説明

酸素富化機能付き便座装置

【課題】便秘の原因となるストレスや緊張を改善することで、排便を促進することを目的としている。
【解決手段】圧電センサー15によって使用者の生体情報を収集し、使用者のストレスや緊張弛緩状態により、酸素富化手段7の運転を制御し、酸素富化空気を供給することで、酸素富化空気によりストレスを緩和し使用者をリラックスさせることができ、リラックスさせることで便秘の原因を取り除き、排便を促進することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素富化手段を備えた便座装置に関し、特に排便促進機能を有する便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、排便促進機能を有する便座装置は、特許文献1に代表されるように、排便行為の際に力むことがないように、洗浄水の強さを強弱と繰り返して局部に向けて噴出し、一種のマッサージ効果によって排便行為をスムーズに行えるような工夫がされてきた。
また、トイレ空間内の酸素不足を防止し、酸素濃度を一定に保つために、トイレ空間内に酸素富化装置を設けたものもあった。
【特許文献1】特開2000−96672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の便座装置は、使用者が便意を感じている時に洗浄水によるマッサージの刺激によって排便を促しサポートするもので、便秘の原因そのものを解消するためのものではなかった。また、トイレ空間内に酸素富化装置を設ける目的は、狭いトイレ空間内の酸素濃度を一定に保つことで心肺への負担を軽減することにあり、排便を促進および便秘の原因を改善するために設けられたものではなかった。
【0004】
一般に便秘には、慢性的なものや、ストレスや緊張などによる神経性のもの、偏食など食生活の乱れによるもの、腸などの病気が原因で起こるもの、排便を行なうための筋力不足によるもの等さまざまな原因があり、さらに慢性的な便秘においては、便意を我慢する行為を繰り返すことで、便意に対する反応が鈍り便意を感じにくくなることもあった。このように便秘の原因が食生活や病気、筋力不足などに起因する場合は、使用者自らが便秘原因の解消を行なわなくてはならないが、便秘の原因がストレスや緊張などによる神経性のものの場合は使用者のみでは、改善しにくいものであった。
【0005】
さらに、神経性のストレスを緩和する方法として、アロマテラピー等の方法も用いられており、トイレ空間内に芳香剤を供給することで、ストレスを改善する方法も用いられているが、香りの好みについては個人差があり、使用者により心地よいと感じる香りは異なり、さらには香りの濃度においても、ある人が心地よいと思う濃度がすべての人に受け入れられるものではなく、反対に不愉快な気分になることもある。さらに芳香成分のみでリラクゼーション効果を得るためには、芳香剤の使用量が増加し、芳香剤の取替え頻度が増すという課題もあった。
【0006】
上記従来の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、便秘の原因となるストレスや緊張を改善することで、排便を促進することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の酸素富化機能付き便座装置は、便座と、便座に着座中の使用者の生体情報を収集する生体情報収集手段と、高濃度の酸素を生成し、前記使用者へ供給する酸素富化手段と、前記生体情報収集手段からの出力により使用者の緊張弛緩状態を評価する演算手段と、前記生体情報収集手段からの出力に基づく前記演算手段の評価によって前記酸素富化手段の運転を制御する制御手段を備えたもので、使用者のストレスや緊張状態により、酸素富化手段の運転を制御し、酸素富化空気を供給することで、酸素富化空気によりストレスを緩和し使用者をリラックスさせることができ、リラックスさせることで便秘の原因を取
