5〜95重量%高分子量フィルム形成炭水化物、5〜30重量%単、二及び三糖類、及び0〜30重量%マルトデキストリンを含む炭水化物混合物を含んだ水性炭水化物溶液を形成する工程;
(b)少なくとも1の活性化合物を工程(a)の溶液内に混合する工程;
(c)工程(b)の水性溶液を不活性コア粒子を含む流動床内に導入し、吸気温度40〜120℃、好ましくは60〜100℃を用いて、炭水化物マトリックス内にカプセル化された活性化合物でコーティングされたコア粒子を得る工程;及び
(d)工程(c)の後、濃度2〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の水性溶液として変性セルロースをカプセル化活性剤コーティングコア粒子を含む流動床内に導入し、吸気温度40〜120℃、好ましくは60〜100℃を用いて安定フィルムを前記粒子上に溶着させる工程。
【0016】
本発明のさらなる側面において、前記組成物を含む製品を提供する。
【0017】
本発明のさらに別の側面において、マトリックス内にカプセル化された1以上の活性化合物の酸素安定性を改善するための変性セルロースの使用を提供し、前記カプセルを前記変性セルロースでコーティングすることを含む。
【0018】
発明の詳細な説明
ガラス状態炭水化物マトリックス内にカプセル化された少なくとも1の活性化合物で部分的または完全にコーティングされた、不活性コア粒子は本発明の重要な要素である。
【0019】
“不活性コア粒子”は、コーティング物質及び/または活性剤と反応しない粒子を意味するものとする。不活性コア粒子は流動床条件下で不活性である任意の粒子物質であってよい。しかしながら、便宜のため、不活性コア粒子は食用物質から選択でき、好ましくは茶葉(tea fannings)、粉茶、及びタバコ片などの野菜粒子、酸などの全ての種類の結晶生成物(例えば、クエン酸またはリンゴ酸、特にクエン酸)、単、二、または三糖類の結晶(例えば、砂糖)及び塩結晶、さらに有機及び人工繊維などの全ての種類の繊維、例えばアラビアゴム、セルロース細胞、マルトデキストリン、ゴマ、キャラウェーの種などの植物の種、及び吹き付け乾燥フレーバー剤からなる群より選択できる。
【0020】
クエン酸の不活性コア粒子としての使用は有利であり、従って、本発明で使用する不活性コア粒子として、特にマシュマロの調製に好ましい。通常、クエン酸は処理欠点に関係する。例えば、温糖−ゼラチン塊中におけるクエン酸などの溶解性酸の存在は、組成物のさらなる処理に悪影響を及ぼす。適当な給気が行える温度が著しく落ち込む(50℃から35℃)。その結果、冷却工程が長く、より激しくなり、従ってよりコストが高くなる。さらに、高製品安定性及び低密度などの質の面は、酸含有マシュマロの場合、要求を満たすことがより困難になることが多い。
【0021】
本発明はこれらの問題の改善法を提供する。本発明における変性セルロースコーティングの使用により処理条件に耐え得る粒子の調製を可能にし、保存中のベース材料とクエン酸の相互作用を制限する。従って、好ましい実施態様において、不活性コア粒子の少なくとも50重量%はクエン酸である。より好ましくは、不活性コア粒子の少なくとも80重量%はクエン酸であり、最も好ましくは、不活性コア粒子の少なくとも90重量%はクエン酸である。
【0022】
本発明のコア粒子の大きさは通常、0.1〜3mm、好ましくは0.2〜1.5mmの範囲である。不活性コア粒子のコーティングは部分的でも全体的でもよい。“部分的”とは、粒子表面の少なくとも60%がコーティングされていることを意味する。本発明の目的において、コーティングは炭水化物マトリックス中にカプセル化された少なくとも1の活性物質から作られる。
【0023】
炭水化物マトリックスは、炭水化物マトリックスの全重量に基づいて、5〜95重量%高分子量フィルム形成炭水化物、5〜30重量%単、二、及び/または三糖類;及び0〜30重量%マルトデキストリンにより特徴付けられる。
【0024】
さらに具体的には、炭水化物マトリックスは45〜70重量%、好ましくは50〜60重量%の高分子量フィルム形成炭水化物を含む。適当なフィルム形成炭水化物はフィルム形成ガム、ペクチン、アルギン酸塩、ゴム糊及びこれらの混合物である。好ましくは、フィルム形成炭水化物は、アラビアゴム、アカシアゴム、トラガカント、カラヤゴム、ガティガム、寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、fucellan、サイリウム及びこれらの混合物から選択され、またはゼラチン、デキストラン、キサンタン、カードラン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、低メトキシペクチン、アルギン酸プロピレングリコール及びこれらの混合物から選択される。最も好ましくは、フィルム形成剤はフィルム形成ゴム、親水コロイド及び親油性変性デンプンである。ゴムの例としては、アラビアゴム及びアカシアゴムである。適当な化学変性デンプンの例としては、Capsul(登録商標)及びN−Lok(ナショナル・スターチ(National Starch))である。もちろん、フィルム形成炭水化物の混合物も本発明の組成物に用いることができる。