り除き、排便を促進することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の酸素富化機能付き便座装置は、生体情報収集手段によって使用者の生体情報を収集することで、排便時の使用者のストレスや緊張弛緩状態を評価し、これに応じて酸素富化空気を供給し、使用者のストレスや緊張を緩和しリラックスさせることで便秘の原因を取り除き、排便を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、便座と、便座に着座中の使用者の生体情報を収集する生体情報収集手段と、高濃度の酸素を生成し、前記使用者へ供給する酸素富化手段と、前記生体情報収集手段からの出力により使用者の緊張弛緩状態を評価する演算手段と、前記生体情報収集手段からの出力に基づく前記演算手段の評価によって前記酸素富化手段の運転を制御する制御手段を備えたものである。
【0010】
これにより、生体情報収集手段によって使用者の生体情報を収集し、この生体情報に基づく演算手段により排便時の使用者のストレスや緊張状態を評価することができる。この評価した使用者のストレスや緊張状態により、酸素富化手段の運転を制御し、酸素富化空気を供給することで、酸素富化空気により使用者のストレスを緩和しリラックスさせることができ、そしてリラックスさせることで便秘の原因を取り除き、排便を促進することができる。
【0011】
第2の発明は、特に第1の発明の酸素富化手段を、供給する酸素富化空気の流路となるホースと前記ホースに接続し、使用者の口元にまで酸素富化空気を供給する使用者の頭部へ着脱するヘッドセットを有する構成にしているから、使用者がヘッドセットを装着することで、使用者の動きや姿勢に関係なく確実に酸素富化空気を供給することができる。
【0012】
第3の発明は、特に第1の発明の生体情報収集手段を、第2の発明のヘッドセットに設けた構成とし、ヘッドセットを通じて生体情報を収集することで、使用者に負担をかけずに、使用者の動きや姿勢にとらわれず確実に生体情報を収集することができる。
【0013】
第4の発明は、特に第1〜第3のいずれか1つの発明の制御手段を、酸素濃度可変手段と流量可変手段を有する構成とし、生体情報収集手段の出力によって酸素濃度および流量を制御するものであるから、生体情報収集手段の出力によって酸素濃度および流量を制御することで、使用者の体調に合わせた酸素富化空気を供給することができる。
【0014】
第5の発明は、特に第1〜第4のいずれか1つの発明の生体情報収集手段を、便座に設けた少なくとも2つ以上の電極で構成し、使用者の臀部より生体情報を収集するものであるから、使用者のいきみを検出することも可能であり、使用者に負担をかけずに生体情報を収集することができる。
【0015】
第6の発明は、特に第2〜第5のいずれか1つの発明の酸素富化手段の流路となるホースを伸縮自在に形成することにより、ホースの弛みやからみ、捻れを防止することができる。
【0016】
第7の発明は、特に第1〜第6のいずれか1つの発明の酸素富化手段を、断続的に運転し、使用者に深呼吸をうながすようにしているから、断続的に供給される酸素富化空気が使用者に深呼吸をうながし、深呼吸によるリラックス効果を得ることができる。
【0017】
第8の発明は、特に第1〜第7のいずれか1つの発明の酸素富化手段の酸素富化空気の
流路に芳香成分を付加する芳香手段を設けることにより、芳香成分によりリラックス効果をさらに高めることができ、酸素によるリラックス効果を併用することで芳香剤の使用量を低減することができる。
【0018】
第9の発明は、特に、第8の発明の芳香手段に、生体情報収集手段からの出力によって芳香成分の付加量を制御する芳香制御手段を設けたものであるから、使用者がリラックスできる芳香を呈示することができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、本実施の形態の説明において、同一構成並びに作用効果を奏するところには同一符号を付して重複した説明を行わないものとする。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における酸素富化機能付き便座装置の概略図で、図2は同酸素富化機能付き便座装置の動作ブロック図である。図1および図2において、便器1上に、一般に知られている温水洗浄便座装置が設置されている。温水洗浄便座装置は、用便後の人体の局部に温水を噴出して洗浄する機能および局部に温風を吹き付けて乾燥させる機能等を有し、便座としての洗浄便座3とその上を覆う便蓋4を備え、洗浄便座3の後端部に設けてある温水洗浄便座本体5の内部には酸素富化手段7を備えている。
【0021】
酸素富化手段7は、周囲の空気を取り入れる吸入部8と酸素濃度が高められた空気(以下、酸素富化空気という)吐出する酸素富化空気吐出部6を設け、空気搬送手段としての真空ポンプ9、酸素と窒素を分離する酸素富化膜10を有しており、真空ポンプ9が動作することで、酸素富化空気吐出部6から酸素富化空気が吐出され、酸素富化空気吐出部6に接続したホース11を通って洗浄便座3に着座して用便時の使用者Aの口元付近に供給される構成となっている。
【0022】
また、酸素酸素富化手段7は後述する弁等の流量調整手19で酸素富化空気吐出部6から出る酸素富化空気量を制御され、さらに後述する吸引弁等の酸素濃度可変手段18で外部より吸引した空気を酸素富化空気に混入され濃度が可変する構成になっている。
【0023】
ホース11には、洗浄便座3に着座して使用者Aが本装置を使用して酸素富化空気を吸引するときに、頭部近傍に装着するヘッドセット12が接続され、ヘッドセット12は使用者の耳に着脱自在に掛けて固定するための耳掛け部13および酸素富化空気を使用者Aの口元付近に供給する酸素富化空気口元吐出口14が設けられている。
【0024】
また、ヘッドセット12の耳掛け部13には、生体情報収集手段16aとしてのシート状の圧電センサー15を備えた心拍検出手段16が設けられ、使用者の頭部(耳上部)から、心機図を検出する構成となっている。心機図とは、心臓の拍動に伴う体表面の振動で、薄膜加工されたポリフッ化ビニリデンなどの高感度の圧力センサーを用いれば容易にセンシングすることができる。そして、得られた心機図から、ピーク間間隔を求めることにより、ほぼ心拍に対応した系列データを得ることができる。
【0025】
演算手段17は、心拍検出手段16による心機図から、ピーク間間隔を求めることで得た心拍系列データを周波数解析し、周波数成分(高周波成分および低周波成分)から使用者の緊張弛緩状態を評価するものである。また、演算手段17は使用者の緊張弛緩状態を評価した評価信号と後述する制御手段20からのフィードバック信号を比較した結果を比較信号として制御手段20に出力する。
【0026】
制御手段20は、演算手段17の評価による用便中の使用者の緊張弛緩状態から酸素富化手段7の運転を制御する、酸素濃度可変手段18および流量調整手段19を備えている。すなわち、制御手段20は生体情報収集手段16aに基づく演算手段17の比較信号に応じて酸素濃度可変手段18および流量調整手段19を制御し、酸素富化空気の濃度と流量を調整して供給するように酸素富化手段7を制御する。
【0027】
すなわち、制御手段20は、演算手段17からの比較信号に応じて酸素富化空気の量および濃度を、使用者が最もリラックスできる状態に酸素富化手段7を制御できるように予め実験的に求めたデータをテーブル表として記憶部に格納しており、従って演算手段17からの比較信号に基づき、これに対応する値を格納部から取り出した制御信号により酸素富化手段7を制御し、使用者が最もリラックスできる状態に酸素富化手段7の運転を行なうように構成している。
【0028】
以上のように構成された酸素富化機能付き便座装置について、以下その動作、作用を説明する。トイレ室に入ってきた使用者が用便に必要な脱衣をして便座3に座り、ヘッドセット12を頭部に装着すると、耳掛け部13に設けた心拍検出手段16が使用者の耳上部に密着し、使用者の頭部から心機図を検出する。そして、演算手段17は、心拍検出手段16による心機図から、ピーク間間隔を求め心拍系列データを作成し、時系列データの周波数解析を行なう。そして得られた周波数データより、高周波成分および低周波成分を求め使用者の緊張弛緩状態を評価する。
【0029】
このようにして演算手段17で得られた使用者Aの緊張弛緩状態の評価信号とフィードバック信号との比較信号から、使用者が緊張状態にあると判定した時に、この判定信号を受けた制御手段20が酸素富化手段7を運転し、ホース11を介してヘッドセット12の酸素富化空気口元吐出口14より使用者Aに酸素富化空気を供給する。ここで、酸素富化膜により酸素富化空気が得られる原理について説明する。
【0030】
酸素富化膜は有機高分子の平膜により構成され、膜を通過する分子の速度の差を利用するもので、空気中の窒素に比べ酸素をよく通す膜を使用することで、膜通過前よりも酸素濃度が高い酸素富化空気を得ることができる。通常の空気において酸素濃度は約21%(窒素約79%)であり、生成される酸素富化空気の酸素濃度や風量は、酸素富化膜の形態、大きさなどによって変わるが、本実施例では、酸素富化膜を通過後の酸素富化空気の酸素濃度が約30%(窒素約70%)となるものを用いている。