【0025】
本発明の炭水化物マトリックスのその他の成分は単、二及び三糖類であり、炭水化物マトリックスの全重量に基づいて、5〜30重量%、好ましくは15〜25重量%の量で用いられる。単、二及び三糖類の例としては、グルコース、フラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、ソルビトール、キシリトール及び果汁固体のような糖を高含量で含む物質である。好ましくは、単、二及び三糖類物質の少なくとも50重量%は二糖類である。高含量の単糖類はいくぶん粘性の生成物を生じる可能性があり、一方、高含量の三糖類は生成物をより酸化しやすくする可能性がある。本発明の好ましい実施態様において、単、二及び三糖類物質はスクロースである。
【0026】
無糖用途、例えば、無糖チューインガムまたは無糖飲料、及びデンタルケア製品、例えば歯磨き粉及びマウスウォッシュにおける用途のため、本発明の組成物が大量の糖を含まないことは非常に望ましい。代替甘味料、ソルビトール、キシリトール及びその他の甘味剤などの使用は、主に基材系のガラス転移温度への悪影響に起因して、酸化安定性に悪影響を与えることが知られている。驚くべきことに、本発明の粒子組成物は、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、水添化デンプン加水分解物、ラクチトール、マルチトール、エリスリトール、水添化イソマルツロース及びこれらの組み合わせからなる群より選択される甘味料1〜30重量%を適当に含むことができるということがわかった。好ましくは、当該組成物中の甘味料の量は、少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%である。通常、甘味料の量は25重量%を超えず、最も好ましくは、20重量%を超えない。後者の組成物の酸化安定性は著しく優れており、おそらく炭水化物マトリックス及びセルロースコーティングの相乗作用に起因すると考えられる。より好ましくは、記述の甘味料は単糖類、特にソルビトール、キシリトールまたはこれらの混合物である。
【0027】
本発明の炭水化物マトリックスはさらに、0〜30重量%、好ましくは10〜30重量%のマルトデキストリンを含む。マルトデキストリンは、好ましくは、デキストロース当量(DE)が1〜25、最も好ましくは10〜20の範囲である。上記の要件を満たす種々のマルトデキストリンが容易に入手可能であり、例えば、タピオカ、トウモロコシ、及びジャガイモ由来のマルトデキストリンである。
【0028】
本組成物の安定性は、さらに、融点が少なくとも30℃、好ましくは少なくとも35℃の脂質を少なくとも50重量%含む外側コーティングを用いるコーティングされた不活性粒子を提供することによってもさらに高めることができることを、本発明者は見出した。ここで用いる脂質の語は、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、リン脂質及びスクロース脂肪酸ポリエステルなどの物質を含有する親油性脂肪酸残留物をいう。最も好ましくは、外側コーティングに用いられる脂質はトリグリセリドである。他の好ましい実施態様において、外側コーティング層は少なくとも80重量%の脂質、より好ましくは少なくとも90重量%の脂質を含む。
【0029】
炭水化物マトリックスはグリセロールなどの食用ポリオールを炭水化物マトリックスに基づいて、5重量%以下、好ましくは1〜3重量%で混合することにより軟化できる。また、0.2%以下の消泡剤のようなその他の成分を加えてもよい。
【0030】
炭水化物マトリックス内にカプセル化される活性化合物は、フレーバー剤、香料、薬剤及び洗浄活性成分からなる群より選択される。
【0031】
フレーバー剤は当業者に公知であり、例えば、S.Arctander,Perfume and Flavour Materials of Natural Origin(Elisabeth,N.J.,USA,1996)、T.E.Furia他、CRC Fenaroli‘s Handbook of Flavour Ingredients,第2版(クリーブランド,CRC Press Inc.,1975)、及びH.B.Heath,Source Book of Flavours(The Avi Publishing Company Inc.,Westport,コネチカット,1981)に記載されている。
【0032】
芳香製品の調製に用いることができる香料及びその混合物は天然材料、例えば、精油、アブソルート(absolutes)、樹脂状物質、樹脂、コンクリート等、自然、天然と同一及び人工香料、例えば、炭化水素物、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、酸、エステル、アセタール、ケタール、ニトリル等であり、飽和及び不飽和化合物、脂肪族、炭素環式及び複素環化合物にもおよび、例えばS.Arctander(上記)に開示されている。
【0033】
本発明の範囲内で使用できるフレーバー剤及び/または香料成分の例としては、ゲラニル、リナロール、リナリル、酢酸塩、テトラヒドロリナロール、シトロネロール、酢酸シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ジヒドロミルセニルアセテート、テトラヒドロミルセノール、テルピネオール、酢酸テルピニル、ノポール(nopol)、酢酸ノピル、2−フェニルエタノール、2−フェニルエチルアセテート、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、スチラリルアセテート、安息香酸ベンジル、サリチル酸アミル、ジメチルベンジルカルビノール、トリクロロメチルフェニルカルビニルアセテート、p−tertブチルシクロヘキシルアセテート、イソノニルアセテート、ベチベリルアセテート、ベチベロール、α−ヘキシル−桂皮アルデヒド、2−メチル−3−(p−tertブチルフェニル)−プロパナール、2−メチル−3−(p−イソプロピルフェニル)−プロパナール、3−(p−tertブチルフェニル)−プロパナール、トリシクトデセニルアセテート、トリシクロ−デセニルプロピオネート、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−3−シクロヘキセンカルバルデヒド、4−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセンカルバルデヒド、4−アセトキシ−3−ペンチル−テトラヒドロピラン、3−カルボキシメチル−2−ペンチル−シクロペンタン、2−n−ヘプチル−シクロペンタノン、3−メチル−2−ペンチル−2−シクロペンタノン、n−デカナール、n−ドデカナール、dec−9−エン−l−オール、フェノキシ−エチルイソブチレート、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、セドリルアセテート、3−イソ−カンフィル(camphyl)シクロヘキサノール、セドリルメチルエーテル、isolongifolanone、オーベピンニトリル、オーベピン、ヘリオトロピン、クマリン、オイゲノール、バニリン、酸化ジフェニル、ヒドロキシシトロネラル、イオノン、メチルイオノン、イソメチルイオノン、イロン、シス−3−ヘキセノール及びそのエステル、インダン・マスク(indan musk)香料、テトラリン・マスク(tetralin musk)香料、イソクロマン・マスク(isochroman musk)香料、大環状ケトン香料、エチレン・ブラシレート及び芳香族ニュートリ−マスク(nutri−musk)香料がある。
【0034】
本発明の特定の好ましい実施態様において、酸素安定組成物は、酸化に特に敏感であり、明らかに望ましくないフレーバー剤の影響を有する酸化生成物を生成する、1以上のフレーバー剤または香料成分を含む。このような酸化感受性のフレーバー剤及び香料成分の一般的な例としては、リモネン、シトラール及びリナロールを含む。その結果、好ましい実施態様において、本発明の組成物はリモネン、シトラール及び/またはリナロールを活性成分として含む。これらの酸化感受性物質はそれ自体を本発明の組成物内に組み込むことができ、または、天然抽出物または単離体の形態で組み込むことができる。特に好ましい実施態様において、これらの物質は柑橘油またはミント油の形態で本発明の組成物内に組み込まれ、最も好ましくは柑橘油の形態である。
【0035】
本発明の香料組成物は芳香製品に有効に使用できる。このような芳香製品の例としては、石鹸、浴用化粧品、洗浄剤、食器用洗剤及び洗濯用洗剤、匂い玉、キャンドル、クリームなどの化粧品、軟膏、体臭防止スティック、及び制汗スティックがある。
【0036】
また、酸化し易い医薬品及び洗浄活性成分は活性成分として使用でき、本発明の炭水化物マトリックス内にカプセル化される。
【0037】
本発明の主な用途はフレーバー剤の分野に関する。この点において、本発明の最終製品は、フレーバー剤の種類に応じ、フレーバー剤の全重量に基づいて、1〜40重量%、またはより好ましくは10〜20重量%のフレーバー剤を活性化合物として保護及び保持できることに注目されたい。本発明の炭水化物マトリックス内にカプセル化されるフレーバー剤、特に芳香族または揮発性フレーバー剤の例としては、例えば、ベルガモット油、シトラス油、例えばレモン油、オレンジ油、グレープフルーツ油などの精油及びその他の揮発性フレーバー剤、例えば、ベーカリー及び風味(savoury)フレーバー剤、及び食品フレーバー剤、例えば、ストロベリー、ラズベリー、キウイ等がある。また、その他の種類の活性化合物も上述の通り、組成物の全重量に基づいて、1〜40重量%、より好ましくは10〜20重量%の量で本発明の炭水化物マトリックス内にカプセル化できる。
【0038】