【0031】
酸素富化膜を複数並列してつなげることで、より酸素濃度の高い空気を得ることも可能である。一般に酸素富化空気の吸引には、リフレッシュ効果やリラクゼーション効果があることが知られており、酸素富化空気を吸引することで使用者Aの緊張状態を緩和することができる。
【0032】
精神的に緊張した状態では、排便がスムーズに行なわれないことは周知の事実であり、排便をスムーズに行なうためには自律神経の興奮緩和が必要であることから、酸素富化空気を吸引することで使用者の緊張状態を緩和し、排便をスムーズに行なうことができる。
【0033】
さらに、酸素富化空気を吸引した使用者Aの緊張緩和状態に応じて生体情報収集手段16aによるデータに基づく演算手段17の評価信号と制御手段20からの酸素富化手段7に対する制御信号のフィードバックを比較した演算手段17の比較信号により、制御手段20は再び酸素富化手段7の運転を制御することで、よりリラクゼーション効果を高めることができる。すなわち、生体情報収集手段16aによる使用者Aの緊張弛緩状態に応じた演算手段17の評価に応じて、酸素濃度可変手段18と流量調整手段19を制御手段20が制御し、酸素富化空気の流量や濃度を可変し、使用者が最もリラックスできる状態に
酸素富化手段7の運転を行なうものである。
【0034】
このように、本実施の形態では酸素富化空気を吸引することで使用者の緊張状態を緩和し、便秘の原因そのものを取り除くことで排便を促進することができる。
【0035】
なお、使用者Aによる酸素富化空気の吸引は、従来からの洗浄水による肛門刺激による排便促進を阻害するものではなく、本実施の形態では記載していないが、洗浄水による肛門刺激を組み合わせることでも、さらに排便促進効果を高めることができる。
【0036】
また、本実施の形態では生体情報収集手段として圧電センサー15を用いて、心拍を収集したが、ヘッドセット12の左右に電極を設け、左右耳上部の電位差から心電図を検出する方法や、光学式脈波センサを設け、脈波から心拍を検出する方法を用いても本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0037】
さらに、酸素富化空気の供給方法としては、酸素富化膜を用いる以外にも、水を電気分解して酸素を生成する方法や、吸着剤を用いて酸素富化空気を供給する方法などを用いることができ、酸素富化空気の供給方法の違いにより、排便促進効果に差が出るものではない。
【0038】
また、本実施の形態では、ヘッドセット12を用いて使用者Aに酸素富化空気を供給することで、使用者の動きや姿勢にとらわれることなく確実に酸素富化空気を供給することができる。
【0039】
また、ヘッドセット12に生体情報収集手段16aを設けたので、使用者Aに負担をかけずに、使用者の動きや姿勢にとらわれることなく確実に生体情報を収集することができる。
【0040】
また、酸素富化手段7の運転方法による使用者の緊張弛緩状態をフィードバックしながら、酸素濃度や流量を可変することで、使用者が最もリラックスできる状態に酸素富化手段7の運転を行なうことができる。
【0041】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態における酸素富化機能付き便座装置の要部の動作ブロック図である。本実施の形態は、実施の形態1で言う心拍検出手段に相当する生体情報収集手段の設置場所と具体的な構成が実施の形態1と異なり、それ以外の基本的な構成並びに作用効果は同じなので、同一部分には同一符号を付し、かつ図示していない部分は図1を利用して異なるところを中心に説明する。
【0042】
図3において、生体情報収集手段21は、洗浄便座3に設け、洗浄便座3に着座した使用者の臀部より生体情報を収集するものであり、電極が3個以上配設された構成となっている。3個の電極21a、21b、21cは、ステンレス、錫、鉛、亜鉛、銀、白金、金、塩化銀等の金属材料からなっており、互いに電気的に絶縁され、3個の電極間の中央に位置する電極21bをアースとして電極21a、21c間の電位差を得ることができるように構成している。このように電極21bをアース電極とすることでより正確な心電を計測することができるが、電極21Aおよび21C間の電位差でも心電図を計測することは可能である。