コア粒子と炭水化物コーティングとの重量比に関して、前記比はかなり様々な値をとり得ることが前提であるが、好ましくは5.1〜1.5、最も好ましくは約1:1である。
【0039】
コーティング粒子に、それから、さらに変性セルロースでコーティングを行う。本発明の目的において、“変性セルロース”とは、熱的可逆ゲルを形成できる変性セルロースを意味する。ここで用いる好ましい変性セルロースは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルメチルセルロース、エチルセルロース及びこれらの混合物から選択される。
【0040】
変性セルロースは通常、組成物の1重量%〜20重量%、好ましくは1〜5重量%の量で存在する。
【0041】
炭水化物コーティングと変性セルロースコーティングとの重量比は、当該比がかなり様々な値をとり得ることが前提であるが、好ましくは5:1〜1:5、最も好ましくは約1:1である。
【0042】
本発明の生成物は、カプセル化活性剤を含むコーティングを不活性コア粒子上に固定する適当な方法に従って生成でき、例えば、タンブラー内等で行い、その後、変性セルロースでさらにコーティングする。最も好ましくは、本発明に従う生成物は、流動床プロセス手段により生成される。
【0043】
従って、本発明のさらなる側面は、酸素安定組成物を生成する方法により表され、以下の工程を含む:
a)5〜95重量%高分子量フィルム形成炭水化物、5〜30重量%単、二及び三糖類、及び0〜30重量%マルトデキストリンを含む炭水化物混合物を含んだ水性炭水化物溶液を形成する工程;
b)少なくとも1の上述の活性化合物を工程(a)の溶液内に混合する工程;
c)工程(b)の水性溶液を不活性コア粒子を含む流動床内に導入し、吸気温度40〜120℃、好ましくは60〜100℃を用いて、ガラス状態炭水化物マトリックス内にカプセル化された活性化合物でコーティングされたコア粒子を得る工程;及び
d)工程(c)の後、濃度0.1〜30重量%、好ましくは2〜10重量%の水性溶液として変性セルロースをカプセル化活性剤コーティングコア粒子を含む流動床内に導入し、吸気温度40〜120℃、好ましくは60〜100℃を用いて前記粒子上に安定フィルムを得る工程。
【0044】
“ガラス状態”とは、ポリマーなどの長鎖分子に関係する特性状態を意味し、それにより、アモルファス固体が得られ、その挙動はガラスに似ている。
【0045】
より一般的には、流動床プロセスは活性化合物及び炭水化物マトリックスの乳化水溶液を流動床造粒器(agglomerator)内に噴霧することによっても実行でき、当該造粒器は大量の不活性コア粒子で、またはバルク調製において使用される炭水化物マトリックスを含む小カプセルのサンプルで前もって充填されている。炭水化物マトリックスを含む乳化液は、流動床から通る空気により流動化された不活性コア粒子をコーティングし、粒子の凝集を生じ、炭水化物マトリックスを含む乳化液成分を蓄積する。流動床の滞留時間は制御可能なので、乳化液の噴霧は必要な粒子サイズまたは活性負荷が得られるまで続けることができる。それが得られると、要求レベルの変性セルロースが表面上に蓄積されるまで流動床中に変性セルロースを導入する。
【0046】
商業実務において、当該方法は、必要な生成に適当なサイズの装置を用いて、連続した1つのプロセスとして行うことが望ましい。このような連続的操作は生成物の最大限の均一性を確実にする。これを達成するために、流入噴霧速度、流動化通気速度及びその温度の注意深い制御が実行されなければならない。
【0047】
本方法において用いられる流動床装置は種々の製造業者のものから選択でき、Aeromatic AG(Muttenz、スイス)及び同じくAeromatic AGより供給される“Strea−1”ラボラトリー造粒器(agglomerator)が挙げられる。その他の有用な造粒器(agglomerator)はCalmic Division of William Boulton(Burslem、イングランド)及びGlatt、Binzen社(ドイツ)により供給される。
【0048】
本発明のさらなる実施態様において、本発明の組成物または本発明の方法により調製した組成物を含む製品を提供する。本発明の組成物は砂糖菓子製品及び香味(savoury)用途に適当に用いられ、例えば、乾燥スープ、乾燥ソース、ソーセージ、スナック及び麺類である。好ましい製品は砂糖菓子製品であり、より好ましくは、チューインガムなどのガム、固ゆで菓子、マシュマロ、チューイング菓子、及びこれらの混合物から選択される。最も好ましくは、砂糖菓子製品は、特にチューインガム用途に適した本粒子組成物により提供される酸素安定剤及び機械的安定剤の混合物としてのチューインガムである。
【0049】
通常、本発明の組成物は少なくとも0.1重量%内の量で製品中に含まれる。好ましくは、当該組成物は少なくとも0.3重量%の量で含まれ、最も好ましくは少なくとも0.5重量%である。本組成物は90重量%以下の濃度で適当に用いることができる。好ましくは、当該組成物は5重量%以下の量、より好ましくは3重量%以下の量で用いる。本発明は実質的に無糖の酸素安定粒子組成物を製造できるので、前記組成物は無糖製品、特に無糖飲料及び無糖チューインガム中に有利に用いられる。