【0043】
そして、心電図からピーク間間隔を求めることで得た心拍系列データを周波数解析し、周波数成分(高周波成分および低周波成分)から使用者の緊張弛緩状態を評価する演算手段17と、演算手段17による使用者の緊張弛緩状態から酸素富化手段7の運転を制御す
る、酸素濃度可変手段18および流量調整手段19を有する制御手段20を備えている。
【0044】
以上のように構成された酸素富化機能付き便座装置について、以下その動作、作用を説明する。トイレ室に入ってきた使用者Aが用便に必要な脱衣をして洗浄便座3に座ると、電極21aが右大腿部に、電極21bが臀部に、電極21cが左大腿部に密着する。そして、電極21bをアース電極とし、電極21a、21c間の電位差から使用者Aの用便時の心電図を得ることができる。
【0045】
演算手段17は、心電図からピーク間間隔を求め心拍系列データを作成し、時系列データの周波数解析を行なう。そして、得られた周波数データより、高周波成分および低周波成分を求め使用者の緊張弛緩状態を評価する。このようにして演算手段17で得られた使用者Aの緊張弛緩状態から、実施の形態1で説明したように使用者Aが緊張状態にあると判定した時に酸素富化手段7を制御手段20が運転し、酸素濃度可変手段18、流量調整手段19により酸素富化手段7を制御して使用者Aに酸素富化空気を供給する。
酸素富化空気の吸引には、リフレッシュ効果やリラクゼーション効果があることが知られており、酸素富化空気を吸引することで使用者Aの緊張状態を緩和することができる。そして、便座5に生体情報収集手段21を設けたことで、心電図のみでなく使用者のいきみを検出することも可能となり、使用者がいきんだ際にも酸素富化空気を使用者に供給することで、使用者のいきみによる酸素不足を解消することもできる。
【0046】
さらに、酸素富化手段7を断続的に運転することで、断続的に供給される酸素富化空気が使用者に深呼吸をうながし、深呼吸によるリラックス効果を得ることができる。
【0047】
また、酸素富化空気の流路となるホース11を伸縮自在に形成することで、ホース11の弛みやからみ、捻れを防止することができ、使い勝手の良い酸素付加機能付き便座装置を提供することができる。
【0048】
(実施の形態3)
図4は、本発明の第3の実施の形態における酸素富化機能付き便座装置の要部の動作ブロック図である。本実施の形態は、実施の形態1または2のホース11の途中に芳香手段を設け、その芳香手段を芳香制御手段で制御する構成が実施の形態1および2と異なり、それ以外の基本的な構成並びに作用効果は同じなので、同一部分には同一符号を付し、かつ図示していない部分は図1を利用して異なるところを中心に説明する。
【0049】
図4において、酸素富化空気の流路であるホース11の途中に芳香手段22である芳香剤23を担持したセラミックス24を内包した芳香容器25を設け、芳香容器25には芳香剤23を揮発させる加熱用のヒータ26を設け、生体情報収集手段16aまたは21および演算手段17で評価した使用者の緊張弛緩状態から、ヒータ26への通電を芳香制御手段としてのヒータ制御手段27で制御する構成となっている。
【0050】
以上の構成において、演算手段17により用便時の使用者Aの緊張弛緩状態を評価し、この演算手段17で得られた使用者Aの緊張弛緩状態に基づき、実施の形態1で説明したように洗浄便座3に着座した使用者Aに酸素富化空気を供給する。その際、酸素富化空気のホース11に設けた芳香容器25内の芳香剤23がヒータ26に加熱されて揮発し、酸素富化空気とともに芳香成分が使用者Aに供給される。
【0051】
さらに、生体情報収集手段による使用者Aの緊張緩和状態に応じて、芳香剤23の香り強度を芳香制御手段であるヒータ制御手段27によりヒータ26への通電を制御することで、図1に示す実施の形態1および図3に示す実施の形態2で説明したようにリラクゼーション効果を、より高めることができる。具体的には、香りの強度を可変し、香りの強度
による使用者の緊張弛緩状態を酸素富化手段7より演算手段17にフィードバックし、使用者が最もリラックスできる香りの強度に芳香成分の付加を行なうものである。
【0052】
一般に、酸素富化空気の吸引および芳香剤の吸引には、人間に対しリフレッシュ効果やリラクゼーション効果があることが知られており、従って本実施の形態によれば、供給される酸素富化空気とともに芳香剤を使用者Aが吸引することで、リラクゼーション効果をさらに高めるとともに、芳香剤の使用量を低減することができる。
【0053】
なお、上記実施の形態ではホース11の途中に芳香手段22を設けたが、温水洗浄便座本体5内にあって酸素富化空気吐出部6の後流に設けてもよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように本発明にかかる酸素富化機能付き便座装置によれば、生体情報収集手段によって使用者の生体情報を収集することで、排便時の使用者のストレスや緊張状態を測定し、使用者のストレスや緊張状態により、酸素富化空気を供給することで、酸素富化空気による使用者のストレスを緩和しリラックスさせることができ、そしてリラックスさせることで便秘の原因を取り除き、排便を促進することができ、排便のための機器に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1における酸素富化機能付き便座装置を示す概略図
【図2】同実施の形態1における酸素富化機能付き便座装置の動作ブロック図
【図3】本発明の実施の形態2における酸素富化機能付き便座装置を示す要部の動作ブロック図
【図4】本発明の実施の形態3における酸素富化機能付き便座装置を示す要部の動作ブロック図
【符号の説明】
【0056】
3 洗浄便座(便座)
7 酸素富化手段
9 真空ポンプ
10 酸素富化膜
11 ホース
12 ヘッドセット
13 耳掛け部
14 吐出口
15 シート状圧電センサー
16a、21 生体情報収集手段
17 演算手段
18 酸素濃度化変手段
19 流量調整手段
20 制御手段
22 芳香手段
27 ヒータ制御手段(芳香制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座と、便座に着座中の使用者の生体情報を収集する生体情報収集手段と、高濃度の酸素を生成し、前記使用者へ供給する酸素富化手段と、前記生体情報収集手段からの出力により使用者の緊張弛緩状態を評価する演算手段と、前記生体情報収集手段からの出力に基づく前記演算手段の評価によって前記酸素富化手段の運転を制御する制御手段を備えた酸素富化機能付き便座装置。
【請求項2】
酸素富化手段は、供給する酸素富化空気の流路となるホースと前記ホースに接続し、使用者の口元にまで酸素富化空気を供給する使用者の頭部へ着脱するヘッドセットを有する請求項1記載の酸素富化機能付き便座装置。
【請求項3】
生体情報収集手段は、ヘッドセットに設けてなる請求項1または2に記載の酸素富化機能付き便座装置。
【請求項4】
制御手段は、酸素濃度可変手段と流量可変手段を有し、生体情報収集手段の出力によって酸素濃度および流量を制御する請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸素富化機能付き便座装置。
【請求項5】
生体情報収集手段は、便座に設けた少なくとも2つ以上の電極とし、使用者の臀部より生体情報を収集する請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸素富化機能付き便座装置。
【請求項6】
酸素富化手段のホースを伸縮自在に形成してなる請求項2〜5のいずれか1項に記載の酸素富化機能付き便座装置。
【請求項7】
酸素富化手段は断続的に運転し、使用者に深呼吸をうながすようにしてなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸素富化機能付き便座装置。
【請求項8】
酸素富化手段は、酸素富化空気に芳香成分を付加する芳香手段を設けてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸素富化機能付き便座装置。
【請求項9】
芳香手段は、生体情報収集手段からの出力によって芳香成分の付加量を制御する芳香制御手段を設けてなる請求項8記載の酸素富化機能付き便座装置。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−32088(P2007−32088A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216712(P2005−216712)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】