【0050】
本発明のさらなる実施態様は変性セルロースの使用に関し、マトリックス内にカプセル化された1以上の活性化合物の酸素安定性を改善し、当該マトリックスは炭水化物マトリックスの全重量に基づいて、以下を含む:5〜95重量%高分子量フィルム形成炭水化物;5〜30重量%単、二及び三糖類;及び0〜30重量%マルトデキストリン。前記使用は前記変性セルロースを用いてカプセルをコーティングすることを含む。特に好ましい実施態様において、活性化合物は、リモネン、シトラール、リナロール及びこれらの混合物からなる群より選択される。最も好ましくは、活性化合物はリモネンである。
【0051】
他の好ましい実施態様において、1以上の活性化合物は実質的に無糖であるマトリックス内にカプセル化される。
【0052】
本発明を以下の非限定的実施例において説明する:
実施例1
以下の処方は以下に示す成分、本発明に従う炭水化物マトリックスである50重量%(250g)Capsul(登録商標)、25重量%(115g)マルトデキストリン(DE20)及び25重量%(125g)スクロースからなる500gの炭水化物マトリックスを、600g、80℃の水中において30分間攪拌しながら、溶解または分散することにより調製した。次に、当該混合物を20℃まで冷却した。酸化防止保存料を含まないオレンジフレーバー剤(QL06830)を攪拌しながら全乾燥固体(166g)上に25重量%で加え、調製供給物をUltra Turrax T50を用いて、10,000rpmで約3分間均質化した。均質化供給物(1266g)を、2barで2つの流動体ノズルを用いて流動化茶葉(tea fannings)700gを含む流動床GPCG01ラボラトリー造粒器(agglomeration)Wurster装置に送った。吸気温度は50℃〜105℃で可変であり、38〜55℃の可変生成物温度を生じた。適用した供給温度は30℃であり、吸気流量は120m/時間である。4重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel E15)を含む水性溶液(750g)を調製し、フレーバー乳化液を完全に粒子上に噴霧してすぐに前記流動床に送った。流動床操作条件は、フレーバー乳化液を用いた粒子のコーティングに関して前の工程で説明したものと同じものを選択した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性コア粒子を含む酸素安定組成物であって、当該不活性コア粒子は部分的にまたは完全に少なくとも1の活性化合物でコーティングされ、当該活性化合物は炭水化物マトリックス内にカプセル化されており、当該マトリックスは、炭水化物マトリックスの全重量に基づいて、5〜95重量%高分子量フィルム形成炭水化物;5〜30重量%単、二及び三糖類;及び0〜30重量%マルトデキストリンであることを特徴とし、前記コーティング粒子が温度上昇に対して可逆ゲル形成特性を有する変性セルロースでさらにコーティングされる、酸素安定組成物。
【請求項2】
フィルム形成炭水化物が炭水化物マトリックスの全重量に基づいて、45〜70重量%、好ましくは50〜60重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
フィルム形成炭水化物が、アラビアゴム、アカシアゴム、親油性変性デンプン及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記マトリックスが、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、水添化デンプン加水分解物、ラクチトール、マルチトール、エリスリトール、水添化イソマルツロース及びこれらの組み合わせからなる群より選択される甘味料を1〜30重量%、好ましくは5〜30重量%含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
単、二及び三糖類物質の100重量%がソルビトール、マンニトール、キシリトール、水添化デンプン加水分解物、ラクチトール、マルチトール、エリスリトール、水添化イソマルツロース及びこれらの組み合わせからなる群より選択される甘味料であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
炭水化物マトリックス内にカプセル化される活性化合物がフレーバー剤、香料、医薬品、及び洗浄活性成分からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
活性化合物がリモネン、シトラール、リナロール及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
カプセル化活性化合物が炭水化物マトリックスを含む活性化合物の全重量に基づいて、1〜40重量%、好ましくは10〜20重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
コア粒子が、茶葉(tea fannings)、粉茶、及びタバコ片、酸、単、二、または三糖類の結晶、塩結晶、植物の種、繊維、噴霧乾燥粒子及びセルロース細胞からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
炭水化物マトリックス及び変性セルロースでコーティングされたコア粒子が、少なくとも30℃の融点を有する脂質を少なくとも50重量%含む外側コーティングをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
炭水化物マトリックス、変性セルロース及び任意で脂肪層でコーティングされたコア粒子が0.1〜3mm、好ましくは0.2〜1.5mmの範囲の大きさであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
コア粒子と炭水化物マトリックスコーティングとの重量比が、5:1〜1:5、好ましくは約1:1であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
炭水化物マトリックスコーティングとセルロースコーティングとの重量比が5:1〜1:5、好ましくは約1:1であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
変性セルロースがメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルメチルセルロース、エチルセルロース及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
酸素安定組成物を生成する方法であって、以下の工程:
(a)5〜95重量%高分子量フィルム形成炭水化物、5〜30重量%単、二及び三糖類、及び0〜30重量%マルトデキストリンを含む炭水化物混合物を含んだ水性炭水化物溶液を形成する工程;
(b)少なくとも1の活性化合物を工程(a)の溶液内に混合する工程;
(c)工程(b)の水性溶液を不活性コア粒子を含む流動床内に導入し、吸気温度40〜120℃、好ましくは60〜100℃を用いて、炭水化物マトリックス内にカプセル化された活性化合物でコーティングされたコア粒子を得る工程;及び
(d)工程(c)の後、濃度0.1〜30重量%、好ましくは2〜10重量%の水性溶液として変性セルロースをカプセル化活性コーティングコア粒子を含む流動床内に導入し、吸気温度40〜120℃、好ましくは60〜100℃を用いて前記粒子上に安定フィルムを蓄積する工程、
を含む方法。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれかの酸素安定組成物または請求項15の方法により調製された酸素安定組成物を含む製品。
【請求項17】
前記製品が砂糖菓子製品、好ましくはチューインガム、固ゆで(hard boiled)菓子、マシュマロ、チューイング菓子及びこれらの混合物から選択される、請求項16の製品。
【請求項18】
製品がチューイングガムである、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
前記製品が、乾燥スープ、乾燥ソース、ソーセージ、スナック及び麺類からなる群より選択される、請求項16に記載の製品。
【請求項20】
0.1〜5.0重量%の酸素安定組成物を含む、請求項16〜19のいずれかに記載の製品。
【請求項21】
製品が実質的に無糖である、請求項16〜20のいずれかに記載の製品。
【請求項22】
マトリックス内にカプセル化された1以上の活性化合物の酸素安定性を改善するための変性セルロースの使用であって、前記マトリックスは、炭水化物マトリックスの全重量に基づいて、5〜95重量%高分子量フィルム形成炭水化物;5〜30重量%単、二及び三糖類;及び0〜30重量%マルトデキストリンを含み、前記使用が前記変性セルロースでカプセルをコーティングすることを含む、使用。

【公表番号】特表2007−520999(P2007−520999A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507864(P2006−507864)
【出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000231
【国際公開番号】WO2004/089113
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(391020296)クエスト・インターナショナル・ビー・ブイ (7)
【氏名又は名称原語表記】QUEST INTERNATIONAL BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】